説明

切り出しパレット

【課題】等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給するときに、搬送装置に把持されたワークが供給パレットと干渉することを防止できる切り出しパレットを提供すること。
【解決手段】搬送装置1により搬出される複数のワークWが配列される切り出しパレット6であって、等間隔に配列され、複数のワークWがそれぞれ挿脱される切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bを備え、切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bは、各々隣接する穴の深さが互いに異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り出しパレットに関し、詳しくは、搬送装置により搬出される複数のワークが配列される切り出しパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工程において、複数のワークは、これらのワークを等間隔に配列するための切り出しパレットに一旦貯留される。搬送装置は、切り出しパレットにおいて等間隔に配列された複数のワークを把持し搬送し、所定の供給パレットに供給する。
【0003】
ここで、複数のワークは、そのワークの種類によって切り出しパレットにおいて配列されたときの間隔が異なることがある。したがって、搬送装置は、複数のワークを把持する把持部の位置を、切り出しパレットに配列されたワークの間隔に応じて可変する必要がある。
【0004】
特許文献1には、所定のピッチで等間隔に複数の物品が配列されるトレイが開示されている。
このトレイに配列された複数の物品は、物品供給装置により保持され、所定のピッチとは異なるピッチで等間隔に複数の物品が配列される別のトレイに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−67752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、製造工程においては、切り出しパレットにおいて等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔で供給パレットに供給する場合がある。例えば、エンジンの製造工程において、ワークであるバルブガイドは、切り出しパレットにおいて等間隔に配列され、搬送装置により把持され、バルブガイドを収容する複数の穴が形成された供給パレットに搬送され、これら複数の穴に供給される。この供給パレットの穴は、製品であるエンジンのシリンダヘッドの吸気ポートや排気ポートの間隔に合わせて形成されており、それぞれ略一直線上に配列されているものの、その間隔は不等間隔である。
【0007】
このような場合、搬送装置に把持された複数のバルブガイドは、複数回に分けて(複数の系列に分けて)供給パレットの穴に供給されるが、最初に複数のバルブガイドの一部(第1の系列)を供給パレットの穴に供給するとき、そのタイミングでは供給せずに搬送装置に把持されたままになるバルブガイド(第2の系列)が供給パレットに干渉するおそれがある。
【0008】
本発明は、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給するときに、搬送装置に把持されたワークが供給パレットと干渉することを防止できる切り出しパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)搬送装置(例えば、後述の搬送装置1)により搬出される複数のワーク(例えば、後述のワークW)が配列される切り出しパレット(例えば、後述の切り出しパレット6)であって、
等間隔に配列され、前記複数のワークがそれぞれ挿脱される複数の挿脱部(例えば、後述の切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64b)を備え、
前記複数の挿脱部は、各々隣接する挿脱部の深さが互いに異なることを特徴とする切り出しパレット。
【0010】
(1)によれば、搬送装置により搬出される複数のワークが配列される切り出しパレットに、等間隔に配列され、複数のワークがそれぞれ挿脱される複数の挿脱部を設け、これら複数の挿脱部において、各々隣接する挿脱部の深さを互いに異ならせた。
【0011】
これにより、複数のワークは、等間隔に配列された複数の挿脱部に挿入されると、隣接するワークが互いに異なる高さで切り出しパレットに配列される。複数のワークは、この状態で搬送装置に把持された場合、搬送装置から突出する長さが互いに異なった状態で把持される。そして、複数のワークは、搬送装置により、ワークが供給される複数の穴が不等間隔に形成された供給パレットに搬送され、これら複数のワークのうち搬送装置から突出する長さがより長いワークから供給パレットの穴に供給する場合、他のワークが供給パレットと干渉することを防止できる。
したがって、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給するときに、搬送装置に把持されたワークが供給パレットと干渉することを防止できる切り出しパレットを提供できる。
【0012】
(2)(1)記載の切り出しパレットであって、前記複数の挿脱部は、一つおきに深さが略同じであることを特徴とする切り出しパレット。
(2)によれば、複数の挿脱部を一つおきに深さを略同じにした。
これにより、複数のワークは、等間隔に配列された複数の挿脱部に挿入されると、一つおきに同じ高さで切り出しパレットに配列される。複数のワークは、この状態で搬送装置に把持された場合、搬送装置から突出する長さが一つおきに同じとなる。そして、複数のワークは、搬送装置により、ワークが供給される複数の穴が不等間隔に形成された供給パレットに搬送され、これら複数のワークのうち搬送装置から突出する長さがより長いワークから供給パレットの穴に供給し、次に残ったワークを供給する場合、他のワークが供給パレットと干渉することを防止できる。
【0013】
例えば、エンジンの製造工程において、ワークであるバルブガイドが供給される供給パレットの穴は、製品であるエンジンのシリンダヘッドの吸気ポートや排気ポートの間隔に合わせて形成されており、これら吸気ポートや排気ポートは1つおきに同じ間隔で形成されている。よって、エンジンの製造工程において、ワークであるバルブガイドを1つおきに一つの系列として、この系列毎にバルブガイドを供給することで作業効率が向上する。
【0014】
したがって、複数の挿脱部を一つおきに深さを略同じにすることで、エンジンの製造工程におけるワークであるバルブガイドを配列するのに好適であって、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給するときに、搬送装置に把持されたワークが供給パレットと干渉することを防止できる切り出しパレットを提供できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給するときに、搬送装置に把持されたワークが供給パレットと干渉することを防止できる切り出しパレットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置1の構成を示す図である。
【図2】前記実施形態に係る切り出しパレット及び供給パレットを説明する図である。(a)は、切り出しパレットの断面図である。(b)は、供給パレットの断面図である。
【図3】前記実施形態に係る制御部の電気的な構成について説明する図である。
【図4】切り出しパレットにおいて等間隔に配列された複数のワークを把持して供給パレットまで搬送する搬送装置の動作を説明する図である。(a)は、切り出しパレットにおいて等間隔に配列された複数のワークの上部に搬送装置が配置された状態を示す図である。(b)は、複数のワークを搬送装置が把持した状態を示す図である。(c)は、搬送装置が複数のワークを供給パレットまで搬送し、複数のワークの一部を供給パレットの所定位置に合わせた状態を示す図である。
【図5】供給パレットまで搬送したワークを供給パレットに供給する搬送装置の動作を説明する図である。(a)は、搬送装置が複数のワークの一部を供給パレットの所定位置に供給する状態を示す図である。(b)は、搬送装置が複数のワークの一部を供給パレットの所定位置に合わせた状態を示す図である。(c)は、搬送装置が複数のワークの一部を供給パレットの所定位置に供給する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る搬送装置1の構成を示す図である。
搬送装置1は、切り出しパレット6において等間隔に配列された複数のワークWを把持して、ロボットアーム5によって移動されることでこれらのワークWを不等間隔で供給部としての供給パレット7(図2参照)に供給する。本実施形態において、搬送装置1は、エンジンの製造工程で用いられ、バルブガイドであるワークWを切り出しパレット6から把持して搬送し、供給パレット7(図2参照)に供給する。
【0018】
搬送装置1は、複数のワークWを把持する第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14と、これら第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14が連接された把持基体部20と、を備える。
第1把持部11は、ワークWaと係脱する第1係合部110aと、ワークWbと係脱する第2係合部110bと、を備える。第1係合部110a及び第2係合部110bは、相互に近接、離間する一対のチャック(図示しない)を備え、この一対のチャックのそれぞれを「締める」又は「緩める」ように作動させ、相互に近接、離間することで、ワークWaやワークWbと係脱する。
【0019】
本実施形態において、ワークWaとワークWbとは同様のワークWであるが、説明便宜の為、第1係合部と係脱するワークWをワークWaと称し、第2係合部と係脱するワークWをワークWbと称する。ここで、ワークWaとワークWbとは、同じ種類のものであっても、互いに異なる種類のものであってもよい。
【0020】
第1把持部11と同様に、第2把持部12は、ワークWaと係脱する第1係合部120aと、ワークWbと係脱する第2係合部120bと、を備え、第3把持部13は、ワークWaと係脱する第1係合部130aと、ワークWbと係脱する第2係合部130bと、を備え、第4把持部14は、ワークWaと係脱する第1係合部140aと、ワークWbと係脱する第2係合部140bと、を備える。
【0021】
本実施形態では、搬送装置1には、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14の4つの把持部を備えているが、他の数であってもよい。また、本実施形態では、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14にそれぞれ2つの係合部を設けているが、2つに限らず、4つの係合部を設けることもできる。これにより、1つの把持部により、4つのワークを把持して搬送し、供給部に供給できる。
【0022】
第1係合部110aと第2係合部110bとは、制御部10(図3参照)によってそれぞれ個別に制御される。すなわち、それぞれのタイミングで、第1係合部110aはワークWaと係脱し、第2係合部110bはワークWbと係脱する。
同様に、第1係合部120aと第2係合部120bとは、制御部10(図3参照)によってそれぞれ個別に制御される。すなわち、それぞれのタイミングで、第1係合部120aはワークWaと係脱し、第2係合部120bはワークWbと係脱する。
また同様に、第1係合部130aと第2係合部130bとは、制御部10(図3参照)によってそれぞれ個別に制御される。すなわち、それぞれのタイミングで、第1係合部130aはワークWaと係脱し、第2係合部130bはワークWbと係脱する。
また同様に、第1係合部140aと第2係合部140bとは、制御部10(図3参照)によってそれぞれ個別に制御される。すなわち、それぞれのタイミングで、第1係合部140aはワークWaと係脱し、第2係合部140bはワークWbと係脱する。
【0023】
把持基体部20は、ロボットアーム5と接続された把持基体部本体21と、把持基体部本体21に設けられ、切り出しパレット6においてワークWが配列されている方向(図1中LR方向)に延びる2つのレール部22と、レール部22に摺動可能に係合する第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240と、を備える。
【0024】
第1摺動部210は、第1把持部11が接続され、制御部10(図3参照)の制御によって、レール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。これにより、第1把持部11は、第1摺動部210の移動に伴いワークWの配列方向(図1中LR方向)に移動する。
第2摺動部220は、第2把持部12が接続され、この第2把持部12を制御部10(図3参照)の制御によって、レール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。これにより、第2把持部12は、第2摺動部220の移動に伴いワークWの配列方向(図1中LR方向)に移動する。
第3摺動部230は、第3把持部13が接続され、この第3把持部13を制御部10(図3参照)の制御によって、レール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。これにより、第3把持部13は、第3摺動部230の移動に伴いワークWの配列方向(図1中LR方向)に移動する。
第4摺動部240は、第4把持部14が接続され、この第4把持部14を制御部10(図3参照)の制御によって、レール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。これにより、第4把持部14は、第4摺動部240の移動に伴いワークWの配列方向(図1中LR方向)に移動する。
このように、第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240は、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14をワークWの配列方向(図1中LR方向)に相互に近接、離間させる。
【0025】
第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240は、それぞれ、制御部10(図3参照)により制御されるモータ(図示しない)と、このモータにより回動するカム(図示しない)備え、このカムの回動により、それぞれ所定の位置までレール部22に沿ってL方向又はR方向に移動する。
【0026】
図2は、前記実施形態に係る切り出しパレット6及び供給パレット7を説明する図である。図2(a)は、切り出しパレット6の断面図である。図2(b)は、供給パレット7の断面図である。
切り出しパレット6は、複数の挿脱部として、第1係合部110a(図1参照)と係合するワークWaが挿脱される切り出しパレット穴61aと、第2係合部110b(図1参照)と係合するワークWbが挿脱される切り出しパレット穴61bと、第1係合部120a(図1参照)と係合するワークWaが挿脱される切り出しパレット穴62aと、第2係合部120b(図1参照)と係合するワークWbが挿脱される切り出しパレット穴62bと、第1係合部130a(図1参照)と係合するワークWaが挿脱される切り出しパレット穴63aと、第2係合部130b(図1参照)と係合するワークWbが挿脱される切り出しパレット穴63bと、第1係合部140a(図1参照)と係合するワークWaが挿脱される切り出しパレット穴64aと、第2係合部140b(図1参照)と係合するワークWbが挿脱される切り出しパレット穴64bと、を備える。
【0027】
切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bは、所定の間隔x(例えば、40mm)で等間隔に形成されている。
【0028】
切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63b及び切り出しパレット穴64bは、これらと隣接する切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴63a、及び切り出しパレット穴64aと比べて、切り出しパレット6の表面からの深さが長さvだけ浅く形成されている。すなわち、切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bは、隣接する穴の深さが互いに異なるが、一つおきに深さが略同じである。これにより、切り出しパレット6に配列されたワークWa及びワークWbを搬送装置1(図1参照)により把持すると、ワークWaは、ワークWbより搬送装置1から突出する長さが長さvだけ長くなり、供給パレット7にワークWaを供給する際に、ワークWbと供給パレット7とが干渉するのを防止できる。
【0029】
供給パレット7は、第1係合部110a(図1参照)と係合したワークWaが供給される供給パレット穴71aと、第2係合部110b(図1参照)と係合したワークWbが供給される供給パレット穴71bと、第1係合部120a(図1参照)と係合したワークWaが供給される供給パレット穴72aと、第2係合部120b(図1参照)と係合したワークWbが供給される供給パレット穴72bと、第1係合部130a(図1参照)と係合したワークWaが供給される供給パレット穴73aと、第2係合部130b(図1参照)と係合したワークWbが供給される供給パレット穴73bと、第1係合部140a(図1参照)と係合したワークWaが供給される供給パレット穴74aと、第2係合部140b(図1参照)と係合したワークWbが供給される供給パレット穴74bと、を備える。
【0030】
供給パレット穴71aと供給パレット穴71b、供給パレット穴72aと供給パレット穴72b、供給パレット穴73aと供給パレット穴73b及び供給パレット穴74aと供給パレット穴74bは、それぞれ間隔y(例えば、35mm)を空けて形成されている。また、供給パレット穴71bと供給パレット穴72a、供給パレット穴72bと供給パレット穴73a及び供給パレット穴73bと供給パレット穴74aは、それぞれ間隔z(例えば、50mm)を空けて形成されている。このように、供給パレット7において、ワークW(ワークWa,ワークWb)が供給される供給パレット穴71a、供給パレット穴71b、供給パレット穴72a、供給パレット穴72b、供給パレット穴73a、供給パレット穴73b、供給パレット穴74a及び供給パレット穴74bは、不等間隔で形成されている。なお、供給パレット7における穴の間隔は、間隔yや間隔zの2種類に限らず、例えば、全ての間隔を異ならせる等の任意の間隔とすることができる。
【0031】
本実施形態において、バルブガイドであるワークW(ワークWa,ワークWb)が供給される供給パレット穴71a、供給パレット穴71b、供給パレット穴72a、供給パレット穴72b、供給パレット穴73a、供給パレット穴73b、供給パレット穴74a及び供給パレット穴74bは、製品であるエンジンのシリンダヘッドに形成された吸気ポートや排気ポートの間隔と同じ間隔で形成されている。すなわち、間隔y,zは、製品であるエンジンのシリンダヘッドに形成される吸気ポートや排気ポートの間隔に応じて決定されている。
【0032】
次に、図3を参照して、制御部10の電気的な構成について説明する。
図3は、前記実施形態に係る制御部10の電気的な構成について説明する図である。
制御部10は、ロボットアーム5の動作を制御するロボット制御部50と、第1把持部11、第2把持部12、第3把持部13及び第4把持部14を個別に制御する係合制御部101と、第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240を個別に制御する摺動制御部102と、を備える。
【0033】
係合制御部101は、第1把持部11の第1係合部110a及び第2係合部110bと、第2把持部12の第1係合部120a及び第2係合部120bと、第3把持部13の第1係合部130a及び第2係合部130bと、第4把持部14の第1係合部140a及び第2係合部140bと、がそれぞれ個別に接続され、それぞれ個別のタイミングでワークW(図1参照)を係脱させる動作を制御する。
【0034】
摺動制御部102は、第1摺動部210、第2摺動部220、第3摺動部230及び第4摺動部240がそれぞれ個別に接続され、それぞれ個別の所定の距離の移動を制御する。
【0035】
次に、図4及び図5を参照して、搬送装置1の動作について説明する。
図4は、切り出しパレット6において等間隔に配列された複数のワークWa及びWbを把持して供給パレット7まで搬送する搬送装置1の動作を説明する図である。図4(a)は、切り出しパレット6において等間隔に配列された複数のワークWa及びWbの上部に搬送装置1が配置された状態を示す図である。図4(b)は、複数のワークWa及びWbを搬送装置1が把持した状態を示す図である。図4(c)は、搬送装置1が複数のワークWa及びWbを供給パレット7まで搬送し、複数のワークWaを供給パレット7の所定位置に合わせた状態を示す図である。
【0036】
図5は、供給パレット7まで搬送したワークWa及びWbを供給パレット7に供給する搬送装置1の動作を説明する図である。図5(a)は、搬送装置1が複数のワークWaを供給パレット7の所定位置に供給する状態を示す図である。図5(b)は、搬送装置1が複数のワークWbを供給パレット7の所定位置に合わせた状態を示す図である。図5(c)は、搬送装置1が複数のワークWbを供給パレット7の所定位置に供給する状態を示す図である。
【0037】
まず、図4(a)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、切り出しパレット6において互いに等間隔x(例えば、40mm)で形成された切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bに挿入されたワークWa及びワークWbの上部に配置される。このとき、第1把持部11の第1係合部110a及び第2係合部110bと、第2把持部12の第1係合部120a及び第2係合部120bと、第3把持部13の第1係合部130a及び第2係合部130bと、第4把持部14の第1係合部140a及び第2係合部140bとは、切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bと同様に、互いに等間隔xで配置されている。
【0038】
また、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63b及び切り出しパレット穴64bは、これらと隣接する切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴63a、及び切り出しパレット穴64aと比べて、切り出しパレット6の表面からの深さが長さvだけ浅く形成されている。
【0039】
次に、図4(b)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、切り出しパレット6に配置されている複数のワークWa及びWbに近接され、係合制御部101(図3参照)の制御により、複数のワークWa及びWbを同じ高さで把持する。具体的には、第1係合部110aは切り出しパレット穴61aに挿入されたワークWaと、第1係合部120aは切り出しパレット穴62aに挿入されたワークWaと、第1係合部130aは切り出しパレット穴63aに挿入されたワークWaと、第1係合部140aは切り出しパレット穴64aに挿入されたワークWaと、それぞれ係合する。また、第2係合部110bは切り出しパレット穴61bに挿入されたワークWbと、第2係合部120bは切り出しパレット穴62bに挿入されたワークWbと、第2係合部130bは切り出しパレット穴63bに挿入されたワークWbと、第2係合部140bは切り出しパレット穴64bに挿入されたワークWbと、それぞれ係合する。これにより、搬送装置1により把持された、ワークWaは、ワークWbより搬送装置1から突出する長さが長さvだけ長くなる。
【0040】
次に、図4(c)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、把持した複数のワークWa及びWbを供給パレット7まで搬送する。このとき、搬送装置1は、摺動制御部102(図3参照)の制御により、第1係合部110aと係合したワークWaを供給パレット7の供給パレット穴71aの上部に、第1係合部120aと係合したワークWaを供給パレット7の供給パレット穴72aの上部に、第1係合部130aと係合したワークWaを供給パレット7の供給パレット穴73aの上部に、第1係合部140aと係合したワークWaを供給パレット7の供給パレット穴74aの上部に、配置する。
【0041】
次に、図5(a)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、供給パレット7に近接される。これにより、第1係合部110aと係合したワークWaの先端から長さhだけ供給パレット穴71aに、第1係合部120aと係合したワークWaの先端から長さhだけ供給パレット穴72aに、第1係合部130aと係合したワークWaの先端から長さhだけ供給パレット穴73aに、第1係合部140aと係合したワークWaの先端から長さhだけ供給パレット穴74aに、挿入される。ここで、長さhは、ワークWaがワークWbより搬送装置1から突出する長さの差分である長さv(図4(c)参照)より小さい値である。よって、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bに係合されたワークWbが供給パレット7と干渉することはない。
【0042】
その後、搬送装置1は、係合制御部101(図3参照)の制御により、第1係合部110a、第1係合部120a、第1係合部130a及び第1係合部140aにおけるワークWaとの係合を解除する。これにより、第1係合部110a、第1係合部120a、第1係合部130a及び第1係合部140aと係合していたワークWaは、落下し、供給パレット穴71a、供給パレット穴72a、供給パレット穴73a及び供給パレット穴74aにそれぞれ供給される。
【0043】
このように、搬送装置1は、摺動制御部102(図3参照)の制御により、第1係合部110a、第1係合部120a、第1係合部130a及び第1係合部140aに係合されたワークWaを任意の間隔(y+z)とし、これらのワークWaを第1の系統とし、この第1の系統のワークWaを一度で供給パレット7に供給する。
【0044】
次に、図5(b)に示すように、搬送装置1は、摺動制御部102(図3参照)の制御により、第2係合部110bと係合したワークWbを供給パレット7の供給パレット穴71bの上部に、第2係合部120bと係合したワークWbを供給パレット7の供給パレット穴72bの上部に、第2係合部130bと係合したワークWbを供給パレット7の供給パレット穴73bの上部に、第2係合部140bと係合したワークWbを供給パレット7の供給パレット穴74bの上部に、配置する。
【0045】
次に、図5(c)に示すように、搬送装置1は、ロボットアーム5(図1参照)により、供給パレット7に近接される。これにより、第2係合部110bと係合したワークWbの先端部分は供給パレット穴71bに、第2係合部120bと係合したワークWbの先端部分は供給パレット穴72bに、第2係合部130bと係合したワークWbの先端部分は供給パレット穴73bに、第2係合部140bと係合したワークWbの先端部分は供給パレット穴74bに、挿入される。
【0046】
その後、搬送装置1は、係合制御部101(図3参照)の制御により、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bにおけるワークWbとの係合を解除する。これにより、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bと係合していたワークWbは、落下し、供給パレット穴71b、供給パレット穴72b、供給パレット穴73b及び供給パレット穴74bにそれぞれ供給される。
【0047】
このように、搬送装置1は、摺動制御部102(図3参照)の制御により、第2係合部110b、第2係合部120b、第2係合部130b及び第2係合部140bに係合されたワークWbを任意の間隔(z+y)とし、これらのワークWbを第2の系統とし、この第2の系統のワークWbを一度で供給パレット7に供給する。
【0048】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の切り出しパレット6は、搬送装置1により搬出される複数のワークWが配列され、等間隔に配列され複数のワークWがそれぞれ挿脱される切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bを備え、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63b及び切り出しパレット穴64bは、これらと隣接する切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴63a、及び切り出しパレット穴64aと比べて、切り出しパレット6の表面からの深さが長さvだけ浅く形成した。
【0049】
これにより、複数のワークWは、等間隔に配列された切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bに挿入されると、互いに異なる高さで切り出しパレット6に配列される。複数のワークWは、この状態で搬送装置1に把持された場合、搬送装置1から突出する長さが互いに異なった状態で把持される。そして、複数のワークWは、搬送装置1により、ワークWが供給される供給パレット穴71a、供給パレット穴71b、供給パレット穴72a、供給パレット穴72b、供給パレット穴73a、供給パレット穴73b、供給パレット穴74a及び供給パレット穴74bが不等間隔に形成された供給パレット7に搬送され、これら複数のワークWのうち搬送装置1から突出する長さがより長いワークWaから供給パレット穴71a、供給パレット穴72a、供給パレット穴73a及び供給パレット穴74aに供給する場合、ワークWbが供給パレット7と干渉することを防止できる。
したがって、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給するときに、搬送装置に把持されたワークが供給パレットと干渉することを防止できる切り出しパレットを提供できる。
【0050】
また、切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bを一つおきに深さを略同じにした。
これにより、複数のワークWは、等間隔に配列された切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bに挿入されると、一つおきに同じ高さで切り出しパレット6に配列される。複数のワークWは、この状態で搬送装置1に把持された場合、搬送装置1から突出する長さが一つおきに同じとなる。そして、複数のワークWは、搬送装置1により、ワークWが供給される供給パレット穴71a、供給パレット穴71b、供給パレット穴72a、供給パレット穴72b、供給パレット穴73a、供給パレット穴73b、供給パレット穴74a及び供給パレット穴74bが不等間隔に形成された供給パレット7に搬送され、これら複数のワークWのうち搬送装置1から突出する長さがより長いワークWaから供給パレット7の穴に供給し、次に残ったワークWbを供給する場合、ワークWbが供給パレット7と干渉することを防止できる。
【0051】
例えば、エンジンの製造工程において、ワークであるバルブガイドが供給される供給パレットの穴は、製品であるエンジンのシリンダヘッドの吸気ポートや排気ポートの間隔に合わせて形成されており、これら吸気ポートや排気ポートは1つおきに同じ間隔で形成されている。よって、エンジンの製造工程において、ワークであるバルブガイドを1つおきに一つの系列(ワークWaの第1の系統とワークWbの第2の系統)として、この系列毎に供給パレット7へバルブガイドを供給することで作業効率が向上する。
【0052】
したがって、切り出しパレット穴61a、切り出しパレット穴61b、切り出しパレット穴62a、切り出しパレット穴62b、切り出しパレット穴63a、切り出しパレット穴63b、切り出しパレット穴64a及び切り出しパレット穴64bを一つおきに深さを略同じにすることで、エンジンの製造工程におけるワークであるバルブガイドを配列するのに好適であって、等間隔に配列された複数のワークを、不等間隔に供給するときに、搬送装置に把持されたワークが供給パレットと干渉することを防止できる切り出しパレットを提供できる。
【0053】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1 搬送装置
6 切り出しパレット
61a 切り出しパレット穴(挿脱部)
61b 切り出しパレット穴(挿脱部)
62a 切り出しパレット穴(挿脱部)
62b 切り出しパレット穴(挿脱部)
63a 切り出しパレット穴(挿脱部)
63b 切り出しパレット穴(挿脱部)
64a 切り出しパレット穴(挿脱部)
64b 切り出しパレット穴(挿脱部)
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置により搬出される複数のワークが配列される切り出しパレットであって、
等間隔に配列され、前記複数のワークがそれぞれ挿脱される複数の挿脱部を備え、
前記複数の挿脱部は、各々隣接する挿脱部の深さが互いに異なることを特徴とする切り出しパレット。
【請求項2】
請求項1記載の切り出しパレットであって、
前記複数の挿脱部は、一つおきに深さが略同じであることを特徴とする切り出しパレット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−96921(P2012−96921A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248655(P2010−248655)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】