到着予測時刻表示システムおよび到着予測時刻表示方法並びにプログラム
【課題】到着予測時刻の表示をより適正に更新する。
【解決手段】現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestを算出し(S170)、出発地から現在地までの実所要時間TAactを取得し(S190)、推定所要時間TTestのうち出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間TAestを算出する(S200)。そして、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの残分推定所要時間TRestに対する割合である判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには(S240)、残分推定所要時間TRestと現在時刻とに基づいて到着予測時刻ETAの表示を更新し(S260)、判定用割合Rtが判定用閾値Rref未満のときには、到着予測時刻ETAの表示は更新しない。これにより、到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。
【解決手段】現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestを算出し(S170)、出発地から現在地までの実所要時間TAactを取得し(S190)、推定所要時間TTestのうち出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間TAestを算出する(S200)。そして、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの残分推定所要時間TRestに対する割合である判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには(S240)、残分推定所要時間TRestと現在時刻とに基づいて到着予測時刻ETAの表示を更新し(S260)、判定用割合Rtが判定用閾値Rref未満のときには、到着予測時刻ETAの表示は更新しない。これにより、到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、到着予測時刻表示システムおよび到着予測時刻表示方法並びにプログラムに関し、詳しくは、走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示システムおよび到着予測時刻表示方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の到着予測時刻表示システムに関する技術としては、ナビゲーション装置において、出発地から目的地までの所要時間を計算して所定時間毎(例えば1分毎)に到着予測時刻を算出し、算出された到着予測時刻を一時的に記憶し、記憶された到着予測時刻と所定時間後に算出された到着予測時刻とを比較して所定時間以上(例えば10分以上)ずれているか否かを判断し、所定時間以上ずれていると判断された場合には、報知手段によりその旨を報知するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、これにより、到着予測時刻の変動を1分等の更新間隔毎に案内することによる煩わしさを回避しつつ、大きな到着予測時刻の変動を運転者に確実に知らせるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−82795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したナビゲーション装置の技術では、到着予測時刻の表示が適正に更新されない場合がある。例えば、出発地から車両の走行を開始した直後に所定時間以上(例えば、10分以上)の遅れが生じたときに、目的地までの走行距離が長く、今後の走行によっては当初の到着予測時刻に間に合う可能性があるにも拘わらず、到着予測時刻の表示が遅くなる方に変更される場合が生じたり、遅くなる方に変更された到着予測時刻の表示がその後の走行によって再び早くなる方に変更される(到着予測時刻の表示が頻繁に更新される)場合が生じたりする。
【0005】
本発明の到着予測時刻表示システムおよび到着予測時刻表示方法並びにプログラムは、到着予測時刻の表示をより適正に更新することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の到着予測時刻表示システムおよび到着予測時刻表示方法並びにプログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の到着予測時刻表示システムは、
車両の走行経路が設定されているときに該走行経路の道路情報を用いて該走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示システムであって、
前記走行経路上の出発地から前記目的地までの推定所要時間を算出する推定所要時間算出手段と、
前記推定所要時間と該推定所要時間が算出された時刻とに基づいて前記目的地の到着予測時刻を算出して前記表示部に表示する到着予測時刻表示処理手段と、
前記出発地から現在地までの実所要時間を取得する実所要時間取得手段と、
前記推定所要時間のうち、前記出発地から前記現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出する実分推定所要時間算出手段と、
前記現在地から前記目的地までの残分推定所要時間を算出する残分推定所要時間算出手段と、
前記実所要時間と前記実分推定所要時間との差分の、前記残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、前記残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて前記表示部に表示された到着予測時刻を更新する到着予測時刻更新手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の到着予測時刻表示システムでは、走行経路上の出発地から目的地までの推定所要時間を算出し、推定所要時間と推定所要時間が算出された時刻とに基づいて目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する。そして、出発地から現在地までの実所要時間を取得し、推定所要時間のうち出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出し、現在地から目的地までの残分推定所要時間を算出し、実所要時間と実分推定所要時間との差分の残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて表示部に表示された到着予測時刻を更新する。即ち、判定用割合が閾値未満のときには、表示部に表示された到着予測時刻は更新しない。したがって、実所要時間と実分推定所要時間との差分が小さいほど且つ残分推定所要時間が長いほど到着予測時刻の表示は更新されにくくなる。言い換えると、実所要時間と実分推定所要時間との差分が比較的大きいとき、即ち出発地から現在地までの走行によって生じた遅れや進みの程度が大きいときでも、残分推定所要時間が比較的長いとき、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって実際の到着時刻が早くなったり遅くなったりしやすいときには、到着予測時刻の表示は更新されにくい。これにより、到着予測時刻を予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。この結果、到着予測時刻の表示が頻繁に更新されるのが抑制され、到着予測時刻の表示をより適正に更新することができる。ここで、前記残分推定所要時間算出手段は、前記推定所要時間のうち前記現在地から前記目的地までの区間に対応する時間を前記残分推定所要時間として算出するものとしてもよいし、前記推定所要時間を用いずに前記残分推定所要時間を新たに算出するものとしてもよい。前者の場合、前記残分推定所要時間算出手段は、前記推定所要時間から前記実分推定所要時間を減じた時間を前記残分推定所要時間として算出するものとしてもよい。
【0009】
こうした本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離が長いほど大きくなる傾向の値である、ものとすることもできる。こうすれば、残走行距離が長いほど到着予測時刻の表示は更新されにくくなるから、到着予測時刻を予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。
【0010】
また、本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、道路の渋滞の程度である渋滞度を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、前記推定所要時間算出手段は、前記出発地での出発時刻において前記渋滞情報取得手段により取得されていた渋滞情報に基づいて前記推定所要時間を算出する手段であり、前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記判定用割合に拘わらず、前記表示部に表示された到着予測時刻を更新する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、新たな渋滞情報が取得されたときに到着予測時刻の表示を更新することができる。この結果、新たな渋滞情報が取得されたときまでに閾値未満の範囲で生じていた表示中の到着予測時刻に対する遅れや進みをリセットすることができる。ここで、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときは、前記現在時刻において前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度が前記出発時刻のときより変化したとき、とすることもできる。また、前記残分推定所要時間算出手段は、前記現在時刻において前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に基づいて前記残分推定所要時間を算出する手段である、ものとすることもできる。
【0011】
この新たな渋滞情報が取得されたときには判定用割合に拘わらず到着予測時刻を更新する態様の本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうち、前記渋滞情報の対象となる道路の距離が長いほど大きくなる傾向の値である、ものとすることもできる。こうすれば、今後新たな渋滞情報が取得される可能性が高いときほど、即ち表示中の到着予測時刻に対する遅れや進みをリセットすることができる可能性が高いほど、到着予測時刻の表示が更新されにくくなるから、到着予測時刻をより適正に更新することができる。この場合、前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうちの前記渋滞情報の対象となる道路の距離の、前記出発地から前記目的地までの全走行距離に対する割合が大きいほど大きくなる傾向の値である、ものとすることもできる。また、前記渋滞情報取得手段は、前記渋滞情報の対象となる道路と前記渋滞情報の対象とならない道路とのうち、前記渋滞情報の対象となる道路の前記渋滞情報を取得する手段である、ものとすることもできる。
【0012】
本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、道路の渋滞の程度である渋滞度を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、前記推定所要時間算出手段は、前記出発地での出発時刻において前記渋滞情報取得手段により取得されていた渋滞情報に基づいて前記推定所要時間を算出する手段であり、前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの変化に応じた値を前記閾値として用いる手段である、ものとすることもできる。こうすれば、渋滞度の変化を閾値に反映することができる。ここで、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときは、前記現在時刻において前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度が前記出発時刻のときより変化したとき、とすることもできる。また、前記残分推定所要時間算出手段は、前記現在時刻において前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に基づいて前記残分推定所要時間を算出する手段である、ものとすることもできる。
【0013】
この新たな渋滞情報が取得されたときに渋滞度の変化に応じた閾値を用いる態様の本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの増加量が大きいほど大きくなる傾向の値を前記閾値として用いる手段である、ものとすることもできる。こうすれば、渋滞度が増加したことにより、到着予測時刻を予測してもその予測の精度が比較的低いと考えられるときに、到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。
【0014】
また、新たな渋滞情報が取得されたときに渋滞度の変化に応じた閾値を用いる態様の本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの増加量が大きいほど小さくなる傾向の値を前記閾値として用いる手段である、ものとすることもできる。こうすれば、渋滞度が増加したことにより、現在地から目的地までの今後の所要時間が比較的長くなると考えられるときに、到着予測時刻の表示を更新しやすくすることができる。
【0015】
本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうち、高速道路の距離が長いほど大きくなる傾向の値である、ものとすることもできる。こうすれば、走行経路における残りの高速道路の距離が長いほど、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって遅れを取り戻しやすいほど、到着予測時刻の表示を更新しにくくすることができる。
【0016】
また、本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記推定所要時間算出手段は、前記表示部に表示された到着予測時刻が最初に更新された更新時以降は、前記表示部に表示された到着予測時刻が前回更新された更新地点から前記目的地までの前記推定所要時間を算出する手段であり、前記実所要時間取得手段は、前記更新時以降は、前記更新地点から前記現在地までの前記実所要時間を取得する手段であり、前記実分推定所要時間算出手段は、前記更新時以降は、前記推定所要時間のうち前記更新地点から前記現在地までの区間に対応する前記実分推定所要時間を算出する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、到着予測時刻が最初に更新された更新時以降も、到着予測時刻の表示をより適正に更新することができる。
【0017】
本発明の到着予測時刻表示方法は、
車両の走行経路が設定されているときに該走行経路の道路情報を用いて該走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示方法であって、
(a)前記走行経路上の出発地から前記目的地までの推定所要時間を算出するステップと、
(b)前記推定所要時間と該推定所要時間が算出された時刻とに基づいて前記目的地の到着予測時刻を算出して前記表示部に表示するステップと、
(c)前記出発地から現在地までの実所要時間を取得するステップと、
(d)前記推定所要時間のうち、前記出発地から前記現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出するステップと、
(e)前記現在地から前記目的地までの残分推定所要時間を算出するステップと、
(f)前記実所要時間と前記実分推定所要時間との差分の、前記残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、前記残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて前記表示部に表示された到着予測時刻を更新するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0018】
この本発明の到着予測時刻表示方法では、走行経路上の出発地から目的地までの推定所要時間を算出し、推定所要時間と推定所要時間が算出された時刻とに基づいて目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する。そして、出発地から現在地までの実所要時間を取得し、推定所要時間のうち出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出し、現在地から目的地までの残分推定所要時間を算出し、実所要時間と実分推定所要時間との差分の残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて表示部に表示された到着予測時刻を更新する。即ち、判定用割合が閾値未満のときには、表示部に表示された到着予測時刻は更新しない。したがって、実所要時間と実分推定所要時間との差分が小さいほど且つ残分推定所要時間が長いほど到着予測時刻の表示は更新されにくくなる。言い換えると、実所要時間と実分推定所要時間との差分が比較的大きいとき、即ち出発地から現在地までの走行によって生じた遅れや進みの程度が大きいときでも、残分推定所要時間が比較的長いとき、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって実際の到着時刻が早くなったり遅くなったりしやすいときには、到着予測時刻の表示は更新されにくい。これにより、到着予測時刻を予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。この結果、到着予測時刻の表示が頻繁に更新されるのが抑制され、到着予測時刻の表示をより適正に更新することができる。ここで、前記ステップ(e)は、前記推定所要時間のうち前記現在地から前記目的地までの区間に対応する時間を前記残分推定所要時間として算出するものとしてもよいし、前記推定所要時間を用いずに前記残分推定所要時間を新たに算出するものとしてもよい。前者の場合、前記ステップ(e)は、前記推定所要時間から前記実分推定所要時間を減じた時間を前記残分推定所要時間として算出するものとしてもよい。
【0019】
本発明のプログラムは、上述した到着予測時刻表示方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに分担して実行させれば、上述した到着予測時刻表示方法の各ステップが実現されるため、その到着予測時刻表示方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例である到着予測時刻表示システムとしてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】電子制御ユニット30の到着予測時刻処理部68により実行される到着予測時刻表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】出発地から目的地までの推定所要時間TTestを算出する様子の一例を示す説明図である。
【図4】到着予測時刻ETAを表示したディスプレイ22の画面の一例を示す説明図である。
【図5】判定用閾値設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】残走行距離LRに基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図7】残走行高速道路距離LRHに基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図8】残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合に基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】残分推定所要時間TRestや実分推定所要時間TAestを算出して判定用割合Rtと判定用閾値Rrefとを比較する様子の例を示す説明図である。
【図10】変形例の渋滞度の増加量ΔTJに基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図11】変形例の渋滞度の増加量ΔTJに基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施例である到着予測時刻表示システムとしてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。実施例のナビゲーション装置20は、他の車載機器12と共に図示しない自動車に搭載されており、文字や画像を表示する矩形状の画面を有する例えば液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどとして構成されたディスプレイ22と、ディスプレイ22の画面に取り付けられた例えば抵抗膜方式や静電容量方式などによるタッチパネル24と、操作者(ユーザ)により押下可能な複数のボタン25と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット30と、各種アプリケーションソフトウェアや地図データなどを記憶する大容量メモリとしてのハードディスクドライブ(以下、HDDという)40とを備え、図示しない車載バッテリからの電力供給を受けて作動する。
【0023】
電子制御ユニット30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU32の他に各種処理プログラムを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、記憶したデータを保持する不揮発性のフラッシュメモリ38と、図示しない入出力ポートおよび通信ポート,タイマとを備える。電子制御ユニット30には、操作者(ユーザ)のタッチ位置を検出するタッチパネル24からの信号や複数のボタン25からの信号,HDD40から読み出したデータなどが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット30からは、ディスプレイ22への表示信号やアンプを内蔵したスピーカ26への音声信号,HDD40に書き込むデータなどが出力ポートを介して出力されている。また、電子制御ユニット30は、車載機器12からの各種信号を受信したりナビゲーション装置20の状態に関するデータを車両側に送信するために通信ポートを介して車内ネットワークと接続されている。車載機器12からの信号としては、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号をGPSアンテナを介して受信するGPS受信機50からの信号,車両の駆動軸や車輪が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速センサ52からの信号,車両の進行方位やその変化を検出する例えばジャイロセンサにより構成された方位センサ54からの信号などがある。さらに、電子制御ユニット30は、道路に設置された車両感知器(光ビーコンや電波ビーコン)を介して交通情報を配信する道路交通情報通信システムの情報センターと情報をやりとりするために車両の通信装置58と通信ポートを介して接続されている。ここで、交通情報には、渋滞情報や工事情報などが含まれ、渋滞情報には、各道路のうち渋滞情報の対象となる道路についての渋滞の程度を示す渋滞度などが含まれる。渋滞度は、実施例では、「渋滞なし」,「混雑(渋滞度小)」,「渋滞(渋滞度大)」の3段階のいずれかによって表されるものとした。
【0024】
実施例のナビゲーション装置20では、電子制御ユニット30は、HDD40から必要なアプリケーションソフトウェアや地図データを読み出して各種処理を実行する。例えば、ハードウェア又はソフトウェア或いはその組み合わせにより実現される機能を表す図1の機能ブロックに示すように、電子制御ユニット30は、GPS受信機50からの信号や方位センサ54からの信号などに基づいて車両の現在位置である自車位置を判定するロケーション処理部60によるロケーション処理や、地図データを用いてディスプレイ22に地図を表示する地図表示処理部62による地図表示処理、判定された自車位置から目的地への走行ルートを探索して地図表示処理部62による地図表示やスピーカ26からの音声出力によりルート案内を行なうナビゲーション処理部64によるナビゲーション処理、走行ルート上の目的地の到着予測時刻を表示する到着予測時刻処理部68による到着予測時刻処理などを実行する。なお、地図データは、HDD40に記憶されており、道路情報や施設情報などを含む。道路情報には、例えば、各道路(各リンク)の番号(識別番号)と共に、各道路の両端のノードが示す地図上の位置(緯度及び経度),長さ(距離),種別などがある。道路種別としては、実施例では、高速道,国道,国道以外の一般道の3種類があるものとし、道路種別と共に種別毎の基準車速が予め定められてデータとしてHDD40に記憶されているものとした。
【0025】
次に、こうして構成された実施例のナビゲーション装置20の動作、特に車両の走行ルートが設定されているときに走行ルート上の目的地の到着予測時刻を表示し更新する際の動作について説明する。図2は、電子制御ユニット30の到着予測時刻処理部68により実行される到着予測時刻表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ナビゲーション処理によって出発地から目的地までの走行ルートが設定されたときから車両が走行ルート上の目的地に到達してナビゲーション処理を終了するときまで、所定時間毎(例えば、1分毎や数分毎など)に繰り返し実行される。
【0026】
図2の到着予測時刻表示処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット30のCPU32は、まず、ロケーション処理によって判定された自車位置を現在地として入力すると共に現在時刻を入力し(ステップS100)、入力した現在地から目的地までの走行ルート上の道路の渋滞情報を入力する処理を実行する(ステップS110)。本ルーチンが最初に実行されたときには、現在地は、設定された走行ルート上の出発地となっている。また、実施例では、高速道,国道,一般道の3種類のうち渋滞情報の対象とならない一般道を除いて渋滞情報の対象となる高速道と国道の2種類の道路について、情報センターから送信された渋滞情報を、通信装置58を介して入力するものとした。
【0027】
こうして情報を入力すると、本ルーチンが最初に実行されたときであるか否かを判定し(ステップS120)、本ルーチンが最初に実行されたときの場合には、HDD40に記憶された地図データの道路情報と入力した渋滞情報とに基づいて、出発地から目的地までの走行に要する所要時間として推定される推定所要時間TTestを算出する(ステップS130)。図3は、出発地から目的地までの推定所要時間TTestを算出する様子の一例を示す説明図である。図の例では、走行ルート上の出発地から目的地までの間に6つのリンクが存在しており、各リンクは、出発地から順に番号L1〜L6が付与されている。また、所要時間の算出に必要な道路情報としては、各リンクの道路種別と長さとに加えて、図中上部に示すように、道路種別毎の基準速度がHDD40から読み出される。また、所要時間の算出に必要な渋滞情報としては、図中上部に示すように、渋滞情報の対象となる高速道と国道とについて入力した渋滞情報では、渋滞度が「渋滞なし」,「混雑」,「渋滞」の順に大きくなっており、この3段階の渋滞度が速度係数(「渋滞なし」は係数kv1=1.0、「混雑」は係数kv2=0.8,「渋滞」は係数kv3=0.5)に換算され、基準速度に乗じられることによって用いられる。出発地から目的地までの推定所要時間TTestの算出は、実施例では、図3に例示した道路情報と渋滞情報とに基づいて、出発地から目的地までの各リンクの所要時間を計算し、計算した各リンクの所要時間を全て加算することによって行なうものとした。図3の例において、説明を簡単にするために、出発地から目的地までの渋滞度が全て「渋滞なし」の場合を考えると、例えば、一般道であるリンクL1の所要時間T1は、長さ(10km)を一般道の基準速度(20km/h)で割ることによって計算され、国道であるリンクL2の所要時間T2は、長さ(9km)を国道の基準速度(30km/h)で割ることによって計算され、残りのリンクL3〜L6の所要時間T3〜T6も同様に計算され、所要時間T1〜T6の和(2.4h)が推定所要時間TTestとして計算される。また、渋滞情報として、現在地から目的地までの一部のリンクで「渋滞なし」以外の渋滞度が入力された場合を考えると、例えば、高速道であるリンクL4の渋滞度が「渋滞」のときには、リンクL4の所要時間T4は、長さ(16km)を、高速道の基準速度(80km/h)に渋滞度「渋滞」の係数kv3(値0.5)を乗じて得られる速度(40km/h)で割ることによって計算され、推定所要時間TTestの算出に用いられる。
【0028】
こうして推定所要時間TTestを算出すると、推定所要時間TTestと現在時刻との和を到着予測時刻ETAとして算出し(ステップS140)、算出した到着予測時刻ETAをディスプレイ22に表示する(ステップS150)。そして、算出した推定所要時間TTestのリンク毎の所要時間(図3の例では、各リンクL1〜L6の所要時間T1〜T6)をリンク毎の渋滞度と共にフラッシュメモリ38に記憶し(ステップS160)、到着予測時刻ETAの表示が前回更新されたとき(以下、更新時刻という)からの経過時間である実所要時間TAactを図示しないタイマを用いて値0から計測開始して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。いまは、到着予測時刻ETAを出発地で最初に算出して表示したときであるから、実所要時間TAactは、到着予測時刻ETAが出発地で最初に算出され表示されたとき(車両が出発地にいるときの時刻、以下、出発時刻という)からの経過時間として計測開始されることになる。即ち、更新時刻は出発時刻となる。到着予測時刻ETAを表示したディスプレイ22の画面の一例を図4に示す。こうした処理により、ナビゲーション処理によるルート案内の開始と共に、ディスプレイ22に到着予測時刻ETAの最初の表示を行なうことができる。
【0029】
ステップS120で本ルーチンが最初に実行されたときでない、即ち2回目以降の実行であると判定されたときには、道路情報と渋滞情報とに基づいて、現在地から目的地までの残りの走行に要する所要時間として推定される残分推定所要時間TRestを算出する(ステップS170)。残分推定所要時間TRestは、推定所要時間TTestと同様に算出することができる。ただし、現在地がリンクの途中に位置する場合、実施例では、現在地の位置情報を用いて、1つのリンク全体の所要時間と、現在地からそのリンクの終点までの長さをそのリンクの長さで割って得られる割合との積を、現在地が位置するリンクの所要時間として計算するものとした。
【0030】
続いて、入力した現在地から目的地までの渋滞情報が新たな渋滞情報であるか否か、即ち、現在地から目的地までの渋滞情報の渋滞度が更新時刻(出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合、出発時刻)から変化したか否かを判定し(ステップS180)、渋滞度が変化したと判定されたときには、算出した残分推定所要時間TRestと現在時刻との和を到着予測時刻ETAとして算出し(ステップS250)、算出した到着予測時刻ETAによってディスプレイ22に表示されている到着予測時刻ETAを更新する(ステップS260)。そして、算出した残分推定所要時間TRestのリンク毎の所要時間をリンク毎の渋滞度と共にフラッシュメモリ38に記憶し(ステップS270)、更新時刻からの経過時間である実所要時間TAactを値0から計測開始して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。ここで、渋滞度の変化の判定は、実施例では、残分推定所要時間TRestの今回の算出に用いたリンク毎の渋滞度と、更新時刻に記憶したリンク毎の渋滞度とを比較することによって行なうものとした。こうした処理により、現在地から目的地までの渋滞情報として新たな渋滞情報が取得されたときには、到着予測時刻ETAの表示を更新することができる。
【0031】
現在地から目的地までの渋滞情報が新たな渋滞情報でない、即ち、現在地から目的地までの渋滞情報の渋滞度が更新時刻(出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合、出発時刻)から変化していないと判定されたときには、図示しないタイマにより計測している実所要時間TAactを取得すると共に(ステップS190)、到着予測時刻ETAの表示が前回更新された地点(以下、更新地点というが、出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合、出発地)から現在地までの区間に対応する走行所要時間として推定される実分推定所要時間TAestを算出し(ステップS200)、実所要時間TAactから実分推定所要時間TAestを減じたものの絶対値を差分時間ΔTAとして算出する(ステップS210)。ここで、実分推定所要時間TAestの算出は、実施例では、更新時刻に記憶したリンク毎の所要時間と渋滞度とを用いて、さらに、現在地がリンクの途中に位置する場合に前述したように現在地の位置情報を用いて算出するものとした。
【0032】
続いて、算出した差分時間ΔTAを残分推定所要時間TRestで割ったものを判定用割合Rtとして算出し(ステップS220)、判定用割合Rtと比較する判定用閾値Rrefを設定し(ステップS230)、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上であるか否かを判定する(ステップS240)。判定用閾値Rrefは、図5の判定用閾値設定処理により設定される。
【0033】
図5の判定用閾値設定処理では、更新地点(出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合、出発地)から目的地までの全走行距離LAと、現在地から目的地までの残走行距離LRと、残走行距離LRのうち高速道の距離(以下、残走行高速道路距離という)LRHと、残走行距離LRのうち渋滞情報の対象道路の距離(以下、残走行渋滞情報対象距離というが、実施例では残走行距離LRのうち高速道と国道との総距離)LRTとを、必要な道路情報(各リンクの長さや、各リンクの両端のノードの位置など)を用いて算出し(ステップS300)、残走行距離LRに基づいて係数klrを設定し、残走行高速道路距離LRHに基づいて係数klrhを設定し、残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合(LRT/LA)に基づいて係数klrtを設定し(ステップS310)、判定用閾値Rrefの予め定められた初期値Rbase(例えば、値0.05や値0.1,値0.2など)に係数klrと係数klrhと係数klrtとを乗じたものを判定用閾値Rrefとして設定して(ステップS320)、判定用閾値設定処理を終了する。係数klr,係数klrh,係数klrtは、実施例では、残走行距離LR,残走行高速道路距離LRH,残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合(LRT/LA)と、係数klr,係数klrh,係数klrtとの各関係を予め定めて係数設定用マップとしてそれぞれRAM36に記憶しておき、記憶したマップに残走行距離LR,残走行高速道路距離LRH,割合(LRT/LA)をそれぞれ与えて導出したものを設定するものとした。残走行距離LRに基づく係数設定用マップの一例を図6に示し、残走行高速道路距離LRHに基づく係数設定用マップの一例を図7に示し、割合(LRT/LA)に基づく係数設定用マップの一例を図8に示す。図6に示すように、係数klrは、残走行距離LRが長いほど大きくなる傾向の値が定められており、図7に示すように、係数krlhは、残走行高速道路距離LRHが長いほど大きくなる傾向の値が定められており、図8に示すように、係数krltは、割合(LRT/LA)が大きいほど、即ち残走行渋滞情報対象距離LRTが長いほど大きくなる傾向の値が定められている。実施例では、係数klr,係数klrh,係数klrtは、いずれも値1近傍で変化する正の値が定められているものとした。こうした傾向に各係数を定めた理由(効果)については、後述する。
【0034】
判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには、残分推定所要時間TRestと現在時刻との和として算出した到着予測時刻ETAによってディスプレイ22に表示されている到着予測時刻ETAを更新し(ステップS250,S260)、算出した残分推定所要時間TRestのリンク毎の所要時間をリンク毎の渋滞度と共にフラッシュメモリ38に記憶し(ステップS270)、更新時刻からの経過時間である実所要時間TAactを値0から計測開始して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。こうした処理により、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには、到着予測時刻ETAの表示を更新することができる。
【0035】
一方、判定用割合Rtが判定用閾値Rref未満のときには、到着予測時刻ETAの表示を更新することなく、本ルーチンを終了する。
【0036】
図9は、出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合において、残分推定所要時間TRestや実分推定所要時間TAestを算出して判定用割合Rtと判定用閾値Rrefとを比較する様子の例を示す説明図である。図中、上部の枠内は、図3と同じデータを用いているが、現在地がリンクL3の終点(リンクL4の始点)となっている。図9の例では、出発地から目的地までの渋滞度が全て「渋滞なし」の場合を考えており、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestは、現在時刻においてリンクL4〜L6の所要時間T4〜T6の和として新たに計算される。また、実分推定所要時間TAestは、出発時刻において記憶したリンク毎の所要時間と渋滞度(図9の例では全て「渋滞なし」)とを用いて、リンクL1〜L3の所要時間T1〜T3の和として計算される。ここで、図中下部に例示するように、出発地から現在地までの実所要時間TAactが1.2h,1.0h,0.6hの3つのケースを、判定用閾値Rrefが値0.1(即ち10%)の場合を例として考える。実所要時間TAactが当初の予測より大きく遅れた1.2hの1番目のケースでは、実所要時間TAact(1.2h)と実分推定所要時間TAest(0.9h)との差分(0.3h)の絶対値として差分時間ΔTAが算出され、差分時間ΔTA(0.3h)の残分推定所要時間TRest(1.5h)に対する割合(値0.2)として判定用割合Rtが算出され、この判定用割合Rtは判定用閾値Rref以上と判定されて、到着予測時刻ETAの表示が更新されることになる。実所要時間TAactが当初の予測より少し遅れた1.0hの2番目のケースでは、実所要時間TAact(1.0h)と実分推定所要時間TAest(0.9h)との差分(0.1h)の絶対値として差分時間ΔTAが算出され、差分時間ΔTA(0.1h)の残分推定所要時間TRest(1.5h)に対する割合(約値0.07)として判定用割合Rtが算出され、この判定用割合Rtは判定用閾値Rref未満と判定されて、到着予測時刻ETAの表示は更新されない。実所要時間TAactが当初の予測より大きく早まった0.6hの3番目のケースでは、実所要時間TAact(0.6h)と実分推定所要時間TAest(0.9h)との差分(−0.3h)の絶対値として差分時間ΔTAが算出され、差分時間ΔTA(0.3h)の残分推定所要時間TRest(1.5h)に対する割合(値0.2)として判定用割合Rtが算出され、この判定用割合Rtは判定用閾値Rref以上と判定されて、到着予測時刻ETAの表示が更新されることになる。なお、図9の例で、出発地から目的地までの渋滞度が「渋滞なし」以外の場合として、例えば、出発時刻において渋滞情報として出発地から現在地までの一部のリンクで「渋滞なし」以外の「混雑」や「渋滞」の渋滞度が取得されていた場合を考えると、出発地から現在地までの実分推定所要時間TAestは、出発時刻における渋滞度が反映された時間となる。
【0037】
このように、実施例の到着予測時刻表示システムとしてのナビゲーション装置20では、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestを算出し、出発地から現在地までの実所要時間TAactを計測して取得し、出発地から目的地までの推定所要時間TTestのうち、出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間TAestを算出する。そして、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの、残分推定所要時間TRestに対する割合である判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには、残分推定所要時間TRestと現在時刻とに基づいて到着予測時刻ETAの表示を更新し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref未満のときには、到着予測時刻ETAの表示は更新しない。したがって、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAが小さいほど、且つ、残分推定所要時間TRestが長いほど、到着予測時刻ETAの表示は更新されにくくなる。言い換えると、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAが比較的大きいとき、即ち出発地から現在地までの走行によって生じた遅れや進みの程度が大きいときでも、残分推定所要時間TRestが比較的長いとき、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって実際の到着時刻が早くなったり遅くなったりする可能性が高く到着予測時刻を予測してもその予測の精度が低いときには、到着予測時刻ETAの表示は更新されにくくなる。これにより、到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻ETAの表示が更新されるのが抑制され、到着予測時刻ETAの表示が頻繁に更新されるのを抑制することができ、到着予測時刻ETAの表示をより適正に更新することができる。もとより、目的地に近づくほど、到着予測時刻ETAをより精度よく更新することができる。
【0038】
また、現在地から目的地までの残走行距離LRが長いほど、係数klrによって判定用閾値Rrefを大きくなる傾向に設定した。これにより、残走行距離LRが長いほど到着予測時刻ETAの表示は更新されにくくなるから、残走行距離LRが長く到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が低いときに、到着予測時刻ETAの表示が更新されるのを抑制することができる。
【0039】
さらに、現在地から目的地までの残走行距離LAのうちの高速道路の距離である残走行高速道路距離LRHが長いほど、係数klrhによって判定用閾値Rrefを大きくなる傾向に設定した。これにより、走行ルートにおける残りの高速道路の距離が長いほど、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって遅れを取り戻しやすいほど、到着予測時刻ETAの表示を更新しにくくすることができる。
【0040】
しかも、新たな渋滞情報が取得されたときには、判定用割合Rtに拘わらず(関係なく)、到着予測時刻ETAの表示を更新する。これにより、新たな渋滞情報が取得されたときまでに、判定用閾値Rref未満の範囲で生じていた表示中の到着予測時刻ETAに対する遅れや進みをリセットすることができ、新たな渋滞情報が取得されたタイミングを利用して、到着予測時刻ETAの表示を予測の精度がより高い時刻に更新することができる。そして、現在地から目的地までの残走行距離LRのうちの渋滞情報の対象道路の距離である残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合(LRT/LA)が大きいほど、係数klrtによって判定用閾値Rrefを大きくなる傾向に設定した。これにより、今後新たな渋滞情報が取得される可能性が高いときほど、即ち表示中の到着予測時刻ETAに対する遅れや進みをリセットすることができる可能性が高いほど、到着予測時刻ETAの表示が更新されにくくなるから、到着予測時刻ETAをより適正に更新することができる。
【0041】
以上説明した実施例の到着時刻表示システムとしてのナビゲーション装置20では、走行ルート上の出発地から目的地までの推定所要時間TTestを算出し、推定所要時間TTestと推定所要時間TTestが算出された時刻とに基づいて目的地の到着予測時刻ETAを算出してディスプレイ22に表示する。また、出発地から現在地までの実所要時間TAactを計測して取得し、推定所要時間TTestのうち出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間TAestを算出し、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestを算出する。そして、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの残分推定所要時間TRestに対する割合である判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには、残分推定所要時間TRestと現在時刻とに基づいてディスプレイ22に表示された到着予測時刻ETAを更新し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref未満のときには、ディスプレイ22に表示された到着予測時刻ETAを更新しない。これにより、到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができ、到着予測時刻ETAの表示が頻繁に更新されるのが抑制され、到着予測時刻ETAの表示をより適正に更新することができる。
【0042】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用閾値Rrefは、残走行距離LRに基づく係数klr,残走行高速道路距離LRHに基づくklrh,残走行渋滞情報対象距離LRTに基づく係数klrtを初期値Rbaseに乗じることにより設定するものとしたが、係数klr,係数klrh,係数klrtの一部のみを初期値Rbaseに乗じることにより設定するものとしてもよいし、初期値Rbaseをそのまま用いるものとしてもよい。また、残走行渋滞情報対象距離LRTに基づく係数を用いる場合、判定用閾値Rrefは、残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合(LRT/LA)と初期値Rbaseとの和としてもよい。
【0043】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用閾値Rrefは、残走行距離LAのうち高速道の距離(残走行高速道路距離)LRHが長いほど大きくなる傾向に設定するものとしたが、残走行距離LAのうち一般道路の距離(実施例では、国道と一般道との距離の和)が長いほど小さくなる傾向に設定するものとしてもよい。
【0044】
実施例のナビゲーション装置20では、新たな渋滞情報が取得されたとき、即ち現在地から目的地までの渋滞情報の渋滞度が更新時刻から変化したときには、判定用割合Rtに拘わらず到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしたが、これに代えて、現在地から目的地までの渋滞度の更新時刻からの増加量ΔTJを算出し、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど大きくなる傾向の値に判定用閾値Rrefを設定し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしてもよい。ここで、渋滞度の増加量ΔTJは、例えば、現在地から目的地までの所要時間の増加量などとして算出することができる。この場合、図10の係数設定用マップを用いて、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど大きくなるように値1近傍で変化する係数ktjを設定し、設定した係数ktjと初期値Rbaseとの積を判定用閾値Rrefとして設定することができる。なお、係数ktjに加えて、図6に例示した残走行距離LRに基づく係数klrや、図7に例示した残走行高速道路距離LRHに基づく係数klrhを更に乗じて判定用閾値Rrefを設定するものとしても構わない。これにより、渋滞度が増加したことにより、到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が比較的低いと考えられるときに、到着予測時刻ETAの表示が更新されるのを抑制することができる。なお、渋滞度が増加したときには増加量ΔTJを正の値とし、渋滞度が低下したときには増加量ΔTJを負の値とすることにより、渋滞度の減少による到着予測時刻ETAの予測の精度の低下にも対応することができる。
【0045】
実施例のナビゲーション装置20では、新たな渋滞情報が取得されたとき、即ち現在地から目的地までの渋滞情報の渋滞度が更新時刻から変化したときには、判定用割合Rtに拘わらず到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしたが、これに代えて、現在地から目的地までの渋滞度の更新時刻からの増加量ΔTJを算出し、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど小さくなる傾向の値に判定用閾値Rrefを設定し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしてもよい。ここで、渋滞度の増加量ΔTJは、例えば、現在地から目的地までの所要時間の増加量などとして算出することができる。この場合、図11の係数設定用マップを用いて、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど小さくなるように値1近傍で変化する係数ktjを設定し、設定した係数ktjと初期値Rbaseとの積を判定用閾値Rrefとして設定することができる。なお、係数ktjに加えて、図6に例示した残走行距離LRに基づく係数klrや、図7に例示した残走行高速道路距離LRHに基づく係数klrhを更に乗じて判定用閾値Rrefを設定するものとしても構わない。これにより、渋滞度が増加したことにより、現在地から目的地までの今後の所要時間が比較的長くなると考えられるときに、到着予測時刻ETAの表示を更新しやすくすることができる。なお、渋滞度が増加したときには増加量ΔTJを正の値とし、渋滞度が低下したときには増加量ΔTJを負の値とすることにより、渋滞度が減少したときにも到着予測時刻ETAの表示を更新しやすくすることができる。
【0046】
これら2つの変形例のナビゲーション装置20では、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど大きくなる傾向や小さくなる傾向の値に判定用閾値Rrefを設定し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしたが、渋滞度の増加量ΔTJに応じて2つの判定用閾値を設定して判定用割合との比較に用いるものとしてもよい。例えば、渋滞度の増加量ΔTJが大きくなる渋滞増加傾向のときには、遅れを判定する側の閾値は絶対値を小さく設定すると共に進みを判定する側の閾値は絶対値を大きく設定し、遅れに対しては到着予測時刻ETAの表示を更新しやすくすると共に進みに対しては到着予測時刻ETAの表示を更新しにくくするものとしたり、渋滞度の増加量ΔTJが小さくなる渋滞減少傾向のときには、遅れを判定する側の閾値は絶対値を大きく設定すると共に進みを判定する側の閾値は絶対値を小さく設定し、遅れに対しては到着予測時刻ETAの表示を更新しにくくすると共に進みに対しては到着予測時刻ETAの表示を更新しやすくする、などとしてもよい。この場合、閾値と比較する判定用割合は、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間として正負の値をとる時間を求めて、この差分時間の残分推定所要時間TRestに対する割合として算出すればよい。
【0047】
実施例のナビゲーション装置20では、渋滞情報に基づいて推定所要時間TTestや残分推定所要時間TRestを算出したり、新たな渋滞情報が取得されたときには判定用割合Rtに拘わらず到着予測時刻ETAの表示を更新したりするものとしたが、渋滞情報は考慮することなく、推定所要時間TTestや残分推定所要時間TRestを算出したりして到着予測時刻ETAを表示をしたりその表示を更新したりするものとしてもよい。
【0048】
実施例のナビゲーション装置20では、到着予測時刻表示処理ルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行するものとしたが、例えば、所定距離毎(例えば、数百メートル毎など)に繰り返し実行するなどとしてもよい。
【0049】
実施例のナビゲーション装置20では、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestは、道路情報と渋滞情報とに基づいて毎回新たに算出するものとしたが、例えば、出発時刻に比して新たな渋滞情報が取得されていないときには、実分推定所要時間TAestを先に算出し、推定所要時間TTestから実分推定所要時間TAestを減じることにより残分推定所要時間TRestを算出するなど、推定所要時間TTestを用いて残分推定所要時間TRestを算出するものとしてもよい。
【0050】
実施例のナビゲーション装置20では、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの残分推定所要時間TRestに対する割合である判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしたが、これに代えて、出発地から目的地までの推定所要時間TTestの算出に際して想定された車両の到達地点と現在地との差分走行距離の、現在地から目的地までの残分走行距離に対する割合を判定用割合として算出し、この判定用割合が判定用閾値以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしてもよい。
【0051】
実施例では、本発明の到着予測時刻表示システムをディスプレイ22等を備えるナビゲーション装置20に適用して説明したが、例えば、ディスプレイ等を備えるナビゲーション装置と通信可能に接続されたサーバに電子制御ユニット30の到着予測時刻処理部68の機能の全部または一部を実装して、このサーバを本発明の到着予測時刻表示システムとして機能させたり、このサーバとナビゲーション装置との組み合わせによって本発明の到着予測時刻表示システムを機能させるものとしてもよい。また、ナビゲーション装置20に代えて、携帯端末や他の車載装置を本発明の到着予測時刻表示システムとして機能させるものとしてもよい。
【0052】
また、実施例では、本発明を到着予測時刻表示システムの形態としたが、到着予測時刻表示方法の形態としてもよいし、こうした到着予測時刻表示方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラムの形態としてもよい。
【0053】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、出発地から目的地までの推定所要時間TTestを算出する図2の到着予測時刻表示処理ルーチンのステップS130の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「推定所要時間算出手段」に相当し、推定所要時間TTestと現在時刻との和を到着予測時刻ETAとして算出してディスプレイ22に表示する同ルーチンのステップS140,S150の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「到着予測時刻表示処理手段」に相当し、更新地点から現在地までの実所要時間TAactを取得する同ルーチンのステップS190の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「実所要時間取得手段」に相当し、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestを算出する同ルーチンのステップS170の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「残分推定所要算出手段」に相当し、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの残分推定所要時間TRestに対する判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには到着予測時刻ETAの表示を更新する同ルーチンのS240〜S260の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「到着予測時刻更新手段」に相当する。また、現在地から目的地までの渋滞情報を入力する同ルーチンのステップS110の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「渋滞情報取得手段」に相当する。
【0054】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0055】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、到着予測時刻表示システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
12 車載機器、20 ナビゲーション装置、22 ディスプレイ、24 タッチパネル、25 ボタン、26 スピーカ、30 電子制御ユニット、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 フラッシュメモリ、40 ハードディスクドライブ(HDD)、50 GPS受信機、52 車速センサ、54 方位センサ、58 通信装置、60 ロケーション処理部、62 地図表示処理部、64 ナビゲーション処理部、68 到着予測時刻処理部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、到着予測時刻表示システムおよび到着予測時刻表示方法並びにプログラムに関し、詳しくは、走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示システムおよび到着予測時刻表示方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の到着予測時刻表示システムに関する技術としては、ナビゲーション装置において、出発地から目的地までの所要時間を計算して所定時間毎(例えば1分毎)に到着予測時刻を算出し、算出された到着予測時刻を一時的に記憶し、記憶された到着予測時刻と所定時間後に算出された到着予測時刻とを比較して所定時間以上(例えば10分以上)ずれているか否かを判断し、所定時間以上ずれていると判断された場合には、報知手段によりその旨を報知するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、これにより、到着予測時刻の変動を1分等の更新間隔毎に案内することによる煩わしさを回避しつつ、大きな到着予測時刻の変動を運転者に確実に知らせるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−82795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したナビゲーション装置の技術では、到着予測時刻の表示が適正に更新されない場合がある。例えば、出発地から車両の走行を開始した直後に所定時間以上(例えば、10分以上)の遅れが生じたときに、目的地までの走行距離が長く、今後の走行によっては当初の到着予測時刻に間に合う可能性があるにも拘わらず、到着予測時刻の表示が遅くなる方に変更される場合が生じたり、遅くなる方に変更された到着予測時刻の表示がその後の走行によって再び早くなる方に変更される(到着予測時刻の表示が頻繁に更新される)場合が生じたりする。
【0005】
本発明の到着予測時刻表示システムおよび到着予測時刻表示方法並びにプログラムは、到着予測時刻の表示をより適正に更新することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の到着予測時刻表示システムおよび到着予測時刻表示方法並びにプログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の到着予測時刻表示システムは、
車両の走行経路が設定されているときに該走行経路の道路情報を用いて該走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示システムであって、
前記走行経路上の出発地から前記目的地までの推定所要時間を算出する推定所要時間算出手段と、
前記推定所要時間と該推定所要時間が算出された時刻とに基づいて前記目的地の到着予測時刻を算出して前記表示部に表示する到着予測時刻表示処理手段と、
前記出発地から現在地までの実所要時間を取得する実所要時間取得手段と、
前記推定所要時間のうち、前記出発地から前記現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出する実分推定所要時間算出手段と、
前記現在地から前記目的地までの残分推定所要時間を算出する残分推定所要時間算出手段と、
前記実所要時間と前記実分推定所要時間との差分の、前記残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、前記残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて前記表示部に表示された到着予測時刻を更新する到着予測時刻更新手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の到着予測時刻表示システムでは、走行経路上の出発地から目的地までの推定所要時間を算出し、推定所要時間と推定所要時間が算出された時刻とに基づいて目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する。そして、出発地から現在地までの実所要時間を取得し、推定所要時間のうち出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出し、現在地から目的地までの残分推定所要時間を算出し、実所要時間と実分推定所要時間との差分の残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて表示部に表示された到着予測時刻を更新する。即ち、判定用割合が閾値未満のときには、表示部に表示された到着予測時刻は更新しない。したがって、実所要時間と実分推定所要時間との差分が小さいほど且つ残分推定所要時間が長いほど到着予測時刻の表示は更新されにくくなる。言い換えると、実所要時間と実分推定所要時間との差分が比較的大きいとき、即ち出発地から現在地までの走行によって生じた遅れや進みの程度が大きいときでも、残分推定所要時間が比較的長いとき、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって実際の到着時刻が早くなったり遅くなったりしやすいときには、到着予測時刻の表示は更新されにくい。これにより、到着予測時刻を予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。この結果、到着予測時刻の表示が頻繁に更新されるのが抑制され、到着予測時刻の表示をより適正に更新することができる。ここで、前記残分推定所要時間算出手段は、前記推定所要時間のうち前記現在地から前記目的地までの区間に対応する時間を前記残分推定所要時間として算出するものとしてもよいし、前記推定所要時間を用いずに前記残分推定所要時間を新たに算出するものとしてもよい。前者の場合、前記残分推定所要時間算出手段は、前記推定所要時間から前記実分推定所要時間を減じた時間を前記残分推定所要時間として算出するものとしてもよい。
【0009】
こうした本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離が長いほど大きくなる傾向の値である、ものとすることもできる。こうすれば、残走行距離が長いほど到着予測時刻の表示は更新されにくくなるから、到着予測時刻を予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。
【0010】
また、本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、道路の渋滞の程度である渋滞度を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、前記推定所要時間算出手段は、前記出発地での出発時刻において前記渋滞情報取得手段により取得されていた渋滞情報に基づいて前記推定所要時間を算出する手段であり、前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記判定用割合に拘わらず、前記表示部に表示された到着予測時刻を更新する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、新たな渋滞情報が取得されたときに到着予測時刻の表示を更新することができる。この結果、新たな渋滞情報が取得されたときまでに閾値未満の範囲で生じていた表示中の到着予測時刻に対する遅れや進みをリセットすることができる。ここで、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときは、前記現在時刻において前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度が前記出発時刻のときより変化したとき、とすることもできる。また、前記残分推定所要時間算出手段は、前記現在時刻において前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に基づいて前記残分推定所要時間を算出する手段である、ものとすることもできる。
【0011】
この新たな渋滞情報が取得されたときには判定用割合に拘わらず到着予測時刻を更新する態様の本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうち、前記渋滞情報の対象となる道路の距離が長いほど大きくなる傾向の値である、ものとすることもできる。こうすれば、今後新たな渋滞情報が取得される可能性が高いときほど、即ち表示中の到着予測時刻に対する遅れや進みをリセットすることができる可能性が高いほど、到着予測時刻の表示が更新されにくくなるから、到着予測時刻をより適正に更新することができる。この場合、前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうちの前記渋滞情報の対象となる道路の距離の、前記出発地から前記目的地までの全走行距離に対する割合が大きいほど大きくなる傾向の値である、ものとすることもできる。また、前記渋滞情報取得手段は、前記渋滞情報の対象となる道路と前記渋滞情報の対象とならない道路とのうち、前記渋滞情報の対象となる道路の前記渋滞情報を取得する手段である、ものとすることもできる。
【0012】
本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、道路の渋滞の程度である渋滞度を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、前記推定所要時間算出手段は、前記出発地での出発時刻において前記渋滞情報取得手段により取得されていた渋滞情報に基づいて前記推定所要時間を算出する手段であり、前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの変化に応じた値を前記閾値として用いる手段である、ものとすることもできる。こうすれば、渋滞度の変化を閾値に反映することができる。ここで、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときは、前記現在時刻において前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度が前記出発時刻のときより変化したとき、とすることもできる。また、前記残分推定所要時間算出手段は、前記現在時刻において前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に基づいて前記残分推定所要時間を算出する手段である、ものとすることもできる。
【0013】
この新たな渋滞情報が取得されたときに渋滞度の変化に応じた閾値を用いる態様の本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの増加量が大きいほど大きくなる傾向の値を前記閾値として用いる手段である、ものとすることもできる。こうすれば、渋滞度が増加したことにより、到着予測時刻を予測してもその予測の精度が比較的低いと考えられるときに、到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。
【0014】
また、新たな渋滞情報が取得されたときに渋滞度の変化に応じた閾値を用いる態様の本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの増加量が大きいほど小さくなる傾向の値を前記閾値として用いる手段である、ものとすることもできる。こうすれば、渋滞度が増加したことにより、現在地から目的地までの今後の所要時間が比較的長くなると考えられるときに、到着予測時刻の表示を更新しやすくすることができる。
【0015】
本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうち、高速道路の距離が長いほど大きくなる傾向の値である、ものとすることもできる。こうすれば、走行経路における残りの高速道路の距離が長いほど、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって遅れを取り戻しやすいほど、到着予測時刻の表示を更新しにくくすることができる。
【0016】
また、本発明の到着予測時刻表示システムにおいて、前記推定所要時間算出手段は、前記表示部に表示された到着予測時刻が最初に更新された更新時以降は、前記表示部に表示された到着予測時刻が前回更新された更新地点から前記目的地までの前記推定所要時間を算出する手段であり、前記実所要時間取得手段は、前記更新時以降は、前記更新地点から前記現在地までの前記実所要時間を取得する手段であり、前記実分推定所要時間算出手段は、前記更新時以降は、前記推定所要時間のうち前記更新地点から前記現在地までの区間に対応する前記実分推定所要時間を算出する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、到着予測時刻が最初に更新された更新時以降も、到着予測時刻の表示をより適正に更新することができる。
【0017】
本発明の到着予測時刻表示方法は、
車両の走行経路が設定されているときに該走行経路の道路情報を用いて該走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示方法であって、
(a)前記走行経路上の出発地から前記目的地までの推定所要時間を算出するステップと、
(b)前記推定所要時間と該推定所要時間が算出された時刻とに基づいて前記目的地の到着予測時刻を算出して前記表示部に表示するステップと、
(c)前記出発地から現在地までの実所要時間を取得するステップと、
(d)前記推定所要時間のうち、前記出発地から前記現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出するステップと、
(e)前記現在地から前記目的地までの残分推定所要時間を算出するステップと、
(f)前記実所要時間と前記実分推定所要時間との差分の、前記残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、前記残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて前記表示部に表示された到着予測時刻を更新するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0018】
この本発明の到着予測時刻表示方法では、走行経路上の出発地から目的地までの推定所要時間を算出し、推定所要時間と推定所要時間が算出された時刻とに基づいて目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する。そして、出発地から現在地までの実所要時間を取得し、推定所要時間のうち出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出し、現在地から目的地までの残分推定所要時間を算出し、実所要時間と実分推定所要時間との差分の残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて表示部に表示された到着予測時刻を更新する。即ち、判定用割合が閾値未満のときには、表示部に表示された到着予測時刻は更新しない。したがって、実所要時間と実分推定所要時間との差分が小さいほど且つ残分推定所要時間が長いほど到着予測時刻の表示は更新されにくくなる。言い換えると、実所要時間と実分推定所要時間との差分が比較的大きいとき、即ち出発地から現在地までの走行によって生じた遅れや進みの程度が大きいときでも、残分推定所要時間が比較的長いとき、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって実際の到着時刻が早くなったり遅くなったりしやすいときには、到着予測時刻の表示は更新されにくい。これにより、到着予測時刻を予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができる。この結果、到着予測時刻の表示が頻繁に更新されるのが抑制され、到着予測時刻の表示をより適正に更新することができる。ここで、前記ステップ(e)は、前記推定所要時間のうち前記現在地から前記目的地までの区間に対応する時間を前記残分推定所要時間として算出するものとしてもよいし、前記推定所要時間を用いずに前記残分推定所要時間を新たに算出するものとしてもよい。前者の場合、前記ステップ(e)は、前記推定所要時間から前記実分推定所要時間を減じた時間を前記残分推定所要時間として算出するものとしてもよい。
【0019】
本発明のプログラムは、上述した到着予測時刻表示方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに分担して実行させれば、上述した到着予測時刻表示方法の各ステップが実現されるため、その到着予測時刻表示方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例である到着予測時刻表示システムとしてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】電子制御ユニット30の到着予測時刻処理部68により実行される到着予測時刻表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】出発地から目的地までの推定所要時間TTestを算出する様子の一例を示す説明図である。
【図4】到着予測時刻ETAを表示したディスプレイ22の画面の一例を示す説明図である。
【図5】判定用閾値設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】残走行距離LRに基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図7】残走行高速道路距離LRHに基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図8】残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合に基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】残分推定所要時間TRestや実分推定所要時間TAestを算出して判定用割合Rtと判定用閾値Rrefとを比較する様子の例を示す説明図である。
【図10】変形例の渋滞度の増加量ΔTJに基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図11】変形例の渋滞度の増加量ΔTJに基づく係数設定用マップの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施例である到着予測時刻表示システムとしてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。実施例のナビゲーション装置20は、他の車載機器12と共に図示しない自動車に搭載されており、文字や画像を表示する矩形状の画面を有する例えば液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどとして構成されたディスプレイ22と、ディスプレイ22の画面に取り付けられた例えば抵抗膜方式や静電容量方式などによるタッチパネル24と、操作者(ユーザ)により押下可能な複数のボタン25と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット30と、各種アプリケーションソフトウェアや地図データなどを記憶する大容量メモリとしてのハードディスクドライブ(以下、HDDという)40とを備え、図示しない車載バッテリからの電力供給を受けて作動する。
【0023】
電子制御ユニット30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU32の他に各種処理プログラムを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、記憶したデータを保持する不揮発性のフラッシュメモリ38と、図示しない入出力ポートおよび通信ポート,タイマとを備える。電子制御ユニット30には、操作者(ユーザ)のタッチ位置を検出するタッチパネル24からの信号や複数のボタン25からの信号,HDD40から読み出したデータなどが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット30からは、ディスプレイ22への表示信号やアンプを内蔵したスピーカ26への音声信号,HDD40に書き込むデータなどが出力ポートを介して出力されている。また、電子制御ユニット30は、車載機器12からの各種信号を受信したりナビゲーション装置20の状態に関するデータを車両側に送信するために通信ポートを介して車内ネットワークと接続されている。車載機器12からの信号としては、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号をGPSアンテナを介して受信するGPS受信機50からの信号,車両の駆動軸や車輪が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速センサ52からの信号,車両の進行方位やその変化を検出する例えばジャイロセンサにより構成された方位センサ54からの信号などがある。さらに、電子制御ユニット30は、道路に設置された車両感知器(光ビーコンや電波ビーコン)を介して交通情報を配信する道路交通情報通信システムの情報センターと情報をやりとりするために車両の通信装置58と通信ポートを介して接続されている。ここで、交通情報には、渋滞情報や工事情報などが含まれ、渋滞情報には、各道路のうち渋滞情報の対象となる道路についての渋滞の程度を示す渋滞度などが含まれる。渋滞度は、実施例では、「渋滞なし」,「混雑(渋滞度小)」,「渋滞(渋滞度大)」の3段階のいずれかによって表されるものとした。
【0024】
実施例のナビゲーション装置20では、電子制御ユニット30は、HDD40から必要なアプリケーションソフトウェアや地図データを読み出して各種処理を実行する。例えば、ハードウェア又はソフトウェア或いはその組み合わせにより実現される機能を表す図1の機能ブロックに示すように、電子制御ユニット30は、GPS受信機50からの信号や方位センサ54からの信号などに基づいて車両の現在位置である自車位置を判定するロケーション処理部60によるロケーション処理や、地図データを用いてディスプレイ22に地図を表示する地図表示処理部62による地図表示処理、判定された自車位置から目的地への走行ルートを探索して地図表示処理部62による地図表示やスピーカ26からの音声出力によりルート案内を行なうナビゲーション処理部64によるナビゲーション処理、走行ルート上の目的地の到着予測時刻を表示する到着予測時刻処理部68による到着予測時刻処理などを実行する。なお、地図データは、HDD40に記憶されており、道路情報や施設情報などを含む。道路情報には、例えば、各道路(各リンク)の番号(識別番号)と共に、各道路の両端のノードが示す地図上の位置(緯度及び経度),長さ(距離),種別などがある。道路種別としては、実施例では、高速道,国道,国道以外の一般道の3種類があるものとし、道路種別と共に種別毎の基準車速が予め定められてデータとしてHDD40に記憶されているものとした。
【0025】
次に、こうして構成された実施例のナビゲーション装置20の動作、特に車両の走行ルートが設定されているときに走行ルート上の目的地の到着予測時刻を表示し更新する際の動作について説明する。図2は、電子制御ユニット30の到着予測時刻処理部68により実行される到着予測時刻表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ナビゲーション処理によって出発地から目的地までの走行ルートが設定されたときから車両が走行ルート上の目的地に到達してナビゲーション処理を終了するときまで、所定時間毎(例えば、1分毎や数分毎など)に繰り返し実行される。
【0026】
図2の到着予測時刻表示処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット30のCPU32は、まず、ロケーション処理によって判定された自車位置を現在地として入力すると共に現在時刻を入力し(ステップS100)、入力した現在地から目的地までの走行ルート上の道路の渋滞情報を入力する処理を実行する(ステップS110)。本ルーチンが最初に実行されたときには、現在地は、設定された走行ルート上の出発地となっている。また、実施例では、高速道,国道,一般道の3種類のうち渋滞情報の対象とならない一般道を除いて渋滞情報の対象となる高速道と国道の2種類の道路について、情報センターから送信された渋滞情報を、通信装置58を介して入力するものとした。
【0027】
こうして情報を入力すると、本ルーチンが最初に実行されたときであるか否かを判定し(ステップS120)、本ルーチンが最初に実行されたときの場合には、HDD40に記憶された地図データの道路情報と入力した渋滞情報とに基づいて、出発地から目的地までの走行に要する所要時間として推定される推定所要時間TTestを算出する(ステップS130)。図3は、出発地から目的地までの推定所要時間TTestを算出する様子の一例を示す説明図である。図の例では、走行ルート上の出発地から目的地までの間に6つのリンクが存在しており、各リンクは、出発地から順に番号L1〜L6が付与されている。また、所要時間の算出に必要な道路情報としては、各リンクの道路種別と長さとに加えて、図中上部に示すように、道路種別毎の基準速度がHDD40から読み出される。また、所要時間の算出に必要な渋滞情報としては、図中上部に示すように、渋滞情報の対象となる高速道と国道とについて入力した渋滞情報では、渋滞度が「渋滞なし」,「混雑」,「渋滞」の順に大きくなっており、この3段階の渋滞度が速度係数(「渋滞なし」は係数kv1=1.0、「混雑」は係数kv2=0.8,「渋滞」は係数kv3=0.5)に換算され、基準速度に乗じられることによって用いられる。出発地から目的地までの推定所要時間TTestの算出は、実施例では、図3に例示した道路情報と渋滞情報とに基づいて、出発地から目的地までの各リンクの所要時間を計算し、計算した各リンクの所要時間を全て加算することによって行なうものとした。図3の例において、説明を簡単にするために、出発地から目的地までの渋滞度が全て「渋滞なし」の場合を考えると、例えば、一般道であるリンクL1の所要時間T1は、長さ(10km)を一般道の基準速度(20km/h)で割ることによって計算され、国道であるリンクL2の所要時間T2は、長さ(9km)を国道の基準速度(30km/h)で割ることによって計算され、残りのリンクL3〜L6の所要時間T3〜T6も同様に計算され、所要時間T1〜T6の和(2.4h)が推定所要時間TTestとして計算される。また、渋滞情報として、現在地から目的地までの一部のリンクで「渋滞なし」以外の渋滞度が入力された場合を考えると、例えば、高速道であるリンクL4の渋滞度が「渋滞」のときには、リンクL4の所要時間T4は、長さ(16km)を、高速道の基準速度(80km/h)に渋滞度「渋滞」の係数kv3(値0.5)を乗じて得られる速度(40km/h)で割ることによって計算され、推定所要時間TTestの算出に用いられる。
【0028】
こうして推定所要時間TTestを算出すると、推定所要時間TTestと現在時刻との和を到着予測時刻ETAとして算出し(ステップS140)、算出した到着予測時刻ETAをディスプレイ22に表示する(ステップS150)。そして、算出した推定所要時間TTestのリンク毎の所要時間(図3の例では、各リンクL1〜L6の所要時間T1〜T6)をリンク毎の渋滞度と共にフラッシュメモリ38に記憶し(ステップS160)、到着予測時刻ETAの表示が前回更新されたとき(以下、更新時刻という)からの経過時間である実所要時間TAactを図示しないタイマを用いて値0から計測開始して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。いまは、到着予測時刻ETAを出発地で最初に算出して表示したときであるから、実所要時間TAactは、到着予測時刻ETAが出発地で最初に算出され表示されたとき(車両が出発地にいるときの時刻、以下、出発時刻という)からの経過時間として計測開始されることになる。即ち、更新時刻は出発時刻となる。到着予測時刻ETAを表示したディスプレイ22の画面の一例を図4に示す。こうした処理により、ナビゲーション処理によるルート案内の開始と共に、ディスプレイ22に到着予測時刻ETAの最初の表示を行なうことができる。
【0029】
ステップS120で本ルーチンが最初に実行されたときでない、即ち2回目以降の実行であると判定されたときには、道路情報と渋滞情報とに基づいて、現在地から目的地までの残りの走行に要する所要時間として推定される残分推定所要時間TRestを算出する(ステップS170)。残分推定所要時間TRestは、推定所要時間TTestと同様に算出することができる。ただし、現在地がリンクの途中に位置する場合、実施例では、現在地の位置情報を用いて、1つのリンク全体の所要時間と、現在地からそのリンクの終点までの長さをそのリンクの長さで割って得られる割合との積を、現在地が位置するリンクの所要時間として計算するものとした。
【0030】
続いて、入力した現在地から目的地までの渋滞情報が新たな渋滞情報であるか否か、即ち、現在地から目的地までの渋滞情報の渋滞度が更新時刻(出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合、出発時刻)から変化したか否かを判定し(ステップS180)、渋滞度が変化したと判定されたときには、算出した残分推定所要時間TRestと現在時刻との和を到着予測時刻ETAとして算出し(ステップS250)、算出した到着予測時刻ETAによってディスプレイ22に表示されている到着予測時刻ETAを更新する(ステップS260)。そして、算出した残分推定所要時間TRestのリンク毎の所要時間をリンク毎の渋滞度と共にフラッシュメモリ38に記憶し(ステップS270)、更新時刻からの経過時間である実所要時間TAactを値0から計測開始して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。ここで、渋滞度の変化の判定は、実施例では、残分推定所要時間TRestの今回の算出に用いたリンク毎の渋滞度と、更新時刻に記憶したリンク毎の渋滞度とを比較することによって行なうものとした。こうした処理により、現在地から目的地までの渋滞情報として新たな渋滞情報が取得されたときには、到着予測時刻ETAの表示を更新することができる。
【0031】
現在地から目的地までの渋滞情報が新たな渋滞情報でない、即ち、現在地から目的地までの渋滞情報の渋滞度が更新時刻(出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合、出発時刻)から変化していないと判定されたときには、図示しないタイマにより計測している実所要時間TAactを取得すると共に(ステップS190)、到着予測時刻ETAの表示が前回更新された地点(以下、更新地点というが、出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合、出発地)から現在地までの区間に対応する走行所要時間として推定される実分推定所要時間TAestを算出し(ステップS200)、実所要時間TAactから実分推定所要時間TAestを減じたものの絶対値を差分時間ΔTAとして算出する(ステップS210)。ここで、実分推定所要時間TAestの算出は、実施例では、更新時刻に記憶したリンク毎の所要時間と渋滞度とを用いて、さらに、現在地がリンクの途中に位置する場合に前述したように現在地の位置情報を用いて算出するものとした。
【0032】
続いて、算出した差分時間ΔTAを残分推定所要時間TRestで割ったものを判定用割合Rtとして算出し(ステップS220)、判定用割合Rtと比較する判定用閾値Rrefを設定し(ステップS230)、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上であるか否かを判定する(ステップS240)。判定用閾値Rrefは、図5の判定用閾値設定処理により設定される。
【0033】
図5の判定用閾値設定処理では、更新地点(出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合、出発地)から目的地までの全走行距離LAと、現在地から目的地までの残走行距離LRと、残走行距離LRのうち高速道の距離(以下、残走行高速道路距離という)LRHと、残走行距離LRのうち渋滞情報の対象道路の距離(以下、残走行渋滞情報対象距離というが、実施例では残走行距離LRのうち高速道と国道との総距離)LRTとを、必要な道路情報(各リンクの長さや、各リンクの両端のノードの位置など)を用いて算出し(ステップS300)、残走行距離LRに基づいて係数klrを設定し、残走行高速道路距離LRHに基づいて係数klrhを設定し、残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合(LRT/LA)に基づいて係数klrtを設定し(ステップS310)、判定用閾値Rrefの予め定められた初期値Rbase(例えば、値0.05や値0.1,値0.2など)に係数klrと係数klrhと係数klrtとを乗じたものを判定用閾値Rrefとして設定して(ステップS320)、判定用閾値設定処理を終了する。係数klr,係数klrh,係数klrtは、実施例では、残走行距離LR,残走行高速道路距離LRH,残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合(LRT/LA)と、係数klr,係数klrh,係数klrtとの各関係を予め定めて係数設定用マップとしてそれぞれRAM36に記憶しておき、記憶したマップに残走行距離LR,残走行高速道路距離LRH,割合(LRT/LA)をそれぞれ与えて導出したものを設定するものとした。残走行距離LRに基づく係数設定用マップの一例を図6に示し、残走行高速道路距離LRHに基づく係数設定用マップの一例を図7に示し、割合(LRT/LA)に基づく係数設定用マップの一例を図8に示す。図6に示すように、係数klrは、残走行距離LRが長いほど大きくなる傾向の値が定められており、図7に示すように、係数krlhは、残走行高速道路距離LRHが長いほど大きくなる傾向の値が定められており、図8に示すように、係数krltは、割合(LRT/LA)が大きいほど、即ち残走行渋滞情報対象距離LRTが長いほど大きくなる傾向の値が定められている。実施例では、係数klr,係数klrh,係数klrtは、いずれも値1近傍で変化する正の値が定められているものとした。こうした傾向に各係数を定めた理由(効果)については、後述する。
【0034】
判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには、残分推定所要時間TRestと現在時刻との和として算出した到着予測時刻ETAによってディスプレイ22に表示されている到着予測時刻ETAを更新し(ステップS250,S260)、算出した残分推定所要時間TRestのリンク毎の所要時間をリンク毎の渋滞度と共にフラッシュメモリ38に記憶し(ステップS270)、更新時刻からの経過時間である実所要時間TAactを値0から計測開始して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。こうした処理により、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには、到着予測時刻ETAの表示を更新することができる。
【0035】
一方、判定用割合Rtが判定用閾値Rref未満のときには、到着予測時刻ETAの表示を更新することなく、本ルーチンを終了する。
【0036】
図9は、出発時刻以降に到着予測時刻ETAの表示が更新されていない場合において、残分推定所要時間TRestや実分推定所要時間TAestを算出して判定用割合Rtと判定用閾値Rrefとを比較する様子の例を示す説明図である。図中、上部の枠内は、図3と同じデータを用いているが、現在地がリンクL3の終点(リンクL4の始点)となっている。図9の例では、出発地から目的地までの渋滞度が全て「渋滞なし」の場合を考えており、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestは、現在時刻においてリンクL4〜L6の所要時間T4〜T6の和として新たに計算される。また、実分推定所要時間TAestは、出発時刻において記憶したリンク毎の所要時間と渋滞度(図9の例では全て「渋滞なし」)とを用いて、リンクL1〜L3の所要時間T1〜T3の和として計算される。ここで、図中下部に例示するように、出発地から現在地までの実所要時間TAactが1.2h,1.0h,0.6hの3つのケースを、判定用閾値Rrefが値0.1(即ち10%)の場合を例として考える。実所要時間TAactが当初の予測より大きく遅れた1.2hの1番目のケースでは、実所要時間TAact(1.2h)と実分推定所要時間TAest(0.9h)との差分(0.3h)の絶対値として差分時間ΔTAが算出され、差分時間ΔTA(0.3h)の残分推定所要時間TRest(1.5h)に対する割合(値0.2)として判定用割合Rtが算出され、この判定用割合Rtは判定用閾値Rref以上と判定されて、到着予測時刻ETAの表示が更新されることになる。実所要時間TAactが当初の予測より少し遅れた1.0hの2番目のケースでは、実所要時間TAact(1.0h)と実分推定所要時間TAest(0.9h)との差分(0.1h)の絶対値として差分時間ΔTAが算出され、差分時間ΔTA(0.1h)の残分推定所要時間TRest(1.5h)に対する割合(約値0.07)として判定用割合Rtが算出され、この判定用割合Rtは判定用閾値Rref未満と判定されて、到着予測時刻ETAの表示は更新されない。実所要時間TAactが当初の予測より大きく早まった0.6hの3番目のケースでは、実所要時間TAact(0.6h)と実分推定所要時間TAest(0.9h)との差分(−0.3h)の絶対値として差分時間ΔTAが算出され、差分時間ΔTA(0.3h)の残分推定所要時間TRest(1.5h)に対する割合(値0.2)として判定用割合Rtが算出され、この判定用割合Rtは判定用閾値Rref以上と判定されて、到着予測時刻ETAの表示が更新されることになる。なお、図9の例で、出発地から目的地までの渋滞度が「渋滞なし」以外の場合として、例えば、出発時刻において渋滞情報として出発地から現在地までの一部のリンクで「渋滞なし」以外の「混雑」や「渋滞」の渋滞度が取得されていた場合を考えると、出発地から現在地までの実分推定所要時間TAestは、出発時刻における渋滞度が反映された時間となる。
【0037】
このように、実施例の到着予測時刻表示システムとしてのナビゲーション装置20では、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestを算出し、出発地から現在地までの実所要時間TAactを計測して取得し、出発地から目的地までの推定所要時間TTestのうち、出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間TAestを算出する。そして、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの、残分推定所要時間TRestに対する割合である判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには、残分推定所要時間TRestと現在時刻とに基づいて到着予測時刻ETAの表示を更新し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref未満のときには、到着予測時刻ETAの表示は更新しない。したがって、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAが小さいほど、且つ、残分推定所要時間TRestが長いほど、到着予測時刻ETAの表示は更新されにくくなる。言い換えると、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAが比較的大きいとき、即ち出発地から現在地までの走行によって生じた遅れや進みの程度が大きいときでも、残分推定所要時間TRestが比較的長いとき、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって実際の到着時刻が早くなったり遅くなったりする可能性が高く到着予測時刻を予測してもその予測の精度が低いときには、到着予測時刻ETAの表示は更新されにくくなる。これにより、到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻ETAの表示が更新されるのが抑制され、到着予測時刻ETAの表示が頻繁に更新されるのを抑制することができ、到着予測時刻ETAの表示をより適正に更新することができる。もとより、目的地に近づくほど、到着予測時刻ETAをより精度よく更新することができる。
【0038】
また、現在地から目的地までの残走行距離LRが長いほど、係数klrによって判定用閾値Rrefを大きくなる傾向に設定した。これにより、残走行距離LRが長いほど到着予測時刻ETAの表示は更新されにくくなるから、残走行距離LRが長く到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が低いときに、到着予測時刻ETAの表示が更新されるのを抑制することができる。
【0039】
さらに、現在地から目的地までの残走行距離LAのうちの高速道路の距離である残走行高速道路距離LRHが長いほど、係数klrhによって判定用閾値Rrefを大きくなる傾向に設定した。これにより、走行ルートにおける残りの高速道路の距離が長いほど、即ち現在地から目的地までの今後の走行によって遅れを取り戻しやすいほど、到着予測時刻ETAの表示を更新しにくくすることができる。
【0040】
しかも、新たな渋滞情報が取得されたときには、判定用割合Rtに拘わらず(関係なく)、到着予測時刻ETAの表示を更新する。これにより、新たな渋滞情報が取得されたときまでに、判定用閾値Rref未満の範囲で生じていた表示中の到着予測時刻ETAに対する遅れや進みをリセットすることができ、新たな渋滞情報が取得されたタイミングを利用して、到着予測時刻ETAの表示を予測の精度がより高い時刻に更新することができる。そして、現在地から目的地までの残走行距離LRのうちの渋滞情報の対象道路の距離である残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合(LRT/LA)が大きいほど、係数klrtによって判定用閾値Rrefを大きくなる傾向に設定した。これにより、今後新たな渋滞情報が取得される可能性が高いときほど、即ち表示中の到着予測時刻ETAに対する遅れや進みをリセットすることができる可能性が高いほど、到着予測時刻ETAの表示が更新されにくくなるから、到着予測時刻ETAをより適正に更新することができる。
【0041】
以上説明した実施例の到着時刻表示システムとしてのナビゲーション装置20では、走行ルート上の出発地から目的地までの推定所要時間TTestを算出し、推定所要時間TTestと推定所要時間TTestが算出された時刻とに基づいて目的地の到着予測時刻ETAを算出してディスプレイ22に表示する。また、出発地から現在地までの実所要時間TAactを計測して取得し、推定所要時間TTestのうち出発地から現在地までの区間に対応する実分推定所要時間TAestを算出し、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestを算出する。そして、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの残分推定所要時間TRestに対する割合である判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには、残分推定所要時間TRestと現在時刻とに基づいてディスプレイ22に表示された到着予測時刻ETAを更新し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref未満のときには、ディスプレイ22に表示された到着予測時刻ETAを更新しない。これにより、到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が低いときに到着予測時刻の表示が更新されるのを抑制することができ、到着予測時刻ETAの表示が頻繁に更新されるのが抑制され、到着予測時刻ETAの表示をより適正に更新することができる。
【0042】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用閾値Rrefは、残走行距離LRに基づく係数klr,残走行高速道路距離LRHに基づくklrh,残走行渋滞情報対象距離LRTに基づく係数klrtを初期値Rbaseに乗じることにより設定するものとしたが、係数klr,係数klrh,係数klrtの一部のみを初期値Rbaseに乗じることにより設定するものとしてもよいし、初期値Rbaseをそのまま用いるものとしてもよい。また、残走行渋滞情報対象距離LRTに基づく係数を用いる場合、判定用閾値Rrefは、残走行渋滞情報対象距離LRTの全走行距離LAに対する割合(LRT/LA)と初期値Rbaseとの和としてもよい。
【0043】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用閾値Rrefは、残走行距離LAのうち高速道の距離(残走行高速道路距離)LRHが長いほど大きくなる傾向に設定するものとしたが、残走行距離LAのうち一般道路の距離(実施例では、国道と一般道との距離の和)が長いほど小さくなる傾向に設定するものとしてもよい。
【0044】
実施例のナビゲーション装置20では、新たな渋滞情報が取得されたとき、即ち現在地から目的地までの渋滞情報の渋滞度が更新時刻から変化したときには、判定用割合Rtに拘わらず到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしたが、これに代えて、現在地から目的地までの渋滞度の更新時刻からの増加量ΔTJを算出し、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど大きくなる傾向の値に判定用閾値Rrefを設定し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしてもよい。ここで、渋滞度の増加量ΔTJは、例えば、現在地から目的地までの所要時間の増加量などとして算出することができる。この場合、図10の係数設定用マップを用いて、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど大きくなるように値1近傍で変化する係数ktjを設定し、設定した係数ktjと初期値Rbaseとの積を判定用閾値Rrefとして設定することができる。なお、係数ktjに加えて、図6に例示した残走行距離LRに基づく係数klrや、図7に例示した残走行高速道路距離LRHに基づく係数klrhを更に乗じて判定用閾値Rrefを設定するものとしても構わない。これにより、渋滞度が増加したことにより、到着予測時刻ETAを予測してもその予測の精度が比較的低いと考えられるときに、到着予測時刻ETAの表示が更新されるのを抑制することができる。なお、渋滞度が増加したときには増加量ΔTJを正の値とし、渋滞度が低下したときには増加量ΔTJを負の値とすることにより、渋滞度の減少による到着予測時刻ETAの予測の精度の低下にも対応することができる。
【0045】
実施例のナビゲーション装置20では、新たな渋滞情報が取得されたとき、即ち現在地から目的地までの渋滞情報の渋滞度が更新時刻から変化したときには、判定用割合Rtに拘わらず到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしたが、これに代えて、現在地から目的地までの渋滞度の更新時刻からの増加量ΔTJを算出し、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど小さくなる傾向の値に判定用閾値Rrefを設定し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしてもよい。ここで、渋滞度の増加量ΔTJは、例えば、現在地から目的地までの所要時間の増加量などとして算出することができる。この場合、図11の係数設定用マップを用いて、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど小さくなるように値1近傍で変化する係数ktjを設定し、設定した係数ktjと初期値Rbaseとの積を判定用閾値Rrefとして設定することができる。なお、係数ktjに加えて、図6に例示した残走行距離LRに基づく係数klrや、図7に例示した残走行高速道路距離LRHに基づく係数klrhを更に乗じて判定用閾値Rrefを設定するものとしても構わない。これにより、渋滞度が増加したことにより、現在地から目的地までの今後の所要時間が比較的長くなると考えられるときに、到着予測時刻ETAの表示を更新しやすくすることができる。なお、渋滞度が増加したときには増加量ΔTJを正の値とし、渋滞度が低下したときには増加量ΔTJを負の値とすることにより、渋滞度が減少したときにも到着予測時刻ETAの表示を更新しやすくすることができる。
【0046】
これら2つの変形例のナビゲーション装置20では、渋滞度の増加量ΔTJが大きいほど大きくなる傾向や小さくなる傾向の値に判定用閾値Rrefを設定し、判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしたが、渋滞度の増加量ΔTJに応じて2つの判定用閾値を設定して判定用割合との比較に用いるものとしてもよい。例えば、渋滞度の増加量ΔTJが大きくなる渋滞増加傾向のときには、遅れを判定する側の閾値は絶対値を小さく設定すると共に進みを判定する側の閾値は絶対値を大きく設定し、遅れに対しては到着予測時刻ETAの表示を更新しやすくすると共に進みに対しては到着予測時刻ETAの表示を更新しにくくするものとしたり、渋滞度の増加量ΔTJが小さくなる渋滞減少傾向のときには、遅れを判定する側の閾値は絶対値を大きく設定すると共に進みを判定する側の閾値は絶対値を小さく設定し、遅れに対しては到着予測時刻ETAの表示を更新しにくくすると共に進みに対しては到着予測時刻ETAの表示を更新しやすくする、などとしてもよい。この場合、閾値と比較する判定用割合は、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間として正負の値をとる時間を求めて、この差分時間の残分推定所要時間TRestに対する割合として算出すればよい。
【0047】
実施例のナビゲーション装置20では、渋滞情報に基づいて推定所要時間TTestや残分推定所要時間TRestを算出したり、新たな渋滞情報が取得されたときには判定用割合Rtに拘わらず到着予測時刻ETAの表示を更新したりするものとしたが、渋滞情報は考慮することなく、推定所要時間TTestや残分推定所要時間TRestを算出したりして到着予測時刻ETAを表示をしたりその表示を更新したりするものとしてもよい。
【0048】
実施例のナビゲーション装置20では、到着予測時刻表示処理ルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行するものとしたが、例えば、所定距離毎(例えば、数百メートル毎など)に繰り返し実行するなどとしてもよい。
【0049】
実施例のナビゲーション装置20では、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestは、道路情報と渋滞情報とに基づいて毎回新たに算出するものとしたが、例えば、出発時刻に比して新たな渋滞情報が取得されていないときには、実分推定所要時間TAestを先に算出し、推定所要時間TTestから実分推定所要時間TAestを減じることにより残分推定所要時間TRestを算出するなど、推定所要時間TTestを用いて残分推定所要時間TRestを算出するものとしてもよい。
【0050】
実施例のナビゲーション装置20では、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの残分推定所要時間TRestに対する割合である判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしたが、これに代えて、出発地から目的地までの推定所要時間TTestの算出に際して想定された車両の到達地点と現在地との差分走行距離の、現在地から目的地までの残分走行距離に対する割合を判定用割合として算出し、この判定用割合が判定用閾値以上のときに到着予測時刻ETAの表示を更新するものとしてもよい。
【0051】
実施例では、本発明の到着予測時刻表示システムをディスプレイ22等を備えるナビゲーション装置20に適用して説明したが、例えば、ディスプレイ等を備えるナビゲーション装置と通信可能に接続されたサーバに電子制御ユニット30の到着予測時刻処理部68の機能の全部または一部を実装して、このサーバを本発明の到着予測時刻表示システムとして機能させたり、このサーバとナビゲーション装置との組み合わせによって本発明の到着予測時刻表示システムを機能させるものとしてもよい。また、ナビゲーション装置20に代えて、携帯端末や他の車載装置を本発明の到着予測時刻表示システムとして機能させるものとしてもよい。
【0052】
また、実施例では、本発明を到着予測時刻表示システムの形態としたが、到着予測時刻表示方法の形態としてもよいし、こうした到着予測時刻表示方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラムの形態としてもよい。
【0053】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、出発地から目的地までの推定所要時間TTestを算出する図2の到着予測時刻表示処理ルーチンのステップS130の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「推定所要時間算出手段」に相当し、推定所要時間TTestと現在時刻との和を到着予測時刻ETAとして算出してディスプレイ22に表示する同ルーチンのステップS140,S150の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「到着予測時刻表示処理手段」に相当し、更新地点から現在地までの実所要時間TAactを取得する同ルーチンのステップS190の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「実所要時間取得手段」に相当し、現在地から目的地までの残分推定所要時間TRestを算出する同ルーチンのステップS170の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「残分推定所要算出手段」に相当し、実所要時間TAactと実分推定所要時間TAestとの差分時間ΔTAの残分推定所要時間TRestに対する判定用割合Rtが判定用閾値Rref以上のときには到着予測時刻ETAの表示を更新する同ルーチンのS240〜S260の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「到着予測時刻更新手段」に相当する。また、現在地から目的地までの渋滞情報を入力する同ルーチンのステップS110の処理を実行する電子制御ユニット30(到着予測時刻処理部68)が「渋滞情報取得手段」に相当する。
【0054】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0055】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、到着予測時刻表示システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
12 車載機器、20 ナビゲーション装置、22 ディスプレイ、24 タッチパネル、25 ボタン、26 スピーカ、30 電子制御ユニット、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 フラッシュメモリ、40 ハードディスクドライブ(HDD)、50 GPS受信機、52 車速センサ、54 方位センサ、58 通信装置、60 ロケーション処理部、62 地図表示処理部、64 ナビゲーション処理部、68 到着予測時刻処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行経路が設定されているときに該走行経路の道路情報を用いて該走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示システムであって、
前記走行経路上の出発地から前記目的地までの推定所要時間を算出する推定所要時間算出手段と、
前記推定所要時間と該推定所要時間が算出された時刻とに基づいて前記目的地の到着予測時刻を算出して前記表示部に表示する到着予測時刻表示処理手段と、
前記出発地から現在地までの実所要時間を取得する実所要時間取得手段と、
前記推定所要時間のうち、前記出発地から前記現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出する実分推定所要時間算出手段と、
前記現在地から前記目的地までの残分推定所要時間を算出する残分推定所要時間算出手段と、
前記実所要時間と前記実分推定所要時間との差分の、前記残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、前記残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて前記表示部に表示された到着予測時刻を更新する到着予測時刻更新手段と、
を備える到着予測時刻表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離が長いほど大きくなる傾向の値である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の到着予測時刻表示システムであって、
道路の渋滞の程度である渋滞度を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、
前記推定所要時間算出手段は、前記出発地での出発時刻において前記渋滞情報取得手段により取得されていた渋滞情報に基づいて前記推定所要時間を算出する手段であり、
前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記判定用割合に拘わらず、前記表示部に表示された到着予測時刻を更新する手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項4】
請求項3記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうち、前記渋滞情報の対象となる道路の距離が長いほど大きくなる傾向の値である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項5】
請求項1または2記載の到着予測時刻表示システムであって、
道路の渋滞の程度である渋滞度を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、
前記推定所要時間算出手段は、前記出発地での出発時刻において前記渋滞情報取得手段により取得されていた渋滞情報に基づいて前記推定所要時間を算出する手段であり、
前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの変化に応じた値を前記閾値として用いる手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項6】
請求項5記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの増加量が大きいほど大きくなる傾向の値を前記閾値として用いる手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項7】
請求項5記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの増加量が大きいほど小さくなる傾向の値を前記閾値として用いる手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つの請求項に記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうち、高速道路の距離が長いほど大きくなる傾向の値である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1つの請求項に記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記推定所要時間算出手段は、前記表示部に表示された到着予測時刻が最初に更新された更新時以降は、前記表示部に表示された到着予測時刻が前回更新された更新地点から前記目的地までの前記推定所要時間を算出する手段であり、
前記実所要時間取得手段は、前記更新時以降は、前記更新地点から前記現在地までの前記実所要時間を取得する手段であり、
前記実分推定所要時間算出手段は、前記更新時以降は、前記推定所要時間のうち前記更新地点から前記現在地までの区間に対応する前記実分推定所要時間を算出する手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項10】
車両の走行経路が設定されているときに該走行経路の道路情報を用いて該走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示方法であって、
(a)前記走行経路上の出発地から前記目的地までの推定所要時間を算出するステップと、
(b)前記推定所要時間と該推定所要時間が算出された時刻とに基づいて前記目的地の到着予測時刻を算出して前記表示部に表示するステップと、
(c)前記出発地から現在地までの実所要時間を取得するステップと、
(d)前記推定所要時間のうち、前記出発地から前記現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出するステップと、
(e)前記現在地から前記目的地までの残分推定所要時間を算出するステップと、
(f)前記実所要時間と前記実分推定所要時間との差分の、前記残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、前記残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて前記表示部に表示された到着予測時刻を更新するステップと、
を含む到着予測時刻表示方法。
【請求項11】
請求項10記載の到着予測時刻表示方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項1】
車両の走行経路が設定されているときに該走行経路の道路情報を用いて該走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示システムであって、
前記走行経路上の出発地から前記目的地までの推定所要時間を算出する推定所要時間算出手段と、
前記推定所要時間と該推定所要時間が算出された時刻とに基づいて前記目的地の到着予測時刻を算出して前記表示部に表示する到着予測時刻表示処理手段と、
前記出発地から現在地までの実所要時間を取得する実所要時間取得手段と、
前記推定所要時間のうち、前記出発地から前記現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出する実分推定所要時間算出手段と、
前記現在地から前記目的地までの残分推定所要時間を算出する残分推定所要時間算出手段と、
前記実所要時間と前記実分推定所要時間との差分の、前記残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、前記残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて前記表示部に表示された到着予測時刻を更新する到着予測時刻更新手段と、
を備える到着予測時刻表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離が長いほど大きくなる傾向の値である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の到着予測時刻表示システムであって、
道路の渋滞の程度である渋滞度を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、
前記推定所要時間算出手段は、前記出発地での出発時刻において前記渋滞情報取得手段により取得されていた渋滞情報に基づいて前記推定所要時間を算出する手段であり、
前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記判定用割合に拘わらず、前記表示部に表示された到着予測時刻を更新する手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項4】
請求項3記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうち、前記渋滞情報の対象となる道路の距離が長いほど大きくなる傾向の値である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項5】
請求項1または2記載の到着予測時刻表示システムであって、
道路の渋滞の程度である渋滞度を含む渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段を備え、
前記推定所要時間算出手段は、前記出発地での出発時刻において前記渋滞情報取得手段により取得されていた渋滞情報に基づいて前記推定所要時間を算出する手段であり、
前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの変化に応じた値を前記閾値として用いる手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項6】
請求項5記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの増加量が大きいほど大きくなる傾向の値を前記閾値として用いる手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項7】
請求項5記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記到着予測時刻更新手段は、前記渋滞情報取得手段により新たな渋滞情報が取得されたときには、前記現在地から前記目的地までの区間に対応する前記渋滞度の前記出発時刻からの増加量が大きいほど小さくなる傾向の値を前記閾値として用いる手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つの請求項に記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記閾値は、前記現在地から前記目的地までの残走行距離のうち、高速道路の距離が長いほど大きくなる傾向の値である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1つの請求項に記載の到着予測時刻表示システムであって、
前記推定所要時間算出手段は、前記表示部に表示された到着予測時刻が最初に更新された更新時以降は、前記表示部に表示された到着予測時刻が前回更新された更新地点から前記目的地までの前記推定所要時間を算出する手段であり、
前記実所要時間取得手段は、前記更新時以降は、前記更新地点から前記現在地までの前記実所要時間を取得する手段であり、
前記実分推定所要時間算出手段は、前記更新時以降は、前記推定所要時間のうち前記更新地点から前記現在地までの区間に対応する前記実分推定所要時間を算出する手段である、
到着予測時刻表示システム。
【請求項10】
車両の走行経路が設定されているときに該走行経路の道路情報を用いて該走行経路上の目的地の到着予測時刻を算出して表示部に表示する到着予測時刻表示方法であって、
(a)前記走行経路上の出発地から前記目的地までの推定所要時間を算出するステップと、
(b)前記推定所要時間と該推定所要時間が算出された時刻とに基づいて前記目的地の到着予測時刻を算出して前記表示部に表示するステップと、
(c)前記出発地から現在地までの実所要時間を取得するステップと、
(d)前記推定所要時間のうち、前記出発地から前記現在地までの区間に対応する実分推定所要時間を算出するステップと、
(e)前記現在地から前記目的地までの残分推定所要時間を算出するステップと、
(f)前記実所要時間と前記実分推定所要時間との差分の、前記残分推定所要時間に対する割合である判定用割合が閾値以上のときには、前記残分推定所要時間と現在時刻とに基づいて前記表示部に表示された到着予測時刻を更新するステップと、
を含む到着予測時刻表示方法。
【請求項11】
請求項10記載の到着予測時刻表示方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−113584(P2013−113584A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256785(P2011−256785)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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