説明

初期の組織インピーダンスを測定するためのシステムおよび方法

【課題】効率的かつ一貫して組織を密封する電気外科システムを提供すること
【解決手段】電気外科エネルギーを組織に供給するように適合された、電気外科発電機であって、該電気外科発電機は、組織に電気外科エネルギーを供給するように適合されたRF出力ステージであって、該RF出力ステージは、少なくとも1つの実質的に一定である値を有する電気信号を組織に供給して、初期の組織インピーダンス応答を決定するようにさらに適合されている、RF出力ステージ;初期の組織インピーダンス応答を連続的に監視するように適合されたセンサ回路;ならびに初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値および最初のインピーダンス上昇のうちの少なくとも1つの関数として、少なくとも1つの組織処置パラメータを発生させるように適合されたマイクロプロセッサ、を備える、電気外科発電機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気外科手順を実施するためのシステムおよび方法に関する。より特定すると、本開示は、組織密封手順の間に、組織特性を測定するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気外科手術は、高い無線周波数の電流を外科手術部位に印加して、組織を切断するか、切除するか、凝固させるか、焼灼するか、乾燥させるか、または密封させることを包含する。組織または脈管の密封は、その組織内のコラーゲン、エラスチンおよび基質が、対向する組織構造の間でかなり減少した分界を有する融合塊に変形するように、これらのコラーゲン、エラスチンおよび基質を液化するプロセスである。焼灼は、熱を使用して組織を破壊することを包含し、そして凝固は、組織細胞が破壊および乾燥される、組織を乾燥させるプロセスである。
【0003】
双極電気外科手術において、携帯型器具の電極のうちの1つは、能動電極として機能し、そして他の電極は、戻り電極として機能する。この戻り電極は、能動電極に近接して配置され、その結果、電気回路が、これらの2つの電極(例えば、電気外科鉗子)の間に形成される。この様式で、印加される電流は、これらの電極の間に位置する身体組織に限定される。これらの電極が互いから充分に離れている場合、この電気回路は開き、従って、分離した電極のいずれかによる身体組織との不慮の接触により、電流が流れない。
【0004】
鉗子とは、ペンチ様の器具であり、この器具は、脈管または組織を把持し、クランプし、そして締め付けるために、その顎の間の機械的作用に依存する。いわゆる「開鉗子」は、通常、開胸外科手順(open surgical procedure)において使用され、一方で、「内視鏡鉗子」または「腹腔鏡鉗子」は、その名称が示唆するとおり、侵襲性が低い内視鏡外科手順のために使用される。電気外科鉗子(開型または内視鏡用)は、機械的クランプ作用および電気エネルギーを利用して、クランプされた組織に対する止血を行う。この鉗子は、電気外科用密封プレートを備え、これらのプレートは、クランプされた組織に電気外科エネルギーを印加する。この密封プレートを通して組織へと印加される電気外科エネルギーの強度、周波数および持続時間を制御することによって、外科医は、組織を凝固させ得、焼灼し得、そして/または密封し得る。密封手順の間に適切なエネルギーパラメータを選択することにより、組織へのエネルギーの有効な印加が可能になる。従って、効率的かつ一貫して組織を密封する電気外科システムを開発することが、必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、効率的かつ一貫して組織を密封する電気外科システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、以下を提供する:
(項目A1)
電気外科エネルギーを組織に供給するように適合された、電気外科発電機であって、該電気外科発電機は、
組織に電気外科エネルギーを供給するように適合されたRF出力ステージであって、該RF出力ステージは、少なくとも1つの実質的に一定である値を有する電気信号を組織に供給して、初期の組織インピーダンス応答を決定するようにさらに適合されている、RF出力ステージ;
初期の組織インピーダンス応答を連続的に監視するように適合されたセンサ回路であって、該初期の組織インピーダンス応答は、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値および最初のインピーダンス上昇のうちの少なくとも1つを含む、センサ回路;ならびに
該初期インピーダンス、該インピーダンス低下、該インピーダンス最小値および該最初のインピーダンス上昇のうちの少なくとも1つの関数として、少なくとも1つの組織処置パラメータを発生させるように適合されたマイクロプロセッサ、
を備える、電気外科発電機。
【0007】
(項目A2)
前記マイクロプロセッサが、前記少なくとも1つの組織パラメータに基づいて、前記電気外科発電機の出力を調節するようにさらに適合されている、項目A1に記載の電気外科発電機。
【0008】
(項目A3)
前記少なくとも1つの組織パラメータが、組織に付与されるべき圧力、エネルギー印加の持続時間、供給されるべきエネルギーの量、および目標インピーダンス軌道からなる群より選択される、項目A1に記載の電気外科発電機。
【0009】
(項目A4)
前記電気外科発電機が、電気外科エネルギーを組織に供給するように適合された少なくとも1つの能動電極を備える電気外科器具に接続される、項目A1に記載の電気外科発電機。
【0010】
(項目A5)
前記電気外科器具が、組織を密封するための電気外科鉗子であり、該鉗子が、
シャフト部材の遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリを有する少なくとも1つのシャフト部材であって、該エンドエフェクタアセンブリは、第一の位置から少なくとも1つの引き続く位置へと移動可能な顎部材を備え、該第一の位置において、該顎部材は、互いに対して間隔を空けた関係であり、そして該少なくとも1つの引き続く位置において、該顎部材は、該顎部材の間に組織を把持するために協働する、シャフト部材;および
該顎部材に対して並置した関係で該顎部材の各々に取り付けられた密封プレートであって、該密封プレートは、該密封プレートの間に保持された組織を通して電気外科エネルギーを連絡させるように、該電気外科発電機に接続されるように適合されている、密封プレート、
を備える、項目A4に記載の電気外科発電機。
【0011】
(項目A6)
前記電気信号の前記一定の値が、一定の電圧、一定の電流、一定の電力、および一定のエネルギーからなる群より選択される、項目A1に記載の電気外科発電機。
【0012】
さらに、本発明は、以下を提供する:
(項目B1)
電気外科システムであって、該電気外科システムは、
組織に電気外科エネルギーを供給するように適合された電気外科発電機であって、該発電機は、少なくとも1つの実質的に一定である値を有する電気信号を組織に供給して、初期の組織インピーダンス応答を決定するようにさらに適合されており、該発電機は、
初期の組織インピーダンス応答を連続的に監視するように適合されたセンサ回路であって、該初期の組織インピーダンス応答は、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値および最初のインピーダンス上昇を含む、センサ回路;および
該初期インピーダンス、該インピーダンス低下、該インピーダンス最小値、および該最初のインピーダンス上昇のうちの少なくとも1つの関数として、少なくとも1つの組織処置パラメータを生成するように適合されている、マイクロプロセッサ、
を備える、発電機;ならびに
電気外科器具であって、該電気外科器具は、処置のために組織に電気外科エネルギーを印加するように適合された少なくとも1つの能動電極を備える、電気外科器具、
を備える、電気外科システム。
【0013】
(項目B2)
前記マイクロプロセッサが、前記少なくとも1つの組織パラメータに基づいて前記電気外科発電機の出力を調節するようにさらに適合されている、項目B1に記載の電気外科システム。
【0014】
(項目B3)
前記少なくとも1つの組織パラメータが、組織に付与されるべき圧力、エネルギー印加の持続時間、供給されるべきエネルギーの量、および目標インピーダンス軌道からなる群より選択される、項目B1に記載の電気外科システム。
【0015】
(項目B4)
前記電気外科器具が、組織を密封するための電気外科鉗子であり、該鉗子が、
シャフト部材の遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリを有する少なくとも1つのシャフト部材であって、該エンドエフェクタアセンブリは、第一の位置から少なくとも1つの引き続く位置へと移動可能な顎部材を備え、該第一の位置において、該顎部材は、互いに対して間隔を空けた関係にあり、そして該少なくとも1つの引き続く位置において、該顎部材は、該顎部材の間に組織を把持するように協働する、少なくとも1つのシャフト部材;および
該顎部材に対して並置された関係で、該顎部材の各々に取り付けられた密封プレートであって、該密封プレートは、該密封プレートの間に保持された組織に通して電気外科エネルギーを連絡させるように、該電気外科発電機に接続されるように適合されている、密封プレート、
を備える、項目B1に記載の電気外科システム。
【0016】
(項目B5)
前記電気信号の前記一定の値が、一定の電圧、一定の電流、一定の電力、および一定のエネルギーからなる群より選択される項目B1に記載の電気外科システム。
【0017】
(項目B6)
電気外科手順を実施するための方法であって、該方法は、
少なくとも1つの実質的に一定である値を有する電気信号を組織に供給して、初期の組織インピーダンス応答を決定する工程であって、該初期の組織応答が、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値、および最初のインピーダンス上昇のうちの少なくとも1つを含む、工程;
該初期の組織インピーダンス応答を連続的に監視する工程;ならびに
少なくとも1つの組織処置パラメータを、該初期インピーダンス、該インピーダンス低下、該インピーダンス最小値、および該最初のインピーダンス上昇のうちの少なくとも1つの関数として生成する工程、
を包含する、方法。
【0018】
(項目B7)
前記電気外科発電機の出力を、前記少なくとも1つの組織パラメータに基づいて調節する工程をさらに包含する、項目B6に記載の方法。
【0019】
(項目B8)
前記少なくとも1つの組織パラメータが、組織に付与されるべき圧力、エネルギー印加の持続時間、供給されるべきエネルギーの量、および目標インピーダンス軌道からなる群より選択される、項目B7に記載の方法。
【0020】
(項目B9)
組織に電気外科エネルギーを印加するように適合された少なくとも1つの能動電極を備える、電気外科器具を提供する工程をさらに包含する、項目B6に記載の方法。
【0021】
(項目B10)
前記電気外科器具を提供する工程が、組織を密封するための電気外科鉗子を提供する工程をさらに包含し、該鉗子が、
シャフト部材の遠位端に配置されたエンドエフェクタアセンブリを有する少なくとも1つのシャフト部材であって、該エンドエフェクタアセンブリが、第一の位置から少なくとも1つの引き続く位置へと移動可能な顎部材を備え、該第一の位置において、該顎部材は、互いに対して間隔を空けた関係にあり、そして該少なくとも1つの引き続く位置において、該顎部材は、該顎部材の間に組織を把持するように協働する、少なくとも1つのシャフト部材;および
該顎部材と並置された関係で該顎部材の各々に取り付けられた密封プレートであって、該密封プレートは、該密封プレートの間に保持された組織に通して電気外科エネルギーを連絡させるように、前記電気外科発電機に接続されるように適合されている、密封プレート、
を備える、項目B9に記載の方法。
【0022】
(項目B11)
前記電気信号の前記一定の値が、一定の電圧、一定の電流、一定の電力、および一定のエネルギーからなる群より選択される、項目B6に記載の方法。
【0023】
電気外科システムおよび方法が、開示される。このシステムは、電気外科エネルギーを組織に供給するために適合された、電気外科発電機を備える。この発電機は、少なくとも1つの実質的に一定である値を有する電気信号を組織に供給して、初期の組織インピーダンス応答を決定するように、さらに適合される。この発電機は、初期の組織インピーダンス応答を連続的に監視するように適合された、センサ回路を備え、この初期の組織インピーダンス応答は、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値および最初のインピーダンス上昇のうちの1つを含む。この発電機はまた、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値および最初のインピーダンス上昇の関数として、これらに基づく少なくとも1つの組織パラメータを発生するように適合された、マイクロプロセッサを備える。このシステムはまた、電気外科器具を備え、この電気外科器具は、処置のために、電気外科エネルギーを組織に印加するように適合された、少なくとも1つの能動電極を備える。
【0024】
(要旨)
本開示は、電気外科手順を実施するためのシステムおよび方法に関する。このシステムは、電気外科発電機および器具(例えば、電気外科鉗子)を備える。この発電機は、一定の電圧の初期問合せ信号を組織に供給し、そして初期の組織インピーダンス応答を測定する。その後、この発電機は、この初期の組織インピーダンス応答を分析し、そしてこの発電機に対応する出力を選択するために使用される、対応する処置パラメータを選択する。
【0025】
本開示の1つの局面によれば、電気外科システムが開示される。このシステムは、組織に電気外科エネルギーを供給するように適合された、電気外科発電機を備える。この発電機は、少なくとも1つの実質的に一定である値を有する電気信号を組織に供給して、初期の組織インピーダンス応答を決定するように、さらに適合される。この発電機は、組織インピーダンス応答を連続的に監視するように適合されたセンサ回路を備え、ここで、この組織インピーダンス応答は、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値および最初のインピーダンス上昇を含む。この発電機はまた、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値および最初のインピーダンス上昇のうちの1つの関数として、少なくとも1つの組織処置パラメータを生成するように適合された、マイクロプロセッサを備える。このシステムはまた、処置のために組織に電気外科エネルギーを印加するように適合された少なくとも1つの能動電極を備える、電気外科器具を備える。
【0026】
本開示の別の局面によれば、電気外科手順を実施するための方法が開示される。この方法は、少なくとも1つの実質的に一定である値を有する電気信号を組織に供給して、初期の組織インピーダンス応答を決定する工程を包含し、ここで、この初期の組織インピーダンス応答は、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値、および最初のインピーダンス上昇のうちの少なくとも1つを含む。この方法はまた、初期の組織インピーダンス応答を連続的に監視する工程を包含する。この方法は、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値および最初のインピーダンス上昇のうちの1つの関数として、少なくとも1つの組織処置パラメータを生成する工程をさらに包含する。
【0027】
本開示のさらなる局面によれば、電気外科発電機が開示される。この電気外科発電機は、組織に電気外科エネルギーを供給し、そして少なくとも1つの実質的に一定である値を有する電気信号を組織に供給して、初期の組織インピーダンス応答を決定するように適合された、RF出力ステージを備える。この発電機はまた、初期の組織インピーダンス応答を連続的に監視するように適合されたセンサ回路を備え、ここで、この初期の組織インピーダンス応答は、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値、および最初のインピーダンス上昇のうちの少なくとも1つを含む。この発電機は、初期インピーダンス、インピーダンス低下、インピーダンス最小値および最初のインピーダンス上昇の関数として、少なくとも1つの組織処置パラメータを生成するように適合された、マイクロプロセッサをさらに備える。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、効率的かつ一貫して組織を密封する電気外科システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本開示による電気外科システムの斜視図である。
【図2】図2は、本開示による内視鏡鉗子の側面部分内部図である。
【図3】図3は、本開示による発電機システムの概略ブロック図である。
【図4】図4は、本開示による方法を図示する流れ図である。
【図5A】図5Aは、経時的なインピーダンス値を示す例示的なグラフである。
【図5B】図5Bは、経時的なインピーダンス値を示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中に記載される。
【0031】
(詳細な説明)
本開示の特定の実施形態は、添付の図面を参照しながら、本明細書中で以下に記載される。以下の説明において、周知の機能または構成は、本開示を不必要な細部において複雑にすることを回避するために、詳細には記載されない。本開示による本発明は、単極電気外科システムまたは双極電気外科システムのいずれを用いる使用のためにも適合され得ることを、当業者は理解する。
【0032】
図1は、本開示による内視鏡用双極電気外科システムを示し、このシステムは、電気外科鉗子10を備える。本開示による本発明は、図1に示されるような内視鏡用器具、または開胸用器具のいずれと共に使用するためにも適合され得ることを、当業者は理解する。より具体的には、鉗子10は、一般に、ハウジング21、ハンドルアセンブリ40、回転アセンブリ80、およびトリガアセンブリ70を備え、このトリガアセンブリは、組織を把持および処置するために、エンドエフェクタアセンブリ100と互いに協働する。鉗子10はまた、シャフト12を備え、このシャフトは、エンドエフェクタアセンブリ100と機械的に係合する遠位端14、および回転アセンブリ80の近位でハウジング21と機械的に係合する近位端16を有する。ハンドルアセンブリ40は、固定ハンドル50および可動ハンドル42を備える。ハンドル42は、固定ハンドル50に対して移動して、エンドエフェクタアセンブリ100を作動させ、そして使用者が組織を把持および操作することを可能にする。電気外科RFエネルギーは、発電機20によって、能動電極に接続された供給ラインを介して鉗子10に供給され、そして戻り電極に接続された戻りラインを通って戻る。供給ラインおよび戻りラインは、ケーブル23の内部に収容される。
【0033】
発電機20は、発電機20を制御するための入力制御器(例えば、ボタン、アクチベータ、スイッチ、タッチスクリーンなど)を備える。さらに、発電機20は、外科医に種々の出力情報(例えば、強度設定、処置の完了の指標など)を提供するための、1つ以上のディスプレイスクリーンを備え得る。これらの制御器は、外科医が、特定の作業(例えば、焼灼、組織密封、強度設定など)のために適切な望ましい波形を達成するために、RFエネルギー、波形、および他のパラメータを調節することを可能にする。鉗子10は、複数の入力制御器を備え得、これらの入力制御器は、発電機20の特定の入力制御が豊富であり得ることもまた、予測される。入力制御器を鉗子10に配置することによって、外科手術手順の間、発電機20との相互作用を必要とせずに、RFエネルギーパラメータのより容易かつより迅速な改変が可能になる。
【0034】
エンドエフェクタアセンブリ100は、対向する顎部材110および120を備え、これらの顎部材は、それぞれ、これらの顎部材に取り付けられた、電気外科エネルギーを組織に通して伝導させるための導電性の密封プレート112および122を有する。より具体的には、顎部材110および120は、ハンドル42の動きに応答して、開位置から閉位置へと移動する。開位置において、密封プレート112および122は、互いに対して間隔を空けた関係で配置される。クランプ位置または閉位置において、密封プレート112および122は、組織を把持し、そしてこの組織に電気外科エネルギーを印加するために、協働する。1つの予測される内視鏡鉗子に関するさらなる詳細は、共有に係る米国特許出願番号10/474,169(発明の名称「VESSEL SEALER AND DIVIDER」)に開示されており、この米国出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0035】
顎部材110および120は、ハウジング21内に収容された駆動アセンブリ(図示せず)を使用して、起動される。この駆動アセンブリは、可動ハンドル42と協働して、顎部材110および120の、開位置からクランプ位置または閉位置への移動を起こさせる。ハンドルアセンブリの例は、上記出願、および共有に係る米国特許出願番号10/369,894(発明の名称「VESSEL SEALER AND DIVIDER AND METHOD MANUFACTURING SAME」)および米国特許出願番号10/460,926(発明の名称「VESSEL SEALER AND DIVIDER FOR USE WITH SMALL TROCARS AND CANNULAS」)に図示および記載されており、これらの米国出願の両方が、本明細書中に参考として援用される。
【0036】
顎部材110および120はまた、絶縁体116および126を備え、これらの絶縁体は、外側の、顎部材110および120の非伝導性のプレートと一緒になって、組織の密封に関する公知の望ましくない影響(例えば、フラッシュオーバー、熱拡散および迷走電流の散逸)の多くを制限および/または減少させるように構成される。
【0037】
この特定の開示のハンドルアセンブリ40は、4本棒の機械的連結部を備え得、この連結部は、顎部材110と120との間の組織を密封する場合に、独特な機械的利点を提供する。例えば、一旦、密封部位の望ましい位置が決定され、そして顎部材110および120が適切に配置されると、ハンドル42が完全に圧縮されて、導電性密封プレート112および122を、組織を押し付けて閉位置にロックし得る。鉗子10の内部で作業する構成要素の相互協働関係に関する詳細は、上で引用された、共有に係る米国特許出願番号10/369,894に開示されている。軸がずれているレバー様のハンドルアセンブリを開示する、内視鏡ハンドルアセンブリの別の例は、上で引用された、米国特許出願番号10/460,926に開示されている。
【0038】
図1〜図2に示されるように、鉗子10はまた、トリガ70を備え、このトリガは、エンドエフェクタアセンブリ100の内部に配置されたナイフ(明白には図示されない)を前進させる。一旦、組織の密封が形成されると、使用者は、トリガ70を起動させて、この組織を、この組織の密封に沿って分離する。ナイフは、好ましくは、顎部材110と120との間に保持された組織を、組織密封部位で切断するために、鋭利な縁部を備える。長手軸方向に配向するチャネル(明白には図示されない)が、導電性密封プレート112の近位端から遠位端に延びて、導電性密封プレート112内に規定される。このチャネルは、好ましい切断面に沿ったナイフの長手軸方向での往復を容易にして、この組織を、形成された組織の密封に沿って効果的かつ正確に分離する。
【0039】
鉗子10はまた、回転アセンブリ80を備え、この回転アセンブリは、シャフト12および駆動アセンブリ(図示せず)に機械的に結合している。回転アセンブリ80の移動は、シャフト12に、類似の回転運動を付与し、これが次に、エンドエフェクタアセンブリ100を回転させる。電気外科エネルギーを、ハンドルアセンブリ20および回転アセンブリ80に通して移動させるための、種々の特徴および種々の電気的構成は、上記共有に係る米国特許出願番号10/369,894および同10/460,926に、より詳細に記載されている。
【0040】
図1および図2に関して最もよく見られるように、エンドエフェクタアセンブリ100は、シャフト12の遠位端14に取り付けられる。顎部材110および120は、駆動アセンブリ(図示せず)の相対的な往復(すなわち、長手軸方向の運動)の際に、旋回軸160の周りで、開位置から閉位置へと旋回可能である。ここでまた、エンドエフェクタアセンブリ100の種々の可動要素に関する機械的関係および協働関係は、例えば、上記共有に係る米国特許出願番号10/369,894および同10/460,926に、さらに記載されている。
【0041】
鉗子10は、特定の目的に依存して、または特定の結果を達成するために、完全にかまたは部分的に使い捨てであるように設計され得ることが、予測される。例えば、エンドエフェクタアセンブリ100は、シャフト12の遠位端14と、選択的かつ解放可能に係合可能であり得、そして/またはシャフト12の近位端16は、ハウジング21およびハンドルアセンブリ40と選択的かつ解放可能に係合可能であり得る。これらの2つの例のいずれにおいても、鉗子10は、部分的に使い捨てかまたは保存可能かのいずれかであり得る。例えば、新たなエンドエフェクタアセンブリ100または異なるエンドエフェクタアセンブリ100、あるいは新たなエンドエフェクタアセンブリ100およびシャフト12または異なるエンドエフェクタアセンブリ100およびシャフト12が、必要に応じて、古いエンドエフェクタアセンブリ100と選択的に交換されるように、使用される場合である。
【0042】
図3は、制御器24、高電圧DC電源27(「HVPS」)、およびRF出力ステージ28を有する、発電機20の概略ブロック図を示す。HVPS 27は、RF出力ステージ28に高電圧DC電力を提供し、このRF出力ステージが、次に、高電圧DC電力をRFエネルギーに変換し、そしてこのRFエネルギーを、能動電極24に送達する。具体的には、RF出力ステージ28は、高周波数のRFエネルギーの正弦波の波形を発生させる。RF出力ステージ28は、種々のデューティサイクル、ピーク電圧、波高因子、および他のパラメータを有する、複数の波形を発生させるように構成される。特定の型の波形は、特定の電気外科モードのために適切である。例えば、RF出力ステージ28は、切断モードにおいて、100%デューティサイクルの正弦波の波形(これは、組織を切断するために最も適している)を発生させ、そして凝縮モードにおいて、25%デューティサイクルの波形(これは、組織を焼灼して出血を止めるために最もよく使用される)を発生させる。
【0043】
制御器24は、メモリ26に作動可能に接続されたマイクロプロセッサ25を備え、このメモリは、揮発性の型のメモリ(例えば、RAM)および/または不揮発性の型のメモリ(例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体など)であり得る。マイクロプロセッサ25は、出力ポートを備え、この出力ポートは、HVPS 27および/またはRF出力ステージ28に作動可能に接続され、マイクロプロセッサ25が、開いた制御ループスキームおよび/または閉じた制御ループスキームのいずれかに従って、発電機20の出力を制御することを可能にする。
【0044】
閉じたループの制御スキームは、フィードバック制御ループであり、ここで、センサ回路22(これは、種々の組織特性およびエネルギー特性(例えば、組織インピーダンス、組織温度、出力電流および/または電圧など)を測定する複数のセンサを備え得る)が、制御器24にフィードバックを提供する。このようなセンサは、当業者の範囲内である。次いで、制御器24は、HVPS 27および/またはRF出力ステージ28に信号を送り、これが次いで、それぞれ、DC電源および/またはRF電源を調節する。制御器24はまた、発電機20または鉗子10の入力制御器からの、入力信号を受信する。制御器24は、この入力信号を利用して、発電機20によって出力される電力を調節し、そして/またはこの発電機に対する他の制御器能を実施する。
【0045】
図4は、本開示による、監視された組織インピーダンスに応答して発電機の出力を制御するための方法を示す。工程300において、鉗子10は、顎部材110および120を使用して組織を把持するように位置決めされる。工程310において、密封プレート112および122が起動され、そして組織と接触するが、完全には閉じないかもしれない。一定電圧の信号が、所定の期間(例えば、最初の2〜3秒間)にわたって印加されて、初期の組織インピーダンス応答を決定する。これは、電気外科エネルギーによる組織の処置の前に行われる。1つ以上の実質的に一定である値を有する、他の電気信号(例えば、一定の電力、電流、およびエネルギー)がまた、初期の組織インピーダンス応答を決定するために、組織に印加され得る。
【0046】
初期の組織インピーダンス応答は、自然な組織の状態を説明し、そして種々の密封パラメータ(例えば、エネルギー印加の持続時間、付与されるべきエネルギーの量など)を決定するために、引き続く計算において使用される。このインピーダンスは、センサ回路22によって監視される。具体的には、電圧信号および電流信号が監視され、そして対応するインピーダンス値が、センサ回路22および/またはマイクロプロセッサ25を用いて計算される。電力および他のエネルギー特性もまた、収集された電圧信号および電流信号に基づいて、計算され得る。マイクロプロセッサ25は、収集された電圧、電流およびインピーダンスを、メモリ26に格納する。
【0047】
例示的なインピーダンス応答が、図5A〜図5Bに図示されており、これらの図は、インピーダンス対時間のグラフを示す。具体的には、図5Aは、組織密封手順全体の間のインピーダンスの変化を示す。示されるように、初期の組織インピーダンスは、低下して、最小インピーダンスに達し、次いで、第一の速度で上昇し、次いで、第二の速度で上昇し続ける。この第二の速度は、一般に、第一の速度よりも遅い。図5Bは、インピーダンスのくぼみ400によって表される、初期の組織インピーダンス応答をより詳細に示し、この図は、初期インピーダンス402、引き続くインピーダンス低下404(これは、インピーダンス最小値406に達する)を含み、そして引き続いて、最初のインピーダンス上昇408に移行する。
【0048】
工程320において、初期の組織インピーダンス応答値(すなわち、初期インピーダンス402、インピーダンス低下404(例えば、低下の速度)、インピーダンスの最小値406および最初のインピーダンス上昇408(例えば、上昇の速度))が、記録および分析される。50Ω以下にまで低いインピーダンスの測定値が、検出される。記録された初期の組織インピーダンス応答値は、顎の間の組織に関する詳細な情報を提供する。例えば、インピーダンス低下404は、電極間のギャップ距離と、組織に供給されるエネルギーの量との間の関係を計算するために使用され得る。さらに、インピーダンス低下404はまた、把持されている組織の型およびこの組織の水和レベルを決定するために、使用され得る。
【0049】
工程330において、初期の組織インピーダンス応答値は、引き続く組織の処置のための処置パラメータ(例えば、組織に付与されるべき圧力、エネルギー印加の持続時間、供給されるべきエネルギーの量、目標インピーダンス軌道など)を決定するために、使用される。このことは、ルックアップテーブルを部品設置することによって、達成され得る。このルックアップテーブルは、インピーダンス値と共に、メモリ26に格納され得る。これらの値に基づいて、対応する組織処置パラメータが、ロードされる。マイクロプロセッサ25は、ロードされた組織処置パラメータを利用して、発電機20の出力、ならびに顎部材110および120によって組織に付与される閉鎖の速度および圧力を調節する。
【0050】
初期インピーダンス値の測定およびその分析は、リアルタイムのベースで実施されて、種々の型の組織に適合可能なシステムを提供し得ることが、当業者に明らかである。
【0051】
本開示の数個の実施形態が、図中に図示され、そして/または本明細書中で議論されたが、本開示は、これらに対する限定ではないことが意図される。なぜなら、本開示は、当該分野が許容する程度に範囲が広いこと、および本明細書はそのように読まれることが、意図されるからである。従って、上記記載は、限定と解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示と解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲および精神の範囲内の、他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0052】
10 電気外科鉗子
12 シャフト
14 遠位端
16 近位端
20 発電機
21 ハウジング
23 ケーブル
40 ハンドルアセンブリ
42 可動ハンドル
50 固定ハンドル
70 トリガアセンブリ
80 回転アセンブリ
100 エンドエフェクタアセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2013−46825(P2013−46825A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251979(P2012−251979)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【分割の表示】特願2007−205959(P2007−205959)の分割
【原出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(507364377)コヴィディエン・アクチェンゲゼルシャフト (62)
【Fターム(参考)】