説明

制御ボックス及びこの制御ボックスを備えた加湿温風機

【課題】音を発する音声発生装置を電源・制御回路基板に装着して箱体内に収納した制御ボックスにおいて、各種の音を外部へ伝達し易いようにした制御ボックス。
【解決手段】電源及び機器制御回路部品が実装された回路基板37と、この回路基板を収納する箱体33Aとを備え、この箱体33Aは、前記回路基板37より大きい底板部、前記底板部の周囲から所定高さ立設された側板部及び前記底板部と対向する面が開口して内部に前記回路基板が収容される本体ケース34と、この開口を塞ぐ蓋体35とを有し、回路基板37は、音を発生する音声発生装置38が実装されて、本体ケース34に、音声発生装置38が実装された回路基板を収容して、蓋体35は、音声発生装置38と対向する箇所に音を外部へ伝達する開口孔35aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御ボックス及びこの制御ボックスを備えた加湿温風機に係り、さらに詳しくは、機器の異常などを報知する音声発生装置を機器制御する電源・制御回路基板に設けて収納した制御ボックス及びこの制御ボックスを備えた加湿温風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子・電気機器は、さらに多くの多種多様の機器が開発・製品化されて普及し続けている。これらの機器は、さまざまな機能を持ち、その使用形態も多様化する一方で、操作が複雑・面倒になって、しばしば誤操作或いは不適切な使用となり、ときに機器部品などにも不具合が発生することがある。このような状態で使用されると、故障、さらには重大な事故、例えば発火などが誘発されることがあることから、通常、不適切な使用及び故障や異常などを報知する警報装置が設けられている。例えば、下記特許文献1には、室内の温度が異常高温になったときに、その温度を検知して警報を発する警報手段を備えた暖房機が開示されている。また、下記特許文献2には、同様の警報を発する報知ランプ及び警報ブザーを制御パネルに設けた食品冷却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−145029号公報(段落〔0019〕、図1)
【特許文献2】特開2003−114081号公報(段落〔0016〕、図1)
【特許文献3】実開平1−135499号公報(実用新案登録請求の範囲、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2の機器及び装置は、それぞれ警報手段を有するので、適切な使用或いは安全性が確保される。このような警報手段は、上記特許文献2にみられるように、機器を操作する制御パネルに設置されるので、上記特許文献1の警報手段も操作パネルに設けられているものと推定される。操作パネルは、通常、機器の外郭ケースに取付けられている。一方、警報手段には、報知ランプや警報ブザーが使用されるので、これらのブザーなどへ駆動電源及び信号を送るために制御基板とリード線などで電気的に接続する必要がある。このような電気的接続は、例えば上記特許文献3にみられるような、機器の内部に配設してある制御基板と外郭ケースに取付けてあるブザーなどとのリード線接続となる。
【0005】
現在、電子・電気機器の開発、特に、家電商品の開発は、コスト競争に直面しており、コストを抑えるために、部品数の低減や部品の集約化などが行われており、上記のように制御基板と外郭ケースのブザーなどとをリード線接続するような設計にすると、部品数の低減や部品の集約化ができないことになる。
【0006】
そこで、部品数の低減や部品の集約化を図るために、警報手段のブザーなどを制御基板に装着することが想到されるが、制御基板にブザーを設けると、この制御基板は機器ハウジング内に取付けることになるので、ブザー音が外へ伝わり難くなり、特に、制御基板が制御ボックスなどに収納されると密閉状態となり、ブザー音が外へ伝わらなくなる。
【0007】
本発明は、このような従来技術が抱える課題を解決するとともに、上記コスト低減のためになされたもので、本発明の目的は、各種の音を発する音声発生装置を電源・制御回路基板に装着して箱体内に収納した制御ボックスにおいて、各種の音を外部へ伝達し易いようにした制御ボックス及びこの制御ボックスを備えた加湿温風機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願の請求項1に記載の制御ボックスは、電源及び機器制御回路部品が実装された回路基板と、前記回路基板を収納する箱体とを有する制御ボックスにおいて、前記箱体は、前記回路基板より大きい底板部、前記底板部の周囲から所定高さ立設された側板部及び前記底板部と対向する面に開口を有して内部に前記回路基板が収容される本体ケースと、前記開口を塞ぐ蓋体とを有し、前記回路基板は、音を発生する音声発生装置が実装されて、前記本体ケースに、前記音声発生装置が実装された回路基板を収容して、前記蓋体は、前記音声発生装置と対向する箇所に音を外部へ伝達する開口孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の制御ボックスにおいて、前記蓋体は、前記開口孔の周囲に該開口孔に連通した中空孔を有し前記音声発生装置に到達する長さの筒状体が設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の制御ボックスにおいて、前記筒状体は、前記蓋体に一体に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の制御ボックスにおいて、前記中空孔は、前記開口の面積が前記開口孔近傍から前記音声発生装置に向かうにしたがって順次漸減されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載の制御ボックスにおいて、前記筒状体と前記音声発生装置の音声発生部との間に、前記音声発生部からの機械的振動が伝達されない長さの隙間があいていることを特徴とする
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の制御ボックスにおいて、前記蓋体は、前記ケース本体に開閉自在に、且つ一体成型により形成されていることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項7に記載の加湿温風機は、請求項1〜6のいずれかに記載の制御ボックスを加湿機能付きの温風機内に装着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記の構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、蓋体は、音声発生装置と対向する箇所に開口孔が形成されているので、この開口孔を通して音が外部へ容易に伝わることができる。さらに、回路基板に音声発生装置を実装したので、部品の集約化ができて、コスト安になる。
【0015】
請求項2の発明によれば、筒状体内の中空孔を通して、音声発生装置からの音を外部へ確実に伝達できる。
【0016】
請求項3の発明によれば、筒状体の形成が容易になる。
【0017】
請求項4の発明によれば、音声発生装置からの音を拡大して伝達できる。
【0018】
請求項5の発明によれば、筒状体と音声発生装置の音声発生部との間には、所定の隙間があいているので、蓋体に音声発生部からの機械的振動が伝達されることがない。
【0019】
請求項6の発明によれば、蓋体は、ケース本体に開閉自在に、且つ一体成型により形成されているので、箱体を容易に作製できる。
【0020】
請求項7の発明によれば、制御ボックスに部品の集約化ができて、この回路基板からの温風機内へ組立、配線数などを低減できるので、加湿温風機のコスト安を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る制御ボックスを備えた加湿温風機を示し、図1(a)は正面図、図1(b)は上面図である。
【図2】図2は図1の加湿温風機の背面カバーを取外した状態の背面図である。
【図3】図3は図1(a)のIII−III線の断面図である。
【図4】図4は制御ボックスを示し、図4(a)は正面図、図4(b)は斜視図、図4(c)は図4(b)の内部透視図である。
【図5】図5(a)は図4(a)のVa−Va線の断面図、図5(b)は図5(a)の部分拡大図、図5(c)は図4(b)のVc−Vc線の断面図、図5(d)は図4(c)のVd―Vd線の断面図である。
【図6】図6はヒーター回路図である。
【図7】図7は風路切換え手段の斜視図である。
【図8】図8は風路切換え手段の弁体の回動位置を模式的に示した説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための制御ボックス及びこの制御ボックスを備えた加湿温風機を例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。以下の説明では、本発明の制御ボックスを加湿温風機に設けたもので説明するが、この制御ボックスは、加湿温風機に特定されるものでなく、他の電子・電気機器にも使用できるものである。
【0023】
図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係る制御ボックスを備えた加湿温風機を説明する。なお、図1は本発明の実施形態に係る制御ボックスを備えた加湿温風機を示し、図1(a)は正面図、図1(b)は上面図、図2は図1の加湿温風機の背面カバーを取外した状態の背面図、図3は図1(a)のIII−III線の断面図である。
【0024】
本発明の実施形態に係る制御ボックスを備えた加湿温風機10は、図1〜図3に示すように、送風路へ所定量の空気を送風する送風ファン17と、この送風ファンを回転させるモーター18と、送風ファンからの空気を加熱するヒーター19と、所定量の水を貯留する貯水タンクTと、このタンクからの水を気化して加湿する加湿手段31と、空気中の汚染物質を除去して浄化するオゾン発生器と、モーター及びヒーター並びにオゾン発生器へ給電し制御する電源・制御回路基板37(図5参照、以下単に回路基板ともいう)とを備え、これらの部品は、所定形状の機体内に収容され、また、回路基板は、所定大きさの箱体からなる制御ボックス33に収納されて機体内に収容されている。以下、これらの構成を説明する。
【0025】
機体フレーム11は、床面に置いても転倒しないように底部13が広がり内部に貯水タンク及び加湿手段(加湿フィルター)31などを収容できるスペースを有する基台部12と、この基台部12の一端からほぼ垂直に起立した取付け板部14とからなり、基台部12と取付け板部14との継ぎ目に壇部が設けられて、合成樹脂材で一体成型されている。
【0026】
取付け板部14には、送風ファン17、この送風ファンを回転させるモーター18、及び送風ファンから送風された空気を加熱するヒーター19がそれぞれ装着されている。なお、符合17aは、送風ファンを覆う環状フードを示している。また、この取付け板部14から所定の距離離れた背面側に湿風送風ダクト21が設けられている。さらに、取付け板部14の上方には、操作パネル25が装着されている。
【0027】
湿風送風ダクト21は、内部に中空孔を有する直方体形状の筒状体からなり、上部に開口23が設けられ下部が加湿手段31に連結されている。上部の開口23は湿風の吹出口となっている。この送風ダクト21は、モーター18と重ならないようにして背面側に装着されている。
【0028】
取付け板部14に、送風ファン17、ヒーター19、及び湿風送風ダクト21を取付けけることにより、取付け板部14側と湿風送風ダクト21との間に温風送風路Xが形成される。また、この温風送風路Xと湿風送風ダクト21との間には、バイパス通風路X3が形成されている。このバイパス通風路X3は、ヒーター19を迂回して、送風ファン17が設置された空間17bと湿風送風ダクト21の下端部とを連通するバイパス路となっている。具体的には、送風ファン17を設けた周辺には所定大きさの空間17bが形成され、この空間17b側に送風口24a及び下端部に送出口24cと、これらの送風口24a及び送出口24cを連通する隙間24bとからなる、狭隙ダクト24で形成されている。バイパス通風路X3、すなわち狭隙ダクト24は、ヒーター19側に設けた隔壁板と湿風送風ダクト21の隔壁板との間隙で形成されている。この構成により、送風ファン17からの空気は、ヒーター19を通って下流へ送風されるものと、ヒーター19を通らず迂回してバイパス通風路X3を通って下流へ送風されるものとなり、これらの割合は、前者を多く後者を少なく、四分の一以下になるようにするのが好ましい。例えば前者80%〜90%、後者20%〜10%程度となっている。なお、この%に限定されるものでない。この割合、すなわち後者を少なく前者を多くすることにより、後述する温風運転モード設定時に、温風温度を加湿によって低下させることがなくなり、また、他の運転モードに悪影響を及ぼすこともない。
【0029】
ヒーター19を通る空気は、温風送風路Xを通って基台部12で2方向に分かれて送風される。すなわち、温風送風路Xは、基台部12で分岐送風路X1、X2に二分岐される。そして、一方の分岐送風路X1は、機体前面の温風吹出口15に連通され、他の分岐送風路X2は、加湿手段31などを通って機体背面の湿風送風ダクト21に連通されている。なお、加湿手段31は、分岐送風路X2と湿風送風ダクト21との間に所定の空間30を形成し、この空間内に設置されている。各分岐送風路X1、X2への切換え送風は、風路切換え手段26によって行われる。ヒーター19を通らない空気は、送風ファン17からの一部であるがバイパス通風路X3を通って直接下流へ送風される。
【0030】
図4、図5を参照して、制御ボックスを説明する。なお、図4は制御ボックスを示し、図4(a)は正面図、図4(b)は斜視図、図4(c)は図4(b)の内部透視図、図5(a)は図4(a)のVa−Va線の断面図、図5(b)は図5(a)の部分拡大図、図5(c)は図4(b)のVc−Vc線の断面図、図5(d)は図4(c)のVd−Vd線の断面図である。
【0031】
制御ボックス33は、電源・機器制御回路部品及び音声発生装置38を実装した回路基板37と、この回路基板37を収納する箱体33Aとを有している。回路基板37は、矩形状の絶縁体からなる基板に、モーター及びヒーター並びにオゾン発生器へ給電し制御する電源・制御回路部品が実装されるとともに、一片隅に音声発生装置38を配設して、それらを電気的に回路配線したものとなっている。電源・制御回路部品は、回路基板37に所定の素子などをレイアウト配設するとともに、音声発生装置38は、回路基板37の一片隅に、音声発生装置38の音声発生部38aが回路基板37上に向けてレイアウト配設されている。電源・制御回路部品は、コイル素子、抵抗素子、コンデンサ、並びにマイクロコンピュータ及びその付属品、例えばメモリーなどとなっている。なお、このメモリーには、加湿温風機を制御する制御プログラムがメモリーされている。音声発生装置38は、振動板を作動させて音響を発生させるもの、例えば圧電ブザーなどを使用する。勿論、圧電ブザー以外のものでもよい。音声発生装置38は、頂部が音声発生部38aとなっている。回路基板37には、電源・制御回路部品の他に音声発生装置38を装着したので、部品の集約化ができて、この回路基板からの機器、すなわち、加湿温風機内へ組立、配線数などを低減できる。
【0032】
箱体33Aは、回路基板37より若干大きい底板部34a、この底板部の周囲から所定高さ立設された側板部34b〜34e及び底板部と対向する面に開口34fを有し、内部に前記回路基板37を収容できる大きさの本体ケース34と、この開口34fを塞ぐ蓋体35とを有し、蓋体35は、音声発生装置38と対向する箇所に電子音を外部へ伝達する開口孔35aが形成されている。本体ケース34の底板部34aには、機体に固定する固定脚が外方へ突起して形成されている。蓋体35は、本体ケース34に開閉自在にし、本体ケース34と蓋体35とは、電気絶縁性合成樹脂の一体成型体で作製されている。この箱体33Aは、防水又は簡易防水構造にするのが好ましい。防水構造は、隙間にパッキンなどを装着することによって行う。
【0033】
この蓋体35は、図5(a)、図5(b)に示すように、開口孔35aの周囲に該開口孔に連通した円形の中空孔を有し音声発生装置38に到達する長さの筒状体36が設けられている。この筒状体36は、蓋体に一体に形成されている。また、筒状体36は、その中空孔の直径、すなわち、開口孔35aから音声発生装置38に向かうにしたがって順次漸減されて、d1>d2となっている。さらに、筒状体36の先端部と音声発生装置38の音声発生部38aとの間には、音声発生部38aからの機械的振動が伝達されない長さの隙間d3、例えば5.0mm程度があいている。
【0034】
制御ボックス33は、蓋体35に音声発生装置38の音声発生部38aと対向する箇所に開口孔35aが形成されているので、この開口孔35aを通して電子音が外部へ容易に伝えることができる。また、筒状体36の先端部と音声発生装置38の音声発生部38aとの間には、隙間d3があいているので、蓋体35に音声発生部38aからの機械的振動が伝達されることがない。
【0035】
図6を参照してヒーターを説明する。なお、図6はヒーター回路図である。
【0036】
ヒーター19は、送風ファン17の下方に所定の隙間をあけて取付け板部14に装着されている。このヒーター19には、正特性のセラミックヒーターを使用する。このヒーター19は、3個のセラミックヒーター素子からなるヒーターユニットで構成されている。このヒーターユニットは、図6に示すように、3個のセラミックヒーター素子H1、H2、H3が並列接続されスイッチS1〜S3を介して電源Pに接続された構成を有している。この3個の素子の容量は、例えば、H1は600W、H2は600W、H3は300Wのものを使用し、スイッチS1〜S3を切換えて使用する。このように容量の異なる複数個のヒーターを使用し、これらを組合せることにより温度調節の範囲が拡大できる。各ヒーター素子H1、H2、H3のうち、最も容量の小さい素子H3を機体の背面側に配設することが好ましい。容量の小さいヒーターH3を機体の背面側に配設することにより、取付け部材の耐熱対策が容易になり、しかも、加湿運転の際に小容量ヒーターを使用して加湿できる。また、ヒーターH3と湿風送風ダクト21との間には、バイパス通風路X3があるので、加湿風が不必要に加熱されることがなくなる。
【0037】
図7、図8を参照して、風路切換え手段を説明する。なお、図7は風路切換え手段の斜視図、図8は風路切換え手段の弁体の回動位置を模式的に示した説明断面図である。
【0038】
風路切換え手段26は、ヒーター19のほぼ真下に配設されており、分岐送風路X1、X2の送風口15a、21aを開閉するものであって、送風口を塞ぐ弁体を有するもので構成される。この風路切換え手段26は、矩形状の弁体27と、この弁体の一側辺の両端に設けられた枢軸28a、28bと、一つの枢軸28bに結合されたカム機構29とからなっている。矩形状の弁体27は、送風を遮断できるように板状体からなる。なお、図7の格子状の桟27aは樹脂成型したときの補強桟である。この風路切換え手段26は、一方の枢軸28aが機体フレーム11の開口(図示省略)に挿入され、また、カム機構29は、取付け板部14に装着され、モーター(図示省略)により、所定の回動制御がなされる。更にこの風路切換え手段26は、その回転軸、すなわち、両端の枢軸28a、28bで結合された回転軸がヒーター19のほぼ真下にあって、温風送風路Xの幅長方向の中心部分に位置するように取付けけられる。風路切換え手段26の回転軸(枢軸28a、28b)がヒーター19のほぼ真下に枢支されることにより、図8に示すように、風路切換え手段26の弁体27が垂直位置Bにあるときは、温風送風路Xから送られてくる温風が分岐送風路X1、X2へバランスよく等分して送り出されるようになる。また、風路切換え手段26の弁体27がこの位置から左右に回動させれば、それに応じて温風の送風量を簡単にバランスよく調節することが可能になる。
【0039】
図2、図3に戻って、加湿手段及びオゾン発生器を説明する。
【0040】
基台部12には、図2、図3に示すように、空間30内に加湿手段31及びオゾン発生器(図示省略)が配設されている。加湿手段31は、加湿フィルターからなり、直方体形状をなしている。この加湿フィルターは多孔質のスポンジ或いは吸水性を有する不織布などを用いる。この加湿フィルターは、貯水皿32に設置される。貯水皿32には、貯水タンクT(図2参照)から弁機構等(図示省略)によって制御されて、所定量の水が一時的に貯められるようになっている。貯水皿32に貯められた水は、加湿フィルター31に供給され、送風された空気が加湿フィルター31内を通過し、水分を含んだ空気が送風される。なお、加湿手段31は、加湿フィルターに限定されるものでなく、他のもの、例えば超音波式の加湿器などを用いてもよい。
【0041】
また、この加湿フィルター31の手前、すなわち、分岐送風路X2と加湿フィルター31との間にオゾン発生器(図示省略)が設置されている。このオゾン発生器は、例えば、アルミナ基板に誘導電極と放電電極を形成した沿面放電式のオゾン発生電極を用いる。このオゾン発生器の設置により、空気中に含まれる浮遊細菌類に対して効果的に殺菌作用を発揮する。なお、このオゾン発生器は、加湿フィルター31の後段に設けてもよい。これにより、加湿用水中で繁殖し加湿空気に乗ってくる細菌類に対して直接殺菌作用を発揮する。
【0042】
また、このオゾン発生器に代えて、プラズマイオン及びマイナスイオンの少なくとも一方のイオンを発生させるイオン発生器を用いてもよい。マイナスイオンにより、使用者にリラックス効果を与えることができる。更に、オゾン発生器に代えて電解水除菌システムを用いても良い。電解水除菌システムを用いることにより空気清浄機としての機能も活用することが可能となる。
【0043】
前面カバー20は、貯水タンクTを覆う大きさを有し、その表面に化粧加工が施され、貯水タンクを覆って、機体フレーム11に着脱自在に装着される。また、背面カバー22には、上方に吹出口23が形成される。この吹出口23は、湿風送風ダクト21の開口の上に設けられる。温風吹出口15には、図1(a)に示すように、格子状の枠体16が設けられて、吹出口15から送風された温風が所定の方向へ向くようになっている。また、操作パネル25は、図1(b)に示すように、電源スイッチ、運転モード設定手段、表示部などが設けてある。運転モードは、温風運転モード、加湿温風運転モード及び加湿運転モードとなっている。なお、このような操作パネルは、既に公知であるので説明を省略する。
【0044】
以下に、図1〜図8を参照して、この加湿温風機の運転モードを説明する。この加湿温風機10は、温風運転モード、加湿温風運転モード及び加湿運転モードで運転される。
(a)温風運転モード
操作パネル25上の電源スイッチをONするとともに温風運転モードを設定する。これによりモーター18が回転して送風ファン17が回転されて、送風ファンからの空気がONされたヒーター19で加熱されて温風送風路Xへ送風される。温風送風路Xへ送られた温風は、風路切換え手段26の弁体27が図8に示すAの位置に回動されているので、温風吹出口15を通って外部へ送風される。このとき、送風ファン17からの空気は、ヒーター19を通らず迂回してバイパス通風路X3を通ってオゾン発生器及び加湿フィルター31と通過して、湿風送風ダクト21へ入り込み湿風吹出口23から外部へ送風される。
【0045】
この温風運転モード設定時には、送風機からの空気を加熱しないで加湿手段で加湿し浄化して、湿風吹出口から外部へ送風できるので、この運転モード設定時に温風暖房に加えて微加湿しながら浄化できる。バイパス通風路を通る空気は、送風機から送風される空気の一部であるので、温風温度を加湿によって低下させることがない。
(b)加湿温風運転モード
この加湿温風運転モードは、風路切換え手段26の弁体27が図8に示すAとCとの間に位置された状態で運転されることとなり、室内の温度及び湿度を検知して、設定された温度・湿度での運転となる。このモードは、自動加湿モードとなる。
(c)加湿運転モード
加湿運転モードは、風路切換え手段26の弁体27が図8に示すCの位置に回動された加湿のみの運転となる。
【0046】
この実施形態に係る制御ボックスによれば、内部に収容される回路基板に、電源・制御回路部品の他に音声発生装置を装着したので、部品の集約化ができて、この回路基板からの機器、すなわち、加湿温風機内への組立、配線数などを低減できる。また、蓋体に音声発生装置の音声発生部と対向する箇所に開口孔が形成されているので、この開口孔を通して電子音が外部へ容易に伝わることができる。また、筒状体の先端部と音声発生装置の音声発生部との間には、隙間があいているので、蓋体に音声発生部からの機械的振動が伝達されることがない。さらに、この制御ボックスを設けた加湿温風機は、制御ボックスに部品の集約化ができて、この回路基板からの機器、すなわち、加湿温風機内へ組立、配線数などを低減できるので、コスト安を実現できる。
【0047】
また、この加湿温風機は、以下の特徴をも備えている。送風機と湿風送風路とがヒーターを迂回したバイパス通風路で連結されているので、送風機からの空気を加熱しないで加湿して、湿風吹出口から外部へ送風できる。すなわち、風路切換え手段により、温風が温風吹出口側又は湿風送風路側のいずれへ切換えられても、送風機からの空気の一部が加熱されないで加湿されて、湿風吹出口から送風できる。特に、温風吹出口側へ切換えられたとき、すなわち温風運転モード設定時に、送風機からの空気を加熱しないで加湿手段で加湿し浄化して、湿風吹出口から外部へ送風できるので、この運転モード設定時に温風暖房に加えて微加湿しながら浄化できる。バイパス通風路を通る空気は、送風機から送風される空気の一部であるので、温風温度を加湿によって低下させることがない。また、他の運転モードのときも悪影響を及ぼすこともない。
【0048】
さらに、この加湿温風機は、機体のほぼ中心部に温風送風路が形成され、しかもこの送風路はその下流で機体の前面及び背面側へそれぞれ分岐され、かつ分岐する位置に風路切換え手段が配設されるので、温風や湿風をバランスよく機体の前面及び背面へ送風することが可能になる。すなわち、温風送風路が機体のほぼ中心部に位置し、しかも風路切換え手段も中心部の分岐路に配設されるので、送風路が機体の前面及び背面へバランスよく等分され、しかも送風路も短縮され、送風をスムーズに効率よく機体の前面及び背面へ切換え送風が可能となる。また、湿風送風ダクトは、機体背面のスペースを有効利用して配設でき、しかもこのダクトの吹出口を機体の上方まで延長させることが可能になる。
【0049】
したがって、この吹出口が機体の上方に位置することにより、従来技術のように加湿風が人体に直接当たり不快感を与えることがなくなる。風路切換え手段がヒーターのほぼ真下に配設されるので、温風送風路からの切換開閉を多段階に行うことが可能になる。自動加湿モードが選択されている際に、予め設定された二つの設定値によりダンパーを動作させ、湿風の供給量を制御することができるようになるため、室内の湿度に合わせた湿風の供給が可能となる。
【符号の説明】
【0050】
10 加湿温風機
11 機体フレーム
12 基台部
13 底部
14 取付け板部
15 温風吹出口
17 送風ファン
18 モーター
19 ヒーター
21 湿風送風ダクト
23 湿風吹出口
24 狭隙ダクト
25 操作パネル
26 風路切換え手段
31 加湿手段(加湿フィルター)
33 制御ボックス
33A 箱体
34 ケース本体
35 蓋体
35a 開口孔
36 筒状体
37 回路基板
38 音声発生装置
38a 音声発生部
X 温風送風路
3 バイパス通風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源及び機器制御回路部品が実装された回路基板と、前記回路基板を収納する箱体とを有する制御ボックスにおいて、
前記箱体は、前記回路基板より大きい底板部、前記底板部の周囲から所定高さ立設された側板部及び前記底板部と対向する面に開口を有して内部に前記回路基板が収容される本体ケースと、前記開口を塞ぐ蓋体とを有し、前記回路基板は、音を発生する音声発生装置が実装されて、前記本体ケースに、前記音声発生装置が実装された回路基板を収容して、前記蓋体は、前記音声発生装置と対向する箇所に音を外部へ伝達する開口孔が形成されていることを特徴とする制御ボックス。
【請求項2】
前記蓋体は、前記開口孔の周囲に該開口孔に連通した中空孔を有し前記音声発生装置に到達する長さの筒状体が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の制御ボックス。
【請求項3】
前記筒状体は、前記蓋体に一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の制御ボックス。
【請求項4】
前記中空孔は、前記開口の面積が前記開口孔近傍から前記音声発生装置に向かうにしたがって順次漸減されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の制御ボックス。
【請求項5】
前記筒状体と前記音声発生装置の音声発生部との間に、前記音声発生部からの機械的振動が伝達されない長さの隙間があいていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の制御ボックス。
【請求項6】
前記蓋体は、前記ケース本体に開閉自在に、且つ一体成型により形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の制御ボックス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの制御ボックスを加湿機能付きの温風機内に装着したことを特徴とする加湿温風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−67992(P2012−67992A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215079(P2010−215079)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】