説明

制御可能な機敏な内視鏡装置

【解決手段】選択的に硬化可能な内視鏡装置について説明される。1つの態様において、第1の内腔を有する可撓性の内管と、該内管を収容する可撓性の外管と、多数の重なり合う硬化可能なうろこ状片と、を含む内視鏡医療装置について説明される。各うろこ状片は、内管に結合され、内管と外管との間に位置付けられる。とりわけ注目すべきは、重なり合う片が、互いに対して滑動可能な非硬化状態と、互いに対して滑動可能でない硬化状態との間で作動可能なことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2007年7月26日出願の同時係属米国仮特許出願第60/952,162号の優先権を主張する。この出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、総じて、内視鏡装置に関するものであり、特に、選択的に硬化可能な内視鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
内視鏡的処置の実施が、ますます増えている。内視鏡機器は、多くの場合、自然な開口部を通して腸管内を進ませるために使用される、又は体腔内に含まれる生体構造をその体腔の壁に開けた小切開を通して検査するために使用される。これらの処置は、生体構造へのアクセスのために大切開を形成することを回避できるゆえに、低侵襲性であると見なされる。具体例の1つは、ポリープと呼ばれる癌領域のために、結腸鏡を使用して結腸にアクセスすることである。このような応用によって、医師は、総じて対処しやすい早期の段階で、医学的問題を可能性診断することが可能になる。
【0004】
従来の内視鏡的処置は、不快なうえに、結腸のデリケートな組織の損傷又は更には結腸の膨満を招く恐れがあった。通常の処置では、結腸鏡は、末端を肛門から挿入され、医師による体外からの基端操作によって結腸内を押し進められる。結腸鏡のなかには、器官の複雑な曲がりに沿って鏡の末端を操縦するためのメカニズムを備えたものがある。これは、鏡の末端を進ませる助けにはなるものの、医師は、依然として、基端に働きかけて基本一方向に押すことしかできない。このように、結腸鏡は、結腸の壁に相当な圧力を及ぼして、患者に痛みを引き起こし、組織を損傷させる恐れがある。更に他の鏡は、鏡の壁自体をガイドとして使用して、結腸内を受動的に進まされる。結腸鏡は、内視鏡的処置の一例にすぎないものの、その他の内視鏡的処置及び低侵襲外科的処置においても、類似の及び非類似のその他の問題にしばしば遭遇される。内視鏡的処理のその他の例として、食道胃十二指腸内視鏡検査、腹腔鏡検査、胸腔鏡検査、及び関節鏡検査が挙げられる。
【0005】
更なる低侵襲技術によってこれらの及びその他の外科的処置を実施することが、ますます求められている。総じて、いわゆる低侵襲的処置は、必要とされる回復及び/又はリハビリが少なく、瘢痕化又はその他の目に見える形跡が抑えられ、尚且つ患者の不快感が軽減される処置である。例えば、腹腔鏡手術は、腹腔内及び骨盤腔内で実施される幾つかの低侵襲外科的処置を指している。このような腹腔鏡的処置では、総じて、腹壁内に形成された最低3つの小切開を通して腹腔鏡器具及び手術器具が挿入される。これらの切開の場所は、腹腔鏡カメラによって手術部位を効果的に見ることができるように、そして器具が手術部位にアクセスすることを可能にするように選択される。総じて、このような切開は、その数を最小限に抑えるように、そして目に見える瘢痕を形成しないように設けることが望ましい。もし可能であれば、臍の穴に切開を設けることが好ましい。なぜならば、結果として生じる瘢痕が明白でなく、外科的切開によって腹筋を切り裂く必要がないからである。
【0006】
既存の内視鏡装置、並びに手術道具及び手術器具を体内に挿入して進ませるためのガイドは、結果として低侵襲技術の向上をもたらしたものの、依然として、例えばデリケートな内部組織を損傷させる傾向を低減させる及び/又は患者の不快感を軽減するような、更なる低侵襲技術が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、選択的に硬化可能な内視鏡装置又は腹腔鏡装置を提供する。1つの態様において、第1の内腔を有する可撓性の内管と、該内管を収容する可撓性の外管と、多数の重なり合う硬化可能なうろこ状片と、を含む内視鏡的又は腹腔鏡的な医療装置について説明される。各うろこ状片は、内管と外管との間において内管に結合されている。とりわけ注目すべきは、重なり合う片が、互いに対して滑動可能な非硬化状態と、互いに対して滑動可能でない硬化状態との間で作動可能なことである。
【0008】
各種の好ましい実施形態において、うろこ状片は、多数の独立に作動可能なグループに分けて配置される。その他の実施形態において、各うろこ状片は、個別に指定可能且つ作動可能であってよい。うろこ状片を非硬化状態から硬化状態に作動させるために、様々な手段が使用されてよい。総じて、選択された重なり合う片は、重なり合う隣り同士の片の間の摩擦力を選択的に制御することによって硬化される。例えば、重なり合う片を合わせてそれらの間の摩擦力を増大させるために、各種の静電気システム及び空気圧システムが用いられてよい。
【0009】
別の態様において、今述べられたような内視鏡装置を選択的に硬化させるための方法が開示される。総じて、方法は、重なり合ううろこ状片のうちの選択された隣り同士の片の間に電場をかけることを含む。電場は、重なり合う片のうちの選択された隣り同士の片を合わせる静電気引力を発生させることによって、重なり合う片のうちの選択された隣り同士の片の間の摩擦力を増大させ、選択された片を互いに対して実質的に滑動不可能にする。その結果、選択された片に隣接する内管の部分が硬化される。
【0010】
更に別の態様において、内視鏡装置をその長さに沿った所定の領域において操縦するための方法について説明される。概して、方法は、所定の領域に直径上で隣接する装置の部分を選択的に硬化させることと、硬化部分の拡張が実質的に阻止される一方で硬化部分に直径上で正対する装置の部分が拡張されるように、装置の内腔内の圧力を上昇させることと、を伴う。その結果、装置は、硬化部分の付近において湾曲され、そうして操縦される。
【0011】
本発明のこれらの及びその他の特徴及び利点は、発明の以下の説明及び関連の図面において説明される。
【0012】
本発明及びその利点は、添付の図面に関連してなされる以下の説明を参照することによって、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にしたがって、例示的な内視鏡装置の一部の斜視図を示している。
【図2A】図1の内視鏡装置の一部の直径方向断面及び軸方向断面をそれぞれ示している。
【図2B】図1の内視鏡装置の一部の直径方向断面及び軸方向断面をそれぞれ示している。
【図3A】本発明の一実施形態にしたがって、一体的に形成された幾つかのうろこ状片を示している。
【図3B】本発明の一実施形態にしたがって、図3Aのうろこ状片が内管の周回りに巻き付けられた様子を示している。
【図3C】本発明の一実施形態にしたがって、図3Aのうろこ状片が内管にらせん状に巻き付けられた様子を示している。
【図4A】本発明の一実施形態にしたがって、収縮された非活性化状態にある図1の内視鏡装置の一部を示している。
【図4B】本発明の一実施形態にしたがって、伸長された非活性化状態にある図1の内視鏡装置の一部を示している。
【図4C】本発明の一実施形態にしたがって、伸長された硬化状態にある図1の内視鏡装置の一部を示している。
【図5A】本発明の一実施形態にしたがって、非硬化状態のうろこ状片を有する図1の内視鏡装置の内管の一部を示している。
【図5B】本発明の一実施形態にしたがって、硬化状態にある図5Aのうろこ状片を示している。
【図6A】本発明の一実施形態にしたがって、幾つかの独立に制御可能な周方向小空間を有する例示的な内視鏡装置の概略断面を示している。
【図6B】本発明の一実施形態にしたがって、幾つかの独立に制御可能な長手方向小空間を有する例示的な内視鏡装置の軸方向断面を示している。
【図7A】本発明の一実施形態にしたがって、非活性化状態において静電クランプを用いる例示的な内視鏡装置の一部の軸方向断面を示している。
【図7B】電気的に活性化されクランプされた硬化状態にある図6Aの装置を示している。
【図8】本発明の一実施形態にしたがって、内視鏡装置を能動的に操縦する及び前進させるためのプロセスを示した流れ図である。
【図9A】図8のプロセスにおける各種の工程を示している。
【図9B】図8のプロセスにおける各種の工程を示している。
【図9C】図8のプロセスにおける各種の工程を示している。
【図10】本発明の一実施形態にしたがって、内視鏡装置を結腸内において能動的に操縦する及び前進させるためのプロセスを示した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図中、類似の参照符号は、類似の構成要素を示すために使用されることがある。また、図中の描写は、概略であって、正確な縮尺ではないことに留意せよ。
【0015】
本発明は、総じて、内視鏡的な装置及び道具に関するものであり、特に、選択的に硬化可能且つ/又は能動的に操縦可能な内視鏡装置に関するものである。以下において、内視鏡装置という用語は、総じて、内視鏡、腹腔鏡、結腸鏡、及び低侵襲医療処置に使用されるその他の様々な鏡はもちろん、これらの及びその他の類似の装置とあわせて使用されるガイド、スリーブ、又はスキンなどの各種の装置も指すものとする。以下の説明から明らかなように、内視鏡装置の全部又は一部を能動的且つ選択的に硬化させる能力は、多くの利点をもたらすとともに、これまでは実現不可能であった様々な応用を可能にする。例えば、選択的硬化は、体内における能動的操縦の手段として用いられてよい。より具体的には、内視鏡道具は、装置の所望の長さに沿って、装置の周回りの特定の領域において硬化されてよい。硬化部分の伸長又は収縮が阻止される又は大幅に抑制される一方で、硬化部分に直径上で正対する部分を含むその他の装置の部分は長手方向に可撓性なままであり、これは、硬化部分の付近における装置の屈曲を促進し、その結果操縦の促進を助けることができる。また、内視鏡装置が体内に完全に配備された際には、装置の硬化可能部分全体を硬化してよく、そうして、そこから各種の処置を実施するための、及び/又はそれに沿って各種のその他の道具及び器具を通すための、堅固なプラットフォームが提供される。特に注目すべきは、本明細書において説明される内視鏡装置が、総じてあらゆる構成に硬化可能であることである、すなわち、本明細書において説明される内視鏡装置が、硬化前にどれほど入り組んでいても、事実上あらゆる形状を維持するように硬化可能であることである。
【0016】
各種の内視鏡装置を選択的に硬化させるための様々な方法及び構造が後述される。概して、本発明は、内視鏡装置の薄い覆い内に設けられた重なり合う素子の間の摩擦力を制御することによって、重なり合う隣り同士の素子の間の運動を選択的に阻止又は抑制し、そうして、装置の所望の部分を可制御式に且つ選択的に硬化させる。特定の実施形態においては、上記の素子は、可撓管の周回りに可撓管の長さに沿って配置された薄いうろこ状の片の形態をとる。これらのうろこ状片の間の摩擦を増大させるものとして、例えば、重なり合う片を空気圧システムを通じて押し合わせるなどの各種の機械的メカニズムはもちろん静電気引力も含む、様々な手段が説明される。
【0017】
添付の図面に図示されるような各種の例示的実施形態を参照にして、本発明の各種の態様が詳細に説明される。以下の説明においては、本発明の完全な理解を可能にするために、多くの詳細が特定されている。しかしながら、当業者ならば明らかなように、本発明は、これらの詳細の一部または全部を特定しなくても実施可能である。また、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、周知のプロセス工程及び/又は構造の詳細な説明は省略される。
【0018】
先ず、図1を参照にして、例示的な内視鏡装置100(以下では「内視鏡」又は「内視鏡道具」とも称される)について説明される。内視鏡装置100は、総じて、自然な開口部、又は人(若しくはその他の動物)の体内にいたるその他の切開若しくは開口を通して挿入されるように、そして更に、引き続き体内を進められるように構成される。特定の実施形態において、内視鏡装置100は、結腸鏡としての使用、又はより一般には結腸鏡的処置における使用のために構成される。このような実施形態において、内視鏡装置100は、肛門に挿入され、引き続き結腸内を進められてよい。内視鏡装置100は、体腔内における使用のために内視鏡装置100の中心内腔120に手術道具及びその他の器具を含む各種の道具を通せるように構成されてもよい。内視鏡装置100は、腹腔鏡的処置及びその他の各種の処置における用途も見いだせる。その他の実施形態において、内視鏡装置100は、手術道具及びその他の各種の内視鏡装置とともに使用するためのガイド、スリーブ、又は外皮として構成されてよい。例えば、内視鏡装置100の中心内腔120内に、手術道具、従来の内視鏡、又はその他の装置が挿入されてよく、そうして、内視鏡装置100は、対応する装置を取り巻くとともにその装置を部分的に選択的に硬化させるために使用できるようになる。これらの実施形態の一部において、内視鏡装置は、対応する装置を体内において操縦する又は進めるためのガイドとして機能してよい。
【0019】
図1に示された断面101によって示されるように、内視鏡装置100は、総じて、内管102と、外管104と、内管102の外側表面103と外管104の内側表面105との間の中間空間108内に配置された幾つかの作動可能素子106とを含む。各種の実施形態において、作動可能素子106は、隣り同士の片が互いに重なり合うように配置されたうろこ状片の形態をとる。より具体的には、うろこ状片106は、所定の片の少なくとも一部が隣りの片の少なくとも一部に重なるように配置される。例示的実施形態の以下の説明においては、作動可能素子106は、総じて、うろこ状片106と称されてよい。しかしながら、これは、どの実施形態においても、作動可能素子の幾何学形状を具体的に限定することを意図していない。内視鏡装置100は、数十又は数百(又はそれより多くの)個々のうろこ状片106を有してよい。
【0020】
内管102は、その長さに沿って少なくとも長手方向に可撓性であるという意味で、変形可能な構造と見なされてよい。より具体的には、各種の実施形態において、内管102は、長手方向には収縮又は伸長することができるが径方向への拡張は規制される。内管102は、幾つかの異なる材料で形成されてよい。例えば、内管102は、シリコーン、ポリウレタンはもちろん、その他の様々な適切な弾性材料で形成されてよい。また、一部の好ましい実施形態において、内管102の壁110は、体内に挿入される使用時などに内管102が屈曲又は湾曲されるときの内管102の座屈を抑制又は阻止するために、十分な軸方向強度を有してよい。総じて、内管の壁の適切な厚さは、内腔120のサイズを含む、内腔の材料及び幾何学形状などの多くの要因に依存している。或いは、内腔120は、圧縮荷重を受けたときの座屈を阻止するために、空気又はその他の何らかの気体若しくは液体などの流体によって加圧することができる。断面を維持するために内圧に依存しないその他の実施形態の場合は、より厚い壁が望ましいであろう。
【0021】
ポリウレタンなどの径方向に拡張可能な材料で内管102が形成される実施形態においては、内管102の長さに沿って、間隔をあけて、幾つかの周方向規制部が提供されてよい。周方向規制部は、所望の直径を超える内管102の径方向の拡張を抑制又は阻止するように配置される。周方向規制部は、総じて、非弾性材料のリングで形成され、内管が収縮状態、伸長状態、又はその他の何らかの平衡状態のいずれにある場合でも内管102の長さに沿って所望の位置に維持されるように、適切な接着剤又はその他の手段によって内管102の外側表面103に固定されてよい。一部の実施形態において、作動可能素子又はうろこ状片106は、周方向規制部の上に配置されてよい。
【0022】
図1に図示された実施形態において、外管104は、ある種の平衡状態及び/又は非平衡状態において内管102及び外管104が概ね同心であることが可能であるように、内管102の周囲に配置される。外管104も、やはり、好ましくはその長さに沿って長手方向に拡張及び収縮することができる材料で形成される。例えば、外管104の形成には、ポリウレタンなどの幾つかの弾性材料の使用が適しているであろう。総じて、外管104は、内視鏡装置100の使用時に外管104が接触するであろう人又はその他の動物の組織に対して生体適合性であることが望ましい。
【0023】
一部の実施形態において、外管104は、その直径が可変であるように、径方向に拡張可能であってもよい。例えば、外管104は、結腸又は食道などの管状器官を直径方向に満たすために中間空間108内の圧力が周辺環境に対して十分に上昇されたときに外管104が径方向に拡張することを可能にする弾性材料で形成されてよい。このようにして、内視鏡装置100は、管状器官内に留め付けられてよい。外管104は、また、中間空間108内の圧力が適切に低減されたときに外管104が径方向に収縮することを可能にすることによって外管の内側表面を収縮させうろこ状片106に押し付けることを可能にする弾性材料又はその他の可撓性材料で形成されてよい。内管102と同様に、外管104の壁の厚さは、特定の応用のニーズにしたがって、そして外管の材料及び幾何学形状にしたがって、大きく異なってよい。
【0024】
内視鏡装置100は、装置の末端116に先端114を含む(末端は、体内に最初に挿入される端である)。先端114は、使用時に接触するであろう組織を傷つけない(すなわち非外傷性である)ように構成されてよい、すなわち、先端114は、装置100の前進とともに結腸などのデリケートな組織を損傷させる又はその外傷を誘発する傾向を低減させるように、柔らかい材料で形成され且つ/又は適切に成形されてよい。一部の実施形態において、内管102及び外管104は、先端114に接続又は結合され、先端114とともに中間空間108を密閉する働きをする。また、図示された実施形態において、先端114は、アパーチャ118を含む。アパーチャ118は、内視鏡装置100の中心内腔120に道具や器具を通らせて及び/又は組織を除去してアパーチャ118に出入りさせることが望ましい実施形態において、特に有用である。
【0025】
図2A及び図2Bは、内視鏡装置100の一部の直径方向断面及び軸方向断面をそれぞれ示している。図2A及び図2Bは、うろこ状片106のとある特定の配置構成を、より詳細に示している。内管102及び外管104と異なり、うろこ状片106は、比較的堅い又は非弾性の材料で形成される。例えば、うろこ状片106の形成には、幾つかの非拡張性のプラスチック材料又は高分子材料が使用されてよい。総じて、うろこ状片106は、屈曲可能ではあるが拡張可能ではないように形成される、すなわち、うろこ状片は、引っ張り歪みに抵抗する。一部の特定の実施形態において、うろこ状片106は、薄いMylar又はナイロンの片で形成される。適切な厚さは異なってよいが、一部の特定の実施形態において、各うろこ状片106は、およそ20〜60μmの範囲の厚さを有してよい。更に、後述される実施形態の一部においては、うろこ状片は、誘電体材料で形成される。誘電体うろこ状片106は、片106を硬化させるために静電気力が使用される実施形態において、特に有用である。これらの静電的実施形態の一部において、各うろこ状片106の一方の外側表面122は、金属化されている、又はそうでなければ導電層をコーティングされている。1つの特定の実施形態においては、うろこ状片106として機能するMylar片の外側表面122に、アルミニウムの導電性コーティングがスパッタリングされる、又はそうでなければ蒸着される。
【0026】
図示された実施形態において、各うろこ状片106は、内管102の外側表面103に結合される。例えば、各うろこ状片106は、適切な接着剤によって内管102の外側表面103に固定されてよい。しかしながら、一部の代替的実施形態において、うろこ状片は、外管104の内側表面105に結合されてよい。総じて、うろこ状片106の組成、形状、配置構成、絶対的サイズ、及び相対的サイズは、極めて大きく異なってよい。1つの実施形態において、うろこ状片106は、たとえ内管102が最大歪みを受けたときでも、クランプ(硬化)を可能にする十分な表面積の重なりが隣り同士の片の間にあることを保証するために、うろこ状片の間の間隔に相対的にサイズ設定される。重なり合う領域に生成される摩擦力は、荷重を印加された結果として生じる引っ張り応力に抵抗するのに十分な大きさを保たなければならない、という規制を前提とすると、総じて、うろこ状片は、絶対的サイズが小さいほど、より入り組んだ歪み変化を可能にする。1つの実施形態において、もしうろこ状片が比較的短い場合は、各うろこ状片の厚さは、クランプされた又はクランプ解除された(非硬化された)ときに、より屈曲又は湾曲した形状を可能にするために、比較的薄く作成されてよい。また、図示された実施形態は、総じてうろこ状片を長方形のものとして示しているが、これは、全ての実施形態における必要条件ではない。あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれた「Mechanical Meta-Materials(機械的メタマテリアル)」と題された同時係属米国特許出願第11/078,678号(代理人整理番号第SRI1P054)は、適切なうろこ状片及びその他の作動可能素子の各種の実施形態、並びに対応する幾つかの使用方法及び応用を説明している。
【0027】
図2A及び図2Bに示された実施形態において、うろこ状片106は、内管102の周回りに列状に配置され、所定の列の片の一部が、すぐ隣りの次の列の片の対応する一部に重なっている。また、図示された実施形態において、各うろこ状片106は、それぞれ個々の(個別の)素子である、すなわち、各片は、それを取り巻く隣りの片と一体的に形成されていない。片106は、総じて、内管102の長手方向中心軸と足並みが揃うように配置される。
【0028】
図3A及び図3Bに示された別の特定の実施形態においては、より大きな一片又はシートから、幾つかのうろこ状片106が一体的に形成される。例えば、図3Aは、例示的な長方形のシート307を示している。シート307は、多数のうろこ状片306を形成するようにカットされている。特に注目すべきは、各片306が、未カットの「根っこ」部分309を通じて隣りの片306とつながったままであるように、各カットが、シート307の幅全体には及ばないことである。片306の幅は、特定の応用にしたがって異なってよいが、一部の特定の実施形態においては、各カットは、すぐ隣りのカットからおよそ3〜12mm(大体0.125〜0.5インチ)の範囲にある。各シート307から一体的に形成される片306の数も、大きく異なってよい。1つの実施形態において、各シート307の長さは、内管302の周に対応するように適切にサイズ設定される。この実施形態において、各シート307の未カットの根っこ部分309は、図3Bに示された軸方向像に示されるように、一体的につながれた片306の輪を形成するように内管102の周回りに巻き付けられて接着固定される。内管が径方向に拡張可能な実施形態において、うろこ状片306のシート307は、それら自体が周方向規制部として機能してよい。別の実施形態においては、より長いシート307が使用される。例えば、図3Cに示された軸方向像においては、内管302の周囲に1枚のシート307がらせん状に巻き付けられる。
【0029】
非活性化状態(以下においては「非作動状態」又は「非硬化状態」とも称される)においては、隣り同士のうろこ状片106の間の摩擦が比較的無視でき、これは、それぞれ収縮状態及び伸長状態にある内視鏡装置100の一部を示している図4A及び図4Bに示されるように、隣り同士の片が力を無視して互いに対して滑動することを可能にする。例えば、一部の実施形態において、装置は、その最大長のおよそ10〜25%の範囲内まで長手方向に折り畳み可能である。非活性化状態において、内管102は、内管102の堅さ又は弾性にしたがって収縮及び伸長することができる。非活性化状態にある内視鏡装置100の堅さ又は弾性は、内管102及び外管104のそれぞれの堅さの何らかの組み合わせであって、うろこ状片106の間の摩擦力によって大きく影響されないものと推定される。
【0030】
しかしながら、本発明の実施形態にしたがうと、隣り同士のうろこ状片106の間の摩擦力は、選択的に変化されてよい。総じて、隣り同士のうろこ状片106の間の摩擦力は、重なり合う隣り同士のうろこ状片106を押し付ける又はクランプすることによって、選択的に且つ可制御式に変化される。次に、隣り同士のうろこ状片106の間の摩擦力を選択的に且つ可制御式に変化させるための幾つかの例示的実施形態が説明される。図5A及び図5Bは、それぞれ非硬化状態及び硬化状態のうろこ状片106を有する内管102の一部の斜視図を示している(内管102の一部のみがうろこ状片106を有するものとして示されているが、内管102の全長にうろこ状片が配置されていてよいことが理解されるべきである)。
【0031】
一部の実施形態においては、選択されたうろこ状片106の間の摩擦力を変化させるために、空気圧システムが用いられる。より詳しくは、1つの実施形態においては、真空を導入して中間空間108内の圧力(例えば空気圧)を周辺環境の圧力未満に低減させるために、真空源が使用される。中間空間108内の圧力の低減は、外管104を径方向に収縮させる効果を有する。圧力が十分に低減されると、外管104の内側表面105は、収縮してうろこ状片106のそれぞれの外側表面122に径方向の力を内向きに作用させる。図4Cは、このような減圧されたクランプ状態又は活性化状態にある図4A及び図4Bの内視鏡装置100を示している。外管104の収縮の結果、重なり合うそれぞれのうろこ状片106の表面の間の垂直力、及びゆえに摩擦力が増大される。適切な圧力下において、重なり合ううろこ状片106の間の摩擦力の増大は、それらの片の間における相対運動を抑制する。
【0032】
摩擦が増大した結果、重なり合う非弾性うろこ状片106は、硬化される、又はより具体的には、重なり合ううろこ状片106は、効果的に組み合わせることによって、うろこ状片106自体を形成するために使用される非弾性材料の堅さを前提とした非弾性単一構造を形成する。重なり合ううろこ状片106の間の相対運動(例えば滑動)は、(印加された荷重が高すぎない限り)阻止されるので、重なり合ううろこ状片によって形成される単一構造は、硬化前におけるうろこ状片106の配置構成又は形状に相対的な更なる大幅な伸長、収縮、又はそれ以外の歪みを実質的に阻止される。
【0033】
重なり合ううろこ状片106は、内管102に対して固定されるので、可撓性の内管102もまた、効果的に硬化される。図示された実施形態において、全中間空間108内の圧力の低減は、内視鏡装置100全体を硬化させる効果を有するであろう。更に、装置100は、事実上あらゆる形状又は構成に硬化されてよい。より具体的には、内視鏡装置100は、装置の長さに沿った1つ又は2つ以上の領域において屈曲され、引き続き硬化されてよく、そうして、装置100は、硬化前にとっていた屈曲の形態を維持することができる。このような硬化能力は、広範囲の応用の取り合わせにおいて有用である。例えば、結腸内又は腹部内を前進される際に、内視鏡装置100は、デリケートな組織を損傷させることなく又は患者の不快レベルを最小限に抑えつつ、道具又はその他の器具を装置100内に誘導して通らせることができるように硬化させることができる。
【0034】
各種の実施形態においては、内視鏡装置100の、より小さい特定の選択部分又は選択領域のみを選択的に硬化させる又はクランプすることが望ましい。これを容易にするために、中間空間108は、幾つかの小空間に分割する又は区切ることができる。例えば、図6A及び6Bは、独立に制御可能な小空間に隣接する選択領域を硬化させるために空気圧(例えば真空)システムを用いる例示的な内視鏡装置600の直径方向断面及び軸方向断面をそれぞれ示している。図6Aに示された実施形態において、中間空間108は、独立に制御可能な周方向の4つの小空間、区域、又は通路630に分割される。このような通路630は、例えば、内管102の外側表面103の長手方向断片を外管104の内側表面105に接続することによって形成されてよい。図示された実施形態においては、通路壁632が内管102と外管104とをそれぞれ相互に接続している。代替の実施形態においては、内管102の部分自体が外管104に接着固定又は溶接されて通路630を形成していてよい。図6Aには、4つの通路630のみが示されているが、通路630の数は、特定の応用のニーズにしたがって異なってよいことに留意するべきである。総じて、うろこ状片を硬化させるために真空を用いる実施形態において、所定の断面における通路630の数は、自由度の数を示している、又はより詳しくは、その断面において内視鏡装置がなしえる個別の屈曲方向の数を示している。例えば、装置がそれを中心に屈曲可能な各個別の軸は、2つの自由度を提供する。各通路630は、自身に関連付けられた真空ラインに接続されてよい。このように、1つ又は2つ以上の選択通路630内のうろこ状片106のみを、そしてその(それらの)選択通路に隣接する内管102の部分のみを硬化させられるように、その(それらの)選択通路内の圧力のみを低減させることができる。なお、所定の直径方向断面における2つ又は3つ以上の通路634内のうろこ状片106の硬化は、更なる回転軸、及びゆえに更なる自由度を提供できることに留意するべきである。
【0035】
中間空間108は、図6Bの長手方向断面によって示されるように、装置の長さに沿って小空間に分割されてもよい。図示された実施形態において、中間空間108は、区切り壁636によって4つの長手方向区域634に長手方向に分割されている。4つの長手方向区域634のみが示されているが、長手方向区域634の数は、特定の応用のニーズに基づいて大きく異なってよい。総じて、うろこ状片を硬化させるために真空を用いる実施形態においては、長手方向区域634の数は、内視鏡装置600のうちの別々に硬化可能な長手方向部分の数を示している。より詳しくは、各区域634は、その他の区域と無関係に硬化されてよいので、回転を通じて例えば結腸内を既に進められている装置の部分は、その他の装置の部分を可撓性な状態に維持したまま硬化されてよい。更に、一部の実施形態においては、各長手方向区域634内に、幾つかの独立に制御可能な周方向区域(図6Aを参照にして説明された通路630など)を組み入れることによって、内視鏡装置のどの部分を硬化するかに対して更に選択的な制御を可能にすることが望ましいであろう。
【0036】
各種の代替的実施形態において、内視鏡装置100のうろこ状片106は、その他の手段を通じてクランプ及び硬化されてよい。1つの代替的実施形態においては、選択されたうろこ状片106をクランプする又は硬化させるために、静電気力が用いられる。これらの実施形態において、うろこ状片106は、誘電体材料で形成される。一部の特定の実施形態において、各うろこ状片106の一方の外側表面122は、金属化されている、又はその他の何らかの導電性層によってコーティングされている。例えば、Myler又はナイロンの片の外側表面が、アルミニウムの薄膜によって金属化されていてよい。
【0037】
例示的な静電的実施形態においては、内管102上の及び/又は外管104上の選択された片に及び/又は関連の電極に、静電ポテンシャルがかけられる。十分な静電ポテンシャルがかけられると、重なり合う隣り同士のうろこ状片の間に、それらの片を合わせてそれらの片の間の摩擦力を増加させることによって重なり合う隣り同士のうろこ状片を最終的に硬化させる電場が生成される。
【0038】
図7Aは、電気的に作動可能なうろこ状片706を有する内視鏡装置700の軸方向断面の一部を示している。図示された実施形態において、電気的に作動可能な各うろこ状片706は、その特定のうろこ状片に隣接する内管102の壁に取り付けられた関連の電極707を有する。図7Bは、クランプ状態又は硬化状態にあるときの図7Aの装置を示している。図7Bに示された実施形態においては、選択されたうろこ状片706の外側導電性表面722が接地される一方で、選択されたうろこ状片に隣接する関連の電極707は、正の電圧+Vにバイアスされている。例えば、一部の実施形態において、500〜5000ボルトの範囲の正の電圧が、優れた働きをすることが示されている。
【0039】
代替の実施形態において、電極707は不要である。この実施形態においては、重なり合う隣り同士のうろこ状片706の外側表面が、異なる電圧にバイアスされている。例えば、第1の列の片706の外側導電性表面を電圧V+にバイアスする一方で、すぐ隣りの第2の列の片706の外側導電性表面を接地する又は負の電圧V−にバイアスすることによって、重なり合う隣り同士の片をクランプしてよい。このパターンは、第2の列のすぐ隣りの第3の列の片706が再び+Vにバイアスされるように繰り返されてよい。
【0040】
更に別の実施形態において、指定可能な電極707は、外管704上にも配置される。この実施形態においては、うろこ状片706は、全体を誘電体材料で形成されてよく、導電性表面を含まない。その代わり、選択されたうろこ状片706がクランプされる際に、内管702上の及び外管704上の電極707に、相対する電圧がそれぞれ印加されてよい。例えば、内管702上の選択された電極707を正の電圧V+にバイアスする一方で、直径上で隣接する外管704上の関連の電極707を接地する又は負の電圧V−にバイアスすることによって、バイアスされた電極707の合間にある関連のうろこ状片706間に電場を発生させることができる。
【0041】
静電クランプメカニズムの更なる詳細は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれた「Mechanical Meta-Materials(機械的メタマテリアル)」と題された同時係属米国特許出願第11/078,678号(代理人整理番号第SRI1P054)において見いだすことができる。
【0042】
各種の実施形態において、うろこ状片706自体及びあらゆる関連の電極は、ともに個別に指定可能であることによって、うろこ状片706自体の細かさで選択的硬化を制御することを可能にしている。その他の実施形態においては、複数のうろこ状片706及び/又は関連の電極707をグループレベルで指定することによって、ひとグループの片を同時に硬化させれば十分であろう。一部の実施形態においては、装置に結合されたコントローラにうろこ状片706を電気的に接続するために、個々のワイヤが使用されてよい。このようなワイヤは、中間空間708及び/又は中心内腔720を通して配線されてよい。或いは、うろこ状片706及び電極707は、内管702自体の外側表面703上にプリント又はそれ以外の方法で蒸着されてよい電気的トレースを通じてコントローラに電気的に接続されてよい。また、電極707自体も、内管702又は外管704の関連の表面上にプリントされてよい。例えば、このような電気的トレースは、対応する表面上に蒸着されたグラファイトからなっていてよい。
【0043】
更にその他の実施形態において、重なり合ううろこ状片106の間の摩擦力を変更するその他の手段が使用されてよい。例えば、一部の実施形態において、うろこ状片106を硬化させるために、磁気クランプが使用されてよい。また、重なり合ううろこ状片106の間の摩擦力を変更する上記の手段は、いずれも調節可能であることがわかる、すなわち、摩擦力、及びゆえに硬化の度合いは、微細に制御されてよいことがわかる。総じて、調節可能な制御の正確さは、うろこ状片106の数と、うろこ状片を活性化又は硬化させるために使用される指定の細かさとに依存する。
【0044】
以上の実施形態は、うろこ状片106の特定の配置構成を参照にして説明されたが、選択的な硬化は、様々に異なるサイズ及び形状を有する広範囲のうろこ状片の取り合わせによっても実現可能であることに留意するべきである。例えば、これまでのところ、実施形態は、うろこ状片の重なりを、単一方向の規則的なパターンで示されてきた。すなわち、作動可能素子、片、又はうろこ106は、総じて列状に配置されてきた。このような配置構成は、外部荷重が1つの方向に印加される(軸方向荷重など)材料によく適している。しかしながら、うろこ状片の配置構成は、このような単純な配置構成に限定されず、その他の配置構成も考えられる。例えば、うろこ状片は、隣り同士の片の間において、異なる全ての又は幾つかの方向に重なりがあるように配置されてよい。うろこ状片のこのような配置構成は、装置に印加される多方向の荷重及び曲げモーメントに対して内視鏡装置が望みどおりに応答することを可能にする。
【0045】
また、上述のように、片106の幅及び向きも、大きく異なってよい。1つの実施形態において、うろこ状片は、比較的低いアスペクト比(長さ対幅)で実装される。例えば、多くの実施形態において、約1から約5までの間のアスペクト比が適している。堅さの多次元制御を維持するために、うろこ状片は、長手方向及び周方向の両方に重なっていてよい。その他のアスペクト比が用いられてもよい。別の実施形態においては、狭いうろこ状片(高アスペクト比)が用いられる。
【0046】
更に、上記の実施形態は、内管及び外管の両方を含むものとして説明されたが、これは、全ての実施形態における必要条件ではない。例えば、一部の実施形態においては、外管が含まれない。うろこ状片を硬化させるために静電気力が用いられる実施形態においては、周辺組織への電気的経路を形成しないために、片の外側表面が絶縁性である。その他の実施形態においては、内管が含まれない。これらの実施形態において、うろこ状片は、管の内側表面に結合される。
【0047】
更にその他の代替的実施形態において、外管104及び/又は内管102は、壁に隙間のない管の形態ではなく、穴の開いた管状又は円筒状の構造をとってよい。例えば、両方又は一方の管の壁は、編まれた、織られた、又は「魚網状の」設計に似ていてよい。また、内管及び外管の断面は、全ての実施形態において円形である必要はないことを認識されるべきである。例えば、一部の特定の応用においては、卵形又は楕円形の断面が適しているであろう。また、内管及び外管は、全ての実施形態において閉じられた形態をとる必要はない、すなわち、その他の実施形態においては、管の直径方向断面が、「c」字型、「u」字型、又はその他の所望の形状を形成していてよい。
【0048】
次に、上述された任意の内視鏡装置の各種の応用及び使用方法が説明される。1つの態様において、内視鏡装置を操縦するために、選択的硬化が用いられる。例えば、図8は、内視鏡装置を能動的に操縦するための1つの例示的プロセスを示した流れ図である。1つの実施形態において、上述されたうちの任意のようなうろこ状片(不図示)を有する内視鏡装置900が、収縮状態で提供される。1つの特定の実施形態において、うろこ状片及び関連の管は、一部の片及び管の部分が可変長の顕微鏡と同様に互いの内部へ収縮するように、入れ子状に収縮される。
【0049】
図9Aに示されるように、802において、内視鏡装置の末端916は、残りの収縮部分から伸張される。特定の実施形態において、内視鏡装置の末端は、装置900の残りの収縮部分から入れ子状に伸張するように構成される。しかしながら、一部の代替的実施形態においては、先ず、内視鏡装置900の基端917が伸長される。これらの実施形態において、収縮部分は前進され、装置の末端916は、最後に伸長する部分である。
【0050】
内視鏡装置は、任意の適切な手段によって伸張されてよい。例えば、各種の実施形態において、所望の装置の部分を伸長させるために、装置の中心内腔内の圧力を増大させることができる。各種の実施形態において、装置の特定の選択領域又は選択部分は、その選択部分が長手方向に自由に拡張可能である一方でその他の装置の部分が硬化状態にとどまり伸長不可能であるように、中心内腔圧力を増大させること及び上記特定の部分に関連付けられていないうろこ状片を硬化させることによって、伸長させることができる。
【0051】
804において、装置の操縦を促進するために、装置の伸張部分の選択領域950が硬化される。より詳細には、内視鏡装置は、装置の長さに沿った特定の領域において、装置の周の特定の部分に沿って硬化されてよい。硬化された特定の領域950は、上述されたうちの任意の手段などの適切な手段によって硬化されてよい。806において、装置は、図9Bに示されるように、硬化領域の付近において屈曲されることによって、硬化領域の付近において回転される又は操縦される。1つの特定の実施形態において、装置は、中心内腔内の圧力を増大させることによって、硬化領域の付近において操縦される。中心内腔内の圧力を増大させることは、選択された硬化領域に直径上で正対する非硬化領域を含む内管の非硬化領域を拡張させる効果を有する。硬化領域は、長手方向に規制され、非硬化領域は、中心内腔内の圧力によって生成される力のもとで拡張を許されるので、装置は、硬化領域の付近において能動的に操縦される。このように、装置を操縦するために、伸長とあわせて硬化自体が使用される。
【0052】
代替的実施形態において、内視鏡装置900の末端916は、その他の手段によって操縦可能である。例えば、内視鏡装置900の末端916は、操縦ケーブル(以下においては「ワイヤ」、「操縦ワイヤ」、又は「引っ張りワイヤ」とも称される)を備えていてよい。操縦ケーブルは、装置の全長に及び、末端916に取り付けれてよく、関連のアクチュエータ又は手動手段を使用して基端において動作される。アクチュエータが使用される実施形態において、各ケーブルは、ケーブルを短く又は長くするように構成された関連のアクチュエータにつながれてよい。操縦ケーブル及びアクチュエータは、当該分野においてよく知られており、したがって、ここでは詳細に説明されない。内視鏡装置は、装置の屈曲を望まれる領域を除く全ての領域を硬化させること、次いで所望の屈曲の方向及び大きさに対応して1本又は2本以上のケーブルを引っ張ることによって、装置の長さに沿った任意の地点において屈曲されてよい。各種の実施形態において、内視鏡装置900は、いずれも装置の末端916に結合されたこのような3本の操縦ケーブルを備えていてよい。このような3本のケーブルの使用は、末端916の三次元的操縦を可能にする。好ましい実施形態においては、3本のケーブルが使用されているが、その他の実施形態において、内視鏡装置は、2本、4本、又は更に多くのケーブルを備えていてよく、そうして、末端916の操縦に対して更に微細な制御を可能にすることができる。
【0053】
装置900は、次いで、所望の目的地に到達するために、808において、更に伸張又は前進されてよい。特に有用な実施形態において、うろこ状片は、ユーザ(又はユーザによって制御されるコンピュータ若しくは回路)が、装置の特定の選択領域をいつどこで硬化させるかを微細に制御することができるように、個別に指定可能且つ作動可能である、又は少なくとも十分に小さなグループ単位で指定可能又は作動可能である。1つの実施形態において、装置は、曲げられた後に、ある種の蛇が使用する直線状ロコモーションスキーム(移動方式)に似たロコモーションスキームを使用して、更に前進される。より詳細には、内視鏡装置の基端が押されている間に(又は装置が入れ子状に伸長されている間に)、曲げられた箇所にある選択された硬化領域のうろこ状片は、前進することができるように、クランプを解除される又は非硬化される。それと同時に、先立って硬化されていた片の基端側にすぐ隣接するうろこ状片906が、次いで、硬化される。このようにして、内視鏡装置は、装置における屈曲又は曲げの絶対的な場所を不変に維持したまま前進することができる。
【0054】
810において、目的地に到達したか否かが決定される。もし目的地に到達しているならば、プロセスは、ここで終了されてよい。ただし、所望の目的地に到達した際は、本明細書において説明されたうちの任意の方法を使用して、内視鏡装置の硬化可能長さの全部又は一部が硬化されてよい。内視鏡装置は、硬化されることによって、装置の中心内腔に道具、器具、及びひいては鏡器具を通すための、そして一部の実施形態においては例えば手術又は検査のためにそれを装置の末端から出すための、堅固なプラットフォーム又はガイドとして機能することが可能になる。また、一部の実施形態においては、外管を拡張させるために、内管と外管との間の中間空間が加圧される。例えば、装置の外側表面が例えば直腸の壁に接触するように、外管を全部又は部分的に拡張させることが望ましいであろう。これは、装置を体内に留め付けることによって更に安定したプラットフォームを提供する働きをする。
【0055】
しかしながら、もし、例えば更に曲げる必要があるなどの理由でまだ目標の目的地に到達していないならば、プロセスは、804に戻る。屈曲又は曲げの絶対的な場所を固定させたままで内視鏡装置を前進させられることを思い出すと、装置を前進させるためにロコモーションが使用されている間に、装置の末端を幾度も能動的に曲げることによって、既になされた屈曲を対応する当初の絶対的な場所にとどまらせることができる。更に、装置の末端に結合された操縦ケーブルは、移動されている関節を除く全ての関節を硬化させることによって、複数の関節の移動/操縦を制御できることに留意するべきである。このようなスキームによると、一度に1つの関節のみが移動可能であるが、内視鏡装置の末端に結合された共通ケーブルセットを用いるだけで、多くの関節を制御することができる。1つの例示的実施形態においては、非連続的な小段階の形で各関節を通じてうろこ状片を(例えば静電手段又はその他の適切な手段を通じて)順次作動させるために、コンピュータコントローラが使用される。更に、順次的作動の速度を増大させる及びうろこ状片のサイズを低減させることによって、非連続的な段階が、より滑らかになり、内視鏡装置の前進が、蛇状運動に更に酷似する。好ましくは、装置の前進の速度は、作動の順序のタイミングが装置の前進の速度に一致するように、(例えばユーザ又はコンピュータ制御メカニズムによって)注意深く制御される。このように、内視鏡装置は、従来は個別のアクチュエータによって複数の関節を同時に移動させる必要があったような移動を使用して、滑らかに前進することができる。これは、医師などのユーザが、損傷の可能性及び患者の不快感を最小限にしつつ、内視鏡装置の末端を、目標の目的地に到達するまでずっと能動的に操縦することを可能にする。図9Cは、第2の曲げ後における内視鏡装置900を図示している。第2の曲げの際は、第2の曲げにある部分を除く全ての装置900部分が硬化されてよい。
【0056】
また、装置を操縦又は誘導するために操縦ケーブルが使用される実施形態において、三次元運動のために、そして内視鏡装置の長さに沿った事実上あらゆる数の関節動作又は曲げのために必要とされるのは、合計3本のケーブルのみである。より具体的には、1本のケーブルを引っ張ることによって、装置のボディにトルクが付与され、これは、クランプ又は硬化されていない関節における屈曲を結果として生じる。この技術によって、装置は、限られた数のアクチュエータを使用して、複雑な形状に屈曲させることができる。反対に、当業者ならばわかるように、従来の内視鏡装置は、総じて、複数の関節動作を許容するために、各断片又は各つなぎ目においてケーブルを必要とする。このように、従来の装置の場合、必要とされるケーブルの数は、望まれる自由度とともに急激に増していく。しかしながら、本発明の実施形態にしたがって、内視鏡装置の特定の小領域を選択的に硬化させる能力は、3本のケーブル(複数の二次元関節動作の場合は2本のケーブル)のみによって、装置の長さに沿って複数の三次元関節運動を許容する。
【0057】
図10は、内視鏡装置が人の結腸内で用いるための内視鏡として構成される特定の実施形態にしたがった、例示的な内視鏡的処置を略述した流れ図である。1002において、内視鏡装置1100の末端が、肛門に挿入される。1004において、装置の末端は、機械的手段(すなわち押すこと)及び/又はその他のコンピュータ制御式手段によって、直腸内を前進される。例えば、一部の実施形態において、装置の中心内腔内の圧力は、加圧ガス又は加圧液体を導入するなどの任意の適切な手段によって上昇される。これは、次いで装置内を前進する装置内の内管を伸長させる効果を有する。
【0058】
当業者ならばわかるように、完全に受動的な操縦(例えば結腸壁をガイドとして使用するなど)の使用は、デリケートな結腸組織を外傷させる及び/又は患者に相当な不快感を与える恐れがある。したがって、能動的な操縦が、しばしば望ましいとされる。例えば、直腸S状結腸に到達したら、装置の一部を硬化させるために、1006において、幾つかのうろこ状片がクランプされる。上述されたうちの任意の硬化手段が用いられてよい。末端は、次いで、1008において、直腸S状結腸内において能動的に曲げられる。1010において、結腸の終端又は別の所望の場所に到達したと決定されるまで、工程1004、1006、及び1008は、引き続き、直腸のその他の部分に沿って繰り返されてよい。一部の実施形態においては、次いで、1012において、内視鏡装置の硬化可能部分全体を硬化させることが望ましいであろう。
【0059】
当業者ならば、説明された装置及び方法が、装置を誘導するための壁がない腹腔鏡的処置においても特に有用であることがわかる。装置を誘導するための壁がない場合は、三次元で能動的に硬化させる及び操縦する能力によって、説明された装置の応用性が大幅に促進される。
【0060】
以上の説明は、説明を目的として、特定の述語体系を使用して発明の完全な理解を促している。しかしながら、当業者ならば、発明を実施するためにこれらの詳細が必ずしも必要ではないことが明らかである。したがって、本発明の特定の実施形態に関する以上の説明は、例示及び説明を目的として提示されたものである。これらは、包括的であることも、又は開示された厳密な形態に発明を限定することも意図していない。当該分野の通常の技術を有する者ならば、上記の教示内容に照らして多くの変更及び変形が可能であることが明らかである。
【0061】
考えられる特定の用途に適した各種の変更とともに本発明及びその各種実施形態をその他の当業者が最適に利用することを可能にするために、以上の実施形態は、本発明の原理及びその実用的応用を最もよく説明できるように選択され記述されている。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価形態によって定められることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡医療装置であって、
第1の内腔を有する可撓性の内管と、
前記内管を収容する可撓性の外管と、
それぞれが前記内管と前記外管との間において前記内管に結合されている多数の重なり合う硬化可能なうろこ状片であって、重なり合う片が互いに対して滑動可能な非硬化状態と、重なり合う片が互いに対して滑動可能でない硬化状態との間で作動可能である、多数の重なり合う硬化可能なうろこ状片と、
を備える内視鏡医療装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡医療装置であって、
前記重なり合ううろこ状片は、実質的に非弾性の材料で形成され、前記非弾性のうろこ状片のうちの重なり合う隣り同士の片は、前記非弾性のうろこ状片のうちの前記重なり合う隣り同士の片の間の摩擦力を選択的に制御することによって、前記硬化状態と前記非硬化状態との間で作動可能である、内視鏡医療装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の内視鏡医療装置であって、
前記うろこ状片は、多数の独立に作動可能なグループに分けて配置されている、内視鏡医療装置。
【請求項4】
請求項3に記載の内視鏡医療装置であって、
前記独立に作動可能なうろこ状片のグループのうちの少なくとも幾つかのグループは、前記内視鏡医療装置の屈曲を促進するために、前記内管の区域の一方の側が選択的に硬化可能である間に前記内管のもう一方の側が硬化されないように、周方向に隔てられている、内視鏡医療装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の内視鏡医療装置であって、
前記独立に作動可能なうろこ状片のグループのうちの少なくとも幾つかのグループは、前記内管の長手方向に別々の区域が選択的に硬化可能であるように、長手方向に隔てられている、内視鏡医療装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の内視鏡医療装置であって、
前記内管は、径方向に規制され、前記外管は、径方向に拡張可能である、内視鏡医療装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡医療装置であって、更に、
重なり合う隣り同士の片を硬化させるために、前記内管の一部と、対応する前記外管の一部との間の領域に真空を選択的に導入するように構成された真空源を備え、
前記重なり合う隣り同士の片は、前記真空の影響下において前記外管によって押し合わされることによって、前記重なり合う隣り同士の片の間の摩擦力を大幅に増大させる、内視鏡医療装置。
【請求項8】
請求項7に記載の内視鏡医療装置であって、
前記内管と前記外管との間の中間空間は、少なくとも2つの小空間に分割され、各前記小空間の圧力は、独立に制御可能である、内視鏡医療装置。
【請求項9】
請求項8に記載の内視鏡医療装置であって、
前記中間空間は、少なくとも2つの小空間が前記装置の少なくとも1つの直径方向断面に広がることによって、前記装置が前記内管の周回りの少なくとも2つの異なる領域において硬化されることを可能にするように、角度で分割されている、内視鏡医療装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の内視鏡医療装置であって、
前記中間空間は、少なくとも2つの小空間が前記装置の少なくとも1つの長手方向断面に広がることによって、前記装置が前記装置の長さに沿った少なくとも2つの異なる領域において硬化されることを可能にするように、長手方向に分割されている、内視鏡医療装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の内視鏡医療装置であって、更に、
電源を備え、重なり合う隣り同士の片を押し合わせることによって、前記重なり合う隣り同士の片の間の摩擦力を大幅に増大させるために、静電気力が使用される、内視鏡医療装置。
【請求項12】
請求項11に記載の内視鏡医療装置であって、
各片は、その第1の表面上に導電性コーティングを有する誘電体材料を含み、前記電源は、前記重なり合う片のうちの選択された片の間に選択的に電場をかけるように構成されている、内視鏡医療装置。
【請求項13】
請求項11に記載の内視鏡医療装置であって、
前記内管及び外管の一方又は両方は、電極を含み、前記電源は、前記電極のうちの選択された電極に選択的に静電ポテンシャルを適用することによって、前記重なり合う片のうちの関連の片の間に電場を発生させるように構成される、内視鏡医療装置。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の内視鏡医療装置であって、
前記内腔内の圧力が適切に上昇されると、前記圧力は、前記内管をそしてそれによって前記装置を長手方向に拡張させる働きをする力を生じる、内視鏡医療装置。
【請求項15】
請求項14に記載の内視鏡医療装置であって、
前記装置は、前記装置の長さに沿った所定の領域において、
前記所定の領域に隣接する幾つかの前記重なり合う片を選択的に硬化させることと、
前記硬化部分の拡張が実質的に阻止される一方で前記硬化部分に直径上で正対する前記内管の部分が拡張されるように、前記第1の内腔内の圧力を上昇させることによって、前記装置を前記所定の領域において屈曲させることと、
によって操縦可能である、内視鏡医療装置。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載の内視鏡医療装置であって、
各前記片は、およそ20〜60μmの範囲内の厚さを有する、内視鏡医療装置。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかに記載の内視鏡医療装置であって、
前記内管は、弾性を有しており、前記装置は、前記内管が所定の直径を超えて拡張することを実質的に阻止し、前記内管が長手方向に拡張可能であるように、前記内管の異なる周回りにそれぞれ配置された多数の径方向規制部を更に含む、内視鏡医療装置。
【請求項18】
請求項17に記載の内視鏡医療装置であって、
前記うろこ状片は、それぞれ径方向規制部として機能する、内視鏡医療装置。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれかに記載の内視鏡医療装置であって、
前記装置は、その最大長のおよそ10〜25%の範囲内まで長手方向に折り畳み可能である、内視鏡医療装置。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれかに記載の内視鏡医療装置であって、更に、
能動的に操縦可能な先端を前記装置の末端に備え、前記装置の前記末端は、体内に挿入される最初の端である、内視鏡医療装置。
【請求項21】
請求項20に記載の内視鏡医療装置であって、更に、
前記装置の前記末端に結合された少なくとも2本の操縦ケーブルを備え、前記操縦ケーブルは、関連付けられているアクチュエータに結合され、前記アクチュエータ及び前記ケーブルは、前記操縦可能な先端を操縦するために使用され、前記装置の前記末端に結合された前記操縦ケーブルは、前記装置の前記末端に結合された前記3本の前記ケーブルのみによって多数の関節が制御可能であるように、所定の時点において移動している関節を除く全ての関節を硬化させることによって、前記装置に沿った複数の関節の操縦を制御可能である、内視鏡医療装置。
【請求項22】
請求項21に記載の内視鏡医療装置であって、
前記装置は、前記装置の前記末端に結合された3本の操縦ケーブルを含むことによって、前記装置の三次元操縦を可能にする、内視鏡医療装置。
【請求項23】
請求項21又は22に記載の内視鏡医療装置であって、
屈曲部の付近において前記先端が操縦された後、前記装置の前記関節動作部分は硬化される、内視鏡医療装置。
【請求項24】
請求項23に記載の内視鏡医療装置であって、
前記装置が前記屈曲部を介して前進される間、前記関節の絶対的な位置が固定されたままであるように、前記装置は、前記うろこ状片が非連続的な小さな階段形状で前記屈曲部を介して前進される蛇状のロコモーションスキームで前記装置が前進可能であるように前記うろこ状片を前記装置の長さに沿って順次硬化させることができるコントローラに結合されている、内視鏡医療装置。
【請求項25】
第1の内腔を有する可撓性の内管と、前記内管にそれぞれ結合された多数の重なり合う硬化可能なうろこ状片と、を含む内視鏡医療装置を選択的に硬化させる方法であって、
前記重なり合ううろこ状片のうちの選択された隣り同士の片の間に電場をかけることであって、前記電場は、前記重なり合う片のうちの前記選択された隣り同士の片を合わせる静電気引力を発生させることによって、前記重なり合う片のうちの前記選択された隣り同士の片の間の摩擦力を増大させ、前記選択された片を互いに対して実質的に滑動不可能にすることによって、前記選択された片に隣接する前記内管の部分を硬化させる、ことを備える方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記内視鏡装置は、更に、前記内管を収容する可撓性の外管を含み、前記うろこ状片は、前記内管と前記外管との間に配置されている、方法。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の方法であって、
各前記片は、その第1の表面上に導電性コーティングを有する誘電体材料を含み、前記重なり合う片のうちの前記選択された片に静電ポテンシャルをかけることによって、前記重なり合う片のうちの関連の片の間に電場を発生させるように、電源が構成されている、方法。
【請求項28】
請求項25又は26に記載の方法であって、
前記内管及び外管の一方又は両方は、電極を含み、前記電極のうちの選択された電極に選択的に静電ポテンシャルをかけることによって、前記重なり合う片のうちの関連の片の間に電場を発生させるように、電源が構成されている、方法。
【請求項29】
請求項25ないし28のいずれかに記載の方法であって、更に、
前記内管をそしてそれによって前記装置を長手方向に拡張させるために、前記内腔内の圧力を上昇させることを備える方法。
【請求項30】
請求項25ないし29のいずれかに記載の方法であって、更に、
前記装置の長さに沿った所定の領域において前記装置を操縦することであって、
前記所定の領域に隣接する幾つかの前記重なり合う片を選択的に硬化させることと、
前記硬化部分の拡張が実質的に阻止される一方で前記硬化部分に直径上で正対する前記内管の部分が拡張されるように、前記第1の内腔内の圧力を上昇させることによって、前記装置を前記所定の領域において屈曲させることと、
によって、前記装置の長さに沿った所定の領域において前記装置を操縦することを備える方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、更に、
前記装置が前記屈曲部を介して前進される間、前記屈曲部の絶対的な位置が固定されたままであるように、前記うろこ状片が非連続的な小さな階段形状で前記屈曲部を介して前進される蛇状のロコモーションスキームで前記装置が前進可能であるように前記うろこ状片を前記装置の長さに沿って順次硬化させることを備える方法。
【請求項32】
内視鏡装置をその長さに沿った所定の領域において操縦する方法であって、
前記所定の領域に隣接する前記装置の部分を選択的に硬化させることと、
前記硬化部分の拡張が実質的に阻止される一方で前記硬化部分に直径上で正対する前記装置の部分が拡張されるように、前記装置の内腔内の圧力を上昇させることによって、前記所定の領域において前記装置を屈曲させることと、
を備える方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−534529(P2010−534529A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518427(P2010−518427)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/071267
【国際公開番号】WO2009/015374
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(501228071)エスアールアイ インターナショナル (66)
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
【出願人】(503115205)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リランド スタンフォード ジュニア ユニヴァーシティ (69)
【Fターム(参考)】