説明

列車所要時間提供装置

【課題】列車の遅延があった場合に、目的駅までの列車の予想所要時間を表示し、顧客に素早く予想所要時間を提供する。
【解決手段】路線にある各駅の中から任意の駅(例えば3駅毎)を、列車の在線情報を取得する駅である情報取得駅として設定し、更に、この情報取得駅の中から予想運行情報を表示させる駅を表示出発駅、予想運行情報の目的駅となる駅を表示到着駅としてそれぞれ設定する。列車在線情報から、各情報取得駅の運行番号で特定される各列車の到着時刻と出発時刻を特定し、任意の列車についての各情報所得駅の到着時刻と前情報取得駅での出発時刻の差から情報取得駅の各区間での所要時間をそれぞれ算出し、各情報取得駅での到着時刻と出発時刻の差から当該情報取得駅での停車時間をそれぞれ算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は列車の所要時間を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(特開2005-138710)には列車の運行情報を表示端末に表示する旨について開示されている。また、列車に遅延があった場合に列車個々の遅れを案内表示する旨についても特許文献2(特開2009-012649)でも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-138710
【特許文献2】特開2009-012649
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
列車の遅延があった場合に、目的駅までの列車の予想所要時間を表示させるものはまだない。列車の予想所要時間を表示させようとするには、例えばA駅からC駅までの所要時間を表示させたい場合、遅延状況下で特定の列車がA駅を出発してC駅に到着するまでの所要時間を運行情報から読みこんでそれを予想所要時間として表示させるものが考えられる。
【0005】
しかし、そのような方法では駅の数が多い場合には特定の電車が目的駅に到着するまで予想所要時間を表示できず、顧客にすばやく予想所要時間を提供できないという問題点がある。本発明は列車の遅延下において効率的に目的駅までの予想所要時間を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
路線にある各駅の中から任意の駅を情報取得駅と特定する情報と、前記情報取得駅の中から予想所要時間を表示させる駅である表示出発駅を特定する情報と、予想所要時間の目的駅である表示到着駅を特定する情報と、前記各駅を特定する情報に対応する列車が路線のどこにあるか示す在線位置コードを、それぞれ対応付け初期設定データベースに記憶する表示所要時間初期設定部と、
運行管理装置から、前記情報取得駅を特定する情報と、前記表示出発駅を特定する情報と、前記表示到着駅を特定する情報に対応するそれぞれの在線位置コードと、前記それぞれの在線位置コードに対応する運行番号を示す情報と対応する前記在線位置コードの送信時刻の情報を受取る列車在線情報取得部と、
前記運行管理装置から受信した情報のうち、各情報取得駅を特定する情報毎に各運行番号それぞれについて取得した最後の在線位置コードの送信時間を出発時刻、最初の在線位置コードの送信時間を到着時刻としてそれぞれ記憶する駅別列車発着データベースと、
前記駅別列車発着データベースから、任意の前記運行番号についての前記各情報取得駅の到着時刻と前情報取得駅での出発時刻の差から情報取得駅の各区間での所要時間をそれぞれ算出し、各情報取得駅での到着時刻と出発時刻の差から当該情報取得駅での停車時間をそれぞれ算出する情報取得駅所要時間・停車時間算出部と、
前記表示出発駅から前記表示到着駅方向に一番近い情報取得駅までの所要時間と、前記表示到着駅から前記表示出発駅方向に一番近い情報取得駅から前記表示到着駅までの所要時間と、前記表示出発駅から前記表示到着駅までの間にある前記算出された各情報取得駅間の各所要時間と各停車時間を足し合わせて予想所要時間を算出する表示所要時間算出部とを有する列車所要時間提供装置。
【0007】
さらに、前記各情報取得駅間で算出した所要時間を平常時の所要時間で割った各情報取得駅間の遅延率を、各駅間の平常時の所要時間に掛け合わせて各駅間の推定所要時間を算出するダイヤ乱れ時推定所要時間算出部と、
前記算出した推定所要時間を各駅区間毎に記憶するダイヤ乱れ時推定所要時間データベースとを有し、
前記表示所要時間初期設定部が、表示出発駅もしくは表示到着駅を情報取得駅を含む路線にある駅のいずれかに設定し、
前記表示出発駅もしくは前記表示到着駅のいずれかが情報取得駅ではない場合に、前記表示所要時間算出部が、前記るダイヤ乱れ時推定所要時間データベースの、前記算出された表示出発駅から表示出発駅に一番近い情報取得駅までの区間の推定所要時間の合計推定所要時間と、情報取得駅間の各所要時間と、表示到着駅から表示到着駅に一番近い情報取得駅までの区間の推定所要時間の合計推定所要時間と、前記算出した各情報取得駅での待ち時間をそれぞれ足し合わせて予想所要時間を算出する
ことを特徴とする列車所要時間提供装置。
【0008】
また、前記情報取得駅所要時間・停車時間算出部が、複数の任意の列車について平均所要時間を前記所要時間、平均待ち時間を前記待ち時間としてそれぞれ算出すること
を特徴とする。
【0009】
また、前記表示所要時間初期設定部が、折り返し運転が発生した場合に、前記折り返し駅が前記表示到着駅よりも前記表示出発駅側にある場合に、折り返し駅を表示到着駅と特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
より効率的に列車の予想所要時間を算出できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】全体システムの構成を表した構成図である。
【図2】列車情報取得部のフローチャートを表した図である。
【図3】情報取得駅所要時間・停車時間算出部のフローチャートを表した図である。
【図4】情報取得駅所要時間・停車時間算出部のフローチャートを表した図である。
【図5】ダイヤ乱れ時推定所要時間算出部のフローチャートを表した図である。
【図6】表示所要時間算出部のフローチャートを表した図である。
【図7】列車在線情報データベースを表した図である。
【図8】運行情報データベースを表した図である。
【図9】初期設定データベースを表した図である。
【図10】平常時隣接駅間所要時間データベースを表した図である。
【図11】平常時分割区間内所要時間データベースを表した図である。
【図12】情報取得フィルタデータベースを表した図である。
【図13】運行情報データベースを表した図である。
【図14】折り返し運転が発生した場合の情報取得フィルタデータベースを表した図である。
【図15】算出用列車在線情報データベースを表した図である。
【図16】折り返し運転が発生した場合の算出用列車在線情報データベースを表した図である。
【図17】駅別列車発着データベースを表した図である。
【図18】折り返し運転が発生した場合の駅別列車発着データベースを表した図である。
【図19】実績所要時間データベースを表した図である。
【図20】折り返し運転が発生意した場合の実績所要時間データベースを表した図である。
【図21】平均所要時間データベースを表した図である。
【図22】折り返し運転が発生した場合の平均所要時間データベースを表した図である。
【図23】実績所要時間データベースを表した図である。
【図24】折り返し運転が発生した場合の実績所要時間データベースを表した図である。
【図25】平均停車時間データベースを表した図である。
【図26】折り返し運転が発生した場合の平均停車時間データベースを表した図である。
【図27】ダイヤ乱れ時遅延率データベースを表した図である。
【図28】折り返し運転が発生した場合のダイヤ乱れ時遅延率データベースを表した図である。
【図29】ダイヤ乱れ時推定所要時間データベースを表した図である。
【図30】折り返し運転が発生した場合のダイヤ乱れ時推定所要時間データベースを表した図である。
【図31】表示所要時間データベースを表した図である。
【図32】折り返し運転が発生した場合の表示所要時間データベースを表した図である。
【図33】本実施例を説明する為の仮想路線の具体例を表した図である。
【図34】本実施例を説明する為の仮想路線の具体例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る所要時間算出装置とそれに関係する周辺装置の全体構成を示すシステム構成図である。
【0014】
図2〜図6は、本発明に係る列車在線情報取得部、情報取得駅所要時間・停車時間算出部、推定所要時間算出部、表示所要時間算出部の処理手順の実施形態を示すフローチャートである。
【0015】
図7〜図32は、本発明に係る所要時間算出装置における処理に必要な各情報のデータ構成を示すデータ構成図である。
【0016】
図1において、本発明は、運行管理装置1100と運行情報入力装置1200と所要時間算出装置1300から構成される。運行管理装置1100と所要時間算出装置1300、および、運行情報入力装置1200と所要時間算出装置1300は、LANなどのネットワークにより接続されている。運行管理装置1100および運行情報入力装置1200から出力された情報は、ほとんど時間差なく所要時間算出装置1300で取得されるものとする。
【0017】
運行管理装置1100は、列車在線情報を出力する列車在線情報出力部1110および列車在線位置情報データベースB0110を備える。列車在線情報とは、運行管理装置1100が管理対象とする路線上に存在する全ての列車を管理するための情報であり、運行管理装置1100が列車毎に進行方向、列車種別、在線位置などの情報を数秒周期で生成し、管理している。ここで出力される列車在線情報には、図7で示す列車在線情報データベースB0110を構成する情報が含まれているものとし、情報の内容について以降に説明する。路線T011001は管理対象列車が走行している路線である。方向T011002は管理対象列車が走行している方向(上り、下り)である。列車種別T011003は管理対象列車の種別(普通、回送、試運転など)を示すものである。在線位置コードT011004は管理対象列車の在線位置を示すものである。在線位置とは駅(上り側、下り側)および駅間の線路上などの列車が存在している位置のことであり、在線位置コードは、駅(上り側、下り側)および駅間の線路上などの位置を予め決められた数値などのコードで定義したものである。運行番号T011005は路線上に存在する列車を識別するために全ての列車に付与されるユニークな番号である。送信時刻T011006は、列車在線情報が列車在線情報出力部1110から出力された時刻である。ここでは、送信時刻T011006は、在線位置コードが示す位置に列車が在線していた時刻と同じものとする。また、列車在線情報は、列車在線情報出力部1110で周期的に生成され、生成と同時に所要時間算出装置1300へ出力されるものとする。列車在線情報の生成周期は、鉄道会社のシステムにより異なる。本発明の説明においては、便宜上、列車在線情報は10秒周期で運行管理装置で生成、出力されるものとする。
【0018】
運行情報配信装置1200は、運行情報を出力する運行情報出力部1210および運行情報データベースB0210を備える。運行情報とは、運行情報配信装置1200が管理対象とする路線の異常時に生成される情報である。ここで出力される運行情報には、図8で示す運行情報データベースB0210を構成する情報が含まれているものとし、情報の内容について以降に説明する。路線T021001は管理対象列車が走行している路線である。方向T021002は管理対象列車が走行している方向(上り、下り)である。発生時刻T021003は当該運行情報が生成された時刻である。事故種別T021004は異常の原因を示すものである。運転状況T021005はダイヤ乱れ等の運転状況を示すものである。運転制限区間始点駅在線位置コードT021006および運転制限区間終点駅在線位置コードT021007は、それぞれ、折返し運転などの運転制限区間がある場合の列車が走行する区間の始点駅と終点駅の在線位置コードである。振替種別T021008は振替を行う場合の振替内容を示すものである。運行情報は、異常時に運行情報配信装置1200で人手の入力情報を元に生成され、生成と同時に所要時間算出装置1300へ出力されるものとする。
【0019】
所要時間算出装置1300は、表示所要時間初期設定部1310、列車在線情報取得部1320、情報取得駅所要時間・停車時間算出部1330、推定所要時間算出部1340、表示所要時間算出部1350を備える。所要時間算出装置1300の各部について以下に説明する。
【0020】
表示所要時間初期設定部1310は、所要時間を算出するための各種条件および情報を予め設定し、データベースとして登録しておくことを目的とした機能である。ここで予め設定する条件および情報について、図7のデータ構成を基に説明する。
【0021】
図9初期設定データベースB1010に、所要時間を算出する路線・方向の各駅の在線位置コードに対応する駅名を設定する。この在線位置コードT100003と駅名T100004は、各鉄道会社が使用している在線位置コードと駅名の対応に従い設定する。また、列車在線情報出力部1110から出力される列車在線情報に含まれる在線位置コードは、在線位置コードT100003と駅名T100004と同じ対応をするものとする。
【0022】
次に、所要時間を算出するための各種条件を設定する。まず、鉄道利用者向けに所要時間を提供する区間(「所要時間表示区間」という)の到着側の駅(「表示到着駅」という)を予め決定する。鉄道利用者のニーズとして表示到着駅は、任意の駅を設定するが、乗換および乗降客数が多い駅や路線の終点駅などがあると考えられる。一方、所要時間表示区間の出発側の駅(「表示出発駅」という)は、所要時間を大型DSPやLED表示機などで表示する各駅が表示出発駅となる。所要時間を提供する路線の表示出発駅のうち表示到着駅から最も遠い駅を「表示出発端駅」とする。
【0023】
次に、表示出発端駅から表示到着駅までの区間で、所要時間を算出するために必要な列車在線情報を取得する駅(「情報取得駅」という)を決める。情報取得駅は、表示到着駅から列車進行方向と逆方向に2から4駅目ごとに設定する。ここでは2から4駅としたがこれに限定されるものではない。表示出発端駅および表示到着駅でも情報は取得する。ここで決定した表示到着駅、表示出発端駅、情報取得駅について、図9の初期設定データベースB1010の分割IDT101005に各駅の条件について設定する。在線位置コードは鉄道会社および路線により異なるため、所要時間算出装置内の算出式では、在線位置コードを分割IDに変換して一般化し、分割IDで算出を行うこととする。分割IDの定義を以下に示す。表示到着駅の分割IDは0(ゼロ)とする。情報取得駅の分割IDは、表示到着駅から列車進行方向と逆方向に10、20、30・・と設定していき、一般化すると((N−1)×10)、N×10、((N+1)×10)、・・・(ここでNは整数である)のように1の位が0(ゼロ)の数値を順番に設定する。表示出発端駅も同様に1の位が0(ゼロ)の数値を設定する。表示出発端駅の分割IDは、設定した分割IDの中で最大値となる。表示到着駅、表示出発端駅、情報取得駅以外の駅については、列車進行方向と逆方向に+1ずつ加算した分割IDとする。本実施例では分割IDをこのように設定したがこれに限定されるものではない。
【0024】
ここでは本発明の説明で使用する仮想路線として、Z路線の上り方面のA駅から順にB駅、C駅・・・と設定した場合について、所要時間表示区間をZ路線上り方面、表示到着駅をJ駅、表示出発端駅をA駅、情報取得駅をG駅、D駅とした場合について、具体例を以下に説明する。(図33、図34)
図9の初期設定データベースB1010において、路線T101001はZ路線、方向T101002は上り、在線位置コードT101003はZ路線の各駅の在線位置コード、駅名T101004はZ路線の駅名である。表示出発端駅はA駅、表示到着駅はJ駅、情報取得駅がG駅、D駅であるので、分割IDT101005に、分割IDの定義に従い、2桁の数値を設定する。具体的には、表示到着駅J駅:0(ゼロ)、情報取得駅G駅:10、D駅:20、表示出発端駅A駅:30となる。これら以外の駅の分割IDについては、図9の分割IDT101005に示す。
【0025】
本発明では、情報取得量を低減するために、所要時間算出に使用する列車在線情報を取得する駅を情報取得駅として限定し、取得する情報量を低減している。そのため、列車在線情報を取得しない駅のダイヤ乱れ時の所要時間については、推定の算出を行う。この推定所要時間を算出するために必要な平常時の分割区間所要時間を予め算出しておき、データベースとして登録しておく。そのもと情報となる平常時隣接駅間所要時間データベースB1020は、平常時の隣接する駅間の所要時間を予め登録したものである。ここでは本発明の説明で使用する仮想路線Z路線の上り方面について、具体例を図10に示し以下説明する。
【0026】
図10の平常時隣接駅間所要時間データベースB1020の路線T102001はZ路線、方向T102002は上りとなる。出発駅在線位置コードT102003、到着駅在線位置コードT102004は、駅間所要時間T102005に所要時間を示す出発駅と到着駅の在線位置コードである。
【0027】
平常時分割区間内所要時間データベースB1030は、平常時の分割区間内の各駅間の所要時間を登録したものである。ここでは本発明の説明で使用する仮想路線Z路線の上り方面の分割区間について、前出の図9の初期設定データベースB1010および図10の平常時隣接駅間所要時間データベースB1020の具体例をもと情報とした、具体例を図11に示し以下説明する。
【0028】
図11の平常時分割区間内所要時間データベースB1030の路線T103001はZ路線、方向T103002は上りとなる。次に分割区間は、図9の初期設定データベースB1010の分割IDT101005の1の位の数値が0(ゼロ)の分割ID、0、10、20、30より、0〜10、10〜20、20〜30の3区間となる。この3つの分割区間内について所要時間を設定するので、到着駅分割IDT103004にそれぞれ分割ID0、10、20の駅を設定し、出発駅分割IDT103003には分割区間内の駅を設定する。分割区間所要時間T103005には、出発駅から到着駅までの所要時間を前出の図10の平常時隣接駅間所要時間から算出し、設定する。具体的には、出発駅分割IDが30で到着駅分割IDが20の場合の分割区間所要時間は、平常時隣接駅間所要時間データベースB1020の出発駅在線位置コードの101から溶着駅在線位置コードの102までの駅間所要時間である0:04:00と、出発駅在線位置コードの102から溶着駅在線位置コードの103までの駅間所要時間である0:04:00と、出発駅在線位置コードの103から溶着駅在線位置コードの104までの駅間所要時間である0:05:00とを足し合わせて算出する。ここまでが、表示所要時間初期設定部1310の説明である。
【0029】
ここからは、算出用列車在線情報取得部1320について説明する。
【0030】
算出用列車在線情報取得部1320は、表示所要時間初期設定部1310で予め設定した各種条件、情報、および、運行情報配信装置1200から出力される運行情報をもとに、所要時間を算出するために必要な列車在線情報を絞り込むための情報取得フィルタを作成し、作成した情報取得フィルタをもとに所要時間の算出に必要な列車在線情報を取得し、取得した列車在線情報を算出用列車在線情報データベースB2030に記録する機能である。
【0031】
列車在線情報取得部1320の動作について、図7のデータ構成および図2のフローチャートを基に説明する。
【0032】
図2のステップS2020からステップS2050以前が情報取得フィルタの作成フローである。情報取得フィルタの作成は、まず、表示所要時間初期設定部1310で予め設定した各種条件、情報をもとにベースとなる情報取得フィルタを作成し、データベースに記録する(ステップS2020)。次に、折り返し運転など列車の運転区間に制限が発生し、初期設定した表示到着駅まで列車が運転されない場合には、表示到着駅までの所要時間を算出することが出来ないため、折り返し運転などで列車が運転される区間の終点駅を表示到着駅として以降の処理を行う必要がある。そのため、折返し運転などの列車が運転される区間の終点駅についても新たに列車在線情報を取得する必要があるので、情報取得フィルタに条件を追加し、データベースに記録する(ステップS2044)。
【0033】
ここで作成される情報取得フィルタデータベースB2010は、後出のステップS2050で運行管理装置1100から出力される列車在線情報を取得する場合に、取得する情報を所要時間の算出に必要な情報に絞るためのフィルタとして使用する。具体的には、情報取得フィルタデータベースB2010に記録した情報に合致する列車在線情報を取得し、合致しない列車在線情報は取得しない、というように使用する。本実施例では情報取得フィルタデータベースB2010の情報により取得する情報を取捨選択しているが、初期設定データベースB1010の情報を基に直接、情報取得駅、表示出発駅、表示到着駅に関する情報を所得することとしてもよい。
また、情報取得フィルタデータベースB2010は、表示所要時間を算出するまでの処理において、運転区間制限による表示到着駅の変更有無を確認する情報として参照される。
【0034】
ここから、図2のステップS2020からステップS2050以前のステップについて一つずつ説明を以下に示す。
【0035】
図2のステップS2020では、表示所要時間初期設定部1310で予め設定した図9の初期設定データベースB1010を参照し、図12の情報取得フィルタデータベースB2011を作成記録する。作成のもととなる情報は、図9の初期設定データベースB1010の分割IDT101005が情報を取得する駅(表示到着駅、表示出発端駅、情報取得駅)を示すレコードである。つまり、分割IDの1の位の数値が0(ゼロ)の分割IDを設定しているレコードである。
【0036】
ここで例として、Z路線の上り方面の所要時間を算出する場合で、図9の初期設定データベースB1010を参照した場合について、具体例を図12の情報取得フィルタデータベースB2011に示し以下説明する。
【0037】
情報取得フィルタのもと情報が、図9の初期設定データベースB1010であるので、図12の情報取得フィルタデータベースB2011の路線T201101、方向T201102は、それぞれZ路線、上りとなる。列車種別T201103は、普通とする。列車種別として、回送、試運転は、所要時間の算出サンプルとしては使用しない。在線位置コードT201104は、図9の初期設定データベースB1010において、分割IDT101005の1の位の数値が0(ゼロ)の分割IDは、0、10、20、30があり、それぞれのレコードの在線位置コードは、110、107、104、101であるので、在線位置コードT201004に、110、107、104、101を設定し、分割IDT201105は対応する値を設定する。運転制限時フィルタ条件T201105は、ここでは設定されないので、図2のステップS2044で説明する。図12の情報取得フィルタデータベースB2011の項目のうち、路線T201101、方向T201102、列車種別T201103、在線位置コードT201104が、列車在線情報を取得する場合の条件となる列車在線情報取得条件である。
【0038】
次に、図2のステップS2030において、運行情報出力部1210から出力された運行情報から、前出の図12の情報取得フィルタデータベースB2011の路線T201101、方向T201102に合致する路線、方向の運行情報を取得し、運行情報データベースB2020を作成し記録する。
【0039】
図13の運行情報データベースB2020は、運行情報が発生している路線名T202001、運行情報が発生している路線の方向T202002、運行情報発生時刻T202003、どのような運転状況かを示す運転状況T202004、運転制限区間がある場合の運転制限区間始点駅の在線位置コードT202005、運転制限区間終点駅の在線位置コードT202006から構成される。ここで、運転制限区間がある場合とは、運転状況が「折返し運転」の場合である。
【0040】
ここで二つの具体例について図13の運行情報データベースB2020に記載し、以下説明する。以降の説明においても同じ例を使用するので、一つ目は例1とし、9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合の運行情報を取得した場合、もう一つは、例2とし、21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合とする。
【0041】
まず、例1は、図13の運行情報データベースB2020の上から3番目のレコードである。路線T202001はZ路線、方向T202002は上り、運行情報発生時刻は9:30:00、運行状況はダイヤ乱れとなる。ダイヤ乱れの場合、運転制限区間はないため、運転制限区間始点駅在線位置コードT202005および運転制限区間終点駅在線位置コードT202006は、入力値なしとなる。
【0042】
もう一つの例2は、図13の運行情報データベースB2020の上から1番目のレコードである。路線T202001はZ路線、方向T202002は上り、運行情報発生時刻は21:00:00、運行状況は折返し運転となり、運転制限区間始点駅在線位置コードT202005はA駅の101、運転制限区間終点駅在線位置コードT202006はH駅の108となる。
次に、図2のステップS2040では、前出のステップS2030で取得した運行情報に運転制限区間が含まれているか確認する。この場合、運転状況T202004の値が折返し運転であることで運転制限区間があると判定してもよいし、運転制限区間に値があることを確認して判定してもよい。運行情報に運転制限区間が含まれていない場合は、特別な処理は行わず、図2のステップS2050算出用列車在線情報取得およびデータベース作成を行う。
【0043】
運行情報に運転制限区間が含まれていれば、図2のステップS2042で、初期設定した表示到着駅まで列車が運転されるか、されないか確認する。確認方法は、図13の運行情報データベースB2020の運転制限区間終点駅在線位置コードT2020006が、予め設定した図9の初期設定データベースB1010の分割ID 0(ゼロ)を設定した駅の在線位置コードよりも進行方向側(上りの場合、在線位置コードがより大きい数値)に位置していれば、折り返し運転の終点駅は表示到着駅以降の駅であるため、列車は表示到着駅までは運転される。逆に図13の運行情報データベースB2020の運転制限区間終点駅在線位置コードT2020006が、予め設定した図9の初期設定データベースB1010の分割ID 0(ゼロ)を設定した駅の在線位置コードよりも進行方向と反対側(上りの場合、在線位置コードがより小さい数値)に位置していれば、列車は表示到着駅の手前の折返し運転の終点駅までの運転となり、表示到着駅までは運転されないとなる。
【0044】
確認の結果、列車が表示到着駅まで運転されれば、所要時間表示区間に影響はないため、特別な処理は行わず、図2のステップS2050算出用列車在線情報取得およびデータベースの作成を行う。
【0045】
列車が表示到着駅まで運転されなければ、所要時間表示区間に影響あるため、図2のステップS2044で情報取得フィルタの条件追加を行う。
【0046】
図2のステップS2044では、折り返し運転など列車の運転区間に制限が発生し、初期設定した表示到着駅まで列車が運転されない場合に、表示到着駅までの所要時間を算出することが出来ないため、折り返し運転などで列車が運転される区間の終点駅を表示到着駅として以降の処理を行う必要があり、折返し運転などの列車が運転される区間の終点駅についても新たに列車在線情報を取得するよう、情報取得フィルタに条件を追加する。具体的には、図13の運行情報データベースB2020の運転制限区間終点駅在線位置コードT2010006を図12の情報取得フィルタデータベースB2011に一つレコードを追加し、折り返し運転などで列車が運転される区間の終点駅の在線位置コードを在線位置コードに設定し、追加情報が運転制限時のフィルタ条件であることを示す情報を運転制限時フィルタ条件に設定する。このあらたに追加されたレコードは、運行情報が更新され図2のステップS2040において運転制限区間無、または、図2のステップS2042において所要時間表示区間影響無と判定された場合に、削除される。
【0047】
ここで例として、21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、具体例を図14の情報取得フィルタデータベースB2012に示し以下説明する。
【0048】
前出の図2のステップS2020で作成した図12の情報取得フィルタデータベースB2011に一つレコードを追加し、路線T201201、方向T20120、列車種別T201203は、他のレコードと同じ値をコピーする。在線位置コードT201204は、図13の運行情報データベースB2020の運転制限区間終点駅在線位置コードT2010006から情報を取得し、108が設定される。分割IDT201205は在線位置コードに対応する値を図9の初期設定データベースB1010を参照し設定する。運転制限時フィルタ条件T201205に運転制限時のフィルタ条件であることを示す情報を設定する。ここでは数値1とする。
【0049】
次に図2のステップS2050では、ステップS2050以前のステップで情報取得フィルタデータベースB2010に記録した条件に合致する列車在線情報を取得し、取得した列車在線情報から算出用列車在線情報データベースを作成し記録する。
【0050】
ここで、算出用列車在線情報データベースB2030の路線T203001、方向T203002、列車種別T203003、在線位置コードT203004、運行番号T203005、送信時刻T203006は、運行管理装置1100の列車在線情報出力部1110から出力された列車在線情報から取得される情報である。
【0051】
ここで二つの具体例について説明する。
【0052】
例1―9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合について、図15の算出用列車在線情報データベースB2031に示す。
【0053】
例2―21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、図16の算出用列車在線情報データベースB2032に示す。
【0054】
例1の図15の算出用列車在線情報データベースB2031は、図12の情報取得フィルタデータベースB2011を情報取得フィルタとして取得した列車在線情報をもとに作成したデータベースである。そのため、取得されたレコードの在線位置コードT203104は、図12の情報取得フィルタデータベースB2011の在線位置コードT201104に設定された101、104、107、110となる。
【0055】
例2の図16の算出用列車在線情報データベースB2032は、図14の情報取得フィルタデータベースB2012を情報取得フィルタとして取得した列車在線情報をもとに作成したデータテーブルである。そのため、取得されたレコードの在線位置コードT203204は、図14の情報取得フィルタデータベースB2012の在線位置コードT201204に設定された101、104、107、108となる。110も在線位置コードT201204に設定されているが、例2の場合、列車がH駅(在線位置コード108)で折り返し運転しているため、J駅(在線位置コード110)まで列車が運転されていない。そのため、在線位置コード110の列車在線情報が存在せず、取得されていないため、図16の算出用列車在線情報データベースB2032にも在線位置コード110のレコードが存在しない。ここまでが、算出用列車在線情報取得部1320の説明である。
【0056】
ここからは、情報取得駅所要時間・停車時間算出部1330について説明する。情報取得駅所要時間・停車時間算出部1330は、算出用列車在線情報取得部1320で取得し、算出用列車在線情報データベースB2030に記録した列車在線情報をもとに、情報取得駅間(分割区間)の平均所要時間および情報取得駅の平均停車時間を算出し、それぞれ平均所要時間データベースB3030および平均停車時間データベースB3050に記録する機能である。ここで記録された値は、表示所要時間算出部1350で表示所要時間を算出する場合に参照される。ここでは平均所要時間・平均停車時間算出としたが、平均値ではなく、ただ所要時間・停車時間を算出する機能でもよい。
【0057】
情報取得駅所要時間・停車時間算出部1330の動作について、図2のデータ構成および図3、図4のフローチャートを基に説明する。
【0058】
図3ステップS3010では、前出の算出用列車在線情報データベースB2030に記録された情報から、駅別列車発着データテーブルを作成し記録する。駅別列車発着データテーブルは、以降のステップ(図4のステップS3020および図4のステップ3040)で情報取得駅間の所要時間および停車時間を算出するために必要な情報を算出用列車在線情報データベースB2030から抽出し整理したものである。ある区間の所要時間を算出するためには、列車が始点となる駅を出発した時刻と終点となる駅に到着した時刻が必要である。ここでは、情報取得駅がその始点と終点となるため、列車が情報取得駅を出発した時刻と情報取得駅に到着した時刻を持つレコードを抽出し整理する。これに限定されるものではなく時刻表から出発時刻と到着時刻を割り出すこととしてもよい。
【0059】
また、ここでは、駅別列車発着データテーブルを作成する場合、初期設定データベースB1010を参照し、在線位置コードを分割IDに置き換える。これは、在線位置コードは、鉄道会社および路線により、定義が異なるため、以降の所要時間算出処理において、算出方法を一般化するためである。
【0060】
ここで、列車が駅に到着した時刻および出発した時刻の取得方法について説明する。算出用列車在線情報データベースB2030に記録されている列車在線情報は、情報取得フィルタデータベースB2010のフィルタ条件に合致したものであり、情報取得駅の在線位置コードを含む情報である。従って、記録されているレコードは、列車が情報取得駅に到着したときから、停車中、出発直前まで、列車在線情報の生成周期毎に連続で記録されている。つまり、同一運行番号のレコードにおいて、同一在線位置コードが連続で記録されているレコードのうち、最初のレコードは列車が在線位置コードの駅へ到着したときの記録、最後のレコードは列車が在線位置コードの駅から出発したときの記録と考えられ、それぞれのレコードの送信時刻を到着時刻、出発時刻とする。この考えをもとに駅別列車発着データテーブルを作成する。
【0061】
ここで二つの具体例について駅別列車発着データテーブルを示し説明する。
【0062】
例1―9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合について、図17の駅別列車発着データベースB3011に示す。
【0063】
例2―21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、図18の駅別列車発着データベースB3012に示す。
【0064】
例1の図17の駅別列車発着データベースB3011は、図15の算出用列車在線情報データベースB2031をもとに作成したデータテーブルである。そのため、分割IDT301103は、在線位置コードT203104に設定された101、104、107、110を分割IDに置き換えた30、20、10、0となる。分割ID以外の項目は、図15の算出用列車在線情報データベースB2031の到着および出発に該当するレコードの値を抽出したものである。
【0065】
例2の図18の駅別列車発着データベースB3012は、図16の算出用列車在線情報データベースB2032をもとに作成したデータベースである。そのため、分割IDT301203は、在線位置コードT203204に設定された101、104、107、108を分割IDに置き換えた30、20、10、2となる。分割ID以外の項目は、図16の算出用列車在線情報データベースB2032の到着および出発に該当するレコードの値を抽出したものである。
【0066】
図3ステップS3020では、前出の駅別列車発着データベースB3010に記録された情報から、同じ運行番号の列車が情報取得駅を出発した時刻と次の情報取得駅に到着した時刻を抽出し、抽出した時刻情報から情報取得駅間(分割区間)の所要時間を算出し、これらの情報を一つのレコードとして実績所要時間データベースを作成し記録する。
【0067】
所要時間を算出する情報取得駅間(分割区間)の設定方法を説明する。所要時間を算出する情報取得駅間(分割区間)は情報取得フィルタデータベースB2010に記録した分割IDを参照し設定する。ここで、情報取得フィルタデータベースB2010の運転制限時フィルタ条件の有無により情報取得駅間(分割区間)の設定方法が異なる。運転制限時フィルタ条件がない場合、情報取得フィルタデータベースB2010の分割IDの0(ゼロ)から最大値まで間の互いに隣接する分割ID間を情報取得駅間(分割区間)に設定する。具体的には、図12に示す情報取得フィルタデータベースB2011を参照した場合、情報取得駅間(分割区間)は、分割ID0から10、分割ID10から20、分割ID20から30の3つとなる。
【0068】
次に、運転制限時フィルタ条件がある場合、情報取得フィルタデータベースB2010の運転制限時フィルタ条件に該当する分割IDから最大値まで間の互いに隣接する分割ID間を情報取得駅間(分割区間)に設定する。具体的には、図14に示す情報取得フィルタデータベースB2012を参照した場合、情報取得駅間(分割区間)は、分割ID2から10、分割ID10から20、分割ID20から30の3つとなる。
【0069】
ここで二つの具体例について実績所要時間データベースを示し説明する。
【0070】
例1―9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合について、図19の実績所要時間データベースB3021に示す。
【0071】
例2―21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、図20の実績所要時間データベースB3022に示す。
【0072】
例1の図19の実績所要時間データベースB3021で所要時間を算出する情報取得駅間(分割区間)は、図12に示す情報取得フィルタデータベースB2011を参照するため、前出の通り、分割ID0から10、分割ID10から20、分割ID20から30の3つである。したがって、所要時間算出のもと情報となる図17の駅別列車発着データベースB3011から所要時間を算出する情報取得駅間(分割区間)を運転している列車の運行番号T301104と到着時刻T301105、および出発時刻T301106を抽出し、それぞれ、図19の実績所要時間データベースB3021の運行番号T302103、出発時刻T302105、到着時刻T302107に設定する。到着時刻T302107から出発時刻T302105を引いた時間を実績所要時間として実績所要時間T302108に記録する。
【0073】
例2の図20の実績所要時間データベースB3022で所要時間を算出する情報取得駅間(分割区間)は、図14に示す情報取得フィルタデータベースB2012を参照するため、前出の通り、分割ID2から10、分割ID10から20、分割ID20から30の3つである。したがって、所要時間算出のもと情報となる図18の駅別列車発着データベースB3012から所要時間を算出する情報取得駅間(分割区間)を運転している列車の運行番号T301204と到着時刻T301205、および出発時刻T301206を抽出し、それぞれ、図20の実績所要時間データベースB3022の運行番号T302203、出発時刻T302205、到着時刻T302207に設定する。到着時刻T302207から出発時刻T302205を引いた時間を実績所要時間として実績所要時間T302208に記録する。
【0074】
図3ステップS3030では、前出の実績所要時間データベースB3020から、同一分割区間を運転した複数の列車の直近の実績所要時間をサンプリングし、平均値を算出し、平均所要時間データベースを作成し、平均所要時間データベースB3030に記録する。ダイヤ乱れ時の所要時間は、列車毎に変動することが考えられるため、複数列車の実績所要時間の平均値を表示所要時間に使用する。ここでの具体例として、同一分割区間を運転した列車3本分の直近の実績所要時間をサンプリングして平均所要時間を算出することとする。また、サンプリングした値がいつの情報か判断できるよう最新サンプルの時刻情報を平均所要時間データベースに加えることとする。平均所要時間データベースは一つの分割区間について1レコードとし、新たに平均所要時間が算出された場合はレコードを上書きするものとする。
【0075】
ここで二つの具体例について平均所要時間データベースを示し説明する。
【0076】
例1―9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合について、図21の平均所要時間データベースB3031に示す。
【0077】
例2―21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、図22の実績所要時間データベースB3032に示す。
【0078】
例1の図21の平均所要時間データベースB3031は、図19の実績所要時間データベースB3021から情報をサンプリングするため、分割ID2から10、分割ID10から20、分割ID20から30の3つの分割区間について平均所要時間T303107を算出し記録する。最新サンプル出発時刻T303104、最新サンプル到着時刻T303106には、サンプリングしたレコードのうち最新の時刻情報を記録する。
【0079】
例2の図22の平均所要時間データベースB3032は、図20の実績所要時間データベースB3022から情報をサンプリングするため、分割ID0から10、分割ID10から20、分割ID20から30の3つの分割区間について平均所要時間T303207を算出し記録する。最新サンプル出発時刻T303204、最新サンプル到着時刻T303206には、サンプリングしたレコードのうち最新の時刻情報を記録する。
【0080】
図4のステップS3040では、前出の駅別列車発着データベースB3010に記録された情報から、同じ運行番号の列車が情報取得駅に到着した時刻と出発した時刻を抽出し、出発した時刻と到着した時刻の差から情報取得駅での列車の停車時間を算出し、この停車時間などの情報から実績停車時間データベースを作成し、実績停車時間データベースB3040に記録する。
【0081】
停車時間を算出する情報取得駅の設定方法を説明する。停車時間を算出する情報取得駅は情報取得フィルタデータベースB2010に記録した分割IDを参照し設定する。ここで、情報取得フィルタデータベースB2010の運転制限時フィルタ条件の有無により停車時間を算出する情報取得駅の設定方法が異なる。運転制限時フィルタ条件がない場合、情報取得フィルタデータベースB2010の分割IDの0(ゼロ)および最大値以外の分割IDの情報取得駅を停車時間算出駅に設定する。具体的には、図12に示す情報取得フィルタデータベースB2011を参照した場合、停車時間を算出する情報取得駅は、分割ID0と30以外の分割ID10、20の2つとなる。
【0082】
次に、運転制限時フィルタ条件がある場合、情報取得フィルタデータベースB2010の運転制限時フィルタ条件に該当する分割IDおよび最大値以外の分割IDの情報取得駅を停車時間算出駅に設定する。具体的には、図14に示す情報取得フィルタデータベースB2012を参照した場合、停車時間を算出する情報取得駅は、分割ID2と30以外の分割ID10、20の2つとなる。
【0083】
ここで二つの具体例について実績停車時間データベースを示し説明する。
【0084】
例1―9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合について、図23の実績所要時間データベースB3041に示す。
【0085】
例2―21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、図24の実績所要時間データベースB3042に示す。
【0086】
例1の図23の実績停車時間データベースB3041で停車時間を算出する情報取得駅は、図12に示す情報取得フィルタデータベースB2011を参照するため、前出の通り、分割ID10、20の2つである。したがって、所要時間算出のもと情報となる図17の駅別列車発着データベースB3011から停車時間を算出する情報取得駅を運転している列車の運行番号T301104と到着時刻T301105、および出発時刻T301106を抽出し、それぞれ、図23の実績停車時間データベースB3041の運行番号T304104、到着時刻T304105、出発時刻T304106に設定する。出発時刻T304106から到着時刻T304105からを引いた時間を実績停車時間として実績停車時間T304107に記録する。
【0087】
例2の図24の実績停車時間データベースB3042で停車時間を算出する情報取得駅は、図14に示す情報取得フィルタデータベースB2012を参照するため、前出の通り、分割ID10、20の2つである。したがって、所要時間算出のもと情報となる図18の駅別列車発着データベースB3012から停車時間を算出する情報取得駅を運転している列車の運行番号T301204と到着時刻T301205、および出発時刻T301206を抽出し、それぞれ、図24の績停車時間データベースB3042の運行番号T304204、到着時刻T304205、出発時刻T304206に設定する。出発時刻T304206から到着時刻T304205からを引いた時間を実績停車時間として実績停車時間T304207に記録する。
【0088】
図4のステップS3050では、前出の実績停車時間データベースB3040から、同一情報取得駅に停車した複数の列車の直近の実績停車時間をサンプリングし、平均値を算出し、平均停車時間データベースを作成し、平均停車時間データベースB3050に記録する。ダイヤ乱れ時の停車時間は、列車毎に変動することが考えられるため、複数列車の実績停車時間の平均値を表示所要時間に使用する。ここでの具体例として、同一情報取得駅に停車した列車3本分の直近の実績停車時間をサンプリングして平均停車時間を算出することとする。また、サンプリングした値がいつの情報か判断できるよう最新サンプルの時刻情報を平均停車時間データベースに加えることとする。平均停車時間データベースは一つの情報取得駅について1レコードとし、新たに平均停車時間が算出された場合はレコードを上書きするものとする。
【0089】
ここで二つの具体例について平均停車時間データベースを示し説明する。
【0090】
例1―9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合について、図25の平均停車時間データベースB3051に示す。
【0091】
例2―21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、図26の平均停車時間データベースB3052に示す。
【0092】
例1の図25の平均停車時間データベースB3051は、図23の実績停車時間データベースB3041から情報をサンプリングするため、分割ID10、20の2つの情報取得駅について平均停車時間T305106を算出し記録する。最新サンプル到着時刻T305104、最新サンプル出発時刻T305105には、サンプリングしたレコードのうち最新の時刻情報を記録する。
【0093】
例2の図26の平均停車時間データベースB3052は、図24の実績停車時間データベースB3042から情報をサンプリングするため、分割ID10、20の2つの情報取得駅について平均停車時間T305206を算出し記録する。最新サンプル到着時刻T305204、最新サンプル出発時刻T305205には、サンプリングしたレコードのうち最新の時刻情報を記録する。
【0094】
ここまでが、情報取得駅所要時間・停車時間算出部1330の説明である。
【0095】
ここからは、ダイヤ乱れ時推定所要時間算出部1340について説明する。
【0096】
ダイヤ乱れ時推定所要時間算出部1340は、情報取得駅間(分割区間)内に存在する情報取得駅以外の駅から隣接する情報取得駅までの所要時間を推定により算出する機能である。ここで算出される推定所要時間は、後述する表示所要時間算出部1350で表示所要時間を算出する場合に、表示出発駅が情報取得駅以外の場合に、表示出発駅から隣接する情報取得駅までの所要時間として扱うものである。
【0097】
推定所要時間の算出方法について以下に説明する。ダイヤ乱れ時の所要時間は平常時の所要時間に対して遅れが発生している。ここでは、この遅れ具合を遅延率という値として算出する。遅延率は、ある区間のダイヤ乱れ時の所要時間を平常時の所要時間で割った値であり、単位はパーセンテージとする。ここである区間を2〜4駅程度とすれば、この遅延率を算出した区間内をダイヤ乱れ時に列車が走行しているときは、平常時の所要時間に対して遅延率分の遅れで走行しているものと推定する。したがって、ある区間の途中に存在する駅からある区間の終点駅までのダイヤ乱れ時の推定所要時間は、平常時の同一区間の所要時間に、その区間の遅延率を掛け合わせることで、ダイヤ乱れ時の推定所要時間として算出される。
【0098】
ダイヤ乱れ時推定所要時間算出部1340の動作について、図2のデータ構成および図5のフローチャートを基に説明する。
【0099】
図5のステップS4010では、前出の平均所要時間データベースB3030から、情報取得駅間(分割区間)のダイヤ乱れ時の平均所要時間を抽出し、平常時分割区間内所要時間データベースB1030から同一分割区間の平常時の所要時間を分割区間所要時間T103005から抽出し、ダイヤ乱れ時の平均所要時間を平常時の所要時間で割り算し、分割区間のダイヤ乱れ時遅延率を算出し、ダイヤ乱れ時遅延率データベースを作成し、ダイヤ乱れ時遅延率データベースB4010に記録する。ここで遅延率を算出する情報取得駅間(分割区間)は、図9の初期設定データベースB1010の分割IDT101005で、情報を取得する駅(表示到着駅、表示出発端駅、情報取得駅)に設定されている駅間である。つまり、分割IDの1の位の数値が0(ゼロ)の分割IDを設定している駅間である。
【0100】
ここで二つの具体例についてダイヤ乱れ時遅延率データベースを示し説明する。
【0101】
例1―9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合について、図27のダイヤ乱れ時遅延率データベースB4011に示す。
【0102】
例2―21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、図28のダイヤ乱れ時遅延率データベースB4012に示す。
【0103】
まず、例1、例2ともに共通であるダイヤ乱れ時遅延率データベースの路線、方向、出発駅分割ID、到着駅分割IDについて説明する。この項目に設定する値は、図9の初期設定データベースB1010の路線T101001、方向T101002の値であり、分割IDT101005の1の位の数値が0(ゼロ)の分割IDの駅間を算出対象となるように出発駅分割ID、到着駅分割IDに設定する。
【0104】
例1の図27のダイヤ乱れ時遅延率データベースB4011のダイヤ乱れ時平均所要時間T401105は、路線T401101、方向T401102、出発駅分割IDT401103、到着駅分割IDT401104の値と一致する値をもつ図21の平均所要時間データベースB3031のレコードの平均所要時間T303107を抽出する。平常時所要時間T401106は、図11の平常時分割区間内所要時間データベースB1030から同一分割区間の平常時の所要時間を分割区間所要時間T103005から抽出する。ダイヤ乱れ時遅延率T401107は、ダイヤ乱れ時平均所要時間T401105を平常時所要時間T401106で割り算した値をパーセンテージで示す。
【0105】
例2の図28のダイヤ乱れ時遅延率データベースB4012のダイヤ乱れ時平均所要時間T402105は、路線T401201、方向T401202、出発駅分割IDT401203、到着駅分割IDT401204の値と一致する値をもつ図22の平均所要時間データベースB3032のレコードの平均所要時間T303207を抽出する。ここで、例2では、折返し運転により、分割ID0(ゼロ)の駅まで列車が運転できないため、図22の平均所要時間データベースB3032に出発駅分割ID10から到着駅分割ID0(ゼロ)までの平均所要時間を示すレコードが存在しないため、図28のダイヤ乱れ時遅延率データベースB4012の1番目の出発駅分割ID10から到着駅分割ID0(ゼロ)までのレコードのダイヤ乱れ時所要時間T401205は値なしとなる。平常時所要時間T401206は、図11の平常時分割区間内所要時間データベースB1030から同一分割区間の平常時の所要時間を分割区間所要時間T103005から抽出する。ダイヤ乱れ時遅延率T401207は、ダイヤ乱れ時平均所要時間T401205を平常時所要時間T401206で割り算した値をパーセンテージで示す。ここで1番目のレコードの出発駅分割ID10から到着駅分割ID0(ゼロ)までのダイヤ乱れ時所要時間T401205が値なしのため、ダイヤ乱れ時遅延率T401207も値なしとなる。
【0106】
図5のステップS4020では、前出のステップS4010で算出した情報取得駅間(分割区間)のダイヤ乱れ時の遅延率を情報取得駅間(分割区間)内に存在する情報取得駅以外の駅から隣接する情報取得駅までの平常時の所要時間に掛け合わせ、ダイヤ乱れ時の推定所要時間を算出し、ダイヤ乱れ時推定所要時間データベースを作成し、ダイヤ乱れ時推定所要時間データベースB4020に記録する。ここで推定所要時間を算出する区間は、情報取得駅間(分割区間)内に存在する全ての情報取得駅以外の駅から隣接する情報取得駅までの区間である。
【0107】
ここで二つの具体例についてダイヤ乱れ時推定所要時間データベースを示し説明する。
【0108】
例1―9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合について、図29のダイヤ乱れ時推定所要時間データベースB4021に示す。
【0109】
例2―21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、図30のダイヤ乱れ時推定所要時間データベースB4022に示す。
【0110】
まず、例1、例2ともに共通であるダイヤ乱れ時推定所要時間データベースの路線、方向、出発駅分割ID、到着駅分割IDについて説明する。この項目に設定する値は、図9の初期設定データベースB1010の路線T101001、方向T101002の値であり、分割IDT101005の1の位の数値が0(ゼロ)の分割IDの駅間に存在する情報取得駅以外の駅(分割IDの1の位の数値が0(ゼロ)以外の分割IDを設定している駅)も出発駅となるように出発駅分割ID、到着駅分割IDに設定する。
【0111】
例1の図29のダイヤ乱れ時推定所要時間データベースB4021の平常時所要時間T402105は、図11の平常時分割区間内所要時間データベースB1030から同一区間の平常時の所要時間を分割区間所要時間T103005から抽出する。
【0112】
ダイヤ乱れ時遅延率T402106は、図27のダイヤ乱れ時遅延率データベースB4011から同一区間のダイヤ乱れ時遅延率T401107を抽出する。ダイヤ乱れ時推定所要時間T402107は、平常時所要時間T402105にダイヤ乱れ時遅延率T402106を掛け合わせて算出した値である。
【0113】
例2の図30のダイヤ乱れ時推定所要時間データベースB4022の平常時所要時間T402205は、図11の平常時分割区間内所要時間データベースB1030から同一区間の平常時の所要時間を分割区間所要時間T103005から抽出する。
【0114】
ダイヤ乱れ時遅延率T402206は、図28のダイヤ乱れ時遅延率データベースB4012から同一区間のダイヤ乱れ時遅延率T401207を抽出する。ダイヤ乱れ時推定所要時間T402207は、平常時所要時間T402205にダイヤ乱れ時遅延率T402206を掛け合わせて算出した値である。ここで、例2では、折返し運転により、分割ID0(ゼロ)の駅まで列車が運転できないため、図28のダイヤ乱れ時遅延率データベースB4012の1番目のレコードの出発駅分割ID10から到着駅分割ID0(ゼロ)までのダイヤ乱れ時所要時間T401205は値なしのため、ダイヤ乱れ時遅延率T401207も値なしとなっているため、図30のダイヤ乱れ時推定所要時間データベースB4022の出発駅分割ID10から到着駅分割ID0(ゼロ)のまでのダイヤ乱れ時遅延率T402206も値なしとなり、ダイヤ乱れ時推定所要時間T402207も値なしとなる。
【0115】
ここまでが、推定所要時間算出部1340の説明である。
【0116】
ここからは、表示所要時間算出部1350について説明する。
【0117】
表示所要時間算出部1350は、前出の各部の処理により算出され記録されている平均所要時間データベースB3030、平均停車時間データベースB3050、ダイヤ乱れ時推定所要時間データベースB4020をもとに、所要時間を表示する駅ごとに必要な所要時間を合計して、各駅に表示する表示所要時間を算出する機能である。
【0118】
表示所要時間の算出方法は、表示出発駅が情報取得駅である場合とそうでない場合、また、表示到着駅が初期設定どおりの場合と折り返し運転などの運転区間制限により変更した場合により異なる。場合毎の表示所要時間の算出方法を以下に説明する。
(1)表示出発駅が情報取得駅であり、表示到着駅が初期設定どおりの場合の表示所要時間の算出方法について説明する。
【0119】
情報取得駅の分割IDは1の位の数値が0(ゼロ)の駅である。ここで、表示出発駅の分割IDを一般化した表現としてN×10とする。Nは整数である。表示所要時間は、分割ID 0(ゼロ)から10、10から20・・・・((N−1)×10)から(N×10)の分割区間の平均所要時間の合計、および、分割ID10、20、・・・((N−1)×10)の駅の平均停車時間の合計の総和である。
(2)表示出発駅が情報取得駅であり、表示到着駅が折り返し運転などの運転区間制限により初期設定から変更された場合の表示所要時間の算出方法について説明する。
【0120】
前出同様に、表示出発駅の分割IDを一般化した表現としてN×10とする。Nは整数である。ここで、表示到着駅に変更があった場合、表示到着駅を(Y×10)+mとした場合(Yは整数、mは1以上の整数)、(Y×10)+mから((Y+1)×10)、・・((Y+(N−1))×10)から((Y+N))×10までの平均所要時間の合計(N>Y)、および、分割ID((Y+1)×10)、((Y+2)×10)、・・・((Y+(N−1))×10)の駅の平均停車時間の合計の総和である。
(3)表示出発駅が情報取得駅以外であり、表示到着駅が初期設定どおりの場合の表示所要時間の算出方法について説明する。情報取得駅以外の分割IDは1の位の数値が0(ゼロ)以外の駅である。ここで、表示出発駅の分割IDを一般化した表現として(N×10)+mとする。Nは整数、mは1以上の整数である。表示所要時間は、分割ID 0(ゼロ)から10、10から20、・・・((N−1)×10)から(N×10)の分割区間の平均所要時間の合計、および、分割ID10、20、・・・((N−1)×10)の駅の平均停車時間の合計、および、((N−1)×10)+mから(N×10)までの区間の推定所要時間の総和である。この場合、表示出発駅((N−1)×10)+mから情報取得駅(N×10)までの所要時間データがない場合を想定しており、推定所要時間を使うこととしたが、所要時間のデータがある場合は平均所要時間、所要時間を使用してもよい。
(4)表示出発駅が情報取得駅以外であり、表示到着駅が折り返し運転などの運転区間制限により初期設定から変更された場合の表示所要時間の算出方法について説明する。前出同様に、表示出発駅の分割IDを一般化した表現として(N×10)+mとする。N、mは整数である。ここで、変更後の表示到着駅の分割IDをyとする。yはY×10または(Y×10)+1または(Y×10)+2、、、とした場合、(Y×10)+10=Z×10とする。Y、Zは整数である。各分割IDの関係は、0<y <(Z×10)<(N×10)である。表示所要時間は、yから(Z×10)までの平均所要時間の合計、および、分割ID (Z×10)から(Z×10)+10、(Z×10)+10から(Z×10)+20、、、、((N−1)×10)から(N×10)の分割区間の平均所要時間の合計、および、分割ID(Z×10)、((Z+1)×10)、、、、((N−1)×10)の駅の平均停車時間、および、((N−1)×10)+mから(N×10)までの区間の推定所要時間の総和である。
【0121】
表示所要時間算出部1350の動作について、図2のデータ構成および図6のフローチャートを基に説明する。
【0122】
図6のステップS5010では、表示到着駅が情報取得駅であり、表示到着駅が初期設定どおり、または、変更があった場合について表示所要時間を算出する。算出方法は、前述の(1)(2)の通りである。
【0123】
図6のステップS5020では、表示到着駅が情報取得駅以外であり、表示到着駅が初期設定どおり、または、変更があった場合について表示所要時間を算出する。算出方法は、前述の(3)(4)の通りである。
【0124】
図6のステップS5030では、前出のステップで算出された表示所要時間をもとに表示所要時間データベースを作成し、表示所要時間データベースB5010に記録する。
【0125】
ここで二つの具体例について表示所要時間データベースを示す。
例1―9:30にZ路線上り方面にダイヤ乱れが発生した場合について、図31の表示所要時間データベースB5011に示す。
例2―21:00にZ路線上り方面のA駅(在線位置コード101)からH駅(在線位置コード108)まで折返し運転が発生した場合について、図32の表示所要時間データベースB5012に示す。
【0126】
なお、実施例では平均所要時間、平均停車時間をそれぞれ表示所要時間の算出で使用したが、これに限定されるものではなく、それぞれ単に所要時間と停車時間でも良いし、推定所要時間、推定停車時間を算出に使用してもよい。
【符号の説明】
【0127】
1100・・・運行管理装置、1110・・・列車在線情報出力部、B0110・・・列車在線情報データベース、1200・・・運行情報配信装置、1210・・・運行情報出力部、B0210・・・運行情報データベース、1300・・・所要時間算出装置、1310・・・表示所要時間初期設定部、1320・・・算出用列車在線情報取得部、1330・・・情報取得駅所要時間停車時間算出部、1340・・・ダイヤ乱れ時推定所要時間算出部、1350・・・表示所要時間算出部、B1010・・・初期設定データベース、B1030・・・平常時分割区間所要時間データベース、B2030・・・算出用列車在線情報データベース、B3040・・・分割区間平均所要時間平均停車時間データベース、B4020・・・ダイヤ乱れ時推定所要時間データベース、B5010・・・表示所要時間データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の予想所要時間を提供する列車所要時間提供装置であって、
路線にある各駅の中から任意の駅を情報取得駅と特定する情報と、前記情報取得駅の中から予想所要時間を表示させる駅である表示出発駅を特定する情報と、予想所要時間の目的駅である表示到着駅を特定する情報と、前記各駅を特定する情報に対応する列車が路線のどこにあるか示す在線位置コードを、それぞれ対応付け初期設定データベースに記憶する表示所要時間初期設定部と、
運行管理装置から、前記情報取得駅を特定する情報と、前記表示出発駅を特定する情報と、前記表示到着駅を特定する情報に対応するそれぞれの在線位置コードと、前記それぞれの在線位置コードに対応する運行番号を示す情報と対応する前記在線位置コードの送信時刻の情報を受取る列車在線情報取得部と、
前記運行管理装置から受信した情報のうち、各情報取得駅を特定する情報毎に各運行番号それぞれについて取得した最後の在線位置コードの送信時間を出発時刻、最初の在線位置コードの送信時間を到着時刻としてそれぞれ記憶する駅別列車発着データベースと、
前記駅別列車発着データベースから、任意の前記運行番号についての前記各情報取得駅の到着時刻と前情報取得駅での出発時刻の差から情報取得駅の各区間での所要時間をそれぞれ算出し、各情報取得駅での到着時刻と出発時刻の差から当該情報取得駅での停車時間をそれぞれ算出する情報取得駅所要時間・停車時間算出部と、
前記表示出発駅から前記表示到着駅方向に一番近い情報取得駅までの所要時間と、前記表示到着駅から前記表示出発駅方向に一番近い情報取得駅から前記表示到着駅までの所要時間と、前記表示出発駅から前記表示到着駅までの間にある前記算出された各情報取得駅間の各所要時間と各停車時間を足し合わせて予想所要時間を算出する表示所要時間算出部と、
を有する列車所要時間提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の列車所要時間提供装置であって、
さらに、
前記各情報取得駅間で算出した所要時間を平常時の所要時間で割った各情報取得駅間の遅延率を、各駅間の平常時の所要時間に掛け合わせて各駅間の推定所要時間を算出するダイヤ乱れ時推定所要時間算出部と、
前記算出した推定所要時間を各駅区間毎に記憶するダイヤ乱れ時推定所要時間データベースと、
を有し、
前記表示所要時間初期設定部が、表示出発駅もしくは表示到着駅を情報取得駅を含む路線にある駅のいずれかに設定し、
前記表示出発駅もしくは前記表示到着駅のいずれかが情報取得駅ではない場合に、前記表示所要時間算出部が、前記るダイヤ乱れ時推定所要時間データベースの、前記算出された表示出発駅から表示出発駅に一番近い情報取得駅までの区間の推定所要時間の合計推定所要時間と、情報取得駅間の各所要時間と、表示到着駅から表示到着駅に一番近い情報取得駅までの区間の推定所要時間の合計推定所要時間と、前記算出した各情報取得駅での待ち時間をそれぞれ足し合わせて予想所要時間を算出する
ことを特徴とする列車所要時間提供装置。
【請求項3】
請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の列車所要時間提供装置であって、
前記情報取得駅所要時間・停車時間算出部が、複数の任意の列車について平均所要時間を前記所要時間、平均待ち時間を前記待ち時間としてそれぞれ算出すること
を特徴とする列車所要時間提供装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の列車所要時間提供装置であって、
前記表示所要時間初期設定部が、折り返し運転が発生した場合に、前記折り返し駅が前記表示到着駅よりも前記表示出発駅側にある場合に、折り返し駅を表示到着駅と特定すること、
を特徴とする列車所要時間提供装置。
【請求項5】
列車の予想所要時間を提供する列車所要時間提供方法であって、
路線にある各駅の中から任意の駅を情報取得駅と特定する情報と、前記情報取得駅の中から予想所要時間を表示させる駅である表示出発駅を特定する情報と、予想所要時間の目的駅である表示到着駅を特定する情報と、前記各駅を特定する情報に対応する列車が路線のどこにあるか示す在線位置コードを、それぞれ対応付け初期設定データベースに記憶するステップと、
運行管理装置から、前記情報取得駅を特定する情報と、前記表示出発駅を特定する情報と、前記表示到着駅を特定する情報に対応するそれぞれの在線位置コードと、前記それぞれの在線位置コードに対応する運行番号を示す情報と対応する前記在線位置コードの送信時刻の情報を受取るステップと、
前記運行管理装置から受信した情報のうち、各情報取得駅を特定する情報毎に各運行番号それぞれについて取得した最後の在線位置コードの送信時間を出発時刻、最初の在線位置コードの送信時間を到着時刻としてそれぞれ記憶するステップと、
前記到着時刻を記憶したステップを基にして、任意の前記運行番号についての前記各情報取得駅の到着時刻と前情報取得駅での出発時刻の差から情報取得駅の各区間での所要時間をそれぞれ算出し、各情報取得駅での到着時刻と出発時刻の差から当該情報取得駅での停車時間をそれぞれ算出するステップと、
前記表示出発駅から前記表示到着駅方向に一番近い情報取得駅までの所要時間と、前記表示到着駅から前記表示出発駅方向に一番近い情報取得駅から前記表示到着駅までの所要時間と、前記表示出発駅から前記表示到着駅までの間にある前記算出された各情報取得駅間の各所要時間と各停車時間を足し合わせて予想所要時間を算出するステップと、
を有することを特徴とする列車所要時間提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−100034(P2013−100034A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245054(P2011−245054)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】