説明

制御装置、制御システムおよび制御方法

【課題】大画面で高品位な再生が可能なコンテンツ再生装置で通常再生を行い、かつ、特殊再生中には視点を変更せずに所望のタイミングで通常再生に戻す操作を制御装置で行うことが可能な制御装置、制御システム及び制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の制御装置は、制御装置がコンテンツ再生装置に再生指示を行い、コンテンツ再生装置がサーバから取得したコンテンツを再生する制御システムにおける制御装置であって、サーバからコンテンツの情報を受信し、コンテンツ再生装置に再生指示を送信し、サーバからコンテンツを受信する通信部と、コンテンツの選択および再生制御を受け付ける入力部と、再生制御の種別に応じてコンテンツの再生をコンテンツ再生装置のみで行うか、制御装置のみで行うか、コンテンツ再生装置および制御装置の両方で行うかを判断する再生機器判定部と、コンテンツの再生を行う表示部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御システムおよび制御方法に関し、特に、ネットワーク上のコンテンツ再生装置に再生指示を行いコンテンツの再生を行わせることが可能な制御装置、制御システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なるメーカーの家電機器やパーソナルコンピュータを相互接続するための標準化活動を推進している業界団体DLNA(Digital Living Network Alliance)がある。DLNAが規定するDLNAガイドラインでは、デジタルメディア・プレーヤ(DMP)と、デジタルメディア・サーバ(DMS)をネットワークにより相互接続して、デジタルメディア・プレーヤ(DMP)が、デジタルメディア・サーバ(DMS)からコンテンツデータを取得してコンテンツをリモート視聴する機能が提供されている。さらにDLNAガイドラインでは、デジタルメディア・コントローラ(DMC)からの指示に従ってデジタルメディア・レンダラー(DMR)がデジタルメディア・サーバ(DMS)からコンテンツデータを取得してコンテンツをリモート視聴することも可能になっている。なお、以降では、デジタルメディア・レンダラー(DMR)をコンテンツ再生装置、デジタルメディア・サーバ(DMS)を単にサーバ、デジタルメディア・コントローラ(DMC)を単に制御装置と呼ぶこととする。
【0003】
制御装置からの再生指示に従ってコンテンツ再生装置がサーバからコンテンツデータを取得してコンテンツをリモート視聴するシステムにおける課題として、早送りや巻き戻しなどコンテンツの特殊再生を行っているときに通常の再生に戻したい場合に、映像が表示されているコンテンツ再生装置と、再生制御の操作を行える制御装置の両方の表示部(ディスプレイ)を確認しながら制御装置の操作を行う必要があることがあげられる。一般的に、複数の表示装置を確認しながら操作を行う必要があるシステムは、視点を変更するのが面倒であったり、操作そのものや操作タイミングを誤る可能性が高くなったりするなど、ユーザにとっては使い勝手の悪いものとなる。
【0004】
このような課題を解決する方法としては、コンテンツ再生装置で表示している映像を、制御装置の表示部(ディスプレイ)上でも表示することが考えられる。例えば、特許文献1では、コンテンツ再生装置で表示している映像を、制御装置の表示部(ディスプレイ)上でも表示することで、その制御装置でコンテンツ再生装置に再生させているコンテンツが何なのかを容易に確認できるようにする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−332771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の特許文献1では、「コンテンツ再生装置で再生されているコンテンツが何かを制御装置の表示部(ディスプレイ)で確認する」ことを目的としているため、制御装置の表示部(ディスプレイ)に表示される画像は30秒から10分程度の所定時間ごとに更新することが記載されている。即ち、「早送りや巻き戻しなどコンテンツの特殊再生を行っているときに、通常再生に戻すタイミングを正しく制御できる頻度で制御装置の表示部(ディスプレイ)の映像を更新する」ということは考えられていない。
【0007】
仮に特許文献1記載の方法を所定の時間を十分短くして適用することを考えた場合、サーバへのアクセスが2本同時に継続的に行われることになり、「(課題1)サーバがコンテンツへの同時アクセス数を制限している場合、制御装置、もしくはコンテンツ再生装置のいずれか一方の再生が行えない場合がある」、「(課題2)サーバの性能が十分でない場合、同時に複数のコンテンツを送出しようとすると、サーバが送出するビットレートがコンテンツの再生に必要なビットレートを下回り、再生がスムーズに行えなくなる場合がある」、「(課題3)早送り、巻き戻しなどの再生速度がコンテンツ再生装置と制御装置で異なる場合、コンテンツ再生装置と制御装置で再生している位置がずれる場合がある」、などの課題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の制御装置、制御システムおよび制御方法は、以下のような手段および処理手順を採用する。
【0009】
本発明の制御装置は、制御装置がコンテンツ再生装置に再生指示を行い、再生指示に従ってコンテンツ再生装置がサーバから取得したコンテンツを再生する制御システムにおける制御装置であって、サーバからコンテンツの情報を受信し、コンテンツ再生装置に再生指示を送信し、サーバからコンテンツを受信する通信部と、コンテンツの選択および再生制御を受け付ける入力部と、入力された再生制御の種別に応じてコンテンツの再生をコンテンツ再生装置のみで行うか、制御装置のみで行うか、コンテンツ再生装置および制御装置の両方で行うかを判断する再生機器判定部と、コンテンツの再生を行う表示部と、を具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の制御装置、制御システムおよび制御方法によれば、例えば再生制御の種別がサーバへの負荷が重く高品位が求められる通常再生の場合には、大画面や高品位での再生が可能なコンテンツ再生装置のみで再生し、再生制御の種別がサーバへの負荷が低く大画面や高品位での再生がそれほど求められない早送りや巻き戻し等の特殊再生の場合には、制御装置のみ、もしくは制御装置とコンテンツ再生装置の両方で再生を行うようなことができ、大画面や高品位での再生が可能なコンテンツ再生装置で通常再生を行うことと、特殊再生中には制御装置の表示部(ディスプレイ)でコンテンツの映像を表示することで視点を変更せずに所望のタイミングで通常再生に戻す操作を制御装置により容易に行うことを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明における制御システムの構成を示す図
【図2】本発明における制御システムの詳細構成を示す図
【図3】本発明の実施の形態1および実施の形態2における制御装置の処理を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1でコンテンツ再生装置と制御装置の両方で再生を行う場合における制御装置の処理を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1における制御装置の映像同期制御の処理を示すフローチャート
【図6】本発明の実施の形態2のコンテンツ再生装置と制御装置の両方で再生を行う場合における制御装置の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素が同様の動作を行う場合には、再度の説明を省略する場合がある。
【0013】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1では、図1の制御システムの構成を一例として説明する。図1において制御システムは、制御装置102、コンテンツ再生装置101およびサーバ103から構成され、制御装置102、コンテンツ再生装置101およびサーバ103は、LAN104に接続されている。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態1における制御システムの詳細構成を示す図である。制御装置102は、通信部1021、再生機器判定部1022、表示部1023、入力部1024、映像同期制御部1025、同時再生可否判定部1026を具備する。コンテンツ再生装置101は、通信部1011、表示部1012を具備する。これら各部の機能や各部の関係については各部の動作の説明において後述する。
【0015】
なお、制御装置102としてはスマートフォンやタブレット端末、リモコン、ノート型PC等のモバイル端末や、デスクトップ型のPCなどが一例として想定される。
【0016】
以降、本実施の形態での制御装置102の動作を、図3に示すフローチャートを用いて説明する。まず、ユーザは、再生するコンテンツを選択するために、制御装置102の入力部1024からコンテンツ一覧取得操作を行う(ステップS301)。これにより、制御装置102は、通信部1021を介してサーバ103にコンテンツ一覧取得要求を送信する(ステップS302)。サーバ103は、コンテンツ一覧取得要求を受信すると、サーバ103が公開するコンテンツの一覧情報を制御装置102に対して応答する(ステップS303)。制御装置102は、通信部1021を介してコンテンツ一覧情報を受信すると、表示部1023にコンテンツの一覧を表示する(ステップS304)。
【0017】
次に、ユーザは、表示部1023に表示されたコンテンツ一覧から再生したいコンテンツを選択する操作を制御装置102の入力部1024を介して行う(ステップS305)。なお、コンテンツの選択とは、再生したいコンテンツにフォーカスを合わせるような操作のことを指し、実際の再生開始までは行っていない状態を想定している。なお、タッチパネルを搭載した表示部1023を持つような制御装置102においては、コンテンツの選択と次に説明する再生開始の再生制御入力の2つの操作を、再生したいコンテンツが表示されている部分をタッチするという1つの操作でまとめて行うことができる場合もあるが、ここでは説明の簡単のために、コンテンツ選択と再生制御の入力は別操作として説明している。
【0018】
制御装置102は、コンテンツが選択されている状態では再生制御の入力待ちの状態になっている(ステップS307)。この状態で、ユーザはそのコンテンツの再生を開始するための再生制御の入力を行う(ステップS306)。なお、再生制御入力は、最初は通常再生の開始のみを行え、通常再生の開始後に早送りや巻き戻しなどの特殊再生への変更や、特殊再生から通常再生へ戻す等の操作が行える場合が多い。ユーザは、当然、この再生制御の入力(ステップS306)は繰り返し行うことができる。再生制御の入力待ちの状態で再生制御の入力が行われると、再生機器判定部1022は入力された再生制御の種別に応じて行う処理を変化させる(ステップS308)。再生制御の種別が通常再生の場合は(ステップS308で「通常再生」)、再生要求を実行し、通信部1021を介してコンテンツ再生装置101に再生指示を送信する(ステップS309)。再生を指示されたコンテンツ再生装置101は、サーバ103に対して通信部1011を介してコンテンツ取得要求を送信し(ステップS310)、サーバ103から送信されてくるコンテンツデータを受信しコンテンツの再生を行う(ステップS311)。通常再生の場合は、サーバへの負荷が増加するのを防ぐため制御装置102では再生を行わない。
【0019】
次に、再生制御の種別が早送りや巻き戻しなどの特殊再生の場合の処理について説明する。この処理は、図3のステップS308で再生制御の種別が特殊再生の場合の処理Aであり、以下では、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0020】
特殊再生の場合は(図3のステップS308で「特殊再生」)、制御装置102の表示部1023でコンテンツの再生を行うことで、ユーザは視点を変更せずに所望のタイミングで通常再生に戻す操作を容易に行うことができるようになる。このため、まず制御装置102は、サーバ103に対して通信部1021を介してコンテンツ取得要求を送信し(ステップS401)、サーバ103から送信されてくるコンテンツデータを受信しコンテンツの再生を行う(ステップS402)。
【0021】
上記処理だけでも本発明の効果はあるが、特殊再生中にも制御装置102のみでなく、コンテンツ再生装置101でも同時に再生できる方が望ましい。これは、本発明を用いない場合には特殊再生中にもコンテンツ再生装置101のみで再生が行われることから、このときよりもユーザの利便性を低下させないようにするためである。具体的には、コンテンツ再生装置101の大画面(表示部1012)で高品位な状態で早送りしている映像も確認できることや、制御装置102を操作しているユーザ以外のユーザもコンテンツ再生装置101で現在の再生位置を確認できることなどである。ただし、制御装置102に加えてコンテンツ再生装置101でも再生する場合、「(課題1)サーバ103がコンテンツへの同時アクセス数を制限している場合、制御装置102、もしくはコンテンツ再生装置101のいずれか一方の再生が行えない場合がある」、「(課題2)サーバ103の性能が十分でない場合、同時に複数のコンテンツを送出しようとすると、サーバ103が送出するビットレートがコンテンツの再生に必要なビットレートを下回り、再生がスムーズに行えなくなる場合がある「、「(課題3)早送り、巻き戻しなどの再生速度がコンテンツ再生装置101と制御装置102で異なる場合、コンテンツ再生装置101と制御装置102で再生している位置がずれる場合がある」、などの課題が発生する。この課題を解決する方法についても以下で合わせて説明する。
【0022】
まず、「(課題1)サーバ103がコンテンツへの同時アクセス数を制限している場合、制御装置102、もしくはコンテンツ再生装置101のいずれか一方の再生が行えない場合がある」という課題が発生するかどうかを確認するために、制御装置102での再生(ステップS402)を行ったままの状態で、同時再生可否判定部1026は、2つ目のコンテンツ再生要求を通信部1021を介してサーバ103に送信する(ステップS403)。サーバ103はコンテンツ取得要求を受信すると、その要求に対して新たにコンテンツを送出することで既定の送出可能数をオーバーするかどうかをチェックする(ステップS404)。なお、ここでは既定の送出可能数に基づくチェックを行う例をあげているが、サーバ103がそのときの負荷状況に応じて別の条件により新たにコンテンツを送出可能かどうかチェックする場合もあり、この場合にも本発明は適用可能である。送出可能数がオーバーしていると判断した場合(ステップS404で「Y」)、サーバ103は、制御装置102に対してエラー応答を送信する(ステップS405)。なお、DLNA規格においては、コンテンツの取得にはHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)プロトコルもしくはRTSP(Real Time Streaming Protocol)プロトコルを使用することになっており、ここでのエラー応答としては、HTTPではGetメソッドによるコンテンツ取得要求に対して、RTSPではPlayメソッドによるコンテンツ取得要求に対して、それぞれ503(Service Unavailable)のエラーコードを応答することに相当する。制御装置102の同時再生可否判定部1026は、エラー応答を受信したかどうかをチェックし(ステップS406)、エラー応答を受信した場合には(ステップS406で「Y」)、制御装置102はコンテンツ再生装置101への再生指示は行わない。
【0023】
一方、同時再生可否判定部1026がエラー応答を受信しなかった場合は(ステップS406で「N」)、サーバ103からコンテンツデータが送出されてくるが、この状態においては「(課題2」サーバ103の性能が十分でない場合、同時に複数のコンテンツデータを送出しようとすると、サーバ103が送出するビットレートがコンテンツの再生に必要なビットレートを下回り、再生がスムーズに行えなくなる場合がある」の課題が発生しているかどうかをチェックするために、ステップS402で実行している再生で使用中の一次バッファの残量を測定する(ステップS407)。この一次バッファは、ネットワーク(LAN104)やサーバ103の送出により発生するデータ到着のゆらぎを吸収し安定して再生するためのものであり、常に一定量以上のデータがバッファリングされている必要があるため、この一次バッファ内の残量が減少傾向にあるもしくは一定値を下回るなどの所定の条件に該当する場合は、サーバ性能が十分でないと判断することができる。
【0024】
サーバ性能が十分かどうかを判断するためのバッファ量測定値が取得できたら、同時再生可否判定部1026は、制御装置102での再生(ステップS402での再生)を安定して継続するために、ステップS403のコンテンツ取得要求で取得したコンテンツデータの取得停止を行う(ステップS408)。これによりサーバ103でもコンテンツデータの送出が停止される(ステップS409)。
【0025】
同時再生可否判定部1026は、取得したバッファ量測定値からサーバ性能が十分か否かをチェックする(ステップS410)。ここで、サーバ103の性能が十分でないと判定された場合は(ステップS410で「N」)、コンテンツ再生装置101への再生指示は行わない。サーバ103の性能が十分であると判定された場合は(ステップS401で「Y」)、通信部1021を介してコンテンツ再生装置101へ再生指示を送信する(ステップS411)。通信部1011を介して再生指示を受信したコンテンツ再生装置101は、サーバ103に対してコンテンツ取得要求を送信し(ステップS412)、サーバ103から送信されてきたコンテンツデータの再生を行う(ステップS413)。
【0026】
次に、「(課題3)早送り、巻き戻しなどの再生速度がコンテンツ再生装置101と制御装置102で異なる場合、コンテンツ再生装置101と制御装置102で再生している位置がずれる場合がある」の課題に対する処理について図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0027】
図5は、図4のステップS402で開始された制御装置102での再生と、図4のステップS413で開始されたコンテンツ再生装置101での再生において、映像の同期をとる場合の処理を示す。なお、コンテンツ再生装置101と制御装置102での再生がずれる原因としては、再生開始のタイミングが制御コマンドの通信遅延によりずれること、再生開始のタイミングが各装置での初期バッファリング時間/サイズによりずれること、指定された再生速度が同じであっても各装置の再生制御アルゴリズムにより必ずしも同じ再生速度で再生されるわけではないこと、などが挙げられる。
【0028】
まず、制御装置102の映像同期制御部1025は、通信部1021を介してコンテンツ再生装置101に再生位置取得要求を送信する(ステップS501)。コンテンツ再生装置101は、サーバ103からデータを取得しながら再生を継続しているため、再生位置取得要求を受信するとそのときに再生している映像の位置を、通信部1011を介して応答する(ステップS502)。なお、ここでの位置とは、コンテンツの先頭もしくはコンテンツ取得コマンドで指定した位置からの時間もしくはデータサイズで指定されるのが一般的である。なお、DLNA規格においては、デジタルメディア・コントローラ(DMC)とデジタルメディア・レンダラー(DMR)間で再生指示、再生停止要求を行う際には、UPnP AV(Universal Plug and Play Audio Visual)規格で規定されるAVT(AV Transport)プロトコルが使用される。再生位置取得要求/応答は、AVTのGetPositionInfoというコマンドを用いることで行うことができる。
【0029】
次に、映像同期制御部1025は、取得したコンテンツ再生装置101における再生位置に基づいて、通信部1021を介してサーバ103にコンテンツ取得要求を送信する(ステップS503)。サーバ103は指定された位置に対するコンテンツデータを制御装置102に対して送信するため、これを再生することで制御装置102とコンテンツ再生装置101で同じ映像を再生することができるようになる。なお、再生位置応答(ステップS502)と制御装置102で実際に映像を再生するまでには数百ミリ秒から1秒程度の遅延が発生する可能性があるため、これを考慮しコンテンツ取得要求(ステップS503)で指定する位置を所定のアルゴリズムにより調整するようにしてもよい。所定のアルゴリズムとしては、応答された再生位置に対して一定時間/一定データサイズを加算する方法や、過去に計測した統計情報に基づいて加算する値を調整する方法などが考えられる。また、ここでは、制御装置102が再生位置を取得するごとにコンテンツ取得要求(ステップS503)を行う方法について説明したが、コンテンツの取得は別途独立して行い、取得済みのデータを再生するタイミングを調整するようにしてもよい。
【0030】
なお、ここでは、通常再生時にはコンテンツ再生装置101のみで再生を行い、特殊再生時には、少なくとも制御装置102で再生を行う場合について述べたが、通常再生時にもコンテンツ再生装置101と制御装置102の両方で再生を行うようにしてもよい。この場合は、通常再生の場合にも、図4で説明した特殊再生時の課題1、課題2に対する手順をほぼそのまま適用することができる。特殊再生時と通常再生時で異なる部分は、特殊再生時は制御装置102での再生が必須であるのに対して、通常再生時はコンテンツ再生装置101での再生が必須になることである。すなわち、図4のフローチャートにおいて、制御装置102での再生(ステップS401、ステップS402)とコンテンツ再生装置101での再生(ステップS411、ステップS412、ステップS413)が入れ替わったシーケンスとなる。また、課題3に対する手順としても、特殊再生の場合とほぼ同様の手順が適用可能である。特殊再生時と通常再生時で異なる部分は、特殊再生時には再生位置の取得ごとにコンテンツ取得要求(ステップS503)を行うことができるが、通常再生時にはコンテンツ取得要求は再生開始時の1回のみになるため、映像の同期は取得済みのデータを再生するタイミングを調整する方法を用いる。
【0031】
また、通常再生時および特殊再生時にコンテンツ再生装置101のみで再生するか、制御装置102のみで再生するか、コンテンツ再生装置101と制御装置102の両方で再生するかを設定可能としてもよい。また、課題1、課題2、課題3に対するそれぞれの制御を行うかどうかを設定可能としてもよい。
【0032】
以上説明したように、本発明の制御装置、制御システム、制御方法によれば、再生制御の種別がサーバ103への負荷が重く高品位が求められる通常再生の場合には、少なくとも大画面や高品位での再生が可能なコンテンツ再生装置101で再生し、再生制御の種別がサーバ103への負荷が低く大画面や高品位での再生がそれほど求められない早送りや巻き戻し等の特殊再生の場合には、少なくとも制御装置102で再生し、同時アクセス数や性能などに対するサーバ103の制約がない場合には、コンテンツ再生装置101および制御装置102の両方で再生する、というようなことが可能となる。
【0033】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態1では、制御装置102およびコンテンツ再生装置101で同時に再生する場合は、いずれもサーバ103からコンテンツを取得する場合について記載したが、本実施の形態では、サーバ103からコンテンツを再生するのは制御装置102のみで、コンテンツ再生装置101は制御装置102からコンテンツを取得して再生を行う場合について説明する。これにより、サーバ103がコンテンツデータを送出する本数を1本とすることができ、サーバ103の同時アクセス数や性能の制限を受けずに再生を行ったり、サーバ103の負荷を軽減することができる。
【0034】
なお、ユーザが入力部1024を介してコンテンツを選択し再生制御の入力を行い、再生機器判定部1022が入力された再生制御の種別を判断するところまでの処理は図3の処理と同様になるため、ここでは説明を省略する。ここでは、図6に示すフローチャートを用いて本実施の形態における図3のAの処理の詳細を説明する。
【0035】
まず、制御装置102は、通信部1021を介してサーバ103からコンテンツを取得し再生を行う(ステップS601、ステップS602)。また、このとき取得したコンテンツデータをコンテンツ再生装置101へ送出するため一時的に記憶部(図示せず)に保存しておく。
【0036】
次に、制御装置102は、コンテンツ再生装置101に対して、通信部1021を介して再生指示を送出する(ステップS603)。このとき、この再生指示では、コンテンツの取得先としてサーバ103ではなく制御装置102を指定するようにする。これにより、コンテンツ再生装置101は制御装置102に対してコンテンツ取得要求を送信する(ステップS604)。制御装置102は、一時的に記憶部(図示せず)に保存していたコンテンツデータをコンテンツ再生装置101に送信し、コンテンツ再生装置101はこれを再生する(ステップS605)。
【0037】
また、制御装置102とコンテンツ再生装置101での再生の映像の同期をとるため、映像同期制御部1025は、通信部1021を介してコンテンツ再生装置101に再生位置取得要求を送信する(ステップS606)。これに対してコンテンツ再生装置101は通信部1011を介して再生位置を応答する(ステップS607)。図6では記載を一部省略しているが、通常再生の場合はこの応答に基づいて映像表示開始のタイミングを調整し、特殊再生の場合は映像表示のタイミングを調整したり、コンテンツ再生装置101から応答された位置に対するコンテンツデータをサーバ103から取得し(ステップS608)、そのコンテンツデータを再生したりする。ここでの処理については、本発明の実施の形態1の図5の処理と同様のためここでは詳細の説明を省略する。
【0038】
以上説明したように本発明の制御装置、制御システム、制御方法によれば、再生制御の種別がサーバ103への負荷が重く高品位が求められる通常再生の場合には、少なくとも大画面や高品位での再生が可能なコンテンツ再生装置101で再生し、再生制御の種別がサーバ103への負荷が低く大画面や高品位での再生がそれほど求められない早送りや巻き戻し等の特殊再生の場合には、少なくとも制御装置102で再生することに加え、通常再生、もしくは特殊再生、もしくはその両方において、サーバ103の同時アクセス数や性能の制約を受けることなくコンテンツ再生装置101と制御装置102の両方で再生を行うことができる。
【0039】
なお、本発明の実施の形態1の方法を用いるか、本発明の実施の形態2の方法を用いるか、いずれも用いないかを設定により切り替えられるようにしてもよい。
【0040】
また、本発明の実施の形態1および本発明の実施の形態2においては、通常再生以外の再生方法として早送りや巻き戻しについて述べたが、制御装置102の表示部1023に表示されるシークバーを操作して、指定した位置からの再生を開始するシーク再生や、30秒など一定時間後の映像再生に遷移するスキップ再生などの機能を持つ場合もある。このような場合はシーク再生やスキップ再生の制御を1回もしくは複数回繰り返した後に通常再生を行うことになるが、通常再生を開始する前にシークしている位置の映像やスキップ後に再生される映像を制御装置102の表示部1023で表示させることも本発明により可能である。これにより、シーク再生やスキップ再生後に制御装置102の表示部1023(ディスプレイ)でコンテンツの映像を表示することで視点を変更せずに所望のタイミングで通常再生を行う操作を制御装置102のみにより容易に行うことをことができるようになる。
【0041】
図2の制御装置102を構成する通信部1021、再生機器判定部1022、映像同期制御部1025、同時再生可否判定部1026は、上記で説明した各種の電文や情報を処理する専用のハードウェア(専用回路)により実現可能である。また、これらの別の実現方法としては、通常、ソフトウェアでも実現可能である。すなわち、上記で説明した動作内容をソフトウェアで記述してROMに記録しておき、共通のMPUやメモリ上で当該ソフトウェアを実行するようにすればよい。なお、ROMは、書き換え可能ROM等の不揮発性記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現は可能である。
【0042】
なお、本発明の制御装置、制御システムおよび制御方法は、DLNAに準拠したコンテンツ再生方式を、更に改良することを目的の1つとしている。したがってサーバ103とコンテンツ再生装置101は、DLNA(Digital Living Network Alliance)規格準拠の通信プロトコルで通信ステップを有するとし、各情報、各電文の表記は、DLNAに準拠した形態を一例として説明した。しかし、本発明は、DLNAに準拠しない制御装置、制御システムに対しても適用可能である。
【0043】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、実施の形態の構成、電文の内容や表現形式、フローチャートの手順について、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明にかかる制御装置、制御システムおよび制御方法は、ネットワーク上のコンテンツ再生装置に対してコンテンツ再生指示を行いコンテンツの再生を行わせるシステム、方法として有用である。
【符号の説明】
【0045】
101 コンテンツ再生装置
102 制御装置
103 サーバ
104 LAN
1011、1021 通信部
1022 再生機器判定部
1012、1023 表示部
1024 入力部
1025 映像同期制御部
1026 同時再生可否判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置がコンテンツ再生装置に再生指示を行い、前記再生指示に従って前記コンテンツ再生装置がサーバから取得したコンテンツを再生する制御システムにおける制御装置であって、
前記サーバから前記コンテンツの情報を受信し、前記コンテンツ再生装置に前記再生指示を送信し、前記サーバから前記コンテンツを受信する通信部と、
前記コンテンツの選択および再生制御を受け付ける入力部と、
入力された前記再生制御の種別に応じて、選択された前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置のみで行うか、前記制御装置のみで行うか、前記コンテンツ再生装置および前記制御装置の両方で行うかのいずれかを判断する再生機器判定部と、
前記コンテンツの再生を行う表示部と、
を具備する制御装置。
【請求項2】
前記通信部は、DLNA(Digital Living Network Alliance)規格準拠の通信プロトコルを用いて、前記コンテンツの情報の受信、前記再生指示の送信、および前記コンテンツの受信を行う、ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記再生機器判定部は、前記再生制御の種別が通常再生の場合には、選択された前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置のみで行い、前記再生制御の種別が特殊再生の場合には、選択された前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置および前記制御装置の両方で行うと判断する、ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記再生機器判定部が、前記再生制御の種別が特殊再生であると判断した場合に、前記コンテンツ再生装置で再生する映像データと、前記制御装置で再生する映像データの同期をとるように制御する映像同期制御部と、を更に具備することを特徴とする請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
前記通信部は、前記コンテンツ再生装置で再生する映像データの再生位置を前記コンテンツ再生装置から取得し、
前記映像同期制御部は、前記通信部が取得した前記再生位置に応じて、前記制御装置で再生する映像データの取得位置または前記映像データを前記表示部に表示するタイミングを調整する、ことを特徴とする請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
前記再生機器判定部は、前記再生制御の種別が通常再生の場合には、選択された前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置のみで行い、前記再生制御の種別が特殊再生の場合には、選択された前記コンテンツの再生を前記制御装置のみで行うと判断する、ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項7】
前記再生機器判定部は、前記再生制御の種別が通常再生の場合には、選択された前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置および前記制御装置の両方で行い、前記再生制御の種別が特殊再生の場合には、選択された前記コンテンツの再生を前記制御装置のみで行うと判断する、ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項8】
前記サーバが、選択された前記コンテンツを複数同時に再生可能な否かを判断する同時再生可否判定部と、を更に備え、
前記再生機器判定部は、前記同時再生可否判定部が、前記サーバが選択された前記コンテンツを複数同時に再生できないと判断した場合、いずれか一方でのコンテンツ再生に切り替える、ことを特徴とする請求項3または請求項7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記同時再生可否判定部は、選択された前記コンテンツを複数同時に再生する場合に、再生に必要なビットレートで再生可能か否かを判断し、
前記再生機器判定部は、前記同時再生可否判定部が、再生に必要なビットレートで再生できないと判断した場合、いずれか一方でのコンテンツ再生に切り替える、ことを特徴とする請求項8記載の制御装置。
【請求項10】
前記再生機器判定部は、前記再生制御の種別が通常再生の場合には、選択された前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置のみで行い、前記再生制御の種別がシーク操作の場合には、選択された前記コンテンツの再生を前記制御装置のみ、もしくは前記コンテンツ再生装置および前記制御装置の両方で行うと判断する、ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項11】
前記通信部は、前記再生機器判定部が、選択された前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置および前記制御装置の両方で行うと判断した場合に、選択された前記コンテンツの取得を前記制御装置から行わせるような前記再生指示を前記コンテンツ再生装置へ送信し、前記コンテンツ再生装置からのコンテンツ取得要求を受信し、前記サーバから前記コンテンツを取得し、前記コンテンツを前記コンテンツ再生装置に送信する、ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項12】
前記再生機器判定部は、所定の設定に基づいて、選択された前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置のみで行うか、前記制御装置のみで行うか、前記コンテンツ再生装置および前記制御装置の両方で行うかを判断する、ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項13】
制御装置がコンテンツ再生装置に再生指示を行い、前記再生指示に従って前記コンテンツ再生装置がサーバから取得したコンテンツを再生する制御システムであって、
前記制御装置は、
前記サーバから前記コンテンツの情報を受信し、前記コンテンツ再生装置に前記再生指示を送信し、前記サーバから前記コンテンツを受信する第1通信部と、
前記コンテンツの選択および再生制御を受け付ける入力部と、
入力された前記再生制御の種別に応じて、選択された前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置のみで行うか、前記制御装置のみで行うか、前記コンテンツ再生装置および前記制御装置の両方で行うかのいずれかを判断する再生機器判定部と、
前記コンテンツの再生を行う表示部と、を具備し、
前記コンテンツ再生装置は、
前記第1通信部から前記再生指示を受信し、かつ前記サーバから前記コンテンツを受信する第2通信部と、
前記第2通信部が受信した前記コンテンツの再生を行う表示部と、
を具備することを特徴とする制御システム。
【請求項14】
制御装置がコンテンツ再生装置に再生指示を行い、前記再生指示に従って前記コンテンツ再生装置がサーバから取得したコンテンツを再生する制御システムにおける制御方法であって、
前記制御装置において、前記コンテンツの選択および再生制御を入力するステップと、
前記制御装置において、入力された前記再生制御の種別に応じて前記コンテンツの再生を前記コンテンツ再生装置のみで行うか、前記制御装置のみで行うか、前記コンテンツ再生装置および前記制御装置の両方で行うかのいずれかを判断するステップと、
前記制御装置において、前記コンテンツ再生装置で再生を行うと判断した場合に、前記コンテンツ再生装置に前記再生指示を送信するステップと、
前記制御装置において、前記制御装置で再生を行うと判断した場合に、前記サーバから取得した前記コンテンツを再生するステップと、
を有する制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−21584(P2013−21584A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154538(P2011−154538)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】