説明

制御・監視システム

【課題】主局と、主局のみに接続された従局で構成されるターミナルの複数を備えながら、ターミナルにおける主局と従局の断線を正確に検知できる制御・監視システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る制御・監視システムは、共通のデータ信号線に接続された主局と、前記主局に接続された従局とで構成されるターミナルの複数を備える。そして、前記複数の主局及び従局の複数の各々に対応するインデックスアドレスの一つを、前記複数のターミナルに送出される制御データ列の任意の位置で指定し、前記任意の位置で指定された前記インデックスアドレスが自局に対応することを認識した前記主局、および前記インデックスアドレスが自局に接続された従局に対応しかつ前記従局の接続されていることを認識した前記主局は、前記主局または前記従局に対応した確認信号を送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の保管棚等の収容空間に保管されている物品の中から、適切な物品の受け取りや補給の指示を一括して制御し、また、保管棚等の状態を監視する制御・監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品受取管理システムの代表的な例として、組立て生産工程、特にセル生産方式による工程等において広く使用されているピッキングシステムがある。このピッキングシステムとは、物品の保管棚に保管されている物品の中から製品の組立てに必要な部品を受け取る作業や、逆に保管棚へ補給する作業の指示を制御するものである。より具体的には、物品が配置されていることを表示するとともに、その物品が搬出されたことを内容とする通知情報の入力手段を備えたターミナルを複数の保管棚の各々に配置し、これらターミナルを、親局を介してコントローラに接続した構成をとるものである。コントローラは部品の受取り指示を、物品が保管されている保管棚に装備されたターミナルを介して行う。作業者は、その指示に従って物品を受け取ると共に、受取り完了の入力として、ターミナルのレバースイッチを操作する。すると、その操作信号は、前記コントローラに伝送される。コントローラは、その情報により作業の進捗状態を認識し、部品の在庫を管理し、保管棚への物品補給のための判断を行い、誤作業の防止を図る。
【0003】
上記のように、作業者に対する表示手段や作業者からの入力手段を備えるターミナルは、複数の保管棚の各々に配置されるため、その必要数は大きく、システムコストに与える影響も大きい。そこで、システムコストを低減するために、例えば、国際公開WO2009/028008号公報に開示されているターミナルが提案されている。このターミナルは、相互に連続するアドレスが付与される主局子局ターミナル(以下、主局という)と従局子局ターミナル(以下、従局という)からなり、従局は、親局との通信または、入力スイッチと表示器を除くすべての回路を主局に依存しているため、その構造を簡素化でき、従来のターミナルより単価を抑え、システムコストの低減を実現することができる。
【0004】
一方、そのような多数のターミナルが全て正常に結線されていることの確認は、システムの使用において極めて重要な事項であり、その手法についても、様々な提案がなされている。例えば、特開昭62−173830号公報には時分割多重伝送システムの断線検出方式が開示されている。この断線検出方式では、前記コントローラに相当するマスターユニットからの伝送信号によって順次アドレス指定されたターミナルユニットからの返信(確認)信号が、マスターユニットで受信されないことにより、信号線に断線が発生したものと判断することができる。
【0005】
また、その他の例として、例えば、特開平6−156709号公報に開示されたデータ伝送装置及びそのターミナルユニットでは、データ伝送の周回の都度、その回数を計数する周回カウンタを利用した断線検知が行われている。この伝送装置において、マスターユニットは、指定アドレスを順次変更することにより各ターミナルユニットを周回するように巡りつつそのターミナルユニットとの間で信号をシリアル伝送し、その周回を何度も繰り返し、各ターミナルユニットとの間でデータの授受を繰り返す。一方、各ターミナルユニットは、データ伝送の周回の都度、周回カウンタがその回数を計数し、そのターミナルユニットに割り当てられた所定値になったことを条件に確認信号を信号線に対して出力する。従って、この確認信号の有無に基づき、各ターミナルユニットにおける断線の有無を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2009/028008号公報
【特許文献2】特開昭62−173830号公報
【特許文献3】特開平7−99503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ターミナルを主局と従局で構成する場合、その構成を簡素化するにあたり、従局を親局が接続された通信線に接続することなく主局のみに接続することが好ましく、従来の手法では、従局における接続断線(以下、断線という)を検知することができないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、主局と、主局のみに接続された従局で構成されるターミナルの複数を備えながら、ターミナルにおける主局と従局の断線を正確に検知できる制御・監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る制御・監視システムは、共通のデータ信号線に接続された主局と、前記主局に接続された従局とで構成されるターミナルの複数を備える。そして、前記主局及び従局の複数の各々に対応するインデックスアドレスの一つを、前記複数のターミナルに送出される制御データ列の任意の位置で指定し、前記任意の位置で指定された前記インデックスアドレスが自局に対応することを認識した前記主局、および前記インデックスアドレスが自局に接続された従局に対応しかつ前記従局が接続されていることを認識した前記主局は、前記主局または前記従局に対応した確認信号を送出する。
【0010】
本発明において、確認信号とは、指定されたインデックスアドレスに対応するターミナルが親局に送信する、インデックスアドレスの指定に対する応答を意味するものである。また、インデックスアドレスとは、複数の主局及び従局の各々を区別するためのものである。各主局及び従局に付与されたアドレスが好適であるが、これに制限されるものではない。例えば、複数の主局及び従局の各々に対応するデータ列における所定の位置に付与されたアドレス番号であってもよい。この場合、どの位置とするかは任意でよく、データ列の先頭や、中間、或いは最後でもよい。
【0011】
前記任意の位置が前記制御データ列の終わりを示すEND信号の直前であってもよい。
【0012】
前記制御データ列は、前記データ信号線に接続された親局から前記ターミナルにデータを出力する出力期間と、前記ターミナルから前記親局にデータが入力される入力期間とを有する監視・制御データ信号における、前記出力期間に送信され、前記確認信号は、前記監視・制御データ信号の終わりを示すEND信号における前記入力期間に送信されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る制御・監視システムによれば、複数のターミナルに送出される制御データ列の任意の位置で指定されたインデックスアドレスと、確認信号の有無により、特定の主局及び従局の断線を正確に検知することができる。すなわち、インデックスアドレスが自局に対応することを認識した主局、およびインデックスアドレスが自局に接続された従局に対応しかつ前記従局が接続されていることを認識した主局は、前記主局または前記従局に対応した確認信号を送出するため、確認信号が得られないインデックスアドレスは、そのアドレスに対応する主局または従局において断線が生じていることを示すものとなる。従って、主局と、主局のみに接続された従局で構成されるターミナルの複数を備えながら、共通のデータ信号線に接続されていない従局の断線を主局の断線と区別して、正確に検知できる。
【0014】
インデックスアドレスを指定する位置は、制御データ列におけるどの位置でもよいが、制御データ列の終わりを示すEND信号の直前とすれば、既存のシステムで使用されているデータ列を変更することなく、インデックスアドレスを指定することができる。従って、既存のシステムに対しても、簡単に適用できる。
【0015】
また、データ信号線に接続された親局とターミナルとの信号の送受信において、親局からターミナルにデータを出力する出力期間と、ターミナルから親局にデータが入力される入力期間とを有する監視・制御データ信号を使用し、事実上の双方向通信とすれば、通信速度を上げることが可能になり、断線検知をより迅速に行うことが可能となる。なお、この場合、複数のターミナルに対する制御データ列は出力期間に送信されることになる。また、確認信号は監視・制御データ信号の終わりを示すEND信号における入力期間に送信すれば、既存のシステムで使用されているデータ列を変更することなく、確認信号を送信することができる。従って、既存のシステムに対しても、簡単に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る制御・監視システムの実施例における親局のシステム構成図である。
【図2】同制御・監視システムの概要を示すシステム構成図である。
【図3】同制御・監視システムの親局に記憶されるインデックスアドレステーブルの模式図である。
【図4】同制御・監視システムに使用されるターミナルのブロック図である。
【図5】同制御・監視システムにおいてターミナルと親局との間で送受信される制御監視信号を示す模式図である。
【図6】同制御・監視システムにおいて親局とターミナルとの間で授受される信号のタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜6を参照しながら、本発明に係る制御・監視システムの実施例を説明する。
まず、制御・監視システムの概要から説明する。図2に示すように、この制御・監視システムは、保管棚の収容空間に保管された物品の管理を行うためのもので、コントローラ1、親局6および複数のターミナル4で構成されている。
【0018】
コントローラ1と親局6はパラレルで接続され、並列信号により高速でデータの授受を行っている。コントローラ1から親局6に対しては、出力ユニット11から並列(パラレル)データである制御信号データ13と、初期設定(イニシャライズ)信号データ14が送出される。また、親局6の入力データ部66からコントローラ1の入力ユニット12に対しては、並列(パラレル)データである監視信号データ15と、断線検知信号データ16が送出される。親局6は、データ信号線DP、DNを介し、複数のターミナル4とデータを共有している。そして、コントローラ1が親局6を介し、全ての制御・監視データを掌握できる構成となっている。
【0019】
ターミナル4は、図2に示すように、データ信号線DP、DNに接続された主局2と、コネクタ5a、5bを介して4本の信号線で主局2に接続された従局3とで構成されている。主局2と従局3は、それぞれ、保管棚のパイプラック10に固定され、作業者への指示を行うための表示ランプ7a、7bと、作業の確認を行うためのレバースイッチ8a、8bを備えている。表示ランプ7a、7bは、前記コントローラ1の制御の下で動作し、また、レバースイッチ8a、8bのオンオフ状態はコントローラ1で把握できるものとなっている。
【0020】
次に、この制御・監視システムを構成する各要素の詳細について説明する。まず、親局6は、図1に示すように、出力データ部61、インデックスアドレス検出部62、タイミング発生部63、親局出力部64、親局入力部65、入力データ部66、END応答データ抽出部78及び断線検出手段79を備える。出力データ部61は、コントローラ1の出力ユニット11から制御信号データ13として受けた並列データを親局出力部64へ引き渡す。この制御信号データ13は、例えば、表示ランプ7の点灯消灯の指示を行うものである。
【0021】
インデックスアドレス検出部62は、その内部に備えるインデックスアドレステーブル68の中に、インデックスアドレスデータを記憶している。インデックスアドレスデータは、断線検知の対象となる主局および従局を特定するためのデータであり、複数の主局及び従局の各々のアドレスが用いられる。インデックスアドレスデータは、制御データ発生手段64及び断線検知手段79に引き渡される。また、前記初期設定信号データ14を受けて、図3に示すテーブルが生成されるが、その生成手順は後述する。なお、図3においてアドレス#adna、#adnbのnは複数のターミナル4を区別するための番号を、文字列の末のaは主局を、bは従局を示し、ターミナル4のアドレスの順番に#ad1a、#ad1b、#ad2a、#ad2b、以降同様にnまでの連番として#adna、#adnbと表記することとする。
【0022】
タイミング発生部63は、発振回路(OSC)71とタイミング発生手段72からなり、OSC71からクロック信号の基本信号を得たタイミング発生手段72が、クロック信号を生成し親局出力部64に引き渡す。親局出力部64は、制御データ発生手段73とラインドライバ74からなり、制御データ発生手段73が、出力データ部61及びインデックスアドレス検出部62から受けたデータと、タイミング発生部63から受けたクロック信号に基づき制御信号を生成し、ラインドライバ74を介して共通データ信号線DP、DNに送出する。
【0023】
ラインドライバ74は、また、DC電源75から電源供給を受け、制御信号とともに、共通データ信号線DP、DNを経由し、ターミナル86用の回路電源を供給する。
【0024】
親局入力部65は監視信号検出手段76と監視データ抽出手段77で構成され、入力データ部66へ入力データ信号を送出する。監視信号検出手段76は、共通データ信号線DP、DNを経由してターミナル4から送出された監視信号を検出する。ターミナル4から送出される監視信号は、レバースイッチ8の作動の有無が電流の有無で表わされており、スタート信号STBが送信された後、各ターミナル4から順次受け取るものとなっている。監視信号の監視データは、タイミング発生手段72の信号に同期して監視データ抽出手段77で抽出され、直列の入力データ信号として入力データ部66及びEND応答データ抽出部78に送出される。入力データ部66は、親局入力部65から受け取った直列の入力データ信号を並列(パラレル)データに変換し、監視信号データ15としてコントローラ1の入力ユニット12へ送出する。
【0025】
親局入力部65から直列の入力データ信号を受け取ったEND応答データ抽出部78は、その信号から確認信号、すなわちEND応答を抽出する。そして、それが前記インデックスアドレステーブルの生成時であれば、END応答データ抽出部78は確認信号が抽出された情報を前記インデックスアドレス検出部62に引き渡し、断線検知の行われているときであれば、断線検出手段79へ送出する。入力データ部66では、前記断線検出手段79の信号データに基づいて、断線の有無を断線検知信号データ16としてコントローラ1の入力ユニット12へ送出する。
【0026】
親局6は、また、伝送インターフェイス回路として、伝送ブリーダ電流回路67を有している。伝送ブリーダ電流回路67は、親局出力部64内のラインドライバ74に接続されており、共通データ信号線DPとDN間の伝送路を安定化させるものである。
【0027】
ターミナル4の主局2は、図4に示すように、アドレス設定回路38、アドレス設定スイッチ39、ターミナル入出力回路40(以下、TN入出力回路40とする)、及び制御データ信号抽出手段41を備えている。一方、従局3は、主局2とほぼ同じ外観を有しているが、主局2が備える上記構成を備えていない。すなわち、従局3は、表示ランプ7bとレバースイッチ8bを有するものの、その内部には回路を備えず、上記構成によるアドレス設定機能や通信機能は、全て主局2に依存するものとなっている。
【0028】
前記アドレス設定スイッチ39は、ターミナル4の設置時において自局のアドレスを設定するもので、このアドレス設定スイッチ39の有する範囲で自由にアドレスが設定できるものとなっている。アドレス設定スイッチ39により設定されたアドレスは、アドレス設定回路38で認識され、TN入出力回路40のアドレス抽出手段42に引き渡される。なお、アドレスの設定は、スイッチによる機械的方法に限定されず、例えば、予め設定された値を親局6から送信し、それを記憶させる方法で行ってもよい。
【0029】
TN入出力回路40は、アドレス抽出手段42、ターミナル入出力部43(以下、TN入出力部43)、出力データ部44、及び入力データ部45で構成されている。アドレス抽出手段42には、既述のように、アドレス設定回路38で認識された自局アドレスが引き渡されるとともに、共通データ信号線DP、DNから制御データ信号抽出手段41を経て、制御データ信号が受け渡される。アドレス抽出手段42は、これらのデータを基に、自局アドレスのデータを得て、そのデータをTN入出力部43に引き渡す。TN入出力部43に引き渡されたデータは、更に出力データ部45に引き渡され、それらデータに基づいて主局2の表示ランプ7a及び従局3の表示ランプ7bが点灯、消灯などの表示を行う。
【0030】
また、TN入出力部43には、主局2のスイッチ8aまたは従局3のスイッチ8bが操作された場合の信号が、入力データ部44を介し入力される。更に、TN入出力部43には、断線検知ライン46からの反転信号CNTが入力されている。反転信号CNTは、コネクタ5を介して接続されている主局2と従局3との接続が断線した場合に”off”となる。そして、インデックスアドレスが主局2に対応するときは、主局2の確認信号(エンド応答データ)タイミング時に、CNT信号に関係なくIout信号が”on”となり、トランジスタ47は”on”となり、共通データ信号線DP、DNに接続確認信号が出力される。一方、インデックスアドレスが従局3に対応するときは、従局3の確認信号(エンド応答データ)タイミング時に、CNT信号が”on”となっていれば、Iout信号が”on”となり、トランジスタ47は”on”となり、共通データ信号線DP、DNに接続確認信号が出力される。また、従局3の確認信号(エンド応答データ)タイミング時に、CNT信号が”off”となっていれば、Iout信号が”off”となり、トランジスタ47が”off”とされ、共通データ信号線DP、DNに接続確認信号が出力されず、後述のように従局3の断線が検知されることになる。入力データ部44を介し入力された監視データもまたIout信号の”on”、 ”off”によるトランジスタ47の”on”、 ”off”操作により、共通データ信号線DP、DNに監視信号として出力される。
【0031】
接続確認信号及び監視信号は、電流信号として送出される。図4に示すように、ターミナル4では、共通データ信号線DPとDNの間にダイオード50を介して並列に挿入されたコンデンサ49を有し、パルス状電圧信号である制御信号における低電圧期間に、このコンデンサ49が充電電圧を保持している間、ダイオード50が”off”することを利用し、監視信号としての電流信号を送出するものとなっている。なお、コンデンサ49のデータ信号線DP側端子とデータ信号線DPとの間にはダイオード50が挿入されているため、制御信号における高電圧期間は、データ信号線DPからダイオード50を介してデータ信号線DN側へ充電電流が流れ、コンデンサ49が充電される。つまり、同一伝送クロック期間で、親局6とターミナル4の双方向データ伝送が実現できる(全2重伝送)。
【0032】
なお、ターミナル4は、特に専用の電源を保有していないが、共通データ信号線DP、DNから供給される、電源を重畳されたパルス信号から、ターミナル4の主局2内部で使用する電源電圧を、ダイオードとコンデンサと三端子電源素子によって作り出している。
【0033】
図5に示すように、親局6から送出する制御データは、スタート信号STBとこれに続く1番目(#ad1)のターミナル4の主局2(#ad1a)の制御”on”/”off”データ部、これに続く1番目のターミナル4の従局3(#ad1b)の制御”on”/”off”データ部、更にこれに続く2番目(#ad2)のターミナル4の主局2(#ad2a)の制御”on”/”off”データ部、そして、以降同様に、n番目のターミナル4の従局3(#adnb)の制御”on”/”off”データ部まで続き、更にその後の、インデックスアドレスデータ部、およびデータ列の終わりを表すENDデータで構成される。ターミナル4から親局6に向けて送出する監視”on”/”off”データ部は制御”on”/”off”データ部期間内に同時に行われる。また親局6と各ターミナル4との間での伝送は、システムの作動中に繰り返し行われる。
【0034】
図5において、上段の制御”on”/”off”データ部は親局6から送出される制御データであり、下段の監視”on”/”off”データ部はターミナル4から送出される監視データである。制御”on”/”off”データ部における制御データの最初のビット(DSP1a)は主局2の表示ランプ7aに点灯或いは消灯を指示するデータであり、表示ランプ7aを点灯させる場合は”on”と、そうでなければ”off”とされる。次のビット(DSP1b)は従局3の表示ランプ7bへの指示データであり、表示ランプ7bを点灯させる場合は”on”と、そうでなければ”off”とされる。一方、監視データの最初のビット(SW1a)は、主局2のレバースイッチ8aの状態を示し、レバースイッチ8aの状態により”on”または”off”とされる。次のビット(SW1b)は、従局3のレバースイッチ8bの状態を示し、レバースイッチ8aの状態により”on”または”off”とされる。以下同様に、全てのターミナル4に関するデータが続く。
【0035】
インデックスアドレスデータ部の値(上段の制御データ)は、断線検知を行う対象となるターミナル4に対応するインデックスアドレスデータである。
前記初期設定信号14を受けた親局6は、インデックスアドレスデータ部の値(上段の制御データ)を、スタート信号STBとこれに続く制御”on”/”off”データ部および監視”on”/”off”データ部、インデックスアドレスデータ部、エンド信号ENDで構成される伝送サイクル毎に、ターミナル4の最大アドレス値に達するまで1ずつ加算していく。各ターミナル4では、自局の主局2または従局3に割り当てられたアドレスが、インデックスアドレスデータ部のデータ値と一致する場合、そのターミナル4はENDデータに対して”on”の応答を返す。一致しない場合は”off”の応答を返す。END応答(END下段)が”on”であった場合は、親局6のEND応答データ抽出部78で抽出され、その主局2または従局3のアドレスが、インデックスアドレス検出部62の内部に備えてある内部メモリの中にインデックスアドレスデータとして、記憶される。
【0036】
初期設定信号14を受けない場合、すなわち、断線検知を行う場合、親局6は、インデックスアドレステーブル68に記憶されているインデックスアドレスデータ群の中からテーブル番号1のインデックスアドレスデータ(#ad1)を選択し、これを伝送する。続けて、前記伝送サイクル毎に、各テーブル番号に対応するインデックスアドレスデータを順次ターミナル4に伝送する。なお、図5において、インデックスアドレスデータ部は4bitとされているが、その幅に制限はなく、ターミナル4の数に応じて決めることができる。各ターミナル4では、まず、主局2に割り当てられたアドレス、すなわちアドレス設定スイッチ39で設定された値が、インデックスアドレスデータ部のデータ値と一致するとき、そのターミナル4の主局2は、ENDデータに対して”on”の応答を返す。この”on”の応答(END応答データ)が本発明の確認信号に相当するものとなり、ターミナル4がEND応答データを”on“で返した場合は、そのターミナル4の主局2が接続されていることになる。
【0037】
一方、予め定められている従局3に割り当てられたアドレス値が、インデックスアドレスデータ部のデータ値と一致するとき、そのターミナル4の主局2は、従局3の確認信号(エンド応答データ)タイミング時に、前記CNT信号が”on”となっていれば、ENDデータに対して”on”の応答を返す。この場合、そのターミナル4の従局3が接続されていることになる。
【0038】
また、予め定められている従局3に割り当てられたアドレス値が、インデックスアドレスデータ部のデータ値と一致するとき、そのターミナル4の主局2は、従局3の確認信号(エンド応答データ)タイミング時に、前記CNT信号が”off”となっていれば、ENDデータに対して”off”の応答を返す。この場合、そのターミナル4の従局3が断線していることになる。
【0039】
END応答は、既述のように、END応答データ抽出部78で抽出される。そして、断線検出手段79はインデックスアドレス検出部62から引き渡されたインデックスアドレスデータとEND応答データ抽出部78で抽出されたEND応答データを照合し、END応答データが”off”ならば、インデックスアドレスに対応する主局2または従局3の断線とみなし、断線検知情報を入力データ部66へ送出する。入力データ部66では、この情報に基づいて、インデックスアドレスに対応する主局2または従局3の断線情報を断線検知信号データ16としてコントローラ1の入力ユニット12へ送出する。従って、END応答データが”off”である場合は、その主局2または従局3の断線していることがコントローラ1で認識されることになる。
【0040】
次に、親局6とターミナル4との間における上記信号の授受を、タイムチャートを参照しながら説明する。
図6は、データ列のアドレス番号(ターミナル4のアドレスでは無い)が0〜1まで、すなわち、図5に示す#ad1のターミナル4と#ad2のターミナル4についてのデータで、#ad2のターミナル4における主局2のレバースイッチ8aが”on”とされた場合を示すタイムチャートである。
【0041】
図6において、上から3段目の信号Vxが親局6から共通データ信号線DP、DNを介してターミナル4に伝送される一連のパルス状の伝送クロック信号であり、制御信号に相当する。この信号VxはグランドレベルGNDに対し、21.5Vの平均電源電圧を有し、ターミナル4内部への電源となっている。また、信号Vxは、自身の通常パルス幅より長い”on”時間のパルス信号からなる図示しないスタート信号から始まり、複数のターミナル4のそれぞれに対するパルスデータが連なった後、インデックスアドレスデータ部に対応するパルスデータが続き、信号の最終を識別する図示しないENDデータで終了する。なお、各ターミナル4に対応するデータ単位、すなわち伝送クロック数は予め規定されている。図5の場合、各ターミナル4の主局2と従局3のそれぞれに1伝送クロックが対応している。ただし、このデータ単位に制限は無く、授受する必要のある情報量に応じ、適宜決めることができる。このスタート信号からエンドデータまでの一連のパルス信号は、親局6とターミナル4の間で繰り返し授受される。
【0042】
更に、信号Vxはパルス幅により出力(制御)値を表現しており、1伝送クロックにおいて電圧レベルの高い期間(HIGHレベル期間)が短い場合は“0”を表し、長い場合は、“1”を表している。従って、図5に示す信号Vxの0番地、1番地、2番地及び3番地のアドレスの出力データはそれぞれ“0”、“0”、“1”、“0”を表す。
【0043】
一方、図6において最下段に示す電流信号Isは、ターミナル4から共通データ信号線DP、DNを介して親局6に伝送される電流パルス信号であり、監視信号に相当する。この電流信号Isは、ターミナル4からの入力(監視)値を表現しており、所定の閾値Ithより小さい場合は“0”を表し、閾値Ithを超えた場合は“1”を表している。また、この電流信号Isは、上記のとおり、親局6から送出される制御信号、すなわち、前記信号Vxにおいて電圧レベルの低い期間(LOWレベル期間)に送出される。つまり、電圧信号に電流信号を重畳して入力信号と出力信号を同時に扱うことが可能となる。なお、電流信号Isにおけるアドレス番号は前記信号Vxと同じものとなるため、図5に示す電流信号Isの0番地、1番地、2番地及び3番地のアドレスの入力データはそれぞれ“0”、“0”、“1”、“0”を表すことになる。
【0044】
インデックスアドレスデータ部で指定されたインデックスアドレスに対応する主局2または従局3に対応するものとして主局2が送信する確認信号もまた、電流信号Isである。確認信号は、ENDデータを構成するEND伝送クロックにおけるLOWレベル期間に、上記監視信号と同様に送出される。そして、この確認信号が”on“であれば、上記のとおり、主局2または従局3が接続されていることとなる。一方、”off“である場合は、主局2または従局3は接続されてないことになる。
【0045】
以上のように、この制御・監視システムによれば、複数のターミナル4に送出される制御データ列のENDデータの直前で指定されたインデックスアドレスと、確認信号の有無により、主局2のみに接続されている従局3の断線を主局2の断線と区別して、正確に検知できる
【符号の説明】
【0046】
1 コントローラ
2 主居
3 従局
4 ターミナル
5a、5b コネクタ
6 親局
7a、7b 表示ランプ
8a、8b レバースイッチ
10 パイプラック
11 出力ユニット
12 入力ユニット
13 制御信号データ
14 初期設定信号データ
15 監視信号データ
16 断線検知信号データ
38 アドレス設定回路
39 アドレス設定スイッチ
40 TN入出力回路
41 制御データ信号抽出手段
42 アドレス抽出手段
43 ターミナル入出力部
44 出力データ部
45 入力データ部
46 断線検知ライン
47、48トランジスタ
49 コンデンサ
50 ダイオード
61 出力データ部
62 インデックスアドレス検出部
63 タイミング発生部
64 親局出力部
65 親局入力部
66 入力データ部
67 伝送ブリーダ電流回路
68 インデックスアドレステーブル
71 発信器
72 タイミング発生手段
73 制御データ発生手段
74 ラインドライバ
75 DC電源
76 監視信号検出手段
77 監視データ抽出手段
78 END応答データ抽出部
79 断線検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通のデータ信号線に接続された主局と、前記主局に接続された従局とで構成されるターミナルの複数を備え、
前記主局及び従局の複数の各々に対応するインデックスアドレスの一つを、前記複数のターミナルに送出される制御データ列の任意の位置で指定し、前記任意の位置で指定された前記インデックスアドレスが自局に対応することを認識した前記主局、および前記インデックスアドレスが自局に接続された従局に対応しかつ前記従局が接続されていることを認識した前記主局は、前記主局または前記従局に対応した確認信号を送出することを特徴とする制御・監視システム。
【請求項2】
前記任意の位置が前記制御データ列の終わりを示すEND信号の直前である請求項1に記載の制御・監視システム。
【請求項3】
前記制御データ列は、前記データ信号線に接続された親局から前記ターミナルにデータを出力する出力期間と、前記ターミナルから前記親局にデータが入力される入力期間とを有する監視・制御データ信号における、前記出力期間に送信され、前記確認信号は、前記監視・制御データ信号のEND信号における前記入力期間に送信される請求項1又は2に記載の制御・監視システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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