制御システム
【課題】 説明書を容易に閲覧しながら作業を実行する制御システムを提供する。
【解決手段】 分析装置20と、分析装置20とデータを送受信することが可能なコンピュータ10とを備える制御システム1であって、分析装置20は、低機能制御ユニット24と、データを記憶するための小容量記憶部26と、画像が表示される表示部23と、入力操作される入力部22とを備え、コンピュータ10は、高機能制御ユニット11と、データを記憶するための大容量記憶部14と、画像が表示される表示部13と、入力操作される入力部12とを備え、大容量記憶部14には、分析装置20の操作に関する説明書データが記憶され、分析装置20の入力部22によって資料要求信号が入力されると、高機能制御ユニット11は、分析装置20に説明書データを送信し、分析装置20は、受信した説明書データを表示部23に表示する。
【解決手段】 分析装置20と、分析装置20とデータを送受信することが可能なコンピュータ10とを備える制御システム1であって、分析装置20は、低機能制御ユニット24と、データを記憶するための小容量記憶部26と、画像が表示される表示部23と、入力操作される入力部22とを備え、コンピュータ10は、高機能制御ユニット11と、データを記憶するための大容量記憶部14と、画像が表示される表示部13と、入力操作される入力部12とを備え、大容量記憶部14には、分析装置20の操作に関する説明書データが記憶され、分析装置20の入力部22によって資料要求信号が入力されると、高機能制御ユニット11は、分析装置20に説明書データを送信し、分析装置20は、受信した説明書データを表示部23に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータと接続された分析装置を備える制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OA化が進み、様々な場所にコンピュータが設置され、何らかの通信線(EtherNet(登録商標)、USB、1394、RS232C、各無線通信等)で分析装置(液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ装置、質量分析計、分光光度計、バイオ関連装置、X線表面装置、環境装置、試験機等)と接続されている(例えば、特許文献1参照)。
図2は、従来の液体クロマトグラフとコンピュータとが接続された制御システムの一例を示す概略構成図である。制御システム101は、液体クロマトグラフ120とコンピュータ10とを備え、コンピュータ10と液体クロマトグラフ120とは、通信ケーブルや電話回線やLAN等の通信線5で接続されている。
【0003】
コンピュータ10は、液体クロマトグラフ120とデータを送受信して測定データを処理する高機能CPUユニット(例えば、クロック数100MHz)11と、データを記憶するための大容量メモリ114と、入力操作が行われるキーボード(入力部)12と、画像(例えば、大きさ 7インチ、解像度130dpi)が表示される表示装置13とを備える。
高機能CPUユニット11は、キーボード12から入力された入力信号に基づいて、アプリケーションソフトを立ち上げたり、液体クロマトグラフ120と通信状態としたりすることができるようになっている。
【0004】
液体クロマトグラフ120は、装置本体部30と、装置本体部30を動作させる主回路21と、主回路21から測定データを取得するとともにコンピュータ10とデータを送受信する低機能CPUユニット(例えば、クロック数100MHz)124と、画像データを記憶するためのビデオメモリ(小容量記憶部、例えば4Mbit)26と、測定データを記憶するための小容量メモリ27と、画像(例えば、大きさ7インチ、解像度130dpi)が表示される液晶表示器(表示部)123と、LCDコントローラ25と、入力操作される入力部122とを備える。
【0005】
主回路21は、ランプ電源回路、モータ回路、温調回路等である。
低機能CPUユニット124は、高機能CPUユニット11から種々のデータを受信することで主回路21を制御するとともに、高機能CPUユニット11に種々のデータを送信することにより、各種機能を果たすようになっている。
【0006】
よって、このような制御システム101によれば、ユーザは、分析を開始するときには、コンピュータ10でアプリケーションソフトを立ち上げて、コンピュータ10と液体クロマトグラフ120とを通信状態とした後、アプリケーションソフトを用いて液体クロマトグラフ120で分析を実行していた。そして、分析を実行しているときには、コンピュータ10が液体クロマトグラフ120から測定データを所定のタイミングで取得していた。これにより、コンピュータ10で測定データについて様々な処理をしていた。このとき、液晶表示器123には、液体クロマトグラフ120の状態を示す画像が表示されている。その後、ユーザはコンピュータ10でアプリケーションソフトを終了して、コンピュータ10と液体クロマトグラフ120とを切断状態としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−1570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したような液体クロマトグラフ120では、液体クロマトグラフ120の操作に不慣れなユーザは、説明書を閲覧しながら操作作業やメンテナンス作業等を実行している。このとき、説明内容が記載された本(以下、「説明書本」という)を閲覧したり、別途ノート型コンピュータと、説明内容が記憶されたCD−ROMとを準備して、ノート型コンピュータのモニタに説明書を表示させたりしていた。
しかしながら、ユーザが説明書本を使用する際には、液体クロマトグラフ120の近辺に説明書本を開いて置くためのスペースが必要であったり、説明書本を保管する際には保管するためのスペースが必要であったりするので、大変不便であった。一方、ユーザがCD−ROMを使用する際にも、液体クロマトグラフ120の近辺にノート型コンピュータを置くためのスペースや、ノート型コンピュータを動作させるための電源が必要であるので、大変不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件発明者は、上記課題を解決するために、説明書を容易に閲覧しながら作業を実行する方法について検討を行った。そこで、液体クロマトグラフ120の液晶表示器123に説明書を表示させることにした。ところが、液体クロマトグラフ120には、コンピュータ10で様々な処理をしているので、演算能力や記憶容量は必要ないため、ビデオメモリ26に容量の大きい説明書データを記憶させることができず、また、ビデオメモリ26に説明書データを記憶させることができたとしても、低機能CPUユニット124が実用的な速度で説明書データを展開することができなかった。よって、分析装置とデータを送受信することが可能なコンピュータの大容量記憶部に、説明書データを記憶させておき、必要なときに分析装置が説明書データを受信した後、分析装置の表示部に表示することを見出した。
【0010】
すなわち、本発明の制御システムは、分析装置と、当該分析装置とデータを送受信することが可能なコンピュータとを備える制御システムであって、前記分析装置は、装置本体部を動作させる主回路と、当該主回路から測定データを取得するとともに前記コンピュータとデータを送受信する低機能制御ユニットと、データを記憶するための小容量記憶部と、画像が表示される表示部と、入力操作される入力部とを備え、前記コンピュータは、前記分析装置とデータを送受信して測定データを処理する高機能制御ユニットと、データを記憶するための大容量記憶部と、画像が表示される表示部と、入力操作される入力部とを備え、前記大容量記憶部には、前記分析装置の操作に関する説明書データが記憶され、前記分析装置の入力部によって資料要求信号が入力されると、前記高機能制御ユニットは、前記分析装置に前記説明書データを送信し、前記分析装置は、受信した前記説明書データを表示部に表示するようにしている。
【0011】
ここで、「装置本体部」とは、分析を行うための部品のことをいう。
本発明の制御システムによれば、大容量記憶部に説明書データを予め記憶させておく。そして、高機能制御ユニットは、分析装置から資料要求信号を受けると、説明書データを分析装置が受け取ることのできるデータフォーマット(データ方式)に変換すること等を実行して分析装置に送信する。分析装置は、説明書データを受け取ると、ほとんど加工することなくビデオメモリ(小容量記憶部)に書き込む。ビデオメモリに書き込まれた説明書データは、分析装置の液晶表示器(表示部)に画像として表示されることになる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の制御システムによれば、コンピュータの大容量記憶部に説明書データを記憶させるので、分析装置の小容量記憶部を大容量記憶部に変更することもなく、さらに説明書本を保管するためのスペースも必要でなくなる。また、高機能制御ユニットに説明書データを加工させることで、低機能制御ユニットの処理能力を高くすることもなく、説明書データを表示部に表示することができる。さらに、分析装置のある場所に居ながら、大容量記憶部に記憶されている説明書データにアクセスすることができるので、説明書本を取りに行く時間等を節約できる。
【0013】
(他の課題を解決するための手段及び効果)
また、上記の発明において、前記分析装置の表示部は、前記説明書データを表示することが可能となっているようにしてもよい。
本発明の制御システムによれば、グラフィカルな画像データを表示することができる。
【0014】
また、上記の発明において、前記高機能制御ユニットは、前記説明書データを、前記分析装置が受け取ることのできるデータフォーマットに変換して、前記分析装置に送信するようにしてもよい。
そして、上記の発明において、前記大容量記憶部には、複数の説明書データが記憶され、前記分析装置の入力部によって資料要求信号が入力されると、前記高機能制御ユニットは、複数の説明書データの内から選択された一の説明書データを分析装置に送信するようにしてもよい。
さらに、上記の発明において、前記分析装置は、液体クロマトグラフであるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る液体クロマトグラフとコンピュータとが接続された制御システムの一例を示す概略構成図。
【図2】従来の液体クロマトグラフとコンピュータとが接続された制御システムの一例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0017】
図1は、本発明に係る液体クロマトグラフとコンピュータとが接続された制御システムの一例を示す概略構成図である。なお、上述した制御システム101と同様のものについては、同じ符号を付している。
制御システム1は、液体クロマトグラフ20とコンピュータ10とを備え、コンピュータ10と液体クロマトグラフ20とは、通信ケーブルや電話回線やLAN等の通信線5で接続されている。
【0018】
コンピュータ10は、液体クロマトグラフ20とデータを送受信して測定データを処理する高機能CPUユニット(例えば、クロック数100MHz)11と、データを記憶するための大容量メモリ14と、入力操作が行われるキーボード(入力部)12と、画像(例えば、大きさ7インチ、解像度130dpi)が表示される表示装置13とを備える。
大容量メモリ14には、液体クロマトグラフ20の操作に関する複数(例えば、10個)の説明書データが予め記憶されている。説明書データは、操作作業の手順が記載された説明書や、メンテナンス作業の手順が記載された説明書や、トラブルシューティングが記載された説明書等のデータである。このような説明書データのデータフォーマットは、例えば、PDF形式となっている。
【0019】
高機能CPUユニット11は、キーボード12から入力された入力信号に基づいて、アプリケーションソフトを立ち上げたり、液体クロマトグラフ20と通信状態としたりするようになっている。また、高機能CPUユニット11は、液体クロマトグラフ20の入力部22から入力された閲覧リクエスト(資料要求信号)に基づいて、説明書データを液体クロマトグラフ120が受け取ることのできるデータフォーマット(例えば、BIN形式)に変換して液体クロマトグラフ20に送信するようになっている。
【0020】
液体クロマトグラフ20は、装置本体部30と、装置本体部30を動作させる主回路21と、主回路21から測定データを取得するとともにコンピュータ10とデータを送受信する低機能CPUユニット(例えば、クロック数100MHz)24と、画像データを書き込むためのビデオメモリ(小容量記憶部、例えば4Mbit)26と、測定データを記憶するための小容量メモリ27と、画像(例えば、大きさ7インチ、解像度130dpi)が表示される液晶表示器(表示部)23と、LCDコントローラ25と、入力操作される入力部22とを備える。
入力部22は、ユーザによってメニュー等から選択されることで閲覧リクエスト(入力信号)が入力操作されることが可能となる閲覧リクエストメニューボタン(閲覧リクエスト入力部)を有する。
【0021】
低機能CPUユニット24は、高機能CPUユニット11から種々のデータを受信することで主回路21を制御するとともに、高機能CPUユニット11に種々のデータを送信することにより、各種機能を果たすようになっている。また、低機能CPUユニット24は、入力部22によって閲覧リクエストが入力されると、高機能CPUユニット11に閲覧リクエストを送信した後、高機能CPUユニット11から説明書データを受信することでビデオメモリ26に書き込むことにより、ビデオメモリ26に書き込まれた説明書データが液晶表示器26に表示されるようになっている。
【0022】
ここで、制御システム1によってユーザが説明書を閲覧しながら液体クロマトグラフ20のメンテナンス作業を実行する方法の一例について説明する。
ユーザが液体クロマトグラフ20のメンテナンス作業を実行したいため説明書を閲覧したい場合には、入力部22を用いてメニューから選択することで、閲覧リクエストを入力する。これにより、閲覧リクエストが入力された低機能CPUユニット24は、高機能CPUユニット11に閲覧リクエストを送信する。高機能CPUユニット11は、複数の説明書データの一覧リストデータを低機能CPUユニット24に送信する。低機能CPUユニット24は、一覧リストデータを受け取ると、ビデオメモリ26に書き込む。そして、ビデオメモリ26に書き込まれた一覧リストデータは、LCDコントローラ25によって液晶表示器23に毎秒30回のレートで表示される。
【0023】
次に、ユーザが入力部22を用いて一覧リストから一の説明書データの種類(例えば、メンテナンス作業の手順が記載された説明書)を選択することで、一の説明書データの種類を入力する。これにより、一の説明書データの種類が入力された低機能CPUユニット24は、高機能CPUユニット11に一の説明書データの種類を送信する。高機能CPUユニット11は、一の説明書データを大容量メモリ14に展開してデータフォーマット(例えば、BIN形式)に変換して低機能CPUユニット24に送信する。低機能CPUユニット24は、一の説明書データを受け取ると、ほとんど加工することなくビデオメモリ26に書き込む。そして、ビデオメモリ26に書き込まれた一の説明書データは、LCDコントローラ25によって液晶表示器23に毎秒30回のレートで表示される。
これにより、ユーザは、液晶表示器23に表示された説明書を閲覧しながら、液体クロマトグラフ20のメンテナンス作業を実行する。
【0024】
以上のように、制御システム1によれば、コンピュータ10の大容量メモリ14に説明書データを記憶させるので、液体クロマトグラフ20のビデオメモリ26を大容量記憶部に変更することもなく、さらに説明書本を保管するためのスペースも必要でなくなる。また、高機能CPUユニット11に説明書データを加工させることで、低機能CPUユニット24の処理能力を高くすることもなく、説明書データを液晶表示器23に表示することができる。さらに、液体クロマトグラフ20のある場所に居ながら、大容量メモリ14に記憶されている説明書データにアクセスすることができるので、説明書本を取りに行く時間等を節約できる。
【0025】
<他の実施形態>
(1)上述した制御システム1では、コンピュータ10と液体クロマトグラフ20とは、通信線5で接続されている構成を示したが、無線で通信可能に接続されているような構成としてもよい。
(2)上述した制御システム1では、低機能CPUユニット24は、高機能CPUユニット11から説明書データを受信することでビデオメモリ26に書き込む構成を示したが、高機能CPUユニット11が説明書データをビデオメモリ26に書き込むような構成としてもよい。
【0026】
(3)上述した制御システム1では、高機能CPUユニット11は、液体クロマトグラフ20の入力部22から出力された閲覧リクエストに基づいて、説明書データを液体クロマトグラフ20が受け取ることのできるデータフォーマットに変換する構成を示したが、説明書データを液体クロマトグラフ20が受け取ることのできるデータフォーマットに予め変換しておくような構成としてもよい。これにより、応答性がよくなる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、コンピュータと接続された分析装置を備える制御システム等に利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 制御システム
10 コンピュータ
11 高機能CPUユニット
12 入力部
13 表示部
14 大容量メモリ
20 液体クロマトグラフ(分析装置)
21 主回路
22 入力部
23 液晶表示器(表示部)
24 低機能CPUユニット
26 ビデオメモリ(小容量記憶部)
30 装置本体部
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータと接続された分析装置を備える制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OA化が進み、様々な場所にコンピュータが設置され、何らかの通信線(EtherNet(登録商標)、USB、1394、RS232C、各無線通信等)で分析装置(液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ装置、質量分析計、分光光度計、バイオ関連装置、X線表面装置、環境装置、試験機等)と接続されている(例えば、特許文献1参照)。
図2は、従来の液体クロマトグラフとコンピュータとが接続された制御システムの一例を示す概略構成図である。制御システム101は、液体クロマトグラフ120とコンピュータ10とを備え、コンピュータ10と液体クロマトグラフ120とは、通信ケーブルや電話回線やLAN等の通信線5で接続されている。
【0003】
コンピュータ10は、液体クロマトグラフ120とデータを送受信して測定データを処理する高機能CPUユニット(例えば、クロック数100MHz)11と、データを記憶するための大容量メモリ114と、入力操作が行われるキーボード(入力部)12と、画像(例えば、大きさ 7インチ、解像度130dpi)が表示される表示装置13とを備える。
高機能CPUユニット11は、キーボード12から入力された入力信号に基づいて、アプリケーションソフトを立ち上げたり、液体クロマトグラフ120と通信状態としたりすることができるようになっている。
【0004】
液体クロマトグラフ120は、装置本体部30と、装置本体部30を動作させる主回路21と、主回路21から測定データを取得するとともにコンピュータ10とデータを送受信する低機能CPUユニット(例えば、クロック数100MHz)124と、画像データを記憶するためのビデオメモリ(小容量記憶部、例えば4Mbit)26と、測定データを記憶するための小容量メモリ27と、画像(例えば、大きさ7インチ、解像度130dpi)が表示される液晶表示器(表示部)123と、LCDコントローラ25と、入力操作される入力部122とを備える。
【0005】
主回路21は、ランプ電源回路、モータ回路、温調回路等である。
低機能CPUユニット124は、高機能CPUユニット11から種々のデータを受信することで主回路21を制御するとともに、高機能CPUユニット11に種々のデータを送信することにより、各種機能を果たすようになっている。
【0006】
よって、このような制御システム101によれば、ユーザは、分析を開始するときには、コンピュータ10でアプリケーションソフトを立ち上げて、コンピュータ10と液体クロマトグラフ120とを通信状態とした後、アプリケーションソフトを用いて液体クロマトグラフ120で分析を実行していた。そして、分析を実行しているときには、コンピュータ10が液体クロマトグラフ120から測定データを所定のタイミングで取得していた。これにより、コンピュータ10で測定データについて様々な処理をしていた。このとき、液晶表示器123には、液体クロマトグラフ120の状態を示す画像が表示されている。その後、ユーザはコンピュータ10でアプリケーションソフトを終了して、コンピュータ10と液体クロマトグラフ120とを切断状態としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−1570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したような液体クロマトグラフ120では、液体クロマトグラフ120の操作に不慣れなユーザは、説明書を閲覧しながら操作作業やメンテナンス作業等を実行している。このとき、説明内容が記載された本(以下、「説明書本」という)を閲覧したり、別途ノート型コンピュータと、説明内容が記憶されたCD−ROMとを準備して、ノート型コンピュータのモニタに説明書を表示させたりしていた。
しかしながら、ユーザが説明書本を使用する際には、液体クロマトグラフ120の近辺に説明書本を開いて置くためのスペースが必要であったり、説明書本を保管する際には保管するためのスペースが必要であったりするので、大変不便であった。一方、ユーザがCD−ROMを使用する際にも、液体クロマトグラフ120の近辺にノート型コンピュータを置くためのスペースや、ノート型コンピュータを動作させるための電源が必要であるので、大変不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件発明者は、上記課題を解決するために、説明書を容易に閲覧しながら作業を実行する方法について検討を行った。そこで、液体クロマトグラフ120の液晶表示器123に説明書を表示させることにした。ところが、液体クロマトグラフ120には、コンピュータ10で様々な処理をしているので、演算能力や記憶容量は必要ないため、ビデオメモリ26に容量の大きい説明書データを記憶させることができず、また、ビデオメモリ26に説明書データを記憶させることができたとしても、低機能CPUユニット124が実用的な速度で説明書データを展開することができなかった。よって、分析装置とデータを送受信することが可能なコンピュータの大容量記憶部に、説明書データを記憶させておき、必要なときに分析装置が説明書データを受信した後、分析装置の表示部に表示することを見出した。
【0010】
すなわち、本発明の制御システムは、分析装置と、当該分析装置とデータを送受信することが可能なコンピュータとを備える制御システムであって、前記分析装置は、装置本体部を動作させる主回路と、当該主回路から測定データを取得するとともに前記コンピュータとデータを送受信する低機能制御ユニットと、データを記憶するための小容量記憶部と、画像が表示される表示部と、入力操作される入力部とを備え、前記コンピュータは、前記分析装置とデータを送受信して測定データを処理する高機能制御ユニットと、データを記憶するための大容量記憶部と、画像が表示される表示部と、入力操作される入力部とを備え、前記大容量記憶部には、前記分析装置の操作に関する説明書データが記憶され、前記分析装置の入力部によって資料要求信号が入力されると、前記高機能制御ユニットは、前記分析装置に前記説明書データを送信し、前記分析装置は、受信した前記説明書データを表示部に表示するようにしている。
【0011】
ここで、「装置本体部」とは、分析を行うための部品のことをいう。
本発明の制御システムによれば、大容量記憶部に説明書データを予め記憶させておく。そして、高機能制御ユニットは、分析装置から資料要求信号を受けると、説明書データを分析装置が受け取ることのできるデータフォーマット(データ方式)に変換すること等を実行して分析装置に送信する。分析装置は、説明書データを受け取ると、ほとんど加工することなくビデオメモリ(小容量記憶部)に書き込む。ビデオメモリに書き込まれた説明書データは、分析装置の液晶表示器(表示部)に画像として表示されることになる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の制御システムによれば、コンピュータの大容量記憶部に説明書データを記憶させるので、分析装置の小容量記憶部を大容量記憶部に変更することもなく、さらに説明書本を保管するためのスペースも必要でなくなる。また、高機能制御ユニットに説明書データを加工させることで、低機能制御ユニットの処理能力を高くすることもなく、説明書データを表示部に表示することができる。さらに、分析装置のある場所に居ながら、大容量記憶部に記憶されている説明書データにアクセスすることができるので、説明書本を取りに行く時間等を節約できる。
【0013】
(他の課題を解決するための手段及び効果)
また、上記の発明において、前記分析装置の表示部は、前記説明書データを表示することが可能となっているようにしてもよい。
本発明の制御システムによれば、グラフィカルな画像データを表示することができる。
【0014】
また、上記の発明において、前記高機能制御ユニットは、前記説明書データを、前記分析装置が受け取ることのできるデータフォーマットに変換して、前記分析装置に送信するようにしてもよい。
そして、上記の発明において、前記大容量記憶部には、複数の説明書データが記憶され、前記分析装置の入力部によって資料要求信号が入力されると、前記高機能制御ユニットは、複数の説明書データの内から選択された一の説明書データを分析装置に送信するようにしてもよい。
さらに、上記の発明において、前記分析装置は、液体クロマトグラフであるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る液体クロマトグラフとコンピュータとが接続された制御システムの一例を示す概略構成図。
【図2】従来の液体クロマトグラフとコンピュータとが接続された制御システムの一例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0017】
図1は、本発明に係る液体クロマトグラフとコンピュータとが接続された制御システムの一例を示す概略構成図である。なお、上述した制御システム101と同様のものについては、同じ符号を付している。
制御システム1は、液体クロマトグラフ20とコンピュータ10とを備え、コンピュータ10と液体クロマトグラフ20とは、通信ケーブルや電話回線やLAN等の通信線5で接続されている。
【0018】
コンピュータ10は、液体クロマトグラフ20とデータを送受信して測定データを処理する高機能CPUユニット(例えば、クロック数100MHz)11と、データを記憶するための大容量メモリ14と、入力操作が行われるキーボード(入力部)12と、画像(例えば、大きさ7インチ、解像度130dpi)が表示される表示装置13とを備える。
大容量メモリ14には、液体クロマトグラフ20の操作に関する複数(例えば、10個)の説明書データが予め記憶されている。説明書データは、操作作業の手順が記載された説明書や、メンテナンス作業の手順が記載された説明書や、トラブルシューティングが記載された説明書等のデータである。このような説明書データのデータフォーマットは、例えば、PDF形式となっている。
【0019】
高機能CPUユニット11は、キーボード12から入力された入力信号に基づいて、アプリケーションソフトを立ち上げたり、液体クロマトグラフ20と通信状態としたりするようになっている。また、高機能CPUユニット11は、液体クロマトグラフ20の入力部22から入力された閲覧リクエスト(資料要求信号)に基づいて、説明書データを液体クロマトグラフ120が受け取ることのできるデータフォーマット(例えば、BIN形式)に変換して液体クロマトグラフ20に送信するようになっている。
【0020】
液体クロマトグラフ20は、装置本体部30と、装置本体部30を動作させる主回路21と、主回路21から測定データを取得するとともにコンピュータ10とデータを送受信する低機能CPUユニット(例えば、クロック数100MHz)24と、画像データを書き込むためのビデオメモリ(小容量記憶部、例えば4Mbit)26と、測定データを記憶するための小容量メモリ27と、画像(例えば、大きさ7インチ、解像度130dpi)が表示される液晶表示器(表示部)23と、LCDコントローラ25と、入力操作される入力部22とを備える。
入力部22は、ユーザによってメニュー等から選択されることで閲覧リクエスト(入力信号)が入力操作されることが可能となる閲覧リクエストメニューボタン(閲覧リクエスト入力部)を有する。
【0021】
低機能CPUユニット24は、高機能CPUユニット11から種々のデータを受信することで主回路21を制御するとともに、高機能CPUユニット11に種々のデータを送信することにより、各種機能を果たすようになっている。また、低機能CPUユニット24は、入力部22によって閲覧リクエストが入力されると、高機能CPUユニット11に閲覧リクエストを送信した後、高機能CPUユニット11から説明書データを受信することでビデオメモリ26に書き込むことにより、ビデオメモリ26に書き込まれた説明書データが液晶表示器26に表示されるようになっている。
【0022】
ここで、制御システム1によってユーザが説明書を閲覧しながら液体クロマトグラフ20のメンテナンス作業を実行する方法の一例について説明する。
ユーザが液体クロマトグラフ20のメンテナンス作業を実行したいため説明書を閲覧したい場合には、入力部22を用いてメニューから選択することで、閲覧リクエストを入力する。これにより、閲覧リクエストが入力された低機能CPUユニット24は、高機能CPUユニット11に閲覧リクエストを送信する。高機能CPUユニット11は、複数の説明書データの一覧リストデータを低機能CPUユニット24に送信する。低機能CPUユニット24は、一覧リストデータを受け取ると、ビデオメモリ26に書き込む。そして、ビデオメモリ26に書き込まれた一覧リストデータは、LCDコントローラ25によって液晶表示器23に毎秒30回のレートで表示される。
【0023】
次に、ユーザが入力部22を用いて一覧リストから一の説明書データの種類(例えば、メンテナンス作業の手順が記載された説明書)を選択することで、一の説明書データの種類を入力する。これにより、一の説明書データの種類が入力された低機能CPUユニット24は、高機能CPUユニット11に一の説明書データの種類を送信する。高機能CPUユニット11は、一の説明書データを大容量メモリ14に展開してデータフォーマット(例えば、BIN形式)に変換して低機能CPUユニット24に送信する。低機能CPUユニット24は、一の説明書データを受け取ると、ほとんど加工することなくビデオメモリ26に書き込む。そして、ビデオメモリ26に書き込まれた一の説明書データは、LCDコントローラ25によって液晶表示器23に毎秒30回のレートで表示される。
これにより、ユーザは、液晶表示器23に表示された説明書を閲覧しながら、液体クロマトグラフ20のメンテナンス作業を実行する。
【0024】
以上のように、制御システム1によれば、コンピュータ10の大容量メモリ14に説明書データを記憶させるので、液体クロマトグラフ20のビデオメモリ26を大容量記憶部に変更することもなく、さらに説明書本を保管するためのスペースも必要でなくなる。また、高機能CPUユニット11に説明書データを加工させることで、低機能CPUユニット24の処理能力を高くすることもなく、説明書データを液晶表示器23に表示することができる。さらに、液体クロマトグラフ20のある場所に居ながら、大容量メモリ14に記憶されている説明書データにアクセスすることができるので、説明書本を取りに行く時間等を節約できる。
【0025】
<他の実施形態>
(1)上述した制御システム1では、コンピュータ10と液体クロマトグラフ20とは、通信線5で接続されている構成を示したが、無線で通信可能に接続されているような構成としてもよい。
(2)上述した制御システム1では、低機能CPUユニット24は、高機能CPUユニット11から説明書データを受信することでビデオメモリ26に書き込む構成を示したが、高機能CPUユニット11が説明書データをビデオメモリ26に書き込むような構成としてもよい。
【0026】
(3)上述した制御システム1では、高機能CPUユニット11は、液体クロマトグラフ20の入力部22から出力された閲覧リクエストに基づいて、説明書データを液体クロマトグラフ20が受け取ることのできるデータフォーマットに変換する構成を示したが、説明書データを液体クロマトグラフ20が受け取ることのできるデータフォーマットに予め変換しておくような構成としてもよい。これにより、応答性がよくなる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、コンピュータと接続された分析装置を備える制御システム等に利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 制御システム
10 コンピュータ
11 高機能CPUユニット
12 入力部
13 表示部
14 大容量メモリ
20 液体クロマトグラフ(分析装置)
21 主回路
22 入力部
23 液晶表示器(表示部)
24 低機能CPUユニット
26 ビデオメモリ(小容量記憶部)
30 装置本体部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置と、当該分析装置とデータを送受信することが可能なコンピュータとを備える制御システムであって、
前記分析装置は、装置本体部を動作させる主回路と、当該主回路から測定データを取得するとともに前記コンピュータとデータを送受信する低機能制御ユニットと、データを記憶するための小容量記憶部と、画像が表示される表示部と、入力操作される入力部とを備え、
前記コンピュータは、前記分析装置とデータを送受信して測定データを処理する高機能制御ユニットと、データを記憶するための大容量記憶部と、画像が表示される表示部と、入力操作される入力部とを備え、
前記大容量記憶部には、前記分析装置の操作に関する説明書データが記憶され、
前記分析装置の入力部によって資料要求信号が入力されると、前記高機能制御ユニットは、前記分析装置に前記説明書データを送信し、前記分析装置は、受信した前記説明書データを表示部に表示することを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記分析装置の表示部は、前記説明書データを表示することが可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記高機能制御ユニットは、前記説明書データを、前記分析装置が受け取ることのできるデータフォーマットに変換して、前記分析装置に送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記大容量記憶部には、複数の説明書データが記憶され、
前記分析装置の入力部によって資料要求信号が入力されると、前記高機能制御ユニットは、複数の説明書データの内から選択された一の説明書データを分析装置に送信することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記分析装置は、液体クロマトグラフであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項1】
分析装置と、当該分析装置とデータを送受信することが可能なコンピュータとを備える制御システムであって、
前記分析装置は、装置本体部を動作させる主回路と、当該主回路から測定データを取得するとともに前記コンピュータとデータを送受信する低機能制御ユニットと、データを記憶するための小容量記憶部と、画像が表示される表示部と、入力操作される入力部とを備え、
前記コンピュータは、前記分析装置とデータを送受信して測定データを処理する高機能制御ユニットと、データを記憶するための大容量記憶部と、画像が表示される表示部と、入力操作される入力部とを備え、
前記大容量記憶部には、前記分析装置の操作に関する説明書データが記憶され、
前記分析装置の入力部によって資料要求信号が入力されると、前記高機能制御ユニットは、前記分析装置に前記説明書データを送信し、前記分析装置は、受信した前記説明書データを表示部に表示することを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記分析装置の表示部は、前記説明書データを表示することが可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記高機能制御ユニットは、前記説明書データを、前記分析装置が受け取ることのできるデータフォーマットに変換して、前記分析装置に送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記大容量記憶部には、複数の説明書データが記憶され、
前記分析装置の入力部によって資料要求信号が入力されると、前記高機能制御ユニットは、複数の説明書データの内から選択された一の説明書データを分析装置に送信することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記分析装置は、液体クロマトグラフであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の制御システム。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2013−113598(P2013−113598A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257186(P2011−257186)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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