説明

利用可能電力量提示装置

【課題】バッテリの残電力が家庭と電気自動車との間での経済的な電力融通に活用できるか否かを適切に判断することができる「利用可能電力量提示装置」を提供すること。
【解決手段】電気自動車の住宅への到着を検知する到着検知手段7と、前記到着が検知された際の電気自動車のバッテリ2の残電力量を確認する残電力量確認手段8と、現在時刻取得手段10と、出発時刻を設定する出発時刻設定手段11と、前記出発時刻、前記現在時刻に基づいて、安価な深夜電力を利用してバッテリ2の満充電が可能か否かを判定する満充電可否判定手段12と、これによって肯定的な判定結果が得られた場合に、確認された残電力量を家庭用に利用可能な電力量として表示部9に表示する利用可能電力量表示手段14とを備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用可能電力量提示装置に係り、特に、電気自動車のバッテリの残電力量を家庭用に利用するのに好適な利用可能電力量提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油資源の枯渇抑制やCOの排出削減等の観点から、従来から主流とされていたガソリン車とは異なり、電気をエネルギ源とした電気自動車(EV:Electric Vehicle)の開発が盛んになっており、これまでにも、各種の電気自動車が実用化に至っている。
【0003】
また、電気自動車本体の開発にともなって、電気自動車に対する充電インフラ設備についても、公共施設や商業施設の駐車スペースでの運用に適したスタンドタイプの充電器や、住宅などへの設置に対応した壁面取付タイプの充電器等が普及化を目指して販売されるようになった。
【0004】
この種の電気自動車には、電力を消費する負荷としての使い方だけでなく、電気自動車のバッテリ(二次電池)に蓄積された電気を他の負荷に供給する電力源としての使い方も検討されており、家庭への供給(V2H:Vehicle to Home)、電力網への送電(V2G:Vehicle to Grid)(例えば、特許文献1参照)および他の電気自動車への供給(V2V:Vehicle to Vehicle)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2010−512727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したV2Hにおいては、電気自動車のバッテリの残電力を家庭用(照明やエアコン等の宅内負荷用)に利用(放電)することによって、家庭内での省エネ化に寄与することができるが、その一方で、残電力を家庭用に利用した後に電気自動車を再び走らせるためには、今度は、家庭用の電源からバッテリへの充電を行わなければならない。
【0007】
したがって、電気自動車を家庭用の電力源として利用するにあっては、利用後に電気自動車を走らせる必要性を考慮して、電気自動車と家庭との間での経済的な電力融通に活用できるバッテリの残電力量を正確に把握することが重要となる。
【0008】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、電気自動車と家庭との間での経済的な電力融通に活用できるバッテリの残電力量を正確に把握することができ、ひいては、電気自動車用電力および家庭用電力のトータルコストの削減を図ることができる利用可能電力量提示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明に係る利用可能電力量提示装置は、家庭用に利用可能な電気自動車のバッテリの残電力量を提示する利用可能電力量提示装置であって、前記電気自動車の住宅への到着を検知する到着検知手段と、この到着検知手段による前記到着の検知を契機として前記電気自動車のバッテリの残電力量を確認する残電力量確認手段と、現在の時刻を取得する現在時刻取得手段と、前記電気自動車が前記住宅を出発すべき出発時刻を設定する出発時刻設定手段と、前記残電力量確認手段による前記残電力量の確認の後に、前記出発時刻設定手段によって設定された出発時刻および前記現在時刻取得手段によって取得された現在の時刻に基づいて、電気代が通常よりも割安に設定された深夜電力を利用した前記バッテリに対する完全放電状態からの満充電を、前記設定された出発時刻までの間に完了させることが可能か否かを判定する満充電可否判定手段と、この満充電可否判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記残電力量確認手段によって確認された前記残電力量の全部または一部を、家庭用に利用可能な電力量として表示部に表示する利用可能電力量表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
そして、このような構成によれば、出発時刻と現在時刻との関係から電気代が割安な深夜電力を利用したバッテリの満充電が可能な場合に、バッテリの残電力量の全部または一部を家庭用に利用可能な電力量として表示することができるので、家庭用(宅内負荷用)の電気代の節約とバッテリ充電用の電気代の節約とを両立させることが可能なバッテリの残電力量を正確に把握することができる。
【0011】
また、前記利用可能電力量表示手段は、前記残電力量確認手段によって確認された残電力量の一部として、当該確認された残電力量から緊急時における前記電気自動車の利用に必要とみなされる所定の電力量を差し引いた電力量を、前記家庭用に利用可能な電力量として表示してもよい。
【0012】
そして、このような構成によれば、帰宅後に緊急に電気自動車の利用が必要となった場合に迅速に対処することが可能となる。
【0013】
さらに、前記利用可能電力量表示手段によって表示された電力量に該当する前記バッテリの残電力の家庭用への利用の有無を選択するための選択画面を前記表示部に表示する選択画面表示手段と、この選択画面表示手段によって表示された前記選択画面において当該残電力を家庭用に利用する旨が選択された場合に、前記住宅に設置されている家庭用エネルギ管理システムに対して当該残電力の利用を要求する利用要求手段とを備えてもよい。
【0014】
そして、このような構成によれば、バッテリの残電力の家庭用への利用を、ユーザの意思確認を待って行うことが可能となる。
【0015】
さらにまた、利用可能電力量提示装置は、車載機に搭載されていてもよい。
【0016】
そして、このような構成によれば、家庭用に利用可能な電力量を帰宅後にすみやかに車内で確認することができ、車載機の利便性を向上させることが可能となる。
【0017】
また、前記到着検知手段は、衛星航法および/または自律航法によって前記電気自動車の位置を検出する自車位置検出手段を有してもよい。
【0018】
そして、このような構成によれば、車載機の既存の設備を活用することが可能となる。
【0019】
さらに、利用可能電力量提示装置は、家庭用のコンピュータに搭載されていてもよい。
【0020】
そして、このような構成によれば、家庭用に利用可能な電力量を宅内で確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電気自動車と家庭との間での経済的な電力融通に活用できるバッテリの残電力量を正確に把握することができ、ひいては、電気自動車用電力および家庭用電力のトータルコストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る利用可能電力量提示装置の実施形態において、利用可能電力量提示装置を含むV/H間電力融通システムを示す概念図
【図2】本発明に係る利用可能電力量提示装置の実施形態を示すブロック図
【図3】本発明に係る利用可能電力量提示装置の実施形態を示す画面遷移図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る利用可能電力量提示装置の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施形態における利用可能電力量提示装置1を、これを含むV(Vehicle)/H(Home)間電力融通システムとともに示した概念図である。本実施形態における利用可能電力量提示装置1は、電気自動車のバッテリ2と家庭用エネルギ管理システム3との間での経済的な電力融通を支援するようになっている。なお、電気自動車は、電気のみをエネルギ源とする純粋な電気自動車以外にも、プラグインハイブリッド電気自動車等の電気以外のエネルギ源も利用する自動車を含めてもよい。また、本発明が効果的に適用される前提として、利用者は、電気事業者との間で、通常の料金プランと比較して深夜を含む所定の時間帯に利用される電力(以下、深夜電力と称する)の料金が割安に設定された料金プランを契約しているものとする。このような料金プランとしては、例えば、東京電力が提供する「おトクなナイト8」等がある。
【0025】
図1に示すように、バッテリ2は、充電または放電の際には、人為的な作業によって、充/放電ケーブル4および充/放電装置5を介して家庭用エネルギ管理システム3に電気的に接続されるようになっている。ここで、家庭用エネルギ管理システム3としては、例えば、HEMS(Home Energy Management System)を挙げることができる。HEMSは、家庭の家電機器や給湯機器等をネットワークでつなぎ自動制御するシステムであり、このようなシステムによれば、エネルギー利用状況を表示することでユーザに省エネを促すほか、機器のエネルギ使用量を自動的に制限することもできる。HEMSの装置本体は、表示操作部、I/O BOX、制御部等によって構成され、蓄電池を備えたものもある。このような家庭用エネルギ管理システム3は、供給側(発電所)から電力系統(電線等)を介して送電された電力の宅内負荷(家電機器等)6およびバッテリ2への供給を制御するようになっている。
【0026】
本実施形態における利用可能電力量提示装置1は、ハードウェアとしては、CPU、CPUの実行プログラムが記憶されたROM、CPUの処理結果の一時的な保存等に用いられるRAM、ディスプレイ、有線/無線の送受信モジュール等によって構成してもよく、このような利用可能電力量提示装置1を機能ごとに区分したブロック図は、図2に示すようになる。
【0027】
すなわち、図2に示すように、利用可能電力量提示装置1は、到着検知手段としての到着検知部7を有している。この到着検知部7は、電気自動車の自宅(利用者宅)への到着を検知するようになっている。なお、到着検知部7は、車載機(ナビゲーション装置)に搭載された公知の自車位置検出手段を備えたものであってもよい。ここで、自車位置検出手段としては、測位衛星(例えば、GPS衛星やガリレオ衛星等)から定期的に配信される測位信号(軌道および時刻に関する情報)を受信機によって受信し、受信した測位信号に基づいて自車位置を絶対座標として測位する衛星航法と、各種の自律航法センサ(ジャイロセンサや車速センサ等)の検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの相対的な変化分として算出する自律航法とを行うものを用いてもよい。また、自車位置の検出は、衛星航法または自律航法によって測位された自車位置を、地図データにおける該当する道路上の位置に整合させるマップマッチング処理をともなうものであってもよい。このような自車位置検出手段を備える場合には、到着検知部7は、自車位置検出手段によって検出された自車位置が、予め登録された自宅位置(住所)に対して一致もしくは所定距離内となった場合に、自宅への到着を検知してもよい。このような到着の検知には、既知のナビゲーション装置の到着判定システムを利用してもよい。
【0028】
また、図2に示すように、利用可能電力量提示装置1は、残電力量確認手段としての残電力量確認部8を有している。この残電力量確認部8は、到着検知部7による到着の検知をトリガとして、到着の際におけるバッテリ2の残電力量を確認するようになっている。このとき、残電力量確認部8は、電気自動車に搭載された不図示のバッテリ残量計の計測結果に基づいて残電力量を確認してもよい。また、残電力量確認部8は、確認された残電力量を、表示部9に表示してもよい。この残電力量の表示は、残電力量に対応した電気自動車の航続可能距離の表示をともなってもよい。この場合に、航続可能距離は、確認された残電力量(kWh)と電気自動車の既知の電費(km/kWh)とに基づいて算出してもよい。
【0029】
さらに、図2に示すように、利用可能電力量提示装置1は、現在時刻取得手段としての現在時刻取得部10を有しており、この現在時刻取得部10は、現在の時刻を取得するようになっている。なお、現在時刻取得部10は、前述した航法信号や車載機に搭載されたラジオの時報等に基づいて現在の時刻を取得してもよい。
【0030】
さらにまた、図2に示すように、利用可能電力量提示装置1は、出発時刻設定手段としての出発時刻設定部11を有している。この出発時刻設定部11は、電気自動車が自宅を出発すべき出発時刻を設定するようになっている。出発時刻設定部11は、表示部9に出発時刻設定用の操作画面を表示した上で、この操作画面に対する操作手段(タッチパネルやリモコン等)の操作結果に応じた出発時刻を設定してもよい。
【0031】
また、図2に示すように、利用可能電力量提示装置1は、満充電可否判定手段としての満充電可否判定部12を有している。この満充電可否判定部12は、残電力量確認部8による残電力量の確認の後に、出発時刻設定部11によって設定された出発時刻と、現在時刻取得部10によって取得された現在の時刻とに基づいて、深夜電力を利用したバッテリ2に対する完全放電状態(空状態)からの満充電を、設定された出発時刻までの間に完了させることが可能か否かを判定するようになっている。この判定には、バッテリ2の満充電に要する既知の所要時間および既知の深夜電力の適用時間帯も考慮される。
【0032】
さらに、図2に示すように、利用可能電力量提示装置1は、利用可能電力量表示手段としての利用可能電力量表示処理部14を有している。この利用可能電力量表示処理部14は、満充電可否判定部12によって肯定的な判定結果が得られた場合に、残電力量確認部8によって確認された残電力量の全部を、家庭用に利用可能な電力量として表示部9に表示するようになっている。一方、利用可能電力量表示処理部14は、満充電可否判定部12によって否定的な判定結果が得られた場合には、残電力量がある場合であっても、これを利用可能な電力量としては表示しない(利用可能な電力量が0kWhであると表示することも含む)ようになっている。
【0033】
このような構成によれば、出発時刻と現在時刻との関係から電気代が割安な深夜電力を利用したバッテリ2の満充電が可能な場合に、バッテリ2の残電力量を家庭用に利用可能な電力量として表示することができるので、利用者は、バッテリ2の残電力を家庭用に利用して家庭用の電気代を節約した後に、バッテリ2の充電を深夜電力を利用して安価に行って充電用の電気代を節約できることを確認することができる。
【0034】
上記構成に加えて、更に、本実施形態における利用可能電力量提示装置1は、図2に示すように、選択画面表示手段としての選択画面表示処理部15を有している。この選択画面表示処理部15は、利用可能電力量表示処理部14によって表示された電力量に該当するバッテリ2の残電力を家庭用に利用するか否かを選択するための選択画面を表示部9に表示するようになっている。
【0035】
また、図2に示すように、利用可能電力量提示装置1は、利用要求手段としての利用要求送信部16を有している。この利用要求送信部16は、選択画面表示処理部15によって表示された選択画面において、残電力を家庭用に利用する旨が選択された場合に、家庭用エネルギ管理システム3に対して当該残電力の利用を要求する要求信号を送信するようになっている。一方、利用要求送信部16は、選択画面において残電力を家庭用に利用しない旨が選択された場合には、要求信号の送信を行わないようになっている。
【0036】
そして、家庭用エネルギ管理システム3側では、利用要求送信部16によって送信された要求信号に基づいて、バッテリ2に対する充/放電を制御するようになっている。例えば、家庭用エネルギ管理システム3は、深夜電力の適用時間帯および現在時刻を把握した上で、バッテリ2の残電力を放電装置を制御して放電させることによって、当該残電力を、深夜電力の適用時間帯が開始するまでの宅内負荷6用の電力として優先的に(電力系統からの供給電力に優先して)利用してもよい。このとき、家庭用エネルギ管理システム3は、バッテリ2の残電力を、自らの蓄電池に蓄積させるようにしてもよい。一方、家庭用エネルギ管理システム3は、深夜電力の適用時間帯が開始した場合には、充電装置を制御して、バッテリ2に対する満充電を開始すればよい。
【0037】
このようにして、電気自動車と家庭との間での電力融通を経済的に行うことができる。具体的には、1139Lのガソリンで500km走行するガソリン車を基準とした場合には、満充電状態において160km走行する電気自動車の満充電電力量は、原油換算(1139×160/500)すると364Lとなる。今、満充電状態の電気自動車によって平日通勤で往復40km走行すると仮定した場合には、日々の通勤後に残るバッテリ2の残電力量は、原油換算(364×(160−40)/160)すると273Lとなる。そして、このような残電力を、電気代が割安となる深夜電力の適用時間帯が開始するまでの間に全て使い切る場合には、当該残電力(原油換算273L)によって、エアコン用の電力(原油換算111L)、テレビ用の電力(原油換算44L)、照明器具用の電力(原油換算71L)のすべて(226L)を賄うことができる。また、深夜電力においては、通常プランの料金に比べて半額近くまたはそれ以上のコストダウンも可能となる。
【0038】
なお、上記構成に限らず、利用可能電力量表示処理部14は、残電力量確認部8によって確認された残電力量から緊急時における電気自動車の利用に必要とみなされる所定の電力量を差し引いた電力量(残電力量の一部)を、家庭用に利用可能な電力量として表示してもよい。
【0039】
このように構成すれば、緊急時の電気自動車の利用に迅速に対処することができる。この場合、所定の電力量としては、例えば、最寄りの救急病院までの往復に要する電力量等のコンセプトに応じた所望の電力量をユーザ操作またはデフォルトで設定すればよい。ただし、このような所定の電力量の差し引きは、現在の時刻との関係で実行条件を設けてもよく、例えば、現在の時刻が深夜電力の適用時間帯の開始前所定時間以内(例えば、30分以内)の場合には、差し引きを行わない(残電力量の全部を家庭用に利用可能な電力量として表示する)ようにしてもよい。
【0040】
また、本実施形態における利用可能電力量提示装置1は、車載機に搭載されたものであってもよいし、または、家庭用のコンピュータに搭載されたものであってもよい。ただし、家庭用のコンピュータに搭載する場合には、電気自動車(車載機)側から、通信を介して自車位置情報やバッテリ残量情報を取得することが必要になるであろう。
【0041】
次に、図3は、本実施形態における利用可能電力量提示装置1によって表示される画面の遷移例である。
【0042】
まず、図3のステップ1(ST1)の画面は、電気自動車が自宅に到着した際における電気自動車のバッテリ2の残電力量を、これに応じた航続可能距離とともに示す残電力通知画面とされている。この残電力通知画面は、到着検知部7による到着の検知をトリガとして、残電力量確認部8によって表示されたものである。
【0043】
次いで、ステップ2(ST2)の画面は、ステップ1(ST1)において残電力通知画面が表示された後に、所定時間の経過または次画面への遷移指示操作を契機として表示される画面である。具体的には、この画面は、出発時刻設定部11によって表示された出発時刻設定画面とされており、この出発時刻設定画面に対しては、操作手段を用いて出発時刻を入力して設定することができるようになっている。
【0044】
次いで、ステップ3(ST3)の画面は、出発時刻設定画面における設定結果に応じた満充電可否判定部12の判定結果が肯定的な場合に表示される画面であり、この画面は、利用可能電力量表示処理部14によって表示された電力量と、選択画面表示処理部15によって表示された選択画面とが複合された電力量通知/選択画面とされている。この画面に対しては、操作手段を用いて利用の有無を選択することができるようになっている。この画面において「利用する」が選択された場合には、利用要求送信部16による家庭用エネルギ管理システム3への利用要求の送信が行われ、家庭用エネルギ管理システム3によってバッテリ2の充放電の制御が開始されることになる。
【0045】
以上述べたように、本発明によれば、バッテリ2の残電力が家庭と電気自動車との間での経済的な電力融通に活用できるか否かを適切に判断することができるので、家庭用電力および電気自動車用電力のトータルコストの削減を図ることができる。
【0046】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。例えば、利用可能電力量提示装置1は、家庭用に利用可能な残電力量を、音声も介して通知するようにしてもよい。また、利用可能電力量提示装置1は、所定の時点(例えば、利用要求送信部16による要求信号の送信の時点等)において電気自動車が充/放電装置5に接続されていない場合には、これを指摘する警告メッセージを表示または音声出力するようにしてもよい。あるいは、利用可能電力量提示装置1は、電気自動車が充/放電装置5に接続されていることを、満充電可否判定部12が肯定的な判定を行うための条件に含めてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 利用可能電力量提示装置
2 バッテリ
7 到着検知部
8 残電力量確認部
9 表示部
10 現在時刻取得部
11 出発時刻設定部
12 満充電可否判定部
14 利用可能電力量表示処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用に利用可能な電気自動車のバッテリの残電力量を提示する利用可能電力量提示装置であって、
前記電気自動車の住宅への到着を検知する到着検知手段と、
この到着検知手段による前記到着の検知を契機として前記電気自動車のバッテリの残電力量を確認する残電力量確認手段と、
現在の時刻を取得する現在時刻取得手段と、
前記電気自動車が前記住宅を出発すべき出発時刻を設定する出発時刻設定手段と、
前記残電力量確認手段による前記残電力量の確認の後に、前記出発時刻設定手段によって設定された出発時刻および前記現在時刻取得手段によって取得された現在の時刻に基づいて、電気代が通常よりも割安に設定された深夜電力を利用した前記バッテリに対する完全放電状態からの満充電を、前記設定された出発時刻までの間に完了させることが可能か否かを判定する満充電可否判定手段と、
この満充電可否判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記残電力量確認手段によって確認された前記残電力量の全部または一部を、家庭用に利用可能な電力量として表示部に表示する利用可能電力量表示手段と
を備えたことを特徴とする利用可能電力量提示装置。
【請求項2】
前記利用可能電力量表示手段は、前記残電力量確認手段によって確認された残電力量の一部として、当該確認された残電力量から緊急時における前記電気自動車の利用に必要とみなされる所定の電力量を差し引いた電力量を、前記家庭用に利用可能な電力量として表示すること
を特徴とする請求項1に記載の利用可能電力量提示装置。
【請求項3】
前記利用可能電力量表示手段によって表示された電力量に該当する前記バッテリの残電力の家庭用への利用の有無を選択するための選択画面を前記表示部に表示する選択画面表示手段と、
この選択画面表示手段によって表示された前記選択画面において当該残電力を家庭用に利用する旨が選択された場合に、前記住宅に設置されている家庭用エネルギ管理システムに対して当該残電力の利用を要求する利用要求手段と
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の利用可能電力量提示装置。
【請求項4】
車載機に搭載されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の利用可能電力量提示装置。
【請求項5】
前記到着検知手段は、衛星航法および/または自律航法によって前記電気自動車の位置を検出する自車位置検出手段を有すること
を特徴とする請求項4に記載の利用可能電力量提示装置。
【請求項6】
家庭用のコンピュータに搭載されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の利用可能電力量提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−5522(P2013−5522A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132316(P2011−132316)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】