説明

列車在線情報配信装置

【課題】過去の運行情報を簡単に確認することができる列車在線情報配信装置を提供する。
【解決手段】線路上での列車の在線状態を示す列車在線情報を運行管理装置20から受信し、受信した列車在線情報をインターネット30経由で情報端末装置40に配信し、情報端末装置40に列車在線情報をリアルタイムで表示させる配信サーバ10であって、運行管理装置20から受信した列車在線情報を時刻データと共に記憶するTIDデータ記憶部15と、再現表示開始時刻を指定した時刻指定リクエストを受信すると、再現表示開始時刻に基づいてTIDデータ記憶部15を検索し、再現表示開始時刻の列車在線情報を生成し、時刻指定リクエストを受け付けた情報端末装置40宛に、生成した再現表示開始時刻の列車在線情報を配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車在線情報を駅務室等に備えた情報端末装置や、保守要員等用のパーソナルコンピュータ等の情報端末装置に配信して表示させる列車在線情報配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、列車の運行を管理する運行管理装置から通信回線を介して列車在線情報を受信し、受信した列車の在線状態を情報端末装置に情報配信し、リアルタイムで表示させる列車在線情報配信装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような列車在線情報配信装置では、情報端末装置で現在の列車在線状態をリアルタイムでモニタリングすることが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−112321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、リアルタイムな列車在線情報の配信のみであり、過去の運行情報を確認することができないために、停電や計画停電が発生した場合には、現在列車が停止している在線状態を知ることができず、運転再開までに長時間を要しているという問題点があった。また、情報端末装置側で受信した過去の列車在線情報を記録して対応することもできるが、この場合には、過去の全ての列車在線情報を蓄積するには情報端末装置を常時稼働させておく必要があり、現実的ではない。
【0005】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、過去の運行情報を情報端末装置で簡単に確認することができる列車在線情報配信装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る列車在線情報配信装置は、線路上での列車の在線状態を示す列車在線情報を上位装置から受信し、受信した前記列車在線情報をネットワーク経由で情報端末装置に配信し、前記情報端末装置に前記列車在線情報をリアルタイムで表示させる列車在線情報配信装置であって、前記上位装置から受信した前記列車在線情報を時刻データと共に記憶する列車在線情報記憶手段と、再現表示開始時刻を指定した時刻指定リクエストを受信すると、再現表示開始時刻に基づいて前記列車在線情報記憶手段を検索し、再現表示開始時刻の前記列車在線情報を生成し、前記時刻指定リクエストを受け付けた前記情報端末装置宛に、生成した再現表示開始時刻の前記列車在線情報を配信すると共に、再現表示開始時刻以降の前記列車在線情報を順次配信する再現データ配信手段とを具備することを特徴とする。
また、前記再現データ配信手段は、前記列車在線情報記憶手段に記憶された前記列車在線情報の配信を指示する再現リクエストを受信すると、再現表示開始時刻を指定する時刻指定画面を生成して前記再現リクエストを受け付けた前記情報端末装置宛に配信しても良い。
また、本発明に係る列車在線情報配信装置は、前記上位装置から受信した前記列車在線情報に基づいて障害判定を行い、障害発生と判定した場合には、前記列車在線情報と共に障害データを列車在線情報記憶手段に記憶させる列車在線情報蓄積手段を具備し、前記再現データ配信手段は、障害発生時刻を判別可能な前記時刻指定画面を生成しても良い。
また、前記列車在線情報蓄積手段は、前記上位装置から受信した前記列車在線情報に基づいて、列車の在線している線路上の区間の数が予め設定されている閾値以上か否かの停電障害判定を行っても良い。
また、前記列車在線情報蓄積手段は、前記上位装置から受信した前記列車在線情報に基づいて、列車が在線しているが列車を特定することができない線路上の区間があるか否かの故障障害判定を行っても良い。
また、前記列車在線情報蓄積手段は、前記上位装置から受信した前記列車在線情報に基づいて線路上の1つの区間に予め設定されている時間以上、列車が在線しているか否かの故障障害判定を行っても良い。
また、前記再現データ配信手段は、前記情報端末装置によって指定された時間間隔で再現表示開始時刻以降の前記列車在線情報を配信しても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の列車在線情報配信装置は、上位装置から受信した列車在線情報を時刻データと共に記憶する列車在線情報記憶手段と、再現表示開始時刻を指定した時刻指定リクエストを受信すると、再現表示開始時刻に基づいて列車在線情報記憶手段を検索し、再現表示開始時刻の列車在線情報を生成し、時刻指定リクエストを受け付けた情報端末装置宛に、生成した再現表示開始時刻の列車在線情報を配信すると共に、表示開始時刻以降の前記列車在線情報を順次配信する再現データ配信手段とを設けることで、停電や計画停電が発生した場合でも、現在の列車在線状態が確認できるので、運転再開が迅速に行える、また、過去の運行情報を簡単に確認することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る列車在線情報配信装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すTIDデータ配信部で生成されるTID画面例を示す図である。
【図3】図1に示すTIDデータ配信部で生成されるTID画面例を示す図である。
【図4】図1に示すTIDデータ配信部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示すTIDデータ蓄積部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示す再現データ配信部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1に示す再現データ配信部の動作を説明するための説明図である。
【図8】図1に示す再現データ配信部の動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
本実施の形態の列車在線情報配信装置は、図1を参照すると、運行管理装置20から線路上の列車の在線状態を示す列車在線情報を受信し、インターネット30を介して受信した列車在線情報を情報端末装置40に配信する配信サーバ10である。なお、インターネット30は、電話回線網、ISDN回線網、専用線、移動体通信網、通信衛星回線、CATV回線網等の各種通信回線網と、それらを接続するインターネットサービスプロバイダや基地局等を含む。
【0011】
運行管理装置20は、列車の運行を管理するための装置であり、所定のスケジュールに従って信号機・ポイントの切換や踏切遮断機及び警報機の作動を管理する。また、運行管理装置20は、線路上の各区間に配置され、線路上の区間に列車が存在するか否かを検知する軌道回路(不図示)からの信号を受信することで、列車の在線状態を示す列車在線情報や列車の遅れ時分等を示す遅延情報等を管理している。列車在線情報及び遅延情報は、運行管理装置20によって、列車の運行状況を表示する列車運行状況表示装置(Train Information Display)の表示情報(以下、TIDデータと称す)として、予め設定された所定時間毎に配信サーバ10に対して出力される。
【0012】
配信サーバ10は、プログラム制御によって動作するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、図1を参照すると、TIDデータ受信部11と、TIDデータ配信部12と、送受信部13と、TIDデータ蓄積部14と、TIDデータ記憶部15と、再現データ配信部16とを備えている。
【0013】
TIDデータ受信部11は、運行管理装置20と直接もしくはインターネット等のネットワークを介して情報通信を行う機能を有する。TIDデータ受信部11は、所定時間毎に運行管理装置20からTIDデータを受信し、受信したTIDデータをTIDデータ配信部12に出力する。
【0014】
TIDデータ配信部12は、TIDデータを受信すると、直近に受信したTIDデータと比較することで、直近に受信したTIDデータとの差分を示す変化データを生成し、生成した変化データをTIDデータ蓄積部14に出力すると共に、送受信部13を介して生成した変化データを最新の列車在線情報として情報端末装置40に配信する。なお、変化データの配信は、更新リクエストを受信している情報端末装置40に対して行われ、情報端末装置40から接続リクエストを受信した場合には、直近のTIDデータを最新の列車在線情報として情報端末装置40に配信する。
【0015】
送受信部13は、インターネット30を介して情報端末装置40と情報通信を行う機能を有する。送受信部13は、インターネット30を介して情報端末装置40から受信した各種リクエストを、その種類に応じてTIDデータ配信部12もしくは再現データ配信部16に振り分けると共に、TIDデータ配信部12及び再現データ配信部16で生成された変化データやTIDデータを、インターネット30を介して情報端末装置40に送信する。また、送受信部13は、FTP(File Transfer Protocol)による、TIDデータ記憶部15に記憶された各種データファイルのダウンロードと、TIDデータ記憶部15への各種データファイルのアップロードを管理する。
【0016】
情報端末装置40は、通信機能を備えたパーソナルコンピュータ等のプログラム制御によって動作する情報処理装置であり、配信サーバ10にインターネット30を介してアクセスする機能(例えば、Webブラウザ)を備えている。情報端末装置40は、ユーザの操作等に応じて各種リクエストを配信サーバ10に送信する機能と、配信サーバ10から配信されたTIDデータに基づいて、図2に示すようなTID画面50を生成して表示させる機能と、配信サーバ10から配信された変化データに基づいて、TID画面50を更新する機能とを有している。
【0017】
TID画面50は、列車在線情報を表示するための線路を模式した画面であり、線路上の区間に列車が在線しているか否かを表示するための在線表示領域51と、在線している列車番号を表示する列車番号表示領域52と、駅名を表示する駅名表示領域53と、各種メッセージを表示するメッセージ表示領域54と、再現指示操作領域60とからなる。図2に示す例では、在線表示領域51において、列車が在線している線路上の区間が網掛けで表現されており、列車が在線している線路上の区間の近傍に配置された列車番号表示領域52に在線している列車の列車番号が表示されている。再現指示操作領域60は、通常表示と再現表示とを選択する表示種類選択欄61と、表示の開始や終了を支持する指示ボタン62と、再現表示時の表示速度を選択する表示速度選択欄63と、再現表示時の一時停止を指示する一時停止ボタン64とがレイアウトされている。
【0018】
配信サーバ10のTIDデータ蓄積部14は、TIDデータ配信部12から入力された変化データを時刻データと共に蓄積する。また、TIDデータ蓄積部14は、入力された変化データに基づいて障害発生の有無を判定する障害判定を行う。障害判定の結果、障害発生と判定した場合には、TIDデータ蓄積部14は、入力された変化データに障害データを付加して蓄積する。本実施の形態では、障害判定として、列車の在線している線路上の区間の数が予め設定されている閾値以上か否かの停電障害判定を行う。軌道回路は、フェールセーフによって停電時には在線となり、図3に示すように、広い範囲の在線表示領域51において、列車が在線していることになってしまう。従って、入力された変化データに基づいて現在の列車在線情報を把握することで停電の発生の可能性を判定することができる。また、障害判定として、列車が在線しているが列車を特定することができない線路上の区間があるか否か、また、線路上の1つの区間に予め設定されている時間以上、列車が在線しているか否かの故障障害判定を行う。軌道回路は、フェールセーフによって故障時には在線となると共に、列車故障によっても同一区間が在線状態となる。従って、過去分の列車在線情報と入力された変化データに基づく現在の列車在線情報を把握することで、軌道回路や列車の故障の可能性を判定することができる。さらに、TIDデータ蓄積部14は、蓄積した変化データを30分ごとにファイル化し、再現表示用TIDデータ(当日用)としてTIDデータ記憶部15に記憶させる。
【0019】
TIDデータ記憶部15は、過去分の列車在線情報を記憶するためのHDD等の列車在線情報記憶手段であり、再現表示用TIDデータ(当日用)と、再現表示用TIDデータ(直近一週間用)と、再現表示用TIDデータ(指定日用)とがファイル化されて記憶される。
【0020】
再現データ配信部16は、情報端末装置40から再現リクエストを受信した場合には、再現表示開始時刻を指定する時刻指定画面を生成して再現リクエストを受け付けた情報端末装置40宛に配信する。また、再現データ配信部16は、再現表示開始時刻を指定した時刻指定リクエストを受信した場合には、再現表示開始時刻に基づいてTIDデータ記憶部15を検索し、時刻指定リクエストを受け付けた情報端末装置40宛に再現表示開始時刻のTIDデータを配信すると共に、再現表示開始時刻以降の変化データを指定された時間間隔で配信する。
【0021】
次に、配信サーバ10におけるTIDデータ配信部12の動作について図4を参照して詳細に説明する。
図4を参照すると、TIDデータ配信部12は、運行管理装置20からのTIDデータの受信と(ステップA1)、情報端末装置40からの更新リクエストの受信と(ステップA2)、情報端末装置40からの接続リクエストの受信とを監視している(ステップA3)。
【0022】
ステップA2で情報端末装置40から更新リクエストが受信されると、TIDデータ配信部12は、受信した更新リクエストを記憶してステップA1に戻る。また、ステップA3で情報端末装置40から接続リクエストが受信されると、TIDデータ配信部12は、直近のTIDデータを、接続リクエストを受け付けた情報端末装置40宛に配信し(ステップA5)、ステップA1に戻る。
【0023】
ステップA1で運行管理装置20からTIDデータを受信すると、TIDデータ配信部12は、直近に受信したTIDデータと比較することで、直前に受信したTIDデータとの差分を示す変化データを生成する(ステップA6)。次に、TIDデータ配信部12は、ステップA2で受信された更新リクエストが記憶されているか否かを判断する(ステップA7)。更新リクエストが記憶されている場合には、TIDデータ配信部12は、更新リクエストを受け付けた情報端末装置40宛に生成した変化データを配信し(ステップA8)、受信したTIDデータを直近のTIDデータとして記憶し(ステップA9)、ステップA1に戻る。更新リクエストが記憶されていない場合には、TIDデータ配信部12は、ステップA9を実行した後、ステップA1に戻る。なお、更新リクエストは、変化データを配信した後に消去される。
【0024】
次に、配信サーバ10におけるTIDデータ蓄積部14の動作について図5を参照して詳細に説明する。
図5を参照すると、TIDデータ蓄積部14は、TIDデータ配信部12からの変化データの受信を監視している(ステップB1)。ステップB1で情報端末装置40から更新リクエストが受信されると、TIDデータ蓄積部14は、入力された変化データに基づいて障害発生の有無を判定する障害判定を行い(ステップB2)、停電障害であるか否か(ステップB3)、故障障害であるか否か(ステップB4)が判断される。
【0025】
ステップB3で停電障害である場合には、TIDデータ蓄積部14は、入力された変化データと共に、時刻データと停電障害であることを示す停電障害データを蓄積し、ステップB1に戻る。また、ステップB4で停電障害である場合には、TIDデータ蓄積部14は、入力された変化データと共に、時刻データと故障障害であることを示す故障障害データを蓄積し、ステップB1に戻る。さらに、停電障害及び故障障害でない場合には、入力された変化データと共に、時刻データを蓄積し、ステップB1に戻る。なお、本実施の形態では、TIDデータ蓄積部14においては時刻データを付加するように構成したが、変化データ自体に時刻データが含まれている場合には、時刻データを付加する必要はない。また、TIDデータ蓄積部14からの変化データを蓄積するように構成したが、各時刻のTIDデータを蓄積するようにしても良い。
【0026】
次に、配信サーバ10における再現データ配信部16の動作について図6乃至図8を参照して詳細に説明する。
図6を参照すると、TIDデータ配信部12は、情報端末装置40からの再現リクエストの受信と(ステップC1)、情報端末装置40からの時刻指定リクエストの受信と(ステップC2)、情報端末装置40からの再現停止リクエストの受信とを監視している(ステップC3)。
【0027】
情報端末装置40において、図7(a)に示すように、TID画面50の再現指示操作領域60の表示種類選択欄61で再現表示を選択し、図7(b)に示すように、指示ボタン62をクリックして再現表示の開始を指示すると、情報端末装置40から配信サーバ10に再現リクエストが送信される。ステップC1で情報端末装置40から再現リクエストが受信されると、再現データ配信部16は、図7(c)に示すような再現表示開始時刻を指定する時刻指定画面70を生成し、再現リクエストを受け付けた情報端末装置40宛に生成した時刻指定画面70を配信し(ステップC5)、ステップC1に戻る。
【0028】
時刻指定画面70は、再生日を選択する再生日選択欄71と、再生時刻を選択する再生時刻選択欄72と、再現表示の再生を指示する再生指示ボタン73と、キャンセルボタン74とがレイアウトされている。
【0029】
再現データ配信部16は、時刻指定画面70を生成する際に、TIDデータ記憶部15に記憶されている再現表示用TIDデータを検索することで、再現表示用TIDデータが記憶されている日時データと、障害データとを取得し、取得した日時データ及び障害データに基づいて時刻指定画面70の再生日選択欄71及び再生時刻選択欄72を生成する。
図7(d)、図8(a)、(b)に示すように、再生日選択欄71及び再生時刻選択欄72では、プルダウンメニューで再生日及び再生時刻を選択できるようになっており、TIDデータ記憶部15に記憶されている再現表示用TIDデータの日時が選択項目となる。また、障害データに基づいて障害が発生した日時は、色や文字種等で他の日時と区別して表示される。なお、障害の発生や種類をマーク等で表記するようにしても良い。これにより、時刻指定画面70における再生開始時刻指定操作時に、障害の種類や発生時刻を把握することができる。例えば、情報端末装置40において、図8(b)に示すように、障害発生の前の時刻を指定して、障害発生の前のTIDデータを配信させることで、障害発生の直前のTID画面50を表示させることができ、障害発生の前の列車在線状態を簡単に把握することができる。
【0030】
情報端末装置40において、時刻指定画面70の再生指示ボタン73をクリックして再現表示の再生開示を指示すると、情報端末装置40から配信サーバ10に時刻指定リクエストが送信される。ステップC2で情報端末装置40から時刻指定リクエストが受信されると、再現データ配信部16は、時刻指定リクエストによって指定された再現表示開始時刻のTIDデータをTIDデータ記憶部15から取得し(ステップC6)、時刻指定リクエストを受け付けた情報端末装置40宛に取得したTIDデータを配信する(ステップC7)。時刻指定リクエストを受け付けた情報端末装置40宛には、指定された間隔で再現表示開始時刻以降の変化データを順次配信する(ステップC8)。なお、変化データを配信する間隔は、図8(c)に示すように、TID画面50の再現指示操作領域60の表示速度選択欄63で選択することができる。また、情報端末装置40で生成されるTID画面50は、TIDデータ配信部12で生成されるTID画面50と色やレイアウトを変更することで、再現表示であることを簡単に把握可能に構成すると好適である。
【0031】
情報端末装置40の再現表示中において、TID画面50の再現指示操作領域60の指示ボタン62をクリックして再現表示の終了を指示すると、情報端末装置40から配信サーバ10に再現停止リクエストが送信される。ステップC3で情報端末装置40から再現停止リクエストが受信されると、再現データ配信部16は、再現停止リクエストを受け付けた情報端末装置40への変化データの配信を停止させ(ステップC9)、ステップC1に戻る。
【0032】
なお、本実施の形態では、変化データに基づいて障害の発生を判定して、障害が発生した時刻データを再生開始時刻指定操作時に表示するように構成したが、所定時間以上の遅延が発生した時刻データを再生開始時刻指定操作時に表示するようにしても良い。この場合には、遅延が発生した時刻前後のTID画面を表示させることで遅延発生の解析を簡単に行うことができる。
【0033】
以上、説明したように本実施の形態は、線路上での列車の在線状態を示す列車在線情報を運行管理装置20から受信し、受信した列車在線情報をインターネット30経由で情報端末装置40に配信し、情報端末装置40に列車在線情報をリアルタイムで表示させる配信サーバ10であって、運行管理装置20から受信した列車在線情報を時刻データと共に記憶するTIDデータ記憶部15と、再現表示開始時刻を指定した時刻指定リクエストを受信すると、再現表示開始時刻に基づいてTIDデータ記憶部15を検索し、再現表示開始時刻の列車在線情報を生成し、時刻指定リクエストを受け付けた情報端末装置40宛に、生成した再現表示開始時刻の列車在線情報を配信すると共に、再現表示開始時刻以降の列車在線情報を順次配信する再現データ配信部16を設けたことにより、停電や計画停電が発生した場合でも、現在の列車在線状態が確認できるので、運転再開が迅速に行える、また、過去の運行情報を簡単に確認することができるという効果を奏する。
【0034】
また、本実施の形態によれば、再現データ配信部16において、TIDデータ記憶部15に記憶された列車在線情報の配信を指示する再現リクエストを受信すると、再現表示開始時刻を指定する時刻指定画面を生成して再現リクエストを受け付けた情報端末装置40宛に配信しても良い。この場合には、時刻指定画面を用いることで情報端末装置40において簡単に再現表示開始時刻を指定することができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、運行管理装置20から受信した列車在線情報に基づいて障害判定を行い、障害発生と判定した場合には、列車在線情報と共に障害データをTIDデータ記憶部15に記憶させるTIDデータ蓄積部14を具備し、再現データ配信部16は、障害発生時刻を判別可能な時刻指定画面を生成しても良い。この場合には、情報端末装置40において障害発生時刻を勘案した再現表示開始時刻を指定することができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、TIDデータ蓄積部14は、運行管理装置20から受信した列車在線情報に基づいて、列車の在線している線路上の区間の数が予め設定されている閾値以上か否かの停電障害判定を行っても良い。この場合には、情報端末装置40において停電障害が発生した時刻を勘案した再現表示開始時刻を指定することができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、TIDデータ蓄積部14は、運行管理装置20から受信した列車在線情報に基づいて、列車が在線しているが列車を特定することができない線路上の区間があるか否かの故障障害判定を行っても良い。この場合には、情報端末装置40において軌道回路の故障障害が発生した時刻を勘案した再現表示開始時刻を指定することができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、TIDデータ蓄積部14は、運行管理装置20から受信した前記列車在線情報に基づいて線路上の1つの区間に予め設定されている時間以上、列車が在線しているか否かの故障障害判定を行っても良い。この場合には、情報端末装置40において軌道回路もしくは列車の故障障害が発生した時刻を勘案した再現表示開始時刻を指定することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、再現データ配信部16は、情報端末装置40によって指定された時間間隔で再現表示開始時刻以降の前記列車在線情報を配信しても良い。
【0040】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0041】
10 配信サーバ
11 TIDデータ受信部
12 TIDデータ配信部
13 送受信部
14 TIDデータ蓄積部
15 TIDデータ記憶部
16 再現データ配信部
20 運行管理装置
30 インターネット
40 情報端末装置
50 TID画面
51 在線表示領域
52 列車番号表示領域
53 駅名表示領域
54 メッセージ表示領域
60 再現指示操作領域
61 表示種類選択欄
62 指示ボタン
63 表示速度選択欄
64 一時停止ボタン
70 時刻指定画面
71 再生日選択欄
72 再生時刻選択欄
73 再生指示ボタン
74 キャンセルボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路上での列車の在線状態を示す列車在線情報を上位装置から受信し、受信した前記列車在線情報をネットワーク経由で情報端末装置に配信し、前記情報端末装置に前記列車在線情報をリアルタイムで表示させる列車在線情報配信装置であって、
前記上位装置から受信した前記列車在線情報を時刻データと共に記憶する列車在線情報記憶手段と、
再現表示開始時刻を指定した時刻指定リクエストを受信すると、再現表示開始時刻に基づいて前記列車在線情報記憶手段を検索し、再現表示開始時刻の前記列車在線情報を生成し、前記時刻指定リクエストを受け付けた前記情報端末装置宛に、生成した再現表示開始時刻の前記列車在線情報を配信すると共に、再現表示開始時刻以降の前記列車在線情報を順次配信する再現データ配信手段とを具備することを特徴とする列車在線情報配信装置。
【請求項2】
前記再現データ配信手段は、前記列車在線情報記憶手段に記憶された前記列車在線情報の配信を指示する再現リクエストを受信すると、再現表示開始時刻を指定する時刻指定画面を生成して前記再現リクエストを受け付けた前記情報端末装置宛に配信することを特徴とする請求項1記載の列車在線情報配信装置。
【請求項3】
前記上位装置から受信した前記列車在線情報に基づいて障害判定を行い、障害発生と判定した場合には、前記列車在線情報と共に障害データを列車在線情報記憶手段に記憶させる列車在線情報蓄積手段を具備し、
前記再現データ配信手段は、障害発生時刻を判別可能な前記時刻指定画面を生成することを特徴とする請求項2記載の列車在線情報配信装置。
【請求項4】
前記列車在線情報蓄積手段は、前記上位装置から受信した前記列車在線情報に基づいて、列車の在線している線路上の区間の数が予め設定されている閾値以上か否かの停電障害判定を行うことを特徴とする請求項3記載の列車在線情報配信装置。
【請求項5】
前記列車在線情報蓄積手段は、前記上位装置から受信した前記列車在線情報に基づいて、列車が在線しているが列車を特定することができない線路上の区間があるか否かの故障障害判定を行うことを特徴とする請求項3又は4記載の列車在線情報配信装置。
【請求項6】
前記列車在線情報蓄積手段は、前記上位装置から受信した前記列車在線情報に基づいて線路上の1つの区間に予め設定されている時間以上、列車が在線しているか否かの故障障害判定を行うことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の列車在線情報配信装置。
【請求項7】
前記再現データ配信手段は、前記情報端末装置によって指定された時間間隔で再現表示開始時刻以降の前記列車在線情報を配信すること特徴とする請求項1乃至6のいずれに記載の列車在線情報配信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−78996(P2013−78996A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219993(P2011−219993)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】