説明

列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法及びそのシステム

【課題】列車運行の正確な遅延時間を自動的に算出・表示することで運転士の負担を軽減できる列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】固定側制御装置11は、中央処理装置12と、計時装置13と、列車ID読み取り装置14と、列車停車検知装置15と、列車停車時刻送信装置16とを具備し、移動側制御装置21は、中央処理装置22と、計時装置23と、列車ID記憶装置24と、列車停車時刻受信装置25と、列車停車時刻記憶装置26と、列車ダイヤ時刻表記憶装置27と、列車停車遅延時間記憶装置28と、列車発車検知装置29と、列車発車時刻記憶装置30と、列車発車遅延時間記憶装置31と、運転台に設置した列車遅延時間表示装置32とを具備し、列車運行における正確な停車遅延時間および発車遅延時間を自動的に算出して前記列車遅延時間表示装置32に自動的に表示し運転士に報知するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法及びそのシステムに係り、列車運行におけるダイヤ乱れ時の遅延時間を算出し、運転台に表示する方法及びそのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、列車運行における遅延時間を算出・表示するシステムに関しては、駅情報表示盤に表示する技術(下記特許文献1)や、指令所等が遅延の度合いを把握しやすくする技術(下記特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−073383号公報
【特許文献2】特開2000−001168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、駅での列車の停止やノッチ・ブレーキ操作と連動し、正確な遅延時間を運転台に表示して運転士に知らせる方法及びそのシステムの提案はなかった。
列車の遅延時間を運転士にわかりやすく知らせるシステムが提案されていないため、運転士はダイヤ時刻表と現在時刻を確認し、遅延時間を自ら計算しなければならず負担となっている。
【0005】
本発明は、上記状況に鑑みて、駅での列車の停車やノッチ・ブレーキ操作と連動し、列車運行の正確な遅延時間を自動的に算出・表示することにより運転士の負担を軽減することができる、列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法及びそのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法において、列車10が駅に入ってくると、固定側制御装置11によって前記列車10のID情報を読み取り、前記列車10が停車すると、列車停車時刻を検知し、この列車停車時刻を前記固定側制御装置11から移動側制御装置21に送信し、この移動側制御装置21で受信した停車時刻をダイヤ時刻表と比較し、停車遅延時間を算出して表示装置に自動的に表示するとともに、前記列車の発車動作を検知すると、それを発車時刻とし前記ダイヤ時刻表と比較し、発車遅延時間を算出して前記表示装置に自動的に表示することにより、前記停車遅延時間および前記発車遅延時間を運転士に報知するようにしたことを特徴とする。
【0007】
〔2〕列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムにおいて、列車10の駅停止位置3付近に配置される固定側制御装置11と、前記列車10の運転台に設置される移動側制御装置21とを備え、前記固定側制御装置11は、中央処理装置(CPU)12と、計時装置(時計)13と、列車ID読み取り装置14と、列車停車検知装置15と、列車停車時刻送信装置16とを具備し、前記移動側制御装置21は、中央処理装置(CPU)22と、計時装置(時計)23と、列車ID記憶装置24と、列車停車時刻受信装置25と、列車停車時刻記憶装置26と、列車ダイヤ時刻表記憶装置27と、列車停車遅延時間記憶装置28と、列車発車検知装置29と、列車発車時刻記憶装置30と、列車発車遅延時間記憶装置31と、運転台に設置した列車遅延時間表示装置32とを具備し、列車運行における正確な停車遅延時間および発車遅延時間を自動的に算出して前記列車遅延時間表示装置32に自動的に表示し運転士に報知するようにしたことを特徴とする。
【0008】
〔3〕上記〔2〕記載の列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムにおいて、前記列車発車検知装置は、運転席のノッチの投入操作の検知装置であることを特徴とする。
〔4〕上記〔2〕記載の列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムにおいて、前記列車発車検知装置は、列車の戸閉めの表示灯の動作検知装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、列車運行における正確な遅延時間を自動的に算出して運転台に設置した表示装置に自動的に表示して運転士に報知することにより、運転士の列車運行に関する心理的負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例を示す列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムの概要説明図である。
【図2】本発明の実施例を示す列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法の概略フローチャートである。
【図3】本発明の実施例を示す列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムのブロック図である。
【図4】本発明の実施例を示す列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムの詳細な動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法は、列車が駅に入ってくると、固定側制御装置によって前記列車のID情報を読み取り、前記列車が停車すると、列車停車時刻を検知し、この列車停車時刻を前記固定側制御装置から移動側制御装置に送信し、この移動側制御装置で受信した停車時刻をダイヤ時刻表と比較し、停車遅延時間を算出して表示装置に自動的に表示するとともに、前記列車の発車動作を検知すると、それを発車時刻とし前記ダイヤ時刻表と比較し、発車遅延時間を算出して前記表示装置に自動的に表示することにより、前記停車遅延時間および前記発車遅延時間を運転士に報知するようにした。
【0012】
また、本発明の列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムは、列車の駅停止位置付近に配置される固定側制御装置と、前記列車の運転台に設置される移動側制御装置とを備え、前記固定側制御装置は、中央処理装置(CPU)と、計時装置(時計)と、列車ID読み取り装置と、列車停車検知装置と、列車停車時刻送信装置とを具備し、前記移動側制御装置は、中央処理装置(CPU)と、計時装置(時計)と、列車ID記憶装置と、列車停車時刻受信装置と、列車停車時刻記憶装置と、列車ダイヤ時刻表記憶装置と、列車停車遅延時間記憶装置と、列車発車検知装置と、列車発車時刻記憶装置と、列車発車遅延時間記憶装置と、運転台に設置した列車遅延時間表示装置とを具備し、列車運行における正確な停車遅延時間および発車遅延時間を自動的に算出して前記列車遅延時間表示装置32に自動的に表示し運転士に報知するようにした。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示す列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムの概要説明図、図2は本発明の実施例を示す列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法の概略フローチャートである。
この図において、1は駅、2は駅のホーム、3はそのホーム2における列車10の停止位置、11はその停止位置3付近に配置される固定側制御装置、21は列車10の運転台に設置される移動側制御装置である。
【0014】
まず、本発明の列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法の概略フローを図2を用いて説明する。
(1)列車が駅に入ってくると、固定側制御装置で列車ID情報を読み取る(ステップS1)。
(2)列車が停車すると列車停車時刻を検知し、この列車停車時刻を固定側制御装置から移動側制御装置に送信する(ステップS2)。
【0015】
(3)移動側制御装置で受信した停車時刻をダイヤ時刻表と比較し、列車停車遅延時間を算出する(ステップS3)。
(4)算出された列車停車遅延時間を表示装置に自動的に表示し、運転士に報知する(ステップS4)。
(5)列車の発車動作を検知すると、それを列車発車時刻としダイヤ時刻表と比較し、列車発車遅延時間を算出して表示装置に自動的に表示し、運転士に報知する(ステップS5)。
【0016】
以下、本発明の列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムの具体的構成について説明する。
図3は本発明の実施例を示す列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムのブロック図である。
この図において、固定側制御装置11は、中央処理装置(CPU)12と、計時装置(時計)13と、列車ID読み取り装置14と、列車停車検知装置15と、列車停車時刻送信装置16とを具備し、移動側制御装置21は、中央処理装置(CPU)22と、計時装置(時計)23と、列車ID記憶装置24と、列車停車時刻受信装置25と、列車停車時刻記憶装置26と、列車ダイヤ時刻表記憶装置27と、列車停車遅延時間記憶装置28と、列車発車検知装置29と、列車発車時刻記憶装置30と、列車発車遅延時間記憶装置31と、列車遅延時間表示装置(運転台に設置)32とを具備し、列車運行の正確な遅延時間を自動的に算出・表示して、運転士に報知するようにした。
【0017】
以下、本発明の実施例を示す列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムの詳細な動作を図4を参照しながら説明する。
(1)列車10には列車ID記憶装置24が設けられており、列車10が駅1に入って停止位置3付近に至ると、固定側制御装置11の列車ID読み取り装置14が列車ID記憶装置24から列車10のID情報を読み取る(ステップS11)。
【0018】
(2)列車10が停車すると、固定側制御装置11の列車停車検知装置15が列車10の停車時刻を検知する(ステップS12)。
(3)すると、固定側制御装置11の列車停車時刻送信装置16が検知した列車10の停車時刻を列車10に対して送信し(ステップS13)、その列車停車時刻を移動側制御装置21の列車停車時刻受信装置25が受信する(ステップS14)。
【0019】
(4)次に、列車停車時刻記憶装置26が受信した列車10の停車時刻を記憶する(ステップS15)。
(5)移動側制御装置21は、ステップ15で記憶した列車10の停車時刻と、列車ダイヤ時刻表記憶装置27に記憶されたダイヤ時刻とを比較して、列車10の停車遅延時間を算出する(ステップS16)。
【0020】
(6)次に、算出した列車10の停車遅延時間を列車停車遅延時間記憶装置28に記憶する(ステップS17)。
(7)記憶した列車10の停車遅延時間を列車遅延時間表示装置32に自動的に表示する(ステップS18)。
(8)列車発車検知装置29が、ノッチの投入操作又は戸閉めの表示灯の動作を検知することによって列車10の発車時刻を検知する(ステップS19)。
【0021】
(9)その検知した列車10の発車時刻を列車発車時刻記憶装置30に記憶する(ステップS20)。
(10)次に、その列車発車時刻に基づいて列車10の発車遅延時間を算出する(ステップS21)。
(11)算出した列車10の発車遅延時間を列車発車遅延時間記憶装置31に記憶する(ステップS22)。
【0022】
(12)最後に、記憶した列車10の発車遅延時間を列車遅延時間表示装置32に自動的に表示する(ステップS23)。
このように構成することにより、列車運行における正確な遅延時間を自動的に算出し、運転士が見やすいように運転台に設置した表示装置に自動的に表示することができるので、列車の停車遅延時間と発車遅延時間を運転士に報知し、回復運転の目安とすることができる。
【0023】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法及びそのシステムは、列車運行の正確な遅延時間を自動的に算出し、その遅延時間を運転士に報知することにより、運転士の負担を軽減することができる、列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法及びそのシステムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 駅
2 駅のホーム
3 列車の停止位置
11 固定側制御装置
12,22 中央処理装置(CPU)
13,23 計時装置(時計)
14 列車ID読み取り装置
15 列車停車検知装置
16 列車停車時刻送信装置
21 移動側制御装置
24 列車ID記憶装置
25 列車停車時刻受信装置
26 列車停車時刻記憶装置
27 列車ダイヤ時刻表記憶装置
28 列車停車遅延時間記憶装置
29 列車発車検知装置
30 列車発車時刻記憶装置
31 列車発車遅延時間記憶装置
32 列車遅延時間表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車が駅に入ってくると、固定側制御装置によって前記列車のID情報を読み取り、前記列車が停車すると、列車停車時刻を検知し、該列車停車時刻を前記固定側制御装置から移動側制御装置に送信し、該移動側制御装置で受信した停車時刻をダイヤ時刻表と比較し、停車遅延時間を算出して表示装置に自動的に表示するとともに、前記列車の発車動作を検知すると、それを発車時刻とし前記ダイヤ時刻表と比較し、発車遅延時間を算出して前記表示装置に自動的に表示することにより、前記停車遅延時間および前記発車遅延時間を運転士に報知するようにしたことを特徴とする列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示方法。
【請求項2】
列車の駅停止位置付近に配置される固定側制御装置と、前記列車の運転台に設置される移動側制御装置とを備え、前記固定側制御装置は、中央処理装置(CPU)と、計時装置(時計)と、列車ID読み取り装置と、列車停車検知装置と、列車停車時刻送信装置とを具備し、前記移動側制御装置は、中央処理装置(CPU)と、計時装置(時計)と、列車ID記憶装置と、列車停車時刻受信装置と、列車停車時刻記憶装置と、列車ダイヤ時刻表記憶装置と、列車停車遅延時間記憶装置と、列車発車検知装置と、列車発車時刻記憶装置と、列車発車遅延時間記憶装置と、運転台に設置した列車遅延時間表示装置とを具備し、列車運行における正確な停車遅延時間および発車遅延時間を自動的に算出して前記列車遅延時間表示装置に自動的に表示し運転士に報知するようにしたことを特徴とする列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システム。
【請求項3】
請求項2記載の列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムにおいて、前記列車発車検知装置は、運転席のノッチの投入操作の検知装置であることを特徴とする列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システム。
【請求項4】
請求項2記載の列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システムにおいて、前記列車発車検知装置は、列車の戸閉めの表示灯の動作検知装置であることを特徴とする列車のダイヤ乱れ時の遅延時間算出・表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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