説明

切替可能なキャパシタアレイ

切替可能なキャパシタアレイ(22)は、制御可能な静電容量を得るために、入力(30)と出力(32)との間に並列に配置された複数のセルを有する。切替式キャパシタは、容量型MEMSスイッチ(38)により実現される。低静電容量値セルは、直列接続された1より多いMEMSスイッチを含み、それによって、各々の低静電容量値MEMSスイッチにかかる電圧を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切替可能なキャパシタアレイに関し、特定的には、微小電気機械システム(Micro Electromechanical System:MEMS)を用いた切替可能なキャパシタアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開WO2006/054246号パンフレットは、たとえば、携帯電話の用途において、電力増幅段がアンテナ段とマッチングされるように、複数の段をマッチングするための制御マッチング段を含む装置について記載されている。この制御マッチング段は、切替式MEMS素子を含む。制御マッチング段は、MEMS素子によって切替えられるキャパシタを含む場合もある。このMEMS素子は、比較的高電圧で駆動される必要があるが、この高電圧での駆動は、特に素子の寿命の観点から問題となりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によれば、請求項1に記載の切替可能なキャパシタアレイが提供される。
無線周波数(Radio Frequency:RF)信号を切替えるために、MEMSキャパシタが用いられる、国際公開WO2006/054246号パンフレットにおいて開示されたような回路において、特に高出力電力かつ低容量の状態において、大きな信号がMEMSキャパシタに現れることを発明者は見出した。これらの状態においては、MEMS素子の自己作動(self-actuation)が起こりうる。
【0004】
発明者は、2つの異なった種類の自己作動が可能であることを発見した。
第1には、「自動プルイン(auto pull-in)」が発生するが、この場合には、たとえ制御信号がなくとも、MEMS素子がプルインされ素子が切替えられる。これは、切替られている信号のRMS(root mean square)電圧がプルイン電圧より大きいときに特に問題になる。第2には、非開放(non-release)が発生するが、この場合には、MEMS素子は開放できなくなる。これは、RMS電圧が素子のプルアウト電圧より大きいときに発生する。したがって、いずれの場合においても、信号が高出力の場合に問題となる。
【0005】
これらの問題を防ぐために、比較的高いプルアウト電圧およびプルイン電圧、すなわち比較的高い自己作動電圧を有するMEMS素子を用いることが必要となる。
【0006】
しかしながら、MEMS素子の他の課題としては、素子の寿命の問題がある。MEMS素子の寿命は、誘電体充電(dielectric charging)によって制限される。これは比較的低い作動電圧を用いることによって最小化することができる。
【0007】
したがって、長寿命化の要求に関しては、切替の信頼性との調整が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、各素子にかかるRF電圧降下を低減し、素子を通過するRF信号の影響を低減するために、キャパシタセルのうちの少なくともいくつかは、直列接続された複数のMEMS素子を含む。
【0009】
より好ましい構成では、切替可能なキャパシタアレイを駆動するための駆動回路がさらに備えられる。予め決められた所定の高出力状態が発生した場合に、そのような状況における自己作動の可能性を減少させるために、駆動回路は、回路の静電容量(キャパシタン
ス)を切替えるように構成される。
【0010】
本発明をよく理解するために、添付の図面を参照して実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるキャパシタアレイを示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態におけるキャパシタアレイを示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態におけるキャパシタアレイを示す図である。
【図4】図1〜3のいずれかに示されるキャパシタアレイを用いた回路図である。
【図5】キャパシタアレイを駆動するドライバを示す図である。
【図6】遷移期間を表わすタイミングチャートである。
【図7a】本発明の実施の形態において、MEMS素子を駆動するために用いられる駆動電圧を示す図である。
【図7b】本発明の実施の形態において、MEMS素子を駆動するために用いられる駆動電圧を示す図である。
【図8】駆動回路を制御するために実施の形態で用いられる信号のタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の形態のパッケージを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における容量補償回路を示す図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態における容量補償回路を示す図である。
【図12】本発明のさらに他の実施の形態における追加回路を示す図である。
【図13】本発明のさらに他の実施の形態を示す図である。
【0012】
図は、概略図であり、縮尺通りではない。また、異なる図において、同じまたは同様の構成要素については、同じ参照番号が付される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施の形態による、切替可能なキャパシタアレイを図1に示す。これは、たとえば携帯電話や類似の装置において、RF信号切替を行なう場合の使用を意図したものである。このアレイは、その他の用途においても使用可能である。
【0014】
キャパシタアレイ22についての実施の形態は、キャパシタのタイプとして2端子RF−MEMSスイッチ38を用いる。RF−MEMSスイッチは、活性化されると所定の静電容量が得られる。スイッチが非活性の状態では、静電容量も非活性状態でずっと小さくなる。
【0015】
アレイは、入力ノード30と出力ノード32との間に並列に設けられた、複数のキャパシタセル34を含む。各セル34は、切替えられると、所与の静電容量が得られるように構成される。本実施の形態においては、0.5pF、1pF、2pF、4pFおよび8pFの静電容量が与えられる5つのセルがあり、8pFのセルは並列に2つの分岐により構成される。したがって、各セルは、最小0.5pF単位で15.5pFまでを示す、デジタルキャパシタアレイ22の連続ビットに対応する静電容量を表わしている。たとえば、「10000」は8pFを表わし、「00011」は1.5pFを表わす。制御入力42は、各々のセルに対して1つずつ備えられ、最下位ビットから最上位ビットまでをそれぞれ表わす符合b0からb4が付される。制御入力42は、バイアス抵抗43を経由してMEMSスイッチ38に各々接続される。
【0016】
本アレイは、複数のRF−MEMSスイッチ38から成り、各々が直流阻止キャパシタ40と直列接続されて用いられる。
【0017】
本アレイでは、4pFのセルについては、単独のRF−MEMSスイッチ38が、直列接続された直流阻止キャパシタ40と伴に用いられる。8pFのセルは、共通に駆動される2つの4pFのセルが単純に並列に接続されたものである。しかしながら、より下位ビット(2pF、1pFおよび0.5pF)においては、各々のセル34は直列接続された2つのRF−MEMSスイッチ38を含み、各々のスイッチは直流阻止キャパシタと直列接続されている。
【0018】
2つのスイッチを直列接続して用いることにより、使用時には、入力および出力ノード30,32間のRF電圧の1/2が、下位ビットのRF−MEMSスイッチ38の各々に印加される。このことは、非開放の問題、すなわち、それぞれの制御入力42の制御電圧がRF−MEMS素子をオフとする電圧まで低下された場合に、キャパシタにかかるRF電圧がRF−MEMS素子をオン状態のままにするリスクを大幅に減少する。
【0019】
制御装置24(図4参照)は、駆動されるべき電圧を決定するために用いられる。これは、ドライバ44(図5参照)を制御する。しかし、本発明の目的のために、制御装置は追加機能を有することが注目される。具体的には、自己作動がとても発生しやすい状態において、最小静電容量値が用いられる。本実施の形態においては、不一致にも関らず、最下位ビットのセルをオンすることによって実現される。
【0020】
自己作動が発生しやすい状態は、具体的には、最大のRF電力が用いられた最高出力状態を含み、ここで表わされる電力は、モードおよび周波数帯域に依存する。制御装置24は、これらの状態の存在を検出するとともに、最下位ビットをオンとする。
【0021】
このようにして、最下位ビットのキャパシタが図らずもオンされるリスクが減少される。
【0022】
なお、図1において、回路はコモンバイアス入力68をさらに含むことが注目される。このバイアス入力68は、入力42とは反対側のRF−MEMSスイッチ38を、適切な直流電圧で駆動するために用いられる。以下、詳細を説明する。
【0023】
高出力時に、最下位ビットのセルをオンとする代わりとして、高出力時の最小静電容量を確保するために、高出力時にオンされる追加のキャパシタが設けられる。この手法では、最下位ビットが利用可能となるので、高出力時においても静電容量の微調整が可能なままであるという利点がある。この追加のキャパシタは、追加のセルとして考えることができる。追加キャパシタは、静電容量を有しているが、この静電容量は最下位ビットの静電容量と同じである必要はない。したがって、全てのセルにおいて、1:2:4:…2の関係が成立しなくてもよい。
【0024】
他の実施の形態を、図2を参照して説明する。図1における2端子の容量型RF−MEMSスイッチ38のかわりに、3端子の容量型RF−MEMSスイッチ38が用いられる。このようなスイッチは、国際公開WO2006/117709号パンフレットに開示されており、この特許文献で説明されているように、個別の直流阻止キャパシタ40は必要とされない。
【0025】
図2に示される構成においては、直列接続された2つの3端子RF−MEMSスイッチ38が、0.5pFおよび1pFのセルにおいて用いられており、単独の3端子RF−MEMSスイッチ38が、2pF、4pFおよび8pFのセルに用いられる。
【0026】
図1の構成のように、最下位ビットのセルに直列接続した複数のスイッチ38を用いることにより、素子にかかる電圧が減少し、これによって、非開放の問題を引き起こす、入
力および出力端子30,32の間を通過するRF電力信号の電圧のリスクが減少される。
【0027】
さらに、モードおよび周波数帯域の関数として決定される高出力時に、最下位ビットがオンとされる駆動方法も適用される。
【0028】
図2の構成には、さらになる利点がある。図2の構成においては、1pF、2pF、4pFおよび8pFのセルに使用されるキャパシタは、2pFのセルと同じデザインである。4pFのセルは2つの2pFのキャパシタを並列接続することにより得られる。また、8pFのセルは、4つの2pFのセルを並列接続することにより得られる。1pFのセルは、2つのキャパシタを直列接続して使用する。この単独デザインの使用は、1:2:4:8:16となる静電容量値の正確さ、特に同じデザインを使用するこれらの静電容量値の正確さを増加する。
【0029】
なお、3端子の容量型RF−MEMS素子には、さらに多くの有利な点がある。3端子型MEMS素子は、2つのキャパシタが直列接続されるように効果的に構成されているので、MEMS基板(plates)に印加する有効RF電圧は、与えられる電力レベルおよび静電容量値について、2の倍数だけ小さくなる。このことは、自動プルインおよび非開放の要求をさらに減少させる。これは、MEMSスイッチを、ずっと低い電圧で駆動でき、誘電体充電を減少させるとともに寿命を改善するように設計できることを意味している。
【0030】
図3は、その他のアプローチを示す図である。このアプローチでは、下位ビットのセル34は、2つのMEMS素子38と、1つの直流阻止キャパシタ40とを含む。したがって、この構成は、図1の構成のセルと同じように、直列接続された2つのキャパシタの各々の1/2の静電容量を有する。この構成は、チップエリアを節約し、図1の2つのバイアス抵抗43のうちの1つを不要とする。これにより、特に最下位ビットのみを使用する場合に、回路の損失を低下させることができる。
【0031】
図1、図2または図3に示すキャパシタアレイ22は、以下、図4〜図14を参照して説明するように、適応マッチング(adaptive matching)のために用いることができる。
【0032】
図4を参照して、携帯装置の一部の高レベルな機能ブロック図が示される。
携帯装置は、複数の出力段10を含み、各々の出力段10は、異なった携帯電話標準によって送受信できるように構成される。具体的には、第1の出力段12は、UMTS標準により送受信するように構成され、第2の出力段14は、GSM標準により送受信するように構成される。
【0033】
アンテナ切替部16は、出力段の間を切替えるための複数のFETスイッチ18を含む。FETスイッチ18は、たとえばGSM出力段において、送信と受信とを切替える必要がある場合に、送信と受信とを切替えるために用いられる。
【0034】
アンテナ切替部16は、制御されたインピーダンス段21を経由して、アンテナ20に接続される。制御されたインピーダンス段21により、以下で詳細を説明するように、切替可能な、可変インピーダンスが得られる。
【0035】
したがって、さまざまな出力段10が、制御されたインピーダンス段21およびアンテナ切替部16を経由して、アンテナ20と接続される。
【0036】
制御装置24は、制御されたインピーダンス段21を制御する。
制御されたインピーダンス段21は、上述の図1〜3の構成のいずれかによる複数のRF−MEMSスイッチセルを含む、切替式キャパシタアレイ22を含む。
【0037】
図5は、制御インピーダンス段21内のドライバ44の詳細を示した図である。ドライバは、シリコン基板上で実現され、多くのことが考慮されて設計される。特に、設計に必要となるシリコンの領域を減少させることが望まれる。
【0038】
特に、以下で述べるように、本実施の形態は、MEMS素子を高速で、かつ、スプリアス放出(spurious emission)を減少させる態様でオン/オフすることができる必要性を考慮して、誘電体充電を減少させるように、双方の極性で、および1つまたはより多くの特定の駆動信号で、複数のMEMS素子を駆動するドライバを提供する。
【0039】
ドライバは、切替式キャパシタアレイ22の制御入力42を駆動するために用いられる。ドライバ44は、信号入力46,48を含む。第1の信号入力46は、遷移期間信号TPを受信し、第2の信号入力48は、作動/保持信号を受信する。なお、遷移期間信号TPは、遷移期間の全ての事象を示し、作動/保持信号は高電圧出力(60V)と低電圧出力(30V)とを選択するために用いられる。
【0040】
ドライバは、また、さらなる信号入力、すなわち、電圧選択入力49およびブリッジ入力47を含む。これらの重要性は以下で説明する。
【0041】
ドライバ44は、60Vの出力を供給するためにキャパシタ52と協同するチャージポンプ50を含む。
【0042】
制御スイッチ54は、このキャパシタとノード56とを選択可能に接続するために用いられる。このノード56は、並列に設けられ、かつ各々がプッシュプル回路58を含む複数のHV駆動回路のHigh側に順に接続される。各プッシュプル回路のLow側は接地される。
【0043】
複数のHV駆動回路70は、複数のMEMSスイッチを駆動するために並列に設けられる。各HV駆動回路70は、プッシュプル回路58を駆動するためのスイッチ制御部60を含む。各回路は、ノード56と接地との間に並列に接続される。(図示されているような)第1のHV駆動回路70は、第1のビットのキャパシタを駆動するための第1の制御入力42(b0)に接続される。スイッチ制御部60およびプッシュプル回路58を含む他の4つのHV駆動回路70は、その他の制御入力(b1〜b4)を駆動するために設けられる。さらなるHV駆動回路70は、後述するように、フルブリッジのためのコモンバイアス入力68を駆動するために用いられる。また、他のさらなるHV駆動回路70は、後述するバンド切替入力69(図10参照)を駆動するために用いられる。したがって、単独の駆動回路44は、切替式MEMSの全てを駆動するために用いられる。
【0044】
電圧制御は、ノード56と、第1の信号入力46に接続される高電圧検出部62との接続によって行なわれる。第1の信号入力46は、30Vモードおよび60Vモードを切替えるTP信号を受信する。高電圧検出部62のLow出力およびHigh出力は、出力がノード56に接続された低電圧制御部64と、ANDゲート回路67を経由してポンプ50を駆動する発信器66とに接続される。ANDゲート回路67は、TP信号がHighのときのみポンプを駆動するための第1の信号入力46と接続される。低電圧制御部64は、一対のチャージポンプでキャパシタを駆動するウインドウ比較器により実現される。チャージポンプのうちの1つは、電圧が低ウインドウ値(たとえば、29V)より低くなるとキャパシタを正に充電し、もう1つのチャージポンプは、電圧が高ウインドウ値(たとえば、31V)より高くなるとキャパシタを放電するように構成される。電圧を制御するために、フリップフロップ回路を用いてもよい。
【0045】
チャージポンプ50、キャパシタ52、高電圧検出部62、および発信器66は、60Vを発生するための高電圧(60V)制御ループを形成する。そして、高電圧検出部62および30V制御部64は、30Vを発生するための低電圧(30V)制御ループを形成する。
【0046】
なお、キャパシタ52は、高電圧ループには設けられるが、低電圧ループには設けられない。これは、高電圧はMEMSキャパシタスイッチを作動(スイッチオン)させるために用いられ、低電圧はMEMSキャパシタスイッチのオン状態を保持するために用いられるためである。したがって、キャパシタ52は、極端に大きなチャージポンプ50を使用することなく、高速にスイッチを切替えるために、適切な充電が行なわれる必要がある。
【0047】
図6は、UMTS段12における、レベル間で50μsの遷移期間を示すW−CDMA信号を示す図である。遷移期間信号TPは、この50μsの遷移期間中はHighとなる。なお、GSM/EDGE信号が用いられる場合は、遷移期間信号TPは、アイドルスロット中にHighとなることに注目すべきである。
【0048】
ドライバ44によって行なわれるいくつかの駆動パターンを図7に示す。
図7aに示す駆動パターンは、遷移期間中のみMEMSスイッチが切替えられるように構成される。第1の所定期間において、遷移期間の開始の時点でより高い電圧(例においては60V)でスイッチが駆動される。遷移期間はより長い時間を任意で選択してもよい。その後、駆動電圧が、MEMSスイッチをスイッチングせず保持する電圧である30Vに低下する。この所定期間は、たとえば50〜500μsとすることができる。
【0049】
この所定期間経過後、第2の所定期間に渡って、より低い電圧に低下されてもよい。第2の所定期間は、たとえば150〜500μsとすることができる。第1および第2の所定期間は、同じとする必要はない。実際、第2の所定期間は制御される必要はないが、単純に、低電圧制御部64が高電圧から低電圧へ電圧を低下する時間としてもよい。過渡影響を避けるために、高電圧から低電圧への変化は滑らかにすべきである。この理由から、電流源を放電することが好ましい。
【0050】
本構成のさらなる特徴は、MEMS素子の整定時間を50μs近くにできることである。これが遷移期間の長さとなるので、MEMS素子は遷移期間の開始時、好ましくは最初の5μsにおいてオンされるべきである。
【0051】
バッファキャパシタ52を用いずにこれを実施するためには、半導体基板上に必要なチャージポンプの領域は非常に大きくなる。その代わりに、1〜2nFのバッファキャパシタ52を使用することによって、遷移期間の終了時までオン状態が無理なく安定的に達成できるために、200pFのMEMS素子を5μsで充電することができる。
【0052】
なお図5に示されるように、高電圧ループとは対照的に、低電圧の30Vでノード56を保持するための同様のバッファキャパシタは設けられない。この電圧への急速な変更は必要ないからである。このことは、駆動回路44によって占められるシリコンの領域を減少させる。それに代わって、低電圧制御ループはほぼ正しい電圧を保持する。このことは、電圧が低すぎるときには電流源をオンし、電圧が高すぎるときには電流シンクをオンするウインドウ比較器によって達成される。漏洩電流はおよそ5nA(典型的には10nA未満)に過ぎないので、電流源は大電流を生成することができる必要はない。
【0053】
なお、電流シンクを通って放電される電流量は、高電圧が低電圧まで低下されるまでの時間を設定する。これが非常に短い場合には、個別選択放電を行なうことができる。
【0054】
なお、電圧が高電圧で保持されている時間、および低電圧に変化するための時間は、いずれも遷移期間よりもずっと長い。たとえば、MEMS素子は50μs後には安定しているが、50μsの後にスイッチAHが低電圧を供給する必要は特になく、スイッチングはたとえば200μs後に実行される。高電圧の開始のタイミングが重要であって、終了のタイミングは重要ではない。
【0055】
この30Vの保持用低電圧を使用することで、このパターンを使用しない場合と比べて、MEMSスイッチの寿命が増加する。
【0056】
なお、ここで述べたタイプのMEMSスイッチは、素子の両側に同じ電圧が印加されることによってオフにされ得る。すなわち、図2の構成において、同じ電圧(接地電圧、または高/低電圧)を、コモンバイアス端子68とそれぞれの制御入力42とに供給する。同様に、これらのMEMSスイッチをオンさせるには、高電圧を、一方のコモンバイアス端子に、接地を他方のコモンバイアス端子とそれぞれの制御入力42に印加する。
【0057】
図8は、図7の結果を得るために、図5に記載のドライバに与えられる信号を示す図である。入力45に与えられるTP信号は、遷移期間であることを示す。そして、入力48に与えられるAH信号は、ドライバ44が、AHがHighのときには高電圧を生成し、AHがLowのときには低電圧を生成することを、効果的に示している。
【0058】
第1に、AH、TPおよびVS信号が、どのように高電圧または低電圧を供給するのかを考える。
【0059】
入力49に与えられるVS信号は、単に、高電圧の電圧値(たとえば、60V)、および、本実施の形態においては高電圧の半分である低電圧の電圧値を決定する。
【0060】
図8の最初のTPパルスは、AH信号との組み合わせにより、選択されたプッシュプル回路58をオンとするとともに、図7aおよび図7bに示されるように、選択可能なキャパシタアレイ22の、選択された制御入力42およびコモンバイアス入力68を駆動する。
【0061】
なお、TP信号がLowになった後(遷移期間の終了後)であって、AHがまだHighの状態では、低電圧制御ループは、高電圧の60Vを保持するように機能する。AHがLowとなったときのみ、例においては遷移期間開始から200μs後に、HV検出回路62が低電圧を検出するように動作し、そして低電圧制御部64がノード56の電圧を低電圧に制御するように切替えられる。
【0062】
このことは、スイッチングが行なわれない期間中に、キャパシタ52を再充電するために用いられる。たとえば、TPは0.005秒毎に(すなわち、周波数200Hzで)Highとなり、キャパシタ52が再充電されるとともに、高い電圧で充電された状態が維持される。AHは、MEMS素子を切替えるために、0.1秒毎にしかHighにならない。
【0063】
TPが再びLowとなったときには、スイッチ71が閉じられ、HV検出回路62および低電圧制御器64の低電圧制御ループが、再びノード56を低電圧で駆動する。なお、このループにおいてキャパシタが30Vを保持することを防止することによって、キャパシタ52の充電動作期間中に、キャパシタを切離すための追加のスイッチは不要となる。
【0064】
第2に、ブリッジ信号BRの影響について考える。図7aの駆動パターンを実現するために、ブリッジ信号BRがブリッジ入力47に与えられ、遷移期間の開始時、すなわち、
実質的にAHおよびTP信号と同じタイミングで切替えられる。図8に示されるように、ブリッジ信号BRはLowからHigh,またはHighからLowに切替えられる。
【0065】
オンしているMEMS素子の制御入力42が接地状態に保持され、かつコモンバイアス68がドライバ44によって生成された駆動電圧である状態を開始ポイントとする。駆動電圧は、サイクルのこのポイントにおいては低電圧30Vである。オフしているMEMS素子は、制御入力およびコモンバイアス入力とも同じ電圧であり、サイクルのこのポイントにおいては低電圧30Vである。
【0066】
BR信号の切替後、コモンバイアス68は接地状態が保持され、オンとなっている素子の制御入力はドライバ44によって生成された駆動電圧に接続される。この駆動電圧は、AH信号の同時変化によって、高電圧60Vとなる。この高電圧は200μs後に低下し始め、図示される実施の形態においては、さらに200μs経過後に低電圧30Vに到達する。
【0067】
オフになっているMEMS素子は、制御入力およびバイアス入力とも同じ電圧であり、サイクルのこのポイントにおいては接地電圧の0Vである。
【0068】
次のスイッチング、すなわち次の遷移期間の開始においては、AH、BRおよびTPは、再び同時に切り替えられる。コモンバイアス68は、高電圧60Vに保持されており、オンしている素子の制御入力は接地状態である。
【0069】
オフになっているMEMS素子は、制御入力およびバイアス入力とも同じ電圧であり、サイクルのこのポイントにおいては高電圧60Vである。
【0070】
この高電圧は200μs後に低下し始め、図示される実施の形態においては、さらに200μs経過後に低電圧30Vに到達する。これにより開始ポイントに戻る。
【0071】
したがって、上述のような回路を使用することで、サイクル毎に電圧の極性が反転し、これによって素子の寿命が増加する。
【0072】
さらに、図8において、制御入力についても、各遷移期間の開始においてオンに保持されているMEMS素子を変化させるスイッチAH、BRおよびTPと同じタイミングで切替えることができる。
【0073】
なお、制御入力42およびコモンバイアス入力68の識別は、MEMS素子のタイプによって決まる。2端子素子の場合は、これらの2つの入力がそのまま2つの端子に対応する。3端子素子の場合は、中央の入力が制御入力であり、残りの両端子をコモンバイアス入力68として使用することができる。
【0074】
上記の説明では、MEMSスイッチがオンに切替えられる場合について述べた。MEMSスイッチは、サイクル中の同じポイント、すなわち遷移期間の開始のとき(たとえば、この期間の最初の5μsの間)に、適当な電圧で駆動されることによってオフに切替えられる。オフ状態においては誘電体充電がなされないので、素子にかかる電圧を0Vに切替え、そして、その状態で電圧を保持すればよい。
【0075】
切替式キャパシタアレイを遷移期間中に限ってオフおよびオンに切替えることによって、高電圧過渡現象による影響が大幅に減少される。そうでなければ、MEMSスイッチが切替えられるときに発生する過渡現象は、容易にスプリアス放出を起こしうる。
【0076】
スプリアス放出を引き起こすその他の影響としては、リプルを生成する発信器66の高電圧クロック出力の影響がある。このリプルはRF搬送波(キャリア)に混合されてスプリアス放出の原因となり得る。
【0077】
本実施の形態においては、チャージポンプ50を駆動する発信器66は、遷移期間中にのみ切替えられる(すなわち、オンからオフ、またはその逆)。遷移期間中にのみチャージポンプを活性化することによって、チャージポンプからのスプリアス放出を最小限に抑えることができる。具体的には、ポンプを駆動する発信器66は、TP信号がHighのときのみ活性化される。遷移期間の残りの期間は、キャパシタ52は60V一定を維持し、クロック信号は、遷移期間中以外は作動されない。なお、クロック信号が、たとえば200μsのフルタイムより短い時間だけ活性化されると、自身で過渡現象を引き起こすような電圧の突然の変化を防止するために、キャパシタ52は、その200μs間は60Vを供給し、それに引き続く次の200μsでは、電圧が60Vから30Vに低下される。
【0078】
本実施の形態のさらなる有利な効果は、本実施の形態を用いなければ、切替式キャパシタアレイ22を切替えることによる、適応中の伝達関数の変化が、出力信号の歪を引き起こしうるということである。
【0079】
したがって、本実施の形態では、クロックからのスプリアス放出を減少させるために、遷移期間中のみクロックを作動させること、および、作動バイアス電圧のリプルを減少させ、それによってRF搬送波に混合されるリプルからのスプリアス放出を減少させるために、より長い期間高電圧でMEMS素子を駆動することを組み合わせて実行する。
【0080】
さらに、MEMS素子が作動された状態を保持するための低駆動電圧(30V)を供給することにより、MEMS素子の寿命を増加させる。
【0081】
上記の実施の形態においては、高電圧を60Vとし、低電圧を30Vとして説明した。しかし、この電圧選択は特定のMEMS素子を使用した場合に基づいており、この選択は変更してもよい。
【0082】
MEMS素子は、一般的に多少のヒステリシスを有しており、スイッチを活性化するために必要な電圧であるプルイン電圧と、スイッチを非活性化するために必要な低い電圧であるプルアウト電圧とがある。ドライバはプルイン電圧よりも十分に高い電圧、およびプルイン電圧とプルアウト電圧との間の低い電圧を生成する必要がある。
【0083】
なお、駆動回路44は、高電圧を特定する電圧入力を供給するための電圧選択入力49を有する。好都合なことに、この電圧は比例的な電圧(scaled voltage)であり、たとえば、60V出力用として電圧選択入力49に2.8Vの電圧が供給され、30V出力用として1.4Vが入力される。このようにして、駆動回路は単にこの電圧を調整することによって、異なる電圧を生成することができる。しかしながら、この入力は任意であって、製造装置(production device)においては、この電圧選択入力49は省略してもよい。
【0084】
切替式キャパシタアレイ22のRF−MEMSスイッチ38は密閉される。これは、典型的には、図9に示されるように、共通基板84上をキャップ82で覆い、密閉リングとして機能するはんだリングを用いて密閉することによって実現される。
【0085】
バイアス抵抗43およびMEMSスイッチ38(図2参照)は、共通基板84上で集積される。また、検出インダクタも同様に集積してもよい。
【0086】
これらすべては、密閉用はんだリング86と交差する配線の数を減少させ、素子の性能
に対するはんだリング86の影響を最小化する。
【0087】
入力30および出力32は、自己インダクタンスを最小化するために近接して配置される。さらに、上位ビットにおける最大キャパシタについても、自己インダクタンスを最小化するために、入力30および出力32に近接して配置される。
【0088】
任意的に、回路は、はんだリング86により構成された接地に対する大きな静電容量に対処するための追加要素を含んでもよい。なお、これは、0.3〜0.5pFのオーダであるので、最下位ビットと同程度である。一般的に、回路は大きく異なった周波数で動作することが必要とされる場合があり、はんだリングの接地に対する静電容量を補償するためのどのようなマッチングも、いずれの周波数帯域でも機能する必要がある。そのために、回路は、切替式キャパシタアレイ22(図3参照)の端子69へのバンド信号入力に基づいて切替えられる要素を用いてもよい。
【0089】
1つの手法としては、切替キャパシタと直列にインダクタを用いることが可能であるが、この場合、たとえば、1.5mm2くらいの非常に広い領域を有する切替式キャパシタのような、大きなRF−MEMSキャパシタスイッチが必要である。さらに、大きなRF−MEMSキャパシタスイッチは、動作の高帯域に不適切に近接した自己共振周波数を有する。
【0090】
したがって、好ましい実施の形態は、不要な寄生周波数(parasitics)を共振により除去するために、切替可能な並列LC回路を用いる。図10は、2つの切替式LC補償回路90を備えた構成例を示す図であり、一方は出力ノード32と接地間に配置され、他方は入力信号経路(input signal chain)と接地間に配置される。
【0091】
複数の周波数帯域におけるインピーダンス補償範囲を拡大するために、切替可能なインピーダンスを得るためのマルチスイッチを用いた切替式並列LC配列92が備えられる。
【0092】
図11には、図8の切替式並列LC配列92を、入力信号経路にインダクタとキャパシタを並列接続した非切替式並列LC配列94に置き換えた、他の構成例が示される。非切替式並列LC配列94は、低い帯域ではインダクタとして動作し、高い帯域ではキャパシタとして動作するように、低い帯域および高い帯域の間で自己共振を起こすように構成される。これによって、図10に示されるLC配列92に用いられる複数のスイッチを追加することなく、低い帯域および高い帯域での両方の動作が可能となる。
【0093】
さらに他の実施の形態の概略図を図12に示す。明確にするために、全素子のうちのいくつかの構成要素は省略されている。省略された構成要素は前述の実施の形態と同じである。
【0094】
この実施の形態においては、スイッチングの過渡現象の影響を減少させるために、追加のフィルタ機能が備えられる。
【0095】
第1の追加フィルタは、キャパシタ52とプッシュプル回路58との間の抵抗71によって構成される。このフィルタは、キャパシタ52と協同することにより、プッシュプル回路がオンされたときに、バイアスパルスの傾きを減少させる。
【0096】
第2には、実施の形態においてRCフィルタとして示されているような、直列ローパスフィルタ72が、プッシュプル回路58と切替式キャパシタアレイ22との間に設けられる。
【0097】
第3には、プッシュプルアレイのトランジスタについて、その大きさを小さくして、トランジスタの抵抗を増加させる。これもまた、ローパスフィルタの効果を有する。
【0098】
第4には、過渡現象を減少させるために、RF経路に沿って、接地されたシャントインダクタ74,76が設けられる。これはまた、アンテナ20と駆動回路のインピーダンスを適合させるための、インピーダンスマッチングに不可欠な経路となる。さらに、アンテナ20と切替式キャパシタアレイ22との間のシャントインダクタ74は、アンテナ20から切替式キャパシタアレイ22およびドライバ回路に戻ってくる、静電放電現象の伝達を減少させる。これによって、これらの回路要素のこの点における要件を緩和できる。
【0099】
第5には、アンテナスイッチ16と切替式キャパシタアレイ22との間に、直流阻止キャパシタ80と組み合わされて接地されたシャント抵抗78によって、ハイパスフィルタが形成される。
【0100】
これらの追加のフィルタ技術の一部またはすべてを用いることによって、ネットワークを伝播する過渡現象の原因となる高電圧スイッチングの影響を減少することができる。
【0101】
これは、およそ2.5Vの電圧で切替えできるp型高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)によって簡便に実現されるアンテナスイッチ16を用いた場合の特定の問題点であるが、切替式キャパシタアレイ22のMEMSキャパシタを切替えるための60V切替信号は、これらHEMTと容易に干渉し、スプリアス効果の原因となり得る。
【0102】
図12の実施の形態においては、抵抗71によるローパスフィルタ、ローパスフィルタ72およびプッシュプル回路58の高抵抗トランジスタによって、バイアスパルスの傾きが低下させられる。RF信号ラインにハイパスフィルタを備えることにより、更なる改善を行なうことができる。
【0103】
MEMS素子を駆動するために、30Vや60Vのような固定の高電圧および低電圧を用いる必要はないが、その代替として、具体的に決められた電圧を用いることができ、同じ電圧を各素子に並列に用いてもよいし、または各素子ごとに異なった電圧を用いてもよい。
【0104】
上述の実施の形態においては、高電圧(60V)は、電圧選択入力49における入力であり、電圧選択入力49は正しい電圧を選択する。
【0105】
さらに他の実施の形態においては、ドライバは、図13に示されるようにスイッチの静電容量を測定しながらMEMSスイッチに印加される電圧を徐々に増加する、特別な較正(キャリブレーション)モードを有する。これには、制御装置24(図2参照)によって駆動される電圧選択入力49、および静電容量測定部80が用いられる。スイッチが切替えられ、静電容量が増加する電圧が測定される。その後、スイッチがオフするまで、電圧を徐々に低下する。そして、スイッチが切替えられる電圧が高電圧として用いられ、スイッチがオフされる電圧よりも少し高い電圧が低電圧として用いられる。
【0106】
特別な較正モードは、起動時、あるいは、その代替としてまたはそれに追加して特定の時間間隔で、あるいは、ある使用量経過後に実行される。
【0107】
なお、上述の実施の形態はすべてを網羅したものではなく、この分野の技術に精通した当業者であれば、必要とされる他の要素や構成を用いることができるであろう。本実施の形態または回路図の説明において、特定の要素を特定の機能のために使用することを提言
している場合であっても、この分野の技術に精通した当業者であれば、他の代替要素が使用可能であることに気づくであろう。
【0108】
図1〜3の切替可能なキャパシタアレイは、携帯電話に関する特定の用途において上記のように説明したが、上述した切替可能なキャパシタアレイは、その他の負荷(load-line)に対して適用される用途、およびその他の構成可能なRFネットワークにおいて使用してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切替可能なキャパシタアレイ(22)であって、
入力(30)と出力(32)との間に並列接続された複数のキャパシタセル(34)を備え、
各前記キャパシタセルは、
前記キャパシタセルを切替えるための少なくとも1つのMEMSスイッチ(38)と、
前記または各MEMSスイッチを切替えるための制御信号を受けるための少なくとも1つの制御入力とを含み、
各前記セル(34)は、セルが活性化されたときのセルの静電容量値であるそれぞれの静電容量値を有し、
前記静電容量値は、少なくとも1つのセルが低静電容量値を有し、かつ少なくとも1つのセルが高容量値を有するように変化し、
低静電容量値の各セルは、予め決められた値よりも低い静電容量値を有し、
高静電容量値の各セルは、前記予め決められた値よりも高い静電容量値を有し、
前記または各低静電容量値のキャパシタセル(34)は、
直列接続された少なくとも2つのMEMSスイッチを含む、切替可能なキャパシタアレイ。
【請求項2】
最低値から最高値まで静電容量値が増加する複数のキャパシタセル(34)を含み、
前記予め決められた値までの静電容量値の各キャパシタセルは、直列接続された2つのMEMSスイッチ(38)を使用し、
前記予め決められた値より大きい静電容量値の各キャパシタセルは、単独のMEMSスイッチ(38)を使用する、請求項1に記載の切替可能なキャパシタアレイ。
【請求項3】
最低静電容量値から最高静電容量値までの比が、実質的に1:2:…:2m−1となるm個のキャパシタセル(34)を含む、先行するいずれかの請求項に記載の切替可能なキャパシタアレイ。
【請求項4】
各前記MEMSスイッチ(38)は、3端子容量型RF−MEMSスイッチである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の切替可能なキャパシタアレイ。
【請求項5】
各前記MEMSスイッチ(38)は、2端子容量型RF−MEMSスイッチである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の切替可能なキャパシタアレイ。
【請求項6】
先行するいずれかの請求項に記載の切替可能なキャパシタアレイ(22)と、
前記キャパシタセル(38)の前記制御入力に接続され、可変容量を選択するために前記キャパシタセルを制御するように構成されたドライバ(44)とを含む、可変インピーダンス回路。
【請求項7】
前記ドライバ(44)は、前記切替可能なキャパシタアレイ(22)の前記入力(30)および前記出力(32)の間を通過する信号の所定の高出力状態であることを決定するとともに、前記所定の高出力状態であることが決定されたときには入出力間の所定のキャパシタを切替える、請求項6に記載の可変インピーダンス回路。
【請求項8】
前記所定の高出力状態は、RF出力があるレベル以上であり、
前記レベルは、使用されるモードおよび/または周波数帯域の関数である、請求項7に記載の可変インピーダンス回路。
【請求項9】
前記所定のキャパシタは、前記所定の高出力状態が決定されたときにオンに切替えられ
る最低静電容量値のセル(34)である、請求項7または8に記載の可変インピーダンス回路。
【請求項10】
切替式キャパシタアレイ(22)の作動方法であって、
前記切替式キャパシタアレイは、
入力(30)と出力(32)の間に並列接続された、異なる容量の複数のキャパシタセル(34)を含み、
各前記キャパシタセルは、
それぞれの静電容量値と、
前記キャパシタセルを切替えるための、少なくとも1つのMEMSスイッチとを含み、
低静電容量の前記キャパシタセルのうちの少なくとも1つは、直列接続された少なくとも2つのMEMSスイッチを有し、
前記作動方法は、
前記切替可能なキャパシタアレイ(22)の前記入力(30)および前記出力(32)の間を通過する信号の所定の高出力状態を決定するステップと、
前記所定の高出力状態が決定されたときには入出力間の所定のキャパシタ(34)を切替えるステップとを備える、切替式キャパシタアレイの作動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−517354(P2010−517354A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546036(P2009−546036)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050122
【国際公開番号】WO2008/087583
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【氏名又は名称原語表記】NXP B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 60, NL−5656 AG Eindhoven, Netherlands
【Fターム(参考)】