説明

初期の眼内リンパ腫の治療に対する抗CD20抗体の使用方法

本発明はCD20抗原に対するモノクローナル抗体に関し、その各軽鎖の可変領域は、配列番号1に示すマウス核酸配列にコードされ、その各重鎖の可変領域は、配列番号2に示すマウス核酸配列にコードされ、上記軽鎖及び上記重鎖の定常領域は、非マウス種由来である。本発明に係る抗体は、初期の眼内リンパ腫の治療のために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、初期の眼内リンパ腫(「PIOL」とも称する)の治療用薬剤としての、CD20抗原に対するモノクローナル抗体に関し、当該抗体の各軽鎖の可変領域は配列番号1のマウス核酸配列にコードされ、各重鎖の可変領域は配列番号2のマウス核酸配列にコードされており、さらに軽鎖及び重鎖の定常領域は非マウス種由来である。
【0002】
以下の概要において、大括弧([])の間の参照番号は、実施例の後ろに記載した参考文献のリストに関する。
【背景技術】
【0003】
CD20抗体は、成熟Bリンパ球表面に存在する、分子量35〜37kDaの疎水性膜貫通タンパク質である(Valentine et al.(1987)Proc Natl Acad Sci USA.84(22):8085−9[1]、Valentine et al.(1989)J.Biol.Chem.264(19):11282−11287[2])。CD20抗体は、Bリンパ球が、初期の前駆Bリンパ球段階からプラズマ細胞に分化するまでの成長過程に発現する。分化段階において、この発現は消失する。CD20抗原は、正常なBリンパ球と悪性のB細胞との両方に存在する。より詳細には、CD20抗原は、ほとんどの表現型−Bリンパ腫に発現し(リンパ腫の80%)、例えば、非ホジキンBリンパ球リンパ腫(non−Hodgkin’s B−lymphocytes lymphomas:NHL)の90%以上に発現する。
【0004】
CD20の機能は、未だ完全には明らかになっていないが、カルシウムチャネルとして作用し得、かつBリンパ球分化(Golay et al.(1985)J.Immunol.;135(6):3795−801[3])及び増殖(Tedder et al.(1986)Sur J.Immunol.1986 Aug;16(8):881−7[4])の初期段階の調節に関与し得る。
【0005】
それゆえに、Bリンパ球の活性化及び増殖におけるその役割に関しては不確かなままであるが、CD20抗原は、その位置により、例えば、CD20を特異的に認識する抗体を用いた、NHL又はB−CLL(B細胞慢性リンパ球性白血病)のようなBリンパ球腫瘍に関する薬理学的治療において、重要な標的である。加えて、この抗原は、発現調節又は多形性が全く知られていない膜タンパク質であるので、仮想抗原である。
【0006】
ただ1つの非放射性同位体標識抗CD20モノクローナル抗体である、リツキシマブ(Genentech)は、B細胞リンパ腫の治療用として、近年商業的に入手可能になった。リツキシマブは、化学療法と伴って、NHLの患者において非常に有望な臨床的結果を示す。未だその有効性は不安定であり、唯一の因子として用いたとき、頻繁に緩やかになる(Teeling et al.(2004)Blood 104(6).−1793−800[5])。
【0007】
初期の眼内リンパ腫(PIOL)は、中枢神経系の非ホジキンリンパ腫である。この種類は、一般に、硝子体又は網膜に影響する。
【0008】
PIOLの眼における兆候は、中枢又は全身神経の機能障害に先行し得、数年先行することもあり、眼科医が最初に診断を下すこともあり得る。
【0009】
最初に兆候が現れる年齢は様々であるが、40歳よりも前にこの影響が見られることはめったにない。一般に、患者は60歳以上である。初期には、機能的な障害は片方であるが、患者の50〜80%において、傷害が両目に及ぶようになる。
【0010】
眼における最初の症状の発生は、一般に、視力の低下又はかすみ眼である。
【0011】
診断は、非常に悪性の非ホジキンリンパ腫の特徴を有する細胞の存在を明らかにする、後室穿孔による細胞対照により実施することが可能である。
【0012】
最も一般的に用いられている治療方法は、全身性メトトレキサート系又は硝子体内注射による化学療法である。しかしながら、メトトレキサートによる治療は、数回の注入が必要であり、角膜上皮症(Ohguro et al.(2008).Arch.Ophtalmol/Vol.126 No.7;1002−1003[6])のような眼における合併症を引き起こす。さらに、SMET MDにより報告された他の患者においては、硝子体内注入したメトトレキサートが一般に許容され、迅速な治癒を導くときでさえ、単独治療の患者において、再発を妨げる。さらに、メトトレキサートは、多くの他の逆反応を有し、特に免疫抑制及び肝機能障害が知られている。
【0013】
PIOLは、CD20を発現する大きなB細胞腫瘍を含む、リンパ腫である。リツキシマブの静脈内注入は、全身性の大きなB細胞リンパ腫を有する患者の延命に貢献した。しかしながら、リツキシマブは、おそらくモノクローナル抗体が血液脳関門を通過しないことを理由として、中枢神経系リンパ腫の予後には影響しなかった。同様に、眼の傷害に対するリツキシマブの静脈内注入治療は、血液脳関門を理由として、中枢神経系リンパ腫に有利に結びつきそうもない([6])。
【0014】
しかしながら、リツキシマブの静脈内注入試験は、中枢神経系初期リンパ腫の患者において顕著な眼の毒性作用の不在を示した(Kitzamnn et al. (2007) Eye 21, 1524−1527 [7])。さらに、患者は相補的な全身又は眼内治療を受けるため、リツキシマブの静脈内投与による治療の有効性に関する結論を描くのは可能ではない。
【0015】
さらに、二人のPIOL患者における静脈内リツキシマブ注入試験が、眼におけるリンパ腫悪性細胞の消失を示した([6])。さらに、半分の患者において、眼の前室における炎症反応を示した。臨床試験もまた、合併症の不在を示した。しかしながら、調査はリツキシマブ治療後2ヶ月に限定されており、生検結果に基づいておらず、単なる臨床調査である。
【0016】
それゆえに、PIOL治療に関するこれらの欠点及び障害を克服する治療技術の真の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0017】
本発明の第1の目的は、CD20抗原に対するモノクローナル抗体の、初期の眼内リンパ腫(「PIOL」とも称する)の治療のための使用に関し、当該抗体の各軽鎖の可変領域は、配列番号1のマウス核酸配列にコードされており、各重鎖の可変領域は、配列番号2のマウス核酸配列にコードされており、さらに、各軽鎖及び各重鎖の定常領域は、非マウス種由来である。
【0018】
抗体は、ジスルフィド結合により互いに連結された重鎖及び軽鎖により形成されている。各鎖は、本発明の抗体に対する抗原に特異的な、N末端位置の可変領域(又はドメイン)(再構築された軽鎖のV−J遺伝子及び重鎖のV−D−J遺伝子にコードされた)と、軽鎖の単一のCLドメイン及び重鎖のいくつかのドメインにより形成された、C末端位置の定常領域とにより形成されている。
【0019】
本発明の目的において、「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体構成物」の発現は、同一の及び独自の特異性を有する抗体の調製に関する。本発明に係る抗体は、軽鎖及び重鎖の定常領域と異なる種に属する軽鎖及び重鎖の可変領域において、キメラ抗体として参照される。
【0020】
配列番号1及び2のマウス核酸配列は、ドイツ微生物培養細胞コレクションセンター(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ))において、アクセッション番号ACC 474の下で利用可能な、マウスハイブリドーマCAT−13.6E12により生成された抗体の、各軽鎖の可変領域及び各重鎖の可変領域をコードしている。このハイブリドーマは、CD20に対する、マウスIgG2a、k型モノクローナル抗体を生成する。
【0021】
配列番号1の配列は、それにも関わらず、CAT−13.6E12マウスハイブリドーマにより生成された抗体の軽鎖の可変領域をコードする配列とは異なる核酸を含む。
【0022】
これらのマウス配列は、CD20抗原に対するCAT−13.6E12マウス抗体の特異性によって、本発明に係る抗体における可変領域の配列の作動を選択する。本発明に係る抗体の可変領域は、配列番号1及び2の配列と少なくとも70%同一の配列を共有する。この配列同一性によって、本発明に係る抗体がCAT−13.6E12マウス抗体と同一の特性を有するようになる。好ましくは、この配列同一性は、本発明に係る抗体とCAT−13.6E12マウス抗体との間で、標的に対する同一の親和性をも提供する。
【0023】
さらに、本発明において用いられる抗体は、非マウス種に属する軽鎖及び重鎖の定常領域を有している。これに関して、非マウス哺乳動物の全てのファミリー及び種を使用できる可能性があり、特に、ヒト、サル、ネズミ(マウス以外)、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、トリについても同様に使用できる可能性がある。
【0024】
本発明において、治療に用いられる抗体は、当業者に公知の標準的な組み換えDNA技術を用いて構築可能であり、より詳細には、例えば、Morrison et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,81,pp.6851−55(1984)に記載の「キメラ」抗体構築技術により構築可能である。組み換えDNA技術は、非ヒト哺乳動物由来の抗体の重鎖の定常領域及び/又は軽鎖の定常領域の、ヒト免疫グロブリンの対応する領域による置換を利用する。詳細な実施形態は以下に説明する。
【0025】
有利な点において、本発明において用いられる抗体の各軽鎖の可変領域は、配列番号1のマウス核酸配列と少なくとも80%同一の配列を共有する配列にコードされており、本発明に係る抗体の各重鎖の可変領域は、配列番号2のマウス核酸配列と少なくとも80%同一の配列を共有する配列にコードされている。有利な点において、本発明において用いられる抗体の各軽鎖の可変領域は、配列番号1のマウス核酸配列と少なくとも90%同一の配列を共有する配列にコードされており、本発明に係る抗体の各重鎖の可変領域は、配列番号2のマウス核酸配列と少なくとも90%同一の配列を共有する配列にコードされている。
【0026】
有利な点において、本発明において用いられる抗体の各軽鎖の可変領域は、配列番号1のマウス核酸配列と少なくとも95%同一の配列を共有する配列にコードされており、本発明に係る抗体の各重鎖の可変領域は、配列番号2のマウス核酸配列と少なくとも95%同一の配列を共有する配列にコードされている。
【0027】
有利な点において、本発明において用いられる抗体の各軽鎖の可変領域は、配列番号1のマウス核酸配列と少なくとも99%同一の配列を共有する配列にコードされており、本発明に係る抗体の各重鎖の可変領域は、配列番号2のマウス核酸配列と少なくとも99%同一の配列を共有する配列にコードされている。
【0028】
有利な点において、重鎖及び軽鎖の可変領域において、1以上の核酸の1以上の置換、挿入又は欠失を含み、これらの配列の変異が、上記で定義した配列の同一性比率に対応し、抗体の標的に対する特異性又は親和性に影響を及ぼさないような、いずれかの抗体を、本発明の文脈において使用可能である。
【0029】
本発明において用いられる抗体は、また、FR(骨格、可変領域の高度に保存された領域、「背骨」としても知られる。)に結合したCAT−13.6E12抗体のCDR領域(相補的決定領域(Complementary Determining Region))を有する抗体に関する。このような抗体は、CAT−13.6E12マウス抗体に非常に類似した、かつ好ましくは同一の、親和性及び特異性を有している。
【0030】
好ましくは、本発明において用いられる抗体の各軽鎖の可変領域は、配列番号1のマウス核酸配列にコードされ、本発明において用いられる抗体の各重鎖の可変領域は、配列番号2のマウス核酸配列にコードされている。
【0031】
本発明の第一の実施形態において、本発明において用いる抗体は、特に薬剤として用いられ、各軽鎖の可変領域が配列番号1のマウス核酸配列にコードされ、各重鎖の可変領域が配列番号2のマウス核酸配列にコードされており、軽鎖及び重鎖の定常領域が、非マウス種由来の定常領域である、CD20抗原に対するモノクローナル抗体である。
【0032】
それゆえに、「CD20抗原に対する」の意味は、CD20抗原の全て又は一部、及び、特に抗体EMAB603によって認識されるエピトープに接触するモノクローナル抗体の可能性である。
【0033】
好ましくは、本発明において用いる抗体の各軽鎖及び各重鎖の定常領域は、ヒト定常領域である。この本発明の好ましい実施形態は、ヒトにおいて抗体の免疫原性を低減させるのを可能にし、同時に、ヒトへの治療的投与におけるその有効性を向上させ得る。本発明の好ましい実施形態において、本発明の抗体の各軽鎖の定常領域は、K型である。例えば、Km(1)、Km(1,2)、Km(1,2,3)及びKm(3)のような、いずれかのアロタイプが本発明の実施に適しているが、好ましいアロタイプはKm(3)である。
【0034】
他のさらなる実施形態において、本発明に係る抗体の各軽鎖の定常領域は、λ型である。
【0035】
本発明の特有の局面において、本発明において用いられる抗体の各軽鎖及び各重鎖の定常領域がヒト領域であるとき、抗体の各重鎖の定常領域は、γ型である。この代替によれば、抗体の各重鎖の定常領域は、γ1型、γ2型、γ3型であってもよく、これらの3つの定常領域型はヒト相補鎖に結合する特有の特徴を示す。また、定常領域はさらにγ4型であってもよい。各重鎖の定常領域がγ型である抗体は、IgGクラスに属する。免疫グロブリンG型(IgG)は、ジスルフィド結合によって共に連結された、2つの重鎖及び2つの軽鎖により構成されるヘテロ二量体である。各鎖は、N末端位置における、抗体に対する抗原に特異的な可変領域又はドメイン(再設計した軽鎖のV−J遺伝子及び重鎖のV−D−J遺伝子によりコードされた)と、C末端位置における、軽鎖のための単一のCLドメイン又は重鎖のための3つのドメイン(CH1、CH2及びCH3)により構成された定常領域とにより構成されている。可変ドメイン、並びに重鎖及び軽鎖のCH1及びCLドメインの組み合わせは、Fab断片を形成し、抗体のエフェクター特性の媒介物であるFc領域が、FcγR及びC1qレセプターのようなエフェクター分子へのアクセス可能性を維持している一方で、各Fabをその標的抗原に結合するのを可能にする、高度に柔軟なヒンジ領域を介してFc領域に連結される。CH2及びCH3の両方の球状ドメインにより構成されるFc領域は、Asn297に連結するラクトサミン型二分岐N−グリカンが存在する条件下において、2つの鎖のそれぞれにおけるCH2ドメインにおいてグリコシル化される。
【0036】
好ましくは、抗体の各重鎖の定常領域はγ1型である。このような抗体は、かなり多くの数の(ヒト)個体において、ADCC活性化が生じる可能性を示すからである。これに関連して、例えばG1m(3)、G1m(1,2,17)、G1m(1,17)またはG1m(1,3)のような、どのアロタイプも本発明の実施において適切である。好ましいアロタイプはG1m(1,17)である。
【0037】
本発明の特有の局面において、抗体の各重鎖の定常領域はγ1型であり、配列番号3に示すヒト核酸配列によってコードされており、その各軽鎖の定常領域は、配列番号4に示すヒト核酸配列によってコードされている。それゆえに、このような抗体は、γ1型重鎖と共に、マウス可変領域及びヒト定常領域を有する。この抗体は、それゆえに、IgGIサブクラスに属する。本発明において用いられる抗体の実施形態によれば、抗体は、2つの軽鎖及び2つの重鎖を有している。この2つの軽鎖の可変領域は配列番号1の核酸配列にコードされ、そのヒト定常領域は配列番号4の核酸配列にコードされている。また、2つの重鎖の可変領域は配列番号2のマウス核酸配列にコードされ、その定常領域は配列番号3のヒト核酸配列にコードされている。
【0038】
好ましくは、本発明による抗体の各軽鎖は、配列番号5のマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされており、各重鎖は、配列番号6のマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされている。抗体の各軽鎖をコードする配列番号5のマウス−ヒトキメラ核酸配列は、抗体の各軽鎖の可変領域をコードする配列番号1のマウス核酸配列と、抗体の各軽鎖の定常領域をコードする配列番号4のヒト核酸配列とを融合することによって得られる。
【0039】
抗体の各重鎖をコードする配列番号6のマウス−ヒトキメラ核酸配列は、抗体の各重鎖の可変領域をコードする配列番号2のマウス核酸配列と、抗体の各重鎖の定常領域をコードする配列番号3のヒト核酸配列とを融合することによって得られる。
【0040】
本発明の特有の局面において、抗体の各軽鎖が、配列番号5のマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされており、重鎖のそれぞれが、配列番号6のマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされているとき、配列番号5の核酸配列から推測される各軽鎖のペプチド配列は、配列番号7の配列であり、配列番号6の核酸配列から推測される各重鎖のペプチド配列は、配列番号8の配列である。
【0041】
配列番号7の配列において、106番目に位置するアミノ酸はリシン(K)である。
【0042】
また、本発明は、各軽鎖が、配列番号7のマウス−ヒトキメラ核酸配列と少なくとも70%の相同性又は同一性を有するマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされ、かつ各重鎖が、配列番号8のマウス−ヒトキメラ核酸配列と少なくとも70%の相同性又は同一性を有するマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされた抗体に関する。これらの修飾によって、ADCC(抗体依存性細胞障害:Antibody−Dependent Cell−Mediated Cytotoxicity)活性のように、抗体の特異性もそのエフェクター活性も変化しない。
【0043】
特に有効な方法において、本発明において用いられる抗体は、ラットハイブリドーマ細胞ラインにより生成される。本発明による抗体を生成する細胞ラインは、いくつかの特定の性質を有する抗体を提供するために、重要な機構である。つまり、特にグリコシル化修飾のような翻訳後修飾を引き起こす抗体を発現する方法では、1つの細胞ラインから他の細胞ラインへと変化し得、それにより、むしろ異なる機能特性を有する同一の一次構造を有する抗体を提供する。
【0044】
好ましい実施形態において、抗体は、ラットハイブリドーマYB2/0細胞ライン(アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection:ATCC)に、番号ATCC CRL−1662で登録されたYB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞)において生成される。例えばCHO細胞において生成した同一の一次構造を有する抗体と比較して、向上したADCC活性を有する抗体を生成する可能性を有するので、この細胞ラインを選択した。
【0045】
他の特定の実施形態において、本発明の他の抗体は、国立微生物培養保管所(the national collection of cultures of microorganisms)(CNCM,Institut Pasteur, 25 rue du Docteur Roux,75724 Paris Cedex 15)に、登録番号CNCM I−3529で、2005年11月29日に登録された、クローンR603により生成されたEMAB603抗体である。EMAB603抗体の各軽鎖は、配列番号5のマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされており、各重鎖は、配列番号6のマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされている。このキメラ抗体は、CD20結合においてCAT−13.6E12マウス抗体と競合し、リツキシマブよりも大きな細胞傷害活性を有している。このような特性は、これらの抗体の重鎖におけるN−グリカンの特異的グリコシル化の部分に起因し得る。事実、R603クローンの特定の特徴は、フルクトース/ガラクトース比率が0.6以下のEMAB603抗体構成物を生成することであり、このことは、強いADCC活性を有する抗体を提供するために最適であると、特許出願FR 03 12229に記載されている。この抗体は、PIOLの治療のための治療手段として、特に有用であり得る。
【0046】
有利な点として、本発明の抗体は記憶Tリンパ細胞の構成を許容し得る。これらの記憶Tリンパ細胞は、増殖能及び腫瘍細胞に対する2回目の暴露の間に即座に再活性化する能力を有し得る。
【0047】
有利な点として、本発明の抗体は、腫瘍へのT細胞の浸潤を可能にし得、これにより腫瘍成長の減速及び腫瘍細胞除去の向上を導き得る。
【0048】
有利な点として、このようなモノクローナル抗体は、顕著な抗腫瘍効果を有し得る。例えば、このような抗体は、これが投与された眼内リンパ腫を有する患者において、腫瘍細胞の複製を、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも50%、及び好ましくは少なくとも60%又は70%抑制するのを許容し得る。
【0049】
このような抗体は、これを生成する方法と同様に、WO2006/064121に記載されている。
【0050】
本発明に係る抗体発現ベクターの一例は、配列番号17に示す配列のベクターである。このベクターは、軽鎖が配列番号5の核酸配列にコードされ、推定ペプチド配列が配列番号7に示されており、重鎖が配列番号6の核酸配列にコードされ、推定ペプチド配列が配列番号8に示された、本発明の抗体の発現を可能にする。このベクターは、抗体の各軽鎖をコードする配列番号5の核酸配列と、抗体の各重鎖をコードする配列番号6の核酸配列とを、宿主細胞中に導入し、かつ維持するために、これらの配列が挿入された核酸分子である。このベクターは、この発現に不可欠な配列(プロモーター、ポリアデニレーション配列、遺伝子選択)を有しているので、これらの外来核酸フラグメントの宿主細胞における発現を可能にする。このようなベクターは、当業者に公知であり、完全に網羅してはいないが、アデノウイルス、レトロウイルス、プラスミド、又はバクテリオファージがある。さらに、いずれかの哺乳動物細胞を宿主細胞として、すなわち、本発明に係る抗体を発現する細胞として使用可能であり、例えば、YB2/0、CHO、CHO−dhfr−(例えばCHO DX BII、CHO DG44)、Lec13 CHO、SP2/0、NSO、293、BHK又はCOSが挙げられる。
【0051】
他の実施形態において、本発明の抗体は、一方は抗体の軽鎖を発現し、他方は抗体の重鎖を発現する、2つの発現ベクター細胞において共発現することによって生成することができる。上述したように、これらのベクターは、この発現に不可欠な配列(プロモーター、ポリアデニレーション配列、遺伝子選択)を有する。上記のように、ベクターは、例えばプラスミド、アデノウイルス、レトロウイルス、又はバクテリオファージであり得、さらに宿主細胞は、例えば、YB2/0、CHO、CHO−dhfr−(例えばCHO DX BII、CHO DG44)、Lec13 CHO、SP2/0、NSO、293、BHK又はCOSのような、いずれかの哺乳動物細胞であり得る。
【0052】
有利な点として、本発明において用いられる抗体を発現する安定した細胞ラインは、SP2/0、YB2/0.IR983F、Namalwaのようなヒト骨髄腫、又はPERC6、特にCHO−K−1、CHO−Lec10、CHO−Lec1、CHO−Lec13、CHO Pro−5、CHO dhfr−(DX BII CHO、CHO DG44)のようなCHOラインのようなヒト由来の他の細胞からなる群より選択され、又はWil−2、Jurkat、Vero、Molt−4、COS−7、293−HEK、BHK、K6H6、NSO、SP2/0−Ag 14及びP3X63Ag8.653から選択される他の細胞ラインである。
【0053】
好ましくは、使用する細胞ラインは、ラットハイブリドーマYB2/0細胞ライン(YB2/3HL.P2.G11.Ag.20細胞、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection:ATCC)に、番号ATCC CRL−1662で登録された)である。この細胞ラインは、例えば、CHO細胞において生成した同一の一次構造を有する抗体と比較して、向上したADCC活性を有する抗体を生成する可能性を有するので、この細胞ラインを選択した。
【0054】
これらの細胞に適した培養培地は、当業者によく知られており、完全に網羅してはいないが、RPMI1640培養培地(The Journal of the American Medical Association,199,519(1967)[14])、イーグル(Eagle’s)MEM(Science,122,501(1952)[15])、ダルベッコ(Dulbecco’s)変法MEM(Virology,8,396(1959)[16])、F12培地(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,53,288(1965)[17])、IMDM(J.Experimental Medicine,147,923(1978)[18])、又は文献EP1229125に記載されたものが挙げられる。
【0055】
本発明に特有の目的は、上述した抗体を用いた、初期眼内リンパ腫の治療方法に関する。
【0056】
有利な点として、治療方法は、PIOL患者に抗体を投与する工程を包含する。
【0057】
有利な点として、本発明において用いられる抗体を、所望の治療効果に適した、薬学的に許容される担体と共に投与する。
【0058】
この点について、本発明において用いられる抗体は、例えばモノクローナル抗体のように、リンパ系細胞に発現する1つ以上の抗原に対する、1つ以上の他の抗体との組み合わせとして用いられ得る。このような抗原として、完全に網羅してはいないが、CD1、CD2、CD3、CD4、CD8、CD11、CD16、CD18、CD19、CD21、CD22、CD23、CD25、CD26、CD29、CD30、CD31、CD40、CD43、CD44、CD45、CD49、CD50、CD52、CD53、CD54、CD55、CD58、CD59、CD69、CD70、CD71、CD80、CD81、CD82、CD86、CD95、CD103、CD118、CD119、CD120、CD132、CD210、CD217抗原が上げられる。
【0059】
他の実施形態において、本発明に係る抗体は、NK細胞、NKT細胞(ナチュラルキラー細胞)、Tγσリンパ球、マクロファージ、単球、又は樹状細胞のように、FcγRを発現する細胞と組み合わせて用いてもよく、すなわち細胞療法と組み合わせてもよい(Peller S,Kaufman S Blood 1991,78:1569([8]);Kimby E et al.1989 Leukemia 3(7):501−504([9]);Soorskaar D et al.1988 Int Arch Allery Appl Immunol 87(2),159−164([10]);Ziegler HW et al.Int J Cancer 1981 27(3),321−327([11]);Chaperot L et al.2000 Leukemia 14(9):1667−1677([12]);Vuillier F,Dighiero G 2003 Bull Cancer.90(8−9):744−50([13]))。
【0060】
さらに、抗体を、好ましくは、投与量375mg/m、187.5mg/m、75mg/m、37.5mg/m、15mg/m、7.5mg/m未満で患者に投与し得、また、3.75mg/m、1mg/mまたは0.5mg/mで患者に投与すると特に有利である。投与量は、187.5mg/mから75mg/mの間、75mg/mから37.5mg/mの間、75mg/mから15mg/mの間、75mg/mから7.5mg/mの間、又は75mg/mから3.75mg/mの間であれば有利である。好ましくは、投与量が、3.75mg/mから0.5mg/mの間であり、これらの量が2mg/mから1mg/mの間であれば有利である。これらの量が静脈内投与されれば有利である。
【0061】
抗体が静脈内投与されるとき、患者に投与される抗体の量は、0.001μgから1000μgの間、0.001μgから100μgの間、又は10μgから100μgの間であれば有利であり、0.01μgから10μgの間、1μgから10μgの間、0.01μgから1μgの間、0.01μgから0.1μgの間、又は0.02μgから0.08μgの間であれば有利である。
【0062】
有利な点において、抗体の投与は、疾患に冒された眼において行われてもよい。
【0063】
患者に投与する抗体の量は、一眼あたりの抗体量が0.001μgから1000μgの間、0.001μgから100μgの間、又は10μgから100μgの間であってよく、好ましくは0.01μgから10μgの間、1μgから10μgの間、0.01μgから1μgの間、0.01μgから0.1μgの間、又は0.02μgから0.08μgであることが好ましい。
【0064】
硝子体液1mLあたり0.1μgから1000μgの間、0.1μgから100μgの間、又は10μgから100μgの間で投与することが有利であり、硝子体液1mLあたり1μgから100μgの間、100μgから1000μgの間、1μgから100μgの間、1μgから10μgの間、又は2μgから8μgの間であれば好ましい。
【0065】
単一の投与量注入又は繰返しの投与量注入のいずれかにより投与されることが好ましい。代替として、各投与を前回の投与位置から十分に離間して行い、各投与を単一の投与としてみなす。例えば、各投与を少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、10週間、又は6ヶ月間隔で行うことができる。
【0066】
抗体の投与を、一眼あたり0.02μg量の抗体、又は硝子体液1mLあたり0.002mg量の抗体を硝子体内に注入することによって達成されることが好ましい。各投与を、最小で1週間隔、例えば1週間、2週間、3週間、4週間、又は5週間隔で行うことが有利である。
【0067】
本発明において用いられる抗体の投与形態は、例えば、硝子体への注入、眼の周囲及び眼の中への注入、結膜への注入、眼球の周囲又は眼球側への注入、眼球後への注入、特に硝子体内点眼のように点眼剤の点眼、イオントフォレーゼ、部分皮下注入、眼の軟膏の塗布、網膜静脈へ注入、又は超音波照射により、眼内において行われる。
【0068】
抗体は、当業者に公知の標準的なルールに基づいて、リンパ腫の治療薬として投与することができる。
【0069】
本発明において用いられる抗体は、細胞傷害性であるという特徴及び利点を有している。
【0070】
このように、これらは、そのFc領域のFcγRIIIAレセプターによって、in vivo及びin vitroにおいて、活性化する能力を有している。このレセプターは、「エフェクター細胞」と呼ばれる細胞の表面に発現し、エフェクター細胞に担持されたそのレセプターに、抗体のFc領域が結合するので、FcγIIIAの活性化及び標的細胞の破壊の原因となる。したがって、このレセプターは非常に興味深い。エフェクター細胞として、例えばNK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージ、好中球、CD8リンパ球、Tγσリンパ球、NKT細胞、好酸球、好塩基球、又は肥満細胞が挙げられる。
【0071】
本発明の他の目的は、本発明に係る抗体を、初期眼内リンパ腫の治療のための薬剤の製造のために用いる。
【0072】
さらに、本発明の他の目的は、初期眼内リンパ腫の治療のための薬剤を調製する方法であって、本発明において用いるモノクローナル抗体と、薬学的に許容される担体とを混合し、薬剤として得ることからなる。
【0073】
本発明の他の目的は、初期眼内リンパ腫の治療処置方法であり、必要性が認められる患者に投与することを含む。上述したような抗体又は薬剤の投与を含む。
【0074】
他の利点は、以下の実施例を読んだ当業者に明らかであり得、添付の図面における説明を、説明の目的で与えた。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、EMAB603抗体のカッパー軽鎖のキメラ化に用いたCKHuベクターの概略図である。
【図2】図2は、EMAB603抗体の重鎖のキメラ化に用いたG1Huベクターの概略図である。
【図3】図3は、EMAB603抗体の生成のために用いた重鎖及び軽鎖の発現ベクターの概略図である。
【図4】図4は、PIOLマウスモデルにおいて腫瘍を成長させた眼に、PBS 1×、LFB_R603抗体(20μg)、又はリツキシマブ抗体(20μg)を注入した後の、眼球腫瘍細胞(×10)の絶対数を示す図である。結果を、2回の実験の合計から得た。
【図5】図5は、PIOLマウスモデルにおいて腫瘍を成長させた眼に、LFB_R603抗体バッファ、又はLFB_R603抗体を、0.02μg及び0.2μgの投与量で注入した後の、眼球腫瘍細胞(×10)の絶対数を示す図である。結果を、6回の実験の合計から得た。
【実施例】
【0076】
〔実施例1:抗CD20キメラ抗体EMAB603の発現ベクターの構築〕
(A.マウスCAT−13.6E12抗体の可変領域の配列決定)
IgG2a,κ型免疫グロブリンを生成するマウスCAT−13.6E12抗体(供給元:DSMZ、ref.ACC 474)の総RNAを単離した(キット RNAeasy、Qiagen ref.74104)。逆転写の後、CAT−13.6E12抗体の軽鎖(VK)及び重鎖(VK)の可変領域を、5’RACE方法(cDNA末端の急速増幅)(キット GeneRacer、Invitrogen ref.L1500−01)によって増幅させた。これらの2つの工程に用いたプライマーは以下の通りである。
【0077】
1.逆転写プライマー
a.カッパーマウス特異的逆方向プライマー(配列番号9)
【0078】
【化1】

【0079】
b.G2aマウス特異的逆方向プライマー(配列番号10)
【0080】
【化2】

【0081】
2.5’RACE PCRプライマー
a.カッパーマウス特異的逆方向プライマー(配列番号11)
【0082】
【化3】

【0083】
b.G2aマウス特異的逆方向プライマー(配列番号12)
【0084】
【化4】

【0085】
結果として得られたVH及びVK PCR産物を、pCR4Blunt−TOPOベクター(Zero blunt TOPO PCR cloning kit、Invitrogen,ref.K2875−20)にクローニングした後、配列決定した。CAT−13.6E12マウス抗体の領域Vκのヌクレオチド配列において、末端ヌクレオチドをAに置換したもの(AACに換えてAAA)を、配列番号1の配列に示した。Vκ遺伝子は、Vκ4ファミリーに属している(Kabat et al.,“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,NIH Publication,91−3242(1991)[19])。CAT−13.6E12の領域VHのヌクレオチド配列は、配列番号2の配列である。VH遺伝子は、VH1ファミリーに属する([19])。
(B.キメラ抗体EMAB603の重鎖及び軽鎖の発現ベクターの構築)
1.抗体EMAB603のカッパー軽鎖ベクター
pCR4Blunt−TOPOベクター配列にクローニングされたVK配列を、以下のクローニングプライマーを用いて増幅した。
【0086】
a.順方向VKプライマー(配列番号13)
【0087】
【化5】

【0088】
下線を付した配列は、制限部位Spe Iの部位に対応しており、太字で示した配列は、Kozakコンセンサス配列であり、ATG開始コドンをイタリック体で示した。
【0089】
b.逆方向VKプライマー(配列番号14)
【0090】
【化6】

【0091】
このプライマーは、マウスVκ配列(イタリック体で示す)とヒト定常領域(Cκ)(太字で示す)の連結部に達する。下線を付した配列は、DraIIIの制限酵素認識部位に対応する。
【0092】
このプライマーは、マウスVκ配列(イタリック体で示す)とヒト定常領域(Cκ)(太字で示す)の連結部に達する。下線を付した配列は、DraIIIの制限酵素認識部位に対応する。
【0093】
VκPCRの結果として得られる産物は、マウス抗体CAT−13.6E12の天然のシグナルペプチドをコードする配列を含み、AACがAAAに変異している(配列番号14の逆方向プライマーの配列において、囲み線の中のヌクレオチド)。この変異は、CAT−13.6E12のVκ天然配列に対して、N106Kの変異に相当する。
【0094】
このベクターにコードされたEMAB603キメラ抗体の軽鎖配列を、配列番号5にヌクレオチド配列として示し、配列番号7が推定ペプチド配列に相当する。
【0095】
その後、このVκPCRを、配列番号4に示すヌクレオチド配列に相当するヒト定常領域Cκの5’において、配列番号1の配列に相当する軽鎖キメラベクター(図1)のSpeI部位とDraIII部位との間にクローニングした。マウスVκ配列をクローニング可能にするために、DraIII制限酵素認識部位を形成するためのサイレント変異することによって、このキメラベクターのヒト配列Vκを予め修飾した。このキメラベクターは、dhf選択遺伝子(ジヒドロ葉酸還元酵素)と同様に、RSVプロモーター及びポリアデニレーションbGH(ウシ成長ホルモン)の配列を含む。
【0096】
2.重鎖ベクター
同様の方法をEMAB603抗体の重鎖のキメラ化に適用した。
【0097】
pCR4Blunt−TOPOベクターにクローニングされたVH配列を、以下のクローニングプライマーを用いて最初に増幅した。
【0098】
a.順方向VHプライマー(配列番号15)
【0099】
【化7】

【0100】
下線を付した配列は、SpeI制限酵素認識部位に相当し、太字で示す配列は、Kozakコンセンサス配列に相当し、ATG開始コドンをイタリック体で示す。
【0101】
b.逆方向VHプライマー(配列番号16)
【0102】
【化8】

【0103】
このプライマーは、マウスVH配列(イタリック体で示す)とGIヒト定常領域(太字で示す)の連結部に達する。下線を付した配列は、ApaI制限酵素認識部位に相当する。
【0104】
増幅したVH断片は、マウスCAT−13.6E12抗体の天然のシグナルペプチドをコードする配列を含む。その後、このVH PCRを、配列番号3に示す核酸配列のヒト定常領域γIの5’において、配列番号1の配列に相当する、キメラベクター(図2)の重鎖のSpeI部位とApaI部位との間にクローニングした。このキメラベクターは、neo選択遺伝子と同様に、RSVプロモーター及びポリアデニレーションbGH(ウシ成長ホルモン)を含む。
【0105】
このベクターにコードされるキメラ抗体EMAB603の重鎖の配列は、ヌクレオチド配列として配列番号6に示し、推定ペプチド配列を配列番号8に示す。
【0106】
3.目的の発現ベクター
(EMAB603抗体の発現ベクター)
抗CD20抗体EMAB603の重鎖転写及び軽鎖転写の2つのユニットを包含する独自の発現ベクターを、重鎖及び軽鎖の2つのキメラベクターから構築した。この発現ベクターHK463−25(FDA)には、RSVプロモーター(図3)の制御下にある重鎖及び軽鎖の2つの転写ユニットと同様に、neo(neoフォスフォトランスフェラーゼII)及びdhf(ジヒドロ葉酸還元酵素)が存在する。
【0107】
〔実施例2:抗CD20キメラ抗体EMAB603のYB2/0ラインを生成する、細胞ライン誘導体の生成〕
ラット細胞ラインYB2/0(ATCC# CRL−1662)を、5%ウシ胎仔血清(JRH Biosciences,ref.12107)を含むEMS培地(Invitrogen,ref.041−95181M)において培養した。トランスフェクトのために、抗体EMAB603の発現のための、軽鎖ベクターであるpRSV−HL−EMAB−603 25μgと共に、細胞5百万個をOptimix培地(Equibio,ref.EKITE 1)中で、エレクトロポレートした(エレクトロポレーター Biorad,model1652077)。適用したエレクトロポレーション条件は、0.5mlのキュベットに対して、230ボルト及び960マイクロファラッドであった。各エレクトロポレーションキュベットを、その後、5000細胞/ウエルの密度で、5つのプレートP96に分配した。5%透析血清(Invitrogen,ref.1063−017)、500μg/mlのG418(Invitrogen,ref.10131−027)、及び25nMのメトトレキサート(Sigma,ref.M8407)を含むRPMI選択培地(Invitrogen,ref21875−034)における認識は、トランスフェクトの3日後に達した。
【0108】
耐性のあったトランスフェクションウエルの上清を、ヒトIg配列特異的ELISAテストによる、キメラ免疫グロブリン(Ig)の存在のスクリーニングに用いた。
【0109】
最も多くの抗体を生成する10個のトランスフェクション産物を、P24プレートにおいて増幅し、限界希釈法(40細胞/プレート)によるクローニングのために、その生産性を評価し、3つの最も優れた生産体を選択するために、その上清をELISAにより再度試験した。
【0110】
クローニングの後、クローンR603をキメラ抗体EMAB603の生成のために選択し、生成培地CDハイブリドーマ(Invitrogen,ref.11279−023)に徐々に適応させた。キメラ抗体EMAB603の生成を、CDハイブリドーマ培地に適応したラインの拡張によって達成し、75cm及び175cmボトル中において3x10−5細胞/mlの希釈液、その後、ローラー型ボトル中において4.5x10−5細胞/mlの希釈液を得た。最大量に達した後、細胞ラインを、細胞生存率がわずか20%になるまで行った。生産の後、プロテインAについてのアフィニティクロマトグラフィ(精製度をHPLC<95%で評価した)によってキメラ抗体EMAB603を精製し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって観察した。
【0111】
〔実施例3:第1の実験プロトコルに基づいた、PIOLマウスモデルにおけるLB_R603及びリツキシマブ抗体の有効性の研究〕
(材料及び方法)
<細胞ライン>
IIA1.6細胞を、リンパ腫性BマウスA20−nJ細胞ラインから得た(Jones C. et al.“Different phenotypic variants of the mouse B cell tumor A20/2J are selected by antigen− and mitogen−triggered cytotoxicity of L3T4−positive,I−A−restricted T cell clones. J.Immunol.1986;136−348−356,[21])。細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS;PAA laboratories,Colbe,Germany)、ペニシリン 100U/mL、ストレプトマイシン 100μg/mL(Eurobio,Les Ulis,France)、10mMのピルビン酸塩(Invitrogen−Gibco)、及び50mMのメルカプトエタノール(Invitrogen−Gibco)が添加された、RPMI培地(Roswell Park Memorial Institute medium,Glutamax; Invitrogen−Gibco,Cergy Pontoise,France)において培養し、5%CO2雰囲気下において37℃で保持した(Touitou et al.“Impaired Th1/Tc1 cytokine production of tumor−infiltrating lymphocytes in a model of primary intraocular B−cell lymphoma,investigative Ophtalmology & Visual Science,July 2007,vol.48,no.7,[22])。
【0112】
<トランスフェクション>
サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの制御の下、3.5kb pmax GFP(Amaxa Biosystems,Cologne,Germany)、及びヒトCD20のコード遺伝子を有するプラスミドを用いて、IIA1.6細胞をヌクレオフェクションによってトランスフェクトした。488nmのアルゴンレーザを細胞に照射したとき、GFP分子(緑色蛍光タンパク質)が510nmの緑色波長において発光し、in vivoにおいてトランスフェクト細胞を検出することが可能になる。トランスフェクションの後、0.5mg/mlのネオマイシン(G418)を含むラインの培地において細胞を培養した。GFP及びヒトCD20(hCD20)を高い割合で発現するクローンを、限界希釈法によって得て、A20.IIA−GFP−hCD20と称した。
【0113】
<マウス>
6〜12週齢のメスのマウスBALB/c(H2)を、Charles River laboratories(L’Arbresle,France)から得た。マウスに滅菌した食物及び濾過した水を無制限に与え、12時間の暗条件サイクルに維持した。全てのマウスを、European Union Guidelines、及び“ARVO Statement for the Use of Animals in Ophtalmic and Vision research”にしたがって扱った。
【0114】
<硝子体内注入及び臨床評価>
120mg/kgのケタミン(lmalgene 1000;Merial,Lyon,France)及び6mg/kgのキシラジン(Rompun 2%;Bayer,Leverkusen,Germany)の組み合わせを腹腔内注入することによって、麻酔した。腫瘍細胞(104細胞)を2μL 1×のPBS(pH7.4)内においてインキュベートし、解剖顕微鏡を用いて扁平部を経て硝子体内に注入した。
【0115】
0.5%のトロピカミド(Thea,Clermond−Ferrand,France)で膨張させた後、シリンジ(Hamilton;Hamilton Bonaduz,Switzerland)に取り付けられた32ゲージの針を通して、無菌状態で右眼に注入を行った。試験マウスの右眼の硝子体内に、2μLのPBSを注入した。注入後、リファマイシンドロップ(Merck,Sharp & Dohme−Chribert,Clermont−Ferrand,France)を滴下した。
【0116】
各マウスの眼底の両側実験を含む、細隙灯実験を、標準的な間隔で行った。臨床的な進行度を、眼が関与する臨床スコアにしたがって、等級付けた。
【0117】
A20.IIA−GFP−hCD20細胞の硝子体内注入の7日後、マウスを以下の3つのグループに分けた:腫瘍細胞を受けた眼にPBS 1×(2μL)の注入を受けた8匹のマウスのグループ、腫瘍細胞を受けた眼に20μg/2μLの抗体LFB_R603(「EMAB603」とも称する)の注入を受けた16匹のマウスのグループ、及び20μg/2μLのリツキシマブ抗体の注入を受けた8匹のマウスのグループ。
【0118】
PBS、LFB_R603、又はリツキシマブ抗体の注入の8日後、マウスを頸部脱臼により安楽死させた。
【0119】
<組織学試験>
死亡後、眼を回収し、5%スクロースを含む4%パラフォルムアルデヒド中で2時間固定し、供給元からの使用説明書にしたがって、薄片組織学試験のために、樹脂に包埋した(Historesin embedding kit,Leica Microsystems,Heidelberg,Germany)。連続切片(5μm)を、トルイジンブルーにより標識した。このように、眼の切片の顕微鏡試験を行った(Leitz microscope;Aristoplan,Rueil−Malmaison,France)。画像を収集した(DFC480 Leica,with a IM20 Image manager software;Leica Microsystems)。
【0120】
<免疫細胞化学>
除核した眼を、4%パラフォルムアルデヒド及び5%スクロースを含む溶液中で2時間固定し、15%スクロースを含むPBS中に一晩浸漬した。サンプルを、適合させた構成要素(Tissue−Tek;Sakura Finetek,Zoeterwoude, The Nederlands)中に包埋して凍結し、−80℃で保管した。凍結した眼の眼神経における前後切片(厚さ10μm)を、クリオスタット(CM2050S;Leica,Wetzlar,Germany)と共に切断し、免疫細胞化学解析のために、ゼラチンでコーティングされたスライド上に載せた。免疫標識のために、組織切片を、T細胞(clone CD4 GK1.5,clone CD8 53−6−7;BD Biosciences,Le Pont−de−Claix,France)、マクロファージ(clone F4/80)、及び多核好中球(clone 7/4;Serotec,Cergy Saint−Christophe,France)を対象とした、精製したラットモノクローナル抗体(mAb)と共にインキュベートした。Alexa594抗マウス共役抗体(Invitrogen−Gibco)を用いて可視化した。
【0121】
一部の実験において、核標識剤であるヨウ化プロピジウム(Invitrogen−Molecular Probes,Eugene,OR)と共にスライドをインキュベートした。ネガティブテストの実験を、mAbアイソタイプコントロールと共に組織切片中でインキュベートすることによって達成した。切片を、5%グリセロールを含むPBS中に固定し、蛍光顕微鏡で観察した(FXA,Microphot;Nikon,Melville,NY)。
【0122】
<共焦点顕微鏡検査及び画像解析>
共焦点顕微鏡検査を、アルゴンレーザ(488nm)及びヘリウムネオンレーザ(543nm)を備えたレーザ走査共焦点顕微鏡(LSM510;Carl Zeiss Meditec,GmbH,Oberkochen,Germany)を用いて、凍結眼の切片において行った。画像を、image−browser software(LSM;Carl Zeiss Meditec,GmbH)を用いて融合し、多色複合画像を生成した。
【0123】
<フローサイトメトリー>
眼をRPMI培地中で切除し、0.1mg/mLのDnase I(Roche,Meylan,France)、及び精製した酵素(Liberase,Roche)のWunsch/mLの1.67ユニットを用いて、37℃で20分間消化して濾過し、2mMのEDTA及び3% FCS(ウシ胎仔血清)を含むPBS中ですすぎ洗いした。
【0124】
細胞を2.4G2 mAb(10μg/mL)と共にプレインキュベートし、Fcレセプターとの非特異的な連結を阻害した。その後、1ウエルあたり10細胞を、以下のmAbsで標識した:ビオチン共役抗CD3(145−2C11;BD Biosciences)、フィコエリトリン共役抗CD4(GK1,5;BD Biosciences)、蛍光色素(Cy−Chrome)共役抗CD8(53−6.7;BD Biosciences)、フィコエリトリン共役抗CD19(6D5;e−Bioscience,San Diego,CA)、フィコエリトリン共役抗CD20(LFB_R603,LFB SA)、又は対応するmAbアイソタイプコントロール(BD Biosciences)。
【0125】
フローサイトメトリー解析(FACSCalibur)を、CellQuest及びFACS Diva(BD Bioscience)ソフトウエアを用いて行った。
【0126】
(結果)
<A20.IIA−GFP−hCD20細胞の硝子体内注入における、B細胞リンパ腫の眼内成長>
眼内リンパ腫モデルを生成するために、正常な免疫応答性BALB/c(H2)マウスに、ヒトCD20を発現するB細胞リンパ腫 A20.IIA−GFP−hCD20の合成ラインの硝子体内注入を受けさせた。これらの細胞はまた、GFPを発現し、これにより、リンパ腫由来のB細胞(CD19GFP)と正常な宿主B細胞由来のB細胞(CD19GFP)とを区別することができる。
【0127】
フローサイトメトリーによるGFP及びCD19の二重検出によって、インキュベートした全ての眼において、B細胞 A20.IIA−GFP−hCD20を検出した。眼内リンパ腫細胞の割合は、初期注入量10細胞で右眼に初期注入された細胞数と、用量反応的に相関関係がある。結果は再現可能であり、A20.IIA−GFP−hCD20細胞の注入を受けた全ての眼において、眼内リンパ腫が進行していた。
【0128】
<ヒトPIOLに非常によく似たモデル>
<in vivoにおけるPIOLの治療に対する抗体LFB_R603の効果>
ヒトCD20を発現するリンパ腫B細胞の注入により得られたPIOLモデルにおいて、8匹のマウスにPBS 1×を注入し、16匹のマウスをLFB_R603抗体(20μg/2μL)で処理し、8匹のマウスをリツキシマブ抗体(20μg/2μL)で処理する。
【0129】
LC_08及びLC_09と称する2つの独立した実験群において試験した各グループに対して、以下に詳細を示すプロトコルにしたがって、眼における腫瘍細胞の絶対数を測定し、マン−ホイットニーの統計学的検定により比較した。
【0130】
図4は、PBSの注入後、又はLFB_603抗体若しくはリツキシマブ抗体による処置後の生存細胞の総数における腫瘍細胞の数を示している。
【0131】
腫瘍細胞複製の抑制率を表1に示す。
【0132】
【表1】

【0133】
PBS 1×を受けたマウスにおいては、抑制は観察されなかった。
【0134】
リツキシマブ抗体により処理したマウスにおいては、有意な抗腫瘍効果は観察されなかった。
【0135】
LFB_R603抗体により処理したマウスにおいては、有意な抗腫瘍効果が観察された。
【0136】
〔実施例4:第2の実験プロトコルに基づいた、PIOLマウスモデルにおけるLFB_R603抗体及びリツキシマブの有効性の研究〕
(材料及び方法)
実施例3の詳細なプロトコル中で、マウスの眼におけるヒトCD20を発現するリンパ腫B細胞の注入によって、PIOL方法を得た。
【0137】
この第2の実験プロトコルにおいて、A20.IIA−GFP−hCD20細胞の硝子体内注入の4日後に、マウスを以下の3つのグループに分けた:LFB_R603抗体バッファの注入を受けた46匹のマウスのグループ、LFB_R603抗体(0.02μL/2μL)により処理した16匹のマウスのグループ、及びLFB_R603抗体(0.2μL/2μL)により処理した32匹のマウスのグループ。
【0138】
LFB_R603抗体バッファ、0.02μL/2μLのLFB_R603抗体、又は0.2μL/2μLのLFB_R603抗体の注入の12日後、マウスを頸部脱臼により安楽死させた。
【0139】
(結果)
実施例3に詳細を示すように、A20.IIA−GFP−hCD20(ヒトCD20を発現する)細胞の硝子体内注入の結果として、マウスにおいてB細胞の眼内リンパ腫が成長した。
【0140】
LC_12、LC_14、LC_15、LC_16、LC_19、及びLC_20と称する6つの独立した実験群において試験した各グループに対して、上記に詳細を示すプロトコルにしたがって、リンパ腫を受けた眼における腫瘍細胞の絶対数を測定し、マン−ホイットニーの統計学的検定により比較した。
【0141】
図5は、LFB_R603抗体バッファ、及びLFB_R603抗体(0.02μL/2μL)による処置後の生存細胞の総数における腫瘍細胞の数を示している。
【0142】
腫瘍細胞複製の抑制率を表2に示す。
【0143】
【表2】

【0144】
これらの実験の結果は、LFB_R603抗体を用いた処置により、例え注入濃度が低かったとしても(0.02μg/2μL及び0.2μg/2μL)、処置の12日後に有意な抗腫瘍効果が得られることを示した。
【0145】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD20抗原に対するモノクローナル抗体であって、
その軽鎖のそれぞれの可変領域は、配列番号1に示すマウス核酸配列にコードされ、
その重鎖のそれぞれの可変領域は、配列番号2に示すマウス核酸配列にコードされ、
上記軽鎖及び上記重鎖の定常領域は、非マウス種由来である、初期の眼内リンパ腫を治療するためのモノクローナル抗体。
【請求項2】
上記軽鎖のそれぞれ及び上記重鎖のそれぞれの上記定常領域は、ヒト定常領域である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
上記重鎖のそれぞれの上記定常領域は、配列番号3に示すヒト核酸配列にコードされ、かつ
上記軽鎖のそれぞれの上記定常領域は、配列番号4に示すヒト核酸配列にコードされている、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
上記軽鎖のそれぞれは、配列番号5に示すマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされ、
上記重鎖のそれぞれは、配列番号6に示すマウス−ヒトキメラ核酸配列にコードされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項5】
上記軽鎖のそれぞれは、配列番号7に示すアミノ酸配列から構成されており、
上記重鎖のそれぞれは、配列番号8によって構成されている、請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
ラットハイブリドーマYB2/0(アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection:ATCC)に、番号ATCC CRL−1662で登録されたYB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞)において生成された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項7】
国立微生物培養保管所(the national collection of cultures of microorganisms:CNCM)に、登録番号CNCM I−3529で登録されたクローンR603により生成された、請求項5に記載の抗体。
【請求項8】
初期の眼内リンパ腫を治療するための薬剤の製造に用いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗体の使用方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗体、又は当該抗体を含む薬剤を、治療の必要がある患者に投与することを含む、初期の眼内リンパ腫を治療する、治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−513761(P2012−513761A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544066(P2011−544066)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001349
【国際公開番号】WO2010/076400
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(510257525)エルエフベ−バイオテクノロジース (6)
【氏名又は名称原語表記】LFB−BIOTECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】