説明

切換スイッチ

【課題】 オン操作を複数操作とし、オフ操作を単純化し、かつ、構成簡単にして確実な動作の切換スイッチを提案すること。
【解決手段】 操作ノブ11に一体的に連結したシャフト18に連結し、シャフト18の回転に連動し、その軸方向移動には非連動としたロ−タ−19と、このロ−タ−19に備え操作ノブ11に戻り回転力を与える捻りコイルばね22と、前記シャフト18の回転に非連動とし、その軸方向移動に連動させたスイッチ部としてのスライドブロック20と、前記シャフト18の規制突起18d、18eとケ−ス14の切込溝27、28とで形成し、操作ノブ11の押込み位置の回転と回転位置の引出しを可能とした操作規制部とを備え、操作ノブ11の回転後の引出しによるスライドブロック20の移動でオン、操作ノブ11の押込みによる復動によるスライドブロック20が移動してオフする構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ノブの前後方向の操作と回転操作によってスイッチ切換えする切換スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
農作業機のエンジン始動スイッチは、緊急時にエンジンを即座に停止できるように操作ノブを叩いて押し込むことにより、スイッチ接点をオンからオフに瞬時に切換えられるようになっている。
【0003】
また、操作ノブを誤って操作したり、衣服が引っ掛かって操作されたり、或いは、子供の悪戯によって操作されてエンジンが始動することがないように、初期位置(オフ位置)にある操作ノブを一回操作したのではスイッチオンせず、2回以上の複数の操作によりスイッチオンし、エンジンが始動するようになっている。
【0004】
このようなエンジン始動スイッチ、すなわち、切換スイッチには様々な構成のものが提案されている。
例えば、特開平11−22612号公報に開示されている作業機のエンジン始動スイッチは、操作ノブを押し込み、この押し込み状態で操作ノブを回転することにより、スイッチ動作してエンジンが始動し、この状態で操作ノブの押し込み操作を解放すると、操作ノブが圧縮ばねによって引き上げられ、エンジン始動状態でロックされる。
【0005】
また、エンジン始動状態で操作ノブを押し込み操作すると、操作ノブが捻りばねによって戻り回転してスイッチが復動し、その後に操作ノブが圧縮ばねによって引き上げられ、エンジン停止状態でロックされる。
【0006】
このエンジン始動スイッチは、操作ノブを押し込みながら回転してエンジン始動位置にスイッチ動作させたときに、操作ノブの押し込み操作を解放するため、操作ノブが圧縮ばねによって引き上げられロックされる前に、捻りばねによって戻り回転され、エンジン停止位置に復動することがあり、スイッチ動作の確実性に問題があった。
【0007】
さらに、特開2003−178643号公報に開示されている押ボタンスイッチは、操作ノブを押し込み操作することにより、スイッチがオン状態にロックされ、このスイッチのオン状態で操作ノブを捻り回転して引き戻すと、ロックが解除されてスイッチのオフ状態となる。
【0008】
この押ボタンスイッチは、スイッチがオンからオフに切換わっても操作ノブの回転停止位置が同じ状態となるため、スイッチの動作状態が確認し難い上、操作ノブをオフ位置にロックするロック機構が複雑であるため、部品点数が多く、生産コストが高くなる。
【0009】
【特許文献1】特開平11−22612号公報
【特許文献2】特開2003−178643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した従来の切換スイッチの問題点にかんがみ、オン操作を複数操作とし、オフ操作を単純化し、構成簡単にして確実な動作の切換スイッチを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するため、本発明では、第1の発明として、操作ノブの前後方向操作と回転操作とによってスイッチ切換えする切換スイッチにおいて、操作ノブに戻り回転力を与える捻りばねと、操作ノブの押し込み位置を保ち、その押し込み位置で操作ノブの回転を許容すると共に、回転させた操作位置で操作ノブの引き出しを可能とし、かつ、前記捻りばねによる戻り回転を阻止する操作規制部と、操作ノブの引き出しに連動して切換え動作するスイッチ部とからなることを特徴とする切換スイッチを提案する。
【0012】
第2の発明としては、操作ノブの前後方向操作と回転操作とによってスイッチ切換えする切換スイッチにおいて、操作ノブに一体的に連結したシャフトと、このシャフトを回転可能に軸支させたケ−スと、操作ノブの押し込みに連動してオフ位置に、その引き出しでオン位置に切換えられるスイッチ部とを備え、さらに、操作ノブに戻り回転力を与える捻りばねと、前記シャフトに設けた規制突部と前記ケ−スに設けた切込溝とで形成した操作規制部とを設け、前記操作規制部によって操作ノブの押し込み位置を保ち、その押し込み位置で操作ノブの回転を許容すると共に、回転させた操作位置で操作ノブの引き出しを可能とし、かつ、前記捻りばねによる戻り回転を阻止する構成としたことを特徴とする切換スイッチを提案する。
【0013】
第3の発明としては、上記した第1又は第2の発明の切換スイッチにおいて、操作ノブに引き出し方向のばね勢力を与える圧縮ばねを設け、操作ノブの引き出し方向に加わるこの圧縮ばねのばね勢力を前記捻りばねの戻り回転力に対して弱く設定したことを特徴とする切換スイッチを提案する。
【0014】
第4の発明としては、上記した第2又は第3の発明の切換スイッチにおいて、ケ−ス内面には、前記シャフトの軸方向に対して直交する方向に形成したストッパ−面を有する凹溝と前記シャフトの軸方向に形成した係合溝とを一連に形成した切込溝を設け、シャフトに設けた前記規制突部を前記ストッパ−面に当接させて操作ノブの押し込み位置を保ち、かつ、前記凹溝によって操作ノブの回転を許容し、前記規制突部を前記係合溝に係合させて操作ノブの引き出しを可能にし、かつ、前記捻りばねによる操作ノブの戻り回転を阻止する操作規制部を備えたことを特徴とする切換スイッチを提案する。
【0015】
第5の発明としては、上記した第2〜第4のいずれかの発明の切換スイッチにおいて、操作ノブの前後方向の操作に連動し、その回転操作に非連動となるようにして前記シャフトに連結したスライドブロックと、前記スライドブロックを前記シャフトの軸方向に移動可能として収納させたタ−ミナルベ−スとを備え、前記スライドブロックに設けた可動接点をタ−ミナルベ−スの固定接点に接続可能としたことを特徴とする切換スイッチを提案する。
【0016】
第6の発明としては、上記した第2〜第5のいずれかの発明の切換スイッチにおいて、操作ノブの回転操作に連動し、その前後方向の操作に非連動となるようにして前記シャフトに連結したロ−タ−を設け、前記捻りばねの一端を前記ケ−スに、その他端を前記ロ−タ−に各々係合させたことを特徴とする切換スイッチを提案する。
【0017】
第7の発明としては、上記した第2〜第6のいずれかの発明の切換スイッチにおいて、前記シャフトの外周に防水用及び防塵用の弾性リングを設けたことを特徴とする切換スイッチを提案する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の切換スイッチは、押し込み位置となっている操作ノブを回転操作した後、操作ノブを引き出すように引っ張り操作する2回操作によってスイッチ部が動作する。
【0019】
また、操作ノブは、捻りばねの戻り回転力に抗して回転させた状態で引っ張り操作するため、捻りばねの負荷を意識して勢いよく引っ張り操作するものとなるから、確実にスイッチ動作する切換スイッチとなる。
【0020】
さらに、操作ノブを叩いて押し込み操作するだけで、操作ノブが捻りばねのばね力で戻り回動し、スイッチが復動する。
この結果、操作ノブの押し込み位置と引き出し位置とで操作ノブの回転状態が異なるので、スイッチのオン、オフ状態が容易に判別することができる。
【0021】
また、第3の発明のように、操作ノブを後退方向に付勢する圧縮ばねを設ければ、引き出し位置にある操作ノブが振動などによって前進することがなく、その上、操作ノブを引き出し操作させるときに圧縮ばねのばね力が加わるので、操作ノブを確実に引き出し位置に操作することができ、スイッチ動作の確実性を高めることができる。
【0022】
一方、第4の発明のように、ケ−ス内面に形成したストッパ−面と係合溝とを設け、そのストッパ−面に当接させ、係合溝に係合する規制突部をシャフトに設けて構成した操作規制部を備えれば、操作ノブの引き出す位置を限定することができるので、操作ノブを所定の回転位置で意図的に引き出し操作させない限りスイッチ動作しない切換スイッチとなる。
【0023】
また、操作ノブの引き出しによって、シャフトの規制突部がケ−ス内面の係合溝に係合するため、捻りばねの戻り回転力を確実に阻止することができる。
【0024】
さらに、第5の発明のように構成すれば、可動接点を有するスライドブロックが操作ノブの前後方向の操作のみに連動してスイッチ動作するから、スイッチ接点部の不要な移動とガタツキがなく、操作ノブの操作に連動してすばやいスイッチ接点部の切換えができる。
【0025】
また、第6の発明の捻りばねと第7の発明の弾性リングを設ければ、弾性リング自体の弾性力に加え、捻りばねによる横方向の荷重がシャフトに掛かるので、弾性リングがケ−スに圧接され、弾性リングの摩擦抵抗によるクリック感を得ることができる。
【0026】
その上、操作ノブを引き出すとき、弾性リングの初期抵抗が生ずるので、操作者に操作ノブを勢いよく引き出し操作させることができる一方、弾性リングの摩擦抵抗と前記した圧縮ばねのばね力と捻りばねによる横方向の荷重により、振動などによる操作ノブの前進移動を確実に防止することができる。
なお、弾性リングはシャフトとケ−スとの間から侵入する雨水などの防水に効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、農作業機のエンジン始動スイッチとして実施した本発明の切換スイッチについて図面に沿って説明する。
【0028】
図1は切換スイッチの正面図、図2は同切換スイッチの側面図である。
この切換スイッチ10は、図示状態でオフとなっており、このオフ状態からオンさせる場合には、操作ノブ11を矢印12方向に回転させて指標13をON位置に合せた後に操作ノブ11を図2に示す一点鎖線の如く引き出す。
操作ノブ11のこの引き出し操作によってスイッチ部がオンしてエンジンが始動する。
【0029】
また、オン状態からオフさせる場合は、操作ノブ11を押し込む。
すなわち、図2に示す一点鎖線から実線のように操作ノブ11を押し込むと、操作ノブ11が捻りコイルばねのばね力によって矢印12とは反対方向に回転し、指標13がOFF位置となる。
操作ノブ11の上記の押し込み操作によってスイッチ部がオフしてエンジンが停止する。
【0030】
このように、この切換スイッチ10は、操作ノブ11の回転と引き出しの2操作によってオンさせるものであるから、操作ノブ11が誤って操作されたときや子供の悪戯によって操作されたときなどにはスイッチ部がオンせず、エンジンが始動しない。
【0031】
また、操作ノブ11を押し込むだけでスイッチ部がオンからオフに切換わるので、エンジンの緊急停止時には操作ノブ11を叩き操作することで即座にエンジンを停止させることができる。
【0032】
その他、図1、図2に示した参照符号14はケ−ス、15は防水ブ−ツ、16はスイッチコ−ド、17は農作業機のスイッチ取付板部を各々示す。
【0033】
続いて、上記した切換スイッチ10について図3以下の各図を参照して詳細に説明する。
図3はオフ状態にある上記切換スイッチ10の断面図、図4はオン状態にある上記切換スイッチ10の断面図である。
【0034】
図示する如く、この切換スイッチ10は、操作ノブ11にシャフト18を一体的に取付けてあり、また、このシャフト18が回転と軸心方向の移動を可能となるようにしてケ−ス14に軸支させてある。
さらに、上記したシャフト18は、ケ−ス14内に配設したロ−タ−19と、スライドブロック20を連動するようになっている。
【0035】
上記シャフト18は、図5に示した斜視図より分かるように、シャフト18の上方部18aが操作ノブ11に一体的に取付ける連結部、その下方部の角形部18bがロ−タ−19との連結部、この角形部18bの下面に設けた孔部18cがスライドブロック20の連結部となっている。
【0036】
また、このシャフト18には、操作規制部を形成する規制突部18d、18eが周囲方向に対称的に設けてあり、さらに、その周囲部には弾性リング21を嵌着するリング凹溝18fが設けてある。
【0037】
ロ−タ−19は、図7、図8の詳細図より分かる通り、容状体のもので、その底部にはシャフト18の角形部18bを挿通する角形孔19aが設けてある。
このロ−タ−19は、角形部18bが角形孔19aに挿通するため、シャフト18の回転力を受けて回転するが、シャフト18が軸心方向に移動するときは、角形部18bが角形孔19a内を摺動することから、シャフト18の軸心方向の移動には非連動となる。
【0038】
また、上記ロ−タ−19には捻りコイルばね22が内装してある。
この捻りコイルばね22は、その一端部22aをロ−タ−19の細溝19bに係止し、その他端部22bをケ−ス14の内面に形成したばね受け溝14aに係止してあり、ロ−タ−19がシャフト18に連動されて回転することにより、ばね力を蓄えるようになっている。
【0039】
スライドブロック20は、図6、図9、図10に詳細図として示してあるように、ブロック部20aの上面に連結軸部20bを、その下面にばね受け軸20cを各々突出し、また、ブロック部20aの左右には回転止片部20d、20eが一体的に形成してある。
【0040】
さらに、このスライドブロック20には、ブロック部20aより横方向に突出させた可動接点23が備えてある。
なお、可動接点23はばねによる突出勢力が与えてある。
【0041】
上記したスライドブロック20は、割溝を形成した連結軸部20bをシャフト18の孔部18cに挿入し、その連結軸部20bに設けた段形部20fを孔部18c内の係止爪部18g(図3、図4参照)に係合させる。
このように連結したスライドブロック20は、シャフト18に回転自在となり、シャフト18の回転には非連動となり、シャフト18の軸心方向の移動に連動してタ−ミナルベ−ス24内で上下方向に移動する。
【0042】
タ−ミナルベ−ス24は、図9、図10の詳細図に示したように、ケ−ス14の下方内面に固着してあり、これには、スライドブロック20を内装してある。
このタ−ミナルベ−ス24の内側面には固定接点25が設けてあり、スライドブロック20の可動接点23がその固定接点25に接触するようになっている。
【0043】
また、上記のタ−ミナルベ−ス24には、回転止片部20d、20eを案内してスライドブロック20を非回転に保持するガイド溝24aが設けてある。
さらに、このタ−ミナルベ−ス24内には、圧縮ばね26を設け、この圧縮ばね26によってスライドブロック20に押し上げ勢力を与えている。
【0044】
一方、ケ−ス14に一体形成した内筒部14bの内面には、操作規制部を形成する切込溝27、28が対称位置に設けてある。
これら切込溝27、28は、図11に示す詳細図より分かる通り、ストッパ−面27aを有する凹溝27bと、この凹溝27bと一連とした縦長の係合溝27cとから形成してある。
なお、切込溝28は切欠溝27と同形状となっている。
【0045】
上記した切込溝27には、シャフト18の規制突起18dが、切込溝28には他の規制突起18eが各々摺動可能に突入し、これら切込溝と規制突起によって操作ノブ11の押し込み位置、引き出し位置、回転位置を定めている。
【0046】
また、切込溝27の係合溝27cは、その横幅がシャフト18の規制突起18dの横幅に対してクリアランスが狭くなるように形成してある。
なお、切込溝28の係合溝とシャフト18の規制突起の横幅についても同様となっている。
【0047】
このように構成することにより、操作ノブ11をON位置に回転させただけではスイッチ部がオンしない。
すなわち、操作ノブ11をON位置に回転操作し、その操作力を解放させると、操作ノブ11が捻りコイルばね22による戻り回転力によって直ちにOFF位置方向に回転を始めるため、規制突起18dが係合溝27cの進入位置からずれる。
【0048】
このことから、操作ノブ11には、圧縮ばね26による押し上げ力が加わっているが、規制突起18dが係合溝27c内に進入できないため、操作ノブ11が引き出し位置に移動せずにOFF位置に戻り回転してスイッチオフ状態を保つ。
【0049】
したがって、操作ノブ11を捻りコイルばね22のばね力に抗してON位置まで回転操作し、その回転操作を意識して維持しながら引き出し操作することにより、規制突起18dが係合溝27c内に進入し、操作ノブ11の引き出しが可能になる。
【0050】
換言すれば、この切換スイッチ10は、操作ノブ11をON位置まで回転させる操作と、その回転位置で回転操作を維持しながら操作ノブ11を意識的に引き出す操作の2操作によってスイッチ部がオンする。
【0051】
なお、オフさせる場合は、操作ノブ11を押し込み操作するだけでよい。
操作ノブ11を押し込むと、規制突起18dが係合溝27cを抜け出て凹溝27b内に移るから、この規制突起18dが凹溝27bを移動可能となり、操作ノブ11が捻りコイルばね22による戻り回転力を受けてOFF位置に回転する。
【0052】
次に、上記の如く構成した切換スイッチ10の動作について説明する。
先ず、操作ノブ11を圧縮ばね26のばね力に抗して押し込み操作すると、シャフト18が捻りコイルばね22のばね力で左回転することから、操作ノブ11が左回転され、シャフト18の規制突起18dが切込溝27の凹溝27b内を移動し、この規制突起18dが図12(A)に示すように、凹溝27bの一側壁に突き当たり、操作ノブ11の左回転が停止される。
【0053】
操作ノブ11を上記のように押し込み左回転させると、その指標13がOFF位置となり、切換スイッチ10が図1〜図3に示すようにオフ状態となる。
なおこのオフ状態では、シャフト18の規制突起18dが切込溝27のストッパ−面27aに当接し、操作ノブ11の上昇移動が阻止され、また、捻りコイルばね22のばね力によって操作ノブ11の左回転位置が保たれる。
【0054】
なお、図12は、シャフト18の規制突起18dが切込溝27内を移動する状態を示す説明であるが、シャフト18の規制突起18eも同様に切込溝28内を移動する。
【0055】
また、上記した如く操作ノブ11を押し込むと、スライドブロック20がタ−ミナルベ−ス24内で下降移動するため、可動接点23が図13(A)に示すようにオフの固定接点25bに接触するようになる。
なお、図13は可動接点23と固定接点25の接触関係を示す説明図であり、25aは共通固定接点、25bはオフ固定接点、25cはオン固定接点を示す。
【0056】
切換スイッチ10をオンさせる場合には、操作ノブ11を右回転させた後に引き出す。
つまり、OFF位置にある操作ノブ11を捻りコイルばね22のばね力に抗して右回転させると、シャフト18の規制突起18dが切込溝27の凹溝27b内を移動し、図12(B)に示すようにその他方壁に突き当たり、操作ノブ11の右回転が停止される。
なお、この動作により規制突起18dが係合溝27c内に移動可能な位置に進む。
【0057】
この動作段階で操作ノブ11の指標13がON位置となるが、スライドブロック20がシャフト18の回転に非連動となっているため下降位置となっており、可動接点23は図13(B)に示すようにオフ固定接点25bに接触したままとなっている。
【0058】
続いて、操作ノブ11の右回転操作を維持したままで操作ノブ11を引き出す。
この引き出し操作により、シャフト18の規制突起18dが図12(C)に示すように切込溝27の係合溝27c内を進む。
また、スライドブロック20がシャフト18に連動して上昇移動し、その可動接点23が図13(C)に示すように、オン固定接点25cに接触する。
【0059】
したがって、操作ノブ11の右回転操作と、引き出し操作の2操作によって図4に示すオン動作となる。
また、このオン動作状態では、操作ノブ11が捻りコイルばね22による戻り回転力を受けているが、シャフト18の規制突起18dが係合溝27cの側壁に当接するため、その戻り回転力が阻止される。
【0060】
また、操作ノブ11は引き出し操作を解放しても、規制突起18dが捻りコイルばね22のばね力によって係合溝27cの側壁に当接すること、圧縮ばね26によって上昇移動力が加わっていること、弾性リング21がケ−ス14に接触することによる摩擦抵抗があることから引き出し位置が保たれる。
【0061】
上記した通り、本発明の切換スイッチは、操作ノブ11を捻りコイルばね22のばね力に抗して回転操作した後、その回転操作力を維持したまま操作ノブを引き出す操作の2操作によってオンさせるので、誤ってオンされたり、子供の悪戯になどによってオンされることがない。
また、操作ノブを押し込むだけでオフ動作することから、緊急にオフさせるときには、操作ノブを叩き操作すればオンからオフに切換わる。
【0062】
なお、本発明の実施に際しては、ばね力で突出勢力を与えた小球をスライドブロック20に設け、この小球をタ−ミナルベ−ス24に設けた小孔に落入させるように構成したクリック機構により、操作ノブ11の押し込みと引き出しに節度感をもたせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
農作業機のエンジン始動スイッチの他、各種装置のPTO(POWER TAKE OFF)スイッチ、非常停止用の緊急停止スイッチなどとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】農作業機のエンジン始動スイッチとして実施した切換スイッチの正面図である。
【図2】上記した切換スイッチの側面図である。
【図3】オフ動作状態を示す上記切換スイッチの断面図である。
【図4】オン動作状態を示す上記切換スイッチの断面図である。
【図5】上記切換スイッチに備えたシャフトの斜視図である。
【図6】上記切換スイッチに備えたスライドブロックの斜視図である。
【図7】上記切換スイッチに備えたロ−タ−と捻りコイルばねを示した斜視図である。
【図8】上記したロ−タ−と捻りコイルばねの断面図である。
【図9】上記切換スイッチに備えたスライドブロックとタ−ミナルベ−スとを示した正面図である。
【図10】図9上のA−A線断面図である。
【図11】操作ノブの操作規制部を示した上記切換スイッチのケ−ス簡略図である。
【図12】操作ノブの操作規制部の動作を示す説明図である。
【図13】可動接点と固定接点の接触動作を示す簡略図である。
【符号の説明】
【0065】
10 切換スイッチ
11 操作ノブ
14 ケ−ス
18 シャフト
18b 角形部
18c 孔部
18d、18e 規制突起
19 ロ−タ−
20 スライドブロック
20b 連結軸部
21 弾性リング
22 捻りコイルばね
23 可動接点
24 タ−ミナルベ−ス
25 固定接点
26 圧縮ばね
27 切込溝
27a ストッパ−面
27b 凹溝
27c 係合溝
28 切込溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ノブの前後方向操作と回転操作とによってスイッチ切換えする切換スイッチにおいて、
操作ノブに戻り回転力を与える捻りばねと、
操作ノブの押し込み位置を保ち、その押し込み位置で操作ノブの回転を許容すると共に、回転させた操作位置で操作ノブの引き出しを可能とし、かつ、前記捻りばねによる戻り回転を阻止する操作規制部と、
操作ノブの引き出しに連動して切換え動作するスイッチ部とからなることを特徴とする切換スイッチ。
【請求項2】
操作ノブの前後方向操作と回転操作とによってスイッチ切換えする切換スイッチにおいて、
操作ノブに一体的に連結したシャフトと、このシャフトを回転可能に軸支させたケ−スと、操作ノブの押し込みに連動してオフ位置に、その引き出しでオン位置に切換えられるスイッチ部とを備え、
さらに、操作ノブに戻り回転力を与える捻りばねと、
前記シャフトに設けた規制突部と前記ケ−スに設けた切込溝とで形成した操作規制部とを設け、前記操作規制部によって操作ノブの押し込み位置を保ち、その押し込み位置で操作ノブの回転を許容すると共に、回転させた操作位置で操作ノブの引き出しを可能とし、かつ、前記捻りばねによる戻り回転を阻止する構成としたことを特徴とする切換スイッチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した切換スイッチにおいて、
操作ノブに引き出し方向のばね勢力を与える圧縮ばねを設け、操作ノブの引き出し方向に加わるこの圧縮ばねのばね勢力を前記捻りばねの戻り回転力に対して弱く設定したことを特徴とする切換スイッチ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載した切換スイッチにおいて、
ケ−ス内面には、前記シャフトの軸方向に対して直交する方向に形成したストッパ−面を有する凹溝と前記シャフトの軸方向に形成した係合溝とを一連に形成した切込溝を設け、
シャフトに設けた前記規制突部を前記ストッパ−面に当接させて操作ノブの押し込み位置を保ち、かつ、前記凹溝によって操作ノブの回転を許容し、前記規制突部を前記係合溝に係合させて操作ノブの引き出しを可能にし、かつ、前記捻りばねによる操作ノブの戻り回転を阻止する操作規制部を備えたことを特徴とする切換スイッチ。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載した切換スイッチにおいて、
操作ノブの前後方向の操作に連動し、その回転操作に非連動となるようにして前記シャフトに連結したスライドブロックと、
前記スライドブロックを前記シャフトの軸方向に移動可能として収納させたタ−ミナルベ−スとを備え、
前記スライドブロックに設けた可動接点をタ−ミナルベ−スの固定接点に接続可能としたことを特徴とする切換スイッチ。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載した切換スイッチにおいて、
操作ノブの回転操作に連動し、その前後方向の操作に非連動となるようにして前記シャフトに連結したロ−タ−を設け、
前記捻りばねの一端を前記ケ−スに、その他端を前記ロ−タ−に各々係合させたことを特徴とする切換スイッチ。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれかに記載した切換スイッチにおいて、
前記シャフトの外周に防水用及び防塵用の弾性リングを設けたことを特徴とする切換スイッチ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−40606(P2006−40606A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215467(P2004−215467)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】