切開部及び補助部を組み合わせた装置
【課題】ランセットで切開することに関連した用品を運ぶという不便さ及び面倒を最小にする。
【解決手段】切開部及び補助部を組み合わせた装置は切開装置を有しており、この切開装置には、切開補助装置が取り付けられている。切開補助装置は、例えば、切開と関連する又は無関係な用品を安全かつ取り出し可能に入れるコンパートメント、文書化に役立つタイマー若しくは個人用デジタル式補助装置、又は、対象部位を照明するための照明装置であることがある。切開補助装置は、恒久的に又は取り外し可能に切開装置に取り付けることができる。
【解決手段】切開部及び補助部を組み合わせた装置は切開装置を有しており、この切開装置には、切開補助装置が取り付けられている。切開補助装置は、例えば、切開と関連する又は無関係な用品を安全かつ取り出し可能に入れるコンパートメント、文書化に役立つタイマー若しくは個人用デジタル式補助装置、又は、対象部位を照明するための照明装置であることがある。切開補助装置は、恒久的に又は取り外し可能に切開装置に取り付けることができる。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
1.発明の分野
本発明は、概して、医療用装置に関するものであり、特に切開装置に関するものである。
【0002】
2.関連技術の説明
従来の切開装置は、一般的に、硬質のハウジングと、種々の動作機構と、ランセットとを有しており、このランセットを込めて、切開装置の一方の端部から短い時間だけ突出するように発射することができる。例えば、従来の切開装置にはランセットが硬質のハウジングに取り付けられており、そのランセットがその硬質のハウジングの縦軸に沿って移動できるものがある。通常、ランセットはばね付勢されていて、ばねを解放することによって発射され、対象部位を(例えば皮膚組織の対象部位を)突き刺す(つまり、「切開する」)。これで、体液のサンプル(例えば全血サンプル)を突き刺した対象部位から収集及び分析のために絞り出すことができる。従来の切開装置は、モリタ(Morita)の米国特許第5,730,753号、テイラー(Taylor)らの米国特許第6,045,567号、ダグラス(Douglas)らの米国特許第6,071,250号、シュラーガー(Schraga)の米国特許第6,156,051号及びパーセル(Purcell)らの米国特許第6,607,543号に開示されている。これら各特許の全文は、参照により本明細書に組み入れる。
【0003】
従来の切開装置では、通常、ユーザが切開装置を作動可能状態にし、切開装置を対象部位に押し当て、そして次にボタン又は他のスイッチを押して、手動で切開装置を動作させ、装置内のランセットが対象部位に向けて発射される(「撃つ」ともいう)ようにする必要がある。次にランセットが対象部位を突き刺し(つまり、切開し)、これにより体液のサンプルを絞り出すための開口部を作る。
【0004】
切開装置の利用は、不便で面倒なことがある。これは、持ち運ばなければならない切開関連用品(例えばランセット、試験片、アルコール綿棒、及び調合薬)が多い上に、切開装置を用いて得られた体液サンプルについて行った分析の結果を文書化する必要があるからである。
【0005】
したがって、この分野で未だに必要とされているのは、切開関連用品を運ぶという不便及び面倒を最小にする切開装置である。さらに、文書化という不便を軽減する切開装置も望まれている。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置は、切開関連用品を持ち運ぶことの不便及び面倒を最小にする。さらに、本発明の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置は、文書化という不便を軽減する。
【0007】
本発明の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置は、切開装置を有し、この切開装置には切開補助装置が付いている。切開補助装置は、例えば、切開と関連する又は関連しない用品を安全かつ取り出し可能に入れるコンパートメント(compartment)、文書化に役立つタイマーすなわち個人用デジタル式補助装置、対象部位を照明するための照明装置、又はこれらの組合せであることがある。切開補助装置は、恒久的に又は取り外し可能に切開装置に取り付けることができる。切開補助装置を取り付けたり、取り外したりすれば、切開部及び補助部を組み合わせた装置が、大きさの異なる手に人間工学的によりよく合うように、それぞれ長くなったり、短くなったりする。
【0008】
本発明の原理を利用した、例示的な実施例を記載した以下の詳細な説明と、添付の図面とを参照することにより、本発明の特徴及び利点をよりよく理解することができるであろう。
【0009】
〔発明の詳細な説明〕
図1、2、3、4A、4B、5A、5B及び6は、本発明のある実施形態による小型切開装置(compact lancing device)100の種々の図である。小型切開装置100には、ハウジング102、エンドキャップ104、深さ調整機構106、作動準備機構(arming mechanism)108、トリガー機構110、及び発射機構112がある。
【0010】
以下に詳述するように、発射機構112、作動準備機構108、及びトリガー機構110は、対象部位(例えば、ユーザの皮膚における対象部位)を、小型切開装置100に保持されているランセット(例えばランセット針Nを有するランセットL)で切開できるように動作可能に接続されている。この点に関し、発射装置112は、ランセットLを発射して、ランセット針Nが対象部位を切開するように構成されており、作動準備機構108は、小型切開装置100で撃つ前に(つまり、ランセットLを発射する前に)切開装置100の作動準備をするように構成されており、トリガー機構110は、小型切開装置100の発射を始動させるように構成されている。さらに、深さ調整機構106は、ユーザが対象部位へ針を突き刺す深さを選択する(つまり、予め決める)ように構成されている。
【0011】
小型切開装置100は、適するどのような大きさであってもよいが、通常は、ユーザの手のひらに合うような大きさに作られ、したがって、これに限定はされないが、典型的な長さが50mmから70mmまでの範囲であり、また、これに限定はされないが、典型的な幅が10mmから20mmまでの範囲である。このような小さな寸法は、従来の大きさの切開装置に比べて必要な収納スペースが小さく、また、目立たないという点で有益である。
【0012】
ハウジング102は、形状がほぼ円筒形であり、近位端114、遠位端116、第1の面118、作動準備機構用の開口部120、トリガー機構用の開口部122、窓部124、第2の面126、及び把持構造部128を有している。ハウジング102は、例えば硬質材料から形成することができ、この硬質材料には、これに限定はされないが、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリケトン、ポリウレタン、ポリブチレン・テレファサラット、及びこれらの組合せが含まれる。ハウジング102は、半硬質材料から形成することもでき、この半硬質材料には、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリウレタン、エチレン・プロピレン・ゴム、ポリメチルペンテン、及びこれらの組合せが含まれる。必要であれば、ハウジング102を2つの細長い部品から簡単に製造することもあり、この2つの細長い部品は、ハウジング102を作るのに、音波を利用して溶接されるか、又は互いにスナップ嵌めされる。
【0013】
エンドキャップ104は、ハウジング102の遠位端116に取り外し可能に接続されている。エンドキャップ104は、中に開口部132がある皮膚当て面130、隆起構造部136付きの枠体係合端部134、及びくぼみ138を有する。
【0014】
深さ調整機構106は、枠体140及びガイド部材142を有する。枠体140は、枠体縁部146付きの枠体第1端部144、枠体第2端部148、深さ設定指標150、凹部152、及びらせん雌ねじ154を有する。さらに、ガイド部材142は、穴部156、カム面158、ガイド部材溝部160(図7A、7B及び7Cに符号が付されており、後述する)、及び外側突出部162を有する。
【0015】
作動準備機構108は、ハンドル164、第1縁部166、第2縁部168、内部溝部170、及び内部隆起部172を有する。トリガー機構110は、ボディ174、トリガーボタン176、ばね要素178、及びラッチリム(latch rim)180を有する。
【0016】
発射機構112は、ランセットホルダー182、発射用ばね184(発射用ばねの第1端部186及び第2端部188を有している)、及び後退用ばね190を有する。ランセットホルダー182は、近位端192、遠位端194、第1中空部分196、第2中空部分198、第1の面200、第2の面202、空間204、外方へ広げることができる部分206、スリット208、へり210、カム面212、へこみ214、内面216、及び突出部218(突出端部220を備える)を有する。
【0017】
小型切開装置100の種々の構成部品を紹介したところで、次に、これら構成部品の相互作用及び機能の仕方の詳細について、図1から6を参照しながら説明する。作動準備機構108の一部がハウジング102における作動準備機構用の開口部120を通してユーザに見える(特に図1及び6参照のこと)。作動準備機構108のハンドル164は、ハウジング102の近位端114の近く、かつ、ハウジングの第1の面118にある作動準備機構用の開口部120を通って突出している。ユーザは、ハンドル164をスライドさせて小型切開装置100の作動準備を行う。
【0018】
トリガーメンバー110をユーザはハウジングの第1の面118にあるハウジングのトリガー部材用開口部122を介して利用することができる(特に図1及び6を参照のこと)。ハウジングのトリガー部材用開口部122は、ユーザがトリガー機構110及び作動準備機構108の両方を一方の手で操作できるように、ハウジングの作動準備部材用開口部120のごく近くにあり、かつ、同一のハウジングの面(つまり、ハウジングの第1の面118)にある。
【0019】
図1に描いたように、切開深さ設定部150(つまり、図1の数値「6」)を、ハウジングの遠位端116の近くでハウジングの第1の面118にあるハウジングの窓部124を通してユーザが見ることができる。さらに、ハウジング102は、把持構造部128をハウジング102の第2の面126に有する。第2の面126及び把持構造部128は、ハンドル164及びトリガーボタン176と反対位置の関係にあり、ユーザが小型切開装置100を一方の手で簡単に握りかつ操作できるようにしている。
【0020】
図1の実施形態において、把持構造部128はハウジングの第2の面126にあるくぼみである。しかし、一旦この開示内容を知らされたら、把持構造部128が、適するどのような形態をも取り得ること、その形態には、これに限定はされないが、ハウジング102の表面にある一つ以上の突出部又は凹部が含まれることが当業者には分かるであろう。
【0021】
ランセットホルダー182は、形状がほぼ円筒形をしており、それぞれ、ランセットホルダー182の近位端192及び遠位端194に配置された第1中空部分196及び第2中空部分198を有している(例えば図3参照のこと)。第1中空部分196は、ランセットホルダー182の中へ、近位端192から遠位端194までの距離のほぼ1/3だけ延びている。第2中空部分198は、ランセットホルダー182の中へ、遠位端194から近位端192までの距離のほぼ1/3だけ延びている。発射用ばね184は、少なくとも部分的に第1中空部分196の中に配置されており、ランセットLは、取り外し可能に、少なくとも部分的に第2中空部分198の中に保持されている。
【0022】
ランセットホルダー182の空間204は、ほぼ中央に配置されていて、第1の面200及び第2の面202のそれぞれにより範囲を定められている。遠位端194は、放射方向外方へ広げることができる部分206を有し、この部分206にはスリット208があり、このスリット208はランセットL(例えば適当な市販のランセット)をランセットホルダー182に簡単に挿入でき、かつ、取り外すことができるように構成されている。
【0023】
近位端192にはへり210があり、このへり210は、作動準備機構108の第1縁部166と、ランセットホルダー182のラッチング(latching)の間、係合する。へり210は、さらに、後退用ばね190を、ランセットホルダーの近位端192が取り巻かれるように保持する。第1の面200はカム面212を有し、このカム面212は、トリガー機構110のばね要素178のためのへこみ214に隣接していて、ばね要素178と協働する(例えば、ばね要素178に対して反作用する)。第2の面202は細長い突出部218を有し、この突出部218は、カム面212及びへこみ214と共に作動準備操作中及びトリガー操作中に、後述のように機能する。
【0024】
発射用ばね184は、ランセットホルダー182の動きを制御するように構成されている。発射用ばねの第1端部186は、ハウジングの近位端114における内側の面と係合し、発射用ばねの第2端部188は、ランセットホルダー182における内側の面216と係合する(図4A及び4B参照のこと)。発射用ばね184がランセットLの発射中にランセットホルダー182に通常加えるばねの力は約0.25ポンドから2ポンドまで(約1.11Nから8.90Nまで)の範囲であり、好ましくは、約0.5ポンドから1ポンドまで(約2.23Nから4.45Nまで)の範囲である。図1の実施形態では、後退用ばね190が発射用ばね184と本質的に同軸であり、これにより、小型切開装置100の小型化に寄与している。
【0025】
後退用ばね190は、作動準備機構108及びランセットホルダー182の間にある環状の空間の中に実質的に存在している。後退用ばね190は、ランセット針Nを対象部位に発射した後にランセットホルダー182を引き戻し、小型切開装置100の使用中はランセットホルダー182からの振動を減衰させ、ランセット針Nが対象部位を2度突き刺すのを防止する。後退用ばね190は、さらに、作動準備機構108をラッチング後に静止位置に戻す。後退用ばね190の一方の端部には、後述するように、小型切開装置100の作動の準備がなされている間中、作動準備機構108も係合する。後退用ばね190は、適するどのような材料からも形成することができ、適する材料には、(ポリプロピレン及びポリエステルのような)プラスチック材料、金属材料又はこれらの任意の組合せが含まれる。
【0026】
作動準備機構108は、ほぼ中空であり、細長く、ランセットホルダー182を取り囲むように配置されている。作動準備機構108の内部隆起部分172が、後述するように、小型切開装置100の作動準備をしている間、後退用ばね190の一方の端部と係合する。
【0027】
ランセットホルダーの突出部218は、内部溝部170内をスライド移動するようになっている(図2参照)。内部溝部170は、ランセットホルダー突出部218と係合する。内部溝部170は、それ故に、小型切開装置100の作動時に、ランセットホルダー182の相対的な回転運動を制限し、これにより振動及びユーザが感じる苦痛を少なくする。内部溝部170及びガイド部材溝部160は互いに一直線に揃えられていて、内部溝部170及びガイド部材溝部160の両方が同時に突出部218に係合できるようにしている。
【0028】
トリガー機構110は、概ね内部が細長く、リング形状になっており、ランセットホルダー182を取り囲むように配置されている。トリガー機構110は、ハウジング102に対して相対的に横に動くことができるが、縦に動くことはできない。
【0029】
ばね要素178は、トリガー機構110のボディ174の中へと突出している。ばね要素178は、小型切開装置100が作動の準備がなされている状態のときにはカム面212と係合しており(図3B参照)、ランセット132が発射されたときには、ランセットホルダー140がハウジングの遠位端106に向かって動くに従い、へこみ214とスライド可能に係合する(図4A参照)。ランセットホルダー182の作動が準備された状態及び発射された状態の両方において、ばね要素178は、作動が準備された状態、すなわち装填状態を維持している限りは、負荷が最小であり、ランセットホルダー182のラッチを外すためにトリガーボタン176を押したときには、一瞬大きな負荷がかかる。したがって、ばね要素178にかかっている典型的な負荷は、小型切開装置100の作動が準備されているときでさえ小さく(つまり、20グラム未満であり)、このため、小型切開装置100の耐久性が向上する。トリガー機構110は、一部品に形成して(例えば型成形して)、これにより部品点数を減らし、小型切開装置100の製造を簡単にすることができる。
【0030】
小型切開装置100の作動準備がされている状態のときには、トリガー部材のラッチリム180がランセット突出部218の突出端部220と係合しており、トリガーボタン176が(図4Aに描かれているように)横方向にトリガー位置まで動く。ランセットLを発射すると(つまり、トリガーボタン176を押し下げると)、ラッチリム180がランセット突出部218を越えてスライドし、これにより、ランセットホルダー182がハウジングの遠位端116の方へ動くことが可能になる(図4B参照)。小型切開装置100の作動準備をすること及び始動させることに関しては、図7Aから7Eにより詳細に後述する。
【0031】
調整機構106により、ユーザは針が対象部位を突き刺す深さを予め定めることができる。エンドキャップ104は、ランセット針Nを通過させるための開口部132を有し、かつ、複数のくぼみ138を有していて、ユーザがエンドキャップ104をつかんで回し、ランセットを交換するときに、このエンドキャップをハウジング103の先に付けたり、取り去ったりすることができるようにしている。エンドキャップ104は、適するどのような材料からも形成することができ、この適する材料には、これに限定はされないが、エンドキャップ104を取り去るときに、エンドキャップ104がオプションとして内側へと変形してランセットLを把持し、これにより、ランセットLをエンドキャップ104とともに取り去ることを可能するような、ゴム、ラテックス又はシリコンのようなエラストマー材料が含まれる。
【0032】
エンドキャップ104の枠体係合端部134は、枠体第1端部144と嵌合するように構成されている。枠体係合端部134は、複数の隆起構造部136を有し、この複数の隆起構造部136は、枠体140の複数の相補的凹部152と係合させるためのものである。隆起構造部136及び相補的凹部152は、エンドキャップ104を、戻り止めを使って保持しながらも、例えば、傾けたり、引き抜いたりすることでエンドキャップ104を簡単に取り去ることができるようにしている。
【0033】
枠体140は、ガイド部材142にある相補的カム面158(これは、本質的にらせん雄ねじカム面である)と係合するらせん雌ねじ154と、第1端部144にある縁部146と、第2端部148とを有する。枠体140は、ハウジング102及びガイド部材142に対して相対的にスライド式に可動であり、ほぼ中空円筒形の形状をしている。
【0034】
ガイド部材142は、穴部156を有し、この穴部156を通してトリガー部材110を挿入してトリガー部材110がガイド部材142の中で入れ子状になるようにする。ガイド部材142は、さらに溝部160を有し(図7A−7C参照)、この溝部160はランセットホルダーの突出部218と協働する。ガイド部材の溝部160は、ランセットLの発射中のランセットホルダー182の回転運動を制限する助けとなるもので、これにより、振動及びユーザが感じる苦痛を小さくする。
【0035】
ガイド部材142は、ランセットホルダー182に対し相対的に不動に保持されており、これは、ガイド部材142をハウジング102の内側の面に、ハウジング102の内側の面にある凹部(不図示)と噛み合う外側突出部162を介して取り付けることによって行う。もっとも、当業者に公知のあらゆる取り付け手段を使用してガイド部材142をハウジング102に固定することができ、このような手段には、これに限定はされないが、ピン、ねじ、及び超音波溶接が含まれる。
【0036】
エンドキャップ104を回すと針が突き刺す深さが調整される。エンドキャップ104を回すと、隆起構造部136が枠体凹部152とスプラインインターフェイス的な方法(a spline interface methodology)によって係合する。これにより、枠体のらせん雌ねじ154がガイド部材のカム面158に係合し、それによってエンドキャップ104がハウジング102から離れるように又はハウジング102に向けて動き、針Nが対象部位に突き刺さる長さを変える。これに関し、図5A及び5Bは、それぞれ、針が突き刺す深さを最大及び最小に設定した切開装置100の断面図を示している。
【0037】
作動準備機構108、トリガー機構110、ランセットホルダー182、枠体140、及びガイド部材142は、例えば、硬質材料で形成することができ、この硬質材料には、これに限定はされないが、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリケトン、ポリウレタン、ポリブチレン・テレファサラット、又はこれらの組合せが含まれる。作動準備機構108、トリガー機構110、ランセットホルダー182、枠体140、及びガイド部材142は、オプションとして、それらの間の摩擦を(そして、それで発生する振動を)小さくするために、潤滑促進添加剤を含んでいることがあり、この潤滑促進添加剤には、例えば、テフロン(登録商標)、又はグラファイトが含まれる。
【0038】
小型切開装置100の全ての機構は締りばめで協働し、これによりランセットLを発射している間の振動を最小にしている。さらに、ランセットホルダーのへり210と作動準備機構の第1縁部166との間の境界には、音及び振動を減衰させる材料(例えばゴム又はエラストマー材料)が含まれていることがある。このような音/振動減衰材の境界は、例えば、へり210及び第1縁部166の間に配置された補足的な構成要素(例えば音/振動減衰材の層)として形成することもできるし、へり210及び/又は第1縁部166を部分的に又は完全に音及び/又は振動を減衰する材料から作ることによって形成することもできる。(0.0005インチから0.0003インチまで(0.0013センチメートルから0.0008センチメートルまで)のような)小さな公差の利用することと、音/振動減衰材を利用することで、この装置のユーザが感じる苦痛が小さくなりうる。
【0039】
図7Aから7Eまでを参照しながら、小型切開装置100(図7Aには簡素にした断面で描いてある)の動作を説明する。小型切開装置100において、トリガー機構110と作動準備機構108は、小型切開装置の同じ側に配置されていて、作動準備を行うことと引き金を引くこととを一方の手で行えるようになっている。
【0040】
小型切開装置100は、後退用ばね190の一方の端部が作動準備機構108の内部隆起部分172と係合し、かつ、後退用ばね190の他方の端部がランセットホルダー182のへり210と係合するように、作動準備機構108をハウジング102の近位端114に向けて動かすことにより作動準備状態にする(図7B参照)。第1縁部166がへり210に接触すると、ランセットホルダー182が近位端114に向けて動き始める。後退用ばね190がこのように係合するにつれて、ランセットホルダー182がハウジングの近位端114に向けて動き、トリガー機構110のばね要素178がランセットホルダー182にあるカム面212に係合する。さらに、トリガー部材のラッチリム180がランセットホルダーの突出部218の突出端部220と係合し、トリガー機構110がハウジング102に対し相対的に横方向に動き、トリガーボタン176がハウジング102における第1の面118の上へ持ち上がる(又は同じ高さになる)ようにし、これにより、ユーザに、小型切開装置100の作動準備がいつなされているかに関する視覚的かつ便宜的な指標を与える(図7B参照)。
【0041】
作動準備機構108を解放すると、作動準備機構108と、第1縁部166に接触している後退用ばね190の端部との両方がそれらの元の位置まで戻る(図7C参照)。小型切開装置100の作動準備は、ランセットをランセットホルダー182に挿入するという行為によってランセットホルダー182に軸方向に加えられた力によっても達成される。
【0042】
次に、エンドキャップの皮膚当て面130を対象部位に接触させる。その後、皮膚当て面130を対象部位に向けて押し付け、これにより、対象部位に膨らみBを作る(図7D参照、この図では矢印が押し付ける方向を示している)。
【0043】
トリガー機構110を始動させると(例えば、トリガーボタン176をハウジング102に対し相対的に横方向に押し込むと)、ラッチリム180がランセットホルダー182の突出端部220から外れ、これにより突出部218がラッチリム180を越えてスライドでき、ランセットホルダー182がエンドキャップ104へ向けて動くことが可能になる(図7E参照)。同時に、ばね要素178がランセットホルダーのカム面212から外れ、ランセットホルダー182の表面のへこみ214と係合し、ハウジングの遠位端116に向かって移動する(図7E参照)。発射用ばね184がランセットホルダーの内側の面216に力を加えてランセットホルダー182を膨らみBの方へ縦方向に動かし(つまり、膨らみBに向けて放つ、すなわち発射し)、膨らみBがランセット針Nで突き刺されるようにする。
【0044】
上述のように、トリガー機構110は、小型穿刺装置100の作動準備をすること及び始動させることの両方の役目があり、これにより、これらの機能を遂行する別個の構成要素に対するニーズ及び費用を削減する。
【0045】
図8及び9は、本発明の一実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置300を描いたものである。切開部及び補助部を組み合わせた装置300は、切開装置302(例えば図1の小型切開装置100)及び切開補助装置、言い換えれば、切開装置302に取り付けられたストレージ・コンパートメント(storage compartment)304を含んでいる。ストレージ・コンパートメント304は、切開装置302の使用に関連する用品(不図示)を入れて、取り出し可能に保持するように構成されている。ストレージ・コンパートメント304に取り出し可能に保持できる、切開装置302に関連する用品には、これに限定はしないが、ランセット、試験片、調合薬及びアルコール綿棒(alcohol swabs)が含まれる。ストレージ・コンパートメント304は、オプションとして、切開装置302の使用に無関係な用品(不図示)を入れ、取り出し可能に保持するように構成されている。ストレージ・コンパートメント304に取り出し可能に保持できる、切開装置302に無関係な用品には、これに限定はしないが、コイン、丸薬、及び医薬品が含まれる。
【0046】
図8及び9では、説明という目的のためだけに、切開部及び補助部を組み合わせた装置300の切開装置302が図1の小型切開装置100として図示されている。しかしながら、本発明を一旦知らせたら、当業者は、切開部及び補助部を組み合わせた装置300の切開装置302が、適するどのような切開装置でもよいことを理解するであろう。
【0047】
ストレージ・コンパートメント304は、形状がだいたい細長くて円筒形をしており、近位端310、遠位端312、ボディ314、及び切開装置302の使用に関連する用品を保管するための空洞部316を有する(図9参照)。ストレージ・コンパートメント304は、例えば、スライドして取り付ける、スナップ嵌めする、又はねじ付けるという手法で切開装置302に取り外し可能に取り付けることができる。コンパートメントの近位端310は、例えば、溶接又はモールディングという手法でハウジング302に不動に(つまり、恒久的に)取り付けることもできる。
【0048】
コンパートメント304の遠位端312は、キャップ318と、コンパートメント304に用品を入れたり出したりするための開口部320を有する(図9参照)。キャップ318は、コンパートメント304に入れられた用品を保持し、湿気や光に晒すことによって起こりうる汚染や損傷から守る。キャップ318は、コンパートメントの遠位端312に、例えば、(ヒンジ接続付きで又はヒンジ接続無しで)スナップ式に嵌める又はねじ付けることにより取り付けることができる。
【0049】
図10は、本発明の別の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置400を描いたものである。切開部及び補助部を組み合わせた装置400は、切開装置402(例えば図1の小型切開装置100)と、切開補助装置、言い換えれば切開装置402に取り付けられた照明装置404とを有する。この実施形態では、照明装置404が対象部位を照明するための照明手段406(例えば懐中電灯)と、照明手段406の強さを調整するためのスライドスイッチ408とを有する。
【0050】
図11は、本発明のさらに別の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置500を描いたものである。切開部及び補助部を組み合わせた装置500は、切開装置502(例えば図1の小型切開装置100)と、切開補助装置、言い換えれば切開装置502に取り付けられた計時及び音響記録装置504とを有する。
【0051】
図12は、本発明のさらに別の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置600を描いたものである。切開部及び補助部を組み合わせた装置600は、切開装置602(例えば図1の小型切開装置100)と、切開補助装置、言い換えれば切開装置602に取り付けられた個人用デジタル式補助装置604とを有する。個人用デジタル式補助装置604は、例えば、グルコース試験結果の保存、炭水化物カウンティング、食べた食事に基づいたインシュリン投薬量の計算、又は試験を行った日時の記録によって、病状(例えば糖尿病)の管理に役立つよう使用することができると思われる。個人用デジタル式補助装置604は取り外し可能又は恒久的に切開装置602に取り付けることができる。
【0052】
当然のことながら、本明細書に記載した本発明の実施形態についての種々の代替案を本発明の実施に採用してもよい。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を定め、特許請求の範囲内にある構造及びその均等物をカバーすることが意図されている。
【0053】
〔実施の態様〕
(1)切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
切開装置と、
前記切開装置に取り付けた切開補助装置と、を備える装置。
(2)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開補助装置が前記切開装置に恒久的に取り付けられている、装置。
(3)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開補助装置が前記切開装置に取り外し可能に取り付けられている、装置。
(4)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が安全かつ取り出し可能に用品を保持するためのコンパートメントである、装置。
(5)実施態様4記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記コンパートメントが前記切開装置の使用に関連する用品を安全かつ取り出し可能に保持するように構成されている、装置。
【0054】
(6)実施態様5記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記コンパートメントがランセット及び試験片の少なくとも一方を安全かつ取り出し可能に保持するように構成されている、装置。
(7)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が照明装置である、装置。
(8)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が計時装置である、装置。
(9)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、前記補助装置が個人用デジタル式補助装置である、装置。
(10)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が、照明装置と、計時装置と、個人用デジタル式補助装置と、前記切開装置の使用に関連する用品を安全かつ取り出し可能に保持するコンパートメントと、の任意の組合せである、装置。
(11)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開装置が、
ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されており、ランセットを保持するように構成されている可動ランセットホルダーと、
前記ハウジングの中に配置されている発射機構であって、
発射用ばねと、
後退用ばねと、を有する発射機構と、
前記ハウジングの中に部分的に配置された作動準備機構と、
前記ハウジングの中に部分的に配置されたトリガー機構と、を有しており、
前記ランセットホルダー、前記発射機構、前記作動準備機構、及び前記トリガー機構が、前記可動ランセットホルダーによって保持されているランセットで対象部位を切開するために、動作可能に接続されており、
前記発射用ばね及び前記後退用ばねが本質的に同軸に配置されるように構成されている、装置。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の典型的な実施形態による小型切開装置の斜視図である。
【図2】図1の小型切開装置の分解斜視図である。
【図3】図1の小型切開装置のランセットホルダー及びトリガー機構の分解斜視図である。
【図4A】図1の小型切開装置を作動可能状態にした、ランセットホルダー及びトリガー機構の斜視図である(点線は、図4Aにおいて隠れている構造を示している)。
【図4B】図1の小型切開装置を作動させた状態にした、ランセットホルダー及びトリガー機構の斜視図である(点線は、図4Bにおいて隠れている構造を示している)。
【図5】(A)は、図1の小型切開装置の、針が突き刺す深さを最大に設定したものの概略断面図である。(B)は、図1の小型切開装置の、針が突き刺す深さを最小に設定したものの概略断面図である。
【図6】図1の小型切開装置の切り取り斜視図である。
【図7A】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図7B】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図7C】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図7D】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図7E】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図8】本発明の実施形態による、切開部及び補助部を組み合わせた装置の斜視図である。
【図9】図8の切開部及び補助部を組み合わせた装置の一部切り取り斜視図である。
【図10】本発明の別の実施形態による、切開部及び補助部を組み合わせた装置の斜視図である。
【図11】本発明のさらに別の実施形態による、切開部及び補助部を組み合わせた装置の斜視図である。
【図12】本発明のさらに別の実施形態による、切開部及び補助部を組み合わせた装置の斜視図である。
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
1.発明の分野
本発明は、概して、医療用装置に関するものであり、特に切開装置に関するものである。
【0002】
2.関連技術の説明
従来の切開装置は、一般的に、硬質のハウジングと、種々の動作機構と、ランセットとを有しており、このランセットを込めて、切開装置の一方の端部から短い時間だけ突出するように発射することができる。例えば、従来の切開装置にはランセットが硬質のハウジングに取り付けられており、そのランセットがその硬質のハウジングの縦軸に沿って移動できるものがある。通常、ランセットはばね付勢されていて、ばねを解放することによって発射され、対象部位を(例えば皮膚組織の対象部位を)突き刺す(つまり、「切開する」)。これで、体液のサンプル(例えば全血サンプル)を突き刺した対象部位から収集及び分析のために絞り出すことができる。従来の切開装置は、モリタ(Morita)の米国特許第5,730,753号、テイラー(Taylor)らの米国特許第6,045,567号、ダグラス(Douglas)らの米国特許第6,071,250号、シュラーガー(Schraga)の米国特許第6,156,051号及びパーセル(Purcell)らの米国特許第6,607,543号に開示されている。これら各特許の全文は、参照により本明細書に組み入れる。
【0003】
従来の切開装置では、通常、ユーザが切開装置を作動可能状態にし、切開装置を対象部位に押し当て、そして次にボタン又は他のスイッチを押して、手動で切開装置を動作させ、装置内のランセットが対象部位に向けて発射される(「撃つ」ともいう)ようにする必要がある。次にランセットが対象部位を突き刺し(つまり、切開し)、これにより体液のサンプルを絞り出すための開口部を作る。
【0004】
切開装置の利用は、不便で面倒なことがある。これは、持ち運ばなければならない切開関連用品(例えばランセット、試験片、アルコール綿棒、及び調合薬)が多い上に、切開装置を用いて得られた体液サンプルについて行った分析の結果を文書化する必要があるからである。
【0005】
したがって、この分野で未だに必要とされているのは、切開関連用品を運ぶという不便及び面倒を最小にする切開装置である。さらに、文書化という不便を軽減する切開装置も望まれている。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置は、切開関連用品を持ち運ぶことの不便及び面倒を最小にする。さらに、本発明の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置は、文書化という不便を軽減する。
【0007】
本発明の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置は、切開装置を有し、この切開装置には切開補助装置が付いている。切開補助装置は、例えば、切開と関連する又は関連しない用品を安全かつ取り出し可能に入れるコンパートメント(compartment)、文書化に役立つタイマーすなわち個人用デジタル式補助装置、対象部位を照明するための照明装置、又はこれらの組合せであることがある。切開補助装置は、恒久的に又は取り外し可能に切開装置に取り付けることができる。切開補助装置を取り付けたり、取り外したりすれば、切開部及び補助部を組み合わせた装置が、大きさの異なる手に人間工学的によりよく合うように、それぞれ長くなったり、短くなったりする。
【0008】
本発明の原理を利用した、例示的な実施例を記載した以下の詳細な説明と、添付の図面とを参照することにより、本発明の特徴及び利点をよりよく理解することができるであろう。
【0009】
〔発明の詳細な説明〕
図1、2、3、4A、4B、5A、5B及び6は、本発明のある実施形態による小型切開装置(compact lancing device)100の種々の図である。小型切開装置100には、ハウジング102、エンドキャップ104、深さ調整機構106、作動準備機構(arming mechanism)108、トリガー機構110、及び発射機構112がある。
【0010】
以下に詳述するように、発射機構112、作動準備機構108、及びトリガー機構110は、対象部位(例えば、ユーザの皮膚における対象部位)を、小型切開装置100に保持されているランセット(例えばランセット針Nを有するランセットL)で切開できるように動作可能に接続されている。この点に関し、発射装置112は、ランセットLを発射して、ランセット針Nが対象部位を切開するように構成されており、作動準備機構108は、小型切開装置100で撃つ前に(つまり、ランセットLを発射する前に)切開装置100の作動準備をするように構成されており、トリガー機構110は、小型切開装置100の発射を始動させるように構成されている。さらに、深さ調整機構106は、ユーザが対象部位へ針を突き刺す深さを選択する(つまり、予め決める)ように構成されている。
【0011】
小型切開装置100は、適するどのような大きさであってもよいが、通常は、ユーザの手のひらに合うような大きさに作られ、したがって、これに限定はされないが、典型的な長さが50mmから70mmまでの範囲であり、また、これに限定はされないが、典型的な幅が10mmから20mmまでの範囲である。このような小さな寸法は、従来の大きさの切開装置に比べて必要な収納スペースが小さく、また、目立たないという点で有益である。
【0012】
ハウジング102は、形状がほぼ円筒形であり、近位端114、遠位端116、第1の面118、作動準備機構用の開口部120、トリガー機構用の開口部122、窓部124、第2の面126、及び把持構造部128を有している。ハウジング102は、例えば硬質材料から形成することができ、この硬質材料には、これに限定はされないが、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリケトン、ポリウレタン、ポリブチレン・テレファサラット、及びこれらの組合せが含まれる。ハウジング102は、半硬質材料から形成することもでき、この半硬質材料には、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリウレタン、エチレン・プロピレン・ゴム、ポリメチルペンテン、及びこれらの組合せが含まれる。必要であれば、ハウジング102を2つの細長い部品から簡単に製造することもあり、この2つの細長い部品は、ハウジング102を作るのに、音波を利用して溶接されるか、又は互いにスナップ嵌めされる。
【0013】
エンドキャップ104は、ハウジング102の遠位端116に取り外し可能に接続されている。エンドキャップ104は、中に開口部132がある皮膚当て面130、隆起構造部136付きの枠体係合端部134、及びくぼみ138を有する。
【0014】
深さ調整機構106は、枠体140及びガイド部材142を有する。枠体140は、枠体縁部146付きの枠体第1端部144、枠体第2端部148、深さ設定指標150、凹部152、及びらせん雌ねじ154を有する。さらに、ガイド部材142は、穴部156、カム面158、ガイド部材溝部160(図7A、7B及び7Cに符号が付されており、後述する)、及び外側突出部162を有する。
【0015】
作動準備機構108は、ハンドル164、第1縁部166、第2縁部168、内部溝部170、及び内部隆起部172を有する。トリガー機構110は、ボディ174、トリガーボタン176、ばね要素178、及びラッチリム(latch rim)180を有する。
【0016】
発射機構112は、ランセットホルダー182、発射用ばね184(発射用ばねの第1端部186及び第2端部188を有している)、及び後退用ばね190を有する。ランセットホルダー182は、近位端192、遠位端194、第1中空部分196、第2中空部分198、第1の面200、第2の面202、空間204、外方へ広げることができる部分206、スリット208、へり210、カム面212、へこみ214、内面216、及び突出部218(突出端部220を備える)を有する。
【0017】
小型切開装置100の種々の構成部品を紹介したところで、次に、これら構成部品の相互作用及び機能の仕方の詳細について、図1から6を参照しながら説明する。作動準備機構108の一部がハウジング102における作動準備機構用の開口部120を通してユーザに見える(特に図1及び6参照のこと)。作動準備機構108のハンドル164は、ハウジング102の近位端114の近く、かつ、ハウジングの第1の面118にある作動準備機構用の開口部120を通って突出している。ユーザは、ハンドル164をスライドさせて小型切開装置100の作動準備を行う。
【0018】
トリガーメンバー110をユーザはハウジングの第1の面118にあるハウジングのトリガー部材用開口部122を介して利用することができる(特に図1及び6を参照のこと)。ハウジングのトリガー部材用開口部122は、ユーザがトリガー機構110及び作動準備機構108の両方を一方の手で操作できるように、ハウジングの作動準備部材用開口部120のごく近くにあり、かつ、同一のハウジングの面(つまり、ハウジングの第1の面118)にある。
【0019】
図1に描いたように、切開深さ設定部150(つまり、図1の数値「6」)を、ハウジングの遠位端116の近くでハウジングの第1の面118にあるハウジングの窓部124を通してユーザが見ることができる。さらに、ハウジング102は、把持構造部128をハウジング102の第2の面126に有する。第2の面126及び把持構造部128は、ハンドル164及びトリガーボタン176と反対位置の関係にあり、ユーザが小型切開装置100を一方の手で簡単に握りかつ操作できるようにしている。
【0020】
図1の実施形態において、把持構造部128はハウジングの第2の面126にあるくぼみである。しかし、一旦この開示内容を知らされたら、把持構造部128が、適するどのような形態をも取り得ること、その形態には、これに限定はされないが、ハウジング102の表面にある一つ以上の突出部又は凹部が含まれることが当業者には分かるであろう。
【0021】
ランセットホルダー182は、形状がほぼ円筒形をしており、それぞれ、ランセットホルダー182の近位端192及び遠位端194に配置された第1中空部分196及び第2中空部分198を有している(例えば図3参照のこと)。第1中空部分196は、ランセットホルダー182の中へ、近位端192から遠位端194までの距離のほぼ1/3だけ延びている。第2中空部分198は、ランセットホルダー182の中へ、遠位端194から近位端192までの距離のほぼ1/3だけ延びている。発射用ばね184は、少なくとも部分的に第1中空部分196の中に配置されており、ランセットLは、取り外し可能に、少なくとも部分的に第2中空部分198の中に保持されている。
【0022】
ランセットホルダー182の空間204は、ほぼ中央に配置されていて、第1の面200及び第2の面202のそれぞれにより範囲を定められている。遠位端194は、放射方向外方へ広げることができる部分206を有し、この部分206にはスリット208があり、このスリット208はランセットL(例えば適当な市販のランセット)をランセットホルダー182に簡単に挿入でき、かつ、取り外すことができるように構成されている。
【0023】
近位端192にはへり210があり、このへり210は、作動準備機構108の第1縁部166と、ランセットホルダー182のラッチング(latching)の間、係合する。へり210は、さらに、後退用ばね190を、ランセットホルダーの近位端192が取り巻かれるように保持する。第1の面200はカム面212を有し、このカム面212は、トリガー機構110のばね要素178のためのへこみ214に隣接していて、ばね要素178と協働する(例えば、ばね要素178に対して反作用する)。第2の面202は細長い突出部218を有し、この突出部218は、カム面212及びへこみ214と共に作動準備操作中及びトリガー操作中に、後述のように機能する。
【0024】
発射用ばね184は、ランセットホルダー182の動きを制御するように構成されている。発射用ばねの第1端部186は、ハウジングの近位端114における内側の面と係合し、発射用ばねの第2端部188は、ランセットホルダー182における内側の面216と係合する(図4A及び4B参照のこと)。発射用ばね184がランセットLの発射中にランセットホルダー182に通常加えるばねの力は約0.25ポンドから2ポンドまで(約1.11Nから8.90Nまで)の範囲であり、好ましくは、約0.5ポンドから1ポンドまで(約2.23Nから4.45Nまで)の範囲である。図1の実施形態では、後退用ばね190が発射用ばね184と本質的に同軸であり、これにより、小型切開装置100の小型化に寄与している。
【0025】
後退用ばね190は、作動準備機構108及びランセットホルダー182の間にある環状の空間の中に実質的に存在している。後退用ばね190は、ランセット針Nを対象部位に発射した後にランセットホルダー182を引き戻し、小型切開装置100の使用中はランセットホルダー182からの振動を減衰させ、ランセット針Nが対象部位を2度突き刺すのを防止する。後退用ばね190は、さらに、作動準備機構108をラッチング後に静止位置に戻す。後退用ばね190の一方の端部には、後述するように、小型切開装置100の作動の準備がなされている間中、作動準備機構108も係合する。後退用ばね190は、適するどのような材料からも形成することができ、適する材料には、(ポリプロピレン及びポリエステルのような)プラスチック材料、金属材料又はこれらの任意の組合せが含まれる。
【0026】
作動準備機構108は、ほぼ中空であり、細長く、ランセットホルダー182を取り囲むように配置されている。作動準備機構108の内部隆起部分172が、後述するように、小型切開装置100の作動準備をしている間、後退用ばね190の一方の端部と係合する。
【0027】
ランセットホルダーの突出部218は、内部溝部170内をスライド移動するようになっている(図2参照)。内部溝部170は、ランセットホルダー突出部218と係合する。内部溝部170は、それ故に、小型切開装置100の作動時に、ランセットホルダー182の相対的な回転運動を制限し、これにより振動及びユーザが感じる苦痛を少なくする。内部溝部170及びガイド部材溝部160は互いに一直線に揃えられていて、内部溝部170及びガイド部材溝部160の両方が同時に突出部218に係合できるようにしている。
【0028】
トリガー機構110は、概ね内部が細長く、リング形状になっており、ランセットホルダー182を取り囲むように配置されている。トリガー機構110は、ハウジング102に対して相対的に横に動くことができるが、縦に動くことはできない。
【0029】
ばね要素178は、トリガー機構110のボディ174の中へと突出している。ばね要素178は、小型切開装置100が作動の準備がなされている状態のときにはカム面212と係合しており(図3B参照)、ランセット132が発射されたときには、ランセットホルダー140がハウジングの遠位端106に向かって動くに従い、へこみ214とスライド可能に係合する(図4A参照)。ランセットホルダー182の作動が準備された状態及び発射された状態の両方において、ばね要素178は、作動が準備された状態、すなわち装填状態を維持している限りは、負荷が最小であり、ランセットホルダー182のラッチを外すためにトリガーボタン176を押したときには、一瞬大きな負荷がかかる。したがって、ばね要素178にかかっている典型的な負荷は、小型切開装置100の作動が準備されているときでさえ小さく(つまり、20グラム未満であり)、このため、小型切開装置100の耐久性が向上する。トリガー機構110は、一部品に形成して(例えば型成形して)、これにより部品点数を減らし、小型切開装置100の製造を簡単にすることができる。
【0030】
小型切開装置100の作動準備がされている状態のときには、トリガー部材のラッチリム180がランセット突出部218の突出端部220と係合しており、トリガーボタン176が(図4Aに描かれているように)横方向にトリガー位置まで動く。ランセットLを発射すると(つまり、トリガーボタン176を押し下げると)、ラッチリム180がランセット突出部218を越えてスライドし、これにより、ランセットホルダー182がハウジングの遠位端116の方へ動くことが可能になる(図4B参照)。小型切開装置100の作動準備をすること及び始動させることに関しては、図7Aから7Eにより詳細に後述する。
【0031】
調整機構106により、ユーザは針が対象部位を突き刺す深さを予め定めることができる。エンドキャップ104は、ランセット針Nを通過させるための開口部132を有し、かつ、複数のくぼみ138を有していて、ユーザがエンドキャップ104をつかんで回し、ランセットを交換するときに、このエンドキャップをハウジング103の先に付けたり、取り去ったりすることができるようにしている。エンドキャップ104は、適するどのような材料からも形成することができ、この適する材料には、これに限定はされないが、エンドキャップ104を取り去るときに、エンドキャップ104がオプションとして内側へと変形してランセットLを把持し、これにより、ランセットLをエンドキャップ104とともに取り去ることを可能するような、ゴム、ラテックス又はシリコンのようなエラストマー材料が含まれる。
【0032】
エンドキャップ104の枠体係合端部134は、枠体第1端部144と嵌合するように構成されている。枠体係合端部134は、複数の隆起構造部136を有し、この複数の隆起構造部136は、枠体140の複数の相補的凹部152と係合させるためのものである。隆起構造部136及び相補的凹部152は、エンドキャップ104を、戻り止めを使って保持しながらも、例えば、傾けたり、引き抜いたりすることでエンドキャップ104を簡単に取り去ることができるようにしている。
【0033】
枠体140は、ガイド部材142にある相補的カム面158(これは、本質的にらせん雄ねじカム面である)と係合するらせん雌ねじ154と、第1端部144にある縁部146と、第2端部148とを有する。枠体140は、ハウジング102及びガイド部材142に対して相対的にスライド式に可動であり、ほぼ中空円筒形の形状をしている。
【0034】
ガイド部材142は、穴部156を有し、この穴部156を通してトリガー部材110を挿入してトリガー部材110がガイド部材142の中で入れ子状になるようにする。ガイド部材142は、さらに溝部160を有し(図7A−7C参照)、この溝部160はランセットホルダーの突出部218と協働する。ガイド部材の溝部160は、ランセットLの発射中のランセットホルダー182の回転運動を制限する助けとなるもので、これにより、振動及びユーザが感じる苦痛を小さくする。
【0035】
ガイド部材142は、ランセットホルダー182に対し相対的に不動に保持されており、これは、ガイド部材142をハウジング102の内側の面に、ハウジング102の内側の面にある凹部(不図示)と噛み合う外側突出部162を介して取り付けることによって行う。もっとも、当業者に公知のあらゆる取り付け手段を使用してガイド部材142をハウジング102に固定することができ、このような手段には、これに限定はされないが、ピン、ねじ、及び超音波溶接が含まれる。
【0036】
エンドキャップ104を回すと針が突き刺す深さが調整される。エンドキャップ104を回すと、隆起構造部136が枠体凹部152とスプラインインターフェイス的な方法(a spline interface methodology)によって係合する。これにより、枠体のらせん雌ねじ154がガイド部材のカム面158に係合し、それによってエンドキャップ104がハウジング102から離れるように又はハウジング102に向けて動き、針Nが対象部位に突き刺さる長さを変える。これに関し、図5A及び5Bは、それぞれ、針が突き刺す深さを最大及び最小に設定した切開装置100の断面図を示している。
【0037】
作動準備機構108、トリガー機構110、ランセットホルダー182、枠体140、及びガイド部材142は、例えば、硬質材料で形成することができ、この硬質材料には、これに限定はされないが、ポリカーボネイト、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリケトン、ポリウレタン、ポリブチレン・テレファサラット、又はこれらの組合せが含まれる。作動準備機構108、トリガー機構110、ランセットホルダー182、枠体140、及びガイド部材142は、オプションとして、それらの間の摩擦を(そして、それで発生する振動を)小さくするために、潤滑促進添加剤を含んでいることがあり、この潤滑促進添加剤には、例えば、テフロン(登録商標)、又はグラファイトが含まれる。
【0038】
小型切開装置100の全ての機構は締りばめで協働し、これによりランセットLを発射している間の振動を最小にしている。さらに、ランセットホルダーのへり210と作動準備機構の第1縁部166との間の境界には、音及び振動を減衰させる材料(例えばゴム又はエラストマー材料)が含まれていることがある。このような音/振動減衰材の境界は、例えば、へり210及び第1縁部166の間に配置された補足的な構成要素(例えば音/振動減衰材の層)として形成することもできるし、へり210及び/又は第1縁部166を部分的に又は完全に音及び/又は振動を減衰する材料から作ることによって形成することもできる。(0.0005インチから0.0003インチまで(0.0013センチメートルから0.0008センチメートルまで)のような)小さな公差の利用することと、音/振動減衰材を利用することで、この装置のユーザが感じる苦痛が小さくなりうる。
【0039】
図7Aから7Eまでを参照しながら、小型切開装置100(図7Aには簡素にした断面で描いてある)の動作を説明する。小型切開装置100において、トリガー機構110と作動準備機構108は、小型切開装置の同じ側に配置されていて、作動準備を行うことと引き金を引くこととを一方の手で行えるようになっている。
【0040】
小型切開装置100は、後退用ばね190の一方の端部が作動準備機構108の内部隆起部分172と係合し、かつ、後退用ばね190の他方の端部がランセットホルダー182のへり210と係合するように、作動準備機構108をハウジング102の近位端114に向けて動かすことにより作動準備状態にする(図7B参照)。第1縁部166がへり210に接触すると、ランセットホルダー182が近位端114に向けて動き始める。後退用ばね190がこのように係合するにつれて、ランセットホルダー182がハウジングの近位端114に向けて動き、トリガー機構110のばね要素178がランセットホルダー182にあるカム面212に係合する。さらに、トリガー部材のラッチリム180がランセットホルダーの突出部218の突出端部220と係合し、トリガー機構110がハウジング102に対し相対的に横方向に動き、トリガーボタン176がハウジング102における第1の面118の上へ持ち上がる(又は同じ高さになる)ようにし、これにより、ユーザに、小型切開装置100の作動準備がいつなされているかに関する視覚的かつ便宜的な指標を与える(図7B参照)。
【0041】
作動準備機構108を解放すると、作動準備機構108と、第1縁部166に接触している後退用ばね190の端部との両方がそれらの元の位置まで戻る(図7C参照)。小型切開装置100の作動準備は、ランセットをランセットホルダー182に挿入するという行為によってランセットホルダー182に軸方向に加えられた力によっても達成される。
【0042】
次に、エンドキャップの皮膚当て面130を対象部位に接触させる。その後、皮膚当て面130を対象部位に向けて押し付け、これにより、対象部位に膨らみBを作る(図7D参照、この図では矢印が押し付ける方向を示している)。
【0043】
トリガー機構110を始動させると(例えば、トリガーボタン176をハウジング102に対し相対的に横方向に押し込むと)、ラッチリム180がランセットホルダー182の突出端部220から外れ、これにより突出部218がラッチリム180を越えてスライドでき、ランセットホルダー182がエンドキャップ104へ向けて動くことが可能になる(図7E参照)。同時に、ばね要素178がランセットホルダーのカム面212から外れ、ランセットホルダー182の表面のへこみ214と係合し、ハウジングの遠位端116に向かって移動する(図7E参照)。発射用ばね184がランセットホルダーの内側の面216に力を加えてランセットホルダー182を膨らみBの方へ縦方向に動かし(つまり、膨らみBに向けて放つ、すなわち発射し)、膨らみBがランセット針Nで突き刺されるようにする。
【0044】
上述のように、トリガー機構110は、小型穿刺装置100の作動準備をすること及び始動させることの両方の役目があり、これにより、これらの機能を遂行する別個の構成要素に対するニーズ及び費用を削減する。
【0045】
図8及び9は、本発明の一実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置300を描いたものである。切開部及び補助部を組み合わせた装置300は、切開装置302(例えば図1の小型切開装置100)及び切開補助装置、言い換えれば、切開装置302に取り付けられたストレージ・コンパートメント(storage compartment)304を含んでいる。ストレージ・コンパートメント304は、切開装置302の使用に関連する用品(不図示)を入れて、取り出し可能に保持するように構成されている。ストレージ・コンパートメント304に取り出し可能に保持できる、切開装置302に関連する用品には、これに限定はしないが、ランセット、試験片、調合薬及びアルコール綿棒(alcohol swabs)が含まれる。ストレージ・コンパートメント304は、オプションとして、切開装置302の使用に無関係な用品(不図示)を入れ、取り出し可能に保持するように構成されている。ストレージ・コンパートメント304に取り出し可能に保持できる、切開装置302に無関係な用品には、これに限定はしないが、コイン、丸薬、及び医薬品が含まれる。
【0046】
図8及び9では、説明という目的のためだけに、切開部及び補助部を組み合わせた装置300の切開装置302が図1の小型切開装置100として図示されている。しかしながら、本発明を一旦知らせたら、当業者は、切開部及び補助部を組み合わせた装置300の切開装置302が、適するどのような切開装置でもよいことを理解するであろう。
【0047】
ストレージ・コンパートメント304は、形状がだいたい細長くて円筒形をしており、近位端310、遠位端312、ボディ314、及び切開装置302の使用に関連する用品を保管するための空洞部316を有する(図9参照)。ストレージ・コンパートメント304は、例えば、スライドして取り付ける、スナップ嵌めする、又はねじ付けるという手法で切開装置302に取り外し可能に取り付けることができる。コンパートメントの近位端310は、例えば、溶接又はモールディングという手法でハウジング302に不動に(つまり、恒久的に)取り付けることもできる。
【0048】
コンパートメント304の遠位端312は、キャップ318と、コンパートメント304に用品を入れたり出したりするための開口部320を有する(図9参照)。キャップ318は、コンパートメント304に入れられた用品を保持し、湿気や光に晒すことによって起こりうる汚染や損傷から守る。キャップ318は、コンパートメントの遠位端312に、例えば、(ヒンジ接続付きで又はヒンジ接続無しで)スナップ式に嵌める又はねじ付けることにより取り付けることができる。
【0049】
図10は、本発明の別の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置400を描いたものである。切開部及び補助部を組み合わせた装置400は、切開装置402(例えば図1の小型切開装置100)と、切開補助装置、言い換えれば切開装置402に取り付けられた照明装置404とを有する。この実施形態では、照明装置404が対象部位を照明するための照明手段406(例えば懐中電灯)と、照明手段406の強さを調整するためのスライドスイッチ408とを有する。
【0050】
図11は、本発明のさらに別の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置500を描いたものである。切開部及び補助部を組み合わせた装置500は、切開装置502(例えば図1の小型切開装置100)と、切開補助装置、言い換えれば切開装置502に取り付けられた計時及び音響記録装置504とを有する。
【0051】
図12は、本発明のさらに別の実施形態による切開部及び補助部を組み合わせた装置600を描いたものである。切開部及び補助部を組み合わせた装置600は、切開装置602(例えば図1の小型切開装置100)と、切開補助装置、言い換えれば切開装置602に取り付けられた個人用デジタル式補助装置604とを有する。個人用デジタル式補助装置604は、例えば、グルコース試験結果の保存、炭水化物カウンティング、食べた食事に基づいたインシュリン投薬量の計算、又は試験を行った日時の記録によって、病状(例えば糖尿病)の管理に役立つよう使用することができると思われる。個人用デジタル式補助装置604は取り外し可能又は恒久的に切開装置602に取り付けることができる。
【0052】
当然のことながら、本明細書に記載した本発明の実施形態についての種々の代替案を本発明の実施に採用してもよい。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を定め、特許請求の範囲内にある構造及びその均等物をカバーすることが意図されている。
【0053】
〔実施の態様〕
(1)切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
切開装置と、
前記切開装置に取り付けた切開補助装置と、を備える装置。
(2)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開補助装置が前記切開装置に恒久的に取り付けられている、装置。
(3)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開補助装置が前記切開装置に取り外し可能に取り付けられている、装置。
(4)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が安全かつ取り出し可能に用品を保持するためのコンパートメントである、装置。
(5)実施態様4記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記コンパートメントが前記切開装置の使用に関連する用品を安全かつ取り出し可能に保持するように構成されている、装置。
【0054】
(6)実施態様5記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記コンパートメントがランセット及び試験片の少なくとも一方を安全かつ取り出し可能に保持するように構成されている、装置。
(7)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が照明装置である、装置。
(8)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が計時装置である、装置。
(9)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、前記補助装置が個人用デジタル式補助装置である、装置。
(10)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が、照明装置と、計時装置と、個人用デジタル式補助装置と、前記切開装置の使用に関連する用品を安全かつ取り出し可能に保持するコンパートメントと、の任意の組合せである、装置。
(11)実施態様1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開装置が、
ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されており、ランセットを保持するように構成されている可動ランセットホルダーと、
前記ハウジングの中に配置されている発射機構であって、
発射用ばねと、
後退用ばねと、を有する発射機構と、
前記ハウジングの中に部分的に配置された作動準備機構と、
前記ハウジングの中に部分的に配置されたトリガー機構と、を有しており、
前記ランセットホルダー、前記発射機構、前記作動準備機構、及び前記トリガー機構が、前記可動ランセットホルダーによって保持されているランセットで対象部位を切開するために、動作可能に接続されており、
前記発射用ばね及び前記後退用ばねが本質的に同軸に配置されるように構成されている、装置。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の典型的な実施形態による小型切開装置の斜視図である。
【図2】図1の小型切開装置の分解斜視図である。
【図3】図1の小型切開装置のランセットホルダー及びトリガー機構の分解斜視図である。
【図4A】図1の小型切開装置を作動可能状態にした、ランセットホルダー及びトリガー機構の斜視図である(点線は、図4Aにおいて隠れている構造を示している)。
【図4B】図1の小型切開装置を作動させた状態にした、ランセットホルダー及びトリガー機構の斜視図である(点線は、図4Bにおいて隠れている構造を示している)。
【図5】(A)は、図1の小型切開装置の、針が突き刺す深さを最大に設定したものの概略断面図である。(B)は、図1の小型切開装置の、針が突き刺す深さを最小に設定したものの概略断面図である。
【図6】図1の小型切開装置の切り取り斜視図である。
【図7A】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図7B】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図7C】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図7D】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図7E】図1の小型切開装置の、所与の動作段階にあるものを簡素化して概略的に描いた断面図である。
【図8】本発明の実施形態による、切開部及び補助部を組み合わせた装置の斜視図である。
【図9】図8の切開部及び補助部を組み合わせた装置の一部切り取り斜視図である。
【図10】本発明の別の実施形態による、切開部及び補助部を組み合わせた装置の斜視図である。
【図11】本発明のさらに別の実施形態による、切開部及び補助部を組み合わせた装置の斜視図である。
【図12】本発明のさらに別の実施形態による、切開部及び補助部を組み合わせた装置の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
切開装置と、
前記切開装置に取り付けた切開補助装置と、を備える装置。
【請求項2】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開補助装置が前記切開装置に恒久的に取り付けられている、装置。
【請求項3】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開補助装置が前記切開装置に取り外し可能に取り付けられている、装置。
【請求項4】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が安全かつ取り出し可能に用品を保持するためのコンパートメントである、装置。
【請求項5】
請求項4記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記コンパートメントが前記切開装置の使用に関連する用品を安全かつ取り出し可能に保持するように構成されている、装置。
【請求項6】
請求項5記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記コンパートメントがランセット及び試験片の少なくとも一方を安全かつ取り出し可能に保持するように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が照明装置である、装置。
【請求項8】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が計時装置である、装置。
【請求項9】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、前記補助装置が個人用デジタル式補助装置である、装置。
【請求項10】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が、照明装置と、計時装置と、個人用デジタル式補助装置と、前記切開装置の使用に関連する用品を安全かつ取り出し可能に保持するコンパートメントと、の任意の組合せである、装置。
【請求項11】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開装置が、
ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されており、ランセットを保持するように構成されている可動ランセットホルダーと、
前記ハウジングの中に配置されている発射機構であって、
発射用ばねと、
後退用ばねと、を有する発射機構と、
前記ハウジングの中に部分的に配置された作動準備機構と、
前記ハウジングの中に部分的に配置されたトリガー機構と、を有しており、
前記ランセットホルダー、前記発射機構、前記作動準備機構、及び前記トリガー機構が、前記可動ランセットホルダーによって保持されているランセットで対象部位を切開するために、動作可能に接続されており、
前記発射用ばね及び前記後退用ばねが本質的に同軸に配置されるように構成されている、装置。
【請求項1】
切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
切開装置と、
前記切開装置に取り付けた切開補助装置と、を備える装置。
【請求項2】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開補助装置が前記切開装置に恒久的に取り付けられている、装置。
【請求項3】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開補助装置が前記切開装置に取り外し可能に取り付けられている、装置。
【請求項4】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が安全かつ取り出し可能に用品を保持するためのコンパートメントである、装置。
【請求項5】
請求項4記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記コンパートメントが前記切開装置の使用に関連する用品を安全かつ取り出し可能に保持するように構成されている、装置。
【請求項6】
請求項5記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記コンパートメントがランセット及び試験片の少なくとも一方を安全かつ取り出し可能に保持するように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が照明装置である、装置。
【請求項8】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が計時装置である、装置。
【請求項9】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、前記補助装置が個人用デジタル式補助装置である、装置。
【請求項10】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記補助装置が、照明装置と、計時装置と、個人用デジタル式補助装置と、前記切開装置の使用に関連する用品を安全かつ取り出し可能に保持するコンパートメントと、の任意の組合せである、装置。
【請求項11】
請求項1記載の切開部及び補助部を組み合わせた装置であって、
前記切開装置が、
ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されており、ランセットを保持するように構成されている可動ランセットホルダーと、
前記ハウジングの中に配置されている発射機構であって、
発射用ばねと、
後退用ばねと、を有する発射機構と、
前記ハウジングの中に部分的に配置された作動準備機構と、
前記ハウジングの中に部分的に配置されたトリガー機構と、を有しており、
前記ランセットホルダー、前記発射機構、前記作動準備機構、及び前記トリガー機構が、前記可動ランセットホルダーによって保持されているランセットで対象部位を切開するために、動作可能に接続されており、
前記発射用ばね及び前記後退用ばねが本質的に同軸に配置されるように構成されている、装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−136716(P2006−136716A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−313250(P2005−313250)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313250(P2005−313250)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】
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