説明

切断工具

【課題】駆動力を発生する工具本体と、工具本体の前方から突出し且つ駆動力により突出前後方向に往復動させて切断材を切断するブレードとを備える切断工具において、ブレードに対する近接位置に切り粉を吸引する機能を持たせたものとする。
【解決手段】工具本体の前方から突出して工具本体に対する相対位置を変位させることにより切断材に当てることのできるブレードの領域を設定するシュー40を備える。このシュー40が具備するシュー本体41には、ブレードにて切断される切断材の切り粉を集塵するために、外部に設けられた集塵機の吸引作用を受ける吸引開口部45,461,465が設けられている。この吸引開口部45,461,465から吸引された切断材の切り粉は、集塵機の吸引作用を受けて、切り粉搬送用の搬送通路48を通り、排出開口部47から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モータを内蔵して駆動力を発生する工具本体に対し、工具本体の前方から突出させるようにブレードを取り付けて、駆動モータの駆動力により突出前後方向に往復動させて切断材を切断する切断工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般にレシプロソーと称される切断工具が知られている(例えば、特許文献1参照)。このレシプロソーは、概略、駆動モータを内蔵して駆動力を発生する工具本体と、この工具本体の前方から突出して駆動力により突出前後方向に往復動させて切断材を切断するブレードとを備える。このレシプロソーは、ブレードの往復動させることによって切断材を切断することができる。なお、この種の工具本体に取り付けられるブレードは、付替え可能とされる消耗品となっている。
一方、このようなレシプロソーにあっては、工具本体の前方に切断補助具が取り付けられている。この切断補助具は、一般にシューと称されており、工具本体に対して前方に突出する相対位置を変位させることができるように構成される。この切断補助具が取り付けられた切断工具によれば、工具本体に対して前方に突出する切断補助具の相対位置を決めることにより、切断材に当てれるブレードの領域を設定することができる。すなわち、ブレードの前端部分のみで切断材を切断したい場合には、工具本体に対してシューの突出する位置をなるべく前方位置に設定する。そうすると、シューよりも前方に突出するブレードの領域をブレードの前端部分のみに設定することができる。これによって、ブレードの前端部分のみで切断材を切断することができて、工具使用者の任意に応じてブレードの刃を偏ることなく満遍なく使用することができるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−319542
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他方、上記したレシプロソーにあっても、一般的な切断工具と同様、切断材を切断する場合に、切断材から鋸屑としての切り粉が生じる。このため、上記したレシプロソーにあっても、一般的な切断工具と同様、作業者の衛生上の観点から生じた切り粉を吸引する機能を持たせておきたいという要請がある。
しかしながら、上記したようなレシプロソーにあっては、ブレードのみを最前方に突出させておきたい構成であるために、切断材を切断するブレードに対する近接位置に切り粉を吸引する機構を配設するのは困難なものとなっていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、駆動モータを内蔵して駆動力を発生する工具本体と、該工具本体の前方から突出し且つ前記駆動力により突出前後方向に往復動させて切断材を切断するブレードとを備える切断工具において、ブレードに対する近接位置に切り粉を吸引する機能を持たせたものとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係る切断工具は次の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1の発明に係る切断工具は、駆動モータを内蔵して駆動力を発生する工具本体と、該工具本体の前方から突出するように付替え可能に設けられ且つ前記駆動力により突出前後方向に往復動させて切断材を切断するブレードとを備える切断工具であって、前記工具本体の前方から突出して該工具本体に対する相対位置を変位させることにより切断材に当てれるブレードの領域を設定する切断補助具を備え、前記切断補助具には、前記ブレードにて切断される切断材の切り粉を集塵するために、外部もしくは前記工具本体に設けられた集塵機の吸引作用を受ける吸引開口部が設けられていることを特徴とする。なお、前記切断補助具としては、一般的にシューと称されるものであり、切断材を切断するにあたって切断を補助する機能を有するものである。
この第1の発明に係る切断工具によれば、切断補助具には、ブレードにて切断される切断材の切り粉を集塵するために吸引作用を受ける吸引開口部が設けられているので、吸引作用を受ける吸引開口部はブレードに最も近接する切断補助具に対して設けられたものとなる。このため、ブレードにて切断される切断材の切り粉は、このブレードに近接する位置にて効率良く切り粉を吸引することができる。
【0007】
第2の発明に係る切断工具は、前記第1の発明に係る切断工具において、前記吸引開口部から吸引された前記ブレードにて切断される切断材の切り粉を搬送する切り粉搬送用の搬送通路の少なくとも一部が、前記切断補助具自身により形成されていることを特徴とする。
この第2の発明に係る切断工具によれば、吸引開口部から吸引される切断材の切り粉を搬送する切り粉搬送用の搬送通路の少なくとも一部が、切断補助具自身により形成されているので、部材点数を増加させることなく、従前から設けられている切断補助具により切り粉搬送用の搬送通路を設けたものとすることができる。これによって、部材点数の増加を抑えることができて、製造コストを安価にしつつ、大きさもコンパクトなものとすることができる。
【0008】
第3の発明に係る切断工具は、前記第1または前記第2の発明に係る切断工具において、前記吸引開口部は、前記切断補助具を形成する壁部のうち少なくとも最前面に位置する前面壁部に対して設けられていることを特徴とする。
この第3の発明に係る切断工具によれば、吸引開口部は切断補助具を形成する壁部のうち少なくとも最前面に位置する前面壁部に対して設けられているので、生じた切断材の切り粉を吸引するにあたって、切断補助具のうち最も近接する部分から吸引することができる。これによって、生じた切断材の切り粉を吸引するにあたって、最も効率良く切り粉を吸引することができる。
【0009】
第4の発明に係る切断工具は、前記第1から前記第3のいずれかの発明に係る切断工具において、前記切断補助具を形成する壁部のうち前記ブレードの切断材に対する刃が向く方向の延長上の壁部には、前記搬送通路から送られてきた切断材の切り粉を外部に排出するための切り粉排出用の排出開口部が設けられており、前記排出開口部は、外部に設置された集塵機の吸引ホースと連結可能に構成されていることを特徴とする。
ここで、この種の切断工具にあっては、刃を重力方向下向きに向けた状態で切断材を切断するのが一般的である。このため、この第4の発明に係る切断工具のように、切断補助具を形成する壁部のうちブレードの切断材に対する刃が向く方向の延長上に切り粉排出用の排出開口部が設けられるので、生じた切断材の切り粉が吸引され、搬送され、そして排出されるという流れを、重力方向に逆らわない流れとすることができる。つまり、生じた切断材の切り粉の吸引、搬送、および排出という流れを、重力方向に沿った向きとできて、スムーズに切り粉を除去できるものとなる。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明に係る切断工具によれば、切断工具において、ブレードに近接する位置に切り粉を吸引する機能を持たせたものとすることができる。
第2の発明に係る切断工具によれば、部材点数の増加を抑えることができて、製造コストを安価にしつつ、大きさもコンパクトなものとすることができる。
第3の発明に係る切断工具によれば、生じた切断材の切り粉を吸引するにあたって、最も効率良く切り粉を吸引することができる。
第4の発明に係る切断工具によれば、生じた切断材の切り粉の吸引、搬送、および排出という流れを、重力方向に沿った向きとできて、スムーズに切り粉を除去できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】レシプロソーの外観を側面視にて示す側面図である。
【図2】図1に示すレシプロソーの外観を正面視にて示す正面図である。
【図3】シューの外観を正面視にて示す正面図である。
【図4】シューの外観を側面視にて示す側面図である。
【図5】図3におけるV−V断面矢視を示す断面図である。
【図6】図4におけるVI−VI断面矢視を示す断面図である。
【図7】シューの外観を下面視にて示す側面図である。
【図8】集塵機の吸引ホースが連結されている状態を示す一部切欠き断面図である。
【図9】図8に示す吸引ホースの連結の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明に係る切断工具を実施するための実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、切断工具としてのレシプロソー10の外観を側面視にて示す側面図である。図2は、図1に示すレシプロソー10の外観を正面視にて示す正面図である。図1および図2に示すレシプロソー10は、本発明に係る切断工具に相当するものである。このレシプロソー10は、概略、工具本体20と、ブレード30と、シュー40とを備える。
工具本体20は、図1に示すように、駆動モータ(不図示)を内蔵して駆動力を発生する部分である。工具本体20は、概略、ハウジング21と、このハウジング21内に装置される駆動機構部23と、操作ハンドル部25と、バッテリ部27とを備える。ハウジング21は、外装ケースとして機能するものであり、駆動機構部23等の電装部品を装置する。駆動機構部23は、図示においては簡略的に示すだけであるが、ハウジング21内に装置されるものであり、適宜の駆動モータおよび駆動力伝達機構を内蔵して構成される。この駆動機構部23は、前後方向(図1に示す左右方向)に延びる形状にて構成されている。この駆動機構部23の前端には、ブレード30を取り付けるための取付け部24が設けられている。この取付け部24は、駆動機構部23から適宜の駆動力伝達機構を介して往復動となる駆動力が伝達される。
操作ハンドル部25は、このレシプロソー10を操作するにあたり、工具使用者が手握りする部分である。このため、操作ハンドル部25は、工具使用者が手握りできるグリップ形状を有して形成される。この操作ハンドル部25には、この操作ハンドル部25の握り手の人差し指の位置に、操作トリガ26が配設されている。この操作トリガ26は、引き操作することにより、上記した駆動機構部23に対して駆動オンとする制御信号を送るように構成される。
バッテリ部27は、充電に可能とされるリチウムイオンバッテリ28を具備して構成される部分である。このバッテリ部27は、上記した駆動機構部23を駆動させるにあたっての電力を供給する部分である。なお、このバッテリ部27を構成するリチウムイオンバッテリ28は、専用充電器にて充電することができるように、取外し可能に構成される。なお、図1に示すように、このバッテリ部27の配置される側がレシプロソー10の下側として規定されている。
【0013】
ブレード30は、工具本体20の前方から突出するように配設される。具体的には、上記したように、駆動機構部23の前端に位置する取付け部24に、ブレード30の後端部31が取り付けられる。このブレード30は、図1においては適宜省略(前端部を不図示)して図示されているが、後端部31から前端部にかけて細長い板状に延びて形成されている。このブレード30は、この後端部31を取付け部24に取り付けている。また、この後端部31から前端部(不図示)に細長く延びるブレード30の下側には、切断材を切断するための刃35が形成されている。つまり、このレシプロソー10は、刃35を重力方向下向きに向けた状態で工具本体20を上から下へ動かし切断材を切断するものであるので、取付け部24に取り付けられるブレード30は、工具本体20のうちバッテリ部27配置側と一致する側の下側部分だけの片刃にて形成されている。このブレード30は、上記した駆動機構部23の駆動力により前後方向に往復動する。このため、往復動するブレードの刃35は、切断材に対して往復動するように当たって切断材を切断することができる。なお、このブレード30の前端部(不図示)は、後に説明する工具本体20の前方に配設されるシュー本体41よりも、さらに前方に配置されるものとなっている。このため、ブレード30は、シュー本体41に形成されるブレード貫通孔43(図3参照)を突き抜けて、シュー本体41よりも前方に突出して配設されるものとなっている。
【0014】
次に、本発明に係る切断補助具に相当するシュー40について説明する。このシュー40は、図1に示すように、工具本体20に支持されつつ工具本体20の前方から突出するように配設されるものである。また、このシュー40は、工具本体20に対する相対位置を変位させることができるように構成されている。このため、このシュー40は、工具本体20に対するシュー40の相対位置に応じて切断材に当てれるブレード30の切断領域を設定することができるものとなっている。
図3は、シュー40の外観を正面視にて示す正面図である。図4は、シュー40の外観を側面視にて示す側面図である。図5は、図3におけるシュー40のV−V断面矢視を示す断面図である。図6は、図4におけるシュー40のVI−VI断面矢視を示す断面図である。図7は、シュー40の外観を下面視にて示す側面図である。
シュー40は、図3および図4に示すように、概略、シュー本体41と、ステー部51と、これらシュー本体41とステー部51とを揺動可能に連結する軸部57とを備える。
シュー本体41は、上記したように切断材に対するブレード30の切断領域を設定するために配置されるものである。このため、シュー本体41は、工具本体20に対する相対位置を鑑みて、次に説明するステー部51に支持されて配置される。具体的には、シュー本体41は、図3〜図7に示すように、前後左右上下に各壁部42が形成されることにより構成される。このシュー本体41は、図3に示すように、最前面と一致する前側に前面壁部421が設けられ、左右側に左右側面壁部422,423が設けられ、上下側に上下面壁部424,425が設けられ、後側に後面壁部426が設けられて(図5参照)、内部を空洞化して構成される。なお、前後左右上下の各壁部42は、適宜の形状を有して形成される。
ここで、このシュー本体41には、上記した工具本体20の取付け部24に取り付けられたブレード30をシュー本体41から突き抜けて前方に突出させるように構成される。具体的には、図3等に示すように、シュー本体41の略中央個所から適宜左右幅を有しつつ上下方向に延びるようにブレード貫通孔43が形成されている。このブレード貫通孔43は、このシュー本体41を形成する壁部42のうち、前面壁部421と後面壁部426とを切り欠くようにして形成される。このように形成されたブレード貫通孔43には、このブレード貫通孔43の内部の若干上方位置からブレード30が突き抜けて配置されるものとなっている。詳しくは、ブレード30を配置した際のブレード貫通孔43のうちブレード30の刃35が当たる下側(切断方向)のクリアランスは、ブレード30の刃35が当たらない上側のクリアランスに比して大きなスペースとなるように設定されている。
【0015】
ところで、上記したシュー本体41には、ブレード30によって切断する際に切断材から生じる切り粉を集塵するために、吸引開口部45(451,452,453),461,465が設けられている。これらの吸引開口部45,461,465は、外部に設けられた不図示の集塵機の吸引作用を受けるものであり、シュー本体41の内外を連通状態とするように上記した適宜の壁部42に対して複数設けられている。
ここで、このシュー本体41は、上記した各壁部42により内部を空洞化して構成され、この空洞化したシュー本体41の内部は、これらの吸引開口部45,461,465から吸引された切断材の切り粉を排出開口部47に搬送するための切り粉搬送用の搬送通路48として形成されるものとなっている。つまり、後にも詳述するが、外部に設置される集塵機による吸引風(吸引作用)を受けて、切断材から生じた切り粉を吸引開口部45,461,465から吸引し、搬送通路48を通じて排出開口部47からシュー本体41外部に排出するものとなっている。
次に、上記した吸引開口部45,461,465について、詳細に説明する。
まず、図3に示すように、シュー40の最前面44を構成するシュー本体41の前面壁部421には、前面吸引開口部45が設けられている。この前面吸引開口部45は、上記したように切断材から生じた切り粉(鋸屑)のうち、シュー40の前方にて生ずる切り粉を有利に吸引するために形成される。具体的には、この前面吸引開口部45は、3つの開口部451,452,453を有して構成される。すなわち、前面吸引開口部45は、上記したブレード貫通孔43を跨いだ左右側位置に配設される第1前面吸引開口部451および第2前面吸引開口部452と、ブレード貫通孔43の下側位置に配設される第3前面吸引開口部453とにより構成される。この第1前面吸引開口部451および第2前面吸引開口部452は、互いに同様な形状にて形成されるものであり上下方向に延びる長孔形状にて形成される。なお、第1前面吸引開口部451および第2前面吸引開口部452が上下方向に延びる長さは、上記した上下方向にブレード貫通孔43の延びる長さに比して長く延びたものとなっている。また、第3前面吸引開口部453は、上記したブレード貫通孔43の下側位置において、正面視略長方形の孔にて形成される。なお、この第3前面吸引開口部453の左右幅は、ブレード貫通孔43と同様な長さに設定されている。このように形成された第1前面吸引開口部451、第2前面吸引開口部452、第3前面吸引開口部453は、上記したように配設されるブレード30の刃35に対して、相対的に下側に位置する部分がより大きく開口するように設定されている。なお、このように設定される理由としては、ブレード30の刃35に対して下側(重力方向)に位置する部分が、切り粉が切断材から多く生じる部分となっているからである。
【0016】
内側吸引開口部461は、図5および図6に示すように、上記したブレード貫通孔43を形成する左右側の内周部分に設けられる。具体的には、内側吸引開口部461は、ブレード貫通孔43を形成する左右側の内周部分のうち、上記したブレード30の刃35に対して相対的に下側に位置する部分が、シュー本体41の内外を連通状態とするように設けられている。なお、この内側吸引開口部461の開口形状は、次に説明する下側吸引開口部465と連なるようにして形成されている。
下側吸引開口部465は、図5および図6に示すように、上記したブレード貫通孔43を形成する下側の内周部分に設けられており、次に説明する排出開口部47の開口方向に沿うようにして設けられている。なお、この下側吸引開口部465の開口形状は、図5に示すように、上記した内側吸引開口部461と連なるようにして形成されており、この内側吸引開口部461から僅かに後側まで延びるように形成されている。
【0017】
排出開口部47は、図7に示すように、シュー本体41を形成する壁部42のうち、ブレード30の切断材に対する刃35が向く方向の延長上の壁部42となる下面壁部425に設けられている。この排出開口部47は、上記した吸引開口部45(451,452,453),461,465から吸引され搬送通路48から送られてきた切断材の切り粉を外部に排出するために設けられる。このため、この排出開口部47は、上記した切り粉搬送用の搬送通路48と連通状態となるように形成されるものとなっている。また、この排出開口部47は、次に説明する外部に設置された不図示の集塵機の吸引ホース60と連結可能に構成されている。
図8は、不図示の集塵機の吸引ホース60が連結されている状態を示す一部切欠き断面図である。すなわち、排出開口部47は、図8に示すように、吸引ホース60の接続口61を接続することができるような開口形状にて形成されている。具体的には、排出開口部47は、図7に示すように、吸引ホース60の接続口61の開口形状と一致する円形にて形成されている。なお、吸引ホース60にあっては、ホース本体62と、このホース本体62に対して接続口61の口向きを柔軟に変更することができる変形用蛇腹部63とを有する。この吸引ホース60の接続口61は、シュー本体41の排出開口部47に適宜に差し込まれることにより、互いは連結された状態となっている。
なお、図4および図7に示すように、このシュー本体41の左右側面壁部422,423の後側部分には、次に説明するステー部51に対してシュー本体41を連結するための取付け部49,49が形成されている。この取付け部49,49は、左右側面壁部422,423の後側部分を、さらに後側に延ばすようにして形成される。このように形成された取付け部49,49には、図6に示すように、左右方向に貫通する軸支孔491,491が設けられている。この軸支孔491,491には、次に説明するステー部51に対してシュー本体41を揺動可能に連結するための軸部57(571,572)が嵌挿されるものとなっている。なお、この軸部57(571,572)は、次に説明するステー部51に設けられる軸支孔531,531に対しても嵌挿されるようになっている。
【0018】
次に、上記した軸部57(571,572)を介してシュー本体41を揺動可能に連結するステー部51について説明する。
ステー部51は、軸部57(571,572)を介してシュー本体41を揺動可能に連結してシュー本体41を支持するものであり、従前より利用される構成を用いている。すなわち、ステー部51は、図4および図5に示すように、概略、スライド支持部52と、取付け部53とを備える。スライド支持部52は、図1に示すように、上記した工具本体20の内部(内部挿入口)に工具本体20が延びる前後方向に沿って挿入されて、工具本体20に支持されるものである。このため、スライド支持部52は、工具本体20の駆動機構部23が延びる前後方向に沿って延びるように形成されており、工具本体20に対して前後方向にスライドできるものとなっている。ここで、このスライド支持部52側端縁には、図5に示すように、上面部分に交互に凹凸が形成される山形部54が設けられている。この山形部54は、図1に示すように、工具本体20の内部に設けられた留め用の軸部29と嵌合する部分である。また、スライド支持部52の中間部分には、上下に貫通する複数の嵌合孔55が、工具本体20の前後方向に沿って等間隔で設けられている。この嵌合孔55は、工具本体20の内部に設けられた不図示の嵌合凸部と嵌合する。このように形成された嵌合孔55の嵌合と、山形部54と軸部29との嵌合とによって、スライドすることにより工具本体20に対する相対位置が変位するスライド支持部52の相対位置は決められて、工具本体20にて支持されるものとなっている。
取付け部53は、図4および図5に示すように上記したスライド支持部52の前端部分に延在するように形成され、図6に示すように適宜に折り曲げられるようにして形成される。このため、図6に示すように、取付け部53,53は、上記したシュー本体41の取付け部49,49と隣接するように配置されるものとなっている。この取付け部53,53には、上記したシュー本体41の取付け部49,49と同様に、左右方向に貫通する軸支孔531,531が設けられている。このステー部51の軸支孔531,531は、
シュー本体41の軸支孔491,491とともに軸部57(571,572)が嵌挿されるものとなっている。なお、このように嵌挿された軸部57(571,572)は、かしめられて、互いの軸支孔491,531から抜けないようになっている。このようにステー部51に連結されたシュー本体41は、ステー部51の前端部分の形状により、ステー部51に対して相対的に揺動するものとなっている。
【0019】
上記したように構成されたレシプロソー10によれば、次のような作用効果を奏することができる。
すなわち、上記したレシプロソー10によれば、シュー本体41には、ブレード30にて切断される切断材の切り粉を集塵するために吸引作用を受ける吸引開口部45(451,452,453),461,465が設けられているので、吸引作用を受ける吸引開口部45(451,452,453),461,465は、ブレード30に最も近接するシュー本体41に対して設けられたものとなる。このため、ブレード30にて切断される切断材の切り粉は、このブレード30に近接する位置にて効率良く切り粉を吸引することができる。
また、上記したレシプロソー10によれば、吸引開口部45(451,452,453),461,465から吸引された切断材の切り粉の切り粉搬送用の搬送通路48が、シュー本体41自身により形成されているので、部材点数を増加させることなく、従前から設けられているシュー本体41により切り粉搬送用の搬送通路48を設けたものとすることができる。これによって、部材点数の増加を抑えることができて、製造コストを安価にしつつ、大きさもコンパクトなものとすることができる。
また、上記したレシプロソー10によれば、吸引開口部45(451,452,453),461,465はシュー本体41を形成する壁部42の最前面44に位置する前面壁部421に対して設けられているので、生じた切断材の切り粉を吸引するにあたって、シュー本体41のうち最も近接する部分から吸引することができる。これによって、生じた切断材の切り粉を吸引するにあたって、最も効率良く切り粉を吸引することができる。
また、上記したレシプロソー10にあっては、刃35を重力方向下向きに向けた状態で切断材を切断する。このため、上記したレシプロソー10のように、シュー本体41を形成する壁部42のうちブレード30の切断材に対する刃35が向く方向の延長上に切り粉排出用の排出開口部47が設けられるので、生じた切断材の切り粉が吸引され、搬送され、そして排出されるという流れを、重力方向に逆らわない流れとすることができる。つまり、生じた切断材の切り粉の吸引、搬送、および排出という流れを、重力方向に沿った向きとできて、スムーズに切り粉を除去できるものとなる。
【0020】
なお、本発明に係る切断工具にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成されるものであってもよい。
例えば、本発明に係る切断工具の吸引開口部としては、上記した実施の形態の吸引開口部45(451,452,453),461,465に限定されることなく、上記した壁部42の適宜個所にて設けられるものであってもよい。
また、上記した実施の形態における吸引開口部45,461,465は、外部に設けられた不図示の集塵機の吸引作用を受けるものであった。しかしながら、この集塵機としては、外部ではなく、工具本体に設けられるものであってもよい。
また、図9は、図8に示す吸引ホース60の連結の変形例を示す側面図である。すなわち、図9に示すように、吸引ホース60のシュー本体41に対する連結は、シュー本体41の下側からの連結に限定されるものではなく、シュー40Aに対して適宜の取付け部41Aを設けて吸引ホース60が連結されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0021】
10 レシプロソー(切断工具)
20 工具本体
21 ハウジング
23 駆動機構部
24 取付け部
25 操作ハンドル部
26 操作トリガ
27 バッテリ部
28 リチウムイオンバッテリ
29 軸部
30 ブレード
31 後端部
35 刃
40,40A シュー(切断補助具)
41 シュー本体
41A 取付け部
42 壁部
421 前面壁部
422 左側面壁部
423 右側面壁部
424 上面壁部
425 下面壁部
426 後面壁部
43 ブレード貫通孔
44 最前面
45 (前面)吸引開口部
451 第1前面吸引開口部
452 第2前面吸引開口部
453 第3前面吸引開口部
461 (内側)吸引開口部
465 (下側)吸引開口部
47 排出開口部
48 搬送通路
49 取付け部
491 軸支孔
51 ステー部
52 スライド支持部
53 取付け部
531 軸支孔
54 山形部
55 嵌合孔
57(571,572) 軸部
60 吸引ホース
61 接続口
62 ホース本体
63 変形用蛇腹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータを内蔵して駆動力を発生する工具本体と、該工具本体の前方から突出するように付替え可能に設けられ且つ前記駆動力により突出前後方向に往復動させて切断材を切断するブレードとを備える切断工具であって、
前記工具本体の前方から突出して該工具本体に対する相対位置を変位させることにより切断材に当てれるブレードの領域を設定する切断補助具を備え、
前記切断補助具には、前記ブレードにて切断される切断材の切り粉を集塵するために、外部もしくは前記工具本体に設けられた集塵機の吸引作用を受ける吸引開口部が設けられていることを特徴とする切断工具。
【請求項2】
請求項1に記載の切断工具において、
前記吸引開口部から吸引された前記ブレードにて切断される切断材の切り粉を搬送する切り粉搬送用の搬送通路の少なくとも一部が、前記切断補助具自身により形成されていることを特徴とする切断工具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の切断補助具において、
前記吸引開口部は、前記切断補助具を形成する壁部のうち少なくとも最前面に位置する前面壁部に対して設けられていることを特徴とする切断工具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の切断補助具において、
前記切断補助具を形成する壁部のうち前記ブレードの切断材に対する刃が向く方向の延長上の壁部には、前記搬送通路から送られてきた切断材の切り粉を外部に排出するための切り粉排出用の排出開口部が設けられており、
前記排出開口部は、外部に設置された集塵機の吸引ホースと連結可能に構成されていることを特徴とする切断工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−230240(P2011−230240A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103153(P2010−103153)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】