説明

切断機

【課題】 使い勝手や集塵機能に影響なく本体のコンパクト化を維持する。
【解決手段】 ブレードケース10の上部にダストカバー25を装着して、ダストカバー25内に、鋸刃4と区画される集塵通路31を形成すると共に、ブレードケース10における切断方向後方側に吹出口を形成した。また、集塵通路31の下方に位置するブレードケース10の周面部26には、鋸刃4の回転により生じる空気流を切断方向前方側から集塵通路31内に導く進入口27と補助入口28とを設ける一方、ブレードケース10の開口とダストカバー25の接続口41との間に装着したダクトにより、モータ冷却用のファンによる冷却用空気の一部を集塵通路31に導く案内路を形成して、冷却用空気を進入口27から集塵通路31へ進入する空気流に合流させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円盤状の切断刃で被切断材を切断するカッタやマルノコ等の切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばマルノコでは、平面矩形のベース上に、モータによって回転駆動する円盤状の鋸刃(切断刃)を備えた本体を設け、ベースの下方に鋸刃を突出させて、被切断材上でベースをスライドさせることで、鋸刃による被切断材の切断が可能となっている。また、マルノコにおいては、鋸刃の上方部分を覆うブレードケースの前端が、ベースへ回転可能に軸着される一方、ブレードケースの後端が、ベース上へ立設した円弧状のデプスガイドに沿った任意の位置で固定可能となって、デプスガイドに対する固定位置を変更することで、ベースからの鋸刃の突出量(切込量)が調整可能となっている。
このようなマルノコでは、切断時に被切断材から生じる切粉が飛散し、被切断材の墨線を見にくくしたりして作業環境を悪くする。そこで、例えば特許文献1,2に開示の如く、本体にあって鋸刃の上方を覆うブレードケース内に、切粉を鋸刃の周縁に沿って後方へ誘導し、ブレードケースの後方に設けた排出口から排出させる集塵通路を形成して、切粉の飛散防止を図る技術が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−5332号公報
【特許文献2】特開平11−58305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような集塵通路を設けると、切粉が集塵通路内で詰まりやすくなることから、切粉の詰まり防止のために集塵通路を大きく確保する必要が生じる。このためブレードケースが大きくなって本体のコンパクト化が阻害され、使い勝手も悪くなる。また、切込量調整用のデプスガイドを備えたものでは、デプスガイドをブレードケースの外部に設けると、外部に凹凸が増えて外観を損なうことから、ブレードケースの内部に収容されることが多い。よって、鋸刃による空気流がデプスガイドと干渉して乱れを生じさせ、集塵機能の低下に繋がってしまう。また、デプスガイドに切粉が付着するので、切込量調整時に切粉がこぼれてしまうという不具合もあった。
【0005】
そこで、請求項1に記載の発明は、本体のコンパクト化を維持しつつ、良好な使い勝手や集塵機能を確保できる切断機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ブレードケースの上部に、切断刃と区画される集塵通路を、切断刃の周縁に沿って形成し、切断刃と集塵通路との区画部に、切断刃の回転により生じる空気流が切断刃の切断方向前方側から集塵通路内に進入可能な進入口を、集塵通路における切断方向後方側に、集塵通路内の空気が本体外部へ排出される吹出口を夫々形成する一方、本体に、モータの冷却用空気を集塵通路内に導く案内手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、集塵効率の向上を図るために、切断刃と集塵通路との区画部における進入口の下流側に、集塵通路を切断刃側と連通させる補助入口を設けたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の目的に加えて、冷却用空気を合理的に利用して使い勝手の向上を図るために、案内手段により集塵通路へ導かれる冷却用空気の一部をベースにおける切断方向前端際に排出させる分岐手段を設けたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの目的に加えて、切粉の詰まり防止をさらに有効に行うために、進入口内に、切断刃側の端縁が下流側へ行くに従って切断刃へ近づく傾斜部となり、その傾斜部の終端が切断刃との直交方向で切断刃と重なるリブを、切断刃に沿って近接させて設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、集塵通路を利用して、切粉を飛散させることなく効果的に集塵可能となる。特に、集塵通路では、切断刃による風に加えてモータの冷却用空気も利用して切粉を排出するため、集塵通路内での切粉の詰まりを効果的に防止できる。よって、集塵通路を小さく形成することができ、本体のコンパクト化を維持して良好な使い勝手も確保可能となる。また、切込量調整用のデプスガイドがある場合も、集塵通路と別でブレードケース内に収容することができるため、デプスガイドが集塵機能に影響を及ぼすことがなくなる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、ブレードケース内の切断刃による風を集塵通路の途中に入れることで、集塵通路内での風の流れを良好にできると共に、進入口を通過しなかった切粉を下流側の補助入口で捕捉して集塵通路へ導くことができ、集塵効率が向上する。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、冷却用空気を合理的に利用して切断位置が確実に視認可能となり、使い勝手が向上する。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、糸状の切粉を小さく切断して集塵通路へ導くことができ、切粉の詰まり防止により有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】マルノコの斜視図である。
【図2】鋸刃の中心部分でのマルノコの水平断面図である。
【図3】マルノコの背面図である(ダクトを取り外した状態)。
【図4】ベースを省略した本体の正面図である。
【図5】ベースを省略した本体の平面図である。
【図6】A−A線断面図である。
【図7】(a)はダストカバー及びモータハウジングを取り外したマルノコの斜視図、(b)はさらにダクトを取り外したマルノコの斜視図である。
【図8】ブレードケース部分を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は切断機の一例であるマルノコの斜視図、図2は水平断面図で、ここに示されるマルノコ1は、平面矩形のベース2上に、モータ5によって回転駆動する切断刃となる円盤状の鋸刃4を備えた本体3を設置してなる。本体3は、モータ5を収容したモータハウジング7と、モータハウジング7に連結され、モータハウジング7と合わせてハンドル11を形成するハンドルハウジング9と、鋸刃4の上部を覆うブレードケース10とから形成される。鋸刃4は、ブレードケース10内でモータ5の出力軸6と平行に軸支され、出力軸6から回転伝達されるスピンドル8の先端へ直交状に連結されている。12は、ハンドル11に設けられたトリガースイッチである。
【0010】
ブレードケース10は、ベース2における切断方向の前方側(図2の右側)が、平面コ字状の連結板13に軸14によって上下方向へ回転可能に軸着されており、その連結板13が、ベース2上に立設されて円弧状のガイド溝16を有する扇状のガイド板15に、ツマミネジ17によってガイド溝16に沿った任意の位置で固定可能に連結されている。一方、ブレードケース10の後方側では、図3にも示す如く、ベース2上に立設されて円弧状のガイド溝19(図7)を有する扇状のガイド板18に、前方へ向かって円弧状にカーブするデプスガイド21が、ツマミネジ20によってガイド溝19に沿った任意の位置で固定可能に連結されている。このデプスガイド21が、ブレードケース10の内部に遊挿されて、ブレードケース10を貫通してカムレバー22によって任意にクランプ操作可能なボルト23に連結されている。
【0011】
よって、本体3は、デプスガイド21に沿ったブレードケース10のクランプ位置を変更することで、軸14を中心として回転させて、鋸刃4のベース2下方への突出量(切込量)が調整可能となる。また、前後のガイド板15,18における連結板13とデプスガイド21との固定位置を変更することで、本体3を、鋸刃4がベース2と直交する直角位置から、右側へ倒伏して鋸刃4がベース2と45°の角度で傾斜する最大傾斜位置までの任意の傾斜角度で固定可能となる。なお、ベース2の前端には、鋸刃4の直角位置と45°位置で側縁が夫々鋸刃4の延長面上に位置する切込み24,24が形成されており、被切断材の上面に表記した墨線に切込み24,24の側縁を合わせることで、墨線に沿った切断が容易に可能となっている。
【0012】
また、ブレードケース10の上部には、図4〜6にも示す如く、前方の軸着部位近傍から鋸刃4の周縁に沿った後方側に亘って、横断面が倒コ字状のダストカバー25がネジ止め装着されている。ダストカバー25と鋸刃4との区画部となるブレードケース10の周面部26には、図7にも示すように、ブレードケース10の軸着部位近傍に進入口27が、鋸刃4の回転中心の略上方位置に補助入口28が夫々穿設されて、ブレードケース10内をダストカバー25内と連通させている。さらに、ブレードケース10の後方側には、ダストカバー25の後縁と連続する連結部29が形成されて、その連結部29に吹出口30が形成されている。よって、本体3には、鋸刃4の前方側で接線方向に生じた風が、進入口27及び補助入口28を通ってダストカバー25内に進入し、そのままダストカバー25内を鋸刃4の周方向に沿って後方へ移動し、吹出口30から正面側へ排出される集塵通路31が形成されることになる。
【0013】
32は、ブレードケース10内で鋸刃4と同心で回転可能に設けられた安全カバーで、常態ではベース2の下側での鋸刃4の前方部を除いて鋸刃4の下方部分を覆う図4の位置に回転付勢され、切断作業時には、被切断材との当接によって鋸刃4を開放する方向へ回転し、ブレードケース10の周面部26より内側でブレードケース10内へ収容される。
【0014】
ブレードケース10の進入口27内には、図6〜8に示すように、鋸刃4を中心としたおよそ左右対称位置に、鋸刃4と平行な一対のリブ33,33が形成されている。このリブ33,33は、鋸刃4側の端縁が、上方へ行く程鋸刃4の中心側へ近づく長い第一傾斜部34と、第一傾斜部34の終端から上方へ行く程鋸刃4の中心から遠ざかる短い第二傾斜部35とからなるくの字状に形成されて、第一傾斜部34の終端が、左右方向で鋸刃4と重なるように鋸刃4側へ突出している。
また、補助入口28は、鋸刃4の最大突出量でデプスガイド21の先端位置よりもやや前方に位置して、デプスガイド21によって閉塞されないようになっている。また、周面部26における補助入口28の後方側は、前方へ行くに従って鋸刃4へ近づく傾斜部45となっている。
【0015】
一方、モータハウジング7内で、モータ5の出力軸6には、モータ5の冷却用のファン36が設けられて、出力軸6の回転に伴い、モータハウジング7の端部に設けた吸気口37,37・・からモータ5の冷却用空気を取り込み可能となっている。ファン36における空気の導入側には、中央を開口した皿状のバッフルプレート38が設けられて、モータハウジング7内を通過した冷却用空気をブレードケース10側へ導き、ブレードケース10内へ開口する複数の排気口39、39・・から排出可能としている。
【0016】
また、ブレードケース10において、モータハウジング7と連結される筒状部側の側面前方には、開口40が、ダストカバー25において、モータハウジング7側の側面には、接続口41が夫々形成されて、ブレードケース10及びダストカバー25の外面に、開口40と接続口41とを接続する半筒状のダクト42が装着されて、冷却用空気を開口40からブレードケース10の外面に沿って接続口41へ導く案内手段としての案内路43を形成している。このように、ダクト42の筒状内壁の一部をブレードケース10の外壁で兼ねているため、無駄のない構造となる上、突出部分が少なくて済み、作業者がベース2の切込み24の付近を見る際に視界を遮らないようになっている。
【0017】
但し、接続口41の開口位置でブレードケース10の周面部26には、接続口41を上下に仕切る分岐手段としての水平な分岐板44が形成されて、案内路43からダストカバー25内へ導かれた冷却用空気を分岐板44の上下に分岐可能としている。一方、ダストカバー25において、分岐板44の下方位置には、下向きに開口する筒状のノズル部46が前方へ突設されている。
【0018】
以上の如く構成されたマルノコ1においては、ベース2を被切断材上にセットした状態で、トリガースイッチ12を押し込んでモータ5を駆動させると、スピンドル8が回転し、鋸刃4を図4での左回転方向へ回転させる。よって、そのままベース2を前方へスライドさせると、鋸刃4による被切断材の切断が可能となる。
この切断時に鋸刃4の前端で発生する切粉は、鋸刃4の回転による付勢及びその回転に伴って生じる風により、ブレードケース10内で鋸刃4の接線方向に沿って略上方に向けて飛散することになるが、図6に矢印で示すように、周面部26に設けた進入口27を通ってダストカバー25内に進入し、集塵通路31を通って後方へ移動し、そのまま吹出口30から側方へ排出される。また、進入口27を通過しなかった切粉は、鋸刃4の周縁に沿ってブレードケース10内を後方へ移動し、補助入口28からダストカバー25内に入り、集塵通路31に合流する。
【0019】
被切断材が木材の場合、その木目に沿って切断を行う際や、鋸刃4の切れ味が落ちたりした際には、切粉が糸状に長く生じることがある。しかし、この糸状の切粉は、進入口27を通過する際に、リブ33,33の第一傾斜部34,34に引っ掛かりやすいため、そのまま鋸刃4の風によって第一傾斜部34,34に沿って鋸刃4側へ近づくことで鋸刃4に触れて切断され、小さくなって集塵通路31内へ進入する。又は、糸状の切粉は、鋸刃4に引っ掛かることにより、集塵通路31内に進入せず、周面部26の鋸刃4側を通って排出される。よって、糸状の切粉が発生してもダストカバー25内で詰まるおそれはなくなる。また、鋸刃4と平行なリブ33,33により、進入口27を通過する風の整流作用も得られる。
【0020】
一方、モータ5の回転に伴いファン36によってモータハウジング7内に取り込まれた冷却用空気は、図2に矢印で示すように、一部が排気口39からブレードケース10内へ排出され、他の一部は、開口40からダクト42内の案内路43を通り、接続口41からダストカバー25内へ導かれる。ここで、分岐板44の上方に分岐する空気は、図7にも矢印で示すように、そのまま進入口27から進入する鋸刃4からの風と合流して集塵通路31内を通過し、分岐板44の下方に分岐する空気は、ダストカバー25の前端から外部に出て、ノズル部46からベース2の前端際へ向けて排出される。この下方へ吹き出す空気によって切込み24内や墨線上の切粉が吹き飛ばされ、切断位置が明確に認識可能となる。特にここでは、モータ5の回転と殆ど同時に空気の吹き出しが開始されるため、切込み24や墨線上への切粉の堆積自体の防止作用が得られることになる。
【0021】
このように上記形態のマルノコ1によれば、ブレードケース10の上部に、鋸刃4と区画される集塵通路31を、鋸刃4の周縁に沿って形成し、ブレードケース10の周面部26に、鋸刃4の回転により生じる空気流が鋸刃4の切断方向前方側から集塵通路31内に進入可能な進入口27を、集塵通路31における切断方向後方側に、集塵通路31内の空気が本体3外部へ排出される吹出口30を夫々形成する一方、本体3に、ファン36によるモータ5の冷却用空気を集塵通路31に導く案内路43を形成したことで、まず集塵通路31を利用して、切粉を飛散させることなく効果的に集塵可能となる。特に、集塵通路31では、鋸刃4による風に加えてモータ5の冷却用空気も利用して切粉を排出するため、集塵通路31内での切粉の詰まりを効果的に防止できる。よって、ダストカバー25や集塵通路31を小さく形成することができ、本体3のコンパクト化を維持して良好な使い勝手も確保可能となる。また、デプスガイド21を集塵通路31と別でブレードケース10内に収容することができるため、デプスガイド21が集塵機能に影響を及ぼすことがなくなる。
【0022】
また、ブレードケース10の周面部26における進入口27の下流側に、ブレードケース10と集塵通路31とを連通させる補助入口28を設けたことで、ブレードケース10内の切断刃による風を集塵通路31の途中に入れることで、集塵通路31内での風の流れを良好にできると共に、進入口27を通過しなかった切粉を下流側の補助入口28で捕捉して集塵通路31へ導くことができ、集塵効率が向上する。
さらに、案内路43から集塵通路31へ導かれる冷却用空気の一部をベース2における切断方向前端際に排出させる分岐板44を設けたことで、冷却用空気を合理的に利用して切断位置が確実に視認可能となり、使い勝手が向上する。
そして、進入口27内に、鋸刃4側の端縁が下流側へ行くに従って鋸刃4へ近づく第一傾斜部34を有し、当該端縁が鋸刃4との直交方向で鋸刃4と重なるリブ33,33を、鋸刃4と平行に設けたことで、糸状の切粉を小さく切断して集塵通路31へ導くことができ、切粉の詰まり防止により有効となる。
【0023】
なお、上記形態では、ブレードケース側に集塵通路の吹出口を設けているが、ダストカバー側に設けても良い。また、吹出口は単なる開口にせず、筒状に形成して、集塵機のホースを接続可能とすることもできる。勿論ダストカバーの形状も、コ字状に限らず、筒状体としてブレードケースに連結しても差し支えない。
さらに、集塵通路は、ブレードケースと別体のダストカバーによって形成しているが、ダストカバーに代えて、ブレードケース内に、鋸刃の周縁に沿った仕切壁を設けることで、ブレードケースの内部に集塵通路を区画形成しても良い。
【0024】
一方、進入口は、切断刃の周方向により長くして広い開口面積を確保しても良い。よって、進入口で充分な集塵が可能であれば、補助入口は省略することもできる。
また、進入口内のリブは、1本でも良いし、3本以上設けても良い。さらに、切断刃と平行に設けるのに限らず、例えば下流へ行くに従って切断刃に近づく傾斜を付与しても良いし、切断刃と直交するリブを切断刃の接線方向に並設しても良い。勿論これらのリブは補助入口に設けることもできる。
【0025】
そして、案内手段は、上記形態のようにダクトによってブレードケースの外面側で形成する案内路の構造に限らず、ブレードケース内にスペースがあれば、ブレードケース内部でリブや仕切壁等により形成したり、モータハウジング側から筒状のダクトで直接集塵通路に連結したりすることも可能である。また、冷却用空気は、ファンの外周側から取り出すこともでき、集塵通路との合流位置も、進入口よりも上流側の他、進入口と一致する位置や、進入口より下流側の位置も選択可能である。但し、上記形態のように進入口よりも上流側であれば、進入口から吹き込む風に冷却用空気をスムーズに合流させて、集塵通路全体に亘って好適な切粉の詰まり防止が期待できる。
さらに、冷却用空気の一部を集塵通路に導くものに限らず、全部を導入しても良い。
【0026】
よって、分岐手段も、上記形態の分岐板に限定するものでなく、ダクトや案内路の形態に合わせて、筒体やリブによる二股路とする等の設計変更が可能で、分岐の割合も、集塵通路側とベース前端側とが半分ずつでも良いし、集塵通路側を多くしたり、その逆としたりしても良い。また、ダストカバーのノズル部を単なる透孔に代える等の変更もできる。
その他、本発明は、マルノコに限らず、カッタ等の他の切断機であっても採用可能である。勿論傾斜切断や切込量の調整構造は必須ではないし、交流機に限らず、電源として装着したバッテリーパックを利用する直流機にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1‥マルノコ、2‥ベース、3‥本体、4‥鋸刃、5‥モータ、7‥モータハウジング、10‥ブレードケース、21‥デプスガイド、25‥ダストカバー、26‥周面部、27‥進入口、28‥補助入口、30‥吹出口、31‥集塵通路、33‥リブ、40‥開口、41‥接続口、42‥ダクト、43‥案内路、44‥分岐板、46‥ノズル部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面矩形のベース上に、モータによって回転駆動する円盤状の切断刃を備えた本体を設けると共に、前記本体に、前記切断刃の上方部分を覆うブレードケースを設ける一方、前記モータの出力軸に、前記モータ冷却用のファンを設けて、前記出力軸の回転に伴う前記ファンの回転で、前記本体外部から冷却用空気を取り込んで前記モータを冷却可能とした切断機であって、
前記ブレードケースの上部に、前記切断刃と区画される集塵通路を、前記切断刃の周縁に沿って形成し、前記切断刃と集塵通路との区画部に、前記切断刃の回転により生じる空気流が前記切断刃の切断方向前方側から前記集塵通路内に進入可能な進入口を、前記集塵通路における切断方向後方側に、前記集塵通路内の空気が前記本体外部へ排出される吹出口を夫々形成する一方、前記本体に、前記モータの冷却用空気を前記集塵通路内に導く案内手段を設けたことを特徴とする切断機。
【請求項2】
切断刃と集塵通路との区画部における進入口の下流側に、前記集塵通路を前記切断刃側と連通させる補助入口を設けた請求項1に記載の切断機。
【請求項3】
案内手段により集塵通路へ導かれる冷却用空気の一部をベースにおける切断方向前端際に排出させる分岐手段を設けた請求項1又は2に記載の切断機。
【請求項4】
進入口内に、切断刃側の端縁が下流側へ行くに従って前記切断刃へ近づく傾斜部となり、その傾斜部の終端が前記切断刃との直交方向で前記切断刃と重なるリブを、前記切断刃に沿って近接させて設けた請求項1乃至3の何れかに記載の切断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−274212(P2009−274212A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197115(P2009−197115)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【分割の表示】特願2004−277886(P2004−277886)の分割
【原出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】