制御端末装置、制御方法、プログラム
【課題】複数の音声出力装置に対して、個々の音量制御や、一括した音量制御の操作を使用性よく実行できるようにする。
【解決手段】制御端末装置の表示部に、複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定状態を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定状態をそれらの音量バランスを維持した状態で同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させる。マスター音量設定部について操作された場合は、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更する。そして変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて、各音声出力装置に送信する。
【解決手段】制御端末装置の表示部に、複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定状態を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定状態をそれらの音量バランスを維持した状態で同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させる。マスター音量設定部について操作された場合は、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更する。そして変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて、各音声出力装置に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の音声出力装置の音量設定状態を制御することのできる制御端末装置と制御方法、及びプログラムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2005−80265号公報
【特許文献2】特開2006−339709号公報
【背景技術】
【0003】
例えば複数チャンネルの音声信号が入力されるミキサー機器などでは、上記特許文献1,2のように、マスターフェーダーによって各チャンネルの音量バランスを保ったまま、ミックス後の音量レベルを制御するものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ミキサーのような各チャンネルの音声信号のミックス後のレベルを制御するものではなく、個別の音声出力装置の音量をそれぞれ適切に制御するものは開発されていない。
例えばホームネットワークシステムでは、各部屋に配置されたそれぞれの音声出力装置が、1つのソース機器から配信される音楽コンテンツ等を受信し、それぞれが再生出力する。これにより各部屋で同じ音楽が流れている状況を作り出すことができる。
【0005】
このようなシステムでは、以下のような状況が想定される。
・複数の各音声出力装置の音量を個別に制御したい。
・複数の音声出力装置の音量を、各音声出力装置間の音量バランスを崩さずに一括して制御したい。
・複数の音声出力装置の音量を、各音声出力装置間の音量バランスを崩してでも一括で制御したい。
【0006】
本開示では、例えばこれらのような状況に対応して、容易に複数の音声出力装置の音量制御を行うことができる制御端末装置、制御方法を提供することを目的とする。
特に、例えばホームネットワークシステムなど、一般にPA(パブリックアドレス)用途などで用いられる音響調整卓(ミキサー)が存在しない環境において、複数の音声出力装置の音量制御を適切に行うことができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の制御端末装置は、複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、表示部と、上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させるとともに、上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる制御部とを備える。
【0008】
本開示の制御方法は、複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、表示部と、上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部とを備えた制御端末装置による制御方法である。そして上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させ、上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力する。
本開示のプログラムは、以上の制御方法の処理を演算処理装置に実行させるプログラムである。
【0009】
これらの本開示の技術では、制御端末装置の表示部において、例えばネットワーク上に配置された複数の音声出力装置に個別に対応する複数の個別音量設定部と、1つのマスター音量設定部を表示する。
ユーザは、個別音量設定部に対する操作で、各音声出力装置の音量を増減させる操作を行うことができる。さらにマスター音量設定部に対する操作で、各音声出力装置の音量バランスを維持又は非維持の状態で、複数の音声出力装置の音量を増減させる操作を行うことができる。
特にマスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更(音量の増減)を行う。音量バランスを崩しても一括操作したい場合、このような制御により、各音声出力装置に対する音量制御をスムースに実行できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、制御端末装置を用いて、ネットワーク上の複数の音声出力装置に対する個別の音量操作や一括した音量操作を容易に実行できる。特に一括した音量操作についてはマスター音量設定部の操作により、音量調整が円滑に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の実施の形態の基本構成のブロック図である。
【図2】実施の形態のホームネットワークシステムの説明図である。
【図3】実施の形態の再生装置のブロック図である。
【図4】実施の形態のネットワークスピーカのブロック図である。
【図5】実施の形態のリモートコントローラのブロック図である。
【図6】実施の形態のリモートコントローラの説明図である。
【図7】実施の形態の音量操作表示の説明図である。
【図8】実施の形態のマスター音量設定部の操作に応じた表示状態の説明図である。
【図9】実施の形態の音量バランス維持範囲の表示例の説明図である。
【図10】実施の形態の音量バランス維持範囲の他の表示例の説明図である。
【図11】実施の形態の音量バランス維持範囲の変化及びノブの中央表示の説明図である。
【図12】実施の形態のノブロック操作の説明図である。
【図13】実施の形態のミュート操作の説明図である。
【図14】実施の形態の非音量バランス維持状態の操作の説明図である。
【図15】実施の形態の非音量バランス維持状態の操作の説明図である。
【図16】実施の形態の非音量バランス維持状態の操作の説明図である。
【図17】実施の形態の非音量バランス維持状態の他のノブの操作時の状態の説明図である。
【図18】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図19】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図20】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図21】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図22】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図23】実施の形態の他の動作例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.基本構成>
<2.ホームネットワークシステム>
<3.機器構成>
[3−1:再生装置]
[3−2:ネットワークスピーカ]
[3−3:リモートコントローラ]
<4.音量操作表示を用いた操作(音量バランス維持状態)>
<5.ノブロック操作>
<6.ミュート操作>
<7.音量操作表示を用いた操作(非音量バランス維持状態)>
<8.処理例>
<9.変形例及びプログラム>
【0013】
<1.基本構成>
図1に本開示の技術が用いられる実施の形態としての基本的なシステム構成例を示す。
ここでは、ソース部SCとして音楽コンテンツ等を出力する機器を示している。このソース部SCから出力される音楽コンテンツ等は、各アンプAMP1〜AMP4に供給される。
各アンプAMP1〜AMP4は、受信した音楽コンテンツを、スピーカSP1〜SP4から音声出力する。
【0014】
各アンプAMP1〜AMP4に対しては、コントローラCTLによって音量制御が行われる。ユーザは、コントローラCTLを操作することで、各アンプAMP1〜AMP4のそれぞれに個別に音量操作を行ったり、或いは一括して音量操作を行うことができる。
特に一括した音量操作の場合は、各アンプAMP1〜AMP4の音量バランスを維持したまま、もしくは音量バランスを崩してでも、各アンプAMP1〜AMP4の音量設定を変化させることができる。
【0015】
例えばホームネットワークシステム(家庭内ネットワーク)の例を後述するが、図1の各アンプAMP1〜AMP4は、それぞれ別々の部屋に配置されている別体の音声出力装置と考えることができる。
各部屋では、部屋の広さ、スピーカ性能、設置場所、部屋毎の雰囲気設定などにより、ユーザが音楽等に求める最適な音量は異なる。
このため、各アンプAMP1〜AMP4は、それぞれ異なる音量設定としたい。つまり、各アンプAMP1〜AMP4を、それぞれ個別にコントローラCTLから制御したい。
さらに、例えばそのように個別に音量設定した状態で、各アンプAMP1〜AMP4での相対的な音量バランスを維持しながら、全アンプAMP1〜AMP4を一括して音量増減を行いたい場合もある(音量バランス維持状態での操作)。
さらには、各アンプAMP1〜AMP4での相対的な音量バランスを崩してでも、各アンプAMP1〜AMP4を一括して音量増減を行いたい場合もある(非音量バランス維持状態での操作)。
【0016】
本実施の形態では、複数の音声出力装置で同一の音楽等を同期再生出力させる環境において、コントローラCTLに相当する機器により、上記のようなユーザの要望に沿った操作手法を提供する。
【0017】
<2.ホームネットワークシステム>
例えば上記図1の基本構成の実際の態様となる家庭内ネットワークシステムの構成を図2で説明する。
図2では、或る家屋において、部屋A,B,C,Dの4部屋で、家庭内ネットワークシステムを使用する例を示している。
ここで「家庭内ネットワークシステム」と呼んでいるが、もちろん本例のシステムが使用される場所は「家庭」に限られない。例えば会社、学校、公共施設などでも使用可能である。また、必ずしも同一の建物内の「部屋」でなくとも、敷地内の庭、ガレージ、倉庫など、屋外や別の建物内も、ここでいう「部屋」と考えて良い。つまり本例の場合、或る部屋の1つの電子機器がサーバとなった他の各電子機器に同一の音楽コンテンツや映像コンテンツを配信し、各「部屋」で視聴できるようにするものであるが、同一のコンテンツを配信する先の「部屋」は多様に考えられる。但し本例の場合は、インターネット等の公衆ネットワークで実行されるような広い範囲での配信ではなく、或る程度狭い範囲での配信を行うシステムと考えることが適切である。
なお実施の形態の説明では、音楽コンテンツの配信を行うシステムとして説明していく。
【0018】
実施の形態の家庭内ネットワークシステムは、各部屋に配置された各種の電子機器が通信網(ネットワーク)4を介して相互に通信可能に構成される。
図2では、比較的シンプルな例を示している。
【0019】
この図2の例では、部屋Aには再生装置1が配置されている。
また部屋Bには、ネットワークスピーカ2Bが配置されている。
また部屋Cには、ネットワークスピーカ2Cが設置されている。
また部屋Dには、ネットワークスピーカ2Dが設置されている。
【0020】
またここでは部屋Aには表示機能及びタッチパネル機能を備えたリモートコントローラ3が配置されているとしている。
例えばこのリモートコントローラ3は無線又は有線で通信可能なアクセスポイント5を介してネットワーク4上の各機器と通信し、制御コマンドを送信したり、各機器の情報、例えば各機器の音量設定情報を取得すること等ができる。
ユーザはリモートコントローラ3を用いて、各部屋A〜Dの各機器の音量調整などを行うことができる。
なおアクセスポイント5の設置位置は部屋Aに限られるものではない。またアクセスポイント5とリモートコントローラ3の間の通信範囲が広ければ、どの部屋でもリモートコントローラ3を用いて各機器を操作することも可能であるし、アクセスポイント5を各部屋に配置するということも考えられる。
また、リモートコントローラ3は、再生装置1に対する入力機器とし、再生装置1に対する制御コマンドを送信し、さらにネットワーク4上の他の機器に再生装置1を介して制御コマンドを送信できる装置としても良い。
【0021】
再生装置1は、例えば音楽コンテンツの再生部やスピーカ部等を備え、独自に音楽等の再生を行うことができる機器である。
再生装置1は、コンテンツデータを、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、複数毎の光ディスク、例えばCD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc(登録商標))等を収納した交換型光ディスクプレーヤなどから再生する。
そして再生した音楽コンテンツデータを、内蔵スピーカや接続されたスピーカ等から出力できる。
その一方で再生装置1は、ネットワーク4で各機器と通信可能とされることで、サーバ装置として機能できる。即ち再生装置1はサーバ装置として、ネットワーク4上の他の装置(ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して再生した音楽コンテンツデータを配信することができる。
【0022】
ネットワークスピーカ2B、2C、2Dはアンプ及びスピーカ部を備えた音声出力機器であるが、特にネットワーク通信機能を備え、システム上でクライアント装置として機能できる機器である。
例えば再生装置1がシステム上のサーバとなった場合、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dは再生装置1から配信されてくる音楽コンテンツを受信し、音楽として出力することができる。
【0023】
ネットワーク4は、例えば家庭内の通信が可能とされる有線又は無線の伝送路により構成される。
例えば有線の場合、電灯線、テレビ用RFケーブル、DLNA(Digital Living Network Alliance)、HDMI(High Definition Multimedia Interface)などが考えられる。また無線の場合、無線LAN(IEEE802.11x(=a,b,g,n..))、ブルートゥース(Blue tooth)、2.4GHz帯を用いた他の通信方式などが考えられる。
【0024】
本実施の形態では、この家庭内ネットワークシステムにおいて、再生装置1がサーバとなり、他のクライアント装置(ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して音楽コンテンツを同期配信し、同時に再生させるというシステム動作を行う状況を想定して説明する。家庭内ネットワークにおけるいわゆるパーティモードの動作である。
【0025】
なお、各装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)は、それぞれ他の装置がどの部屋に設置されているかを認識できているものとする。例えば再生装置1は、ネットワークスピーカ2Bが部屋Bに設置されていること等を認識している。
これは各機器を設置した時にユーザが各機器の部屋(ゾーン)を設定することで可能である。
また、タッチパネルで操作可能なGUI(グラフィックユーザインターフェース)付きのリモートコントローラ3にも、予めネットワーク3上にどのような機器が配置されているかを登録しておくようにしておく。
【0026】
ここで、図1の基本構成との対応を述べると次のようになる。
例えば、ソース部SCとして、サーバとなる再生装置1が相当する。また、アンプAMP1及びスピーカSP1は、再生装置1の音声出力系(図3で述べる再生処理部16,アンプ部17,スピーカ部20)と考えればよい。
アンプAMP2及びスピーカSP1は、ネットワークスピーカ2Bと考えることができる。
アンプAMP3及びスピーカSP3は、ネットワークスピーカ2Cと考えることができる。
アンプAMP4及びスピーカSP4は、ネットワークスピーカ2Dと考えることができる。
コントローラCTLとして、リモートコントローラ3が相当する。
もちろん、家庭内ネットワークシステムの構成例は多様に考えられ、例えばサーバ及びクライアント機器として機能できる再生装置が複数設置されたり、サーバ専用の機器が設置されることもある。もちろん、より多数の部屋で多様な機器が配置されることもある。
従って図1,図2の構成は一例に過ぎないことはいうまでもない。
【0027】
ここで、リモートコントローラ3が、請求項でいう制御端末装置の例となる。
リモートコントローラ3は、複数の音声出力装置の出力音量を、ユーザ操作に応じて制御できる機器である。制御対象となる複数の音声出力装置とは、図1のアンプAMP1〜アンプAMP4であるが、従って図2でいえば、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dが相当することとなる。
そしてこのリモートコントローラ3を用いることで、各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)で同一の音楽コンテンツ等を同期再生出力する場合に、ユーザは以下の各場合に対応した操作を実行できる。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの各音量を個別に制御したい。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量を、各装置間の音量バランスを崩さずに一括して制御したい。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量を、各装置間の音量バランスを崩してでも一括で制御したい。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのうちの特定の装置の音量制御を一時的に抑止(操作不能と)したい。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのうちの特定の装置を、音量設定をそのままにした状態で一時的に出力停止(ミュート)したい。
・ミュートされている再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dを一括でミュート解除したい。
【0028】
<3.機器構成>
[3−1:再生装置]
ネットワーク4に接続される各機器の構成例について説明する。まず、図3で再生装置1の構成例を述べる。
【0029】
再生装置1は、制御部11,コンテンツ格納/再生部12,メモリ部13,送信部14,受信部15、再生処理部16、アンプ部17、表示部18、パネル操作部19、スピーカ部20を備える。
【0030】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータにより構成される。
制御部11内のROMには、例えばCPUが実行すべきプログラムの他、再生動作、ネットワーク通信動作等のための各種の設定情報などが記憶される。RAMは、CPUのための主記憶装置部とされる。
この制御部11は、再生装置1が単体で再生動作を行う場合、サーバ装置として機能する場合、クライアント装置として機能する場合のそれぞれにおいて必要な動作を実行するよう再生装置全体を制御する。
例えばコンテンツ格納/再生部12での再生動作制御、送信部14,受信部15による通信動作などを制御する。
【0031】
メモリ部13は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの記憶部を総括的に示している。このメモリ部13は制御部11の処理のワーク領域として用いられたり、プログラムの格納領域として用いられても良い。また配信動作のための各種の設定情報、パラメータ等を記憶することにも用いられる。
またメモリ部13は、サーバ装置として機能する時の配信のためにコンテンツ格納/再生部12で再生されたコンテンツデータの送信バッファとしても用いられたり、クライアント装置として機能するときにコンテンツデータの受信バッファとして用いられることもある。
【0032】
コンテンツ格納/再生部12は、各種コンテンツデータを再生することができる装置部である。コンテンツデータは、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスクなどに格納されている。コンテンツ格納/再生部12は、制御部11の指示に基づき、これらの記憶媒体からのコンテンツデータの再生を行う。従って、コンテンツ格納/再生部12は、例えばHDD、フラッシュメモリプレーヤ、光ディスクプレーヤ、交換型光ディスクプレーヤなどとして実現される。
【0033】
送信部14及び受信部15は、ネットワーク4を介した他の装置との間での通信部として機能する。
送信部14は、この再生装置1がサーバ装置として機能する場合、制御部11の制御に基づき、主にコンテンツ格納/再生部12で再生されたコンテンツデータについて所定のエンコードを行い、ネットワーク送信、つまりクライアント装置となるネットワークスピーカ2B、2C、2Dへの配信を行う。
【0034】
受信部15は、ネットワーク4上の他の機器から送信されてくる情報の受信を行う。リモートコントローラ3からの制御コマンドが受信された場合は、受信部15はその制御コマンドの信号をデコードし、受信情報内容を制御部11に伝達する。
また図2の例では他にサーバ装置は存在しないが、他のサーバ装置が接続され、この再生装置1がクライアント装置として機能する場合もある。その場合、受信部15は、サーバ装置から送信されてくる信号、例えば配信されているコンテンツデータや、その他の各種の指示信号などの受信を行う。そして受信した信号をデコードする。配信によるコンテンツデータの受信の際には、受信して通信方式に対するデコード処理を行ったコンテンツデータ(ストリームデータ)を、制御部11の制御に基づき例えばメモリ部13に転送してバッファリングさせる。
例えばこのような処理を行うため、送信部14及び受信部15は、ネットワーク4での有線又は無線での通信方式に対応したエンコード、デコード、及び送受信処理を行う。
【0035】
再生処理部16は、コンテンツ格納/再生部12で再生したコンテンツデータや、配信により受信したコンテンツデータについて、再生出力のための処理を行う。
図2のシステムにおいて各音声出力装置で音楽コンテンツ等を同期再生する場合、制御部11は、コンテンツ格納/再生部12で再生したコンテンツデータを、送信部14から各ネットワークスピーカ2B、2C、2Dに配信させるが、この再生装置1でも再生出力させる。その場合、制御部11は、コンテンツ格納/再生部12で再生したコンテンツデータを再生処理部16に転送させて、再生出力処理を実行させる。
再生処理部16はコンテンツデータに対して出力のための処理、例えば圧縮処理に対するデコード、エラー訂正などを行い、音声信号(例えばL、Rチャンネルのステレオ音声信号)をアンプ部17に供給する。
アンプ部17では、音量制御、イコライジング、D/A変換処理などを行い、音声信号をスピーカ部20に供給して、例えば音楽等の出力を実行させる。
制御部11は、例えばリモートコントローラ3からの制御コマンドに応じてアンプ部17での音量制御を行う。
【0036】
なお、この例では出力デバイスとしてアンプ部17及びスピーカ部20による音声出力系のみを示しているが、もちろん家庭内ネットワークシステムでは映像コンテンツの同期再生を行うこともある。その場合には出力デバイスとして例えばモニタディスプレイ装置などが設けられる。
また、出力デバイスとしてのスピーカ部20やモニタディスプレイ装置等は、再生装置1としての筐体に一体的に設けられても良いが、別体機器とされても良いことは当然である。
【0037】
表示部18は、例えば再生装置1の筐体上に設けられる小型の表示パネルであり、制御部11の制御により、動作状態表示やメニュー表示、アイコン表示、イコライザ表示、タイトル表示、メッセージ表示などを行う。表示部18は、例えば液晶パネルや有機ELパネルなどで構成される。
なお、これらの表示を、出力デバイスとして接続されたモニタディスプレイ装置を用いて行うこともでき、その場合、表示部18を設けないことも考えられる。
【0038】
操作部19は、例えば再生装置1の筐体上に設けられる操作キー、ジョグダイヤルなどの操作子を総括的に示している。なお、表示部18、或いは出力デバイスとして接続されたモニタディスプレイ装置においてタッチパネル入力が可能とされる場合、そのタッチパネル機構も、操作部19の一つとなる。
また、図示していないが、再生装置1に専用のリモートコントローラが設けられる場合、そのリモートコントローラからの制御信号の受信部(例えば赤外線受信部、電波受信部、有線接続受信部等)も、操作部19の一つとなる。
ユーザは、操作部19の操作子の操作や、表示部18(又はモニタディスプレイ装置)のメニュー表示、アイコン表示に対するタッチパネル操作、さらには専用のリモートコマンダーを用いた操作により、各種の操作入力を行うことができる。
制御部11は、ユーザの操作入力に応じて、再生装置1内の動作制御や設定処理等を行ったり、送信部14から他の装置に対する信号送信処理を行う。
このようなユーザ操作に加えて、本実施の形態では、ユーザは、リモートコントローラ3によって再生装置1の出力音量設定の操作を行うことができる。
なお、以上の再生装置1の構成例は一例である。
【0039】
[3−2:ネットワークスピーカ]
続いて図4でネットワークスピーカ2(2B,2C,2D)の構成例について説明する。
ネットワークスピーカ2は、制御部21,再生処理部22,メモリ部23,送信部24,受信部25、アンプ部26、スピーカ部27を備える。
【0040】
制御部21は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータにより構成される。
制御部21内のROMには、例えばCPUが実行すべきプログラムの他、配信コンテンツの再生動作や他の装置との通信動作等のための各種の設定情報などが記憶される。RAMは、CPUのための主記憶装置部とされる。
この制御部21は、ネットワークスピーカ2がクライアント装置として機能するためにネットワークスピーカ2の動作を制御する。即ち配信されるコンテンツデータや制御コマンドの受信制御や、制御コマンドに応じた処理などを行う。
【0041】
メモリ部23は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの記憶部を総括的に示している。このメモリ部23は制御部21の処理のワーク領域として用いられたり、プログラムの格納領域として用いられても良い。また再生動作や通信動作のための各種の設定情報、パラメータ等を記憶することにも用いられる。
さらにメモリ部23は、受信したコンテンツデータのバッファメモリとしても用いられる。
【0042】
送信部24及び受信部25は、ネットワーク4を介した各装置との間での通信部として機能する。
受信部25は、再生装置1から送信されてくる信号、例えば配信されているコンテンツデータや、制御コマンドなどの受信を行う。そして受信した信号をデコードする。配信によるコンテンツデータの受信の際には、受信して通信方式に対するデコード処理を行ったコンテンツデータ(ストリームデータ)を、制御部21の制御に基づき例えばメモリ部23に転送してバッファリングさせる。
またリモートコントローラ3からの制御コマンドが受信されてきた場合は、受信部25はその信号をデコードし、受信情報内容を制御部21に伝達する。
送信部24は、制御部21の制御に基づき、他の装置への送信信号について所定のエンコードを行い、ネットワーク4に対する送信出力を行う。
このような処理を行うため、送信部24及び受信部25は、ネットワーク4での有線又は無線での通信方式に対応したエンコード、デコード、及び送受信処理を行うものとなる。
【0043】
再生処理部22は、受信したコンテンツデータについてスピーカ部27での再生出力のための処理を行う。例えば受信したコンテンツデータはメモリ部23にバッファリングされるが、バッファリングされたコンテンツデータを構成する各データは、逐次所定タイミングで再生処理部22に転送される。再生処理部22はコンテンツデータに対して出力のための処理、例えば圧縮処理に対するデコード、エラー訂正などを行い、音声信号(例えばL、Rチャンネルのステレオ音声信号)をアンプ部26に供給する。
アンプ部26では、音量制御、イコライジング、D/A変換処理などを行い、音声信号をスピーカ部27に供給して、例えば音楽等の出力を実行させる。
これにより、スピーカ部27から、配信された音楽コンテンツ等の音声が出力され、ユーザの聴取に供される。
制御部21は、例えばリモートコントローラ3からの制御コマンドに応じてアンプ部26での音量制御を行う。
【0044】
なお、スピーカ部27は、ネットワークスピーカ2としての筐体に一体的に設けられても良いが、別体機器とされても良い。特にステレオスピーカとしてL、Rチャンネルのスピーカを設ける場合、少なくともスピーカユニット部分は別体構成となることが通常である。
【0045】
この図4ではネットワークスピーカ2としての構成例を示したが、各ネットワークスピーカ2B、2C、2Dがそれぞれ上記同様の構成である必要はなく、他の部位が追加されたり、図4の一部の構成を備えない場合などもあり得る。
【0046】
[3−3:リモートコントローラ]
次にリモートコントローラ3の構成例を図5で説明する。
リモートコントローラ3は、制御部41、コマンドメモリ42、送受信部43、表示駆動部44、表示部45、タッチパネルセンサ46、位置検出部47を備える。
【0047】
制御部41はマイクロコンピュータにより構成される。
コマンドメモリ42は、ROM、不揮発性メモリ等で形成され、各種のコマンドコードを記憶する。
送受信部43は、コマンドコードを送信するための所定の通信方式に応じた変調、送信を行う。またネットワーク4上の各機器と通信を行い、各機器からの情報を受信することも行う。つまり送受信部43は、ネットワーク4上の各機器に対する送信部、及び受信部として機能する。
【0048】
このリモートコントローラ3では、ユーザ操作は、主にタッチパネル操作で行われる。このため表示部45が設けられ、表示部45の表示面上にはタッチパネルセンサ46が形成される。
表示部45は例えば液晶パネルや有機ELパネルなどとされ、その表示部45の表面に圧電センサや静電センサなどのタッチパネルセンサ46が設けられてタッチパネルが形成される。
表示部45には、例えば操作用のボタン、アイコン等が表示され、各種の操作入力が可能とされる。本実施の形態では、操作入力のための表示の一つとして、図6以降で述べるように、表示部45に音量操作表示70が行われ、ユーザはこれに対するタッチ操作で操作入力を行うことができる。
つまり、いわゆるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)としての機能でユーザに操作手段を提供するものとなる。
【0049】
表示部45は表示駆動部44によって表示駆動される。制御部41が表示データを表示駆動部44に与えることで、表示駆動部44は表示データに基づいて表示駆動信号を表示部45に与え、所定の画面表示を実行させる。例えば図6のような音量操作表示や、或いは他の各種の操作キー、アイコン表示、操作メニュー表示などを実行させる。
ユーザは表示内容に応じてタッチ操作を行う。タッチパネルセンサ46はタッチ操作の情報を位置検出部47に伝達する。位置検出部47は、そのユーザ操作(タッチ操作)の位置(表示面上のX−Y座標位置)を判別し、タッチ位置情報として制御部41に伝える。
【0050】
制御部41には、そのソフトウエアプログラムによって実現される機能構成として、コマンド読出部41a、送受信制御部41b、入力検知部41c、表示制御部41dが形成される。
入力検知部41cは、位置検出部47からのタッチ位置の情報を認識し、そのタッチ位置、或いはタッチ操作の軌跡により、ユーザの求める操作内容を判定する。
コマンド読出部41aは、入力検知部41cが判定した操作内容に応じてコマンドメモリ42からコマンドコードを読み出し、送受信制御部41bに供給する。
送受信制御部41bは、コマンド読出部41aが読み出したコマンドコードを送受信部43に送信させる制御を行う。この場合、送受信部43は、コマンドコードを変調し、所定の通信方式でネットワーク4上の制御対象機器に送信する。
また送受信制御部41bは送受信部43によってネットワーク4上の他の機器から送信されてきた情報、例えば各機器の現在の音量設定情報の受信処理を行う。各機器の音量設定情報については、後述する音量操作表示での表示内容に反映させる。
表示制御部41dは、表示部45での表示内容とする表示データを表示駆動部44に供給する。例えば操作アイコン表示、操作メニュー表示、音量操作表示などを表示部45で実行させる表示データを生成する。
また、表示制御部41dは、入力検知部41cで検知されたタッチ操作に応じて、表示画面上の表示内容を変化させる制御も行う。
【0051】
このリモートコントローラ3は、ユーザがタッチ操作を行うことに応じて、そのタッチ操作に応じたコマンドコードをコマンドメモリ42から読み出し、ネットワーク4上の所要の機器に対して制御コマンドとして送信する。
上述のように、このリモートコントローラ3が、請求項でいう制御端末装置に相当することとなる。
この図5の構成の場合、送受信部43が請求項でいう送信部、及び受信部に相当する。
また表示部45、表示駆動部44が請求項でいう表示部に相当する。
またタッチパネルセンサ46、位置検出部47、入力検知部41cが、請求項でいう操作検出部に相当する。
また、制御部41が請求項でいう制御部に相当する。
【0052】
<4.音量操作表示を用いた操作(音量バランス維持状態)>
本実施の形態では、リモートコントローラ3によって、ネットワーク4上の複数の音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対する音量制御を行うことができる。
ここではまず、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの各音量を個別に制御する場合、及び再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量を、各装置間の音量バランスを崩さずに一括して制御する場合について述べる。
なお、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量を、音量バランスを維持して一括制御する状態を、「音量バランス維持状態」ということとして、後述する「非音量バランス維持状態」と区別する。
【0053】
リモートコントローラ3の表示部45では、例えば図6に音量操作表示70として示すようなGUI表示が行われる。
この音量操作表示70としては、マスター音量設定部FDMと、個別音量設定部FD1〜FD4としての表示を含む。
個別音量設定部FD1〜FD4は、制御対象となる音声出力装置に対応するものとされる。つまり本例の場合、再生装置1に対応して個別音量設定部FD1が表示される。
またネットワークスピーカ2Bに対応して個別音量設定部FD2、ネットワークスピーカ2Cに対応して個別音量設定部FD3、ネットワークスピーカ2Dに対応して個別音量設定部FD4が、それぞれ表示される。
一方、1つのマスター音量設定部FDMが表示されるが、これは複数の音声出力装置の音量を一括制御するための表示とされる。
【0054】
マスター音量設定部FDMには、スライドバーSLMが含まれ、このスライドバーSLM上の設定位置がマスターノブNMで示される。マスターノブNMは、ユーザのタッチ操作により、スライドバーSLM上を左右に移動される。つまりマスターノブNMは、マスター音量設定部FDMにおけるスライド操作子となる。
【0055】
またマスター音量設定部FDMには、数値表示部LMが含まれる。この数値表示部LMでは、マスターノブNMのスライド位置に応じた数値、即ちマスター音量設定部FDMによる音量の設定変更量に応じた数値(設定値)が表示される。例えば図示のように、マスターノブNMがスライドバーSLM上の中央にあるときは、数値表示部LMには「±0」が表示される。
マスターノブNMを左側に移動させる操作は、複数の音声出力装置に対して設定音量を下げる操作となるが、そのようにマスターノブNMを左側にスライドさせた場合は、数値表示部LMは、「−1」・・・「−50」の表示が行われる。またマスターノブNMを右側にスライドさせ、設定音量を上げた場合は、数値表示部LMは、「+1」・・・「+50」の表示が行われる。
なお、これはスライドバーSLMの全長で101段階に音量設定を可変できるとした場合の例である。
【0056】
またマスター音量設定部FDMには、ミュートボタンMTMが含まれる。ユーザは、ミュートボタンMTMを操作することで、複数の音声出力装置に対して設定音量を変更しないままの状態での音声出力の停止(ミュート)を指示できる。
【0057】
一方、個別音量設定部(FD1〜FD4)にも、それぞれスライドバー(SL1〜SL4)、ノブ(N1〜N4)、数値表示部(L1〜L4)、ミュートボタン(MT1〜MT4)が含まれる。
【0058】
例えば個別音量設定部FD1について述べると、ユーザはスライドバーSL1上でノブN1を左右に移動させることで、対応する音声出力装置である再生装置1の出力音量の設定を増減させることができる。ノブN1を左側に移動させる操作は、再生装置1に対して設定音量を下げる操作となり、ノブN1を右側に移動させる操作は、再生装置1に対して設定音量を上げる操作となる。
スライドバーSL1では、ノブN1より左側の部分は、現在の音量設定が棒グラフ的に見えるようにして視覚的に分かりやすくするため、異なる色とされている。
【0059】
またスライドバーSL1の全長は、例えば「0」〜「100」までの101段階の音量設定に対応するものとされ、現在の音量設定値が数値表示部L1に表示される。この図6の場合、ノブN1はスライドバーSL1の中央にあるため、数値表示部L1には「50」と表示される。
またミュートボタンMT1は、対応する音声出力装置のミュート操作を行うための表示である。つまりユーザは、ミュートボタンMT1を操作することで、再生装置1に対して設定音量を変更しないままの状態での音声出力の停止(ミュート)を指示できる。
【0060】
このように個別音量設定部FD1を用いることで、ユーザは、再生装置1に対する出力音量設定の可変操作を行うことができるとともに、現在の音量設定状態を数値やスライドバー(ノブ位置)で一目で確認することができる。また、ミュート操作により、再生装置1を一時的に消音させるなども可能となる。
また個別音量設定部FD2〜FD4によっては、ユーザはネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれについて、任意に音量設定操作やミュート操作を行うことができ、また現在の音量設定状態を確認できる。
【0061】
音声出力装置個別の操作を図7Aに示す。
例えばユーザは、再生装置1の音量設定を上げたいと思った場合は、図のようにノブN1にタッチしながら、ノブN1をスライドバーSL1上で右に移動させる。
図5に示した制御部41は、このようなユーザ操作を検知することに応じて、表示上でノブN1がユーザの指について移動されていくようにし、数値表示部L1の数値も変化させる。また、その操作に応じて、制御部41は、再生装置1についての出力音量設定を内部的に更新すると共に、再生装置1に対して、その操作量に応じた分だけ上昇させる制御コマンド(更新された音量設定値を指示する制御コマンド)を送信する。
例えば図のように、ユーザがノブN1を「75」の位置まで移動させた場合、音量設定状態を「75」に相当するレベルまで上昇させる制御コマンドを再生装置1に送信する。再生装置1の制御部11は、この制御コマンドの受信に応じて、アンプ部17での出力音量設定を可変制御する。これにより、部屋Aにおける再生装置1の出力音量が「75」相当のレベルまで上昇される。
【0062】
ユーザは、このように個別音量設定部FD1〜FD4を用いることで、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの出力音量設定を、個別に調整できる。例えば部屋Cのネットワークスピーカ2Cの音量設定を下げたいときは、個別音量設定部FD3のノブN3を左にスライドさせればよい。これによってリモートコントローラ3からネットワークスピーカ2Cに、音量設定を低減させる制御コマンドが送信され、ネットワークスピーカ2Cの制御部21は、それに応じてアンプ部26での音量設定を低下させる制御を行う。
【0063】
即ちユーザは、各部屋A,B,C,Dの環境や配置状況、機器性能、部屋の使用目的などに応じて、それぞれの部屋で流れる音楽等の音量を調整できる。
例えば図7Bは、ユーザが個別音量設定部FD1〜FD4をそれぞれ用いて、各部屋の音量設定を行った状態を示している。
この場合、部屋Aの再生装置1はレベル「75」に、部屋Bのネットワークスピーカ2Bはレベル「50」に、部屋Cのネットワークスピーカ2Cはレベル「25」に、部屋Dのネットワークスピーカ2Dはレベル「40」に、それぞれ調整した状態である。
【0064】
なお、制御部41は、内部メモリ(例えば内部の不揮発性メモリ)に、各音声出力装置(個別音量設定部FD1〜FD4)の音量設定値を記憶し、操作に応じて更新する。そして記憶している音量設定値を、数値表示部L1〜L4に表示させることとなる。
各個別音量設定部FD1〜FD4においてノブ(N1〜N4)の位置及び数値表示部(L1〜L4)の値の表示状態が変化する場合とは、制御部41が、各音声出力装置について記憶している音量設定値を更新している場合となる。
【0065】
また、実際にはリモートコントローラ3による制御のみではなく、各部屋の音声出力装置側での音量操作も行われる。例えば音声出力装置本体の音量操作子の操作や、その音声出力装置に対応するリモートコントローラによる操作によるものである。
リモートコントローラ3は、各音声出力装置と送受信部43により通信を行い、各音声出力装置側で音量操作があったことも検知する。音声出力装置において音量操作が行われたことを検知した場合は、制御部41は、該当する音声出力装置の個別音量設定部についての音量設定値も更新し、かつ表示上も、その個別音量設定部のスライドバー上のノブ位置や数値表示部の表示も、実際の音声出力装置の音量設定状態に即して変化させる。
例えば図7Aは、ユーザが個別音量設定部FD1のノブN1を「75」の位置まで移動させた場合として説明したが、実際にユーザが再生装置1の本体の音量操作子を用いて、音量設定を「75」まで変化させたとしても、リモートコントローラ3における表示状態は図7Aのようになる。
これにより、リモートコントローラ3における音量操作表示70は、常に実際の音量設定を表す表示状態とされる。
【0066】
次にマスター音量設定部FDMの操作について説明する。
なお本例では、個別音量設定部FD1〜FD4の各音量設定値(ノブ位置)のいずれか1つが端点に達していない場合、マスター音量設定部FDMにより、音量バランス維持状態で一括音量制御が行われる。
なお「端点」とは、個別音量設定部(FD1〜FD4)のノブ(N1〜N4)が、スライドバー(SL1〜SL4)の端部に到達した状態を言い、つまり音量設定値が「0」又は「100」となった状態のことである。
後述するが、或る1つの個別音量設定部において「端点」に達した後、マスター音量設定部FDMに対する操作が、端点に達した当該1つの個別音量設定部が端点に至った操作方向で行われたことを検知した場合、音量バランス維持状態から非音量バランス維持状態に移行する。
個別音量設定部FD1〜FD4が、1つも端点に達してしない時点では、マスター音量設定部FDMによる操作は、音量バランス維持状態での一括音量操作となる。
【0067】
ユーザはマスター音量設定部FDMを用いることで、個別音量設定部FD1〜FD4が、対応する各部屋の音声出力装置の音量設定を、一括して増減させることができる。そして音量バランス維持状態での操作は、例えば図7Aのように各音声出力装置について設定した相対的な音量バランスを維持したままでの一括操作となる。
【0068】
例えば図8Aは図7Bの状態から、ユーザがマスターノブNMを左側に「−25」の位置までスライドさせた場合を示している。
リモートコントローラ3の制御部41は、マスターノブNMに対するユーザ操作を検知することに応じて、表示上でマスターノブNMが指について移動されていくようにし、数値表示部LMの数値も変化させる。さらに、各個別音量設定部FD1〜FD4については、ユーザのマスターノブNMの操作と同時に(或いはマスターノブNMの操作完了直後でもよい)、各ノブN1〜N4の位置を「−25」分、移動させ、数値表示部L1〜L4の数値も−25だけ減じた値とする。制御部41の内部的には、記憶している各音声出力装置の音量設定値を−25した値に更新することとなる。
そしてこのような表示制御と共に、制御部41は、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれに対して、出力音量設定を、その操作量、つまり「−25」だけ減少させる制御コマンドを送信する。
この制御コマンドを受信することで、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれは主力音量設定を可変する。これにより、部屋A、B、C、Dの各出力音量が、一括して「−25」分相当のレベルだけ低下される。
【0069】
また図8Bは図7Bの状態から、ユーザがマスターノブNMを右側に「+25」の位置までスライドさせた場合を示している。
リモートコントローラ3の制御部41は、マスターノブNMに対するユーザ操作を検知することに応じて、表示上でマスターノブNMが指について移動されていくようにし、数値表示部LMの数値も変化させる(各音量設定値を更新する)。さらに、各個別音量設定部FD1〜FD4については、ユーザのマスターノブNMの操作と同時に(或いはマスターノブNMの操作完了直後に)、各ノブN1〜N4の位置を「+25」分、移動させ、数値表示部L1〜L4の数値も25加算した値とする。
そしてこれらの表示制御と共に、制御部41は、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれに対して、出力音量設定を、その操作量、つまり設定音量の「+25」を指示する制御コマンドを送信する。
この制御コマンドを受信することで、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれは出力音量設定を可変する。これにより、部屋A、B、C、Dの各出力音量が、一括して「+25」分相当のレベルだけ上昇される。
【0070】
この図8A,図8Bの場合、いずれも、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの各音声出力装置間の相対的な音量バランスは維持された状態にある。
つまり、各音声出力装置の相対的な出力音量差は保たれている。
【0071】
本例では、制御部41は、音量バランス維持状態においては、各音声出力装置の音量バランスを維持できるマスター音量設定部FDMの操作範囲を示す表示を、表示部45において実行させる。
例えば図7B、図8A、図8Bでは、音量バランスを維持できるマスター音量設定部FDMの操作範囲を、バランス操作範囲バーBAとして表示する例を示している。
【0072】
このバランス操作範囲バーBAは、あたかもスライドバーSLM内でマスターノブNMが左右に棒を突出させたような表示とし、ユーザに、このバランス操作範囲BAがスライドバーSLMの端部に当接する範囲であれば、音量バランスが保たれていることをユーザに提示するものとされる。
【0073】
図9で説明する。図9Aは、マスターノブNMが「±0」の位置の状態である。この状態からマスターノブNMを左側にスライドさせた状態が図9Bであるが、このスライド操作は、バランス操作範囲バーBAがスライドバーSLMの左端に到達するところまで行われている。
またマスターノブNMを右側にスライドさせた状態が図8Cであるが、このスライド操作は、バランス操作範囲バーBAがスライドバーSLMの右端に到達するところまで行われている。
【0074】
バランス操作範囲バーBAは、マスターノブNMが、図8Bの状態から図8Cの状態の範囲内では、音量バランスが保たれることをユーザに提示する。
後述するが、図9Bの状態からさらに左方向へマスターノブNMが操作されると、非音量バランス維持状態の処理に移行する。その際には、図8Dに示すように、バランス操作範囲バーBAは表示されない状態となる。
同様に、図9Cの状態からさらに右方向へマスターノブNMが操作されると、非音量バランス維持状態の処理に移行する。その際には、図示しないが、バランス操作範囲バーBAは表示されない状態となる。
【0075】
従ってユーザは、バランス操作範囲バーBAが表示されている限りは、音量バランスが保たれたマスター操作が行われていることを知ることができる。加えて、バランス操作範囲バーBAにより、音量バランスを保つためには、マスターノブNMをどの位置までの操作が限度であるかを知ることができる。
【0076】
なお、バランス操作範囲バーBAは、音量バランスを保てる範囲を示すために、そのバーの長さ(表示範囲)は、図7Bのように、個別音量設定部FD1〜FD4での音量設定値に応じて決定される。即ち、バランス操作範囲バーBAの右端は、最も高い音量設定値(この例の場合個別音量設定部FD1の設定値)にあわせられ、バランス操作範囲バーBAの左端は、最も低い音量設定値(この例の場合個別音量設定部FD3の設定値)にあわせられる。
【0077】
上述の図9Bの状態は、バランス操作範囲バーBAの左端が、スライドバーSLMの左端に当接した状態であるが、これは例えばマスターノブNMによって一括音量設定が「−25」とされた状態である。
つまり音量操作表示70の全体で見れば、図8Aの状態である。このとき、最も低い音量設定である個別音量設定部FD3(ネットワークスピーカ2C)は、レベル「0」の状態にまで音量設定が低下されている。
すると、それ以上マスターノブNMを左側にスライドし、それに応じた制御コマンドを各音声出力装置に送信しても、ネットワークスピーカ2Cについては実際の出力音量は既にゼロであるため、さらに低下されることはなく、結局、再生装置1とネットワークスピーカ2B、2Dの設定音量が下げられることとなる。この場合、各音声出力装置間の音量バランスが崩れることとなる。
【0078】
また上述の図9Cの状態は、バランス操作範囲バーBAの右端が、スライドバーSLMの右端に当接した状態であるが、これは例えばマスターノブNMによって一括音量設定が「+25」とされた状態である。
つまり音量操作表示70の全体で見れば、図8Bの状態である。このとき、最も高い音量設定である個別音量設定部FD1(再生装置1)は、レベル「100」(最大レベル)の状態にまで音量設定が上昇されている。
すると、それ以上マスターノブNMを右側にスライドし、それに応じた制御コマンドを各音声出力装置に送信しても、再生装置1ではそれ以上の音量設定値のアップは行われず、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの設定音量が上げられることとなる。この場合も、各音声出力装置間の音量バランスが崩れる。
【0079】
つまり、バランス操作範囲バーBAで提示される範囲のスライド操作であれば、音量バランスを維持した一括制御が可能であるということになる。
ユーザは、バランス操作範囲バーBAの表示で、マスターノブNMのスライド範囲を認識し、音量バランスを保った一括制御の操作を容易に実行できる。
【0080】
なお、ここまでは、音量バランスを維持できる操作範囲を明示する表示として、マスターノブNMに連動するバランス操作範囲バーBAの例を挙げたが、他の態様のバランス操作範囲バーBAの表示例も考えられる。
図10は、バランス操作範囲バーBAを、マスターノブNMには連動しない表示とする例を示している。
図10Aは、図7Bの状態におけるマスター音量設定部FDMを示している。
【0081】
この例の場合、バランス操作範囲バーBAは、その時点の個別音量設定部FD1〜FD4のノブの位置に応じて表示される(図7Bと同様)。但し、ユーザがマスターノブNMを操作しても、バランス操作範囲バーBAは移動しない。
例えば図10Bのように、ユーザがマスターノブNMを左に操作しても、バランス操作範囲バーBAの表示位置は図10Aと同じ位置となる。
もし、ユーザが、マスターノブNMをさらに左に操作すると、後述する非音量バランス維持状態となるが、その場合、図10Dのようにバランス操作範囲バーBAは消去される。同様に、ユーザが、マスターノブNMを、図10Aのバランス操作範囲バーBAを超えて右側に操作すると、その場合も非音量バランス維持状態となり、図10Cのようにバランス操作範囲バーBAは消去される。
【0082】
つまりこの例では、ユーザは、バランス操作範囲バーBAの表示の有無で、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を判別でき、バランス操作範囲バーBAが表示されている限りは、音量バランスが保たれたマスター操作が行われていることを知ることができる。加えて、音量バランスを保つためには、マスターノブNMをバランス操作範囲バーBAの範囲内で操作を行えばよいと理解できる。
【0083】
例えば以上の各例のように、制御部41は、表示部45において、バランス操作範囲バーBAの表示の有無として、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態で異なる表示態様の表示を実行させる。
また制御部41は、音量バランス維持状態においては、各音声出力装置の音量バランスを維持できるマスター音量設定部FDMの操作範囲を示す表示を、バランス操作範囲バーBAにより実行させる。
【0084】
なお、音量バランス維持状態において、各音声出力装置の音量バランスを維持できるマスター音量設定部FDMの操作範囲を示す表示は、さらに多様な例が考えられる。
バランス操作範囲バーBAは、スライドバーSLMの一部の色を変えるなどの態様で図9や図10の表示を行うものとするほか、例えばスライドバーSLM自体の長さを、音量バランスが維持できる範囲のみとするような例も考えられる。
また、図9,図10の例ではスライドバーSLM内にバランス操作範囲バーBAを表示する例としたが、スライドバーSLMに並べて、スライドバーSLMとは別にバランス操作範囲バーBAを表示してもよい。
いずれにしても、ユーザが音量バランスを維持できるマスターノブNMの操作範囲を知ることができる表示態様であればよい。
【0085】
以下、再び図9のようなバランス操作範囲バーBAを用いる例で説明を続ける。
図7Bで示したように、音量バランスを維持できる範囲は、個別音量設定部FD1〜FD4(各音声出力装置)の音量設定に応じて決まる。このため個別音量設定部FD1〜FD4のいずれかで音量設定が可変操作されることに応じて、マスター音量設定部FDMにおけるバランス操作範囲バーBAの長さやマスターノブNMの位置の表示も変化される。
【0086】
例えば図7Bの状態から、図11Aのようにユーザが個別音量設定部FD1のノブN1を操作したとする。例えば個別音量設定部FD1による再生装置1の音量設定をレベル「75」から「61」に低下させたとする。
この図11Aの状態では、最も高い音量設定値は、図7Bの場合と同じく個別音量設定部FD1の設定値であるが、その音量設定値自体がレベル「61」に低下されている。これに応じて、バランス操作範囲バーBAの左端は、個別音量設定部FD1のノブN1の位置に合わせた位置に変更される。バランス操作範囲バーBAの右端は個別音量設定部FD3のノブN3の位置のままである。
また同時に、マスターノブNMの位置は、バランス操作範囲バーBAで示される範囲の中央に配置されるようにする。そのため、この場合はマスターノブNMは「−9」相当位置に表示される。つまりマスターノブNMは、その左右のバランス操作範囲バーBAの延伸長が等しくなる位置とされる。
【0087】
なお、この図では、マスターノブNMの位置の変化に応じて数値表示部LMを「−9」としているが、この場合、実際にはマスターノブNMは操作されていないので、マスターノブNMの位置が「−9」相当位置であっても、数値表示部LMは「±0」のままとしてもよい。つまり、数値表示部LMの数値は、表示上のマスターノブNMの位置に対応させるか、或いは実際のマスターノブNMの操作量に応じた値にするかのいずれかとすればよい。
【0088】
また図11Bは、さらに図11Aの状態から、ユーザが個別音量設定部FD4のノブN4をレベル「11」まで下げた状態を示している。
この場合、最も高い音量設定値は、個別音量設定部FD1の「61」で、最も低い音量設定値は個別音量設定部FD4の「11」であり、これに相当する範囲にバランス操作範囲バーBAが表示される。そしてその中央にマスターノブNMが表示される。結果として、マスターノブNMは「−14」相当位置に表示される。この場合も、数値表示部LMは「±0」のままとしてもよい。
【0089】
音量バランスを保ったままでのマスターノブNMによる操作可能範囲は、各音声出力装置の音量設定の変化に応じて変化する。そこで、上記のように個別音量設定部FD1〜FD4の操作に応じて、バランス操作範囲バーBAの表示範囲や、マスターノブNMの表示位置も変更される。このように変更されることで、常に、ユーザは、マスターノブNMを用いた操作においてバランスが保たれるスライド範囲を視覚的に明確に認識できる。
なお、ここではバランス操作範囲バーBAがマスターノブNMの位置に連動する図9の例に則して述べたが、図10のようなバランス操作範囲バーBAが固定表示される例でも、その表示範囲、及びマスターノブNMの位置は、個別音量設定部FD1〜FD4の操作に応じて変更されることは同様である。マスターノブNMの操作において音量バランスを維持できる範囲は、各音声出力装置の音量設定状態により変換するためである。
【0090】
ここまでは、マスターノブNMの操作において音量バランス維持状態での操作及び表示態様を説明してきた。
即ちリモートコントローラ3の制御部41は、音量バランス維持状態では、マスター音量設定部FDMに対する操作が検出された場合に、検出されたマスターノブNMの操作量自体に対応する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から送信出力させる。
【0091】
より具体的には、マスターノブNMの操作量自体に対応する値を、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値に加減算して各音声出力装置の音量設定を変更する。
ここで、これまで説明してきた各図の例のように、マスター音量設定部FDMと、個別音量設定部FD1〜FD4のスライドバー長(可変ステップ数)が同じ(例えば共に101ステップ)であれば、検出されたマスターノブNMの操作量自体に対応する値とは、その操作量そのものの値(ステップ数)とする。この場合、マスターノブNMの操作量の値(ステップ数)を、各個別音量設定部FD1〜FD4において加減すればよい。
例えばマスターノブNMで「±0」から「+15」まで15ステップ音量増加させる操作が行われた場合、各個別音量設定部FD1〜FD4において音量設定値を+15(15ステップ分加算)すればよい。
またマスターノブNMで「±0」から「−10」まで10ステップ音量低下させる操作が行われた場合、各個別音量設定部FD1〜FD4において音量設定値を−10(10ステップ分減算)すればよい。
【0092】
一方、ここでいう検出されたマスターノブNMの操作量自体に対応する値とは、マスター音量設定部FDMと、個別音量設定部FD1〜FD4のスライドバー長(可変ステップ数)が異なれば、当該マスターノブNMの操作量に可変ステップ数の比に応じた値となる。
例えばマスター音量設定部FDMのスライドバーSLMの全長に相当する可変ステップ数が「100」で、個別音量設定部FD1〜FD4のスライドバーSL1〜SL4の全長に対応する可変ステップ数が1.5倍である「150」であるとする。
この場合、例えばマスターノブNMにより「±0」から「+10」まで10ステップ音量増加させる操作が行われた場合、各個別音量設定部FD1〜FD4において音量設定値を、10×1.5=15ということで、「+15」(15ステップ加算)すればよい。
また、例えばマスターノブNMにより「±0」から「−20」まで20ステップ音量低下させる操作が行われた場合、各個別音量設定部FD1〜FD4において音量設定値を、−20×1.5=−30ということで、「−30」(30ステップ減算)すればよい。
【0093】
つまり、いずれの場合であっても、音量バランス維持状態においては、
k=(個別音量設定部FD1〜FD4の可変ステップ数)/(マスター音量設定部FDMの可変ステップ数)
とした場合、
個別音量設定部の音量設定値の加減量=マスターノブ操作量×k
とする。
【0094】
<5.ノブロック操作>
続いてノブロック操作について説明する。
マスターノブNM或いはノブN1〜N4をタッチしてスライド操作することで、ユーザは一括音量設定や個別音量設定の操作を行うことができるが、タッチパネル画面である表示部45に、不用意に指などが触れて、予期せぬ音量可変設定が行われてしますこともあり得る。これは、ユーザが適切なバランスを考慮した音量設定操作を行った後であると、都合が悪い。
そこで、マスターノブNMやノブN1〜N4については、不用意に触れられてもスライドされないようなロック処理(操作を禁止する処理)を行うことができるようにしている。
【0095】
例えば図12Aは図7Bのように各音声出力装置の音量設定を行った後に、ノブN4をロックした状態を示している。
ユーザが、例えば任意のノブをタップ(指で軽く叩く)することで、そのノブがロックされるものとする。ユーザが、ノブN4をタップした場合、制御部41は、ノブN4をロック状態とする。表示上では図12Aに示すように、ノブN4の表示を、ロック状態とされたノブ表示に切り換える。また、図示のように数値表示部L4の数値を薄く表示する(例えば非アクティブな表示)としてもよい。また個別音量設定部FD4全体を非アクティブな表示としてもよい。
【0096】
制御部41は、ノブN4をロック状態としたら、その後、ノブN4に対するスライド操作を検知しても、その操作は無効として、音量設定変更や表示変更の処理は行わない。
他のノブN1〜N3、マスターノブNMについても同様である。例えばユーザがマスターノブNMをタップしたら、制御部41はマスターノブNMをロック状態とし、またマスターノブNMに関してロック状態であることを提示する表示に切り換える。
ユーザは、ノブのロック状態を解除する場合は、ロックされているノブを、再度タップすればよい。例えば図12Aの状態からノブN4のロックを解除するには、ノブN4の部分をタップする。すると制御部41は表示を図7Bの状態に戻し、また以降のノブN4に対する操作入力を、有効な操作入力として受け付けるようにする。
【0097】
また、例えば個別音量設定部FD1〜FD4の各ノブN1〜N4が、全てロックされた場合、マスターノブNMも自動的にロック状態としてもよい。ノブN1〜N4の全てがロックされている場合、つまり全ての音声出力装置の音量設定が固定されている場合は、マスターノブNMによる一括操作も行うことができず、従ってマスターノブNMの操作が無効であることをユーザに提示することが好適だからである。
【0098】
ところで、個別音量設定部FD1〜FD4のうち、一部のノブがロックで、一部のノブがロックされていないときに、マスターノブNMが操作された場合は、マスターノブNMによる操作は、ロックされていないノブに反映されるようにすればよい。
例えば図12AのようにノブN4がロックされ、ノブN1〜N3がロックされていない状態で、図12BのようにマスターノブNMが「−10」まで操作されたとする。
このとき、個別音量設定部FD4は連動させず、ノブN4の位置は固定のままとする。そして個別音量設定部FD1〜FD3について連動させ、各ノブN1〜N3の位置を、「−10」だけ下げた位置とする。また、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2Cに対して、音量設定を「−10」させる制御コマンドを送信する。
このように、一部がロックされていても、ロックされていない個別音量設定部があれば、それらがマスター音量設定部FDMの操作に応じて連動制御されるようにすることで、マスター音量設定部FDMを有効に利用でき、適切である。
【0099】
また、その場合、ロックされたノブ(音量設定がロックされた音声出力装置)を除いて、マスターノブNMによる一括制御が行われることになるが、するとそれは、ロックされた音声出力装置を除外しての、音量バランスを維持した音量設定可変操作となる。そこで、或るノブがロックされた場合、そのノブを除外した上で、最大設定値と最小設定値の範囲で、マスターノブNMのバランス操作範囲バーBAの表示(及びマスターノブNMの位置)を変更するようにしてもよい。
例えば図7Bの状態でノブN1がロックされた場合、ノブN1を除外すれば、最大設定値はノブN2によるレベル「50」となる。そこで最小設定値としてのノブN3のレベル「25」と、最大設定値のレベル「50」の範囲をバランス操作範囲バーBAで示すようにする。
もちろん、或るノブのロックが解除された場合も、それを含めることによって最大設定値と最小設定値の範囲が変われば、バランス操作範囲バーBAの表示及びマスターノブNMの位置の表示も変更する。
【0100】
<6.ミュート操作>
本実施の形態では、リモートコントローラ3を用いて、各音声出力装置の音量設定値を変更せずに、一時的にミュート(音量ゼロ)とする操作を可能とする。
上述のように、マスター音量設定部FDM、個別音量設定部FD1〜FD4には、ミュートボタンMTM、MT1〜MT4が設けられている。ユーザは、任意のミュートボタンをタップすることで、ミュート指示することができる。
【0101】
図13Aは、例えば図7Bの状態からユーザが個別音量設定部FD4のミュートボタンMT4をタップしたときの状態を示している。
ミュートボタンMT4のタップに応じて、制御部41は個別音量設定部FD4に対応するネットワークスピーカ2Dに対して、ミュートを指示する制御コマンドを送信する処理を行う。ネットワークスピーカ2Dの制御部21は、その制御コマンドの受信に応じて、アンプ部26をミュート(消音)制御する。つまりスピーカ部27からの出力音を停止させる。なお、これは、音量設定をゼロに変更するのではなく、音量設定はそのままで、音声出力を止める処理である。
またリモートコントローラ3の制御部41は個別音量設定部FD4におけるミュートボタンMT4の表示を、図14(a)のようにミュート状態であることを提示する表示に切り換える。
【0102】
他のミュートボタンMT1〜MT3がタップされた場合も、制御部41は、それぞれ対応する音声出力装置に対して同様の制御コマンドの送信及びミュートボタンMT1〜MT3の表示切換を行うこととなる。
【0103】
マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMがタップされた場合を図13Bに示す。本例では、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMが操作された場合は、全音声出力装置のミュート処理を行うこととする。
即ち制御部41は個別音量設定部FD1〜FD4に対応する再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれに対して、ミュートを指示する制御コマンドを送信する処理を行う。これによって各音声出力装置で、音量設定はそのままで、音声出力を止めるミュート処理が行われる。
また制御部41はミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示を、図13Bのようにミュート状態であることを提示する表示とする。
【0104】
なお、個別音量設定部FD1〜FD4のミュートボタンMT1〜MT4が、それぞれタップ操作されて、結果的に全ての音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)がミュートされた場合は、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態の表示に切り換えることが好適である。つまりその場合も、図13Bの状態とする。
【0105】
一方、ユーザは、ミュート解除したい場合は、ミュート状態のミュートボタンをタップすればよい。
例えば図13Aの状態からユーザが個別音量設定部FD4のミュートボタンMT4をタップすることで、ネットワークスピーカ2Dのミュートが解除される。
ミュート解除のためのミュートボタンMT4のタップに応じて、制御部41は個別音量設定部FD4に対応するネットワークスピーカ2Dに対して、ミュート解除を指示する制御コマンドを送信する処理を行う。ネットワークスピーカ2Dの制御部21は、その制御コマンドの受信に応じて、アンプ部26のミュートを解除する。これによりスピーカ部27から、その時点での音量設定に応じたレベルでの音声出力が再開される。
またリモートコントローラ3の制御部41は個別音量設定部FD4におけるミュートボタンMT4の表示を、図7Bのように通常状態の表示に切り換える。
【0106】
他のミュートボタンMT1〜MT3がミュート中にタップされた場合も、制御部41は、それぞれ対応する音声出力装置に対して同様のミュート解除の制御コマンドの送信及びミュートボタンMT1〜MT3の表示切換を行うこととなる。
【0107】
また、図13Bのように全ての音声出力装置がミュート状態とされ、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMがミュート状態で表示されている場合は、ミュートボタンMTMをタップすることで、一括してミュート解除できる。
即ち図13Bの状態から、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMが操作された場合は、制御部41は個別音量設定部FD1〜FD4に対応する再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれに対して、ミュート解除を指示する制御コマンドを送信する処理を行う。これによって各音声出力装置で、その時点での音量設定での音声出力が再開される。
また制御部41はミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示を、図7Bの通常状態であることを提示する表示に戻す。
【0108】
なお、例えば図14A,図14Bのように、一部又は全部がミュート状態であるときであっても、マスターノブNM又はノブN1〜N4を用いたユーザ操作が可能としてもよい。即ちユーザのノブスライド操作に応じて、各音声出力装置又は全体の音量設定を変更してもよい。その場合、変更された音量設定は、ミュートが解除された後に、出力音声として反映されるようにすればよい。
【0109】
<7.音量操作表示を用いた操作(非音量バランス維持状態)>
上述の音量バランス維持状態での操作については、各音声出力装置の音量が、音量バランスを保ったまま一括制御されるが、各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)の音量を、各装置間の音量バランスを崩してでも一括で制御したい場合もある。
そこで、上述した音量バランス維持状態での操作を越えて、さらにマスター音量設定部FDMの操作を行うことができるようにする。
【0110】
本実施の形態では、制御部41は、すべての個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定が、音量設定可変範囲の端点の状態とはなっていない際に、上述の音量バランス維持状態で制御を行う。つまりノブN1〜N4の全てが、スライドバーSL1〜SL4の端部(音量設定値が「0」又は「100」)とはなっていない状態で、マスターノブNMが操作されている場合である。
【0111】
一方、マスター音量設定部FDMの操作により、個別音量設定部FD1〜FD4のうちの1つが端点に達した場合(同時に達した場合、4つのうちの2つ或いは3つということもあり得る)、さらにマスター音量設定部FDMのマスターノブNMの操作方向が、同じ方向で進められた場合は、制御部41は非音量バランス維持状態に移行して、処理を進める。
つまり1つ、或いは同時の場合には複数としての一部の個別音量設定部が、その個別音量設定部の音量設定が端点の状態となった後、マスター音量設定部FDMに対する操作が、当該一部の個別音量設定部が端点に至った操作方向で行われたことを検知した場合、制御部41は音量バランス維持状態から非音量バランス維持状態に移行して処理を行う。
【0112】
そして制御部41は、非音量バランス維持状態では、マスター音量設定部FDMに対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更する。そして新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から各音声出力装置に送信出力させるようにする。
【0113】
なお以下では、個別音量設定部(FD1〜FD4)において、1つの個別音量設定部が端点に達した後の例で非音量バランス維持状態の処理を説明するが、一部複数(2つ又は3つ)の個別音量設定部が同時に端点に達した場合も、1つの個別音量設定部が端点に達した場合と同様に扱えばよい。
但し、全ての個別音量設定部FD1〜FD4が、端点に達した場合は、それ以上、その端点に達した方向性でのマスター音量設定部FDMの操作はできない、もしくは操作の意味がないため、その場合には以下説明する動作は行われない。
【0114】
図14Aは、例えば図7Bの状態から、ユーザがマスターノブNMを左側に−25の位置までスライド操作された状態を示している。
これは、再生装置1及びネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量バランスを維持した状態でのマスターノブNMの操作下限まで操作した状態である。この場合、個別音量設定部FD3の音量設定が端点であるレベル「0」に達している。
【0115】
先に述べたように、この場合にさらにユーザがマスターノブNMを左側に操作すると、音量バランスは維持できない。ところがそのような場合でも、残りの3つの装置を一括操作したいことはあるため、非音量バランス維持状態での処理を行う。
その場合、図14Bに示すようにマスター音量設定部FDMの操作可能量に対する検出された操作量の割合を、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値に乗算して各音声出力装置の音量設定を変更する。そして新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から送信出力させる。
例えば図14BにおいてマスターノブNMを、さらに左方向に、破線で示すマスターノブNM’の位置まで操作されるとする。
これは操作前の段階でのマスターノブNMの左方向への操作可能量を100%としたときに、その半分の50%分だけ操作した状態である。
マスター音量設定部FDMの操作可能量に対する検出された操作量の割合とは、この場合50%となる。
【0116】
制御部41は、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値については、非音量バランス維持状態に移行する際に、制御変更点情報として記憶する。
例えばこの図14Bの場合、制御変更点情報として、マスター音量設定部FDMの設定値「−25」と、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値「50」「25」「0」「15」をそれぞれ記憶する。
そしてマスターノブNMの操作割合である上記50%(=0.5)を、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値「50」「25」「0」「15」に乗算して、新たな個別音量設定部の音量設定値とする。
【0117】
なお制御部41は、制御変更点情報とは別に、各時点の音量設定値は継続して更新しながら記憶している。つまり音量バランス維持状態、非音量バランス維持状態にかかわらず、現在の各音声出力装置の音量設定値は記憶している。
【0118】
結局、マスターノブNMが左側へ、残りの操作可能量の50%操作された場合、各個別音量設定部FD1、FD2、FD4については、それぞれ音量設定値が現在の50%の値に変更されることになる。
例えば図15Aのように、マスターノブNMが「−25」から「−12」までとして50%減の操作がされた場合(説明上の例では割合や音量設定値における小数点以下は切り捨てとしている)、それに応じて、個別音量設定部FD1=「25」、FD2=「12」、FD4=「7」の状態に変化される。個別音量設定部FD3の音量設定値は「0」のままである。
【0119】
即ち、個々の個別音量設定部について、非音量バランス維持状態への移行の際に制御変更点情報として記憶した音量設定値を「VLc」とし、マスターノブNMの操作可能量に対する操作量の割合を「R」とした場合、個別音量設定部の新たな音量設定値VLnは、
VLn=VLc×R
とする。
割合Rは、制御変更点情報として記憶したマスター音量設定部FDMの設定値VMcと、マスターノブNM操作後のマスター音量設定部FDMの設定値VMnを用いて、
R=(VMn)/(VMc)
となる。
なお、VLcは個別音量設定部のマスターノブNMの操作直前の音量設定値とし、VMnもマスターノブNMの操作直前のマスター音量設定部FDMの設定値としてもよい。
【0120】
このような左方向(音量レベル0に向かう方向)への操作の場合、現在の音量設定値VLcが、各個別音量設定部の操作可能量となり、マスターノブNMの操作量の割合Rと同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値(VLc×R)を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更することとなる。
【0121】
結局、マスターノブNMの左方向への操作について、その操作割合に応じて各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値も変更していくことで、最終的にマスターノブNMをスライドバーSLMの左端にまで操作すると、全ての個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値が図15Bのように「0」となる。
つまり、音量バランスが崩れた後は、マスターノブNMの操作ステップ数ではなく、操作割合に応じて個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値を変更することで、マスターノブNMの操作により、全ての音声出力装置の音量をゼロとする状態に至ることができる。従って、ユーザは、マスターノブNMに指をあてて左端部まで移動させると、音声出力を行っている音声出力装置の出力音量を同時にレベル0となるようにフェードアウトさせることも可能となる。
【0122】
なお、ここではマスターノブNMを左側に操作する場合で説明したが、非音量バランス維持状態でマスターノブNMを右側に操作する場合、つまり音量最大値方向への操作の場合も、同様にマスターノブNMの操作可能量に対する操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定を変化させればよい。
マスターノブNMの右方向への操作の場合も、個別音量設定部FD1〜FD4の1つが、その音量設定値が端点である「100」に達した後は、さらにマスターノブNMが右側に操作された場合、非音量バランス維持状態で処理が行われる。
その場合、マスターノブNMの現在の位置からスライドバーSLMの右端までを操作可能量(100%)とし、実際の右側への操作量の割合を求め、当該割合に基づいて各個別音量設定部の音量設定値を更新し、表示もそれを示す状態とする。
【0123】
具体的には、個々の個別音量設定部について、非音量バランス維持状態への移行の際に制御変更点情報として記憶した音量設定値と「VLc」とし、マスターノブNMの操作可能量に対する操作量の割合を「R」とした場合、個別音量設定部の新たな音量設定値VLnは、
VLn=VLc+(VLmax−VLc)×R
とすればよい。VLmaxは、最大音量設定値(本例の場合「100」)である。
割合Rは、制御変更点情報として記憶したマスター音量設定部FDMの設定値VMcと、マスターノブNM操作後のマスター音量設定部FDMの設定値VMnを用いて、
R=(VMn−VMc)/(100−VMc)
となる。
なお、VLcは個別音量設定部のマスターノブNMの操作直前の音量設定値とし、VMnもマスターノブNMの操作直前のマスター音量設定部FDMの設定値としてもよい。
【0124】
このような右方向(音量レベル100に向かう方向)への操作の場合、(VLmax−VLc)が、各個別音量設定部の操作可能量となり、マスターノブNMの操作量の割合Rと同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値(VLmax−VLc)×Rを用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更することとなる。
【0125】
そしてこのように右方向へのマスターノブNMの操作により、音量バランスが崩れた後は、マスターノブNMの操作ステップ数自体ではなく、操作割合に応じて個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値を変更することで、マスターノブNMの操作により、全ての音声出力装置の音量を100とする状態に至ることができる。従って、ユーザは、マスターノブNMに指をあてて右端部まで移動させると、まだ最大出力に達していない残りの全ての音声出力装置の出力音量を、最大レベルにまで一括して徐々に増加させ、同時に最大音声出力レベルに到達させることが可能となる。
【0126】
非音量バランス維持状態では、以上のようにマスターノブNMの操作割合に応じて、端点に至っていない各個別音量設定部の音量設定値が増減される。
この非音量バランス維持状態の処理は、制御変更点情報として記憶した設定値に戻るまで継続する。
例えば図15Bのように、マスターノブNMを一旦左端まで操作した後、ユーザが図16Aのように、制御変更点情報として記憶した設定値の50%の位置まで右方向に移動させたとする。
この場合も上述と同様に、マスターノブNMの操作割合Rに応じて、上述のVLn=VLc×Rにより、各個別音量設定部の音量設定値が増減される。即ち、個別音量設定部FD1の音量設定値は、制御変更点情報に記憶された音量設定値の50%である「25」とされ、同様に個別音量設定部FD2、FD4の音量設定値はそれぞれ「12」「7」とされる。そして図16Aのようにこの状態が表示され、また各音声出力装置に、当該音量設定値を指示する制御情報が送信される。個別音量設定部FD3の音量設定値は「0」のままである。
【0127】
さらに、図16Bのように、マスターノブNMが、制御変更点情報として記憶した設定値「−25」まで操作された場合も同様に、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値はそれぞれ「50」「25」「0」「15」となる。
このように、非音量バランス維持状態においては、マスターノブNMの操作割合に応じて、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値が制御される。従って、先の図15のように非音量バランス維持状態で操作された後、マスターノブNMが右側に操作され、非音量バランス維持状態に至ったときの設定値に戻った時点(図16Bの時点)では、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量バランスは、非音量バランス維持状態に移行する際の音量バランスに復帰することとなる。
その後、さらにマスターノブNMが右に操作されると、制御部41は、音量バランス維持状態に遷移して処理を行う。即ち図7,図8で説明した動作となる。
【0128】
なお、或る個別音量設定部が設定値「100」となって端点に達し、非音量バランス維持状態で操作がされた後も同様である。即ちマスターノブNMが左側に操作され、制御変更点情報で記憶した設定値に戻った時点で、各音声出力装置の音量バランス状態が復活することとなる。その後さらにマスターノブNMが左側に操作される場合は、制御部41は音量バランス維持状態で図7,図8で説明した処理を行うこととなる。
【0129】
以上のように、マスターノブNMの操作により、或る1つの個別音量設定部(FD1〜FD4)が端点に達すると、それ以降の同方向(1つが端点に至った操作方向)のマスターノブNMの操作については、非音量バランス維持状態で処理が行われる。また、非音量バランス維持状態でのマスターノブNMの操作過程で、端点に至ったときの状態まで復帰し、さらにその同方向(復帰に至った方向)にマスターノブNMが操作されると、音量バランス維持状態で処理が行われる。
このような処理により、音量バランスが維持できる範囲では、マスターノブNMによる一括操作は音量バランスが維持された状態での一括操作となる。一方、個別音量設定部FD1〜FDのうちの1つが端点に達した後の同方向の操作は、音量バランスを崩しても一括操作が実行される。さらに、一旦音量バランスが崩されても、マスターノブNMの操作により元の音量バランスの状態に復帰できる。
これらにより、ユーザはストレスを感じずにマスターノブNMの操作を行って所望の一括操作を実行できることとなる。
【0130】
ところで、非音量バランス維持状態にあるときに、個別音量設定部FD1〜FD4のいずれかをユーザが操作した場合について、図17で説明しておく。なお、図17で説明する動作は、音声出力装置側で音量操作されて、その音量設定値の情報がリモートコントローラ3に受信された場合も同様である。
【0131】
図17Aは、図14A→図15Aの状態となった後に、ユーザが個別音量設定部FD4のノブN4を右側に動かした場合を示している。例えば音量設定値を「30」としたとする。
先の図15Aの動作は、個別音量設定部FD3が端点に達して非音量バランス維持状態に移行した後の状態であり、この図17Aは、端点に達した個別音量設定部FD3以外の個別音量設定部が操作された場合の例としている。
この場合、制御部41は、非音量バランス維持状態に移行したときに記憶した制御変更点情報のうちの個別音量設定部FD4の音量設定値を更新する。
即ち図17AのノブN4の操作後の時点でのマスター音量設定部FDMの設定値、及び個別音量設定部FD1〜FD4を、新たな制御変更点情報として更新すればよい。つまりこの時点で個別音量設定部FD3のみが端点に達したと考えて制御変更点情報を更新すればよい。その後、マスターノブNMが左側に操作された場合は、新たな制御変更点情報を用いて非音量バランス維持状態の処理が同様に行われればよい。
【0132】
このように、非音量バランス維持状態の移行のきっかけとなった、端点に至った個別音量設定部以外の個別音量設定部に対する操作が、非音量バランス維持状態において検出された場合、制御部41は、制御変更点情報を更新する。これにより、操作後の状態から、非音量バランス維持状態での処理や、或いは音量バランス維持状態への移行が同様に行われるようにできる。
【0133】
次に図17Bで、非音量バランス維持状態の移行のきっかけとなった、端点に至った個別音量設定部が、非音量バランス維持状態にあるときに操作された場合を述べる。
図17Bは、図14A→図15Aの状態となった後に、ユーザが個別音量設定部FD3のノブN3を右側に動かした場合を示している。例えば音量設定値を「0」から「25」としたとする。
この場合、制御部41は、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、音量バランス維持状態に移行する。
即ち図17Bは、個別音量設定部FD1〜FD4のうちで音量設定値が端点に達したものが存在しなくなった状態である。この場合、図7,図8で説明した音量バランス維持状態の動作に戻ればよい。つまりその後のマスターノブNMの操作は、図17Bの操作後の状態での音量バランスを維持した状態で行われる。
音量バランス維持状態に戻ったことをユーザに提示するため、バランス操作範囲バーBAも表示される。
【0134】
<8.処理例>
ここまで、リモートコントローラ3の音量操作表示70を用いたユーザ操作、制御コマンドの送信、及び表示の切換について述べてきた。
ここでは、上記の各動作を実現するためのリモートコントローラ3の制御部41の処理例を図18〜図22で説明する。
【0135】
図18〜図22の処理は表示部45に音量操作表示70を表示させている際の制御部41の処理例を示している。
図18のステップF101は、図6のように表示部45において音量操作表示70の表示を開始させる処理である。
ステップF101で音量操作表示70を表示させた後は、制御部41はステップF102,F103で、マスター音量設定部FDM又は個別音量設定部FD1〜FD4についてのユーザのタッチ操作の監視を行う。
さらにステップF130で、各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)からの音量設定の変更の情報が送受信部43で受信されたか否かを監視する。
【0136】
マスター音量設定部FDMについてのタッチ操作を検出した場合、制御部41はステップF104,F105,F106でその操作種別に応じて処理を分岐する。
上述してきたように、マスター音量設定部FDMについての操作としては、マスターノブNMのスライド操作、ミュートボタンMTMの操作、ロック操作(マスターノブNMのタップ操作)がある。
【0137】
制御部41は、ユーザのマスターノブNMのスライド操作を検知した場合は、処理をステップF104からF107に進め、まず現在マスターノブNMがロック状態(操作禁止)に設定されているか否かを確認する。
現在、ロック状態であるなら、今回検知したユーザのスライド操作は無効とし、特に操作に対する処理は行わずに、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0138】
マスターノブNMがロック状態でなければ、制御部41はステップF108に進み、ユーザの操作に対応する処理を行う。
まず、スライド操作量(及び方向)に応じて、各音声出力装置の音量設定値を更新する。そして、各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して、更新した音量設定値を指示する制御コマンドの送信を行う。
また、マスターノブNMのスライド操作に応じた表示変更制御を行う。即ちマスターノブNMのスライドに応じたノブ位置及び数値表示部LMの数値の変更を行う。また音量バランス維持状態であればバランス操作範囲バーBAの表示位置の変更を行う。またマスターノブNMのスライドに応じた、個別音量設定部FD1〜FD4におけるノブN1〜N4の位置の移動、数値表示部L1〜L4の数値の変更を行う。
なお、個別音量設定部FD1〜FD4におけるノブN1〜N4の一部がロック状態であるときは、そのロックされている個別音量設定部については表示変更は行わず、また音量設定値の更新と対応する音声出力装置への制御コマンドの送信は行わない。
【0139】
図22に、このステップF108の具体的な処理例を示す。
制御部41はステップF201で、まず今回検出されたマスターノブNMの操作が、非音量バランス維持状態へ移行すべき操作か否かを判別する。即ち、1つの個別音量設定部FD1〜FD4の1つが端点に達した後に、その端点に達した際の方向への操作であるか否かを確認する。
このような場合、制御部41は、ステップF202で、非音量バランス維持状態に移行し、また今回の操作前の時点でのマスター音量設定部の設定値及び個別音量設定部FD1〜FD4の各音量設定値を、制御変更点情報を記憶する。
【0140】
また制御部41は、今回検出されたマスターノブNMの操作が、非音量バランス維持状態へ移行すべき操作ではなければ、ステップF201からF203に進み、今回検出されたマスターノブNMの操作が、音量バランス維持状態へ移行すべき操作か否かを判別する。
即ち、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値が、制御変更点情報として記憶した値に復帰した後に、その復帰した際の方向への操作であるか否かを確認する。
このような場合、制御部41は、ステップF204で、音量バランス維持状態に移行し、またそれまで記憶していた制御変更点情報をクリアする。
【0141】
またステップF201,F203の判断にいずれも該当しない場合とは、音量バランス維持状態で処理を継続する場合と、非音量バランス維持状態で処理を継続する場合である。
【0142】
ステップF205では、制御部41は現在の状態が非音量バランス維持状態であるか否かにより処理を分岐する。
音量バランス維持状態で処理を継続中の場合、或いはステップF204で音量バランス維持状態に移行した場合は、制御部41は処理をステップF207に進める。
この場合、制御部41はマスターノブNMの操作量自体に対応する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して送信出力させる。
また、マスターノブNMのスライド操作に応じた表示変更制御を行う。即ちマスターノブNMのスライドに応じたノブ位置及び数値表示部LMの数値の変更を行う。また個別音量設定部FD1〜FD4における新たな音量設定値に基づいてノブN1〜N4の位置の移動、数値表示部L1〜L4の数値の変更を行う。また、その時点のマスターノブNMの位置に応じた、バランス操作範囲バーBAの表示を行う。
即ち図7,図8で説明した動作の処理を行う。
【0143】
一方、非音量バランス維持状態で処理を継続中の場合、或いはステップF202で非音量バランス維持状態に移行した場合は、制御部41は処理をステップ205からF207に進める。
この場合、制御部41はマスターノブNMの操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部FD1〜FD4の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定を変更する。そして新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して送信出力させる。
また、マスターノブNMのスライド操作に応じた表示変更制御を行う。即ちマスターノブNMのスライドに応じたノブ位置及び数値表示部LMの数値の変更を行う。また個別音量設定部FD1〜FD4における新たな音量設定値に基づいてノブN1〜N4の位置の移動、数値表示部L1〜L4の数値の変更を行う。
バランス操作範囲バーBAの表示は実行しないようにする。これは非音量バランス維持状態を示す意味である。
即ち図14,図15で説明した動作の処理を行う。
【0144】
マスターノブNMのスライド操作時には、制御部41は以上の図22の処理を、図18のステップF108として行って、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0145】
制御部41は、ユーザのミュートボタンMTMのタップ操作を検知した場合は、処理をステップF105からF109に進め、まず現在ミュートボタンMTMがミュート状態、つまり全音声出力装置がミュート状態とされているか否かを確認する。
現在、ミュート状態でなければ、今回検知したユーザのタップ操作はミュート操作と認識し、ステップF110でミュート処理を行う。即ち制御部41は各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して、ミュート指示の制御コマンドの送信を行う。なお、既にミュートされている音声出力装置がある場合は、その音声出力装置に対するミュートコマンドは送信しなくてもよい。
また、ミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示変更制御を行う。即ちミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示を図13Bのようにミュート状態を示す表示に変更する。
制御部41は、ステップF110でこのようなミュート処理を行ったら、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0146】
一方、制御部41はステップF109で現在ミュート状態であると判断したら、今回検知したユーザのタップ操作はミュート解除操作と認識し、ステップF111でミュート解除処理を行う。
即ち制御部41は各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して、ミュート解除の制御コマンドの送信を行う。
また、ミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示変更制御を行う。即ちミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示を図13Bの状態から図7Bのように通常の状態に戻すように制御する。
制御部41は、ステップF111でこのようなミュート解除処理を行ったら、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0147】
制御部41は、ユーザのロック操作(マスターノブNMのタップ操作)を検知した場合は、処理をステップF106からF112に進め、まず現在マスターノブNMがロック状態(操作禁止状態)であるか否かを確認する。
現在、ロック状態でなければ、今回検知したユーザのタップ操作はロック操作と認識し、ステップF113でマスターノブNMのロック処理を行う。即ち制御部41はマスターノブNMのスライド操作を禁止状態とする。またマスターノブNMをロック状態の表示とし、また数値表示部LMを非アクティブ状態の表示とする制御を行って、ユーザにロック状態を提示する。
そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
このようにステップF113でロック状態とされることで、以降、マスターノブNMのスライド操作が検知されても、上述のステップF107で操作無効とされることになる。
【0148】
制御部41はステップF112で現在はマスターノブNMがロック状態であると判断した場合は、今回検知したユーザのタップ操作はロック解除操作と認識し、ステップF114に進む。ここで制御部41は個別音量設定部FD1〜FD4のノブN1〜N4の全てがロック状態であるか否かを判別する。
本例では、ノブN1〜N4の全てがロック状態のときは、マスターノブNMもロック状態になるようにしている。逆に言えば、ノブN1〜N4が全てロック状態となったときは、マスターノブNMを自動的にロック状態とする。
このことから、ノブN1〜N4が全てロック状態であるときは、マスターノブNMについてロック解除操作が行われても、マスターノブNMもロック状態を解除しないこととする。
そこで、ステップF114で全ノブN1〜N4がロック状態である場合は、マスターノブNMもロック解除操作を無効とし、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0149】
またステップF114で全ノブN1〜N4のうち、1つでもロック状態でないものがある場合は、マスターノブNMもロック解除操作を受け付ける。このため制御部41はステップF115に進み、ロック解除処理を行う。即ち制御部41はマスターノブNMのスライド操作の禁止状態を解除する。またマスターノブNMと数値表示部LMを通常の表示に戻す制御を行って、ユーザにロック解除を提示する。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0150】
以上は、マスター音量設定部FDMの操作を検出した場合の処理である。
ユーザの操作が個別音量設定部FD1〜FD4に対する操作であった場合は、制御部41の処理はステップF103から図19の処理に進み、制御部41はステップF116,F117,F127でその操作種別に応じて処理を分岐する。
上述してきたように、個別音量設定部FD1〜FD4についての操作としては、ノブN1〜N4のスライド操作、ミュートボタンMT1〜MT4の操作、ロック操作(ノブN1〜N4のタップ操作)がある。
【0151】
なお、以下ではxは「1」〜「4」のいずれかを示すものとし、例えばNxはノブN1〜N4のいずれかで操作されたもの、Lxは数値表示部L1〜L4のいずれか、MTxはミュートボタンMT1〜MT4のいずれかで操作されたものを示すものとする。
【0152】
制御部41は、ユーザのノブNxのスライド操作を検知した場合は、処理をステップF116からF118に進め、まず、その操作されたノブNxがロック状態(操作禁止)に設定されているか否かを確認する。
現在、ロック状態であるなら、今回検知したユーザのスライド操作は無効とし、特に操作に対する処理は行わずに、図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0153】
スライド操作されたノブNxがロック状態でなければ、制御部41はステップF119に進み、ユーザの操作に対応する処理を行う。
まず、スライド操作量(及び方向)に応じて、対応する音声出力装置の音量設定値を更新する。そして、その音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのいずれか)に対して、更新した音量設定値を指示する制御コマンドの送信を行う。
また、ノブNxのスライド操作に応じた表示変更制御を行う。即ちノブNxのスライドに応じたノブ位置の変更、数値表示部Lxの数値の変更を行う。
また音量バランス維持状態であるときは、ノブNxの移動によって、図11で述べたように、マスター音量設定部FDMにおけるバランス操作範囲バーBAの範囲及びマスターノブNMの位置が変更される場合がある。その場合は、バランス操作範囲バーBA及びマスターノブNMの表示変更制御も行う。
【0154】
ノブNxのスライド操作時には、制御部41は以上のステップF119の処理を行ったら、次に図20に示すステップF140に進む。
ステップF140で制御部41は、現在非音量バランス維持状態であるか否かを確認する。
現在、非音量バランス維持状態ではなく、音量バランス維持状態であれば、そのまま図20の処理を終え、図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0155】
現在、非音量バランス維持状態であれば、制御部41はステップF141で、今回操作されたノブNxが、非音量バランス維持状態への移行のきっかけとなった端点到達ノブであったか否かを確認する。
操作されたノブNxが端点到達ノブであった場合、制御部41はステップF142に進み、音量バランス維持状態へ移行するとともに、非音量バランス維持状態に移るときに記憶した制御変更点情報をクリアする。つまり図17Bで説明した処理を行う。そして図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0156】
また操作されたノブNxが端点到達ノブ以外のノブであった場合、制御部41はステップF143に進み、制御変更点情報を更新する。つまり図17Aで説明した処理として、操作後の各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値、及びマスター音量設定部の設定値を新たな制御変更点情報とする。そして図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0157】
ユーザの操作が個別音量設定部FD1〜FD4に対する操作であって図19の処理に進んだ場合において、制御部41が、ユーザのミュートボタンMTxのタップ操作を検知した場合は、処理をステップF117からF120に進める。まず制御部41は現在ミュートボタンMTxがミュート状態、つまり対応する音声出力装置がミュート状態とされているか否かを確認する。
現在、ミュート状態でなければ、今回検知したユーザのタップ操作はミュート操作と認識し、ステップF121でミュート処理を行う。即ち制御部41は、ミュートボタンMTxに対応する音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのいずれか)に対して、ミュート指示の制御コマンドの送信を行う。
また、ミュートボタンMTxの表示変更制御を行う。即ちミュートボタンMTxの表示を図13AのミュートボタンMT4のようにミュート状態を示す表示に変更する。
【0158】
このように或る音声出力装置に対するミュート処理を行ったら、制御部41はステップF122で、その時点で全ての音声出力装置がミュート状態になったか否かを確認する。本例では、全音声出力装置がミュート状態になったときは、自動的にマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態とするものとする。そこで全音声出力装置がミュート状態になっていれば制御部41はステップF123に進み、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態とする。つまり図13Bの状態とする。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0159】
また、少なくとも1つの音声出力装置がミュート状態でなければ、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMに対する処理は行わずに、ステップF122からステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0160】
一方、制御部41はステップF120で、操作されたミュートボタンMTxに対応する音声出力装置が現在ミュート状態であると判断したら、今回検知したユーザのタップ操作はミュート解除操作と認識し、ステップF124でミュート解除処理を行う。
即ち制御部41は、そのミュートボタンMTxに対応する音声出力装置に対して、ミュート解除の制御コマンドの送信を行う。
また、ミュートボタンMTxの表示を通常の状態に戻すように制御する。
【0161】
制御部41は、ステップF124でこのようなミュート解除処理を行ったら、ステップF125でマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMの状態を確認する。
本例では、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMがミュート状態とされるのは、上記ステップF123又はF110である。つまり全音声出力装置がミュート状態になったとき、或いは全音声出力装置をミュート状態とするときに、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態となる。
このミュートボタンMTMは、個別音量設定部FD1〜FD4において1つでもミュート解除されたら、自動的にミュート解除されるようにする。
そこで、ステップF125でマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態であった場合は、今回のステップF124でのミュート解除に応じて、ステップF126でマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート解除状態とする処理を行う。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
なお、ステップF125でマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMがミュート状態でなければ、そのままステップF125からステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0162】
制御部41は、ユーザのロック操作(ノブNxのタップ操作)を検知した場合は、処理をステップF127からF128に進め、まず現在、ノブNxがロック状態(操作禁止状態)であるか否かを確認する。
現在、ロック状態でなければ、今回検知したユーザのタップ操作はロック操作と認識し、ステップF130でノブNxのロック処理を行う。即ち制御部41はノブNxのスライド操作を禁止状態とする。またノブNxをロック状態の表示とし、また数値表示部Lxを非アクティブ状態の表示とする制御を行って、ユーザにロック状態を提示する。
【0163】
また上述したように本例では、ノブN1〜N4の全てがロック状態となったときは、自動的にマスターノブNMもロック状態になるようにする。そこで制御部41はステップF131では、今回のステップF130でのロック処理により全個別音量設定部FD1〜FD4のノブN1〜N4が全てロック状態となったか否かを判断する。全ノブN1〜N4がロック状態でなったのであれば、制御部41はステップF132に進んで、マスターノブNMもロック状態とし、マスターノブNMのロック表示、及び数値表示部LMの非アクティブ表示の制御を行う。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
ステップF131で少なくとも1つのノブがロック状態でなければ、ステップF132の処理は行わずにステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0164】
制御部41はステップF128で、現在はノブNxがロック状態であると判断した場合は、今回検知したユーザのタップ操作はロック解除操作と認識し、ステップF129に進む。そして制御部41はノブNxのスライド操作の禁止状態を解除する。またノブNxと数値表示部Lxを通常の表示に戻す制御を行って、ユーザにロック解除を提示する。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0165】
制御部は、図18のステップF130で、或る音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信したことを検知した場合は、図21の処理を行う。つまり再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのいずれかが、その装置側で音量操作された場合である。
この場合制御部41は図21のステップF150で、受信した音量設定の情報に応じて、その音声出力装置(当該音声出力装置に対応する個別音量設定部FDx)の音量設定値を更新する。そしてそれに応じて表示を変更する。つまり新たな音量設定値に応じたノブNxの位置の変更、数値表示部Lxの数値の変更を行う。
【0166】
次に制御部41はステップF151で、現在非音量バランス維持状態であるか否かを確認する。
現在、非音量バランス維持状態ではなく、音量バランス維持状態であれば、そのまま図21の処理を終え、図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0167】
現在、非音量バランス維持状態であれば、制御部41はステップF152で、今回音量設定が変更されたのは、非音量バランス維持状態への移行のきっかけとなった端点到達ノブの個別音量設定部FDxに対応する音声出力装置であるか否かを確認する。
端点到達ノブに対応する音声出力装置であった場合、制御部41はステップF153に進み、音量バランス維持状態へ移行するとともに、非音量バランス維持状態に移るときに記憶した制御変更点情報をクリアする。つまり図17Bで説明した処理を行う。そして図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0168】
また今回音量設定が変更されたのが端点到達のノブの個別音量設定部FDx以外に対応する音声出力装置であった場合、制御部41はステップF154に進み、制御変更点情報を更新する。つまり図17Aで説明した処理として、変更後の各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値、及びマスター音量設定部の設定値を新たな制御変更点情報とする。そして図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0169】
以上の図18〜図22の処理をリモートコントローラ3の制御部41が行うことで、図6〜図17で説明してきた、ユーザのタッチ操作等に対応した制御コマンドの送信や表示制御が実行されることになる。
このような本実施の形態によれば、ユーザは、リモートコントローラ3を用いて、次のような操作が可能となる。
【0170】
まず、家庭内ネットワークシステムにおける複数の音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)の出力音量、つまり各部屋A,B,C,Dでの音量を個別に制御できる。これは個別音量設定部FD1〜FD4のノブN1〜N4の操作で可能となる。
また、各音声出力装置の音量操作を、個別にノブN1〜N4に対するロック操作で禁止し、また解除できる。
また、各音声出力装置の各音量設定をそのままに、ミュートボタンMT1〜MT4で、一時的に音声出力を停止させ、またミュートを解除できる。
また、マスターノブNMの操作により、各音声出力装置の音量バランスを維持したまま、各音声出力装置の音量設定を一括して制御できる。
また、そのうえで、音量バランスを維持できない範囲でもマスターノブNMの操作で一括音量制御を行うこともでき、例えば一括したフェードアウト、フェードイン、最大レベルまでの大音量化なども可能となる。
さらに一旦非音量バランス維持状態となっても、個別音量設定部FD1〜FD4の操作が行われない限り、つまりユーザが敢えて音量バランスを変化させることを行わない限り、元の音量バランス維持状態に戻ることができる。このため、ユーザは音量バランス維持を強く意識せずに、マスターノブNMの操作を行うことができる。
また、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMの操作により、全音声出力装置を一括してミュート状態としたり、ミュート解除できる。
また、ユーザは、音量操作表示70により、常に各音声出力装置の音量設定状態を確認できることになる。
またバランス操作範囲バーBAの表示により、ユーザは音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を容易に認識できる。さらに音量バランス維持状態においては、バランス操作範囲バーBAによって、バランスを維持できるマスターノブNMの操作範囲を認識できる。従ってユーザが音量バランス維持を意識した操作を行う場合にも好適である。
本実施の形態では、これらの操作や確認が、PAシステムなどに見られる音響調整卓を用いることなく容易に可能となる。
【0171】
<9.変形例及びプログラム>
上記図6〜図17で例示し、また図18〜図22で示した処理例は一例に過ぎず、多様な変形例が例えば次のように想定される。
【0172】
上記例では、制御部41は、表示部45において、バランス操作範囲バーBAの表示の有無として、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態で異なる表示態様の表示を実行させる。これ以外に、バランス維持/非維持をユーザに認識させる表示は多様に考えられる。例えばマスター音量設定部FDMやスライドバーSLMの色を変えたり、バランス状態、或いは非バランス状態を示すマーク、文字等を表示させるなどしてもよい。いずれにしても、ユーザが音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を認識できる表示であればよい。
【0173】
また、マスターノブNMのロック操作に関しては、ノブN1〜N4のロックを連動させても良い。
即ち、図18のステップF113では、マスターノブNMをロック状態とするだけでなく、ノブN1〜N4を全て一括してロック状態とするようにしてもよい。
またステップF114の判断を無くし、ステップF115では、マスターノブNMに対するロック解除が行われることに応じて、ノブN1〜N4の全ても同時にロック解除されるようにしてもよい。
このようにすることで、マスターノブNMのロック/ロック解除操作で、一括ロック/ロック解除ができるようになり、便利となる。
【0174】
また、図19のステップF129で或るノブNxのロック解除を行った結果、全てのノブN1〜N4がロックされていない状態になり、そのときにマスターノブNMがロックされている場合は、自動的にマスターノブNMもロック解除することも考えられる。
【0175】
またマスターノブNM、ノブN1〜N4のロック状態では、ノブだけが操作禁止とするだけでなく、対応するミュートボタンMTM、MT1〜MT4も操作が禁止されるようにしてもよい。その場合、マスター音量設定部FDMや個別音量設定部FD1〜FD4の全体を非アクティブにするような表示例も考えられる。
【0176】
またマスター音量設定部FDMの数値表示部LMでは、制御対象の個別音量設定部FD1〜FD4のうちで最大音量設定となっている値(Vmax)と最小音量設定となっている値(Vmin)の中間値(Vttl)として、
Vttl=(Vmax+Vmin)/2
の値を表示してもよい。
【0177】
マスター音量設定部FDMや個別音量設定部FD1〜FD4では、音量設定操作のためにマスターノブNMやノブN1〜N4を左右スライドさせる例としたが、上下スライドさせるものであったり、ダイヤル状の表示を回転させる操作表示とするなど、他の操作用の表示形態も考えられる。
【0178】
もちろん音量操作表示70のデザインや操作子形態は多様である。ネットワーク4上の音声出力機器の数や種類によっても異なるものとなる。
【0179】
また、実施の形態では、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を移行する処理例で説明したが、常に非音量バランス維持状態で動作する制御端末装置も考えられる。
つまり制御部41は常時、マスター音量設定部FDMの操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部FD1〜FD4の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から各音声出力装置に送信出力させる処理を行う例である。
【0180】
図23はその場合の例を示している。例えば図23AのようにマスターノブNMが左方向の破線で示すマスターノブNM’の位置まで50%操作されるとする。このとき、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値が、それぞれ「75」「50」「25」「40」であったとする。
この場合に、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値を50%変化させる。即ち個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値を、それぞれ「37」「25」「12」「20」とし、これを指示する制御信号を各音声出力装置に送信する。表示状態は図23Bのように、ノブN1〜N4を50%操作量の位置に移動させ、数値表示部L1〜L4の値を変更する。
音量バランスを常に維持しなくてよいという事情であれば、このように常時、上述した非音量バランス維持状態の処理を適用することとしてもよい。
もちろんユーザが任意に、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を切り換える動作モードと、常時、非音量バランス維持状態とするモードとを選択できるようにしてもよい。
【0181】
また実施の形態では、音楽コンテンツの配信システムにおける本開示の技術の適用例を述べたが、本開示の技術は他のシステムでも適用できる。
例えば家庭内ネットワークとして、ビデオコンテンツ、テキスト、ゲームデータなどの配信、同期再生を行うシステムの制御端末装置として、実施の形態のリモートコントローラ3と同様の装置が想定される。
【0182】
また、コンテンツ配信システム以外でも、ネットワーク接続された電子機器の制御に適用できる。例えばテレビジョン受像器、モニタディスプレイ、情報機器などの複数の機器がネットワーク接続されたシステムでの制御端末装置としても適用できる。
さらに、本開示の技術の適用は、必ずしもネットワーク接続されたシステムにも限られない。例えば、複数の音声出力装置に対して、赤外線や電波通信、もしくは有線で、直接制御コマンドの送信を行うことができるリモートコントローラ等の制御端末装置としても、本開示の技術は適用可能である。
【0183】
実施の形態のプログラムは、上述の非音量バランス維持状態の処理を、例えばCPU、DSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置に実行させるプログラムである。
即ちこのプログラムは、表示部に、複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させる処理を演算処理装置に実行させる。
また操作検出部によりマスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更する処理を演算処理装置に実行させる。
さらに変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送信部から音声出力装置に送信出力させる処理を演算処理装置に実行させる。
具体的には、実施の形態のプログラムは、図18〜図22で説明した処理を演算処理装置に実行させるプログラムとすればよい。
このようなプログラムにより、上述した音量制御を実行する装置を、演算処理装置を用いて実現できる。
【0184】
このようなプログラムは、リモートコントローラ3やコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magnet optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
またこのようなプログラムによれば、実施の形態の制御端末装置の広範な提供に適している。例えば携帯型情報処理装置、携帯電話機等にプログラムをダウンロードすることで、当該携帯型情報処理装置等を、本開示の制御端末装置とすることができる。
【0185】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1) 複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、
表示部と、
上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、
上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させるとともに、上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる制御部と、
を備えた制御端末装置。
(2)上記制御部は、
上記マスター音量設定部の操作に関して、各音声出力装置の音量バランス維持状態と、非音量バランス維持状態とで異なる制御を行うものとされ、
上記音量バランス維持状態では、上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、検出された操作量自体に対応する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させ、
上記非音量バランス維持状態では、上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる上記(1)に記載の制御端末装置。
(3)上記制御部は、
すべての上記個別音量設定部の音量設定が音量設定可変範囲の端点の状態とはなっていない際に、上記音量バランス維持状態で制御を行い、
一部の個別音量設定部の音量設定が上記端点の状態となった後、上記マスター音量設定部に対する操作が、上記一部の個別音量設定部が上記端点に至った操作方向で行われたことを検知した場合、上記音量バランス維持状態から上記非音量バランス維持状態に移行する上記(2)に記載の制御端末装置。
(4)上記制御部は、
上記音量バランス維持状態から上記非音量バランス維持状態への移行に付随して、当該移行時点の上記マスター音量設定部の設定値及び上記各個別音量設定部の音量設定値を、制御変更点情報として記憶する上記(3)に記載の制御端末装置。
(5)上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態での制御により、各個別音量設定部での音量設定が、上記制御変更点情報として記憶した音量設定値に復帰した後、上記マスター音量設定部に対する操作が、上記復帰に至った操作方向で行われたことを検知した場合、上記非音量バランス維持状態から上記音量バランス維持状態に移行する上記(4)に記載の制御端末装置。
(6)上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記操作検出部により、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部以外の個別音量設定部に対する操作が検出された場合、上記制御変更点情報を更新する上記(4)又は(5)に記載の制御端末装置。
(7)上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記操作検出部により、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部に対する操作が検出された場合、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、上記音量バランス維持状態に移行する上記(4)乃至(6)のいずれかに記載の制御端末装置。
(8)上記複数の音声出力装置から情報を受信する受信部をさらに備え、
上記制御部は、
上記受信部により音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信した場合、当該情報に応じて、当該情報にかかる音声出力装置についての個別音量設定部での音量設定を変更するとともに、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記受信した情報に応じて、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部以外の個別音量設定部についての音量設定を変更した場合は、上記制御変更点情報として記憶した当該個別音量設定部に関する音量設定値を、当該音量設定の変更に応じて更新する上記(4)乃至(7)のいずれかに記載の制御端末装置。
(9)上記複数の音声出力装置から情報を受信する受信部をさらに備え、
上記制御部は、
上記受信部により音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信した場合、当該情報に応じて、当該情報にかかる音声出力装置についての個別音量設定部での音量設定を変更するとともに、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記受信した情報に応じて、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部についての音量設定を変更した場合、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、上記音量バランス維持状態に移行する上記(4)乃至(8)のいずれかに記載の制御端末装置。
(10)上記制御部は、上記表示部において、上記音量バランス維持状態と上記非音量バランス維持状態で異なる表示態様の表示を実行させる上記(2)乃至(9)のいずれかに記載の制御端末装置。
(11)上記制御部は、上記音量バランス維持状態においては、各音声出力装置の音量バランスを維持できる上記マスター音量設定部の操作範囲を示す表示を上記表示部において実行させる上記(2)乃至(10)のいずれかに記載の制御端末装置。
(12)上記複数の音声出力装置は、オーディオソース機器を含むネットワークに接続されており、上記オーディオソース機器から共通に配信されるオーディオコンテンツを再生出力するものとされており、
上記送信部は、上記ネットワークを介した通信で、各音声出力装置に対して制御信号を送信出力する上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の制御端末装置。
【符号の説明】
【0186】
1 再生装置、2,2A,2B,2C ネットワークスピーカ、3 リモートコントローラ、4 ネットワーク、5 アクセスポイント、41 制御部、42 コマンドメモリ、43 送受信部、44 表示駆動部、45 表示部、46 タッチパネルセンサ、47 位置検出部、70 音量操作表示、FDM マスター音量設定部、FD1〜FD4 個別音量設定部、NM マスターノブ、N1〜N4 ノブ、LM,L1〜L4 数値表示部、MTM、MT1〜MT4 ミュートボタン、BA バランス操作範囲バー
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の音声出力装置の音量設定状態を制御することのできる制御端末装置と制御方法、及びプログラムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2005−80265号公報
【特許文献2】特開2006−339709号公報
【背景技術】
【0003】
例えば複数チャンネルの音声信号が入力されるミキサー機器などでは、上記特許文献1,2のように、マスターフェーダーによって各チャンネルの音量バランスを保ったまま、ミックス後の音量レベルを制御するものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ミキサーのような各チャンネルの音声信号のミックス後のレベルを制御するものではなく、個別の音声出力装置の音量をそれぞれ適切に制御するものは開発されていない。
例えばホームネットワークシステムでは、各部屋に配置されたそれぞれの音声出力装置が、1つのソース機器から配信される音楽コンテンツ等を受信し、それぞれが再生出力する。これにより各部屋で同じ音楽が流れている状況を作り出すことができる。
【0005】
このようなシステムでは、以下のような状況が想定される。
・複数の各音声出力装置の音量を個別に制御したい。
・複数の音声出力装置の音量を、各音声出力装置間の音量バランスを崩さずに一括して制御したい。
・複数の音声出力装置の音量を、各音声出力装置間の音量バランスを崩してでも一括で制御したい。
【0006】
本開示では、例えばこれらのような状況に対応して、容易に複数の音声出力装置の音量制御を行うことができる制御端末装置、制御方法を提供することを目的とする。
特に、例えばホームネットワークシステムなど、一般にPA(パブリックアドレス)用途などで用いられる音響調整卓(ミキサー)が存在しない環境において、複数の音声出力装置の音量制御を適切に行うことができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の制御端末装置は、複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、表示部と、上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させるとともに、上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる制御部とを備える。
【0008】
本開示の制御方法は、複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、表示部と、上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部とを備えた制御端末装置による制御方法である。そして上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させ、上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力する。
本開示のプログラムは、以上の制御方法の処理を演算処理装置に実行させるプログラムである。
【0009】
これらの本開示の技術では、制御端末装置の表示部において、例えばネットワーク上に配置された複数の音声出力装置に個別に対応する複数の個別音量設定部と、1つのマスター音量設定部を表示する。
ユーザは、個別音量設定部に対する操作で、各音声出力装置の音量を増減させる操作を行うことができる。さらにマスター音量設定部に対する操作で、各音声出力装置の音量バランスを維持又は非維持の状態で、複数の音声出力装置の音量を増減させる操作を行うことができる。
特にマスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更(音量の増減)を行う。音量バランスを崩しても一括操作したい場合、このような制御により、各音声出力装置に対する音量制御をスムースに実行できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、制御端末装置を用いて、ネットワーク上の複数の音声出力装置に対する個別の音量操作や一括した音量操作を容易に実行できる。特に一括した音量操作についてはマスター音量設定部の操作により、音量調整が円滑に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の実施の形態の基本構成のブロック図である。
【図2】実施の形態のホームネットワークシステムの説明図である。
【図3】実施の形態の再生装置のブロック図である。
【図4】実施の形態のネットワークスピーカのブロック図である。
【図5】実施の形態のリモートコントローラのブロック図である。
【図6】実施の形態のリモートコントローラの説明図である。
【図7】実施の形態の音量操作表示の説明図である。
【図8】実施の形態のマスター音量設定部の操作に応じた表示状態の説明図である。
【図9】実施の形態の音量バランス維持範囲の表示例の説明図である。
【図10】実施の形態の音量バランス維持範囲の他の表示例の説明図である。
【図11】実施の形態の音量バランス維持範囲の変化及びノブの中央表示の説明図である。
【図12】実施の形態のノブロック操作の説明図である。
【図13】実施の形態のミュート操作の説明図である。
【図14】実施の形態の非音量バランス維持状態の操作の説明図である。
【図15】実施の形態の非音量バランス維持状態の操作の説明図である。
【図16】実施の形態の非音量バランス維持状態の操作の説明図である。
【図17】実施の形態の非音量バランス維持状態の他のノブの操作時の状態の説明図である。
【図18】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図19】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図20】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図21】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図22】実施の形態の操作対応処理のフローチャートである。
【図23】実施の形態の他の動作例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.基本構成>
<2.ホームネットワークシステム>
<3.機器構成>
[3−1:再生装置]
[3−2:ネットワークスピーカ]
[3−3:リモートコントローラ]
<4.音量操作表示を用いた操作(音量バランス維持状態)>
<5.ノブロック操作>
<6.ミュート操作>
<7.音量操作表示を用いた操作(非音量バランス維持状態)>
<8.処理例>
<9.変形例及びプログラム>
【0013】
<1.基本構成>
図1に本開示の技術が用いられる実施の形態としての基本的なシステム構成例を示す。
ここでは、ソース部SCとして音楽コンテンツ等を出力する機器を示している。このソース部SCから出力される音楽コンテンツ等は、各アンプAMP1〜AMP4に供給される。
各アンプAMP1〜AMP4は、受信した音楽コンテンツを、スピーカSP1〜SP4から音声出力する。
【0014】
各アンプAMP1〜AMP4に対しては、コントローラCTLによって音量制御が行われる。ユーザは、コントローラCTLを操作することで、各アンプAMP1〜AMP4のそれぞれに個別に音量操作を行ったり、或いは一括して音量操作を行うことができる。
特に一括した音量操作の場合は、各アンプAMP1〜AMP4の音量バランスを維持したまま、もしくは音量バランスを崩してでも、各アンプAMP1〜AMP4の音量設定を変化させることができる。
【0015】
例えばホームネットワークシステム(家庭内ネットワーク)の例を後述するが、図1の各アンプAMP1〜AMP4は、それぞれ別々の部屋に配置されている別体の音声出力装置と考えることができる。
各部屋では、部屋の広さ、スピーカ性能、設置場所、部屋毎の雰囲気設定などにより、ユーザが音楽等に求める最適な音量は異なる。
このため、各アンプAMP1〜AMP4は、それぞれ異なる音量設定としたい。つまり、各アンプAMP1〜AMP4を、それぞれ個別にコントローラCTLから制御したい。
さらに、例えばそのように個別に音量設定した状態で、各アンプAMP1〜AMP4での相対的な音量バランスを維持しながら、全アンプAMP1〜AMP4を一括して音量増減を行いたい場合もある(音量バランス維持状態での操作)。
さらには、各アンプAMP1〜AMP4での相対的な音量バランスを崩してでも、各アンプAMP1〜AMP4を一括して音量増減を行いたい場合もある(非音量バランス維持状態での操作)。
【0016】
本実施の形態では、複数の音声出力装置で同一の音楽等を同期再生出力させる環境において、コントローラCTLに相当する機器により、上記のようなユーザの要望に沿った操作手法を提供する。
【0017】
<2.ホームネットワークシステム>
例えば上記図1の基本構成の実際の態様となる家庭内ネットワークシステムの構成を図2で説明する。
図2では、或る家屋において、部屋A,B,C,Dの4部屋で、家庭内ネットワークシステムを使用する例を示している。
ここで「家庭内ネットワークシステム」と呼んでいるが、もちろん本例のシステムが使用される場所は「家庭」に限られない。例えば会社、学校、公共施設などでも使用可能である。また、必ずしも同一の建物内の「部屋」でなくとも、敷地内の庭、ガレージ、倉庫など、屋外や別の建物内も、ここでいう「部屋」と考えて良い。つまり本例の場合、或る部屋の1つの電子機器がサーバとなった他の各電子機器に同一の音楽コンテンツや映像コンテンツを配信し、各「部屋」で視聴できるようにするものであるが、同一のコンテンツを配信する先の「部屋」は多様に考えられる。但し本例の場合は、インターネット等の公衆ネットワークで実行されるような広い範囲での配信ではなく、或る程度狭い範囲での配信を行うシステムと考えることが適切である。
なお実施の形態の説明では、音楽コンテンツの配信を行うシステムとして説明していく。
【0018】
実施の形態の家庭内ネットワークシステムは、各部屋に配置された各種の電子機器が通信網(ネットワーク)4を介して相互に通信可能に構成される。
図2では、比較的シンプルな例を示している。
【0019】
この図2の例では、部屋Aには再生装置1が配置されている。
また部屋Bには、ネットワークスピーカ2Bが配置されている。
また部屋Cには、ネットワークスピーカ2Cが設置されている。
また部屋Dには、ネットワークスピーカ2Dが設置されている。
【0020】
またここでは部屋Aには表示機能及びタッチパネル機能を備えたリモートコントローラ3が配置されているとしている。
例えばこのリモートコントローラ3は無線又は有線で通信可能なアクセスポイント5を介してネットワーク4上の各機器と通信し、制御コマンドを送信したり、各機器の情報、例えば各機器の音量設定情報を取得すること等ができる。
ユーザはリモートコントローラ3を用いて、各部屋A〜Dの各機器の音量調整などを行うことができる。
なおアクセスポイント5の設置位置は部屋Aに限られるものではない。またアクセスポイント5とリモートコントローラ3の間の通信範囲が広ければ、どの部屋でもリモートコントローラ3を用いて各機器を操作することも可能であるし、アクセスポイント5を各部屋に配置するということも考えられる。
また、リモートコントローラ3は、再生装置1に対する入力機器とし、再生装置1に対する制御コマンドを送信し、さらにネットワーク4上の他の機器に再生装置1を介して制御コマンドを送信できる装置としても良い。
【0021】
再生装置1は、例えば音楽コンテンツの再生部やスピーカ部等を備え、独自に音楽等の再生を行うことができる機器である。
再生装置1は、コンテンツデータを、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、複数毎の光ディスク、例えばCD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc(登録商標))等を収納した交換型光ディスクプレーヤなどから再生する。
そして再生した音楽コンテンツデータを、内蔵スピーカや接続されたスピーカ等から出力できる。
その一方で再生装置1は、ネットワーク4で各機器と通信可能とされることで、サーバ装置として機能できる。即ち再生装置1はサーバ装置として、ネットワーク4上の他の装置(ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して再生した音楽コンテンツデータを配信することができる。
【0022】
ネットワークスピーカ2B、2C、2Dはアンプ及びスピーカ部を備えた音声出力機器であるが、特にネットワーク通信機能を備え、システム上でクライアント装置として機能できる機器である。
例えば再生装置1がシステム上のサーバとなった場合、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dは再生装置1から配信されてくる音楽コンテンツを受信し、音楽として出力することができる。
【0023】
ネットワーク4は、例えば家庭内の通信が可能とされる有線又は無線の伝送路により構成される。
例えば有線の場合、電灯線、テレビ用RFケーブル、DLNA(Digital Living Network Alliance)、HDMI(High Definition Multimedia Interface)などが考えられる。また無線の場合、無線LAN(IEEE802.11x(=a,b,g,n..))、ブルートゥース(Blue tooth)、2.4GHz帯を用いた他の通信方式などが考えられる。
【0024】
本実施の形態では、この家庭内ネットワークシステムにおいて、再生装置1がサーバとなり、他のクライアント装置(ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して音楽コンテンツを同期配信し、同時に再生させるというシステム動作を行う状況を想定して説明する。家庭内ネットワークにおけるいわゆるパーティモードの動作である。
【0025】
なお、各装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)は、それぞれ他の装置がどの部屋に設置されているかを認識できているものとする。例えば再生装置1は、ネットワークスピーカ2Bが部屋Bに設置されていること等を認識している。
これは各機器を設置した時にユーザが各機器の部屋(ゾーン)を設定することで可能である。
また、タッチパネルで操作可能なGUI(グラフィックユーザインターフェース)付きのリモートコントローラ3にも、予めネットワーク3上にどのような機器が配置されているかを登録しておくようにしておく。
【0026】
ここで、図1の基本構成との対応を述べると次のようになる。
例えば、ソース部SCとして、サーバとなる再生装置1が相当する。また、アンプAMP1及びスピーカSP1は、再生装置1の音声出力系(図3で述べる再生処理部16,アンプ部17,スピーカ部20)と考えればよい。
アンプAMP2及びスピーカSP1は、ネットワークスピーカ2Bと考えることができる。
アンプAMP3及びスピーカSP3は、ネットワークスピーカ2Cと考えることができる。
アンプAMP4及びスピーカSP4は、ネットワークスピーカ2Dと考えることができる。
コントローラCTLとして、リモートコントローラ3が相当する。
もちろん、家庭内ネットワークシステムの構成例は多様に考えられ、例えばサーバ及びクライアント機器として機能できる再生装置が複数設置されたり、サーバ専用の機器が設置されることもある。もちろん、より多数の部屋で多様な機器が配置されることもある。
従って図1,図2の構成は一例に過ぎないことはいうまでもない。
【0027】
ここで、リモートコントローラ3が、請求項でいう制御端末装置の例となる。
リモートコントローラ3は、複数の音声出力装置の出力音量を、ユーザ操作に応じて制御できる機器である。制御対象となる複数の音声出力装置とは、図1のアンプAMP1〜アンプAMP4であるが、従って図2でいえば、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dが相当することとなる。
そしてこのリモートコントローラ3を用いることで、各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)で同一の音楽コンテンツ等を同期再生出力する場合に、ユーザは以下の各場合に対応した操作を実行できる。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの各音量を個別に制御したい。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量を、各装置間の音量バランスを崩さずに一括して制御したい。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量を、各装置間の音量バランスを崩してでも一括で制御したい。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのうちの特定の装置の音量制御を一時的に抑止(操作不能と)したい。
・再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのうちの特定の装置を、音量設定をそのままにした状態で一時的に出力停止(ミュート)したい。
・ミュートされている再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dを一括でミュート解除したい。
【0028】
<3.機器構成>
[3−1:再生装置]
ネットワーク4に接続される各機器の構成例について説明する。まず、図3で再生装置1の構成例を述べる。
【0029】
再生装置1は、制御部11,コンテンツ格納/再生部12,メモリ部13,送信部14,受信部15、再生処理部16、アンプ部17、表示部18、パネル操作部19、スピーカ部20を備える。
【0030】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータにより構成される。
制御部11内のROMには、例えばCPUが実行すべきプログラムの他、再生動作、ネットワーク通信動作等のための各種の設定情報などが記憶される。RAMは、CPUのための主記憶装置部とされる。
この制御部11は、再生装置1が単体で再生動作を行う場合、サーバ装置として機能する場合、クライアント装置として機能する場合のそれぞれにおいて必要な動作を実行するよう再生装置全体を制御する。
例えばコンテンツ格納/再生部12での再生動作制御、送信部14,受信部15による通信動作などを制御する。
【0031】
メモリ部13は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの記憶部を総括的に示している。このメモリ部13は制御部11の処理のワーク領域として用いられたり、プログラムの格納領域として用いられても良い。また配信動作のための各種の設定情報、パラメータ等を記憶することにも用いられる。
またメモリ部13は、サーバ装置として機能する時の配信のためにコンテンツ格納/再生部12で再生されたコンテンツデータの送信バッファとしても用いられたり、クライアント装置として機能するときにコンテンツデータの受信バッファとして用いられることもある。
【0032】
コンテンツ格納/再生部12は、各種コンテンツデータを再生することができる装置部である。コンテンツデータは、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスクなどに格納されている。コンテンツ格納/再生部12は、制御部11の指示に基づき、これらの記憶媒体からのコンテンツデータの再生を行う。従って、コンテンツ格納/再生部12は、例えばHDD、フラッシュメモリプレーヤ、光ディスクプレーヤ、交換型光ディスクプレーヤなどとして実現される。
【0033】
送信部14及び受信部15は、ネットワーク4を介した他の装置との間での通信部として機能する。
送信部14は、この再生装置1がサーバ装置として機能する場合、制御部11の制御に基づき、主にコンテンツ格納/再生部12で再生されたコンテンツデータについて所定のエンコードを行い、ネットワーク送信、つまりクライアント装置となるネットワークスピーカ2B、2C、2Dへの配信を行う。
【0034】
受信部15は、ネットワーク4上の他の機器から送信されてくる情報の受信を行う。リモートコントローラ3からの制御コマンドが受信された場合は、受信部15はその制御コマンドの信号をデコードし、受信情報内容を制御部11に伝達する。
また図2の例では他にサーバ装置は存在しないが、他のサーバ装置が接続され、この再生装置1がクライアント装置として機能する場合もある。その場合、受信部15は、サーバ装置から送信されてくる信号、例えば配信されているコンテンツデータや、その他の各種の指示信号などの受信を行う。そして受信した信号をデコードする。配信によるコンテンツデータの受信の際には、受信して通信方式に対するデコード処理を行ったコンテンツデータ(ストリームデータ)を、制御部11の制御に基づき例えばメモリ部13に転送してバッファリングさせる。
例えばこのような処理を行うため、送信部14及び受信部15は、ネットワーク4での有線又は無線での通信方式に対応したエンコード、デコード、及び送受信処理を行う。
【0035】
再生処理部16は、コンテンツ格納/再生部12で再生したコンテンツデータや、配信により受信したコンテンツデータについて、再生出力のための処理を行う。
図2のシステムにおいて各音声出力装置で音楽コンテンツ等を同期再生する場合、制御部11は、コンテンツ格納/再生部12で再生したコンテンツデータを、送信部14から各ネットワークスピーカ2B、2C、2Dに配信させるが、この再生装置1でも再生出力させる。その場合、制御部11は、コンテンツ格納/再生部12で再生したコンテンツデータを再生処理部16に転送させて、再生出力処理を実行させる。
再生処理部16はコンテンツデータに対して出力のための処理、例えば圧縮処理に対するデコード、エラー訂正などを行い、音声信号(例えばL、Rチャンネルのステレオ音声信号)をアンプ部17に供給する。
アンプ部17では、音量制御、イコライジング、D/A変換処理などを行い、音声信号をスピーカ部20に供給して、例えば音楽等の出力を実行させる。
制御部11は、例えばリモートコントローラ3からの制御コマンドに応じてアンプ部17での音量制御を行う。
【0036】
なお、この例では出力デバイスとしてアンプ部17及びスピーカ部20による音声出力系のみを示しているが、もちろん家庭内ネットワークシステムでは映像コンテンツの同期再生を行うこともある。その場合には出力デバイスとして例えばモニタディスプレイ装置などが設けられる。
また、出力デバイスとしてのスピーカ部20やモニタディスプレイ装置等は、再生装置1としての筐体に一体的に設けられても良いが、別体機器とされても良いことは当然である。
【0037】
表示部18は、例えば再生装置1の筐体上に設けられる小型の表示パネルであり、制御部11の制御により、動作状態表示やメニュー表示、アイコン表示、イコライザ表示、タイトル表示、メッセージ表示などを行う。表示部18は、例えば液晶パネルや有機ELパネルなどで構成される。
なお、これらの表示を、出力デバイスとして接続されたモニタディスプレイ装置を用いて行うこともでき、その場合、表示部18を設けないことも考えられる。
【0038】
操作部19は、例えば再生装置1の筐体上に設けられる操作キー、ジョグダイヤルなどの操作子を総括的に示している。なお、表示部18、或いは出力デバイスとして接続されたモニタディスプレイ装置においてタッチパネル入力が可能とされる場合、そのタッチパネル機構も、操作部19の一つとなる。
また、図示していないが、再生装置1に専用のリモートコントローラが設けられる場合、そのリモートコントローラからの制御信号の受信部(例えば赤外線受信部、電波受信部、有線接続受信部等)も、操作部19の一つとなる。
ユーザは、操作部19の操作子の操作や、表示部18(又はモニタディスプレイ装置)のメニュー表示、アイコン表示に対するタッチパネル操作、さらには専用のリモートコマンダーを用いた操作により、各種の操作入力を行うことができる。
制御部11は、ユーザの操作入力に応じて、再生装置1内の動作制御や設定処理等を行ったり、送信部14から他の装置に対する信号送信処理を行う。
このようなユーザ操作に加えて、本実施の形態では、ユーザは、リモートコントローラ3によって再生装置1の出力音量設定の操作を行うことができる。
なお、以上の再生装置1の構成例は一例である。
【0039】
[3−2:ネットワークスピーカ]
続いて図4でネットワークスピーカ2(2B,2C,2D)の構成例について説明する。
ネットワークスピーカ2は、制御部21,再生処理部22,メモリ部23,送信部24,受信部25、アンプ部26、スピーカ部27を備える。
【0040】
制御部21は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータにより構成される。
制御部21内のROMには、例えばCPUが実行すべきプログラムの他、配信コンテンツの再生動作や他の装置との通信動作等のための各種の設定情報などが記憶される。RAMは、CPUのための主記憶装置部とされる。
この制御部21は、ネットワークスピーカ2がクライアント装置として機能するためにネットワークスピーカ2の動作を制御する。即ち配信されるコンテンツデータや制御コマンドの受信制御や、制御コマンドに応じた処理などを行う。
【0041】
メモリ部23は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの記憶部を総括的に示している。このメモリ部23は制御部21の処理のワーク領域として用いられたり、プログラムの格納領域として用いられても良い。また再生動作や通信動作のための各種の設定情報、パラメータ等を記憶することにも用いられる。
さらにメモリ部23は、受信したコンテンツデータのバッファメモリとしても用いられる。
【0042】
送信部24及び受信部25は、ネットワーク4を介した各装置との間での通信部として機能する。
受信部25は、再生装置1から送信されてくる信号、例えば配信されているコンテンツデータや、制御コマンドなどの受信を行う。そして受信した信号をデコードする。配信によるコンテンツデータの受信の際には、受信して通信方式に対するデコード処理を行ったコンテンツデータ(ストリームデータ)を、制御部21の制御に基づき例えばメモリ部23に転送してバッファリングさせる。
またリモートコントローラ3からの制御コマンドが受信されてきた場合は、受信部25はその信号をデコードし、受信情報内容を制御部21に伝達する。
送信部24は、制御部21の制御に基づき、他の装置への送信信号について所定のエンコードを行い、ネットワーク4に対する送信出力を行う。
このような処理を行うため、送信部24及び受信部25は、ネットワーク4での有線又は無線での通信方式に対応したエンコード、デコード、及び送受信処理を行うものとなる。
【0043】
再生処理部22は、受信したコンテンツデータについてスピーカ部27での再生出力のための処理を行う。例えば受信したコンテンツデータはメモリ部23にバッファリングされるが、バッファリングされたコンテンツデータを構成する各データは、逐次所定タイミングで再生処理部22に転送される。再生処理部22はコンテンツデータに対して出力のための処理、例えば圧縮処理に対するデコード、エラー訂正などを行い、音声信号(例えばL、Rチャンネルのステレオ音声信号)をアンプ部26に供給する。
アンプ部26では、音量制御、イコライジング、D/A変換処理などを行い、音声信号をスピーカ部27に供給して、例えば音楽等の出力を実行させる。
これにより、スピーカ部27から、配信された音楽コンテンツ等の音声が出力され、ユーザの聴取に供される。
制御部21は、例えばリモートコントローラ3からの制御コマンドに応じてアンプ部26での音量制御を行う。
【0044】
なお、スピーカ部27は、ネットワークスピーカ2としての筐体に一体的に設けられても良いが、別体機器とされても良い。特にステレオスピーカとしてL、Rチャンネルのスピーカを設ける場合、少なくともスピーカユニット部分は別体構成となることが通常である。
【0045】
この図4ではネットワークスピーカ2としての構成例を示したが、各ネットワークスピーカ2B、2C、2Dがそれぞれ上記同様の構成である必要はなく、他の部位が追加されたり、図4の一部の構成を備えない場合などもあり得る。
【0046】
[3−3:リモートコントローラ]
次にリモートコントローラ3の構成例を図5で説明する。
リモートコントローラ3は、制御部41、コマンドメモリ42、送受信部43、表示駆動部44、表示部45、タッチパネルセンサ46、位置検出部47を備える。
【0047】
制御部41はマイクロコンピュータにより構成される。
コマンドメモリ42は、ROM、不揮発性メモリ等で形成され、各種のコマンドコードを記憶する。
送受信部43は、コマンドコードを送信するための所定の通信方式に応じた変調、送信を行う。またネットワーク4上の各機器と通信を行い、各機器からの情報を受信することも行う。つまり送受信部43は、ネットワーク4上の各機器に対する送信部、及び受信部として機能する。
【0048】
このリモートコントローラ3では、ユーザ操作は、主にタッチパネル操作で行われる。このため表示部45が設けられ、表示部45の表示面上にはタッチパネルセンサ46が形成される。
表示部45は例えば液晶パネルや有機ELパネルなどとされ、その表示部45の表面に圧電センサや静電センサなどのタッチパネルセンサ46が設けられてタッチパネルが形成される。
表示部45には、例えば操作用のボタン、アイコン等が表示され、各種の操作入力が可能とされる。本実施の形態では、操作入力のための表示の一つとして、図6以降で述べるように、表示部45に音量操作表示70が行われ、ユーザはこれに対するタッチ操作で操作入力を行うことができる。
つまり、いわゆるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)としての機能でユーザに操作手段を提供するものとなる。
【0049】
表示部45は表示駆動部44によって表示駆動される。制御部41が表示データを表示駆動部44に与えることで、表示駆動部44は表示データに基づいて表示駆動信号を表示部45に与え、所定の画面表示を実行させる。例えば図6のような音量操作表示や、或いは他の各種の操作キー、アイコン表示、操作メニュー表示などを実行させる。
ユーザは表示内容に応じてタッチ操作を行う。タッチパネルセンサ46はタッチ操作の情報を位置検出部47に伝達する。位置検出部47は、そのユーザ操作(タッチ操作)の位置(表示面上のX−Y座標位置)を判別し、タッチ位置情報として制御部41に伝える。
【0050】
制御部41には、そのソフトウエアプログラムによって実現される機能構成として、コマンド読出部41a、送受信制御部41b、入力検知部41c、表示制御部41dが形成される。
入力検知部41cは、位置検出部47からのタッチ位置の情報を認識し、そのタッチ位置、或いはタッチ操作の軌跡により、ユーザの求める操作内容を判定する。
コマンド読出部41aは、入力検知部41cが判定した操作内容に応じてコマンドメモリ42からコマンドコードを読み出し、送受信制御部41bに供給する。
送受信制御部41bは、コマンド読出部41aが読み出したコマンドコードを送受信部43に送信させる制御を行う。この場合、送受信部43は、コマンドコードを変調し、所定の通信方式でネットワーク4上の制御対象機器に送信する。
また送受信制御部41bは送受信部43によってネットワーク4上の他の機器から送信されてきた情報、例えば各機器の現在の音量設定情報の受信処理を行う。各機器の音量設定情報については、後述する音量操作表示での表示内容に反映させる。
表示制御部41dは、表示部45での表示内容とする表示データを表示駆動部44に供給する。例えば操作アイコン表示、操作メニュー表示、音量操作表示などを表示部45で実行させる表示データを生成する。
また、表示制御部41dは、入力検知部41cで検知されたタッチ操作に応じて、表示画面上の表示内容を変化させる制御も行う。
【0051】
このリモートコントローラ3は、ユーザがタッチ操作を行うことに応じて、そのタッチ操作に応じたコマンドコードをコマンドメモリ42から読み出し、ネットワーク4上の所要の機器に対して制御コマンドとして送信する。
上述のように、このリモートコントローラ3が、請求項でいう制御端末装置に相当することとなる。
この図5の構成の場合、送受信部43が請求項でいう送信部、及び受信部に相当する。
また表示部45、表示駆動部44が請求項でいう表示部に相当する。
またタッチパネルセンサ46、位置検出部47、入力検知部41cが、請求項でいう操作検出部に相当する。
また、制御部41が請求項でいう制御部に相当する。
【0052】
<4.音量操作表示を用いた操作(音量バランス維持状態)>
本実施の形態では、リモートコントローラ3によって、ネットワーク4上の複数の音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対する音量制御を行うことができる。
ここではまず、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの各音量を個別に制御する場合、及び再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量を、各装置間の音量バランスを崩さずに一括して制御する場合について述べる。
なお、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量を、音量バランスを維持して一括制御する状態を、「音量バランス維持状態」ということとして、後述する「非音量バランス維持状態」と区別する。
【0053】
リモートコントローラ3の表示部45では、例えば図6に音量操作表示70として示すようなGUI表示が行われる。
この音量操作表示70としては、マスター音量設定部FDMと、個別音量設定部FD1〜FD4としての表示を含む。
個別音量設定部FD1〜FD4は、制御対象となる音声出力装置に対応するものとされる。つまり本例の場合、再生装置1に対応して個別音量設定部FD1が表示される。
またネットワークスピーカ2Bに対応して個別音量設定部FD2、ネットワークスピーカ2Cに対応して個別音量設定部FD3、ネットワークスピーカ2Dに対応して個別音量設定部FD4が、それぞれ表示される。
一方、1つのマスター音量設定部FDMが表示されるが、これは複数の音声出力装置の音量を一括制御するための表示とされる。
【0054】
マスター音量設定部FDMには、スライドバーSLMが含まれ、このスライドバーSLM上の設定位置がマスターノブNMで示される。マスターノブNMは、ユーザのタッチ操作により、スライドバーSLM上を左右に移動される。つまりマスターノブNMは、マスター音量設定部FDMにおけるスライド操作子となる。
【0055】
またマスター音量設定部FDMには、数値表示部LMが含まれる。この数値表示部LMでは、マスターノブNMのスライド位置に応じた数値、即ちマスター音量設定部FDMによる音量の設定変更量に応じた数値(設定値)が表示される。例えば図示のように、マスターノブNMがスライドバーSLM上の中央にあるときは、数値表示部LMには「±0」が表示される。
マスターノブNMを左側に移動させる操作は、複数の音声出力装置に対して設定音量を下げる操作となるが、そのようにマスターノブNMを左側にスライドさせた場合は、数値表示部LMは、「−1」・・・「−50」の表示が行われる。またマスターノブNMを右側にスライドさせ、設定音量を上げた場合は、数値表示部LMは、「+1」・・・「+50」の表示が行われる。
なお、これはスライドバーSLMの全長で101段階に音量設定を可変できるとした場合の例である。
【0056】
またマスター音量設定部FDMには、ミュートボタンMTMが含まれる。ユーザは、ミュートボタンMTMを操作することで、複数の音声出力装置に対して設定音量を変更しないままの状態での音声出力の停止(ミュート)を指示できる。
【0057】
一方、個別音量設定部(FD1〜FD4)にも、それぞれスライドバー(SL1〜SL4)、ノブ(N1〜N4)、数値表示部(L1〜L4)、ミュートボタン(MT1〜MT4)が含まれる。
【0058】
例えば個別音量設定部FD1について述べると、ユーザはスライドバーSL1上でノブN1を左右に移動させることで、対応する音声出力装置である再生装置1の出力音量の設定を増減させることができる。ノブN1を左側に移動させる操作は、再生装置1に対して設定音量を下げる操作となり、ノブN1を右側に移動させる操作は、再生装置1に対して設定音量を上げる操作となる。
スライドバーSL1では、ノブN1より左側の部分は、現在の音量設定が棒グラフ的に見えるようにして視覚的に分かりやすくするため、異なる色とされている。
【0059】
またスライドバーSL1の全長は、例えば「0」〜「100」までの101段階の音量設定に対応するものとされ、現在の音量設定値が数値表示部L1に表示される。この図6の場合、ノブN1はスライドバーSL1の中央にあるため、数値表示部L1には「50」と表示される。
またミュートボタンMT1は、対応する音声出力装置のミュート操作を行うための表示である。つまりユーザは、ミュートボタンMT1を操作することで、再生装置1に対して設定音量を変更しないままの状態での音声出力の停止(ミュート)を指示できる。
【0060】
このように個別音量設定部FD1を用いることで、ユーザは、再生装置1に対する出力音量設定の可変操作を行うことができるとともに、現在の音量設定状態を数値やスライドバー(ノブ位置)で一目で確認することができる。また、ミュート操作により、再生装置1を一時的に消音させるなども可能となる。
また個別音量設定部FD2〜FD4によっては、ユーザはネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれについて、任意に音量設定操作やミュート操作を行うことができ、また現在の音量設定状態を確認できる。
【0061】
音声出力装置個別の操作を図7Aに示す。
例えばユーザは、再生装置1の音量設定を上げたいと思った場合は、図のようにノブN1にタッチしながら、ノブN1をスライドバーSL1上で右に移動させる。
図5に示した制御部41は、このようなユーザ操作を検知することに応じて、表示上でノブN1がユーザの指について移動されていくようにし、数値表示部L1の数値も変化させる。また、その操作に応じて、制御部41は、再生装置1についての出力音量設定を内部的に更新すると共に、再生装置1に対して、その操作量に応じた分だけ上昇させる制御コマンド(更新された音量設定値を指示する制御コマンド)を送信する。
例えば図のように、ユーザがノブN1を「75」の位置まで移動させた場合、音量設定状態を「75」に相当するレベルまで上昇させる制御コマンドを再生装置1に送信する。再生装置1の制御部11は、この制御コマンドの受信に応じて、アンプ部17での出力音量設定を可変制御する。これにより、部屋Aにおける再生装置1の出力音量が「75」相当のレベルまで上昇される。
【0062】
ユーザは、このように個別音量設定部FD1〜FD4を用いることで、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの出力音量設定を、個別に調整できる。例えば部屋Cのネットワークスピーカ2Cの音量設定を下げたいときは、個別音量設定部FD3のノブN3を左にスライドさせればよい。これによってリモートコントローラ3からネットワークスピーカ2Cに、音量設定を低減させる制御コマンドが送信され、ネットワークスピーカ2Cの制御部21は、それに応じてアンプ部26での音量設定を低下させる制御を行う。
【0063】
即ちユーザは、各部屋A,B,C,Dの環境や配置状況、機器性能、部屋の使用目的などに応じて、それぞれの部屋で流れる音楽等の音量を調整できる。
例えば図7Bは、ユーザが個別音量設定部FD1〜FD4をそれぞれ用いて、各部屋の音量設定を行った状態を示している。
この場合、部屋Aの再生装置1はレベル「75」に、部屋Bのネットワークスピーカ2Bはレベル「50」に、部屋Cのネットワークスピーカ2Cはレベル「25」に、部屋Dのネットワークスピーカ2Dはレベル「40」に、それぞれ調整した状態である。
【0064】
なお、制御部41は、内部メモリ(例えば内部の不揮発性メモリ)に、各音声出力装置(個別音量設定部FD1〜FD4)の音量設定値を記憶し、操作に応じて更新する。そして記憶している音量設定値を、数値表示部L1〜L4に表示させることとなる。
各個別音量設定部FD1〜FD4においてノブ(N1〜N4)の位置及び数値表示部(L1〜L4)の値の表示状態が変化する場合とは、制御部41が、各音声出力装置について記憶している音量設定値を更新している場合となる。
【0065】
また、実際にはリモートコントローラ3による制御のみではなく、各部屋の音声出力装置側での音量操作も行われる。例えば音声出力装置本体の音量操作子の操作や、その音声出力装置に対応するリモートコントローラによる操作によるものである。
リモートコントローラ3は、各音声出力装置と送受信部43により通信を行い、各音声出力装置側で音量操作があったことも検知する。音声出力装置において音量操作が行われたことを検知した場合は、制御部41は、該当する音声出力装置の個別音量設定部についての音量設定値も更新し、かつ表示上も、その個別音量設定部のスライドバー上のノブ位置や数値表示部の表示も、実際の音声出力装置の音量設定状態に即して変化させる。
例えば図7Aは、ユーザが個別音量設定部FD1のノブN1を「75」の位置まで移動させた場合として説明したが、実際にユーザが再生装置1の本体の音量操作子を用いて、音量設定を「75」まで変化させたとしても、リモートコントローラ3における表示状態は図7Aのようになる。
これにより、リモートコントローラ3における音量操作表示70は、常に実際の音量設定を表す表示状態とされる。
【0066】
次にマスター音量設定部FDMの操作について説明する。
なお本例では、個別音量設定部FD1〜FD4の各音量設定値(ノブ位置)のいずれか1つが端点に達していない場合、マスター音量設定部FDMにより、音量バランス維持状態で一括音量制御が行われる。
なお「端点」とは、個別音量設定部(FD1〜FD4)のノブ(N1〜N4)が、スライドバー(SL1〜SL4)の端部に到達した状態を言い、つまり音量設定値が「0」又は「100」となった状態のことである。
後述するが、或る1つの個別音量設定部において「端点」に達した後、マスター音量設定部FDMに対する操作が、端点に達した当該1つの個別音量設定部が端点に至った操作方向で行われたことを検知した場合、音量バランス維持状態から非音量バランス維持状態に移行する。
個別音量設定部FD1〜FD4が、1つも端点に達してしない時点では、マスター音量設定部FDMによる操作は、音量バランス維持状態での一括音量操作となる。
【0067】
ユーザはマスター音量設定部FDMを用いることで、個別音量設定部FD1〜FD4が、対応する各部屋の音声出力装置の音量設定を、一括して増減させることができる。そして音量バランス維持状態での操作は、例えば図7Aのように各音声出力装置について設定した相対的な音量バランスを維持したままでの一括操作となる。
【0068】
例えば図8Aは図7Bの状態から、ユーザがマスターノブNMを左側に「−25」の位置までスライドさせた場合を示している。
リモートコントローラ3の制御部41は、マスターノブNMに対するユーザ操作を検知することに応じて、表示上でマスターノブNMが指について移動されていくようにし、数値表示部LMの数値も変化させる。さらに、各個別音量設定部FD1〜FD4については、ユーザのマスターノブNMの操作と同時に(或いはマスターノブNMの操作完了直後でもよい)、各ノブN1〜N4の位置を「−25」分、移動させ、数値表示部L1〜L4の数値も−25だけ減じた値とする。制御部41の内部的には、記憶している各音声出力装置の音量設定値を−25した値に更新することとなる。
そしてこのような表示制御と共に、制御部41は、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれに対して、出力音量設定を、その操作量、つまり「−25」だけ減少させる制御コマンドを送信する。
この制御コマンドを受信することで、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれは主力音量設定を可変する。これにより、部屋A、B、C、Dの各出力音量が、一括して「−25」分相当のレベルだけ低下される。
【0069】
また図8Bは図7Bの状態から、ユーザがマスターノブNMを右側に「+25」の位置までスライドさせた場合を示している。
リモートコントローラ3の制御部41は、マスターノブNMに対するユーザ操作を検知することに応じて、表示上でマスターノブNMが指について移動されていくようにし、数値表示部LMの数値も変化させる(各音量設定値を更新する)。さらに、各個別音量設定部FD1〜FD4については、ユーザのマスターノブNMの操作と同時に(或いはマスターノブNMの操作完了直後に)、各ノブN1〜N4の位置を「+25」分、移動させ、数値表示部L1〜L4の数値も25加算した値とする。
そしてこれらの表示制御と共に、制御部41は、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれに対して、出力音量設定を、その操作量、つまり設定音量の「+25」を指示する制御コマンドを送信する。
この制御コマンドを受信することで、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれは出力音量設定を可変する。これにより、部屋A、B、C、Dの各出力音量が、一括して「+25」分相当のレベルだけ上昇される。
【0070】
この図8A,図8Bの場合、いずれも、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの各音声出力装置間の相対的な音量バランスは維持された状態にある。
つまり、各音声出力装置の相対的な出力音量差は保たれている。
【0071】
本例では、制御部41は、音量バランス維持状態においては、各音声出力装置の音量バランスを維持できるマスター音量設定部FDMの操作範囲を示す表示を、表示部45において実行させる。
例えば図7B、図8A、図8Bでは、音量バランスを維持できるマスター音量設定部FDMの操作範囲を、バランス操作範囲バーBAとして表示する例を示している。
【0072】
このバランス操作範囲バーBAは、あたかもスライドバーSLM内でマスターノブNMが左右に棒を突出させたような表示とし、ユーザに、このバランス操作範囲BAがスライドバーSLMの端部に当接する範囲であれば、音量バランスが保たれていることをユーザに提示するものとされる。
【0073】
図9で説明する。図9Aは、マスターノブNMが「±0」の位置の状態である。この状態からマスターノブNMを左側にスライドさせた状態が図9Bであるが、このスライド操作は、バランス操作範囲バーBAがスライドバーSLMの左端に到達するところまで行われている。
またマスターノブNMを右側にスライドさせた状態が図8Cであるが、このスライド操作は、バランス操作範囲バーBAがスライドバーSLMの右端に到達するところまで行われている。
【0074】
バランス操作範囲バーBAは、マスターノブNMが、図8Bの状態から図8Cの状態の範囲内では、音量バランスが保たれることをユーザに提示する。
後述するが、図9Bの状態からさらに左方向へマスターノブNMが操作されると、非音量バランス維持状態の処理に移行する。その際には、図8Dに示すように、バランス操作範囲バーBAは表示されない状態となる。
同様に、図9Cの状態からさらに右方向へマスターノブNMが操作されると、非音量バランス維持状態の処理に移行する。その際には、図示しないが、バランス操作範囲バーBAは表示されない状態となる。
【0075】
従ってユーザは、バランス操作範囲バーBAが表示されている限りは、音量バランスが保たれたマスター操作が行われていることを知ることができる。加えて、バランス操作範囲バーBAにより、音量バランスを保つためには、マスターノブNMをどの位置までの操作が限度であるかを知ることができる。
【0076】
なお、バランス操作範囲バーBAは、音量バランスを保てる範囲を示すために、そのバーの長さ(表示範囲)は、図7Bのように、個別音量設定部FD1〜FD4での音量設定値に応じて決定される。即ち、バランス操作範囲バーBAの右端は、最も高い音量設定値(この例の場合個別音量設定部FD1の設定値)にあわせられ、バランス操作範囲バーBAの左端は、最も低い音量設定値(この例の場合個別音量設定部FD3の設定値)にあわせられる。
【0077】
上述の図9Bの状態は、バランス操作範囲バーBAの左端が、スライドバーSLMの左端に当接した状態であるが、これは例えばマスターノブNMによって一括音量設定が「−25」とされた状態である。
つまり音量操作表示70の全体で見れば、図8Aの状態である。このとき、最も低い音量設定である個別音量設定部FD3(ネットワークスピーカ2C)は、レベル「0」の状態にまで音量設定が低下されている。
すると、それ以上マスターノブNMを左側にスライドし、それに応じた制御コマンドを各音声出力装置に送信しても、ネットワークスピーカ2Cについては実際の出力音量は既にゼロであるため、さらに低下されることはなく、結局、再生装置1とネットワークスピーカ2B、2Dの設定音量が下げられることとなる。この場合、各音声出力装置間の音量バランスが崩れることとなる。
【0078】
また上述の図9Cの状態は、バランス操作範囲バーBAの右端が、スライドバーSLMの右端に当接した状態であるが、これは例えばマスターノブNMによって一括音量設定が「+25」とされた状態である。
つまり音量操作表示70の全体で見れば、図8Bの状態である。このとき、最も高い音量設定である個別音量設定部FD1(再生装置1)は、レベル「100」(最大レベル)の状態にまで音量設定が上昇されている。
すると、それ以上マスターノブNMを右側にスライドし、それに応じた制御コマンドを各音声出力装置に送信しても、再生装置1ではそれ以上の音量設定値のアップは行われず、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dの設定音量が上げられることとなる。この場合も、各音声出力装置間の音量バランスが崩れる。
【0079】
つまり、バランス操作範囲バーBAで提示される範囲のスライド操作であれば、音量バランスを維持した一括制御が可能であるということになる。
ユーザは、バランス操作範囲バーBAの表示で、マスターノブNMのスライド範囲を認識し、音量バランスを保った一括制御の操作を容易に実行できる。
【0080】
なお、ここまでは、音量バランスを維持できる操作範囲を明示する表示として、マスターノブNMに連動するバランス操作範囲バーBAの例を挙げたが、他の態様のバランス操作範囲バーBAの表示例も考えられる。
図10は、バランス操作範囲バーBAを、マスターノブNMには連動しない表示とする例を示している。
図10Aは、図7Bの状態におけるマスター音量設定部FDMを示している。
【0081】
この例の場合、バランス操作範囲バーBAは、その時点の個別音量設定部FD1〜FD4のノブの位置に応じて表示される(図7Bと同様)。但し、ユーザがマスターノブNMを操作しても、バランス操作範囲バーBAは移動しない。
例えば図10Bのように、ユーザがマスターノブNMを左に操作しても、バランス操作範囲バーBAの表示位置は図10Aと同じ位置となる。
もし、ユーザが、マスターノブNMをさらに左に操作すると、後述する非音量バランス維持状態となるが、その場合、図10Dのようにバランス操作範囲バーBAは消去される。同様に、ユーザが、マスターノブNMを、図10Aのバランス操作範囲バーBAを超えて右側に操作すると、その場合も非音量バランス維持状態となり、図10Cのようにバランス操作範囲バーBAは消去される。
【0082】
つまりこの例では、ユーザは、バランス操作範囲バーBAの表示の有無で、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を判別でき、バランス操作範囲バーBAが表示されている限りは、音量バランスが保たれたマスター操作が行われていることを知ることができる。加えて、音量バランスを保つためには、マスターノブNMをバランス操作範囲バーBAの範囲内で操作を行えばよいと理解できる。
【0083】
例えば以上の各例のように、制御部41は、表示部45において、バランス操作範囲バーBAの表示の有無として、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態で異なる表示態様の表示を実行させる。
また制御部41は、音量バランス維持状態においては、各音声出力装置の音量バランスを維持できるマスター音量設定部FDMの操作範囲を示す表示を、バランス操作範囲バーBAにより実行させる。
【0084】
なお、音量バランス維持状態において、各音声出力装置の音量バランスを維持できるマスター音量設定部FDMの操作範囲を示す表示は、さらに多様な例が考えられる。
バランス操作範囲バーBAは、スライドバーSLMの一部の色を変えるなどの態様で図9や図10の表示を行うものとするほか、例えばスライドバーSLM自体の長さを、音量バランスが維持できる範囲のみとするような例も考えられる。
また、図9,図10の例ではスライドバーSLM内にバランス操作範囲バーBAを表示する例としたが、スライドバーSLMに並べて、スライドバーSLMとは別にバランス操作範囲バーBAを表示してもよい。
いずれにしても、ユーザが音量バランスを維持できるマスターノブNMの操作範囲を知ることができる表示態様であればよい。
【0085】
以下、再び図9のようなバランス操作範囲バーBAを用いる例で説明を続ける。
図7Bで示したように、音量バランスを維持できる範囲は、個別音量設定部FD1〜FD4(各音声出力装置)の音量設定に応じて決まる。このため個別音量設定部FD1〜FD4のいずれかで音量設定が可変操作されることに応じて、マスター音量設定部FDMにおけるバランス操作範囲バーBAの長さやマスターノブNMの位置の表示も変化される。
【0086】
例えば図7Bの状態から、図11Aのようにユーザが個別音量設定部FD1のノブN1を操作したとする。例えば個別音量設定部FD1による再生装置1の音量設定をレベル「75」から「61」に低下させたとする。
この図11Aの状態では、最も高い音量設定値は、図7Bの場合と同じく個別音量設定部FD1の設定値であるが、その音量設定値自体がレベル「61」に低下されている。これに応じて、バランス操作範囲バーBAの左端は、個別音量設定部FD1のノブN1の位置に合わせた位置に変更される。バランス操作範囲バーBAの右端は個別音量設定部FD3のノブN3の位置のままである。
また同時に、マスターノブNMの位置は、バランス操作範囲バーBAで示される範囲の中央に配置されるようにする。そのため、この場合はマスターノブNMは「−9」相当位置に表示される。つまりマスターノブNMは、その左右のバランス操作範囲バーBAの延伸長が等しくなる位置とされる。
【0087】
なお、この図では、マスターノブNMの位置の変化に応じて数値表示部LMを「−9」としているが、この場合、実際にはマスターノブNMは操作されていないので、マスターノブNMの位置が「−9」相当位置であっても、数値表示部LMは「±0」のままとしてもよい。つまり、数値表示部LMの数値は、表示上のマスターノブNMの位置に対応させるか、或いは実際のマスターノブNMの操作量に応じた値にするかのいずれかとすればよい。
【0088】
また図11Bは、さらに図11Aの状態から、ユーザが個別音量設定部FD4のノブN4をレベル「11」まで下げた状態を示している。
この場合、最も高い音量設定値は、個別音量設定部FD1の「61」で、最も低い音量設定値は個別音量設定部FD4の「11」であり、これに相当する範囲にバランス操作範囲バーBAが表示される。そしてその中央にマスターノブNMが表示される。結果として、マスターノブNMは「−14」相当位置に表示される。この場合も、数値表示部LMは「±0」のままとしてもよい。
【0089】
音量バランスを保ったままでのマスターノブNMによる操作可能範囲は、各音声出力装置の音量設定の変化に応じて変化する。そこで、上記のように個別音量設定部FD1〜FD4の操作に応じて、バランス操作範囲バーBAの表示範囲や、マスターノブNMの表示位置も変更される。このように変更されることで、常に、ユーザは、マスターノブNMを用いた操作においてバランスが保たれるスライド範囲を視覚的に明確に認識できる。
なお、ここではバランス操作範囲バーBAがマスターノブNMの位置に連動する図9の例に則して述べたが、図10のようなバランス操作範囲バーBAが固定表示される例でも、その表示範囲、及びマスターノブNMの位置は、個別音量設定部FD1〜FD4の操作に応じて変更されることは同様である。マスターノブNMの操作において音量バランスを維持できる範囲は、各音声出力装置の音量設定状態により変換するためである。
【0090】
ここまでは、マスターノブNMの操作において音量バランス維持状態での操作及び表示態様を説明してきた。
即ちリモートコントローラ3の制御部41は、音量バランス維持状態では、マスター音量設定部FDMに対する操作が検出された場合に、検出されたマスターノブNMの操作量自体に対応する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から送信出力させる。
【0091】
より具体的には、マスターノブNMの操作量自体に対応する値を、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値に加減算して各音声出力装置の音量設定を変更する。
ここで、これまで説明してきた各図の例のように、マスター音量設定部FDMと、個別音量設定部FD1〜FD4のスライドバー長(可変ステップ数)が同じ(例えば共に101ステップ)であれば、検出されたマスターノブNMの操作量自体に対応する値とは、その操作量そのものの値(ステップ数)とする。この場合、マスターノブNMの操作量の値(ステップ数)を、各個別音量設定部FD1〜FD4において加減すればよい。
例えばマスターノブNMで「±0」から「+15」まで15ステップ音量増加させる操作が行われた場合、各個別音量設定部FD1〜FD4において音量設定値を+15(15ステップ分加算)すればよい。
またマスターノブNMで「±0」から「−10」まで10ステップ音量低下させる操作が行われた場合、各個別音量設定部FD1〜FD4において音量設定値を−10(10ステップ分減算)すればよい。
【0092】
一方、ここでいう検出されたマスターノブNMの操作量自体に対応する値とは、マスター音量設定部FDMと、個別音量設定部FD1〜FD4のスライドバー長(可変ステップ数)が異なれば、当該マスターノブNMの操作量に可変ステップ数の比に応じた値となる。
例えばマスター音量設定部FDMのスライドバーSLMの全長に相当する可変ステップ数が「100」で、個別音量設定部FD1〜FD4のスライドバーSL1〜SL4の全長に対応する可変ステップ数が1.5倍である「150」であるとする。
この場合、例えばマスターノブNMにより「±0」から「+10」まで10ステップ音量増加させる操作が行われた場合、各個別音量設定部FD1〜FD4において音量設定値を、10×1.5=15ということで、「+15」(15ステップ加算)すればよい。
また、例えばマスターノブNMにより「±0」から「−20」まで20ステップ音量低下させる操作が行われた場合、各個別音量設定部FD1〜FD4において音量設定値を、−20×1.5=−30ということで、「−30」(30ステップ減算)すればよい。
【0093】
つまり、いずれの場合であっても、音量バランス維持状態においては、
k=(個別音量設定部FD1〜FD4の可変ステップ数)/(マスター音量設定部FDMの可変ステップ数)
とした場合、
個別音量設定部の音量設定値の加減量=マスターノブ操作量×k
とする。
【0094】
<5.ノブロック操作>
続いてノブロック操作について説明する。
マスターノブNM或いはノブN1〜N4をタッチしてスライド操作することで、ユーザは一括音量設定や個別音量設定の操作を行うことができるが、タッチパネル画面である表示部45に、不用意に指などが触れて、予期せぬ音量可変設定が行われてしますこともあり得る。これは、ユーザが適切なバランスを考慮した音量設定操作を行った後であると、都合が悪い。
そこで、マスターノブNMやノブN1〜N4については、不用意に触れられてもスライドされないようなロック処理(操作を禁止する処理)を行うことができるようにしている。
【0095】
例えば図12Aは図7Bのように各音声出力装置の音量設定を行った後に、ノブN4をロックした状態を示している。
ユーザが、例えば任意のノブをタップ(指で軽く叩く)することで、そのノブがロックされるものとする。ユーザが、ノブN4をタップした場合、制御部41は、ノブN4をロック状態とする。表示上では図12Aに示すように、ノブN4の表示を、ロック状態とされたノブ表示に切り換える。また、図示のように数値表示部L4の数値を薄く表示する(例えば非アクティブな表示)としてもよい。また個別音量設定部FD4全体を非アクティブな表示としてもよい。
【0096】
制御部41は、ノブN4をロック状態としたら、その後、ノブN4に対するスライド操作を検知しても、その操作は無効として、音量設定変更や表示変更の処理は行わない。
他のノブN1〜N3、マスターノブNMについても同様である。例えばユーザがマスターノブNMをタップしたら、制御部41はマスターノブNMをロック状態とし、またマスターノブNMに関してロック状態であることを提示する表示に切り換える。
ユーザは、ノブのロック状態を解除する場合は、ロックされているノブを、再度タップすればよい。例えば図12Aの状態からノブN4のロックを解除するには、ノブN4の部分をタップする。すると制御部41は表示を図7Bの状態に戻し、また以降のノブN4に対する操作入力を、有効な操作入力として受け付けるようにする。
【0097】
また、例えば個別音量設定部FD1〜FD4の各ノブN1〜N4が、全てロックされた場合、マスターノブNMも自動的にロック状態としてもよい。ノブN1〜N4の全てがロックされている場合、つまり全ての音声出力装置の音量設定が固定されている場合は、マスターノブNMによる一括操作も行うことができず、従ってマスターノブNMの操作が無効であることをユーザに提示することが好適だからである。
【0098】
ところで、個別音量設定部FD1〜FD4のうち、一部のノブがロックで、一部のノブがロックされていないときに、マスターノブNMが操作された場合は、マスターノブNMによる操作は、ロックされていないノブに反映されるようにすればよい。
例えば図12AのようにノブN4がロックされ、ノブN1〜N3がロックされていない状態で、図12BのようにマスターノブNMが「−10」まで操作されたとする。
このとき、個別音量設定部FD4は連動させず、ノブN4の位置は固定のままとする。そして個別音量設定部FD1〜FD3について連動させ、各ノブN1〜N3の位置を、「−10」だけ下げた位置とする。また、再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2Cに対して、音量設定を「−10」させる制御コマンドを送信する。
このように、一部がロックされていても、ロックされていない個別音量設定部があれば、それらがマスター音量設定部FDMの操作に応じて連動制御されるようにすることで、マスター音量設定部FDMを有効に利用でき、適切である。
【0099】
また、その場合、ロックされたノブ(音量設定がロックされた音声出力装置)を除いて、マスターノブNMによる一括制御が行われることになるが、するとそれは、ロックされた音声出力装置を除外しての、音量バランスを維持した音量設定可変操作となる。そこで、或るノブがロックされた場合、そのノブを除外した上で、最大設定値と最小設定値の範囲で、マスターノブNMのバランス操作範囲バーBAの表示(及びマスターノブNMの位置)を変更するようにしてもよい。
例えば図7Bの状態でノブN1がロックされた場合、ノブN1を除外すれば、最大設定値はノブN2によるレベル「50」となる。そこで最小設定値としてのノブN3のレベル「25」と、最大設定値のレベル「50」の範囲をバランス操作範囲バーBAで示すようにする。
もちろん、或るノブのロックが解除された場合も、それを含めることによって最大設定値と最小設定値の範囲が変われば、バランス操作範囲バーBAの表示及びマスターノブNMの位置の表示も変更する。
【0100】
<6.ミュート操作>
本実施の形態では、リモートコントローラ3を用いて、各音声出力装置の音量設定値を変更せずに、一時的にミュート(音量ゼロ)とする操作を可能とする。
上述のように、マスター音量設定部FDM、個別音量設定部FD1〜FD4には、ミュートボタンMTM、MT1〜MT4が設けられている。ユーザは、任意のミュートボタンをタップすることで、ミュート指示することができる。
【0101】
図13Aは、例えば図7Bの状態からユーザが個別音量設定部FD4のミュートボタンMT4をタップしたときの状態を示している。
ミュートボタンMT4のタップに応じて、制御部41は個別音量設定部FD4に対応するネットワークスピーカ2Dに対して、ミュートを指示する制御コマンドを送信する処理を行う。ネットワークスピーカ2Dの制御部21は、その制御コマンドの受信に応じて、アンプ部26をミュート(消音)制御する。つまりスピーカ部27からの出力音を停止させる。なお、これは、音量設定をゼロに変更するのではなく、音量設定はそのままで、音声出力を止める処理である。
またリモートコントローラ3の制御部41は個別音量設定部FD4におけるミュートボタンMT4の表示を、図14(a)のようにミュート状態であることを提示する表示に切り換える。
【0102】
他のミュートボタンMT1〜MT3がタップされた場合も、制御部41は、それぞれ対応する音声出力装置に対して同様の制御コマンドの送信及びミュートボタンMT1〜MT3の表示切換を行うこととなる。
【0103】
マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMがタップされた場合を図13Bに示す。本例では、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMが操作された場合は、全音声出力装置のミュート処理を行うこととする。
即ち制御部41は個別音量設定部FD1〜FD4に対応する再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれに対して、ミュートを指示する制御コマンドを送信する処理を行う。これによって各音声出力装置で、音量設定はそのままで、音声出力を止めるミュート処理が行われる。
また制御部41はミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示を、図13Bのようにミュート状態であることを提示する表示とする。
【0104】
なお、個別音量設定部FD1〜FD4のミュートボタンMT1〜MT4が、それぞれタップ操作されて、結果的に全ての音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)がミュートされた場合は、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態の表示に切り換えることが好適である。つまりその場合も、図13Bの状態とする。
【0105】
一方、ユーザは、ミュート解除したい場合は、ミュート状態のミュートボタンをタップすればよい。
例えば図13Aの状態からユーザが個別音量設定部FD4のミュートボタンMT4をタップすることで、ネットワークスピーカ2Dのミュートが解除される。
ミュート解除のためのミュートボタンMT4のタップに応じて、制御部41は個別音量設定部FD4に対応するネットワークスピーカ2Dに対して、ミュート解除を指示する制御コマンドを送信する処理を行う。ネットワークスピーカ2Dの制御部21は、その制御コマンドの受信に応じて、アンプ部26のミュートを解除する。これによりスピーカ部27から、その時点での音量設定に応じたレベルでの音声出力が再開される。
またリモートコントローラ3の制御部41は個別音量設定部FD4におけるミュートボタンMT4の表示を、図7Bのように通常状態の表示に切り換える。
【0106】
他のミュートボタンMT1〜MT3がミュート中にタップされた場合も、制御部41は、それぞれ対応する音声出力装置に対して同様のミュート解除の制御コマンドの送信及びミュートボタンMT1〜MT3の表示切換を行うこととなる。
【0107】
また、図13Bのように全ての音声出力装置がミュート状態とされ、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMがミュート状態で表示されている場合は、ミュートボタンMTMをタップすることで、一括してミュート解除できる。
即ち図13Bの状態から、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMが操作された場合は、制御部41は個別音量設定部FD1〜FD4に対応する再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのそれぞれに対して、ミュート解除を指示する制御コマンドを送信する処理を行う。これによって各音声出力装置で、その時点での音量設定での音声出力が再開される。
また制御部41はミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示を、図7Bの通常状態であることを提示する表示に戻す。
【0108】
なお、例えば図14A,図14Bのように、一部又は全部がミュート状態であるときであっても、マスターノブNM又はノブN1〜N4を用いたユーザ操作が可能としてもよい。即ちユーザのノブスライド操作に応じて、各音声出力装置又は全体の音量設定を変更してもよい。その場合、変更された音量設定は、ミュートが解除された後に、出力音声として反映されるようにすればよい。
【0109】
<7.音量操作表示を用いた操作(非音量バランス維持状態)>
上述の音量バランス維持状態での操作については、各音声出力装置の音量が、音量バランスを保ったまま一括制御されるが、各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)の音量を、各装置間の音量バランスを崩してでも一括で制御したい場合もある。
そこで、上述した音量バランス維持状態での操作を越えて、さらにマスター音量設定部FDMの操作を行うことができるようにする。
【0110】
本実施の形態では、制御部41は、すべての個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定が、音量設定可変範囲の端点の状態とはなっていない際に、上述の音量バランス維持状態で制御を行う。つまりノブN1〜N4の全てが、スライドバーSL1〜SL4の端部(音量設定値が「0」又は「100」)とはなっていない状態で、マスターノブNMが操作されている場合である。
【0111】
一方、マスター音量設定部FDMの操作により、個別音量設定部FD1〜FD4のうちの1つが端点に達した場合(同時に達した場合、4つのうちの2つ或いは3つということもあり得る)、さらにマスター音量設定部FDMのマスターノブNMの操作方向が、同じ方向で進められた場合は、制御部41は非音量バランス維持状態に移行して、処理を進める。
つまり1つ、或いは同時の場合には複数としての一部の個別音量設定部が、その個別音量設定部の音量設定が端点の状態となった後、マスター音量設定部FDMに対する操作が、当該一部の個別音量設定部が端点に至った操作方向で行われたことを検知した場合、制御部41は音量バランス維持状態から非音量バランス維持状態に移行して処理を行う。
【0112】
そして制御部41は、非音量バランス維持状態では、マスター音量設定部FDMに対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更する。そして新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から各音声出力装置に送信出力させるようにする。
【0113】
なお以下では、個別音量設定部(FD1〜FD4)において、1つの個別音量設定部が端点に達した後の例で非音量バランス維持状態の処理を説明するが、一部複数(2つ又は3つ)の個別音量設定部が同時に端点に達した場合も、1つの個別音量設定部が端点に達した場合と同様に扱えばよい。
但し、全ての個別音量設定部FD1〜FD4が、端点に達した場合は、それ以上、その端点に達した方向性でのマスター音量設定部FDMの操作はできない、もしくは操作の意味がないため、その場合には以下説明する動作は行われない。
【0114】
図14Aは、例えば図7Bの状態から、ユーザがマスターノブNMを左側に−25の位置までスライド操作された状態を示している。
これは、再生装置1及びネットワークスピーカ2B、2C、2Dの音量バランスを維持した状態でのマスターノブNMの操作下限まで操作した状態である。この場合、個別音量設定部FD3の音量設定が端点であるレベル「0」に達している。
【0115】
先に述べたように、この場合にさらにユーザがマスターノブNMを左側に操作すると、音量バランスは維持できない。ところがそのような場合でも、残りの3つの装置を一括操作したいことはあるため、非音量バランス維持状態での処理を行う。
その場合、図14Bに示すようにマスター音量設定部FDMの操作可能量に対する検出された操作量の割合を、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値に乗算して各音声出力装置の音量設定を変更する。そして新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から送信出力させる。
例えば図14BにおいてマスターノブNMを、さらに左方向に、破線で示すマスターノブNM’の位置まで操作されるとする。
これは操作前の段階でのマスターノブNMの左方向への操作可能量を100%としたときに、その半分の50%分だけ操作した状態である。
マスター音量設定部FDMの操作可能量に対する検出された操作量の割合とは、この場合50%となる。
【0116】
制御部41は、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値については、非音量バランス維持状態に移行する際に、制御変更点情報として記憶する。
例えばこの図14Bの場合、制御変更点情報として、マスター音量設定部FDMの設定値「−25」と、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値「50」「25」「0」「15」をそれぞれ記憶する。
そしてマスターノブNMの操作割合である上記50%(=0.5)を、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値「50」「25」「0」「15」に乗算して、新たな個別音量設定部の音量設定値とする。
【0117】
なお制御部41は、制御変更点情報とは別に、各時点の音量設定値は継続して更新しながら記憶している。つまり音量バランス維持状態、非音量バランス維持状態にかかわらず、現在の各音声出力装置の音量設定値は記憶している。
【0118】
結局、マスターノブNMが左側へ、残りの操作可能量の50%操作された場合、各個別音量設定部FD1、FD2、FD4については、それぞれ音量設定値が現在の50%の値に変更されることになる。
例えば図15Aのように、マスターノブNMが「−25」から「−12」までとして50%減の操作がされた場合(説明上の例では割合や音量設定値における小数点以下は切り捨てとしている)、それに応じて、個別音量設定部FD1=「25」、FD2=「12」、FD4=「7」の状態に変化される。個別音量設定部FD3の音量設定値は「0」のままである。
【0119】
即ち、個々の個別音量設定部について、非音量バランス維持状態への移行の際に制御変更点情報として記憶した音量設定値を「VLc」とし、マスターノブNMの操作可能量に対する操作量の割合を「R」とした場合、個別音量設定部の新たな音量設定値VLnは、
VLn=VLc×R
とする。
割合Rは、制御変更点情報として記憶したマスター音量設定部FDMの設定値VMcと、マスターノブNM操作後のマスター音量設定部FDMの設定値VMnを用いて、
R=(VMn)/(VMc)
となる。
なお、VLcは個別音量設定部のマスターノブNMの操作直前の音量設定値とし、VMnもマスターノブNMの操作直前のマスター音量設定部FDMの設定値としてもよい。
【0120】
このような左方向(音量レベル0に向かう方向)への操作の場合、現在の音量設定値VLcが、各個別音量設定部の操作可能量となり、マスターノブNMの操作量の割合Rと同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値(VLc×R)を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更することとなる。
【0121】
結局、マスターノブNMの左方向への操作について、その操作割合に応じて各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値も変更していくことで、最終的にマスターノブNMをスライドバーSLMの左端にまで操作すると、全ての個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値が図15Bのように「0」となる。
つまり、音量バランスが崩れた後は、マスターノブNMの操作ステップ数ではなく、操作割合に応じて個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値を変更することで、マスターノブNMの操作により、全ての音声出力装置の音量をゼロとする状態に至ることができる。従って、ユーザは、マスターノブNMに指をあてて左端部まで移動させると、音声出力を行っている音声出力装置の出力音量を同時にレベル0となるようにフェードアウトさせることも可能となる。
【0122】
なお、ここではマスターノブNMを左側に操作する場合で説明したが、非音量バランス維持状態でマスターノブNMを右側に操作する場合、つまり音量最大値方向への操作の場合も、同様にマスターノブNMの操作可能量に対する操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定を変化させればよい。
マスターノブNMの右方向への操作の場合も、個別音量設定部FD1〜FD4の1つが、その音量設定値が端点である「100」に達した後は、さらにマスターノブNMが右側に操作された場合、非音量バランス維持状態で処理が行われる。
その場合、マスターノブNMの現在の位置からスライドバーSLMの右端までを操作可能量(100%)とし、実際の右側への操作量の割合を求め、当該割合に基づいて各個別音量設定部の音量設定値を更新し、表示もそれを示す状態とする。
【0123】
具体的には、個々の個別音量設定部について、非音量バランス維持状態への移行の際に制御変更点情報として記憶した音量設定値と「VLc」とし、マスターノブNMの操作可能量に対する操作量の割合を「R」とした場合、個別音量設定部の新たな音量設定値VLnは、
VLn=VLc+(VLmax−VLc)×R
とすればよい。VLmaxは、最大音量設定値(本例の場合「100」)である。
割合Rは、制御変更点情報として記憶したマスター音量設定部FDMの設定値VMcと、マスターノブNM操作後のマスター音量設定部FDMの設定値VMnを用いて、
R=(VMn−VMc)/(100−VMc)
となる。
なお、VLcは個別音量設定部のマスターノブNMの操作直前の音量設定値とし、VMnもマスターノブNMの操作直前のマスター音量設定部FDMの設定値としてもよい。
【0124】
このような右方向(音量レベル100に向かう方向)への操作の場合、(VLmax−VLc)が、各個別音量設定部の操作可能量となり、マスターノブNMの操作量の割合Rと同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値(VLmax−VLc)×Rを用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更することとなる。
【0125】
そしてこのように右方向へのマスターノブNMの操作により、音量バランスが崩れた後は、マスターノブNMの操作ステップ数自体ではなく、操作割合に応じて個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値を変更することで、マスターノブNMの操作により、全ての音声出力装置の音量を100とする状態に至ることができる。従って、ユーザは、マスターノブNMに指をあてて右端部まで移動させると、まだ最大出力に達していない残りの全ての音声出力装置の出力音量を、最大レベルにまで一括して徐々に増加させ、同時に最大音声出力レベルに到達させることが可能となる。
【0126】
非音量バランス維持状態では、以上のようにマスターノブNMの操作割合に応じて、端点に至っていない各個別音量設定部の音量設定値が増減される。
この非音量バランス維持状態の処理は、制御変更点情報として記憶した設定値に戻るまで継続する。
例えば図15Bのように、マスターノブNMを一旦左端まで操作した後、ユーザが図16Aのように、制御変更点情報として記憶した設定値の50%の位置まで右方向に移動させたとする。
この場合も上述と同様に、マスターノブNMの操作割合Rに応じて、上述のVLn=VLc×Rにより、各個別音量設定部の音量設定値が増減される。即ち、個別音量設定部FD1の音量設定値は、制御変更点情報に記憶された音量設定値の50%である「25」とされ、同様に個別音量設定部FD2、FD4の音量設定値はそれぞれ「12」「7」とされる。そして図16Aのようにこの状態が表示され、また各音声出力装置に、当該音量設定値を指示する制御情報が送信される。個別音量設定部FD3の音量設定値は「0」のままである。
【0127】
さらに、図16Bのように、マスターノブNMが、制御変更点情報として記憶した設定値「−25」まで操作された場合も同様に、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値はそれぞれ「50」「25」「0」「15」となる。
このように、非音量バランス維持状態においては、マスターノブNMの操作割合に応じて、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値が制御される。従って、先の図15のように非音量バランス維持状態で操作された後、マスターノブNMが右側に操作され、非音量バランス維持状態に至ったときの設定値に戻った時点(図16Bの時点)では、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量バランスは、非音量バランス維持状態に移行する際の音量バランスに復帰することとなる。
その後、さらにマスターノブNMが右に操作されると、制御部41は、音量バランス維持状態に遷移して処理を行う。即ち図7,図8で説明した動作となる。
【0128】
なお、或る個別音量設定部が設定値「100」となって端点に達し、非音量バランス維持状態で操作がされた後も同様である。即ちマスターノブNMが左側に操作され、制御変更点情報で記憶した設定値に戻った時点で、各音声出力装置の音量バランス状態が復活することとなる。その後さらにマスターノブNMが左側に操作される場合は、制御部41は音量バランス維持状態で図7,図8で説明した処理を行うこととなる。
【0129】
以上のように、マスターノブNMの操作により、或る1つの個別音量設定部(FD1〜FD4)が端点に達すると、それ以降の同方向(1つが端点に至った操作方向)のマスターノブNMの操作については、非音量バランス維持状態で処理が行われる。また、非音量バランス維持状態でのマスターノブNMの操作過程で、端点に至ったときの状態まで復帰し、さらにその同方向(復帰に至った方向)にマスターノブNMが操作されると、音量バランス維持状態で処理が行われる。
このような処理により、音量バランスが維持できる範囲では、マスターノブNMによる一括操作は音量バランスが維持された状態での一括操作となる。一方、個別音量設定部FD1〜FDのうちの1つが端点に達した後の同方向の操作は、音量バランスを崩しても一括操作が実行される。さらに、一旦音量バランスが崩されても、マスターノブNMの操作により元の音量バランスの状態に復帰できる。
これらにより、ユーザはストレスを感じずにマスターノブNMの操作を行って所望の一括操作を実行できることとなる。
【0130】
ところで、非音量バランス維持状態にあるときに、個別音量設定部FD1〜FD4のいずれかをユーザが操作した場合について、図17で説明しておく。なお、図17で説明する動作は、音声出力装置側で音量操作されて、その音量設定値の情報がリモートコントローラ3に受信された場合も同様である。
【0131】
図17Aは、図14A→図15Aの状態となった後に、ユーザが個別音量設定部FD4のノブN4を右側に動かした場合を示している。例えば音量設定値を「30」としたとする。
先の図15Aの動作は、個別音量設定部FD3が端点に達して非音量バランス維持状態に移行した後の状態であり、この図17Aは、端点に達した個別音量設定部FD3以外の個別音量設定部が操作された場合の例としている。
この場合、制御部41は、非音量バランス維持状態に移行したときに記憶した制御変更点情報のうちの個別音量設定部FD4の音量設定値を更新する。
即ち図17AのノブN4の操作後の時点でのマスター音量設定部FDMの設定値、及び個別音量設定部FD1〜FD4を、新たな制御変更点情報として更新すればよい。つまりこの時点で個別音量設定部FD3のみが端点に達したと考えて制御変更点情報を更新すればよい。その後、マスターノブNMが左側に操作された場合は、新たな制御変更点情報を用いて非音量バランス維持状態の処理が同様に行われればよい。
【0132】
このように、非音量バランス維持状態の移行のきっかけとなった、端点に至った個別音量設定部以外の個別音量設定部に対する操作が、非音量バランス維持状態において検出された場合、制御部41は、制御変更点情報を更新する。これにより、操作後の状態から、非音量バランス維持状態での処理や、或いは音量バランス維持状態への移行が同様に行われるようにできる。
【0133】
次に図17Bで、非音量バランス維持状態の移行のきっかけとなった、端点に至った個別音量設定部が、非音量バランス維持状態にあるときに操作された場合を述べる。
図17Bは、図14A→図15Aの状態となった後に、ユーザが個別音量設定部FD3のノブN3を右側に動かした場合を示している。例えば音量設定値を「0」から「25」としたとする。
この場合、制御部41は、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、音量バランス維持状態に移行する。
即ち図17Bは、個別音量設定部FD1〜FD4のうちで音量設定値が端点に達したものが存在しなくなった状態である。この場合、図7,図8で説明した音量バランス維持状態の動作に戻ればよい。つまりその後のマスターノブNMの操作は、図17Bの操作後の状態での音量バランスを維持した状態で行われる。
音量バランス維持状態に戻ったことをユーザに提示するため、バランス操作範囲バーBAも表示される。
【0134】
<8.処理例>
ここまで、リモートコントローラ3の音量操作表示70を用いたユーザ操作、制御コマンドの送信、及び表示の切換について述べてきた。
ここでは、上記の各動作を実現するためのリモートコントローラ3の制御部41の処理例を図18〜図22で説明する。
【0135】
図18〜図22の処理は表示部45に音量操作表示70を表示させている際の制御部41の処理例を示している。
図18のステップF101は、図6のように表示部45において音量操作表示70の表示を開始させる処理である。
ステップF101で音量操作表示70を表示させた後は、制御部41はステップF102,F103で、マスター音量設定部FDM又は個別音量設定部FD1〜FD4についてのユーザのタッチ操作の監視を行う。
さらにステップF130で、各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)からの音量設定の変更の情報が送受信部43で受信されたか否かを監視する。
【0136】
マスター音量設定部FDMについてのタッチ操作を検出した場合、制御部41はステップF104,F105,F106でその操作種別に応じて処理を分岐する。
上述してきたように、マスター音量設定部FDMについての操作としては、マスターノブNMのスライド操作、ミュートボタンMTMの操作、ロック操作(マスターノブNMのタップ操作)がある。
【0137】
制御部41は、ユーザのマスターノブNMのスライド操作を検知した場合は、処理をステップF104からF107に進め、まず現在マスターノブNMがロック状態(操作禁止)に設定されているか否かを確認する。
現在、ロック状態であるなら、今回検知したユーザのスライド操作は無効とし、特に操作に対する処理は行わずに、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0138】
マスターノブNMがロック状態でなければ、制御部41はステップF108に進み、ユーザの操作に対応する処理を行う。
まず、スライド操作量(及び方向)に応じて、各音声出力装置の音量設定値を更新する。そして、各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して、更新した音量設定値を指示する制御コマンドの送信を行う。
また、マスターノブNMのスライド操作に応じた表示変更制御を行う。即ちマスターノブNMのスライドに応じたノブ位置及び数値表示部LMの数値の変更を行う。また音量バランス維持状態であればバランス操作範囲バーBAの表示位置の変更を行う。またマスターノブNMのスライドに応じた、個別音量設定部FD1〜FD4におけるノブN1〜N4の位置の移動、数値表示部L1〜L4の数値の変更を行う。
なお、個別音量設定部FD1〜FD4におけるノブN1〜N4の一部がロック状態であるときは、そのロックされている個別音量設定部については表示変更は行わず、また音量設定値の更新と対応する音声出力装置への制御コマンドの送信は行わない。
【0139】
図22に、このステップF108の具体的な処理例を示す。
制御部41はステップF201で、まず今回検出されたマスターノブNMの操作が、非音量バランス維持状態へ移行すべき操作か否かを判別する。即ち、1つの個別音量設定部FD1〜FD4の1つが端点に達した後に、その端点に達した際の方向への操作であるか否かを確認する。
このような場合、制御部41は、ステップF202で、非音量バランス維持状態に移行し、また今回の操作前の時点でのマスター音量設定部の設定値及び個別音量設定部FD1〜FD4の各音量設定値を、制御変更点情報を記憶する。
【0140】
また制御部41は、今回検出されたマスターノブNMの操作が、非音量バランス維持状態へ移行すべき操作ではなければ、ステップF201からF203に進み、今回検出されたマスターノブNMの操作が、音量バランス維持状態へ移行すべき操作か否かを判別する。
即ち、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値が、制御変更点情報として記憶した値に復帰した後に、その復帰した際の方向への操作であるか否かを確認する。
このような場合、制御部41は、ステップF204で、音量バランス維持状態に移行し、またそれまで記憶していた制御変更点情報をクリアする。
【0141】
またステップF201,F203の判断にいずれも該当しない場合とは、音量バランス維持状態で処理を継続する場合と、非音量バランス維持状態で処理を継続する場合である。
【0142】
ステップF205では、制御部41は現在の状態が非音量バランス維持状態であるか否かにより処理を分岐する。
音量バランス維持状態で処理を継続中の場合、或いはステップF204で音量バランス維持状態に移行した場合は、制御部41は処理をステップF207に進める。
この場合、制御部41はマスターノブNMの操作量自体に対応する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して送信出力させる。
また、マスターノブNMのスライド操作に応じた表示変更制御を行う。即ちマスターノブNMのスライドに応じたノブ位置及び数値表示部LMの数値の変更を行う。また個別音量設定部FD1〜FD4における新たな音量設定値に基づいてノブN1〜N4の位置の移動、数値表示部L1〜L4の数値の変更を行う。また、その時点のマスターノブNMの位置に応じた、バランス操作範囲バーBAの表示を行う。
即ち図7,図8で説明した動作の処理を行う。
【0143】
一方、非音量バランス維持状態で処理を継続中の場合、或いはステップF202で非音量バランス維持状態に移行した場合は、制御部41は処理をステップ205からF207に進める。
この場合、制御部41はマスターノブNMの操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部FD1〜FD4の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定を変更する。そして新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して送信出力させる。
また、マスターノブNMのスライド操作に応じた表示変更制御を行う。即ちマスターノブNMのスライドに応じたノブ位置及び数値表示部LMの数値の変更を行う。また個別音量設定部FD1〜FD4における新たな音量設定値に基づいてノブN1〜N4の位置の移動、数値表示部L1〜L4の数値の変更を行う。
バランス操作範囲バーBAの表示は実行しないようにする。これは非音量バランス維持状態を示す意味である。
即ち図14,図15で説明した動作の処理を行う。
【0144】
マスターノブNMのスライド操作時には、制御部41は以上の図22の処理を、図18のステップF108として行って、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0145】
制御部41は、ユーザのミュートボタンMTMのタップ操作を検知した場合は、処理をステップF105からF109に進め、まず現在ミュートボタンMTMがミュート状態、つまり全音声出力装置がミュート状態とされているか否かを確認する。
現在、ミュート状態でなければ、今回検知したユーザのタップ操作はミュート操作と認識し、ステップF110でミュート処理を行う。即ち制御部41は各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して、ミュート指示の制御コマンドの送信を行う。なお、既にミュートされている音声出力装置がある場合は、その音声出力装置に対するミュートコマンドは送信しなくてもよい。
また、ミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示変更制御を行う。即ちミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示を図13Bのようにミュート状態を示す表示に変更する。
制御部41は、ステップF110でこのようなミュート処理を行ったら、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0146】
一方、制御部41はステップF109で現在ミュート状態であると判断したら、今回検知したユーザのタップ操作はミュート解除操作と認識し、ステップF111でミュート解除処理を行う。
即ち制御部41は各音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)に対して、ミュート解除の制御コマンドの送信を行う。
また、ミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示変更制御を行う。即ちミュートボタンMTM、MT1〜MT4の表示を図13Bの状態から図7Bのように通常の状態に戻すように制御する。
制御部41は、ステップF111でこのようなミュート解除処理を行ったら、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0147】
制御部41は、ユーザのロック操作(マスターノブNMのタップ操作)を検知した場合は、処理をステップF106からF112に進め、まず現在マスターノブNMがロック状態(操作禁止状態)であるか否かを確認する。
現在、ロック状態でなければ、今回検知したユーザのタップ操作はロック操作と認識し、ステップF113でマスターノブNMのロック処理を行う。即ち制御部41はマスターノブNMのスライド操作を禁止状態とする。またマスターノブNMをロック状態の表示とし、また数値表示部LMを非アクティブ状態の表示とする制御を行って、ユーザにロック状態を提示する。
そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
このようにステップF113でロック状態とされることで、以降、マスターノブNMのスライド操作が検知されても、上述のステップF107で操作無効とされることになる。
【0148】
制御部41はステップF112で現在はマスターノブNMがロック状態であると判断した場合は、今回検知したユーザのタップ操作はロック解除操作と認識し、ステップF114に進む。ここで制御部41は個別音量設定部FD1〜FD4のノブN1〜N4の全てがロック状態であるか否かを判別する。
本例では、ノブN1〜N4の全てがロック状態のときは、マスターノブNMもロック状態になるようにしている。逆に言えば、ノブN1〜N4が全てロック状態となったときは、マスターノブNMを自動的にロック状態とする。
このことから、ノブN1〜N4が全てロック状態であるときは、マスターノブNMについてロック解除操作が行われても、マスターノブNMもロック状態を解除しないこととする。
そこで、ステップF114で全ノブN1〜N4がロック状態である場合は、マスターノブNMもロック解除操作を無効とし、ステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0149】
またステップF114で全ノブN1〜N4のうち、1つでもロック状態でないものがある場合は、マスターノブNMもロック解除操作を受け付ける。このため制御部41はステップF115に進み、ロック解除処理を行う。即ち制御部41はマスターノブNMのスライド操作の禁止状態を解除する。またマスターノブNMと数値表示部LMを通常の表示に戻す制御を行って、ユーザにロック解除を提示する。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0150】
以上は、マスター音量設定部FDMの操作を検出した場合の処理である。
ユーザの操作が個別音量設定部FD1〜FD4に対する操作であった場合は、制御部41の処理はステップF103から図19の処理に進み、制御部41はステップF116,F117,F127でその操作種別に応じて処理を分岐する。
上述してきたように、個別音量設定部FD1〜FD4についての操作としては、ノブN1〜N4のスライド操作、ミュートボタンMT1〜MT4の操作、ロック操作(ノブN1〜N4のタップ操作)がある。
【0151】
なお、以下ではxは「1」〜「4」のいずれかを示すものとし、例えばNxはノブN1〜N4のいずれかで操作されたもの、Lxは数値表示部L1〜L4のいずれか、MTxはミュートボタンMT1〜MT4のいずれかで操作されたものを示すものとする。
【0152】
制御部41は、ユーザのノブNxのスライド操作を検知した場合は、処理をステップF116からF118に進め、まず、その操作されたノブNxがロック状態(操作禁止)に設定されているか否かを確認する。
現在、ロック状態であるなら、今回検知したユーザのスライド操作は無効とし、特に操作に対する処理は行わずに、図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0153】
スライド操作されたノブNxがロック状態でなければ、制御部41はステップF119に進み、ユーザの操作に対応する処理を行う。
まず、スライド操作量(及び方向)に応じて、対応する音声出力装置の音量設定値を更新する。そして、その音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのいずれか)に対して、更新した音量設定値を指示する制御コマンドの送信を行う。
また、ノブNxのスライド操作に応じた表示変更制御を行う。即ちノブNxのスライドに応じたノブ位置の変更、数値表示部Lxの数値の変更を行う。
また音量バランス維持状態であるときは、ノブNxの移動によって、図11で述べたように、マスター音量設定部FDMにおけるバランス操作範囲バーBAの範囲及びマスターノブNMの位置が変更される場合がある。その場合は、バランス操作範囲バーBA及びマスターノブNMの表示変更制御も行う。
【0154】
ノブNxのスライド操作時には、制御部41は以上のステップF119の処理を行ったら、次に図20に示すステップF140に進む。
ステップF140で制御部41は、現在非音量バランス維持状態であるか否かを確認する。
現在、非音量バランス維持状態ではなく、音量バランス維持状態であれば、そのまま図20の処理を終え、図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0155】
現在、非音量バランス維持状態であれば、制御部41はステップF141で、今回操作されたノブNxが、非音量バランス維持状態への移行のきっかけとなった端点到達ノブであったか否かを確認する。
操作されたノブNxが端点到達ノブであった場合、制御部41はステップF142に進み、音量バランス維持状態へ移行するとともに、非音量バランス維持状態に移るときに記憶した制御変更点情報をクリアする。つまり図17Bで説明した処理を行う。そして図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0156】
また操作されたノブNxが端点到達ノブ以外のノブであった場合、制御部41はステップF143に進み、制御変更点情報を更新する。つまり図17Aで説明した処理として、操作後の各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値、及びマスター音量設定部の設定値を新たな制御変更点情報とする。そして図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0157】
ユーザの操作が個別音量設定部FD1〜FD4に対する操作であって図19の処理に進んだ場合において、制御部41が、ユーザのミュートボタンMTxのタップ操作を検知した場合は、処理をステップF117からF120に進める。まず制御部41は現在ミュートボタンMTxがミュート状態、つまり対応する音声出力装置がミュート状態とされているか否かを確認する。
現在、ミュート状態でなければ、今回検知したユーザのタップ操作はミュート操作と認識し、ステップF121でミュート処理を行う。即ち制御部41は、ミュートボタンMTxに対応する音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのいずれか)に対して、ミュート指示の制御コマンドの送信を行う。
また、ミュートボタンMTxの表示変更制御を行う。即ちミュートボタンMTxの表示を図13AのミュートボタンMT4のようにミュート状態を示す表示に変更する。
【0158】
このように或る音声出力装置に対するミュート処理を行ったら、制御部41はステップF122で、その時点で全ての音声出力装置がミュート状態になったか否かを確認する。本例では、全音声出力装置がミュート状態になったときは、自動的にマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態とするものとする。そこで全音声出力装置がミュート状態になっていれば制御部41はステップF123に進み、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態とする。つまり図13Bの状態とする。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0159】
また、少なくとも1つの音声出力装置がミュート状態でなければ、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMに対する処理は行わずに、ステップF122からステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0160】
一方、制御部41はステップF120で、操作されたミュートボタンMTxに対応する音声出力装置が現在ミュート状態であると判断したら、今回検知したユーザのタップ操作はミュート解除操作と認識し、ステップF124でミュート解除処理を行う。
即ち制御部41は、そのミュートボタンMTxに対応する音声出力装置に対して、ミュート解除の制御コマンドの送信を行う。
また、ミュートボタンMTxの表示を通常の状態に戻すように制御する。
【0161】
制御部41は、ステップF124でこのようなミュート解除処理を行ったら、ステップF125でマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMの状態を確認する。
本例では、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMがミュート状態とされるのは、上記ステップF123又はF110である。つまり全音声出力装置がミュート状態になったとき、或いは全音声出力装置をミュート状態とするときに、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態となる。
このミュートボタンMTMは、個別音量設定部FD1〜FD4において1つでもミュート解除されたら、自動的にミュート解除されるようにする。
そこで、ステップF125でマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート状態であった場合は、今回のステップF124でのミュート解除に応じて、ステップF126でマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMもミュート解除状態とする処理を行う。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
なお、ステップF125でマスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMがミュート状態でなければ、そのままステップF125からステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0162】
制御部41は、ユーザのロック操作(ノブNxのタップ操作)を検知した場合は、処理をステップF127からF128に進め、まず現在、ノブNxがロック状態(操作禁止状態)であるか否かを確認する。
現在、ロック状態でなければ、今回検知したユーザのタップ操作はロック操作と認識し、ステップF130でノブNxのロック処理を行う。即ち制御部41はノブNxのスライド操作を禁止状態とする。またノブNxをロック状態の表示とし、また数値表示部Lxを非アクティブ状態の表示とする制御を行って、ユーザにロック状態を提示する。
【0163】
また上述したように本例では、ノブN1〜N4の全てがロック状態となったときは、自動的にマスターノブNMもロック状態になるようにする。そこで制御部41はステップF131では、今回のステップF130でのロック処理により全個別音量設定部FD1〜FD4のノブN1〜N4が全てロック状態となったか否かを判断する。全ノブN1〜N4がロック状態でなったのであれば、制御部41はステップF132に進んで、マスターノブNMもロック状態とし、マスターノブNMのロック表示、及び数値表示部LMの非アクティブ表示の制御を行う。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
ステップF131で少なくとも1つのノブがロック状態でなければ、ステップF132の処理は行わずにステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0164】
制御部41はステップF128で、現在はノブNxがロック状態であると判断した場合は、今回検知したユーザのタップ操作はロック解除操作と認識し、ステップF129に進む。そして制御部41はノブNxのスライド操作の禁止状態を解除する。またノブNxと数値表示部Lxを通常の表示に戻す制御を行って、ユーザにロック解除を提示する。そしてステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0165】
制御部は、図18のステップF130で、或る音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信したことを検知した場合は、図21の処理を行う。つまり再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2Dのいずれかが、その装置側で音量操作された場合である。
この場合制御部41は図21のステップF150で、受信した音量設定の情報に応じて、その音声出力装置(当該音声出力装置に対応する個別音量設定部FDx)の音量設定値を更新する。そしてそれに応じて表示を変更する。つまり新たな音量設定値に応じたノブNxの位置の変更、数値表示部Lxの数値の変更を行う。
【0166】
次に制御部41はステップF151で、現在非音量バランス維持状態であるか否かを確認する。
現在、非音量バランス維持状態ではなく、音量バランス維持状態であれば、そのまま図21の処理を終え、図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0167】
現在、非音量バランス維持状態であれば、制御部41はステップF152で、今回音量設定が変更されたのは、非音量バランス維持状態への移行のきっかけとなった端点到達ノブの個別音量設定部FDxに対応する音声出力装置であるか否かを確認する。
端点到達ノブに対応する音声出力装置であった場合、制御部41はステップF153に進み、音量バランス維持状態へ移行するとともに、非音量バランス維持状態に移るときに記憶した制御変更点情報をクリアする。つまり図17Bで説明した処理を行う。そして図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0168】
また今回音量設定が変更されたのが端点到達のノブの個別音量設定部FDx以外に対応する音声出力装置であった場合、制御部41はステップF154に進み、制御変更点情報を更新する。つまり図17Aで説明した処理として、変更後の各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値、及びマスター音量設定部の設定値を新たな制御変更点情報とする。そして図18のステップF102,F103,F130の監視ループに戻る。
【0169】
以上の図18〜図22の処理をリモートコントローラ3の制御部41が行うことで、図6〜図17で説明してきた、ユーザのタッチ操作等に対応した制御コマンドの送信や表示制御が実行されることになる。
このような本実施の形態によれば、ユーザは、リモートコントローラ3を用いて、次のような操作が可能となる。
【0170】
まず、家庭内ネットワークシステムにおける複数の音声出力装置(再生装置1、ネットワークスピーカ2B、2C、2D)の出力音量、つまり各部屋A,B,C,Dでの音量を個別に制御できる。これは個別音量設定部FD1〜FD4のノブN1〜N4の操作で可能となる。
また、各音声出力装置の音量操作を、個別にノブN1〜N4に対するロック操作で禁止し、また解除できる。
また、各音声出力装置の各音量設定をそのままに、ミュートボタンMT1〜MT4で、一時的に音声出力を停止させ、またミュートを解除できる。
また、マスターノブNMの操作により、各音声出力装置の音量バランスを維持したまま、各音声出力装置の音量設定を一括して制御できる。
また、そのうえで、音量バランスを維持できない範囲でもマスターノブNMの操作で一括音量制御を行うこともでき、例えば一括したフェードアウト、フェードイン、最大レベルまでの大音量化なども可能となる。
さらに一旦非音量バランス維持状態となっても、個別音量設定部FD1〜FD4の操作が行われない限り、つまりユーザが敢えて音量バランスを変化させることを行わない限り、元の音量バランス維持状態に戻ることができる。このため、ユーザは音量バランス維持を強く意識せずに、マスターノブNMの操作を行うことができる。
また、マスター音量設定部FDMのミュートボタンMTMの操作により、全音声出力装置を一括してミュート状態としたり、ミュート解除できる。
また、ユーザは、音量操作表示70により、常に各音声出力装置の音量設定状態を確認できることになる。
またバランス操作範囲バーBAの表示により、ユーザは音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を容易に認識できる。さらに音量バランス維持状態においては、バランス操作範囲バーBAによって、バランスを維持できるマスターノブNMの操作範囲を認識できる。従ってユーザが音量バランス維持を意識した操作を行う場合にも好適である。
本実施の形態では、これらの操作や確認が、PAシステムなどに見られる音響調整卓を用いることなく容易に可能となる。
【0171】
<9.変形例及びプログラム>
上記図6〜図17で例示し、また図18〜図22で示した処理例は一例に過ぎず、多様な変形例が例えば次のように想定される。
【0172】
上記例では、制御部41は、表示部45において、バランス操作範囲バーBAの表示の有無として、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態で異なる表示態様の表示を実行させる。これ以外に、バランス維持/非維持をユーザに認識させる表示は多様に考えられる。例えばマスター音量設定部FDMやスライドバーSLMの色を変えたり、バランス状態、或いは非バランス状態を示すマーク、文字等を表示させるなどしてもよい。いずれにしても、ユーザが音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を認識できる表示であればよい。
【0173】
また、マスターノブNMのロック操作に関しては、ノブN1〜N4のロックを連動させても良い。
即ち、図18のステップF113では、マスターノブNMをロック状態とするだけでなく、ノブN1〜N4を全て一括してロック状態とするようにしてもよい。
またステップF114の判断を無くし、ステップF115では、マスターノブNMに対するロック解除が行われることに応じて、ノブN1〜N4の全ても同時にロック解除されるようにしてもよい。
このようにすることで、マスターノブNMのロック/ロック解除操作で、一括ロック/ロック解除ができるようになり、便利となる。
【0174】
また、図19のステップF129で或るノブNxのロック解除を行った結果、全てのノブN1〜N4がロックされていない状態になり、そのときにマスターノブNMがロックされている場合は、自動的にマスターノブNMもロック解除することも考えられる。
【0175】
またマスターノブNM、ノブN1〜N4のロック状態では、ノブだけが操作禁止とするだけでなく、対応するミュートボタンMTM、MT1〜MT4も操作が禁止されるようにしてもよい。その場合、マスター音量設定部FDMや個別音量設定部FD1〜FD4の全体を非アクティブにするような表示例も考えられる。
【0176】
またマスター音量設定部FDMの数値表示部LMでは、制御対象の個別音量設定部FD1〜FD4のうちで最大音量設定となっている値(Vmax)と最小音量設定となっている値(Vmin)の中間値(Vttl)として、
Vttl=(Vmax+Vmin)/2
の値を表示してもよい。
【0177】
マスター音量設定部FDMや個別音量設定部FD1〜FD4では、音量設定操作のためにマスターノブNMやノブN1〜N4を左右スライドさせる例としたが、上下スライドさせるものであったり、ダイヤル状の表示を回転させる操作表示とするなど、他の操作用の表示形態も考えられる。
【0178】
もちろん音量操作表示70のデザインや操作子形態は多様である。ネットワーク4上の音声出力機器の数や種類によっても異なるものとなる。
【0179】
また、実施の形態では、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を移行する処理例で説明したが、常に非音量バランス維持状態で動作する制御端末装置も考えられる。
つまり制御部41は常時、マスター音量設定部FDMの操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部FD1〜FD4の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送受信部43から各音声出力装置に送信出力させる処理を行う例である。
【0180】
図23はその場合の例を示している。例えば図23AのようにマスターノブNMが左方向の破線で示すマスターノブNM’の位置まで50%操作されるとする。このとき、個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値が、それぞれ「75」「50」「25」「40」であったとする。
この場合に、各個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値を50%変化させる。即ち個別音量設定部FD1〜FD4の音量設定値を、それぞれ「37」「25」「12」「20」とし、これを指示する制御信号を各音声出力装置に送信する。表示状態は図23Bのように、ノブN1〜N4を50%操作量の位置に移動させ、数値表示部L1〜L4の値を変更する。
音量バランスを常に維持しなくてよいという事情であれば、このように常時、上述した非音量バランス維持状態の処理を適用することとしてもよい。
もちろんユーザが任意に、音量バランス維持状態と非音量バランス維持状態を切り換える動作モードと、常時、非音量バランス維持状態とするモードとを選択できるようにしてもよい。
【0181】
また実施の形態では、音楽コンテンツの配信システムにおける本開示の技術の適用例を述べたが、本開示の技術は他のシステムでも適用できる。
例えば家庭内ネットワークとして、ビデオコンテンツ、テキスト、ゲームデータなどの配信、同期再生を行うシステムの制御端末装置として、実施の形態のリモートコントローラ3と同様の装置が想定される。
【0182】
また、コンテンツ配信システム以外でも、ネットワーク接続された電子機器の制御に適用できる。例えばテレビジョン受像器、モニタディスプレイ、情報機器などの複数の機器がネットワーク接続されたシステムでの制御端末装置としても適用できる。
さらに、本開示の技術の適用は、必ずしもネットワーク接続されたシステムにも限られない。例えば、複数の音声出力装置に対して、赤外線や電波通信、もしくは有線で、直接制御コマンドの送信を行うことができるリモートコントローラ等の制御端末装置としても、本開示の技術は適用可能である。
【0183】
実施の形態のプログラムは、上述の非音量バランス維持状態の処理を、例えばCPU、DSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置に実行させるプログラムである。
即ちこのプログラムは、表示部に、複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させる処理を演算処理装置に実行させる。
また操作検出部によりマスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更する処理を演算処理装置に実行させる。
さらに変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて送信部から音声出力装置に送信出力させる処理を演算処理装置に実行させる。
具体的には、実施の形態のプログラムは、図18〜図22で説明した処理を演算処理装置に実行させるプログラムとすればよい。
このようなプログラムにより、上述した音量制御を実行する装置を、演算処理装置を用いて実現できる。
【0184】
このようなプログラムは、リモートコントローラ3やコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magnet optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
またこのようなプログラムによれば、実施の形態の制御端末装置の広範な提供に適している。例えば携帯型情報処理装置、携帯電話機等にプログラムをダウンロードすることで、当該携帯型情報処理装置等を、本開示の制御端末装置とすることができる。
【0185】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1) 複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、
表示部と、
上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、
上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させるとともに、上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる制御部と、
を備えた制御端末装置。
(2)上記制御部は、
上記マスター音量設定部の操作に関して、各音声出力装置の音量バランス維持状態と、非音量バランス維持状態とで異なる制御を行うものとされ、
上記音量バランス維持状態では、上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、検出された操作量自体に対応する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させ、
上記非音量バランス維持状態では、上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる上記(1)に記載の制御端末装置。
(3)上記制御部は、
すべての上記個別音量設定部の音量設定が音量設定可変範囲の端点の状態とはなっていない際に、上記音量バランス維持状態で制御を行い、
一部の個別音量設定部の音量設定が上記端点の状態となった後、上記マスター音量設定部に対する操作が、上記一部の個別音量設定部が上記端点に至った操作方向で行われたことを検知した場合、上記音量バランス維持状態から上記非音量バランス維持状態に移行する上記(2)に記載の制御端末装置。
(4)上記制御部は、
上記音量バランス維持状態から上記非音量バランス維持状態への移行に付随して、当該移行時点の上記マスター音量設定部の設定値及び上記各個別音量設定部の音量設定値を、制御変更点情報として記憶する上記(3)に記載の制御端末装置。
(5)上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態での制御により、各個別音量設定部での音量設定が、上記制御変更点情報として記憶した音量設定値に復帰した後、上記マスター音量設定部に対する操作が、上記復帰に至った操作方向で行われたことを検知した場合、上記非音量バランス維持状態から上記音量バランス維持状態に移行する上記(4)に記載の制御端末装置。
(6)上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記操作検出部により、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部以外の個別音量設定部に対する操作が検出された場合、上記制御変更点情報を更新する上記(4)又は(5)に記載の制御端末装置。
(7)上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記操作検出部により、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部に対する操作が検出された場合、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、上記音量バランス維持状態に移行する上記(4)乃至(6)のいずれかに記載の制御端末装置。
(8)上記複数の音声出力装置から情報を受信する受信部をさらに備え、
上記制御部は、
上記受信部により音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信した場合、当該情報に応じて、当該情報にかかる音声出力装置についての個別音量設定部での音量設定を変更するとともに、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記受信した情報に応じて、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部以外の個別音量設定部についての音量設定を変更した場合は、上記制御変更点情報として記憶した当該個別音量設定部に関する音量設定値を、当該音量設定の変更に応じて更新する上記(4)乃至(7)のいずれかに記載の制御端末装置。
(9)上記複数の音声出力装置から情報を受信する受信部をさらに備え、
上記制御部は、
上記受信部により音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信した場合、当該情報に応じて、当該情報にかかる音声出力装置についての個別音量設定部での音量設定を変更するとともに、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記受信した情報に応じて、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部についての音量設定を変更した場合、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、上記音量バランス維持状態に移行する上記(4)乃至(8)のいずれかに記載の制御端末装置。
(10)上記制御部は、上記表示部において、上記音量バランス維持状態と上記非音量バランス維持状態で異なる表示態様の表示を実行させる上記(2)乃至(9)のいずれかに記載の制御端末装置。
(11)上記制御部は、上記音量バランス維持状態においては、各音声出力装置の音量バランスを維持できる上記マスター音量設定部の操作範囲を示す表示を上記表示部において実行させる上記(2)乃至(10)のいずれかに記載の制御端末装置。
(12)上記複数の音声出力装置は、オーディオソース機器を含むネットワークに接続されており、上記オーディオソース機器から共通に配信されるオーディオコンテンツを再生出力するものとされており、
上記送信部は、上記ネットワークを介した通信で、各音声出力装置に対して制御信号を送信出力する上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の制御端末装置。
【符号の説明】
【0186】
1 再生装置、2,2A,2B,2C ネットワークスピーカ、3 リモートコントローラ、4 ネットワーク、5 アクセスポイント、41 制御部、42 コマンドメモリ、43 送受信部、44 表示駆動部、45 表示部、46 タッチパネルセンサ、47 位置検出部、70 音量操作表示、FDM マスター音量設定部、FD1〜FD4 個別音量設定部、NM マスターノブ、N1〜N4 ノブ、LM,L1〜L4 数値表示部、MTM、MT1〜MT4 ミュートボタン、BA バランス操作範囲バー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、
表示部と、
上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、
上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させるとともに、上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる制御部と、
を備えた制御端末装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記マスター音量設定部の操作に関して、各音声出力装置の音量バランス維持状態と、非音量バランス維持状態とで異なる制御を行うものとされ、
上記音量バランス維持状態では、上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、検出された操作量自体に対応する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させ、
上記非音量バランス維持状態では、上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる請求項1に記載の制御端末装置。
【請求項3】
上記制御部は、
すべての上記個別音量設定部の音量設定が音量設定可変範囲の端点の状態とはなっていない際に、上記音量バランス維持状態で制御を行い、
一部の個別音量設定部の音量設定が上記端点の状態となった後、上記マスター音量設定部に対する操作が、上記一部の個別音量設定部が上記端点に至った操作方向で行われたことを検知した場合、上記音量バランス維持状態から上記非音量バランス維持状態に移行する請求項2に記載の制御端末装置。
【請求項4】
上記制御部は、
上記音量バランス維持状態から上記非音量バランス維持状態への移行の際に、当該移行の際の上記マスター音量設定部の設定値及び上記各個別音量設定部の音量設定値を、制御変更点情報として記憶する請求項3に記載の制御端末装置。
【請求項5】
上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態での制御により、各個別音量設定部での音量設定が、上記制御変更点情報として記憶した音量設定値に復帰した後、上記マスター音量設定部に対する操作が、上記復帰に至った操作方向で行われたことを検知した場合、上記非音量バランス維持状態から上記音量バランス維持状態に移行する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項6】
上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記操作検出部により、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部以外の個別音量設定部に対する操作が検出された場合、上記制御変更点情報を更新する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項7】
上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記操作検出部により、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部に対する操作が検出された場合、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、上記音量バランス維持状態に移行する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項8】
上記複数の音声出力装置から情報を受信する受信部をさらに備え、
上記制御部は、
上記受信部により音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信した場合、当該情報に応じて、当該情報にかかる音声出力装置についての個別音量設定部での音量設定を変更するとともに、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記受信した情報に応じて、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部以外の個別音量設定部についての音量設定を変更した場合は、上記制御変更点情報として記憶した当該個別音量設定部に関する音量設定値を、当該音量設定の変更に応じて更新する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項9】
上記複数の音声出力装置から情報を受信する受信部をさらに備え、
上記制御部は、
上記受信部により音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信した場合、当該情報に応じて、当該情報にかかる音声出力装置についての個別音量設定部での音量設定を変更するとともに、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記受信した情報に応じて、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部についての音量設定を変更した場合、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、上記音量バランス維持状態に移行する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項10】
上記制御部は、上記表示部において、上記音量バランス維持状態と上記非音量バランス維持状態で異なる表示態様の表示を実行させる請求項2に記載の制御端末装置。
【請求項11】
上記制御部は、上記音量バランス維持状態においては、各音声出力装置の音量バランスを維持できる上記マスター音量設定部の操作範囲を示す表示を上記表示部において実行させる請求項2に記載の制御端末装置。
【請求項12】
上記複数の音声出力装置は、オーディオソース機器を含むネットワークに接続されており、上記オーディオソース機器から共通に配信されるオーディオコンテンツを再生出力するものとされており、
上記送信部は、上記ネットワークを介した通信で、各音声出力装置に対して制御信号を送信出力する請求項1に記載の制御端末装置。
【請求項13】
複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、
表示部と、
上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、
を備えた制御端末装置による制御方法として、
上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させ、
上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、
変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力する制御方法。
【請求項14】
複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、
表示部と、
上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、
を備えた制御端末装置における演算処理装置に、
上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させる処理と、
上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更する処理と、
変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項1】
複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、
表示部と、
上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、
上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させるとともに、上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる制御部と、
を備えた制御端末装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記マスター音量設定部の操作に関して、各音声出力装置の音量バランス維持状態と、非音量バランス維持状態とで異なる制御を行うものとされ、
上記音量バランス維持状態では、上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、検出された操作量自体に対応する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させ、
上記非音量バランス維持状態では、上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる請求項1に記載の制御端末装置。
【請求項3】
上記制御部は、
すべての上記個別音量設定部の音量設定が音量設定可変範囲の端点の状態とはなっていない際に、上記音量バランス維持状態で制御を行い、
一部の個別音量設定部の音量設定が上記端点の状態となった後、上記マスター音量設定部に対する操作が、上記一部の個別音量設定部が上記端点に至った操作方向で行われたことを検知した場合、上記音量バランス維持状態から上記非音量バランス維持状態に移行する請求項2に記載の制御端末装置。
【請求項4】
上記制御部は、
上記音量バランス維持状態から上記非音量バランス維持状態への移行の際に、当該移行の際の上記マスター音量設定部の設定値及び上記各個別音量設定部の音量設定値を、制御変更点情報として記憶する請求項3に記載の制御端末装置。
【請求項5】
上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態での制御により、各個別音量設定部での音量設定が、上記制御変更点情報として記憶した音量設定値に復帰した後、上記マスター音量設定部に対する操作が、上記復帰に至った操作方向で行われたことを検知した場合、上記非音量バランス維持状態から上記音量バランス維持状態に移行する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項6】
上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記操作検出部により、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部以外の個別音量設定部に対する操作が検出された場合、上記制御変更点情報を更新する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項7】
上記制御部は、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記操作検出部により、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部に対する操作が検出された場合、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、上記音量バランス維持状態に移行する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項8】
上記複数の音声出力装置から情報を受信する受信部をさらに備え、
上記制御部は、
上記受信部により音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信した場合、当該情報に応じて、当該情報にかかる音声出力装置についての個別音量設定部での音量設定を変更するとともに、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記受信した情報に応じて、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部以外の個別音量設定部についての音量設定を変更した場合は、上記制御変更点情報として記憶した当該個別音量設定部に関する音量設定値を、当該音量設定の変更に応じて更新する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項9】
上記複数の音声出力装置から情報を受信する受信部をさらに備え、
上記制御部は、
上記受信部により音声出力装置からの音量設定変更の情報を受信した場合、当該情報に応じて、当該情報にかかる音声出力装置についての個別音量設定部での音量設定を変更するとともに、
上記非音量バランス維持状態の際に、上記受信した情報に応じて、上記端点に至った上記一部の個別音量設定部についての音量設定を変更した場合、記憶されている上記制御変更点情報を消去し、上記音量バランス維持状態に移行する請求項4に記載の制御端末装置。
【請求項10】
上記制御部は、上記表示部において、上記音量バランス維持状態と上記非音量バランス維持状態で異なる表示態様の表示を実行させる請求項2に記載の制御端末装置。
【請求項11】
上記制御部は、上記音量バランス維持状態においては、各音声出力装置の音量バランスを維持できる上記マスター音量設定部の操作範囲を示す表示を上記表示部において実行させる請求項2に記載の制御端末装置。
【請求項12】
上記複数の音声出力装置は、オーディオソース機器を含むネットワークに接続されており、上記オーディオソース機器から共通に配信されるオーディオコンテンツを再生出力するものとされており、
上記送信部は、上記ネットワークを介した通信で、各音声出力装置に対して制御信号を送信出力する請求項1に記載の制御端末装置。
【請求項13】
複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、
表示部と、
上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、
を備えた制御端末装置による制御方法として、
上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させ、
上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更し、
変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力する制御方法。
【請求項14】
複数の音声出力装置に対する制御信号を送信出力する送信部と、
表示部と、
上記表示部における表示内容に対する操作を検出する操作検出部と、
を備えた制御端末装置における演算処理装置に、
上記表示部に、上記複数の音声出力装置のそれぞれについて、音量設定を示しつつ音量設定を可変操作可能とする操作子を含む個別音量設定部と、複数の音声出力装置の音量設定を同時に可変操作可能とする操作子を含むマスター音量設定部とを表示させる処理と、
上記操作検出部により上記マスター音量設定部に対する操作が検出された場合に、当該操作の際におけるマスター音量設定部の操作可能量に対する検出された操作量の割合と同じ割合となる、各個別音量設定部の操作可能量に対する値を用いて、各個別音量設定部の音量設定を変更する処理と、
変更した新たな音量設定を指示する制御信号を発生させて上記送信部から送信出力させる処理と、
を実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−106168(P2013−106168A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248247(P2011−248247)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]