説明

制御盤及びその製造方法

【課題】制御盤を構成する各部材の形状が簡潔かつ他部材と共通して使用することが可能であって、ストックとして保管する際に必要とする保管スペースが小さく、保管場所の利用効率が良好であるとともに、部材製造工程及び制御盤の組立工程における作業効率が良好である制御盤及びその製造方法を得る。
【解決手段】制御盤において、制御用品を取り付ける取付パネルと、制御盤の底面を形成する床パネルと、制御盤の上面を形成し、床パネルと同一形状の天井パネルと、床パネルの四隅部と天井パネルの四隅部との間にそれぞれ立設され、上下対称の形状を呈し、パネル取付部を有し、互いに同一形状の柱パネルと、床パネルと柱パネルとの係合部及び天井パネルと柱パネルとの係合部にそれぞれ宛がわれ、互いに同一形状のガセットと、を備え、取付パネルは、柱パネルのパネル取付部を利用して取り付けられる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御盤及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における制御盤においては、長方形の枠体からなり、側部にリベット締結穴が形成されたパネル枠と、前記パネル枠に取り付けられ、制御用品が取り付けられた取付パネルと、前記取付パネルに取り付けられた配線ダクトと、前記パネル枠の下部側面に配設した下部端子台と、正面視略コ字型を呈し、前記パネル枠の上部の両側に配置された上部サポートと、正面視略コ字型を呈し、前記パネル枠の下部の両側に配置された下部サポートと、長方形の枠体からなり、前記上部サポート及び前記下部サポートの両外側にそれぞれ設けられた扉取付枠と、把手を有し、それぞれの前記扉取付枠に開閉自在に取り付けられた扉と、を備え、前記制御用品の各端子と前記下部端子台の各端子を接続する電線を配線ダクト内を通して行うものが知られている(例えば、特許文献1の図3及び図4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−252717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示された従来における制御盤においては、パネル枠及び扉取付枠は、当該制御盤を正面視したときの幅寸法及び高さ寸法と同じ寸法をもつ長方形の枠体であるとともに、上部サポート及び下部サポートは正面視略コ字型かつ相応の奥行寸法をもつ部材であって、いずれも寸法が大きく非常にかさばる形状であり、ストックとして保管する際に必要とする保管スペースが大きく、保管場所の利用効率が低下するという課題がある。
また、制御盤を構成する各部材の用途及び形状が、それぞれについて特定化されており共通して使用することができないため、部材製造工程及び制御盤の組立工程において作業効率が低下するという課題もある。
さらに、制御盤に収納する制御用品の数量が、取付パネルに取付・収納することができる制御用品の数量の上限を1個でも超過した場合、この超過した1個の制御用品を収納するために別途もう1つの制御盤が必要となるため、制御盤に対する制御用品の収納効率が低下するという課題や、この別途必要となった制御盤を追加製造するために製造費用がかかるとともに追加作業が必要となるという課題がある。
【0005】
この発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、制御盤を構成する各部材の形状が簡潔かつ他部材と共通して使用することが可能であって、ストックとして保管する際に必要とする保管スペースが小さく、保管場所の利用効率が良好であるとともに、部材製造工程及び制御盤の組立工程における作業効率が良好である制御盤及びその製造方法を得るものである。
また、第2の目的は、制御盤に対する制御用品の収納効率が良好である制御盤及びその製造方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る制御盤においては、制御盤に収納する制御用品を取り付ける取付パネルと、前記制御盤の底面を形成する床パネルと、前記制御盤の上面を形成し、前記床パネルと同一形状の天井パネルと、前記床パネルの四隅部と前記天井パネルの四隅部との間にそれぞれ立設され、上下対称の形状を呈し、パネル取付部を有する柱パネルと、前記床パネルと前記柱パネルとの係合部及び前記天井パネルと前記柱パネルとの係合部にそれぞれ宛がわれるガセットと、を備え、前記柱パネルは、互いに同一形状であり、前記ガセットは、互いに同一形状であり、前記取付パネルは、前記柱パネルの前記パネル取付部を利用して取り付けられる構成とする。
【0007】
この発明に係る制御盤の製造方法においては、以上のような構成の制御盤を製造する方法であって、前記取付パネルを製造する第1工程と、水平な場所にて前記取付パネルに対して前記制御用品の取付及び結線作業を行う第2工程と、前記第2工程の開始後、前記第2工程の完了に合わせて、前記床パネル、前記柱パネル、前記天井パネル及び前記ガセットを製造する第3工程と、前記取付パネル、前記床パネル、前記柱パネル、前記天井パネル及び前記ガセットをリベットにより一体に形成し、前記制御盤の組立を行う第4工程と、前記第4工程の完了後、前記制御盤を垂直に起こして設置場所に設置する第5工程と、を備えたものとする。
【発明の効果】
【0008】
この発明は制御盤において、制御盤に収納する制御用品を取り付ける取付パネルと、前記制御盤の底面を形成する床パネルと、前記制御盤の上面を形成し、前記床パネルと同一形状の天井パネルと、前記床パネルの四隅部と前記天井パネルの四隅部との間にそれぞれ立設され、上下対称の形状を呈し、パネル取付部を有する柱パネルと、前記床パネルと前記柱パネルとの係合部及び前記天井パネルと前記柱パネルとの係合部にそれぞれ宛がわれるガセットと、を備え、前記柱パネルは、互いに同一形状であり、前記ガセットは、互いに同一形状であり、前記取付パネルは、前記柱パネルの前記パネル取付部を利用して取り付けられる構成としたことで、制御盤を構成する各部材の形状が簡潔かつ他部材と共通して使用することが可能であって、ストックとして保管する際に必要とする保管スペースが小さく、保管場所の利用効率が良好であるとともに、部材製造工程及び制御盤の組立工程における作業効率が良好であるという効果を奏する。
【0009】
また、この発明は制御盤の製造方法において、以上のような構成の制御盤を製造する方法であって、前記取付パネルを製造する第1工程と、水平な場所にて前記取付パネルに対して前記制御用品の取付及び結線作業を行う第2工程と、前記第2工程の開始後、前記第2工程の完了に合わせて、前記床パネル、前記柱パネル、前記天井パネル及び前記ガセットを製造する第3工程と、前記取付パネル、前記床パネル、前記柱パネル、前記天井パネル及び前記ガセットをリベットにより一体に形成し、前記制御盤の組立を行う第4工程と、前記第4工程の完了後、前記制御盤を垂直に起こして設置場所に設置する第5工程と、を備えたものとしたことで、制御盤を構成する各部材のストックとして保管しなければならない数量を少なくすることができるとともに、取付パネルに対する制御用品の取付及び結線作業のみならず、制御盤の組立作業も水平な場所で行うことができ、作業性が一段と向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明の実施の形態1に関するもので、図1は制御盤の斜視図、図2は制御盤の分解斜視図である。なお、これらの図では、制御盤前面に開閉自在に設けられた扉並びに制御盤の側面及び背面にそれぞれ設けられたカバーの図示を省略している。
図において2は、制御盤1に収納する制御用品3を取り付ける取付パネルであり、この制御盤1は片面保守である、すなわち前記取付パネル2のいずれか片面のみに前記制御用品3が取り付けられている。また、前記取付パネル2には、この前記取付パネル2に取り付けられたそれぞれの前記制御用品3同士を接続する配線を収容するためのダクト(図示せず)が取り付けられている。
前記取付パネル2は正面視略長方形の平板材であり、その左右両側面部には他部材とリベットにより結合するためのリベット結合孔4が穿設されている。
【0012】
前記制御盤1の底部には、平面視略長方形の薄板材からなる床パネル5が配置されており、この床パネル5の四辺のそれぞれは上方へと折曲され、これら折曲部の四隅近傍には他部材とリベットにより結合するためのリベット結合孔4が穿設されている。
前記床パネル5の四隅部には柱パネル6がそれぞれ立設されて配置されている。
これら4つの柱パネル6は、断面略コ字型の柱状材で、その長辺のうちの一方が折曲されてパネル取付部6aが形成されている。そして、これらの前記柱パネル6の上端部近傍及び下端部近傍にはリベット結合孔4が穿設されており、また、前記パネル取付部6aにもその長手方向に沿って等間隔にリベット結合孔4が穿設されている。
【0013】
これらの前記柱パネル6は、上下対称であって互いに全て同一形状である。そして、前記制御盤1の前面側に配置された2つの前記柱パネル6については、その前記パネル取付部6aが前記制御盤1の背面側に位置する向きで前記床パネル5に対して立設され、前記制御盤1の背面側に配置された2つの前記柱パネル6については、その前記パネル取付部6aが前記制御盤1の前面側に位置する向きで前記床パネル5に対して立設されている。
なお、これらの前記柱パネル6には、複数の前記制御盤1を並列して配置する際に、互いに連結するための列盤孔6bが穿設されている。
【0014】
前記制御盤1の上面には、天井パネル7が配設されている。この天井パネル7は、前記床パネル5と同一形状である、すなわち、平面視略長方形の薄板材からなり、その四辺のそれぞれは上方へと折曲され、これら折曲部の四隅近傍にはリベット結合孔4が穿設されている。そして、前記天井パネル7の四隅部は、前記床パネル5の四隅部のそれぞれに立設された前記柱パネル6の上端部が、それぞれ係合している。
前記床パネル5四隅と前記柱パネル6下端との係合部及び前記天井パネル7四隅と前記柱パネル6上端との係合部のそれぞれには計8つの互いに同一形状を呈するガセット8が宛がわれて係合部の補強がされた上で、前記リベット結合孔4を用いて図示しないリベットによりそれぞれ接合されている。また、前記取付パネル2左右両側面部は、前記制御用品3の取付面が前記制御盤1の前面側になるようにして前記制御盤1の背面側に配置された2つの前記柱パネル6の前記パネル取付部6aとそれぞれ係合し、前記リベット結合孔4を用いて図示しないリベットによりそれぞれ接合されている。
【0015】
このような構成を持つ前記制御盤1は次のようにして製造される。
まず、第1工程として、前記制御盤1に収納する前記制御用品3及びこれらの前記制御用品3間の結線収容に用いられる前記ダクトの取付に必要な孔加工が施された前記取付パネル2を製造する。
次に、第2工程として、水平な場所にて前記取付パネル2の片面に対して前記制御用品3の取付・実装を行い、必要な結線作業を実施する。
そして、第3工程として、第2工程の完了後、前記床パネル5、前記柱パネル6、前記天井パネル7及び前記ガセット8を製造する。すなわち、これらの部材は、前記取付パネル2の製造と同時期に製造されるのではなく、前記取付パネル2に対する前記制御用品3の取付及び結線作業の完了に合わせて製造される。
【0016】
続く第4工程は、前記制御盤1の組立工程であり、前記制御用品3の取付及び結線作業の完了した前記取付パネル2の左右両側面部を所定の向きで2つの前記柱パネル6の前記パネル取付部6aへと係合させ、前記リベット結合孔4を用いて前記リベットにより接合する。そして、前記取付パネル2と接合された2つの前記柱パネル6が前記制御盤1の背面側に、残り2つの前記柱パネル6が前面側になるように配置した上で、前記床パネル5四隅と前記柱パネル6下端とを係合させ、また、前記天井パネル7四隅と前記柱パネル6上端とを係合させて、これらのそれぞれにガセット8を宛がい、前記リベット結合孔4を用いて前記リベットによりそれぞれ接合することにより、前記制御盤1を一体に形成する。
その後、第5工程において、前記制御盤1を垂直に起こして設置場所に設置する。
なお、必要に応じて、前記制御盤1の前面に開閉自在な前記扉が、また、前記制御盤1の両側面及び背面に前記カバーが適宜設けられる。
【0017】
以上のように構成された制御盤においては、床パネルと天井パネルとを同一形状とし、4本の柱パネルについても上下対称かつ互いに同一な形状とし、さらにリベット接合部の補強に用いられるガセットについても互い同一形状とした上で、片面保守の取付パネルの左右両側面部を制御盤の背面側に位置する2つの柱パネルのパネル取付部に係合させて取り付ける構成としたことで、制御盤を構成する各部材の形状が簡潔かつ他部材と共通して使用することが可能であって、ストックとして保管する際に必要とする保管スペースが小さく、保管場所の利用効率が良好であるとともに、部材製造工程及び制御盤の組立工程における作業効率が良好である。
【0018】
また、以上のように構成された制御盤の製造方法においては、水平な場所にて取付パネルに対して制御用品の取付及び結線作業を行う第2工程の開始後、この第2工程の完了に合わせて、床パネル、柱パネル、天井パネル及びガセットを製造する第3工程を行うことにより、制御盤を構成する各部材のストックとして保管しなければならない数量を少なくすることが可能である。
さらに、取付パネル、床パネル、柱パネル、天井パネル及びガセットをリベットにより一体に形成し、制御盤の組立を行う第4工程の完了後、制御盤を垂直に起こして設置場所に設置する第5工程を行うことにより、取付パネルに対する制御用品の取付及び結線作業のみならず、制御盤の組立作業も水平な場所で行うことができ、作業性を一段と向上させることができる。
【0019】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に関するもので、図1中の断面X−Xによる断面図に相当する図である。
前述した実施の形態1は、片面保守、換言すれば取付パネルのいずれか片面のみに制御用品が取り付けられているものであったが、ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、両面保守、換言すれば取付パネルの両面に制御用品を取り付けるようにしたものである。
【0020】
すなわち、前記取付パネル2の前面及び背面の両面には、前記制御盤1に収納する前記制御用品3及びそれぞれの前記制御用品3同士を接続する配線を収容するための前記ダクトが取り付けられている。
そして、前記取付パネル2左右両側面部の上端寄り及び下端寄りそれぞれの前記リベット結合孔4には、計4つの側面サポートパネル9が前記リベットによりそれぞれ接合されている。
これらの側面サポートパネル9は、互いに同一形状であって長方形を呈する薄板材からなり、その長手は略水平かつ前記制御盤1の奥行方向に配置されている。また、これらの側面サポートパネル9の長手方向に沿って等間隔にリベット結合孔4が穿設されており、前記取付パネル2の左右両側面部の上端寄り及び下端寄りそれぞれの前記リベット結合孔4と、これらの前記側面サポートパネル9の中央部の前記リベット結合孔4とが係合している。
【0021】
これらの前記側面サポートパネル9の両端部寄り、すなわち、前記制御盤1の前面寄り及び背面寄りの前記リベット結合孔4は、前記柱パネル6の前記パネル取付部6aの上端寄り及び下端寄りそれぞれの前記リベット結合孔4と係合し、前記リベットによりそれぞれ接合されることにより、これらの前記側面サポートパネル9を仲介として前記取付パネル2が前記柱パネル6により支持される。従って、前記側面サポートパネル9は、前記制御盤1の両側面側の両方に配置されることとなる。
また、前記制御盤1の前面及び背面には、扉10が開閉自在に設けられている。
なお、他の構成は実施の形態1と同様である。
【0022】
このような構成を持つ前記制御盤1は前述した実施の形態1に準じた、ほぼ同様の工程により製造される。
すなわち、まず、第1工程として、前記制御盤1に収納する前記制御用品3及びこれらの前記制御用品3間の結線収容に用いられる前記ダクトの取付に必要な孔加工が施された前記取付パネル2を製造する。
次に、第2工程として、水平な場所にて前記取付パネル2の両面に対して前記制御用品3の取付・実装を行い、必要な結線作業を実施する。
そして、第3工程として、第2工程の完了後、前記床パネル5、前記柱パネル6、前記天井パネル7、前記ガセット8及び前記側面サポートパネル9を製造する。すなわち、これらの部材は、前記取付パネル2の製造と同時期に製造されるのではなく、前記取付パネル2に対する前記制御用品3の取付及び結線作業の完了に合わせて製造される。
【0023】
続く第4工程は、前記制御盤1の組立工程であり、前記制御用品3の取付及び結線作業の完了した前記取付パネル2の左右両側面部の上端寄り及び下端寄りそれぞれの前記リベット結合孔4と、前記側面サポートパネル9の中央部の前記リベット結合孔4とを係合させ、前記リベット結合孔4を用いて前記リベットにより接合する。次に、これらの前記側面サポートパネル9の両端部寄りの前記リベット結合孔4を、前記柱パネル6の前記パネル取付部6aの上下端寄りそれぞれの前記リベット結合孔4と係合させ、前記リベットによりそれぞれ接合する。
そして、前記取付パネル2と前記側面サポートパネル9を介して接合された4つの前記柱パネル6の下端を、前記床パネル5四隅と係合させ、また、これらの前記柱パネル6の上端と前記天井パネル7四隅とを係合させて、これらのそれぞれにガセット8を宛がい、前記リベット結合孔4を用いて前記リベットによりそれぞれ接合することにより、前記制御盤1を一体に形成する。
その後、第5工程において、前記制御盤1を垂直に起こして設置場所に設置する。
なお、必要に応じて、前記制御盤1の前面及びに開閉自在な前記扉10が、また、前記制御盤1の両側面に前記カバーが適宜設けられる。
【0024】
以上のように構成された制御盤及びその製造方法においては、柱パネルのパネル取付部間に制御盤の奥行方向と平行に取り付けられ、互いに同一形状を呈する複数の側面サポートパネルを備えるとともに、その両面に制御用品が取り付けられた取付パネルを、柱パネルのパネル取付部に側面サポートパネルを仲介として取り付けることにより、両面保守の制御盤の場合においても実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0025】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3に関するもので、図1中の断面Y−Yによる断面図に相当する図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1又は実施の形態2の構成において、制御盤の側面にも制御用品を取り付けることができるようにしたものである。
すなわち、側面取付パネル11の片面又は両面には、前記制御盤1に収納する前記制御用品3及びそれぞれの前記制御用品3同士を接続する配線を収容するための前記ダクトが取り付けられている。この側面取付パネル11の上端部及び下端部には、他部材とリベットにより結合するためのリベット結合孔4が穿設されており、これらの前記リベット結合孔4には側面サポートパネル9が前記リベットによりそれぞれ接合されている。
これらの側面サポートパネル9は、前述した実施の形態2において説明した前記側面サポートパネル9と同一形状であって、すなわち、長方形を呈する薄板材からなり、その長手方向に沿って等間隔にリベット結合孔4が穿設されている。そして、前記側面取付パネル11の上端部及び下端部それぞれの前記リベット結合孔4と、これらの前記側面サポートパネル9の両端部以外の前記リベット結合孔4とが係合している。
【0026】
これらの前記側面サポートパネル9の両端部寄りの前記リベット結合孔4は、前記柱パネル6の前記パネル取付部6aの上端寄り及び下端寄りそれぞれの前記リベット結合孔4と係合し、前記リベットによりそれぞれ接合されることにより、これらの前記側面サポートパネル9を仲介として前記側面取付パネル11が前記柱パネル6により支持される。従って、前記側面サポートパネル9は、前記制御盤1の両側面側のうち前記側面取付パネル11を取り付けるいずれか一方のみに配置すれば十分である。もちろん前記制御盤1の両側面側の両方に前記側面取付パネル11を取り付ける場合には、前記側面サポートパネル9は、前記制御盤1の両側面側の両方に配置されることとなる。
また、前記制御盤1の前面、背面及び両側面には、必要に応じて適宜、開閉自在な前記扉又は前記カバーが設けられている。
なお、他の構成は実施の形態1又は実施の形態2と同様である。
【0027】
このような構成を持つ前記制御盤1は前述した実施の形態1又は実施の形態2に準じた、ほぼ同様の工程により製造される。
すなわち、まず、第1工程として、前記制御盤1に収納する前記制御用品3及びこれらの前記制御用品3間の結線収容に用いられる前記ダクトの取付に必要な孔加工が施された前記取付パネル2及び前記側面取付パネル11を製造する。
次に、第2工程として、水平な場所にて前記取付パネル2及び前記側面取付パネル11に対して前記制御用品3の取付・実装を行い、必要な結線作業を実施する。
そして、第3工程として、第2工程の完了後、前記床パネル5、前記柱パネル6、前記天井パネル7、前記ガセット8及び前記側面サポートパネル9を製造する。すなわち、これらの部材は、前記取付パネル2の製造と同時期に製造されるのではなく、前記取付パネル2及び前記側面取付パネル11に対する前記制御用品3の取付及び結線作業の完了に合わせて製造される。
【0028】
続く第4工程は、前記制御盤1の組立工程であり、前述した実施の形態1又は実施の形態2の工程に従って前記制御用品3の取付及び結線作業の完了した前記取付パネル2を前記柱パネル6により支持されるように取り付ける作業を行うとともに、前記制御用品3の取付及び結線作業の完了した前記側面取付パネル11の上端寄り及び下端寄りそれぞれの前記リベット結合孔4と、前記側面サポートパネル9の前記リベット結合孔4とを係合させ、前記リベット結合孔4を用いて前記リベットにより接合する。
次に、これらの前記側面サポートパネル9の両端部寄りの前記リベット結合孔4を、前記柱パネル6の前記パネル取付部6aの上下端寄りそれぞれの前記リベット結合孔4と係合させ、前記リベットによりそれぞれ接合する。
そして、前記床パネル5四隅と前記柱パネル6下端とを係合させ、また、前記天井パネル7四隅と前記柱パネル6上端とを係合させて、これらのそれぞれにガセット8を宛がい、前記リベット結合孔4を用いて前記リベットによりそれぞれ接合することにより、前記制御盤1を一体に形成する。
その後、第5工程において、前記制御盤1を垂直に起こして設置場所に設置する。
なお、両面保守の前記取付パネル2を支持するのに用いられる前記側面サポートパネル9と前記側面サポートパネル9を支持するのに用いられる前記側面サポートパネル9とは、当然兼用することが可能である。また、必要に応じて、前記制御盤1の前面、背面及び両側面には開閉自在な前記扉又は前記カバーが適宜設けられる。
【0029】
以上のように構成された制御盤及びその製造方法においては、実施の形態1又は実施の形態2と同様の効果を奏することができるのに加えて、制御盤に収納する制御用品を取り付ける取付パネルとは別体の側面取付パネルと、柱パネルのパネル取付部間に制御盤の奥行方向と平行に取り付けられ、互いに同一形状を呈する複数の側面サポートパネルと、をさらに備えるとともに、側面取付パネルを、制御盤の側面に配置して柱パネルのパネル取付部に側面サポートパネルを仲介として取り付けることにより、制御盤に対する制御用品の収納効率が良好であり、制御盤に収納する制御用品の数量が、取付パネルに取付・収納することができる制御用品の数量の上限を超過した場合であっても、この超過した制御用品を側面取付パネルに収納することが可能であって、収納するために別途もう1つの制御盤が必要とならない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施の形態1における制御盤の斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1における制御盤の分解斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態2における図1中の断面X−Xによる断面図に相当する図である。
【図4】この発明の実施の形態3における図1中の断面Y−Yによる断面図に相当する図である。
【符号の説明】
【0031】
1 制御盤
2 取付パネル
3 制御用品
4 リベット結合孔
5 床パネル
6 柱パネル
6a パネル取付部
6b 列盤孔
7 天井パネル
8 ガセット
9 側面サポートパネル
10 扉
11 側面取付パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御盤に収納する制御用品を取り付ける取付パネルと、
前記制御盤の底面を形成する床パネルと、
前記制御盤の上面を形成し、前記床パネルと同一形状の天井パネルと、
前記床パネルの四隅部と前記天井パネルの四隅部との間にそれぞれ立設され、上下対称の形状を呈し、パネル取付部を有する柱パネルと、
前記床パネルと前記柱パネルとの係合部及び前記天井パネルと前記柱パネルとの係合部にそれぞれ宛がわれるガセットと、を備え、
前記柱パネルは、互いに同一形状であり、
前記ガセットは、互いに同一形状であり、
前記取付パネルは、前記柱パネルの前記パネル取付部を利用して取り付けられることを特徴とする制御盤。
【請求項2】
前記制御用品は、前記取付パネルの片面のみに取り付けられ、
前記取付パネルは、その左右両側面部が前記制御盤の背面側に位置する2つの前記柱パネルの前記パネル取付部に係合されて取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の制御盤。
【請求項3】
前記柱パネルの前記パネル取付部間に前記制御盤の奥行方向と平行に取り付けられ、互いに同一形状を呈する複数の側面サポートパネルを備え、
前記制御用品は、前記取付パネルの両面に取り付けられ、
前記取付パネルは、前記柱パネルの前記パネル取付部に前記側面サポートパネルを仲介として取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の制御盤。
【請求項4】
前記制御盤に収納する前記制御用品を取り付ける側面取付パネルと、
前記柱パネルの前記パネル取付部間に前記制御盤の奥行方向と平行に取り付けられ、互いに同一形状を呈する複数の側面サポートパネルと、を備え、
前記側面取付パネルは、前記制御盤の側面に配置されて前記柱パネルの前記パネル取付部に前記側面サポートパネルを仲介として取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の制御盤。
【請求項5】
請求項1に記載の制御盤を製造する方法であって、
前記取付パネルを製造する第1工程と、
水平な場所にて前記取付パネルに対して前記制御用品の取付及び結線作業を行う第2工程と、
前記第2工程の開始後、前記第2工程の完了に合わせて、前記床パネル、前記柱パネル、前記天井パネル及び前記ガセットを製造する第3工程と、
前記取付パネル、前記床パネル、前記柱パネル、前記天井パネル及び前記ガセットをリベットにより一体に形成し、前記制御盤の組立を行う第4工程と、
前記第4工程の完了後、前記制御盤を垂直に起こして設置場所に設置する第5工程と、を備えたことを特徴とする制御盤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−93877(P2010−93877A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258897(P2008−258897)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】