説明

切削屑除去装置

【課題】被加工物の加工時に発生する切削屑の飛散を防止し、当該切削屑に起因する不具合の発生を防止すること。
【解決手段】被加工物であるPCB11の所定位置を加工するルーターユニット13と、このルーターユニット13におけるPCB11に対する加工位置に気体を吹き付けるノズルと、上記加工位置の近傍であってPCB11を挟んでルーターユニット13の反対側に配置され、当該ルーターユニット13の加工処理により発生する切削屑を移送する中空の切削屑移送管15と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削屑除去装置に関し、特に、プリント配線基板(以下、「PCB」という)等の被加工材を切断する際に発生する切削屑を除去する際に好適な切削屑除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PCBの外形加工やスリット加工に使用されるルーターを高速スピンドルモータに取り付け、PCBに予め形成されたミシン目部分を切断することでPCBを分割するルーター方式の基板切断装置が知られている。このようなルーター方式の基板切断装置において、PCBの切断時に発生する切削屑を、加工部の下方に配設した切削屑溜りに落下させると共に、この切削屑溜りから吸引取込路に取り込むことで切削屑を除去するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−125795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来の基板切断装置においては、切削屑溜りの密閉性が確保されていないことから切削屑に対する吸引力が十分でないため、切削屑が飛散し、切削屑溜りにおける吸引取込路から遠い位置に配置される部分に切削屑が残存するなどの不具合が発生するという問題がある。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、被加工物の加工時に発生する切削屑の飛散を防止し、当該切削屑に起因する不具合の発生を防止することができる切削屑除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の切削屑除去装置は、被加工物の所定位置を加工する加工ユニットと、前記加工ユニットにおける前記被加工物に対する加工位置に気体を吹き付けるノズルと、前記加工位置の近傍であって前記被加工物を挟んで前記加工ユニットの反対側に配置され、前記加工ユニットの加工処理により発生する切削屑を移送する中空の切削屑移送手段と、を具備することを特徴とする。
【0006】
上記切削屑除去装置によれば、ノズルから吹き付けられる気体により飛ばされた切削屑が切削屑移送手段により加工位置近傍から移送されるので、被加工物の加工時に発生する切削屑の飛散を防止し、当該切削屑に起因する不具合の発生を防止することが可能となる。
【0007】
上記切削屑除去装置において、前記加工ユニットは、前記加工位置の近傍を覆うカバーを有し、前記ノズルは、前記カバー内に設けられることが好ましい。この場合には、カバーにより加工位置の近傍を実質的に密封状態にすることができるので、確実に被加工物の加工時に発生する切削屑の飛散を防止することが可能となる。
【0008】
上記切削屑除去装置において、前記切削屑移送手段は、少なくとも前記加工位置の近傍において、前記加工位置からの距離に応じて中空部分の断面積を狭小化することが好ましい。この場合には、中空部分を流れる気体の速度を加速させることができることから、切削屑が切削屑移送手段の内壁に付着するのを低減することができるので、切削屑移送手段が詰まってしまう事態を低減することが可能となる。
【0009】
例えば、上記切削屑除去装置において、前記切削屑移送手段の内壁に傾斜面を設けるようにしても良いし、前記中空部分の中央に、前記加工位置側の先端を先細にしたピンを設けるようにしても良い。これらの場合には、いずれも中空部分を流れる気体の速度を加速させることができることから、切削屑が切削屑移送手段の内壁に付着するのを低減することが可能となる。なお、これらを組み合わせることも可能である。
【0010】
上記切削屑除去装置においては、前記切削屑移送手段を、前記被加工物の前記加工位置に対応する位置に固定することが好ましい。この場合には、切削屑移送手段が加工位置に対応する位置に固定されていることから、特別な制御を必要とすることなく、加工ユニットで被加工物を加工するだけで切削屑を移送することが可能となる。
【0011】
なお、上記切削屑除去装置において、前記切削屑移送手段を、前記加工ユニットに連動させるようにしても良い。この場合には、切削屑移送手段が加工ユニットに連動することから、少数(最少の場合は1つ)の切削屑移送手段で切削屑を移送することが可能となる。
【0012】
また、上記切削屑除去装置において、前記切削屑移送手段は、前記被加工物側の端部で当該被加工物を支持することが好ましい。この場合には、切削屑移送手段が被加工物を支持するので、被加工物を支持するための構成を省略、或いは、簡素化することが可能となる。
【0013】
上記切削屑除去装置においては、中空の位置決め手段を備え、当該中空の中央に軸を設け、前記被加工物に形成された孔に当該軸を挿通することで当該被加工物の位置決めを行ったり、前記被加工物の端部を保持する中空の被加工物端保持部を具備するようにしても良い。これらの場合には、位置決め手段や被加工物端保持部の近傍に溜まる切削屑をこれらの内部から排出することができるので、切削屑により位置決めが阻害される事態を防止することが可能となる。
【0014】
上記切削屑除去装置において、前記切削屑移送手段は、湿潤した緩衝材が敷設された切削屑溜りに前記切削屑を移送することが好ましい。この場合には、切削屑移送手段により移送された切削屑が湿潤した緩衝材に捕らえられるので、移送先である切削屑溜りで更に切削屑が飛散する事態を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノズルから吹き付けられる気体により飛ばされた切削屑が切削屑移送手段により加工位置近傍から移送されるので、被加工物の加工時に発生する切削屑の飛散を防止し、当該切削屑に起因する不具合の発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本実施の形態に係る切削屑除去装置を、既知であるルーター方式の基板切断装置に適用した場合について説明するが、本実施の形態に係る切削屑除去装置が適用される装置としては、基板切断装置に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。被加工物に対して加工を施すことにより切削屑が発生する装置であれば、いかなる装置にも適用することが可能である。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る切削屑除去装置を適用した基板切断装置の上面図である。図2は、図1に示す一点鎖線Aにおける側断面図である。なお、図1においては、図2に示すルーターユニットを省略すると共に、PCB(プリント配線基板)の下方に配置される一部の構成を表示している。また、図2においては、図1の装置を側面側から見た場合の側断面図を示している。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る基板切断装置10は、被加工物としてのPCB11を保持するベース12と、このベース12に保持されるPCB11の所定位置を切断する、加工ユニットとしてのルーターユニット13とを含んで構成される。なお、PCB11においては、図1に示すように、所望の製品Pを取得できるように、製品Pの外形を規定するスリット111が形成されると共に、そのスリット111の所定位置に当該製品Pと枠部分、あるいは製品P同士を接続する繋ぎ部112が形成されている。これらのスリット111及び繋ぎ部112は、既知の基板に対する加工技術により施されるため、その説明は省略する。ルーターユニット13は、PCB11に形成される繋ぎ部112を切断することで所望の製品Pを取得するものである。なお、図1に示すPCB11においては、3つの製品Pを取得することが可能な場合について示している。また、PCB11の繋ぎ部112の端縁部には2個の位置決め用孔113が設けられている。この位置決め用孔113の一方は真円、他方は小判形状に形成されている。
【0019】
図2に示すように、ベース12は、2枚の板状部材121、122を複数本(ここでは6本)の連結軸123で連結して構成されている。板状部材121と、板状部材122とは一定距離だけ離間した状態で連結されており、これらの間に切削屑溜りとしてのバット14が配設されている。バット14は、上方に向けて開口した形状を有しており、その内部には水141が収容される。また、バット14には、バット14内部の略全域に対応するスポンジ142が敷設されている。このようにバット14にスポンジ142を敷設することにより、後述するように切削屑が水141の水面に吹き付けられた場合においても、内部の水141の撥ねを低減できるようにしている。
【0020】
板状部材121における所定位置には、複数本(ここでは11本)の切削屑移送手段としての切削屑移送管15と、複数本(ここでは2本)の位置決めピン16と、複数個(ここでは3個)の基板端保持部17と、複数本(ここでは6本)の吸引部18とが立設されている。図1に示すように、切削屑移送管15は、基板切断装置10に位置決めされたPCB11の繋ぎ部112に対応する位置に配置されている。位置決めピン16は、図1に示すPCB11の位置決め孔113の位置に配置されている。基板端保持部17は、図1に示すPCB11の上方側の側端部近傍及びPCB11の右方側の上端部近傍に配置されている。吸引部18は、PCB11から取得される製品Pのそれぞれに対応する位置に配置されている。
【0021】
切削屑移送管15は、PCB11の繋ぎ部112を切断する際に発生する切削屑を下方に移送するためのものである。位置決めピン16は、基板切断装置10上におけるPCB11の位置決めに用いられるものである。基板端保持部17は、PCB11の概略の位置決めとPCB11の端部の保持に用いられるものである。位置決めピン16がPCB11の位置決め孔113に挿通された状態で、基板端保持部17がPCB11の端部を保持することによりPCB11の位置決めと保持が行われる。吸引部18は、PCB11を図2に示す下方側に吸引し、PCB11の位置を固定するものである。なお、切削屑移送管15、位置決めピン16及び基板端保持部17の構成については後述する。
【0022】
ここで、本実施の形態に係る基板切断装置10が有するルーターユニット13の構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る基板切断装置10が有するルーターユニット13の拡大図である。なお、図3においては、説明の便宜上、PCB11の一部を表示している。
【0023】
図3に示すように、ルーターユニット13は、例えば、高速スピンドルモータ(以下、単に「モータ」という)131と、このモータ131に取り付けられたルータービット132と、これらのモータ131及びルータービット132を覆うカバー133と、ルータービット132における切削箇所に対してエアを吹き出すエア吹出機構134と、ルーターユニット13自体を図2に示す左右及び前後方向、並びに上下方向に移動させる移動機構(不図示)とを含んで構成されている。
【0024】
カバー133には、ルータービット132の先端が貫通する貫通孔133aが形成されている。貫通孔133aは、ルータービット132の径よりも僅かに大きく設けられ、その下端部は、ルータービット132が下方向に移動したときにPCB11の表面近傍の位置に配置される。このように貫通孔133aを形成することで、カバー133は、実質的に切削位置の近傍を覆う状態となっている。PCB11を切断する際、ルータービット132は、モータ131の回転に応じて回転し、図示しない移動機構により左右または前後方向に移動し、貫通孔133aから突出した先端部分でPCB11に形成された繋ぎ部112を切削していく。
【0025】
また、カバー133には、エア吹出機構134に連結されるノズル133bが形成されている。ノズル133bは、図3に示すように、右上方側から左下方側に向けて形成されており、その下端部がルータービット132における切削箇所の近傍にて貫通孔133aに連結されている。なお、詳細について後述するように、エア吹出機構134からのエアは、ルータービット132の進行方向の後方側であって上方側から切削箇所に吹き付けられるように構成されている。ここで、ノズル133bから吹き付けられるエアとして、例えば、圧縮空気を用いることが一般的であるが、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、乾燥窒素などの他の気体を用いても良い。また、気体に切削オイルなどが霧状に含まれたものを用いても良い。
【0026】
次に、本実施の形態に係る基板切断装置10で保持されるPCB11の繋ぎ部112と切削屑移送管15との関係について説明する。図4は、本実施の形態に係る基板切断装置10で保持されるPCB11の繋ぎ部112と切削屑移送管15との関係について説明するための上面図である。図5は、図4に示す一点鎖線Bにおける側断面図である。なお、図5においては、図4に示す装置を側方から見た場合の側断面図を示している。
【0027】
図4及び図5に示すように、切削屑移送管15は、概して円柱形状を有しており、その中心部分がPCB11に形成される繋ぎ部112に対応する位置に配置されている。切削屑移送管15の上端部155は、PCB11の裏面を支持している。また、その下端部は、板状部材121を貫通しており、切削屑移送管15の内部を移送される切削屑がバット14に向けて排出されるように構成されている。なお、ここでは、切削屑移送管15の上端部でPCB11を支持する場合について示すが、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。このように、削屑移送管15でPCB11を支持する場合には、PCB11を支持するための構成を省略、或いは、簡素化することができる。
【0028】
特に、図5に示すように、切削屑移送管15は、内部に上下に貫通する空間151が形成されている。空間151の上端部近傍の内壁には、傾斜面152が形成されている。傾斜面152は、下方側に進むに連れて空間の内周の径が徐々に小さくなるように構成されている。そして、この傾斜面152の下方側であって、空間151の上方側の内壁には軸153が取り付けられている。この軸153にピン154が固定されている。ピン154は、上端部が円錐形状を有している。このように傾斜面152やピン154を設けるのは、空間151における面積を縮小し、当該空間151を通過するエアの速度を加速させるためである。また、傾斜面、円錐形状にすることによって切削屑がひっかかって滞留しないようにするためである。
【0029】
次に、本実施の形態に係る基板切断装置10が有する位置決めピン16及び基板端保持部17の構成について説明する。図6及び図7は、それぞれ本実施の形態に係る基板切断装置10が有する位置決めピン16及び基板端保持部17の拡大断面図である。なお、図6及び図7においては、図1に示す一点鎖線Aにおける拡大断面図について示している。
【0030】
位置決めピン16は、切削屑移送管15と同様に、概して円柱形状を有している。位置決めピン16の上端部は、PCB11の裏面を支持している。また、その内部には、図6に示すように、上下に貫通する空間161が形成され、その下端部は、板状部材121を貫通している。また、位置決めピン16の上端部近傍の内壁には、傾斜面162が形成されている。この傾斜面162の下方側であって、空間161の上方側の内壁には、上方に向けて突出する軸163が取り付けられている。PCB11の位置決めの際は、この軸163がPCB11に形成される位置決め孔113に挿通されることとなる。このような構成を有することにより、位置決めピン16近傍に溜まる切削屑をバット14に向けて落下可能とし、切削屑により位置決めが阻害される事態を防止できるようにしている。
【0031】
基板端保持部17は、図7に示すように、板状部材121に形成された穴部121aに対応する位置に配置され、下方側から板状部材121を介して挿入されるねじ121bにより固定される。基板端保持部17の内部には、上下に貫通する空間171が形成され、この空間171の下端部が、上述した板状部材121の穴部121aに連結される。空間171の内部には、円柱形状を有する軸172が収容されている。軸172は、図7に示す右方側の側面から挿入されるねじ173a、173bにより固定されている。軸172の上端部は、PCB11の位置よりも上方側に突出している。PCB11の位置決めの際は、PCB11の端面をこの軸172の側面に概略当接させることとなる。このような構成を有することにより、PCB11上における基板端保持部17近傍の位置に溜まる切削屑をバット14に向けて落下可能とし、切削屑により位置決めが阻害される事態を防止できるようにしている。
【0032】
次に、本実施の形態に係る基板切断装置10が有するルーターユニット13でPCB11の繋ぎ部112を切断する場合の動作について説明する。図8及び図9は、本実施の形態に係る基板切断装置10が有するルーターユニット13でPCB11の繋ぎ部112を切断する場合の動作について説明するための断面図である。図8は、PCB11の繋ぎ部112を切断する前の状態について示し、図9は、PCB11の繋ぎ部112を切断した後の状態について示している。なお、図8及び図9においては、ルーターユニット13が右方側から左方側に進行するものとする。
【0033】
ルーターユニット13及びルータービット132は、不図示の制御装置の制御によってPCB11上を移動し、かつ下方に移動する。図8に示すように、PCB11の繋ぎ部112を切断する前の状態においては、ルータービット132の先端が繋ぎ部112の右方側近傍の位置に配置される。そして、この位置でモータ131によってルータービット132を回転させると共に、ルーターユニット132を図8に示す左方側に移動させることで、ルータービット132の周面により繋ぎ部112が切削されていく。そして、図9に示す位置まで到達すると、繋ぎ部112が完全に切削された状態となる。
【0034】
繋ぎ部112を切削しながら移動する際、ルーターユニット13においては、エア吹出機構134がノズル133bを介して切削箇所にエアを吹き出している。これにより、繋ぎ部112の切削時に発生した切削屑を吹き飛ばす。繋ぎ部112の下方には切削屑移送管15が配置されているため、切削屑は、PCB11のスリット111(切削された繋ぎ部112に対応する部分を含む)を介して切削屑移送管15に送り出される。この場合において、カバー133の下端部がPCB11の表面近傍まで配置されているため、エアにより吹き飛ばされた切削屑は、PCB11のスリット111(切削された繋ぎ部112に対応する部分を含む)からのみ排出されるため、切削箇所の周辺に飛散することが極めて少ない。
【0035】
切削屑移送管15に送り出された切削屑は、空間151を通過して、バット14まで吹き飛ばされる。この場合において、切削屑移送管15の内壁には傾斜面152が形成されると共に、更にその内部側には円錐形状を有するピン154が配設されている。これにより、切削屑移送管15に進んだ切削屑における下方側への移動速度を加速させることができるので、切削屑が空間15の内壁等へ付着するのを防止することができる。この結果、切削屑移送管15が詰まってしまう事態を低減することが可能となる。
【0036】
切削屑移送管15を通過した切削屑は、バット14内に収容された水141に捕らえられる。これにより、移送先であるバット14で更に切削屑が飛散する事態を防止することができる。水141まで当接した切削屑は、ベース12の移動に伴って発生する水141の揺れにより任意の方向に拡散されることとなる。なお、この場合において、バット14にはスポンジ142が敷設されているので、エア及びエアに吹き飛ばされた切削屑が勢い良く水141の水面に吹き付けられた場合においても、内部の水141の撥ねを低減できるようになっている。
【0037】
このように本実施の形態に係る切削屑除去装置によれば、ルーターユニット13における切削位置に気体を吹き付けるノズル133bと、切削位置の近傍であってPCB11を挟んでルーターユニット13の反対側に配置され、加工時に発生する切削屑を移送する切削屑移送管15を設けたことから、ノズル133bから吹き付けられる気体により飛ばされた切削屑を切削屑移送管15により切削位置近傍から移送することができるので、PCB11の切削時に発生する切削屑の飛散を防止し、当該切削屑に起因する不具合の発生を防止することが可能となる。
【0038】
特に、本実施の形態に係る切削屑除去装置によれば、ルーターユニット13にモータ131及びルータービット132を覆うカバー133を設け、このカバー133でルーターユニット13における切削位置の近傍を覆うようにしている。これにより、切削位置の近傍をカバー133により実質的に密封状態にすることができるので、確実にPCB11の切削時に発生する切削屑の飛散を防止することが可能となる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0040】
例えば、上記実施の形態においては、加工対象とされるPCB11に形成された繋ぎ部112の位置に対応させて複数の切削屑移送管15を配置する場合について示している。しかし、切削屑移送管15の構成としては、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、切削屑移送管15を、ルーターユニット13により切断される繋ぎ部112の下方位置に移動可能に構成しても良い。この場合には、PCB11に形成される繋ぎ部112の位置や数に関わらず、単一の切削屑移送管15で切削屑をバット14に移送することができるため、様々な形状を有する製品Pを取得するために形成されたPCB11の切断処理に利用することが可能となる。
【0041】
特に、切削屑移送管15を移動可能に構成する場合には、ルーターユニット13と独立して移動可能としても良いし、ルーターユニット13と連動させるようにしても良い。前者の場合には、ルーターユニット13と同様に、PCB11の繋ぎ部112に対応した切断プログラムに従って移動させることが考えられる。一方、後者の場合には、ルーターユニット13と切削屑移送管15とを連結部材で連結し、ルーターユニット13及び切削屑移送管15が連動するようにすることが考えられる。この場合には、例えば、連結部材19は、図10に示すように、ルーターユニット13から、PCB11の端部を迂回して切削屑移送管15に到達する断面U字形状に設けられる。そして、U字形状部分の開口部にPCB11を収容した状態で、ルーターユニット13及び切削屑移送管15は、加工対象とする繋ぎ部112まで移動することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施の形態に係る切削屑除去装置が適用される基板切断装置の上面図である。
【図2】図1に示す一点鎖線における側断面図である。
【図3】上記実施の形態に係る基板切断装置が有するルーターユニットの拡大図である。
【図4】上記実施の形態に係る基板切断装置で保持されるPCBと切削屑移送管との関係について説明するための上面図である。
【図5】図4に示す一点鎖線Bにおける側断面図である。
【図6】上記実施の形態に係る基板切断装置が有する位置決めピンの拡大断面図である。
【図7】上記実施の形態に係る基板切断装置が有する基板端保持部の拡大断面図である。
【図8】上記実施の形態に係る基板切断装置が有するルーターユニットでPCBの繋ぎ部を切断する場合の動作について説明するための断面図である。
【図9】上記実施の形態に係る基板切断装置が有するルーターユニットでPCBの繋ぎ部を切断する場合の動作について説明するための断面図である。
【図10】上記実施の形態に係る基板切断装置が有するルーターユニット及び切削屑移送管の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10 基板切断装置(切削屑除去装置)
11 PCB(プリント配線基板)
111 スリット
112 繋ぎ部
113 位置決め孔
12 ベース
121、122 板状部材
121a 穴部
121b ねじ
123 連結軸
13 ルーターユニット(加工ユニット)
131 モータ(高速スピンドルモータ)
132 ルータービット
133 カバー
133a 貫通孔
133b ノズル
134 エア吹出機構
14 バット
141 水
142 スポンジ
15 切削屑移送管(切削屑移送手段)
151 空間
152 傾斜面
153 軸
154 ピン
155 上端部
16 位置決めピン
161 空間
162 傾斜面
163 軸
17 基板端保持部
171 空間
172 軸
173a、173b ねじ
18 吸引部
19 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の所定位置を加工する加工ユニットと、前記加工ユニットにおける前記被加工物に対する加工位置に気体を吹き付けるノズルと、前記加工位置の近傍であって前記被加工物を挟んで前記加工ユニットの反対側に配置され、前記加工ユニットの加工処理により発生する切削屑を移送する中空の切削屑移送手段と、を具備することを特徴とする切削屑除去装置。
【請求項2】
前記加工ユニットは、前記加工位置の近傍を覆うカバーを有し、前記ノズルは、前記カバー内に設けられることを特徴とする請求項1記載の切削屑除去装置。
【請求項3】
前記切削屑移送手段は、少なくとも前記加工位置の近傍において、前記加工位置からの距離に応じて中空部分の断面積を狭小化したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の切削屑除去装置。
【請求項4】
前記切削屑移送手段の内壁に傾斜面を設けたことを特徴とする請求項3記載の切削屑除去装置。
【請求項5】
前記中空部分の中央に、前記加工位置側の先端を先細にしたピンを設けたことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の切削屑除去装置。
【請求項6】
前記切削屑移送手段を、前記被加工物の前記加工位置に対応する位置に固定したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の切削屑除去装置。
【請求項7】
前記切削屑移送手段を、前記加工ユニットに連動させたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の切削屑除去装置。
【請求項8】
前記切削屑移送手段は、前記被加工物側の端部で当該被加工物を支持することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の切削屑除去装置。
【請求項9】
中空の位置決め手段を備え、当該中空の中央に軸を設け、前記被加工物に形成された孔に当該軸を挿通することで当該被加工物の位置決めを行うことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の切削屑除去装置。
【請求項10】
前記被加工物の端部を保持する中空の被加工物端保持部を具備することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の切削屑除去装置。
【請求項11】
前記切削屑移送手段は、湿潤した緩衝材が敷設された切削屑溜りに前記切削屑を移送することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の切削屑除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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