説明

列車位置・乗継接続情報管理装置

【課題】他路線との接続時の各路線・各社間の列車ダイヤ調整を円滑にすることができる列車位置・乗継接続情報管理装置を提供する。
【解決手段】列車・車両位置情報検出部1によって検出された車両位置情報と、各種の運行情報が列車・車両位置情報受信部2によって受信され、ダイヤデータ取得部6によって出発・到着時刻等の計画データが取得される。遅延時分算出部10によって、列車・編成位置情報検索部5による検索結果と、計画データ保存部9に保存されている計画到着時刻とに基づいて到着遅れ時刻が算出される。到着予測時刻算出部11によって、遅延時分算出部10による算出結果に基づいて、各駅の到着予測時刻が算出され、出発時刻変更要否判定部13によって、列車乗降統計データ保存部14から取得した乗り継ぎに関する種々のデータと到着予測時刻算出部11による算出結果に基づいて、接続列車の出発時刻を変更する必要があるか否かが判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、列車位置・乗継接続情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両が各路線を走行する現状において、一台の車両が運行計画と異なる走行をした場合、他の車両の走行に影響を与えるおそれがある。そのため、各車両が滞りなく計画通りに運行できるように、例えば運行管理システムによって車両の運行が監視制御されている。
【0003】
このような運行管理システムによれば、当初の計画通りに列車が運行されている間は、該運行管理システム上に表示されている運行番号(ダイヤ乱れ時には変更される)をキーにして、運行番号に対応した車両の割付情報(編成番号(車両番号))により、どの列車・編成がどの位置を走行もしくは停車しているかを把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−314734号公報
【特許文献2】特開2003−242215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダイヤが乱れた時に当初の運行計画が変更されると、上記の車両の割付情報はメンテナンスされない場合が多く、列車位置の把握が人間系になってしまうため、ダイヤ乱れ時において列車を特定するため一意に決まる編成番号(車両番号)を把握することは難しい。そのため、現状においては、列車無線や各社指令間での連絡による人間系での調整により、特定の列車の編成位置を把握するしかない。それには自社のみではなく他社の協力が必要になっており、各社相互乗り入れが増えている中、さらに不便さを感じることとなっていた。
【0006】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、正確に走行列車の列車・編成位置を把握することで、特に終電の他路線との接続時の各路線・各社間の列車ダイヤ調整を円滑にすることができる列車位置・乗継接続情報管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、実施例1の列車位置・乗継接続情報管理装置は、車両が走行する路線上に設置され、軌道上の所定範囲を通過する車両を検出する列車・車両位置情報検出部と、走行列車の現時点の列車・編成位置情報を検索する列車・編成位置情報検索部と、自社及び他社線の列車計画ダイヤ及び運転整理ダイヤを取得し、計画データ保存部に保存するダイヤデータ取得部と、前記列車・編成位置情報検索部による検索結果と、前記計画データ保存部に保存されている計画到着時刻とに基づいて、各路線の各駅における到着遅れ時刻を算出する遅延時分算出部と、前記遅延時分算出部による算出結果に基づいて、各路線の各駅への到着予測時刻を算出する到着予測時刻算出部と、前記到着予測時刻算出部による算出結果と、過去の実績データから取得した乗り継ぎに関するデータに基づいて、接続列車の出発時刻を変更する必要があるか否かを判定する出発時刻変更要否判定部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
上記のような構成を有する実施例1の列車位置・乗継接続情報管理装置によれば、現時点の列車位置を把握することで、途中駅・終着駅・他路線への接続駅へ到着する予測時刻を算出することができ、その結果を接続駅へ通知することで接続先の最終列車の発車予測時刻をこれまでより早く、より正しく乗客へ伝えることができる。また、各路線・各社間の調整作業も軽減することができる。また、列車位置が特定できることで、走行中の列車の相互乗入れ先及び行先に合わせた運行情報(遅延情報など)を的確に列車内の表示機に配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の列車位置・乗継接続情報管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】列車計画ダイヤ保存部に保存されている出発・到着時刻データ(計画データ)の一例を示す図である。
【図3】到着予測時刻データ保存部に保存されている出発・到着時刻データ(計画データ)及び到着予測時刻データの一例を示す図である。
【図4】実施例2の列車位置・乗継接続情報管理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】到着最適予測時刻データ保存部に保存されている出発・到着時刻データ(計画データ)及び出発・到着最適予測時刻データの一例を示す図である。
【図6】実施例3の列車位置・乗継接続情報管理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施例4の列車位置・乗継接続情報管理装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施例5の列車位置・乗継接続情報管理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】(A)は、実施例5における進行方向に応じた運行情報抽出データの一例を示す図であり、(B)は抽出された運行情報の配信先データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る列車位置・乗継接続情報管理装置の実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
(1−1)実施例1の構成
図1に示すように、本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は、以下のように構成されている。すなわち、列車・車両位置情報検出部1は、車両が走行する路線(軌道)上に設置され、軌道上の所定範囲を通過する車両を検出し、その検出結果を有線又は無線で列車・車両位置情報受信部2に送信する手段である。なお、この列車・車両位置情報検出部1は、列車を特定するための一意に決まる編成番号(車両番号)を実際の線路脇等で把握するための装置であり、この装置をいくつか走行順序の変更が行われる駅の進行方向側に設置する。又は、GPSを保有した車両に設置する車載器に編成番号(車両番号)を持たせ、編成位置と編成番号(車両番号)とを車両から地上へ送る方式を用いても良い。
【0012】
これにより、その地点で確実に編成番号(車両番号)を取得でき、自社の運行管理システムでの運行番号と紐付けすることで、編成番号(車両番号)を簡易追跡できるように構成されている。この列車・車両位置情報検出部1としては、例えば、いわゆる地上子として軌道に設置されている既存のセンサ等を利用することができる。
【0013】
また、前記列車・車両位置情報受信部2は、前記列車・車両位置情報検出部1から受信した列車・車両位置情報(実測データ)と、自社の運行管理システムに設けられた運行情報送信部3及び他社の運行管理システムに設けられた運行情報送信部21から受信し、受信した各種の運行情報を実測データ保存部4に保存する手段である。
【0014】
また、列車・編成位置情報検索部5は、前記実測データ保存部4から走行列車の現在時点の列車・編成位置情報を検索する手段である。ここで、列車・編成位置情報とは、走行列車の運行番号・編成番号・走行ルート(発駅、途中駅、着駅)、通過時刻等をいう。
【0015】
また、ダイヤデータ取得部6は、例えば、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅における出発・到着時刻等を、自社線の列車計画ダイヤ保存部7及び運転整理ダイヤ(当日計画ダイヤ)保存部8、及び他社線の列車計画ダイヤ保存部22及び運転整理ダイヤ保存部23から取得し、計画データ保存部9に保存する手段である。
【0016】
また、遅延時分算出部10は、前記列車・編成位置情報検索部5による検索結果と、前記計画データ保存部9に保存されている予め計画されている到着時刻とに基づいて、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅における到着遅れ時刻を算出する手段である。また、到着予測時刻算出部11は、前記遅延時分算出部10による算出結果に基づいて、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅へ到着する予測時刻を算出し、到着予測時刻データ保存部12に保存する手段である。
【0017】
また、出発時刻変更要否判定部13は、過去の実績データを蓄積した列車乗降統計データ保存部14から乗り継ぎデータ取得部15によって取得した乗り継ぎに関する種々のデータ(例えば、乗り換えに必要な時間等)と前記到着予測時刻算出部11による算出結果に基づいて、接続駅において、乗り継ぎ時間が確保されているか否かを判断し、接続列車の出発時刻を変更する必要があるか否かを判定する手段である。
【0018】
さらに、到着予測時刻通知部16は、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅へ到着する予測時刻を、自他社の指令所・駅、運転士・車掌等の乗務員、各駅の係員、接続するバス会社等へ通知する手段である。また、同様に、遅延時分通知部17は、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅における到着遅れ時刻を自他社の指令所・駅、運転士・車掌等の乗務員、各駅の係員、接続するバス会社等へ通知する手段である。さらに、出発時刻変更通知部18は、他路線との接続駅に、接続列車の出発時刻を変更する必要がある旨を通知する手段である。なお、これら到着予測時刻通知部16、遅延時分通知部17、出発時刻変更通知部18は、必ずしも個別に設ける必要はなく、一つの通知部として構成しても良い。
【0019】
なお、走行列車の現在時点の列車・編成位置情報(列車位置・通過時刻・乗入れ先線区・行先・進行方向等)により、列車内の情報表示機に適切な運行情報(遅れ情報や接続情報、イベント情報等)を表示する表示部(図示せず)を設けても良い。この表示部としては、例えば、自他社指令所又は駅の情報表示装置、駅係員及び乗務員(運転士・車掌)の携帯表示装置、列車内の情報表示機、他路線の接続駅及び接続バス会社の情報表示装置等が挙げられる。
【0020】
(1−2)実施例1の作用
上記のような構成を有する本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は以下のように作用する。すなわち、前記列車・車両位置情報検出部1によって検出された列車・車両位置情報(実測データ)と、自他社の運行管理システムから受信した各種の運行情報が前記列車・車両位置情報受信部2によって受信され、前記実測データ保存部4に保存される。一方、前記ダイヤデータ取得部6によって、例えば、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅における出発・到着時刻等が前記計画データ保存部9に保存される。
【0021】
続いて、前記列車・編成位置情報検索部5によって、前記実測データ保存部4から走行列車の現在時点の列車・編成位置情報が検索され、前記遅延時分算出部10によって、前記列車・編成位置情報検索部5による検索結果と、前記計画データ保存部9に保存されている予め計画されている到着時刻とに基づいて、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅における到着遅れ時刻が算出される。
【0022】
続いて、前記到着予測時刻算出部11によって、前記遅延時分算出部10による算出結果に基づいて、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅へ到着する予測時刻が算出され、到着予測時刻データ保存部12に保存される。また、前記出発時刻変更要否判定部13によって、過去の実績データを蓄積した列車乗降統計データ保存部14から乗り継ぎデータ取得部15によって取得した乗り継ぎに関する種々のデータ(例えば、乗り換えに必要な時間等)と前記到着予測時刻算出部11による算出結果に基づいて、接続駅において、乗り継ぎ時間が確保されているか否かが判断され、接続列車の出発時刻を変更する必要があるか否かが判定される。
【0023】
さらに、到着予測時刻通知部16、遅延時分通知部17、出発時刻変更通知部18によって、自他社の指令所・駅、運転士・車掌等の乗務員、各駅の係員、接続するバス会社等へ、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅へ到着する予測時刻、到着遅れ時刻、また、他路線との接続駅に、接続列車の出発時刻を変更する必要がある旨の通知等がなされる。
【0024】
なお、図2は、前記列車計画ダイヤ保存部7に保存されている自社の各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅における出発・到着時刻データ(計画データ)の一例を示したものである。すなわち、図2に示したように、この列車計画ダイヤにおいては、B路線との接続駅であるA10駅におけるA路線の最終列車の到着時刻は0:21とされ、この最終列車と接続されるB路線の最終列車がB01駅を出発する時刻は0:26とされており、A10駅からB01駅への乗り換え時間として5分が設定されている。
【0025】
また、図3は、前記到着予測時刻データ保存部12に保存されている各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅における出発・到着予測時刻データの一例を示したものである。すなわち、図3に示した例では、A路線のA01駅とA02駅との間で、降雨のため2分の遅延が発生したため、A路線とB路線の接続駅であるA10駅への到着予測時刻は0:23とされている。一方、B路線においてもA路線のA10駅への到着予測時刻の遅れ2分が拡大され、5分の遅延が発生しており、A路線の最終列車と接続する列車が、その接続駅であるB01駅を出発する予測時刻は0:31とされている。
【0026】
この場合、図2に示した当初の計画データでは、A路線とB路線の接続駅であるA10駅からB01駅への乗り換え時間として“5分”が設定されている。一方、図3に示した例では、B路線においても既にA路線の遅れが影響している関係で遅延が発生しているため、A10駅からB01駅への乗り換え時間として“8分”確保されていることになる。その結果、前記出発時刻変更要否判定部13においては、“B01駅において出発時刻を変更する必要はない”と判定し、通知はされない。
【0027】
(1−3)実施例1の効果
このように本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置によれば、現時点の列車位置を把握することで、途中駅・終着駅・他路線への接続駅へ到着する予測時刻を算出することができ、その結果を接続駅へ通知することで接続先の最終列車の発車予測時刻をこれまでより早く、より正しく乗客へ伝えることができる。また、各路線・各社間の調整作業も軽減することができる。また、列車位置が特定できることで、走行中の列車の相互乗入れ先及び行先に合わせた運行情報(遅延情報など)を的確に列車内の表示機に配信することができる。
【実施例2】
【0028】
(2−1)実施例2の構成
本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は、上記実施例1の変形例であって、図4に示すように、実施例1の到着予測時刻算出部11の代わりに、到着最適予測時刻算出部31を設けたものである。この到着最適予測時刻算出部31は、過去の曜日別・日別・時間帯別等の実績データを蓄積した列車乗降統計データ保存部14から取得した、進行方向の駅での遅れ影響時間データを考慮に入れ、且つ、前記遅延時分算出部10による算出結果に基づいて、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅へ到着する最適予測時刻を算出し、到着最適予測時刻データ保存部32に保存する手段である。
【0029】
また、到着最適予測時刻通知部33は、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅へ到着する最適予測時刻を、自他社の指令所・駅、運転士・車掌等の乗務員、各駅の係員、接続するバス会社等へ通知する手段である。その他の構成は上記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0030】
(2−2)実施例2の作用
上記のような構成を有する本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は以下のように作用する。すなわち、実施例1の到着予測時刻算出部11の代わりに設けられた前記到着最適予測時刻算出部31によって、過去の曜日別・日別・時間帯別等の実績データを蓄積した列車乗降統計データ保存部14から取得した、進行方向の駅での遅れ影響時間データを考慮に入れ、且つ、前記遅延時分算出部10による算出結果に基づいて、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅へ到着する最適予測時刻が算出され、この到着最適予測時刻が前記到着最適予測時刻データ保存部32に保存される。
【0031】
また、前記到着最適予測時刻通知部33によって、各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅へ到着する最適予測時刻が、自他社の指令所・駅、運転士・車掌等の乗務員、各駅の係員、接続するバス会社等へ通知される。
【0032】
なお、図5は、前記到着最適予測時刻データ保存部32に保存されている各路線の最終列車について、その出発駅・途中駅・終着駅・他路線との接続駅における出発・到着最適予測時刻データの一例を示したものである。すなわち、図5に示した例では、A路線のA01駅とA02駅との間で降雨のため5分の遅延が発生したうえに、A09駅においては、前記列車乗降統計データ保存部14から取得した進行方向の駅での遅れ影響時間データに基づいて、遅れの影響が“12分”に拡大すると予測され、さらに、A路線とB路線の接続駅であるA10駅においては、遅れの影響が“15分”に拡大すると予測されている。その結果、A10駅への最終列車の到着最適予測時刻は0:36とされている。
【0033】
一方、A路線との接続駅であるB路線のB01駅においては、当初の計画データによる最終列車の出発時刻は、0:26であり、A路線の最終列車がA10駅へ到着する最適予測時刻の0:36より10分も早い。そのため、前記出発時刻変更要否判定部13において、A10駅からB01駅への乗り換え時間は確保されておらず、“B01駅において出発時刻を変更する必要がある”と判定され、乗り継ぎ先の列車の出発時刻を変更する必要がある旨の通知がなされる。
【0034】
なお、この場合、B路線のB01駅における出発時刻の変更は、乗り継ぎ前のA路線の列車の遅れ時間“15分”の上に、前記列車乗降統計データ保存部14から取得したB路線の各駅での遅れ影響時間データに基づいて、遅れの影響がさらに“3分”拡大されると予測されるため、B01駅から出発する接続列車の出発予測時刻は“18分”遅らせて、0:44とされている。
【0035】
(2−3)実施例2の効果
上記のような構成を有する本実施例によれば、過去の列車乗降統計データに基づいて、進行方向の駅での遅れ影響時間を考慮した到着最適予測時刻を算出することができるので、上記実施例1の効果に加えて、より精度の高い情報提供を行うことができる。
【実施例3】
【0036】
(3−1)実施例3の構成
本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は、上記実施例1又は実施例2の変形例であって、図6に示すように、実施例1又は実施例2の出発時刻変更要否判定部13の代わりに、又は、出発時刻変更要否判定部13に加えて、乗客滞留状況予測部41と運転整理案作成部42を設けたものである。
【0037】
すなわち、前記乗客滞留状況予測部41は、前記遅延時分算出部10による算出結果と、過去の曜日別・日別・時間帯別等の実績データを蓄積した列車乗降統計データ保存部14から乗客滞留データ取得部43により取得した、ダイヤ乱れ時の各駅ホーム・構内での乗客滞留状況を数値化した各駅の乗客滞留データに基づいて、各路線の最終列車について、各駅ホーム・構内での乗客滞留状況を予測する手段である。
【0038】
また、前記運転整理案作成部42は、前記到着予測時刻算出部11又は到着最適予測時刻算出部31の算出結果と、前記乗客滞留状況予測部41の予測結果に基づいて、今後到着する列車について、臨時列車の追加や発車時刻の抑止等といった運転整理案を作成する手段である。さらに、運転整理案通知部44は、前記運転整理案作成部42によって作成された運転整理案を、自他社の指令所・駅、運転士・車掌等の乗務員、各駅の係員、接続するバス会社等へ通知する手段である。その他の構成は上記実施例1又は実施例2と同様であるので説明は省略する。
【0039】
(3−2)実施例3の作用
上記のような構成を有する本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は以下のように作用する。すなわち、前記乗客滞留状況予測部41によって、前記遅延時分算出部10による算出結果と、前記乗客滞留データ取得部43により取得したダイヤ乱れ時の各駅の乗客滞留データに基づいて、各路線の最終列車について、各駅ホーム・構内での乗客滞留状況が予測される。
【0040】
また、前記運転整理案作成部42によって、前記到着予測時刻算出部11又は到着最適予測時刻算出部31の算出結果と、前記乗客滞留状況予測部41の予測結果に基づいて、今後到着する列車について、臨時列車の追加や発車時刻の抑止等といった運転整理案が作成され、前記運転整理案通知部44によって、その運転整理案が、自他社の指令所・駅、運転士・車掌等の乗務員、各駅の係員、接続するバス会社等へ通知される。
【0041】
(3−3)実施例3の効果
上記のような構成を有する本実施例によれば、過去の実績データから、ダイヤが乱れた時の各駅ホーム・構内での乗客滞留状況を予測し、このデータを考慮に入れて運転整理案を作成することができるので、上記実施例1又は実施例2の効果に加えて、より精度の高い情報提供を行うことができる。
【実施例4】
【0042】
(4−1)実施例4の構成
本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は、上記実施例1又は実施例2の変形例であって、図7に示すように、実施例1又は実施例2の出発時刻変更要否判定部13の代わりに、又は、出発時刻変更要否判定部13に加えて、乗り継ぎ乗客数予測部51と列車接続可否判定部52を設けたものである。
【0043】
すなわち、前記乗り継ぎ乗客数予測部51は、前記遅延時分算出部10による算出結果と、過去の曜日別・日別・時間帯別等の実績データを蓄積した列車乗降統計データ保存部14から乗り継ぎ乗客数データ取得部53により取得した接続駅における乗り継ぎ乗客数に基づいて、各路線の最終列車について、接続駅で乗り継ぎする乗客数を予測する手段である。
【0044】
また、前記列車接続可否判定部52は、前記到着予測時刻算出部11又は到着最適予測時刻算出部31の算出結果と、前記乗り継ぎ乗客数予測部51の予測結果に基づいて、接続先の他社線区において接続を待つか否かといった列車接続可否を判断する手段である。さらに、列車接続可否通知部54は、列車接続の可否を、自他社の指令所・駅、運転士・車掌等の乗務員、各駅の係員、接続するバス会社等へ通知する手段である。その他の構成は上記実施例1又は実施例2と同様であるので説明は省略する。
【0045】
(4−2)実施例4の作用
上記のような構成を有する本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は以下のように作用する。すなわち、前記乗り継ぎ乗客数予測部51によって、前記遅延時分算出部10による算出結果と、乗り継ぎ乗客数データ取得部53により取得した接続駅における乗り継ぎ乗客数に基づいて、各路線の最終列車について、接続駅で乗り継ぎする乗客数が予測される。
【0046】
続いて、前記列車接続可否判定部52によって、前記到着予測時刻算出部11又は到着最適予測時刻算出部31の算出結果と、前記乗り継ぎ乗客数予測部51の予測結果に基づいて、接続先の他社線区において接続を待つか否かといった列車接続可否が判断される。例えば、乗り継ぎ乗客数が少ないと予測される場合には、接続駅において接続列車の出発時刻を遅らせることなく、発車を促す判断がなされる。さらに、前記列車接続可否通知部54によって、列車接続の可否が、自他社の指令所・駅、運転士・車掌等の乗務員、各駅の係員、接続するバス会社等へ通知される。
【0047】
(4−3)実施例4の効果
上記のような構成を有する本実施例によれば、乗り継ぎ乗客数予測部を設けることにより、乗り継ぎ乗客数の多寡に基づいて、接続先の他社線区において接続を待つか否かを判断することができるので、例えば、乗り継ぎ乗客数が少ないと予測される場合には、接続駅において接続列車の出発時刻を遅らせることなく、効率の良い運行計画を立てることができる。
【実施例5】
【0048】
(5−1)実施例5の構成
本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は、図8に示すように、前記列車・編成位置情報検索部5により、走行列車の現在時点の列車・編成位置情報(列車位置・通過時刻・乗入れ先線区・行先・進行方向など)を取得すると共に、自社の運行情報送信部3及び他社の運行情報送信部21から各種運行情報を取得する場合に、各列車の進行方向に応じた運行情報のみを抽出する運行情報抽出部61と、その抽出された有益な運行情報を列車内の情報表示機等に送信して、遅れ情報や接続情報、イベント情報等を表示する運行情報送信部62が設けられている。
【0049】
(5−2)実施例5の作用・効果
上記のような構成を有する本実施例の列車位置・乗継接続情報管理装置は以下のように作用する。すなわち、前記運行情報抽出部61によって、各列車の進行方向に応じた運行情報のみが抽出され、その抽出された有益な運行情報が、前記運行情報送信部62によって列車内の情報表示機等に送信される。
【0050】
なお、図9(A)は、前記運行情報抽出部61によって、列車番号78Sの列車について抽出すべき運行情報として“B”と“C”が選択される場合を示したものであり、乗り入れ先の走行線区及び行き先によって配信すべき運行情報が選択されるように構成されている。また、図9(B)に示したように、この抽出された運行情報は、運行情報送信部62によって指定された配信先に配信されるように構成されている。
【0051】
上記のような構成を有する本実施例によれば、各列車の進行方向に応じた運行情報のみが抽出され、その抽出された適切で有益な運行情報が、指定された配信先にのみ配信されるので、情報が氾濫することを防止することができ、有益な運行情報を適時取得することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…列車・車両位置情報検出部
2…列車・車両位置情報受信部
3…自社運行情報送信部
4…実測データ保存部
5…列車・編成位置情報検索部
6…ダイヤデータ取得部
7…自社列車計画ダイヤ保存部
8…自社運転整理ダイヤ保存部
9…計画データ保存部
10…遅延時分算出部
11…到着予測時刻算出部
12…到着予測時刻データ保存部
13…出発時刻変更要否判定部
14…列車乗降統計データ保存部
15…乗り継ぎデータ取得部
16…到着予測時刻通知部
17…遅延時分通知部
18…出発時刻変更通知部
21…他社運行情報送信部
22…他社列車計画ダイヤ保存部
23…他社運転整理ダイヤ保存部
31…到着最適予測時刻算出部
32…到着最適予測時刻データ保存部
33…到着最適予測時刻通知部
41…乗客滞留状況予測部
42…運転整理案作成部
43…乗客滞留データ取得部
44…運転整理案通知部
51…乗り継ぎ乗客数予測部
52…列車接続可否判定部
53…乗り継ぎ乗客数データ取得部
54…列車接続可否通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する路線上に設置され、軌道上の所定範囲を通過する車両を検出する列車・車両位置情報検出部と、
走行列車の現時点の列車・編成位置情報を検索する列車・編成位置情報検索部と、
自社及び他社線の列車計画ダイヤ及び運転整理ダイヤを取得し、計画データ保存部に保存するダイヤデータ取得部と、
前記列車・編成位置情報検索部による検索結果と、前記計画データ保存部に保存されている計画到着時刻とに基づいて、各路線の各駅における到着遅れ時刻を算出する遅延時分算出部と、
前記遅延時分算出部による算出結果に基づいて、各路線の各駅への到着予測時刻を算出する到着予測時刻算出部と、
前記到着予測時刻算出部による算出結果と、過去の実績データから取得した乗り継ぎに関するデータに基づいて、接続列車の出発時刻を変更する必要があるか否かを判定する出発時刻変更要否判定部とを備えたことを特徴とする列車位置・乗継接続情報管理装置。
【請求項2】
車両が走行する路線上に設置され、軌道上の所定範囲を通過する車両を検出する列車・車両位置情報検出部と、
走行列車の現時点の列車・編成位置情報を検索する列車・編成位置情報検索部と、
自社及び他社線の列車計画ダイヤ及び運転整理ダイヤを取得し、計画データ保存部に保存するダイヤデータ取得部と、
前記列車・編成位置情報検索部による検索結果と、前記計画データ保存部に保存されている計画到着時刻とに基づいて、各路線の各駅における到着遅れ時刻を算出する遅延時分算出部と、
過去の実績データから取得した進行方向の駅での遅れ影響時間データを考慮に入れ、且つ、前記遅延時分算出部による算出結果に基づいて、各路線の各駅への到着最適予測時刻を算出する到着最適予測時刻算出部と、
前記到着最適予測時刻算出部による算出結果と、過去の実績データから取得した乗り継ぎに関するデータに基づいて、接続列車の出発時刻を変更する必要があるか否かを判定する出発時刻変更要否判定部とを備えたことを特徴とする列車位置・乗継接続情報管理装置。
【請求項3】
前記遅延時分算出部による算出結果と、過去の実績データから取得した、ダイヤ乱れ時の各駅ホーム・構内における乗客滞留データに基づいて、各駅ホーム・構内での乗客滞留状況を予測する乗客滞留状況予測部と、
前記到着予測時刻算出部又は到着最適予測時刻算出部の算出結果と、前記乗客滞留状況予測部の予測結果に基づいて、今後到着する列車について運転整理案を作成する運転整理案作成部とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の列車位置・乗継接続情報管理装置。
【請求項4】
前記遅延時分算出部による算出結果と、過去の実績データから取得した接続駅における乗り継ぎ乗客数に基づいて、各路線の接続駅で乗り継ぎする乗客数を予測する乗り継ぎ乗客数予測部と、
前記到着予測時刻算出部又は到着最適予測時刻算出部の算出結果と、前記乗り継ぎ乗客数予測部の予測結果に基づいて、接続先の他社線区において接続を待つか否かといった列車接続可否を判断する列車接続可否判定部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の列車位置・乗継接続情報管理装置。
【請求項5】
走行列車の現時点の列車・編成位置情報に基づいて、各列車の進行方向に応じた運行情報のみを抽出する運行情報抽出部と、
その抽出された運行情報を列車内の情報表示機等に送信する運行情報送信部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の列車位置・乗継接続情報管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255766(P2011−255766A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131259(P2010−131259)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】