説明

制御放出製剤

制御放出製剤及びカプセルを提供する。更に組成物を含む乳濁剤及び懸濁剤、並びに制御放出カプセルの製造方法を提供する。ここで充填物は懸濁剤及び/又は乳濁剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して制御放出製剤及びソフトカプセルに関する。本発明は、更に組成物を含む乳濁物及び懸濁物、並びに制御放出カプセルの製造方法にも関する。ここでの充填物(the fill)は懸濁剤及び/又は乳濁剤を含む。
【背景技術】
【0002】
制御放出製剤は、ヘルスケアサイエンスにおいて極めて重要な発展を成した。かかる医薬の一つの利点は、患者のコンプライアンスを改善させることであり、特に患者が複数治療又は慢性治療下にある場合のコンプライアンスを改善させることである。コンプライアンス率を増加させる必要性について、高齢人口の増加、更に制御放出投薬の要求の増加が留意される。高齢患者は、特に一日に複数回の投与(特に複数回要求される投薬事情において)のためにコンプライアンスの困難性をしばしば有する。
【0003】
一方、患者のコンプライアンスが制御放出製品の目先の利益であり、効き目の強い薬の副作用を最小限にすることもまた、制御放出製剤の所望される利点である。例えば、心血管剤ニフェジピンの副作用として周知である頻脈は、薬物を制御放出形態において投与した場合、有意に制御することができる。実際、制御放出製剤の使用は、全身循環における突発的な高薬物濃度を回避させ、引き続き副作用又は毒性を軽減させる。
【0004】
経口の制御放出技術は、一般的に"マトリックス"又は"フィルム"の特質で分類される。マトリックスタイプは、主に周囲の環境に対する水の浸透及び活性成分の放出を制御する重合性又は脂肪性物質を用いた錠剤に使用される。例えば米国特許No 4,882,167は疎水性炭水化物ポリマー(例えばエチルセルロース)、及びカルナウバワックス等のワックス材料を含み、直接圧縮によって作製される錠剤組成物を発表する。
【0005】
明らかに単純な直接圧縮技術でも、低用量に応用する場合には活性成分の作用に限界がある。低用量の作用薬は、薬物及びマトリックス粒子間の粒子径及び粒子密度の中での未制御の差異のために、マトリックスの直接圧縮において十分に分布しにくい。かかかる差異は、通常マトリックス中の薬物の均質な分布の欠乏及び含量物の均質性の欠乏を導く。直接圧縮マトリックス製造の制限を克服するために、湿式造粒技術が頻繁に適用される。
【0006】
湿式造粒手順の例は、米国特許No.6,572,889で発表され、ここではカバマゼピン(cabamazepine)等の活性物質の造粒が水及び重合物質の存在下において実行される。湿式造粒は基本的にマトリックス中の活性材料の分布を改善するが、それはなお冗長技術とみなされている。
【0007】
経口の制御放出製剤のために二番目に重要な技術は、コーティング又はフィルムを適用し、粒子(例えば、ペレット又はマイクロカプセル)又は錠剤等の投与単位からの薬物放出を制御する。米国特許No.5,871,776及び4,572,833は、制御放出粒子の調製の詳細を提供し、それはハードゼラチンカプセル中に充填することができ、又は錠剤中へ圧縮される。一方、ペレット又はマイクロカプセルは、制御放出製品においてかなり好評であり、それらは中間製品と見なされ、追加の製造ステップを要求し、患者が直接使用するに適した有用な投与形態として生産される。一方、錠剤等のコーティング投与単位は、経口の制御放出医薬を製造するためのより直接的なアプローチであると思われる。制御放出目的のための錠剤コーティングは、長期間にわたり医薬産業において非常に周知あり、且つ標準の医薬の教科書(例えばRemington's Pharmaceutical Industries,18th edition, ページ1666〜1675. Alfonso Gennaro, editor, Mack Publishing Co. Easto, PA, 1990を参照)でよく説明されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当業者が予測するような投与単位コーティングは、ピンホール及び粘着(sticking)等のコーティングにおける欠陥による性能不具合を導き得る多くの不利益を有す。
【0009】
ソフトカプセルは制御された薬物送達システムとして、Cohen等(米国特許No.4,795,642)により試験され、ポリサッカライドガムの水性充填物の場合、アルギン酸ナトリウムが重金属イオン等の陽イオン性成分の存在中でゲルを形成する。しかしながらソフトカプセルの製造は、経口制御放出製剤を生産するための現行技術しか利用されない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明は、脂質及び親油性材料単独、又は親水性相の存在中を基礎とする多くのマトリックスシステムを提供する。発表されたマトリックスは、親水性カプセルシェルと接触する疎水性表面を有し、他で発表されたようなポリエチレングリコール又は類似の媒体等の親水性材料を充填したソフトカプセルである場合、任意の潜在的シェル充填物相互作用を最小限にする。
【0011】
本発明は制御放出製品の組成物及びそれらの調製方法を提供する。本発明は更にソフトゲル投与形態での制御放出医薬の組成物及び製造方法を提供する。本発明は更に一部又は全ての活性成分又は薬物がマトリックス中で懸濁しているか、又は溶解している場合、懸濁物形態にある制御放出ソフトゲルの充填物の製造のための方法を提供する。更に医薬の活性成分又は薬物が1相又は2相のマトリックス中に導入される場合の組成物及び方法を提供する。1相マトリックスは均質の液体材料を含んで成ることができ、一方、2相マトリックスは、内相として水性親水性材料の乳濁物、及び疎水性の外相を含んで成ることができる。
【0012】
従って、本発明の1つの観点は、シェル及びマトリックス充填物を有する制御放出ソフトカプセルに関し、ここで当該マトリックス充填物は、脂質又は親油性材料中に、固体粒子として導入される活性成分又は薬物を含む。いくつかの態様では、脂質又は親油性材料は、ベジタブルオイル、水素化ベジタブルオイル、脂肪酸、ワックス、脂肪酸エステル、又はそれらの組合せであり得る。マトリックス充填物は放出調節剤(release regulator)を含むことができ、それは脂肪酸slats、脂肪酸エステル、又は脂肪酸ポリオキシエチレン誘導体であり得る。放出調節剤は、約3から約40の親水性/親油性バランス(HLB)値を有する界面活性剤であり得る。
【0013】
いくつかの態様では、活性成分又は薬物は非-ステロイド性抗炎症性薬物又は抗喘息性であり得る。当該活性成分又は薬物はジクロフェナック、ナプロキセン、イブプロフェン、ケトプロフェン、セレコキシブ、又はテオフィリンであり得る。活性成分又は薬物対マトリックス充填物の比率は、重量で約1:9から約1:1であり得る。また当該比率は重量で約1:8から約1:1でもよい。
【0014】
本発明の他の観点は、シェル及び活性成分又は薬物を含むマトリックス充填物を有す制御放出ソフトカプセルに関する。ここでマトリックスの物質状態は半流動体、又は構造化された固体状態であり得る。いくつかの態様では、マトリックスは、室温又は当該カプセル投与を意図された対象の体温で流動体又は半流動体であり得る。いくつかの態様では、活性成分又は薬物はマトリックス中で部分的に溶解性であることができ、そして活性成分又は薬物の少なくとも一部は、マトリックス中で固形であり得る。
【0015】
本発明の他の観点は、シェル及びマトリックス充填物を含む制御放出ソフトカプセルに関し、ここでマトリックス充填物は、乳濁物の形態にある2相を含む。いくつかの態様では、乳濁物はオイル中の水タイプの乳濁物であり得る。当該乳濁物は界面活性剤又は約2から約20のHLB値を有す界面活性剤の組合せを含み得る。またHLB値は約5から約15の範囲であることもできる。
【0016】
いくつかの態様では、活性成分又は薬物は抗喘息性、麻薬(narcotic)性鎮痛剤、麻薬性アンタゴニスト、又は心臓脈管薬であり得る。活性成分又は薬物はジルチアゼム、ニフェジピン、オキシコドン、モルヒネ、モルヒネアナログ、又はモルヒネアンタゴニストであり得る。
【0017】
いくかの態様では、活性成分又は薬物対マトリックス充填物の比率は、重量で約1:100から約1:2であり得る。更に当該比率は重量で約1:50から約1:3であり得る。
【0018】
いくつかの態様では、乳濁物は水性又は親水性内相及び脂質又は親油性外相を含み得る。内相は、約200から約8000の分子量範囲にあるポリエチレングリコールを含み得る。いくつかの態様では、当該内相は、セルロース誘導体、ポリアクリレート、ポリビニルポリマー、又はそれらの組合せを含む水性又は含水アルコール溶液であり得る。
【0019】
いくつかの態様では、内相は少なくとも1つのポリマーを含むことができ、それはメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、又はポリビニルピロリドン(PVP)であり得る。当該内相も構造化され得る。
【0020】
いくつかの態様では、外相はベジタブルオイル、水素化ベジタブルオイル、脂肪酸、ワックス、脂肪酸エステル、又はそれらの組合せを含み得る。
【0021】
いくつかの態様では、活性成分又は薬物は、溶液として又は懸濁物の形態として、内相中で分散し得る。
【0022】
いくつかの態様では、内相対外相の比率は、重量で約0.5:10から約1: 1であり得る。また当該比率は重量で約1:9から約1:1であり得る。
【0023】
本発明の他の観点は、シェル及びマトリックス充填物を有する制御放出ソフトカプセルに関し、ここでマトリックス充填物は、外相及び内相の両方に分散した活性成分又は薬物と共に乳濁物の形態にある2相を含む。当該活性成分又は薬物は、固体粒子の形態であり得る。活性成分又は薬物は、内相及び外相の両方に導入された固体粒子として存在し得る。
【0024】
本発明の他の観点は、本発明に係る制御放出ソフトカプセルのためのマトリックス充填物を製造する方法に関する。当該方法は、混合している間、又は混合する前にマトリックス充填組成物の融点付近でマトリックス成分に熱を適用すること;そして脂質又は親油性マトリックス成分を有す活性成分又は薬物を機械的又は超音波力を用いて混合して、マトリックス充填物を形成することを含む。当該マトリックス充填物は流動可能であるので、ロータリーダイカプセル充填マシーンを用いて充填され得る。いくつかの態様では、マトリックス成分は約25℃から約70℃までの範囲の温度で加熱され得る。更にマトリックス成分は約30℃から約50℃の範囲の温度に加熱され得る。
【0025】
本発明の他の観点は、制御放出ソフトカプセルを製造するための方法に関し、ここでのマトリックス充填物は乳濁物の形態にある2相を含む。当該方法は、内相において活性成分又は薬物を分散させ、プロペラ又はホモジナイザーミキサーを用いて透明溶液又は懸濁物を形成し;内相材料を、約0.1重量%から約5重量%の量の少なくとも1つの界面活性剤を含む溶融外相へ付加し、最終混合物を形成し;当該最終混合物をプロペラミキサー、ホモジナイザー、又はマイクロフルイダイザーにより発生する機械力にかけることにより当該最終混合物から乳濁物を形成し;当該乳濁物を約20℃から約35℃へ冷却し;そしてロータリーダイカプセル充填マシーンを用いて当該乳濁物をカプセルに充填し、制御放出カプセルを形成することを含む。
【0026】
本発明の更なる観点は、本発明のマトリックス充填物を含む制御放出ハードシェルカプセルに関する。詳細な態様では、本発明のマトリックス充填物は2片のハードシェルカプセル中に充填される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の詳細な説明
一般的に、本発明に係る制御放出ソフトカプセルは、シェル及びマトリックス充填物を含んで成る。マトリックス充填物は、懸濁物タイプのマトリックス、又は乳濁物タイプのマトリックスであり得る。
【0028】
懸濁物タイプのマトリックス充填物を有する本発明の態様では、活性成分又は薬物は固体粒子として、脂質又は親油性材料、例えばベジタブルオイル、水素化ベジタブルオイル、脂肪酸、ワックスもしくは脂肪酸エステル、又はそれらの組合せ中でマトリックス充填物に導入される。マトリックス組成物を最適な治療要求に適応させる放出プロファイルを改善するための放出調節剤を更に含んでもよい。放出調節剤は界面活性剤であることができ、それは脂質又は親油性マトリックスへの透水を増強させ、薬物放出を増加させる。放出調節剤の例は、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、又は脂肪酸ポリオキシエチレン誘導体である。約3から約40のHLB値を持つ界面活性剤は、放出調節剤として選択され得る。界面活性剤の親水性/親油性バランス(HLB)特質は、"Physical Pharmacy:Physical Chemical Principles in the Pharmaceutical Sciences,"Fourth Edition,pp.371-373,A.Martin, Ed., Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia(1993)により決定され得る。
【0029】
懸濁物タイプのマトリックス充填物を有する本発明の他の態様では、当該マトリックスは、室温又は体温で、流動体又は構造化された固体状態(固体、半固体、又はゲル)であり得る。薬物はマトリックス中に部分的に溶解することができ、一方、残りの薬物は固体形態にあることができる。2つの物質形態、固体粒子及び溶液中の薬物の存在は、1つの薬物状態が他の形態よりも迅速に放出される場合、2重の放出パターンを提供することにより有用になり得る。
【0030】
懸濁物タイプのマトリックス充填物に加えて、本発明は乳濁物タイプの充填物も含む。かかる充填物は本明細書において"乳濁物タイプ"充填物として発表される。なぜならそれらは、乳濁物を含んで成るからである。これらの態様のためのマトリックス充填物は、活性成分又は薬物が本明細書で発表するような態様の乳濁物の1つ以上の相の中で懸濁物として存在することができる場合でさえ、一般的に乳濁物タイプの充填物として特徴化され得る。
【0031】
本発明の他の態様では、ソフトゲルマトリックス充填物は、乳濁物(乳濁物タイプのマトリックス)の形態に2相を含んで成る。乳濁物はオイル中の水タイプの乳濁物であり得る。内相は、水性又は親水性材料、例えば約200から約8000の範囲にある分子量のポリエチレングリコールを含んで成る。更に内相はセルロース誘導体、ポリアクリレート、もしくはポリビニルポリマーを含む水性又は含水アルコール溶液でもあり得る。かかるポリマーの例はメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、ポリメチルメタクリレート、及びポリビニルピロリドン(PVP)を含む。内相状態は"流動体"又は"構造化された"ものであり得る。本明細書において使用される"流動体"内相とは、完全に流動性を有する液体であることを意味し、それらの小球は凝集し、より大きな小球を作ることができる。本明細書において使用される"構造化された"内相とは、固体、半固体又はゲルを意味し、それらの形は比較的に安定であり、そして一般的により大きな小球を形成するために凝集しない。従って構造化された内相は、より制御された薬物放出を提供し、そしてマトリックスの物質状態を安定化させる。
【0032】
マトリックス充填物乳濁物の外相は、上記と同様に脂質又は親油性材料を含んで成る。活性成分又は薬物は、内相中で溶液として及び/又は懸濁物として分散され得る。乳濁物マトリックスは界面活性剤又は約2から約20の範囲にあるHLB値を有する界面活性剤の組合せを含み得る。更に当該HLB範囲は約5から約15であり得る。
【0033】
他の態様では、薬物が外相及び内相中に分散される場合、マトリックス充填物は乳濁物タイプである。固体粒子の形態にある活性成分又は薬物の1部分を内相に組み入れることができるが、他の部分は固体粒子として外相に分散される。
【0034】
更に本発明は、ソフトカプセル形態において制御放出製品の作製方法を提供する。当該方法は、水溶性が高い薬物の低用量(効能がある)での制御放出製剤の生産のためにも適用できる。更に当該方法は、比較的弱い効能、適度に水溶性の薬物の制御放出製品を調製するためにも適している。
【0035】
懸濁物タイプのマトリックス充填物組成物は、約25 mgから約500 mgの用量で、適度に水溶性である薬物に使用され得る。かかる薬物は非ステロイド性抗炎症剤、及び抗喘息性、例えば、ジクロフェナック、ナプロキセン、イブプロフェン、ケトプロフェン、セレコキシブ、又はテオフィリンを含む。
【0036】
一方、乳濁物タイプのマトリックス充填物は、より高い水溶性分子、例えば抗喘息性、麻薬性鎮痛剤、鎮痛剤アンタゴニスト、並びに心臓脈管薬、例えば、ジルチアゼム、ニフェジピン、オキシコドン、モルヒネ、モルヒネアナログ、及びモルヒネアンタゴニストに使用され得る。
【0037】
懸濁物タイプのマトリックス充填物は、脂質又は親油性マトリックス成分を有す活性成分又は薬物を機械的又は超音波力を用いて混合することにより製造され得る。混合中又は混合前に熱を適用することは、マトリックスの粘性を減少させる利益を有す。減少したマトリックスの粘性は、同様により有効な混合をもたらす。マトリックス材料はマトリックス混成物(composite)の融点、又は融点付近に加熱され得る。当該混成物マトリックスの融点は約25℃から約70℃の範囲内である。更にマトリックス組成物の融点範囲は約30℃から約50℃であってもよい。マトリックスに対する薬物の比率は、投与単位当り、低い総質量を提供するために十分に濃縮され得る。更に流動可能にすることができるので、ロータリーダイカプセル充填マシーンを用いて充填することを可能にする。実行可能な薬物対マトリックス比率の範囲は、重量で約1:9から約1:1である。更に薬物対マトリックス比率の範囲は、重量で約1:8から約1:1であり得る。
【0038】
マトリックス充填物の乳濁物のタイプは活性成分又は薬物を内相中で分散させて、透明溶液又は懸濁物を提供することにより製造することができる。活性成分又は薬物はプロペラ又はホモジナイザーミキサーを用いて分散され得る。その後、内相材料を約0.1重量%から約5重量%の界面活性剤を含む溶融外相へ付加できる。乳濁物はプロペラミキサー、ホモジナイザー、又はマイクロフルイダイザーにより発生する機械力を用いて作成され得る。その後、当該マトリックスは、ロータリーダイカプセル充填マシーンを用いたカプセルへの充填のために、約20℃から約35℃の温度へ冷却される。内相対外相の実行可能な比率は重量で約0.5:10 から約1:1の範囲にある。更に比率範囲は、重量で約1:9から約1:1であり得る。実施可能な薬物対マトリックスの比率は、重量で約1:100から約1:2であり得る。また薬物対マトリックスの範囲は重量で約1:50から約1:3であり得る。
【0039】
別の観点では、本発明のマトリックス充填物はハードシェルカプセルに充填される。ハードシェル、液体充填技術に関するガイダンスは、Walker, S.E.,等.,"The filling of molten and thixotropic formulations into hard gelatin capsules, "J.Pharm. Pharmacol.32:389-393(1980);McTaggert,C.,等.,"The evaluation of an automatic system for filling liquids into hard gelatin capsules, "J.Pharm. Pharmacol. 36:119-121(1984);Hawley,A.R.等.,"Physical and chemical characterization of thermosoftened bases for molten filled hard gelatin capsule formulations,"Drug Devel. Ind. Pharm.18(16):1719 (1992);及びCade, D.,等.,"Liquid filled and sealed hard gelatincapsules,"Acta Pharm.Technol.33(2):97-100(1987)中に見出すことができ、全て参考文献により本明細書に十分に組み入れられた。
【実施例】
【0040】
以下の実施例は説明のみの目的のために意図され、本発明の範囲の任意の方法における制限として解釈されるべきではない。
【0041】
製剤1:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 5.00
大豆油 6.24
ベジタブルショートニング 60.00
ベジタブルフレーク 12.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.35
スパン60* 0.16
メチルセルロース 1.50
PEG 3350 4.50
PEG 400 8.25
*ステアリン酸ソルビタン
【0042】
手順:
ベジタブルショートニング、ベジタブルフレーク、グリセリルモノオレイン酸塩、スパン60及び大豆油を50から70℃(ワックス又は親油性相)で一緒に溶かした。メチルセルロース、PEG 3350及びPEG 400を50から70℃(水性相)でそれぞれ溶かした。塩酸ジルチアゼムを溶解させた水性相で分散させ、そしてゆっくりとワックス相へ均質化しながら付加した。その間、温度を50から70℃に維持した。得られた均質化乳濁物相を冷却し、そしてカプセルに充填した。
【0043】
評価:
充填したカプセルを、パドル法を用いて、蒸留水中、100 RPMでUSPに従って崩壊させた。
【0044】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約18hである。
注:製剤1による手順及び評価は以下の製剤2-24にも使用された。
【0045】
製剤2:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 5.00
大豆油 27.84
ベジタブルショートニング 38.40
ベジタブルフレーク 12.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.35
スパン60 0.16
メチルセルロース 1.50
PEG 3350 4.50
PEG 400 8.25
【0046】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約3hである。
【0047】
製剤3:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 5.00
大豆油 23.84
ベジタブルショートニング 42.40
ベジタブルフレーク 12.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.35
スパン60 0.16
メチルセルロース 1.50
PEG 3350 4.50
PEG 400 8.25
【0048】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約1hである。
【0049】
製剤4:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 4.68
ベジタブルショートニング 44.70
ベジタブルフレーク 9.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 9.00
PEG 400 16.50
【0050】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約4hである。
【0051】
製剤5:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 20.88
ベジタブルショートニング 25.50
ベジタブルフレーク 12.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 9.00
PEG 400 16.50
【0052】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約8hである。
【0053】
製剤6:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 20.88
ベジタブルショートニング 28.50
ベジタブルフレーク 9.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 12.00
PEG 400 13.50
【0054】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約3.5hである。
【0055】
製剤7:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 27.00
ベジタブルショートニング 13.88
ベジタブルフレーク 18.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 9.00
PEG 400 16.50
【0056】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約4hである。
【0057】
製剤8:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 27.00
ベジタブルショートニング 13.88
ベジタブルフレーク 18.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 12.00
PEG 400 13.50
【0058】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約11hである。
【0059】
製剤9:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 23.38
ベジタブルショートニング 24.00
ミツロウ 6.00
ベジタブルフレーク 6.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 9.00
PEG 400 16.50
【0060】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約10hである。
【0061】
製剤10:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 18.65
ベジタブルショートニング 20.00
ミツロウ 5.00
ベジタブルフレーク 5.00
グリセリルモノオレイン酸塩 3.00
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 9.00
PEG 400 16.50
【0062】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約3.5hである。
【0063】
製剤11:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 23.38
ベジタブルショートニング 24.00
ミツロウ 6.00
ベジタブルフレーク 6.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 15.00
PEG 400 10.50
【0064】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約>24hである。
【0065】
製剤12:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 18.65
ベジタブルショートニング 20.00
ミツロウ 5.00
ベジタブルフレーク 5.00
グリセリルモノオレイン酸塩 3.00
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 15.00
PEG 400 10.50
【0066】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約>24hである。
【0067】
製剤13:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 10.39
ベジタブルショートニング 31.99
ミツロウ 8.00
ベジタブルフレーク 8.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 9.00
PEG 400 16.50
【0068】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約6.5hである。
【0069】
製剤14:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 8.66
ベジタブルショートニング 26.67
ミツロウ 6.67
ベジタブルフレーク 6.67
グリセリルモノオレイン酸塩 3.00
スパン60 0.10
レシチン 0.25
メチルセルロース 4.00
PEG 3350 12.00
PEG 400 22.00
【0070】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約3.5hである。
【0071】
製剤15:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 10.34
ベジタブルショートニング 32.00
ミツロウ 8.00
ベジタブルフレーク 8.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.50
スパン60 0.10
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 15.00
PEG 400 10.50
【0072】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約>24hである。
【0073】
製剤16:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 8.66
ベジタブルショートニング 26.67
ミツロウ 6.67
ベジタブルフレーク 6.67
グリセリルモノオレイン酸塩 3.00
スパン60 0.10
レシチン 0.25
メチルセルロース 4.00
PEG 3350 20.00
PEG 400 14.00
【0074】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約6.5hである。
【0075】
製剤17:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 46.34
ベジタブルショートニング 8.00
ミツロウ 2.00
ベジタブルフレーク 2.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 15.00
PEG 400 10.50
【0076】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約1.5hである。
【0077】
製剤18:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 38.66
ベジタブルショートニング 6.67
ミツロウ 1.67
ベジタブルフレーク 1.67
グリセリルモノオレイン酸塩 3.00
スパン60 0.10
レシチン 0.25
メチルセルロース 4.00
PEG 3350 20.00
PEG 400 14.00
【0078】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約1.5hである。
【0079】
製剤19:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 34.34
ベジタブルショートニング 16.00
ミツロウ 4.00
ベジタブルフレーク 4.00
グリセリルモノオレイン酸塩 2.70
スパン60 0.12
レシチン 0.30
メチルセルロース 3.00
PEG 3350 15.00
PEG 400 10.50
【0080】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約20hである。
【0081】
製剤20:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.00
大豆油 28.66
ベジタブルショートニング 13.33
ミツロウ 3.33
ベジタブルフレーク 3.33
グリセリルモノオレイン酸塩 3.00
スパン60 0.10
レシチン 0.25
メチルセルロース 4.00
PEG 3350 20.00
PEG 400 14.00
【0082】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約20hである。
【0083】
製剤21:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 5.00
大豆油 12.46
ベジタブルショートニング 52.50
ベジタブルフレーク 3.50
グリセリルモノオレイン酸塩 2.65
スパン60 0.20
メチルセルロース 2.50
PEG 900 15.75
PEG 400 5.25
【0084】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約0.3hである。
【0085】
製剤22:
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 5.00
大豆油 9.79
ベジタブルショートニング 27.50
ベジタブルフレーク 2.75
グリセリルモノオレイン酸塩 2.75
グリセリルモノステアリン酸塩 2.00
スパン60 1.00
メチルセルロース 4.00
PEG 900 8.40
PEG 400 25.20
【0086】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約0.3hである。
【0087】
製剤23:
成分 量(重量%)
ファモチジン 1.00
大豆油 12.00
ベジタブルショートニング 15.00
ベジタブルフレーク 1.50
グリセリルモノオレイン酸塩 1.50
スパン60 0.06
メチルセルロース 6.90
クレモフォールRH 40 0.69
グリセリルモノステアリン酸塩 3.45
PEG 400 57.96
【0088】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約0.6hである。
【0089】
製剤24:
成分 量(重量%)
ベジタブルショートニング 25.00
メチルセルロース 11.30
クレモフォールRH 40 0.70
グリセリルモノステアリン酸塩 3.50
PEG 400 59.50
【0090】
製剤25(2重放出):
成分 量(重量%)
塩酸ジルチアゼム 10.33
大豆油 36.15
ベジタブルショートニング 10.74
ミツロウ 2.69
ベジタブルフレーク 2.69
グリセリルモノオレイン酸塩 2.87
スパン60 0.11
レシチン 0.27
メチルセルロース 3.60
PEG 3350 17.98
PEG 400 12.59
【0091】
手順:
ベジタブルショートニング、ベジタブルフレーク、ミツロウ、グリセリルモノオレイン酸塩、レシチン、スパン60及び大豆油を、50から70℃で一緒に溶かした(ワックス相)。メチルセルロース、PEG 3350及びPEG 400を、50から70℃でそれぞれ溶かした(水性相)。約77%の塩酸ジルチアゼムを溶解させた水性相中で分散させ、均質化したワックス相へゆっくり付加し、その間、温度を50から70℃に維持した。残った23%の塩酸ジルチアゼムを最終的に得られる均質化乳濁物に付加した。当該乳濁物を冷却し、そしてカプセルに充填した。
【0092】
評価:
充填したカプセルを、パドル法を用いて、蒸留水中、100 RPMでUSPに従って崩壊させた。
【0093】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約4.2hである。
【0094】
製剤26:
成分 量(重量%)
塩酸オキシコドン 5.00
大豆油 36.56
ベジタブルショートニング 11.00
ミツロウ 2.75
ベジタブルフレーク 2.75
グリセリルモノオレイン酸塩 3.35
スパン60 0.55
レシチン 0.28
メチルセルロース 4.00
PEG 3350 20.00
PEG 400 14.00
【0095】
手順&評価:
採用手順は、製剤1で発表した。
【0096】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約3.5hである。
【0097】
製剤27:
成分 量(重量%)
塩酸オキシコドン 5.00
水 6.00
大豆油 36.56
ベジタブルショートニング 11.00
ミツロウ 2.75
ベジタブルフレーク 2.75
グリセリルモノオレイン酸塩 3.10
スパン60 0.55
レシチン 0.28
メチルセルロース 4.00
PEG 3350 20.00
PEG 400 8.00
【0098】
手順:
採用手順は製剤25と同様だが、モデル薬物は残りの製剤を付加する前に水に溶解させた。
【0099】
評価:
充填したカプセルを、パドル法を用いて、蒸留水中、100 RPMでUSPに従って崩壊させた。
【0100】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約>8hである。
【0101】
製剤28:
成分 量(重量%)
テオフィリン 10.00
大豆油 36.36
ベジタブルショートニング 45.45
ベジタブルフレーク 3.64
グリセリルモノオレイン酸塩 4.54
クレモフォールEL 40 0.91
【0102】
手順:
ベジタブルショートニング、ベジタブルフレーク、GMO、及びクレモフォールEL 40を、50から70℃の間で大豆油に溶かした。この溶解物の集合に、テオフィリンを付加して均質化した。混合及びカプセル充填の間に、得られた混合物を冷却した。
【0103】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約1hである。
【0104】
製剤29:
成分 量(重量%)
テオフィリン 10.00
大豆油 36.36
ベジタブルショートニング 45.45
ベジタブルフレーク 4.32
グリセリルモノオレイン酸塩 4.54
クレモフォールRH 40 0.23
【0105】
手順:
採用手順は、製剤28と同様とした。
【0106】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約>24hである。
【0107】
製剤30:
成分 量(重量%)
テオフィリン 10.00
大豆油 36.36
ベジタブルショートニング 45.45
ベジタブルフレーク 3.86
グリセリルモノオレイン酸塩 4.54
クレモフォールRH 40 0.68
【0108】
手順:
採用手順は、製剤28と同様とした。
【0109】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約16hである。
【0110】
製剤31:
成分 量(重量%)
テオフィリン 10.00
大豆油 36.36
ベジタブルショートニング 45.45
ベジタブルフレーク 4.09
グリセリルモノオレイン酸塩 4.54
クレモフォールRH 40 0.45
【0111】
手順:
採用手順は、製剤28と同様とした。
【0112】
結果:
T50(50%崩壊に要求される時間)は約12hである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェル及びマトリックス充填物を含んで成る制御放出ソフトカプセルであって、当該マトリックス充填物が、脂質又は親油性材料中に固体粒子として導入された活性成分又は薬物を含んで成る制御放出ソフトカプセル。
【請求項2】
前記脂質又は親油性材料が、ベジタブルオイル、水素化ベジタブルオイル、脂肪酸、ワックス、脂肪酸エステル、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項1に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項3】
前記マトリックス充填物が、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、及び脂肪酸ポリオキシエチレン誘導体から成る群から選定される放出調節剤(release regulator)を含んで成る、請求項1に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項4】
前記放出調節剤が、約3から約40の親水性/親油性バランス(HLB)値を有する界面活性剤である、請求項3に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項5】
前記活性成分又は薬物が非-ステロイド性抗炎症性薬物又は抗喘息性である、請求項1に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項6】
前記活性成分又は薬物がジクロフェナック、ナプロキセン、イブプロフェン、ケトプロフェン、セレコキシブ、又はテオフィリンから成る群から選定される、請求項1に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項7】
前記、活性成分又は薬物対マトリックス充填物の比率が、重量で約1:9から約1:1である、請求項1に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項8】
前記、活性成分又は薬物対マトリックス充填物の比率が、重量で約1:8から約1:1である、請求項1に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項9】
シェル及び活性成分又は薬物を含むマトリックス充填物を有する制御放出ソフトカプセルであって、当該マトリックスの物質状態が半流動体、又は構造化された固体状態である制御放出ソフトカプセル。
【請求項10】
前記マトリックスが室温又は当該カプセル投与を意図された対象の体温で流動体又は半流動体である、請求項9に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項11】
前記活性成分又は薬物がマトリックス中で部分的に溶解性であり、そして活性成分又は薬物の少なくとも一部が、マトリックス中で固体である、請求項9に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項12】
シェル及び活性成分又は薬物を含むマトリックス充填物を有する制御放出ソフトカプセルであって、当該マトリックス充填物が乳濁物の形態にある2相を含んで成る制御放出ソフトカプセル。
【請求項13】
前記乳濁物が、オイル中の水タイプの乳濁物である、請求項12に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項14】
前記乳濁物が界面活性剤又は約2から約20の範囲にあるHLB値を有する界面活性剤の組合せを含んで成る、請求項12に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項15】
前記乳濁物が界面活性剤又は約5から約15の範囲にあるHLB値を有する界面活性剤の組合せを含んで成る、請求項12に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項16】
前記活性成分又は薬物が抗喘息性、麻薬性(narcotic)鎮痛剤、麻薬性アンタゴニスト、及び心臓脈管薬から成る群から選定される、請求項12に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項17】
前記活性成分又は薬物がジルチアゼム、ニフェジピン、オキシコドン、モルヒネ、モルヒネアナログ、及びモルヒネアンタゴニストから成る群から選定される、請求項12に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項18】
前記、活性成分又は薬物対マトリックス充填物の比率が、重量で約1:100から約1:2である、請求項12に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項19】
前記、活性成分又は薬物対マトリックス充填物の比率が、重量で約1:50から約1:3である、請求項12に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項20】
前記乳濁物が水性又は親水性内相及び脂質又は親油性外相を含んで成る、請求項12に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項21】
前記内相が約200から約8000の分子量範囲のポリエチレングリコールを含んで成る、請求項20に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項22】
前記内相がセルロース誘導体、ポリアクリレート、ポリビニルポリマー、又はそれらの組合せを含む水性又は含水アルコール溶液である、請求項20に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項23】
前記内相が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリメチルメタクリレート、及びポリビニルピロリドン(PVP)から成る群から選択される少なくとも1つのポリマーを含んで成る、請求項20に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項24】
前記内相が構造化される、請求項20に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項25】
前記外相がベジタブルオイル、水素化ベジタブルオイル、脂肪酸、ワックス、脂肪酸エステル、又はそれらの組合せを含んで成る、請求項20に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項26】
前記活性成分又は薬物が溶液として又は懸濁物の形態として内相中で分散する、請求項20に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項27】
前記、内相対外相の比率が、重量で約0.5:10から約1: 1である、請求項20に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項28】
前記、内相対外相の比率が、重量で約1:9から約1:1である、請求項20に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項29】
シェル及びマトリックス充填物を有する制御放出ソフトカプセルであって、当該マトリックス充填物が外相及び内相の両方に分散した活性成分又は薬物をと共に乳濁物の形態にある2相を含んで成る制御放出ソフトカプセル。
【請求項30】
前記活性成分又は薬物が固体粒子の形態にある、請求項29に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項31】
前記活性成分又は薬物が内相及び外相の両方に導入された固体粒子として存在する、請求項29に記載の制御放出ソフトカプセル。
【請求項32】
シェル及びマトリックス充填物を含んで成る制御放出ハードシェルカプセルであって、当該マトリックス充填物が脂質又は親油性材料中に固体粒子として導入された活性成分又は薬物を含んで成る、制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項33】
前記脂質又は親油性材料が、ベジタブルオイル、水素化ベジタブルオイル、脂肪酸、ワックス、脂肪酸エステル、及びそれらの組合せから成る群から選定される、請求項32に記載の制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項34】
前記マトリックス充填物が、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、及び脂肪酸ポリオキシエチレン誘導体から成る群から選定される放出調節剤を含んで成る、請求項32に記載の制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項35】
前記放出調節剤が、約3から約40の親水性/親油性バランス(HLB)値を有する界面活性剤である、請求項34に記載の制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項36】
前記活性成分又は薬物が非-ステロイド性抗炎症性薬物又は抗喘息性である、請求項32に記載の制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項37】
前記活性成分又は薬物がジクロフェナック、ナプロキセン、イブプロフェン、ケトプロフェン、セレコキシブ、又はテオフィリンから成る群から選定される、請求項32に記載の制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項38】
前記、活性成分又は薬物対マトリックス充填物の比率が、重量で約1:9から約1:1である、請求項32に記載の制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項39】
前記、活性成分又は薬物対マトリックス充填物の比率が、重量で約1:8から約1:1である、請求項32に記載の制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項40】
シェル及び活性成分又は薬物を含むマトリックス充填物を有する制御放出ハードシェルカプセルであって、当該マトリックスの物質状態が半流動体、又は構造化された固体状態である制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項41】
前記マトリックスが室温又は当該カプセル投与を意図された対象の体温で流動体又は半流動体である、請求項40に記載の制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項42】
前記活性成分又は薬物がマトリックス中で部分的に溶解性であり、そして活性成分又は薬物の少なくとも一部が、マトリックス中で固体である、請求項40に記載の制御放出ハードシェルカプセル。
【請求項43】
制御放出ソフトカプセルのためのマトリックス充填物の製造方法であって、
a)混合している間、又は混合する前に当該マトリックス充填組成物の融点付近でマトリックス成分に熱を適用すること;そして
b)前記脂質又は親油性マトリックス成分を有す活性成分又は薬物を機械的又は超音波力を用いて混合して、当該マトリックス充填物を形成すること
を含んで成る方法。
【請求項44】
前記マトリックス充填物が流動可能であり、かくしてロータリーダイカプセル充填マシーンを用いてカプセルに充填することを可能にする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記マトリックス成分が約25℃から約70℃の範囲内の温度で加熱される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記マトリックス成分が約30℃から約50℃の範囲内の温度で加熱される、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
制御放出ソフトカプセルの製造方法であって、当該マトリックス充填物が乳濁物の形態にある2相を含み、
a)内相において当該活性成分又は薬物を分散させ、プロペラ又はホモジナイザーミキサーを用いて透明溶液又は懸濁物を形成し;
b)当該内相を、約0.1重量%から約5重量%の量の少なくとも1つの界面活性剤を含む溶融外相へ付加し、最終混合物を形成し;
c)当該最終混合物をプロペラミキサー、ホモジナイザー、又はマイクロフルイダイザーにより発生する機械力にかけることにより当該最終混合物から乳濁物を形成し;
d)当該乳濁物を約20℃から約35℃へ冷却し;そして
e)ロータリーダイカプセル充填マシーンを用いて当該乳濁物をカプセルに充填し、制御放出カプセルを形成すること
を含んで成る方法。

【公表番号】特表2007−523872(P2007−523872A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520275(P2006−520275)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/022456
【国際公開番号】WO2005/009409
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(506016831)バナー ファーマキャップス,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】