説明

制御システム、制御装置、通信装置および電池セット

【課題】車両における非正規品のバッテリーの使用を効果的に抑制し、かつ装備が複雑化せず、不正な手法に対して脆弱でない車両用の制御システム、制御装置、通信装置および電池セットを提供する。
【解決手段】電池セット6は、電池60のICチップ62にID63が記憶され、包装袋61にQRコード(あるいはバーコード)64が印刷されている。車両2で、装着した電池60のID63を読み取って無線でセンタ3へ送信し、販売店などでQRコード(バーコード)64を読み取ってセンタ3へ送信する。センタ3では両コードが正規コードの組であるか否かを認証して、認証結果を車両2へ送信する。車両2は、認証成功ならば装着された電池60の使用を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御装置、通信装置および電池セットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車業界においては、自動車のセキュリティ性を高め、各種の不正な使用などを抑制する技術の開発が求められている。例えば下記特許文献1では、自動車車両におけるセキュリティレベルを高め、キー操作に応じて動作を開始する駆動媒体に不正なアクセスが行われたときに、その始動を確実に防止するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−126872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
世界的な環境保護意識の高まりのなかで、電気自動車の普及が予想されている。電気自動車においては、車両に装着したバッテリーに蓄えられた電力が低減したたびに充電された電池に交換する形態がある。バッテリーを交換する形態においては、将来電気自動車の普及度が高くなると、ディーラーでバッテリーを交換するのみにとどまらず、一般の電池販売店など、他の様々な場所でバッテリーを交換することが考えられる。
【0005】
そして電気自動車が普及した場合には、正規のバッテリー以外に、非正規品のバッテリーが市場に出回ることが考えられる。非正規品のバッテリーを使用した場合、想定しない不具合が発生する可能性がある。したがって、電気自動車において、非正規品のバッテリーの使用を確実に禁止するシステムの開発が望まれる。当然この課題は、電気自動車に限らずバッテリーを用いるあらゆる車両を対象とした課題である。
【0006】
なお非正規品のバッテリーの使用を抑制するためには、バッテリーにIDタグ(ICチップ)を装着して、正規のIDである場合にのみバッテリーの使用を許可する形態が考えられる。しかしこの形態は、車両に認証処理をさせる場合、装備が複雑になる可能性がある。またIDタグからIDを不正に読み取ったり、廃棄したバッテリーからIDタグを剥ぎ取って非正規品のバッテリーに付加したりして、非正規品のバッテリーを正規品に見せかける手法に対して脆弱であるとも考えられる。したがって、装備が複雑化せず、不正な手法に対して強いシステムが望まれる。
【0007】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、車両における非正規品のバッテリーの使用を効果的に抑制し、かつ装備が複雑化せず、不正な手法に対して脆弱でない車両用の制御システム、制御装置、通信装置および電池セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明に係る制御システムは、車両に電力を供給するために車両に交換可能に装着される電池と、その電池に固定されて、所定の読取手段によって読取可能なように、その電池の認証コードを記憶する記憶素子と、前記認証コードと1対1に関連付けられた付属コードを有し前記電池に保持されない付属コード部と、を備えた電池セットに対して用いられる制御システムであって、前記電池が車両に交換可能に装着された状態で前記記憶素子から認証コードを読み取る読取手段と、その読取手段で読み取られた認証コードを無線通信により送信するコード送信手段と、無線通信により前記電池に対する使用許可指令を受信する指令受信手段と、その指令受信手段が使用許可指令を受信した場合に前記電池から車両への電力供給を許可する許可手段と、を備えた制御装置と、前記認証コードとその認証コードと1対1で関連付けられた前記付属コードとの組を記憶する記憶手段と、前記コード送信手段によって送信された前記認証コードと、前記コード送信手段とは異なる送信手段によって送信された前記付属コードと、を受信するコード受信手段と、そのコード受信手段が受信した認証コードと付属コードとの組が、前記記憶手段に記憶された認証コードと付属コードとの組である場合に認証が成功したと判定する判定手段と、その判定手段が認証が成功したと判定した場合に、無線通信によって前記電池の使用を許可する使用許可指令を送信する指令送信手段と、を備えた通信装置と、を有することを特徴とする。
【0009】
これにより本発明に係る制御システムでは、認証コードと付属コードとを有する電池に対して、認証コードは車両の電池装着部で読み取って、付属コードは所定の読み取り手段で読み取って、両コードを無線で送信し、両コードの組が正規の組であるかどうかを認証して、認証結果を車両に送信して、認証成功の場合にのみ電池の使用を許可する。したがって2つのコードを用いた認証処理によって確実に正規の電池にのみ使用許可を与える制御システムが実現できる。特に、電池の認証のために認証コードのみでなく付属コードが必要であるので、例えば廃棄電池などから認証コードを読み取るような不正な手法では非正規品の電池を使用することができない。よって不正行為に対して強い電池認証システムが構築できる。さらに認証処理を通信装置の側で一括して行い、車両側では認証を実行しないので、車両側の装備を簡易にできる。
【0010】
また本発明に係る制御装置は、車両に電力を供給するために車両に交換可能に装着される電池と、その電池に固定されて、所定の読取手段によって読取可能なように、その電池の認証コードを記憶する記憶素子と、を備えた電池セットに対して用いられる制御装置であって、前記電池が車両に交換可能に装着された状態で、前記記憶素子から認証コードを読み取る読取手段と、その読取手段で読み取られた認証コードを無線通信により送信するコード送信手段と、前記コード送信手段で送信された前記認証コードと、前記コード送信手段とは異なる送信手段によって送信された前記付属コードと、の組に対する認証処理を実行した通信装置から送信された前記電池に対する使用許可指令を、無線通信により受信する指令受信手段と、その指令受信手段が使用許可指令を受信した場合に前記電池から車両への電力供給を許可する許可手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
これにより本発明に係る制御装置は、認証コードと付属コードとを有する電池に対して、認証コードは車両の電池装着部で読み取って、付属コードは所定の読み取り手段で読み取って、両コードを無線で送信し、両コードの組が正規の組であるかどうかを認証して、認証結果を車両に送信して、認証成功の場合にのみ電池の使用を許可するシステムに用いることができる。したがって2つのコードを用いた認証処理によって確実に正規の電池にのみ使用許可を与える制御システムが実現できる。特に、電池の認証のために認証コードのみでなく付属コードが必要であるので、例えば廃棄電池などから認証コードを読み取るような不正な手法では非正規品の電池を使用することができない。よって不正行為に対して強い電池認証システムが構築できる。さらに認証処理を通信装置の側で一括して行い、車両側では認証を実行しないので、車両側の装備を簡易にできる。
【0012】
また本発明に係る通信装置は、車両に電力を供給するために車両に交換可能に装着される電池と、その電池に固定されて、所定の読取手段によって読取可能なように、その電池の認証コードを記憶する記憶素子と、前記認証コードと1対1に関連付けられた付属コードを有し前記電池に保持されない付属コード部と、を備えた電池セットに対して用いられる通信装置であって、前記認証コードと、その認証コードと1対1で関連付けられた前記付属コードとの組を記憶する記憶手段と、車両に装備された読取手段によって前記記憶素子から読み取られて無線通信で送信された前記認証コードと、所定の送信手段によって送信された前記付属コードと、を受信するコード受信手段と、そのコード受信手段が受信した認証コードと付属コードとの組が、前記記憶手段に記憶された認証コードと付属コードとの組である場合に認証が成功したと判定する判定手段と、その判定手段が認証が成功したと判定した場合に、前記電池の使用を許可する使用許可指令を送信する指令送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
これにより本発明に係る通信装置は、認証コードと付属コードとを有する電池に対して、認証コードは車両の電池装着部で読み取って、付属コードは所定の読み取り手段で読み取って、両コードを無線で送信し、両コードの組が正規の組であるかどうかを認証して、認証結果を車両に送信して、認証成功の場合にのみ電池の使用を許可するシステムに用いることができる。したがって2つのコードを用いた認証処理によって確実に正規の電池にのみ使用許可を与える制御システムが実現できる。特に、電池の認証のために認証コードのみでなく付属コードが必要であるので、例えば廃棄電池などから認証コードを読み取るような不正な手法では非正規品の電池を使用することができない。よって不正行為に対して強い電池認証システムが構築できる。さらに認証処理を通信装置の側で一括して行い、車両側では認証を実行しないので、車両側の装備を簡易にできる。
【0014】
また本発明に係る電池セットは、車両に電力を供給するために車両に交換可能に装着される電池と、その電池に固定されて、所定の読取手段によって読取可能なように、その電池の認証コードを記憶する記憶素子と、前記認証コードと1対1に関連付けられた付属コードを有し、前記電池に保持されない付属コード部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、認証コードを記憶する記憶素子を電池に固定し、認証コードと1対1に関連付けられた付属コードを電池には保持しない形態の電池セットであるので、2つのコードを用いて、例えば認証コードは車両の電池装着部で読み取って、付属コードは所定の読み取り手段で読み取って、両コードを無線で送信し、両コードの組が正規の組であるかどうかを認証して、認証結果を車両に送信して、認証成功の場合にのみ電池の使用を許可するシステムを構築できる。したがって2つのコードを用いた認証処理によって確実に正規の電池にのみ使用許可を与える制御システムの実現に寄与する電池セットが実現できる。
【0016】
また前記付属コード部は、前記認証コードを読み取る読取手段とは異なる読み取り手段によって読み取りが可能なように付属コードが形成された、前記電池が車両に装着された状態では電池から離間される物品であるとしてもよい。
【0017】
この発明によれば、付属コードは、電池が車両に装着された状態では電池から離間される物品に形成されるので、例えば廃棄された電池から認証コードを取得できても付属コードは取得できない。したがって、廃棄された電池からコードを取得するなどの方法では非正規品の電池を使用することができないシステムの構築に寄与できる。
【0018】
また前記物品は、前記電池を包装する包装物、あるいは前記電池に付属するシートを含むとしてもよい。
【0019】
この発明によれば、付属コードは、電池を包装する包装物、あるいは電池に付属するシートに形成されるので、電池が車両に装着された状態では付属コードは電池から離間されて、例えば廃棄された電池から認証コードを取得できても付属コードは取得できない。したがって、廃棄された電池からコードを取得するなどの方法では非正規品の電池を使用することができないシステムの構築に寄与できる。
【0020】
また前記付属コードは、前記物品に印刷された1次元コードあるいは2次元コードであるとしてもよい。
【0021】
この発明によれば、付属コードは1次元コードあるいは2次元コードとするので、今日において広く普及した、例えばバーコードやQRコード(登録商標)等の技術を利用して、不正行為に対して強い電池認証システムが構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例における車両用の制御システムの構成図。
【図2】電池交換処理を示すフローチャート。
【図3】電池セットの他の例を示す図。
【図4】車両用の制御システムの別の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。まず図1は、本発明に係る車両用の制御システムの実施例における装置構成の概略図である。
【0024】
制御システム1は、車両2、センタ3、通信網4、電池販売店5に渡って構成される。車両2は例えば電気自動車であり、複数の電池装着部20、個々の電池装着部20に装備されるIDコードリーダ21(IDリーダ)、電池監視ECU22、無線通信部23、モータ24、報知部25を備える。
【0025】
電池装着部20は、車両2において電池60が交換可能(着脱可能)に装着される部位である。電池装着部20は、プラスマイナス両極の電極端子を備えて、それらを電池60の電極と接続することにより車両2に電池60の電力が供給されるようにする。電池装着部20は、電流などを調べることによって電池が装着されたことを検知する機能を備える。
【0026】
IDリーダ21は、電池装着部20に装着された電池60に固定されたICチップ62からID63を読み取る。読み取る手法は、公知のRFID(無線認証)の手法を用いればよい。すなわちIDリーダ21は電磁波を送信する送信部60を備えて、送信部から電磁波を送信する。その電磁波の到達範囲内にICチップ62があると、電磁波の磁界の影響でICチップ内に起電力が発生する。この起電力によりICチップ内に電流が流れて、ICチップが備えるアンテナからID63が送信される。IDリーダは電磁波を受信する受信部を備えて、受信部でICチップから発信されたID63を受信する。
【0027】
電池監視ECU22(以下、ECU)は、通常のコンピュータと同様の構造を備えて、電池装着部20に装着された個々の電池60の状況(残存電力量など)をモニタする。ECU22は、個々の電池60と、車両各部(モータ24を含む)へ電力を供給する電力線と、を繋ぐリレー22aを備えて、リレー22aのオンオフ(接続、遮断)を切り替えて、電池装着部20に装着された個々の電池60から車両2へ電力を供給するか否かを制御する。リレー22aは個々の電池装着部20ごとに装備して、個々の電池60ごとに電力を供給するか否かを制御できるようにすればよい。
【0028】
無線通信部23は、無線通信の機能を備え、本発明においては、IDリーダ21によって読み取られたID63を無線でセンタ3へ送信する(詳細は後述)。モータ24は、電池60から電力を供給されて、車両2の駆動(走行)のための動力を発生させる。
【0029】
報知部25は、車両2の例えば車室内に装備されて、ユーザに本発明に関係する各種情報を報知する。報知部25は、文字や画像を表示する表示部(例えば液晶表示部)でもよく、音声を出力する音声出力部(例えばスピーカ)でもよい。
【0030】
センタ3は、CPU30、RAM31、ROM32、データベース33、通信部34を備える。CPU30は各種演算や指令発信などの情報処理を司り、RAM31はCPU30の作業領域としての揮発性の記憶部である。ROM32は、本発明に関係するソフトウェアなどを記憶する不揮発性の記憶部である。データベース33は、電池60の正規のID63とQRコード(バーコード)64の組33a、33bなどを(33a、33bだけでなく多数)記憶する。通信部34は、通信網4を通じてセンタ3と他の装置との間の通信を実行する。
【0031】
通信網4は、本発明においては、車両2の無線通信部23、センタ3の通信部34、電池販売店5の通信装置51の間での通信を可能にする。通信網4は既存の通信網(電話回線網、携帯電話網、データ通信網、インターネット等)を用いればよい。通信網4は、携帯電話網の基地局40、あるいは路車間通信のために路側に設置された路側(広域)通信機41を備える。なお路側(広域)通信機41は本発明以外のために設置された既存のものを、本発明のために利用する形態でもよい。
【0032】
車両2の無線通信部23は、通常の携帯電話と同様の機能を有する無線通信部としてもよく、路車間通信用の(広域)無線通信部としてもよい。携帯電話と同様の機能を有する無線通信部の場合、無線通信部23は、基地局40を含む既存の携帯電話網を通じてセンタ3と通信する。路車間通信用の(広域)無線通信部の場合、無線通信部23は、路側通信機41を通じてセンタ3と通信する。
【0033】
電池販売店5には、QRコード(あるいはバーコード)リーダ50、通信装置51が備えられている。電池販売店5では、電池セット6が販売される。電池セット6は、電池60(バッテリー)が包装袋61の中に包装された形態を有する。電池60の表面には、ICチップ62が固定され、ICチップ62内の不揮発性の記憶部には電池60のIDコード63(ID)が記憶されている。
【0034】
包装袋61には、QRコード(あるいはバーコード)64が印刷されている。QRコード(あるいはバーコード)リーダ50は、包装袋61に印刷されたQRコード(あるいはバーコード)64を読み取る。通信装置51は、QRコード(あるいはバーコード)リーダ50で読み取られたQRコード(あるいはバーコード)64を通信網4を通じてセンタ3に送信する。
【0035】
制御システム1は、以上の構成のもとで、車両2に装着された電池60が正規の電池か否かを判定し、正規の電池の場合にのみ、電池60から車両2への電力供給を許可する制御を実行する。その処理手順が図2に示されている。図2の処理は予めプログラム化されて例えばECU22、センタ3のROM32に記憶されて、ECU22、CPU30が自動的に実行すればよい。なお以下の説明でQRコードの部分はバーコードに変更してもよい。
【0036】
図2には左からセンタ側、車両(ECU22)側、販売店側の処理が示されている。図2の処理では、まずS200において、電池販売店5で例えば作業員が、車両2内の残量(電力の残存量)が不足した電池60を電池装着部20から取り外し、電池装着部20に新しい電池60を装着する。車両2では、S100でECU22は、電池装着部20に新たな電池が装着されたことを検出する。
【0037】
続いてS110でECU22は、QRコードの読み取り待ち状態であることを報知部25によって報知する。なおS110(およびS180、S190)の報知処理は省略してもよい。そしてS120で、S100で装着が検知された電池60のID63をIDリーダ21で読み取る。
【0038】
続いてS130でECU22は、S120で読み取ったID63を無線通信部23によってセンタ3へ送信する。センタ3はS10で、S130で送信されたID63を受信する。
【0039】
電池販売店5ではS210で、S110での報知を受けて、例えば作業員が電池60の包装袋61に印刷されたQRコード64をQRコードリーダ50で読み取る。続いてS220で、通信装置51がS210で読み取られたQRコード64を通信網4を介してセンタ3へ送信する。
【0040】
センタ3はS20で、S220で送信されたQRコードを受信する。そしてセンタ3のCPU30はS30で、S10で受信したID63と、S20で受信したQRコード64との認証処理を実行する。具体的には、S10で受信したID63と、S20で受信したQRコード64との組と同じ組をデータベース33内で検索する。
【0041】
同じ組がデータベース33内で検索されたら、S10で受信したID63と、S20で受信したQRコード64とは、正規のID63とQRコード64の組である(認証成功)と判定する。同じ組がデータベース33内で検索されなかったら、S10で受信したID63と、S20で受信したQRコード64とは、正規のID63とQRコード64の組だと認証されなかった(認証失敗)と判定する。
【0042】
そしてS40でCPU30は、S30で得た認証成功か認証失敗かの認証結果を、ID63とともに、通信網4を介して送信する。S140で車両2の無線通信部23は、S40で送信されたIDおよび認証結果を受信する。
【0043】
S150でECU22は、受信したIDがS130で送信したIDであるか否かを判定し、送信したIDである場合は、さらに受信した認証結果が認証成功であるか認証失敗であるかで場合分けする。認証成功であった場合(S150:YES)はS160に進み、認証失敗であった場合(S150:NO)はS170に進む。
【0044】
S160に進んだらECU22は、S140で受信したID63を有する電池60の使用を許可する。すなわち、受信したID63を有する電池に対応するリレー22aをオン(接続状態)として、受信したID63を有する電池60に蓄えられた電力をモータ24などの車両2の装備へ供給する。そしてS180でECU22は、電池交換が適切に終了したことを報知部25によって報知する。
【0045】
S170に進んだらECU22は、S140で受信したID63を有する電池60の使用を禁止する。すなわち受信したID63を有する電池に対応するリレー22aをオフ(遮断状態)として、受信したID63を有する電池60に蓄えられた電力をモータ24などの車両2の装備へ供給しない。そしてS190でECU22は、新たに装着された電池は正規の電池ではないので使用できないことを報知部25によって報知する。以上が図2の処理手順である。
【0046】
本実施例では、図2の処理が、複数の車両2、複数の販売店5、およびそれらの数より少ない(例えば1つの)センタ3に対して実行される。すなわち複数の車両2(複数の電池60)のための認証処理が一括してセンタ3で実行される。したがって車両側で認証を実行しないので、車両側の装備は簡易でよい。
【0047】
上述のとおりS180、S190の報知処理は省略してもよい。あるいはS180、S190の報知処理は、図2に示された時点とは別の時点、例えばエンジン(モータ)の再始動後の時点で実行してもよい。
【0048】
またS40、S140、S150では認証結果の送信、受信、判定を実行したが、これらを以下のように変更してもよい。すなわちS30での認証が成功の場合、S40、S140ではID63および電池60の使用許可指令を送信、受信する。またS30での認証が失敗の場合、S40、S140ではID63および電池60の使用禁止指令を送信、受信する。そしてS150では、受信した指令が使用許可指令であるか使用禁止指令であるかを判定する。使用許可指令の場合はS160に進み、使用禁止指令の場合はS170に進む。
【0049】
またS10とS20との前後関係は必ずしも図2のようにS10が先でなくともよく、QRコードの送信が先でもよい。例えば電池販売時に作業員がQRコードを送信し、後でユーザが自分で車両に電池を装着してもよい。センタ3では受信したIDやQRコードを、それらの認証処理が終わるまで一時記憶すればよい(記憶場所は例えばデータベースを記憶するハードディスクなどに記憶すればよい)。
【0050】
上記実施例は、特許請求の範囲に記載された趣旨を逸脱しない範囲内で変更してよい。なお以下の変更例では、上記実施例と同じ部分(同一符号部分など)に関しては重複する説明を省略し、上記実施例と異なる部分のみを説明する。
【0051】
例えば電池セットは、図1で示された電池セット6に限らず多様な形態をとることができる。電池セットの別の形態が図3に示されている。図3に示された電池セット6aでは、QRコード(あるいはバーコード)64が包装袋61に印刷されておらず、包装袋61内に電池60とともに説明書65が収容されている。そして、この説明書65にQRコード(あるいはバーコード)64が印刷されている。例えば説明書には、電池60の車両への取り付け手順の説明を記載し、その一部としてQRコード(あるいはバーコード)64を印刷しておけば、ユーザにとって理解しやすく利便性が向上する。図3の場合、包装袋61は省略してもよい。
【0052】
また上記実施例では、電池60の交換作業を電池販売店5で作業員が行う実施形態が説明されたが、例えば電池販売店5で電池60を購入したユーザが自分で電池60を交換してもよい。その実施形態が図4に示されている。以下で図1と異なる部分のみを説明する。
【0053】
図4の実施形態では、図1におけるQRコードリーダ50(あるいはバーコードリーダ)、通信装置51に関する部分が変更される。上述のとおり、図4の構成ではユーザが自分で電池60を交換する形態が想定されており、その際ユーザが所持する携帯電話機7が使用される。
【0054】
携帯電話機7は、通信部70、CPU71、メモリ72、カメラ73を備える。通信部70は、通信網4の基地局42を通じた無線通信によって通信網4に接続された他の通信装置と通信を実行する。CPU71は、各種演算や指令発信など携帯電話機7に必要な情報処理を司る。メモリ72は、CPU71の作業領域の揮発性の記憶部や、CPU71における情報処理で用いられるソフトウェアやデータなどを記憶する不揮発性の記憶部を備える。カメラ73はCCD素子などを備えて撮影処理を実行する。
【0055】
メモリ72には、携帯電話機7(特にCPU71とカメラ73)をQRコードリーダ(あるいはバーコードリーダ)として機能させるソフトウェア72a(ソフト)が記憶されている。図4の実施形態の場合、図2のS210では、このソフト72aを起動して、ユーザがカメラ73で電池セット6のQRコード(あるいはバーコード)64を読み取る。そしてS210では、読み取ったQRコード(あるいはバーコード)64を通信部70を用いて、基地局42を通じてセンタ3へ送信する。この実施形態は、電池販売店側の処理を必要とせず、電池の多様な販売形態に対応できる。
【0056】
また上記では包装袋61、あるいは説明書65にQRコード64、あるいはバーコード64を印刷したが、本発明はこれらの例に限定せず、QRコード64、あるいはバーコード64は電池60に付属しない形態であればよい。したがって、例えば電池を包装する包装物、あるいは電池に付属するシート、さらには電池が車両に装着された状態では電池から離間される物品に、QRコード64あるいはバーコード64を形成すればよい。さらにQRコードあるいはバーコードに限定せず、他の1次元コードあるいは2次元コードを用いてもよい。また上記では電気自動車の例を示したが、本発明は電池を装備する任意の車両に対して用いてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 制御システム
2 車両
3 センタ
4 通信網
6 電池セット
63 IDコード(認証コード)
64 QRコード(バーコード、付属コード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に電力を供給するために車両に交換可能に装着される電池と、その電池に固定されて、所定の読取手段によって読取可能なように、その電池の認証コードを記憶する記憶素子と、前記認証コードと1対1に関連付けられた付属コードを有し前記電池に保持されない付属コード部と、を備えた電池セットに対して用いられる制御システムであって、
前記電池が車両に交換可能に装着された状態で前記記憶素子から認証コードを読み取る読取手段と、
その読取手段で読み取られた認証コードを無線通信により送信するコード送信手段と、
無線通信により前記電池に対する使用許可指令を受信する指令受信手段と、
その指令受信手段が使用許可指令を受信した場合に前記電池から車両への電力供給を許可する許可手段と、を備えた制御装置と、
前記認証コードとその認証コードと1対1で関連付けられた前記付属コードとの組を記憶する記憶手段と、
前記コード送信手段によって送信された前記認証コードと、前記コード送信手段とは異なる送信手段によって送信された前記付属コードと、を受信するコード受信手段と、
そのコード受信手段が受信した認証コードと付属コードとの組が、前記記憶手段に記憶された認証コードと付属コードとの組である場合に認証が成功したと判定する判定手段と、
その判定手段が認証が成功したと判定した場合に、前記電池の使用を許可する使用許可指令を送信する指令送信手段と、を備えた通信装置と、
を有することを特徴とする制御システム。
【請求項2】
車両に電力を供給するために車両に交換可能に装着される電池と、その電池に固定されて、所定の読取手段によって読取可能なように、その電池の認証コードを記憶する記憶素子と、を備えた電池セットに対して用いられる制御装置であって、
前記電池が車両に交換可能に装着された状態で、前記記憶素子から認証コードを読み取る読取手段と、
その読取手段で読み取られた認証コードを無線通信により送信するコード送信手段と、
無線通信により前記電池に組する使用許可指令を受信する指令受信手段と、
その指令受信手段が使用許可指令を受信した場合に前記電池から車両への電力供給を許可する許可手段と、
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
車両に電力を供給するために車両に交換可能に装着される電池と、その電池に固定されて、所定の読取手段によって読取可能なように、その電池の認証コードを記憶する記憶素子と、前記認証コードと1対1に関連付けられた付属コードを有し前記電池に保持されない付属コード部と、を備えた電池セットに対して用いられる通信装置であって、
前記認証コードと、その認証コードと1対1で関連付けられた前記付属コードとの組を記憶する記憶手段と、
車両に装備された読取手段によって前記記憶素子から読み取られて無線通信で送信された前記認証コードと、所定の送信手段によって送信された前記付属コードと、を受信するコード受信手段と、
そのコード受信手段が受信した認証コードと付属コードとの組が、前記記憶手段に記憶された認証コードと付属コードとの組である場合に認証が成功したと判定する判定手段と、
その判定手段が認証が成功したと判定した場合に、前記電池の使用を許可する使用許可指令を送信する指令送信手段と、
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
車両に電力を供給するために車両に交換可能に装着される電池と、
その電池に固定されて、所定の読取手段によって読取可能なように、その電池の認証コードを記憶する記憶素子と、
前記認証コードと1対1に関連付けられた付属コードを有し、前記電池に保持されない付属コード部と、
を備えたことを特徴とする電池セット。
【請求項5】
前記付属コード部は、前記認証コードを読み取る読取手段とは異なる読み取り手段によって読み取りが可能なように付属コードが形成された、前記電池が車両に装着された状態では電池から離間される物品である請求項4に記載の電池セット。
【請求項6】
前記物品は、前記電池を包装する包装物、あるいは前記電池に付属するシートを含む請求項5に記載の電池セット。
【請求項7】
前記付属コードは、前記物品に印刷された1次元コードあるいは2次元コードである請求項5又は6に記載の電池セット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−128548(P2012−128548A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277780(P2010−277780)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】