制御局、リモート局、通信システム、及び、通信方法
【課題】簡易にパスロスを推定する方法を提供する。
【解決手段】複数のリモート局に接続され、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局であって、前記複数のリモート局のそれぞれが前記端末宛ての同じデータを周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで送信した際に、前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出するプロセッサを備える制御局とする。
【解決手段】複数のリモート局に接続され、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局であって、前記複数のリモート局のそれぞれが前記端末宛ての同じデータを周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで送信した際に、前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出するプロセッサを備える制御局とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御局、リモート局、通信システム、及び、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局を制御局と複数のリモート局とに分離する分散アンテナシステムが考えられている。分散アンテナシステムでは、アンテナを含む無線処理部がリモート局として地理的に分散して配置される。制御局と複数のリモート局を含む分散アンテナシステムは、一つのセルを形成する。制御局が各リモート局に同一の信号を送信し、各リモート局が端末に無線信号を送信することで、電波伝搬距離の短縮化を図ることができる。また、複数のリモート局からの信号が端末で合成されることから利得が向上し、その結果、受信品質の向上が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−53768号公報
【特許文献2】特開2010-278809号公報
【特許文献3】特開2011-101291号公報
【特許文献4】特開2011-41001号公報
【特許文献5】特開2011-78025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、従来のシステムの概要を示す図である。各リモート局からの信号が伝搬路上で合成された信号を端末は受信し、端末は複数のリモート局から送信されていることを特に区別することなく通信を行う。
【0005】
端末においてリモート局毎の信号分離は難しく、各リモート局と端末との間の伝搬による減衰量(以下、パスロス値ともいう)をリモート局毎に分離して認識することは困難である。
【0006】
各リモート局と端末との間のパスロス値を推定する方法として、上りリンクの受信信号により各端末と各リモート局間の距離減衰を推定する方法がある。しかし、上りリンクの受信信号により距離減衰を測定するためには、少なくとも上りリンクにおいて制御局とリモート局を1対多のリンクで接続するスター型とし、制御局においてリンクごとにユーザを分離することによって距離減衰を測定することが求められる。または、各リモート局でユーザ分離を行い各々の距離減衰を測定することが求められる。これらの場合、リンクごともしくはリモート局ごとにユーザ分離を行うこととなるため、処理が複雑であり、コストの観点等で問題がある。また、下りリンクにおいてリモート局で個別の識別信号を挿入し、端末で各リモート局からの信号を分離し測定およびフィードバックする方法もある。しかし、この場合、リモート局と端末との間の識別信号の送信や端末でのリモート局の分離処理、さらには各リモート局間のパスロス値のフィードバックが求められるため、端末の処理の複雑さの観点や制御情報量の観点で問題がある。
【0007】
本件開示の技術は、簡易にパスロスを推定する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
【0009】
即ち、第1の態様は、
複数のリモート局に接続され、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局であって、
前記複数のリモート局のそれぞれが前記端末宛ての同じデータを周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで送信した際に、前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、
前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出するプロセッサを備える制御局とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、簡易にパスロスを推定する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、従来のシステムの概要を示す図である。
【図2】図2は、実施形態1のシステム構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施形態1の制御局の機能ブロックの例を示す図である。
【図4】図4は、リモート局に通知されるリモート局毎の周波数領域毎の送信電力値の例を示す図である。
【図5】図5は、実施形態1のリモート局の機能ブロックの例を示す図である。
【図6】図6は、実施形態1の端末の機能ブロックの例を示す図である。
【図7】図7は、制御局のハードウェア構成例を示す図である。
【図8】図8は、リモート局のハードウェア構成例を示す図である。
【図9】図9は、端末のハードウェア構成例を示す図である。
【図10】図10は、実施形態1のシステムの動作シーケンスの例を示す図である。
【図11】図11は、実施形態1の制御局の送信電力決定部による送信電力値を決定する動作フローの例を示す図である。
【図12】図12は、実施形態2の制御局の機能ブロックの例を示す図である。
【図13】図13は、リモート局に通知されるリモート局毎の送信電力変更回毎の送信電力値の例を示す図である。
【図14】図14は、実施形態2のリモート局の機能ブロックの例を示す図である。
【図15】図15は、実施形態2の端末の機能ブロックの例を示す図である。
【図16】図16は、実施形態2のシステムの動作シーケンス(1)の例を示す図である。
【図17】図17は、実施形態2のシステムの動作シーケンス(2)の例を示す図である。
【図18】図18は、実施形態2の制御局の送信電力決定部による送信電力値を決定する動作フローの例を示す図である。
【図19】図19は、リモート局に通知されるリモート局毎の、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、開示の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。開示の構成の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。各実施形態は、適宜、組み合わされうる。ここでは、通信方式としてLTE(Long Term Evolution)を想定した実施形態
について説明するが、ここで説明する実施形態に適用される通信方式はLTEに限定されるものではなく、ここで説明する実施形態は他の通信方式にも適用可能である。
【0013】
〔実施形態1〕
(構成例)
図2は、本実施形態のシステム構成例を示す図である。本実施形態のシステムは、制御局100、複数のリモート局200、端末300を含む。図2の例では、リモート局200の数は3つ例示されているが、リモート局の数は3つに限定されるものではない。また、図2の例では、端末300の数は1つ例示されているが、端末300の数は1つに限定されるものではない。各リモート局200は、それぞれ、制御局100に接続される。各リモート局300と制御局100とは、光ファイバなどの通信回線により接続される。端末300は、各リモート局200から信号を受信しうる。また、端末300は、リモート局200以外からの信号(干渉信号)を受信しうる。端末300は、1つ以上のリモート局200を経由して、制御局100との通信をする。
【0014】
本実施形態のシステムは、各リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定するシステムである。本実施形態では、制御局100は、リモート局200から出力される信号の送信電力を周波数方向に変化させる。
【0015】
制御局100は、下りリンクにおいて、上位の情報を変調し、I/Q信号(In-phase/Quadrature)のサブキャリアマッピングを行い、リモート局200に送信する。リモート
局200は、受信した信号をIFFT(Inverse Fast Fourier Transfer;逆高速フーリ
エ変換)及びCP(Cyclic Prefix;サイクリックプリフィックス)を付加することによ
って、OFDM信号に変換し、送信する。上位とは、例えば、上位レイヤである。但し、本実施形態において上位レイヤの説明は省略する。
【0016】
図3は、制御局の機能ブロックの例を示す図である。制御局100は、変調部102、マッピング部104、送信電力決定部106、パスロス推定部108、スケジューリング部110、復調部112、デマッピング部114を含む。
【0017】
変調部102は、上位から受信した信号に所定の変調処理を行う。変調部102は、変調処理した信号をマッピング部104に出力する。上位から受信する信号には、参照信号が含まれる。参照信号とは、例えば、リモート局と端末との間のチャネル特性を推定するための信号系列である。
【0018】
マッピング部104は、スケジューリング部110から通知されるスケジュール(帯域割当情報)に基づいて、変調部102で変調された信号を、サブキャリア(周波数領域)にマッピングする。マッピング部104で処理された信号は、インタフェース120を介して、リモート局200に出力される。
【0019】
送信電力決定部106は、リモート局200毎に、周波数領域毎の送信電力値(送信電力パターン)を決定する。送信電力決定部106は、決定したリモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値をインタフェース120を介して、リモート局200に出力する。リモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値は、例えば、通知情報として出力される。リモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値の算出については、後に詳述する。
【0020】
図4は、リモート局に通知されるリモート局毎の周波数領域毎の送信電力値の例を示す図である。送信電力決定部106は、図4のように、リモート局毎、周波数領域毎に、送信電力値を決定し、各リモート局200に通知する。図4のテーブルは、後述する行列Pに対応する。
【0021】
パスロス推定部108は、各リモート局200に通知した周波数領域毎の送信電力値と、周波数領域毎の端末300における受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の
各パスロス値を推定する。パスロス推定部108は、送信電力決定部106から各リモート局200に通知した周波数領域毎の送信電力値を受信する。また、パスロス推定部108は、復調部112から周波数領域毎の端末300における受信品質(受信品質情報)を受信する。
【0022】
スケジューリング部110は、帯域割当情報をマッピング部104、デマッピング部114等に通知する。帯域割当情報は、リモート局と端末との間で通信される無線信号が使用する周波数帯域及び時刻の割当などを示す情報である。
【0023】
復調部112は、デマッピング部114で変換された信号を復調処理する。復調部112は、端末300からのフィードバック情報等を抽出し、パスロス推定部108に出力する。復調部112は、受信した信号を上位に出力する。上位とは、例えば、上位レイヤである。
【0024】
デマッピング部114は、スケジューリング部110から通知されるスケジュール(帯域割当情報)に基づいて、リモート局200からインタフェース120を介して受信した信号をマッピング前の信号に変換する。
【0025】
インタフェース120は、外部の通信回線に接続され、制御局100内部の信号を外部の通信回線に出力し、外部の通信回線から信号を受信する。インタフェース120は、光ファイバ等の通信回線を介して、各リモート局200と接続される。
【0026】
図5は、リモート局の機能ブロックの例を示す図である。リモート局200は、送信電力調整部202、IFFT/CP付加部204、DAC206、インタフェース210、FFT/CP除去部214、ADC216、アンテナ220を含む。
【0027】
リモート局200は、複数の周波数領域を使用して無線信号を端末300との間で送受信する。各リモート局200は、それぞれ固有の識別番号(リモート局番号)を有してもよい。
【0028】
送信電力調整部202は、制御局100から通知されるリモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値の中から自リモート局の周波数領域毎の送信電力値を抽出する。送信電力調整部202は、送信信号に対して、周波数領域毎の送信電力値に基づいて、周波数領域毎に送信電力値を調整する。
【0029】
IFFT(Inverse Fast Fourier Transfer)/CP(Cyclic Prefix)付加部204は、マッピング部104でマッピングされた信号に対し、IFFT(逆高速フーリエ変換)して、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。さらに、IFFT/CP付加部204は、時間領域の信号に変換された信号に、CP(Cyclic Prefix;サイクリックプ
リフィックス)を付加する。
【0030】
DAC(Digital to Analog Converter)206は、IFFT/CP付加部204で処
理されたデータ信号(デジタル信号)を、アナログ信号に変換する。そして、DAC206は、変換したアナログ信号を、アンテナ220に出力する。
【0031】
インタフェース210は、外部の通信回線に接続され、リモート局200内部の信号を外部の通信回線に出力し、外部の通信回線から信号を受信する。インタフェース210は、光ファイバ等の通信回線を介して、制御局100と接続される。
【0032】
ADC(Analog to Digital Converter)216は、アンテナ220で受信した無線信
号を、デジタル信号に変換する。ADC216は、変換したデジタル信号(データ信号)を、FFT/CP除去部214に出力する。
【0033】
FFT(Fast Fourier Transfer)/CP(Cyclic Prefix)除去部214は、ADC216で変換されたデータ信号からCPを除去する。さらに、FFT/CP除去部214は、CPを除去したデータ信号をFFT(高速フーリエ変換)して、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する。
【0034】
アンテナ220は、端末300と間で無線信号を送受信する。
【0035】
図6は、端末の機能ブロックの例を示す図である。端末300は、変調部302、マッピング部304、IFFT/CP付加部306、DAC308、スケジューリング部310、アンテナ320、復調部332、デマッピング部334、FFT/CP除去部336、ADC338、受信品質測定部340を含む。
【0036】
端末300は、制御局100がリモート局200を介して送信する参照信号の受信電力及び他セルからの干渉電力により、周波数領域毎に受信品質を計測する。端末300は、受信品質の計測結果に基づいて、Subband CQI(Channel Quality Indicator)を上りリンクの制御信号により制御局100に送信する。Subband CQIは、各周波数領域における受
信品質を量子化した信号である。Subband CQIは、フィードバック情報の1つである。端
末300は、定期的に、Subband CQIを制御局100に送信する。Subband CQIは、周波数領域毎の受信品質を示す。受信品質とは、例えば、参照信号の受信強度である。
【0037】
また、端末300は、参照信号受信電力(RSRP)、全受信電力と参照信号受信電力との比(RSRQ)を、リモート局200を介して制御局100に、定期的に送信する。RSRP及びRSRQは、フィードバック情報である。
【0038】
変調部302は、上位から信号を受信する。変調部302は、受信品質測定部340からフィードバック情報を受信する。変調部302は、受信した信号に所定の変調処理を行う。変調部302は、変調処理した信号をマッピング部304に出力する。上位とは、例えば、上位レイヤである。
【0039】
マッピング部304は、スケジューリング部310から通知されるスケジュール(帯域割当情報)に基づいて、変調部302で変調された信号を、サブキャリア(周波数領域)にマッピングする。マッピング部304で処理された信号は、IFFT/CP付加部306に出力される。
【0040】
IFFT/CP付加部306は、マッピング部304でマッピングされた信号に対し、IFFTして、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。さらに、IFFT/CP付加部306は、時間領域の信号に変換された信号に、CPを付加する。
【0041】
DAC308は、IFFT/CP付加部306で処理されたデータ信号(デジタル信号)を、アナログ信号に変換する。DAC308は、変換したアナログ信号を、アンテナ320に出力する。
【0042】
アンテナ320は、各リモート局200との間で無線信号を送受信する。
【0043】
ADC338は、アンテナ320で受信した無線信号を、デジタル信号に変換する。ADC338は、変換したデジタル信号(データ信号)を、FFT/CP除去部336に出力する。
【0044】
FFT/CP除去部336は、ADC338で変換されたデータ信号からCPを除去する。FFT/CP除去部336は、CPを除去したデータ信号をFFTして、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する。
【0045】
デマッピング部334は、スケジューリング部310から通知されるスケジュール(帯域割当情報)に基づいて、FFT/CP除去部336から受信した信号をマッピング前の信号に変換する。
【0046】
復調部332は、デマッピング部334で変換された信号を復調処理する。復調部332は、復調部332は、受信した信号を上位に引き渡す。また、復調部332は、受信した信号を受信品質測定部340に出力する。
【0047】
受信品質測定部340は、制御局が送信する信号に含まれる参照信号の受信電力及び他セルからの干渉信号により、周波数領域毎の受信品質を測定する。受信品質測定部340は、測定結果に基づいて、Subband CQIを上りリンク制御信号により、制御局100に送
信する。受信品質測定部340は、受信信号等から、参照信号受信電力(RSRP)、全受信電力と参照信号受信電力との比(RSRQ)を算出し得る。
【0048】
制御局100、リモート局200は、専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。端末300は、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション装置のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。
【0049】
コンピュータ、すなわち、情報処理装置は、プロセッサ、主記憶装置、及び、二次記憶装置や、通信インタフェース装置のような周辺装置とのインタフェース装置を含む。記憶装置(主記憶装置及び二次記憶装置)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0050】
コンピュータは、プロセッサが記録媒体に記憶されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて周辺機器が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
【0051】
プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Data Signal Processor)である。主記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。
【0052】
二次記憶装置は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディス
クドライブ(HDD、Hard Disk Drive)である。また、二次記憶装置は、リムーバブル
メディア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)のようなディスク記録媒体である。
【0053】
図7は、制御局のハードウェア構成例を示す図である。制御局100は、プロセッサ192、記憶装置194、ベースバンド処理回路196を含む。プロセッサ192、記憶装置194、ベースバンド処理回路196は、例えば、バスを介して互いに接続される。
【0054】
プロセッサ192は、スケジューリング部110、送信電力決定部106、パスロス推定部108としての機能を実現しうる。
【0055】
記憶装置194は、プロセッサで実行されるプログラム、プログラムの実行の際に使用
されるデータ等が格納される。
【0056】
ベースバンド処理回路196は、変調部102、復調部112、マッピング部104、デマッピング部114としての機能を実現しうる。ベースバンド処理回路は、ベースバンド信号を処理する。
【0057】
図8は、リモート局のハードウェア構成例を示す図である。リモート局200は、プロセッサ292、記憶装置294、ベースバンド処理回路296、無線処理回路298、アンテナ220を含む。プロセッサ292、記憶装置294、ベースバンド処理回路296、無線処理回路298、アンテナ220は、例えば、バスを介して互いに接続される。
【0058】
プロセッサ292は、送信電力調整部202としての機能を実現しうる。
【0059】
記憶装置294には、プロセッサで実行されるプログラム、プログラムの実行の際に使用されるデータ等が格納される。
【0060】
ベースバンド処理回路296は、IFFT/CP付加部204、FFT/CP除去部214として信号を処理することができる。
【0061】
無線処理回路298は、DAC206、ADC216として信号を処理することができる。無線処理回路298は、アンテナ220で送受信される無線信号を処理する。
【0062】
図9は、端末のハードウェア構成例を示す図である。端末300は、プロセッサ392、記憶装置394、ベースバンド処理回路396、無線処理回路398、アンテナ320を含む。無線処理回路398は、アンテナ320に接続される。プロセッサ392、記憶装置394、ベースバンド処理回路396、無線処理回路398は、例えば、バスを介して互いに接続される。
【0063】
プロセッサ392は、スケジューリング部310、受信品質測定部340としての機能を実現しうる。
【0064】
記憶装置394には、プロセッサで実行されるプログラム、プログラムの実行の際に使用されるデータ等が格納される。
【0065】
ベースバンド処理回路396は、変調部302、復調部332、マッピング部304、デマッピング部334、IFFT/CP付加部306、FFT/CP除去部336として信号を処理することができる。
【0066】
無線処理回路398は、DAC308、ADC338として信号を処理することができる。
【0067】
(動作例)
図10は、本実施形態のシステムの動作シーケンスの例を示す図である。本実施形態のシステムは、リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定する。
【0068】
制御局100と端末300との間の通信は、確立しているとする。制御局100および端末300は、リモート局200を介して、互いに信号を送受信する。SQ1001以降の動作シーケンスは、例えば、所定時間毎に実行される。
【0069】
制御局100の送信電力決定部106は、リモート局200毎に周波数領域毎の送信電
力値を決定する(SQ1001)。送信電力値の決定については、後に説明する。
【0070】
制御局100の送信電力決定部106は、決定した送信電力値を、送信電力値通知信号として、各リモート局200に送信する(SQ1002)。送信電力値通知信号は、すべてのリモート局200についての周波数領域毎の送信電力値を含む。また、送信電力値通知信号は、リモート局毎の送信電力値通知信号として生成され、各リモート局にそれぞれの送信電力通知信号が送信されてもよい。
【0071】
各リモート局200の送信電力調整部202は、制御局100から通知される送信電力値通知信号から自リモート局の周波数領域毎の送信電力値を取得する。各リモート局200は、受信した送信電力値に基づいて、周波数領域毎に送信電力を調整する(SQ1003)。
【0072】
制御局100は、参照信号を含む信号を端末300に向けて送信する(SQ1004)。リモート局200は、制御局100から送信された参照信号を含む信号を、SQ1002で調整した送信電力で送信する。端末300は、各リモート局200からの参照信号を含む信号を受信する。
【0073】
端末300の受信品質測定部340は、受信した参照信号の受信電力、干渉電力等から、周波数領域毎に受信品質を測定する(SQ1005)。
【0074】
端末300は、測定した受信品質を、受信品質情報として、制御局100に送信する(SQ1006)。
【0075】
パスロス推定部108は、リモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値、及び、端末300から受信した周波数領域毎の受信品質に基づいて、各リモート局200と端末300との間のパスロス値(チャネルゲイン)を算出する(SQ1007)。
【0076】
SQ1001以降の動作は、例えば、制御局100において測定される制御局100の負荷が所定値以下である場合に、開始されるようにしてもよい。
【0077】
パスロス値の算出については、後に説明する。
【0078】
(パスロス値の算出)
制御局100のパスロス推定部108は、各リモート局200に通知した周波数領域毎の送信電力値と、周波数領域毎の端末300における受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の各パスロス値を推定する。
【0079】
ここで、チャネルゲインG、各リモート局200の周波数領域毎の送信電力値P、及び、端末300における受信品質Cとの関係は、次のように表される。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。
【0080】
【数1】
【0081】
ここで、σは他セルからの干渉電力値および雑音電力値を表す。本実施形態では、σは、時間にも周波数にも依存せず一定であるとする。
【0082】
端末300における受信品質Cは、次のように表される。
【0083】
【数2】
【0084】
ここで、γiは、端末300における周波数領域#iの受信品質である。γiは、所定期間において各リモート局200の送信電力Pが一定であれば、当該所定期間の端末300における周波数領域#iの受信品質の平均でもよい。nは、リモート局200が使用する周波数領域の数である。受信品質は、端末300から定期的に、制御局100に、Subband CQIとして送信される。
【0085】
各リモート局200の送信電力Pは、次のように表される。
【0086】
【数3】
【0087】
ここで、pi,jは、リモート局200#jにおける周波数領域#iの送信電力値であ
る。mは、リモート局200の数である。mは、原則として、稼動しているリモート局200の数とする。稼動していない(電波を送信していない)リモート局200については、行列Pから除外する。
【0088】
チャネルゲインGは、次のように表される。
【0089】
【数4】
【0090】
ここで、gjは、リモート局200#jからのチャネルゲインである。チャネルゲイン
は、パスロス値の逆数である。即ち、端末300とリモート局200#jとの間のパスロス値は、1/gjである。
【0091】
チャネルゲインGは、次のように求められる。
【0092】
【数5】
【0093】
行列Pの各要素は、行列Cの各要素とチャネルゲインGの各要素との関係を定義する連立方程式の係数である。行列Pにおいて、0でない固有値の数がm以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をm以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。また、行列Pが正方行列でない場合、行列PTPにおいて、0でない固有値の数がm以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をm以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。
【0094】
σは、例えば、次のように求められる。
【0095】
【数6】
【0096】
ここで、RSRP(Reference Signal Received Power)は参照信号受信電力であり、
RSRQ(Reference Signal Received Quality)は全受信電力と参照信号受信電力との
比である。σは、この例に限定されるものではない。RSRP及びRSRQは、端末300からリモート局200を介して制御局100に送信されるフィードバック情報である。
【0097】
パスロス値は、チャネルゲインの逆数として求められる。
【0098】
(送信電力値の決定)
制御局100の送信電力決定部106は、リモート局200毎に、周波数領域毎の送信電力値を決定する。
【0099】
図11は、制御局100の送信電力決定部106による送信電力値を決定する動作フローの例を示す図である。
【0100】
送信電力決定部106は、各リモート局200の送信電力値を周波数領域毎に仮定する(S101)。送信電力決定部106は、各リモート局200の周波数領域毎の送信電力値P(行列)を生成し、行列Pの固有値を求める(S102)。
【0101】
送信電力決定部106は、行列Pのある一定値(閾値)以上の固有値の個数が、リモート局200の数以上であるか否かを判定する(S103)。ここでは、ある一定値未満の
固有値は0であるとみなす。行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局200の数mより小さい場合(S103;NO)、処理がステップS101に戻る。
【0102】
行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局200の数m以上である場合(S103;YES)、処理が終了する。このとき、最後にステップS102で生成した行列Pが、各リモート局200の周波数領域毎の送信電力値の行列として決定される。
【0103】
行列Pにおいて、0でない固有値の数がリモート局の数mより小さい場合、チャネルゲインGを求めることができなくなる。逆に、行列Pにおいて、0でない固有値の数がリモート局の数m以上である場合、チャネルゲインGが求められうる。従って、送信電力決定部106は、行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局200の数m以上となるまで、行列Pの生成を試みる。行列Pの0でない固有値の個数がm以上であれば、独立の方程式がm以上できるため、チャネルゲインGが求められる。
【0104】
1つのリモート局200からの信号の受信品質は、当該リモート局200の送信電力値の総和に依存する。ステップS101で、リモート局200毎に送信電力値の総和が所定値になるようにすると、送信電力値が周波数領域によらず一定で送信電力値の総和が当該所定値である場合と比べて、端末300における受信品質は、劣化しない。
【0105】
ここで、行列Pが正方行列でない場合、図11の動作フローでは、行列Pが生成された後、行列Pの代わりに行列PTPが使用される。例えば、ステップS102では、行列PTPの固有値が求められる。行列PTPは、正方行列である。
【0106】
(本実施形態の作用効果)
制御局100の送信電力決定部106は、リモート局200毎に周波数領域(周波数)毎の送信電力値を決定する。リモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値は、送信電力値の組である。送信電力決定部106は、リモート局200から出力される信号の送信電力を周波数方向に変化させる。制御局100のパスロス推定部108は、リモート局毎の周波数領域毎の送信電力値、端末300から受信した周波数領域毎の受信品質に基づいて、各リモート局200と端末300との間の(下りリンクの)パスロス値を算出する。周波数領域毎の受信品質は、受信品質情報の組である。
【0107】
本実施形態の構成によれば、上りリンクにおいて個々のリモート局200と端末300との間のリンク毎にユーザ分離を行うことなく、リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定することが可能となる。また、本実施形態の構成によれば、下りリンクにおいてリモート局固有の識別番号を送信することなく、リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定することが可能となる。さらに、本実施形態の構成によれば、端末300において各リモート局200の信号分離を行うことや各リモート局200の一部の周波数帯域の送信を取りやめることなく、リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定することが可能となる。
【0108】
本実施形態によれば、リモート局200にIFFT/CR付加部204が設けられることにより、送信電力をリモート局200で周波数領域毎の送信電力値に調整することが可能となる。
【0109】
制御局100は、端末300が送信するフィードバック情報を用いて、各リモート局200と端末300との間のパスロス値を求めることができる。端末300は、パスロス値を求めるための特別な構成を用意しなくてもよい。
【0110】
制御局100は、パスロス値を使用して、例えば、パスロス値が大きいリモート局20
0から端末300への送信電力を低減することができる。これにより、他セルへの干渉が低減し得る。パスロス値が大きい場合、端末300とリモート局200とが遠く離れていることが推定される。このとき、当該リモート局200から当該端末300への信号送信は、当該端末300の受信品質の向上に寄与しないだけでなく、他セルへの干渉を増大するおそれがある。よって、制御局100は、当該リモート局200から当該端末300への送信電力を調整することで、他セルへの干渉を低減できる。即ち、制御局300は、ある端末300へのパスロス値が大きいリモート局200に対してより小さい送信電力を設定し、パスロス値が小さいリモート局200に対してより大きな送信電力を設定することで、端末300での受信品質の向上を図ることができる。
【0111】
〔実施形態2〕
次に実施形態2について説明する。実施形態2は、実施形態1との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0112】
(構成例)
本実施形態のシステムは、制御局600、複数のリモート局700、端末800を含む。本実施形態のシステムは、図2のシステム構成例と同様である。
【0113】
本実施形態のシステムは、各リモート局700と端末800との間のパスロス値を推定するシステムである。本実施形態では、制御局600は、リモート局700から出力される信号の送信電力を時間方向に変化させる。
【0114】
図12は、制御局の機能ブロックの例を示す図である。制御局600は、変調部602、マッピング部604、送信電力決定部606、パスロス推定部608、スケジューリング部610、復調部612、デマッピング部614を含む。また、制御局600は、IFFT/CP付加部632、FFT/CP付加部634を含む。
【0115】
IFFT/CP付加部632は、マッピング部304でマッピングされた信号に対し、IFFTして、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。そして、IFFT/CP付加部632は、時間領域の信号に変換された信号に、CPを付加する。IFFT/CP付加部632は、処理した信号を、インタフェース620を介してリモート局700に出力する。
【0116】
FFT/CP除去部634は、リモート局700のADC716で変換されたデータ信号からCPを除去する。FFT/CP除去部634は、CPを除去したデータ信号をFFTして、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する。FFT/CP除去部634は、処理した信号をデマッピング部614に出力する。
【0117】
送信電力決定部606は、送信電力変更回数を決定する。送信電力変更回数は、パスロス値を算出するまでに、端末800で受信品質を測定する回数である。送信電力変更回数は、リモート局700の数よりも大きい数となる。送信電力変更回数が、リモート局700の数よりも小さいと、パスロス値を算出できないからである。送信電力決定部606は、リモート局700毎に、送信電力変更回毎の送信電力値(送信電力パターン)を決定する。送信電力決定部606は、実施形態1とは異なり、リモート局700毎に周波数方向には一定の送信電力値となるようにする。1つのリモート局700において、送信電力変更回毎に、送信電力パターンに基づいて、送信電力が変更されることになる。送信電力変更が所定時間毎に行われるとすると、送信電力パターンに基づいて、所定時間毎に、送信電力が変更される。
【0118】
図13は、リモート局に通知されるリモート局毎の送信電力変更回毎の送信電力値の例
を示す図である。送信電力決定部606は、図13のように、リモート局毎、送信電力変更回毎に、送信電力値を決定し、各リモート局700に通知する。図13のテーブルは、後述する行列Pに対応する。
【0119】
パスロス推定部608は、各リモート局700に通知した送信電力変更回毎の送信電力値と、送信電力変更回毎の端末800における全周波数領域の平均の受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の各パスロス値を推定する。パスロス推定部608は、送信電力決定部606から各リモート局700に通知した送信電力値を受信する。パスロス推定部608は、復調部612から周波数領域毎の端末800における受信品質を受信する。
【0120】
図14は、リモート局の機能ブロックの例を示す図である。リモート局700は、送信電力調整部702、DAC706、インタフェース710、ADC716、アンテナ720を含む。
【0121】
送信電力調整部702は、制御局600から通知されるリモート局700毎の送信電力変更回毎の送信電力値の中から自リモート局の送信電力変更回毎の送信電力値を取得する。送信電力調整部702は、送信信号に対して、送信電力変更回毎の送信電力値に基づいて、送信電力変更回毎に送信電力値を調整する。送信電力変更の時間間隔は、例えば、端末800における受信品質の測定の時間間隔と同じにする。
【0122】
DAC706は、送信電力調整部702で送信電力が変更されたデータ信号(デジタル信号)を、アナログ信号に変換する。DAC706は、変換したアナログ信号を、アンテナ720に出力する。
【0123】
ADC716は、アンテナ720で受信した無線信号を、デジタル信号に変換する。ADC716は、変換したデジタル信号(データ信号)を、制御局600に出力する。
【0124】
図15は、端末の機能ブロックの例を示す図である。端末800は、変調部802、マッピング部804、IFFT/CP付加部806、DAC808、スケジューリング部810、アンテナ820、復調部832、デマッピング部834、FFT/CP除去部836、ADC838、受信品質測定部840を含む。
【0125】
端末800は、制御局600がリモート局700を介して送信する参照信号の受信電力及び他セルからの干渉電力により、全周波数領域の平均の受信品質を計測する。端末300は、受信品質の計測結果に基づいて、Wideband CQI(Channel Quality Indicator)を
上りリンクの制御信号により制御局600に送信する。Wideband CQIは、全周波数領域の平均の受信品質を量子化した信号である。Wideband CQIは、フィードバック情報の1つである。端末800は、定期的に(所定時間間隔で)、Wideband CQIを制御局600に送信する。Wideband CQIは、全周波数領域の平均の受信品質を示す。
【0126】
受信品質測定部840は、制御局が送信する信号に含まれる参照信号の受信電力及び他セルからの干渉信号により、少なくとも電力変更回毎に、全周波数領域の平均の受信品質を測定する。受信品質測定部840は、測定結果に基づいて、Wideband CQIを上りリンク制御信号により、少なくとも電力変更回毎に、制御局600に送信する。受信品質測定部840は、受信信号等から、参照信号受信電力(RSRP)、全受信電力と参照信号受信電力との比(RSRQ)を算出する。受信品質測定部840は、すべての電力変更回の受信品質をまとめて、制御局600に送信してもよい。
【0127】
制御局600、リモート局700、端末800は、それぞれ、図7、図8、図9に示さ
れる構成と同様のハードウェア構成によって実現されうる。
【0128】
(動作例)
図16及び図17は、本実施形態のシステムの動作シーケンスの例を示す図である。図16の「A」、「B1」から「Bn」、「C」、「d」、「e」は、それぞれ、図17の「A」、「B1」から「Bn」、「C」、「d」、「e」に接続する。
【0129】
本実施形態のシステムは、リモート局700と端末800との間のパスロス値を推定する。
【0130】
制御局600と端末800との間の通信は、確立しているとする。制御局600および端末800は、リモート局700を介して、互いに信号を送受信する。
【0131】
制御局600の送信電力決定部606は、リモート局700毎に送信電力変更回毎の送信電力値を決定する(SQ2001)。送信電力値の決定については、後に説明する。
【0132】
制御局600の送信電力決定部606は、決定した送信電力値を、送信電力値通知信号として、各リモート局700に送信する(SQ2002)。
【0133】
各リモート局700の送信電力調整部702は、制御局600から通知される送信電力値通知信号から自リモート局の送信電力変更回毎の送信電力値を取得する。各リモート局700は、受信した送信電力値に基づいて、送信電力変更回毎に送信電力を調整する(SQ2003)。
【0134】
制御局600は、参照信号を含む信号を端末800に向けて送信する(SQ2004)。リモート局700は、制御局600から送信された参照信号を含む信号を、SQ2002で調整した送信電力で送信する。端末800は、各リモート局700からの参照信号を含む信号を受信する。
【0135】
端末800の受信品質測定部840は、受信した参照信号の受信電力、干渉電力等から、全周波数領域の平均の受信品質を測定する(SQ2005)。
【0136】
端末800は、測定した受信品質を、受信品質情報として、制御局600に送信する(SQ2006)。
【0137】
制御部600、各リモート局700、端末800は、送信電力決定部606が決定した送信電力変更回数(ここではn回)、SQ2003からSQ2006の処理を繰り替えす。
【0138】
パスロス推定部608は、送信電力決定部606が決定した送信電力変更回数の受信品質を受信する。パスロス推定部608は、送信電力決定部606から、リモート局700毎の送信電力変更回毎の送信電力値を取得する。パスロス推定部608は、リモート局700毎の送信電力変更回毎の送信電力値、及び、端末300から受信した送信電力変更回毎の受信品質に基づいて、各リモート局200と端末300との間のパスロス値(チャネルゲイン)を算出する(SQ2007)。
【0139】
パスロス値の算出については、後に説明する。
【0140】
(パスロス値の算出)
制御局600のパスロス推定部608は、各リモート局700に通知した送信電力変更
回毎の送信電力値と、送信電力変更回毎の端末800における受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の各パスロス値を推定する。
【0141】
ここで、チャネルゲインG、各リモート局700の送信電力変更回毎の送信電力値P、及び、端末800における受信品質Cとの関係は、次のように表される。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。
【0142】
【数7】
【0143】
ここで、σは他セルからの干渉電力値および雑音電力値を表す。本実施形態では、σは、時間にも周波数にも依存せず一定であるとする。
【0144】
端末800における受信品質Cは、次のように表される。
【0145】
【数8】
【0146】
ここで、γiは、端末800における送信電力変更回#iの全周波数領域の平均の受信品質である。nは、送信電力決定部606が決定する送信電力変更回数である。nは、リモート局700の数以上の値とする。受信品質は、端末800から定期的に、制御局600に、Wideband CQIとして送信される。
【0147】
各リモート局600の送信電力Pは、次のように表される。
【0148】
【数9】
【0149】
ここで、pi,jは、リモート局700#jにおける送信電力変更回#iの送信電力値
である。mは、リモート局700の数である。mは、原則として、稼動しているリモート局700の数とする。稼動していない(電波を送信していない)リモート局700につい
ては、行列Pから除外する。
【0150】
チャネルゲインGは、次のように表される。
【0151】
【数10】
【0152】
ここで、gjは、リモート局700#jからのチャネルゲインである。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。即ち、端末800とリモート局700#jとの間のパスロス値は、1/gjである。
【0153】
チャネルゲインGは、次のように求められる。
【0154】
【数11】
【0155】
行列Pの各要素は、行列Cの各要素とチャネルゲインGの各要素との関係を定義する連立方程式の係数である。行列Pにおいて、0でない固有値の数がm以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をm以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。また、行列Pが正方行列でない場合、行列PTPにおいて、0でない固有値の数がm以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をm以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。 σは、例えば、次のように求められる。
【0156】
【数12】
【0157】
ここで、RSRP(Reference Signal Received Power)は参照信号受信電力であり、
RSRQ(Reference Signal Received Quality)は全受信電力と参照信号受信電力との
比である。σは、この例に限定されるものではない。RSRP及びRSRQは、端末800からリモート局700を介して制御局600に送信されるフィードバック情報である。
【0158】
パスロス値は、チャネルゲインの逆数として求められる。
【0159】
(送信電力値の決定)
制御局600の送信電力決定部606は、リモート局700毎に、電力変更回毎の送信電力値を決定する。
【0160】
図18は、制御局600の送信電力決定部606による送信電力値を決定する動作フローの例を示す図である。
【0161】
送信電力決定部606は、送信電力変更回数を決定する(S201)。送信電力変更回数は、パスロス値を算出するまでに、端末800で受信品質を測定する回数である。送信電力変更回数は、パスロス算出時間(パスロスを算出するまでにかける時間)をあらかじめ設定し、このパスロス算出時間を、端末800における受信品質測定の時間間隔で割った値としてもよい。なお、送信電力変更回数は、自然数である。受信品質測定の時間間隔は、例えば、端末800であらかじめ設定されている。また、このパスロス算出時間を、端末800における受信品質測定の時間間隔のn倍で割った値としてもよい。 送信電力決定部606は、各リモート局700の送信電力値を電力変更回毎に仮定する(S202)。送信電力決定部606は、各リモート局700の電力変更回毎の送信電力値P(行列)を生成し、行列Pの固有値を求める(S203)。
【0162】
送信電力決定部606は、行列Pのある一定値(閾値)以上の固有値の個数が、リモート局700の数以上であるか否かを判定する(S204)。ここでは、ある一定値未満の固有値は0であるとみなす。行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局700の数mより小さい場合(S204;NO)、処理がステップS202に戻る。
【0163】
行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局700の数m以上である場合(S204;YES)、処理が終了する。このとき、最後にステップS203で生成した行列Pが、各リモート局700の電力変更回毎の送信電力値の行列として決定される。
【0164】
行列Pにおいて、0でない固有値の数がリモート局の数mより小さい場合、チャネルゲインGを求めることができなくなる。逆に、行列Pにおいて、0でない固有値の数がリモート局の数m以上である場合、チャネルゲインGを求めることができる。従って、送信電力決定部606は、行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局700の数m以上となるまで、行列Pの生成を試みる。
【0165】
ステップS202で、リモート局700毎に送信電力値の総和が所定値になるようにすると、送信電力値が周波数領域によらず一定で送信電力値の総和が当該所定値である場合と比べて、リモート局700からの送信信号は、劣化しない。
【0166】
ここで、行列Pが正方行列でない場合、図18の動作フローでは、行列Pが生成された後、行列Pの代わりに行列PTPが使用される。行列PTPは、正方行列である。
【0167】
(本実施形態の作用効果)
制御局600は、リモート局毎に所定時間毎の送信電力値を決定する。リモート局毎の所定時間毎の送信電力値は、送信電力値の組である。制御局600は、リモート局700における送信電力値を、周波数領域毎の送信電力値として決定しない。リモート局700における送信電力値は、周波数領域に依存しない。そのため、リモート局700は、逆フーリエ変換を行った後の送信信号に対して、制御局600で決定された送信電力パターンに基づく送信電力値の調整をできる。従って、リモート局700は、IFFT/CP付加部、FFT/CP除去部を有さなくてもよい。これにより、リモート局700の構成が、簡素化される。
【0168】
また、制御局600は、電力変更回数を任意に変更することにより、パスロス値の精度上げたり、下げたりすることができる。例えば、電力変更回数が多くなると、行列Pの要素の数が多くなるため、パスロス値の精度が上がることが期待される。
【0169】
〔実施形態3〕
次に実施形態3について説明する。実施形態3は、実施形態1及び実施形態2との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0170】
(構成例)
本実施形態のシステムは、制御局、複数のリモート局、端末を含む。本実施形態のシステムは、図2のシステム構成例と同様である。
【0171】
本実施形態のシステムは、各リモート局と端末との間のパスロス値を推定するシステムである。本実施形態では、制御局は、リモート局から出力される信号の送信電力を、周波数方向及び時間方向に変化させる。
【0172】
本実施形態の制御局、リモート局、端末は、実施形態1の制御局100、リモート局200、端末300と同様の構成を有する。
【0173】
本実施形態の制御局の送信電力決定部は、電力変更回数を決定する。また、本実施形態の送信電力決定部は、リモート局毎に、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値(送信電力パターン)を決定する。
【0174】
本実施形態のリモート局の送信電力調整部は、制御局から通知されるリモート局毎の、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値の中から自リモート局の電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値を抽出する。送信電力調整部は、送信信号に対して、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値に基づいて、電力変更回毎、周波数領域毎に送信電力値を調整する。
【0175】
図19は、リモート局に通知されるリモート局毎の、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値の例を示す図である。送信電力決定部は、図19のように、リモート局毎、電力変更回毎、周波数領域毎に、送信電力値を決定し、各リモート局に通知する。図19のテーブルは、後述する行列Pに対応する。
【0176】
本実施形態の端末の受信品質測定部は、制御局が送信する信号に含まれる参照信号の受信電力及び他セルからの干渉信号により、周波数領域毎の受信品質を測定する。受信品質測定部は、測定結果に基づいて、Subband CQIを上りリンク制御信号により、制御局に送
信する。受信品質測定部は、受信信号等から、参照信号受信電力(RSRP)、全受信電力と参照信号受信電力との比(RSRQ)を算出する。
【0177】
本実施形態の制御局、リモート局、端末は、それぞれ、図7、図8、図9に示される構成と同様のハードウェア構成によって実現されうる。
【0178】
(動作例)
本実施形態の動作シーケンスは、実施形態2の図16及び図17の動作シーケンスと同様である。本実施形態の動作シーケンスでは、リモート局において周波数帯域毎に送信電力値が調整される点で、実施形態2の動作シーケンスと主に異なる。
【0179】
(パスロス値の算出)
制御局のパスロス推定部は、各リモート局に通知した送信電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値と、送信電力変更回毎、周波数領域毎の端末における受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の各パスロス値を推定する。
【0180】
ここで、チャネルゲインG、各リモート局の送信電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値P、及び、端末における受信品質Cとの関係は、次のように表される。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。
【0181】
【数13】
【0182】
ここで、σは他セルからの干渉電力値および雑音電力値を表す。本実施形態では、σは、時間にも周波数にも依存せず一定であるとする。
【0183】
端末における受信品質Cは、次のように表される。
【0184】
【数14】
【0185】
ここで、Ntは、送信電力変更回数である。受信品質Cの要素Ctは次のように表される。
【0186】
【数15】
【0187】
ここで、γi,kは、端末における送信電力変更回#kの周波数領域#iの受信品質である。Nfは、各リモート局が使用する周波数領域の数である。
【0188】
また、各リモート局の送信電力Pは、次のように表される。
【0189】
【数16】
【0190】
送信電力Pの要素Ptは次のように表される。
【0191】
【数17】
【0192】
ここで、pi,j,kは、リモート局#jにおける周波数領域#i、電力変更回#kの送信電力値である。Nrrhは、は、リモート局の数である。Nrrhは、原則として、稼動しているリモート局の数とする。稼動していない(電波を送信していない)リモート局については、行列Pから除外する。
【0193】
チャネルゲインGは、次のように表される。
【0194】
【数18】
【0195】
ここで、gjは、リモート局#jと端末との間のチャネルゲインである。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。即ち、端末とリモート局#jとの間のパスロス値は、1/gjである。
【0196】
チャネルゲインGは、次のように求められる。
【0197】
【数19】
【0198】
行列Pの各要素は、行列Cの各要素とチャネルゲインGの各要素との関係を定義する連立方程式の係数である。行列Pにおいて、0でない固有値の数がNrrh以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をNrrh以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。また、行列Pが正方行列でない場合、行列PTPにおいて、0でない固有値の数がNrrh以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をNrrh以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。
【0199】
(本実施形態の作用効果)
本実施形態では、制御局は、リモート局から出力される信号の送信電力を、周波数方向及び時間方向に変化させる。本実施形態の構成によれば、他の実施形態の構成と比べて、行列Pの要素の数が多くなるため、より精度よくパスロス値を求めることができる。
【符号の説明】
【0200】
100 制御局
102 変調部
104 マッピング部
106 送信電力決定部
108 パスロス推定部
110 スケジューリング部
112 復調部
114 デマッピング部
120 インタフェース
192 プロセッサ
194 記憶装置
196 ベースバンド処理回路
200 リモート局
202 送信電力調整部
204 IFFT/CP付加部
206 DAC
210 インタフェース
214 FFT/CR除去部
216 ADC
220 アンテナ
292 プロセッサ
294 記憶装置
296 ベースバンド処理回路
298 無線処理回路
300 端末
302 変調部
304 マッピング部
306 IFFT/CR付加部
308 DAC
310 スケジューリング部
320 アンテナ
332 復調部
334 デマッピング部
336 IFFT/CR除去部
338 ADC
340 受信品質測定部
392 プロセッサ
394 記憶装置
396 ベースバンド処理回路
398 無線処理回路
600 制御局
700 リモート局
800 端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御局、リモート局、通信システム、及び、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局を制御局と複数のリモート局とに分離する分散アンテナシステムが考えられている。分散アンテナシステムでは、アンテナを含む無線処理部がリモート局として地理的に分散して配置される。制御局と複数のリモート局を含む分散アンテナシステムは、一つのセルを形成する。制御局が各リモート局に同一の信号を送信し、各リモート局が端末に無線信号を送信することで、電波伝搬距離の短縮化を図ることができる。また、複数のリモート局からの信号が端末で合成されることから利得が向上し、その結果、受信品質の向上が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−53768号公報
【特許文献2】特開2010-278809号公報
【特許文献3】特開2011-101291号公報
【特許文献4】特開2011-41001号公報
【特許文献5】特開2011-78025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、従来のシステムの概要を示す図である。各リモート局からの信号が伝搬路上で合成された信号を端末は受信し、端末は複数のリモート局から送信されていることを特に区別することなく通信を行う。
【0005】
端末においてリモート局毎の信号分離は難しく、各リモート局と端末との間の伝搬による減衰量(以下、パスロス値ともいう)をリモート局毎に分離して認識することは困難である。
【0006】
各リモート局と端末との間のパスロス値を推定する方法として、上りリンクの受信信号により各端末と各リモート局間の距離減衰を推定する方法がある。しかし、上りリンクの受信信号により距離減衰を測定するためには、少なくとも上りリンクにおいて制御局とリモート局を1対多のリンクで接続するスター型とし、制御局においてリンクごとにユーザを分離することによって距離減衰を測定することが求められる。または、各リモート局でユーザ分離を行い各々の距離減衰を測定することが求められる。これらの場合、リンクごともしくはリモート局ごとにユーザ分離を行うこととなるため、処理が複雑であり、コストの観点等で問題がある。また、下りリンクにおいてリモート局で個別の識別信号を挿入し、端末で各リモート局からの信号を分離し測定およびフィードバックする方法もある。しかし、この場合、リモート局と端末との間の識別信号の送信や端末でのリモート局の分離処理、さらには各リモート局間のパスロス値のフィードバックが求められるため、端末の処理の複雑さの観点や制御情報量の観点で問題がある。
【0007】
本件開示の技術は、簡易にパスロスを推定する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
【0009】
即ち、第1の態様は、
複数のリモート局に接続され、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局であって、
前記複数のリモート局のそれぞれが前記端末宛ての同じデータを周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで送信した際に、前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、
前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出するプロセッサを備える制御局とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、簡易にパスロスを推定する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、従来のシステムの概要を示す図である。
【図2】図2は、実施形態1のシステム構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施形態1の制御局の機能ブロックの例を示す図である。
【図4】図4は、リモート局に通知されるリモート局毎の周波数領域毎の送信電力値の例を示す図である。
【図5】図5は、実施形態1のリモート局の機能ブロックの例を示す図である。
【図6】図6は、実施形態1の端末の機能ブロックの例を示す図である。
【図7】図7は、制御局のハードウェア構成例を示す図である。
【図8】図8は、リモート局のハードウェア構成例を示す図である。
【図9】図9は、端末のハードウェア構成例を示す図である。
【図10】図10は、実施形態1のシステムの動作シーケンスの例を示す図である。
【図11】図11は、実施形態1の制御局の送信電力決定部による送信電力値を決定する動作フローの例を示す図である。
【図12】図12は、実施形態2の制御局の機能ブロックの例を示す図である。
【図13】図13は、リモート局に通知されるリモート局毎の送信電力変更回毎の送信電力値の例を示す図である。
【図14】図14は、実施形態2のリモート局の機能ブロックの例を示す図である。
【図15】図15は、実施形態2の端末の機能ブロックの例を示す図である。
【図16】図16は、実施形態2のシステムの動作シーケンス(1)の例を示す図である。
【図17】図17は、実施形態2のシステムの動作シーケンス(2)の例を示す図である。
【図18】図18は、実施形態2の制御局の送信電力決定部による送信電力値を決定する動作フローの例を示す図である。
【図19】図19は、リモート局に通知されるリモート局毎の、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、開示の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。開示の構成の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。各実施形態は、適宜、組み合わされうる。ここでは、通信方式としてLTE(Long Term Evolution)を想定した実施形態
について説明するが、ここで説明する実施形態に適用される通信方式はLTEに限定されるものではなく、ここで説明する実施形態は他の通信方式にも適用可能である。
【0013】
〔実施形態1〕
(構成例)
図2は、本実施形態のシステム構成例を示す図である。本実施形態のシステムは、制御局100、複数のリモート局200、端末300を含む。図2の例では、リモート局200の数は3つ例示されているが、リモート局の数は3つに限定されるものではない。また、図2の例では、端末300の数は1つ例示されているが、端末300の数は1つに限定されるものではない。各リモート局200は、それぞれ、制御局100に接続される。各リモート局300と制御局100とは、光ファイバなどの通信回線により接続される。端末300は、各リモート局200から信号を受信しうる。また、端末300は、リモート局200以外からの信号(干渉信号)を受信しうる。端末300は、1つ以上のリモート局200を経由して、制御局100との通信をする。
【0014】
本実施形態のシステムは、各リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定するシステムである。本実施形態では、制御局100は、リモート局200から出力される信号の送信電力を周波数方向に変化させる。
【0015】
制御局100は、下りリンクにおいて、上位の情報を変調し、I/Q信号(In-phase/Quadrature)のサブキャリアマッピングを行い、リモート局200に送信する。リモート
局200は、受信した信号をIFFT(Inverse Fast Fourier Transfer;逆高速フーリ
エ変換)及びCP(Cyclic Prefix;サイクリックプリフィックス)を付加することによ
って、OFDM信号に変換し、送信する。上位とは、例えば、上位レイヤである。但し、本実施形態において上位レイヤの説明は省略する。
【0016】
図3は、制御局の機能ブロックの例を示す図である。制御局100は、変調部102、マッピング部104、送信電力決定部106、パスロス推定部108、スケジューリング部110、復調部112、デマッピング部114を含む。
【0017】
変調部102は、上位から受信した信号に所定の変調処理を行う。変調部102は、変調処理した信号をマッピング部104に出力する。上位から受信する信号には、参照信号が含まれる。参照信号とは、例えば、リモート局と端末との間のチャネル特性を推定するための信号系列である。
【0018】
マッピング部104は、スケジューリング部110から通知されるスケジュール(帯域割当情報)に基づいて、変調部102で変調された信号を、サブキャリア(周波数領域)にマッピングする。マッピング部104で処理された信号は、インタフェース120を介して、リモート局200に出力される。
【0019】
送信電力決定部106は、リモート局200毎に、周波数領域毎の送信電力値(送信電力パターン)を決定する。送信電力決定部106は、決定したリモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値をインタフェース120を介して、リモート局200に出力する。リモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値は、例えば、通知情報として出力される。リモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値の算出については、後に詳述する。
【0020】
図4は、リモート局に通知されるリモート局毎の周波数領域毎の送信電力値の例を示す図である。送信電力決定部106は、図4のように、リモート局毎、周波数領域毎に、送信電力値を決定し、各リモート局200に通知する。図4のテーブルは、後述する行列Pに対応する。
【0021】
パスロス推定部108は、各リモート局200に通知した周波数領域毎の送信電力値と、周波数領域毎の端末300における受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の
各パスロス値を推定する。パスロス推定部108は、送信電力決定部106から各リモート局200に通知した周波数領域毎の送信電力値を受信する。また、パスロス推定部108は、復調部112から周波数領域毎の端末300における受信品質(受信品質情報)を受信する。
【0022】
スケジューリング部110は、帯域割当情報をマッピング部104、デマッピング部114等に通知する。帯域割当情報は、リモート局と端末との間で通信される無線信号が使用する周波数帯域及び時刻の割当などを示す情報である。
【0023】
復調部112は、デマッピング部114で変換された信号を復調処理する。復調部112は、端末300からのフィードバック情報等を抽出し、パスロス推定部108に出力する。復調部112は、受信した信号を上位に出力する。上位とは、例えば、上位レイヤである。
【0024】
デマッピング部114は、スケジューリング部110から通知されるスケジュール(帯域割当情報)に基づいて、リモート局200からインタフェース120を介して受信した信号をマッピング前の信号に変換する。
【0025】
インタフェース120は、外部の通信回線に接続され、制御局100内部の信号を外部の通信回線に出力し、外部の通信回線から信号を受信する。インタフェース120は、光ファイバ等の通信回線を介して、各リモート局200と接続される。
【0026】
図5は、リモート局の機能ブロックの例を示す図である。リモート局200は、送信電力調整部202、IFFT/CP付加部204、DAC206、インタフェース210、FFT/CP除去部214、ADC216、アンテナ220を含む。
【0027】
リモート局200は、複数の周波数領域を使用して無線信号を端末300との間で送受信する。各リモート局200は、それぞれ固有の識別番号(リモート局番号)を有してもよい。
【0028】
送信電力調整部202は、制御局100から通知されるリモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値の中から自リモート局の周波数領域毎の送信電力値を抽出する。送信電力調整部202は、送信信号に対して、周波数領域毎の送信電力値に基づいて、周波数領域毎に送信電力値を調整する。
【0029】
IFFT(Inverse Fast Fourier Transfer)/CP(Cyclic Prefix)付加部204は、マッピング部104でマッピングされた信号に対し、IFFT(逆高速フーリエ変換)して、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。さらに、IFFT/CP付加部204は、時間領域の信号に変換された信号に、CP(Cyclic Prefix;サイクリックプ
リフィックス)を付加する。
【0030】
DAC(Digital to Analog Converter)206は、IFFT/CP付加部204で処
理されたデータ信号(デジタル信号)を、アナログ信号に変換する。そして、DAC206は、変換したアナログ信号を、アンテナ220に出力する。
【0031】
インタフェース210は、外部の通信回線に接続され、リモート局200内部の信号を外部の通信回線に出力し、外部の通信回線から信号を受信する。インタフェース210は、光ファイバ等の通信回線を介して、制御局100と接続される。
【0032】
ADC(Analog to Digital Converter)216は、アンテナ220で受信した無線信
号を、デジタル信号に変換する。ADC216は、変換したデジタル信号(データ信号)を、FFT/CP除去部214に出力する。
【0033】
FFT(Fast Fourier Transfer)/CP(Cyclic Prefix)除去部214は、ADC216で変換されたデータ信号からCPを除去する。さらに、FFT/CP除去部214は、CPを除去したデータ信号をFFT(高速フーリエ変換)して、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する。
【0034】
アンテナ220は、端末300と間で無線信号を送受信する。
【0035】
図6は、端末の機能ブロックの例を示す図である。端末300は、変調部302、マッピング部304、IFFT/CP付加部306、DAC308、スケジューリング部310、アンテナ320、復調部332、デマッピング部334、FFT/CP除去部336、ADC338、受信品質測定部340を含む。
【0036】
端末300は、制御局100がリモート局200を介して送信する参照信号の受信電力及び他セルからの干渉電力により、周波数領域毎に受信品質を計測する。端末300は、受信品質の計測結果に基づいて、Subband CQI(Channel Quality Indicator)を上りリンクの制御信号により制御局100に送信する。Subband CQIは、各周波数領域における受
信品質を量子化した信号である。Subband CQIは、フィードバック情報の1つである。端
末300は、定期的に、Subband CQIを制御局100に送信する。Subband CQIは、周波数領域毎の受信品質を示す。受信品質とは、例えば、参照信号の受信強度である。
【0037】
また、端末300は、参照信号受信電力(RSRP)、全受信電力と参照信号受信電力との比(RSRQ)を、リモート局200を介して制御局100に、定期的に送信する。RSRP及びRSRQは、フィードバック情報である。
【0038】
変調部302は、上位から信号を受信する。変調部302は、受信品質測定部340からフィードバック情報を受信する。変調部302は、受信した信号に所定の変調処理を行う。変調部302は、変調処理した信号をマッピング部304に出力する。上位とは、例えば、上位レイヤである。
【0039】
マッピング部304は、スケジューリング部310から通知されるスケジュール(帯域割当情報)に基づいて、変調部302で変調された信号を、サブキャリア(周波数領域)にマッピングする。マッピング部304で処理された信号は、IFFT/CP付加部306に出力される。
【0040】
IFFT/CP付加部306は、マッピング部304でマッピングされた信号に対し、IFFTして、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。さらに、IFFT/CP付加部306は、時間領域の信号に変換された信号に、CPを付加する。
【0041】
DAC308は、IFFT/CP付加部306で処理されたデータ信号(デジタル信号)を、アナログ信号に変換する。DAC308は、変換したアナログ信号を、アンテナ320に出力する。
【0042】
アンテナ320は、各リモート局200との間で無線信号を送受信する。
【0043】
ADC338は、アンテナ320で受信した無線信号を、デジタル信号に変換する。ADC338は、変換したデジタル信号(データ信号)を、FFT/CP除去部336に出力する。
【0044】
FFT/CP除去部336は、ADC338で変換されたデータ信号からCPを除去する。FFT/CP除去部336は、CPを除去したデータ信号をFFTして、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する。
【0045】
デマッピング部334は、スケジューリング部310から通知されるスケジュール(帯域割当情報)に基づいて、FFT/CP除去部336から受信した信号をマッピング前の信号に変換する。
【0046】
復調部332は、デマッピング部334で変換された信号を復調処理する。復調部332は、復調部332は、受信した信号を上位に引き渡す。また、復調部332は、受信した信号を受信品質測定部340に出力する。
【0047】
受信品質測定部340は、制御局が送信する信号に含まれる参照信号の受信電力及び他セルからの干渉信号により、周波数領域毎の受信品質を測定する。受信品質測定部340は、測定結果に基づいて、Subband CQIを上りリンク制御信号により、制御局100に送
信する。受信品質測定部340は、受信信号等から、参照信号受信電力(RSRP)、全受信電力と参照信号受信電力との比(RSRQ)を算出し得る。
【0048】
制御局100、リモート局200は、専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。端末300は、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション装置のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。
【0049】
コンピュータ、すなわち、情報処理装置は、プロセッサ、主記憶装置、及び、二次記憶装置や、通信インタフェース装置のような周辺装置とのインタフェース装置を含む。記憶装置(主記憶装置及び二次記憶装置)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0050】
コンピュータは、プロセッサが記録媒体に記憶されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて周辺機器が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
【0051】
プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Data Signal Processor)である。主記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。
【0052】
二次記憶装置は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディス
クドライブ(HDD、Hard Disk Drive)である。また、二次記憶装置は、リムーバブル
メディア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)のようなディスク記録媒体である。
【0053】
図7は、制御局のハードウェア構成例を示す図である。制御局100は、プロセッサ192、記憶装置194、ベースバンド処理回路196を含む。プロセッサ192、記憶装置194、ベースバンド処理回路196は、例えば、バスを介して互いに接続される。
【0054】
プロセッサ192は、スケジューリング部110、送信電力決定部106、パスロス推定部108としての機能を実現しうる。
【0055】
記憶装置194は、プロセッサで実行されるプログラム、プログラムの実行の際に使用
されるデータ等が格納される。
【0056】
ベースバンド処理回路196は、変調部102、復調部112、マッピング部104、デマッピング部114としての機能を実現しうる。ベースバンド処理回路は、ベースバンド信号を処理する。
【0057】
図8は、リモート局のハードウェア構成例を示す図である。リモート局200は、プロセッサ292、記憶装置294、ベースバンド処理回路296、無線処理回路298、アンテナ220を含む。プロセッサ292、記憶装置294、ベースバンド処理回路296、無線処理回路298、アンテナ220は、例えば、バスを介して互いに接続される。
【0058】
プロセッサ292は、送信電力調整部202としての機能を実現しうる。
【0059】
記憶装置294には、プロセッサで実行されるプログラム、プログラムの実行の際に使用されるデータ等が格納される。
【0060】
ベースバンド処理回路296は、IFFT/CP付加部204、FFT/CP除去部214として信号を処理することができる。
【0061】
無線処理回路298は、DAC206、ADC216として信号を処理することができる。無線処理回路298は、アンテナ220で送受信される無線信号を処理する。
【0062】
図9は、端末のハードウェア構成例を示す図である。端末300は、プロセッサ392、記憶装置394、ベースバンド処理回路396、無線処理回路398、アンテナ320を含む。無線処理回路398は、アンテナ320に接続される。プロセッサ392、記憶装置394、ベースバンド処理回路396、無線処理回路398は、例えば、バスを介して互いに接続される。
【0063】
プロセッサ392は、スケジューリング部310、受信品質測定部340としての機能を実現しうる。
【0064】
記憶装置394には、プロセッサで実行されるプログラム、プログラムの実行の際に使用されるデータ等が格納される。
【0065】
ベースバンド処理回路396は、変調部302、復調部332、マッピング部304、デマッピング部334、IFFT/CP付加部306、FFT/CP除去部336として信号を処理することができる。
【0066】
無線処理回路398は、DAC308、ADC338として信号を処理することができる。
【0067】
(動作例)
図10は、本実施形態のシステムの動作シーケンスの例を示す図である。本実施形態のシステムは、リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定する。
【0068】
制御局100と端末300との間の通信は、確立しているとする。制御局100および端末300は、リモート局200を介して、互いに信号を送受信する。SQ1001以降の動作シーケンスは、例えば、所定時間毎に実行される。
【0069】
制御局100の送信電力決定部106は、リモート局200毎に周波数領域毎の送信電
力値を決定する(SQ1001)。送信電力値の決定については、後に説明する。
【0070】
制御局100の送信電力決定部106は、決定した送信電力値を、送信電力値通知信号として、各リモート局200に送信する(SQ1002)。送信電力値通知信号は、すべてのリモート局200についての周波数領域毎の送信電力値を含む。また、送信電力値通知信号は、リモート局毎の送信電力値通知信号として生成され、各リモート局にそれぞれの送信電力通知信号が送信されてもよい。
【0071】
各リモート局200の送信電力調整部202は、制御局100から通知される送信電力値通知信号から自リモート局の周波数領域毎の送信電力値を取得する。各リモート局200は、受信した送信電力値に基づいて、周波数領域毎に送信電力を調整する(SQ1003)。
【0072】
制御局100は、参照信号を含む信号を端末300に向けて送信する(SQ1004)。リモート局200は、制御局100から送信された参照信号を含む信号を、SQ1002で調整した送信電力で送信する。端末300は、各リモート局200からの参照信号を含む信号を受信する。
【0073】
端末300の受信品質測定部340は、受信した参照信号の受信電力、干渉電力等から、周波数領域毎に受信品質を測定する(SQ1005)。
【0074】
端末300は、測定した受信品質を、受信品質情報として、制御局100に送信する(SQ1006)。
【0075】
パスロス推定部108は、リモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値、及び、端末300から受信した周波数領域毎の受信品質に基づいて、各リモート局200と端末300との間のパスロス値(チャネルゲイン)を算出する(SQ1007)。
【0076】
SQ1001以降の動作は、例えば、制御局100において測定される制御局100の負荷が所定値以下である場合に、開始されるようにしてもよい。
【0077】
パスロス値の算出については、後に説明する。
【0078】
(パスロス値の算出)
制御局100のパスロス推定部108は、各リモート局200に通知した周波数領域毎の送信電力値と、周波数領域毎の端末300における受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の各パスロス値を推定する。
【0079】
ここで、チャネルゲインG、各リモート局200の周波数領域毎の送信電力値P、及び、端末300における受信品質Cとの関係は、次のように表される。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。
【0080】
【数1】
【0081】
ここで、σは他セルからの干渉電力値および雑音電力値を表す。本実施形態では、σは、時間にも周波数にも依存せず一定であるとする。
【0082】
端末300における受信品質Cは、次のように表される。
【0083】
【数2】
【0084】
ここで、γiは、端末300における周波数領域#iの受信品質である。γiは、所定期間において各リモート局200の送信電力Pが一定であれば、当該所定期間の端末300における周波数領域#iの受信品質の平均でもよい。nは、リモート局200が使用する周波数領域の数である。受信品質は、端末300から定期的に、制御局100に、Subband CQIとして送信される。
【0085】
各リモート局200の送信電力Pは、次のように表される。
【0086】
【数3】
【0087】
ここで、pi,jは、リモート局200#jにおける周波数領域#iの送信電力値であ
る。mは、リモート局200の数である。mは、原則として、稼動しているリモート局200の数とする。稼動していない(電波を送信していない)リモート局200については、行列Pから除外する。
【0088】
チャネルゲインGは、次のように表される。
【0089】
【数4】
【0090】
ここで、gjは、リモート局200#jからのチャネルゲインである。チャネルゲイン
は、パスロス値の逆数である。即ち、端末300とリモート局200#jとの間のパスロス値は、1/gjである。
【0091】
チャネルゲインGは、次のように求められる。
【0092】
【数5】
【0093】
行列Pの各要素は、行列Cの各要素とチャネルゲインGの各要素との関係を定義する連立方程式の係数である。行列Pにおいて、0でない固有値の数がm以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をm以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。また、行列Pが正方行列でない場合、行列PTPにおいて、0でない固有値の数がm以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をm以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。
【0094】
σは、例えば、次のように求められる。
【0095】
【数6】
【0096】
ここで、RSRP(Reference Signal Received Power)は参照信号受信電力であり、
RSRQ(Reference Signal Received Quality)は全受信電力と参照信号受信電力との
比である。σは、この例に限定されるものではない。RSRP及びRSRQは、端末300からリモート局200を介して制御局100に送信されるフィードバック情報である。
【0097】
パスロス値は、チャネルゲインの逆数として求められる。
【0098】
(送信電力値の決定)
制御局100の送信電力決定部106は、リモート局200毎に、周波数領域毎の送信電力値を決定する。
【0099】
図11は、制御局100の送信電力決定部106による送信電力値を決定する動作フローの例を示す図である。
【0100】
送信電力決定部106は、各リモート局200の送信電力値を周波数領域毎に仮定する(S101)。送信電力決定部106は、各リモート局200の周波数領域毎の送信電力値P(行列)を生成し、行列Pの固有値を求める(S102)。
【0101】
送信電力決定部106は、行列Pのある一定値(閾値)以上の固有値の個数が、リモート局200の数以上であるか否かを判定する(S103)。ここでは、ある一定値未満の
固有値は0であるとみなす。行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局200の数mより小さい場合(S103;NO)、処理がステップS101に戻る。
【0102】
行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局200の数m以上である場合(S103;YES)、処理が終了する。このとき、最後にステップS102で生成した行列Pが、各リモート局200の周波数領域毎の送信電力値の行列として決定される。
【0103】
行列Pにおいて、0でない固有値の数がリモート局の数mより小さい場合、チャネルゲインGを求めることができなくなる。逆に、行列Pにおいて、0でない固有値の数がリモート局の数m以上である場合、チャネルゲインGが求められうる。従って、送信電力決定部106は、行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局200の数m以上となるまで、行列Pの生成を試みる。行列Pの0でない固有値の個数がm以上であれば、独立の方程式がm以上できるため、チャネルゲインGが求められる。
【0104】
1つのリモート局200からの信号の受信品質は、当該リモート局200の送信電力値の総和に依存する。ステップS101で、リモート局200毎に送信電力値の総和が所定値になるようにすると、送信電力値が周波数領域によらず一定で送信電力値の総和が当該所定値である場合と比べて、端末300における受信品質は、劣化しない。
【0105】
ここで、行列Pが正方行列でない場合、図11の動作フローでは、行列Pが生成された後、行列Pの代わりに行列PTPが使用される。例えば、ステップS102では、行列PTPの固有値が求められる。行列PTPは、正方行列である。
【0106】
(本実施形態の作用効果)
制御局100の送信電力決定部106は、リモート局200毎に周波数領域(周波数)毎の送信電力値を決定する。リモート局200毎の周波数領域毎の送信電力値は、送信電力値の組である。送信電力決定部106は、リモート局200から出力される信号の送信電力を周波数方向に変化させる。制御局100のパスロス推定部108は、リモート局毎の周波数領域毎の送信電力値、端末300から受信した周波数領域毎の受信品質に基づいて、各リモート局200と端末300との間の(下りリンクの)パスロス値を算出する。周波数領域毎の受信品質は、受信品質情報の組である。
【0107】
本実施形態の構成によれば、上りリンクにおいて個々のリモート局200と端末300との間のリンク毎にユーザ分離を行うことなく、リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定することが可能となる。また、本実施形態の構成によれば、下りリンクにおいてリモート局固有の識別番号を送信することなく、リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定することが可能となる。さらに、本実施形態の構成によれば、端末300において各リモート局200の信号分離を行うことや各リモート局200の一部の周波数帯域の送信を取りやめることなく、リモート局200と端末300との間のパスロス値を推定することが可能となる。
【0108】
本実施形態によれば、リモート局200にIFFT/CR付加部204が設けられることにより、送信電力をリモート局200で周波数領域毎の送信電力値に調整することが可能となる。
【0109】
制御局100は、端末300が送信するフィードバック情報を用いて、各リモート局200と端末300との間のパスロス値を求めることができる。端末300は、パスロス値を求めるための特別な構成を用意しなくてもよい。
【0110】
制御局100は、パスロス値を使用して、例えば、パスロス値が大きいリモート局20
0から端末300への送信電力を低減することができる。これにより、他セルへの干渉が低減し得る。パスロス値が大きい場合、端末300とリモート局200とが遠く離れていることが推定される。このとき、当該リモート局200から当該端末300への信号送信は、当該端末300の受信品質の向上に寄与しないだけでなく、他セルへの干渉を増大するおそれがある。よって、制御局100は、当該リモート局200から当該端末300への送信電力を調整することで、他セルへの干渉を低減できる。即ち、制御局300は、ある端末300へのパスロス値が大きいリモート局200に対してより小さい送信電力を設定し、パスロス値が小さいリモート局200に対してより大きな送信電力を設定することで、端末300での受信品質の向上を図ることができる。
【0111】
〔実施形態2〕
次に実施形態2について説明する。実施形態2は、実施形態1との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0112】
(構成例)
本実施形態のシステムは、制御局600、複数のリモート局700、端末800を含む。本実施形態のシステムは、図2のシステム構成例と同様である。
【0113】
本実施形態のシステムは、各リモート局700と端末800との間のパスロス値を推定するシステムである。本実施形態では、制御局600は、リモート局700から出力される信号の送信電力を時間方向に変化させる。
【0114】
図12は、制御局の機能ブロックの例を示す図である。制御局600は、変調部602、マッピング部604、送信電力決定部606、パスロス推定部608、スケジューリング部610、復調部612、デマッピング部614を含む。また、制御局600は、IFFT/CP付加部632、FFT/CP付加部634を含む。
【0115】
IFFT/CP付加部632は、マッピング部304でマッピングされた信号に対し、IFFTして、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。そして、IFFT/CP付加部632は、時間領域の信号に変換された信号に、CPを付加する。IFFT/CP付加部632は、処理した信号を、インタフェース620を介してリモート局700に出力する。
【0116】
FFT/CP除去部634は、リモート局700のADC716で変換されたデータ信号からCPを除去する。FFT/CP除去部634は、CPを除去したデータ信号をFFTして、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換する。FFT/CP除去部634は、処理した信号をデマッピング部614に出力する。
【0117】
送信電力決定部606は、送信電力変更回数を決定する。送信電力変更回数は、パスロス値を算出するまでに、端末800で受信品質を測定する回数である。送信電力変更回数は、リモート局700の数よりも大きい数となる。送信電力変更回数が、リモート局700の数よりも小さいと、パスロス値を算出できないからである。送信電力決定部606は、リモート局700毎に、送信電力変更回毎の送信電力値(送信電力パターン)を決定する。送信電力決定部606は、実施形態1とは異なり、リモート局700毎に周波数方向には一定の送信電力値となるようにする。1つのリモート局700において、送信電力変更回毎に、送信電力パターンに基づいて、送信電力が変更されることになる。送信電力変更が所定時間毎に行われるとすると、送信電力パターンに基づいて、所定時間毎に、送信電力が変更される。
【0118】
図13は、リモート局に通知されるリモート局毎の送信電力変更回毎の送信電力値の例
を示す図である。送信電力決定部606は、図13のように、リモート局毎、送信電力変更回毎に、送信電力値を決定し、各リモート局700に通知する。図13のテーブルは、後述する行列Pに対応する。
【0119】
パスロス推定部608は、各リモート局700に通知した送信電力変更回毎の送信電力値と、送信電力変更回毎の端末800における全周波数領域の平均の受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の各パスロス値を推定する。パスロス推定部608は、送信電力決定部606から各リモート局700に通知した送信電力値を受信する。パスロス推定部608は、復調部612から周波数領域毎の端末800における受信品質を受信する。
【0120】
図14は、リモート局の機能ブロックの例を示す図である。リモート局700は、送信電力調整部702、DAC706、インタフェース710、ADC716、アンテナ720を含む。
【0121】
送信電力調整部702は、制御局600から通知されるリモート局700毎の送信電力変更回毎の送信電力値の中から自リモート局の送信電力変更回毎の送信電力値を取得する。送信電力調整部702は、送信信号に対して、送信電力変更回毎の送信電力値に基づいて、送信電力変更回毎に送信電力値を調整する。送信電力変更の時間間隔は、例えば、端末800における受信品質の測定の時間間隔と同じにする。
【0122】
DAC706は、送信電力調整部702で送信電力が変更されたデータ信号(デジタル信号)を、アナログ信号に変換する。DAC706は、変換したアナログ信号を、アンテナ720に出力する。
【0123】
ADC716は、アンテナ720で受信した無線信号を、デジタル信号に変換する。ADC716は、変換したデジタル信号(データ信号)を、制御局600に出力する。
【0124】
図15は、端末の機能ブロックの例を示す図である。端末800は、変調部802、マッピング部804、IFFT/CP付加部806、DAC808、スケジューリング部810、アンテナ820、復調部832、デマッピング部834、FFT/CP除去部836、ADC838、受信品質測定部840を含む。
【0125】
端末800は、制御局600がリモート局700を介して送信する参照信号の受信電力及び他セルからの干渉電力により、全周波数領域の平均の受信品質を計測する。端末300は、受信品質の計測結果に基づいて、Wideband CQI(Channel Quality Indicator)を
上りリンクの制御信号により制御局600に送信する。Wideband CQIは、全周波数領域の平均の受信品質を量子化した信号である。Wideband CQIは、フィードバック情報の1つである。端末800は、定期的に(所定時間間隔で)、Wideband CQIを制御局600に送信する。Wideband CQIは、全周波数領域の平均の受信品質を示す。
【0126】
受信品質測定部840は、制御局が送信する信号に含まれる参照信号の受信電力及び他セルからの干渉信号により、少なくとも電力変更回毎に、全周波数領域の平均の受信品質を測定する。受信品質測定部840は、測定結果に基づいて、Wideband CQIを上りリンク制御信号により、少なくとも電力変更回毎に、制御局600に送信する。受信品質測定部840は、受信信号等から、参照信号受信電力(RSRP)、全受信電力と参照信号受信電力との比(RSRQ)を算出する。受信品質測定部840は、すべての電力変更回の受信品質をまとめて、制御局600に送信してもよい。
【0127】
制御局600、リモート局700、端末800は、それぞれ、図7、図8、図9に示さ
れる構成と同様のハードウェア構成によって実現されうる。
【0128】
(動作例)
図16及び図17は、本実施形態のシステムの動作シーケンスの例を示す図である。図16の「A」、「B1」から「Bn」、「C」、「d」、「e」は、それぞれ、図17の「A」、「B1」から「Bn」、「C」、「d」、「e」に接続する。
【0129】
本実施形態のシステムは、リモート局700と端末800との間のパスロス値を推定する。
【0130】
制御局600と端末800との間の通信は、確立しているとする。制御局600および端末800は、リモート局700を介して、互いに信号を送受信する。
【0131】
制御局600の送信電力決定部606は、リモート局700毎に送信電力変更回毎の送信電力値を決定する(SQ2001)。送信電力値の決定については、後に説明する。
【0132】
制御局600の送信電力決定部606は、決定した送信電力値を、送信電力値通知信号として、各リモート局700に送信する(SQ2002)。
【0133】
各リモート局700の送信電力調整部702は、制御局600から通知される送信電力値通知信号から自リモート局の送信電力変更回毎の送信電力値を取得する。各リモート局700は、受信した送信電力値に基づいて、送信電力変更回毎に送信電力を調整する(SQ2003)。
【0134】
制御局600は、参照信号を含む信号を端末800に向けて送信する(SQ2004)。リモート局700は、制御局600から送信された参照信号を含む信号を、SQ2002で調整した送信電力で送信する。端末800は、各リモート局700からの参照信号を含む信号を受信する。
【0135】
端末800の受信品質測定部840は、受信した参照信号の受信電力、干渉電力等から、全周波数領域の平均の受信品質を測定する(SQ2005)。
【0136】
端末800は、測定した受信品質を、受信品質情報として、制御局600に送信する(SQ2006)。
【0137】
制御部600、各リモート局700、端末800は、送信電力決定部606が決定した送信電力変更回数(ここではn回)、SQ2003からSQ2006の処理を繰り替えす。
【0138】
パスロス推定部608は、送信電力決定部606が決定した送信電力変更回数の受信品質を受信する。パスロス推定部608は、送信電力決定部606から、リモート局700毎の送信電力変更回毎の送信電力値を取得する。パスロス推定部608は、リモート局700毎の送信電力変更回毎の送信電力値、及び、端末300から受信した送信電力変更回毎の受信品質に基づいて、各リモート局200と端末300との間のパスロス値(チャネルゲイン)を算出する(SQ2007)。
【0139】
パスロス値の算出については、後に説明する。
【0140】
(パスロス値の算出)
制御局600のパスロス推定部608は、各リモート局700に通知した送信電力変更
回毎の送信電力値と、送信電力変更回毎の端末800における受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の各パスロス値を推定する。
【0141】
ここで、チャネルゲインG、各リモート局700の送信電力変更回毎の送信電力値P、及び、端末800における受信品質Cとの関係は、次のように表される。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。
【0142】
【数7】
【0143】
ここで、σは他セルからの干渉電力値および雑音電力値を表す。本実施形態では、σは、時間にも周波数にも依存せず一定であるとする。
【0144】
端末800における受信品質Cは、次のように表される。
【0145】
【数8】
【0146】
ここで、γiは、端末800における送信電力変更回#iの全周波数領域の平均の受信品質である。nは、送信電力決定部606が決定する送信電力変更回数である。nは、リモート局700の数以上の値とする。受信品質は、端末800から定期的に、制御局600に、Wideband CQIとして送信される。
【0147】
各リモート局600の送信電力Pは、次のように表される。
【0148】
【数9】
【0149】
ここで、pi,jは、リモート局700#jにおける送信電力変更回#iの送信電力値
である。mは、リモート局700の数である。mは、原則として、稼動しているリモート局700の数とする。稼動していない(電波を送信していない)リモート局700につい
ては、行列Pから除外する。
【0150】
チャネルゲインGは、次のように表される。
【0151】
【数10】
【0152】
ここで、gjは、リモート局700#jからのチャネルゲインである。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。即ち、端末800とリモート局700#jとの間のパスロス値は、1/gjである。
【0153】
チャネルゲインGは、次のように求められる。
【0154】
【数11】
【0155】
行列Pの各要素は、行列Cの各要素とチャネルゲインGの各要素との関係を定義する連立方程式の係数である。行列Pにおいて、0でない固有値の数がm以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をm以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。また、行列Pが正方行列でない場合、行列PTPにおいて、0でない固有値の数がm以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をm以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。 σは、例えば、次のように求められる。
【0156】
【数12】
【0157】
ここで、RSRP(Reference Signal Received Power)は参照信号受信電力であり、
RSRQ(Reference Signal Received Quality)は全受信電力と参照信号受信電力との
比である。σは、この例に限定されるものではない。RSRP及びRSRQは、端末800からリモート局700を介して制御局600に送信されるフィードバック情報である。
【0158】
パスロス値は、チャネルゲインの逆数として求められる。
【0159】
(送信電力値の決定)
制御局600の送信電力決定部606は、リモート局700毎に、電力変更回毎の送信電力値を決定する。
【0160】
図18は、制御局600の送信電力決定部606による送信電力値を決定する動作フローの例を示す図である。
【0161】
送信電力決定部606は、送信電力変更回数を決定する(S201)。送信電力変更回数は、パスロス値を算出するまでに、端末800で受信品質を測定する回数である。送信電力変更回数は、パスロス算出時間(パスロスを算出するまでにかける時間)をあらかじめ設定し、このパスロス算出時間を、端末800における受信品質測定の時間間隔で割った値としてもよい。なお、送信電力変更回数は、自然数である。受信品質測定の時間間隔は、例えば、端末800であらかじめ設定されている。また、このパスロス算出時間を、端末800における受信品質測定の時間間隔のn倍で割った値としてもよい。 送信電力決定部606は、各リモート局700の送信電力値を電力変更回毎に仮定する(S202)。送信電力決定部606は、各リモート局700の電力変更回毎の送信電力値P(行列)を生成し、行列Pの固有値を求める(S203)。
【0162】
送信電力決定部606は、行列Pのある一定値(閾値)以上の固有値の個数が、リモート局700の数以上であるか否かを判定する(S204)。ここでは、ある一定値未満の固有値は0であるとみなす。行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局700の数mより小さい場合(S204;NO)、処理がステップS202に戻る。
【0163】
行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局700の数m以上である場合(S204;YES)、処理が終了する。このとき、最後にステップS203で生成した行列Pが、各リモート局700の電力変更回毎の送信電力値の行列として決定される。
【0164】
行列Pにおいて、0でない固有値の数がリモート局の数mより小さい場合、チャネルゲインGを求めることができなくなる。逆に、行列Pにおいて、0でない固有値の数がリモート局の数m以上である場合、チャネルゲインGを求めることができる。従って、送信電力決定部606は、行列Pのある一定値以上の固有値の個数がリモート局700の数m以上となるまで、行列Pの生成を試みる。
【0165】
ステップS202で、リモート局700毎に送信電力値の総和が所定値になるようにすると、送信電力値が周波数領域によらず一定で送信電力値の総和が当該所定値である場合と比べて、リモート局700からの送信信号は、劣化しない。
【0166】
ここで、行列Pが正方行列でない場合、図18の動作フローでは、行列Pが生成された後、行列Pの代わりに行列PTPが使用される。行列PTPは、正方行列である。
【0167】
(本実施形態の作用効果)
制御局600は、リモート局毎に所定時間毎の送信電力値を決定する。リモート局毎の所定時間毎の送信電力値は、送信電力値の組である。制御局600は、リモート局700における送信電力値を、周波数領域毎の送信電力値として決定しない。リモート局700における送信電力値は、周波数領域に依存しない。そのため、リモート局700は、逆フーリエ変換を行った後の送信信号に対して、制御局600で決定された送信電力パターンに基づく送信電力値の調整をできる。従って、リモート局700は、IFFT/CP付加部、FFT/CP除去部を有さなくてもよい。これにより、リモート局700の構成が、簡素化される。
【0168】
また、制御局600は、電力変更回数を任意に変更することにより、パスロス値の精度上げたり、下げたりすることができる。例えば、電力変更回数が多くなると、行列Pの要素の数が多くなるため、パスロス値の精度が上がることが期待される。
【0169】
〔実施形態3〕
次に実施形態3について説明する。実施形態3は、実施形態1及び実施形態2との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0170】
(構成例)
本実施形態のシステムは、制御局、複数のリモート局、端末を含む。本実施形態のシステムは、図2のシステム構成例と同様である。
【0171】
本実施形態のシステムは、各リモート局と端末との間のパスロス値を推定するシステムである。本実施形態では、制御局は、リモート局から出力される信号の送信電力を、周波数方向及び時間方向に変化させる。
【0172】
本実施形態の制御局、リモート局、端末は、実施形態1の制御局100、リモート局200、端末300と同様の構成を有する。
【0173】
本実施形態の制御局の送信電力決定部は、電力変更回数を決定する。また、本実施形態の送信電力決定部は、リモート局毎に、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値(送信電力パターン)を決定する。
【0174】
本実施形態のリモート局の送信電力調整部は、制御局から通知されるリモート局毎の、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値の中から自リモート局の電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値を抽出する。送信電力調整部は、送信信号に対して、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値に基づいて、電力変更回毎、周波数領域毎に送信電力値を調整する。
【0175】
図19は、リモート局に通知されるリモート局毎の、電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値の例を示す図である。送信電力決定部は、図19のように、リモート局毎、電力変更回毎、周波数領域毎に、送信電力値を決定し、各リモート局に通知する。図19のテーブルは、後述する行列Pに対応する。
【0176】
本実施形態の端末の受信品質測定部は、制御局が送信する信号に含まれる参照信号の受信電力及び他セルからの干渉信号により、周波数領域毎の受信品質を測定する。受信品質測定部は、測定結果に基づいて、Subband CQIを上りリンク制御信号により、制御局に送
信する。受信品質測定部は、受信信号等から、参照信号受信電力(RSRP)、全受信電力と参照信号受信電力との比(RSRQ)を算出する。
【0177】
本実施形態の制御局、リモート局、端末は、それぞれ、図7、図8、図9に示される構成と同様のハードウェア構成によって実現されうる。
【0178】
(動作例)
本実施形態の動作シーケンスは、実施形態2の図16及び図17の動作シーケンスと同様である。本実施形態の動作シーケンスでは、リモート局において周波数帯域毎に送信電力値が調整される点で、実施形態2の動作シーケンスと主に異なる。
【0179】
(パスロス値の算出)
制御局のパスロス推定部は、各リモート局に通知した送信電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値と、送信電力変更回毎、周波数領域毎の端末における受信品質を使用して、各リモート局と端末との間の各パスロス値を推定する。
【0180】
ここで、チャネルゲインG、各リモート局の送信電力変更回毎、周波数領域毎の送信電力値P、及び、端末における受信品質Cとの関係は、次のように表される。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。
【0181】
【数13】
【0182】
ここで、σは他セルからの干渉電力値および雑音電力値を表す。本実施形態では、σは、時間にも周波数にも依存せず一定であるとする。
【0183】
端末における受信品質Cは、次のように表される。
【0184】
【数14】
【0185】
ここで、Ntは、送信電力変更回数である。受信品質Cの要素Ctは次のように表される。
【0186】
【数15】
【0187】
ここで、γi,kは、端末における送信電力変更回#kの周波数領域#iの受信品質である。Nfは、各リモート局が使用する周波数領域の数である。
【0188】
また、各リモート局の送信電力Pは、次のように表される。
【0189】
【数16】
【0190】
送信電力Pの要素Ptは次のように表される。
【0191】
【数17】
【0192】
ここで、pi,j,kは、リモート局#jにおける周波数領域#i、電力変更回#kの送信電力値である。Nrrhは、は、リモート局の数である。Nrrhは、原則として、稼動しているリモート局の数とする。稼動していない(電波を送信していない)リモート局については、行列Pから除外する。
【0193】
チャネルゲインGは、次のように表される。
【0194】
【数18】
【0195】
ここで、gjは、リモート局#jと端末との間のチャネルゲインである。チャネルゲインは、パスロス値の逆数である。即ち、端末とリモート局#jとの間のパスロス値は、1/gjである。
【0196】
チャネルゲインGは、次のように求められる。
【0197】
【数19】
【0198】
行列Pの各要素は、行列Cの各要素とチャネルゲインGの各要素との関係を定義する連立方程式の係数である。行列Pにおいて、0でない固有値の数がNrrh以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をNrrh以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。また、行列Pが正方行列でない場合、行列PTPにおいて、0でない固有値の数がNrrh以上である場合、当該連立方程式が独立な方程式をNrrh以上含むこととなり、チャネルゲインGが求められる。
【0199】
(本実施形態の作用効果)
本実施形態では、制御局は、リモート局から出力される信号の送信電力を、周波数方向及び時間方向に変化させる。本実施形態の構成によれば、他の実施形態の構成と比べて、行列Pの要素の数が多くなるため、より精度よくパスロス値を求めることができる。
【符号の説明】
【0200】
100 制御局
102 変調部
104 マッピング部
106 送信電力決定部
108 パスロス推定部
110 スケジューリング部
112 復調部
114 デマッピング部
120 インタフェース
192 プロセッサ
194 記憶装置
196 ベースバンド処理回路
200 リモート局
202 送信電力調整部
204 IFFT/CP付加部
206 DAC
210 インタフェース
214 FFT/CR除去部
216 ADC
220 アンテナ
292 プロセッサ
294 記憶装置
296 ベースバンド処理回路
298 無線処理回路
300 端末
302 変調部
304 マッピング部
306 IFFT/CR付加部
308 DAC
310 スケジューリング部
320 アンテナ
332 復調部
334 デマッピング部
336 IFFT/CR除去部
338 ADC
340 受信品質測定部
392 プロセッサ
394 記憶装置
396 ベースバンド処理回路
398 無線処理回路
600 制御局
700 リモート局
800 端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリモート局に接続され、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局であって、
前記複数のリモート局のそれぞれが前記端末宛ての同じデータを周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで送信した際に、前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、
前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出するプロセッサを備える制御局。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記複数のリモート局のそれぞれについての送信電力値の組が前記受信品質情報の組と前記複数のリモート局毎のパスロス値との関係を定義する連立方程式の係数であり、かつ、前記連立方程式が独立な方程式を前記パスロス値の個数以上含むように前記複数のリモート局のそれぞれについての前記送信電力値の組を決定する請求項1に記載の制御局。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記リモート局毎に、前記リモート局が使用する周波数帯域毎に前記送信電力値の組を決定し、前記周波数帯域毎の受信品質情報の組と前記送信電力値の組とに基づいて前記リモート局毎のパスロス値を算出する請求項1に記載の制御局。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記周波数帯域毎に異なる送信電力値の総和が所定値となるように前記送信電力値の組を決定する請求項2に記載の制御局。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記リモート局毎に、所定時間毎の前記送信電力値を決定し、前記所定時間毎の受信品質情報と前記送信電力値とに基づいて前記パスロス値を算出する請求項1乃至3のいずれか1つに記載の制御局。
【請求項6】
制御局に接続され、端末と前記制御局との通信を中継する複数のリモート局の中の一つのリモート局であって、
前記制御局から前記端末宛ての送信信号を受信し、
前記端末への前記送信信号が、周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで送信されるよう、前記周波数又は時間毎の送信電力値を調整するプロセッサと、
前記プロセッサによって調整された前記送信信号を逆フーリエ変換するベースバンド処理回路と、
前記ベースバンド処理回路で処理された前記送信信号を前記端末に送信する無線処理回路と、
を備え、
前記送信電力パターンは、前記複数のリモート局毎に異なる、
リモート局。
【請求項7】
複数のリモート局と、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局とを含む通信システムであって、
前記複数のリモート局のそれぞれは、
前記制御局から受信した前記端末宛てのデータを、周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで前記端末に対し送信する無線処理回路を備え、
前記制御局は、
前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、
前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前
記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出するプロセッサを備える通信システム。
【請求項8】
複数のリモート局と、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局とを含む通信システムにおける通信方法であって、
前記リモート局のそれぞれが、
前記制御局から受信した前記端末宛てのデータを、周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで前記端末に対し送信し、
前記制御局が、
前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、
前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出する、
通信方法。
【請求項1】
複数のリモート局に接続され、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局であって、
前記複数のリモート局のそれぞれが前記端末宛ての同じデータを周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで送信した際に、前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、
前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出するプロセッサを備える制御局。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記複数のリモート局のそれぞれについての送信電力値の組が前記受信品質情報の組と前記複数のリモート局毎のパスロス値との関係を定義する連立方程式の係数であり、かつ、前記連立方程式が独立な方程式を前記パスロス値の個数以上含むように前記複数のリモート局のそれぞれについての前記送信電力値の組を決定する請求項1に記載の制御局。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記リモート局毎に、前記リモート局が使用する周波数帯域毎に前記送信電力値の組を決定し、前記周波数帯域毎の受信品質情報の組と前記送信電力値の組とに基づいて前記リモート局毎のパスロス値を算出する請求項1に記載の制御局。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記周波数帯域毎に異なる送信電力値の総和が所定値となるように前記送信電力値の組を決定する請求項2に記載の制御局。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記リモート局毎に、所定時間毎の前記送信電力値を決定し、前記所定時間毎の受信品質情報と前記送信電力値とに基づいて前記パスロス値を算出する請求項1乃至3のいずれか1つに記載の制御局。
【請求項6】
制御局に接続され、端末と前記制御局との通信を中継する複数のリモート局の中の一つのリモート局であって、
前記制御局から前記端末宛ての送信信号を受信し、
前記端末への前記送信信号が、周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで送信されるよう、前記周波数又は時間毎の送信電力値を調整するプロセッサと、
前記プロセッサによって調整された前記送信信号を逆フーリエ変換するベースバンド処理回路と、
前記ベースバンド処理回路で処理された前記送信信号を前記端末に送信する無線処理回路と、
を備え、
前記送信電力パターンは、前記複数のリモート局毎に異なる、
リモート局。
【請求項7】
複数のリモート局と、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局とを含む通信システムであって、
前記複数のリモート局のそれぞれは、
前記制御局から受信した前記端末宛てのデータを、周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで前記端末に対し送信する無線処理回路を備え、
前記制御局は、
前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、
前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前
記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出するプロセッサを備える通信システム。
【請求項8】
複数のリモート局と、前記複数のリモート局を介して端末と通信する制御局とを含む通信システムにおける通信方法であって、
前記リモート局のそれぞれが、
前記制御局から受信した前記端末宛てのデータを、周波数又は時間方向に送信電力を異ならせた送信電力パターンで前記端末に対し送信し、
前記制御局が、
前記端末における周波数又は時間毎の受信電力に基づく受信品質情報の組を前記端末から受信し、
前記複数のリモート局のそれぞれについての周波数又は時間毎の送信電力値の組と、前記端末から受信した前記受信品質情報の組とに基づき、前記複数のリモート局毎のパスロス値を算出する、
通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−110649(P2013−110649A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255384(P2011−255384)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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