説明

初期消火用スプリンクラ−

【課題】 本発明は、一般の家庭や企業等の仮眠室で火災が発生し住人が気付く事が遅れ家屋の消失と同時に住人の焼死事故が絶えない現状に対して、政府は新築住宅に火災検知器の設置を義務ずけ、一般家庭にも設置を奨励する様に決めたが、此の方針で焼死事故が減少するとは考えられない、何故なら犠牲者の多くは老人と子供が多く、彼らは火災警報が鳴った時にパニック状態に陥りるのでこの様な状態の住人に初期消火活動を要求する事は不可能に近い。
【解決手段】この様な状態でも火災に対して最重要課題である初期消火活動が行える方法は、住人に消火作業を任せるのではなく機械設備による自動化以外にないと考えた結果、ホテル等で設置されているスプリンクラ−装置の機能を一般の家庭等に安価に応用する方法を考案し実現する目的で初期消火用スプリンクラ−を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般の家庭または企業の職員等が利用する仮眠室等を対象とした、火災発生を検知すると直ちに機器が作動し住人の対応に関係なく、完全自動化した初期消火を可能にする事を目的とした初期消火用スプリンクラ−に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近数多く報道されている一般家庭の火災による死亡事故の多くは高齢者又は子供である、その対策として政府は新築家屋に火災検知警報機の設置を義務ずけ、一般の家庭にも設置を奨励している。しかし火災が発生し検知器が作動しても発生音を聞いた人がどの様な行動をするかは予測していない、現実は老人や子供はパニック状態になって対処の方法が判らず逃げ遅れて死亡事故となる、この事実を考えると警報を発しても対処は住人任せと言う中途半端な対策では火災による死亡事故の解決策とはならない、そこで全ての対応を完全自動化するにはどの様な対応が最適かを考えると、ホテル等では各部屋にスプリンクラ−が設置されて問題は解決されているが、此のシステムは設置費用が高額となるので一般家屋に設置する事は不可能に近い。
【0003】
一般住宅では火災発生時の初期消火には手提げ式の消火器やスプレ−式の消火器等が市販されているので一応の対策となっている。
【0004】
手提げの消火器や消火ボンベなど市場に存在する機器はいずれも火災発生時の初期消火対策の機器であり、全てその家屋の住人が操作しなければならない。
【0005】
火災発生時には初期消火が最重要課題であるが肝心な消火処置を住人任せにする事が問題解決を難しく且つ困難にしている現状を解決する方法を提案する事で死亡事故の減少に役立つ事を願って今回の機器開発を行った。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の火災発生時の初期消火は全てその家の住人の処理活動に任せていた為に住人の死亡事故の解決策になっていなかった。
【0007】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、人任せてはなく火災発生と同時に自動的に設置された機器が作動し初期消火が可能となる業務用のスプリンクラ−装置の機能を一般家庭向きに安価に提供し住宅の改造など必要としない初期消火用スプリンクラ−を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は目的とする初期消火に対してどの程度の水量が必要で、最低の作動時間はどの程度が必要かを調べた。
【0009】
この場合水道に直結したスプリンクラ−であれば消火には充分な水量が得られるがこの方法では業者に工事を依頼する事になりコストの面から問題となる。初期消火にどの程度の水量が必要かを実験したが、その結果霧状にした水を10畳の部屋に3分間程度散布する事で目的を達する事ができたので、この程度の水量であれば20リットル入りのポリタンクを利用する事が可能である。
【0010】
この程度の工事であれば機器の設置を業者に依頼せずに、日曜大工程度の知識があれば全ての工事を自分で完成させる事は容易である、そして若し必要とされる部屋が変わっても簡単に装置を移動する事が可能となる。自分で設置工事する事が可能な本発明のシステム装置を設置する事で一般家庭でも安価な自動初期消火装置が設置可能となる。
【0011】
上記の目的を達成する為に、本発明は既に量産化されて市場に大量に提供されている商品の中で本発明の必要とされる機能に適合する商品を多少の改造を行い利用する事で、開発費用を掛けて最初から専用部品として製作する無駄を極力避ける事で利用者に安価な装置を提供する事が可能となった。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新奇な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと,より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1ないし図2の本発明の第1の実施の形態に於いて、消火用水を蓄える為に用意されている家庭用貯水ポリタンク、1)と、この水を吸い上げる為のモ−タ−内蔵の家庭用バスポンプ、2)と是を作動させるためのACアダプタ−電源、3)と水流を確保する為のスプリンクラ−接続ホ−ス、4)と、火災を検知し警報音を発生する火災検知器、5)と水圧がかかったホ−スの水を取り入れ霧状になった水を、設置した天井中央から放水するための回転式スプリンクラ−ヘッド、6)と、これらの動作を制御する装置が収納されている操作箱、7)と、ホ−スの中に水と空気が混在する事で水の吸い上げが出来なくなるエア−ロック現象を防止する目的の防止ユニット、8)の組み合わせで本装置は構成されている。
【0015】
1)から8)迄の各部の設置を説明すると、先ず1)のポリタンクを機器を設置する部屋内の外周の適当な場所に置き、次に電源コ−ドが付いているACアダプタ−電源3)が接続されているバスポンプ2)をポリタンク1)に挿入する、そして電源コ−ドのプラグを部屋のコンセントに接続する。次にエア−ロック防止ユニット8)が取り付けられたホ−ス4)をバスポンプ2)に接続する、次に火災検知器5)を部屋の天井中央付近に取り付け検知コ−ドを操作箱7)に接続する、そして最後に回転式スプリンクラ−ヘッド6)を天井中央部付近に取り付けホ−ス4)を接続し、ホ−スを天井及び側壁にクランプにより固定する事で設置作業は終了する。
【0016】
次に、此の装置を作動可能の状態にする手順を説明する。
【0017】
1)のポリタンクを水道水で満水にする、次にエア−ロック防止器8)のワンタッチカップリング弁を外してバスポンプ2)をタンクに入れてポンプを満水にし8)のカップリング弁を元通りに接続する、そしてACアダプタ−電源3)の電源コ−ド11)を部屋の家庭用コンセント12)に接続する。
以上で装置が作動待機状態にセットされた。
【0018】
次に作動テストの手順を説明するが、火災検知器は市販の現状では次の3種類がある。
1)熱感知式;これは火災発生により部屋の温度が高くなると作動する。
2)煙感知式;これは火災発生時の煙を検知して作動する。
3)光感知式;これは火災の火が発生する紫外線を検知して作動する。
【0019】
どの検知器を選ぶかは万が一火災が発生したときに最初に火災を感知する方式がどれかと言う事を考慮すべきであるが家屋の状態、設置場所を考える事が必要である、例えば火を使うことが多い台所は熱感知方式が適当と思えるが寝室等では煙が発生しやすいので煙り感知方式が適当と思われる。
【0020】
先ず操作箱のスイッチをテスト側に倒すと、自動的にポンプの電源が働きポリタンクの水が送りだされてスプリンクラ−の先端から回転放水が開始されるので直ちにスイッチをOFFに戻せば動作が止まる、次に操作箱のスイッチを待機側に倒した後に火災検知器を作動(煙検知器では煙草の煙をはきかける)させると、同じ作動状態が再現される、そして通常は操作箱のスイッチは待機の位置にセットする。
【発明の異なる実施の形態】
【0021】
若し停電になった状態で火災が発生した場合は本発明の最大の特徴である自動消火機能が発揮出来ないのでその対策として次の方法を取ることができる。
【0022】
[請求項2]に示したように、ACアダプタ−電源をやめて小型のシ−ル電池を使用し常にフロ−ト充電を行う事で停電対策が可能である。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)[請求項1]の構成要件とで構成されているので、市場に存在する一般商品を組み合わせる事で開発のための初期投資を極力抑えて安価な実用品を一般家庭に提供する事が可能になり、問題解決の決め手となる。
(2)[請求項2]の構成要件で構成されているので、要求される設置条件に直ちに対応が可能となる。
(3)[請求項3]では[請求項1]での停電時の問題解決法を立てた。
(4)[請求項4]では設置する部屋の広さに応じ回転パイプのスリ−ブの位置を動かす事でパイプの側面に一列に開けた小穴の数が増減しその結果パイプの回転数が変わり放水距離が変化し、最適な散水距離を選ぶ事が可能になった。
【0024】
以上のような発明の効果の結果、現在の火災発生時の最大の問題点、即ち警報を出しても初期消火対策は住人の行動に任せる為に犠牲者が発生する結果になると言う問題が、初期消火迄は全て機械設備まかせで対応し、その後に住人が火災に対しての対応を行う余裕時間が出来るので、火災発生に対しては本発明の効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の斜視図。
【図2】本発明に使用する回転式スプリンクラ−ヘッドの詳細な斜視図。
【図3】本発明を実施するための最良の第2の別の形態の斜視図。
【図4】本発明に使用するバスポンプの詳細な斜視図
【符号の説明】
【0026】
1 ポリタンク 2 バスポンプ
3 ACアダプタ−電源 4 ホ−ス
5 火災検知器 6 回転式スプリンクラ−ヘッド
7 操作箱 8 エア−ロック防止器
9 シ−ル電池 10 充電器
11 電源コ−ド 12 家庭用コンセント
13 回転パイプ 14 スリ−ブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロ−成形された貯水用ポリタンクと家庭用バスポンプ、ポンプ作動用電源、送水用のホ−ス、を組み合わせ部屋の片隅に設置し部屋の中心部の天井に水圧で回転する、回転式スプリンクラ−ヘッドを取り付け、ホ−スに接続し、電源装置のスイッチを作動させる為に筐体内部に電気回路を追加した火災検知器を部屋中央の天井に取り付ける事で、火災を検知すると同時に電源部が作動する事によりポンプが作動し回転式スプリンクラ−ヘッドから霧状に回転噴霧するタンクの水により完全自動化の初期消火を可能にした、初期消火用スプリンクラ−。
【請求項2】
火災を検知する火災検知器として設置する場所の条件により、煙感知器、温度感知器、紫外線感知器のいずれかを選択し、その内部にバスポンプの電源を作動させる回路を追加する事で、火災発生を検知すると同時に瞬時にスプリンクラ−が作動して初期消火を可能にした初期消火用スプリンクラ−。
【請求項3】
停電時にもスプリンクラ−を作動可能にする為にAC電源の代わりにDCバッテリ−を搭載した初期消火用スプリンクラ−。
【請求項4】
回転式スプリンクラ−ヘッドを形成する回転パイプの先端部には放水用穴をあけ、パイプの側面には放水と同時にパイプを回転させる二つの目的の機能を備えた複数の小穴を開け、この小穴の数を見掛け上増減させる役目をするスリ−ブを被せた事を特徴とする初期消火用スプリンクラ−。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−68048(P2008−68048A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279270(P2006−279270)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(594129437)明興産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】