説明

切断工具の集塵装置

【課題】例えば卓上形の切断工具において、切断により発生する切断粉を集塵するための集塵装置を備えたものが提供されているが、従来回転刃具の回転により発生する風の流れのみを利用して集塵する構成であったので、集塵力が十分でない場合があった。本発明では、集塵力を高めることを目的とする。
【解決手段】集塵容器31に、電動モータ33で集塵ファン34を回転させて強制的に集塵する自己集塵機能32を備えた構成とする。この自己集塵機能32により集塵するための風の流れを従来より強くして集塵力を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば卓上形の切断工具を用いて切断加工を行う際に発生する切断粉を集塵するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献には、卓上形の切断工具に装備された集塵装置に関する技術が開示されている。これら集塵装置は、円形の鋸刃の上部を覆う固定カバーの後部に装備されたダストバックあるいはダストボックス(以下、単に集塵容器と総称する。)を主体とするもので、鋸刃の回転によって切断部位から吹き上げられた切断粉を、当該鋸刃の回転により発生する風の流れを利用して集塵容器内にそのまま吹き込ませて集塵する構成となっていた。
このように切断部位で発生する切断粉を集塵装置で集塵することにより、切断部位若しくはその周辺に切断粉が堆積することを防止でき、これにより精確な切断加工を迅速に行うことができるとともに、良好な作業環境を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−279609号公報
【特許文献2】特開2006−88539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の集塵装置にもさらに改良を加える必要があった。上記したように従来の集塵装置は、回転する鋸刃により発生する風の流れを利用して集塵する構成であったので、集塵能力(集塵効率)が十分ではない場合があった。
本発明では、集塵容器内への集塵能力をより高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成の集塵装置とした。
請求項1記載の集塵装置によれば、集塵口に接続した集塵容器は自己集塵機能(集塵用の風の流れを発生させるための自前の機能)を備えている。このため、切断部位で発生した切断粉は、鋸刃の回転により発生する風の流れによって集塵容器内に集塵される他、この自己集塵機能により発生する強い風の流れによっても集塵容器内に強制的に集塵されるので、当該集塵装置の集塵能力を従来よりも格段に高めることができる。
集塵容器には、例えばプラスチック製の箱体をなすダストボックスを用いる他、布製袋のダストバックを用いることもできる。
請求項2記載の集塵装置によれば、集塵ファンの回転により集塵容器内への風の流れを発生させて効率のよい集塵を行うことができる。
請求項3記載の集塵装置によれば、切断工具側を起動させるとこれに連動して集塵装置の自己集塵機能が作動し、切断工具側を停止させるとこれに連動して自己集塵機能が作動を停止することから、別途特別の起動停止操作をすることなく当該集塵装置を機能させることができ、これにより当該集塵装置の使い勝手を高めることができる。
請求項4記載の集塵装置によれば、集塵装置の切断工具側に対する連動、非連動を切り換えることができるので、作業形態に合わせて当該集塵装置を様々な状態で使用することができる。
請求項5記載の集塵装置によれば、切断工具の集塵口に取り付けて切断加工時の集塵を行うことができる他、切断加工終了後に切断工具から取り外して掃除機として利用することができ、この点で当該集塵装置の使用形態の幅を拡げることができる。
請求項6記載の集塵装置によれば、集塵容器を切断工具に対して取り付け、取り外しすると自動的に電源供給、電源遮断がなされることから、別途専用の電源コードをコンセントに接続し、逆にコンセントから抜く操作をすることなく当該集塵装置を使用することができ、この点で当該集塵装置の操作性若しくは使い勝手を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の第1実施形態に係る集塵装置を備えた切断工具の全体側面図である。本図は、使用者から見て左側面を示している。
【図2】本発明の第1実施形態に係る集塵装置を備えた切断工具の全体平面図である。
【図3】第1実施形態の集塵装置を備えた切断工具の全体側面図である。本図は、使用者から見て右側面を示しており、図1とは反対側の側面を示している。
【図4】第1実施形態のダストボックスの右側面図である。
【図5】第1実施形態のダストボックスの内部構造を左側から見た側面図である。
【図6】第1実施形態のダストボックスの平面図である。
【図7】第1実施形態の集塵装置の電源回路図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る集塵装置を備えた切断工具の全体平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る集塵装置の側面図である。本図は、切断工具から取り外した状態を示している。
【図10】第2実施形態の集塵装置の電源回路図である。
【図11】第3実施形態の集塵装置の電源回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を図1〜図11に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係る集塵装置30を備えた切断工具1の全体を示している。以下説明する実施形態は、切断加工により発生する切断粉を集塵するための集塵装置30に特徴を有するもので、これが装備される切断工具1の基本的な構成については公知の構成が用いられている。
先ず、切断工具1の基本的構成を簡単に説明する。図1に示すようにこの切断工具1は、いわゆる卓上形の丸鋸盤で、切断材Wを載置する概ね円形のテーブル2と、テーブル2を回転可能に支持するベース3と、テーブル2の後部に設けた本体支持部4と、本体支持部4を介してテーブル2の上方に支持された切断機本体10を備えている。図1において、この切断工具1の右側に使用者が位置する。以下、部材及び構成等の前後方向については、使用者から見て手前側(図1において右側)を前側とし、切断が進行する方向(図1において左側)を後ろ側とする。また、左右方向についても使用者を基準とする。従って、図2では上側を右側とし、下側を左側として説明する。
テーブル2は、ベース3上に水平回転可能に支持されている。テーブル2の回転位置は、ロックノブ2aを緩め、あるいはロックレバー2bを解除することにより変更することができる。テーブル2の回転位置を変更することにより、切断材を平面視で様々な角度で切断加工することができる。テーブル2の上面側には、切断材Wをテーブル面方向に位置決めするための位置決めフェンス5が配置されている。この位置決めフェンス5は、テーブル2の左右側方に張り出すベース3の左右補助テーブル部3a,3a間に跨って取り付けられている。この位置決めフェンス5とテーブル2の上面との間には僅かな隙間が設けられている。
【0008】
テーブル2の後部に設けた本体支持部4は、上下2段の前後スライド機構6,8と左右傾動機構7を備えている。下段側の前後スライド機構6は、テーブル2の後部に対して前後にスライド自在に支持された左右一対のスライドバー6a,6aを主体としている。スライドバー6a,6aの後端部に左右傾動機構7が支持されている。左右傾動機構7は、両スライドバー6a,6aの後端に取り付けられた傾動受け部材7aと、この傾動受け部材7aに対して図示省略した前後方向の回動軸を介して結合された傾動支持部材7bを備えている。傾動受け部材7aに対する傾動支持部材7bの傾動位置は、固定レバー7cを緩めることにより調整することができる。この左右傾動機構7は、直角切り位置と例えば左右45°傾斜切り位置に精確かつ迅速に位置決めできる位置決め機構を内装している。また、その他の任意の傾斜角度についても固定できるようになっている。この左右傾動機構7によって、切断機本体10を左右に傾斜させることにより、回転刃具14を切断材Wに対して斜めに切り込む傾斜切り加工を行うことができる。
傾動支持部材7bの上部には、本体支持アーム7dが上方へ延びる状態に設けられている。本体支持アーム7dの上部に上段側の前後スライド機構8が支持されている。上段側の前後スライド機構8も下段側の前後スライド機構6と同様、左右一対のスライドバー8a,8aを主体としている。両スライドバー8a,8aは、本体支持アーム7dの上部に設けたスライド支持部8bに対して相互に平行で前後にスライド自在に支持されている。上下2段の前後スライド機構6,8は、相互に平行かつ独立して前後にスライド動作可能となっている。上段側の前後スライド機構8における両スライドバー8a,8aの後端部は、後端結合ブロック8cを介して相互に結合されている。両スライドバー8a,8aの前端部は、本体支持ブラケット11を介して相互に結合されている。この本体支持ブラケット11に本体支軸12を介して切断機本体10が上下に傾動可能に支持されている。切断機本体10は、図示省略したばねによって上方へ付勢されている。図1は、切断機本体10がこのばね付勢力に抗して下方の切断位置に押し下げ操作された状態を示している。
切断機本体10を下方へ傾動させて回転刃具14を切断材Wに切り込むことにより当該切断材Wを切断加工することができる。また、切断機本体10を下方へ傾動させた状態で上下二段の前後スライド機構6,8により当該切断機本体10を切断材Wの面方向に沿って後方へスライドさせることにより大型の切断材Wを切断加工することができる。
【0009】
切断機本体10は、本体ケースHを備えている。本体ケースHは、後部の支持部19とその上部の集塵ノズル18と前部のブレードケース15を一体に備えている。支持部19の後端部が本体支軸12を介して本体支持ブラケット11に回動可能に支持されることによって本体ケースHの全体が上下に傾動可能に支持されている。本体ケースHの前部に設けた半円形のブレードケース15に上側ほぼ半周の範囲を覆われた状態で円形の回転刃具14が回転可能に支持されている。本体ケースHの右側部に電動モータ13が取り付けられている。この電動モータ13を駆動源として回転刃具14が回転する。電動モータ13は、その基部付近から引き出した電源コード25を介して電源回路に供給される交流電源を電源として回転する。
図1において回転刃具14は時計回り方向に回転する。このため、切断材Wに対して回転刃具14の刃先が切り込まれる切断部位Cでは、図1中白抜きの矢印で示すように刃先が下から上に向かって移動することとなり、切断加工に伴って発生する切断粉は切断部位Cから上方へ吹き上げられる。
本体ケースHの前部には、可動カバー20が支持されている。この可動カバー20は、ブレードケース15に対して上下に回転可能に支持されている。この可動カバー20は、切断機本体10の上下動作に連動して回転する。切断機本体10が上方の待機位置に位置する状態では、ブレードケース15から下方へ突き出された回転刃具14の下側ほぼ半周の範囲がこの可動カバー20で覆われる。切断機本体10を下方へ押し下げると、可動カバー20が図1において反時計回りに回転して徐々に開かれていく。図1は切断機本体10が下限位置まで押し下げられて可動カバー20が大きく開けられた状態を示している。
本体ケースHの右側部に使用者が把持する操作ハンドル16が一体に設けられている。操作ハンドル16はループ形を有しており、その内周側にスイッチレバー17が設けられている。使用者が操作ハンドル16を把持した手の指先でこのスイッチレバー17を引き操作すると操作ハンドル16に内装したメインスイッチ17a(図7)がオンし、これにより電動モータ13が起動して回転刃具14が回転する。また、使用者は操作ハンドル16を把持して切断機本体10を上下に傾動操作することができる。操作ハンドル16の後方には持ち運び用のハンドル16aが設けられている。この持ち運びハンドル16aは、本体ケースHのブレードケース15と集塵ノズル18間に跨って設けられている。図1に示すようにこの持ち運びハンドル16aは、切断機本体10を下限位置まで傾動させるとほぼ水平に位置する。使用者は、切断機本体10を下限位置にロックして高さ方向をコンパクトにした状態でこの持ち運びハンドル16aを把持して当該切断工具1を持ち運ぶことができる。また、当該切断工具1は、その不使用時には切断機本体10を下限位置にロックして高さ方向にコンパクトにした状態で保管しておくことができる。
【0010】
操作ハンドル16の側部には、スミ線合わせ用のレーザースイッチ23が配置されている。このレーザースイッチ23をオンすると、ブレードケース15の前部に取り付けたレーザー発振器24からレーザー光がテーブル2上の切断材Wに向けて照射される。照射されたレーザー光にスミ線を位置合わせすることによって、切断材Wのテーブル2上での位置決めを迅速かつ精確に行うことができる。
本体ケースHの支持部19の下部であって切断部位Cの上方には、集塵ガイド21が設けられている。この集塵ガイド21は、切断機本体10を押し下げると支持部19から下方へ張り出して切断部位Cのほぼ真上に位置する。この集塵ガイド21によって、切断部位Cから吹き上げられた切断粉が効率よく集塵されて周囲へ飛散することが防止される。
集塵ガイド21で集塵された切断粉は、回転刃具14の回転により発生する風の流れに乗って上方へ吹き上げられて本体ケースHの支持部19内を経て集塵ノズル18内に吹き込まれる。この集塵ノズル18に、第1実施形態の集塵装置30の集塵容器31が接続されている。
集塵容器31は、プラスチック製の箱体をなすダストボックスで、その前部に設けた接続口31a内に集塵ノズル18を差し込むことにより切断機本体10の後部に接続されている。この集塵容器31の詳細が図4〜図6に示されている。図6に示すように、この集塵容器31は左半割り部31Lと右半割り部31Rを相互に突き合わせた左右半割り構造を有している。左右の半割り部31L,31Rの前部間に、回動支持部31bを介して接続口31aが上下に首振り可能に支持されている。接続口31a内に吹き込まれた切断粉は、左右半割り部31L,31R間の空間部であって当該集塵容器31内に吹き込まれる。
【0011】
この集塵容器31の後部には、自己集塵機能32が備え付けられている。この自己集塵機能32は、電動式の集塵モータ33と集塵ファン34と集塵フィルタ35を備えている。集塵モータ33と集塵ファン34は、当該集塵容器31の後部に取り付けた吸塵ケース36のそれぞれモータケース部36aとファンケース部36b内に収容されている。この吸塵ケース36を介して集塵容器31内から区画されたスペース内に集塵モータ33と集塵ファン34が収容されて、これらの切断粉による作動不良等の不具合が未然に防止されている。吸塵ケース36の後部側であってそのモータケース部36aの後部側は当該集塵容器31の後面から突き出されている。また、ファンケース部36bの左側部も集塵容器31の左側部からはみ出ており、集塵ファン34の大径化が図られている。モータケース部36aとファンケース部36bのはみ出し部分と集塵容器31との間は気密に閉塞されている。
ファンケース部36bの前部に設けた開口部36cに円筒形の集塵フィルタ35が取り付けられている。この集塵フィルタ35は、円筒形のフレーム35aの周囲に微細な網目状のフィルタ本体35bを巻き付けた構成を備えている。
この自己集塵機能32によれば、集塵モータ33が起動すると集塵ファン34が回転する。回転する集塵ファン34によって、接続口31aを経て当該集塵容器31内に吹き込む方向の風の流れが強制的に発生する。この自己集塵機能32による風の流れが回転刃具14の回転により発生する風の流れに付加されてより強い風の流れとなり、これにより切断部位Cで発生した切断粉が集塵ガイド21及び集塵ノズル18を経て一層効率よく集塵容器31内に集塵される。集塵容器31内に集塵された切断粉はその底部に堆積される。集塵容器31の底部に堆積した切断粉は、当該集塵容器31の底部に支軸37aを介して開閉可能に設けた底蓋37を開放することにより廃棄することができる。
また、集塵ファン34の回転により発生する風の流れは集塵フィルタ35を通過するため、集塵容器31内に集塵された切断粉は集塵フィルタ35で遮断されて吸塵ケース36内に侵入せず、これにより集塵モータ33及び集塵ファン34の作動不良が未然に防止されて当該自己集塵機能32の高い耐久性が確保されている。
吸塵ケース36のファンケース部36b内は、排気口38に連通されている。集塵ファン34の回転により吸塵ケース36内に吸気された風の流れは、この排気口38を経て外部に排気される。
【0012】
次に、本例の集塵装置30の電源回路50について説明する。集塵容器31の接続口31aには、電源コネクタ部39が設けられている。この電源コネクタ部39は、配線39bを介して集塵モータ33に接続されている。電源コネクタ部39に対向して切断機本体10側の集塵ノズル18には、コネクタ受け部22が設けられている。このコネクタ受け部22は図示省略した配線を経て電源回路50に接続されている。集塵容器31を切断機本体10側に取り付けるために接続口31a内に集塵ノズル18を差し込むと、これに伴って電源コネクタ部39の端子39a,39aがコネクタ受け部22に差し込まれて電気的に結合される。図7に電源回路50の概要が示されている。この電源回路50では、電源コネクタ部39がコネクタ受け部22に結合されると、集塵モータ33が切断機本体10側の電源回路に接続されて電源供給可能な状態となる。切断機本体10の電源回路50には交流電源が供給されている。このためスイッチレバー17を引き操作するとこの電源回路50がオンになって電動モータ13が起動し、従って回転刃具14が回転する。これとともに、スイッチレバー17がオン操作されると、電源コネクタ部39とコネクタ受け部22の結合を経て集塵装置30に電源が供給されて集塵モータ33が起動し、従って集塵ファン34が回転し始める。
切断加工終了後にスイッチレバー17の引き操作を止めると電源回路50はオフになって電動モータ13が停止し、従って回転刃具14が停止するとともに、集塵モータ33が停止し、従って集塵ファン34が停止する。このように、集塵装置30の集塵モータ33と、切断機本体10の電動モータ13が電源回路50に並列に組み込まれているため、当該集塵装置30は切断機本体10に連動して起動し、逆に連動して停止する。このため、当該集塵装置30について特別のオンオフ操作をすることなく、確実に機能させることができる。
【0013】
以上のように構成した第1実施形態の集塵装置30によれば、切断部位Cから上方へ吹き上げられた切断粉が先ず集塵ガイド21に集塵される。集塵ガイド21に集塵された切断粉は、回転刃具14の回転により発生する風の流れに乗って上方へ流されることにより集塵ノズル18内に吹き込まれる。集塵ノズル18内に吹き込まれた切断粉は集塵ノズル18に接続された集塵容器31内に堆積される。
しかも、本例の集塵装置30は、集塵容器31に自己集塵機能32を備えている。この自己集塵機能32によれば、回転刃具14が回転する切断機本体10の起動状態では、集塵モータ33を駆動源として集塵ファン34が回転し、これにより接続口31aから排気口38に向かう強い風の流れが発生する。この集塵ファン34の回転により発生する強い風の流れが、回転刃具14の回転により発生する風の流れに付加されて、切断部位Cで発生した切断粉がより強制的に集塵容器31内に集塵され、これにより当該集塵装置30の集塵能力を格段に高めることができる。
以上説明した第1実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、接続口31aに電源コネクタ部39を設け、集塵ノズル18にコネクタ受け部22を設けて、接続口31aに集塵ノズル18を差し込むと、自動的に電源コネクタ部39がコネクタ受け部22に結合されて自己集塵機能32に電源供給可能な状態となる構成を例示したが、集塵ノズル18に対する接続口31aの接続操作とは別の操作によって電源コネクタ部をコネクタ受け部22に結合して自己集塵機能32に対する電源供給状態とする構成としてもよい。この構成によれば、自己集塵機能32を停止させた状態で集塵容器31を利用することができる。
【0014】
図8〜図10には第2実施形態の集塵装置40が示されている。第2実施形態の集塵装置40は、集塵容器41を切断機本体10側から取り外して単独で使用するための機能を備えている。このため、第2実施形態の集塵装置40は、主として集塵モータ33に対する電源の取り方及び使用形態が拡大されている点で第1実施形態の集塵装置30とは異なっている。従って、集塵容器41の主たる構成については第1実施形態と同様であるので以下の説明及び図面では同位の符号を用いて説明を省略する。また、切断工具1についても変更を要しない部材及び構成については同位の符号を用いて説明を省略する。
集塵容器41の前部には、第1実施形態と同様、接続口31aが上下に一定の角度範囲で首振り可能に設けられている。この接続口31aの内周側に集塵ノズル18を差し込んで、当該集塵容器41を切断機本体10側に取り付けることができる。
第2実施形態の集塵容器41では、第1実施形態とは異なって接続口31aに電源コネクタ部39は設けられていない。また、切断機本体10の集塵ノズル18にもコネクタ受け部22は設けられていない。集塵容器41の右側部には、集塵スイッチ42が配置されており、その前側からは伸縮自在なカールコード43が引き出されている。このカールコード43は集塵モータ33に接続されている。カールコード43の先端には、3本端子のコンセント43aが設けられている。
図8に示すように当該集塵容器41を切断機本体10側に取り付けて使用する場合には、カールコード43のコンセント43aを切断機本体10に設けたコンセント受け部44に接続する。これにより集塵モータ33が切断機本体10側の電源回路51に接続される。第2実施形態の電源回路51には、上記集塵スイッチ42の他に、連動/非連動の切り換えスイッチ46が介装されている。この切り換えスイッチ46は、操作ハンドル16の側部であってレーザースイッチ23の右側に配置されている。また、操作ハンドル16には、スイッチレバー17によってオンオフされる2極単投タイプのメインスイッチ17bが組み込まれている。
【0015】
第1実施形態と同じく、電動モータ13の基部付近からは電源コード25が引き出されている。この電源コード25を介して交流電源が電源回路51に供給される。電源回路51の概要が図10に示されている。集塵容器41をダストノズル18に取り付けてカールコード43をコンセント受け部44に接続すると、集塵装置40側の集塵モータ33と集塵スイッチ42が電源回路51側に接続される。電源回路51では、連動/非連動の切り換えを行う切り換えスイッチ46とメインスイッチ17bと電動モータ13が組み込まれている。スイッチレバー17を引き操作するとメインスイッチ17bがオンして電動モータ13が起動し、これにより回転刃具14が回転する。また、図10に示すように切り換えスイッチ46が連動側に切り換えられた状態でスイッチレバー17を引き操作すると、上記したように電動モータ13が起動して回転刃具14が回転するとともに、集塵モータ33が起動して当該集塵装置40が連動して起動状態となる。
これに対して切り換えスイッチ46を非連動側に切り換えた状態で、スイッチレバー17を引き操作した場合には、電動モータ13が起動して回転刃具14が回転するが、集塵装置40は起動しない。この場合は、必要に応じて別途集塵スイッチ42をオン操作した時点で集塵モータ33が起動して集塵容器41内に粉塵等を強制集塵することができる。スイッチレバー17を引き操作して回転刃具14を回転させた切断機本体10の起動状態であっても、集塵スイッチ42をオフ操作すれば集塵モータ33を停止させて当該集塵装置40の作動を停止させることができる。
このように第2実施形態の集塵装置40によれば、切り換えスイッチ46によって、当該集塵装置40を切断機本体10の動作に連動させる状態と連動させない非連動状態とに切り換えることができ、これにより当該集塵装置40の使い勝手を切断作業に合わせて一層高めることができる。
【0016】
さらに、第2実施形態の集塵装置40は、集塵容器41を切断機本体10側から取り外して単独で使用することができる。集塵容器41は、その接続口31aを集塵ノズル18から外すことにより切断機本体10側から取り外すことができる。これに合わせてカールコード43のコンセント43aを切断機本体10側のコンセント受け部44から抜き取れば、当該集塵装置40を切断工具1から完全に分離した状態とすることができる。図9に示すように分離した集塵装置40は、当該切断機1とは離れてハンディクリーナとして単独で使用することができる。この場合、カールコード43のコンセント43aを2極端子用のアダプタを装着して電源差し込み口45に接続することにより集塵モータ33へ電源供給可能な状態となる。この電源供給状態で、集塵スイッチ42をオン操作すれば、集塵モータ33が起動する。集塵モータ33が起動すると集塵ファン34が回転することから、接続口31aから排気口38に至る風の流れが発生し、従って接続口31aに吸引力が発生する。従って、使用者は当該集塵容器41を手に持って任意の場所で、例えば作業台47上の粉塵を接続口31aから吸引することができ、当該集塵装置40をハンディクリーナとして利用することができる。
集塵スイッチ42をオフ操作すれば、集塵モータ33を停止させて当該集塵装置40を切断工具1とは別に保管しておくことができる。
以上のように構成した第2実施形態の集塵装置40によれば、切断工具1に取り付けて切断部位Cから吹き上げられた切断粉を強制的に集塵する集塵装置として機能させることができ、この集塵装置40の動作を切り換えスイッチ46によって切断機本体10側に連動する連動状態と連動しない非連動状態とに切り換えることができるので、作業形態に合わせて当該集塵装置40の使い勝手を一層高めることができる。
また、第2実施形態の集塵装置40は切断工具1から取り外してハンディクリーナとして単独で使用することができ、これにより作業場の清掃等を行うことができる等当該集塵装置40の使用範囲を拡大することができる。
【0017】
上記第2実施形態に係る集塵装置40の電源回路51にはさらに変更を加えることができる。図11には、第3実施形態の電源回路52が示されている。切断工具1及び集塵装置40の機械的構成そのものは第2実施形態と同様であるので同位の符号を用いてその説明を省略する。
第3実施形態の場合、カールコード43の先端には、2本端子のコンセント43bが取り付けられている。集塵装置40を切断機本体10側に取り付けて用いる場合には、この2本端子のコンセント43bが切断機本体10側のコンセント受け部48に接続される。第3実施形態の場合このコンセント受け部48には2本端子に対応したものが用いられている。この第3実施形態の場合は、電源回路52の切断機本体10側において連動側と非連動側が導通されている。このため、第3実施形態では連動、非連動の双方について集塵スイッチ42をオン操作することにより集塵装置40を作動させる構成となっている。この点第2実施形態では、切り換えスイッチ46を非連動に切り換えて当該集塵装置40を独立して作動させる場合に集塵スイッチ42をオン操作すればよく、切り換えスイッチ46を連動側に切り換えた状態では当該集塵スイッチ42の操作状態に関係なく当該集塵装置40が切断機本体10側に連動して作動する構成となっていた。
第3実施形態の集塵装置40の場合は、切断機本体10から取り外してハンディクリーナとして単独で利用する場合に、カールコード43のコンセント43bを第2実施形態のような端子数変換用のアダプタを用いることなく直接電源差し込み口45に接続することができ、この点で第2実施形態よりも使い勝手を高めることができる。
以上説明した3実施形態には様々な変更を加えることができる。例えば、上下2段の前後スライド機構6,8を備えたスライド形の卓上切断工具1を例示したが、係るスライド機構を一段だけ備えるもの、あるいは全く備えない切断工具であっても例示した集塵装置30,40を同様に適用することができる。
例示した自己集塵機能32により十分な集塵力を得られるならば、場合によっては集塵ガイド21を省略してもよい。
【符号の説明】
【0018】
1…切断工具
2…テーブル
2a…ロックノブ、2b…ロックレバー
3…ベース、3a…補助テーブル
4…本体支持部
5…位置決めフェンス
6…前後スライド機構(下段側)、6a…スライドバー
7…左右傾動機構
7a…傾動受け部材、7b…傾動支持部材、7c…固定レバー、7d…本体支持アーム
8…前後スライド機構(上段側)
8a…スライドバー、8b…スライド支持部、8c…後端結合ブロック
10…切断機本体
C…切断部位
H…本体ケース
11…本体支持ブラケット
12…本体支軸
13…電動モータ
14…回転刃具
15…ブレードケース
16…操作ハンドル、16a…持ち運ぶハンドル
17…スイッチレバー、17a…メインスイッチ
18…集塵ノズル
19…支持部
20…可動カバー
21…集塵ガイド
22…コネクタ受け部
23…レーザースイッチ
24…レーザー発振器
25…電源コード
30…集塵装置(第1実施形態)
31…集塵容器、31L…左半割り部、31R…右半割り部
31a…接続口、31b…回動支持部
32…自己集塵機能
33…集塵モータ
34…集塵ファン
35…集塵フィルタ、35a…フレーム、35b…フィルタ本体
36…吸塵ケース、36a…モータケース部、36b…ファンケース部
37…底蓋、37a…支軸
38…排気口
39…電源コネクタ部、39a…端子、39b…配線
40…集塵装置(第2実施形態)
41…集塵容器
42…集塵スイッチ
43…カールコード
43a…コンセント(3極端子)、43b…コンセント(2極端子)
44…コンセント受け部(3極端子)
45…電源差し込み口
46…連動/非連動の切り換えスイッチ
47…作業台
48…コンセント受け部(2極端子)
50…電源回路(第1実施形態)
51…電源回路(第2実施形態)
52…電源回路(第3実施形態)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する刃具を備えた切断工具の集塵装置であって、前記鋸刃の上部を覆う固定カバーの集塵口に接続した集塵容器を主体とし、当該集塵容器に切断粉を強制的に集塵するための自己集塵機能を備えた集塵装置。
【請求項2】
請求項1記載の集塵装置であって、前記自己集塵機能は、集塵モータと該集塵モータにより回転する集塵ファンを備えた集塵装置。
【請求項3】
請求項2記載の集塵装置であって、前記自己集塵機能は、前記切断工具側の動作に連動して作動する集塵装置。
【請求項4】
請求項3記載の集塵装置であって、前記自己集塵機能は、前記切断工具側の動作に連動する状態と連動しない状態とに切り換え可能な構成とした集塵装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載した集塵装置であって、前記集塵容器は、前記集塵口から取り外して前記自己集塵機能により単独で利用可能な集塵装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載した集塵装置であって、前記集塵容器を前記集塵口に接続すると前記切断工具側から前記自己集塵機能側に電源供給され、前記集塵容器を前記集塵口から取り外すと前記切断工具側から前記自己集塵機能側への電源供給が遮断される構成とした集塵装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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