説明

制御される編み目伸縮能力を有する編み手袋

可変編み目寸法をもたらすように、横編み機で別々の編みコースを使用して手袋の区画の各々を作り出すことによって製造される編み手袋(200)。これらの区画の各々は、手袋はタイトにぴったり合うがそれでも柔軟性および動きの容易さをもたらすように、それ自体の設計される伸縮特性をもたらす。この可変編み目寸法は、1)編まれている生地内への編み針の侵入深さをコンピュータプログラムによって変更すること、2)ピンチローラと編みヘッド間の編み糸張力を、コンピュータによって制御される機構によって調整すること、3)コース内で編み目を止め、または追加の編み目を増すことによって達成される。この手袋は、別々に編まれた少なくとも10の区画から作られる複数の指構成部品(210、212、214、216、218)、各々が少なくとも2つの別々に編まれた区画から作られる2つの掌構成部品(208、206、204)、および少なくとも1つの編まれた区画から作られる手首構成部品(202)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、2004年7月16日出願の米国特許出願第10/892,763号の一部係属出願であり、その開示は本明細書に参考としてその全体を援用する。
本発明は、編み手袋に関する。より詳しくは、本発明は編み手袋、編み手袋裏地、およびそれらを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
編み手袋は一般にハンドリングまたは軽組立て条件で使用される。これらの目的のために使用される編み手袋は現在は、手袋を構成する8つの基本的な構成部品を使用して、手袋を編むための針列の形態の多数の針および単一の編み糸を使用する横編み機を使用して製造される。これらの8つの構成部品は、5本の指の各々用の1つの構成部品、上側区域および下側区域を含む掌用の2つの構成部品、および手首領域用の1つの構成部品を含む。これらの区域の全ては、手の全体的な身体構造上の形状を形作るように互いに結合する円筒状または円錐状の区域である。従来の編み工程は、これらの領域の各々を一般に一時に1つの指を、小指から始まって薬指および中指を通過し人差し指に続く、特定の順序で編む編み機を使用する。針列の選択される針のみを使用して各指が編まれた後、この指のための編み工程が中止され、編み糸が切断され結ばれる。編まれた指はホルダーによって保持され、錘によって下向きに重量が掛けられる。次の指が順次、1つずつ針列の針の異なるセットを使用して編まれる。このようにして4つの指全てが編まれたとき、編み機は次いで、前に編まれた4つの指の各々から編み目を選別しながら掌の上側区域を編む。個々の指を編みかつぴったり合ったクロッチを有する上側掌区域を編むために編み目を選別するこの方法は、Maeda他による米国特許出願公開第2004/0055070号明細書で論じられている。上側掌を適当な長さ編んだ後、針列の別のセットの針を使用して親指部分が開始され、掌の下側区域が針列の全ての針を使用して編まれる。最後に、編み機は手首構成部品を所望の長さまで編む。
【0003】
指先に使用される編み目は、より大きな圧力が加えられ易いこの領域の手袋の強度を改善するために、一般に手袋の他の部分に使用される編み目より目が詰んでいる。使用される針のサイズおよび手袋を編む編み糸のデニールに応じて、手袋の8つの構成部品の各々を作り出すために一定の数のコースが使用される。使用される針の規格が細かいほど、同じサイズの完成される手袋を作り出すための各構成部品に対するコースの数は多くなる。針または編み糸のデニールを変更することは、連続工程では極めて困難であり、一般に事前に選択されたデニールの連続する編み糸および対応する針サイズが商業的に使用される。針サイズおよびコースの数のこの標準化によって標準的な形状を有する手袋または裏地を製造することができるけれども、その形状は個々の指および手のサイズおよび形状の変化に対応しない。
【0004】
Andrews他による米国特許第6,155,084号明細書は、複合生地製の保護物品を開示する。これらの保護物品は、かってないレベルの安全性および快適性をもたらし、各々が異なる機械的特性および特徴を有する熱可塑性樹脂、エラストマー、または金属を含む2つ以上の異なる編み糸から作られる。したがってこの保護物品は、例外的な保護が重要でない物品の区域には重い生地を使用せず、これに伴う触覚感度の喪失を回避する。この保護物品は、異なる繊維を選択される保護生地位置に使用し、単一の編み糸を使用して手の身体構造上の形状に適合することを目的としていない。
【0005】
Nishitaniによる米国特許第6,550,285号明細書は、編み糸供給装置を開示する。この装置は、編み糸の張力のばらつきを最小限にし、編み糸に対する要求量が突然変更された場合でさえ、正確な長さの編み糸が供給される。編み糸は主ローラと駆動ローラの間に、緩衝ロッドを有する編み糸貯蔵部を有して置かれ、緩衝ロッドの傾きが貯蔵量を制御する。角度センサがこの角度傾きを検出し、要求される編み糸の量を予測するためにPIDアルゴリズムを使用する。このPIDアルゴリズムが、この緩衝ロッドの先端部分が編みを開始するときその元の位置に来るように、駆動ローラを駆動するサーボモータを制御する。この装置は、突然の要求に起因する編み糸張力のばらつきを最小限にし、編み目寸法を調整するために編み糸張力を変更するようにプログラムされていない。
【0006】
Shimaによる米国特許第5,284,032号明細書は、横編み機用の編み目制御機構を開示する。編み目制御機構は横編み機に対し適用可能であり、編み生地のループサイズを制御する。螺旋カム板が編み目制御カムの1つの表面に取り付けられている。この螺旋カム板は1対のカムローラの間に保持され、この1対のカムローラは案内板上に支持される。この編み目カムは、基台板に形成される案内細穴内に摺動可能に嵌合される部分を有する。編み目寸法またはループサイズはこの編み目制御カムによって制御され、コンピュータプログラムよって変更することができる。この特許は、編み目寸法制御に必要なハードウエアを開示し、改善される合い具合をもたらす身体構造上の特徴を有する編み手袋または裏地を開示していない。
【0007】
現行の工程で作り出される標準的な形状の手袋または裏地は、それらに関していくつかの不都合をもたらす。第1に、指関節および掌の中央を横切る合い具合がタイトであり、手袋または裏地の柔軟性を低下させ最終的に手の機敏性を低下させる。第2に、標準的な手袋または裏地は、例えば、下側掌および手首領域のように、手に通常テーパのついている領域でたるみ、または隙間が開く。このたるみまたは隙間は、結果としてひだになる、または突起する物体上に引っかかる可能性のある余分な生地になる。さらに、この標準的な手袋または裏地形状によって作り出される下側掌のところの余分な生地は、ラテックスに浸漬されるこれらの裏地に不規則な泡立ち線を生じさせる。最後に、この標準的な手袋または裏地の下側掌のところの余分な生地は、手袋または裏地に情報を印刷するのに高いスクラップ比率を生じさせる。
【0008】
これらの問題点を解決する一試みでは、編み手袋または裏地により良い合い具合を実現させるために、標準サイズより大きく作りそれらを縮ませる場合がある。これらのより大きな手袋は、それらを加熱してタンブリングすることによって、あるいは洗濯工程を使用してサイズを縮小させる。しかしながら、より大きな手袋に使用されるようなこれらの工程は、指関節を横切るところで改善される合い具合を有する手袋を作り出す可能性はあるが、収縮は手袋全体にわたり均一であるので、下側掌および手首などの、手に通常テーパがついている領域での余分な生地に対処していない。さらに、タンブリングまたは洗濯工程は追加の製造ステップならびに追加の労力を必要とし、それら両方とも仕上げ製品のコストを増加させるであろう。一定の熱および時間を使用する標準的なタンブリング工程は、製造工程において様々な手袋および裏地を編むために選択される繊維の熱感受性が異なるため、所望の手袋および裏地を作り出すことも失敗するであろう。さらに、これらの種類の編んだ後の工程は、特定の手袋または裏地の製造を最適化するための適切な時間および熱の組合せを求めるために、追加の開発および製造時間を必要とするであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、握りを改善するために人間の手の輪郭により良く合うように製造でき、編んだ後の工程を必要としないであろう手袋は、この分野での重要な改善であろう。本発明はそのような手袋を提供することを追求している。このおよび他の目的および利点、ならびに追加の発明性のある特徴は、本明細書に提供される詳細な説明によってもたらされるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、編み手袋および裏地、ならびに連続する1本の編み糸およびこの編み糸のデニールに適合する編み針の列を使用してこれらの編み手袋および裏地を作る方法を対象とする。本発明は、編み手袋または裏地の人間の手への合い具合に関する。特に、標準の8つの主要手袋構成部品の各々、および手袋のそれらの区画を編むために使用される編み目寸法およびコースの数は、人間の手に身体構造上適合し、動作中曲がる領域に増大する伸縮能力をもたらす手袋形状を提供するように変更される。この増大する伸縮能力は、着用者にさらに快適な手袋感触および容易な動作能力をもたらす、タイトな合い具合の手袋を提供する。これらの形状変更は、手袋または裏地が人間の手により良くぴったり合うように適合させるのを助ける。この変更は、手袋または裏地がそれらのテーパのついた指先、拡大された指関節、テーパのついた掌領域および拡大された袖口幅の故にほとんど完全に手に合う手袋または裏地の製造を可能にする。
【0011】
各コースで編まれるこの編み目寸法は、その編まれるコースの位置のところで得られる伸縮レベルを決める。コースの数は、手袋の特定の位置での生地の全体伸縮量を決める。この編み目寸法は、横編み機のコンピュータ制御の下で個々にまたは組み合わせて変更可能な3つの別個の構成部品を有する。編み目寸法のこの第1の実施形態は、編まれている生地内への編み針の侵入深さを増加させまたは減少させる、編み目設定を備える。編み針の侵入深さを増加させることは、編まれているループに編み糸のより長い長さを取り入れ、この編み目はより小さな侵入深さで編まれた編み目より大きく拡がることができる。全コースがより深い侵入深さで編まれている場合は、このコースはより容易に伸長することができる。引き続くコースが同じ侵入深さで編まれる場合は、編まれた生地は均一な伸長感触を有する。しかしながら、編み針の侵入深さが次第に減少する場合は、編まれた生地は次第に減少する伸縮感覚を有する。したがって編み針の侵入深さは、「デザイン・イン(design in)」の伸長能力を有する手袋の編み生地区画をもたらす。
【0012】
編み目寸法の第2の実施形態では、編まれている編み糸の張力がコンピュータ制御の下で増加または減少させられる。糸巻きからの編み糸は、その1つが任意選択でコンピュータ制御される供給ローラであり得る1対のピンチローラの間にクランプされる。挟み動作に起因して、編みヘッド内の編み糸の張力は編み糸糸巻きに伝達されない。コンピュータがピンチローラと編みヘッド間のセグメントの編み糸張力を、コンピュータ制御張力調整機構によって制御する。この調整機構は編み糸が通過するアームを担持する螺旋ばねを備えることができる。螺旋ばねはアームに取り付けられ、螺旋ばねのもう1つの端部はステッピングモータに取り付けられる。コンピュータがステッピングモータ軸を回転させ、それによってピンチローラと編みヘッド間のセグメント内の編み糸張力を増加させ、または減少させる。編み目の張力はその伸長能力を制限する。全部が増加した張力で編まれたコースは、そのコースの伸長能力を低減させる。したがって、増加した張力を有する多数のコースで編まれた生地は、低減した伸長能力を示す。
【0013】
編み目寸法の第3の実施形態では、あるコースを編むのに一編み目抜かすことができる。これは、そのコース全体の伸長能力を減少させる。一方では、増大する伸長能力をもたらすようにあるコースの全体長さを増加させるために、その編み目から追加の編み目を選択することができる。
【0014】
この手袋は、8つの構成部品を有し、その4つは4本の指を画成し、その2つは掌を画成し、1つは親指を画成し1つは手首を画成する。これらの構成部品の各々は、1つまたは複数の区画に分割される。一実施形態では、手袋の1つまたは複数の指構成部品が2つ以上の区画に分割される。上側および下側掌構成部品は2つ以上の区画に分割され、手首構成部品は1つまたは複数の区画から作られ、各区画は異なる編み目設定を使用して編まれ、この編み目設定の各々は手袋の所望の幾何学的形状に従っていくつかのコースの間続けられる。別の実施形態では、手袋の各指構成部品は3つの区画に分割され、手袋の上側および下側掌は3つの区画に分割され、各区画は異なる編み目設定を使用して編まれ、この編み目設定の各々は手袋の所望の幾何学的形状に従っていくつかのコースの間続けられる。別の実施形態では、手袋の上側および下側掌は4つの区画に分割され、各区画は異なる編み目設定を使用して編まれ、この編み目設定の各々はいくつかのコースの間続けられる。
【0015】
異なる編み目寸法で編まれたコースは、所与の手袋位置のところでより多くのまたはより少ない編み糸を本質的にもたらし、それによって高められるまたは低減した伸長能力をもたらす。より少ない編み目を有するように要求され、したがって、タイトな感触を有する区画は、より少ない長さおよび/または高張力の編み糸を組み入れた、または隣接するコースより1つまたは複数の少ない編み目を有する編み目によって作られる。逆に、ある区画が増大する伸長能力を必要とするとき、編み目は増加した編み糸長さで、かつ/または低減した張力で作られ、または隣接するコースと比較してコース内に増加する1つまたは複数の編み糸を有することができる。
【0016】
本発明は、より良好に合う手袋を作り出すために、8つの主要な手袋構成部品の各々内の区画の各々に可変の編み目寸法およびコースの数を使用して、手袋および裏地を製造する方法も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に示すように、従来技術は、8つの主要な手袋構成部品を有する手袋100である。これらの構成部品は、小指構成部品102、薬指構成部品104、中指構成部品106、人差し指構成部品108、上側掌構成部品110、下側掌構成部品112、親指構成部品114、および手首構成部品116を含む。図1を見れば分かるように、手袋100の指の形状はテーパがついておらず、手首構成部品116もたるむこと、および隙間が開くことを防止するためのテーパがついていない。さらに、手袋100の指は、指先近くでテーパがついていない。
【0018】
既存の横編み機は、編み目設定を使用して編み目寸法の多数の変更に適合するように、かつ図1の手袋100の標準的な8つの構成部品に使用される物理的な寸法を変更するようにプログラムすることができる。編み目設定は、サイズ6、7、8、9、および10で製造するように手袋および裏地を「カスタマイズ」するために使用することができる。それらは、指長さおよび幅、掌長さおよび幅、および手袋全体または裏地の長さおよび幅に対する仕様を生み出すためにも使用することができる。
【0019】
図2は、本発明の手袋200を示す。この手袋200は、手袋の指構成部品210、212、214および216ならびに親指218の各々に対し3つの区画、3つの掌区画204、206および208、ならびに1つの手首区画202を含む手袋の19の合計区画を含む。指210、212、214、216および218の各々は、指の形状に適合するように設計されるこれら3つの明確な領域を作り出すように、編み機に対する3つの別々の指示に従って編まれる。これら3つの区画は図2に、小指210に対して区画250、252および254、薬指212に対して区画244、246および248、中指214に対して区画238、240および242、人差し指216に対して区画232、234および235、親指218に対して区画220、222および224として示されている。
【0020】
この発明の手袋200は、編み機で編むことができ、この19の区画の各々に対しその機械のプログラミングを必要とする。例えば、この手袋200は、表1に提供される仕様に従って作ることができる。構成部品の各々が表示され、図2に一致する区画が示されている。コースは各構成部品に対して1で開始し区画を通して続くことに注目されたい。この編み目設定は、ここではどれくらい深く編み針を侵入させるかを示す番号を示す。より低い番号はより少ない針侵入度を表示し、より大きな番号は針がより深く侵入することを表示する。例えば、小指である構成部品1では、第1のコースはコース1で編み針侵入深さ37を有し、次第に直線でコース39のところで編み針侵入深さ39に増加する。これは、コース1はコース22より伸縮するのによりタイトで、手袋に対してタイトな指縁部を有する手袋によって小指がおおわれていることを意味する。構成部品1の第2の区画は、編み針の侵入深さを維持して、同じ編み目設定39で継ぎ目なく続く。
【0021】
【表1】

【0022】
表1のこの仕様は、サイズ9号の手袋を作り出すために、日本国和歌山に本拠を置く株式会社島精機製作所から入手可能なSFG編み機に使用することができる。編み目設定およびコースの数のための情報は、編み機オペレーションシステムにキーパッドおよびLED表示器を使用して入力することができる。異なるサイズの手袋を作り出すために、表1の仕様に調整を加えることができる。この手袋は、綿、ナイロン繊維、ポリビニルアルコールなどの水溶性繊維、またはポリエステルあるいはアラミド、ポリエチレン、および液晶高分子化合物などの高強度合成繊維などの、編み機に使用することができる他の繊維を含む異なる成分の編み糸から編むことができる。この手袋を編むのに使用される編み糸は、紡績糸(spun yarn)、長繊維加工糸(textured filament yarn)または多成分複合材料糸(multi−component composite yarn)とすることができる。
【0023】
図3aは30のところに、より小さな編み目設定番号で編まれた編み目を示す。編み針35はより少ない範囲に侵入し、編み目に編み糸36のより小さなループを含み、限定された伸縮能力しかもたらさない。
【0024】
図3bは38のところに、より大きな編み目設定番号で編まれた編み目を示す。編み針35はより大きな範囲に侵入し、編み目に編み糸36のより大きなループを含み、高められた伸縮能力をもたらす。
【0025】
図4は40のところに、ピンチローラ43および編み糸供給ローラ44を介して供給される円錐形糸巻き42からの編み糸41を示す。この編み糸41は、コンピュータ制御ステッピングモータ48に連結される螺旋ばね47に取り付けられるアーム46を備える張力制御装置を介して編みヘッド45に供給される。このステッピングモータ軸49の回転は、螺旋ばね47によって供給される張力を増加させ、ピンチローラ43と編みヘッド45間のセグメント内の編み糸の張力を高める。コンピュータ制御下で発生する張力のこの変動は、より高いレベルの張力を編み目内に組み込み、その伸縮能力を制限する。編み目の寸法は、やはりコンピュータによって制御される供給ローラ44によって独立に制御される。
【0026】
手袋200の編まれた可変編み目寸法によって、標準手袋100に存在するであろうよりも多くの数の指および掌区画内の編み目寸法の修正が可能になる。この増加する区画の数は、手の形状に適合する度合いを改善し、より良好な合い具合を作り出すことによって手袋に利益を与える。立ち代って、このより良好な合い具合は、手袋を着用している間の機敏性および掴み易さの増加、ならびに長時間の快適さの増加をもたらす。本発明では編み目寸法は、指が動くときより大きな手袋柔軟性を必要とするであろう指関節などの領域で増加させることができる。
【0027】
編まれた編み目寸法は、例えば、特定の手のサイズに合うように手袋または裏地を収縮させるための熱または水の使用を必要とするであろう追加の製造ステップをなくすのに使用することができる。これは製造工程での金銭および時間の両方を節約し、かつ独自の時間、温度、または圧力を必要としない。それは、熱またはタンブリングなどの制御困難なステップに依存する製品より、より一定である製品も製造する。
【0028】
この発明の手袋と比較したときの標準的な形状の手袋の手袋柔軟性、およびその結果の手の機敏性を比較するために小規模な調査が行われてきた。調査で被験者は標準手袋を着用しながら、かつこの発明の編まれた変動する編み目手袋を着用しながら、5つの異なるサイズのナットおよびスクリューの8組のセットを組み立てた。調査での各被験者は、この発明の手袋を着用しているときナットおよびスクリューのセットを組み立てるのに要した時間の減少を示した。この調査では、時間の減少は13.9%から20.3%の範囲であった。この調査は、この発明の手袋が標準手袋より優れた機敏性および掴み易さを増加させたように、編み手袋の合い具合を改善したことを示す。
【0029】
この発明の編み手袋は、仕上げられた後、天然ゴムラテックスまたは合成ゴムラテックス、ならびに他のエラストマー高分子化合物被覆剤などの被覆剤で外側または内側のいずれも被覆することができる。この被覆は、この発明の編み手袋を被覆材料内に浸漬することによって、または手袋上に被覆剤を吹き付けることによって塗布することができる。この発明の編み手袋を被覆することは、この被覆が手袋の外側にあるとき乾燥したまたは油状の品物のハンドリングにおいて手袋の掴み易さを改善することができる。編まれた層への被覆の追加は、絶縁体としての手袋の品質も改善する。
【0030】
本発明のいくつかの例示的な実施形態のみ上記で詳細に説明してきたが、当該分野の技術者は、この発明の新規な教示および利点から著しく逸脱することなく例示的な実施形態に多くの改変が可能であることを容易に理解するであろう。例えば、手袋の区画の数は、本発明の趣旨から逸脱することなく手袋の合い具合を調整するために増加させまたは減少させることができる。したがって、全てのそのような改変は、以下の特許請求の範囲で定義されるようにこの発明の範囲内に含まれるものとする。
【0031】
本発明を説明する文脈での(特に以下の特許請求の範囲の文脈での)術語「1つ(“a,” “an”)」「この(the)」および同様な指示対象(referent)の使用は、本明細書で別に指示されていない限り、または明瞭に文脈によって矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈すべきである。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書で別に指示されていない限り、単にその範囲に含まれる各別々の値を個々に参照するための簡単明瞭な言い方として役立つことを意図しており、各別々の値は、それが本明細書で個々に列挙されたかのように本明細書に組み込まれている。本明細書で説明された全ての方法は、別に指示されていない限りまたは明瞭に文脈によって矛盾しない限り、任意の適切な順番で実施することができる。本明細書で提供される任意のかつ全ての例、または例示的な言語(例えば、「などの(such as)」)は単に、本発明をよりはっきりさせるためのものであり、別に請求項に記載されていない限り本発明の範囲に限定をもたらすものではない。本明細書でのどんな言語も、請求項に記載されないどんな要素も本発明の実施に不可欠であると示すものとして解釈すべきではない。
【0032】
この発明の好ましい実施形態が、本発明を実施するための、発明者に知られた最良の形態を含め本明細書に説明されている。説明した実施形態は例示のみであり、本発明の範囲を限定するものとしてとるべきではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】標準的な8つの構成部品を作り出すために標準の数のコースおよび針を使用して編まれた手袋の図である。
【図2】本発明の手袋の図である。
【図3a】針の侵入度が編み目内に含まれる編み糸の長さを決める、編み目設定を使用して編み目寸法を変更する第1の実施形態を示す図である。
【図3b】針の侵入度が編み目内に含まれる編み糸の長さを決める、編み目設備値を使用して編み目寸法を変更する第1の実施形態を示す図である。
【図4】コンピュータが編み糸供給ローラおよびピンチローラと編みヘッド間の編み糸の張力を制御する、編み目寸法の第2の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)各々が少なくとも2つの別々の編み区画を有する複数の指構成部品と、
ii)各々が少なくとも2つの別々の編み区画を有する2つの掌構成部品と、
iii)少なくとも1つの編み区画を有する手首構成部品と
を含む、8つの手袋構成部品を備える編み手袋であって、
個々の指および手のサイズおよび形状の変化に対応する全体的な形状を有する手袋をもたらすように、可変の編み目寸法およびコースの数を生み出す異なる編み目設定を各編み区画が備える編み手袋。
【請求項2】
前記複数の指構成部品の各々が2つの別々の編み区画からなる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項3】
前記複数の指構成部品の各々が3つの別々の編み区画からなる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項4】
前記複数の指構成部品の各々が4つの別々の編み区画からなる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項5】
前記複数の指構成部品の各々が5つの指構成部品からなる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項6】
前記複数の指構成部品が4つの指構成部品および1つの親指構成部品である、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項7】
前記掌構成部品が3つの別々の編み区画からなる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項8】
前記掌構成部品が4つの別々の編み区画からなる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項9】
前記掌構成部品が5つの別々の編み区画からなる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項10】
前記手首構成部品が2つの編み区画からなる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項11】
前記手首構成部品が3つの別々の編み区画からなる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項12】
前記手袋が天然繊維から編まれる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項13】
前記天然繊維が綿である、請求項12に記載の編み手袋。
【請求項14】
前記手袋が合成繊維から編まれる、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項15】
前記合成繊維が、ナイロン、ポリビニルアルコール、アラミド、ポリエチレン、および液晶高分子化合物からなる群から選択される、請求項14に記載の編み手袋。
【請求項16】
前記編み手袋が、エラストマー高分子化合物材料によって被覆される、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項17】
前記エラストマー高分子化合物材料が、天然ゴムラテックスおよび合成ゴムラテックスからなる群から選択される、請求項16に記載の編み手袋。
【請求項18】
前記可変編み目寸法が、編まれている生地内への編み針の侵入度を設定する編み目設定によって制御される、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項19】
前記編まれている生地内への前記編み針の前記侵入度がコンピュータによって制御される、請求項18に記載の編み手袋。
【請求項20】
前記可変編み目寸法が、コンピュータによって制御される機構によって編みヘッドとピンチローラ間の編み糸張力を調整するコンピュータによって制御される、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項21】
前記機構が、コンピュータによって制御されるステッピングモータに連結される螺旋ばねである、請求項20に記載の編み手袋。
【請求項22】
コンピュータによって制御される機構によって編みヘッドとピンチローラ間の編み糸張力を調整し供給ローラを駆動するコンピュータによって、前記可変編み目寸法が制御される、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項23】
前記機構が、コンピュータによって制御されるステッピングモータに取り付けられる螺旋ばねである、請求項22に記載の編み手袋。
【請求項24】
前記可変編み目寸法が、手袋区画の所望の形状に応じて1つまたは複数の編み目を止めるまたは追加の編み目を増すことによって実現される、請求項1に記載の編み手袋。
【請求項25】
a.各々が少なくとも2つの別々の編み区画を有する複数の指構成部品と、
b.各々が少なくとも2つの別々の編み区画を有する2つの掌構成部品と、
c.少なくとも1つの編み区画を有する手首構成部品と
を含む、8つの手袋構成部品を備える手袋を編むために編み機をプログラミングするステップを含む、編み手袋を製造する方法であって、
個々の指および手のサイズおよび形状の変化に対応する全体的な形状を有する手袋をもたらすように、可変の編み目寸法およびコースの数を生み出す異なる編み目設定を各編み区画が備える、編み手袋を製造する方法。
【請求項26】
前記手袋をエラストマー高分子化合物材料で被覆するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記エラストマー高分子化合物材料が、天然ゴムラテックスおよび合成ゴムラテックスからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記手袋が天然繊維から編まれる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記天然繊維が綿繊維である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記手袋が合成繊維から編まれる、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記合成繊維が、ナイロン、ポリビニルアルコール、アラミド、ポリエチレン、および液晶高分子化合物からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記可変編み目寸法が、編まれている生地内への編み針の侵入度を設定する編み目設定によって制御される、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記編まれている生地内への前記編み針の前記侵入度がコンピュータによって制御される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記可変編み目寸法が、コンピュータによって制御される機構によって編みヘッドとピンチローラ間の編み糸張力を調整するコンピュータよって制御される、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記機構が、コンピュータによって制御されるステッピングモータに連結される螺旋ばねである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
コンピュータによって制御される機構によって編みヘッドとピンチローラの間の編み糸張力をコンピュータ調整し供給ローラを駆動するコンピュータよって、前記可変編み目寸法が制御される、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
前記機構が、コンピュータによって制御されるステッピングモータに取り付けられる螺旋ばねである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記可変編み目寸法が、手袋区画の所望の形状に応じて1つまたは複数の編み目を止めるまたは追加の編み目を増すことによって実現される、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−506863(P2008−506863A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521607(P2007−521607)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/024845
【国際公開番号】WO2006/019815
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(598165943)アンセル・ヘルスケア・プロダクツ・エルエルシー (15)
【氏名又は名称原語表記】Ansell Healthcare Products LLC
【Fターム(参考)】