説明

制御された寸法への食品の成形

例えば、成形ベルト(B)に取り付けられた加圧マニホールド(M)、または、チルロール/ゲージローラの組合せを用いてシートに成形された押し出し食品の寸法を調節できるように制御するための装置および方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、食品を連続的に成形するための装置および方法に関する。より具体的には、本発明は、成形食品の寸法特性を制御するためのサイドレールを使用する、改良型の装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばチーズは、切断面に密着する傾向があるため、プロセスチーズなどの食品は、切断したり、薄切りにするのが難しいことがある。この理由、または他の理由のため、押し出し又は成形法によって、溶けた食品を薄いシートにすることが好ましい場合がある。例えば、図1に示されるチーズ成形機械は、大きなドラムDによって駆動されるステンレススチールベルトBなどの冷却ベルトを用いる。平たい容器をベルトの下側に取り付けて、該ベルトの内側を冷凍グリコール溶液などの冷媒に浸すことができる。
【0003】
さらに図1を参照すると、溶けた食品を冷却ベルト上に分配し、該食品を、制御された厚さを有するシートにするために、加圧型排出マニホールドを用いることができる。従来の加圧マニホールドは、典型的にはツーピースチャンバからなる閉キャビティである。従来は、容積式ポンプが、食品をマニホールドの加圧された閉キャビティに配する。閉キャビティは、熱い食品を加圧下で受け入れ、該食品を、成形ベルトの長手に直角な向きに置かれたマニホールドの全長に沿って均一に分配する。本発明において用いることができる加圧マニホールドは、引用によりここに組み入れられる米国特許第4,790,242号および同第5,527,551号に開示される。加圧マニホールドは、機械の送り込み端のベルト上(「上部成形」)か、あるいは、該送り込み端の上部ドラムの半径回りの位置(「斜め成形」)に、取り付けることができる。
【0004】
代替として、チルロール上のゲージローラを用いて、成形食品をシート形状で提供することができる。
冷却された薄いシートを細い帯またはリボンに細長く切断することができる。次いで、この帯を束にして切断し、スライスまたは他の形状などの包装用の長さにすることができる。
【0005】
商業的な採算条件を満たすために、冷却ベルト上への食品の堆積は、該食品が成形ベルト上に排出される速い速度に合わせて、迅速かつ継続的に行われなければならない。
【0006】
加圧マニホールドを用いて食品を成形するか、チルロールを用いて成形するかを問わず、成形食品の寸法を所定の方法で調節できるように制御することが有利であろう。これは、本発明と同日に出願され、本発明と同一の譲受人に譲渡された、引用によりここに組み入れられる「Product And Process For Delivering Flavoring Agents To Food Products」という発明の名称の特許出願に開示されるような、ゼラチン系の製品などの比較的低い粘性をもつ製品を押し出そうとするとき、特に有利な場合がある。
【発明の開示】
【0007】
以下の用語は、出願された特許の特許請求の範囲に用いられ、法の求めるところと矛盾しない最も広義の意味をもつように意図される。代替的な意味が可能な場合は、最も広義の意味であることが意図される。特許請求の範囲で用いられる単語のすべては、文法および英語の標準的で慣習的な用法で用いられるように意図される。
【0008】
「成形ベルト」は、成形食品を支持するのに適したコンベアベルトまたは他の手段を意味し、これは、冷却するかまたは冷ます場合がある。
【0009】
従来技術の連続成形装置および方法の欠点を克服する上述の目的および他の目的は、本発明によって解決されると同時に、こうした装置および方法に伴うことが考えられなかった新たな利点を提供する。
【0010】
好ましい一実施形態においては、成形装置は、食品を押し出して、所定の寸法を有するシートとして成形するために提供される。食品を溶けた状態で堆積させ、上部成形加圧マニホールドもしくは斜め成形加圧マニホールド、または、チルロールおよびゲージロールなどの装置を用いて、該食品を支持体表面に沿って分配し、シートにする。食品のシートの寸法を性御する機構が提供される。好ましい実施形態においては、この機構は、支持体表面の長手方向の周縁部の少なくとも一部に近接した対向するサイドレールを含む。
【0011】
好ましくは、対向するサイドレール間の距離は、調節することができる。サイドレールの一方または両方と支持体表面の面との間の角度は、調節可能であることが好ましい。
【0012】
本発明を用いると、プロセスチーズなどの様々な食品を、制御された寸法に成形することができるが、本発明は、ゼラチンから作られる製品などの低粘性の流体製品に特に有利であると考えられる。
【0013】
食品を、制御された寸法を有するシートに成形するための方法もまた、本発明の一部を構成する。成形ベルトまたはチルロールなどの移動支持体表面が提供される。食品は、支持体表面上に溶けた状態で堆積する。例えば、加圧マニホールド、または、チルロールおよびゲージロールを用いて、食品を支持体表面全体に分配し、シートにする。シートの寸法は、支持体表面の長手方向の周縁部の少なくとも一部に近接した対向するサイドレールを用いて制御される。対向するサイドレール間の距離、および、該サイドレールの一方または両方が支持体表面の面となす角度は、調節可能であることが好ましい。
【0014】
本発明の特徴である新規な構成が、添付の特許請求の範囲に記載される。しかしながら、本発明自体は、更なる目的およびそれに付随する利点とともに、添付図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の記載は、現在のところ、請求された発明の好ましい実施形態および/または最適例であると考えられるものの説明である。これらの好ましい実施形態に対する将来および現在の代替物および改良物が考慮される。機能、目的、構造、または結果の本質的ではない変更を行ういかなる代替物または改良物も、本発明の特許請求の範囲に包含されるように意図される。
【0016】
あらゆる種類のプロセスチーズ、香料入りゼラチンなどのゼラチン系の食品、または他の食品のような成形される食品は、例えばポンプによって、図1に示される加圧マニホールド10などの従来型の加圧マニホールドの上流端に供給することができる。成形ベルトが移動するにつれて、製品は、該製品を既知の厚さおよび幅の薄いシートに成形する加圧マニホールドの下に引き込まれる。マニホールド内部の垂直板を調節して、押し出されたシートの幅を決定することができる。
【0017】
押し出しに際して、上述の香料入りゼラチンなどの低粘性食品は非常に流動性があるため、押し出されたときの寸法特性を保持しないことになる。成形ベルトがマニホールドの下流に進むと、冷却液が該成形ベルトの下側に塗られて、押し出された製品を冷却することができる。流体状の製品が自由に流れるようにしておいた場合、冷却にもかかわらず、該製品の押し出し幅が増加し、ひいてはシートの厚さが減少して、結果として、押し出された物の幅全体にわたって厚さが一定にならない場合がある。場合によっては、流体状の製品は、その幾何学的形状を保持し始めるのに十分なだけ冷却されるまでに、約1.2m〜1.8m(4フィート〜6フィート)進むことがある。
【0018】
図1を参照すると、この問題を解決して、製品がその押し出し寸法特性を失うことを防ぐために、サイドレール30が、加圧マニホールド10の下流の、押し出された食品シートの両側に設置される。サイドレール30は、成形ベルトに接し、流体状の製品がその寸法特性を保持するのに十分なだけ冷却されるまで、該製品の境界として機能する。
【0019】
図2を参照すると、ステンレススチールのブラケット15がプラスチックのレール30にボルトで固定されて、該レールに付加的な支持を与える。サイドレールは、幅に関して調節することができる、すなわち、該サイドレールは、所定の幅をもつ製品シートを提供するために、互いにより接近させるかまたはさらに間隔をあけるようにすることができる。図2の好ましい実施形態においては、ブラケット15は、スロットを設け、水平の固定バー20を覆ってスライドさせるようにすることができる。サイドレールをそのスライド可能な縦方向の位置に固定するため、従来の機械的制御(例えば蝶ねじ)または電気的制御を設けることができる。
【0020】
好ましくは、さらに図2を参照すると、サイドレール30は、成形ベルト表面の面に対して(例えば、示されるように、45度の位置に)固定された角度方向で設けることを可能にするようにもできる。この目的のため、(例えば、ねじ連結される蝶ナットとすることができる)従来の締め付け機構42とともに、ブラケット15のスライド40などの適切な機械的制御を設けることができる。
【0021】
サイドレール30は、プラスチックか、または、通常はステンレススチールである成形ベルトに損傷を与えない他の何らかの材料から作ることができる。
【0022】
溶けた食品の押し出し後、押し出されたシート27は、次に、リボン細断加撚機構(図示せず)などの従来装置を用いて切断してリボンにすることができるように、さらに冷却することができる。次に、このリボンを、さらに切断してスライス状または他の形状とし、包装することができる。プロセスチーズのようなより粘りけのある製品の場合は、サイドレールを使用しなくてもよいことが見出された。
【0023】
加圧マニホールドの代わりに、本特許出願と同日に出願され、共通の譲受人を有する、引用によりここに組み入れられる「Casting Apparatus And Process」という名称の米国出願公開第2003−0209027号に開示されるように、成形ベルト上方の固定された高さに設置された回転ローラまたは固定板の上流に食品溜まりを堆積させることによって該食品を押し出すとき、本発明を用いることができるであろう。
【0024】
上記の説明は、本発明を定める特許請求の範囲で用いられる単語の意味を限定することを意図するものではない。それどころか、本質的な変更ではない構造、機能、または結果の将来の改良物が存在すること、および、請求項におけるこうした本質的ではない変更のすべては、特許請求の範囲に包含されるように意図されることが考慮される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】加圧マニホールドおよび本発明のサイドレールを用いるチーズ成形機械の斜視図である。
【図2】サイドレールが互いにより接近するかまたはさらに間隔をあけるように動き、それらの端部でピボット運動できることを示す、図1の2−2線断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を押し出して、所定の寸法を有するシートとして成形するための成形装置であって、
前記食品のための冷却された移動支持体表面と、
前記食品を前記移動支持体表面上に溶けた状態で堆積させるための手段と、
前記食品を前記支持体表面に沿って分配するための手段と、
前記食品の前記シートの幅および厚さを制御するための手段と、
を備えることを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記支持体表面の長手方向の周縁部の少なくとも一部に隣接した対向するサイドレールを備えることを特徴とする、請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記対向するサイドレールの間の距離が調節できることを特徴とする、請求項2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記サイドレールの一方または両方と前記支持体表面の面との間の角度が調節可能であることを特徴とする、請求項2に記載の成形装置。
【請求項5】
前記支持体表面が成形ベルトからなることを特徴とする、請求項1に記載の成形装置。
【請求項6】
前記分配手段が加圧マニホールドを備えることを特徴とする、請求項5に記載の成形装置。
【請求項7】
前記加圧マニホールドが上部成形マニホールドからなることを特徴とする、請求項6に記載の成形装置。
【請求項8】
前記加圧マニホールドが斜め成形マニホールドからなることを特徴とする、請求項6に記載の成形装置。
【請求項9】
前記支持体表面がチルロールの表面からなることを特徴とする、請求項1に記載の成形装置。
【請求項10】
前記分配手段がゲージローラおよびチルロールを備えることを特徴とする、請求項9に記載の成形装置。
【請求項11】
前記食品がプロセスチーズからなることを特徴とする、請求項1に記載の成形装置。
【請求項12】
前記食品がゼラチン系のものであることを特徴とする、請求項1に記載の成形装置。
【請求項13】
食品を所定の厚さを有するシートとして成形するための方法であって、
移動支持体表面を設け、
前記食品を前記支持体表面上に溶けた状態で堆積させ、
前記食品を前記支持体表面全体に分配し、
前記食品の前記シートの幅を、前記支持体表面の長手方向の周縁部の少なくとも一部に近接した対向するサイドレールを用いて制御する、
ステップを含むことを特徴とする処理。
【請求項14】
前記対向するサイドレールの間の距離を調節するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記支持体表面の面に対する前記サイドレールの一方または両方の角度を調節するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−506956(P2006−506956A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−502709(P2004−502709)
【出願日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2003/013187
【国際公開番号】WO2003/094604
【国際公開日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(590003272)シュレイバー フッヅ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】