説明

制御された寸法を有する粒子

【課題】制御された寸法を有する粒子、特に均一かつ単分散粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】円形であるか又はx個の平面y辺多角形(ここで、xは1〜20であり、yは少なくとも3であり、xが1より大きい場合、前記平面y辺多角形はその1つ以上の辺に沿って融合している)で構成される平面幾何学を示すプレートレットである粒子であって、前記プレートレット(P)のその最も幅広の点の幅(WP)が約250μm以下であり、前記プレートレットの厚さが10nm〜50nmの範囲であり、任意に、前記プレートレットがその表面上にマイクロレリーフパターンを有してよい、前記粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された寸法を有する粒子、特に少なくとも1つのエンボス加工面を有する当該粒子の製造;該粒子を含む組成物;及び該粒子の、とりわけペンキ、印刷インク、スプレーペンキ、化粧品、高表面積セラミック又はセラミック体、着色プラスチック及び光学素子における使用又は偽造防止又はセキュリティー顔料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エンボス加工面の調製は、回折パターン又は回折格子を有する面の調製を含め、技術上周知である。回折格子は、指定深さの密接かつ規則的に間隔のあいた溝(典型的に1cm当たり5,000〜15,000の溝)を反射面上でエンボス加工すると形成される。回折格子は、該格子からの反射によって入射光をその色成分に分解することによって、虹色視覚効果を生じさせる。従って、この面を見る人は、回折面の配向によって異なる色を知覚する。回折面は典型的に拡散光下ではなく、制御された光源由来の直接照明下で最大効果を示す。
回折パターンは、その審美的及び実用的な視覚効果のため、種々の実用的な用途のために提案されている。回折格子技術は、観察者に三次元像の錯覚を生じさせる二次元ホログラフィー像の形成で利用されており、このホログラフィー像は魅力的な表示を形成することができる。ホログラムの表面レリーフパターン、具体的にはレリーフパターンの形状、深さ、パターン及び空間周波数に情報を組み入れてその中に含めることができる。ホログラム上に記録された像又は情報は、表面レリーフパターンによって回折及び屈折する光で表面レリーフパターンを照射することによって再構成される。所望により、光学的拡大下でのみホログラフィー情報を明らかにし、或いは可視スペクトル外の光による照射下で明らかにすることができる。従って、回折及びホログラフィーパターンを装飾的に用いて魅力的な視覚効果を創造できるのみならず、回折及びホログラフィーパターンは可変サイズの像、並びにバーコードの様式で機能する機械読取り可能情報をも保有しうる。従って、ホログラフィー像の使用は、一般的に偽造防止用途及びセキュリティー用途で利用されている。
【0003】
この出願の目的では、用語「回折格子」は、回折格子技術に基づくホログラフィー像を包含する。
最初の回折格子は、研磨金属面に密接かつ均一間隔の線をエッチング又はスクライバーで削ることによって形成された。その後、技術が進歩して、マスター回折格子面に対して鋳造可能材料を形づくることによって、マスター回折格子を再生した。さらに最近では、熱可塑性フィルムの表面を高温及び/又は高圧で軟化させ、フィルムを押型又はエンボス加工ローラー下に通して、軟化面上に回折格子又はホログラフィー像を与えることによって、熱可塑性フィルムをエンボス加工している。或いは、鋳造用樹脂を基板ウェブ又はエンボス加工ドラム上に塗布後、その表面を接触させてから樹脂を硬化によって堅くする。
最初のマスター(又は親)ホログラムは、通常フォトレジストフィルム等の感光性材料上で作られる。マスターホログラムは物理的に繊細で、量産コピーに直接使用されない。代わりに、薄い金属フィルム(典型的にニッケル)を、表面レリーフパターンを忠実にたどれるやり方でマスター光ホログラム上に電着させる。光ホログラムと金属マスターが離れると、そこからいくつかのサブマスターが作られる。次に、これらのサブマスターを一緒につなげて、エンボス加工ドラムの回りに包み込める大きいシートを形成する。このサブマスターは、典型的に「シム」と呼ばれるが、用語「シム」は、複数のサブマスターを含有するシート、又は表面上に複数のサブマスターがあるエンボス加工ドラムを一般的に指すためにも使用される。対応して幅の広いドラム及び基板ウェブを用いることによって、ウェブの幅を横切るのみならずその長さに沿って、回折格子又はホログラムの多くのレプリカを形成することができる。ドラムの単回転によって、単一ホログラムの多数のレプリカが生成される。
【0004】
多数の特許及び特許出願がインサイツ重合複製(in situ polymerisation replication(ISRR)技術を用いたホログラム及び回折格子などの光学的な可変作用構造の再生について開示している。前記ISRR技術では、ポリマーがマスター回折格子面に対して鋳造又は成型されるが、典型的に該ポリマーは基板上に維持される。必要な場合、エンボス加工されたポリマー材料を例えば熱及び/又は放射線によって硬化させることができ、回折格子の前記構造が該材料内に保持される。硬化工程は、マスター回折格子とポリマー材料が接触しながら起こるが、或いは引き続き、型から剥離したときにも起こりうる。このアプローチの例は、特許文献1〜9に記載されている。特許文献10は、収縮性基板上の放射線硬化性コーティングの上又は中に与えられた回折格子構造を含むセキュリティー装置の製造について述べている。特許文献11は、基板上にある放射線硬化性コーティングの上又は中に回折格子構造を与える方法を開示している。該方法では、該コーティングがマスター型と接触しながら、型から除去される前に硬化し、かつマスター型は、硬化放射線に対して透明であり、硬化可能コーティングと硬化放射線源との間に位置している。
【0005】
一定のポリマー材料のエンボス加工面は、さらに加工せずに回折格子の光学的作用が起こるのに十分反射しうる場合もある。しかし、より典型的には、ポリマー表面を金属化する必要がある。
いくつかの用途では、有用な製品はエンボス加工されたポリマー材料自体である。エンボス加工されたポリマーフィルムを切片にカットすることができ、各切片は1つ以上の反復パターンのホログラフィー像を有する。所望により、個々のホログラムをウェブ支持材料から離してよい。熱間鋳造法によって、或いは個々のホログラムをウェブからカットし、それらを対象面に接着することによって、ホログラムを個々の対象面に適用することができる。上で引用した特許に加え、このような開示の例として特許文献12が挙げられ、この特許は、入射光線をランダムな様式で散乱させて散乱した光束が干渉して複雑なスペクトルパターンを生じさせる回折格子を上又は中に備える基板を含むセキュリティー装置を開示している。そして、スペクトルパターンを基準と比較することによってセキュリティー装置を検証する。セキュリティー装置は、ラベル、識別カード、銀行カード、銀行券、切手、旅行券、くじ引き券又はセキュリティー文書などのアイテムを含み、或いはそれらの一部を形成しうる。入射光のランダムな散乱とスペクトルパターンの複雑な性質が、セキュリティー装置のリバースエンジニアリングによる偽造の可能性を減らすと報告されており、かつ特許文献13に開示されている当該セキュリティー装置のような以前のセキュリティー装置システムを超えて有利であると言及されている。
【0006】
他の用途では、エンボス加工されたポリマーフィルムは、それ自体プロセスの中間体でしかなく、他の材料へ回折パターンを移すための媒体として作用する。例えば、金属顔料の調製では、エンボス加工されたポリマー材料は、その上に金属化層が沈着されるテンプレートとして作用する。その後、金属化層は除去され、個々の金属粒子に細分化され、各粒子は反復回折パターンの少なくとも一部を有する。エンボス加工された回折粒子を、ペンキ又はインク等の液状媒体中に散在させて、引き続き種々の対象に適用するための回折組成物を生成することができる。
特許文献14は、(エンボス加工されていない)薄い金属フレークの製造方法を開示しており、この方法は、剥離層をコーティングしたキャリヤーシート上に金属フィルムを沈着させる工程、前記金属をキャリヤーシートから除去して金属粒子に細分化する工程を含む。特許文献14の開示は、特許文献15(薄いエンボス加工金属フレーク顔料の製造方法並びにそれを含有するコーティング及び印刷用製剤を開示している)の回折格子及びホログラムの技術と併用した。エンボス加工パターンは、機械読取り可能像、例えば通常のバーコード像又はホログラフィーバーコード像でよく、エンボス加工されたフレークがセキュリティー用途に役立つ。特許文献15の方法では、リリースコーティング(release coating)をキャリヤーシートの表面に適用し、該リリースコーティングの外面をエンボス加工するか又は該リリースコーティングの外面に回折パターンを与える。リリースコーティングのエンボス加工した外面上に、金属蒸気を薄膜の形態で濃縮する。次に、リリースコーティング及び上に薄い金属膜を有するキャリヤーシートを、リリースコーティング又は該キャリヤーを溶解する溶媒系に通し;金属膜のエンボス加工を破壊することなく、ほとんどの金属膜をキャリヤーシートから溶媒の中に浮遊させることができる。いずれの残存金属膜もキャリヤーシートから非反応性液状媒体中に回収することができ、そこで、撹拌又は超音波法によってさらに微細な顔料粒子に分散させる。そして、この金属顔料フレークを所望通りに濃縮及び製剤化することができる。
【0007】
特許文献16も、表面上に回折構造が形成されている回折フレーク顔料の製造を開示しており、該フレークは単一又は複数の層を有する。複数層のフレークは、反射コア層の反対側に対称に積み重なられたコーティング構造を含みうる。特許文献17は、比較的大きい回折フレーク粒子の製造を開示している。特許文献18は、回折機能が、均一の外観を得るために特定された溝頻度を有する円形配列で粒子上に配置されている色シフトセキュリティーインクで使うための粒子を開示している。特許文献19は、無機誘電層を含有する金属粒子を教示している。当該技術に関する他の変形が特許文献20〜23に開示されている。
特許文献24及び特許文献25は、隠れたセキュリティー機能を対象に与えるため、表面上にエンボス加工した選択形状及び/又はシンボル(例えば、回折格子パターン)を有する顔料フレークの製造を開示している。選択形状又はシンボルは、光学顕微鏡による拡大下で検出できることを意図している。少なくとも一部がエンボス加工フレームのパターンを構成し、任意にそのフレーム内に所望シンボルがエンボス加工されているキャリヤーシート上に無機材料を沈着させることによってフレークを製造する。次に、パターン化シートから沈着フィルムを離してフレークに加工する。この先行技術では、キャリヤーシートのエンボス加工部が複数のフレームを有し、その上に無機材料が沈着されており、そのフレームから沈着材料を剥離して、フレークに加工しなければならず、その後、それをセキュリティー顔料組成物に組み入れる。しかし、この先行技術には、沈着及び剥離プロセスに付随する応力が応力亀裂及びランダム破壊をもたらし、ひいてはキャリヤーシート内にエンボス加工されたフレームの所望形状を複製する薄いフレークの不完全又は不十分な生成という結果になるという問題が残っている。この先行技術の方法は、所望形状のエンボス加工フレームを単一フレーク内に複製するため、比較的厚い沈着無機層、ひいては比較的厚いフレークを利用する。さらに、この先行技術の方法で製造される顔料フレークは、その周辺に、エンボス加工されたキャリヤーシート内に存在するフレームラインの圧痕を保持する。この周辺のフレーム圧痕は、フレーク表面から光の見掛け倒しの反射及び/又は回折を生じさせて反射面の効率を下げるので、フレークは顔料組成物内で低い輝度を呈する。さらに、このようなフレークは平らな状態でなく、フレークを組み入れるビヒクルの流動特性を損ねうる。同様の方法が特許文献26に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US−3689346
【特許文献2】US−4758296
【特許文献3】US−4840757
【特許文献4】US−4933120
【特許文献5】US−5003915
【特許文献6】US−5085514
【特許文献7】EP−0540455−A
【特許文献8】EP−0407615−A
【特許文献9】GB−2027441
【特許文献10】WO−99/38704−A
【特許文献11】WO−94/18609
【特許文献12】GB−2221870−A (De La Rue)
【特許文献13】US−4537504
【特許文献14】US−4321087(Revlon Inc)
【特許文献15】WO−93/23481−A(Avery Dennison Corporation)
【特許文献16】WO−03/011980
【特許文献17】US−6242510
【特許文献18】US−5912767
【特許文献19】US−6112388
【特許文献20】US−6168100
【特許文献21】US−5549774
【特許文献22】US−5629068
【特許文献23】US−5672410
【特許文献24】WO−2005/017048−A
【特許文献25】EP−1741757−A
【特許文献26】EP−0978373−A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の目的は、制御された寸法を有する粒子、特に均一かつ単分散粒子の製造方法を提供することであり、特に上述した問題を克服する方法を提供することである。該粒子がセキュリティー用途、例えばセキュリティー顔料として又はセキュリティー顔料中で使うために適するように、及び/又は該粒子が光学的な可変作用を示して、例えば、色シフト顔料(一般的に波長(又は周波数)色制御顔料と呼ばれることもある)として又は色シフト顔料中で使うために適するように、該粒子について二者択一的又は付加的な制御可能機能を提供することがさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により、制御された寸法を有する粒子の製造方法であって、以下の工程:
(i)それぞれ床部と高さ(Hw)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板を供給する工程;
(ii)前記パターン化表面上及び前記セル内に有機又は無機材料を沈着させて、該沈着材料の厚さ(T)を与える工程(ここで、T≦Hw);
(iii)前記沈着有機又は無機材料を前記基板の表面から剥離する工程;及び
(iv)前記有機又は無機材料で形成された粒子を収集する工程
を含んでなる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】支持層(1)と、複数のセルがエンボス加工されたエンボス加工可能層(2)とを含む層状基板であって、各セルはセル壁(3)とセル床(4)で定義され、セル壁がz-寸法内で正のレリーフを定義する実施形態を示す。
【図1B】支持層(1)と、複数のセルがエンボス加工されたエンボス加工可能層(2)とを含む層状基板であって、各セルはセル壁(3)とセル床(4)で定義され、セル壁がz-寸法内で負のレリーフを定義する実施形態を示す。
【図1C】支持層(1)と、複数のセルがエンボス加工されたエンボス加工可能層(2)とを含む層状基板であって、各セルはセル壁(3)とセル床(4)で定義され、セル壁がセル床のx-y面に対してz-寸法内で正と負の両方のレリーフを定義する実施形態を示す。
【図2】支持層(1)と、複数のセルがエンボス加工されたエンボス加工可能層(2)とを含むエンボス加工基板を示し、各セルはセル壁(3)とセル床(4)で定義され、材料の層(6)がエンボス加工基板上に沈着されている。
【図3】エンボス加工可能層(2)が、高さ(Hw)のセル壁(3)と高さ(h)の追加のレリーフパターンで定義される複数のセルを示す実施形態を示し、沈着材料(6)は厚さ(T)を有する。
【図4】複数の異なる光学マイクロレリーフパターン(5)を含んでなる、セル壁(3)と床部(4)を有する同一のセル幾何学の6個の六角形の個別セルの反復パターンを有するパターン化基板の表面の平面図を示す。
【図5】エンボス加工可能層(2)、例えばアクリル熱-エンボス加工可能層を、貯蔵かつ供給手段(10)から支持層(1)に適用してから、この複合(被覆)基板にアプリケーター(11)でリリースコーティング(図示せず)を供給後、エンボス加工ローラー(12)に接触させる、実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一実施形態では(以後、実施形態Aと称する)、層状基板のパターン化表面は、熱-エンボス加工によって、他言すれば、前記反復パターンを有する押型又はローラー下で高温高圧にエンボス加工可能基板を供することによって製造される。
代替実施形態では(以後、実施形態Bと称する)、層状基板のパターン化表面は、層状支持層を供給する工程、その表面上に硬化性コーティング層(好ましくは放射線硬化性コーティング層)を適用する工程、前記硬化性コーティング層を前記反復パターンでエンボス加工する工程、及び前記コーティング層を硬化させる工程によって調製される。
従って、前記方法で製造される粒子は、前記基板のパターン化表面上のセル寸法を複製する。こうして、製造される粒子、又はプレートレット(platelet)は、前記マイクロレリーフパターンの1つ以上の個別セルの寸法に対応する寸法を有する。
【0013】
本方法は、粒子が制御された寸法のものであり、かつ狭い粒度分布を示すという粒子の条件を与える。粒子寸法が制御可能であり、かつ前もって決めることができるという意味で、粒子の寸法が「制御され」ており、個別セルの寸法の制御によって達成される。
本発明の方法の好ましい実施形態では、反復パターンは、1つ以上の個別セル内に追加のマイクロレリーフパターンを含むことができる。従って、この実施形態では、パターン化基板内のセルの床部は追加のマイクロレリーフパターン、例えば光学的な可変作用構造、例えばデータ又は情報を保有できる回折又はホログラフィー像パターンを有する。従って、基板のパターン化表面上の追加のマイクロレリーフパターンが、本方法で製造される粒子に伝達されるだろう。このパターンは、ロゴのような像、又は一次元若しくは二次元バーコードのような機械読取り可能像、又はα-数値配列でよい。個別セル内の追加のマイクロレリーフパターンは、反復パターンにわたってすべての個別セルについて同一でよく、又は異なるセル内に複数の追加のマイクロレリーフパターンを備えうる。或いは、限定比率の個別セルだけに1つ以上の追加のマイクロレリーフパターンが存在できる。例えば、本発明によって製造される粒子を、物品の確実性の検証目的のためのセキュリティー顔料として使用する場合、製造業者のロゴ又は商標であるエンボス加工パターンを有する粒子もあり、また、当該物品の製造日付若しくは製造場所又は何らかの他の情報を有する粒子もありうる。個別セルの主要マイクロレリーフパターンのエンボス加工と同時、又はエンボス加工前に追加のマイクロレリーフパターンを与えることができるが、好ましくは、個別セルのマイクロレリーフパターンと追加のマイクロレリーフパターンの両方を含む反復パターンを表面上に有する、同一のダイ又はローラーを用いて同時に与える。
制御された寸法を有するが、追加のマイクロレリーフパターンを持たない、本発明によって製造される粒子を本明細書では「非コード化粒子」と称する。制御された寸法を有し、かつ追加のマイクロレリーフパターンを有する、本発明によって製造される粒子を本明細書では「コード化粒子」と称する。
【0014】
従って、本発明は、ペンキ、印刷インク、スプレーペンキ、化粧品、高表面積セラミック又はセラミック体、着色プラスチック、触媒及び光学素子といった多くの用途で有用性を見出すだろう。上記方法で製造される粒子を含んでなるセキュリティー顔料の製造は特に興味深い。粒子は、粒度分布及び/又はそのアスペクト比が重要な状況、例えば、インクジェット印刷用顔料及び導電性顔料で有用な良い平面伝導率を示す、制御された大きさのプレートレットの調製での用途を見出すだろう。特に興味深いさらなる用途は、光学的な可変作用又は被定義光学特性を示す必要のある粒子の分野;例えば、粒度分布を調節又は最小限にするか、又はアスペクト比を制御することによって、光散乱の調節又は低減を達成することができる。さらに、該粒子は、色シフト顔料(一般的に波長(又は周波数)色制御顔料と称することがある)として又は色シフト顔料中で使うのに好適である。
本明細書で「層状基板」とは、基本的に二次元平面(説明目的のためx-y平面でよい)内で伸長する物品を指し、該物品の表面がマイクロレリーフパターン(説明目的のためz-次元内で伸長するとみなしうる)を有する。以下の説明から明らかなように、z-次元内のマイクロレリーフパターンのスケールは、x及びy次元内の基板のスケールに比べて小さく、層状基板の裸眼に対する全体的印象は二次元物品である。
【0015】
〔反復パターン〕
反復パターンは、1タイプの個別セルと1タイプのセル幾何学を含み、或いは各セルタイプが異なる幾何学を有する複数の異なるタイプの個別セルを含みうる。一実施形態では、反復パターンは1タイプのみのセル幾何学を含む。好ましくは、セル幾何学は平面多角形、好ましくは規則的な平面多角形(すなわち、多角形の各辺が同一長さである)、好ましくはy-辺平面多角形(yは3〜20、好ましくは3〜8、好ましくは3〜6、好ましくは3、4又は6である)から選択される。従って、セル幾何学は、好ましくは六角形、三角形及び四角形、すなわちスペースなく平面上で閉鎖充填されうる単一の幾何学である。しかし、本発明は、平面多角形の非閉鎖充填配列をも包含する。例えば、本発明で使用するレリーフパターンは、4つの隣接する八角形セルを有する交互辺に沿って融合した八角形の個別セルを含み、この配列では、4つの八角形セルの平面モザイクによって定義される四辺スペースが任意にさらなるセットの個別セル幾何学を与える。或いは、平面多角形の非閉鎖充填配列のセル間の領域を利用しないで、制御された寸法の粒子の調製をセルに与える。すなわち、これらの領域内には、層状基板内にシムによってレリーフが生成されない。当業者には、他の反復パターンが明白だろう。
また、本発明の範囲内では、制御された寸法の粒子は円形であり、ひいては個別セルも円形の可能性がある。或いは、粒子及び対応する個別セルが卵円であるか又は線形縁と弯曲縁の組合せを有しうる。この実施形態は、後述するようにセル壁がz-次元内の正のレリーフを定義する、本発明の方法で適切であり、後述するようにセル壁がz-次元内の負のレリーフを定義する、本発明の方法では適さない。
【0016】
従って、反復パターンの反復単位は以下を構成しうる:
(i)任意に追加のマイクロレリーフパターンを有してよい単一個別セル;
(ii)同じ幾何学を有するが、追加のマイクロレリーフパターンについては異なる複数の個別セル;
(iii)各セルタイプが異なる幾何学を有し、かつ各セルが任意に同じ追加のマイクロレリーフパターンを有しうる複数の個別セル;又は
(iv)複数の異なる幾何学と、複数の異なる(かつ任意の)追加のマイクロレリーフパターンとを有する複数の個別セル。
各個別セルは、床部と壁から成り、x、y及びzに関連して定義される。ここで、x及びy軸が層状基板の平面を定義する。
各セルの床部は層状基板の平面と実質的に共平面(又は平行)である平面内で伸長する。すなわち、床部は層状基板の平面によって定義されるx及びy方向内で実質的に伸長する。しかし、例えば、セル床の面と層状基板のx-y面との間の角度が約0°〜約20°、好ましくは約0°〜約10°、好ましくは約0°〜約5°になるようにセル床が層状基板のx-y面に対して傾斜していてもよい。好ましくは、セル床は層状基板のx-y面と共平面である。
マイクロレリーフパターン内の各セルの壁は、x-y面内に位置づけられた層状基板のz-次元内で表面レリーフを生成し、かつ層状基板のx-y面に実質的に垂直に伸長する。セル壁は次第に細くなってよく、すなわちセル壁は、セル床及び/又は層状基板のx-y面と必ずしも90°の角度を定義しない。従って、セル壁が後述するようにz-次元内の正のレリーフを定義する実施形態では、セル壁の厚さはセル壁の上部より壁の基底で大きくてよい。セル壁が後述するようにz-次元内の負のレリーフを定義する実施形態では、層状基板内のへこみは、セル壁の底部に向かって狭くなりうる。沈着される材料によって、セル壁の、セル床又は層状基板のx-y面に対する角度を調整することができる。典型的に、層状基板のx-y面に対して次第に細くなるセル壁の面によって定義される角度は110°を超えず、典型的に約90°〜100°の範囲である。好ましくは、セル壁は、沈着工程中に、セル壁の上にいかなる材料の沈着も最小化又は阻止するため、垂直に近い面を有する。
【0017】
一実施形態では、事実上、図1Aに示されるように、沈着材料を非常に小さい型に注ぎ込み、この実施形態では、セル壁は、セルの床部がキャビティ基底を形成し、キャビティの周囲にセル壁を持ち上げるように、z-次元内で正のレリーフを定義するので、この実施形態では、セル床は、セルの壁を定義する、層状基板の相対的に厚い断面に比べて、層状基板の相対的に薄い断面によって定義される。これとは別の実施形態では、図1Bに示されるように、セル壁は、セルの床部がセルの上面でプラトーを定義するように、z-次元内で負のレリーフを定義するので、この実施形態では、セル床は、セルの壁を定義する、層状基板の相対的に薄い断面に比べて、層状基板の相対的に厚い断面によって定義される。さらに別の実施形態では、図1Cに示されるように、セル壁は、セル床のx-y面に対して、正と負の両レリーフを定義する。従って、各実施形態において、個別セルは、境界を有するドメインを含み、この境界は、実質的に該ドメインの周囲の垂直のトポグラフィーによって定義される。
【0018】
セル床とセル壁の接合部は、好ましくは約70°〜約130°の範囲、好ましくは約80°〜約110°の範囲、好ましくは約90°〜約110°の範囲の角度を定義する。例えば、次第に細くならないセル壁の表面は、層状基板のx-y面に対するセル床の傾斜によって、セル床と約70°〜約110°の角度を定義しうる。次第に細くなるセル壁の表面は、層状基板のx-y面に対するセル床の傾斜によって、セル床と約90°〜約130°の角度を定義しうる。層状基板と共平面であるセル床は、典型的に、次第に細くなるセル壁の表面と約90°〜約110°の角度を定義する。
典型的に、反復パターン内の個別セルはセル床の最も広幅の点のセル床の幅(Wc)が約250μm以下、好ましくは約100μm以下、好ましくは約5〜約100μmの範囲、好ましくは約5〜約50μmの範囲であるようなx-y面の寸法を有する。セル壁のz-方向かつセル床に対する(すなわち上下)の高さ(Hw)は、好ましくは少なくとも100nm、好ましくは少なくとも150nm、さらに好ましくは少なくとも200nmである。従って、セル壁がz-次元内で正のレリーフを定義する実施形態では、セル壁の高さは沈着材料の所望の厚さによって決まるので、生成されるプレートレットは、その後の剥離及びハンドリングに耐えるのに十分な厚さと強さのものである。典型的に、セル壁のz-方向かつセル床に対する(すなわち上下)の高さは、約1μm以下、典型的に約750nm以下、典型的に約500nm以下、典型的に約475nm以下、さらに典型的に約400nm以下である。一実施形態では、セル壁の高さ(Hw)は、少なくとも50nm、好ましくは少なくとも100nm、好ましくは約150nm〜約475nmの範囲である。一実施形態では、セル壁の高さ(Hw)は10nm〜50nmの範囲、さらに好ましくは15nm〜50nmの範囲である。
【0019】
所望寸法を有する、層状基板上の個別セル構造の「正の」レリーフパターン(図1に示されるような)を作製するため、該レリーフパターンを層状基板上に打ち抜くために使用する、シム上の逆に対応する「負の」レリーフパターンをより大きい寸法で製造する。従って、層状基板上の個別セルがz-方向に正のレリーフを定義する壁を含む実施形態では、シム上の対応する負のレリーフパターンは、層状基板の正のレリーフパターンの所望高さより深い必要がある。従って、鋳造可能基板が加圧下でシムと接触する場合、基板の鋳造可能材料は必ずしもシム上の負のレリーフパターンの最高の深さまで浸透する必要はなく、実際には、このことは、選ばれた鋳造可能材料によって決まる状況によっては望ましいこともある。例えば、後述する実施例では、約100〜約350nmの高さの「正のレリーフ」壁を含む個別セルを有する層状基板は、対応する負像の深さが約275〜約500nmであるシムによって作製されうる。
追加のマイクロレリーフパターンの高さ(h)は、セル床に対してz-方向に典型的に約10〜約80nm、好ましくは約20〜約60nm、さらに好ましくは約50nm以下である。層状基板内の追加のマクロレリーフパターンは、セル床によって定義されるx-y面に対して、z-方向に正若しくは負のレリーフ、又は正と負のレリーフの混合物を定義しうる。典型的に、追加のマイクロレリーフパターンは、セル床内に正のレリーフを、すなわち追加のマイクロレリーフパターンがセル床から盛り上がって立つように(図3に示されるように)定義し、粒子内に負のレリーフ(すなわちへこみ)を生成する。追加のマイクロレリーフパターンの高さ(h)は、例えばプレートレット粒子に必要な圧さ(T)と強さ;粒子の製造コスト;並びに追加のマイクロレリーフパターンの微細構造に含める情報の性質及びこの情報を読み取る方法によって決まる。セル壁が正のレリーフパターンを定義する実施形態では、高さ(h)は通常セル壁の高さ(HW)によって決まり、上記基準に従って典型的にh<HWであり、一実施形態では、h≦(0.9HW)、好ましくはh≦(0.75HW)、好ましくはh≦(0.5HW)、好ましくはh≦(0.3HW)、さらに好ましくはh≦(0.1HW)である。典型的に、層状基板内に導入される追加のマイクロレリーフパターンは、シム上の対応する負の追加のマイクロレリーフパターンと実質的に同じ、すなわち、シム上の追加のマイクロレリーフパターンの実質的にすべての微細構造がすべて層状基板に伝達される。
【0020】
一実施形態では、層状基板の全幅にわたってのみならずその長さに沿って、制御された寸法のコード化及び/又は非コード化粒子が形成されるように、シムの全体表面が所望の反復パターンを有する。このような実施形態は、組成物中のすべての粒子が制御された寸法を有する必要がある場合か又は制御された寸法の粒子を所望の最終用途に適合させた他の製剤中の濃縮物として使用する予定がある場合に適切である。
第二実施形態では、シム表面の一部のみが所望の反復パターンを有し、この実施形態は、本発明の顔料組成物の製造に特に興味深い。後述するように、本発明の粒状組成物及び製剤は、制御されない寸法を有する「通常の」粒子を含んでもよく、これらの通常の粒子は、本明細書で述べる制御された寸法のコード化及び/又は非コード化粒子と同じか又は異なる化学組成を有しうる。通常の粒子並びに制御された寸法のコード化及び/又は非コード化粒子を含む本発明の組成物及び製剤は、二タイプの粒子の単純な組合せで作製されうる。しかし、本発明の方法を「ワンショット」プロセスとして用いて、通常の粒子と制御された寸法の粒子を両方有する粒状組成物を作製することもできる。該プロセスでは、シムの表面上の個別セルの面密度を調整することによって通常の粒子と制御された寸法の粒子の相対濃度を調整することができる。従って、この第二実施形態では、本明細書で述べる個別セルをシム表面の1つ以上の所定領域上にのみ配置することができ、結果として、シムとの接触によって生成されるパターン化層状基板は、その表面の一部の上だけに個別セルを示す。個別セルはそれぞれ相互に間隔があき、かつセルのないウェブの一面によって分離されてよく、或いは個別セルが1つ以上のクラスターでグループを作ってよい。従って、後述するように、沈着した有機又は無機材料を層状基板から剥離するとき、層状基板の、セルのない領域内に沈着した材料は通常の粒子を生成し、個別セル内に沈着した材料は制御された寸法のコード化又は非コード化粒子を生成し、結果として2つの異なるタイプの粒子を含有する粒状組成物をもたらす。通常の粒子は、制御された寸法の粒子がコード化され、又はコード化されず、或いはその混合物であるかと無関係に、コード化され、又はコード化されず、或いはその混合物でよい。従って、本明細書で定義する追加のマイクロレリーフパターンは、個別セル内のみならず、個別セルを示さない層状基板(及びシム)の領域にも存在しうる。シム表面上、ひいては層状基板の表面上の個別セルの密度は、粒状組成物中の制御された寸法の粒子の所望濃度によって調整され、実際には、そのエンドユーザーによって規定される。本発明の方法ではいずれの妥当な密度も使用でき、かつ本発明の方法によっていずれの妥当な密度も達成されるが、典型的に、個別セルを含む、シム及び層状基板の表面積の少なくとも約0.01%、好ましくは少なくとも約0.1%、好ましくは少なくとも約1%、好ましくは少なくとも10%である。
【0021】
表面レリーフパターンの最初のマスターは、技術上周知かつ上述したいずれの方法によっても製造される。しかし、好ましくは、10nm以下程度の線厚分解能でパターン化できるマスターテンプレートの非常に微細な構造の供給を可能にする電子線リソグラフィーを用いてマスターテンプレートを製造する。この非常に微細な構造がサブマスター(又はシム)内、エンボス加工された層状基板のパターン化表面内、及び追加のマイクロレリーフパターン(又は回折格子)内で複製される。この技術は、個別セルの実質的に垂直の壁(z-方向に伸長する)を層状基板のx-y面内に非常に薄い断面で作製することができる。従って、好ましい実施形態では、セルの実質的に垂直の壁は、セルの床部の表面積に比べて非常に小さい総表面積(層状基板のx-y面内)を占有する。好ましくは、層状基板のその(又は各)パターン化部分の表面積(x-y面内)の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%は、セルの床部によって構成される。
【0022】
〔基板〕
実施形態Aの熱-エンボス加工可能基板は、熱を加え、典型的には圧力も併用して成型できるいずれの材料によっても形成される。好ましくは、基板は熱可塑性ポリマー材料を含む。適切であるためには、エンボス加工可能面は、熱処理、典型的にそのガラス転移温度(Tg)に近い温度、通常ガラス転移温度以上の温度での熱処理の影響下で軟化してエンボス加工できるようにならなければならない。熱-エンボス加工可能材料は技術上周知であり、例えば、(コ)ポリエステル、ポリオレフィン(特にポリプロピレン又はポリエチレン)、アクリル樹脂、ポリスチレン、酢酸セルロース及びPVCが挙げられる。
一実施形態では、基板はそれ自体が熱-エンボス加工可能である。
これとは別の実施形態では、基板は、支持層と、その上に配置された熱-エンボス加工可能層とを含む。典型的に、熱-エンボス加工可能層は、支持層が軟化する温度未満の温度で軟化するポリマー材料を含む。好ましくは、熱-エンボス加工可能層は、支持層の軟化温度より少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃、好ましくは少なくとも15℃、さらに好ましくは少なくとも20℃低い温度で軟化する。それにもかかわらず、本発明は、エンボス加工プロセス中に支持層の一部が軟化する複合基板の使用を排除しない。
主に、支持層と熱-エンボス加工可能層を含む好ましい基板に関して実施形態Aについて後述する。しかし、当業者は、熱-エンボス加工可能な単層基板も使用できること、ひいては下記議論の主要焦点が本発明の範囲を制限しないことを認めるだろう。
【0023】
支持層は自立フィルム又はシートであり、これは、支持基底の非存在下で独立して存在できるフィルム又はシートを意味する。支持層はいずれの適切なフィルム形成ポリマーからも形成され、該ポリマーとしてポリオレフィン(例えばポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリカーボネート、ポリアミド(例えばナイロン)、PVC及びポリエステルが挙げられる。好ましい実施形態では、支持層はポリエステル、特に合成線形ポリエステルである。好ましいポリエステルは、1種以上のジカルボン酸又はその低級アルキル(6個までの炭素原子)ジエステル、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5-、2,6-若しくは2,7-ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロ-テレフタル酸又は1,2-ビス-p-カルボキシフェノキシエタン(任意にモノカルボン酸、例えばピバル酸と)と1種以上のグリコール、特に脂肪族又は脂環式グリコール、例えばエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールの縮合によって得られる。芳香族ジカルボン酸が好ましい。脂肪族グリコールが好ましい。好ましい実施形態では、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレートから選択され、好ましくはPETである。
支持体は、上記フィルム形成材料の1つ以上の個別層を含んでよい。それぞれの層のポリマー材料は同一又は異なってよい。例えば、支持体は1、2、3、4若しくは5又はそれより多くの層を含んでよく、典型的な多層構造は、AB、ABA、ABC、ABAB、ABABA又はABCBA型のものでよい。典型的に、支持体は、1、2又は3層、好ましくは1つだけの層を含む。
【0024】
支持体の形成は、技術上周知の常法により達成され、後述する手順に従い、押出加工によって達成される。一般用語では、このプロセスは、溶融ポリマーの層を押出す工程、この押出物をクエンチし、このクエンチした押出物を少なくとも一方向に延伸する工程を含む。支持体は一軸延伸でよいが、上述したように、好ましくは二軸延伸される。延伸は、延伸フィルムの製造技術分野で知られるいずれの方法によっても達成され、例えばチューブラ又はフラットフィルム法によって達成される。二軸延伸はフィルムの平面の2つの相互に垂直な方向に引っ張ることによって果たされ、機械的及び物理的特性の満足できる組合せ達成することができる。チューブラ法では、熱可塑性ポリマーチューブを押出し、引き続きクエンチ、再加熱してから内部気圧で広げて横延伸を生じさせ、縦延伸を誘発する速度で引き出すことによって、同時の二軸延伸が達成される。好ましいフラットフィルム法では、支持体形成ポリマーをスロットダイに通して押出し、チルドキャスティングドラム上で急速にクエンチして、該ポリマーを確実に非晶質状態にクエンチする。次に、クエンチした押出物を少なくとも一方向に該ポリエステルのガラス転移温度以上の温度で伸ばすことによって延伸が達成される。フラットなクエンチした押出物をまず一方向、通常縦方向、すなわちフィルム延伸機を通って前方向に伸ばしてから横方向に伸ばすことによって、逐次延伸が達成される。押出物の前方延伸は、1セットの回転ロール上で、又は2対のニップロール間で好都合に達成され、次に、横延伸が幅出し機内で達成される。或いは、二軸幅出し機内で前と横の両方向同時にキャストフィルムを伸ばすことができる。延伸は、該ポリマーの性質によって決まる程度まで達成される。例えば、ポリエチレンテレフタレートは通常、延伸フィルムの寸法が、その又は各方向の延伸において、その元の寸法の2〜5倍、さらに好ましくは2.5〜4.5倍になるように引き伸ばされる。典型的に、延伸は、70〜125℃の範囲の温度で行われる。延伸が一方向のみに必要な場合、より大きい延伸比(例えば、約8倍まで)を利用しうる。必ずしも、機械方向と横方向で同等に伸ばす必要はないが、釣り合いのとれた特性が望ましい場合は、このことが好ましい。延伸フィルムは、該ポリマーのガラス転移温度より高いが、その融点未満の温度にて寸法的制限下での熱硬化に寸法安定性であり得、好ましくは寸法安定性であって、該ポリマーの結晶化を誘発する。実際の熱硬化の温度と時間はフィルムの組成によって変化するが、フィルムの機械的性質を実質的に低下させないように選択しなければならない。これらの拘束内では約135℃〜250℃の熱硬化温度が望ましい。好ましくは、熱硬化温度は約235℃未満、典型的に約225℃未満である。支持体が1より多くの層を含む場合、便宜上、マルチオリフィスダイの独立のオリフィスを介したそれぞれのフィルム形成層の同時共押出し後に、まだ溶融状態の層を合体するか、或いは好ましくは、それぞれのポリマーの溶融ストリームをまず、ダイマニフォールドにつながるチャネル内で合体した後、ダイオリフィスから一緒に(混合することのないストリームライン流れの条件下で)押出すことによって多層ポリマーフィルムを生じさせる単一チャネル共押出しによるかの共押出しによって、基板(前述したように延伸かつ熱硬化することができる)の製造を行う。多層支持体の形成は、通常の積層技術、例えば、プレフォームド第1層とプレフォームド第2層を一緒に積層することによって、或いは、例えば、第1層をプレフォームド第2層上に鋳造することによって達成することもできる。
【0025】
一実施形態では、フィルムのハンドリングを助けるため粒状材料を含む「スリップコーティング」で支持体を被覆して、例えば、巻線性(windability)を改善し、「ブロッキング」を最小化又は阻止することができる。支持体の背面、すなわち、放射線硬化性コーティングを被覆する面の反対の表面上にスリップコーティングを適用しうる。適切なスリップコーティングは例えば、米国特許第5925428号及び第5882798号(この開示は参照によって本明細書に取り込まれる)に開示されているもののようなケイ酸カリウムを含みうる。或いは、スリップコーティングは、アクリル及び/又はメタクリルポリマー樹脂の不連続層を含んでよく、任意にさらに、例えば、EP-A-0408197(この開示は参照によって本明細書に取り込まれる)に開示されているような架橋剤を含んでよい。
さらなる実施形態では、プライマー層で支持体を被覆して、支持体へのエンボス加工可能層の接着を改善することができる。
上述したものを含め、いずれの適切なフィルム形成材料からも熱-エンボス加工可能層を形成でき、熱-エンボス加工可能層の形成に好適な材料は技術上周知である。熱-エンボス加工可能層の形成に好適な材料として、アクリル樹脂、例えばポリ(メチルメタクリレート)及びポリ(エチルメタクリレート);エチレンを含有するコポリマー、例えばエチレンビニルアセテート及びエチレンアクリル酸;(コ)ポリエステル、ポリオレフィン(特にポリプロピレン又はポリエチレン);ポリスチレン;スチレン-ブタジエンコポリマー;スチレン-アクリレートコポリマー;セルロースアセテート及びPVCが挙げられる。
好ましい実施形態では、熱-エンボス加工可能層はコポリエステル、特にエチレングリコールとテレフタル酸成分に加えて1種以上のさらなる成分を含んでなるPETを主成分とするコポリエステルである。一実施形態では、熱-エンボス加工可能層のコポリエステルは、脂肪族グリコールと少なくとも2種のジカルボン酸、特に芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸及びイソフタル酸から誘導される。好ましいコポリエステルは、エチレングリコール、テレフタル酸及びイソフタル酸から誘導される。テレフタル酸成分:イソフタル酸成分の好ましいモル比は、50:50〜90:10の範囲、好ましくは65:35〜85:15の範囲である。好ましい実施形態では、このコポリエステルは、エチレングリコールと、約82モル%のテレフタル酸及び約18モル%のイソフタル酸のコポリエステルである。この実施形態では、支持層は好ましくはPETである。
【0026】
実施形態Bでは、基板は支持層と、硬化性層、特に放射線硬化性層であるエンボス加工可能層とを含む。所望の反復パターンを硬化性コーティング層内にエンボス加工してから硬化させると、硬化したコーティング層内に反復パターンが保持される。実施形態Bの支持層は実施形態Aで述べた通りである。
硬化性材料は、好ましくは放射線硬化性材料であり、一実施形態では、下記材料から選択される:
(a)典型的に放射線源によって活性化される光反応開始剤の使用によって架橋するビニル又はアクリレート不飽和を含有する、不飽和樹脂であるフリーラジカル硬化樹脂又はモノマー、プレポリマー、オリゴマー等;及び
(b)放射線源又は電子線下で光反応開始剤又は触媒によって開環を果たしてイオン性実体を生成後、分子間架橋するカチオン性硬化樹脂(例えばエポキシ樹脂)。
上記樹脂は、現実的な生産速度で操作しながら、相対的に低い温度(50℃未満)又は周囲温度でさえ硬化しうるので、局所的な過熱攻撃又は応力を回避することで表面構造への損傷の危険を減らす。これらの樹脂を薄層として用いて放射エネルギーを効率的に熱に変換することもできる。
硬化を果たすために使用する放射線は、典型的に紫外(UV)線であるが、材料、その吸光度及び使用法によって、電子線、可視、赤外又はさらに高波長の放射線も使用できる。
支持層及び/又はエンボス加工可能層は、ボイド剤、潤沢剤、酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー、UV吸収剤、難燃剤、熱安定剤、ブロッキング防止剤、表面活性剤、スリップ助剤、光学的光沢剤、艶向上剤、粘度調節剤及び分散安定剤などのポリマーフィルムの製造で便宜上使用されるいずれの添加剤を含んでもよい。充填剤は、技術上周知なように、ポリマーフィルムにとって特に一般的な添加剤であり、フィルム特性を調節するために有用である。典型的な充填剤として、技術上周知であり、例えばWO-03/078512-Aに記載されているように、粒状無機充填剤(例えば金属又は準金属酸化物、粘土並びにアルカリ金属塩、例えばカルシウム及びバリウムの炭酸塩及び硫酸塩)又は不適合性樹脂充填剤(例えばポリエステルフィルムベース中のポリアミド及びポリオレフィン)又は2種以上の該充填剤の混合物が挙げられる。常法で層の組成物の成分を一緒に混合することができる。例えば、層ポリマーが誘導されるモノマー反応物と混合することにより、或いはタンブル若しくは乾式ブレンド又は押出機内でコンパウンドすることによって成分をポリマーと混合後、冷却し、通常、顆粒又はチップに細分化する。マスターバッチ技術を利用してもよい。
【0027】
上述したように、かつ共押出しによって、支持層とエンボス加工可能層を含んでなる複合フィルムを調製することができる。共押出しは、本明細書で述べる実施形態Aに従う支持層と熱-エンボス加工可能層を含んでなる基板に特に好適である。或いは、例えばエンボス加工可能層をグラビアコーティング(直接又は間接)、スロットダイコーティング及び押出しコーティング又はメルトコーティング法といった、技術上周知の常法に従って支持層上にコーティングすることによって、当該分野で知られているいずれの他の適切な技術を用いて支持層にエンボス加工可能層を適用してもよい。最適な方法はエンボス加工可能層の材料の独自性及び特性によって決まる。一実施形態では、エンボス加工工程と同じインラインプロセスで、かつ基板とエンボス加工手段との接触前に、エンボス加工可能層を支持層上にコーティングする(例えば、図5に示されるように)。さらなる実施形態では、エンボス加工可能層をシムに適用し、シムの表面上を支持層が通過するときにエンボス加工可能層を接触させることによって、支持層と、所望の反復パターンを有するエンボス加工可能層との間の接着を達成することができる。この実施形態は、基板が支持層と硬化性層を含む実施形態Bで特に興味深い。積層技術を用いて、支持層とエンボス加工可能層を含んでなる複合フィルムを製造することもできる。
基板が支持層とエンボス加工可能層を含む場合の基板、又は支持層は、好適には、約5〜350μm、好ましくは10〜約200μm、さらに好ましくは約12〜約100μm、さらに好ましくは約12〜約50μm、特に約12〜約30μmの厚さのものである。
上述し、かつさらに支持層を含んでなる複合フィルム中のエンボス加工可能層のエンボス加工前の厚さは、典型的に約0.5〜約50μm、好ましくは約1〜約25μm、さらに好ましくは約1〜約10μmの範囲である。セル床の、追加のマイクロレリーフパターンのない領域内のエンボス加工可能層の好ましい厚さは、上記と同様に約0.5〜約50μmの範囲である。
【0028】
〔リリースコーティング〕
本発明の方法は、任意に、有機又は無機材料の沈着前に、基板の少なくとも1つの表面上へのリリースコーティング(好ましくは連続リリースコーティング)の供給をさらに含むことがあり、この実施形態では、リリースコーティングの外面も反復パターンを有する。リリースコーティングの機能は、剥離プロセス中のエンボス加工基板からの沈着材料の除去を容易にすることである。
いくつかの例では、エンボス加工される基板から化学的又は物理的手段で沈着材料を容易に分離できるのでリリースコーティングは必要なく、エンボス加工される基板に沈着材料を直接適用する。この実施形態では、基板は、支持層と、上又は中に反復パターンが導入されるエンボス加工可能層とを含みうる。ここで、該エンボス加工可能層は、任意に、その剥離特性を高める追加成分を含んでよく、該成分は技術上周知である。好適な剥離向上成分として、例えば、ヒドロキシル化ポリシロキサン(例えばUS-4913858で開示されているような)等のシロキサンが挙げられる。或いは、基板がエンボス加工可能層を含まず、さらなる層がなくても十分なエンボス加工可能性及び剥離特性を有する。当該ケースでは、基板は任意に剥離向上成分を含んでよい。
しかし、より典型的には、沈着材料の十分な除去と粒子形成を可能にするため、別個のリリースコーティングが望ましい。エンボス加工手段と基板の接触前に、エンボス加工手段の表面に適用することによって、追加コーティング層としてリリースコーティングをエンボス加工可能基板に施すことができる。あまり好ましくない代替実施形態では、エンボス加工基板の形成の後にリリースコーティングを施してよく、この場合、リリースコーティングは、エンボス加工基板上に均一層を形成し、かつエンボス加工の輪郭に従う液体から選択される。しかし、さらに好ましくは、エンボス加工手段と基板の接触前にリリースコーティングをエンボス加工可能基板に施す。この好ましい実施形態では、かつエンボス加工可能基板が支持層と、該支持層上にコーティングされるエンボス加工可能層とを含む場合、エンボス加工可能層と剥離層を二段階コーティングプロセスで支持層上にコーティングすることができ、或いは、ダブルヘッドコーティング装置を用いて、エンボス加工可能層と剥離層を支持層上に一段階コーティングプロセスでコーティングすることができる。好ましくは、これらのコーティングプロセスは、複合フィルム基板の製造中、好ましくは延伸間(inter-draw)段階(すなわち、二軸延伸フィルム製造プロセスの前向き延伸と横向き延伸の間)で、「インライン」実施される。同様に、エンボス加工可能基板が共押出しされる支持層とエンボス加工可能層を含む場合、リリースコーティングは、好ましくは複合フィルム基板の製造中、好ましくは延伸間段階でインライン適用される。
【0029】
第1の実施形態では、リリースコーティングは、基板から溶媒で分離又は剥離できるものでよく、このようなリリースコーティングは、一般的に「可剥性(strippable)コーティング」と呼ばれ、本明細書の方法で好適なリリースコーティングである。
第2の実施形態では、リリースコーティングは、沈着した有機又は無機粒状材料の除去後に基板上に残る。このようなコーティングは典型的に、引く続き沈着される層に対して低い界面接着を示す。このような「表面エネルギー型」リリースコーティングは技術上周知であり、シリコーン、ワックス、石鹸及びフルオロカーボンベース材料が挙げられる。或いは、リリースコーティングは、沈着材料の除去中、溶媒の作用下でコーティングが膨潤し、沈着材料の層を破壊して沈着材料の剥離をもたらす、溶媒膨潤性材料でよい。
従って、好適なリリースコーティングとして、エンボス加工可能で、容易に可溶化し、かつその上に粒子形成材料が沈着しうる当該コーティングが挙げられる。このようなリリースコーティングの例として、ポリマー、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー、ポリスチレン、スチレンコポリマー(例えばスチレン-無水マレイン酸コポリマー及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー)、塩素化ゴム、ニトロセルロース、メチルメタクリレート、アクリルコポリマー、脂肪酸、ワックス、ガム、ゲル及びその混合物が挙げられる。さらに、5%までの非粘着添加剤、例えばシリコーン油又は脂肪酸塩を添加しうる。技術上慣用されているように、剥離層に可塑剤を添加しうる。リリースコーティングの適用は、適切な溶媒にコーティング材料を溶かし、結果として生じた液体を、商業的に適切な150〜500メートル/分の速度で片面又は両面に均一の薄いコーティングを施すために備えられた標準的な連続ロールコーティング機で塗布することによって達成される。コーティングされたキャリヤーシートを、好ましくは溶媒が除去されるまで乾燥させる。技術上周知の通常のコーティング技術に従い、通常の装置、例えばロール-ツー-ロール巻き戻し/巻き付けシステムを備えた輪転グラビアコーター(例えば、Two Position Rotogravure Coater and Drying Tunnel(Inta-Roto Inc.; Virginia; US)でコーティングを行うことができる。
【0030】
好ましい実施形態では、リリースコーティングは、EP-0906362-A(その開示は参照によって本明細書に取り込まれる)に記載のリリースコーティングが選択される。従って、一実施形態では、剥離層は、水溶性低分子量スチレンコポリマーから誘導される。低分子量とは、約700〜約10,000(重量平均)の分子量を意味する。コポリマーは、1種以上のスチレンモノマー及び1種以上のモノマーα,β-不飽和カルボン酸又は環式無水ジカルボン酸、好ましくは無水マレイン酸を含む。コポリマーは、好ましくはスチレン/無水マレイン酸ポリマー若しくはスチレン/アクリルポリマー又はそのブレンドから選択される。好ましくは、コポリマーは、スチレンとコモノマーの交互単位を含み、或いは約50モル%未満のコモノマーを含有する等モルでない量のコポリマーである。スチレンは、全体的又は部分的に他のビニル芳香族モノマー、例えば置換スチレン、例えばα-メチルスチレン、核メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、t-ブチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、及びジブロモスチレンと置き換えてよい。他のα,β-不飽和環式無水ジカルボン酸として、無水イタコン酸、アコニット酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロロマレイン酸、ブロモマレイン酸、ジクロロマレイン酸、ジブロモマレイン酸、フェニルマレイン酸等が挙げられる。ポリマーは、ターモノマー、例えば1〜3個の炭素のアルキルアクリレート又はメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸を含んでもよい。好適なスチレン/アクリルコポリマーは約3,000〜約10,000の重量平均分子量を有し、例えばBF Goodrich Companyから入手可能なCARBOSET(登録商標)、例えばGA-1931及びGA-1161である。
リリースコーティングの最終乾燥コーティング厚は、典型的に約10〜約100nm、好ましくは約20〜約50nmの範囲である。
【0031】
〔エンボス加工プロセス〕
実施形態Aでは、基板を押型下で高温高圧に供して、或いは回転エンボス加工によって反復パターンを作製する。この熱-エンボス加工プロセスは高温、すなわち周囲温度より高く、かつ典型的にエンボス加工可能材料のTgより高い温度で行われる。一実施形態では、熱-エンボス加工プロセスは、約40〜200℃、好ましくは50〜150℃、好ましくは60〜120℃の温度で行われる。エンボス加工されたレリーフパターンは、その後の加工及び貯蔵中に基板内に保持されなければならないので、適切なエンボス加工可能材料は、室温より有意に高い、好ましくは少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃、好ましくは少なくとも60℃のTgを示す当該材料に限定され、一実施形態ではTgが少なくとも80℃である。
基板を、所望レリーフ、すなわち所望セル構造の負像及び任意的なマイクロレリーフパターン、例えば回折格子又はホログラフィー像パターンを含む反復パターンを有するシムの表面と強制的に接触させる。典型的に、フィルムをエンボス加工ドラム(又はベルト)とが接触させ、さらなるローラーでエンボス加工ドラムの表面構造を樹脂内に移させる。
実施形態Bでは、エンボス加工工程の基本機能は実施形態Aで述べたのと同じである。例えば、エンボス加工と同時及び/又はエンボス加工後に、放射線にさらすことによって、硬化性材料が硬化させうる。エンボス加工ドラムが透明の場合(例えば、WO-94/18609-Aに記載されているように)、放射線硬化をドラム表面を通して行うことができる。支持層が透明の場合、硬化性層から離れた基板の側面から放射線硬化を行うことができる。高温、好ましくは約50℃以下で硬化を行うことができ、好ましくは周囲温度で行う。
【0032】
〔沈着及び剥離プロセス〕
エンボス加工面を形成後、最終的に粒子を形成する材料で基板をコーティングする。粒子が生成される沈着材料は、いずれの有機又は無機材料でもよい。典型的に、該材料は高屈折率(HRI)材料である。本明細書では、用語「無機材料」は金属及びセラミック材料を包含する。好適な金属としてアルミニウム、クロム、銅、亜鉛、銀、金、チタン、スズ、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、ロジウム、ニオビウム、及びその化合物、配合物又は合金が挙げられる。好適な合金として、スチール又はニクロム、及び他の不活性合金が挙げられる。好適な無機化合物として、金属の窒化物、炭化物、酸化物、硫化物、フッ化物及びホウ化物、例えば窒化チタン、炭化チタン、炭化バナジウム、二酸化チタン、インジウムスズオキシド(ITO)及び硫化亜鉛、及びその配合物が挙げられる。他のHRI材料及び後述する沈着法で沈着しうる材料をも使用できる。
沈着材料は、好ましくは1つの層を含むが、例えばWO-A-03/011980(Flex Products, Inc)に記載されているように(この開示、多層材料及びその製造方法は参照によって本明細書に取り込まれる)、複数の層を含んでもよい。従って、沈着材料は、反射層、例えば上述した金属材料又は合金で構成される反射層(しかし、非金属反射層をも使用可能)と、その片面又は両面上に、誘電材料で構成されうる回折層を含みうる。誘電材料は、典型的に実質的に透明であり、好ましくは約1.65以下、好ましくは約1.5以下の屈折率を有し、かつ例えば、フッ化マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、フッ化セリウム、フッ化ランタン、フッ化ネオジウム、フッ化サマリウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム及びフッ化リチウム、並びにその配合物を含みうる。さらなる実施形態では、沈着材料は、誘電層と、その片面又は両面上に反射層とを含み、かつ任意に、前記反射体層上に重なったさらなる実質的に透明の誘電層を含んでよい。この実施形態では、コア誘電層は好ましくは無機、好ましくは金属のフッ化物、酸化物、硫化物、窒化物、炭化物など及びその配合物から選択され、好適な化合物として、フッ化マグネシウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化タングステン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、窒化チタン、窒化ケイ素、硫化亜鉛などが挙げられる。
【0033】
沈着材料の厚さ(T)が、本発明によって製造される粒子又はプレートレットの厚さを自然に決める。沈着フィルムの厚さは、光沢などの所望の光学特性を有する粒子を得るために重要である。例えば、アルミニウム粒子の所望の連続的な反射性を得るため、好ましい厚さは15〜45nmである。最適な厚さは使用する材料によって変わる。厚さ(T)は、好ましくは約10nm〜約1μm、典型的に約10nm〜約750nm、典型的に約10nm〜約500nmm、典型的に150nm以下、さらに典型的に100nm以下でよく、一実施形態では10nm〜50nmの範囲、さらに好ましくは15nm〜50nmの範囲である。一実施形態では、フィルム厚が高度に均一である。
一実施形態では、厚さ(T)は、如何なる追加のマイクロレリーフパターンも存在しない領域の厚さと解釈することができ、典型的に(すなわち、追加のマイクロレリーフパターンがセル床の中心にある場合)、このような領域はセルの縁に向かって見られる。
沈着材料の厚さ(T)は、セル壁の高さ(HW)と関係があり、典型的に追加のレリーフパターンの高さ(h)とも関係がある。
セル壁が正のレリーフパターンを定義する場合の実施形態では、セル壁の高さ(HW)以下の厚さ(T)に材料が沈着される。厚さ(T)が(HW)より大きいと、隣接セルの沈着材料間の破壊を達成することが困難になるので、単粒子を製造することが困難になる。この実施形態では、比(HW:T)は、好ましくは1:1〜10:1の範囲、好ましくは1:1より高く、典型的に約5:1である。
同様に、セル壁が負のレリーフパターンを定義する場合の実施形態では、沈着材料の厚さ(T)とHWの関係は、剥離(及び任意の細分化)工程中の沈着材料の破壊を促すためにも重要である。この実施形態では、破壊を促すためHWが厚さ(T)以上である。好ましくは、比(HW:T)は、1:1〜10:1の範囲、典型的に約5:1である。
高さ(h)が厚さ(T)より大きいと、特に追加のレリーフパターンが層状基板のセル床内に正のレリーフを形成し、ひいては粒子内に負のレリーフ(すなわちへこみ)を形成する場合、粒子の機械的完全性が低減しうるので、比(T:h)は、好ましくは1:1〜10:1の範囲、好ましくは1:1より高い。図3で明らかなように、追加のマイクロレリーフパターンの領域内に沈着される材料の量は、セルの、追加のマイクロレリーフパターンがない領域内に沈着される材料の量とほぼ同じなので、高さ(h)と厚さ(T)の値は同様でよい。
材料のパターン化基板上への沈着の好適な技術は当業者に周知であり、沈着させるべき材料によって決まる。好適な技術として、スパッタリング、真空蒸着、化学蒸着(CVD)、電気メッキ、ゾルゲル技術、液体からの沈殿、溶射などが挙げられる。
無機粒子の場合、典型的に真空蒸着又はスパッタリング機に基板を通して、基板の片面又は両面上にフィルムを沈着させる。ウェブのスピード及び蒸発速度に必要なパワーによって沈着フィルムの厚さを制御する。常法、例えば誘導、抵抗、電子線及びスパッタリングを用いて無機材料の気化を行う。
【0034】
反応スパッタリングといった当該技術の常法によって、スパッタリングを達成しうる。スパッタリングは薄膜コーティングの沈着の周知技術であり、いくつかの変形がある。その基本形では、所望薄膜の化学構成中に1つ以上の要素を含有する固体標的を、スパッタリングガス(通常アルゴン等の不活性ガス)の高エネルギーイオンで衝撃する。この高エネルギーイオンは、標的面の少なくとも一部から原子を物理的に除去することができる。標的は一般的にチャンバー内に含まれ、まず空気と水蒸気を除去するため初期圧力まで排気され、引き続き不活性ガスで作業圧力まで充填される。標的から除去(放出)された原子は、他の気体原子/分子による衝突によってほとんどエネルギーを損失することなく、チャンバーの減圧内で少なくとも数センチメートルの移動距離まで自由である。放出された原子の少なくともいくらかは基板に達し、そこで、少なくともそのいくらかが付着して薄膜コーティングを形成する。所望厚さの薄膜コーティングが得られるまでこのプロセスが続く。複数の標的及び複数の電源装置を利用して沈着速度を高め、又は均一性を確実にすることができる。マグネトロンスパッタリングでは、標的の背後に生じた磁場がスパッタリングガスのイオン化レベルを高め、標的からの原子の除去速度を増し、所定コーティング厚を得るのに必要な時間を減らす。反応スパッタリングでは、スパッタリングガスに加え、又はその代わりに酸素及び/又は窒素などの反応ガスをチャンバー内に導入する。窒化物の場合、反応ガスは窒素でよく、或いは炭化物の場合はブタンでよい。反応ガスをスパッタリング材料と合わせて、酸化物、窒化物又はオキシニトリド層などの化合物薄膜を基板上に形成する。その最も一般的な実施形態では、固形元素標的をスパッタリングガス及び反応ガスと共に使用する(例えば、固形アルミニウム標的を酸素の存在下でアルゴンでスパッタリングして酸化アルミニウムを形成しうる)。炭化チタン及び他のセラミックなどの無機化合物では、反応スパッタリングが好ましい。
【0035】
次に、エンボス加工基板から沈着材料を分離又は剥離するため被覆基板を準備する。
本明細書で述べる好ましい実施形態では、リリースコーティングが可溶化する溶媒を含有する溶媒タンク中を被覆基板を通過させる。好適な溶媒として、溶媒が沈着材料と反応しないという条件で、アセトン、水、アルコール、塩素化溶媒、例えば塩化メチレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸ブチル等、及びその混合物が挙げられる。被覆基板を典型的に一連のローラー上を通過させ、かつエアナイフ又は適切なワイパーでルーズな沈着粒子を基板から除去する。エアナイフは溶媒タンク内にあってもよいが、典型的には、溶媒(溶媒は初期溶媒タンク内と同じ溶媒でよい)を含有する別個のチャンバー内にある。圧縮空気(典型的に約6.2×105Pa(90psi)の圧力で供給される)源に中空管からエアナイフを形成することができる。組み立てると移動する基板に正接してエアジェットを突出するように、側方かつその長さに沿って等間隔にノズル又は微細孔を機械で造る。エアジェットは基板の表面上に留まっているいずれの残存粒子をも除去する。エアナイフは湿った基板の乾燥機構としても作用し、ひいては巻き戻しの際に補助する。さらに、蒸気脱脂技術を使用して、巻き戻す前に基板から残存沈着材料とリリースコーティングの両方を完全に除去することが望ましい。蒸気脱脂は、いずれの残存粒状材料からもいずれの残存リリースコーティングをも浄化する。空気は、最適効率に合わせて周囲温度でよく、空気を冷却又は加熱してもよい。
剥離プロセスでは、超音波撹拌を単独で使用するか又は他の技術と併用して剥離を促進又は改善することができる。本明細書で述べる好ましい実施形態では、超音波撹拌を溶媒剥離プロセスと共に使用する。
溶媒タンク内の溶媒を飽和するまで使用しうる。次に、コーティング材料を含有する溶液から溶媒を回収することができる。該コーティング材料を適切に精製すれば、次のコーティング操作で再使用することができる。
剥離手順は、任意に、層状基板上の個別セルに対応する寸法の個々の粒子への沈着材料の破壊を促進するための細分化工程を含みうる。特に層状基板のセル壁がz-方向に負のレリーフを定義する場合の実施形態では、層状基板内のセル壁のパターンに対応する破壊線に沿った個々の粒子への沈着材料の集積の破壊を容易にするため、細分化が非常に望ましい。超音波撹拌、機械的撹拌又は他の剪断力に関係する方法等のいずれの適切な方法によっても細分化を達成して、沈着材料の集積の屈曲、ひいては破壊を援助しうる。
沈着材料の剥離及びその後の加工で溶媒移動法を使用しうる。従って、剥離工程、細分化工程及びさらなる下流の加工工程で異なる溶媒を使用しうる。
溶媒に分散したコーティング材料を剥離タンク内で硬化させ、或いは1つ以上の硬化タンクに通す(典型的にはポンプで)。或いは、遠心分離機又はハイドロサイクロンに該分散系を通して濃縮懸濁液を得ることができる。粒状材料は、個別セルの当該寸法に対応する寸法を有する粒子を含む。次に、粒状材料を濃縮して所望量、典型的に約5〜約15質量%の固体を有する組成物を生成する。次に、この濃縮顔料を所望によりペンキ、ラッカー又は印刷インクに製剤化することができる。
一実施形態では、上述したように、沈着材料の高密度化を伴う熱処理又はか焼によって、基板から沈着材料を剥離する。
【0036】
本発明のさらなる局面により、第1及び第2の面を有するポリエステル支持層(特にPET)と、前記支持層の第1の面上のコポリエステル熱-エンボス加工可能層と、溶媒可剥性リリースコーティング(好ましくは本明細書で定義したような水溶性低分子量スチレンコポリマー由来)とを含んでなる複合フィルムが提供される。ここで、前記リリースコーティングは、熱-エンボス加工可能層の、前記支持層と反対の面上に配置され、好ましくは以下の通りである:
(i)前記コポリエステルは、エチレングリコール及びテレフタル酸と1種以上のさらなるコモノマーとを含み;又は
(ii)前記コポリエステルは、脂肪族グリコール(好ましくはエチレングリコール)と少なくとも2種のジカルボン酸、特に芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸及びイソフタル酸(好ましくはテレフタル酸:イソフタル酸のモル比が50:50〜90:10の範囲、好ましくは65:35〜85:15の範囲、好ましくは約82:18)から誘導される。
本発明のさらなる局面により、上記複合フィルムの、本明細書で定義した通りの制御された寸法の粒子の製造における基板としての使用が提供される。
本発明のさらなる局面では、エンボス加工フィルムの製造方法であって、前記エンボス加工フィルムは、それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板であり、前記方法が、エンボス加工可能基板を供給する工程と前記エンボス加工可能基板を前記反復パターンでエンボス加工する工程を含み、以下:
(i)前記セル壁の高さ(HW)が10nm〜50nmの範囲であり;及び/又は
(ii)前記層状基板の前記パターン化表面のx-y面の表面積の少なくとも80%が前記セルの前記床部で構成され;及び/又は
(iii)前記方法が、さらに無機又は有機材料の層を沈着する工程(前記沈着材料がT≦HWとなるような厚さ(T)を有するように)を含む
ことを特徴とする方法が提供される。
【0037】
本発明のさらなる局面では、エンボス加工フィルムであって、前記エンボス加工フィルムは、それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板であり、以下:
(i)前記セル壁の高さ(HW)が10nm〜50nmの範囲であり;及び/又は
(ii)前記層状基板の前記パターン化表面のx-y面の表面積の少なくとも80%が前記セルの前記床部で構成され;及び/又は
(iii)前記エンボス加工フィルムがさらに、沈着した無機又は有機材料の層を含み、前記沈着材料がT≦HWとなるような厚さ(T)を有する
ことを特徴とするエンボス加工フィルムが提供される。
本発明のさらなる局面では、x個の平面y辺多角形で構成される平面幾何学を示すプレートレットである粒子であって、xは1〜20であり、yは少なくとも3であり、xが1より大きい場合、前記平面y辺多角形はその1つ以上の辺に沿って融合しており、前記プレートレット(P)のその最も幅広の点の幅(WP)は約250μm以下であり、前記プレートレットの厚さは10nm〜50nmの範囲であり、かつ任意に前記プレートレットはその表面上にマイクロレリーフパターンを有しうる(すなわち、該プレートレットが上述したような追加のマイクロレリーフパターンを有する)
ことを特徴とする粒子が提供される。
【0038】
本発明のさらなる局面では、複数の粒子(P)を含む組成物であって、前記組成物中の粒子の数(n)は少なくとも10であり、前記粒子(P)は、x個の平面y辺多角形で構成される平面幾何学を示すプレートレットであり、xは1〜20であり、yは少なくとも3であり、xが1より大きい場合、前記平面y辺多角形はその1つ以上の辺に沿って融合しており、前記プレートレットのその最も幅広の点の幅(WP)は約250μm以下であり、前記プレートレットの厚さは10nm〜50nmの範囲である、前記組成物が提供される。本明細書では、このような粒子を、制御された寸法の「非コード化粒子」と称する。
本発明のさらなる局面では、複数の粒子(P)を含む組成物であって、前記組成物中の粒子の数(n)は少なくとも10であり、前記粒子(P)は、x個の平面y辺多角形で構成される平面幾何学を示すプレートレットであり、xは1〜20であり、yは少なくとも3であり、xが1より大きい場合、前記平面y辺多角形がその1つ以上の辺に沿って融合しており、前記プレートレットのその最も幅広の点の幅(WP)が約250μm以下であり、前記プレートレットの厚さが10nm〜50nmの範囲であり、かつ前記プレートレットがその表面上に1つ以上のマイクロレリーフパターンを有する、前記組成物が提供される。本明細書では、このような粒子を、制御された寸法の「コード化粒子」と称する。
本発明のさらなる局面では、本明細書で定義されるような、制御された寸法のコード化粒子と非コード化粒子を両方含んでなる組成物が提供される。従って、この局面では複数の粒子(P)を含む組成物であって、前記組成物中の粒子の数(n)は少なくとも10であり、前記粒子(P)は、x個の平面y辺多角形で構成される平面幾何学を示すプレートレットであり、xは1〜20であり、yは少なくとも3であり、xが1より大きい場合、前記平面y辺多角形がその1つ以上の辺に沿って融合しており、前記プレートレットのその最も幅広の点の幅(WP)は約250μm以下であり、前記プレートレットの厚さは10nm〜50nmの範囲であり、比率(E1)の前記プレートレットは、その表面上に1つ以上のマイクロレリーフパターンを有する(ここで、0<E1<100%)、前記組成物が提供される。
【0039】
本発明のさらなる局面では、本明細書で定義され、かつ上述した通りに製造される、制御された寸法の非コード化粒子及び/又はコード化粒子を含み、さらに、本明細書で述べた個別セル技術以外の技術を用いて製造される通常の粒子を含んでなる組成物が提供される。従って、この局面では複数の粒子(P)を含む組成物であって、前記組成物中の粒子の数(n)は少なくとも10であり、前記粒子(P)は、x個の平面y辺多角形で構成される平面幾何学を示すプレートレットであり、xは1〜20であり、yは少なくとも3であり、xが1より大きい場合、前記平面y辺多角形がその1つ以上の辺に沿って融合しており、前記プレートレットのその最も幅広の点の幅(WP)は約250μm以下であり、前記プレートレットの厚さは10nm〜50nmの範囲であり、任意に、比率(E2)の前記プレートレットは、その表面上に1つ以上のマイクロレリーフパターンを有してよく(ここで、0<E2<100%)、かつさらに、本明細書で述べた個別セル技術以外の技術を用いて製造される通常の粒子を含んでなる組成物が提供される。本発明のこの局面では、通常の粒子は、コード化粒子若しくは非コード化粒子又はその混合物でよい。
本発明のさらなる局面では、直径(d)の実質的に円形のプレートレットである粒子であって、前記プレートレットのその最も幅広の点の直径(d)は約250μmであり、前記プレートレットの厚さは10nm〜50nmの範囲であり、任意に、前記プレートレットがその表面上にマイクロレリーフパターンを有しうる(すなわち前記プレートレットが上述したような追加のマイクロレリーフパターンを有する)、粒子が提供される。さらなる局面では、複数の粒子(P)を含む組成物であって、前記組成物中の粒子の数(n)が少なくとも10であり、前記粒子(P)が直径(d)の実質的に円形のプレートレットであり、前記プレートレットのその最も幅広の点の直径(d)が約250μm以下であり、前記プレートレットの厚さが10nm〜50nmの範囲であり、かつ任意に、比率(E2)の前記プレートレットがその表面上に1つ以上のマイクロレリーフパターンを有してよい(ここで、0<E2≦100%)、組成物が提供される。すなわち、前記組成物は本明細書で述べたような非コード化粒子及び/又はコード化粒子を含み、かつ前記組成物は、任意にさらに、本明細書で述べた個別セル技術以外の技術を用いて製造される通常の粒子を含んでよい。同様に、本発明は、卵形であるか、又は線形縁と湾曲縁の所定の組合せを有する、同様に定義される粒子、及びその組成物を提供する。
【0040】
好ましくは、nは少なくとも100、好ましくは少なくとも1000、好ましくは少なくとも104である。しかし、典型的に、本発明は、ペンキ等に組み入れるための粒子の製造に利用され、所定サンプル内に、少なくとも百万、通常は数百万又は十億でさえの前記粒子を含むだろう。その数は、究極的にエンドユーザーによって利用される組成物又は製剤中の、本発明によって得られる粒子の濃度によって決まる。
好ましくは、xは1〜10の範囲、好ましくは1〜5の範囲、好ましくは1〜4の範囲、好ましくは1〜3の範囲、好ましくは1又は2であり、好ましくはxは1である。
好ましくは、yは3〜20、好ましくは3〜10、好ましくは3〜8、好ましくは3〜6、好ましくは3、4又は6である。
上述したように、粒子の寸法は個別セルの寸法に対応する。従って、プレートレット(P)によって定義される平面y辺多角形の寸法は層状基板のパターン化表面の1セットの同様の個別セル(その最も幅広の点の幅(WC)は約250μm以下、好ましくは約100μm以下、好ましくは約5〜約100μm、好ましくは約5〜約50μmである)の当該寸法に対応する。従って、プレートレット(P)の寸法、例えばプレートレット(P)によって定義される平面y辺多角形は、プレートレット(P)のその最も幅広の点の幅(WP)が約250μm以下、好ましくは約100μm以下、好ましくは約5〜約100μm、好ましくは約5〜約50μmであるような寸法である。
本発明の粒子又はプレートレットの厚さは10nm〜50nmの範囲、好ましくは15nm〜50nmの範囲である。一実施形態では、厚さは非常に均一である。一実施形態では、粒子又はプレートレットの厚さ(T)を、如何なる追加のマイクロレリーフパターンも存在しない領域の厚さと解釈することができ、典型的に該領域は粒子又はプレートレットの縁に向かって見られる(すなわち、追加のマイクロレリーフパターンがセル床の中心にある場合)。該領域内では、プレートレットの厚さは沈着材料の厚さとほぼ一致する。追加のマイクロレリーフパターンを有するプレートレットの厚さは、その層の表面積全体で必ずしも均一でなく、典型的に追加のマイクロレリーフパターンの領域で厚く見えるが(図3参照)、プレートレットの全体にわたる単位面積当たりの沈着材料の量はほぼ同一である。
【0041】
上述した粒子(P)の組成物において、1セットの同様の個別セルから誘導されるプレートレット粒子(P)は、寸法が非常に均一であり、特にx=1の場合、好ましくは数で少なくとも50%、好ましくは数で少なくとも75%、好ましくは数で少なくとも90%、好ましくは数で少なくとも95%、好ましくは数で少なくとも99%、好ましくは実質的にすべての前記粒子(P)がWP±10%、好ましくはWP±5%、さらに好ましくはWP±1%の幅を有する。従って、本発明は、粒子の単分散組成物(組成物中のすべての粒子が本質的に同一寸法である)の供給に特に好適である。
一実施形態では、前記組成物は、上述したような2つ以上の異なるタイプの粒子、例えば、粒子P1及びP2等を含み、この実施形態では、各タイプの粒子はパラメーター(n)、(x)及び(y)に関して定義され、それぞれ同一又は異なってよく、パラメーターn1、x1、y1、n2、x2、y2等によって定義される組成物を与える。この実施形態では、粒子P1及びP2等はy1=y2等である平面幾何学を有しうるので、粒子のタイプ間の相異は各粒子タイプの数(n1、n2等)と、その融合度(すなわちx1、x2等の値)だけであり、それによって二峰性分布(2つの粒子タイプについて)又は三峰性分布(3つの粒子タイプについて)等を定義する。該粒子分布は、好ましくは1つの前記タイプの粒子(P1)がx1=1を示し、好ましくはn1の値が、粒子の総数(i個の異なるタイプの粒子がある場合、n1+n2…ni)の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%である。或いは、粒子P1及びP2等は、異なるy辺多角形に基づく平面幾何学を有しうる。
【0042】
本発明のさらなる局面により、以下の工程を含む方法で得られる、制御された寸法を有する粒子の組成物が提供される:
(i)それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板を供給する工程;
(ii)前記パターン化表面上及び前記セル内に有機又は無機材料を沈着させて、該沈着材料の厚さ(T)を与える工程(ここで、T≦HW);
(iii)前記沈着有機又は無機材料を前記基板の表面から剥離する工程;及び
(iv)前記有機又は無機材料から形成された粒子を収集する工程。
本明細書で定義される粒子の組成物は、さらに他の粒子又は成分(例えば、通常の顔料粒子)を含んでよく、粒子(P)の濃度は必要に応じて変化しうる。これらの通常の粒子は、本明細書で述べる制御された寸法のコード化粒子及び/又は非コード化粒子と同一又は異なる化学組成を有しうる。
本発明のさらなる局面により、本明細書の定義通りの粒子の組成物を含み、さらにビヒクル、担体、媒体又は希釈剤を含んでなる製剤が提供される。問題のエンドユーザー又は用途で慣用的ないずれの適切なビヒクル、担体、媒体又は希釈剤を用いても本製剤を調製することができる。粒子(P)を含んでなる製剤は、通常の粒子、例えば通常の顔料粒子を含んでよい。
【0043】
この発明の粒子(P)を含んでなる組成物及び製剤は、顔料濃縮物の形態でよい。この顔料濃縮物を用いて着色塗料、インク及びペンキを調製しうる。本明細書では、用語着色塗料、インク及びペンキは、本発明の粒子を、該製剤が不透明になるのに十分な濃度で顔料として含む製剤を包含するが、光学的に透明又は半透明であり、かつ顔料として低レベルの粒子しか含まない製剤をも包含する。本発明の着色製剤の例として、ペンキ、ラッカー、塗料、印刷インク(例えば、インクジェット印刷インク)、化粧品、ガラス(glazing)フリット及びセラミックフリットが挙げられる。
この発明によって得た組成物及び製剤を、ポリマーマスターバッチといったポリマー材料に添加して、それから着色プラスチック品を製造することもできる。
セキュリティー顔料及びセキュリティー組成物は特に興味深い。「セキュリティー顔料」又は「セキュリティー組成物」とは、商品又は役務の起源を検証又は確証するために使用でき、かつ情報を保有するために使用できる、いずれの顔料又は組成物をも意味する。粒子上に保有されるマイクロレリーフパターンによって、本発明の粒子、組成物及び製剤は、検索情報、例えばロゴ、機械読取り可能像(例えばバーコード)、α-数値配列又はいくつかの他の形態のコード又は指紋を有しうるので、セキュリティー用途で使うために好適である。実際には、本明細書で述べる粒子(P)の組成物の大きさ、形状及び粒度分布が機能して、商品又は役務の起源を検証又は確証することもできる。粒子及びその上のマイクロレリーフパターンの寸法は、該粒子によって保持されている情報が、専門設備なしではアクセスかつ再生するのが困難であることを意味する。従って、本発明は、セキュリティー用途で広範な用途、例えば偽造及び詐欺検出方法があり、例えば、銀行券、パスポート及び識別カード、証明書、エントリーカード、銀行及びクレジットカード、包装、高品質商品のラベル並びにセキュリティー情報をコード化する必要のある用途及び商品又は役務の起源が重要及び/又は価値がある用途におけるいずれの他のセキュリティー装置でも本発明を使用できる。例えば、本発明は、物品製造の時刻、日付及び場所についての情報を捕捉する能力があるので「輸送状況追跡(track & trace)」法で用途が見つかる。本発明が用途を見出しうる商品として、自動車とその部品、家庭電化製品と他の電気製品、建築材料及び建築物、スポーツ用品、織物、セラミック、化粧品及び飲料等が挙げられる。
【0044】
この発明のさらなる局面により、複数の粒子(P)を含んでなる本明細書の定義通りの組成物又は製剤を含むセキュリティー装置又は偽造防止装置が提供される。
この発明のさらなる局面により、複数の粒子(P)を含んでなる本明細書の定義通りの組成物又は製剤の、セキュリティー顔料又はセキュリティー組成物としての或いはセキュリティー顔料又はセキュリティー組成物中での使用が提供される。
本発明のさらなる局面により、セキュリティー情報の貯蔵方法であって、以下の工程:
(i)層状基板、又は層状基板を製造するための手段を供給する工程(前記層状基板は、それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有し、かつ任意に、前記反復パターンが、前記セルの前記床部内に追加のマイクロレリーフパターンを含んでよい);
(ii)前記パターン化表面上及び前記セル内に有機又は無機材料を沈着させて、該沈着材料の厚さを与える工程(ここで、T≦HW);を含んでなり、
(iii)任意に、前記基板の表面から前記沈着有機又は無機材料を剥離する工程;及び
(iv)任意に、前記有機又は無機材料から形成された粒子を収集する工程
を含んでよく、前記セキュリティー情報は、前記個別セルの寸法内及び/又は前記追加のマイクロレリーフパターン内に存在する、前記方法が提供される。
本発明のさらなる局面により、セキュリティー情報を備えた商品又は役務の製造方法であって、本明細書の定義通りの粒子(P)を含む組成物又は製剤を、前記商品又は役務に関連する物品に適用する工程(ここで、前記セキュリティー情報は、前記粒子の寸法内及び/又はその上の追加のマイクロレリーフパターン内に存在する)を含んでなる方法が提供される。
本発明のさらなる局面により、セキュリティー情報を備えた商品又は役務の製造方法であって、以下の工程:(i)本明細書の定義通りの粒子(P)を含む組成物又は製剤を、前記商品又は役務に関連する物品に適用する工程;及び(ii)前記商品又は役務に関連する物品内の前記粒子の存否を確認する方法;を含んでなる方法が提供される。当然、この方法の工程(i)では「前記商品又は役務に関連する物品」は起源が確かな物品であるが、工程(ii)にでは「前記商品又は役務に関連する物品」は起源が不確かであり、検証又は確証する必要がある物品である。
従って、本発明は、偽造又は詐欺に対して商品又は役務を保護する方法を提供する。
下記試験方法を利用してポリマーフィルムを特徴づけうる。
(i)Hazegard System XL-211を用い、ASTM D 1003-61に準拠して広角濁りを測定する。
(ii)x-y寸法の分析用の光学顕微鏡;及び厚さ(z)寸法用のAFM(原子間力顕微鏡)で粒子サイズを測定する。
本発明を以下の実施例でさらに説明する。実施例は、説明目的のためだけのものであり、上述した通りの本発明を制限するものでないことが分かるだろう。本発明の範囲を逸脱することなく、細部の変更を行うことができる。
【実施例1】
【0045】
ポリエチレンテレフタレートを含むポリマー組成物を、テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール(82/18/100)を含むコポリエステルと共押出し、冷却回転ドラム上に流し込み、約90℃の温度でその元の寸法の約3倍まで押出し方向に伸ばした。次に、フィルムを延伸間コーターに通し、部分的にエステル化したスチレン無水マレイン酸を含むリリースコーティングを水溶液として7%の固形分濃度でフィルムの片面にリバースロールダイレクトコーターで適用した。コーター速度は7〜11m/分であり、ライン速度は10〜15m/分だった。フィルムを100℃の温度の幅出しオーブンの中を通して、フィルムをその元の寸法の約3倍まで横方向に伸ばした。この二軸延伸フィルムを通常の手段で約230℃の温度で熱-硬化させた。この共押出しフィルムの全厚は50μm;コポリエステル層は約10μmの厚さ、リリースコーティングは約60〜80nmの厚さだった。
次に、基板を104〜106℃の範囲の温度に加熱し、正六角形、正三角形又は正四角形の個別セルを含み、個別セルの最大平面寸法が対抗壁間で25μmである反復パターンを有するエンボス加工ローラー(シム)に通した。シム上のセル壁の負像の深さ(電子線エッチングで調製)は250nm、325nm又は450nmだった。各セルの床部は支持層の表面と共平面だった。
エンボス加工リールからA4サンプルを取り、Edwards実験室スケールのベルジャー(bell jar)メタライザーで金属化し、アルミニウムフィルム層を20〜50nmの範囲の厚さに適用した。次に、金属化フィルムを溶媒-剥離プロセスに通した。剥離プロセスで用いた溶媒はアセトンだった。サンプルを手で振り混ぜるか又は超音波撹拌し、約30秒でフィルムから金属フレークを剥離した。約1質量%のアルミニウム粒子濃度を有するアルミニウム粒子の懸濁液を収集した。粒子の光学的拡大は、少なくとも30%の粒子がシム上のセルパターンの規則的な幾何学、すなわち、単独の六角形、三角形又は四角形(x=1)を示すことを実証した。粒子の約30%は、融合した六角形、三角形又は四角形(融合度はx=2又は4)から成る粒子だった。
【0046】
次に本発明の態様を示す。
1. 制御された寸法を有する粒子の製造方法であって、以下の工程:
(i)それぞれ床部と高さ(Hw)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板を供給する工程;
(ii)前記パターン化表面上及び前記セル内に有機又は無機材料を沈着させて、該沈着材料の厚さ(T)を与える工程(ここで、T≦Hw);
(iii)前記沈着有機又は無機材料を前記基板の表面から剥離する工程;及び
(iv)前記有機又は無機材料で形成された粒子を収集する工程
を含んでなる方法。
2. 前記有機又は無機材料の沈着前に、前記層状基板の前記パターン化表面上にリリースコーティングを配置する、上記1に記載の方法。
3. 前記リリースコーティングが水溶性低分子量スチレンコポリマーである、上記2に記載の方法。
4. 前記リリースコーティングが、1種以上のスチレンモノマーと、1種以上のα,β-不飽和カルボン酸又は環式無水ジカルボン酸とを含んでなるコポリマーである、上記3に記載の方法。
5. 前記リリースコーティングが、スチレン/無水マレイン酸ポリマー若しくはスチレン/アクリルポリマー又はそのブレンドから選択されるコポリマーである、上記4に記載の方法。
6. 前記粒子を製造する前記材料が金属であり、かつアルミニウム、クロム、銅、スチール、銀及び金から選択され、或いは前記粒子を製造する前記材料が金属の窒化物、炭化物、酸化物、硫化物及びホウ化物から選択される、上記1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【0047】
7. エンボス加工フィルムの製造方法であって、前記エンボス加工フィルムが、それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板であり、前記方法が、エンボス加工可能基板を供給する工程と前記エンボス加工可能基板を前記反復パターンでエンボス加工する工程を含み、以下:
(i)前記セル壁の高さ(HW)が10nm〜50nmの範囲であり;及び/又は
(ii)前記層状基板の前記パターン化表面のx-y面の表面積の少なくとも80%が、前記セルの前記床部で構成され;及び/又は
(iii)前記方法が、さらに無機又は有機材料の層を沈着する工程(前記沈着材料がT≦HWとなるような厚さ(T)を有するように)を含む
ことを特徴とする方法。
8. 前記層状基板の前記パターン化表面が、層状支持層を供給し、その表面上にエンボス加工可能層を適用し、かつ前記エンボス加工可能層を前記反復パターンでエンボス加工することによって製造される、上記1〜7のいずれか1項に記載の方法。
9. 前記支持層がポリエステル層である、上記8に記載の方法。
10. 前記支持層がポリエチレンテレフタレート層である、上記8に記載の方法。
11. 前記エンボス加工可能層が熱-エンボス加工可能層であり、かつ前記層状基板の前記パターン化表面が熱-エンボス加工によって製造される、上記8、9又は10に記載の方法。
12. 前記エンボス加工可能層がコポリエステル層である、上記8〜11のいずれか1項に記載の方法。
13. 前記コポリエステルが脂肪族グリコールと少なくとも2種の芳香族ジカルボン酸から誘導される、上記12に記載の方法。
14. 前記コポリエステルがエチレングリコール、テレフタル酸及びイソフタル酸から誘導され、前記テレフタル酸成分:イソフタル酸成分のモル比が65:35〜85:15の範囲である、上記12に記載の方法。
15. 前記エンボス加工可能層が放射線硬化性エンボス加工可能層であり、前記方法が、前記反復パターンを前記エンボス加工可能層内にエンボス加工した後、前記エンボス加工可能層を硬化させる工程をさらに含む、上記8、9又は10に記載の方法。
【0048】
16. エンボス加工フィルムであって、該エンボス加工フィルムは、それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板であり、以下:
(i)前記セル壁の高さ(HW)が10nm〜50nmの範囲であり;及び/又は
(ii)前記層状基板の前記パターン化表面のx-y面の表面積の少なくとも80%が、前記セルの前記床部で構成され;及び/又は
(iii)前記エンボス加工フィルムがさらに、沈着した無機又は有機材料の層を含み、前記沈着材料がT≦HWとなるような厚さ(T)を有する
ことを特徴とするエンボス加工フィルム。
17. 前記層状基板が、層状支持層と、その表面上に、中に前記反復パターンがあるエンボス加工層とを含む、上記16に記載のエンボス加工フィルム。
18. 前記支持層が上記9又は10で定義した通りであり、かつ前記エンボス加工層が、上記11〜15のいずれか1項で定義した通りのエンボス加工可能層から誘導される、上記16に記載のエンボス加工フィルム。
19. 前記パターン化表面上に配置されたリリースコーティングをさらに含み、かつ任意に、前記リリースコーティング上に配置された沈着無機又は有機材料の層をさらに含んでよく、このとき前記沈着材料がT≦HWとなるような厚さ(T)を有する、上記16〜18のいずれか1項に記載のエンボス加工フィルム。
20. 前記リリースコーティングが、上記2〜5のいずれか1項で定義した通りである、上記19に記載のエンボス加工フィルム。
21. 前記反復パターンが、前記セルの前記床部内に追加のマイクロレリーフパターンを含む、上記1〜15のいずれか1項に記載の方法又は上記16〜20のいずれか1項に記載のフィルム。
22. 前記追加のマイクロレリーフパターンが光学的な可変作用構造を含む、上記21に記載の方法又はフィルム。
23. 前記追加のマイクロレリーフパターンが回折パターン又はホログラフィー像である、上記21又は22に記載の方法又はフィルム。
【0049】
24. 各個別セル内の前記追加のマイクロレリーフパターンが、前記反復パターンにわたってすべての個別セルについて同一である、上記21、22又は23に記載の方法又はフィルム。
25. 前記追加のマイクロレリーフパターンが、前記個別セルの前記反復パターンの供給と同時に供給される、上記21〜24のいずれか1項に記載の方法又はフィルム。
26. 反復パターン内の個別セルの床部が、その最も幅広の点で約5〜約100μmである、上記1〜25のいずれか1項に記載の方法又はフィルム。
27. セル壁の高さ(HW)が約100nm〜約1μmの範囲である、上記1〜26のいずれか1項に記載の方法又はフィルム。
28. セル壁の高さ(HW)が10nm〜50nmの範囲である、上記1〜26のいずれか1項に記載の方法又はフィルム。
29. 前記層状基板の前記パターン化表面のx-y面の表面積の少なくとも95%が、前記セルの前記床部で構成される、上記1〜28のいずれか1項に記載の方法又はフィルム。
30. 第1及び第2の表面を有するポリエステル支持層と、前記支持層の第1の表面上のコポリエステルエンボス加工可能層と、前記エンボス加工可能層の、前記支持層と反対の表面上に配置された溶媒-可剥性リリースコーティングとを含んでなる複合フィルム。
31. 前記コポリエステルが、脂肪族グリコールと少なくとも2種の芳香族ジカルボン酸から誘導され、好ましくは前記芳香族酸のモル比が65:35〜85:15の範囲である、上記30に記載の複合フィルム。
32. 前記脂肪族グリコールがエチレングリコールである、上記31に記載の複合フィルム。
【0050】
33. 前記少なくとも2種の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸とイソフタル酸である、上記31又は32に記載の複合フィルム。
34. 前記リリースコーティングが水溶性低分子量スチレンコポリマーから誘導される、上記31〜33のいずれか1項に記載の複合フィルム。
35. 複数の粒子(P)を含む組成物であって、前記組成物中の粒子の数(n)は少なくとも10であり、前記粒子(P)は、円形であるか又はx個の平面y辺多角形(ここで、xは1〜20であり、yは少なくとも3であり、xが1より大きい場合、前記平面y辺多角形はその1つ以上の辺に沿って融合している)で構成される平面幾何学を示すプレートレットであり、前記プレートレット(P)のその最も幅広の点の幅(WP)は約250μm以下であり、前記プレートレット(P)の厚さは10nm〜50nmの範囲である、前記組成物。
36. 前記プレートレットが、その表面上に1つ以上のマイクロレリーフパターンを有する、上記35に記載の組成物。
37. 比率(E1)の前記プレートレットが、その表面上に1つ以上のマイクロレリーフパターンを有し、このとき0<E1<100%である、上記35に記載の組成物。
38. nが少なくとも106である、上記35〜37のいずれか1項に記載の組成物。
39. 円形であるか又はx個の平面y辺多角形(ここで、xは1〜20であり、yは少なくとも3であり、xが1より大きい場合、前記平面y辺多角形はその1つ以上の辺に沿って融合している)で構成される平面幾何学を示すプレートレットである粒子であって、前記プレートレット(P)のその最も幅広の点の幅(WP)が約250μm以下であり、前記プレートレットの厚さが10nm〜50nmの範囲であり、任意に、前記プレートレットがその表面上にマイクロレリーフパターンを有してよい、前記粒子。
40. xが1〜10の範囲、好ましくは1〜5の範囲、好ましくは1〜4の範囲、好ましくは1〜3の範囲、好ましくは1又は2であり、好ましくはxが1である、上記35〜38のいずれか1項に記載の組成物又は上記39に記載の粒子。
【0051】
41. yが3〜20、好ましくは3〜10、好ましくは3〜8、好ましくは3〜6、好ましくは3、4又は6である、上記35、36、37、38若しくは40に記載の組成物又は上記39若しくは40に記載の粒子。
42. 以下の工程:
(i)それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板を供給する工程;
(ii)前記パターン化表面上及び前記セル内に有機又は無機材料を沈着させて、該沈着材料の厚さ(T)を与える工程(ここで、T≦HW);及び
(iii)前記沈着有機又は無機材料を前記基板の表面から剥離する工程;及び
(iv)前記有機又は無機材料から形成された粒子を収集する工程
を含んでなる方法で得られる、制御された寸法を有する粒子の組成物。
43. 上記35〜38又は40〜42のいずれか1項に記載の組成物を含み、さらにビヒクル、担体、媒体又は希釈剤を含んでなる製剤。
44. 顔料若しくは顔料濃縮物、又はポリマーマスターバッチである、上記35〜38又は40〜43のいずれか1項に記載の組成物又は製剤。
45. ペンキ、ラッカー、塗料、印刷インク、ガラスフリット、セラミックフリット、又はそれ用の濃縮物である、上記35〜38又は40〜44のいずれか1項に記載の組成物又は製剤。
46. セキュリティー顔料又はセキュリティー組成物である、上記35〜38又は40〜45のいずれか1項に記載の組成物又は製剤。
47. セキュリティー顔料又はセキュリティー組成物として或いはセキュリティー顔料又はセキュリティー組成物における上記35〜38又は40〜45のいずれか1項に記載の組成物又は製剤の使用。
【0052】
48. セキュリティー情報の貯蔵方法であって、以下の工程:
(i)層状基板、又は層状基板の製造手段を供給する工程(前記層状基板は、それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有し、かつ任意に、前記反復パターンが、前記セルの前記床部内に追加のマイクロレリーフパターンを含んでよい);
(ii)前記パターン化表面上及び前記セル内に有機又は無機材料を沈着させて、該沈着材料の厚さを与える工程(ここで、T≦HW)を含んでなり、
(iii)任意に、前記基板の表面から前記沈着有機又は無機材料を剥離する工程;及び
(iv)任意に、前記有機又は無機材料から形成された粒子を収集する工程を含んでよく、
前記セキュリティー情報は、前記個別セルの寸法内及び/又は前記追加のマイクロレリーフパターン内に存在する、前記方法。
49. セキュリティー情報を備えた商品又は役務の製造方法であって、上記35〜38又は40〜46のいずれか1項に記載の組成物又は製剤を、前記商品又は役務と関連する物品に適用する工程を含んでなり、前記セキュリティー情報は、前記粒子の寸法内及び/又はその上のマイクロレリーフパターン内に存在する、前記方法。
50. 商品又は役務の起源を検証又は確証する方法であって、以下の工程:(i)上記35〜38又は40〜46のいずれか1項に記載の組成物又は製剤を、前記商品又は役務と関連する物品に適用する工程、及び(ii)前記商品又は役務と関連する物品内の前記粒子の存否を確認する工程を含んでなる方法。
51. 上記35〜38又は40〜46のいずれか1項に記載の組成物又は製剤を含む、セキュリティー装置又は偽造防止装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形であるか又はx個の平面y辺多角形(ここで、xは1〜20であり、yは少なくとも3であり、xが1より大きい場合、前記平面y辺多角形はその1つ以上の辺に沿って融合している)で構成される平面幾何学を示すプレートレットである粒子であって、前記プレートレット(P)のその最も幅広の点の幅(WP)が250μm以下であり、前記プレートレットの厚さが10nm〜50nmの範囲であり、任意に、前記プレートレットがその表面上にマイクロレリーフパターンを有してよい、前記粒子(P)。
【請求項2】
xが1〜10の範囲である、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
yが3〜20である請求項1若しくは2に記載の粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の複数の粒子(P)を含む組成物であって、前記組成物中の粒子の数(n)は少なくとも10である、前記組成物。
【請求項5】
前記プレートレットが、その表面上に1つ以上のマイクロレリーフパターンを有する、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
比率(E1)の前記プレートレットが、その表面上に1つ以上のマイクロレリーフパターンを有し、このとき0<E1<100%である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
nが少なくとも106である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
以下の工程:
(i)それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板を供給する工程;
(ii)前記パターン化表面上及び前記セル内に有機又は無機材料を沈着させて、個別セルの寸法により制御され、かつ該寸法に対応する形状と均一な寸法及び該沈着材料の厚さ(T)を有する個々の粒子与える工程(ここで、T≦HW);及び
(iii)前記沈着有機又は無機材料を前記基板の表面から剥離し、それにより、制御された形状と均一な寸法を有する個々の粒子を剥離する工程;及び
(iv)前記有機又は無機材料から形成された粒子を収集する工程
を含んでなる方法で得られる、請求項1〜3にいずれか1項記載の粒子又は請求項4〜7のいずれか1項記載の粒子の組成物。
【請求項9】
請求項4〜7のいずれか1項に記載の組成物を含み、さらにビヒクル、担体、媒体又は希釈剤を含んでなる製剤。
【請求項10】
顔料若しくは顔料濃縮物、又はポリマーマスターバッチである、請求項4〜7又は9のいずれか1項に記載の組成物又は製剤。
【請求項11】
ペンキ、ラッカー、塗料、印刷インク、ガラスフリット、セラミックフリット、又はそれ用の濃縮物である、請求項4〜7、9又は10のいずれか1項に記載の組成物又は製剤。
【請求項12】
セキュリティー顔料又はセキュリティー組成物である、請求項4〜7又は9〜11のいずれか1項に記載の組成物又は製剤。
【請求項13】
セキュリティー顔料又はセキュリティー組成物として或いはセキュリティー顔料又はセキュリティー組成物における請求項4〜7又は9〜11のいずれか1項に記載の組成物又は製剤の使用。
【請求項14】
セキュリティー情報の貯蔵方法であって、以下の工程:
(i)層状基板、又は層状基板の製造手段を供給する工程(前記層状基板は、それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有し、かつ任意に、前記反復パターンが、前記セルの前記床部内に追加のマイクロレリーフパターンを含んでよい);
(ii)前記パターン化表面上及び前記セル内に有機又は無機材料を沈着させて、個別セルの寸法により制御され、かつ該寸法に対応する形状と均一な寸法及び該沈着材料の厚さを有する個々の粒子与える工程(ここで、T≦HW)を含んでなり、
(iii)任意に、前記基板の表面から前記沈着有機又は無機材料を剥離し、それにより、制御された形状と均一な寸法を有する個々の粒子を剥離する工程;及び
(iv)任意に、前記有機又は無機材料から形成された粒子を収集する工程を含んでよく、
前記セキュリティー情報は、前記個別セルの寸法内及び/又は前記追加のマイクロレリーフパターン内に存在する、前記方法。
【請求項15】
セキュリティー情報を備えた商品又は役務の製造方法であって、請求項4〜7又は9〜12のいずれか1項に記載の組成物又は製剤を、前記商品又は役務と関連する物品に適用する工程を含んでなり、前記セキュリティー情報は、前記粒子の寸法内及び/又はその上のマイクロレリーフパターン内に存在する、前記方法。
【請求項16】
商品又は役務の起源を検証又は確証する方法であって、以下の工程:(i)請求項4〜7又は9〜12のいずれか1項に記載の組成物又は製剤を、前記商品又は役務と関連する物品に適用する工程、及び(ii)前記商品又は役務と関連する物品内の前記粒子の存否を確認する工程を含んでなる方法。
【請求項17】
エンボス加工フィルムの製造方法であって、前記エンボス加工フィルムが、それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板であり、前記方法が、エンボス加工可能基板を供給する工程と前記エンボス加工可能基板を前記反復パターンでエンボス加工する工程を含み、以下:
(i)前記セル壁の高さ(HW)が10nm〜50nmの範囲であり;及び/又は
(ii)前記層状基板の前記パターン化表面のx-y面の表面積の少なくとも80%が、前記セルの前記床部で構成され;及び/又は
(iii)前記方法が、さらに無機又は有機材料の層を沈着する工程(前記沈着材料がT≦HWとなるような厚さ(T)を有するように)を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
エンボス加工フィルムであって、該エンボス加工フィルムは、それぞれ床部と高さ(HW)を有する壁とから成る1つ以上の個別セルを含むマイクロレリーフ反復パターンを含んでなるパターン化表面を有する層状基板であり、以下:
(i)前記セル壁の高さ(HW)が10nm〜50nmの範囲であり;及び/又は
(ii)前記層状基板の前記パターン化表面のx-y面の表面積の少なくとも80%が、前記セルの前記床部で構成され;及び/又は
(iii)前記エンボス加工フィルムがさらに、沈着した無機又は有機材料の層を含み、前記沈着材料がT≦HWとなるような厚さ(T)を有する
ことを特徴とするエンボス加工フィルム。
【請求項19】
前記層状基板が、層状支持層と、その表面上に、中に前記反復パターンがあるエンボス加工層とを含む、請求項18に記載のエンボス加工フィルム。
【請求項20】
前記パターン化表面上に配置されたリリースコーティングをさらに含み、かつ任意に、前記リリースコーティング上に配置された沈着無機又は有機材料の層をさらに含んでよく、このとき前記沈着材料がT≦HWとなるような厚さ(T)を有する、請求項18又は19に記載のエンボス加工フィルム。
【請求項21】
第1及び第2の表面を有するポリエステル支持層と、前記支持層の第1の表面上のコポリエステルエンボス加工可能層と、前記エンボス加工可能層の、前記支持層と反対の表面上に配置された溶媒-可剥性リリースコーティングとを含んでなる複合フィルム。
【請求項22】
前記コポリエステルが、脂肪族グリコールと少なくとも2種の芳香族ジカルボン酸から誘導され、好ましくは前記芳香族酸のモル比が65:35〜85:15の範囲である、請求項21に記載の複合フィルム。
【請求項23】
前記脂肪族グリコールがエチレングリコールである、請求項22に記載の複合フィルム。
【請求項24】
前記少なくとも2種の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸とイソフタル酸である、請求項22又は23に記載の複合フィルム。
【請求項25】
前記リリースコーティングが水溶性低分子量スチレンコポリマーから誘導される、請求項21〜24のいずれか1項に記載の複合フィルム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−33254(P2013−33254A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168796(P2012−168796)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【分割の表示】特願2008−558903(P2008−558903)の分割
【原出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(508279409)デュポン テイジン フィルムス ユーエス リミテッド パートナーシップ (2)
【出願人】(508279410)
【Fターム(参考)】