説明

切断C型肝炎NS5ドメインおよびこれを含む融合タンパク質

本発明は、本発明は、切断HCV NS5ポリペプチド、およびHCVポリタンパク質の別の領域に由来する少なくとも1種の他のHCVエピトープに融合されるこの切断NS5ポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。この融合体は、HCVに対する免疫応答(例えば、CD4T細胞およびCD8T細胞が挙げられるC型肝炎ウイルス(HCV)特異的T細胞を活性化するような、HCVに対する細胞性免疫応答)を刺激する方法に使用され得る。この方法は、HCV特異的な免疫原性組成物を開発するモデル系において使用され得、そしてHCVに対して哺乳動物を免疫化するために使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV) ポリペプチドに関する。より具体的には、本発明は、切断HCV NS5ポリペプチドおよびこの切断NS5ポリペプチドを含む融合タンパク質に関する。このタンパク質は、HCV特異的T細胞を初回刺激(priming)しそして/または活性化するために免疫応答(例えば、細胞媒介性免疫応答)を刺激するのに有用であり、そして診断用試薬として有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、世界中の人口の約1%がこのウイルスに感染する、重大な健康上の問題である。急性感染した個体の75%超は、最終的に、肝硬変、肝不全、および肝細胞癌を生じ得る慢性的なキャリア状態に進む。非特許文献1; 非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4を参照のこと。
【0003】
HCVは、最初に、HoughtonらによってNANBHの原因として同定されそして特徴付けられた。HCVのウイルスゲノム配列は、この配列を得るための方法と同様に公知である。例えば、特許文献1;特許文献2;および特許文献3を参照のこと。HCVは、9.5kbの+(センス)鎖の、一本鎖RNAゲノムを有し、そしてフラビウイルス科のウイルスのメンバーである。少なくとも6つの、異なるが関連した遺伝子型のHCVが、系統発生解析に基づいて同定された(非特許文献5)。このウイルスは、3000を超えるアミノ酸残基を有する単一のポリタンパク質をコードする(非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8)。このポリタンパク質は、翻訳と同時および翻訳後に、構造タンパク質ならびに非構造(NS)タンパク質の両方にプロセシングされる。
【0004】
特に、図1に示されるように、いくつかのタンパク質は、HCVゲノムによってコードされる。HCVポリタンパク質の切断産物の順序および名称は、以下のようなものである:NH−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOH。このポリタンパク質の最初の切断は、3つの構造タンパク質(N末端ヌクレオカプシドタンパク質(「コア(core)」と称される)および2つのエンベロープ糖タンパク質(「E1」(Eとしても公知である)および「E2」(E2/NS1としても公知である))、およびウイルス酵素を含む非構造(NS)タンパク質を生じさせる宿主のプロテアーゼによって触媒される。これらのNS領域は、NS2、NS3、NS4およびNS5と称される。NS2は、タンパク質分解活性を有する内在性膜タンパク質であり、そしてNS3との組み合わせにおいて、NS2−NS3シスル(sissle)結合を切断し、次にNS3のN末端を生成し、そしてセリンプロテアーゼおよびRNAヘリカーゼ活性の両方を含む大きなポリタンパク質を生じる。このNS3プロテアーゼが機能して、残りのポリタンパク質をプロセシングする。これらの反応において、NS3は、NS3補因子(NS4a)、2つのタンパク質(NS4bおよびNS5a)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5b)を生じさせる。ポリタンパク質の成熟の完了は、NS3−NS4a連結における自己触媒的な切断によって開始され、NS3セリンプロテアーゼによって触媒される。
【0005】
HIVのような特定のウイルスに対する薬剤の開発における大きな進歩にもかかわらず、急性HCV感染および慢性HCV感染の制御は、限られた成果しか有さなかった(非特許文献9)。特に、細胞性免疫応答(例えば、強い細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の応答)の発生は、HCV感染の制御および撲滅のために重要であると考えられる。
【0006】
細胞性免疫応答を発生させ得る免疫原性HCV融合タンパク質は、特許文献4および特許文献5;特許文献6および特許文献7に記載される。それにもかかわらず、HCVに対する免疫応答(例えば、細胞性免疫応答)を刺激するさらに有効な方法に対する必要性が、当該分野において存在し続ける。
【特許文献1】国際公開第89/04669号パンフレット
【特許文献2】国際公開第90/11089号パンフレット
【特許文献3】国際公開第90/14436号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2004/005473号パンフレット
【特許文献5】米国特許第6,562,346号明細書
【特許文献6】米国特許第6,514,731号明細書
【特許文献7】米国特許第6,428,792号明細書
【非特許文献1】Alterら、「N.Engl.J.Med.」、1992年、第327巻、p.1899−1905
【非特許文献2】ResnickおよびKoff.、「Arch.Intem.Med.」、1993年、第153巻、p.1672−1677
【非特許文献3】Seeff、「Gastrointest.Dis.」、1995年、第6巻、p.20−27
【非特許文献4】Tongら、「N.Engl.J.Med.」、1995年、第332巻、p.1463−1466
【非特許文献5】Simmondsら、「J.Gen.Virol.」、1993年、第74巻、p.2391−2399
【非特許文献6】Chooら、「Science」、1989年、第244巻、p.359−362
【非特許文献7】Chooら、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」、1991年、第88巻、p.2451−2455
【非特許文献8】Hanら、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」、1991年、第88巻、p.1711−1715
【非特許文献9】Hoofnagleおよびdi Bisceglie、「N.Engl.J.Med.」、1997年、第336巻、p.347−356
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の要旨)
本発明の目的は、HCVポリペプチドのエピトープを認識するT細胞を初回刺激しそして/または活性化するようなHCVに対する免疫応答(例えば、細胞性免疫応答)を刺激するための試薬および方法を提供することである。本発明の目的はまた、HCV感染の防止および/または処置のための組成物を提供することである。本発明の目的はまた、生物学的サンプル中のHCVの存在を検出するための診断用アッセイにおいて使用する試薬および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、1つの実施形態において、本発明は、C末端切断NS5ポリペプチドに関し、このポリペプチドは、全長NS5aポリペプチドおよびNS5bポリペプチドのN末端部分を含む。特定の実施形態において、このポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸2500とC末端との間の位置にて(例えば、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされた、アミノ酸2900とC末端との間か、または全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸2990の直後のアミノ酸に対応するアミノ酸にて)切断される。
【0009】
さらなる実施形態において、上記ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜2990に対応するアミノ酸配列からなる。
【0010】
さらなる実施形態において、本発明は、上記の実施形態のいずれかのC末端切断NS5ポリペプチドおよびNS5領域以外のHCVポリタンパク質の領域に由来する少なくとも1種のポリペプチドを含む、免疫原性融合タンパク質に関する。
【0011】
なおさらなる実施形態において、上記タンパク質は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたHis−1083、Asp−1105および/またはSer−1165に対応するアミノ酸の置換を含む改変NS3ポリペプチドをさらに含むことによって、改変NS3ポリペプチドがHCV融合タンパク質中に存在する場合に、プロテアーゼ活性が阻害される。特定の実施形態において、この改変NS3ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたSer−1165に対応するアミノ酸のアラニンへの置換を含む。
【0012】
さらなる実施形態において、上記タンパク質は、改変NS3ポリペプチド、NS4ポリペプチド、および必要に応じてHCVcoreポリペプチドを含む。
【0013】
さらなる実施形態において、上記coreポリペプチドは、C末端の切断を含む。特定の実施形態において、このcoreポリペプチドは、図3のアミノ酸1772位〜1892位に示されるアミノ酸の配列からなる。
【0014】
なおさらなる実施形態において、上記融合タンパク質は、E2ポリペプチドをさらに含む。特定の実施形態において、このE2ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸384〜715に対応するアミノ酸配列からなるC末端切断E2ポリペプチドである。
【0015】
さらなる実施形態において、上記融合体中に存在する上記ポリペプチドの各々は、同じHCV単離物に由来する。他の実施形態において、上記融合体中に存在する上記ポリペプチドの少なくとも1種は、上記C末端切断NS5ポリペプチドと異なる単離物に由来する。
【0016】
なおさらなる実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端への方向に、本質的に以下からなる免疫原性融合タンパク質に関する:
(a)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたSer−1165に対応するアミノ酸のアラニンへの置換を含むことによって、プロテアーゼ活性が阻害される、改変NS3ポリペプチド;
(b)NS4ポリペプチド;
(c)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜2990に対応するアミノ酸配列からなる、C末端切断NS5ポリペプチド;および
(d)必要に応じて、HCVcoreポリペプチド。
【0017】
なおさらなる実施形態において、本発明は、アミノ末端からカルボキシ末端への方向に、本質的に以下からなる免疫原性融合タンパク質に関する:
(a)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸384〜715に対応するアミノ酸配列からなるC末端切断E2ポリペプチド;
(b)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたSer−1165に対応するアミノ酸のアラニンへの置換を含むことによって、プロテアーゼ活性が阻害される、改変NS3ポリペプチド;
(c)NS4ポリペプチド;
(d)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜2990に対応するアミノ酸配列からなる、C末端切断NS5ポリペプチド;および
(e)必要に応じて、HCVcoreポリペプチド。
【0018】
特定の実施形態において、上記の融合タンパク質は、HCVcoreポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、このcoreポリペプチドは、coreポリペプチドが図3のアミノ酸1772位〜1892位に示されるアミノ酸の配列から構成されるように、C末端の切断を含む。
【0019】
なおさらなる実施形態において、本発明は、上記の実施形態のいずれかに従うC末端切断NS5ポリペプチド、または上記の実施形態のいずれかに従う融合タンパク質を、薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて含有する組成物に関する。特定の実施形態において、この組成物は、HCV E1E2複合体のよう免疫原性HCVポリペプチドを含有する。このE1E2複合体は、NS5ポリペプチドまたはNS5ポリペプチドを含む融合タンパク質とは、別個に提供され得る。
【0020】
さらなる実施形態において、本発明は、脊椎動物被験体中の細胞性免疫応答を刺激する方法であって、上に記載される組成物の治療有効量をこの被験体に投与する工程を包含する方法に関する。
【0021】
さらなる実施形態において、本発明は、組成物を生成するための方法であって、上記の実施形態のいずれかに従うC末端切断NS5ポリペプチドまたは上記の実施形態のいずれかに従う免疫原性融合タンパク質と、薬学的に受容可能な賦形剤とを組み合わせる工程を包含する方法に関する。
【0022】
なおさらなる実施形態において、本発明は、上記の実施形態のいずれかに従うC末端切断NS5ポリペプチドをコードするか、または上記の実施形態のいずれかに従う免疫原性融合タンパク質をコードするコード配列を含むポリヌクレオチドに関する。
【0023】
さらなる実施形態において、本発明は、以下を含む組換えベクターに関する:
(a)上に記載されるようなポリヌクレオチド;および
(b)コード配列が宿主細胞中で転写され、そして翻訳され得るために、このポリヌクレオチドに作動可能に連結される少なくとも1つの制御エレメント。
【0024】
さらなる実施形態において、本発明は、上に記載されるような組換えベクターを含む宿主細胞に関する。
【0025】
さらなる実施形態において、本発明は、免疫原性C末端切断NS5ポリペプチドまたはこのポリペプチドを含む免疫原性融合タンパク質を産生するための方法であって、これらのタンパク質を産生するための条件下で上に記載されるような宿主細胞の集団を培養する工程を包含する方法に関する。
【0026】
さらなる実施形態において、本発明は、HCVのNS5ポリペプチドの産生を増強するための方法であって、この方法は、このタンパク質を産生するための条件下で上に記載されるような宿主細胞の集団を培養する工程を包含する方法に関し、ここでこのタンパク質は、同じ条件下で産生される全長NS5ポリペプチドの量と比較して、より多い量で産生される。
【0027】
当業者は、本明細書中の開示を考慮して、本発明のこれらの実施形態および他の実施形態に容易に想到する。
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施は、特に明記されない限り、当業者の技術の範囲内の従来の化学的方法、生物化学的方法、組換えDNA技術による方法および免疫学的方法を使用する。このような技術は、文献中に完全に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編、Academic Press,Inc.);DNA Cloning、第I巻および第II巻(D.N.Glover編);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編);Nucleic Acid Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編);Animal Cell Culture(R.K.Freshney編);Perbal,B.、A Practical Guide to Molecular Cloningを参照のこと。
【0029】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈中で明らかに別のものを示さない限り、複数形が含まれることを留意しなければならない。したがって、例えば、「ポリペプチド(a polypeptide)」には、2種以上のこのようなポリペプチドの混合物などが含まれる。
【0030】
以下のアミノ酸の略語は、本明細書を通して使用される:
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R)
アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D)
システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q)
グルタミン酸:Glu(E) グリシン:Gly(G)
ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I)
ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K)
メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F)
プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S)
トレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W)
チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)。
【0031】
(1.定義)
本発明の記載において、以下の用語が使用され、そして以下で示すように定義されることを意図する。
【0032】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」とは、アミノ酸残基のポリマーをいい、産物の長さの下限に制限されない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、および多量体などは、この定義の範囲内に含まれる。全長タンパク質およびそのフラグメントの両方は、この定義に含まれる。この用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、およびリン酸化など)を含む。さらに、本発明の目的のために、「ポリペプチド」とは、タンパク質が所望の活性を保持する限り、天然の配列の改変(例えば、欠失、付加、および置換(一般に、本質的に保存的である))を含むタンパク質をいう。これらの改変は部位特異的変異誘発による意図的なものであっても、タンパク質を産生する宿主の変異またはPCR増幅に起因するエラーなどによる偶然のものであってもよい。
【0033】
HCVポリペプチドは、HCVポリタンパク質に由来する、上に定義されるようなポリペプチドである。このポリペプチドは、物質的にHCVに由来することを必要としないが、合成的または組換え的に産生され得る。さらに、このポリペプチドは、種々のHCV株のいずれか、およびSimmondsら、J.Gen.Virol.(1993)、74:2391−2399に記載されるHCVの6種の遺伝子型のいずれかを有する単離物(例えば、株1、株2、株3、株4など)を含む単離物、ならびに新たに同定された単離物およびこれらの単離物のサブタイプ(例えば、HCV1a、HCV1bなど)に由来し得る。これらの株の間の多くの保存領域および可変領域は、公知であり、そして一般的に、これらの領域に由来するエピトープのアミノ酸配列は、2つの配列が並列された場合に、高度の配列相同性(例えば、30%を超える(好ましくは、40%を超える)アミノ酸配列相同性)を有する。従って、例えば、用語「NS5」ポリペプチドとは、種々のHCV株、ならびに以下でさらに定義されるようなNS5アナログ、NS5ムテインおよびNS5免疫原性フラグメントのいずれかに由来するネイティブなNS5をいう。
【0034】
用語「アナログ」および「ムテイン」とは、以下に定義されるような、参照分子の生物学的に活性な誘導体、または所望の活性(例えば、細胞性免疫応答を刺激する能力)を保持するこのような誘導体のフラグメントをいう。改変NS3の場合において、「アナログ」または「ムテイン」とは、そのネイティブはタンパク質分解活性を欠くNS3分子をいう。一般的に、用語「アナログ」とは、ネイティブな分子に対する1個以上のアミノ酸の付加、置換(一般的に、本質的に保存的であるか、または改変NS3の場合においては、活性なタンパク質分解部位において本質的に非保存的である)および/または削除を(これらの改変が免疫原活性を破壊しない限り)含む、ネイティブなポリペプチド配列および構造を有する化合物をいう。用語「ムテイン」とは、1種以上のペプチド模倣物(「ペプトイド」)を有するペプチドをいう。好ましくは、アナログまたはムテインは、少なくともネイティブな分子と同一の免疫学的応答性を有する。ポリペプチドアナログおよびムテインを作製するための方法は、当該分野で公知であり、そして以下にさらに記載される。
【0035】
上記で説明される通り、アナログは、一般的に、天然において保存的な置換(すなわち、その側鎖に関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換)を含む。具体的には、アミノ酸は、一般的に、以下の4つのファミリーに分類される:(1)酸性−−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性−−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、チロシンは、ときとして、芳香族アミノ酸として分類される。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの単独置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との単独置換、トレオニンのセリンとの単独置換、または同様の、構造的に関連するアミノ酸とのアミノ酸の保存的置換は、生物活性に大きな影響を与えないことが容易に予想される。例えば、目的のポリペプチドは、この分子の所望の機能がインタクトなままである限り、約5〜10個までの保存的アミノ酸置換もしくは非保存的アミノ酸置換、またはさらに約15〜25個までの保存的アミノ酸置換もしくは非保存的アミノ酸置換、または5〜25の間の任意の整数の保存的アミノ酸置換もしくは非保存的アミノ酸置換を含み得る。当業者は、当該分野で周知のHopp/WoodsおよびKyte−Doolittleプロットを参照することにより、変化を許容し得る、目的の分子の領域を容易に決定し得る。
【0036】
「C末端切断NS5ポリペプチド」は、全長NS5aポリペプチドおよびNS5bポリペプチドのN末端部分を含むが、NS5b領域全体を含まないNS5ポリペプチドを意味する。C末端切断NS5ポリペプチドの具体的な例は、以下に提供される。
【0037】
「改変NS3」は、NS3ポリペプチドのプロテアーゼ活性が破壊されるような改変を有するNS3ポリペプチドを意味する。この改変は、ネイティブな分子に対する1個以上のアミノ酸の付加、置換(一般的に、本質的に非保存的である)および/または欠失を包含し得、この改変において、NS3ポリペプチドのプロテアーゼ活性は、破壊される。プロテアーゼ活性を測定する方法は、以下でさらに議論される。
【0038】
「フラグメント」は、インタクトな全長ポリペプチド配列および構造の、一部のみからなるポリペプチドを意図する。フラグメントは、ネイティブなポリペプチドのC末端の削除、および/またはN末端の欠失を含み得る。特定のHCVタンパク質の「免疫原性フラグメント」は、一般的に、エピトープを定義する全長分子の少なくとも約5〜10個の連続するアミノ酸残基、好ましくは全長分子の少なくとも約15〜25個の連続するアミノ酸残基、最も好ましくは全長分子の少なくとも約20〜50個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基、または5個のアミノ酸と全長配列との間の任意の整数の連続したアミノ酸残基を含むが、但し、目的のフラグメントは、本明細書中に記載されるアッセイによって測定されるような免疫原性活性を保持する。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「エピトープ」とは、少なくとも約3〜5個、好ましくは約5〜10個または15個、および約1,000個以下(またはその間の任意の整数)のアミノ酸の配列であって、それ自体の配列またはより大きな配列の一部を定義し、このような配列に対する応答において産生される抗体に結合する配列をいう。フラグメントの長さの上限は存在せず、このフラグメントは、タンパク質配列のほぼ全長を含み得るか、HCVポリタンパク質由来の2種以上のエピトープを含む融合タンパク質ですら含み得る。本発明で使用するためのエピトープは、由来する親タンパク質の一部の正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。実際、ウイルスゲノムは、常に不安定な状態であり、単離物の間の比較的高い可変性を示す、いくつかの可変ドメインを含む。したがって、用語「エピトープ」は、ネイティブな配列と同一の配列、ならびに欠失、付加、および置換(一般的に、本質的に保存的である)のようなネイティブな配列に対する改変配列を包含する。
【0040】
エピトープを含む所与のポリペプチド領域は、当該分野で周知の任意の数のエピトープマッピング技術を使用して同定することができる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、第66巻(Glenn E.Morris,編、1996)、Humana Press、Totowa、NewJ erseyを参照のこと。例えば、線状エピトープは、例えば、固体支持体上で多数のペプチド(タンパク質分子の一部に対応するペプチド)を同時に合成し、そしてこれらのペプチドが、なお支持体に結合している間に、これらのペプチドと抗体とを反応させることによって決定され得る。このような技術は当該分野で公知であり、そして例えば、米国特許第4,708,871号;Geysenら、(1984)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002;Geysenら、(1986)、Molec.Immunol.23:709−715に記載される。同様に、高次構造的なエピトープは、例えば、X線結晶学および二次元核磁気共鳴などによるアミノ酸の空間的コンホメーションの決定によって容易に同定される。例えば、Epitope Mapping Protocols、前出を参照のこと。タンパク質の抗原性領域はまた、標準的な抗原性プロットおよびハイドロパシープロット(例えば、Oxford Molecular Groupから利用可能なOmigaバージョン1.0ソフトウェアプログラムを使用して計算したものなど)を使用して同定され得る。このコンピュータプログラムは、抗原性プロフィールを決定するためのHopp/Woods法(Hoppら、Proc.Natl.Acad.Sci USA(1981)、78:3824−3828)およびハイドロパシープロットのためのKyte−Doolittle技術(Kyteら、J.Mol.Biol.(1982)、157:105−132)を使用する。
【0041】
種々のHCVエピトープの記載については、例えば、Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)、89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)、8:S33−39;Chienら、国際公開第93/00365号;Chien,D.Y.、国際公開第94/01778号;および米国特許第6,280,927号および同第6,150,087号を参照のこと。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「T細胞エピトープ」とは、ペプチド構造または結合したハプテンに対するT細胞免疫を誘導し得る、ペプチド構造の特徴をいう。T細胞エピトープは、一般的に、MHC分子のペプチドが結合する隙間(cleft)内に延びたコンホメーションを前提とする直鎖状ポリペプチド決定因子を含む(Unanueら、Science(1987)、236:551−557)。ポリペプチドの、MHCクラスII結合性の直鎖状ポリペプチド決定因子(一般的に、5アミノ酸長〜14アミノ酸長の間である)への変換は、「抗原プロセシング」と称され、これは、抗原提示細胞(APC)によって行われる。より具体的に、T細胞エピトープは、短いペプチド構造(例えば、電荷および疎水性に関する主要なアミノ酸配列の性質)、およびポリペプチド全体の折り畳みに依存しない特定の型の二次構造(例えば、螺旋性)の局所的な特徴によって定義される。さらに、ヘルパーT細胞によって認識され得る短いペプチドは、一般的に、(MHC分子との相互作用のための)疎水性の側面および(T細胞レセプターと相互作用するための)親水性の側面を含む両親媒性構造である(Margalitら、Computer Prediction of T−cell Epitopes、New Generation Vaccines Marcel−Dekker,Inc,編、G.C.Woodrowら、(1990)、pp.109−116)と考えられ、そしてさらに、この両親媒性構造がα−へリックス構造を有する(例えば、Spougeら、J.Immunol.(1987)、138:204−212;Berkowerら、J.Immunol.(1986)、136:2498−2503を参照のこと)と考えられる。
【0043】
従って、T細胞エピトープを含むタンパク質のセグメントは、多くのコンピュータープログラムを使用して、容易に予測され得る。(例えば、Margalitら、Computer Prediction of T−cell Epitopes、New Generation Vaccines Marcel−Dekker,Inc、編、G.C.Woodrowら、(1990)、pp.109−116を参照のこと)。このようなプログラムは、一般的に、ペプチドのアミノ酸配列を、T細胞応答を誘導することが公知である配列と比較し、そしてT細胞エピトープに必要であると考えられるアミノ酸のパターンを検索する。
【0044】
HCV抗原(ポリペプチドおよびインビボで発現されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの両方を含む)または組成物に対する「免疫学的応答」は、被験体における目的の組成物中に存在する分子に対する体液性および/または細胞性免疫応答の発生である。本発明の目的のために、「体液性免疫応答」とは、抗体分子によって媒介される免疫応答をいい、一方で、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球および/または他の白血球によって媒介される免疫応答をいう。細胞性免疫の1つの重要な局面は、細胞溶解性T細胞(「CTL」)による抗原特異的応答を包含する。CTLは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によってコードされ、かつ細胞表面上で発現するタンパク質に結合して提示されるペプチド抗原についての特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊、またはこのような微生物に感染した細胞の溶解の誘導および促進を補助する。CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞の両方は、HCV感染細胞を殺傷し得る。細胞性免疫の別の局面は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答を包含する。ヘルパーT細胞は、非特異的エフェクター細胞の機能を刺激することを補助し、そして非特異的エフェクター細胞の活性を、その表面上のMHC分子と結合してポリペプチド抗原を表示する細胞に対して集中させるように作用する。「細胞免疫応答」はまた、活性化されたT細胞および/または他の白血球によって産生されたサイトカイン、ケモカイン、ならびに他のこのような分子(CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞由来のものを含み、IFN−γおよびTNF−αが挙げられるが、これらに限定されない)の産生をいう。
【0045】
細胞性免疫応答を誘発する組成物またはワクチンが機能して、細胞表面にてMHC分子と結合して抗原を提示することによって、脊椎動物被験体が感作され得る。この細胞媒介性の免疫応答は、表面に抗原を提示する細胞またはその近傍を指向する。さらに、抗原特異的Tリンパ球が産生されて、免疫化された宿主のさらなる保護を可能にし得る。
【0046】
細胞媒介性の免疫学的応答を刺激する特定の抗原の能力は、多くのアッセイ(例えば、リンパ球増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞傷害性細胞アッセイ、または感作された被験体における抗原に特異的なTリンパ球についてのアッセイ)によって決定され得る。このようなアッセイは、当該分野で周知である。例えば、Ericksonら、J.Immunol.(1993)、151:4189−4199;Doeら、Eur.J.Immunol.(1994)、24:2369−2376および以下の実施例を参照のこと。
【0047】
したがって、本明細書中で使用される場合、免疫学的応答は、CTLの産生および/またはヘルパーT細胞の産生または活性化を刺激するものであり得る。目的の抗原はまた、抗体媒介性の免疫応答を誘発し得る。したがって、免疫学的応答は、1つ以上の以下の効果を含み得る:B細胞による抗体の産生;および/または目的の組成物またはワクチン中に存在する抗原を特異的に指向するサプレッサーT細胞および/またはγδ T細胞の活性化。これらの応答は、感染力を中和し、そして/または抗体−補体もしくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介して、免疫化された宿主の防御を提供するように(すなわち、予防的に)機能し得るか、またはこの宿主の症状の緩和のために(すなわち、治療的に)機能し得る。このような応答は、当該分野で周知の標準的な免疫アッセイおよび中和アッセイを使用して決定され得る。
【0048】
「等価な抗原決定基」は、HCVの株1、株2、株3などの異なるHCVの亜種または株に由来する抗原決定基を意味し、抗原決定基は、配列の変化に起因して必ずしも同一でなくて良いが、目的のHCV配列中の等価な位置に生じる。一般に、等価な抗原決定基のアミノ酸配列は、2つの配列が並列される場合、高度の配列相同性(例えば、30%より大きく、通常は40%より大きく(例えば、60%より大きい)、そしてさらに80〜90%より大きいアミノ酸配列相同性)を有する。
【0049】
「コード配列」または選択されたポリペプチドを「コードする」配列は、適切な制御配列の調節下においた場合に、インビトロまたはインビボで転写(DNAの場合)され、そしてポリペプチドに翻訳(mRNAの場合)される核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。転写終結配列は、コード配列に対して3’側に配置され得る。
【0050】
「核酸」分子または「ポリヌクレオチド」は、二本鎖および一本鎖の両方の配列を含み得、ウイルス由来のcDNA、原核生物もしくは真核生物のmRNA、ウイルス(例えば、DNAウイルスおよびレトロウイルス)もしくは原核生物のDNA由来のゲノムDNA配列、および特に合成DNA配列をいうが、これらに限定されない。この用語はまた、DNAおよびRNAの公知の塩基アナログのいずれかを含む配列を包含する。
【0051】
「作動可能に連結された」とは、そのように記載される成分がその所望の機能を発揮するように構成されるエレメントの配置をいう。したがって、コード配列に作動可能に連結された所与のプロモーターは、適切な転写因子などが存在する場合に、コード配列の発現を行い得る。プロモーターは、その発現を指向するように機能する限り、コード配列に隣接する必要はない。したがって、例えば、イントロンを転写し得た場合、翻訳されないが転写される介在配列は、プロモーター配列とコード配列との間に存在し得るので、プロモーター配列は、なおコード配列に「作動可能に連結された」と見なされ得る。
【0052】
核酸分子を記載するために本明細書中で使用される場合、「組換え」は、ゲノム起源、cDNA起源、ウイルス起源、半合成起源、または合成起源のポリヌクレオチドを意味し、このポリヌクレオチドは、その起源または操作ゆえに、天然において結合するポリヌクレオチドの全体または一部と結合しない。タンパク質またはポリペプチドに関して使用される場合、用語「組換え」は、組換えポリヌクレオチドの発現によって産生されたポリペプチドを意味する。一般的に、以下でさらに記載されるように、目的の遺伝子は、クローニングされ、次いで、形質転換された生物中で発現される。宿主生物は、発現条件下で外来遺伝子を発現して、タンパク質を産生する。
【0053】
「制御エレメント」とは、それが連結されるコード配列の発現を補助するポリヌクレオチド配列をいう。この用語は、宿主細胞でのコード配列の転写および翻訳のために集合的に提供される、プロモーター、転写終結配列、上流調節ドメイン、ポリアデニル化シグナル、非翻訳領域(5’−UTRおよび3’−UTR、ならびに、適切な場合、リーダー配列およびエンハンサーが含まれる)を包含する。
【0054】
本明細書中で使用される場合、「プロモーター」は、宿主細胞中でRNAポリメラーゼに結合し、そしてそこに作動可能に連結された下流(3’方向)コード配列の転写を開始し得るDNA調節領域である。本発明の目的のために、プロモーター配列は、バックグラウンドを超える検出可能なレベルで目的の遺伝子の転写を開始するために必要な、最小数の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列内に、転写開始部位およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(共通配列)が存在する。真核生物プロモーターは、しばしば「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含むが、常にこれらを含むわけではない。
【0055】
RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、そしてコード配列をmRNAに転写する場合、制御配列は、細胞中のコード配列の「転写を指示し」、その後、このmRNAは、コード配列によってコードされたポリペプチドに翻訳される。
【0056】
「発現カセット」または「発現構築物」とは、目的の配列または遺伝子の発現を指向し得るアセンブリをいう。発現カセットは、上に記載されるような制御エレメント(例えば、目的の配列または遺伝子に(これらの転写を指示するように)作動可能に連結されたプロモーター)を含み、多くの場合、同様にポリアデニル化配列を含む。本発明の特定の実施形態では、本明細書中に記載される発現カセットは、プラスミド構築物内に含まれ得る。発現カセットの構成要素に加えて、プラスミド構築物はまた、1つ以上の選択マーカー、プラスミド構築物を一本鎖DNAとして存在させるシグナル(例えば、M13複製起点)、少なくとも1つのマルチクローニングサイト、および「哺乳動物」の複製起点(例えば、SV40またはアデノウイルスの複製起点)を含み得る。
【0057】
本明細書中で使用される場合、「形質転換」とは、宿主細胞への外因性ポリヌクレオチドの挿入をいい、挿入のために使用した方法(例えば、直接取り込み、トランスフェクション、および感染などによる形質転換)を問わない。特定のトランスフェクション法については、以下をさらに参照のこと。外因性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター(例えば、エピソーム)として維持され得るか、または宿主ゲノム内に組み込まれ得る。
【0058】
「宿主細胞」は、外因性DNA配列によって、形質転換された細胞であるか、または形質転換可能である細胞である。
【0059】
「単離」は、ポリペプチドを指す場合、示した分子が生物全体から別れて分離しており、この分子が、同じ型の他の生物学的高分子の実質的な非存在下において、天然に見出されるかまたは存在することを意味する。ポリヌクレオチドに関する用語「単離」は、通常は天然において結合している配列の全部または一部を欠く核酸分子、天然において存在するが、異種配列が結合した配列、または染色体から解離した分子である。
【0060】
本明細書中で使用される場合、「精製された」は、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、さらにより好ましくは少なくとも95重量%、および最も好ましくは少なくとも98重量%の同じ型の生物学的高分子が存在することを意味する。
【0061】
「相同性」とは、2つのポリヌクレオチド部分または2つのポリペプチド部分の間の同一性の%をいう。2つのDNA配列または2つのポリペプチド配列は、定義した長さの分子にわたって、これらの配列が少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80〜85%、好ましくは少なくとも約90%、および最も好ましくは少なくとも約95%〜98%またはそれ以上の配列同一性を示す場合、互いに「実質的に相同」である。本明細書中で使用される場合、「実質的に相同」とはまた、特定のDNA配列またはポリペプチド配列に対する完全な同一性を示す配列をいう。
【0062】
一般的に、「同一性」とは、それぞれ、2つのポリヌクレオチド配列または2つのポリペプチド配列の正確なヌクレオチド−ヌクレオチドまたはアミノ酸−アミノ酸の対応をいう。同一性の%は、配列を並列することによる2つの分子間の配列情報の直接比較、並列された2つの配列間の正確な適合の計数、より短い配列の長さで除算すること、およびこの結果に100を掛けることによって決定され得る。容易に利用可能なコンピュータープログラム(例えば、ペプチド分析用のSmith and Watermanの局所的相同性アルゴリズム(Advances in Appl.Math.2:482−489,1981)に適合させたALIGN(Dayhoff,M.O.in Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff編、第5補遺.3:353−358,National biomedical Research Foundation、Washington、DC))が、分析を補助するために使用され得る。ヌクレオチド配列の同一性を決定するためのプログラムは、Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8(Genetics Computer Group,Madison,WIから利用可能)で利用可能である(例えば、Smith and Watermanアルゴリズムにも依存するBESTFIT、FASTA、およびGAPプログラム)。これらのプログラムは、製造者によって推奨され、かつ上記で言及したWisconsin Sequence Analysis Packageに記載される初期設定のパラメータを使用して容易に利用される。例えば、参照配列に対する特定のヌクレオチド配列の同一性の%は、初期設定のスコアリング表およびヌクレオチド上の6つの位置でのギャップペナルティを使用したSmith and Watermanの相同性アルゴリズムを使用して決定され得る。
【0063】
本発明の文脈中における同一性の%を確立する別の方法は、エディンバラ大学が著作権を有し、Jolm F.CollinsおよびShane S.Sturrokによって開発され、そしてIntelliGenetics,Inc.(Mountain View,CA)から販売されているMPSRCHプログラムパッケージを使用することである。このパッケージ一式から、スコアリング表のために初期設定のパラメータを使用するSmith−Watermanアルゴリズムが、使用され得る(例えば、12のギャップオープンペナルティ、1のギャップ伸長ペナルティ、および6のギャップ)。作成されたデータから、「適合」値は、「配列同一性」を反映する。配列間の同一性または類似性の%を計算するための他の適切なプログラムは、一般的に、当該分野で公知であり、例えば、別のアラインメントプログラムは、初期設定のパラメータを使用したBLASTである。例えば、BLASTNおよびBLASTPは、以下のデフォルトパラメータを使用して使用され得る:遺伝コード=標準;フィルタ=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;行列=BLOSUM62;記載=50配列;分類=ハイスコア;データベース=非重複、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳物+Swiss protein+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、NCBIのインターネットサイトにて容易に見出され得る。
【0064】
あるいは、相同性は、相同領域間で安定な二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、その後の一本鎖特異的ヌクレアーゼでの消化、および消化フラグメントのサイズ決定によって決定され得る。実質的に相同なDNA配列は、例えば、特定の系について定義したストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験で同定され得る。適切なハイブリダイゼーション条件の定義は、当業者の範囲内である。例えば、Sambrookら、前出;DNA Cloning、前出;Nucleic Acid Hybridization、前出を参照のこと。
【0065】
「核酸免疫化」は、免疫原のインビボ発現のための、1つ以上の選択された免疫原をコードする核酸分子の宿主細胞への導入を意味する。核酸分子は、注射、吸入、経口投与、鼻腔内投与、および粘膜投与などによってレシピエントに直接導入されても、宿主から取出された細胞にエキソビボで導入されてもよい。後者の場合において、形質転換細胞は、免疫応答がこの核酸分子によってコードされた抗原に対して惹起(mount)され得る被験体に再導入される。
【0066】
本明細書中で使用される場合、「処置」とは、(i)伝統的なワクチンによるような、感染または再感染の防止、(ii)症状の軽減または排除、および(iii)目的の病原体の実質的かまたは完全な排除のいずれかをいう。処置は、予防的(感染前)に行われても、治療的(感染後)に行われてもよい。
【0067】
「脊椎動物被験体」は、脊索動物亜門の任意のメンバーを意味し、これらとしては、ヒトおよび他の霊長類(非ヒト霊長類(例えば、チンパンジーおよび他の類人猿およびサルの種を含む));ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマのような家畜;イヌおよびネコなどのペット(domestic mammmal);実験用動物(マウス、ラット、およびモルモットのようなげっ歯類を含む);トリ(家禽、野鳥および狩猟鳥(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ)、ならびに他のキジ類(アヒル、ガチョウなど)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、特定の年齢を意味しない。したがって、成体および新生個体の両方を網羅することが意図される。本明細書中に記載される発明は、これら全ての脊椎動物の免疫系が簡単に操作されるので、上記の脊椎動物種のいずれかでの使用が意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
(2.発明を実施する形態)
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特定の処方物または処理パラメータに制限されず、当然に変更可能であることが理解されるべきである。本明細書中で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態を記載することのみを目的とし、本発明を制限することを意図しないことがまた、理解されるべきである。
【0069】
本明細書中に記載のものに類似するか、またはそれらと等価な多数の組成物および方法が、本発明の実施に使用され得るが、好ましい材料および方法は、本明細書中に記載される。
【0070】
本発明は、全長HCV NS5aポリペプチドおよびC末端の切断を有するHCV NS5bポリペプチドの一部を含むHCV NS5ポリペプチドに関連する。本発明はまた、切断NS5ポリペプチドおよびHCVポリタンパク質由来の少なくとも1つの他のHCVポリペプチドを含む融合タンパク質、ならびにこれをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明のタンパク質が使用されて、体液性および/または細胞性免疫応答のような免疫学的応答を刺激し得る(例えば、HCV特異的T細胞(すなわち、HCVのポリペプチドのエピトープを認識するT細胞)を活性化するか、そして/またはヘルパーT細胞の産生を誘発するか、そして/または抗ウイルス性のサイトカイン、ケモカインなどの産生を刺激する)。このような融合タンパク質によるHCV特異的T細胞の活性化は、HCVワクチンの開発のため(特に、応答に関連するHCVポリペプチドエピトープを同定するため)の、インビトロモデル系およびインビボモデル系の両方を提供する。このタンパク質はまた、治療目的または予防目的のいずれかのために使用されて、哺乳動物においてHCVに対する免疫応答(例えば、CTLの応答)を発生させるか、そして/または抗ウイルス因子を産生するためにCD8+ T細胞およびCD4+ T細胞を初回刺激し得る。
【0071】
したがって、これらのタンパク質は、HCV感染を処置および/または予防するのに有用である。これらのタンパク質は、単独で使用されても、1種以上の細菌免疫原またはウイルス免疫原と組み合わせて使用されてもよい。この組み合わせは、同じ病原体由来の複数の免疫原、異なる病原体由来の多数の免疫原または同じ病原体および異なる病原体由来の多数の免疫原を包含し得る。したがって、細菌免疫原、ウイルス免疫原、および/または他の免疫原は、NS5ポリペプチドと同じ組成物中に含有されても、同じ被験体に別個に投与されても、さらにNS5ポリペプチドを有する融合タンパク質中に含まれてもよい。以下にさらに記載されるように、NS5ポリペプチドと他のHCV免疫原との組み合わせは、特に有用である。
【0072】
さらに、本発明のタンパク質はまた、生物学的サンプルにおいてHCV感染を検出する診断用試薬として使用され得る。
【0073】
本発明のさらなる理解のために、本発明の組成物に使用するための融合タンパク質、ならびにこのタンパク質の産生、これを含有する組成物、およびこのタンパク質を使用する方法に関するより詳細な議論が、以下に提供される。
【0074】
(融合タンパク質)
HCV株のゲノムは、約9,000〜12,000ヌクレオチドの単一のオープンリーディングフレームを含み、これは、ポリタンパク質に転写される。図1および表1に示されるように、切断の際、HCVポリタンパク質は、NH−Core−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOHの順序で、少なくとも10個の異なる生成物を生成する。coreポリペプチドは、HCV−1に対して番号付けされた1位〜191位で生じる(HCV−1ゲノムについては、Chooら、(1991)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)。このポリペプチドはさらにプロセシングされて、ほぼアミノ酸1〜173を含むHCVポリペプチドを生じる。E1およびE2であるエンベロープポリペプチドは、それぞれ、ほぼ192位〜383位および384位〜746位に生じる。P7ドメインは、ほぼ747位〜809位に見出される。NS2は、タンパク質分解活性を有する内在性膜タンパク質であり、そしてこのポリタンパク質のほぼ810位〜1026位に見出される。NS3との組み合わせにおいて、NS2(ほぼ1027位〜1657位に見出される)は、NS2−NS3シスル結合を切断し、次にNS3のN末端を生成し、そしてセリンプロテアーゼおよびRNAヘリカーゼ活性の両方を含む大きなポリタンパク質を放出する。NS3プロテアーゼ(ほぼ1027位〜1207位に見出される)が機能して、残りのポリタンパク質をプロセシングする。このヘリカーゼ活性は、ほぼ1193位〜1657位に見出される。NS3は、NS3補因子(ほぼ1658位〜1711位に見出されるNS4a)、2つのタンパク質(ほぼ1712位〜1972位に見出されるNS4b、およびほぼ1973位〜2420位に見出されるNS5a)、ならびにRNA依存性RNAポリメラーゼ(ほぼ2421位〜3011位に見出されるNS5b)を遊離させる。ポリタンパク質の成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒される、NS3−NS4a連結における自己触媒的な切断によって開始される。
【0075】
【表1】

*HCV−1に対して番号付けされた。Chooら、(1991)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451〜2455を参照のこと。
【0076】
本発明の融合タンパク質は、C末端切断NS5ポリペプチド(本明細書中で「NS5t」とも称される)を含む。特に、このC末端切断NS5ポリペプチドは、全長NS5aポリペプチドおよびNS5bポリペプチドのN末端部分を含む。このC末端切断ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸2500とC末端との間の任意の位置(例えば、全長HCV−1配列に対して番号付けされたアミノ酸2505、アミノ酸2550、アミノ酸2600、アミノ酸2650、アミノ酸2700、アミノ酸2750、アミノ酸2800、アミノ酸2850、アミノ酸2900、アミノ酸2950、アミノ酸2960、アミノ酸2970、アミノ酸2975、アミノ酸2980、アミノ酸2985、アミノ酸2990、アミノ酸2995、アミノ酸3000などの後)で切断され得る。この分子が全長HCV−1配列に対して番号付けされたアミノ酸2500とアミノ酸3010との間のいずれかにて切断され得ることは、容易に明らかになる。1つの特に好ましいNS5ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸2990の直後のアミノ酸に対応するアミノ酸にて切断され、そして全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜2990に対応するアミノ酸配列を含む。このような構築物についての配列は、配列番号8のアミノ酸1位〜1018位(図5A〜図5Eにおけるアミノ酸1973〜2990として示される)に認められる。本発明の融合体は、必要に応じて、発現のためにN末端のメチオニンを有する。
【0077】
C末端切断NS5ポリペプチドは、以下に記載される組成物において、単独で使用されても、HCVポリタンパク質の種々のドメインのいずれかに由来する1種以上の他のHCV免疫原性ポリペプチドと組み合わせて使用されてもよい。さらなるHCVポリペプチドは、別々か、または融合体で提供され得る。実際に、この融合体は、HCVポリタンパク質の全ての領域を含み得る。これらのポリペプチドは、NS5ポリペプチドと同じHCV単離物に由来してもよく、または広範なHCV遺伝子型に対する増加した保護を提供するために、異なる株および種々のHCV遺伝子型のいずれかを有する単離物を含む単離物に由来してもよい。さらに、これらのポリペプチドは、この融合体を含むワクチン組成物が使用される特定の地理的(geographic)領域に固有である特定のウイルスのクレードに基づいて選択され得る。本発明の融合体が多種多様な状況においてHCV感染を処置する有効な手段を提供することは、容易に明らかになる。
【0078】
したがって、NS5tは、HCVポリタンパク質中の他のドメインに由来する1つ以上の免疫原性HCVタンパク質とNS5tとの任意の組み合わせ(すなわち、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4、および/またはcoreポリペプチドと組み合わされたNS5t)を含む融合タンパク質中に含まれ得る。これらの領域は、天然に存在する順番である必要ではない。さらに、これらの領域のそれぞれは、同じかまたは異なるHCV単離物に由来し得る。本明細書中に記載される種々の融合体中に存在する種々のHCVポリペプチドは、全長ポリペプチドまたはその部分のいずれかであり得る。融合タンパク質を構成するHCVポリペプチドの部分は、一般的に、少なくとも1つのエピトープを含み、このエピトープは、活性化されたT細胞上のT細胞レセプター(例えば、2152−HEYPVGSQL−2160(配列番号1)および/または2224−AELIEANLLWRQEMG−2238(配列番号2))によって認識される。エピトープは、いくつかの方法によって同定され得る。例えば、上記の任意の組み合わせを含む個々のポリペプチドまたは融合タンパク質は、例えば、このポリペプチドまたはタンパク質に対するモノクローナル抗体を使用するイムノアフィニティー精製によって単離され得る。その後、単離されたタンパク質配列は、このタンパク質配列全体と共に、精製されたタンパク質のタンパク質分解的切断を用いて一連の短いペプチドを調製することによってスクリーニングされ得る。例えば、100マーのポリペプチドから開始することによって、各ポリペプチドは、HCV活性化T細胞上のT細胞レセプターによって認識されるエピトープの存在について試験され得、その後、同定された100マーから次第により小さく、かつ重複するフラグメントが試験されて、目的のエピトープをマッピングし得る。
【0079】
HCV活性化T細胞上のT細胞レセプターによって認識されるエピトープは、例えば、51Cr放出アッセイまたはリンパ球増殖アッセイ(実施例を参照のこと)によって同定され得る。51Cr放出アッセイにおいて、目的のエピトープを表示する標的細胞は、このエピトープをコードするポリヌクレオチドを発現ベクター内にクローニングし、そしてこの発現ベクターを標的細胞に形質転換することによって構築され得る。HCV特異的CD8T細胞は、例えば、融合体中に見出されるHCVポリタンパク質の1つ以上の領域由来の1つ以上のエピトープを表示する標的細胞を溶解し、そしてこのようなエピトープを表示しない細胞を溶解しない。リンパ球増殖アッセイにおいて、HCV活性化CD4T細胞は、例えば、融合体中に見出されるHCVポリタンパク質の1つ以上の領域由来の1つ以上のエピトープと一緒に培養される場合に増殖するが、HCVエピトープのペプチドの非存在下においては増殖しない。
【0080】
種々のHCVポリペプチドは、融合タンパク質中に任意の順序で生じ得る。所望される場合、1種以上のポリペプチドの少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個以上が、この融合タンパク質中に生じ得る。HCVの多数のウイルス株が生じ、そしてこれらの株のいずれかのHCVポリペプチドが、融合タンパク質中に使用され得る。
【0081】
HCVポリタンパク質の種々の領域の核酸配列およびアミノ酸配列を含む多くのHCV株およびHCV単離物の核酸配列およびアミノ酸配列(Core、NS2、p7、E1、E2、NS3、NS4、NS5a、NS5bの遺伝子およびポリペプチドが挙げられる)が、決定されてきた。例えば、単離物HCV J1.1は、Kuboら、(1989)、Japan.Nucl.Acids Res.17:10367−10372;Takeuchiら、(1990)、Gene 91:287−291;Takeuchiら、(1990)、J.Gen.Virol.71:3027−3033;およびTakeuchiら、(1990)、Nucl.Acids Res.18:4626に記載される。2つの独立した単離物であるHCV−JおよびBKの完全なコード配列は、それぞれ、Katoら、(1990)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9524−9528およびTakamizawaら、(1991)、J.Virol.65:1105−1113に記載される。
【0082】
HCV−1単離物を記載する刊行物としては、Chooら、(1990)、Brit.Med.Bull.46:423−441;Chooら、(1991)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455およびHanら、(1991)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1711−1715が挙げられる。HCV単離物HC−J1およびHC−J4は、Okamotoら、(1991)、Japan J.Exp.Med.60:167−177に記載される。HCV単離物HCT 18〜、HCT 23、Th、HCT 27、EC1およびEC10は、Weinerら、(1991)、Virol.180:842−848に記載される。HCV単離物Pt−1、HCV−K1およびHCV−K2は、Enomotoら、(1990)、Biochem.Biophys.Res.Commun.170:1021−1025に記載される。HCV単離物A、C、DおよびEは、Tsukiyama−Koharaら、(1991)、Virus Genes 5:243−254に記載される。
【0083】
上記で説明される通り、融合タンパク質の構成成分の各々は、同じHCV株もしくは単離物または異なるHCV株もしくは単離物から得られ得る。例えば、NS5ポリペプチドは、HCVの第1の株に由来し得、そして存在する他のHCVポリペプチドは、HCVの第2の株に由来し得る。あるいは、他のHCVポリペプチド(例えば、NS2、NS3、NS4、Core、p7、E1および/またはE2)の1種以上は、存在する場合、HCVの第1の株に由来し得、そして残りのHCVポリペプチドは、HCVの第2の株に由来し得る。さらに、各HCVポリペプチドまたは存在するHCVポリペプチドは、異なるHCV株に由来し得る。
【0084】
本発明の融合体に使用するためのHCV領域由来の種々のHCVエピトープに関する記載については、例えば、Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)、89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)、8:S33−39;Chienら、国際公開第93/00365号;Chien,D.Y.、国際公開第94/01778号;ならびに米国特許第6,280,927号および同第6,150,087号を参照のこと。
【0085】
例えば、融合体は、C末端切断NS5ポリペプチドおよびNS3ポリペプチドを含み得る。NS3ポリペプチドが改変されて、プロテアーゼ活性が阻害され得、それによってこの融合体のさらなる切断が阻害される(本明細書中で「NS3」とも称される)。NS3ポリペプチドは、NS3プロテアーゼドメインの全てまたは一部の欠失によって改変され得る。あるいは、タンパク質分解活性は、このプロテアーゼドメインの活性領域内のアミノ酸の置換によって阻害され得る。最後に、触媒部位が改変されるようなこのドメインの活性領域に対するアミノ酸の付加はまた、タンパク質分解活性を阻害するように機能する。
【0086】
上記で説明される通り、このプロテアーゼ活性は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸ほぼ1027位〜1207位(図2の位置2〜182)に見出される(Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)、88:2451−2455を参照のこと)。NS3プロテアーゼの構造および活性部位は、公知である。例えば、De Francescoら、Antivir.Ther.(1998)、3:99−109;Kochら、Biochemistry(2001)、40:631−640を参照のこと。したがって、ネイティブな配列に対する欠失または改変は、代表的に、この分子の活性部位か、またはその近傍に起きる。特に、図2の1位もしくは2位〜182位、好ましくは1位もしくは2位〜170位、または1位もしくは2位〜155位にて起きる、1個以上のアミノ酸に対する改変または欠失が望ましい。このプロテアーゼを不活化するために、プロテアーゼの活性部位における触媒的な三つ組(すなわち、H残基、D残基および/またはS残基)に対する改変が好ましい。これらの残基は、それぞれ、全長HCVポリタンパク質に対して番号付けされた1083位、1105位および1165位(それぞれ、図2の58位、80位および140位)に生じる。このような改変は、T細胞エピトープを維持しつつ、タンパク質分解的切断を抑制する。1つの特に好ましい改変は、Ser−1165のAlaによる置換である。当業者は、活性を破壊するために欠失させるNS3プロテアーゼの位置を、容易に決定し得る。活性の存在または非存在は、当業者に公知の方法を使用して決定され得る。
【0087】
例えば、プロテアーゼ活性またはその欠如は、以下の実施例に記載される手順および当該分野において周知であるアッセイを使用して決定され得る。例えば、Takeshitaら、Anal.Biochem.(1997)、247:242−246;Kakiuchiら、J.Biochem.(1997)、122:749−755;Saliら、Biochemistry(1998)、37:3392−3401;Choら、J.Virol.Meth.(1998)、72:109−115;Cerretaniら、Anal.Biochem.(1999)、266:192−197;Zhangら、Anal.Biochem.(1999)、270:268−275;Kakiuchiら、J.Virol.Meth.(1999)、80:77−84;Fowlerら、J.Biomol.Screen.(2000)、5:153−158;およびKimら、Anal.Biochem.(2000)、284:42−48を参照のこと。
【0088】
図3は、N末端から欠失されるNS3プロテアーゼドメインを有し、そしてC末端上にCoreのアミノ酸1〜121を含む代表的な改変NS3ポリペプチドを示す。
【0089】
上記で説明される通り、本発明の融合体中にHCVポリタンパク質のcore領域に由来するポリペプチドを含むことが、所望され得る。この領域は、HCV−1に対して番号付けされたHCVポリタンパク質のアミノ酸1位〜191位に生じる。全長タンパク質、そのフラグメント(例えば、アミノ酸1〜160(例えば、アミノ酸1〜150、アミノ酸1〜140、アミノ酸1〜130、アミノ酸1〜120(例えば、アミノ酸1〜121、アミノ酸1〜122、アミノ酸1〜123...アミノ酸1〜151など))または全長タンパク質のエピトープ(例えば、アミノ酸10〜53の間、アミノ酸10〜45の間、アミノ酸67〜88の間、アミノ酸120〜130の間に見出されるエピトープ、または、例えば、Houghtonら、米国特許第5,350,671号;Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)、89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)、8:S33−39;Chienら、国際公開第93/00365号;Chien,D.Y.、国際公開第94/01778号;ならびに米国特許第6,280,927号および同第6,150,087号において同定されたcoreエピトープのいずれか)を含むより小さいフラグメントは、本発明の融合体中に使用され得る。さらに、このポリタンパク質のcore領域中のフレームシフトによって生じるタンパク質(例えば、国際公開第99/63941号に記載される)が、使用され得る。本発明の融合体と使用するための1つの特に望ましいcoreポリペプチドは、図3のアミノ酸1772位〜1892位に示されるアミノ酸の配列を含む。このcoreポリペプチドは、共通するアミノ酸Arg−9およびThr−11(それぞれ、図3の1780位および1782位)を有するHCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含む。図5A〜5E(配列番号7および配列番号8)は、このcoreポリペプチドと融合されるNS5ポリペプチドのC末端を有するC末端切断NS5ポリペプチドを含む代表的な融合タンパク質の、DNA配列および対応するアミノ酸配列を示す。C末端切断NS5ポリペプチドは、上に記載されるようなHCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121(配列番号7のアミノ酸1019〜1139)を含むcoreポリペプチドに融合される、HCV−1に対して番号付けされたHCVポリタンパク質のアミノ酸1973〜2990(配列番号7のアミノ酸1〜1018)を含む(Chooら、(1991)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)。
【0090】
coreポリペプチドが存在する場合、これは、上記融合体のN末端、C末端および/または内部に生じ得る。以下でさらに記載される特定のアジュバント(例えば、ISCOM)との複合体の形成を可能にするような、C末端上のcoreポリペプチドが、特に好ましい。
【0091】
上記HCV融合体において有用な他のポリペプチドとしては、上記ポリタンパク質中の種々の領域のいずれかに由来するT細胞エピトープが挙げられる。このことに関して、E1、E2、p7およびNS2は、ヒトT細胞エピトープ(CD4+およびCD8+の両方)を含むことが公知であり、そしてワクチンの効力を増加させるように機能し、そして多数のHCV遺伝子型に対する保護のレベルを増加させるように機能するこれらのエピトープの1つ以上を含む。さらに、特定の保存されたT細胞エピトープの多数のコピーはまた、この融合体中に使用され得る(例えば、異なる遺伝子型由来のエピトープの複合物)。
【0092】
例えば、HCV E1領域および/またはHCV E2領域由来のポリペプチドは、本発明の融合体中に使用され得る。E2は、多数の種として存在し(Spaeteら、Virol.(1992)、188:819−830;Selbyら、J.Virol.(1996)、70:5177−5182;Grakouiら、J.Virol.(1993)、67:1385−1395;Tomeiら、J.Virol.(1993)、67:4017−4026)、そして切り取り(clipping)およびタンパク質分解が、E2ポリペプチドのN末端およびC末端で生じ得る。したがって、本明細書中で使用するためのE2ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたHCVポリタンパク質のアミノ酸405〜661(例えば、アミノ酸400、401、402...〜661)、および全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたHCVポリタンパク質のポリペプチド(例えば、アミノ酸383もしくは384〜661、アミノ酸383もしくは384〜715、アミノ酸383もしくは384〜746、アミノ酸383もしくは384〜749またはアミノ酸383もしくは384〜809、あるいはアミノ酸383もしくは384〜任意のC末端(アミノ酸661〜アミノ酸809の間))を含み得る。同様に、本明細書中で使用するためのE1ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸192〜326、アミノ酸192〜330、アミノ酸192〜333、アミノ酸192〜360、アミノ酸192〜363、アミノ酸192〜383、またはアミノ酸192〜任意のC末端(アミノ酸326〜アミノ酸383の間)を含み得る。
【0093】
エピトープを含むE1および/またはE2の免疫原性フラグメントは、本発明の融合体中に使用され得る。例えば、E1ポリペプチドのフラグメントは、この分子の約5個〜ぼぼ全長(例えば、6個、10個、25個、50個、75個、100個、125個、150個、175個、185個またはそれ以上のE1ポリペプチドのアミノ酸)または一定の数の間の任意の整数を含み得る。同様に、E2ポリペプチドのフラグメントは、6個、10個、25個、50個、75個、100個、150個、200個、250個、300個、もしくは350個のE2ポリペプチドのアミノ酸、または一定の数の間の任意の整数を含み得る。
【0094】
例えば、E2の超可変領域(例えば、アミノ酸384〜410またはアミノ酸390〜410にわたる領域)に由来するエピトープは、この融合体中に含まれ得る。E2ポリペプチド配列に組み込まれる特に有効なE2エピトープは、この領域に由来する共通配列(例えば、共通配列Gly−Ser−Ala−Ala−Arg−Thr−Thr−Ser−Gly−Phe−Val−Ser−Leu−Phe−Ala−Pro−Gly−Ala−Lys−Gln−Asn)を含むものであり、これは、HCV1型ゲノムのアミノ酸390〜410についての共通配列を表す。E1およびE2のさらなるエピトープは、公知であり、そしてこれらは、例えば、Chienら、国際公開第93/00365号に記載される。
【0095】
さらに、E1ポリペプチドおよび/またはE2ポリペプチドは、膜貫通ドメインの全てまたは一部を欠き得る。E1に関して、一般的に、ほぼアミノ酸370位およびより大きい位置(HCV−1ポリタンパク質の番号付けに基づく)で終結するポリペプチドは、ERによって保持され、従って増殖培地中に分泌されない。E2に関して、ほぼアミノ酸731位およびより大きい位置(HCV−1ポリタンパク質の番号付けにまた基づく)で終結するポリペプチドは、ERによって保持され、そして分泌されない(例えば、国際公開第96/04301号(1996年2月15日公開)を参照のこと)。これらのアミノ酸の位置は、絶対的ではなく、そしてある程度変化し得ることに留意すべきである。したがって、本発明は、膜貫通型結合ドメインを保持するE1ポリペプチドおよび/またはE2ポリペプチド、ならびに膜貫通型結合ドメインの全てまたは一部を欠くポリペプチド(ほぼアミノ酸369、およびより小さい位置にて終結するE1ポリペプチド、およびほぼアミノ酸730、およびより小さい位置にて終結するE2ポリペプチドが挙げられる)の使用を企図する。さらに、C末端の切断は、膜貫通ドメイン(transmembran spanning domain)を超えてN末端に向かって伸び得る。したがって、例えば、360より小さい位置で起きるE1切断、および、例えば、715より小さい位置で起きるE2切断はまた、本発明に包含される。切断E1ポリペプチドおよび切断E2ポリペプチドが意図された目的のために機能的なままであることが必要であるにすぎない。しかし、特定の好ましい切断E1構築物は、ほぼアミノ酸300を超える長さにならない構築物である。360位にて終結する構築物が、最も好ましい。好ましい切断E2構築物は、ほぼアミノ酸715位を超えて伸びないC末端の切断を有するものである。特に好ましいE2の切断は、アミノ酸715〜730のいずれかの後(例えば、725)にて切断される分子である。
【0096】
特定の好ましい実施形態において、上記融合タンパク質は、HCVの改変NS3、NS4(NS4aおよびNS4b)、C末端切断NS5および必要に応じて、coreポリペプチド(NS3NS4NS5t融合タンパク質またはNS3NS4NS5tCore融合タンパク質(本明細書中でまた、「NS345t」および「NS345tCore」と称される))を含む。これらの領域は、それらがネイティブなHCVポリタンパク質中に天然に存在する順序である必要はない。したがって、例えば、このcoreポリペプチドは、融合体のN末端および/またはC末端にあり得る。特に好ましい実施形態において、NS5tは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜2990を含み、そしてNS3分子は、通常は1165位に見出されるSerからAlaへの置換を含み、そしてこれらの領域は、以下のN末端からC末端への順序で生じる:NS3NS4NS5t。この融合体は、その分子のC末端にcoreポリペプチドを含み得る。存在する場合、このcoreポリペプチドは、好ましくは図3のアミノ酸1772位〜1892位に示されるアミノ酸の配列を含む。このcoreポリペプチドは、共通のアミノ酸Arg−9およびThr−11(それぞれ、図3の1780位および1782位)を有するHCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含む。
【0097】
別の好ましい実施形態において、この直前に記載された融合タンパク質は、上記のNS3のN末端にE2ポリペプチドを含む。好ましくは、E2ポリペプチドは、C末端切断ポリペプチドであり、そして全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸384〜715を含む。この融合体はまた、必要に応じて、上に記載されるようなcoreポリペプチドを含み得る。
【0098】
所望される場合、上記融合タンパク質、またはこれらのタンパク質の個々の構成成分はまた、他のアミノ酸配列(例えば、アミノ酸リンカーまたはシグナル配列)、およびタンパク質精製に有用なリガンド(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼおよびブドウ球菌のプロテインA)を含み得る。
【0099】
(融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド)
ポリヌクレオチドはHCVゲノム全体より小さいか、あるいは上に記載されるようなC末端切断NS5ドメインを有するポリタンパク質全体の配列を含み得る。これらのポリヌクレオチドは、RNAまたは一本鎖DNAもしくは二本鎖DNAであり得る。好ましくは、これらのポリヌクレオチドは、他の成分(例えば、タンパク質および脂質)を含まないで単離される。これらのポリヌクレオチドは、上に記載される融合タンパク質をコードし、したがってNS5tについてのコード配列およびHCVポリタンパク質の異なる領域由来の少なくとも1つの他のHCVポリペプチド(例えば、NS2、p7、E1、E2、NS3、NS4、coreなどに由来するポリペプチド)を含む。本発明のポリヌクレオチドはまた、他のヌクレオチド配列(例えば、リンカー、シグナル配列、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼおよびブドウ球菌のプロテインAのようなタンパク質精製に有用なリガンドをコードする配列)を含み得る。
【0100】
発現の収量を補助するために、ポリタンパク質を発現のためのフラグメントに分割することが望まれ得る。これらのフラグメントは、本明細書中に記載されるような組成物中に組み合わせて使用され得る。あるいは、これらのフラグメントは、発現後に連結され得る。したがって、例えば、NS3NS4は、1つの構築物として発現され得、そしてNS5tCoreは、第2の構築物、およびその後に組成物に融合されるか、または組成物に別々に添加される2つのタンパク質として発現され得る。同様に、E2NS3NS4は、1つの構築物として発現され得、そしてNS5tCoreは、第2の構築物として発現され得る。上記の組み合わせは単に代表的なものであり、そして融合体の任意の組み合わせは別々に発現され得ることが、理解されるべきである。
【0101】
種々のHCVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、HCVに感染した個体の血漿、血清、または肝臓のホモジネートに存在する核酸配列に由来するゲノムライブラリーから単離されてもよく、例えば、自動合成器を使用して実験室中で合成されてもよい。PCRのような増幅方法が使用されて、HCVのゲノムDNAまたはそれをコードするcDNAのいずれかからポリヌクレオチドが増幅され得る。
【0102】
ポリヌクレオチドは、天然に存在するこれらのポリペプチドについてのコード配列を含んでも、天然に存在しない人工的な配列であってもよい。これらのポリヌクレオチドはライゲーションされて、標準的な分子生物学技術を使用してこの融合タンパク質についてのコード配列が形成され得る。これらのタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、適切な発現系において発現され得る発現ベクターに導入され得る。種々の細菌発現系、酵母発現系、哺乳動物発現系および昆虫発現系が、当該分野において利用可能であり、そして任意のこのような発現系が、使用され得る。必要に応じて、これらのタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、無細胞翻訳システム中で翻訳され得る。このような方法は、当該分野において周知である。これらのタンパク質はまた、固相タンパク質合成によって構築され得る。
【0103】
所望の融合体を含む本発明の発現構築物、またはこれらの融合体の個々の構成成分を含む個々の発現構築物が、核酸免疫化のために使用されて、標準的な遺伝子送達プロトコールを用いて細胞性免疫応答が刺激され得る。遺伝子送達のための方法は、当該分野において公知である。例えば、米国特許第5,399,346号、同第5,580,859号、同第5,589,466号を参照のこと。遺伝子は、脊椎動物被験体に直接送達される得るか、あるいは、この被験体から得られ、そしてこの被験体に再移植される細胞にエキソビボで送達され得る。例えば、この構築物は、例えば、pBR322、pUC、またはColE1のようなプラスミド内に含まれるプラスミドDNAとして送達され得る。
【0104】
さらに、上記発現構築物は、細胞への送達前にリポソーム中にパッケージ化され得る。脂質による封入は、一般的に、核酸と安定して結合するか、または核酸を封入して、核酸を保持し得るリポソームを使用して達成される。脂質調製物に対する濃縮されたDNAの比は変化し得るが、一般的に、約1:1(DNAのmg:脂質のマイクロモル)、またはそれ以上の脂質である。核酸の送達のためのキャリアとしてのリポソームの使用に関する概説については、HugおよびSleight、Biochim.Biophys.Acta.(1991)、1097:1−17;Straubingerら、Methods of Enzymology(1983)、第101巻、pp.512−527を参照のこと。
【0105】
本発明と使用するためのリポソーム調製物としては、カチオン性(正に荷電した)調製物、アニオン性(負に荷電した)調製物および中性調製物が挙げられ、カチオン性調製物が特に好ましい。カチオン性調製物は、容易に利用可能である。例えば、N[1−2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチル−アンモニウム(DOTMA)リポソームは、GIBCO BRL、Grand Island、NYから登録商標Lipofectinの下で利用可能である。(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)、84:7413−7416もまた参照のこと)。他の市販されている脂質としては、transfectace(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boerhinger)が挙げられる。他のカチオン性リポソームは、当該分野において周知である技術を使用して、容易に利用可能な物質から調製され得る。例えば、Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)、75:4194−4198;DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の記載に関するPCT公開番号第90/11092号を参照のこと。種々のリポソーム−核酸複合体は、当該分野において公知である方法を使用して調製される。例えば、Straubingerら、METHODS OF IMMUNOLOGY(1983)、第101巻、pp.512−527;Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)、75:4194−4198;Papahadjopoulosら、Biochim.Biophys.Acta(1975)、394:483;Wilsonら、Cell(1979)、17:77);DeamerおよびBangham、Biochim.Biophys.Acta(1976)、443:629;Ostroら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1977)、76:836;Fraleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)、76:3348;EnochおよびStrittmatter、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)、76:145;Fraleyら、J.Biol.Chem.(1980)、255:10431;SzokaおよびPapahadjopoulos、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)、75:145;ならびにSchaefer−Ridderら、Science(1982)、215:166を参照のこと。
【0106】
上記DNAはまた、Papahadjopoulosら、Biochem.Biophys.Acta.(1975)、394:483−491に記載されるものと同様の渦巻形状の(cochleate)脂質組成物中に送達され得る。米国特許第4,663,161号および同第4,871,488号も参照のこと。
【0107】
多くのウイルスベースのシステムが、哺乳動物細胞中に遺伝子移入するために開発されてきた。例えば、レトロウイルス(例えば、マウス肉腫ウイルス、マウス乳腺癌ウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス、およびラウス肉腫ウイルス)は、遺伝子送達システムのために都合の良いプラットフォームを提供する。選択された遺伝子は、当該分野において公知である技術を使用して、ベクター中に挿入され得、そしてレトロウイルス粒子中にパッケージ化され得る。次いで組換えウイルスは、単離され得、そしてインビボまたはエキソビボのいずれかで被験体の細胞に送達され得る。多くのレトロウイルスシステムが、記載されてきた(米国特許第5,219,740号;MillerおよびRosman、BioTechniques(1989)、7:980−990;Miller、A.D.、Human Gene Therapy(1990)、1:5−14;Scarpaら、Virology(1991)、180:849−852;Burnsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)、90:8033−8037;ならびにBoris−LawrieおよびTemin、Cur.Opin.Genet.Develop.(1993)、3:102−109)。簡潔にいうと、本発明のレトロウイルスによる遺伝子送達ビヒクルは、広範な種々のレトロウイルスから容易に構築され得、これらのウイルスとしては、例えば、B型レトロウイルス、C型レトロウイルス、およびD型レトロウイルス、ならびにスプマウイルスおよびレンチウイルス(例えば、FIV、HIV、HIV−1、HIV−2およびSIVが挙げられる(RNA Tumor Viruses、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、1985を参照のこと)。このようなレトロウイルスは、受託機関または収集機関(例えば、American Type Culture Collection(「ATCC」;10801 University Blvd.、Manassas、VA 20110−2209))から容易に得られ得るか、または一般的に利用可能な技術を利用して公知の供給源から単離され得る。
【0108】
多くのアデノウイルスベクター(例えば、アデノウイルス2型ベクターおよびアデノウイルス5型ベクター)がまた、記載されてきた。宿主ゲノム中に組み込むレトロウイルスと異なり、アデノウイルスは、染色体外に存続し、したがって挿入性の突然変異に関連するリスクを最小限にする(Haj−AhmadおよびGraham、J.Virol.(1986)、57:267−274;Bettら、J.Virol.(1993)、67:5911−5921;Mitterederら、Human Gene Therapy (1994)、5:717−729;Sethら、J.Virol.(1994)、68:933−940;Barrら、Gene Therapy(1994)、1:51−58;Berkner,K.L.、BioTechniques(1988)、6:616−629;ならびにRichら、Human Gene Therapy(1993)、4:461−476)。
【0109】
Michaelら、J.Biol.Chem.(1993)、268:6866−6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)、89:6099−6103に記載される分子結合体ベクター(molecular conjugate vector)(例えば、アデノウイルスキメラベクター)もまた、遺伝子送達のために使用され得る。
【0110】
アルファウイルス属のメンバー(例えば、シンドビスウイルスおよびセムリキ森林ウイルス、VEEに由来するベクターが挙げられるが、これらに限定されない)もまた、目的の遺伝子を送達するためのウイルスベクターとしての使用が見出される。本発明の方法の実施のために有用なシンドビスウイルス由来のベクターの記載については、Dubenskyら、J.Virol.(1996)、70:508−519;および国際公開第95/07995号および同第96/17072号を参照のこと。
【0111】
他のベクターが、使用され得、これらのベクターとしては、アデノ随伴ウイルスベクター、シミアンウイルス40およびサイトメガロウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。細菌ベクター(例えば、サルモネラ種、Yersinia enterocolitica、赤痢菌種、Vibrio cholerae、ミコバクテリウム株BCG、およびListeria monocytogenes)が、使用され得る。ミニ染色体(minichromosome)(例えば、MCおよびMC1)、バクテリオファージ、コスミド(λファージのcos部位が挿入されたプラスミド)およびレプリコン(細胞中で自らの制御下において複製し得る遺伝因子)がまた、使用され得る。
【0112】
上記発現構築物はまた、粒状キャリアに封入されても、吸着されても、結合されてもよい。このようなキャリアは、免疫系に対して選択された分子の多数のコピーを提示し、そして局在するリンパ節における分子の捕捉および保持を促進する。これらの粒子は、マクロファージによって貪食され得、そしてサイトカインの放出による抗原提示を増強し得る。粒状キャリアの例としては、ポリメチルメタクリレートポリマーに由来するキャリア、ならびにPLGとして公知である、ポリ(ラクチド)およびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)に由来する微粒子が挙げられる。例えば、Jefferyら、Pharm.Res.(1993)、10:362−368;およびMcGeeら、J.Microencap.(1996)を参照のこと。
【0113】
広範な種々の他の方法は、細胞に発現構築物を送達するために使用され得る。このような方法としては、DEAEデキストラン媒介性のトランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリリジン媒介性もしくはポリオルニチン媒介性のトランスフェクション、または他の不溶性の無機塩類(例えば、リン酸ストロンチウム、ベンナイトおよびカオリンを含むケイ酸アルミニウム、酸化クロム、ケイ酸マグネシウム、タルクなど)を使用する沈殿が挙げられる。トランスフェクションの有用な他の方法としては、エレクトロポレーション、ソノポレーション、原形質融合、リポソーム、ペプトイド送達、またはマイクロインジェクションが挙げられる。例えば、目的の細胞を形質転換するための技術の議論に関するSambrookら、前出;および遺伝子移入に有用な送達システムの概説に関するFelgner,P.L.、Advanced Drug Delivery Reviews(1990)、5:163−187を参照のこと。エレクトロポレーションを使用してDNAを送達する特に有効な1つの方法は、国際公開第0045823号に記載される。
【0114】
さらに、粒状キャリア(例えば、金およびタングステン)を使用する遺伝子銃(biolistic)送達システムは、本発明の発現構築物を送達するのに特に有用である。これらの粒子は、この送達されるべき構築物によってコーティングされ、そして一般的に、減圧雰囲気下において、「遺伝子銃」からの黒色火薬による発射を使用して高速度まで加速される。このような技術、およびこれに有用な装置の説明については、例えば、米国特許第4,945,050号;同第5,036,006号;同第5,100,792号;同第5,179,022号;同第5,371,015号;および同第5,478,744号を参照のこと。
【0115】
(融合タンパク質または融合ポリヌクレオチドを含有する組成物)
本発明はまた、上記融合タンパク質または融合ポリヌクレオチドを含有する組成物を提供する。これらの組成物は、上記で定義されるような免疫学的応答を刺激するために使用され得る。これらの組成物は、融合体のうちの1つが本明細書中に記載されるようなC末端切断NS5ドメインを含む限り、1つ以上の融合体を含有し得る。本発明の組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアを含有し得る。このキャリアは、それ自体が宿主に対して有害な抗体の産生を誘導べきではない。薬学的に受容可能なキャリアは、当業者に周知である。この様なキャリアとしては、大きくて、ゆっくりと代謝される高分子(例えば、タンパク質、多糖類(例えば、ラテックス官能化セファロース、アガロース、セルロース、セルロースビーズなど)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーのアミノ酸(例えば、ポリグルタミン酸、ポリリジンなど)、アミノ酸コポリマー、および不活化ウイルス粒子)が挙げられるが、これに限定されない。
【0116】
薬学的に受容可能な塩(例えば、無機塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、または硫酸塩)、および有機酸の塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、または安息香酸塩))もまた、本発明の組成物中に使用され得る。特に有用なタンパク質基質は、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、破傷風トキソイド、および当業者にとって周知である他のタンパク質である。本発明の組成物はまた、液体または賦形剤(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、デキストロース、エタノールなど)を、単独かまたは組み合わせで含み得、そして湿潤剤、乳化剤またはpH緩衝剤のような物質を含み得る。本発明のタンパク質またはポリヌクレオチドはまた、リポソームおよびPLGのような粒状キャリアに吸着されても、それらの中に捕捉されても、そうでなければそれらに結合されてもよい。リポソームおよび他の粒状キャリアは、上に記載される。
【0117】
所望される場合、リンパ球(例えば、B7−1またはB7−2)、またはサイトカイン、リンホカイン、およびケモカイン(IL−2、改変IL−2(cys125からser125に)、GM−CSF、IL−12、γ−インターフェロン、IP−10、MIP1β、FLP−3、リバビリンおよびRANTESのようなサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない)に対する免疫原の提示を改良する同時刺激性の分子は、この組成物中に含有され得る。必要に応じて、アジュバントがまた、組成物中に含有され得る。使用され得るアジュバントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど);(2)水中油型エマルション処方物(ムラミルペプチド(以下を参照のこと)または細菌の細胞壁構成成分のような他の特定の免疫刺激性因子を含むかまたは含まない)(例えば、(a)5%のスクアレン、0.5%のTWEEN 80、および0.5%のSPAN 85(必要に応じて、種々の量のMTP−PEを含む)を含み、マイクロフルイダイザー(microfluidizer)(例えば、Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA))を使用してサブミクロン粒子中に処方される、MF59(PCT公開番号第90/14837号)、(b)10%のスクアレン、0.4%のTWEEN 80、5%のプルロニック(pluronic)ブロックポリマーL121、およびthr−MDP(以下を参照のこと)を含み、サブミクロンエマルションにマイクロフルイダイズされるか、またはボルテックスされてより大きい粒子サイズのエマルションを生成するSAF、ならびに(c)2%のスクアレン、0.2%のTWEEN 80、およびモノホスホリルリピド(monophosphorylipid)A(MPL)と、トレハロースジミコレート(TDM)と、細胞壁骨格(cell wall skeleton)(CWS)とからなる群由来の1種以上の細菌の細胞壁構成成分(好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM)を含むRibiTMアジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem、Hamilton、MT));(3)サポニンアジュバント(例えば、QS21またはStimulonTM(Cambridge Bioscience、Worcester、MA)が使用されても、そこからISCOMのような粒子(免疫刺激複合体)が生成されてもよい(ISCOMは、さらなる界面活性剤を欠き得る)(例えば、国際公開第00/07621号));(4)完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA);(5)インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)(例えば、国際公開第99/44636号参照)、インターフェロン(例えば、γインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)などのようなサイトカイン;(6)細菌のADPリボシル化毒素の無毒化変異体(例えば、コレラ毒素(CT)、百日咳毒素(PT)、またはE.coli易熱性毒素(LT)(特に、LT−K63(リジンが、63位の野生型アミノ酸を置換する)、LT−R72(アルギニンが、72位の野生型アミノ酸を置換する)、CT−S109(セリンが、109位の野生型アミノ酸を置換する)、およびPT−K9/G129(リジンが、9位の野生型アミノ酸を置換し、そしてグリシン129位にて置換される)(例えば、国際公開第93/13202号および同第92/19265号を参照のこと);(7)モノホスホリルリピドA(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)(例えば、英国特許第2220221号;欧州特許出願第0689454号を参照のこと)(必要に応じてかなりの量のミョウバンを欠く(例えば、国際公開第00/56358号参照);(8)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルションとの組み合わせ(例えば、欧州特許出願第0835318号;同第0735898号;同第0761231号を参照のこと);(9)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、国際公開第99/52549号);(10)免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)またはサポニンおよび免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド(例えば、国際公開第00/62800号を参照のこと);(11)免疫刺激因子および金属塩の粒子(例えば、国際公開第00/23105号参照);(12)サポニンおよび水中油型エマルション(例えば、国際公開第99/11241号を参照のこと);(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて+ステロール)(例えば、国際公開第98/57659号を参照のこと);(14)MPL誘導体RC529;ならびに(15)免疫刺激性因子として作用して、組成物の有効性を増強させる他の物質。ミョウバンおよびMF59が、好ましい。
【0118】
上記のように、ムラミルペプチドとしては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDPと称されるCGP 11637)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PEと称される、CGP 19835A)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
さらに、上記融合タンパク質は、ISCOMに吸着されても、ISCOM内に捕捉されてもよい。伝統的なISCOMは、コレステロール、サポニン、リン脂質、および免疫原の組み合わせによって形成される。一般的に、免疫原(通常は疎水性領域を有する)は、界面活性剤中に可溶化され、そして反応混合物に添加される。したがって、ISCOMは、その中に取り込まれた免疫原と共に形成される。ISCOMマトリックス組成物は、ウイルスタンパク質と同じように形成されるが、ウイルスタンパク質を含まない。高い正の電荷を有するタンパク質は、疎水性力よりむしろISCOM粒子中に静電的に結合され得る。サポニンおよびISCOMならびにISCOMを処方する方法についてのより詳細な一般的考察は、Barrら、(1998)、Adv.Drug Delivery Reviews 32:247−271(1998)を参照のこと。
【0120】
本発明で使用するためのISCOMは、当該分野において周知である標準的な技術を使用して生成され、そして、例えば、米国特許第4,981,684号、同第5,178,860号、同第5,679,354号および同第6,027,732号;欧州特許出願公開第109,942号;同第180,564号および同第231,039号;Coulterら、(1998)、Vaccine 16:1243に記載される。代表的に、用語「ISCOM」とは、グリコシド(例えば、トリテルペノイドサポニン(特に、Quil A))と疎水性領域を含む抗原との間に形成される免疫原性複合体をいう。例えば、欧州特許出願公開第109,942号および同第180,564号を参照のこと。この実施形態において、HCV融合体(通常は疎水性領域を有する)は、界面活性剤中に可溶化され、そして反応混合物に添加される。したがって、ISCOMは、その中に取り込まれた融合体と共に形成される。HCVポリペプチドISCOMは、両親媒性を示すHCVポリペプチドで容易に作製される。しかし、所望の疎水性を欠くタンパク質およびペプチドは、疎水性アミノ酸、脂肪酸ラジカル、アルキルラジカルなどを有するペプチドと結合した後に、この免疫原性複合体中に取り込まれ得る。
【0121】
欧州特許出願公開第231,039号で説明されるように、抗原の存在は、基本的なISCOM構造(マトリックスまたはISCOMATRIXと称される)を形成するために必要ではなく、この構造は、ステロール(例えば、コレステロール)、リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミン)、およびグリコシド(例えば、Quil A)から形成され得る。したがって、目的のHCV融合体は、このマトリックスに取り込まれるよりもむしろ、このマトリックスの外側に存在する(例えば、静電相互作用を介してこのマトリックスに吸着される)。例えば、高い正の電荷を有するHCV融合体は、疎水性力よりむしろISCOM粒子に静電的に結合され得る。サポニンおよびISCOMならびにISCOMを処方する方法についてのより詳細な一般的考察は、Barrら、(1998)、Adv.Drug Delivery Reviews 32:247−271(1998)を参照のこと。
【0122】
上記ISCOMマトリックスは、例えば、可溶化したステロール、グリコシドおよび(必要に応じて)リン脂質を一緒に混合することによって調製され得る。リン脂質が使用されない場合、二次元構造が形成される。例えば、欧州特許出願公開第231,039号を参照のこと。用語「ISCOMマトリックス」は、3次元構造および2次元構造の両方をいうために使用される。使用されるべきグリコシドは、一般的に、両親媒性を示し、そしてその分子中に疎水性領域および親水性領域を含むグリコシドである。Quillaja saponaria Molinaからのサポニン抽出物およびQuil Aのような好ましいサポニンが、使用される。他の好ましいサポニンは、Aesculus hippocastanum由来のアエスシン(Pattら、(1960)、Arzneimittelforschung 10:273−275)およびGypsophilla struthium由来のサポアルビン(sapoalbin)(Vochtenら、(1968)、J.Pharm.Belg.42:213−226)である。
【0123】
ISCOMを調製するために、グリコシドは、少なくとも臨界ミセル形成濃度で使用される。Quil Aの場合において、この濃度は、約0.03重量%である。ISCOMを生成するために使用されるステロールは、動物由来または植物由来の公知のステロール(例えば、コレステロール、ラノステロール、ルミステロール、スティグマステロールおよびシトステロール)であり得る。適切なリン脂質としては、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンが挙げられる。一般的に、グリコシド(特に、Quil Aである場合)とステロール(特に、コレステロールである場合)とリン脂質とのモル比は、1:1:0〜1(各数字について±20%(好ましくは、±10%より大きくない))である。これは、Quil A:コレステロールの約5:1の重量比と等価である。
【0124】
可溶化剤もまた、存在し得、そしてこれは、例えば、界面活性剤、尿素またはグアニジンであり得る。一般的に、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤もしくは両性イオン界面活性剤、またはコール酸ベースの界面活性剤(例えば、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸塩およびCTAB(臭化セチルトリアンモニウム)が、この目的のために使用され得る。適切な界面活性剤の例としては、オクチルグルコシド、ノニルN−メチルグルカミドまたはデカノイルN−メチルグルカミド、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(例えば、9個〜10個のオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールp−イソオクチル−フェニルエーテル(商品名TRITON X−100RTMで市販される))、アシルポリオキシエチレンエステル(例えば、アシルポリオキシエチレンソルビタンエステル(商品名TWEEN 20TM、TWEEN 80TMなどで市販される))が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、可溶化剤は、ISCOMの処方のために、例えば、限外濾過、透析、超遠心分離またはクロマトグラフィーによって除去されるが、しかし、特定の方法では、この工程は、必要ない(例えば、米国特許第4,981,684を参照のこと)。
【0125】
一般に、HCV融合体に対するグリコシド(例えば、Quil A)の重量比は、5:1〜0.5:1の範囲である。好ましい重量比は、約3:1〜1:1であり、そしてより好ましくは、この比は、2:1である。
【0126】
一旦ISCOMが形成されると、これらは、本明細書中で記載されるように、組成物中に処方され、そして動物に投与され得る。所望される場合、得られた免疫原性複合体の溶液は、凍結乾燥され、次いで使用前に再構成され得る。
【0127】
上に記載されるNS5融合タンパク質およびタンパク質またはポリヌクレオチドを含む組成物は、他のHCV免疫原性タンパク質、および/または他のHCV免疫原性タンパク質を含有する組成物と組み合わせて使用され得る。例えば、NS5融合タンパク質は、表1に記載されるHCVポリタンパク質の領域の1種以上に由来する種々のHCV免疫原性タンパク質のいずれかと組み合わせて使用され得る。本発明の融合体および/またはNS5融合体を含有する組成物と共に使用するための1つの特定のHCV抗原は、HCV E1E2抗原である。HCV E1E2抗原は、公知であり、必要に応じてp7領域の一部または全てを有するHCV E1とHCV E2との複合体(例えば、PCT公開番号第03/002065号に記載されるようなHCV E1E2複合体)を含む。さらなるHCV免疫原性タンパク質は、上に記載されるような賦形剤、アジュバント、免疫刺激性分子などと一緒に、組成物中に提供され得る。例えば、E1E2複合体は、水中油型のサブミクロンエマルション(例えば、MF59)および/またはオリゴヌクレオチド(免疫刺激核酸配列(ISS)(例えば、CpY、CpRおよびメチル化されていないCpGモチーフ(シトシンの後にグアノシンが続き、そしてリン酸結合によって連結される))を含む)を含有する組成物中に提供され得る。このような組成物は、PCT公開番号第03/002065号に詳細に記載される。
【0128】
したがって、本発明の組成物が、多くの免疫刺激性因子と組み合わせて投与され得、そして通常はアジュバントを含有することは、容易に明らかである。この組成物と使用するためのこのような因子およびアジュバントとしては、上に記載されるような物質のいずれか、および以下に示されるものの1種以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
(A.無機質含有組成物)
本発明においてアジュバントとして使用するのに適した無機質含有組成物としては、無機塩類(例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩)が挙げられる。本発明は、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、水酸化リン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など(例えば、Vaccine Design、(1995)、PowellおよびNewman編、ISBN:030644867X.Plenumの第8章および第9章を参照のこと)、または異なる無機化合物の混合物(例えば、リン酸塩と水酸化物アジュバントとの混合物であって、必要に応じて過剰なリン酸塩を含む)のような無機塩類を包含し、この混合物は、任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶質、不定形など)を取る化合物を含み、そして塩への吸着を伴うことが好ましい。無機質含有組成物はまた、金属塩の粒子として処方され得る(PCT公開番号第00/23105号)。
【0130】
アルミニウム塩は、Al3+の用量が1用量あたり0.2mgと1.0mgとの間であるように、本発明の組成物中に含有され得る。1つの実施形態において、本発明の組成物に使用するためのアルミニウムベースのアジュバントは、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO))、またはリン酸緩衝液中の抗原とミョウバンを混合し、次いで水酸化アルミニウムまたは水酸化ナトリウムのような塩基によって滴定し、そして沈殿させることによってインサイチュで形成されるようなミョウバン誘導体である。
【0131】
本発明のワクチン処方物において使用するための別のアルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH))または優れた吸着剤である結晶質のオキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)であり、これは、1グラムあたり約500mの表面積を有する。あるいは、リン酸アルミニウムアジュバント(AlPO)、または水酸化リン酸アルミニウム(水酸化アルミニウムアジュバントのいくつかまたは全てのヒドロキシル基の代わりにリン酸基を含む)が、提供される。本明細書中で提供される好ましいリン酸アルミニウムアジュバントは、不定形であり、そして酸性の媒体、塩基性の媒体および中性の媒体において可溶性である。
【0132】
別の実施形態において、本発明の組成物と共に使用するためのアジュバントは、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方を含む。それらのより特定の実施形態において、アジュバントは、水酸化アルミニウムより多量のリン酸アルミニウムを有する(例えば、水酸化アルミニウムに対するリン酸アルミニウムの重量比で2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または9:1より大きい)。より具体的に、アルミニウム塩は、1ワクチン用量あたり0.4mg〜1.0mgか、または1ワクチン用量あたり0.4mg〜0.8mgか、または1ワクチン用量あたり0.5mg〜0.7mgか、または約1ワクチン用量あたり0.6mgで存在し得る。
【0133】
一般的に、好ましいアルミニウムベースのアジュバント、または多数のアルミニウムベースのアジュバントの比(例えば、リン酸アルミニウム対水酸化アルミニウム)は、抗原が所望のpHにおいてアジュバントと反対の電荷を保有するような、分子間の静電気引力の最適化によって選択される。例えば、リン酸アルミニウムアジュバント(等電点=4)は、リゾチームを吸着するが、pH7.4においてはアルブミンを吸着しない。アルブミンが標的とされるべき場合、水酸化アルミニウムアジュバント(等電点11.4)が選択される。あるいは、リン酸による水酸化アルミニウムの前処理は、その等電点を低下させ、水酸化アルミニウムを、より塩基性の抗原について好ましいアジュバントにする。
【0134】
(B.油エマルション)
この組成物中でアジュバントとして使用するのに適した油エマルション組成物としては、スクアレン−水エマルションが挙げられる。特に好ましいアジュバントは、水中油型のサブミクロンエマルションである。本明細書中で使用するための好ましい水中油型のサブミクロンエマルションは、必要に応じて種々の量のMTP−PEを含むスクアレン/水エマルション(例えば、4〜5%(w/v)のスクアレン、0.25〜1.0%(w/v)のTween 80TM(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、および/または0.25〜1.0%のSpan 85TM(ソルビタントリオレエート)、ならびに必要に応じて、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル(isogluatminyl)−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ(huydroxyphosphophoryloxy))−エチルアミン(MTP−PE)を含む水中油型のサブミクロンエマルション(例えば、「MF59」として公知である水中油型のサブミクロンエマルション))である(国際公開第90/14837号;米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号、ならびにVaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell,M.F.およびNewman,M.J.編)、Ottら、「MF59−−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」Plenum Press、New York、1995、pp.277−296)。MF59は、4〜5%(w/v)のスクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5%(w/v)のTween 80TM、および0.5%(w/v)のSpan 85TMを含み、そして必要に応じて種々の量のMTP−PEを含み、マイクロフルイダイザー(例えば、Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA))を使用してサブミクロン粒子中に処方される。例えば、MTP−PEは、1用量あたり約0〜500μgの量、より好ましくは1用量あたり0〜250μgの量および最も好ましくは1用量あたり0〜100μgの量で存在し得る。本明細書中で使用される場合、用語「MF59−0」とは、MTP−PEを欠く上記の水中油型のサブミクロンエマルションをいう一方で、用語「MF59−MTP」は、MTP−PEを含む処方物を示す。例えば、「MF59−100」は、1用量あたり100μgのMTP−PEなどを含む。MF69(本明細書中で使用するための別の水中油型のサブミクロンエマルション)は、4.3%(w/v)のスクアレン、0.25%(w/v)のTween 80TM、および0.75%(w/v)のSpan 85TMを含み、そして必要に応じてMTP−PEを含む。なお別の水中油型のサブミクロンエマルションは、MF75(SAFとしても公知である)であり、これは、10%のスクアレン、0.4%のTween 80TM、5%のプルロニック(pluronic)ブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含む。MF75はまた、サブミクロンエマルション中にマイクロフルイダイズされる。MF75−MTPは、1用量あたり100〜400μgのMTP−PEのようなMTPを含有するMF75処方物を示す。
【0135】
上記組成物に使用するための水中油型のサブミクロンエマルション、水中油型のサブミクロンエマルションおよび免疫刺激性因子(例えば、ムラミルペプチド)を作製する方法は、国際公開第90/14837号ならびに米国特許第6,299,884号および同第6,451,325号に詳細に記載される。
【0136】
完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)はまた、本発明の組成物中にアジュバントとして使用され得る。
【0137】
(C.サポニン処方物)
サポニン処方物はまた、上記組成物中にアジュバントとして使用され得る。サポニンは、広範な種々の植物種の樹皮、葉、茎、根および花にも見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種性の群である。Quillaia saponaria Molinaの木の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして広く研究されてきた。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ)、Gypsophilla paniculata(ブライダルベール)、およびSaponaria officianalis(サボンソウ根)から商業的に得られ得る。サポニンアジュバント処方物としては、精製された処方物(例えば、QS21)、および脂質処方物(例えば、ISCOM)が挙げられる。
【0138】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィー(HP−TLC)および逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を使用して精製された。これらの技術を使用した特定の精製された画分が同定された。これらとしては、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cが挙げられる。好ましくは、このサポニンは、QS21である。QS21の生成方法は、米国特許第5,057,540号に開示される。サポニン処方物はまた、ステロール(例えば、コレステロール)を含有し得る(PCT公開番号第96/33739号を参照のこと)。
【0139】
サポニンとコレステロールとの組み合わせが使用されて、免疫刺激性複合体(ISCOM)と称される独特な粒子が形成され得る。代表的に、ISCOMとしてはまた、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンのようなリン脂質が挙げられる。任意の公知のサポニンが、ISCOM中に使用され得る。好ましくは、このISCOMは、Quil A、QHAおよびQHCの1種以上を含む。ISCOMは、欧州特許第0109942号、国際公開第96/11711号および同第96/33739号にさらに記載される。必要に応じて、これらのISCOMは、さらなる界面活性剤を欠き得る。国際公開第00/07621号を参照のこと。
【0140】
サポニンベースのアジュバントの開発の概説は、Barrら、「ISCOMs and other saponin based adjuvants」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)、32:247−271に見出され得る。Sjolanderら、「Uptake and adjuvant activity of orally deliveredsaponin and ISCOM vaccines」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)、32:321−338もまた参照のこと。
【0141】
(D.ビロゾームおよびウイルス様粒子(VLP))
ビロゾームおよびウイルス様粒子(VLP)はまた、本発明の組成物と共に、アジュバントとして使用され得る。これらの構造物は、一般的に、ウイルス由来の1種以上のタンパク質を含み、このタンパク質は、必要に応じてリン脂質と組み合わされるか、またはそれと一緒に処方される。これらの構造物は、一般的に、非病原性、非複製性(non−replicating)であり、そして一般的にはネイティブなウイルスゲノムを全く含まない。これらのウイルスタンパク質は組換え的に生成されても、ウイルス全体から、単離されてもよい。ビロゾームまたはVLPに使用するのに適したこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルスに由来するタンパク質(例えばHAまたはNA)、B型肝炎ウイルスに由来するタンパク質(例えば、コアタンパク質またはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルスに由来するタンパク質、麻疹ウイルスに由来するタンパク質、シンドビスウイルスに由来するタンパク質、ロタウイルスに由来するタンパク質、口蹄疫ウイルスに由来するタンパク質、レトロウイルスに由来するタンパク質、ノーウォークウイルスに由来するタンパク質、ヒトパピローマウイルスに由来するタンパク質、HIVに由来するタンパク質、RNAファージに由来するタンパク質、Qβファージに由来するタンパク質(例えば、コートタンパク質)、GAファージに由来するタンパク質、frファージに由来するタンパク質、AP205ファージに由来するタンパク質、およびTyに由来するタンパク質(例えば、レトロトランスポゾンTyのp1タンパク質)が挙げられる。VLPは、国際公開第03/024480号、同第03/024481号、およびNiikuraら、「Chimeric Recombinant Hepatitis E Virus−Like Particles as an Oral Vaccine Vehicle Presenting Foreign Epitopes」、Virology(2002)、293:273−280;Lenzら、「Papillomarivurs−Like Particles Induce Acute Activation of Dendritic Cells」、Journal of Immunology(2001)、5246−5355;Pintoら、「Cellular Immune Responses to Human Papillomavirus (HPV)−16 L1 Healthy Volunteers Immunized with Recombinant HPV−16 L1 Virus−Like Particles」、Journal of Infectious Diseases(2003)、188:327−338;およびGerberら、「Human Papillomavrisu Virus−Like Particles Are Efficient Oral Immunogens when Coadministered with Escherichia coli Heat−Labile Entertoxin Mutant R192G or CpG」、Journal of Virology(2001)、75(10):4752−4760においてさらに議論される。ビロゾームは、例えば、Gluckら、「New Technology Platforms in the Development of Vaccines for the Future」、Vaccine(2002)、20:B10-B16においてさらに議論される。免疫増強性の再構成されたインフルエンザビロゾーム(IRIV)は、サブユニット抗原送達システムとして、鼻腔内における三価のINFLEXALTM製品(MischlerおよびMetcalfe、(2002)、Vaccine、第20補遺、5:B17−23)およびINFLUVAC PLUSTM製品において使用される。
【0142】
(E.細菌性誘導体または微生物性誘導体)
本発明の組成物中に使用するのに適したアジュバントとしては、以下のような細菌性誘導体または微生物性誘導体が挙げられる。
【0143】
((1)腸内細菌のリポ多糖(LPS)の非毒性誘導体)
このような誘導体としては、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4個か、5個かまたは6個のアシル化鎖を有する3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAの好ましい「小粒子」形態は、欧州特許第0689454号に開示される.3dMPLのこのような「小粒子」は、0.22ミクロンのメンブレン(欧州特許第0689454号を参照のこと)を通して濾過滅菌されるために十分小さい。他の非毒性LPS誘導体としては、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(例えば、RC−529)のようなモノホスホリルリピドA模倣物が挙げられる。Johnsonら、(1999)、Bioorg Med Chem Lett 9:2273−2278を参照のこと。
【0144】
((2)リピドA誘導体)
リピドA誘導体としては、Escherichia coli由来のリピドAの誘導体(例えば、OM−174)が挙げられる。OM−174は、例えば、Meraldiら、「OM−174、a New Adjuvant with a Potential for Human Use,Induces a Protective Response with Administered with the Synthetic C−Terminal Fragment 242−310 from the circumsporozoite protein of Plasmodium berghei」、Vaccine(2003)、21:2485−2491;およびPajakら、「The Adjuvant OM−174 induces both the migration and maturation of murine dendritic cells in vivo」、Vaccine(2003)、21:836−842に記載される。
【0145】
((3)免疫刺激性オリゴヌクレオチド)
アジュバントとして使用するのに適した免疫刺激性オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフを含むヌクレオチド配列(メチル化されていないシトシンの後に、リン酸結合によって連結されるグアノシンを含む配列)が挙げられる。パリンドローム配列またはポリ(dG)配列を含む細菌の二本鎖RNAおよびオリゴヌクレオチドはまた、免疫刺激性であることが示された。
【0146】
これらのCpGは、ヌクレオチドの修飾物/アナログ(例えば、ホスホロチオエート修飾物)を含み、そして二本鎖であっても一本鎖であってもよい。必要に応じて、このグアノシンは、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンのようなアナログによって置換され得る。考えられるアナログ置換の例については、Kandimallaら、「Divergent synthetic nucleotide motif recognition pattern: design and development of potent immunomodulatory oligodeoxyribonucleotide agents with distinct cytokine induction profiles」、Nucleic Acids Research(2003)、31(9):2393−2400;国際公開第02/26757号および同第99/62923号を参照のこと。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、Krieg、「CpG motifs:the active ingredient in bacterial extracts?」、Nature Medicine(2003)、9(7):831−835;McCluskieら、「Parenteral and mucosal prime−boost immunization strategies in mice with hepatitis B surface antigen and CpG DNA」、FEMS Immunology and Medical Microbiology(2002)、32:179−185;国際公開第98/40100号;米国特許第6,207,646号;同第6,239,116号および同第6,429,199号においてさらに議論される。
【0147】
上記CpG配列は、TLR9(例えば、モチーフGTCGTTまたはモチーフTTCGTT)に関し得る。Kandimallaら、「Toll−like receptor 9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic CpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)、31(第3部):654−658を参照のこと。このCpG配列は、Th1免疫応答の誘導に特異的(例えば、CpG−A ODN)であり得るか、またはCpG配列は、B細胞の応答の誘導に、より特異的(例えば、CpG−B ODN)であり得る。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、Blackwellら、「CpG−A−Induced Monocyte IFN−gamma−Inducible Protein−10 Production is Regulated by Plasmacytoid Dendritic Cell Derived IFN−alpha」、J.Immunol.(2003)、170(8):4061−4068;Krieg、「From A to Z on CpG」、TRENDS in Immunology(2002)、23(2):64−65および国際公開第01/95935号において議論される。好ましくは、このCpGは、CpG−A ODNである。
【0148】
好ましくは、上記CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端がレセプターの認識のために使用され得るように構築される。必要に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列は、それらの3’末端同士で接続されて、「イムノマー(immunomer)」を形成し得る.例えば、Kandimallaら、「Secondary structures in CpG oligonucleotides affect immunostimulatory activity」、BBRC(2003)、306:948−953;Kandimallaら、「Toll−like receptor 9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic GpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)、31(第3部):664−658;Bhagatら、「CpG penta− and hexadeoxyribonucleotides as potent immunomodulatory agents」、BBRC(2003)、300:853−861および国際公開第03/035836号を参照のこと。
【0149】
((4)ADPリボシル化毒素およびその無毒化誘導体)
細菌性ADPリボシル化毒素およびその無毒化誘導体は、上記組成物中にアジュバントとして使用され得る。好ましくは、このタンパク質は、E.coli(すなわち、E.coliの易熱性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、または百日咳(「PT」)から得られる。無毒化ADPリボシル化毒素の粘膜アジュバントとしての使用は、国際公開第95/17211号に記載され、そして非経口アジュバントとしての使用は国際公開第98/42375号に記載される。好ましくは、このアジュバントは、無毒化LT変異体(例えば、LT−K63、LT−R72、およびLTR192G)である。ADPリボシル化毒素およびその無毒化誘導体(特に、LT−K63およびLT−R72)のアジュバントとしての使用は、以下の参考文献中に見出され得る:Beignonら、「The LTR72 Mutant of Heat−Labile Enterotoxin of Escherichia coli Enahnces the Ability of Peptide Antigens to Elicit CD4+ T Cells and Secrete Gamma Interferon after Coapplication onto Bare Skin」、Infection and Immunity(2002)、70(6):3012−3019;Pizzaら、「Mucosal vaccines:non toxic derivatives of LT and CT as mucosal adjuvants」、Vaccine(2001)、19:2534−2541;Pizzaら、「LTK63 and LTR72、two mucosal adjuvants ready for clinical trials」、Int.J.Med.Microbiol(2000)、290(4−5):455−461;Scharton−Kerstenら、「Transcutaneous Immunization with Bacterial ADP−Ribosylating Exotoxins、Subunits and Unrelated Adjuvants」、Infection and Immunity(2000)、68(9):5306−5313;Ryanら、「Mutants of Escherichia coli Heat−Labile Toxin Act as Effective Mucosal Adjuvants for Nasal Delivery of an Acellular Pertussis Vaccine: Differential Effects of the Nontoxic AB Complex and Enzyme Activity on Th1 and Th2 Cells」、Infection and Immunity(1999)、67(12):6270−6280;Partidosら、「Heat−labile enterotoxin of Escherichia coli and its site−directed mutant LTK63 enhance the proliferative and cytotoxic T−cell responses to intranasally co−immunized synthetic peptides」、Immunol.Lett.(1999)、67(3):209−216;Peppoloniら、「Mutants of the Escherichia coli heat−labile enterotoxin as safe and strong adjuvants for intranasal delivery of vaccines」、Vaccines(2003)、2(2):285−293;およびPineら、(2002)、「Intranasal immunization with influenza vaccine and a detoxified mutant of heat labile enterotoxin from Escherichia coli(LTK63)」、J.Control Release(2002)、85(1−3):263−270。アミノ酸置換についての数値的参照は、好ましくは、Domenighiniら、Mol.Microbiol(1995)、15(6):1165−1167に示されるADPリボシル化毒素のAサブユニットおよびBサブユニットのアライメントに基づく。
【0150】
(F.生体接着物および粘膜接着物)
生体接着物および粘膜接着物はまた、本組成物中にアジュバントとして使用され得る。適切な生体接着物としては、エステル化したヒアルロン酸ミクロスフェア(Singhら、(2001)、J.Cont.Rele.70:267−276)または粘膜接着物(例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類およびカルボキシメチルセルロースの架橋した誘導体)が挙げられる。キトサンおよびその誘導体はまた、本組成物中にアジュバントとして使用され得る。例えば、国際公開第99/27960号を参照のこと。
【0151】
(G.微粒子)
微粒子はまた、本組成物中にアジュバントとして使用され得る。微粒子(すなわち、直径が約100nm〜約150μmの粒子、より好ましくは直径が約200nm〜約30μmの粒子、および最も好ましくは直径が約500nm〜約10μmの粒子)は、生分解性かつ非毒性の物質(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成され、この物質としては、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が好ましい。必要に応じて、この微粒子は、(例えば、SDSによって)負に荷電した表面を有するか、または(例えば、CTABのようなカチオン性界面活性剤によって)正に荷電した表面を有するように処理される。
【0152】
(H.リポソーム)
アジュバントとして使用するのに適したリポソーム処方物の例は、米国特許第6,090,406号、同第5,916,588号、および欧州特許第0626169号に記載される。
【0153】
(I.ポリオキシエチレンエーテル処方物およびポリオキシエチレンエステル処方物)
上記組成物中に使用するのに適したアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる。例えば、国際公開第99/52549号を参照のこと。このような処方物は、オクトオキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステルの界面活性剤(国際公開第01/21207号)、および少なくとも1種のさらなる非イオン性界面活性剤(例えば、オクトオキシノール)と組み合わせた、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルエステルの界面活性剤(国際公開第01/21152号)をさらに含む。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステロイルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステロイルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0154】
(J.ポリホスファゼン(PCPP))
PCPP処方物は、例えば、Andrianovら、「Preparation of hydrogel microspheres by coacervation of aqueous polyphophazene solutions」、Biomaterials(1998)、19(1−3):109−115およびPayneら、「Protein Release from Polyphosphazene Matrices」、Adv.Drug.Delivery Review(1998)、31(3):185−196に記載される。
【0155】
(K.ムラミルペプチド)
アジュバントとして使用するのに適したムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)、およびN−アセチルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)が挙げられる。
【0156】
(L.イミダゾキノリン化合物)
上記組成物中にアジュバントとして使用するのに適したイミダゾキノリン化合物の例としては、Imiquimodおよびそのアナログが挙げられ、これらは、Stanley、「Imiquimod and the imidazoquinolines:mechanism of action and therapeutic potential」、Clin Exp Dermatol(2002)、27(7):571−577;Jones、「Resiquimod 3M」、Curr Opin Investig Drugs(2003)、4(2):214−218;ならびに米国特許第4,689,338号、同第5,389,640号、同第5,268,376号、同第4,929,624号、同第5,266,575号、同第5,352,784号、同第5,494,916号、同第5,482,936号、同第5,346,905号、同第5,395,937号、同第5,238,944号、および同第5,525,612号にさらに記載される。
【0157】
(M.チオセミカルバゾン化合物)
上記組成物中にアジュバントとして使用するのに適したチオセミカルバゾン化合物の例、および上記組成物中にアジュバントとして使用するのに適した全ての化合物を、処方し、製造し、そしてスクリーニングする方法としては、国際公開第04/60308号に記載されるものが挙げられる。これらのチオセミカルバゾンは、サイトカイン(例えば、TNF−α)を産生するためのヒト末梢血単核細胞の刺激において、特に有効である。
【0158】
(N.トリプタントリン化合物)
上記組成物中にアジュバントとして使用するのに適したトリプタントリン化合物の例、および上記組成物中にアジュバントとして使用するのに適した全ての化合物を、処方し、製造し、そしてスクリーニングする方法としては、国際公開第04/64759号に記載されるものが挙げられる。トリプタントリン化合物は、サイトカイン(例えば、TNF−α)を産生するためのヒト末梢血単核細胞の刺激において、特に有効である。
【0159】
(O.ヒト免疫調節因子)
上記組成物中にアジュバントとして使用するのに適したヒト免疫調節因子としては、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子のようなサイトカインが挙げられる。
【0160】
上記組成物はまた、上で同定されるアジュバントの1種以上の局面の組み合わせを含有し得る。例えば、以下のアジュバント組成物が、本発明において使用され得る:
(1)サポニンおよび水中油型エマルション(国際公開第99/11241号);
(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(国際公開第94/00153号を参照のこと);
(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて+ステロール)(国際公開第98/57659号);
(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルションとの組み合わせ(欧州特許出願第0835318号、同第0735898号および同第0761231号を参照のこと);
(6)、10%のスクアレン、0.4%のTween 80、5%のプルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含み、サブミクロンエマルションにマイクロフルイダイズされるか、またはボルテックスされてより大きい粒子サイズのエマルションを生成するSAF;
(7)2%のスクアレン、0.2%のTWEEN 80、およびモノホスホリルリピド(monophosphorylipid)A(MPL)と、トレハロースジミコレート(TDM)と、細胞壁骨格(CWS)とからなる群由来の1種以上の細菌の細胞壁構成成分(好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM)を含むRibiTMアジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem);ならびに
(8)1種以上の無機塩類(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば、3dPML);
(9)1種以上の無機塩類(例えば、アルミニウム塩)+免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGモチーフを含むヌクレオチド配列)。
【0161】
アルミニウム塩およびMF59は、注射可能なワクチンと使用するために好ましいアジュバントである。細菌毒素および生体接着物は、粘膜を介して送達されるワクチン(例えば、経鼻のワクチン)と共に使用するために好ましいアジュバントである。
【0162】
(HCV特異的抗体を産生する方法)
上記HCV融合タンパク質が使用されて、HCV特異的ポリクローナル抗体およびHCV特異的モノクローナル抗体が産生され得る。HCV特異的ポリクローナル抗体およびHCV特異的モノクローナル抗体は、HCV抗原と特異的に結合する。ポリクローナル抗体は、哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、またはウマ)に融合タンパク質を投与することによって産生され得る。免疫化された動物から血清が収集され、そして例えば、硫酸アルミニウムによって沈殿させ、次いでクロマトグラフィー(好ましくは、アフィニティークロマトグラフィー)を行うことによって、抗体が血漿から精製される。ポリクローナル抗血清を産生し、そして処理するための技術は、公知である。
【0163】
融合タンパク質中に存在するHCV特異的エピトープに対して指向されるモノクローナル抗体もまた、容易に産生され得る。HCV融合タンパク質によって免疫化された哺乳動物(例えば、マウス)由来の正常なB細胞は、例えば、HAT感受性のマウス骨髄腫細胞と融合されて、ハイブリドーマを産生し得る。HCV特異的抗体を産生するハイブリドーマは、RIAまたはELISAを使用して同定され得、そして半固体の寒天中でクローニングすることによってか、または限界希釈によって単離され得る。HCV特異的抗体を産生するクローンは、別の回のスクリーニングによって単離される。
【0164】
HCVエピトープに対して指向される抗体(モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体のいずれかである)は、サンプル(例えば、HCVに感染したヒトから得た血清サンプル)中のHCVまたはHCV抗原の存在を検出するために、特に有用である。HCV抗原に対する免疫アッセイは、1種の抗体または数種の抗体を利用し得る。HCV抗原に対する免疫アッセイは、例えば、HCVエピトープに対して指向されるモノクローナル抗体、1種のHCVポリペプチドのエピトープに対して指向されるモノクローナル抗体の組み合わせ、異なるHCVポリペプチドのエピトープに対して指向されるモノクローナル抗体、同じHCV抗原に対して指向されるポリクローナル抗体、異なるHCV抗原に対して指向されるポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体とポリクローナル抗体との組み合わせを使用し得る。免疫アッセイプロトコールは、例えば、標識化抗体を使用する、例えば、競合型アッセイ、直接反応型アッセイ、またはサンドイッチ型アッセイに基づき得る。これらの標識は、例えば、蛍光、化学発光、または放射活性であり得る。
【0165】
これらのポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体がさらに使用されて、HCV粒子またはHCV抗原が免疫親和性カラムによって単離され得る。これらの抗体は、これらの抗体がそれらの免疫選択活性を保持するように、例えば、吸着または共有結合的な連結によって固体支持体に固定され得る。必要に応じて、スペーサー群は、抗体の抗原結合部位が接近可能なままであるように、含まれ得る。次いでこれらの固定化された抗体が使用されて、生物学的サンプル(例えば、血液または血漿)からのHCV粒子またはHCV抗原が結合され得る。これらの結合されたHCV粒子またはHCV抗原は、例えば、pHの変化によってカラムマトリックスから回収される。
【0166】
(HCV特異的T細胞)
HCV特異的T細胞は、NS3NS4NS5t融合タンパク質またはE2NS3NS4NS5t融合タンパク質を含む上に記載される融合体(coreポリペプチドを含むか、またはこれを含まない)、および本明細書中に記載される種々の他の融合体のいずれかによって活性化され、これらの融合体は、インビボまたはインビトロで発現される。好ましくは、HCV特異的T細胞は、HCVポリペプチド(例えば、NS2ポリペプチド、p7ポリペプチド、E1ポリペプチド、E2ポリペプチド、NS3ポリペプチド、NS4ポリペプチド、NS5aポリペプチドまたはNS5bポリペプチド)のエピトープを認識し、これらのエピトープとしては、coreポリペプチドを含むか、またはこれを含まない、NS5tを有するこれらのペプチドの1つ以上の融合体のエピトープが挙げられる。HCV特異的T細胞は、CD8またはCD4であり得る。
【0167】
HCV特異的CD8 T細胞は、MHCのクラスI分子と複合体化されたこれらのエピトープのいずれかを表示するHCV感染細胞を殺傷し得る細胞傷害性Tリンパ球(CTL)であり得る。HCV特異的CD8 T細胞は、例えば、51Cr放出アッセイ(実施例を参照のこと)によって検出され得る。51Cr放出アッセイは、HCV特異的CD8 T細胞の、これらのエピトープの1種以上を表示する標的細胞を溶解する能力を測定する。抗ウイルス因子(例えば、IFN−γ)を発現するHCV特異的CD8 T細胞もまた、本明細書中で企図され、そしてこの細胞はまた、免疫学的方法(好ましくは、HCVポリペプチド(例えば、E2ポリペプチド、NS3ポリペプチド、NS4ポリペプチド、NS5aポリペプチド、またはNS5bポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない)の1種以上によるインビトロ刺激後にIFN−γまたは同様のサイトカインを細胞内染色することによって)によって検出され得る(実施例を参照のこと)。
【0168】
HCV特異的CD4細胞は、coreポリペプチドを含むかまたはこれを含まない、上に記載される融合体(NS3NS4NS5t融合タンパク質またはE2NS3NS4NS5t融合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない)によって活性化され、これらの融合体は、インビボまたはインビトロで発現される。好ましくは、HCV特異的CD4 T細胞は、HCVポリペプチド(例えば、NS2ポリペプチド、p7ポリペプチド、E1ポリペプチド、E2ポリペプチド、NS3ポリペプチド、NS4ポリペプチド、NS5aポリペプチドまたはNS5bポリペプチドであるが、これらに限定されない)のエピトープ(これらの融合体のエピトープを含む)を認識し、そしてHCV感染細胞上のMHCのクラスII分子に結合されて、例えば、NS3NS4NS5t融合タンパク質またはE2NS3NS4NS5t融合タンパク質(coreポリペプチドを含むか、またはこれを含まない)の刺激に応答して増殖する。
【0169】
HCV特異的CD4 T細胞は、リンパ球増殖アッセイによって検出され得る(実施例を参照のこと)。リンパ球増殖アッセイは、HCV特異的CD4 T細胞の、例えば、NS2エピトープ、p7エピトープ、E1エピトープ、E2エピトープ、NS3エピトープ、NS4エピトープ、NS5aエピトープ、および/またはNS5bエピトープに応答して増殖する能力を測定する。
【0170】
(HCV特異的T細胞を活性化する方法)
上記HCV融合タンパク質またはHCV融合ポリヌクレオチドが使用されて、インビトロまたはインビボのいずれかでHCV特異的T細胞が活性化され得る。HCV特異的T細胞の活性化が使用されて、特に、HCVに対するCTL応答を最適化するモデル系が提供され、そしてHCV感染に対する予防的処置または治療的処置が提供され得る。インビトロの活性化に関して、タンパク質は、好ましくは上に記載されるようなプラスミドまたはウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター)を介してT細胞に供給される。
【0171】
T細胞のポリクローナル集団は、HCVに感染した哺乳動物の血液に由来し得、そして好ましくはHCVによって感染した哺乳動物の末梢リンパ器官(例えば、リンパ節、脾臓、または胸腺)に由来し得る。好ましい哺乳動物としては、マウス、チンパンジー、ヒヒ、およびヒトが挙げられる。HCVは、哺乳動物において活性化されたHCV特異的T細胞の数を増やすように機能する。次いで哺乳動物に由来するHCV特異的T細胞は、本明細書中に記載されるようなHCV融合タンパク質(例えば、coreポリペプチドを含むか、またはこれを含まないHCV NS3NS4NS5t融合タンパク質またはHCV E2NS3NS4NS5t融合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない)をこれらのT細胞に添加することによってインビトロで再刺激され得る。次いでこれらのHCV特異的T細胞は、特に、増殖、IFN−γの産生、およびインビトロでHCVエピトープを表示する標的細胞を溶解する能力について試験され得る。
【0172】
リンパ球増殖アッセイ(実施例6を参照のこと)において、HCVによって活性化されたCD4 T細胞は、HCVポリペプチド(例えば、NS3エピトープペプチド、NS4エピトープペプチド、NS5aエピトープペプチド、NS5bエピトープペプチド、NS3NS4NS5エピトープペプチド、またはE2NS3NS4NS5エピトープペプチドが挙げられるが、これらに限定されない)と一緒に培養される場合に増殖するが、エピトープペプチドの非存在下においては増殖しない。したがって、HCV特異的CD4 T細胞によって認識される特定のHCVエピトープ(例えば、NS2、p7、E1、E2、NS3、NS4、NS5a、NS5b、およびこれらのエピトープの融合体(例えば、NS3NS4NS5エピトープおよびE2NS3NS4NS5エピトープが挙げられるが、これらに限定されない))は、リンパ球増殖アッセイを使用して同定され得る。
【0173】
同様に、上に記載される融合タンパク質によるインビトロでの刺激後の、HCV特異的CD4+ T細胞および/またはHCV特異的CD8 T細胞におけるIFN−γの検出が使用されて、例えば、IFN−γを産生するためのCD4+ T細胞および/またはCD8 T細胞の刺激において特に有効である融合タンパク質エピトープ(例えば、NS2、p7、E1、E2、NS3、NS4、NS5a、NS5b、およびこれらのエピトープ融合体(例えば、NS3NS4NS5エピトープおよびE2NS3NS4NS5エピトープが挙げられるが、これらに限定されない)のエピトープが挙げられるが、これらに限定されない)が同定され得る(実施例5を参照のこと)。
【0174】
さらに、51Cr放出アッセイは、HCVに対するCTL応答のレベルを決定するために特に有用である。Cooperら、Immunity 10:439−449を参照のこと。例えば、HCV特異的CD8 T細胞は、HCVに感染した哺乳動物の肝臓に由来し得る。これらのT細胞は、例えば、E2NS3NS4NS5エピトープまたはNS3NS4NS5エピトープを表示する標的細胞に対する51Cr放出アッセイにおいて試験され得る。異なるNS3NS4NS5エピトープまたはE2NS3NS4NS5エピトープを発現する数種の標的細胞集団は、それぞれの標的細胞集団がNS3NS4NS5またはE2NS3NS4NS5の異なるエピトープを表示するように構築され得る。これらのHCV特異的CD8細胞は、これらの標的細胞集団の各々に対してアッセイされ得る。51Cr放出アッセイの結果が使用されて、NS3NS4NS5エピトープまたはE2NS3NS4NS5エピトープのどちらがHCVに対する最も強いCTL応答を引き起こすかが決定され得る。次いで最も強いCTL応答を引き起こすエピトープを含むNS3NS4NS5t融合タンパク質またはE2NS3NS4NS5t融合タンパク質(coreポリペプチドを含むか、またはこれを含まない)は、51Cr放出アッセイから得た情報を使用して構築され得る。
【0175】
上に記載されるようなHCV融合タンパク質、またはこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドが、哺乳動物(例えば、マウス、ヒヒ、チンパンジー、またはヒト)に投与されて、インビボでHCV特異的T細胞を活性化するような体液性および/または細胞性免疫応答が刺激され得る。投与は、当該分野において公知である任意の手段によるものであり得、これらとしては、上記で議論されるような、生物学的な弾道銃(「遺伝子銃」)を使用する注入を含む、非経口的な注入、鼻腔内注入、筋肉内注射または皮下注射が挙げられる。
【0176】
好ましくは、HCVポリヌクレオチドの注入が使用されて、T細胞が活性化される。構築および改変の単純性の実施上の利点に加えて、これらのポリヌクレオチドの注入は、宿主における融合タンパク質の合成をもたらす。したがって、これらの免疫原は、ネイティブな翻訳後修飾、ネイティブな構造、およびネイティブなコンホメーションで、宿主の免疫系に提示される。好ましくは、これらのポリヌクレオチドは、ヒトのような大型哺乳動物に対して、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgの用量で筋肉内に注入される。
【0177】
HCV融合タンパク質またはHCV融合ポリヌクレオチドを含有する本発明の組成物は、使用される特定の組成物に適合する様式で、かつHCV特異的T細胞を活性化する(特に、51Cr放出アッセイ、リンパ球増殖アッセイ、またはIFN−γの細胞内染色によって測定される)のに有効である量で投与される。これらのタンパク質および/またはポリヌクレオチドは、HCVによって感染されていない哺乳動物に投与され得るか、またはHCVに感染した哺乳動物に投与され得る。組成物におけるこれらのポリヌクレオチドまたは融合タンパク質の特定の投薬量は、多くの因子に依存し、この因子としては、この組成物が投与される哺乳動物の種、年齢、および全身状態、ならびにこの組成物の投与様式が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物の有効量は、慣用的な実験のみを使用して容易に決定され得る。上に記載されるインビトロモデルおよびインビボモデルが利用されて、適切な用量が決定され得る。以下に記載される実施例において使用されるポリヌクレオチドの量は、インビボまたはインビトロのいずれかにおけるHCV特異的T細胞の活性化を最適化するために使用され得る一般的な指標を提供する。一般に、0.5mg、0.75mg、1.0mg、1.5mg、2.0mg、2.5mg、5mgまたは10mgのHCV融合タンパク質またはHCV融合ポリヌクレオチド(coreポリペプチドを含むか、またはこれを含まない)が、大型哺乳動物(例えば、ヒヒ、チンパンジー、またはヒト)に投与される。所望される場合、同時刺激性の分子または同時刺激性のアジュバントはまた、これらの組成物の前か、これらの組成物の後か、またはこれらの組成物と一緒に提供される。
【0178】
本発明の組成物の送達によって生成される哺乳動物の免疫応答(HCV特異的T細胞の活性化が挙げられる)は、投薬量、投与経路、または追加免疫レジメンを変えることによって増強され得る。本発明の組成物は、単一用量スケジュールで与えられ得るか、または好ましくは複数用量スケジュールで与えられ得、複数用量スケジュールにおいて、ワクチン接種の第1の過程は1回〜10回の別個の用量を含み、次いで免疫応答を維持するか、そして/または強化するのに必要とされる時間間隔(例えば、第2の用量について1〜4ヶ月)の後に他の用量を与えられ、および必要に応じて、数ヶ月後の次なる用量が与えられる。
【0179】
(3.実験)
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の例である。これらの実施例は、例示目的のみのために提供され、そして決して本発明の範囲を限定することを意図しない。当業者は、本発明が、本開示の教示によって与えられる種々の方法で実施され得ることを、容易に理解する。
【0180】
使用される数(例えば、量、温度など)に関する精度を保証するために努力がなされたが、ある程度の実験的な誤差および偏差は、当然に考慮されるべきである。
【実施例】
【0181】
(実施例1.NS5CoreポリヌクレオチドおよびNS5CoreポリペプチドならびにNS5tCoreポリヌクレオチドおよびNS5tCoreポリペプチドの生成)
以下の実施例のNS5tは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜2990に対応するアミノ酸を含むC末端切断NS5分子を示す。
【0182】
NS5tをコードするポリヌクレオチドを、標準的な組換え技術を使用して調製し、そしてこの構築物を、図3のアミノ酸1772位〜1892位に示されるような、全長ポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含んだcoreポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと融合して、NS5tCore121を得た。
【0183】
NS5tCore121ポリヌクレオチドを、クローニングしそしてS.cerevisiae中で発現させた。特に、NS5Coreタンパク質を酵母発現ベクターpBS24.1を使用するS.cerevisiaeにおける発現のために遺伝子操作した。このベクターは、酵母における自律複製のために2μ配列を含み、そして選択マーカーとして酵母遺伝子leu2dおよび酵母遺伝子URA3を含む。細菌におけるプラスミドの複製に必要とされるβ−ラクタマーゼ遺伝子およびColE1複製起点ならびにα因子ターミネーターもまた、この発現ベクターに存在する。組換えタンパク質の発現は、ハイブリッドADH2/GAPDHプロモーターの制御下にある。
【0184】
HindIII−EcoNI制限酵素末端を有する合成オリゴヌクレオチド(27bp)を、ADH2/GAPDHプロモーターとHCV−1 NS5aとの間の連結部において使用した。NS5aおよびNS5bの一部をコードする2893bpのEcoNI−NdeI制限酵素フラグメントを、pd.Δns3ns5Pjcore121RT(PCT公開番号第01/38360号に記載される)からゲル精製した。NdeI末端およびNotI末端を有する合成オリゴヌクレオチド(205bp)を、NS5b切断とcoreとの間の連結のために使用した。core121についての318bpのNotI−SalI制限フラグメントを、pT7Blue2.HCV121(PCT公開番号第01/38360号に記載される)からゲル精製した。NS5tCore121をコードする3442bpのHindIII−SalIポリヌクレオチド全体を、HindIII−SalIベクターpSP72(Promega、Madison、WI)中にサブクローニングし、そして配列を確認した。その後、NS5tCore121ポリヌクレオチドを、pBS24.1酵母発現ベクター中のADH2/GAPDHプロモーターと連結した。
【0185】
S.cerevisiae株AD3(matα,leu2,trp1,ura3−52,prb−1122,pep4−3,prc1−407,cir°,trp+,:DM15[GAP/ADR])を、酵母発現プラスミドによって形質転換し、そして単一の形質転換体を、培地中のグルコースの枯渇後の発現について確認した。細胞ペレットを、ガラスビーズによって溶解した。可溶性画分および不溶性画分のアリコートを、SDSサンプル緩衝液+50mMのDTT中で煮沸し、4%〜20%トリス−グリシンゲルで電気泳動し、そしてクマ−シーブルーによって染色した。これらの組換えタンパク質を、ガラスビーズによる溶解後の不溶性画分から得たサンプルにおいて検出した。
【0186】
NS5tCore121の発現を、全長NS5配列(全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜3011)を含む構築物であるNS5Core121の発現と、25℃および30℃にて比較した。図4Aおよび図4Bに示されるように、NS5tを含む構築物の発現は、全長NS5配列を含む構築物の発現より多かった。
【0187】
(実施例2.NS3NS4NS5tポリヌクレオチドおよびNS3NS4NS5tポリペプチドならびにNS3NS4NS5tCoreポリヌクレオチドおよびNS3NS4NS5tCoreポリペプチドの生成)
以下の実施例のNS3は、全長HCV−1ポリタンパク質配列に対して番号付けされた1165位において通常見出されるセリンを置換したアラニンを有する、改変NS3分子を示す。
【0188】
NS3NS4(HCV−1に対して番号付けされた約アミノ酸1027〜1972)をコードするポリヌクレオチド(本明細書中で「NS34」とも称される)を、HCVから単離する。この分子のNS3部分を、得られる分子がNS3プロテアーゼ活性を欠くように、1165位に見出されるSer残基についてのコード配列をAlaについてのコード配列へ変異させることによって変異誘発させる(mutagenzy)。この構築物を、実施例1に記載されるNS5tCore121をコードするポリヌクレオチドと融合して、NS3NS4NS5tCore121を得る。あるいは、この分子をNS5tと融合して、NS3NS4NS5tを生成する。これらの構築物を、プラスミドベクター、ワクシニアウイルスベクター、およびアデノウイルスベクター中にクローニングする。さらに、これらの構築物を、組換え発現ベクター中に挿入し、そしてこのベクターを使用して、宿主細胞を形質転換し、NS3NS4NS5tCore121融合タンパク質およびNS3NS4NS5t融合タンパク質を産生する。
【0189】
プロテアーゼ酵素活性を、以下の通りに決定する。NS4Aペプチド(KKGSVVIVGRIVLSGKPAIIPKK)、および目的の融合タンパク質を、90μlの反応緩衝液(25mMのTris(pH7.5)、0.15MのNaCl、0.5mMのEDTA、10%のグリセロール、0.05n−ドデシルB−D−マルトシド、5mMのDTT)中に希釈し、そして室温で30分間混合させる。90μlの上記混合物を、マイクロタイタープレート(Costar、Inc.、Corning、NY)に添加し、そして10μlのHCV基質(AnaSpec、Inc.、San Jose CA)を添加する。このプレートを、混合し、そしてFluostarプレートリーダー上で読み取る。結果を1分間あたりの相対蛍光単位(RFU)として表す。
【0190】
(実施例3.E2NS3NS4NS5tポリヌクレオチドおよびE2NS3NS4NS5tポリペプチドならびにE2NS3NS4NS5tCoreポリヌクレオチドおよびE2NS3NS4NS5tCoreポリペプチドの生成)
以下の実施例のE2は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸384〜715を含むC末端切断E2分子を示す。切断E2分子をコードするポリヌクレオチドは、米国特許第6,121,020号および同第6,326,171号に記載される方法を使用して生成される。NS3NS4NS5tCore121またはNS3NS4NS5tをコードするポリヌクレオチドは、実施例2に記載されるように生成される。これらの構築物を融合して、E2NS3NS4NS5tCore121およびE2NS3NS4NS5tを得る。これらの構築物を、プラスミドベクター、ワクシニアウイルスベクター、およびアデノウイルスベクター中にクローニングする。さらに、これらの構築物を、組換え発現ベクター中に挿入し、そしてこのベクターを使用して宿主細胞を形質転換し、E2NS3NS4NS5tCore121融合タンパク質およびE2NS3NS4NS5t融合タンパク質を産生する。プロテアーゼ酵素活性は、上に記載されるように決定される。
【0191】
(実施例4.ワクチン接種された動物におけるHCV特異的CTLの初回刺激)
上に記載されるように生成されるHCV融合タンパク質(NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121およびE2NS3NS4NS5t)を使用して、HCV融合ISCOMを以下のように生成する。これらの融合ISCOM処方物を、所望の融合タンパク質と前に形成したISCOMATRIX(空のISCOM)とを混合することにより、融合タンパク質とアジュバントとの間の会合を最大限にするためにイオン性相互作用を利用して調製される。ISCOMATRIXは、本質的に、Coulterら、(1998)、Vaccine 16:1243に記載されるように調製される。
【0192】
Rhesus macaquesを、麻酔下において免疫化する。動物を、2つの群に分ける。第1の群を、0ヶ月目において2×10プラーク形成単位(pfu)(皮内に1×10および乱切法によって1×10)のrVVC/E1で感染させる。この群は、CTL初回刺激についてのポジティブコントロールとして機能する。第2の群由来の動物を、左大腿四頭筋における筋肉内(IM)注射によって、0ヶ月目、1ヶ月目、2ヶ月目および6ヶ月目に、上に記載されるようなISCOMに吸着された25〜100μgのHCV融合ポリペプチドを用いて免疫化する。細胞障害活性を、例えば、Paliardら、(2000)、AIDS Res.Hum.Retroviruses 16:273に記載されるような標準的な51Cr放出アッセイにおいてアッセイする。
【0193】
(実施例5.融合ポリヌクレオチドによる免疫化)
1つの免疫化プロトコールにおいて、動物を、NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121またはE2NS3NS4NS5tをコードする50〜250μgのプラスミドDNAを用い、前脛骨筋中への筋肉内注射によって免疫化する。NS5a(腹腔内)、NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121もしくはE2NS3NS4NS5tをコードする10pfuのワクシニアウイルス(VV)の追加免疫注射、または50〜250μgのプラスミドコントロール(筋肉内)の追加免疫注射を、6週間後に提供する。
【0194】
別の免疫化プロトコールにおいて、動物に、NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121またはE2NS3NS4NS5tをコードする1010個のアデノウイルス粒子で、前脛骨筋において筋肉内に注射する。10pfuのVV−NS5aの腹腔内追加免疫注射、またはNS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121もしくはE2NS3NS4NS5tをコードする1010個のアデノウイルス粒子の筋肉内追加免疫注射を、6週間後に提供する。
【0195】
(実施例6.HCV特異的CD8 T細胞の活性化)
51Cr放出アッセイ。)51Cr放出アッセイを使用して、HCV特異的T細胞のNS5aエピトープを表示する標的細胞を溶解する能力を測定する。脾臓細胞を、免疫化された動物からプールする。これらの細胞を、IL−2の存在下において、HCV−NS5a由来のCTLエピトープペプチドp214K9(2152−HEYPVGSQL−2160;配列番号1)によって、6日間インビトロで再刺激する。次いでこれらの脾臓細胞を、、クラスIのMHC分子を発現するが、クラスIIのMHC分子を発現しない、ペプチドによって感作された標的細胞(L929)に対する標準的な51Cr放出アッセイ(Weiss、(1980)、J.Biol.Chem.255:9912−9917に記載される)において、細胞障害活性についてアッセイする。エフェクター(T細胞)対標的(B細胞)の比60:1、20:1、および7:1を、試験する。特異的溶解の%を、各エフェクター対標的について計算する。
【0196】
(実施例7.IFN−γを発現するHCV特異的CD8 T細胞の活性化)
(インターフェロン−γ(IFN−γ)に対する細胞内染色。)IFN−γに対する細胞内染色を使用して、NS5aエピトープp214K9によるインビトロでの刺激後にIFN−γを分泌するCD8 T細胞を同定する。個々の免疫化された動物の脾臓細胞を、IL−2およびモネンシンの存在下において、p214K9または非特異的ペプチドのいずれかによって、6〜12時間インビトロで再刺激する。次いでこれらの細胞は、表面のCD8および細胞内のIFN−γについて染色し、そしてフローサイトメトリーによって分析する。次いでIFN−γについてもまたポジティブであるCD8 T細胞の%を、計算する。
【0197】
(実施例8.HCV−特異的CD4+T細胞の増殖)
(リンパ球増殖アッセイ。)プールした免疫化された動物由来の脾臓細胞を、磁性ビーズの使用によってCD8 T細胞を枯渇させ、そしてp222D、HCV−NS5a由来のNS5aエピトープペプチド(2224−AELIEANLLWRQEMG−2238;配列番号2)、または培地単独のいずれかを用いて3通りで培養する。72時間後、細胞を、1ウェルあたり1μ CiのH−チミジンによってパルスし、そして6〜8時間後に回収する。放射能の取り込みを、回収後に測定する。平均cpmを、計算する。
【0198】
(実施例9.融合DNAワクチン処方物のCTLを初回刺激する能力)
動物を、上記のNS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121またはE2NS3NS4NS5tをコードする10〜250μgのプラスミドDNA;NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121もしくはE2NS3NS4NS5tをコードするPLGに連結したDNA(以下を参照のこと);またはNS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121もしくはE2NS3NS4NS5tコードするDNAのいずれかをエレクトロポレーションを介して送達する(この送達技術については、例えば、国際公開第0045823号を参照のこと)ことによって、免疫化する。免疫化の後、6週間目に、NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121またはE2NS3NS4NS5tをコードするプラスミドDNAの追加免疫注射を行う。
【0199】
(PLGによって送達されるDNA。)ポリラクチド−コ−グリコリド(PLG)ポリマーを、Boehringer Ingelheim、U.S.A.から入手する。このPLGポリマーは、RG505であり、これは、50/50のコポリマーの比および65kDaの分子量(製造業者のデータ)を有する。吸着されたDNAを含むカチオン性微粒子を、本質的にSinghら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)、97:811−816に記載されるような改変溶媒エバポレーション処理を使用して調製する。簡潔には、これらの微粒子を、IKAホモジナイザーを高速で使用して、1mlのPBSを含む塩化メチレン中の、5%(w/v)ポリマー溶液(10mL)を乳化することによって調製する。次いで第一エマルションを、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)(0.5%(w/v))を含む50mlの蒸留水に添加する。これを、室温で12時間、6000rpmにて攪拌し、塩化メチレンを蒸発させて、w/o/w型エマルション形成をもたらす。得られた微粒子を、蒸留水中で、10,000gでの遠心分離によって2回洗浄し、そして凍結乾燥させる。調製、洗浄および収集の後、DNA構築物を、DNAの1mg/ml溶液中で100mgのカチオン性微粒子を4℃で6時間インキュベートすることによって微粒子上に吸着させる。次いでこれらの微粒子を、遠心分離によって分離し、ペレットをTE緩衝液によって洗浄し、微粒子を、凍結乾燥する。
【0200】
CTL活性およびIFN−γの発現を、上記の実施例に記載されるように、51Cr放出アッセイまたは細胞内染色によって測定する。
【0201】
(実施例10.免疫化経路および融合タンパク質についてコードするレプリコン粒子SINCR(DC+))
アルファウイルスレプリコン粒子(例えば、SINCR(DC+))を、Poloら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999)、96:4598−4603に記載されるように調製する。動物に、NS345tCoreについてコードする5×10IUのSINCR(DC+)レプリコン粒子を用い、上に記載されるように筋肉内(IM)注射するか、もしくは尾の基部(BoT)および肉球(FP)において皮下(S/C)注射するか、または2/3のDNAをIM投与を介して送達し、かつ1/3をBoT経路を介して送達する組み合わせで、注射する。これらの免疫化の後に、上に記載されるようなワクシニアウイルスの追加免疫注射を行う。IFN−γの発現を、上記の実施例に記載されるような細胞内染色によって測定する。
【0202】
(実施例11.アルファウイルスレプリコンの初回刺激、その後の種々の追加免疫レジメン)
アルファウイルスレプリコン粒子(例えば、SINCR(DC+))を、Poloら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999)、96:4598−4603に記載されるように調製する。動物を、SINCR(DC+)(上に記載されるような融合タンパク質をコードする1.5×10IUのレプリコン粒子)を用いた前脛骨筋への筋肉内注射によって初回刺激し、次いで6週間目においてNS5a、NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121またはE2NS3NS4NS5tについてコードする10〜100μgのプラスミドDNA;NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121またはE2NS3NS4NS5tをコードする1010アデノウイルス粒子;NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121もしくはE2NS3NS4NS5tをコードする1.5×10IUのSINCR(DC+)レプリコン粒子;またはNS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121もしくはE2NS3NS4NS5tをコードする10pfuのワクシニアウイルスのいずれかによる追加免疫を行う。IFN−γの発現を、上に記載されるような細胞内染色によって測定する。
【0203】
(実施例12.NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121またはE2NS3NS4NS5tを発現するアルファウイルス)
アルファウイルスレプリコン粒子(例えば、SINCR(DC+)およびSINCR(LP))を、Poloら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999)、96:4598−4603に記載されるように調製する。動物を、NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121もしくはE2NS3NS4NS5tをコードする1×10IU〜1×10IUのSINCR(DC+)レプリコンを用い、送達経路の組み合わせ(2/3 IMおよび1/3 S/C)を介して、およびS/C単独によって免疫化するか、またはNS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121もしくはE2NS3NS4NS5tをコードする1×10IU〜1×10IUのSINCR(LP)レプリコン粒子を用い、送達経路の組み合わせ(2/3 IMおよび1/3 S/C)およびS/C単独によって免疫化する。これらの免疫化の後、6週間目に、NS5a、NS3NS4NS5tCore121、NS3NS4NS5t、E2NS3NS4NS5tCore121またはE2NS3NS4NS5tをコードする10pfuのワクシニアウイルスの追加免疫注射を行う。IFN−γの発現を、実施例5に記載されるような細胞内染色によって測定する。
【0204】
したがって、C末端切断HCV NS5およびこれを含む融合ポリペプチドが、開示される。本発明の好ましい実施形態は、ある程度詳細に記載されているが、明らかな変更は特許請求の範囲に定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、理解される。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】図1は、HCVポリタンパク質の種々の領域を示す、HCVゲノムの図示である。
【図2】図2(配列番号3および配列番号4)は、代表的なネイティブの未改変NS3プロテアーゼドメインの、DNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図3】図3(配列番号5および配列番号6)は、N末端からNS3プロテアーゼドメインを欠失し、そしてC末端上にCoreのアミノ酸1〜121を含む代表的な改変融合タンパク質の、DNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。
【図4】図4Aおよび図4Bは、S.cerevisiae株AD3における、NS5tCore121(NS5のアミノ酸1973〜2990およびcoreのアミノ酸1〜121)とNS5Core121(全長NS5、NS5のアミノ酸1973〜3011およびcoreのアミノ酸1〜121)との発現レベルの比較を示す。図4Aは、25℃での発現レベルを示し、そして図4Bは、30℃での発現レベルを示す。レーン1、基準;レーン2、プラスミドのコントロール;レーン3、NS5tCore121をコードするプラスミド(クローン6);レーン4、NS5tCore121をコードするプラスミド(クローン7);レーン5、NS5Core121をコードするプラスミド(クローン8);レーン6、NS5Core121をコードするプラスミド(クローン9);レーン7、基準。
【図5】図5A〜図5E(配列番号7および配列番号8)は、coreポリペプチドに融合したNS5ポリペプチドのC末端を有するC末端切断NS5ポリペプチドを含む代表的な融合タンパク質のDNAおよび対応するアミノ酸配列を示す。特に、このC末端切断NS5ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸1〜121を含むcoreポリペプチドに融合した、HCV−1に対して番号付けされたHCVポリタンパク質のアミノ酸1973〜2990(Chooら、(1991)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C末端切断NS5ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、全長NS5aポリペプチドおよびNS5bポリペプチドのN末端部分を含む、C末端切断NS5ポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸2500とC末端との間の位置にて切断される、請求項1に記載のC末端切断NS5ポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸2900とC末端との間の位置にて切断される、請求項1に記載のC末端切断NS5ポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸2990の直後のアミノ酸に対応するアミノ酸にて切断される、請求項3に記載のC末端切断NS5ポリペプチド。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜2990に対応するアミノ酸配列からなる、請求項4に記載のC末端切断NS5ポリペプチド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のC末端切断NS5ポリペプチドおよびNS5領域以外のHCVポリタンパク質の領域に由来する少なくとも1種のポリペプチドを含む、免疫原性融合タンパク質。
【請求項7】
前記タンパク質が、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたHis−1083、Asp−1105および/またはSer−1165に対応するアミノ酸の置換を含む改変NS3ポリペプチドをさらに含むことによって、該改変NS3ポリペプチドがHCV融合タンパク質中に存在する場合にプロテアーゼ活性が阻害される、請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
前記改変NS3ポリペプチドが、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたSer−1165に対応するアミノ酸のアラニンへの置換を含む、請求項7に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
前記タンパク質が、改変NS3ポリペプチド、NS4ポリペプチド、および必要に応じてHCVcoreポリペプチドを含む、請求項6〜8のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項10】
前記coreポリペプチドが、C末端の切断を含む、請求項9に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
前記coreポリペプチドが、図3のアミノ酸1772位〜1892位に示されるアミノ酸の配列からなる、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
前記融合タンパク質が、E2ポリペプチドをさらに含む、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項11】
前記E2ポリペプチドが、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸384〜715に対応するアミノ酸配列からなるC末端切断E2ポリペプチドである、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
前記融合体中に存在する前記ポリペプチドの各々が、同じHCV単離物に由来する、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項13】
前記融合体中に存在する前記ポリペプチドの少なくとも1種が、前記C末端切断NS5ポリペプチドと異なる単離物に由来する、請求項6〜11のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項14】
アミノ末端からカルボキシ末端への方向に、本質的に、以下:
(a)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたSer−1165に対応するアミノ酸のアラニンへの置換を含むことによって、プロテアーゼ活性が阻害される、改変NS3ポリペプチド;
(b)NS4ポリペプチド;
(c)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜2990に対応するアミノ酸配列からなる、C末端切断NS5ポリペプチド;および
(d)必要に応じて、HCVcoreポリペプチド、
からなる、免疫原性融合タンパク質。
【請求項15】
前記融合タンパク質が、HCVcoreポリペプチドを含む、請求項14に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
前記coreポリペプチドが、C末端の切断を含む、請求項15に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
前記coreポリペプチドが、図3のアミノ酸1772位〜1892位に示されるアミノ酸の配列からなる、請求項16に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
アミノ末端からカルボキシ末端への方向に、本質的に、以下:
(a)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸384〜715に対応するアミノ酸配列からなるC末端切断E2ポリペプチド;
(b)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたSer−1165に対応するアミノ酸のアラニンへの置換を含むことによって、プロテアーゼ活性が阻害される、改変NS3ポリペプチド;
(c)NS4ポリペプチド;
(d)全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされたアミノ酸1973〜2990に対応するアミノ酸配列からなる、C末端切断NS5ポリペプチド;および
(e)必要に応じて、HCVcoreポリペプチド、
からなる、免疫原性融合タンパク質。
【請求項19】
前記融合タンパク質が、HCVcoreポリペプチドを含む、請求項18に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
前記coreポリペプチドが、C末端の切断を含む、請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
前記coreポリペプチドが、図3のアミノ酸1772位〜1892位に示されるアミノ酸の配列からなる、請求項20に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
請求項1〜5のいずれかに記載のC末端切断NS5ポリペプチドを、薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて含有する組成物。
【請求項23】
請求項6〜21のいずれかに記載の免疫原性融合タンパク質を、薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて含有する組成物。
【請求項24】
請求項22または請求項23のいずれかに記載の組成物であって、さらなるHCV免疫原性ポリペプチドを、さらに含有する、組成物。
【請求項25】
前記さらなるHCV免疫原性ポリペプチドは、E1E2複合体を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
脊椎動物被験体中の細胞性免疫応答を刺激する方法であって、請求項22〜25のいずれかに記載の組成物の治療有効量を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項27】
請求項22〜25のいずれかに記載の組成物の使用であって、脊椎動物被験体中の細胞性免疫応答を刺激する方法における、使用。
【請求項28】
請求項1〜5のいずれかに記載のC末端切断NS5ポリペプチドまたは請求項6〜21のいずれかに記載の免疫原性融合タンパク質の使用であって、脊椎動物被験体中の細胞性免疫応答を刺激するための医薬の製造における、使用。
【請求項29】
組成物を生成するための方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載のC末端切断NS5ポリペプチドまたは請求項6〜21のいずれかに記載の免疫原性融合タンパク質と、薬学的に受容可能な賦形剤とを組み合わせる工程を包含する、方法。
【請求項30】
請求項1〜5のいずれかに記載のC末端切断NS5ポリペプチドをコードするか、または請求項6〜21のいずれかに記載の免疫原性融合タンパク質をコードするコード配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項31】
組換えベクターであって、以下:
(a)請求項30に記載のポリヌクレオチド;および
(b)コード配列が宿主細胞中で転写されそして翻訳され得るための、該ポリヌクレオチドに作動可能に連結される少なくとも1つの制御エレメント、
を含む、ベクター。
【請求項32】
請求項31に記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
【請求項33】
免疫原性C末端切断NS5ポリペプチドまたは該ポリペプチドを含む免疫原性融合タンパク質を産生するための方法であって、該方法は、該タンパク質を産生するための条件下で請求項32に記載の宿主細胞の集団を培養する工程を包含する、方法。
【請求項34】
HCV NS5ポリペプチドの産生を増強するための方法であって、該方法は、該タンパク質を産生するための条件下で請求項32に記載の宿主細胞の集団を培養する工程を包含し、ここで該タンパク質は、同じ条件下で産生される全長NS5ポリペプチドの量と比較して、より多い量で産生される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【公表番号】特表2007−537757(P2007−537757A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527405(P2007−527405)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/017377
【国際公開番号】WO2005/113837
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506175828)カイロン コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】