説明

切断装置およびこれを用いた水晶体乳化吸引装置

【課題】切断装置およびこれを用いた水晶体乳化吸引装置を提供する。
【解決手段】切断装置は、動力生成装置に装着される支持ベース部と、刃部を有するチップ部を備える。刃部は、上側および下側縁部と、それらの間に延び、吸引口が設けられていない前側縁部とを有する。上側縁部の前後方向の長さが前記下面縁部より短く、前側縁部が上側縁部の遠位端から前方へ傾斜しながら下側縁部の遠位端へ下降するように傾斜し、下側縁部は前記上側縁部よりも薄い接触面を成す。上位前側縁部が近接方向へ約10から45度傾斜し、直線部、湾曲部を有する前側縁部もしくは直線前側縁部と湾曲前側縁部の組み合わせから成る。刃部は、上面から下面にかけて厚みが収束する刃であり、一方が湾曲した上側前方縁領域および他方が遠位側に直線部と、その直線部の近接側に凹部を有する下側縁部を備える。前側縁部は更に前後方向に偏位する対向側壁を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波切断装置、好適な実施形態において眼科手術に用いられる切断装置に関するものである。本発明は、更には超音波切断装置を構成する手術器具及びその技術に関するものである。好適な実施形態において手術器具は水晶体超音波乳化吸引手術に用いるもので切断器具はその手術器具に用いる水晶体チップであり、これにより白内障を効率良く取り扱いやすい大きさに切断する事ができるようになる。
【背景技術】
【0002】
濁った水晶体レンズを取り除く手術、所謂白内障摘出手術において眼科手術医の間で現在活用されている技術として水晶体超音波乳化吸引法がある。角膜または強膜を小さく切開して(通常、1.5mmから3.2mm程度)水晶体乳化吸引装置を用いて白内障水晶体レンズを摘出し、人工水晶体レンズを移植する。このレンズは水晶体レンズと置き換えられ、白内障を患う前の水準に視力を回復できるようにする。
【0003】
初期の水晶体乳化吸引装置は、その内容が本願に取り込まれている、Kelmanの特許文献1(1971)に示されており、同装置は中央に直径1.0mmから1.5mmの穴を有し、予め形成された切開部を通して眼に挿入される円筒状の中空針に接続されたハンドピースから成る。針はハンドピース内の電気を超音波エネルギーに変換するソースにより生成された超音波エネルギーによって振動する。針は白内障を乳化し、微細な粒子に変形させた後、中央のルーメンから適量を吸引する。しかしながら、前記針は白内障の核を切除したり、いくつかの断片に分割するような構成にはなっていない。また、針は振動時に熱を発生するため内部に平衡塩類溶液が流れるスリーブで覆われている。同液により針を冷却し、更に眼の内部から吸引された液体と同液を入れ替えることにより前房の崩壊を回避している。
【0004】
多くの先行技術で使用されている針は直径が1.0から1.5mm程度の円筒形状であるため、最近の水晶体乳化吸引技術で好まれている白内障を大きな断片に切断したり、分割するのには適していない。上記を実行するためにも円筒形状の針を用いて白内障の表面に堀や溝を掘る等の技術が開発されている。白内障が4つの断片に分割(所謂、分断攻略による核破砕)できるように溝は針の直径よりも幅広でなくてはならない。一定の硬度の白内障に溝を掘るためには強力な超音波エネルギーを要する。しかし、これを長時間続けると眼に損傷を与えてしまうことが分かっている。しかも、高い超音波エネルギーを適用したとしても、溝を掘る方法を用いた場合、円筒形状の中空針のみでは白内障、特にかなり成熟した白内障を大きな断片に分割することは出来ない可能性がある。溝の形成を避けるべく、超音波エネルギーの消費削減を試みながら、機械エネルギーを用いて白内障を分割する代替的な手術器具が考案されている。それらは例えばチョッパーやプレチョッパー等の機械装置である。現在多くのモデルが入手可能である(例えば、永原氏チョッパー 販売元:Rumex Ophthalmic Surgical Instruments,St.Petersburg,Florida,USA -Reference: 7-063 TH)および赤星氏プレチョッパー (販売元:Asico,Westmont,ll1inois,USA Reference Universal AE・4282)))。これらの装置は核分割に機械エネルギーを用いる。しかし、フェイコチョップ技術は技術的により高度になることもあるため、それに伴い作業が複雑化し、更にプレチョップ技術を用いて硬質の白内障核を分割(褐色および黒色)するスキルを手術医が習得するのは困難が伴う可能性が高い。
【0005】
現在、異なるポンプや針を用いる数種類の水晶体乳化吸引装置が入手可能である(Infiniti Vision System, Alcon Inc., Fort Worth, Texas, USA; Sovereign, Advanced Medical Optics,Santa Ana, CA, USA; Mil1ennium, Bausch & Lomb, Rochester, NY, USA)。水晶体乳化吸引装置として例えばAlcon Inc. (Hunenberg,CH)に譲渡された特許文献2がある。Alcon Inc., Fort Worth, Texas, USAのInfiniti Vision Systemでは超音波エネルギーに加えて白内障の液化による白内障破砕を選択できるようになっている(例えば、同じく本願に取り込むAlconに譲渡された特許文献3および特許文献4を参照のこと)。更に最新の水晶体乳化吸引装置では適用する超音波を調整する機能がある。全般的にいずれの製造業者も白内障を大き目の断片(例えば4つ以上)に分割してから摘出し、円筒形状の針を用いて乳化する手法をとっている。
【0006】
本願に取り込む特許文献5(Kelman)に示す眼科器具は前後方向および左右方向に振動する吸引針を有している。左右方向への振動は破砕を早めるために前後方向の振動と協働する動作として説明している。
本願に取り込む特許文献6(Kurwa)に示す眼科装置は白内障の核を切断する面端を有する中空ではない刃を備えた本体から成るフェイコチップを開示している。同装置は標準仕様のフェイコチップ(開放端を有する針)と交互に用いられることによって白内障を摘出する。下記により詳細に説明する通り(例えば下記の『課題を解決する手段』)、切断動作を行うフェイコチップは多くの点において多種の白内障の切断、分割に適していない設計がなされている。
【0007】
現在入手可能な水晶体乳化吸引装置の抱える制限により、世界中の眼科医は僅かな違いを除いて基本的に同一の手術手法を採用している。現在採用されている水晶体乳化手法は主に下記の基本ステップから成る。
1.切開部を特に角膜や強膜に1から3.2mmの範囲の大きさで形成する。切開部は上位部(12時もしくは11時の位置)もしくは側頭部に形成するとよい。切開部は種々の形状をとり得る。手術医の意向により一箇所、二箇所、または三箇所に切開部を設けてもよい。これらの切開部は全て水密で且つ縫合されないものとする。
【0008】
2.切嚢とは前嚢の中央の円形部分を除去して白内障の前皮質を露出するステップである。すなわち、嚢切開では一続きの裂け目を前壁に形成することにより切り口が滑らかな開口を形成する。上記した一続きの裂け目を形成する嚢切開のことを切嚢という。このような嚢切開により古い水晶体レンズの摘出や嚢内に人工水晶体を移植しやすくなる。切嚢鉗子にはいくつか種類があり、その内の数例が特許文献7(Elibschitz−Tsimhoni)および特許文献8(El−Mansoury)に開示されており、嚢切開の手法および使用器具についてはこれらを参照されたい。
【0009】
3.ハイドロダイセクションは平衡塩類溶液を注入して白内障の皮質を嚢から分離させ、白内障が嚢内で回転出来るようにする手法である。
4.ハイドロデリニエーションは平衡塩類溶液を用いて白内障の核を白内障の最縁部、即ち、エピニュークリウス、皮質から分離させて白内障を自由に回転させる手法である。
【0010】
5.核事前分割は比較的新しい手術法であり、白内障を乳化する前に例えば前述したような方法の何れか用いて核を大き目の断片に分割し、摘出を容易にするものである。上記したように水晶体乳化吸引用の円筒針は一度に白内障の狭い領域を一箇所ずつしか乳化、吸引出来ず、広い領域に対応出来ないため、事前分割手法と後続の円筒針による乳化吸引手法を合わせて行うことにより白内障の完全摘出がし易くなる。事前分割手法の一例として、フェイコニードルで白内障の内部に深い溝を堀ることより分割させ、別の第2の器具により分割した断片を引き離す手法がある。この手法の欠点は超音波エネルギーの消費が特に硬質で黒色の白内障を扱うときに大きくなることであるが、この高エネルギーは角膜を損傷させる可能性がある。更にこの手法を用いた場合でも極めて硬い白内障(例えば黒色白内障)を分割できず、切開部を拡大して丸ごと摘出して切開部を縫合しなければならないことがあるが、これは術後の回復性の観点からも好ましくない。
【0011】
6.乳化前に白内障を分割する他の代替手法として、機械エネルギーを使用するチョッパー、プレチョッパー(上記した永原氏チョッパーと赤星氏プレチョッパーのようなもの)。それらの手法を手術医が習得するのは困難であり時間が掛かるという欠点がある。更にそれらの手法は前嚢の縁部が破れてしまったり(チョッパーの場合)、小帯に負荷がかかる等の欠点がある(プレチョッパーの場合)。極めて硬質な核(褐色および黒色は白内障)においてこれらの手法を実施する際、繊維が延びた状態で完全に分断されずに断片が完全に分断されないため、経験豊富な手術医でも容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許3,589,363号明細書
【特許文献2】米国特許6,478,766号明細書
【特許文献3】米国特許5,616,120号明細書
【特許文献4】米国特許6,676,628号明細書
【特許文献5】米国特許4,504,264号明細書
【特許文献6】米国特許6,592,541号明細書
【特許文献7】米国公開2004/0116950A1公報
【特許文献8】米国公開2005/0228419公報
【発明の概要】
【0013】
本発明の主題は例えば超音波切断装置のような白内障を大きめの扱いやすいサイズに容易に切断できる切断装置を含むものであり、上記のように白内障を容易に分割するのに適していない通常の水晶体乳化吸引用の円筒針とは異なるものである。好適な実施形態では中空または中空ではない軸部と、軸部の遠位端に配置され、対向する側壁を有する「平坦化された」チップ部とを備えている。このチップ部は超音波周波数で振動し、チョッパーやプレチョッパーで用いられる機械エネルギーを置き換えるのに適しているため、超音波エネルギーを効果的に活用できる。本発明の主題である超音波ナイフは手術医が望む数に容易にそして効果的に白内障を分割することができる(例えば、4から12分割)。本発明の切断装置は種々の白内障に容易に、そして効率的に切り込めるチップ部の構成を提供する(エネルギー消費の削減とそれに伴う発熱抑制、外傷リスクの低減)。例えば、本発明の切断装置は比較的軟質な白内障に対しては「バターを加熱したナイフで切る」ように機能し、硬質な白内障(褐色、黒色白内障を含む)に対しては「板チョコレートを加熱したナイフで切る」ように機能する。
【0014】
本発明に含まれる新たな眼科切断装置は手術医の水晶体乳化吸引手法の技術向上を可能にするツールを提供し、白内障を数個の扱い易い断片に分割し易くさせ、それにより、例えば、通常用いられる水晶体乳化吸引針による乳化処理を促進させ、白内障摘出時に適用される超音波エネルギー消費を削減することにより角膜を損傷するリスクを低減させることができる。更に液パルスを用いる手法により形成された断片をより液化し易くすることにより、本願の切断装置を硬質な白内障に対してもより適用し易くすることができる。
【0015】
本発明の切断装置は水晶体乳化吸引手法を容易に実施できるウルトラチョッパー」を提供し、白内障を患った水晶体レンズをウルトラチョッパーによってより扱いやすい断片に分割し、その扱いやすい断片に分割されたものに振動する吸引針を適用することにより水晶体乳化吸引処理の完了を早めることができる。ウルトラチョッパーを用いた手法で白内障を分割した後に実施する白内障摘出の仕上げ処理として上記以外に液体供給装置(例えば、加熱およびパルス液化をベースとした破砕促進ツール)を用いて断片を液化、吸引する手法がある。この手法は水晶体乳化吸引手法/液化手法の混成処理(本願では大きく水晶体乳化吸引処理および)水晶体乳化吸引ツールとして分類している。)従ってこのウルトラチョッパーを用いることにより経験豊富な手術医ではなくてもこれらの手法をより短時間且つ簡単に習得することができ、経験豊富な手術医は手術の仕上がりを更に向上させることができる。
【0016】
上記した本願のウルトラチョッパーおよびそれによる効率的な白内障の管理し易いまたは扱い易い断片への分解または分割手法は容易に種々の白内障摘出手術に転用することができるため、同手法により白内障摘出処理全体を向上させることができる。例えば、超音波または非超音波と超音波を組み合わせたもの、および/または液化手法などには本願の主題を活用し、以下の「AからC」の手術法として分類し、それらの摘出手法および関連する器具は本願の発明の主題の範囲内であるものとする。
A)ウルトラフェイコ
B)ウルトラアクアル
C)ウルトラミクス
【0017】
本発明の主題に基く新たな「ウルトラフェイコ」による白内障摘出手法では例えば、超音波ナイフまたは超音波チョッパーによる白内障の分割(フェイコチップの前後振動のみ、もしくは前後および左右振動の組み合わせ)の後、もしくはその最中に断片を標準仕様の白内障乳化針と超音波を用いて乳化する。ウルトラチョッパーは硬質の白内障をもより早く切断できるだけでなく、それらを分断するため、特に振動を伴う非超音波または超音波動作を用いて分割した白内障断片を針で更に分割する場合や、針で吸引する場合は白内障摘出処理全体をより早く完了させることができる。
【0018】
本発明の主題に基く「ウルトラアクアル」による白内障摘出手法では例えば、超音波チョッパーによる白内障の分割の後、もしくはその最中に断片を例えばチップ部から放出される加熱液パルスを用いた上記したAlconの「Aqualase」や「Infiniti System」などの液化分割手段等の液体分割手段を用いて液化する。従って、「ウルトラアクアル」白内障摘出手法により、ウルトラチョッパーは分割機能をより早く実行できるだけでなく、
【0019】
その後更に上記した「Aqualase」システム(更には上記および下記の分割手法を組み合わせも良いが、更なる断片の分割(ウルトラチョッパーによる処理またはウルトラチョッパーそのものの効果を高めるために必要な場合は)追加で1つ行う方が複数回に渡って補完分割を行うよりは手術を早く完了させる観点からは好ましい。)等の液体分割手法によって更に分割できるように断片を形成するのでより早く白内障を摘出することができる。
【0020】
本発明の主題に基く新たな「ウルトラミクス」による白内障摘出手法では例えば、ウルトラチョッパーを使用した後、超音波ハンドピースの乳化手段(例えば、針)、またはAqualaseのハンドピースをスリーブを設けることなく1.5mmより小さい切開部に導入する。
【0021】
従って、本願に含まれる水晶体乳化手法では主に2つのステップ、事前分割と断片の超音波および水晶体乳化器具であるウルトラチョッパーを用いた乳化から成る。一般的に液化は水晶体乳化には分類されないが、超音波ではなく、液パルスを用いるためウルトラアクアル手法は、事前分割に水晶体乳化ウルトラチョッパー器具を用いた後、例えばAqualaseプローブを用いて液化により断片を除去する混成手法採用する水晶体乳化手法とみなされている。その他、白内障を容易に扱い易い断片に分割する事前分割手法と事前分割法の結果物を摘出する摘出手法を含む種々の手法を用いても良い(例えば、扱い易い大きさに分割した断片を更に分割して摘出しやすくする処理)。
【0022】
本願の好適な実施形態における超音波ナイフまたは切断装置は手術医や患者に恩恵をもたらすべく考案された多数の機能および固有の特性を有するチップ部を備えている。本発明がもたらす恩恵として例えば、手術時間、適用する超音波エネルギーの短縮、装置の使用方法を習得する時間の短縮等がある。更に、考えれる恩恵として、例えば、患者の回復期間の早期化、手術医の水晶体乳化処理時の制御性の向上、水晶体乳化手法の新たな手法の提供、人口水晶体レンズをより小さい切開部から移植できる可能性等である。更に、好適な実施例においてはウルトラチョッパーを用いてより早く核の分割化、分割された断片の分断を促進するために切断装置を前後に振動させるだけでなく左右も振動させた。
【0023】
本発明の好適な実施形態は遠位側に向かって平坦化し、超音波エネルギーの伝達効率が良い素材、例えばチタン、スチール等の金属で形成され、中空ではないまたは中空である軸等(例えば、軸方向に完全に中空なものや軸方向の長さの内、部分的に中空なもの)から構成される超音波エネルギー伝達部を有するチップ部を備えている。チップ部の遠位側の刃部よりも外周の大きい中空の軸部を活用する場合、平坦部が好ましくは円筒状である軸部と連結する移行部を設け、その移行部には好ましくは、一または複数の吸引穴が、その全体が移行部に形成されているおよび/またはその一部が移行部に形成され、残りの部分が中空の軸部に形成すると良い。吸引穴は上位穴および/または一または複数の横長形状(好ましくは長円)の吸引穴が吸引口として内側ルーメンと液体(液体は吸引された固形物を含んでも良い)を流通可能に設けられる。軸部に形成されたルーメン(例えば、円筒形状の中空軸部の長さ方向全体に渡って伸びる円筒状のルーメン)は、好ましくは軸部を横断し、ハンドピースのスリーブ内を貫通する吸引経路の全体の内の一部を形成する。
【0024】
変形実施形態は中空ではない軸部および中空ではない移行部を平坦部が円筒部と連結する領域に設けているため、この実施形態には穴を設けない方が良い。この発明の変形実施形態の平坦部の「つままれた」側面それぞれに一または複数の溝(例えば、各平坦面または側壁に2つの溝)を形成することにより、白内障と接触する際の摩擦を低減している。しかし、本発明の主題に基く更なる実施形態では、チップ部の切断効果を高める溝が無いものも設けられている。本発明の好適な実施形態では、チップの角度に特徴があり、好ましくは水平面に対して15°の角度を成す下降傾斜を備えた上側縁部と、刃の下側縁部の最遠位端から近接側へ戻るように好ましくは垂直軸に対して15度(例えば15°±5°)の角度を成して伸びる前側縁部を備えると良い。更に白内障を分割する上で好ましくはチップ部の表面積を4mm程度、例えば4.16mmから4.18mm程度とすると良い。
【0025】
好適な実施形態においては装置の軸部を覆う灌注スリーブが設けられており、好ましくは平坦部の開始位置まで覆うと良い(例えば、移行部との境界に設けられた穴の遠位側まで覆い、平坦チップを約2.5から2.6mm露出すると良い)。これにより上記の吸引穴を有する実施形態における上位長円穴、および/または横穴のスリーブ被覆(すなわち、軸方向への被覆)が施される。このスリーブとポートの構成により切断装置を後方に動かしてチップ部を白内障の近接側に接触せる時にスリーブの遠位側の側部に位置する一または複数の灌注口が前嚢の外側に移動して手術を妨害することを防ぐことができる。遠位側のチップ部の接触縁部の吸引口からの長さは3.0mmを超えない長さ(例えば2.5mmから2.8mm)であると、前嚢の外へ灌注口の吸引穴がはみ出すのを避けられるので好ましい。
【0026】
切断装置における対向壁が形成された平坦部のチップ部は白内障を分割するためのナイフとしてだけではなく分割した白内障を押し広げる切開へらとしても使えるようにする良い。更に、一または複数の吸引穴を有する実施形態では、穴(長円であると良い)の大きい方の直径が装置の前後方向と平行に配置されると良い。更に切断装置の平坦部はその下側領域が上側領域より薄く形成されると良い。またチップ部に適用される超音波エネルギーは2つの異なる方法で適用されると良い。一つ目の方法ではチップ部を軸方向に前後動するように(すなわち、前後方向の往復動作)、そして二つ目の方法ではチップ部を例えば最大10°まで、例えば2°から10°偏位させて振動させるが、このとき、好ましくは2.5から5°範囲内で振動させると良い(この追加された左右の超音波動作は前述のAlconのInfiniti System等の、装着するハンドピースによっては超音波もしくは非超音波を使用し得る新しい水晶体乳化器具である)。状況に応じて非超音波と共に超音波の振動を実行しても良いし、順に実施しても良いし(一方の後に他方)、一方のみでも良い(例えば、先ずは溝を十分な程度形成した後、左右の振動を有効活用し、その後は操作者が現状に最も則したと判断する前後もしくは左右の振動を適宜実行すれば良い)。言い換えるとチップ部の位置操作手段は前後動作と振動動作の両方を可能にする(始めに前後動作を活用して最初の切り込みまたは溝を形成し、その後対象物をその切断過程で押し広げるのを促進すべく左右の振動動作を開始すると良い、但し、手術医の状況判断に応じて2つの動作タイミングを例えば同時にしたり、交互にする等適宜調整しても良い)。上記の構成により、チップ部による分割処理時に切断処理と断片を押し広げる処理を同時に実行せることができる。
【0027】
本発明の好適実施形態における切断装置には薄い下面(切断対象物と最初に接触する部分)縁部と、厚い上面縁部(下側縁部よりも上側に位置した縁部であり全体的に下側とは反対側にまたは平行に、例えば平行な配置から10°以内の配置)を備えている。上側縁部を下側縁部よりも厚くすることにより、優位な効果をもたらす楔型のチップ部を提供できる。このような構成は例えば上記した引用文献Kurwaの非狭窄形状の断面寸法とは異なる。従ってKurwaは本発明の好適な実施形態が示すチップ部が楔形であることの優位点、すなわち、嚢や小帯に過度のストレスを与えずに核に切り込むことができる点を備えていない。
【0028】
更に、本発明の好適な実施例は刃の上側に、好ましくは直線状に、下側縁部よりも短く伸びる縁部を有し、この特徴についてもKurwaのものとは異なる。短い上側縁部は安全性を向上させるという更に優位な特徴であり、白内障切断時に刃が前方へ移動する際に刃部の内、核に最初に切り込むのは下面の最長部分であり、更に前方へ移動する際にこの下面縁部は前嚢の反対側の縁部の下に位置するが、上位縁部が短いので余裕があり、前嚢の縁部や虹彩を傷つける可能性がかなり低くなる。
【0029】
本発明の好適な実施形態の更なる優位な特徴は、これもKurwaが考慮していないものであるが、チップ部の傾斜にあり、チップ部の傾斜部(湾曲および/もしくは直線)が前側縁部を有し、これが最遠位端から近接側へ水平面と15度の角度を成している。この角度特徴によりチップ部が使い易くなる。例えば、核に到達するのに手術医は装置をそれ程傾けなくても良い。更にこの角度特徴は、切開部と反対側の前嚢の領域を傷つける可能性がかなり低くなるので切断装置の安全性を高めることができる
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】切断装置の軸部に吸引経路を備えた眼科手術器具の部分断面図
【図2】非中空もしくは軸方向に吸引をしない図1の手術器具の別の実施形態
【図3】図1の手術器具に取り付けられた切断装置を示す斜視図
【図3A】図3の切断装置の上方から見た(または上位)部分平面図
【図3B】図3の切断装置の下方から見た(または下位)部分平面図
【図4】図3の切断装置の遠位端の部分斜視図
【図5】図2の切断装置の部分斜視図
【図6】図4の吸引口を有する切断装置の変形実施形態であり、側壁に溝を有しないもの
【図6A】図6のチップ部を等分する従断面図。
【図7】図5の切断装置の変形実施形態であり、側壁に溝を有しないもの
【図8】図4の側面図
【図8A】図8のチップ部の最遠位領域の拡大断面図
【図9】図6の側壁に溝を有しない、上位または上側吸引口の代わりに側面に吸引口を有する変形実施形態
【図10】図9から側壁の溝を除いたもの
【図11】図10の断面XI−XIに沿った図10の切断装置の断面図
【図12】図1の眼科手術器具と同様のものの断面図、ただし、本発明の代替実施形態の切断装置を取り付けたものであって、図1の下面接触縁部には設けられている湾曲凹部を有しない平坦部が拡張された下面縁部を備えたもの
【図13】非中空の軸部を有する切断装置を示した以外は図12と同様な代替実施形態
【図14】図12の切断装置の遠位端の上方斜視図
【図15】図12の切断装置の別の斜視図
【図16】図15の切断装置の変形実施形態であり、側壁に溝を有しないもの
【図17】図13の切断装置の斜視図
【図18】図17の切断装置の変形実施形態であり、側壁に溝を有しないもの
【図19】図15の側面図
【図20】図15の切断装置の代替実施形態であり、図15で上側縁部に示された吸引口を側面に備え、側壁に溝を有したもの
【図21】側壁の溝を備えていない実施形態であることを除いて図20と同様な図
【図22】図20の切断装置の正面図
【図23】本発明の第3実施形態の斜視図
【図24】図23の側面図
【図25】図24を等分する縦分断面図
【図25A】図25の丸で囲んだ部分の拡大図
【図26】図24の切断装置の遠位領域の上方から見た平面図
【図27A】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27B】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27C】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27D】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27E】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27F】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27G】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27H】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27I】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27J】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27K】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27L】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27M】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27N】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27O】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27P】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図27Q】図1の切断装置と平面先端部を備えた分割補助ツールを用いて白内障を切断する好ましい一連の処理
【図28A】補助ツールセット(分割補助ツール)を示す図
【図28B】マイクロスプーンツールを示す図
【図28C】核保持ツールを示す図
【図29】図28セットの分割補助ツールの近接図
【図30】図28セットの核保持ツールの近接図
【図31】図28セットのマイクロスプーンツール
【図32】図10の切断装置を示す図
【図32A】図10の切断装置およびそれを駆動手段に接続した際に実行する上位側から下位側にかけての2等分線に沿っての断面図を横断する方向への振動動作を示す
【図32B】図10の切断装置およびそれを駆動手段に接続した際に実行する上位側から下位側にかけての2等分線に沿っての断面図を横断する方向への振動動作を示す
【図32C】図10の切断装置およびそれを駆動手段に接続した際に実行する上位側から下位側にかけての2等分線に沿っての断面図を横断する方向への振動動作を示す
【図33A】図1の切断装置および補助的に核保持ツールを使用して白内障を切断する一連の好ましい処理
【図33B】図1の切断装置および補助的に核保持ツールを使用して白内障を切断する一連の好ましい処理
【図33C】図1の切断装置および補助的に核保持ツールを使用して白内障を切断する一連の好ましい処理
【図33D】図1の切断装置および補助的に核保持ツールを使用して白内障を切断する一連の好ましい処理
【図33E】図1の切断装置および補助的に核保持ツールを使用して白内障を切断する一連の好ましい処理
【図33F】図1の切断装置および補助的に核保持ツールを使用して白内障を切断する一連の好ましい処理
【発明を実施するための形態】
【0031】
前述の図面は複数の好適な実施形態を示すものであるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。図示した複数の実施例は平坦な側壁を備えた遠位側先端刃を有し、「平坦化された」(外見上「平坦化」された、すなわち、遠位側の刃を成型、機械加工、素材加工等様々な方法で形成することができる)チップ部を備えた切断装置を構成している。また図示の実施形態は2つの異なる種別の軸部(好ましくは円筒形状)を示しており、種々の実施形態中、一方の種別は中空にものであり、もう一方は中空ではないものである。中空の軸部または円筒部に装着する場合、平坦チップ部は好ましくは一または複数の吸引穴としての穴を有すると良いが(一または複数(好ましくは一つ)の上側縁部に設けられたおよび/または一または複数の(好ましくは2つの対向する)側部に設けられた吸引穴)、図示の実施形態においては中空軸部の開口部と連通している一または複数の穴をそれぞれ示している。
【0032】
実質的に平坦な対向する側壁を備えた、または「平坦化された」構成を示す本発明のフェイコチップの複数の実施形態は側面に溝を備えたものと備えていないものがある。更に、図示した実施形態は異なるチップ部の構成を示しており、例えば図4から11のものは硬質または極めて硬質な(褐色または黒色)白内障に切り込むのに特に適している(ただし、このような構成のチップ部はその他の特質、例えば軟質および中間的な密度、硬さを有する白内障含むものに使用しても効果的である)。図15から19および図23から26に示す実施形態は軟質から中間的な硬さの白内障に使用するのにより適しているが、図15から23に示す実施形態も図4の実施形態ほど効果的でないにせよ、硬質な白内障への使用にも適している。逆も同様で、硬質の白内障に用いるために構成された図4に示す実施形態も軟質な白内障に用いるのに適しているが、図15から図23に示すものほど軟質な白内障に対して効果的ではない。
【0033】
図1に手術器具としての水晶体超音波乳化吸引手術器具20の部分断面図を示す。手術器具20は切断装置22(以下、ナイフ、チョッパー、「ウルトラチョッパー」とも表現する)。図1および図1に対応する図3、3A、3Bならびに4に示す実施例において切断装置22は超音波動力伝達部24およびチップ部26を備える。伝達部24は好ましくはチップ部26の近接端76から切断装置22の近接端27に渡って伸びる。図示のようにチップ部26は移行部40および刃28を備え、刃はその先端に位置して、対向する(全体的に)平面状の側壁34および36が切断装置22の「平坦な」「接触」を成すように備えられている。移行部40は動力伝達部24の最遠位部76から刃28の最近接部64間に伸びる。
【0034】
好適な実施例において、動力伝達部24は軸46(図1は中空または内部に吸引経路を有する実施形態、図2は非中空または吸引作用のない実施形態46’を示す)を備えると共に、動力生成部(符号29を付して概略的に示すが、好ましくは超音波振動装置、例えば圧電変換機であると良いが、本発明においては代替的な動作生成装置についても示しており、例えば液体、音響モータ(例えば、オフセットカム)、上下動ピストンまたはその他の動作生成装置を個別にまたは組み合わせ用いても良い)へのコネクタ48(または装着手段)、往動ピストン又は他の動力生成手段を備える。
【0035】
好適な実施例において、軸46は好ましくは長さが14mmであり、直径が1mmである円筒状の軸区域を含む、但し、異なる種々の断面形状および長さを有し、好ましくは直線状の軸セグメント60も本発明の主題となるものとする。本装置の一モデルによれば、軸セグメント60は中空であっても、中空でないものであってもよく、図1に示す実施例は軸方向に延び、吸引通路61の一部を形成する、好ましくは内径が0.8から0.9mmであるルーメン58を備えた中空のものを示している。一方、図2は中空ではない軸セグメント60を示しており、従って少なくともその内部には吸引通路が存在しない。軸セグメント60の近接端62と切断装置22の近接端27の間には、好ましくは長さが約8mm(例えば8.02mm長)であり、水平軸に対して3度から5度程度(例えば、約3.06度)の傾きを有し、好ましくは幅狭の遠位径(例えば1mm)および、より幅広の近接端(約2mm)を有する移行(好ましくはコーン形状)セグメント68が備えられている。また、それらの両端部の間にはフランジ盤52(例えば直径が2.5mm程度のもの(例えば2.62mm)であり、幅が0.5mm程度のもの)がネジ山を備えた円筒状の雄型突出チューブ50と四角ヘッド54(例えば2mm×2mmで厚さが1mm)の間に挟持されている。ここで、上記および以下に記載する全ての寸法は何ら限定を意図するものではなく、本発明のいくつかの実施形態が提示し得る特性を例示するための補助的なものであり、例えば、手術医が本願の手術器具を限られた空間内で動かし、使用すると共に、既存の動力生成手段や洗浄システムに用意に装着可能な切断装置を提供するのに適した寸法である。例えば、上記のネジ山付き雄型接続チューブ50および下降円錐軸68構造は既存の標準モデルの吸引装置にも備わっているため本発明の切断装置22は本体114で示すような標準的な吸引ハンドピースへ取り付けられるように構成された先行技術の切断装置との取替えに非常に適したものである。すなわち、例示した雄型接続チューブ50は直径約2mmで、長さ4.65mmの支持シリンダに近接端側に3つの標準的なネジ山を備える事により、種々の吸引ハンドピース、その多くは振動源29のような圧電振動源を活用、の何れにも装着できるように構成されている。更に、洗浄液を循環させる必要がある場合、即ち振動する切断装置の冷却促進および/または手術対象箇所へ洗浄液を循環させる必要がある場合には望ましくは、典型的には医療グレードシリコーンにより形成され、本体114および液体シール116とネジのかみ合いにより結合された近接側スリーブセグメント115を有したスリーブ112を備える。スリーブ112は更には下降円錐移行区117を径大な円筒状のスリーブセグメント115と軸状スリーブセグメント118の間に備える。軸状スリーブセグメント118は遠位端部120(液体がスリーブ内を流れる際の洗浄液通路の遠位端部)を有し、その遠位端部120の内径が軸方向に対向する軸46の外部よりも径大(例えば、0.2mmから0.5mm程度径大)に形成される事により、軸セグメント60に沿って径方向に開放された洗浄液用空間を形成し、スリーブセグメント118の遠位端120とその下のチップ部26の好ましくはテ―パ状の先端移行部40との間の洗浄液の流通制御を行う。
【0036】
スリーブセグメント115の内径はその内部に位置する切断装置よりも径大であるため、スリーブ端部115及び軸46の間に円環空間122が形成されている。流入液は例示した実施形態の円環空間122内及び円環空間122を通じて循環すると共に、スリーブセグメント118の遠位端120および軸方向に対向する移行部40の好ましくは少なくともその一部がスリーブセグメント118により覆われる外側部分の間の円環空間内及び円環空間を通じて循環する。
【0037】
図4に示す吸引口90は図1に示す中空の軸46において使用する。吸引口90は吸引通路61のルーメン58と液体の流通が可能なように連通しており、ルーメン58の内、その直線部は円筒軸セグメント60内および軸46の円錐移行部68内に伸びている。吸引通路61のルーメン58は更には吸引通路61の分岐通路63に連通し、更には吸引装置のハンドピース又は本体114内に伸びる近接端側の拡大径通路65に連通する。図1に示すように、吸引口90はその遠位端100がスリーブの遠位端120よりも軸方向において近接側に位置している(好ましくは図3Aに示す距離D1mm内、例えば0.15mmから0.3mm、但し、この場合図3Aは実寸を示していない)。また、図4に示すように吸引口90は傾斜移行部40と軸46間の境界線を示す境界線76から軸方向(前後方向)の相反する方向にそれぞれ伸びる。これによりすくい上げ効果(境界線76より前方に位置するある割合(例えば吸引口90の全体の軸方向長さの20から25%程度が境界線76より前方に位置する)を占める吸引口の外側境界壁の径方向内側への傾斜偏位)が吸引口の外側境界壁と内側境界壁とが移行部40の外側表面66が収束する傾斜と一致する傾斜(水平面から65から70度の傾斜を成すため)に発生する。
【0038】
吸引穴もしくは吸引口90はその使用位置が軸46のより高いもしくは上側縁部に、好ましくは装置の長軸92の伸長方向である軸方向沿ってそれを水平方向に横断する短軸方向よりも細長く、長円もしくは楕円形状に形成されているとよい。軸方向の長さ/水平方向の幅の比は1.5/1から4/1の範囲内(例えば2/1)である事が好ましく、好適な実施例においては0.4mmから1.0mmの長さ(例えば0.6mmの長さおよび0.3mmの幅)であり、両端が曲率半径約0.15mm程度である円形端を有する。更に、図4および6Aに示す通り、吸引口90は好ましくは外側吸引口境界縁部98および内側境界縁100へ向かって径方向内側に伸びる傾斜壁99から構成するとよい。傾斜壁99は好ましくは吸引口90の近接端側と遠位端側において共に共通の方向に傾斜していると良い。この例は図6Aに示す断面図における傾斜壁99の平行な線分99Aおよび99Bにより示されており、遠位側から近接側に傾斜する傾斜壁の構成により、直接軸セグメント60のルーメン58に開口するため吸引時の流出が促進される。傾斜角は30°から60°が好ましいが多くの場合45°程度が適している。このように吸引口90は眼の被手術部分からの液体の再循環の入口として機能し、当該被手術部分にはスリーブ112の遠位端120の洗浄循環出口からから液体が与えられる。従って、高い位置に吸引口90は中空の円筒シャフト46のルーメン58と液体が流通可能に連結しているため、吸引口90は液体、さらには白内障を切断、乳化するときに発生する破片の吸引を可能にする。吸引穴の遠位端のチップ部26の最遠位点30からの好ましい軸方向の位置は約2.2から2.8mmであり、2.65mm±0.5mm程度が好ましい。スリーブ120が設けられている場合、その遠位端のチップ部26の最遠位点30からの好ましい位置は約2.7から2.9mmであり、2.8mm±0.25mm程度が好ましい。
【0039】
図3は切断装置22およびそのチップ部26の刃部28と移行部40の斜視図を示すものである。図3、3A、3B、及び4に示すように移行部40は、軸方向に収束し、(上方から見ると弧を描く)上側移行縁部35を有して刃28へと導く移行側壁37および39を備えると共に、上側移行縁部35と同様に構成され、刃26の丸く加工された断面を有する上側縁部45と同様に丸く加工された断面を有する下側移行縁部41を備える。図3は更にネジ山付き突出チューブ50、フランジ盤52、四角ヘッド54、およびコーン型セグメント68および円筒状軸セグメントから成る軸46を有する超音波エネルギー伝達部24の斜視図を示す。
【0040】
図3、3A、3B、4、5、8および8Aは白内障を切断するため、特には黒色や嚢性の、より硬度の高い白内障を切断するのに適したファコチップとして具体的に示したチップ部26の実施形態をより詳細に示す。図示するように刃部28は対向する全体的に平面をなす側壁36および38を有し、側壁36および38はより厚みのある上側縁部45から下側幅狭縁部47に延び、下側幅狭縁部47は上側縁部45よりは“鋭利”ではあるものの図3Bに示すように好ましくは丸みを帯びた断面を有するように、そして虹彩の損傷を防ぐために例えば縁部47Aにおける直線状の接触下縁部に備えられている。この下側縁部は丸みを帯びていない縁部、例えば頂点角を有する縁部や急傾斜の側壁を有する平面下縁部に形成されても良いが、丸みを帯びた形状の利点は眼への器具導入時に虹彩や水晶体前嚢を傷つけない事にある、但し、切断動作そのものの最中に縁部の形状によって眼を傷つける心配はない。従って、切開部への出し入れする際により手厚く損傷を回避するために、好適な実施形態においては凹型形状(図5の47B参照)を採用している、但し、それ以外の縁部構造も本発明の主題の一部である。
【0041】
上側縁部45は好ましくは下側鋭利縁部47の厚みの1.5から5倍の厚みとし、その際、好ましくは上側縁部45を0.4mmから0.9mmの範囲とし、下側縁部47を0.2mmから0.5mm(例えば、0.3mmまたは0.4mm)の範囲とすると良い。刃28は船の竜骨のような形状をなす(図1に示す刃の実施形態においてフック型の刃の少なくとも遠位端と下記により詳細を説明する図2に示す刃の実施形態の全体)。刃28は刃の最遠位点、したがってカッター22の最遠位点である下側接触点30を有する。下側接触点30から上方に遠位側から近接側に向けて傾斜しながら上側へ伸びる刃の上側前側縁部34はその上端部が肉厚に形成され下端部に向かって薄くなる形状に、下端で合わさる側壁36と38と一致するように形成されている。図では前側縁部32は下側接触点30から上側端点34に達するまで近接側に、即ち軸側に戻る方向に伸びる。前側縁部32は更に図示するように湾曲した縁部を有しており、好ましくは直線状の前側縁部32Aが湾曲状の上側前側縁部32Bへ移行するように形成すると良い。前側縁部32の近接側端点34は上側縁部45と一致しており、縁部45の反対側の端点は移行部40の境界線64(図8)によって示す。図8に水平面に対して好ましくは5°から30°、より好ましくは15°(例えば15°±5°)である角度A1度をなして下方に傾斜する上側下降縁部45を示す。
【0042】
図8、8Aおよび3Bに更に刃の下側縁部47の内、特に直線部47Aおよび凹部47B(好ましくは湾曲状の凹部であると良い。)を示す。図8および8Aに示す通り、端点30は角度A2および角度A3の頂点を示している。角度A2は前側縁部32の下側線分32Aの垂直面に対する近接側への傾きを示している。同角度は好ましくは15から45°の範囲であると良く、本発明に基いて使用する場合は15から30°±5°程度が適度であり、好ましくは15°±5°であると良い。角度A3は下側縁部線分47Aが水平面に対して上方に傾斜する角度を示しており、好ましくは5°か30°であり、本発明に基いて使用する場合は15°±5°程度が適度である。好適な実施形態では上側縁部45および下側縁部は平行であるか略平行、例えば平行な状態から10°以内であると良い(平行な方向から例えば5°ずれている)。
【0043】
前側縁部32は図示のように下側線分32Aから近接側へ伸びる凸状湾曲線分32Bを有する。線分32Bは線分32Aから縁部45に湾曲しながら移行する上側角部を形成する。湾曲線分32Bは曲率半径が1.0mmから2.0mmの範囲であると良いが、より好ましくは1.25mm±0.2mmであると尚良い。前側縁部32の全体の長さは好ましくは2.0mm±0.5mm程度であり、点30から点32間の全体の高さは0.75mmから2.0mmであり、好ましくは1.0mm±0.2mmであると良い。また線分32Aおよび32Bの前側縁部32の全体の長さに対する割合(%)は縁部32Aにおおいて好ましくは60%±10%程度であり、湾曲縁部32Bのおいて40%±10%であると良い。
【0044】
側壁36および38が上側縁部45から下側縁部47にかけて下降傾斜しながら収束する角度B1は(本実施形態においては図3Bに示す角度、変形実施形態においては図22に示す角度)は5から10°程度である事が好ましく、より好ましくは7°±1°であると良い。上側縁部45および下側縁部47はそれぞれ一定の厚みを保ちながら遠位端から近接側にかけて前後方向もしくは軸方向に伸びるように構成しても良い。しかし、好適な実施形態においては、上記の上下方向の側壁36および38の収束に加えて好ましくは切断装置の遠位端から遠ざかる前後方向にそれらの側壁36および38が伸びる寸法に若干の変化をつけても良い(上側縁部45および下側縁部47の幅が、前側縁部32が側壁の上下方向の収束に対して前後方向に収束するのと同様に、前後方向に沿って側壁の幅と共に変化する)。上側縁部45および下側縁部47の軸方向に沿った幅の変化は比較的小さい方が(遠位側から近接側にかけての変化が、例えば3から4°以上で好ましくは約3.5°であると良い)、刃による切断対象物に対しての分離効果、断片の分断効果を高めるのでより好ましい。例えば、上記のように構成された前側縁部32の上側および下側縁部の厚さ寸法が遠位側から近接側にかけてわずかに拡大する。具体的には好ましくは下側縁部が最小幅である下側縁部47の遠位端に位置する点30が遠位側から近接側にかけて変化すると良い。好ましくは下側の非湾曲部47Aが遠位端30で最小幅約0.3mmであり、長さ方向にそって近接側に移行するに従ってわずかに幅が外側に拡大し、更に、より近接側に位置する縁部47Bに沿って引き続き拡大を継続する。また、下側縁部47の縁部47Aおよび縁部47Bの間の境界縁部は好ましくは丸みを帯びた角を成すと良いが(虹彩および水晶体前嚢を傷つけるのを防ぐため)、本発明は丸みを帯びていない角も対象としている。下側縁部47の変化は好ましくは遠位側における最小幅0.3mmから近接側のより幅広の好ましくは0.4mmより大きい左右幅は例えば0.5から0.7mm程度であると良い。変形実施形態においては線分47Aが軸方向に一定の幅で形成され、下側縁部47が線分47Bを基点に上記のように外側に幅を拡大する。また、縁部47Bの凹部は好ましくは縁部47Aの近接側か移行部40の遠位端に至る長さ全体に渡って形成されると良い。
【0045】
図4に示す通り上側縁部45(更に隆起部35に渡る)も好ましくは遠位側から近接側に移行するに従って好ましくは上側端点32Bを基点に移行部境界線76に渡って外側に拡大するように形成すると良い(例えば、端部32Bでの遠位側の厚みが0.4mmから吸引口90領域の近接側での厚みが0.9mm程度になるように)。
【0046】
より薄く“鋭利”(例えば、比較的鋭利であるが、好ましくは幅方向もしくは側壁間の縁部が丸みを帯びた形状に形成されると良い)な刃線部を遠位側に設ける事により先ず白内障の切断抵抗を低減する事が出来、更にチップ部の形状設計により超音波エネルギーを効率的にチップ部に伝達する事が出来る。下側縁部47Aは、凹形状の下側刃線分47Bの端部にからそのまま連なるように形成されており、好ましくは直線状であり、直線縁部32Aの前側縁部32と点30に鋭利な角度で収束する。その前後方向(遠位側から近接側)の長さは好ましくは0.1mmから0.4mmの間であると良い、より好ましくは0.15mm±0.04mmの範囲であると良い。その厚みは好ましくは0.03mmから0.3mmの間である事が鋭利な縁部を形成するためにも望ましい。
【0047】
凹部形状の下側縁部線分47Bは好ましくは前側縁部線分32Bの半径R1よりも大きい半径を有し、図8に示すような1.75mmから2.5mmの半径で損傷予防に効果的な半径R2を成し、より好ましくは2.0mm±0.2mmの範囲であると良い。下側刃部の縁部線分47Bの凹部47Bは切断装置22を後方に移動する際に虹彩やその他の部分と過って接触する事を防ぐ効果がある。
【0048】
また、図8および8Aに示す通り、点30は比較的傾斜が急な前側縁部32と比較的傾斜が緩やかな上側縁部45の間の境界線に位置する点34より切断装置22の軸の長さ方向に沿ってより遠位側に位置する。従って、直線に沿って比べた時、上側の縁部の全体的な長さは切断装置の刃26の下側縁部の全体的な長さより短い。これにより刃が前方に移動すると、最初に白内障(白内障の核)を貫通するのは最も長い下側部分であり、短い上側部分は白内障に沿った切断動作時に水晶体嚢の上側の縁に位置する虹彩を傷付ける事を防ぐように形成されている。図8Aに示す「D1」はこの差異を示すものであって、最も遠位の点30と上側縁部上の最も遠位の点34の間を軸方向に伸びる部分であり且つ前側縁部32が位置する部分である(前側縁部32及び上側縁部45を共に連続した縁部として形成するためにも、上側縁部端点34は、好ましくは上側縁部(端点30から近接側に延び、そして、移行部の遠位側端部から遠位側へ伸びる)全体の内、その上が側縁部全体(前側縁部32)の内、前後方向の上昇より上下方向に上昇するもしくは略垂直に上昇する部分と比較して、その上側縁部全体(上側縁部45)より上下方向の上昇が小さい部分)の境界を表す。または、端点32Bを区分点、すなわちそこを基点に下降傾斜の傾斜角が刃のより傾斜角が小さいもしくは傾斜しない上側縁部と比べて拡大する区分点としても良い(より傾斜角が小さい上側縁部と傾斜しない上側縁部が共に区分点の近接側に位置している場合はより遠位側の方を比較対象とする)。より好適な実施形態においては差D1を約0.35mmから0.5mm、より好ましくは0.45mm±0.05mmとしても良い。
【0049】
図1は側壁に溝を備えた刃28の実施形態を示し、そのような構成によると、白内障の分断をより少ない超音波エネルギーの出力でより少ない切断抵抗によってより硬い生成物、特には細い溝に押し込まれずに細い溝を跨ぐような硬さの白内障を分断する。図4および8に見られるように本発明の実施形態の刃26はその側壁に複数の溝または鋸歯状の縁が形成されており、好ましくは上下方向に間隔を置いて複数の溝が各側壁に配置されると良い(例えば各側壁に2つの溝が互いにそして各々から最も近い歯の上下縁部から上下方向に間隔を置いて配置される)。図4,5および8に側壁36に形成された一対の溝108A及び108Bおよび側壁38に形成された一対の溝110Aおよび110Bを示す。対となっている溝は好ましくは平面状の刃部に沿って互いに平行に延び、その後湾曲した外面に沿って同じ高さで広がり、軸46の境界縁部76に復帰する。また、側壁36に上下に配置された溝は好ましくは反対側の側壁38に上下に配置された溝と同じ高さであると良い。溝108A、108B、110Aおよび101Bの深さおよび縦幅は好ましくは共に0.1mmより小さく、例えば、深さ0.05mm±0.25mm及び縦幅0.06mm±0.025であると良い。上側溝108Aおよび110Aは好ましくは刃28の最大上下高さが上半分以内であると良いが、好適な実施形態においては上側溝を1/3近辺、例えば上下高さが最大1.0mmである刃26の上側縁部45から0.3mmの位置に設けると良い。溝の深さおよび高さは好ましくはその軸方向の長さ全体に渡って一定であると良い。それぞれの側壁の下側の溝110Bおよび1120Bは上側の溝と同寸法に形成され、刃26の上下の高さの下半分内に好ましくは上側縁部の2/3下がったところ、例えば、1.0mmの高さの刃に対して上側縁部45から0.6mm下がったところに位置すると良い。一又は複数の吸引口から成る移行部40の軸方向の長さが好ましくは刃26の上下の高さと大体同じであるような、例えば軸方向の長さが1.0mmである移行部40であると良い。
【0050】
図5に示す切断装置222のチップ部126は図4に示した共通の刃28の構成のみならず略全ての点においてチップ部26と類似しているが、チップ部126は移行部140およびシャフト部46’が異なり、それらは共に中身が詰まっており、内部に吸引通路を有していない。従って図5に示す切断装置222ではその内部において吸引作用が発生しない。
【0051】
図6は変形実施形態を示しており、切断装置322のチップ部226は図4に示すチップ部26と全体的に同様の構成だが、その刃128が刃28と異なる。すなわち、刃128は図4に示す刃28と同じ構成であるが、対抗する側壁36および38の表面に沿って溝が形成されておらず、側壁36および38は夫々連続した滑らかな表面を有しており、それらに対応する移行壁37および39についても滑らか(半径が大きい)なフィレット形状の移行部を形成する境界線64により滑らかに形成すると良い。
【0052】
図7は参照符号422を付した切断装置の変形実施形態を示しており、図6に示したものと類似した刃128を備えたチップ部326を有しているが、軸146および移行部140の中身が詰まっており、吸引口を有していない(例えば、断片化時に発生した微量の破片は洗浄液ともに切開部から流出させれば良い)。
【0053】
図9は変形実施形態を示しており、切断装置522のチップ部426は切断装置322と略全ての点において類似しているが、軸46の遠位側に位置する吸引穴の構成が異なる。図9に示す吸引口は上側縁部に形成されているのではなく、移行壁37および/または39に形成されている。移行部40に備えられた各吸引穴90Aおよび90Bは中空の軸46に備えられたルーメン58と連通している(例えば、移行部90の全体の軸方向の長さの25%から75%を占める中間領域)。
【0054】
図10は変形実施形態を示しており、切断装置622のチップ部526は図1の刃26と類似した刃部を有しているが、移行部240については吸引口90Aおよび90Bを有している点において図9に示したものに類似している。
【0055】
図11は切断線XI−XIの図10に沿った切断面を示しており、吸引口90Aおよび90Bが移行壁72および74の傾斜した外面に形成され、移行部240の肉厚領域を軸46内に形成されたルーメン58の端部に達する迄貫通する吸引通路P1およびP2と連通している。通路P1およびP2の長さは好ましくは1.5mm±0.5mm程度であると良い(例えば、軸方向の長さが2mmから1.5mmの間を前後する1.0mm程度の長さの通路であり、角度A5およびA6は好ましくは25°から35°であり、より好ましくはそれぞれ例えば30°のような同じ値であると良い)。
【0056】
前記したチップ部の実施形態、例えばチップ部26の面積は好ましくは5mm以下、例えば4から5mmの範囲で4.16から4.18mmが好適である(上記面積は刃部28および移行部40を上下に二分した面積を含む)。
【0057】
次に図12から21に示す切断装置の変形形態を参照する。図1から11および図12から21を比較すると分かる通り、種々の実施形態間の違いは主にチップ部の構成にある。図12から21に示すチップ部の構成は特に黒色、褐色白内障等の硬質のものと比較して軟質なものに使用するのに適している。
【0058】
図12、15および19に示す第2実施形態に係る切断装置722は軟質な白内障(例えば、黒色および褐色ではない白内障)を素早く効率的に切断するのに特に適している。
例えば図15に示す通り、切断装置722のチップ部724は図1の実施形態に示したものと類似した移行部40から伸びる変形例の刃726を有する。刃726の高さH2(図19)は好ましくはH1(図8A)と同じであると良いが、本発明の好適な使用方法においては0.7mmから2.0mmの範囲であると尚良い。図15から図19は前方に、上側端点728と下側(切除対象との接触部)端点730を有する平坦縁部732を示す。刃724の対向する壁733および734は好ましくは前述した側壁の収束(上下方向および軸方向)の説明と同様により厚みのある上側縁部736から下側縁部738へ向かって収束するが、ここで上側端点728の上側縁部における厚みは約0.5mmから0.9mm(例えば、0.7mm)である。
【0059】
図示するように前側平面縁部732は好ましくは点728から点730間全体が直線であり、角度A4(図19)が20°から45°特には30°±5°であると良い。また、平面端部732の長さは好ましくは1から3mm程度、例えば2mm±0.5mmであると良い。また、上側および下側縁部は共にある程度丸みを帯びていた方が良く、例えば上側縁部の断面の湾曲部の半径は約0.07mm±0.02mmであると良く、対応する下側縁部の0.05mm±0.02mmの調整範囲であると良い。
【0060】
上側縁部736と下側縁部738は好ましくは平行に伸びるように構成されていると良く、図19においては近接側から遠位側へ下降する傾斜の水平線に対する角度A6を示しているが、その角度は15°±5°の範囲であると良い。下側縁部738は好ましくは上側縁部736より、基点となる共通の境界縁部64から、より遠位に伸びるように構成すると良い。例えば、上側縁部736の最遠位点728と下側縁部738の最遠位点730間の軸方向の距離D2は好ましくは0.3mmから0.4mmの範囲であると良く、より好ましくは0.35であると良い。従って下側縁部738は好ましくは刃の高さH2の約15%から45%の距離だけ余分に遠位側に伸びると良い。
【0061】
図15に更に刃の表面733に形成された溝740A、740Bおよび反対側の壁面734に形成された溝742A、742Bを示す。溝740A、742Aは前述の実施実施形態と同様に上側に位置しているが、異なる性質として、高さが軸方向に沿って継続的に増加する(例えば、2/1倍になる)、例えば、遠位端で最小値0.05mmであったものから0.1mmへ増加したり、約0.1mmであったものから0.2mmへ増加する。溝740A、742Aは前述の実施実施形態と同様の深さ(例えば、0.05mm)を有する。溝740B、742Bは好ましくは対応する上側の溝よりわずかに浅く形成されていると良く、例えば深さが0.03mmであり、同様に上下幅もしくは高さが0.06mmから0.12mmのように2/1倍拡大すると良い。
【0062】
図16に示す切断装置822は略全ての点において切断装置722と同様であるが、側壁733’、734’に溝が形成されていない点が異なる。
図17に示す切断装置922は略全ての点において切断装置722と同様であるが、移行部40’および軸46’が中空でない点が異なる。
図18に示す切断装置1022は略全ての点において切断装置922と同様であるが、切断装置822と同様に側壁に溝が形成されていない点が異なる。
【0063】
図20に示す切断装置1122は略全ての点において切断装置722と同様であるが、切断装置722では吸引口が上位の上側縁部に形成されているのに対して、移行部40の側壁に吸引口90A、90Bが形成されている点が異なる。
図21に示す切断装置1222は略全ての点において切断装置1122と同様であるが、側壁733’、734’に溝が形成されていない点が異なる。
図22は図20を正面視したものであり、吸引口90A、90Bについても示している。
【0064】
図23から26は種々の白内障を切断、破砕するのに用いる切断装置の変形実施形態を示しており、切断装置を図中に符号1322で示す。切断装置1322も同様に変形チップ部826の支持ベース部として形成される超音波伝達部24を有している。図23から26に示す実施形態では伝達部24はルーメン870を備えた中空の軸部846を備えているが、上記した他の実施形態と同様に本発明の主題は中空ではない軸部も含んでいる。チップ826は吸引口890と刃828を有する移行部840を備える。軸部846には外側円錐部830が設けられており、その長さは好ましくは8mm程度であり、水平面に対して3から5°、例えば3.6°傾斜し、最近接側端の直径が約2mmである。また、図示の円筒状チューブ840は好ましくは長さが14mm、外径が1mm程度である。チューブ840内の及び伝達部24の残りの部分を貫通するように吸引水路または吸引通路が設けられており、好適な実施形態ではその長さが約19.8mmであり、チューブ840に沿った直径が0.8mm程度である。円錐部830と切断装置1322の最近接端827の開放端に通ずる円筒水路850を有する近接側接続端848との移行領域には円錐経路部880が形成されている。円錐経路部880の長さは好ましくは1.27mm程度であり、水平面に対して18.4度程度傾いていると良く、それに対して円筒水路の長さは好ましくは4.65mm程度であり、直径が1.6mm程度、またはルーメン58の直径の2倍程度であると良い。
【0065】
図示のように平坦刃828は共通素材で一体形成された切断装置1322の非中空端部である(手術器具に適した材料、例えばチタン、手術用スチール)。他の実施形態と同様に刃828の上側縁部835は好ましくは移行部840の上側縁部から下降傾斜し、15度±5度程度の角度A7と1mm±0.3mm程度の高さに形成すると良い。刃828には刃828と移行部840の境界線864から伸びる、より長い下位縁部847が設けられている(移行部840は好ましくは切断装置の中でも比較的に下方への収束の度合いが強く形成されていると良く、刃部は比較的収束の度合いが弱い(例えば、収束角度比が5対1程度)もしくは、軸方向へ全く収束させないようにして移行部840の遠位側境界を明確に規定しても良い。下側の下位傾斜縁部847は角に位置した丸みを帯びた縁部830の中心点として図示されている最遠位端へ下降傾斜する。図示の通り、上位前側端面832は近接側に戻り、上位側へ向かうように上側湾曲縁部834に到達する(その湾曲縁部の中心点が高さH3の最高点を示す)。湾曲した角部830、834の半径は好ましくは2mm程度であると良い。更に、835(上側縁部)、847(下側縁部)、832(前側縁部)によって示される各縁部は好ましくは各縁部の規定する線と交差する断面で見ると丸みを帯びていること良い。更に図25Aに示す通り、前側縁部832は20から40°程度の傾斜角を有し、より好ましくはA8で示すように30°程度の傾斜角を有すると良い。その結果、上側縁部の前後方向の長さが同じく共通の境界線864から、好ましくは上側縁部と平行になるように同角度で伸びる下側縁部847と比較して短くなり、その上側縁部と下側縁部の長さの差は好ましくは0.25mmから0.5mm程度であり、本実施形態ではより好ましくは0.35mm±0.1mm程度であると良い。
【0066】
図26にて最も良く確認できるように吸引口890は移行部の上位側に位置しており、中空の軸部840内に伸びている。吸引口890は吸引口90に対して上記に説明したような外寸を有しており、本実施形態については細長の吸引口の長さの大部分は境界線840の移行部側にあり、残りのわずかな部分が軸側にある。また吸引口890は切断装置1322の近接端827から25mm程度離れて位置している。本発明の主題は更に上側に吸引口890を有する構成の代わり、またはそれに加えて側面に吸引口を有する切断装置1322も含む。
【0067】
上記した実施形態においては各チップ部の平坦刃が軸方向の長さがより短い上側縁部からより長い下側縁部へ下降傾斜(例えば、湾曲部と直線部もしくはどちらか一方の傾斜面)するように図示されており、後者は少なくともその最遠位領域において最初に切断対象物と接触するように構成されている。上側縁部と下側縁部の2つの最遠位点の間には前方に面した縁部が形成されており、好ましくは30°±10°の角を形成している。この前側縁部は直線状の前側縁部であっても、全体的に湾曲状の前側縁部(移行部との境界へ戻るように形成されている一続きの湾曲面の一部を成しても良い)またはそれらを組み合わせたものでも良い。このように構成された前側縁部とそれに関連する上側および下側縁部は水晶体前嚢の遠位縁部との接触を回避しながら十分の深さと長さの切り込みを白内障に形成できるような刃の構成を得るために有意義である。そのような前側縁部の構成にあって、好ましくは下側縁部が上側縁部より薄く形成されていると良く、それによって下側縁部が上側縁部より鋭利な縁部となる。またこのような刃の設計によると、ナイフの内、白内障に最初に接触する部分は下位側の鋭利な縁部であり、上位側縁部と下位側縁部の軸方向の長さの差が0.5mm程度であれば、下側縁部が上側縁部よりも遠位に突出していることに伴い、前方に移動した際に虹彩または水晶体前嚢を傷つけることなくナイフを動かせる。更に例えばアーチ状の凹部が形成されている実施形態では更に安全性を付加することができ、チップ部が切断動作で前後動する際に望ましくない虹彩や水晶体前嚢との接触を避けるために有効な刃構成を得られる。更に上記の実施形態の内いくつかは刃が白内障の核を貫通する時の摩擦軽減に寄与する側壁溝を有し、超音波エネルギーが効果的に使用されない横側の超音波エネルギーを消散することが出来る。
【0068】
本発明は更に溝を有しているが吸引口が無いものと溝も吸引口も有していない実施形態などの変形実施形態も含む。例えば、吸引口を有さないチップ部を使用する場合は白内障を切断する時に発生する破片は一つまたは複数形成された、一定量の液体(破片)の流出を想定した、切開部を通じて眼の前房から流出する。
【0069】
潅注システムと共に切断装置を使用する場合、軸部は好ましくはシリコーン製スリーブによって360度覆われているおり、好ましくは平坦化された部分を覆わないように採寸すると良い。スリーブとシャフトの間の円環状の空間を通じて循環する液体がチップ部を冷却し、スリーブの側方に位置する2つの穴を通じて眼に供給される。また供給された液体は吸引口、切断装置のルーメン、切開部またそれらの組み合わせにより眼から流出する液体と入れ替わる。スリーブの長さは(それが備えられている場合は)好ましくは一または複数の吸引穴を覆うように軸部の移行部および平坦部分を覆う。この位置にスリーブが無いと、手術医がチップ部を取り替えるためにチップ部を後方へ移動させた時にスリーブの潅注穴が眼の外部に位置することになり、前房の崩壊を招く恐れがある。
ここに示すチップ部は潅注スリーブを設けることなく、マイクロ切開部(例えば、1.5mmよりも小さい1.1mm前後のもの)に挿入して使用しても良いが、好ましくは予備の切開部に第2の器具を挿入して潅水すると良い。
【0070】
本発明を切断装置に適用した例を図27Aから31に示す。図27Aに示す通り、本発明の切断装置を主切開部に挿入し、第2の器具(破砕促進器)を副切開部に挿入する。嚢切開、ハイドロダイセクションに続いて超音波ナイフ22のチップ部を前房へ導入して28.000から40.000Hzの間で振動させる(図28Bに示すハンドピースに接続した状態で)。白内障との接触時にチップ部の超音波エネルギーが衝撃波を発生させ、バターやチョコレートに熱したナイフで切り込みを入れた時のような切れ味と切り易さで鋭く切り込むことができる。このような白内障への切り込みを図27Bおよび27Cに示す。チップ部の超音波動作は任意の距離を移動する前後方向の動作であるが、超音波ナイフのチップ部は使用する水晶体乳化吸引機の種別によっては更に左右方向に振動させても良い。その際の振動周波数は非超音波(100Hz)のものであっても超音波(32、000Hz)であっても、その器具のプログラムに従ったものを採用すれば良い。この振動の振幅は例えば最大で10°程度である(例えば、3〜10°程度)。ハンドピースに連動した駆動手段によって生じる上記のような振動の具体例を示す図32および32A〜32Cには、Kが存する面、即ち切断装置の刃を上位側から下位側に沿って二等分する面、から相反する方向に切断装置の刃が振動する様子が示されている。刃はKに対して、前述した2等分面を横断する方向に、角度Xを成す範囲で振動する。従って、角度Xは好ましくは3から10度または前述の2等分面を横断する総移動量に換算すると6から20度(図32における角度XR)であると良い。
【0071】
図27から31に図示しないが、冷却潅注システムを使用する場合は、チップ部を眼に挿入する時に潅注システムを駆動させる。そして、例えばチップが白内障と接触した時に手術医が超音波動作の発生手段を、例えばフットペダルをどの水晶体乳化吸引機にも共通である「ポジション3」の位置に踏み込むことによって、駆動させることによって電気エネルギーがハンドピースに供給され、振動動作を発生および潅注システムを駆動させる。これらの器具において白内障に適用される超音波もしくは非超音波エネルギーの「パワー」を決定づけるチップ部の振動動作の移動量はハンドピースに供給される電力に直結する、即ち手術医が選択した設定値、例えばペダルのポジション3の位置まで踏み込む踏み込み量に依存する。このように手術医は「パワー」、例えばチップ部の動作の各ストローク長および振幅を、白内障の硬さに応じて水晶体乳化吸引機のコンソールを通してエネルギーのパラメータ(各ストロークにおけるチップ部の最大移動量に対する割合に関連する)を例えば60から100%の間で変化させて調整できる。超音波振動時に灌水システムを使用する場合、手術医は灌水システムを駆動したままにすると良い。例えば、フットペダルをポジション3に維持しておくことにより液体の灌注と吸引を維持することができる。ウルトラチョッパーを使用して白内障に切り込みを入れる場合は、好ましくは例えば切り込みの深さを3.0から3.5mm(白内障の厚みの60から80%の深さ)、切り込みの長さを2.5mmおよび3.5mm程度とし、前嚢を傷つけないようにその縁を超えないようにすると良い。図27Dと図29に示す通り、「破砕促進」機5000は平坦端部を有し、その平坦端部が前房に、好ましくは主切開部から90から100°離間している副切開部を通じて挿入され、切除装置が形成した溝に導入される。好適な実施例において器具5000はその遠位端に90°屈曲した長さ1.5mmから2.0mm程度の延出部を有し、その延出部を超音波で形成した切り込みの内部に挿入し、器具とナイフを用いて切り込み内の対向する壁部にそれぞれ反対方向に弱圧を加えることにより図27D,27Eおよび27Fに示すように破片の分断を促進する。平坦端は種々の形態に形成され得るが、その目的は切断装置22等によって最初に形成された溝に容易に挿入可能な厚さに平坦端を形成することにある(例えば、図27A以降に示すように尖った端部形状であっても丸みを帯びた楕円形の外形であってもよい)。
【0072】
図27Gに器具5000を押し広げた溝から取り除いた後、それを用いて溝を回転させる過程を示している。即ち、図27H、27Iに示すように白内障を次の切り込みに適した方向に全体的に回転させる(新たな切り込みの数や大きさについては手術医の判断によるが、通常はピザを切るときのように必要な数に等分し、後の例えば、振動吸引針を有する破砕吸引装置で取り扱い易いように処理する)。手術医が何等分化したいのかに応じて(4から12の間で)、例えば20から45度回転させると良い。図27Jに2番目の切り込みへの位置合わせとして45°回転させた状態を示す。上記のような技術を用いて白内障を分割する時の所要時間は通常8から20秒程度である。図27Kから27Qに最初の切り込みを形成、拡大した時と同様の処理を示す。図示のように器具5000を既に形成した切り込み(一または複数)の一方または他方側に配置し、切断装置と協働して断片化対象物を今回形成した切り込みの相反する方向に更に分断するが、この更なる分断(最初の切り込みおよび後続の切り込み)を行うにあたって、刃の形状を前後方向に沿って拡大させるか、刃を左右に振動させるか、またはその両方を行った上で図27に示した最初の切り込み形成時の切り込み幅を拡大しすることにより更なる分断作業を容易に進めることができる。
【0073】
断片を分断し、ウルトラチョッパーを取り外した後、標準仕様の超音波針をハンドピースに接続して細かい断片を吸引すると良い。扱い易い大きさに細分化された断片を吸引する前にウルトラチョッパーを使用することで手術時間および超音波エネルギーの消費を大幅に削減できる。硬度が高い、または極めて高い(褐色および黒色)白内障に特に効果的な方法として上記方法の代わりにウルトラチョッパーと共に核保持機6000を用いて白内障を分断する方法があるが、その核保持機6000を図28Cと30に示し、その使用方法を図33Aから33Fに示す。この保持機は好ましくは副切開部から嚢内に水晶体レンズの赤道付近迄に達する迄挿入して白内障を安定させ、図33Aから33Fに示すようにウルトラチョッパーの動作に対抗する力を作用させる。白内障を切断すべくウルトラチョッパーを核に入刀し前述のように白内障の深さの80から90%に達すると同時に図33Cから33Fに示すように核保持機によって白内障の核を(例えば、0.5mmから1mm程度)持ち上げる。ウルトラチョッパーを核保持機に近接させ、両者を左右反対方向に動かすことで断片を分断することができる。上記に説明したようにウルトラチョッパーは切断装置としてだけではなく、断片を分断させる極小の切開へらとして使用できる(その他の実施形態でも同様である)。核保持機使用時の超音波エネルギーの適用時間は通常3から5秒程度に限られる。繰り返しになるが、上記作業によって発生した断片は標準仕様の超音波針を用いて吸引する。
【0074】
上記の通り、超音波針での乳化作業に代わってウルトラチョッパーを使用して得られた断片をチップ部から加熱した液体パルスを放出するシステム(例えばAqualase, Alcon)を用いて液化しても良い。図28および図31に液化処理に特に適した代替的な器具6005を示す。好適な実施形態として器具6005を「マクロスプーン」として示すが、このマイクロスプーンはその凹状に窪んだ先端部によって液化プローブによる断片の飛散を防ぐ。図31にマクロスプーン6005の握り部6009を示すが、この握り部6009は脚部6006の支持ベースとして機能し、この脚部6006から端部にスプーン形状の小型の先端部6008または「マイクロスプーン」を有する脚部6007が屈曲しながら伸びる。先端部6008は脚部6007と同じ軸方向に延びている。これは同様にベース6001、第1脚部6002、第2脚部6003、核保持機6000を有する核保持機6000とは核保持機6000が90°屈曲したセグメントBの端部に球体の先端部有する点が異なる。破砕促進機5000は器具6000の屈曲したセグメントBと球体の先端部を平坦な遠位端Fに置き換えているため、切断装置によって形成された切込みへの挿入に適しており、相反する応力を加えて白内障の分断を促進することができる。
【0075】
上記した本発明の実施形態、特に任意の「好適な」実施形態は単に考えられる実施例を示したものであり、本発明の基本原理を明確に理解するためだけに記載したものであることを強調されたい。本発明の思想、基本原理から大きく逸脱することなく上記した本発明の一または複数の実施形態から種々の変更、変形をしてもよい。それらの変形、変更は全て本開示事項、本発明の範囲に含まれ、請求の範囲によって保護されるものとする、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術に用いられる切断装置であって、
超音波伝達部と、
前記超音波伝達部の先端側に支持されているチップ部と、を備え、
前記チップ部は、吸引口が設けられていない対向した一対の側壁で形成された刃部を有し、
前記刃部を形成する一対の前記側壁は、上側から下側に向かって相互間の距離が小さくなるように相互に収束することにより前記刃部の下端側に接触縁部を形成している切断装置。
【請求項2】
前記側壁は、垂直方向において上側から下側へ収束することにより、上側縁部に比較して幅が狭い下側縁部を形成し、
前記刃部を形成する一対の前記側壁は、前記刃部の先端に位置する前側縁部から前記超音波伝達部側へ遠ざかるにつれて相互間の距離が大きくなるように広がって形成されている請求項1記載の切断装置。
【請求項3】
前記前側縁部は、前記刃部の下側で最も先端に位置する端点から上側へ向かうとともに前記端点から遠ざかるにつれて、幅が広がるように傾斜している請求項2記載の切断装置。
【請求項4】
前記接触縁部は、下側に前記端点へ伸びる直線状で非湾曲の直線縁部を有する請求項3記載の切断装置。
【請求項5】
前記接触縁部は、前記直線縁部の前記超音波伝達部側に接続する上側へ凹んだ湾曲状の縁部である凹状縁部を有する請求項4記載の切断装置。
【請求項6】
前記超音波伝達部は、軸部を有するとともに、
前記チップ部は、前記刃部から前記軸部へ拡大しながら移行する移行部を有し、
前記刃部は、前記前側縁部の最も上側の端部から前記移行部へ伸びる上側縁部を有し、前記接触縁部が前記端点から前記移行部へ伸び、前記上側縁部の前後方向の長さが前記下側の前記接触縁部より短い請求項3から5のいずれか一項記載の切断装置。
【請求項7】
前記前側縁部は、前記上側縁部との移行部分に湾曲した上側湾曲縁部を有する請求項6記載の切断装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項記載の切断装置と、
前記超音波伝達部を経由して前記切断装置へ超音波振動を伝達する超音波振動生成装置と、
前記切断装置を収容するスリーブと、を備え、
前記超音波伝達部は、軸部と、前記軸部の前記切断装置側に設けられている移行部と、前記軸部と前記移行部との境界に設けられた吸引口とを有し、
前記スリーブは、前記軸部の周囲を覆うとともに、前記切断装置を使用する時に前記吸引口よりも先端側まで覆っている水晶体乳化吸引装置。
【請求項9】
前記スリーブは、前記刃部が2.5mm露出するように前記移行部に沿って前記超音波伝達部および前記切断装置を覆う請求項8記載の水晶体乳化吸引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図25A】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【図27E】
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【図27F】
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【図27G】
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【図27H】
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【図27I】
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【図27J】
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【図27K】
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【図27L】
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【図27M】
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【図27N】
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【図27O】
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【図27P】
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【図27Q】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図33D】
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【図33E】
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【図33F】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−99571(P2013−99571A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−10213(P2013−10213)
【出願日】平成25年1月23日(2013.1.23)
【分割の表示】特願2009−523359(P2009−523359)の分割
【原出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【Fターム(参考)】