説明

刈り込み機

【課題】 電動モータを内蔵した本体の前部から前方へ延びる長い刈り込み刃を備えた刈り込み機は、従来全体として長尺のまま収納していたので、大きな収納スペースを必要としていた。本発明では、この種の刈り込み機をコンパクトに収納できるようにする。
【解決手段】 刈り込み刃20,30を使用位置(全長L1)にロックする押しボタン50をアンロック位置に押し込み操作することにより、刈り込み刃20,30を後ろ側に回動させてその全長L2(≪L1)を従来よりも短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生け垣バリカンあるいはヘッジトリマとも称され、例えば生け垣や庭木等の剪定作業に用いられる手持ち式の刈り込み機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の刈り込み機は、例えば駆動源としての電動モータを内蔵した本体と、この本体から前方へ突き出す2本の刈り込み刃を備え、電動モータを起動させてこの2本の刈り込み刃を相互に反対方向に往復動させて生け垣の枝葉等を切断可能としたもので、全体として長尺な躯体を備えている。
ところで、この種の刈り込み機は、多くは一般家庭において主として生け垣や庭木の剪定作業に用いられるものであるので一年のうちで利用される期間は例えば春先等のごく短い期間に限られており、従って一年の大半は利用されることなく物置等に収納されている。その結果、上記したように全体として長尺な形状を有する当該刈り込み機を収納しておくために比較的大きな収納スペースを確保する必要があった。
【特許文献1】特開昭63−129933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、比較的大きな収納スペースを必要とする刈り込み機について、従来これをコンパクトに収納するための技術が提供されていない。
また、製造メーカーから当該刈り込み機を出荷する段階においても、長尺状態のまま荷積み等するため搬送コストが嵩む問題があった。
そこで、本発明は、使用しない場合にはコンパクトに収納することができ、その結果収納スペースを小さくすることができ、また製造メーカーの搬送コストを低減できる刈り込み機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明は特許請求の範囲の各請求項に記載した構成の刈り込み機とした。
請求項1記載の刈り込み機によれば、本体から前方へ延びる長尺の刈り込み刃を本体に沿った収納位置に移動させることができるので使用状態よりも全長を短くすることができ、従って従来よりもコンパクトな状態で収納しておくことができる。従来よりもコンパクトな状態で収納できるので、必要な収納スペースを小さくすることができ、また製造メーカー出荷段階における荷積みスペースを節約して搬送コストを低減することができる。
請求項2記載の刈り込み機によれば、簡単な操作で刈り込み刃を使用位置と収納位置に移動させることができる。
請求項3記載の刈り込み機によれば、刈り込み刃を収納位置に収納した状態における当該刈り込み機の誤作動を防止することができる。
【0005】
請求項4記載の刈り込み機によれば、刈り込み刃を使用位置に位置させた状態では、押しボタンがばね付勢力によってロック位置に押し出されて当該刈り込み刃の後端面に対向位置し、これにより刈り込み刃の左右両方向の回転がロックされる。この押しボタンをばね付勢力に抗してアンロック位置に押し込み操作すると、この押しボタンが刈り込み刃の後端面に対して対向する位置から外れ(刈り込み刃の回転範囲内から退出し)、これにより刈り込み刃を使用位置から収納位置に回転可能となる。このため、押しボタンをアンロック位置に押し込み操作して刈り込み刃を収納位置に回転させておくことにより、当該刈り込み機の全長を短くすることができ、従って上記請求項1,2の構成による場合と同様の作用効果を奏する。
請求項5記載の刈り込み機によれば、刈り込み刃を使用位置および収納位置に位置させた状態では、ロックレバーがロック位置に傾動して刈り込み刃の回転が規制され、これにより刈り込み刃が使用位置および収納位置にロックされる。ロックレバーを上側のアンロック位置に傾動操作すると、当該ロックレバーが刈り込み刃の回転範囲内から退出して、当該刈り込み刃を使用位置から収納位置へ、およびその逆方向に回転させることができる。
このことから、上記と同様刈り込み刃を収納位置に収納して当該刈り込み機の全長を短くし、これによりコンパクトな状態で収納しておくことができる。
請求項6記載の刈り込み機によれば、二つのロックレバーによって刈り込み刃が両側から挟まれてその使用位置及び収納位置における左右両方向の回転がロックされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1は、以下説明する本実施形態の刈り込み機1を示している。この刈り込み機1は、本体ケース11の前部に電動モータ10を内蔵した本体2と、本体2の前部から前方へ延びる2枚の長尺な刈り込み刃20,30を備えている。電動モータ10から刈り込み刃20,30に至る動力伝達経路の詳細が図2に示されている。
電動モータ10の出力軸には駆動ギヤ10aが形成されている。この駆動ギヤ10aは、駆動ホイール12の周面に形成したギヤ部12aに噛み合わされている。駆動ホイール12は、軸受け17を介して支軸13に回転自在に支持されている。このため、電動モータ10が起動するとこの駆動ホイール12が支軸13を中心にして回転する。
駆動ホイール12の下面側には、円形の円板14が取り付けられ、この円板14の下面側には同じ形状および大きさの円板15が取り付けられている。図3に示すように両円板14,15は、支軸13すなわち駆動ホイール12の回転中心に対して相互に180°反対側に同じ距離だけ偏心した位置に固定されている。このため、駆動ホイール12が支軸13を中心にして回転すると、両円板14,15が支軸13を中心とする同一の円軌道に沿って公転する。
【0007】
図2に示すように上記支軸13は、長尺な下カバー18の基端側上面に立ち上げ状に固定されている。この支軸13は、本体ケース11の軸受け部11aに軸回りに回転自在に支持されている。但し、この支軸13は、止め輪11bにより軸方向への移動が規制されている。このため、下カバー18は、支軸13を介して本体ケース11に水平方向(図2において紙面に直交する方向)に回動可能に支持されている。さらに、支軸13のフランジ部13aが下カバー18を本体ケース11に対して保持している。この下カバー18の上面側には、上カバー16が当該下カバー18の長手方向に沿って取り付けられている。上カバー16は、固定ねじ19〜19によって下カバー18との間に一定の隙間を開けた状態で下カバー18に沿って固定されている。この上カバー16と下カバー18との間に2枚の刈り込み刃20,30が挟み込まれている。このため、上下両カバー16,18および両刈り込み刃20,30は、水平方向に360°の範囲で一体に回動可能な状態で本体ケース11に支持されている。
両刈り込み刃20,30は、図3に示すようにそれぞれその長手方向に沿って千鳥状に配置された多数の刃先20a〜20a、30a〜30aを備えており、相互に背中合わせに重ね合わされた状態で上下カバー16,18間に挟み込まれている。また、両刈り込み刃20,30は、上下カバー16,18に対してその長手方向に移動可能に挟み込まれ、かつ相互にその長手方向に移動可能に上下カバー16,18間に挟み込まれている。
両刈り込み刃20,30の基端側(図1において左端側)には、それぞれその長手方向に直交する方向(図2において紙面に直交する方向)に長い係合孔20b,30bが形成されている。この両係合孔20b,30bに、それぞれ円板14,15が面一に挿入されている。駆動ホイール12が支軸13を中心にして回転し、これにより両円板14,15が支軸13回りを公転することにより、両刈り込み刃20,30が相互に反対方向へ往復動する。両刈り込み刃20,30が相互に反対方向に往復動すると、これらの刃先20a〜20a、30a〜30a間に挟まれて庭木や生け垣の枝葉等を切断することができる。
【0008】
次に、図3に示すように上記下カバー18の基端側は、それぞれ平坦な左右端面18a,18bと後端面18cを有する概ね矩形の平板形状に形成されている。各端面18a,18b,18cと支軸13との間の距離は、相互に同一寸法に設定されている。
両刈り込み刃20,30を本体2から前方へ延びる使用位置に位置させた状態(図3に示す状態)において、下カバー18の後端面18cには、押しボタン50の平坦な前面50aが当接されている。本実施形態においてこの押しボタン50が、特許請求の範囲に記載したロック部材の一実施形態に相当する。
この押しボタン50は概ねブロック体形状を有するもので、本体ケース11の下面に押し操作可能、すなわち図2において上下に移動可能に設けられている。この押しボタン50は、圧縮ばね51によって押し出される方向(図2において下方)に付勢されている。圧縮ばね51によってロック位置に押し出されると、この押しボタン50の平坦な前面50aが下カバー18の平坦な後端面18cにほぼ当接した状態となる。これにより下カバー18の支軸13を中心とする回動動作が禁止され、ひいては両刈り込み刃20,30が本体2の前方へ延びる位置に固定される。
押しボタン50を圧縮ばね51に抗してアンロック位置に押し込み操作すると、両刈り込み刃20,30を上下カバー16,18と一体で、水平方向に360°の範囲で回動させることができる。図4および図6は、両刈り込み刃20,30を図1および図3に示す使用位置から180°回転させて、支軸13から後方へ延びる位置(収納位置)に位置させた状態を示している。この状態では、図4および図5に示すように押しボタン50の下方に上カバー16が位置することから、当該押しボタン50がアンロック位置に保持される。
両刈り込み刃20,30および上下のカバー16,18を使用位置に回動させると、押しボタン50は圧縮ばね51によりロック位置側に押し出される。押しボタン50がロック位置に押し出されると、上記したようにその前面50aが下カバー18の後端面18cに当接されるため、両刈り込み刃20,30および上下のカバー16,18が使用位置に保持される。
【0009】
図2および図5に示すように押しボタン50の上側には、常時閉形のセンサ55(マイクロスイッチ)が配置されている。このセンサ55は、電動モータ10を駆動するための駆動回路Cに組み込まれている。この駆動回路Cが図8に示されている。押しボタン50がロック位置に押し出されている状態では、このセンサ55はオン状態に保持される。このオン状態では駆動回路が閉じられる。押しボタン50をアンロック位置に押し込み操作すると、このセンサ55がオフする。このセンサ55はオフ状態では上記駆動回路Cが開かれ、従って電動モータ10は起動しない状態に保持される。
次に、図1に示すように本体ケース11の後部には、ハンドル部40が設けられている。ハンドル部40は本体ケース11の上部から後方へ張り出す把持部40aと、この把持部40aの後端から下方へL字形に延びて本体ケース11の下部に至る枠部40bを有する、概ねD字形を有している。把持部40aの基端側(本体ケース11に近い部位)に、トリガ形式のスイッチレバー41が配置されている。このスイッチレバー41を指先で引き操作すると、メインスイッチ42がオンし、これにより電動モータ10が起動する。しかしながら、スイッチレバー41を引き操作してメインスイッチ42をオンしても、前記センサ55がオフした状態では、駆動回路Cが開かれているため電動モータ10は起動しない。
ハンドル部40の把持部40aの後端からは電源コード43が引き出されている。この電源コード43の引き出し基端側の一定範囲は、ゴムカバー43aによって保護されている。このゴムカバー43aによって電源コード43の引き出し基端側の折れ曲がりが防止され、これにより当該電源コード43の損傷が防止される。
次に、本体2には補助ハンドル45が取り付けられている。この補助ハンドル45は、側方から見ると本体2の下部から前方斜め上方に向けて延びる状態に固定されている。また、この補助ハンドル45は、平面的に見ると本体2の左右両側部間に跨った状態に固定されている。当該刈り込み機1の使用者は、片手でハンドル部40の把持部40aを把持し、他方の手でこの補助ハンドル45を把持して、当該刈り込み機1を用いることができる。
また、本体2の前部には、遮蔽板46が取り付けられている。この遮蔽板46は、本体2の前面下部から斜め上方へ立ち上がる状態に固定されている。この遮蔽板46によって、刈り取られた枝葉等が使用者側に飛散することが防止される。この遮蔽板46は、固定ねじ46aを緩めれば、本体2から簡単に取り外すことができる。
【0010】
以上のように構成された本実施形態の刈り込み機1によれば、両刈り込み刃20,30を本体2から前方へ延びる使用位置に位置させると、押しボタン50が圧縮ばね51によってロック位置に押し出され、これにより両刈り込み刃20,30が使用位置にロックされる。押しボタン50がロック位置に押し出された状態では、センサ55がオンして駆動回路Cが閉じられる。このため、両刈り込み刃20,30を使用位置に位置させた状態で、スイッチレバー41を引き操作すると、電動モータ10が起動して両刈り込み刃20,30が動作し、これにより刈り込み作業を行うことができる。
当該刈り込み機1を使用しない場合等には、両刈り込み刃20,30を収納しておくことができる。両刈り込み刃20,30を収納するためには、まず押しボタン50をアンロック位置まで押し込み操作し、この状態のまま両刈り込み刃20,30を上下カバー16,18とともに支軸13を中心にして180°後ろ側へ回動させる。これにより、両刈り込み刃20,30および上下カバー16,18は、支軸13から後方に延びてハンドル部40の枠部40bおよび電源コード43に沿った収納位置に収納される。
ここで、両刈り込み刃20,30を使用位置に位置させた状態における当該刈り込み機1の全長(機長)L1は、上記のようにして両刈り込み刃20,30を収納位置に収納することにより全長L2にコンパクト化することができる。収納時に遮蔽カバー46を本体2から取り外すことにより、全長L2は概ね刈り込み刃20,30の長さと同等になる一方、全長L1は両刈り込み刃20,30の長さに本体2の一部およびハンドル部40およびゴムカバー43aの長さを付加した長さとなる。このことから、収納時における当該刈り込み機1の全長L2を少なくともハンドル部40およびゴムカバー43の機長方向の長さ分だけ短くすることができ、従って使用時における全長L1よりも大幅に短くすることができる(L2≪L1)。
以上のことから、本実施形態の刈り込み機1によれば、従来よりもその全長を大幅に短くした状態で収納することができるので、より小さなスペースに収納しておくことができる。また、両刈り込み刃20,30を収納して当該刈り込み機1の全長を従来よりも大幅に短くすることができるので、当該刈り込み機1の製造メーカー出荷段階において、荷積みスペース等を大幅に節約して搬送コストを低減することができる。
【0011】
また、両刈り込み刃20,30を収納した状態では、押しボタン50がアンロック位置に保持され、その結果センサ55がオフして駆動回路Cが遮断された状態に保持されるので、電源コード43を接続した状態でスイッチレバー41を誤って引き操作した場合であっても刈り込み刃20,30の不用意な誤作動を確実に防止することができる。
さらに、例示した刈り込み機1によれば、下カバー18には、後端面18cに加えてそれぞれ平坦な左右端面18a,18bが設けられており、支軸13と各端面18a,18b,18c間の距離は相互に同一寸法に設定されている。このため、例えば図7に示すように両刈り込み刃20,30を前記したように使用位置から180°回転させるのではなく、右側または左側に90°回転させた場合にも、押しボタン50の前面50aを右端面18aまたは左端面18bに当接する状態とすることができる。このため、例えば図7に示すように刈り込み刃20,30を左側(図では右回り)に90°回転させて、当該両刈り込み刃20,30を本体2に対して左側方へ延びる位置に固定することができる。すなわち、図3に示す状態において押しボタン50を一旦アンロック位置に押し込み操作し、この状態で両刈り込み刃20,30を本体2に対して左側(図7では右回り)に90°回転させる。然る後、押しボタン50の押し込み操作を解除して当該押し込みボタン50を圧縮ばね51の付勢力によってロック位置に戻すと、図7に示すようにその前面50aが下カバー18の左端面18bに当接する状態となって当該両刈り込み刃20,30が左側に90°回転した補助使用位置に固定される。
また、図示は省略したが、押しボタン50をアンロック位置に押し込み操作した状態で、両刈り込み刃20,30を本体2に対して右側(図7において左回り方向)に90°回転させ、然る後押しボタン50の押し込み操作を解除すれば、両刈り込み刃20,30が右側の補助使用位置に固定される。
上記のようにして両刈り込み刃20,30を右側または左側の補助使用位置に固定した状態では、押しボタン50がロック位置に位置していることから、センサ55がオンした状態となっている。このため、スイッチレバー41を引き操作すれば電動モータ10が起動して両刈り込み刃20,30を作動させることができる。
このように、本実施形態の刈り込み機1によれば、両刈り込み刃20,30を本体2に対して前方へ延びる使用位置に加えて左右側方を延びる補助使用位置に位置させることができることから、様々な作業形態に対して刈り込み刃20,30を最適な位置に位置変更して刈り込み作業を効率よく行うことができる。
【0012】
以上説明した第1実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、第1実施形態ではロック部材として押しボタン50を例示したが、図9に示すようにロック部材としてロックレバー60を用いる構成(第2実施形態)としてもよい。第1実施形態と同様の構成および部材については同じ符号を用いてその説明を省略する。
両刈り込み刃20,30および上下のカバー16,18は、第1実施形態と同様支軸13を中心にして一体で水平方向に360°の範囲で回動可能に設けられている。
本体2の両側部の下部には、それぞれロックレバー60が上下に傾動操作可能に設けられている。図10に示すように両ロックレバー60は、それぞれL字形に屈曲している。また、図12に示すように両ロックレバー60,60は、支軸61を介して連結されている。このため、両ロックレバー60,60は、相互に一体となって上下に傾動操作され、これにより本体2に対していずれの側からもロックレバー60を傾動操作することができる。さらに、一方のロックレバー60と、本体ケース11の側部との間には捩りばね62が介装されている。この捩りばね62により、両ロックレバー60,60は、それぞれ傾動先端側のL形屈曲部60aを下方へ変位させる方向(ロック位置側)に付勢されている。
図10に示すように本体ケース11の両側部であって、各ロックレバー60の下側と上側にはストッパ壁部63,64が側方へ張り出すように設けられている。各ロックレバー60の傾動範囲は、このストッパ壁部63,64によって規制されている。ロックレバー60の下方への傾動範囲は、下側のストッパ壁部63により規制されている。
両ロックレバー60,60が捩りばね62の付勢力によりロック位置側に傾動して下側のストッパ壁部63に当接することにより、当該両ロックレバー60,60がロック位置に保持される。ロックレバー60,60がロック位置に保持された状態では、これらのL形屈曲部60a,60aが下カバー18の左右端面18a,18bに沿った状態となる。この状態では、両刈り込み刃20,30の回動動作が禁止されて、それぞれ本体2から前方に延びる使用位置または後方に延びる収納位置に保持される。
【0013】
使用者が捩りばね62に抗してロックレバー60,60をそれぞれ上側のストッパ壁部64に当接するアンロック位置まで傾動操作すると、そのL形屈曲部60a,60aが下カバー18の左右端面18a,18aから外れる。このため、両刈り込み刃20,30を支軸13を中心にして水平に回動可能な状態となって、これらを使用位置から収納位置へ、あるいはその逆に回動させることができる。
本体2の下面には、前記第1実施形態と同様センサ65が配置されている。このセンサ65にも常時閉形のマイクロスイッチが用いられており、第1実施形態と同様電動モータ10の駆動回路Cに組み込まれて第1実施形態と同様の機能は果たす。すなわち、両刈り込み刃20,30を使用位置に位置させた状態では、このセンサ65はオンして駆動回路Cを閉じた状態に保持される。このため、スイッチレバー41を引き操作すると電動モータ10が起動して両刈り込み刃20,30を作動させることができる。
一方、ロックレバー60,60をアンロック位置に傾動操作して両刈り込み刃20,30を収納位置に移動させると、センサ65がオフして駆動回路Cが開かれる。このため、この状態ではスイッチレバー41を引き操作しても電動モータ10が起動せず、従って両刈り込み刃20,30は作動しない。
このようにロック部材としてロックレバー60,60を設けることによっても、両刈り込み刃20,30を使用位置に位置させて当該刈り込み機1の全長をL1とした状態と、両刈り込み刃20,30を収納位置に位置させて当該刈り込み機1の全長をL2とした状態(L1≫L2)とに切り換えることができるので、従来よりもコンパクトに収納することができる。従って、従来よりも小さな収納スペースに収納することができるとともに、当該刈り込み機1の製造メーカーの出荷段階等における荷積みスペースを節約して、搬送コストの低減を図ることができる。
また、両刈り込み刃20,30を収納位置に移動させると、センサ65がオフして電動モータ10を起動できない状態になるので、当該刈り込み機1の収納時等における誤作動を確実に防止することができる。
【0014】
以上説明した各実施形態には、さらに変更を加えることができる。例えば、センサ55,65は必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
また、2枚の刈り込み刃20,30を相互に反対方向に往復動させる形態の刈り込み機1を例示したが、一方の刈り込み刃のみを往復動させる形態の刈り込み機にも同様に適用することができる。
さらに、本願発明は、電源コード43を有しないバッテリ式の刈り込み機にも適用することができる。
また、図示は省略したが、第1実施形態において押しボタン50を本体2の下面後部に加えて下面前部であって支軸13に対して点対称となる部位にも設けて、刈り込み刃20,30を収納位置に位置させた状態においてこの前側の押しボタンの後面を下カバー18の後端面18cに当接させる構成とすることにより、刈り込み刃20,30を収納位置においても回転不能にロックすることができる。この構成の場合、刈り込み刃20,30を補助使用位置に位置させると、下カバー18の左右端部にそれぞれ押しボタンが当接して当該両刈り込み刃20,30がこの補助使用位置において回転不能にロックされる。
この実施形態は、「刈り込み刃を使用位置に位置させると該刈り込み刃の回転範囲内に進入して該刈り込み刃の回転を規制し、該刈り込み刃を収納位置に位置させると該刈り込み刃の回転範囲内から退出して該刈り込み刃の回転を許容する第1の押しボタンと、刈り込み刃を使用位置に位置させると該刈り込み刃の回転範囲内から退出して該刈り込み刃の回転を許容し、刈り込み刃を収納位置に位置させると該刈り込み刃の回転範囲内に進入して該刈り込み刃の回転を規制する第2の押しボタンを供えた刈り込み機」と特定して、より上位の概念に包含することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る刈り込み機の全体の縦断面図である。本図は、刈り込み刃を使用位置に位置させた状態を示している。
【図2】第1実施形態に係る刈り込み機の本体下部付近の縦断面図である。本図は、刈り込み刃を使用位置に位置させた状態を示している。
【図3】第1実施形態に係る刈り込み機の全体を下面側(図1において矢印(3)方向)から見た図である。
【図4】第1実施形態に係る刈り込み機の全体の縦断面図である。本図は、刈り込み刃を収納位置に位置させた状態を示している。
【図5】第1実施形態に係る刈り込み機の本体下部付近の縦断面図である。本図は、刈り込み刃を収納位置に位置させた状態を示している。
【図6】第1実施形態に係る刈り込み機の全体を下面側(図4において矢印(6)方向)から見た図である。
【図7】第1実施形態に係る刈り込み機を下面側から見た図である。本図は、刈り込み刃を使用位置と収納位置との間の補助使用位置に位置させた状態を示している。
【図8】駆動回路の回路図である。
【図9】第2実施形態に係る刈り込み機の全体をその下面側から見た図である。本図は、刈り込み刃を使用位置に位置させた状態を示している。
【図10】第2実施形態に係る刈り込み機の全体側面図である。本図は、刈り込み刃を収納位置に位置させた状態を示している。
【図11】第2実施形態に係る刈り込み機の全体を下面側(図10において矢印(11)方向)から見た図である。
【図12】図10における(12)-(12)線断面矢視図であって、第2実施形態に係る刈り込み機における左右のロックレバーの連結構造を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1…刈り込み機
2…本体
10…電動モータ
10a…駆動ギヤ
11…本体ケース、11a…軸受け部、11b…止め輪
12…駆動ホイール、12a…ギヤ部
13…支軸
14,15…円板
16…上カバー
17…軸受け
18…下カバー、18a…右端面、18b…左端面、18c…後端面
19…固定ねじ
20,30…刈り込み刃
20a,30a…刃先、20b,30b…係合孔
40…ハンドル部、40a…把持部、40b…枠部
41…スイッチレバー
42…メインスイッチ
43…電源コード、43a…ゴムカバー
45…補助ハンドル
46…遮蔽板、46a…固定ねじ
50…押しボタン、50a…前面
51…圧縮ばね
55…センサ
C…駆動回路
60…ロックレバー、60a…L形屈曲部
61…支軸
62…捩りばね
63…ストッパ壁部(ロック位置用)
64…ストッパ壁部(アンロック位置用)
65…センサ
L1…使用状態の全長
L2…収納状態の全長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する駆動軸を備えた本体と、該本体の後部から後方へ延びるハンドル部と、前記本体の駆動軸に取り付けられて前記本体の前方へ延びる長尺の刈り込み刃を備え、該刈り込み刃を前記駆動軸を中心にして後ろ側に回転させて前記本体および前記ハンドル部に沿った収納位置に収納可能な構成とした刈り込み機。
【請求項2】
請求項1記載の刈り込み機であって、前記刈り込み刃を前記本体から前方へ延びる使用位置に保持するロック部材を備え、該ロック部材をアンロック操作して前記刈り込み刃を後ろ側の収納位置に回転可能な構成とした刈り込み機。
【請求項3】
請求項2記載の刈り込み機であって、前記本体に内蔵した電動モータを駆動源として前記駆動軸が回転され、前記ロック部材をアンロック操作すると前記電動モータの駆動回路が遮断される構成とした刈り込み機。
【請求項4】
請求項2記載の刈り込み機であって、前記本体の下面にロック部材として押しボタンをばね付勢力に抗してアンロック方向に押し込み操作可能に設け、該押しボタンが前記ばね付勢力によりロック位置に押し出された状態では、該押しボタンが前記刈り込み刃の後端面に対向位置して該刈り込み刃を使用位置において左右両方向に回転不能にロックする一方、前記押しボタンを前記ばね付勢力に抗してアンロック位置に押し込み操作すると、該押しボタンが前記刈り込み刃の回転範囲内から退出して該刈り込み刃を前記使用位置から前記収納位置に回転可能となる構成とした刈り込み機。
【請求項5】
請求項2記載の刈り込み機であって、前記本体の側部にロック部材としてロックレバーをばね付勢力に抗して上側のアンロック方向に傾動操作可能に設け、該ロックレバーが前記付勢力によりロック位置に位置する状態では、該ロックレバーが前記刈り込み刃の回転範囲内に進入して該刈り込み刃を前記使用位置および前記収納位置において回転不能にロックする一方、前記ロックレバーを前記ばね付勢力に抗してアンロック位置に傾動操作すると、該ロックレバーが前記刈り込み刃の回転範囲内から退出して該刈り込み刃を前記使用位置と前記収納位置との間で回転操作可能となる構成とした刈り込み機。
【請求項6】
請求項5記載の刈り込み機であって、前記ロックレバーは前記本体の両側部に設け、該両ロックレバーが前記ロック位置に位置する状態では、該両ロックレバーが前記刈り込み刃を回転方向両側から挟んで前記使用位置および前記収納位置において左右両方向に回転不能にロックする構成とした刈り込み機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−101798(P2006−101798A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294940(P2004−294940)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)