説明

切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材、減衰装置及び切削工具

【課題】シャンクの強度を低下させることなく切削加工で生じるびびり振動を効果的に抑制するとともに、切削加工時における切りくずの排出空間に影響を与えない、安価で効果的なダイナミックダンパーを提供する。
【解決手段】本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材、減衰装置及び切削工具は剛性体と粘弾性体とから構成される減衰用部材を有している。剛性体の一方の先端部近傍には粘弾性体が備えられ、他方の先端部は切削工具の把持部に保持可能な形状を有している。粘弾性体を介して剛性体を切削工具のシャンクに当接させることで、剛性体がびびり振動の振動エネルギーを打ち消す方向に振動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工の高能率・高精度化を妨げる要因である工具刃先でのびびり振動を効果的に抑制する減衰用部材、減衰装置及び切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
切削加工の高能率化・高精度化を妨げている要因の1つに、切削中に発生する工具刃先でのびびり振動がある。特に、旋盤の内径切削加工で用いられるボーリングバイトは、加工穴の内径によってシャンク径に制約を受けるため、加工穴が深くなると細長く突き出た片持ち梁構造となる。このためシャンクの剛性の低下が避けられず、切削時にびびり振動が発生し、加工能率の低下や仕上げ面の悪化、さらには工具寿命を短くすることが多い。
【0003】
このびびり振動の多くは再生効果に起因した自励振動である。切削厚さの変動に応じて生じる切削力の変動が自励振動を引き起こす原動力となっているため、シャンクの剛性と振動減衰能がびびり振動の抑制因子として重要とされている。従来、びびり振動を抑制する手法として、シャンク部の高剛性化、高減衰能化が図られてきた。
【0004】
シャンクの剛性を高める手法としては、シャンクの素材に弾性率の高い超硬合金を用いるのが一般的であるが、素材費が鋼製に比べて大幅に高価である。加えて、鋼に比べて加工も困難であるため、製造コストは大幅に増大する。
【0005】
シャンクの減衰能を高める手法としては、制振合金をシャンク材に用いる例が存在する(特開2004−202649号公報)。制振合金を用いることでびびり振動のエネルギーを熱に変換することができ、シャンクの減衰能を高めることができる。しかしながら、一般的に制振合金の弾性率は鋼材よりも低いため、シャンクの高剛性化には寄与しない。また、制振合金の価格は一般的な鋼材と比較して大幅に高価である。
【0006】
上記の例はシャンクの素材に着目したものであるが、機構的な減衰装置を用いてびびり振動を抑制する手法も検討されている。例えば、パイプ状に刳り抜いたシャンク内部に高比重材の丸棒を挿入する技術が開示されている(特開2005−279819号公報)。高比重材とシャンク内面とに隙間を設けることにより、びびり振動の方向に対して逆の方向に高比重材の丸棒が振動することで制振効果が発現する。また、切削刃を取り付ける側のシャンク内部に中空ポケットを設け、該中空ポケットにダンパーピース(ウエイト)を内蔵する技術も公開されている(特開2002−79405号公報)。この場合、びびり振動のエネルギーは中空ポケットに内蔵されたウエイトの滑り摩擦または衝撃エネルギーによって吸収される。
【0007】
上記の内蔵型ダンパーに関する例は何れもシャンク内部に空洞を備えたものであり、空洞部においてシャンクの強度が低下するとともに加工コストが上がるという問題点がある。これに対し、シャンク内部に空洞部を設けない減衰装置として、外付け型ダンパーも存在する(特開平7−80702号公報)。該外付け型ダンパーでは、振動を吸収するためのウエイトがバネの上に配置される構造が一般的である。ウエイトの軸心が切削合力の方向に向くようにダンパーがシャンク側面に設けられるが、内径切削加工時においては切りくずの排出空間が狭くなるため、シャンク側面に取り付けられたダンパーが切りくずの排出を阻害する。また、一定のバネとウエイトから構成されるダンパーが効果的な減衰機能を発揮できる対象は限定されてしまう。更に、ダンパーの取り付け位置等の調整も極めて困難である。
【0008】
【特許文献1】特開2004−202649号公報
【特許文献2】特開2005−279819号公報
【特許文献3】特開2002−79405号公報
【特許文献4】特開平7−80702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術で切削時のびびり振動の抑制を行う場合、(1)素材の選定によってシャンク部の高剛性化、高減衰能化を図る手法、(2)シャンク内部に設けられた空洞にウエイト等を配置する手法、(3)シャンク側面にダンパー機構を取り付ける手法が存在する。(1)の場合は製品価格の大幅な増加が避けられず、(2)の場合はシャンクの強度が問題となる。また、(3)の場合は切削加工時における切りくずの排出が妨げられ、取り付け位置の調整等も困難である。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、シャンクの強度を低下させることなく切削加工で生じるびびり振動を効果的に抑制するとともに、切削加工時における切りくずの排出空間に影響を与えない、安価で効果的な減衰用部材、減衰装置及び切削工具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の切削時のびびり振動を抑制するための減衰用部材は、剛性体と粘弾性体とから構成されている。剛性体の一方の先端部近傍には粘弾性体が備えられ、他方の先端部はシャンクの把持部に保持可能な形状を有している。粘弾性体を介して剛性体をシャンクに当接させることで切削時のびびり振動を抑制することができる。
【0012】
本発明において、粘弾性体とはバネ要素と減衰要素とを有するものであり、非線形なバネ定数を有するものである。つまり、荷重を加えることによって粘弾性体を変形させた場合、該粘弾性体のバネ定数は荷重の大きさによって変化することになる。粘弾性体にはゴム等が含まれるが、金属材料からなるバネ等は含まれない。
【0013】
剛性体は板状部材であることが好ましく、断面二次モーメントを大きくする観点から該部材がシャンクの軸線に対して弧形状を有することが好ましい。粘弾性体はシャンクの円周方向に亘って当接するように剛性体に配設されていることが好ましい。
【0014】
本発明の切削工具の減衰装置は剛性体と粘弾性体とスリーブとから構成されている。剛性体の一方の先端部近傍には粘弾性体が備えられ、他方の先端部がスリーブに保持可能な形状を有している。スリーブに剛性体とシャンクを担持させ、粘弾性体を介して剛性体をシャンクに当接させることで切削時のびびり振動を抑制することができる。
【0015】
剛性体は板状部材であることが好ましく、断面二次モーメントを大きくする観点から該部材がシャンクの軸線に対して弧形状を有することが好ましい。また、粘弾性体はシャンクの円周方向に亘って当接するように剛性体に配設されていることが好ましい。
【0016】
剛性体とスリーブはシャンクの円周方向の相対運動を抑制するように互いに嵌合する形状を有しており、スリーブは剛性体をシャンクの径方向に押圧するための締付け機構を有していることが望ましい。また、該締め付け機構はシャンクに対する剛性体の押圧荷重を調節可能な構造を有していることが好ましい。
【0017】
本発明の切削工具は本体部と減衰用部材とを備えている。本体部は切削刃を取り付けるためのシャンク部を有している。減衰用部材は剛性体と粘弾性体とから構成され、剛性体の一方の先端部近傍には粘弾性体が備えられ、他方の先端部がシャンク部と一体に構成されている。粘弾性体を介して剛性体をシャンク部に当接させることで、切削時のびびり振動を抑制することができる。
【0018】
剛性体は板状部材であることが好ましく、断面二次モーメントを大きくする観点から該部材がシャンクの軸線に対して弧形状を有することが好ましい。また、粘弾性体はシャンクの円周方向に亘って当接するように剛性体に配設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材、減衰装置及び切削工具は粘弾性体のバネ要素と減衰要素を利用した単純な原理を用いて切削加工時のびびり振動を抑制するものである。びびり振動が生じた際、粘弾性体を介してシャンク面に当接させた剛性体がびびり振動の振動エネルギーを打ち消す方向に振動することにより、びびり振動が抑制される。
【0020】
剛性体の断面形状を扇型にし、該扇型の内径をシャンク径と同等のアール部にした構造とすることで、内径切削加工における切りくずの排出空間を広くするとともに剛性体自体の剛性を高めることができる。加えて、シャンクと剛性体との間に切りくずが入り込むことを防ぐ上でも有効である。また、粘弾性体はシャンクの円周方向に亘って当接するように剛性体に配設することにより、ねじり振動や触れ回り振動などのびびり振動を粘弾性体によって拘束し、効果的にびびり振動を減衰させることができる。
【0021】
また、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材、減衰装置及び切削工具を用いた場合、シャンク内部に空間等を設ける必要がないため、切削刃を取り付けるシャンクの強度が低下することがない。加えて、比較的安価な素材を用いた単純な機構で構成されるため、製品コストを大幅に低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に基づいた各実施の形態における切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材、減衰装置及び切削工具について説明する。ここでは主として旋削加工用の切削工具およびフライス加工用の切削工具に用いる場合について説明するが、本発明はその他の切削加工用の切削工具に広く適用することができるものである。
【0023】
まず、本発明を実施するための最良の形態を説明する前提として、従来のダイナミックダンパーと本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材、減衰装置及び切削工具における減衰機構との原理的な差異を明確にしておく。切削工具のシャンクおよび本発明の減衰用部材は、図1に示すように梁構造を有している。この梁構造の振動形態(振動モード)は複数存在し、低い振動数から順に1次、2次、3次の振動モードと呼ぶ。これらの振動モードの中で、最も振動数が低く主たる振動となる1次の振動モードに着目して等価モデルを構築し、その第一段階として質点系のモデルを構築した(図2)。質点系のモデルでは、梁の先端に集中質量を置き、梁本体に質量は無く、剛性のみが存在するものとして1次の振動モードをモデル化している。
【0024】
さらに、このモデルにおける梁本体の部分をバネおよびダッシュポットに置き換えて、同一振動数で上下するバネの等価モデルとして表現した(図3)。ここに記された質量m、バネ定数K、減衰係数Cは、梁自身の持つ物性値そのものではなく、1次の振動モードを等価的に表現するバネモデルが持つ値であり、理論計算あるいは実測によって求められる値である。
【0025】
本発明の減衰用部材をシャンクに取り付けた状態の構造は図4の様になっており、下部のシャンクならびに上部の剛性体がそれぞれ梁の構造を持っている。そのため、等価モデルとするためにそれぞれの梁を図5の様にバネモデルとして扱うこととした。それぞれの梁が粘弾性体を介して連結されていることから、全体的な等価モデルは図6の様なものとなる。
【0026】
ここで、m、K、C、Xはそれぞれダイナミックダンパーの主系となるシャンクの等価質量、等価バネ定数、等価減衰係数、先端の変位を表し、m、K、C、Xは従系となる剛性体の等価質量、等価バネ定数、等価減衰係数、先端の変位を表す。主系と従系の間に装着された粘弾性体の質量は微小であるとして考慮せず、粘弾性体のバネ定数および減衰係数をKG、CGと置いた。またF(t)は主系にかかる切削時の外乱振動である。
【0027】
一般的なダイナミックダンパーは図7のような構造を有し、下部の主系に対して上部の従系が接地せずに自由振動するものが多い。本発明における減衰機構との相違の一つは、本発明の減衰機構においては従系も主系と同様に接地している点である。これは、本発明の減衰機構においては従系が梁であるという構造的な理由に起因するものである。
【0028】
通常、ダイナミックダンパーにおいては従系のバネ定数や減衰係数を主系の振動状態に合わせて最適化を行う必要がある。一般的なダイナミックダンパーでは従系の最適条件が設計時に固定され、振動状態に合わせた動的な調整が困難である場合が多い。本発明における減衰機構の特徴は、剛性体の締め付け力を調節することができるネジ等を設け、粘弾性体のバネ定数や減衰係数が非線形であることを利用して、従系の調整が容易に行える点である。これにより、主系の部材や形状変更による振動状態の変化に対して従系を柔軟に対応させることが可能となる。
【0029】
調節ネジ等の締め付けにより、剛性体がシャンクに押し付けられることになるが、等価モデルにおいては剛性体の全体(図8)がシャンク側へ押し付けられることになるため、等価モデル全体においては接地面間距離Lが短くなる(図9)。ここで、シャンクと剛性体に関しては、バネ定数KB、KPや減衰係数CB、CPが線形挙動を示すため、圧縮によってその値は変化しないが、粘弾性体のバネ定数KGと減衰係数CGは圧縮によりその値が非線形に変化する。その結果、剛性体と粘弾性体から構成される従系全体の条件が変化し、最適条件を調整することが可能となる。
【0030】
図10を参照して、本発明の切削時のびびり振動を抑制するための減衰用部材について説明する。本発明の切削時のびびり振動を抑制するための減衰用部材は、剛性体100と粘弾性体102とから構成されている。剛性体100は押圧による撓みを防止するため、ヤング率が高いものが望ましい。具体的にはヤング率が150GPa〜210GPaの炭素鋼やその他の合金が好ましく、高比重材料の超硬合金、またはそれらを複合化してヤング率を210GPa以上にしたものがより好ましい。
【0031】
切削工具本体と剛性体100とのヤング率の比率は可能な限り大きくとる方が望ましく、鋼性シャンクに対しては超硬合金製剛性体(炭素鋼と超硬合金との複合も含む)、超硬合金製シャンクに対しては超硬合金製剛性体の断面二次モーメントを大きくして曲げ剛性を高めることが好ましい。
【0032】
ダンパーを用いた減衰装置では、減衰効果を効果的に発揮するためにダンパーの微調整を行うことが多い。よって、非線形である粘弾性体102のバネ定数および減衰率の押圧による変化率が少ない方が望ましい。粘弾性体102のバネ定数は20〜200kN/mであることが好ましい。また、シャンク接触部において粘弾性体102が切削熱から受ける影響を少なくするため、シャンク軸円周方向および軸方向に上記バネ定数以内になる限度において粘弾性体102の体積を大きくし、粘弾性体102の熱容量を増加させることが好ましい。
【0033】
図11を参照して、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置について説明する。本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置は剛性体200と粘弾性体202とスリーブ204とから構成されている。剛性体200の一方の先端部近傍には粘弾性体202が備えられ、他方の先端部がスリーブ204に保持可能な形状を有している。スリーブ204に剛性体200と切削工具のシャンク206を担持させ、粘弾性体202を介して剛性体200をシャンク206に当接させることで切削時のびびり振動を抑制することができる。剛性体200とスリーブ204はシャンク206の円周方向の相対運動を抑制するように互いに嵌合する形状を有しており、スリーブ204は剛性体200をシャンク206の径方向に押圧するための締付け機構210を有している。また、該締め付け機構210はシャンク206に対する剛性体200の押圧荷重を調節可能な構造を有していることが好ましい。
【0034】
剛性体200は押圧による撓みを防止するため、ヤング率が高いものが望ましい。具体的にはヤング率が150GPa〜210GPaの炭素鋼やその他の合金が好ましく、高比重材料の超硬合金、またはそれらを複合化してヤング率を210GPa以上にしたものがより好ましい。
【0035】
シャンク206と剛性体200とのヤング率の比率は可能な限り大きくとる方が望ましく、鋼性シャンクに対しては超硬合金製剛性体(炭素鋼と超硬合金との複合も含む)、超硬合金製シャンクに対しては超硬合金製剛性体の断面二次モーメントを大きくして曲げ剛性を高めることが好ましい。
【0036】
剛性体200に一方向のみの自由度を持たせることによってシャンク206に発生するねじり振動や振れ回り振動等の多自由度方向の振動を拘束しながら減衰させるため、剛性体200とスリーブ204との嵌合精度は±0.02mm〜±0.05mmとして、がたつきが無いように作製することが好ましい。
【0037】
図12を参照して、本発明の切削時のびびり振動を抑制する切削工具について説明する。本発明の切削時のびびり振動を抑制する切削工具は本体部と減衰用部材とを備えている。本体部は切削刃308を取り付けるためのシャンク部306を有している。減衰用部材は剛性体300と粘弾性体302から構成され、剛性体300の一方の先端部近傍には粘弾性体302が備えられ、他方の先端部がシャンク部306と一体に構成されている。粘弾性体302を介して剛性体300をシャンク部306に当接させることで切削時のびびり振動を抑制することができる。
【0038】
剛性体300は押圧による撓みを防止するため、ヤング率が高いものが望ましい。具体的にはヤング率が150GPa〜210GPaの炭素鋼やその他の合金が好ましく、高比重材料の超硬合金、またはそれらを複合化してヤング率を210GPa以上にしたものがより好ましい。
【0039】
切削工具のシャンク部306と剛性体300とのヤング率の比率は可能な限り大きくとる方が望ましく、鋼性シャンクに対しては超硬合金製剛性体(炭素鋼と超硬合金との複合も含む)、超硬合金製シャンクに対しては超硬合金製剛性体の断面二次モーメントを大きくして曲げ剛性を高めることが好ましい。
【0040】
切削工具のシャンク部306と剛性体300は一体に構成されていればその接合方法は問わず、ろう付け、溶接、ボルト等による機械的な接合はもちろんのこと、一つのバルク材を切削加工等によって削り出すことによって、シャンク部306と剛性体300を一体に作製したものでもよい。この場合も、工作機械への取り付けに用いるスリーブで把持する際に、シャンク部だけでなく剛性体相当部分にも把持力が作用するように固定することが望ましい。
【実施例】
【0041】
以下に本発明の実施例及び比較例を図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を使用し、該切削時のびびり振動を抑制する減衰装置がシャンクの自由減衰振動波形および動剛性に及ぼす影響を実証した。実験に用いた切削時のびびり振動を抑制する減衰装置の外観を図13に示す。切削時のびびり振動を抑制する減衰装置はシャンク径10mm用であり、鋼板(剛性体)、鋼製スリーブ、直径2mmのニトリルゴム球から構成されるカンチレバータイプである。鋼板の断面形状は扇型であり、鋼板の剛性を高めるとともに切くずの排出空間を極力広げる形状となっている。また、切削条件で変化する切削力の向きにも対応できるよう、鋼板をシャンクの円周方向に可動できる仕様としている。更に、鋼製スリーブに設けられたネジの締め付け力を調節することにより、鋼板の押し付け力を調節することができる。本実施例では、シャンクを固定する角型のスリーブ内に切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材を保持するためのスリーブを備えている。CNC/NC旋盤、タレット旋盤などのツールホルダーでは、この角型スリーブが丸型となる。
【0042】
自由減衰振動波形の測定状況を図14に示す。自由減衰振動波形の測定はシャンク先端に加速度センサーを取り付けた状態で主分力方向にインパクト加振して行い、鋼板の圧縮力はストレインゲージを用いて測定した。なお、シャンクの突出し長さは75mmである。図15に鋼板の圧縮力(F)が0Nの場合における径φ10mmの鋼製シャンクの自由減衰振動波形、図16に鋼板の圧縮力(F)が5Nの場合における径φ10mmの鋼製シャンクの自由減衰振動波形をそれぞれ示す。鋼板の圧縮力(F)が5Nの場合は0Nの場合と比較して短時間でシャンクの振動が小さくなっており、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置の効果が明瞭に現れている。比較として、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を使用せず、径φ12mmの鋼製シャンクおよび径φ12mmの超硬合金製シャンクについて得た自由減衰振動波形を図17および図18にそれぞれ示す。測定に用いた全てのシャンクの中で、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を5Nの圧縮力(F)で装着した径φ10mmの鋼製シャンクが最も優れた振動減衰効果を有しているのが確認できる。
【0043】
図19に鋼板の圧縮力(F)がそれぞれ5Nと0Nの場合における径φ10mmの鋼製シャンクについて、インパルス応答法によって求められたコンプライアンスを示す(工具突出し長さ75mm)。最大コンプライアンスの逆数は動剛性に相当し、その値が低下するほど動剛性が向上していることを意味する。本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を5Nの圧縮力(F)で装着時の動剛性は、0Nの圧縮力(F)で装着時の動剛性よりも約9倍高い。また、半値幅法で求めた自由減衰振動減衰比(ζ)も約15倍大きくなっており、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置が有効に作用していることが確認できる。
【0044】
図20に鋼板の圧縮力(F)がそれぞれ5Nと0Nの場合における、径φ10mmの超硬合金製シャンクを用いた場合の切削仕上げ面の形状を示す。切削刃はスローアウェイチップ(K20,TPGH110304R−SD)を使用し、被削材としてS45Cを用いて外周旋削を行った。工具の送りは0.1mm/revで一定とし、被削材回転数は1270rpm、切削速度は163m/mim、切り込み量は0.1mmとした。圧縮力(F)が5Nの場合の切削仕上げ面は圧縮力(F)が0Nの場合の切削仕上げ面と比較して明らかに滑らかであり、びびりマークが消滅している。
【0045】
実施例2
本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材、減衰装置及び切削工具の最適設計に指針を与えるため、等価モデルによるシュミレーションを行った。ここではシャンクを主系とみなし、これにゴム球のバネ要素と減衰要素とを付加した剛性板を従系とみなして、主系に強制振動が加わる場合の振幅比(|X/Xst|)を求める。Xは強制振動の振幅、Xstは外力による静的変位をそれぞれ示す。図21にゴム球のバネ定数(KG)を変数として、主系の振動数比(β)と振幅比との関係を解析した例を示す。
【0046】
上記シュミレーションに用いるゴム球のバネ定数(KG)は、直径が2mmのニトリルゴム球を実際に荷重試験に供して測定した。図22にニトリルゴム球の加重−たわみ曲線を示す。該曲線から、各荷重F(0,1,3,4,5,6N)におけるゴム球のバネ定数(KG)を近似的に求めている。
【0047】
図23にゴム球の圧縮力(F)とシャンクの自由減衰振動減衰比(ζ)との関係を示す。本結果は本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を超硬合金製のシャンクに取り付け、実際に測定した結果から得られたものである(工具突出し長さ75mm)。切削時のびびり振動を抑制する減衰装置はシャンク径10mm用であり、鋼板(剛性体)、鋼製スリーブ、直径2mmのニトリルゴム球から構成されるカンチレバータイプである。鋼板の断面形状は扇型であり、鋼板の剛性を高めるとともに切くずの排出空間を極力広げる形状となっている。また、切削条件で変化する切削力の向きにも対応できるよう、鋼板をシャンクの円周方向に可動できる仕様としている。更に、鋼製スリーブに設けられたネジの締め付け力を調節することにより、鋼板の押し付け力を調節することができる。本実施例では、シャンクを固定する角型のスリーブ内に切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材を保持するためのスリーブを備えている。CNC/NC旋盤、タレット旋盤などのツールホルダーでは、この角型スリーブが丸型となる。
【0048】
切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材の鋼板は、鋼製スリーブに設けられた押し付け荷重調整用ネジ部から直径2mmのニトリルゴム球までの距離を55mmとして、切削力の背分力方向に取り付けて測定を行った。シャンクの自由減衰振動減衰比(ζ)の測定は各分力方向について加速度センサーを工具側に取り付けてインパクト加振し、それぞれの応答加速度の減衰自由振動波形から求めている。なお、鋼板の圧縮力はストレインゲージを用いて測定した。
【0049】
図23から、圧縮力(F)が5Nの場合に主分力方向のシャンクの自由減衰振動減衰比(ζ)が最も高くなることが分かる。上述のシュミレーション結果(図21)においても圧縮力(F)が5Nの場合に最も優れた減衰効果を示しており、実験結果とシュミレーション結果が良い一致を示している。これらの結果から、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材、減衰装置及び切削工具は優れた減衰効果を有し、その設計にあたっては等価モデルを用いた解析によって最適化が行えるということが明らかになった。
【0050】
実施例3
本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材を装着することによって生じる最小加工穴径の増大を考慮して、径φ10mmの鋼製シャンクに該減衰用部材を装着したもの(トータルの径φ:約12mm)と、径φ12mmの鋼製シャンクならびに径φ12mmの超硬合金製シャンクを用いて切削試験を行った。本試験によって、同一の最小加工穴径を有するシャンク間でのびびり振動抑制効果を評価することができる。
【0051】
切削試験で用いた切削時のびびり振動を抑制する減衰装置の外観を図24に示す。切削時のびびり振動を抑制する減衰装置はシャンク径10mm用であり、鋼板(剛性体)、鋼製スリーブ、φ2mmのニトリルゴム製Oリングを1/4分割したものから構成されるカンチレバータイプである。鋼板の断面形状は扇型であり、鋼板の剛性を高めるとともに切くずの排出空間を極力広げる形状となっている。加えて、鋼板の質量を大きくするために超硬合金の丸棒(φ2mm)が銀ロウで鋼板に接合されている。また、切削条件で変化する切削力の向きにも対応できるよう、鋼板をシャンクの円周方向に可動できる仕様としている。また、切削中に鋼板がシャンク軸方向に動かないように、該鋼板と鋼製スリーブとの結合部をコの字型にして嵌合させている。更に、鋼製スリーブに設けられたネジの締め付け力を調節することにより、鋼板の押し付け力を調節することができる。本実施例では、シャンクを固定する角型のスリーブ内に切削時のびびり振動を抑制する減衰装置の鋼板を保持するためのスリーブを備えている。CNC/NC旋盤、タレット旋盤などのツールホルダーでは、この角型スリーブが丸型となる。
【0052】
被削材はS45Cを用い、乾切削で試験を行った。工具突出し長さは72mmで一定とし、工具突出し比(工具突出し長さ/シャンク径)は本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着した鋼製シャンクでは7.2、装着していないシャンクでは6とした。工具の送りは0.1mm/revで一定とし、被削材回転数は630rpm〜1270rpm、切削速度は86m/mim〜163m/mim、切り込み量は0.1mm〜1.0mmとした。
【0053】
びびりの有無またはその大きさを定量的に調べるため、各切削条件の下で得られた切削仕上げ面の表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)を測定するとともに、実体顕微鏡(CCDカメラ)を用いてびびり状態を観察した。また、取り付けによる切削工具の刃先心高さのずれを防止するため、ダイヤルゲージ付きハイトゲージを用いて該高さの差異が±0.03mm以下になるように調節した。加えて、すくい角等の刃先形状も工具顕微鏡を用いて確認した。
【0054】
切削速度86m/minにおける切り込み量と切削仕上げ面粗さ(Ra)との関係を表1に示す。本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着した径φ10mmの鋼製シャンクを用いた場合、切り込み量に関わらず小さなRa値を示している。これに対し、比較のために用いたバーは切り込み量が小さな領域で大きなRa値を示している。
【0055】
【表1】

【0056】
切削速度113m/minにおける切り込み量と切削仕上げ面粗さ(Ra)との関係を表2に示す。本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着した径φ10mmの鋼製シャンクを用いた場合、切り込み量に関わらず小さなRa値を示している。これに対し、比較のために用いたバーは切り込み量が小さな領域で大きなRa値を示している。また、切り込み量が0.5mm〜1.0mmの領域で径φ12mmの鋼製シャンクのRa値が顕著に大きくなっているのに対し、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着した場合はRa値が明らかに小さい。
【0057】
【表2】

【0058】
切削速度163m/minにおける切り込み量と切削仕上げ面粗さ(Ra)との関係を表3に示す。切削速度163m/minにおいても、切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着することによるびびり振動抑制効果が明瞭に確認できる。径φ12mmの鋼製シャンクのRa値と比較して、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着した径φ10mmの鋼製シャンクのRa値は明らかに小さい。なお、本条件に関しては径φ12mmの超硬合金製シャンクのびびり振動が大き過ぎたため、これらのシャンクに関してはRa値の測定を行っていない。
【表3】

【0059】
図25に切削速度86m/min、切り込み量0.30mmにおける表面粗さ(Ra)の測定結果を示す。本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着した径φ10mmの鋼製シャンクで切削した試料の表面は径φ12mmの鋼製シャンクで切削した試料の表面と比較して明らかに滑らかであり、径φ12mmの超硬合金製シャンクを用いて切削した場合と同程度である。
【0060】
図26に切削速度113m/min、切り込み量0.1〜0.3mmにおける切削仕上げ面の観察例、図27に切削速度113m/min、切り込み量0.5、1.0mmにおける切削仕上げ面の観察例を示す。本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着した径φ10mmの鋼製シャンクで切削した試料の表面は、他の比較シャンクを用いて切削した試料の表面よりも滑らかである。
【0061】
びびりマークが消滅するRa値は、切削仕上げ面の観察結果から2μm以下であることが確認されている。本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着した場合は、切り込み量や切削速度に関わらず、Raの範囲が1〜3μm程度となり、他の比較シャンクを用いた場合よりも切削状態が安定している。
【0062】
以上の結果から、本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着した径φ10mmの鋼製シャンクでは、切り込み量が0.4mm以下の仕上げ切削条件において何れの比較シャンクを用いた場合よりも仕上げ面粗さ(Ra)が小さく、びびり振動が抑制されていることが分かる。また、切り込み量が1.0mmの中切削条件においても、シャンク径φ12mmの超硬合金製シャンクと同程度のRa値を示している。本発明の切削時のびびり振動を抑制する減衰装置を装着したものでは切り込み量や切削速度に関わらず、Ra値の範囲が1〜3μmとなっており、何れの比較シャンクを使用した場合よりも切削状態が安定していることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】梁構造の模式図である。
【図2】質点系のモデル図である。
【図3】同一振動数で上下するバネの等価モデル図である。
【図4】本発明の減衰用部材をシャンクに取り付けた状態を表す模式図である。
【図5】図4のバネモデル図である。
【図6】本発明の減衰用部材をシャンクに取り付けた状態を表す等価モデル図である。
【図7】一般的なダイナミックダンパーの等価モデル図である。
【図8】本発明の減衰用部材を構成する剛性体を表す等価モデル図である。
【図9】本発明の減衰用部材をシャンクに押し付けた状態を表す等価モデル図である。
【図10】本発明に基づいた実施の形態における切削時のびびり振動を抑制する減衰用部材の斜視図である。
【図11】本発明に基づいた実施の形態における切削時のびびり振動を抑制する減衰用装置を装着した切削工具の側面図である。
【図12】本発明に基づいた実施の形態における切削時のびびり振動を抑制する切削工具の側面図である。
【図13】本発明に基づいた実施の形態1における切削時のびびり振動を抑制する減衰用装置および該減衰用装置を装着した切削工具の写真である。
【図14】自由減衰振動波形の測定状況を示す写真である。
【図15】鋼板の圧縮力(F)が0Nの場合における鋼製シャンクの自由減衰振動波形である。
【図16】鋼板の圧縮力(F)が5Nの場合における鋼製シャンクの自由減衰振動波形である。
【図17】径φ12mmの鋼製シャンクの自由減衰振動波形である。
【図18】径φ12mmの超硬合金製シャンクの自由減衰振動波形である。
【図19】鋼板の圧縮力(F)が0Nと5Nの場合における鋼製シャンクの動剛性を示す図である。
【図20】本発明に基づいた実施の形態1における切削表面の写真である。
【図21】振動解析結果を示す図である。
【図22】バネ定数の測定結果を示す図である。
【図23】振動特性の実測値を示す図である。
【図24】本発明に基づいた実施の形態3における切削時のびびり振動を抑制する減衰用装置および該減衰用装置を装着した切削工具の写真である。
【図25】表面粗さの測定結果を表わす図である。
【図26】本発明に基づいた実施の形態3における、切り込み量が0.1mm〜0.3mmの場合の切削表面の写真である。
【図27】本発明に基づいた実施の形態3における、切り込み量が0.5mmおよび1.0mmの場合の切削表面の写真である。
【符号の説明】
【0064】
100,200,300…剛性体
102,202,302…粘弾性体
204…スリーブ
206…シャンク
208,308…切削刃
210…締付け機構
306…シャンク部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削時のびびり振動を抑制するための減衰用部材であって、
剛性体と粘弾性体とから構成され、
前記剛性体の一方の先端部近傍に前記粘弾性体を備え、
他方の先端部が切削工具のシャンクを把持する部分に保持可能な形状を有し、
前記粘弾性体を介して前記剛性体を前記シャンクに当接させることで切削時のびびり振動を抑制する切削工具の減衰用部材。
【請求項2】
前記剛性体が板状部材であり、
該部材が前記シャンクの軸線に対する弧形状を有する請求項1に記載の切削工具の減衰用部材。
【請求項3】
前記粘弾性体が前記シャンクの円周方向に亘って当接するように前記剛性体に配設された請求項1〜2いずれかに記載の切削工具の減衰用部材。
【請求項4】
剛性体と粘弾性体と切削工具のシャンクを担持するスリーブとからなる切削工具の減衰装置であって、
前記剛性体の一方の先端部近傍に前記粘弾性体を備え、
他方の先端部が前記スリーブに保持可能な形状を有し、
前記スリーブに前記剛性体を担持させ、
前記粘弾性体を介して前記剛性体を前記シャンクに当接させることで切削時のびびり振動を抑制する切削工具の減衰装置。
【請求項5】
前記剛性体が板状部材であり、
該部材が前記シャンクの軸線に対する弧形状を有する請求項4に記載の切削工具の減衰装置。
【請求項6】
前記粘弾性体が前記シャンクの円周方向に亘って当接するように前記剛性体に配設された請求項4〜5いずれかに記載の切削工具の減衰装置。
【請求項7】
前記剛性体と前記スリーブが前記シャンクの円周方向の相対運動を抑制するように互いに嵌合する形状を有し、
前記スリーブは前記剛性体を前記シャンクの径方向に押圧するための締付け機構を有する請求項4〜6いずれかに記載の切削工具の減衰装置。
【請求項8】
前記シャンクに対する前記剛性体の押圧荷重を調節可能な締付け機構を有する請求項4〜7いずれかに記載の切削工具の減衰装置。
【請求項9】
シャンク部と減衰用部材とを備える切削工具であって、
前記減衰用部材は剛性体と粘弾性体とから構成され、
前記剛性体の一方の先端部近傍に前記粘弾性体を備え、
他方の先端部が前記シャンク部と一体に構成され、
前記粘弾性体を介して前記剛性体を前記シャンク部に当接させることで切削時のびびり振動を抑制する切削工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−50983(P2009−50983A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221917(P2007−221917)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集(社団法人精密工学会 平成19年3月1日発行)
【出願人】(591030499)大阪市 (64)
【出願人】(503212652)住友電工ハードメタル株式会社 (390)
【Fターム(参考)】