説明

制御放出システム及びその製造方法

本発明は、pH-依存性の溶解度を有する活性物質の投与、特に経口投与用の医薬制御放出システムであって、a)1種以上の医薬的に許容しうるpH調節剤を含むか又は前記pH調節剤から成るコア材料;b)任意に含んでよい隔離層;c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る第1の層;d)pH-依存性の溶解度を有する少なくとも1種の活性物質を含むか又は前記活性物質から成る第2の層;e)アニオン性若しくは非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る第3の層;及びf)任意に含んでよい、好ましくは外側コーティング層の形態の第4の層を含んでなる医薬制御放出システムに関する。本発明は、pH-依存性の溶解度を有する活性物質のpH-非依存性in vitro及びin vivo放出プロフィールを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pH-依存性溶解特性を有する活性物質の制御放出システム、特に経口投与用制御放出システム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に知られるように、活性物質の制御放出は、1日に摂取する推奨量を減らすことによって、患者の投与スキームを単純化し、患者のコンプライアンスを改善し、有害事象、例えば高血漿ピークに関連する事象を減じ、かつ該活性物質のバイオアベイラビリティーを高めることを可能にする。制御放出型医薬製剤は、組み込まれた活性物質の放出を経時的に制御し、かつ例えば長期性、持続性、遅延性、緩徐又は延長性放出を伴う製剤形態を構成するので、通常の剤形、例えば溶液又は即時溶解即時放出剤形によって提供されない治療上又は便宜上の目的を果たす。
既知の放出システムを改善して、含まれる活性物質の有効性を高めるための要望が常に存在する。
ゼロ次の放出キネティクスを達成するように制御された速度で薬物の用量を送達するため多くの経口制御放出剤形が設計されている。剤形のタイプに関係なく、薬物の溶解度ひいては吸収は、胃腸管内の環境条件を変える不変量によって大部分が決まる。多くの薬物は、弱酸若しくは弱塩基、又はその塩である。従って、弱酸性又は弱塩基性化合物の溶解速度ではpH値が重要な役割を果たす。その結果として、例えば弱塩基性薬物を含有する経口放出固体剤形は潜在的にバイオアベイラビリティーの問題をもたらしうる。薬物が小腸に入ると、pHは5.5以上のpHに上昇する。この環境では、多くの場合、弱塩基性薬物の溶解度は大きく減じ、これが変形してin vivo放出及び吸収の顕著な減少となるだろう。従って、前記欠点を克服するための要望が存在する。
【0003】
先行技術では、制御放出システムを提供する多くのアプローチが開示されている。種々の特許出願は、活性物質がコア内に含まれるという事実に焦点を当てた医薬組成物に関する。
例えば、特許文献1及び2は、(a)医薬的に活性な物質と有機酸を含有するコア、及び(b)トリメチルアンモニウム-エチル基を含有する不水溶性でわずかに水に浸透性のアクリルポリマーの水性コーティングによって前記コアの表面上に形成されたコーティングフィルムを含んでなる制御放出医薬製剤を開示している。
さらに、特許文献3及び4は、(a)活性物質を含有するコア(無機酸の塩に加え、任意に前記コアの質量中のその割合が2.5〜97質量%の範囲の賦形剤及び通常の医薬添加剤を含んでよい)及び(b)1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーから成り、任意に通常の医薬アジュバントを含んでよい外側コーティング(該(メタ)アクリレートコポリマーの40〜100質量%は、アクリル酸又はメタクリル酸と7〜2質量%の(メタ)アクリレートモノマー(該アルキル基中に四級アンモニウム基を有する)がラジカル重合したC1〜C4-アルキルエステルから成る)から成る医薬製剤に関する。好ましくは前記ポリマーはEudragit(登録商標)RS又はEudragit(登録商標)RLから選択される。
しかし、コア内に活性物質を含有するシステムは、その有効性が常に信頼できるわけでなく、かつ活性物質の溶解と放出の制御が各場合及びあらゆる場合に十分満足できるわけではないことから不利である。さらに、多くの活性物質は、酸及び痕跡量の水の存在下では、多かれ少なかれ加水分解によって分解する顕著な傾向を示す。個々の場合では、活性物質と有機酸との間で直接的な化学反応(例えばエステル形成)さえありうる。従って、医薬製剤は貯蔵時に安定状態を保持しない。
さらに、先行技術では図1に示すような制御放出ペレットが知られている。ここで、ペレットのコア(1)内の塩のアニオンは、中間層(2)(調節層)を介して最外コーティング層(4)(制御放出層)内のポリマーのカチオン基と相互作用する。このような組成物はin vitro放出の際、コーティングされた医薬形態の放出に影響を及ぼすと述べられている。調節層(2)はEudragit(登録商標)NEのような中性ポリマー層である。調節層(2)が薬物層(3)と層化し、さらに最外層(4)としてEudragit(登録商標)RL/Eudragit(登録商標)RSのような、四級アンモニウムイオンを有する制御放出メタクリレートポリマーでコーティングされる。想定される放出機構によれば、コア(1)のイオンが制御放出層(4)と相互作用して最外層(4)の水和に変化をもたらし、前記最外層(4)の浸透性に変化を生じさせる。他言すれば、最外層(4)におけるイオン交換体Eudragit(登録商標)RS又はRLの特性の利用が、前記最外層(4)の浸透性の変化を斟酌して薬物の溶解度を制御する。このような制御放出ペレットは、商標名EUDRAMODETMでDegussa, Pharma Polymers, Darmstadtによって市販されている。
しかし、上記放出制御ペレットはin vitroでしか試験されず、かつ最外層の浸透性の変化をもたらす、上述したイオンの相互作用に基づく機構は非常に複雑で、制御システムの信頼できる制御を与えない。さらに、in vivoシステムの有効性は明確にされていない。
最後に、特許文献5は、pH-依存性の溶解度を有する活性物質の経口投与及びpH>5で1超えの用量数のための、実質的に胃のpHに非依存性の活性物質のバイオアベイラビリティーを有する医薬組成物に関する。この医薬組成物は、各場合、a)コア材料、b)任意の隔離層、c)活性物質層及びd)任意のコーティングから合成された複数のペレットを含んでなり、前記コア材料は、20℃で1g/250mlより高い水溶性を有する1種以上の医薬的に許容しうる有機酸から成り、任意に結合剤又は他の技術的アジュバントを添加してよい。
しかし、先行技術の前記システムの放出特性は常に満足を与えるわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開0436370(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第5395628号明細書
【特許文献3】国際公開第00/19984号パンフレット
【特許文献4】米国特許第687387(B1)号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/009529353(A1)号明細書
【特許文献6】国際公開第98/37075号パンフレット
【特許文献7】欧州特許第0483667号明細書
【特許文献8】国際公開第01/47896号パンフレット
【特許文献9】国際公開第96/02497号パンフレット
【特許文献10】欧州特許EP-A-526434号明細書
【特許文献11】国際公開第00/17176号パンフレット
【特許文献12】国際公開第03/097058号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】R. Grutzmann、Thesis 2005、University of Tubingen、Germany、“Zum Mechanismus der Anionenwirkung auf die Permeabilitat kationischer Polymethacrylatuberzuge”
【非特許文献2】Scientific Tables Geigy, Volume Hematology and Human Genetics pg 60 ff, 8th edition, Basle, 1979, 4th reprint 1985
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、先行技術の欠点を回避し、かつ医薬的に活性な物質の溶解と放出の信頼できる制御を斟酌する、改良された制御放出医薬システムを提供することである。さらに、前記制御放出医薬システムは、実質的に環境媒体のpH値に非依存性である、活性物質の放出プロフィールを調整できるだろう。さらに、前記システムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔発明の説明〕
驚くべきことに、放出システムの特有の強化が、所望の放出プロフィールを容易に制御かつ調整できるようにし、この製剤形態原理がpH値に非依存性の放出プロフィールを与えることを見出した。
【0008】
従って、本発明は、pH-依存性の溶解度を有する活性物質の投与、特に経口投与用の医薬制御放出システムであって、以下の要素:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpH調節剤を含むか又は前記pH調節剤から成るコア材料;
b)任意に含んでよい隔離層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pH調節剤の放出をさらに制御するための第1の層;
d)pH-依存性の溶解度を有する少なくとも1種の活性物質を含むか又は前記活性物質から成る第2の層;
e)アニオン性若しくは非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層という意味をもつ第3の層;及び
f)任意に含んでよい第4の層、例えば、好ましくは胃内で放出を制御するための二次制御放出用外側コーティングの形態又は非機能性コーティングの形態の層;
を含んでなる医薬制御放出システムを提供する。
従って、pH-依存性の溶解特性を有する1種以上の活性物質の特に経口投与用の制御放出システムであって、前記活性物質のpH-非依存性のバイオアベイラビリティーを大いに保証するシステムが提供される。
【0009】
本発明の構成では、用語「制御放出」は、即時放出と対照的に、活性成分が徐々に、経時的に連続して、時にはより遅く又はより速く遊離されるが、pH値に依存しないものと解釈すべきである。特に、この用語は、システムが経口投与直後に活性成分の全用量を放出せず、かつ該製剤形態がピーク血漿濃度及び/又は投与頻度の低減を与えることを示す。制御放出は、吸収部位のpH及び/又はコアのpH-調節剤(のどちらでも最初に当てはまる方)によって誘発されるpH-制御放出である。
「システム」は、その最も広い意味で解釈され、本発明の要求どおりにいくつかの層を提供するいずれのタイプの製剤形態、製剤又は医薬剤形をも含むものとする。制御放出システムは、ペレット、錠剤、マトリックス錠剤、ミニ錠剤、マイクロカプセル又は顆粒の形態でよい。システムを直接投与してよく、或いはカプセルのような別の形態に充填し、又は適切な充填剤と一緒に圧縮して錠剤にしてよい。
層の組合せの構造、組成及び強化が、先行技術の欠点を回避する、改良された制御の放出システムを提供することを可能にする。
本発明の制御放出システムの製剤形態では、pH調節剤が活性物質から空間的に離れているので、貯蔵時に安定状態を維持し、pH調節剤と活性物質との間の望ましくない相互作用が阻止される。本発明の制御放出システムの経口投与後だけ、pH調節剤が溶解して、該活性物質が溶解しうる微細環境を生成する。
【0010】
以下、任意の層及び不可欠の層について詳述する。
a)コア材料
コア材料は、少なくとも1種のpH調節剤を含む。pH調節剤は、本発明によって限定されず、pH値を調節できるいずれの既知の化学物質をも使用しうる。通常、pH調節剤は、1種以上の有機酸及び/又は有機塩基及び/又は緩衝液又はその混合物から選択される。pH調節剤を選択して活性物質の溶解度を制御する。すなわち、選択されるpH調節剤のタイプ及び調整されるpH調節剤の量が活性物質の放出に影響を与え、或いは活性物質の放出を誘発する。従って、pH調節剤の選択は、使用する予定の活性物質に大いに左右される。pH調節剤は調整すべきpHを制御し;先行技術と対照的に、本発明のpH調節剤は、いずれの外層の浸透性にも影響を及ぼさない。
有機酸、塩基又は緩衝液は、本発明の構成によって限定されないが、医薬品で使用可能ないずれの酸、塩基又は緩衝液をも利用できる。従って、pH調節剤は、1種以上の薬理学的に許容しうる有機酸、1種以上の医薬的に許容しうる塩基、1種以上の医薬的に許容しうる緩衝液、その誘導体及び混合物から成る群より選択される。
本発明で使用する場合、「1種以上の」又は「少なくとも1種の」という用語は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種又はさらに多くの化合物を意味する。好ましい実施形態は、1、2又は3種の該化合物を含む。さらに好ましい実施形態は、1又は2種の該化合物を含み、1種の該化合物を含む実施形態がなおさらに好ましい。
pH調節剤は、固体又は液体形態でよい。pH調節剤は、必ずしも固体又は固体混合物の形態で使用されるわけでなく、例えば、まずpH調節剤を担体若しくは担体粒子上に付着又はコーティングしてから、該pH調節剤を含有するコアを形成することによって、液体若しくは液体混合物の形態で利用しうる。例えば、医薬製剤の調製で常用される通常のコーティング方法、例えば流動床コーティング、パンコーティング等によって、付着又はコーティング工程を行うことができる。不活性な担体として、担体物質、例えばスクロース、ラクトース、デンプン、結晶性セルロース、リン酸カルシウム、二酸化ケイ素及びその誘導体などの粒子が挙げられる。
コア中に含まれる医薬的に許容しうる有機酸及び/又は塩基は、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、l-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にシス-フマル酸及び/又はトランス-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムコン酸(mucinic acid)、硝酸、オミチン(omithine)、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン グルタミン酸、バリン並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択される。上記リストは、限定的性格のものを意図せず、当業者はさらなる例に精通している。
特に好ましい有機酸は、酢酸、アスコルビン酸、酒石酸、グルタル酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、アジピン酸及びコハク酸又はその組合せである。
誘導体として、例えば酸の水和物又は塩、例えばアルカリ及びアルカリ土類塩又はアンモニウム塩を使用しうる。好ましいタイプは、制御放出システムの意図した用途によって決まる。特に好ましくは、弱い有機酸、例えばコハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、グルタル酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、又は乳酸の塩である。特に好適な塩は、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウムである。
緩衝液は、好ましくは1種以上の医薬的に許容しうるか又は適合しうる緩衝液若しくは緩衝剤、例えばマッキルベン(McIlvaine)緩衝液(例えばクエン酸リン酸緩衝液、pH 2.2〜7.0)、アンモニア溶液、炭酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、クエン酸一水和物、二塩基性リン酸ナトリウム若しくは二塩基性リン酸カリウム(例えばpH 5.0〜8.0)、ジエタノールアミン、リンゴ酸、一塩基性リン酸ナトリウム、モノエタノールアミン、グルタミン酸一ナトリウム、リン酸、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、トリエタノールアミン並びにその誘導体及び混合物から選択される。
使用するコア材料は、好ましくは医薬的に許容しうるpH調節剤であり、任意に、0〜50質量%、好ましくは0.1〜25質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、なおさらに好ましくは2〜8質量%、最も好ましくは3〜6質量%の適切な結合剤を添加してよい。
医薬的に許容しうるpH調節剤の含量は、コア材料中の通常30〜100%である。しかし、出発原料として純粋な(100%)pH調節剤を使用することもでき、そのとき十分に狭い範囲の粒径を使用すると有利だろう。
本明細書で与える値の範囲は、指定した範囲内の全ての数値、整数と分数の両方を明白に包含することに留意すべきである。与える数字は、常に質量パーセント値である。質量パーセント値は、コア又はコーティングのような、該剤形の個々の部分についてのパーセンテージを意味する。
【0011】
結合剤として、医薬品で常用されているいずれの結合剤をも使用しうる。例として、アカシア、寒天、アラビアゴム、アルギニン酸、カルボマー、カラギーナン、セラトニア、キトサン、粉砂糖、コポビドン、ポビドン、綿実油、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、マルトデキストリン、マルトース、セルロースとその誘導体、例えば微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチル メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒプロメロース(セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル)、酢酸フタル酸セルロース、デンプンとその誘導体、例えばα化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、コーンスターチ、ゼラチン、ベヘン酸グリセリル、ガーゴム、硬化植物油、イヌリン、ラクトース、グルコース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ポリメタクリレート、アルギナート、例えばアルギン酸ナトリウム、ステアリン酸、スクロース、ヒマワリ油、ゼイン並びにその誘導体及び混合物の中から選択される、天然に存在するか又は部分的若しくは全体的合成ポリマーが挙げられる。
本発明の用語「誘導体」は、基本系として言及した化合物から、例えば1つ以上の官能基との置換によって誘導されるいずれの化合物をも包含することを意味する。これは当業者の一般知識に属する。
特に好ましい結合剤は、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポビドン、コーンスターチ、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、又はこれらポリマーの組合せである。上記リストは、限定的性格のものを意図するものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
【0012】
当然のことながら、医薬製剤に好適な他の添加剤、賦形剤、担体、技術的アジュバントも、例えば潤沢剤、流動促進剤、流動性を改善するための薬剤、顆粒化剤、凝結防止剤、凝集抑制剤、細孔形成剤、付着防止剤、粘着防止剤、固着防止剤、調味料、芳香剤、染料若しくは着色剤、保存剤、可塑剤、希釈剤、湿潤剤、甘味料、崩壊剤、等張化剤、キレート化剤、安定剤、可溶化剤、抗酸化剤、充填剤、顔料などとして存在してよい。これらの医薬的に許容しうる配合剤は、例えば、該製剤の製造、圧縮性、外観及び/又は風味を助長するために存在する。技術上周知の他の通常の添加剤をも含めることができる。上記リストは、限定的性格のものを意図するものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
球状でよいコア材料は、好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.2〜2mm、最も好ましくは0.4〜1.5mmの平均粒径を有する。実際、コーティングされるコアは、結晶、微粒子、ビーズ、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒、又は微細顆粒のようないずれの適切な形態でもよい。
技術上一般的に既知の方法、例えば直接圧縮、押出し後、好ましくは丸い形状に成形、湿潤若しくは乾燥顆粒化又は直接ペレット化(例えばプレート若しくは回転ペレタイザー上で)、又は粉末、例えば小球上で層になる粉末(ノンパレイル)の結合によって、コアを製造することができる。活性物質のないコアは均質でよく、或いは層化構造又は当業者に既知のいずれの他の強化をも有しうる。
【0013】
b)任意の隔離/移動度低減層
さらなる層の適用前に、コア材料を水溶性の医薬的に許容しうるポリマーに基づく隔離/移動度低減層でコーティングすることは、以下の2つの理由のため有利だろう:
I)完成コア生成物材料の耐久力を高めるため。
II)pH調節剤の移動度を低減させるため及びpH調節剤と次層(第1の層)との間の相互作用を制御するため(特に第1の層がEudragit(登録商標)RSを含有する場合)。
このような水溶性ポリマーの例として、アラビアゴム又はアルキルセルロースとその誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーの中から選択される部分的若しくは全体的合成ポリマー又は前記ポリマーと誘導体の組合せ及びその混合物が挙げられる。アラビアゴム又はヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースは好ましく用いられる。所望により、水溶性の医薬的に許容しうるポリマーによるコーティングを、賦形剤、好ましくは1種以上の可塑剤、1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料を添加して行ってよい。
可塑剤の例として、クエン酸エステル、例えばクエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、ヒマシ油、フタル酸エステル、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ジメチコン、分留ヤシ油、クロルブタノール、デキストリン、セバシン酸エステル、例えばセバシン酸ジブチル、グリセリン、グリセリン誘導体、例えばグリセリンモノステアレート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、アセチル化モノグリセリド、マンニトール、鉱油、ラノリンアルコール、パルミチン酸、2-ピロリドン、ソルビトール、ステアリン酸、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(全タイプの異なる分子量のPEG)、及びプロピレングリコール、並びにその誘導体及び混合物が挙げられる。使用しうる好ましい可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(全タイプの異なる分子量のPEG)、及びプロピレングリコールである。特に好ましくは、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ポリエチレングリコール(全タイプの異なる分子量のPEG)、及びプロピレングリコールである。
分離剤の例として、タルク、ケイ酸及びグリセロールモノステアレートが挙げられる。
特に有用な顔料の例は、二酸化チタン、酸化鉄顔料、及びいくつかのアルミニウムレーキ並びに黒色顔料、白色顔料、黄色顔料、サンセットイエロー、サンセットイエローレーキ、キノリンイエローレーキ等である。
所望により、他の添加剤、賦形剤、担体、技術的アジュバントが存在してよい。
出発コアの比表面積に基づく任意の(第1の)隔離層の適用量は、I)の場合:0.05〜5.0mg/cm2、好ましくは0.1〜3.0mg/cm2、さらに好ましくは0.15〜2.5mg/cm2、特に0.2〜2.0mg/cm2、さらに特に0.2〜1.5mg/cm2の範囲内であり、II)の場合:0.1〜30.0mg/cm2、好ましくは0.2〜20mg/cm2、さらに好ましくは0.5〜15mg/cm2、特に0.7〜12mg/cm2、さらに特に好ましくは1〜10mg/cm2の範囲内である。
【0014】
c)第1の層
第1の層はコア上に直接或いは任意の隔離層又は別の中間層(コア若しくは離隔層上に適用される)の上に与えられ、好ましくは制御層として働いて所望の制御放出を補助する。さらに、第1の層は下層、特にコア材料の保護層としても役に立ちうる。第1の層は不水溶性ポリマーに基づく。不水溶性ポリマーは本発明によって限定されない。医薬的に許容しうるいずれのタイプの不水溶性ポリマーをも使用しうる。用語「不水溶性」とは、該化合物が、室温で0.1mg/ml未満である、水中での溶解度を有することと解釈しうる。
好ましくは、第1の層に含まれる不水溶性ポリマーは、アクリル及び/又はメタクリルポリマー(該アルキル成分中にトリメチルアンモニウム基のような低含量の四級アンモニウム基を含有しうる)、アルキルセルロース、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、及びポリ酢酸ビニル並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択される。
好ましくは、不水溶性ポリマーは、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のポリマー又はコポリマーであって、アンモニオ(メタ)アクリレートコポリマーのように四級アンモニウム基を含有しうる。好ましい例は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル及びトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマーである。このようなアクリルポリマーは、商標名Eudragit(登録商標)RSで入手可能であり、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態の不水溶性コポリマー(ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)1:2:0.1,Rhom Pharma、Germany製)、例えばEudragit(登録商標)RS 30Dであり、コーティング用に使用しうる。別のアクリルポリマーは、Eudragit(登録商標)RL(Eudragit(登録商標)RSと同一成分から成るが、異なるモル比を有する(Eudragit(登録商標)RL:ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド;1:2:0.2)、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えばEudragit(登録商標)RL 30Dでよい。四級アンモニウム基の存在が、活性物質の放出のためにイオンの相互作用を利用するようである。この相互作用が、さらに有利な様式で変化して、クロリドより四級アンモニウム基に向けて高い引力を示すアニオンに対するEudragit(登録商標)RS又はRLの元々の対カチオン(クロリド)を交換しうる(非特許文献1参照)。本発明ではポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)を使用するいずれの工程でも(再び述べないが)、この作用を有利な様式で使用できる。如何なる理論によっても拘泥されないが、イオン誘導輸送が起こり、コアから放出された溶媒和アニオンと第1の層のカチオン性四級アンモニウムイオンとの間でイオンの相互作用が起こると考えられる。放出速度は、とりわけ、アニオン種と、存在するアニオン/カチオンの比によって決まる。
好ましくは、例えば、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1(Eudragit(登録商標)NE)、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばEudragit(登録商標)NE 30D、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;及びエチルセルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えばエチルセルロースN10、N20又はN45、Aquacoate(登録商標)ECD、及びSurelease(登録商標)も使用される。
さらに好ましくは、酢酸セルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液の形態及び/又はポリ酢酸ビニル、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばKollicoat(登録商標)SR 30Dも挙げられる。
列挙したポリマーを単独で使用してよく、又は2種以上のポリマーを併用しうる。不水溶性(コ)ポリマー又は(コ)ポリマーの混合物の選択は、所望の放出プロフィールを確立するための活性物質の放出に影響を与える。活性物質はpH-依存性の溶解度を有するが、pH値と関係なく放出プロフィールを調整でき、改良されたバイオアベイラビリティーをもたらす。使用する活性物質及び放出システムのさらなる構造によっては、さらにプロフィールを調整しうる。例えば、使用する不水溶性ポリマーの粘度を高めると、活性物質の放出の遅延を増やしうる(例えば、粘度はエチルセルロースN10→N20→N40で増強される)。
【0015】
他の添加剤として、限定するものではないが、可塑剤、流動促進剤、粘着防止剤、界面活性剤、顔料と他の着色剤及び/又は細孔形成剤が挙げられ、層全体の70%までの量で存在しうる。添加剤とその量は、使用するポリマーによって決まり、当業者の一般知識に属する。好ましくは、1種以上の可塑剤、特に既に述べた当該可塑剤が存在する。好ましく用いられる可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、分留ヤシ油、グリセリン、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(全タイプの異なる分子量のPEG)、及びプロピレングリコールから成る群より選択される。
従って、第1の層は、好ましくは上述した1種以上の不水溶性ポリマーと、好ましくは賦形剤、例えば可塑剤があるか無い、粘着防止剤があるか無い、細孔形成剤があるか無い及び/又は溶媒及び/又はビヒクルを含むか或いは前記成分から成る、スターターコア上に噴霧する予定の有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー溶液若しくは分散液を用いて得られる。
【0016】
粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤又は流動性を高めるための薬剤を使用して、製造プロセスの前又は製造プロセス中の粉末の流動特性を改善し、かつ固化を減らすことができる。潤沢剤及び凝集抑制剤を用いて、例えば、上方パンチ(「ピッキング」)又は下方パンチ(「固着」)の表面への付着を阻止することによって、剤形を形成する装置からの該剤形の放出を促進することができる。この群の賦形剤の中でホウ酸、ケイ酸カルシウム、セルロース、特に粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素(例えばAerosil(登録商標)、Cab-O-Sil(登録商標))、DL-ロイシン、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、二酸化ケイ素、デンプン、三塩基性リン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル(例えばCompritol(登録商標)888)、酸化マグネシウム、鉱油、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、硬化油、例えば植物油(例えばSterotex(登録商標))、硬化ヒマシ油、カオリン、(軽)鉱油、キャノーラ油、トリグリセリド、例えば中鎖トリグリセリド、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポリエチレングリコール(全タイプの異なる分子量のPEG)、安息香酸塩、例えば安息香酸ナトリウム若しくは安息香酸カリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸と塩、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム及びステアリン酸亜鉛など、グリセロールモノステアレート、パルミトステアリン酸グリセリル、マクロゴール、例えばマクロゴール400若しくは6000、ポリオキシ-40-ステアレート、ワックス等が挙げられる。
【0017】
可能な界面活性剤は、レシチン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、スクロース脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホネート、スルホスクシネートエステル塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸アンモニウム、及び他のアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及び他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカアミドプロピルベタイン、ココ両性グリシネート、アルキルポリグリコシド、例えばオクチルグリコシド及びデシルマルトシド、セチルアルコール、オレイルアルコール及びコカミド又はその混合物である。
第1の層の全量に基づく界面活性剤の適用量は、0〜10質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%、さらに好ましくは1〜3質量%である。
可能な細孔形成剤は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)、Eudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)、アルギン酸とその塩、例えばアルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコール、及びアルギン酸ナトリウムなど、ゼラチン、ポビドン、及びポリビニルアルコールである。
【0018】
出発コアの比表面積に基づく第1の層の適用量は、0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.5〜12mg/cm2、さらに好ましくは1.0〜10mg/cm2、特に1.5〜8.0mg/cm2、さらに特に2.0〜6.0mg/cm2の範囲である。
本発明の好ましい実施形態では、第1の層は、2.0〜4.5mg/cm2(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)のEudragit(登録商標)RS、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)及び/又はその混合物と、10〜30%の量の(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤と、0〜20%の量の(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤とを含む。
また、適用層の量に基づいて活性物質の放出を制御することもできる。例えば、適用量を増やすと、遅延効果が増すだろう。しかし、層厚の増加は、コスト高及び適用形態の質量増のため望ましくない。さらに、活性物質/賦形剤の比が好ましくないと、患者のコンプライアンスが不十分となる。結果として、使用する層の組成と構造によって放出を制御するのが良い方法である。
【0019】
d)第2の層
第2の層は、pH-依存性の溶解度を有する少なくとも1種の活性物質を含む。本発明の目的の用語「活性物質」は、pH-依存性の溶解度を有するいずれの薬理学的に有効な化合物(それ自体又はその医薬的に許容しうる塩若しくは誘導体の形態の)をも指す。すなわち、前記活性物質の溶解度は、pH値の変化によって変化する。
例えば、活性物質は、pH 1〜pH 7.5の範囲でpH-依存性溶解特性を示す、すなわち酸性条件下では溶解度が高く、塩基性条件下で溶解度が低い、弱塩基でよい。これらの活性物質では、実際、例えば、経口投与した場合、そのバイオアベイラビリティーは胃腸管内のpHに依存しうる。この依存性を本発明によって回避する。
本発明の意味で使用する医薬品は、疾患、傷害、体の損傷又は病的状態を治療、軽減、予防又は検出するため;体の性質、状態若しくは機能又は精神状態の識別を可能にするため;ヒト又は動物体によって生成された活性素又は体液を置き換えるため;体に有害な病原、寄生虫又は異物と戦い、排除し又は溶かすため;或いは体の性質、状態若しくは機能、精神状態又はいずれ種類の障害にも影響を与えるため、ヒト又は動物体の経口投与を意図する。
本発明によって活性物質は限定されず、pH-依存性の溶解度を有する全ての活性種を使用できる。
活性物質のpH-依存性の溶解特性は、持続型放出を意図した活性物質が、胃の1という低いpH値で製剤から放出されうるが、小腸内のpH 5.5を超えるpH値では、不十分な溶解度(用量に依存する)のため放出が有意に減少することを意味する。例えば通常組成の固形製剤で経口投与すると、活性物質は、胃内に存在する液体が十分に低いpHを有する場合に患者の胃内でだけで全体的に溶解する。胃内のpHが上昇すると(これは正常な身体的可変性、病気又は胃のpHを高める医薬組成物との共-薬物治療の結果でありうる)、活性物質は全く溶解しえない。
本発明の制御放出システムは、好ましくは1〜8のpH範囲内で5以上の係数で飽和溶解度が変化するような化合物に有用である(室温にて0.1NのHCl又はマッキルベン(Mc Ilvaine)緩衝液中で測定、下表1参照)。
【0020】

(非特許文献2参照)
【0021】
第2の層に含まれる医薬的に活性な物質として、経口投与できるいずれの薬物をも挙げられる。限定するものではないが、以下に実例を与える:消化器官に影響を与える薬剤、肝臓疾患用薬剤、性障害に対する薬剤、鎮痛薬、抗アレルギー薬、抗不整脈薬、抗生物質、下熱剤、鎮痛薬と抗炎症薬、抗糖尿病薬、抗ヒスタミン薬、解毒剤、抗てんかん薬、抗高血圧薬、抗低血圧薬、抗凝血薬、抗真菌薬、消炎剤、抗高脂血症薬、抗血栓薬、鎮咳薬及び抗嘔吐薬、抗腫瘍薬、自律神経薬、β受容体ブロッカー、カルシウムアンタゴニスト及びACEインヒビター、CNS障害、情動障害、性障害、心臓血管障害の治療用薬剤、気管支薬/抗喘息薬、強心剤、強心薬、化学療法薬、コリン作動薬、コルチコステロイド(体内)、皮膚用薬、利尿薬、酵素インヒビター、酵素製剤及び輸送タンパク質、去痰薬、老人病薬、通風治療薬、インフルエンザ薬、ホルモンとそのインヒビター、催眠剤/鎮静剤、トロンビンのインヒビター、局所麻酔薬、脂質低減薬、筋肉弛緩薬、栄養剤、副甲状腺ホルモン/カルシウム代謝調節薬、向精神薬、向神経薬、呼吸器刺激薬、性ホルモンとそのインヒビター、鎮痙薬、交感神経遮断薬、交感神経刺激薬、強壮剤と代替物、ビタミン、血管拡張薬、創傷薬、細胞分裂阻害薬など。
好ましい活性物質は、例えば3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオン酸エチル(特許文献6)、Lefradafiban((3S,5S)-5-[[4'-(N-メトキシカルボニルアミジノ)4-ビフェニルイル]-オキシメチル]-3-[(メトキシカルボニル)メチル]-2-ピロリジノン;特許文献7)、(R)-2-[4-(N-フェニルカルボニルアミジノ)-フェニルアミノメチル]-1-メチル-5-[1-(n-プロピルオキシカルボニル-メチルアミノ)-1-(ピロリジノカルボニル)-エチル]-ベンゾイミダゾール(特許文献8)、Telmisartan、DTTX 30 SE、Terbogrel、Bromhexine、Amelubant(4-((3-((4-(1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル)フェノキシ)メチル)ベンジル)オキシ)ベンゼンカルボキシイミド-アミド-N-エチルカルボキシレート;特許文献9)、Flibanserin(1-[2-(4-(3-トリフルオロメチル-フェニル)ピペラジン-1-イル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-オン;特許文献10;)、4-(4-(2-ピロリルカルボニル)-1-ピペラジニル)-3-トリフルオロメチル-ベンゾイルグアニジン(特許文献11)、Pimobendaneであり、任意にその遊離塩基若しくは酸の形態、又は薬理学的に許容しうる酸付加塩の1つの形態(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、メシラート、硫酸塩及びリン酸塩)及び/又は任意に水和物及び/又は溶媒和物の形態でよい。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施形態では、活性成分は、フリバンセリン(flibanserin)であり、任意に遊離塩基、医薬的に許容しうる酸付加塩の形態及び/又は任意にその水和物及び/又は溶媒和物の形態でよい。
フリバンセリンを含有する制御放出システムを種々の疾患の治療に使用できる。フリバンセリンの適応症には、その既知の全ての適応症が含まれ、好ましくは中枢神経系障害、特に情動障害(例えば、大うつ病性障害、小児うつ病、気分変調症、季節性情動障害、気分変調性障害及び軽症うつ病性障害などのうつ病;双極性障害)、不安(例えば、広場恐怖がある場合とない場合のパニック障害、パニック障害の歴史がない広場恐怖症、特有の恐怖症(単純恐怖症)、社会恐怖症(社会不安障害)、強迫性障害(OCD)、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全身性不安障害及び他に特定されない不安障害)、睡眠障害及び性障害(例えば性的欲求低下障害、性嫌悪障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性交疼痛障害、例えば性交疼痛症、ワギニスムス、非性交疼痛障害;全身の医療条件による性機能不全及び物質誘発型性機能不全)、月経前障害、例えば月経前不快症、月経前症候群及び月経前不快障害;精神病、精神分裂症(例えば解体型、緊張型、妄想型、未分化型、残存型の精神分裂症、分裂情動性障害、分裂病様障害、妄想障害、簡単な精神障害、共有精神障害、全身の医療条件による精神障害、物質誘発型精神障害、及び他に特定されない精神障害)、人格障害、器質性精神障害、小児の精神障害、攻撃性、年齢関連記憶障害を患う患者の治療、神経保護のため、神経変性疾患並びに種々の原因の脳虚血(例えばてんかん、低血糖、低酸素、無酸素、脳外傷、脳浮腫、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、アルツハイマー病、低血圧症、心筋梗塞、脳脊髄液圧(頭蓋内圧上昇)、虚血性及び出血性脳卒中(脳卒中)、心臓停止中の全脳虚血、糖尿病性多発神経障害、耳鳴、周産期無酸素症、心臓肥大(心筋の肥厚化)と心臓機能不全(心筋の衰弱);神経性拒食症(過食症/嚥下型神経性拒食症の及び制限型神経性拒食症を含む)、注意欠陥多動障害(ADHD)(混合型ADHD、不注意優位型ADHD、及び多動・衝動性優位型ADHD等)、肥満症(外因性肥満、高インシュリン性肥満、過血漿性肥満、過骨端軟骨(hyperphyseal)脂肪症、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満症、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満及び中心性肥満など)、尿失禁(過敏性膀胱症候群、尿意切迫症、切迫尿失禁、ストレス尿失禁、混合型尿失禁など)、慢性疼痛(例えば神経痛、糖尿病性ニューロパシー、ヘルペス後神経痛(PHN)、手根管圧迫症候群(CTS)、HIVニューロパシー、幻肢痛、複合局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome)(CPRS)、三叉神経痛(trigeminal neuralgia)/三叉神経痛(trigeminus neuralgia)/疼痛性チック、三叉神経痛性チック、外科的介入(例えば術後鎮痛薬)、糖尿病性脈管障害、毛細血管抵抗又は膵島炎に伴う糖尿病性症状、狭心症に伴う痛み、月経に伴う痛み、癌に伴う痛み、歯痛、頭痛、偏頭痛、三叉神経痛、顎関節症候群、筋膜疼痛筋肉損傷、線維筋痛症候群、骨関節疼痛(骨関節炎)、リウマチ性関節炎、火傷に伴う外傷に起因するリウマチ性関節炎と浮腫、骨関節炎、骨粗しょう症、骨転移又は未知理由による捻挫又は骨折痛、痛風、結合組織炎、筋膜痛、胸郭出口症候群、上背痛又は下背痛(該背痛は全身性、局所性、又は主棘疾患(神経根障害)、骨盤痛、心臓性胸痛、非心臓性胸痛、脊髄損傷(SCI)関連痛、中枢性脳卒中後痛、癌性ニューロパシー、AIDS痛、鎌状赤血球痛及び老人性疼痛から起こる)など)、心臓弁膜症(弁膜性狭窄、弁膜性逆流、1つの弁の閉鎖、僧帽弁脱出など)の治療及び/又は予防が挙げられる。
好ましくは、フリバンセリンを含有する制御放出システムを、性障害(例えば性的欲求低下障害、性嫌悪障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性交疼痛障害、例えば性交疼痛症、ワギニスムス、非性交疼痛障害;全身の医療条件による性機能不全及び物質誘発型性機能不全)、さらに好ましくは性的欲求低下障害;並びに月経前障害、例えば月経前不快症、月経前症候群及び月経前不快障害の治療のために使用できる。
【0023】
フリバンセリンは、各薬物の所望の薬理学的活性を示すのに適した量で含まれ、この量は投薬法のタイプによって判り、かつ変化する。フリバンセリンは、好ましくは医薬的に有効な量(0.01mg〜200mg、好ましくは0.1〜100mg又は0.1〜50mg)の量で存在するが、いくつかの因子、例えば患者の年齢と体重、及び疾患の性質と段階によって左右されうる。これは、当業者の能力範囲内であると考えられ、かつ該化合物に関する現存文献を参考にして最適用量に到達することができる。1日に適用できる用量範囲は、0.1〜400、好ましくは1.0〜300、さらに好ましくは2〜200mgである。
この剤形を1日1、2、3、又は4回患者に投与する。ある期間にわたって継続的に本発明の製剤を1日3回又は数回、さらに好ましくは1回又は2回投与することが好ましい。
好ましくは、ある期間にわたって継続的に朝と夕方、さらに好ましくは朝1回(25又は50mgのフリバンセリン)及び夕方1回(25又は50mgのフリバンセリン)、最も好ましくは夕方だけ1回(50又は100mgのフリバンセリン)該用量を患者に投与する。
【0024】
医薬的に活性な物質は各薬物の所望の薬理学的活性を示すのに適した量で含まれ、この量は該薬物の種類によって判り、かつ変化する。好ましい活性物質含量は、放出制御システム全体の例えば、60%以下、好ましくは50%以下である。
特に断らない限り、指定される百分率は、常に質量%である。
活性物質の最適用量を決定するため、例えば患者の年齢と体重、疾患の性質と段階及び該化合物の効能などの種々の基本条件を考慮しなければらならない。これは当業者の能力範囲内であると考えられ、かつ該化合物に関する現存文献を参考にして最適用量に到達することができる。
活性物質層は、活性物質のみならず好ましくは1種以上の結合剤及び/又は任意的に1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含む。用語「賦形剤」又は「添加剤」又は「アジュバント」は、本発明で解釈する場合、本発明の制御放出システムに1以上の機能性を与えるため医薬品に使用しうるいずれの既知の適切な補助化合物をも意味するものとする。
例えば、好適な結合剤は、コア材料に関連して述べた当該結合剤でよい。セルロースとその誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばHP 55(登録商標)又はHP 50(登録商標)、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらのポリマー(例えばポリメタクリレート)の組合せ、デンプンとその誘導体、糖、酢酸ビニル又はこれらのポリマーとその誘導体の組合せが好ましく使用される。最も好ましくはヒドロキシプロピルセルロース又はN-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーが使用される。
【0025】
例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム又はケイ酸などの適切な分離剤の添加は、製造プロセス中に粒子が凝集するのを防止するために役に立つ。
結合剤と分離剤の他に、第2の層は、種々の他の通常の添加剤、賦形剤、担体、技術的アジュバント、例えば充填剤、希釈剤、潤沢剤、流動促進剤、流動性を改善するための薬剤、細孔形成剤、付着防止剤、粘着防止剤、調味料、保存剤、甘味料、崩壊剤、染料などを組み入れてもよい。上記列挙は限定的性格のものを意図せず、技術上周知の他の通常の添加剤を含めることもできる。
さらなる賦形剤として以下の非限定群を与える。
−保存剤、好ましくは抗菌性保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、安息香酸ナトリウム、及びソルビン酸;
−甘味料、例えばアセスルファムカリウム、アリテーム(alitame)、アスパルテーム、圧縮性砂糖、粉砂糖、デキストロース、エリトリトール、フルクトース、グリセリン、イヌリン、イソマルト(isomalt)、ラクチトール(lactitol)、液体グルコース、マルチトール、マルトース、マンニトール、ネオスフェリジン(neospheridin) ジヒドロカルコン、ポリデキストロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、ソルビトール、スクラロース、スクロース、タウマチン、トレハロース、キシリトール;
及び
−崩壊剤、例えばアルギン酸とその塩(カルシウム、ナトリウム、マグネシウム塩など)、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、キトサン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ドキュセートナトリウム、ガーゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、特に低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、特にα化デンプン及びコーンスターチ。
【0026】
好適な充填剤は、例えば、ラクトース、特にラクトース一水和物、タルク、ヒマワリ油、トラガカントゴム、デンプンと誘導体、例えばα化デンプン又は滅菌適性トウモロコシ、アルギン酸塩、例えばアルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム若しくはリン酸三カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、セルロースと誘導体、例えば微結晶性若しくはケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、砂糖と誘導体、例えば粉砂糖、フルクトース、スクロース、デキストレート、デキストリン、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、トレハロース、マルトース、マルチトール、マンニトール、マルトデキストリン、ソルビトール、イヌリン、キシリトール、エリトリトール、フマル酸、パルミトステアリン酸グリセリル、タブレトース(tablettose)、硬化植物油、イソマルト、カオリン、ラクチトール、トリグリセリド、特に中鎖トリグリセリド、ポリメタクリレート、及びシメチコン並びにその誘導体又は混合物から選択される。
ある添加剤が1つより多くの機能性を有する場合、1つより多くのタイプの添加剤の中に分類されるのは当然のことである。例えば、コーンスターチ又はα化デンプンは、同時にいくつかの機能、例えば膨潤ポリマー、充填剤、流動促進剤などを与えうる。しかし、当業者はいくつかの機能を知っており、その使用用途によって添加剤を選択することができる。添加剤の選択は、種々の因子、例えば使用する活性物質、所望の適用分野、剤形などによって決まる。当業者は、該要求を知っている。
出発コアの比表面積に基づく第2の層の適用量は、0.1〜20mg/cm2、好ましくは1.0〜18mg/cm2、さらに好ましくは5.0〜15mg/cm2、特に7.0〜13mg/cm2、さらに特に8.0〜12.0mg/cm2の範囲内である。
本発明の代替実施形態によれば、活性物質を含有する第2の層上に任意の隔離層を設けることもできる。上述した第1の隔離層b)に加えて、或いはこれとは別に前記隔離層を設けてよい。第2の隔離層は、第1の隔離層について既に上述したのと同じ構造及び組成を有しうる。
任意の(第2の)隔離層の、出発コアの比表面積に基づく適用量は、0.05〜5.0mg/cm2、好ましくは0.1〜3.0mg/cm2、さらに好ましくは0.15〜2.5mg/cm2、特に0.2〜2.0mg/cm2、さらに特に0.2〜1.5mg/cm2の範囲内である。
【0027】
e)第3の層
制御放出外側コーティング層である第3の層は、アニオン性若しくは非イオン性基を有する1種以上のポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る。このポリマーは本発明によって限定されない。アニオン性若しくは非イオン性基を有するいずれのタイプの医薬的に許容しうるポリマーをも使用しうる。
第3の層に含まれるアニオン性若しくは非イオン性基を有するポリマーは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はその誘導体(四級アンモニウム基などのカチオン性基を持たず、特にトリメチルアンモニウム-エチル基を持たない)を含んでなるポリマー及び/又はコポリマー、アルキルセルロースとその誘導体、例えばエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロース(Hypromellose) E5)とその誘導体、例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHP 55(登録商標)又はHP 50(登録商標))、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロースとその誘導体、例えば酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、ポリ酢酸ビニルとその誘導体、例えばポリ酢酸ビニルフタレート、シェラック、その誘導体と混合物から選択される。特に好ましいポリマーは、エトキシル含量と分子量が変化するといった種々グレードのエチルセルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えば、エチルセルロースN10、N20又はN45、Aquacoat(登録商標)ECD、Surelease(登録商標)、Chitosan、Shellac、及びZeinである。
また、例えば、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1(Eudragit(登録商標)NE)、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばEudragit(登録商標)NE 30D、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばその有機ベースポリマ溶液若しくは水ベースポリマー分散液;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばその有機ベースポリマー溶液若しくは水ベースポリマー分散液;酢酸トリメリット酸セルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばHP 55(登録商標)又はHP 50(登録商標)、酢酸フタル酸セルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液若しくは水ベースポリマー分散液、例えばAquacoat(登録商標)CPD;ポリ酢酸ビニルフタレート、例えばその水ベースポリマー分散液、例えばSureteric(登録商標)及びシェラック、例えばその有機ベースポリマー溶液若しくは水ベースポリマー分散液も好ましく使用される。
さらに好ましくは、酢酸セルロースとその誘導体、例えばその有機ベースポリマー溶液及び/又はポリ酢酸ビニルとその誘導体、例えばその水ベースポリマー分散液、例えばKollicoat(登録商標)SR 30Dが挙げられる。
列挙したポリマーを単独で使用し、或いは2種以上のポリマーを併用してよい。
カチオン性基を有するEudragit(登録商標)RS、又はEudragit RL(登録商標)は、第3の層中に存在しない。
好ましい実施形態によれば、第3の層に存在するポリマーは第1の層に存在するポリマーと同一又は異なる。例えば、第1の層と第2の層のポリマーが同一でよい。
【0028】
好ましくは、第3の層に1種以上の可塑剤が存在する。可塑剤は、任意の隔離層に関連して既に述べた可塑剤から選択される。さらに好ましくは、可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(全タイプの異なる分子量のPEG)、及びプロピレングリコールから成る群より選択される。
好ましくは1種以上の細孔形成剤が第3の層に存在する。可能な細孔形成剤は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、Eudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)、アルギン酸とその塩(アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコール、及びアルギン酸ナトリウムなど)、ゼラチン、ポビドン(例えばKollidon 17)、及びポリビニルアルコールである。
他の添加剤、例えば潤沢剤、付着防止剤、粘着防止剤、充填剤などを使用しうる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、第3の層は、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマー(0.2〜3.0mg/cm2(該ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物として計算)の量で)と、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)及びEudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)から成る群より選択される細孔形成剤(30〜300%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)と、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤(10〜30%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)とを含み、任意に、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤(0〜20%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)を含んでもよい。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施形態では、第3の層は、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマー(0.2〜3.0mg/cm2(該ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物として計算)の量で)と、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤(10〜30%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)とを含み、任意に、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤(0〜20%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)を含んでもよい。
好ましくは、第3の層で使用するポリマーは、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はその混合物から成る群より選択され、さらに好ましくはエチルセルロース及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はその混合物から成る群より選択される。
出発コアの比表面積に基づく第3の層の適用量は、0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.2〜12mg/cm2、さらに好ましくは0.5〜10mg/cm2、特に0.7〜8.0mg/cm2、さらに特に0.8〜5.0mg/cm2の範囲内である。
【0031】
f)任意の第4の層
任意の第4の層は、好ましくは外側コーティング層でよい。例えばカプセルに詰める際の如何なる摩耗増加をも減らすため及び/又は有効期限を増やすため及び/又はさらなる拡散バリアとして役に立ちうる前記任意の最外層は、1種以上の製薬上通常の皮膜形成剤を含むか又は前記皮膜形成剤から成り、任意に賦形剤、特に好ましくは可塑剤と顔料を含みうる。
摩耗増加を減らすため及び/又はさらなる拡散バリアとして働きうる好適な皮膜形成剤として、例えばアルギン酸アンモニウム、キトサン、マレイン酸クロルフェニラミン、コポビドン、フタレート、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸ビニルフタレート、セバシン酸ジブチル、乳酸エチル、アルキルセルロースとその誘導体、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール(全タイプの異なる分子量のPEG)、ポリエチレンオキシド、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せ、例えばポリメタクリレート、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、ポリ酢酸ビニルフタレート、クエン酸トリエチル、バニリン、シェラック、Zein、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。
特に好ましい皮膜形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又は例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液として使用されるこれらポリマーの組合せである。また、好ましいポリマーは、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液;酢酸トリメリット酸セルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液;酢酸フタル酸セルロース、例えばその その有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液、例えばAquacoate(登録商標)CPD;ポリ酢酸ビニルフタレート、例えばその水ベースポリマー分散液、例えばSureteric(登録商標)及びシェラック、例えばそのその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液である。
【0032】
これらの化合物は、部分的に有機ベースポリマー溶液若しくは分散液又は水ベースポリマー溶液若しくは分散液の形態で商業的に入手可能である。該溶液又は分散液を製造することもできる。「有機ベース」及び「水ベース」系という表現は、使用する液体系中に主に存在する溶媒又は分散剤を指し示すものと解釈すべきである。溶媒及び/又は分散剤の混合物も包含される。
好適な可塑剤については既に述べた。好ましくは、とりわけ、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン又はポリエチレングリコールが使用される。使用する好ましい顔料は、例えば二酸化チタン又は酸化鉄顔料でよい。充填剤を含んでもよく、可能な充填剤については上述した。所望により、他の既知添加剤が存在してよい。
本発明の制御放出システムで任意の第4の層を省くと、特に好ましい。しかし、本発明の制御放出システムは、この第4の層を、摩耗保護層として意図する場合は非機能性コーティングのタイプとして、或いは該層を拡散バリアとして意図する場合は機能性コーティングとして含みうる。この文脈で「非機能性」という用語は、制御放出システムの放出特性に実質的作用を及ぼさず、該コーティングが別の有用な目的に役立つことを意味する。例えば、このようなコーティングは、該剤形に識別性外観を付与し、嚥下し易さを改善し、及び/又は他の利点を有しうる。非機能性コーティングは、制御放出システムの完全な被覆を与えるのに十分な量で適用されるべきである。制御放出システム全体としての質量に対して典型的に約1%〜約10%の量、さらに典型的に約2%〜約5%の量が好適である。
【0033】
第4の層が薬物製品を摩耗から保護することを意図する場合の本発明の好ましい実施形態では、該層は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、Eudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1);及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマー(0.2〜1.5mg/cm2(該ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物として計算)の量で)と、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤(10〜30%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)と、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤(0〜20%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)を含む。
第4の層を追加の拡散バリアとして意図する場合の本発明の別の好ましい実施形態では、該層は、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)、Kollicoat(登録商標)EMM 30D、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマー(0.5〜2.5mg/cm2(該ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物として計算)の量で)を含む。さらに、第4の層は、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤(10〜30%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)を含み、かつ任意に、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤(0〜20%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)を含みうる。
第4の層を追加の拡散バリアとして意図する場合の本発明のさらに好ましい実施形態では、該層は、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマー(1.0〜5.0mg/cm2(該ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物として計算)の量で)と、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)及びEudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)から成る群より選択される細孔形成剤(30〜300%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)と、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤(10〜30%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)を含み、かつ任意に、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤(0〜20%(w/w、該層の乾燥ポリマー/ポリマー混合物に基づいて)の量で)を含みうる。
好ましくは、第4の層を追加の拡散バリアとして意図する場合、該層は、エチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はその混合物から成る群より選択され、さらに好ましくはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマーを含み、最も好ましくは、該ポリマーはポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55)である。
出発コアの比表面積に基づく第4の層の適用量は、0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.2〜12mg/cm2、さらに好ましくは0.5〜10mg/cm2、特に0.7〜8.0mg/cm2、さらに特に0.8〜5.0mg/cm2の範囲内である。
【0034】
好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.05〜5.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
0.1〜20mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内;及び
−任意の第4の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内。
【0035】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.1mg/cm2〜3.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.5〜12mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
1〜18mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内。
【0036】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.15mg/cm2〜2.5mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1〜10mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
5〜15mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内。
【0037】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.2mg/cm2〜2.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1.5〜8mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
7〜13mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内。
【0038】
最も好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
2〜6mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
8〜12mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内。
【0039】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.05〜30.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
0.1〜20mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内。
【0040】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.1mg/cm2〜20.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.5〜12mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
1〜18mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.2〜12 mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内。
【0041】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.15mg/cm2〜15mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1〜10mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
5〜15mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内。
【0042】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.2mg/cm2〜12mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1.5〜8mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
7〜13mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内。
【0043】
最も好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする:
−任意の(第1の)隔離層:
0.2mg/cm2〜10mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
2〜6mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
8〜12mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内。
【0044】
さらに好ましい実施形態では、本制御放出システムの前記適用量を有する層は以下の層を含み、好ましくは以下の層から成る:
−任意の(第1の)隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロース N10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシlプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)の活性成分(例えばフリバンセリン)及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、46〜48.5%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)、46〜48.5%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)及び3〜5.5%(w/w)のクエン酸トリエチル、
−第4の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、86〜88%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0045】
さらに好ましい実施形態では、本制御放出システムの前記適用量を有する層は以下の層を含み、好ましくは以下の層から成る:
−任意の(第1の)隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)の活性成分(例えばフリバンセリン)及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第2の隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5.0mg/cm2の範囲で適用される、86〜88%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0046】
さらに好ましい実施形態では、本制御放出システムの前記適用量を有する層は以下の層を含み、好ましくは以下の層から成る:
−任意の(第1の)隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)の活性成分(例えばフリバンセリン)及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、46〜48.5%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)、46〜48.5%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)及び3〜5.5%(w/w)のクエン酸トリエチル、
−第4の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0047】
さらに好ましい実施形態では、本制御放出システムの前記適用量を有する層は以下の層を含み、好ましくは以下の層から成る:
−任意の(第1の)隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)の活性成分(例えばフリバンセリン)及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第2の隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、本制御放出システムの前記適用量を有する層は以下の層を含み、好ましくは以下の層から成る:
−任意の(第1の)隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)の活性成分(例えばフリバンセリン)及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、46〜48.5%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)、46〜48.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)及び3〜5.5%(w/w)のクエン酸トリエチル、
−第4の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0049】
さらに好ましい実施形態では、本制御放出システムの前記適用量を有する層は以下の層を含み、好ましくは以下の層から成る:
−任意の(第1の)隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)の活性成分(例えばフリバンセリン)及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第2の隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、本制御放出システムの前記適用量を有する層は以下の層を含み、好ましくは以下の層から成る:
−任意の(第1の)隔離層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜10.0mg/cm2の範囲で適用される、95〜100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)及び0〜5%(w/w)のタルク?;
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、62〜86%(w/w)のEudragit RS、5〜20%(w/w)のクエン酸トリエチル、5〜10%のグリセロールモノステアレート及び4〜8%の硫酸ナトリウム;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシlプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)の活性成分(例えばフリバンセリン)及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、63〜72%(w/w)のフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHP 50(登録商標))、20〜25%(w/w)のポビドン(例えばKollidon 17)、4〜6%のグリセロールモノステアレート及び4〜6%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0051】
従来の公知方法で本発明の制御放出システムを調製することができる。後述する以下の方法で本制御放出システムを調製できる。
pH調節剤を含有するコア材料は、使用する粒子状のpH調節剤の結晶、さらに有利には規定量のpH調節剤を含有する所望サイズの概略球形の粒子を含み、製薬技術で公知かつ確立されている方法で製造できる。特に、パン法によって、ペレット化プレート上で又は押出し/球状化によってコア材料を製造することができる。このようにして得られたコア材料をふるい分けよって所望の直径フラクションに分割しうる。好適なコア材料は、好ましくは0.4〜1.5mm、好ましくは0.6〜0.8mmの平均径を有する。
引き続き、任意の隔離層をコア材料に適用してよい。常法で、例えば水溶性の医薬的に許容しうるポリマー(任意に可塑剤、分離剤及び/又は顔料及び/又は他の適切な添加剤を添加してよい)の水溶液又は分散系を流動床内、コーティングパン内又は通常の層コーティング装置内で適用することによって、隔離層をコア材料に適用することができる。必要な場合、生成物を再びふるい分けすることができる。
その後、第1の層を適用しうる。常法で、例えば不水溶性の医薬的に許容しうるポリマー(任意に適切な添加剤を添加してよい)を流動床内、コーティングパン内又は通常の層コーティング装置内で適用することによって、第1の層を適用することができる。必要な場合、生成物を再びふるい分けすることができる。
次に、好ましくは結合剤を含有し、任意に分離剤及び/又は他の添加剤を含んでよい溶液又は分散系から活性物質を適用してよい。このプロセス後又はプロセス中、乾燥によって揮発性溶媒又は分散剤が除去される。本発明のプロセスで使用する溶媒又は分散剤は、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はこれらの溶媒相互の混合物でよい。セチルアルコール、ノノキシノール100、オレイン酸、ポリソルベート(ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、水酸化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビン酸などの乳化剤又は安定剤が存在してよい。
製薬技術で既知の確立された方法、例えば、コーティングパン、通常の層コーティング装置内で、又は流動床法によって、コア材料への活性物質の適用を行うことができる。次に、さらなるふるい分けプロセスを行ってよい。
引き続きさらなる任意の(第2の)隔離層を第2の層上に与えてよい。前記隔離層は、既に述べたように構成される。この隔離層は、第1の隔離層に加えて、或いはその代わりに存在しうる。
【0052】
その後、製薬技術で公知かつ確立されている方法で第3の層を生成することができる。常法によって、例えばアニオン性又は非イオン性基を有する医薬的に許容しうるポリマー(任意に可塑剤及び/又は他の適切な添加剤を添加してよい)の分散系を、流動床内、コーティングパン内又は通常の層コーティング装置内で適用することによって、第3の層を生成することができる。必要な場合、生成物を再びふるい分けすることができる。
カプセル中への移動中のいずれの摩耗増加をも減らすため及び/又は有効期間を増やすため或いはさらなる拡散バリアを加えるため、最後に制御放出システムをコーティング(すなわち任意の第4の層)で被覆しうる。このコーティングは、好ましくは通常の製薬上の皮膜形成剤、可塑剤及び任意に顔料を含む。常法でこの被覆を行うことができる。
本発明の制御放出システムは、いずれの適切な大きさ及び形状のものでもよく、例えば、円形、楕円形、多角形又は枕形状でよく、任意に非機能的な面記号を備えてよい。
平均粒径が0.4〜1.5mmのコア材料を使用する場合、上記プロセスが、例えば活性物質を含有するペレットを生成し、次にこのペレットをカプセルに詰めることができる。これを行うため、必要な薬用量に対応する複数のこれらの単位を標準的なカプセル充填機でカプセルに詰めることができる。適切な硬カプセルとして、例えば、硬ゼラチンカプセル又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の硬カプセルが挙げられる。或いは、これらの単位を適切な結合剤と一緒に圧縮して錠剤(胃内で崩壊して被覆ペレットを放出する)とすることができる。
錠剤又はカプセル剤を提供する場合、技術上周知のビン又はブリスターにそれらを詰めてよい。該ブリスターのうち、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン製のものである。アルミニウムのブリスターも可能である。ビンは、例えばポリプロピレン又はポリエチレン製でよい。他の通常の包装材料も可能である。
例えばカプセル剤又は別の適切な剤形で存在する本発明の制御放出システムを容器に詰め、例えば、用量と投与情報、禁忌、事前注意、薬物の相互作用及び副作用などの直接関係のある情報を提供する能書を添付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】先行技術の制御放出システムの断面拡大図を示す。
【図2】本発明の制御放出システムの好ましい実施形態の断面拡大図を示す。
【図3】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例1の工程b)を説明する流れ図を示す。
【図4】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例1の工程c)を説明する流れ図を示す。
【図5】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例1の工程d)を説明する流れ図を示す。
【図6】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例1の工程e)を説明する流れ図を示す。
【図7】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例1の工程f)を説明する流れ図を示す。
【図8】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例2の工程d)を説明する流れ図を示す。
【図9】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例2の工程e)を説明する流れ図を示す。
【図10】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例2の工程f)を説明する流れ図を示す。
【図11】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例3の工程b)を説明する流れ図を示す。
【図12】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例3の工程c)を説明する流れ図を示す。
【図13】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例3の工程d)を説明する流れ図を示す。
【図14】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法(実施例3の工程e)を説明する流れ図を示す。
【図15】実施例4でさらに完全に述べるように、ある非改良型放出製剤と比較した本発明の3種の改良型放出製剤のin vitro溶解プロフィールの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、コア1内に塩のアニオンが存在する先行技術の制御放出システムを示す。コア1の上に、Eudragit(登録商標)NEなどの中性ポリマー層で構成される調節層2を備える。調節層2が薬物層3と層化され、さらに、最外層としてEudragit(登録商標)RL/RSなどの四級アンモニウムイオンを有するメタクリレートポリマーの制御放出層4で被覆されている。放出機構は、最外層4内のイオン交換体Eudragit(登録商標)RSに基づき、浸透性を変えることによって、薬物の溶解度を制御する。
図1に示される先行技術と対照的に、本発明の制御放出システムの機能は、最外層の浸透性の変化ではなく、主にコアと、例えば第1の層及び第3の層との間のイオンの相互作用に基づく。本発明では、最外層は四級アンモニウム基のようなカチオン性基を持たないので、放出機構が全く異なる。さらに、本発明の制御放出システムはin vitro及びin vivoで機能する。
図2は、本発明の制御放出システムの好ましい実施形態の断面拡大図を示す。好ましくはビーズ形状/球形コア部10は、1種以上の医薬的に許容しうる有機酸及び/又は塩基及び/又は緩衝液を含むか又は前記成分から成り、任意に適切な賦形剤を含んでよい。コア層は、任意に、次の層からコア10を分離する層、いわゆる隔離層20を伴ってよい。次々に、隔離層20、又は隔離層20が存在しない場合はコア材料10が、1種以上の不水溶性ポリマーと任意の賦形剤を含むか又は前記成分から成る第3の層で包囲され、この上に活性物質層40が適用される。これら第1の層30と活性物質層40は両方とも好ましくは球形である。分子中にカチオン性基を持たない1種以上のポリマーを含むか又前記ポリマーから成り、任意に賦形剤を含んでよい第3の層50で活性物質層40自体が包囲され、その上に1種以上のコーティング60を備えて、本発明の制御放出システムの耐摩耗性及び有効期間を増加させ、或いは低いpH値(例えばpH 1)で活性成分の放出を制御しうる。
さらに、本発明の制御放出システムの放出は図2に概略的に示されている。胃液(pH約1)によって、例えば該流体が製剤中に浸透し(a)、例えば弱塩基でありうる活性物質を溶かす。そして、活性物質の放出速度が第4の層(60)によって制御される。小腸に移動すると、pHが6に向かって上昇するので、この例では、第4の層が溶けるだろう。従ってこの腸溶性液がコアに浸透し、溶解したpH調節剤が層1(30)に浸透し、制御されたpHで活性物質の溶解を高め(B)、最後に、第3の層が薬物放出を制御する。
【0055】
図3〜15については、実施例で詳述する。
本発明の利点は多様である。
本発明は、医薬的に活性な物質の良い制御放出を示す。すなわち、本発明の制御放出システムは、pHとほとんど無関係な放出プロフィールのため、その中に含まれる活性物質の改良されたバイオアベイラビリティーを示す。
さらに、コア内のpH調節剤を活性物質コアから分離すると、いくつかの利点を与える。
所定時間活性物質の溶解と放出を抑制できる所望の制御放出システムが得られ、かつ溶解の開始後に活性物質の放出が確実に達成され、長時間、活性物質の所望の血中濃度が実現される。溶解度を高めるためにpH調節剤を使用しているにもかかわらず、pH調節剤と活性物質との間の望ましくない相互作用が阻止される。本発明の制御放出システムは、貯蔵時に十分安定状態を維持する。本製剤システムの投与後だけ、pH調節剤が溶解して、活性物質が溶解できる微細環境を生成する。
【0056】
さて、上記発明を種々の他の実施形態に従う実施例で説明する。当業者には本発明が本明細書から明らかになるだろう。しかし、実施例及び説明は、例示としてのみ意図され、かつ本発明を限定するものとみなすべきでないことを明白に指摘する。
以下、本発明をペレット用の製剤で例示する。しかし、本発明はペレットに限定されず、他の剤形が可能である。与えられる各製剤の活性成分は上述した各化合物である。各実施例を列挙した各化合物と結びつけるものとする。これは、以下で与える各実施例が、上記各化合物に値することを意味する。上記定義どおりの好ましい活性物質が好ましい製剤を定義する。
与えた情報により、当業者は、治療に必要な薬用量を有するいずれの上記活性成分の所望剤形をも製造することができるだろう。
各剤形は、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg又はそれより多いか少ない総量を有しうる。
【実施例1】
【0057】
以下、本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を例として説明する。しかし、プロセス工程を限定的性格のものとは全く意図していない。
以下の実施例の本発明の制御放出システムの調製は、通常6工程で行われる。
工程a):pH調節剤を含有するコア材料の調製;
工程b):第1の層の調製;
工程c):活性物質を含有する第2の層の調製;
工程d):第3の層の調製;
工程e):第4の層の調製;及び
工程f):カプセルに詰める工程。
以下、これらの工程について詳述する。
【0058】
工程a)pH調節剤を含有するコア材料の調製
a1) 1質量部のアラビアゴムを撹拌しながら4質量部の純水に50℃で溶かしてから撹拌しながらこの溶液に5質量部の酒石酸を溶かす。
平均粒径が0.4〜0.6mmの酒石酸結晶8.3質量部を、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置に入れて該容器を回転させる。空気入口温度は60℃〜80℃である。酒石酸-アラビアゴムの溶液を間欠操作で酒石酸結晶に噴霧し、全部で6.7質量部の粉末酒石酸を振りかけてほぼ球形の粒子を生成する。この球形酒石酸コア材料を該回転容器内で60℃〜80℃の空気入口温度にて乾燥させる。
0.6及び0.8mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えたタンブラーふるい分け機を用いてコア材料を分別する。0.6〜0.8mmの生成物フラクションを次の処理で用いる。
a2) 酒石酸を含有するコア材料の隔離
0.5質量部のヒプロメロースを10.1質量部の96%エタノールに溶かす。さらに0.5質量部のタルクを0.01質量部のポリジメチルシロキサンと一緒にヒプロメロース/エタノール溶液に撹拌しながら分散させる。この隔離用分散系を流動床処理プラント内で酒石酸コア(a1)上に噴霧し、床下噴霧法によって、21質量部の酒石酸含有コア材料をヒプロメロース/タルク分散系で35℃〜40℃の空気入口温度にて噴霧する。この隔離された酒石酸含有コア材料を循環式空気乾燥器内で40℃にて8時間乾燥させる。かたまりを除去するため、乾燥した隔離酒石酸含有コア材料を公称メッシュサイズ1.0mmのふるいに通してふるい分けする。材料フラクション(1mm未満の粒径)をさらに処理する。
図3〜7に示す流れ図で他の工程b)〜f)を説明する。
【0059】
工程b)第1の層の調製
図3に示すように、上述したとおりに調製したコア材料、例えば酒石酸を含有するコア材料を用いて出発し、引き続き以下のように第1の層を調製した。
1.レーキ溶液の調製
イソプロピルアルコール(4730.00g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(45.00g)とエチルセルロースN10型(225.00g)を少しずつ加えて撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、得られたレーキ溶液を1500gの酒石酸スターターペレット(隔離されている)上に噴霧した。この目的のため、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置内にペレットを入れた。約45℃の空気入口温度で連続操作にてレーキ溶液を酒石酸ペレットに噴霧して、ほぼ球形の粒子を生成した。下記条件を使用した:
入口空気量 100m3/時間
噴霧速度 2〜18g/分
噴霧圧 0.6バール、
微細環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約7時間
生成物温度 30〜40℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置内で40℃にて12時間乾燥させた。1.0mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0060】
c)活性物質を含有する第2の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図4に示すように、イソプロピルアルコール(1360.00g)を適切な反応容器に装填してからKlucel EF(結合剤;50.00g)、活性物質(250.00g)を少しずつ添加し、この溶液に撹拌しながらタルク(40.00g)を分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程b)で得た生成物778g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置に生成物を入れた。約25℃の空気入口温度で連続操作にてレーキ溶液を生成物に噴霧し、かつ散在させてほぼ球形の粒子を生成した。下記条件を使用した:
入口空気量 100m3/時間
噴霧速度 1〜10g/分
噴霧圧 0.6バール、
微細環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約5時間
生成物温度 20〜25℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置内で40℃にて12時間乾燥させた。1.25mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0061】
d)第3の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図5に示すように、イソプロピルアルコール(421.70g)を適切な反応容器に装填してから純水(74.42g)、クエン酸トリエチル(1.65g)、エチルセルロースN10型(16.50g)及びヒプロメロース(Methocel E5,16.50g)を少しずつ添加してこの溶液に撹拌しながら分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程c)で得た生成物1100g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で連続操作にてレーキ溶液を生成物に噴霧し、かつ散在させてほぼ球形の粒子を生成した。下記条件を使用した:
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 2〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微細環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約4時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置内で40℃にて12時間乾燥させた。1.25mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0062】
工程e)第4の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図6に示すように、イソプロピルアルコール(341.36g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(1.25g)、Eudragit(登録商標)L 100-55(25.00g)及び純水(46.550g)を少しずつ添加してこの溶液に撹拌しながら分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、レーキ溶液中にタルク(2.50g)を懸濁させた後、工程d)で得た生成物1000.0g上に噴霧した。この目的のため、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で連続操作にてレーキ溶液を生成物に噴霧し、かつ散在させてほぼ球形の粒子を生成した。下記条件を使用した:
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 2〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微細環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約3時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置内で25℃にて12時間乾燥させた。1.25mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0063】
工程f)カプセルへの充填
図7に示すように、活性物質を含有する、ある量のペレットをタルクと混合して最終混合物を得た後、カプセル充填機を用いて0号サイズの硬ゼラチンカプセルのような大きさのカプセルに詰めた。
いずれの工程中又は工程後にも内部プロセス制御(Internal Process Control)(IPC)を利用した。
【実施例2】
【0064】
以下の実施例の本発明の制御放出システムの調製は、通常6工程で行われる。
工程a):pH調節剤を含有するコア材料の調製;
工程b):第1の層の調製;
工程c):活性物質を含有する第2の層の調製;
工程d):隔離層の調製;
工程d):第3の層の調製;及び
工程f):カプセルに詰める工程。
実施例1で上述したとおりに同じ処理工程a)、b)及びc)を行った。そして、処理を以下のように続けた。
【0065】
工程d)隔離層
1.レーキ溶液の調製
図8に示すように、純水(466.88g)を適切な反応容器に装填してからヒプロメロース(Methocel E5)(22.00g)を70〜75℃の温度で少しずつ添加してこの溶液に撹拌しながら分散させた。溶液を冷まして室温で一晩撹拌撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程c)で得た生成物1100.0g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約40℃の空気入口温度で連続操作にてレーキ溶液を生成物に噴霧し、かつ散在させてほぼ球形の粒子を生成した。下記条件を使用した:
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 1〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微細環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約3時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置内で40℃にて12時間乾燥させた。1.25mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0066】
e)第3の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図9に示すように、イソプロピルアルコール(341.36g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(1.25g)、Eudragit(登録商標)L 100-55(25.00g)及び純水(74.42g)を少しずつ添加してこの溶液に撹拌しながら分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、レーキ溶液中にタルク(2.50g)を懸濁させた後、工程d)で得た生成物1000.0g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で連続操作にてレーキ溶液を生成物に噴霧し、かつ散在させてほぼ球形の粒子を生成した。下記条件を使用した:
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 2〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微細環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約3時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置内で25℃にて12時間乾燥させた。1.25mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0067】
工程f)カプセルへの充填
図10に示すように、活性物質を含有する、ある量のペレットをタルクと混合して最終混合物を得た後、カプセル充填機を用いて0号サイズの硬ゼラチンカプセルのような大きさのカプセルに詰めた。
いずれの工程中又は工程後にも内部プロセス制御(Internal Process Control)(IPC)を利用した。
【実施例3】
【0068】
以下、本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を例として説明する。しかし、プロセス工程を限定的性格のものとは全く意図していない。
以下の実施例の本発明の制御放出システムの調製は、通常6工程で行われる。
工程a):pH調節剤を含有するコア材料の調製;
工程b):第1の層の調製;
工程c):活性物質を含有する第2の層の調製;
工程d):第3の層の調製;
工程e):カプセルに詰める工程。
以下、工程について詳述する。
【0069】
工程a)pH調節剤を含有するコア材料の調製
a1) 1質量部のアラビアゴムを撹拌しながら4質量部の純水に50℃で溶かしてから撹拌しながらこの溶液に5質量部の酒石酸を溶かす。
平均粒径が0.4〜0.6mmの酒石酸結晶8.3質量部を、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置に入れて該容器を回転させる。空気入口温度は60℃〜80℃である。酒石酸-アラビアゴムの溶液を間欠操作で酒石酸結晶に噴霧し、全部で6.7質量部の粉末酒石酸を振りかけてほぼ球形の粒子を生成する。この球形酒石酸コア材料を該回転容器内で60℃〜80℃の空気入口温度にて乾燥させる。
0.6及び0.8mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えたタンブラーふるい分け機を用いてコア材料を分別する。0.6〜0.8mmの生成物フラクションを次の処理で用いる。
a2) 酒石酸を含有するコア材料の隔離
1質量部のヒプロメロースを9質量部の水に90℃で分散させ、撹拌しながらさらに溶解させ、該分散系を20℃に冷ます。この隔離用溶液を流動床処理プラント内で酒石酸コア(a1)上に噴霧し、ウルスター(Wurster)噴霧法によって、1質量部の酒石酸含有コア材料をヒプロメロース溶液で45℃〜49℃の空気入口温度にて噴霧する。この隔離された酒石酸含有コア材料を循環式空気乾燥器内で40℃にて12時間乾燥させる。かたまりを除去するため、乾燥した隔離酒石酸含有コア材料を公称メッシュサイズ1.0mmのふるいに通してふるい分けする。材料フラクション(1mm未満の粒径)をさらに処理する。
図11〜14に示す流れ図で他の工程b)〜e)を説明する。
【0070】
工程b)第1の層の調製
図11に示すように、上述したとおりに調製したコア材料、例えば酒石酸を含有するコア材料を用いて出発し、引き続き以下のように第1の層を調製した。
1.レーキ溶液の調製
純水(1385.71g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(10.00g)、グリセロールモノステアレート(10.00g)、硫酸ナトリウム(8.83)及びEudragit RS 30 D(666.67g)を少しずつ添加してこの溶液に撹拌しながら分散させる。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、得られたレーキ溶液を1000gの酒石酸スターターペレット(隔離されている)上に噴霧した。この目的のため、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置内にペレットを入れた。約40〜48℃の空気入口温度で連続操作にてレーキ溶液を酒石酸ペレットに噴霧して、ほぼ球形の粒子を生成した。下記条件を使用した:
入口空気量 90m3/時間
噴霧速度 2〜10g/分
噴霧圧 1.2バール、
ノズル径 1.0mm
噴霧時間 約7時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置内で40℃にて24時間乾燥させた。1.0mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0071】
c)活性物質を含有する第2の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図12に示すように、イソプロピルアルコール(1360.00g)を適切な反応容器に装填してからKlucel EF(結合剤;50.00g)、活性物質(250.00g)を少しずつ添加し、この溶液に撹拌しながらタルク(40.00g)を分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程b)で得た生成物778g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置に生成物を入れた。約25℃の空気入口温度で連続操作にてレーキ溶液を生成物に噴霧し、かつ散在させてほぼ球形の粒子を生成した。下記条件を使用した:
入口空気量 100m3/時間
噴霧速度 1〜10g/分
噴霧圧 0.6バール、
微細環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約5時間
生成物温度 20〜25℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置内で40℃にて12時間乾燥させた。1.25mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0072】
d)第3の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図13に示すように、イソプロピルアルコール(33.09g)を適切な反応容器に装填してから純水(7.79g)、クエン酸トリエチル(0.12g)、グリセロールモノステアレート(0.12g)、HP 50(登録商標)(1.80g)及びKollidon 17(登録商標)(0.60g)を少しずつ添加してこの溶液に撹拌しながら分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程c)で得た生成物30g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気の入口と排出口を備えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で連続操作にてレーキ溶液を生成物に噴霧し、かつ散在させてほぼ球形の粒子を生成した。下記条件を使用した:
入口空気量 500mbar
噴霧速度 0.3〜0.5g/分
噴霧圧 0.8バール、
ノズル径 0.3mm
噴霧時間 約2時間
生成物温度 22〜28℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置内で40℃にて12時間乾燥させた。1.25mmの公称メッシュサイズを有する穴あき板を備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0073】
工程e)カプセルへの充填
図14に示すように、活性物質を含有する、ある量のペレットをタルクと混合して最終混合物を得た後、カプセル充填機を用いて0号サイズの硬ゼラチンカプセルのような大きさのカプセルに詰めた。
いずれの工程中又は工程後にも内部プロセス制御(Internal Process Control)(IPC)を利用した。
【実施例4】
【0074】
各実施例1〜3の改良型放出製剤の溶解プロフィールを評価し、例えば特許文献12(実施例3)に記載されているような即時放出製剤(フリバンセリンIR錠剤100mg)と比較した。
pH-センサーと滴定装置を備えた装置2(USP 30)で溶解試験を行った。薬物生成物を二相性溶解媒体中に入れる。この媒体は下方に550mlのリン酸緩衝水相があり、この水相が100mlのn-オクタノールの親油性上相で覆われており、溶解試験のあいだじゅう、親油相内におけるシンク状態を容易にしている。この試験機器内における薬物放出を装置2溶解容器内で24時間37℃及び50rpmにて行う。UV-DVD分光光度計を用いて各相について薬物放出の定量化をオンラインで行う。溶解試験中、適切な滴定システムを用いて試験pH-値を3段階で調整する:段階1 pH 2(1時間)、段階2 pH 5.5(2+2時間)、段階3 pH 6.8(19時間)。5Mの水酸化ナトリウム溶液を用いてpH調整を行う。薬物生成物が、組み込まれたpH調節剤と共にpH 5.5で活性成分を放出する能力を試験するため、段階2で下がったpH値(pH<5.5)を2時間後に初期値に再調整する。全ての溶解プロフィールは、水相と有機相内で総じて全薬物が溶解したことを示す。
【0075】
データを図15に示す。活性成分が良い溶解度を示すpH 2での最初の1時間の間、全実施例は耐えて用量ダンピングを阻止した。対照的に、IR錠剤は1時間のpH 2の第1段階の20分以内で全用量を放出した。第2段階(pH 5.5)の最初に、水相内でpH 2(段階1)にて溶解した活性成分のオクタノール相中への吸収は完了しないので、水相中の活性成分の溶解フラクションはpHの2から5.5への変化で沈殿しやすい。この現象は、溶解/吸収の混合試験においてIR錠剤で非常に顕著であるが、IR錠剤のin vivo関連の現象ではなく、IR錠剤のAUCについては胃内の低pHにおける早期薬物放出によって決定される。対照的に、有利な改良型放出製剤は、該原型によって、特に活性成分の水溶性が不十分なpH値(5.5〜6.8)で種々の薬物放出速度を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH-依存性の溶解度を有する活性物質の投与、特に経口投与用の医薬制御放出システムであって、以下の要素:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpH調節剤を含むコア材料;
b)任意に含んでよい隔離層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含む第1の層;
d)pH-依存性の溶解度を有する少なくとも1種の活性物質を含む第2の層;
e)アニオン性若しくは非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含む第3の層;及び
f)任意に含んでよい第4の層
を含んでなる医薬制御放出システム。
【請求項2】
前記コア材料が、1種以上のpH調節剤と、1種以上の結合剤を含み、任意に1種以上の他の賦形剤を含んでよいことを特徴とする請求項1に記載の医薬制御放出システム。
【請求項3】
前記pH調節剤が、1種以上の医薬的に許容しうる有機酸、1種以上の医薬的に許容しうる塩基、1種以上の医薬的に許容しうる緩衝液及びその混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬制御放出システム。
【請求項4】
前記pH調節剤が固体又は液体形態であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項5】
前記コアに含まれる前記有機酸及び/又は塩基が、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、l-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にシス-フマル酸及び/又はトランス-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムコン酸、硝酸、オミチン、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン、グルタミン酸、バリン並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項6】
前記有機酸が、酢酸、アスコルビン酸、酒石酸、グルタル酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、アジピン酸及びコハク酸又はその組合せから成る群より選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項7】
前記緩衝液が、マッキルベン緩衝液(例えばクエン酸リン酸緩衝液、pH 2.2〜7.0)、アンモニア溶液、炭酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸ナトリウム若しくは二塩基性リン酸カリウム、クエン酸一水和物、ジエタノールアミン、リンゴ酸、一塩基性リン酸ナトリウム、モノエタノールアミン、グルタミン酸一ナトリウム、リン酸、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、トリエタノールアミン並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項8】
前記コア材料が、0.4〜1.5mmの平均粒子サイズを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項9】
前記第1の層が、1種以上の不水溶性ポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を含んでよいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項10】
前記第1の層に含まれる前記不水溶性ポリマーが、四級アンモニウム基を含有してよいアクリル及び/又はメタクリル(コ)ポリマー、アルキルセルロース、例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル並びにその誘導体及び混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項11】
前記第1の層中の前記不水溶性ポリマーがエチルセルロースであることを特徴とする請求項10に記載の医薬制御放出システム。
【請求項12】
前記第3の層が、アニオン性若しくは非イオン性基を有する1種以上のポリマーと1種以上の可塑剤を含み、任意に1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含んでよいことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項13】
前記第3の層に含まれるアニオン性若しくは非イオン性基を有する前記ポリマーが、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はその誘導体(カチオン性基を持たない)を含んでなるポリマー及び/又はコポリマー、アルキルセルロースとその誘導体、例えばエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びその誘導体、例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロースとその誘導体、例えば酢酸トリメリット酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸ビニルとその誘導体、例えばポリ酢酸ビニルフタレート、シェラック及びその誘導体と混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項14】
前記第3の層に含まれるアニオン性若しくは非イオン性基を有する前記ポリマーが、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はその混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項15】
前記第3の層に含まれるアニオン性若しくは非イオン性基を有する前記ポリマーが、エチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はその混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項16】
前記第3の層が、さらに細孔形成剤を含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項17】
前記細孔形成剤が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)及びEudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)から成る群より選択されることを特徴とする請求項16に記載の医薬制御放出システム。
【請求項18】
前記第1及び第3の層中の前記ポリマーが同一又は異なってよいことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項19】
前記第2の層が、pH-依存性の溶解度を有する1種以上の活性物質と1種以上の結合剤を含み、任意に他の賦形剤を含んでよいことを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項20】
前記隔離層が、1種以上の水溶性ポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤、及び/又は1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を含んでよいことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項21】
前記隔離層の前記水溶性ポリマーが、アラビアゴム又はアルキルセルロースとその誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーの中から選択される部分的若しくは全体的合成ポリマー又は前記ポリマーと誘導体の組合せ及びその混合物、好ましくはアラビアゴム及びヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースから成る群より選択されることを特徴とする請求項20に記載の医薬制御放出システム。
【請求項22】
前記コア上に隔離層を備えることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項23】
前記第2の層上に隔離層を備えることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項24】
該医薬制御放出システムが第4の層を含むことを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項25】
前記第4の層が、アニオン性若しくは非イオン性基を有する1種以上のポリマーと1種以上の可塑剤を含み、任意に1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含んでよいことを特徴とする請求項24に記載の医薬制御放出システム。
【請求項26】
前記第4の層が、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)、Kollicoat(登録商標)EMM 30D、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);及びポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S)から成る群より選択される1種以上のポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項27】
前記第4の層に含まれる前記ポリマーが、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及びその混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項28】
前記第4の層が、さらに細孔形成剤を含むことを特徴とする請求項1〜27のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項29】
前記細孔形成剤が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)及びEudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)から成る群より選択されることを特徴とする請求項27に記載の医薬制御放出システム。
【請求項30】
前記可塑剤が、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択されることを特徴とする請求項1〜29のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項31】
存在する前記層の適用量が、前記出発コアの比表面積に基づいて以下のとおりであることを特徴とする請求項1〜30のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム:
−任意の(第1の)隔離層:
0.05〜5.0mg/cm2、好ましくは0.1〜3mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.5〜12mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
0.1〜20mg/cm2、好ましくは1〜18mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.2〜12mg/cm2の範囲内;及び
−任意の第4の層:
0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.2〜12mg/cm2の範囲内。
【請求項32】
前記活性物質がフリバンセリンであることを特徴とする請求項1〜31のいずれか1項に記載の医薬制御放出システム。
【請求項33】
pH-依存性の溶解特性を有する活性物質を含有する特に経口投与用の医薬制御放出システムの調製方法であって、以下の工程:
工程a) 1種以上の医薬的に許容しうるpH調節剤(任意に1種以上の結合剤及び/又は他の賦形剤を添加してよい)から、パン法によって、ペレット化プレート上で又は押出し/球状化によってコア材料を生成する工程;
工程b) 1種以上の水溶性の医薬的に許容しうるポリマーを含んでなり、任意に1種以上の可塑剤、1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料、及び/又は他の賦形剤を添加してよい隔離層を適用する、任意に含んでよい工程;
工程c) 1種以上の不水溶性の医薬的に許容しうるポリマーを含んでなり、任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい第1の層を適用する工程;
工程d) 溶液又は分散系(任意に1種以上の結合剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含有してよい)由来の少なくとも1種の活性物質を含んでなる第2の層を適用し、かつ同時又は引き続き乾燥させて溶媒若しくは分散剤を除去する工程;
工程e) 1種以上の水溶性の医薬的に許容しうるポリマーを含んでなり、任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい隔離層を適用する、任意に含んでよい工程;
工程f) アニオン性若しくは非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含んでなり、任意に1種以上の可塑剤、1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい第3の層を適用する工程;
工程g) 任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい第4の層を適用する、任意に含んでよい工程;及び
工程h) このようにして得られた、活性物質を含有する制御放出システムをカプセルに詰める、任意に含んでよい工程
を含んでなる、医薬制御放出システムの調製方法。
【請求項34】
前記活性物質がフリバンセリンであることを特徴とする請求項33に記載の医薬制御放出システムの調製方法。
【請求項35】
請求項32に記載の医薬制御放出システムの、中枢神経系障害、情動障害、不安、睡眠障害及び性障害(性的欲求低下障害、性嫌悪障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性交疼痛障害、例えば性交疼痛症、ワギニスムス、非性交疼痛障害;全身の医療条件による性機能不全及び物質誘発型性機能不全)、月経前障害、例えば月経前不快症、月経前症候群及び月経前不快障害;精神病、精神分裂症、人格障害、器質性精神障害、小児の精神障害、攻撃性、年齢関連記憶障害、神経保護、神経変性疾患、種々の原因の脳虚血、神経性拒食症、注意欠陥多動障害(ADHD)、肥満症、尿失禁、慢性疼痛及び心臓弁膜症の治療のための使用。
【請求項36】
哺乳動物の、中枢神経系障害、情動障害、不安、睡眠障害及び性障害(性的欲求低下障害、性嫌悪障害、性的刺激障害、オルガスム障害、性交疼痛障害、例えば性交疼痛症、ワギニスムス、非性交疼痛障害;全身の医療条件による性機能不全及び物質誘発型性機能不全)、月経前障害、例えば月経前不快症、月経前症候群及び月経前不快障害;精神病、精神分裂症、人格障害、器質性精神障害、小児の精神障害、攻撃性、年齢関連記憶障害、神経保護、神経変性疾患、種々の原因の脳虚血、神経性拒食症、注意欠陥多動障害(ADHD)、肥満症、尿失禁、慢性疼痛及び心臓弁膜症の治療方法であって、請求項32に記載の医薬制御放出システムを前記哺乳動物に投与することを含む、前記治療方法。
【請求項37】
1日0.1〜400mgの投与量範囲でフリバンセリンを適用することを特徴とする請求項35又は36に記載の使用又は方法。
【請求項38】
ある期間にわたって継続的に1日に1回又は2回前記医薬制御放出システムを適用することを特徴とする請求項35又は36に記載の使用又は方法。
【請求項39】
朝と夕方、さらに好ましくは朝1回(25又は50mgのフリバンセリン)及び夕方1回(25又は50mgのフリバンセリン)前記医薬制御放出システムを適用することを特徴とする請求項35又は36に記載の使用又は方法。
【請求項40】
ある期間にわたって継続的に夕方だけ1回(50又は100mgのフリバンセリン)前記医薬制御放出システムを適用することを特徴とする請求項35又は36に記載の使用又は方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−501511(P2010−501511A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525011(P2009−525011)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058302
【国際公開番号】WO2008/022932
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】