説明

制動装置

【課題】本発明は、制動力の要求が増加されてもサービスブレーキを大型化せずに制動力の増加に対応できる制動装置を提供する。
【解決手段】ブレーキフルード圧力分配制御手段(10,74R,74L)により、車速Vaとブレーキフルード圧力Paとに応じて、液圧式ドラムインディスクブレーキシステム(82)の液圧式ディスクブレーキユニット(83R,83L)と液圧式ドラムブレーキユニット(84R,84L)の作動制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動装置に関し、特にドラムインディスクブレーキを採用した制動装置の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用制動装置として、例えばディスクブレーキからなる液圧式のサービスブレーキが広く採用されている。
ところで、このような液圧式のサービスブレーキでは、フェード状態となった時には、運転者がブレーキ操作をしたとしても車両の減速度はフェード状態によって変化し、運転者の意図する減速度が得られないおそれがある。
【0003】
一方、車両用制動装置として、ドラムインディスクブレーキが知られている。このドラムインディスクブレーキは、ディスクブレーキ内に機械式のドラムブレーキが設置され、ドラムブレーキを車両の駐停車時等に用いるよう構成したものである。
そこで、上記液圧式のサービスブレーキがフェードした時のバックアップ手段として、斯かるドラムインディスクブレーキのドラムブレーキを作動させ、適切な制動力を得る技術が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−174114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、ドラムブレーキの作動をサービスブレーキのフェード時に限っており、制動力を増加したい場合にはサービスブレーキのブレーキ容量の増加させる必要がある。
しかしながら、このようにサービスブレーキのブレーキ容量を増加させることは、サービスブレーキの大型化に繋がり、好ましいことではない。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、制動力の要求が増加されてもサービスブレーキを大型化せずに制動力の増加に対応できる制動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の制動装置は、車両の車輪にブレーキフルード圧力に応じた制動力を発生する液圧式ディスクブレーキと、前記液圧式ディスクブレーキの半径方向内側に設けられて前記車輪にブレーキフルード圧力に応じた制動力を発生する液圧式ドラムブレーキとを有した液圧式ドラムインディスクブレーキと、前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとへ前記ブレーキフルード圧力を分配するブレーキフルード圧力分配手段と、前記ブレーキフルード圧力分配手段の分配度合いを制御するブレーキフルード圧力分配制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の制動装置では、請求項1において、ブレーキペダルの作動を検出するブレーキペダル作動検出手段と、車両の速度を検出する車速検出手段と、前記ブレーキフルード圧力を検出するブレーキフルード圧力検出手段とを備え、前記ブレーキフルード圧力分配制御手段は、前記ブレーキペダル作動検出手段により前記ブレーキペダルの作動が検出されると、前記車速検出手段により検出された車速と前記ブレーキフルード圧力検出手段より検出されたブレーキフルード圧力とに基づいて前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとに供給されるブレーキフルード圧力の分配度合いを制御することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の制動装置では、請求項2において、前記ブレーキフルード圧力分配制御手段は、前記ブレーキペダル作動検出手段により前記ブレーキペダルの作動が検出された後、前記車速検出手段により検出された車速が所定車速以下且つ前記ブレーキフルード圧力検出手段により検出されたブレーキフルード圧力が第1の所定圧力以下であるとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ドラムブレーキ単独で制動を行うべく作動制御を行い、ブレーキフルード圧力が前記第1の所定圧力より大きく第2の所定圧力以下であるとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキ単独で制動を行うべく作動制御を行い、ブレーキフルード圧力が前記第2の所定圧力より大きいとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとを併用して制動を行うべくブレーキフルード圧力の分配度合いを制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の制動装置では、請求項1において、ブレーキペダルの作動を検出するブレーキペダル作動検出手段と、車両の速度を検出する車速検出手段と、車両の減速度を検出する車両減速度検出手段とを備え、前記ブレーキフルード圧力分配制御手段は、前記ブレーキペダル作動検出手段により前記ブレーキペダルの作動が検出されると、前記車速検出手段により検出された車速と前記車両減速度検出手段より検出された車両の減速度とに基づいて前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとに供給されるブレーキフルード圧力の分配度合いを制御することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の制動装置では、請求項4において、前記ブレーキ圧分配制御手段は、前記ブレーキペダル作動検出手段により前記ブレーキペダルの作動が検出された後、前記車速検出手段により検出された車速が所定車速以下且つ前記車両減速度検出手段により検出された車両の減速度が第1の所定減速度以下であるとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ドラムブレーキ単独で制動を行うべく作動制御を行い、車両の減速度が前記第1の所定減速度より大きく第2の所定減速度以下であるとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキ単独で制動を行うべく作動制御を行い、車両の減速度が前記第2の所定減速度より大きいとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとを併用して制動を行うべくブレーキフルード圧力の分配度合いを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、液圧式ドラムインディスクブレーキには、液圧式ディスクブレーキと、液圧式ディスクブレーキの半径方向内側に設けられて車輪にブレーキフルード圧力に応じた制動力を発生する液圧式ドラムブレーキとを有しており、液圧式ディスクブレーキと液圧式ドラムブレーキとへブレーキフルード圧力をブレーキフルード圧力分配手段により分配されるが、この際、ブレーキフルード圧力分配制御手段によってブレーキフルード圧力分配手段の分配度合いが可変操作される。
【0013】
従って、ブレーキフルード圧力が分配されることになり、適宜ブレーキの作動を切り換えることができ、ブレーキ鳴きの低減や同ブレーキサイズでの制動力を増加することができる。
これにより、同一の制動力であればブレーキディスクやブレーキドラムを小型にでき、故に前後輪に小型ホイールの採用が可能になり、車両の発進時における起動トルク低減を図り、燃費低減に寄与することができる。
【0014】
そして、液圧式ドラムブレーキと液圧式ディスクブレーキを併用して制動させることにより、一方のブレーキが磨耗を起こしても他方のブレーキにてバックアップすることができる。
請求項2の発明によれば、ブレーキペダルの作動が検出されると、ブレーキフルード圧力分配制御手段により、車速とブレーキフルード圧力とに基づいて液圧式ディスクブレーキと液圧式ドラムブレーキに供給されるブレーキフルード圧力の分配度合いが可変させられる。
【0015】
従って、車速とブレーキフルード圧力とに応じて液圧式ドラムブレーキと液圧式ディスクブレーキとに供給されるブレーキフルード圧力の分配度合いが可変させられることでブレーキ鳴きの低減や同ブレーキサイズでの制動力を増加することができる。
請求項3の発明によれば、ブレーキペダルの作動が検出された後、車速が所定車速以下でありブレーキフルード圧力が第1の所定圧力以下であるときには液圧式ドラムブレーキのみにブレーキフルード圧力を供給され、ブレーキフルード圧力が第1の所定圧力より大きく第2の所定圧力以下であるときには液圧式ディスクブレーキのみにブレーキフルード圧力を供給され、ブレーキフルード圧力が第2の所定圧力より大きいときには液圧式ディスクブレーキと液圧式ドラムブレーキとにブレーキフルード圧力を供給される。
【0016】
従って、低車速、低ブレーキフルード圧力である場合には液圧式ドラムブレーキを単独で制動させることによりブレーキ鳴きを低減することができ、高ブレーキフルード圧力である場合には液圧式ディスクブレーキと液圧式ドラムブレーキとを併用して制動させることにより、サービスブレーキを大型化することなく制動力の増加に対応することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、ブレーキペダルの作動が検出されると、ブレーキフルード圧力分配制御手段により、車速と車両の減速度とに基づいて液圧式ディスクブレーキと液圧式ドラムブレーキに供給されるブレーキフルード圧力の分配度合いを可変させられる。
従って、車速と車両の減速度とに応じて液圧式ドラムブレーキと液圧式ディスクブレーキとに供給されるブレーキフルード圧力の分配度合いが可変させられることでブレーキ鳴きの低減や同ブレーキサイズでの制動力の増加することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、ブレーキペダルの作動が検出された後、車速が所定車速以下であり車両の減速度が第1の所定減速度以下であるときには液圧式ドラムブレーキのみにブレーキフルード圧力を供給され、車両の減速度が第1の所定減速度より大きく第2の所定減速度以下であるときには液圧式ディスクブレーキのみにブレーキフルード圧力を供給され、車両の減速度が第2の所定減速度より大きいときには液圧式ディスクブレーキと液圧式ドラムブレーキとにブレーキフルード圧力を供給される。
【0019】
従って、低車速、低減速度である場合には液圧式ドラムブレーキを単独で制動させることによりブレーキ鳴きを低減することができ、高減速度である場合には液圧式ディスクブレーキと液圧式ドラムブレーキとを併用して作動させることにより、サービスブレーキを大型化することなく制動力の増加に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る車両の制動装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る後輪ブレーキの作動制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例に係る後輪ブレーキの作動制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、車両1に搭載された本発明に係る制動装置の概略構成図であり、以下、当該制動装置の構成を説明する。
本実施形態の車両1は、サービスブレーキとして前輪に液圧式ディスクブレーキシステム81と後輪に液圧式ドラムインディスクブレーキシステム82を備えた4輪乗用自動車である。
【0022】
図1に示すように、制動装置は、マスタシリンダユニット60、ハイドロリックユニット71、プライマリ/セカンダリ油圧切り替えソレノイド(ブレーキフルード圧力分配手段、以下油圧切り替えソレノイドという)74R、74L、液圧式ディスクブレーキシステム81R、81L、液圧式ドラムインディスクブレーキシステム82R、82L、各種センサ、電子コントロールユニット(ブレーキフルード圧力分配制御手段、以下ECUという)10及び図示しないパーキングブレーキシステムから構成される。
【0023】
マスタシリンダユニット60は、ブレーキペダル61、ブレーキスイッチ62、ブレーキブースタ63及びマスタシリンダ64からなる一般的なものであり、詳細な構造の説明は省略する。なお、ブレーキスイッチ(ブレーキペダル作動検出手段)62は、ブレーキペダル61を踏み込み時にブレーキペダル61の作動を検出するものである。
ハイドロリックユニット71は、マスタシリンダ64から押し出されたブレーキフルードを前後左右輪に分配するものである。また、ハイドロリックユニット71には、ブレーキ作動時のブレーキフルード圧力を検出する液圧センサ(ブレーキフルード圧力検出手段)72を備える。
【0024】
油圧切り替えソレノイド74R、74Lは、ハイドロリックユニット71からのブレーキフルードを液圧式ディスクブレーキユニット83R、83L及び液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lに適宜分配するものである。
液圧式ドラムインディスクブレーキシステム82R、82Lは、液圧式ディスクブレーキユニット83R、83Lの半径方向内側に液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lを備える。なお、液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lは、図示しない上記パーキングブレーキシステムのブレーキとしても作動するものである。
【0025】
これより、ブレーキフルードは、マスタシリンダ64より押し出され、ハイドロリックユニット71により前輪は液圧式ディスクブレーキシステム81R、81Lへ、後輪は油圧切り替えソレノイドバルブ74R、74Lへ分配され、油圧切り替えソレノイドバルブ74R、74Lにてそれぞれ液圧式ディスクブレーキユニット83R、83L又は液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lに分配される。
【0026】
車速センサ(車速検出手段)91は、車両1に取り付けられ車両の速度を検出するものである。
加速度センサ(車両減速度検出手段)92は、車両1に取り付けられ車両の前後方向の加速度を検出するものである。
ECU10は、図示しないエンジンの運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成される。
【0027】
ECU10の入力側には、上記ブレーキスイッチ62、液圧センサ72、車速センサ91及び加速度センサ92が接続されており、これらのセンサ類からの検出情報が入力される。
一方、ECU10の出力側には、上記油圧切り替えソレノイドバルブ74R、74Lが接続されており、ECU10は、各種センサ類からの検出情報に基づいて車両状況を演算し、出力信号を油圧切り替えソレノイドバルブ74R、74Lへ供給されることで後輪ブレーキを制御させる。
【0028】
以下、このように構成された本発明に係る制動装置の作用及び効果について説明する。
図2は、ECU10の実行する本発明の第1実施例に係る後輪ブレーキの作動制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図2に示すように、ステップS10では、ブレーキペダル61の作動の有無を判別する。判別結果が真(Yes)でブレーキペダル61が作動していれば、ステップS12に進む。判別結果が偽(No)で作動していなければ、ステップS10に戻り再度判別する。
【0029】
ステップS12では、車速センサ91からの情報に基づき車速Vaが所定車速V1(例えば車速30km/h)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で車速Vaが所定車速V1以下であれば、ステップS14に進む。判別結果が偽(No)で車速Vaが所定車速V1より大の場合は、ステップS18に進む。
ステップS14では、液圧センサ72からの情報に基づきブレーキフルード圧力Paが第1の所定圧力P1(例えば2MPa)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で第1の所定圧力P1以下であれば、ステップS16に進み液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lを作動させる。判別結果が偽(No)で第1の所定圧力P1より大の場合は、ステップS18に進む。
【0030】
ステップS18では、ブレーキフルード圧力Paが第2の所定圧力P2(例えば6MPa)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で第2の所定圧力P2以下であれば、ステップS20に進み液圧式ディスクブレーキユニット83R、83Lを作動させる。判別結果が偽(No)で第2の所定圧力P2より大の場合は、ステップS22へ進み液圧式ディスクブレーキユニット83R、83Lと液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lの両方を作動させる。
【0031】
このように、本発明の第1実施例に係る制動装置によれば、車速Vaとブレーキフルード圧力Paとに応じて液圧式ディスクブレーキユニット83R、83Lと液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lとを併用して適宜ブレーキの使い分けを行うことにより、サービスブレーキを大型化することなく制動力の増加要求に対応することができる。
これにより、同一の制動力であれば、ブレーキディスクやブレーキドラムを小型にでき、故に前後輪に小型ホイールの採用が可能になり、車両の発進時における起動トルク低減を図り、燃費低減に寄与することができる。
【0032】
そして、このように液圧式ディスクブレーキユニット83R、83Lと液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lとを併用することにより、一方のブレーキユニットが磨耗を起こしても他方のブレーキユニットにてバックアップすることができる。
また、車速Vaが所定車速V1以下と低車速であってブレーキフルード圧力Paが第1の所定圧力P1以下と要求制動力が低い場合において、液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lへ切り替えて制動を行うことにより、ブレーキ鳴きを低減することができる。
【0033】
図3は、ECU10の実行する本発明の第2実施例に係る後輪ブレーキの作動制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
第2実施例では、上記第1実施例のブレーキフルード圧Paによる判別に代えて車両減速度Gaによる判別を行っている点が相違しており、以下上記第1実施例と異なる点について説明する。
【0034】
図3に示すようにステップS10からステップS12を経てステップS14’では、加速度センサ92からの情報に基づき車両減速度Gaが第1の車両減速度G1(例えば2m/sec)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で第1の車両減速度G1以下であれば、ステップS16に進み液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lを作動させる。判別結果が偽(No)で第1の車両減速度G1より大の場合は、ステップS18’に進む。
【0035】
ステップS18’では、車両減速度Gaが第2の車両減速度G2(例えば5m/sec)以下であるか否かを判別する。判別結果が真(Yes)で第2の車両減速度G2以下であれば、ステップS20に進み液圧式ディスクブレーキユニット83R、83Lを作動させる。判別結果が偽(No)で第2の車両減速度G2より大の場合は、ステップS22へ進み液圧式ディスクブレーキユニット83R、83Lと液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lの両方を作動させる。
【0036】
このように、本発明の第2実施例に係る制動装置によれば、車両減速度Gaに応じて液圧式ディスクブレーキユニット83R、83Lと液圧式ドラムブレーキユニット84R、84Lとを併用して適宜ブレーキの使い分けを行うことにより、サービスブレーキを大型化することなく制動力の増加に対応することができ、上記第1実施例の場合と同様の効果を得ることができる。
【0037】
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の形態はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、液圧式ドラムインディスクブレーキシステム82R、82Lを後輪ブレーキに適用しているが、前輪ブレーキに適用してもよい。
また、上記第1実施例では、液圧センサ72にてブレーキフルード圧力を検出していたが、ブレーキペダル踏み込み量センサを設け、ブレーキペダル61の踏み込み量を検出してもよい。
【0038】
また、上記第2実施例では、加速度センサ92にて車両減速度Gaを検出していたが、車速センサ91によって検出される車速Vaの変化率に基づき車両減速度Gaを検出してもよい。
また、上記実施形態では、ECU10によって後輪ブレーキの作動制御を行うようにしたが、例えば、アンチロックブレーキシステム(ABS)を備える場合には、ABSのコントロールユニット(ABS/CU)によって後輪ブレーキの作動制御を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 車両
10 ECU(ブレーキフルード圧力分配制御手段)
60 マスタシリンダユニット
61 ブレーキペダル
62 ブレーキスイッチ(ブレーキペダル作動検出手段)
63 ブレーキブースタ
64 マスタシリンダ
71 ハイドロリックユニット
72 液圧センサ(ブレーキフルード圧力検出手段)
74R、74L プライマリ/セカンダリ油圧切り替えソレノイドバルブ(ブレーキフルード圧力分配手段)
81R、81L 液圧式ディスクブレーキシステム
82R、82L 液圧式ドラムインディスクブレーキシステム
83R、83L 液圧式ディスクブレーキユニット
84R、84L 液圧式ドラムブレーキユニット
91 車速センサ(車速検出手段)
92 加速度センサ(車両減速度検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪にブレーキフルード圧力に応じた制動力を発生する液圧式ディスクブレーキと、前記液圧式ディスクブレーキの半径方向内側に設けられて前記車輪にブレーキフルード圧力に応じた制動力を発生する液圧式ドラムブレーキとを有した液圧式ドラムインディスクブレーキと、
前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとへ前記ブレーキフルード圧力を分配するブレーキフルード圧力分配手段と、
前記ブレーキフルード圧力分配手段の分配度合いを制御するブレーキフルード圧力分配制御手段とを備えたことを特徴とする制動装置。
【請求項2】
ブレーキペダルの作動を検出するブレーキペダル作動検出手段と、
車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記ブレーキフルード圧力を検出するブレーキフルード圧力検出手段とを備え、
前記ブレーキフルード圧力分配制御手段は、前記ブレーキペダル作動検出手段により前記ブレーキペダルの作動が検出されると、前記車速検出手段により検出された車速と前記ブレーキフルード圧力検出手段より検出されたブレーキフルード圧力とに基づいて前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとに供給されるブレーキフルード圧力の分配度合いを制御することを特徴とする、請求項1に記載の制動装置。
【請求項3】
前記ブレーキフルード圧力分配制御手段は、前記ブレーキペダル作動検出手段により前記ブレーキペダルの作動が検出された後、前記車速検出手段により検出された車速が所定車速以下且つ前記ブレーキフルード圧力検出手段により検出されたブレーキフルード圧力が第1の所定圧力以下であるとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ドラムブレーキ単独で制動を行うべく作動制御を行い、ブレーキフルード圧力が前記第1の所定圧力より大きく第2の所定圧力以下であるとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキ単独で制動を行うべく作動制御を行い、ブレーキフルード圧力が前記第2の所定圧力より大きいとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとを併用して制動を行うべくブレーキフルード圧力の分配度合いを制御することを特徴とする、請求項2に記載の制動装置。
【請求項4】
ブレーキペダルの作動を検出するブレーキペダル作動検出手段と、
車両の速度を検出する車速検出手段と、
車両の減速度を検出する車両減速度検出手段とを備え、
前記ブレーキフルード圧力分配制御手段は、前記ブレーキペダル作動検出手段により前記ブレーキペダルの作動が検出されると、前記車速検出手段により検出された車速と前記車両減速度検出手段より検出された車両の減速度とに基づいて前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとに供給されるブレーキフルード圧力の分配度合いを制御することを特徴とする、請求項1に記載の制動装置。
【請求項5】
前記ブレーキ圧分配制御手段は、前記ブレーキペダル作動検出手段により前記ブレーキペダルの作動が検出された後、前記車速検出手段により検出された車速が所定車速以下且つ前記車両減速度検出手段により検出された車両の減速度が第1の所定減速度以下であるとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ドラムブレーキ単独で制動を行うべく作動制御を行い、車両の減速度が前記第1の所定減速度より大きく第2の所定減速度以下であるとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキ単独で制動を行うべく作動制御を行い、車両の減速度が前記第2の所定減速度より大きいとき、前記ブレーキフルード圧力分配手段により前記液圧式ディスクブレーキと前記液圧式ドラムブレーキとを併用して制動を行うべくブレーキフルード圧力の分配度合いを制御することを特徴とする、請求項4に記載の制動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−167887(P2010−167887A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11802(P2009−11802)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】