説明

制御装置、制御方法、制御プログラムおよび記録媒体

【課題】空調システムにおいて費用対効果の高い省エネルギー化を図り、かつ、容易に導入可能にする。
【解決手段】熱源機2の冷温水の設定温度と、空調機7の負荷熱量とが対応付けられた冷温水設定温度特定テーブルを参照して、計測した空調機7の負荷熱量に対応する設定温度を特定し、特定した設定温度の冷温水を供給するように熱源機2を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムにおいて、空調機及びファンコイルユニット等に循環させる流体の温度を調整する熱源機を制御する制御装置、制御方法、制御プログラムおよび記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷温水を供給する熱源機と、熱源機から供給される冷温水を空調機に搬送するポンプ等の搬送機と、供給される冷温水を利用して所定の空間の空調を調整する空調機とを含む空調システムがある。
【0003】
近年、経済的や環境的な観点から電力等のエネルギーを消費する機器に対して省エネルギー化が求められている。特に、他の機器に比べて消費電力の大きい空調システムに対しては省エネルギー化がより強く求められる。
【0004】
従来の空調システムでは、熱源機の冷温水出口温度が一定に設定されていることが多い。そのため、空調機側の負荷熱量が少なくなったとしても、熱源機が消費する電力は負荷熱量の削減量ほどには減らず、エネルギーの無駄が発生していた。そこで、空調システムの管理者等が、時期や季節等により、手作業で熱源機の冷温水出口温度を変更することが行われていた。
【0005】
しかしながら、冷温水出口温度の適正値の基準がないため、省エネルギー化に最適な温度に設定することが困難であった。また、人手で温度設定を変更するため、時刻ごとに設定値を変更するような細かな温度制御を行うことが困難であった。そこで、エネルギー効率が最適になるように熱源機の冷温水出口温度を自動的に制御する技術が開発されてきた。
【0006】
例えば、特許文献1には、二次側設備のローカルポンプ、冷温熱源機および一次冷温水ポンプの消費電力を合計してシステム消費電力を算出し、二次側設備の流量および温度差から二次側設備の熱量を算出し、二次側熱量およびシステム消費電力より算出されるシステムCOPが最大となるように冷温熱源機の出口温度を設定することが記載されている。
【0007】
また、特許文献2にも、システムCOPが最大となるように冷温熱源機の冷温水出口温度を制御することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−275397号公報(2006年10月12日公開)
【特許文献2】特開2006−38379号公報(2006年2月9日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のような従来技術は、既設の空調システムに対して導入することが容易ではないという問題がある。
【0010】
具体的には、省エネルギー化の技術が導入されていない既設の空調システムでは、二次側設備のローカルポンプ(二次ポンプ)、冷温熱源機および一次ポンプ等の消費電力を測定する測定器等が設置されていない。そのため、上述の技術を導入する場合、既設の空調システムに対して、新たに電力測定器等を設置しなければならない。また、新たに電力測定器等を設置するため、導入コストも大きくなる。さらに、空調システムの設備によっては、電力測定器等を設置することができず、上述の技術を導入できない場合も考えられる。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、空調システムにおいて費用対効果の高い省エネルギー化を図り、かつ、容易に導入可能な制御装置、制御方法、制御プログラムおよび記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る制御装置は、上記課題を解決するために、空調システムにおいて、空調機を通過させる流体の温度を調整する熱源機を制御する制御装置であって、上記空調機を通過する前の上記流体の流入温度と、上記空調機を通過した後の上記流体の流出温度を取得する温度取得手段と、上記空調機を通過する上記流体の流量を取得する流量取得手段と、上記温度取得手段が取得した上記流入温度および上記流出温度、並びに、上記流量取得手段が取得した上記流量に基づいて、上記空調機の負荷熱量を算出する熱量算出手段と、上記熱源機の温度調整の出力の程度を示す出力レベルと、上記空調機の負荷熱量とが対応付けられた出力レベル特定情報を参照して、上記熱量算出手段が算出した負荷熱量に対応する出力レベルを特定する出力レベル特定手段と、上記出力レベル特定手段が特定した出力レベルで動作するように上記熱源機を制御する熱源機制御手段とを備えることを特徴としている。
【0013】
本発明に係る制御方法は、上記課題を解決するために、空調システムにおいて、空調機を通過させる流体の温度を調整する熱源機を制御する制御方法であって、上記空調機を通過する前の上記流体の流入温度と、上記空調機を通過した後の上記流体の流出温度を取得する温度取得ステップと、上記空調機を通過する上記流体の流量を取得する流量取得ステップと、上記温度取得ステップにおいて取得された上記流入温度および上記流出温度、並びに、上記流量取得ステップにおいて取得された上記流量に基づいて、上記空調機の負荷熱量を算出する熱量算出ステップと、上記熱源機の温度調整の出力の程度を示す出力レベルと、上記空調機の負荷熱量とが対応付けられた出力レベル特定情報を参照して、上記熱量算出ステップにおいて算出された負荷熱量に対応する出力レベルを特定する出力レベル特定ステップと、上記出力レベル特定ステップにおいて特定された出力レベルで動作するように上記熱源機を制御する熱源機制御ステップとを含むことを特徴としている。
【0014】
また、上記熱源機の出力レベルを変動させたとしても、実際には、空調システムの搬送系の消費電力がそれほど増加しないため、実用上、上記熱源機の効率を向上させることにより、空調システム全体の効率を向上させることができる。
【0015】
上記の構成によれば、上記出力レベル特定手段は、上記出力レベル特定情報を参照して、取得した上記流入温度、上記流出温度および上記流量から算出した上記空調機の負荷熱量に対応する出力レベルを特定する。そして、上記熱源機制御手段は特定した出力レベルで動作するように上記熱源機を制御する。そのため、出力レベル特定情報において規定されている負荷熱量に応じた最適な出力レベルで上記熱源機が動作するため、上記熱源機の効率を向上させることができる。よって、空調システム全体の効率を向上させることができ、省エネルギー化を実現することができる。
【0016】
本発明の方法でも、空調機の負荷熱量を算出するため、温度計や流量計等が必要になる。しかしながら、一般的な空調システムでは、空調機の負荷熱量を算出するための計器等が設置されていることが多い。そのため、本発明の技術を既設の空調システムに導入した場合であっても、新たに計器等を設置する必要がない。
【0017】
このように、空調システムに既に設置されてある計器を使用して、空調システムの効率を向上させることにより、従来に比べて費用対効果の高い省エネルギー化を図ることができ、かつ、既設の空調システムに対して簡単に本発明の技術を導入することができるという効果を奏する。
【0018】
上記出力レベル特定情報は、上記出力レベルと、上記負荷熱量とが増加の関係で対応付けられており、上記出力レベルに所定の下限値が定められているものであることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、上記空調機の負荷熱量の増減に応じて、上記熱源機の出力レベルが増減する。そのため、上記熱源機の効率を向上させることができる。
【0020】
また、本発明者は、冷房時の冷水温度が15℃程度以下または暖房時の温水温度が35℃程度以上の場合、空調システム全体の効率が冷温水の温度に対して比例の関数になることを見出した。従って、上記熱源機の出力レベルに所定の下限値を定めておき、当該下限値以上で上記熱源機を動作させることにより、上記熱源機の効率を確実に向上させることができる。
【0021】
上記熱量算出手段は、上記負荷熱量をQとし、上記流入温度をT1とし、上記流出温度をT2とし、上記流量をFLとすると、Q=|T2−T1|×FLにより、負荷熱量を算出することが好ましい。
【0022】
上記出力レベル特定情報に含まれる出力レベルは、上記熱源機が供給する流体の設定温度であり、上記出力レベル特定手段は、上記出力レベル特定情報を参照して、上記熱量算出手段が算出した負荷熱量に対応する設定温度を特定し、上記熱源機制御手段は、上記出力レベル特定手段が特定した設定温度に、上記流体の温度を調整するように上記熱源機を制御することが好ましい。
【0023】
なお、上記制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御装置の各手段として動作させることにより、上記制御装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る制御装置は、上記空調機を通過する前の上記流体の流入温度と、上記空調機を通過した後の上記流体の流出温度を取得する温度取得手段と、上記空調機を通過する上記流体の流量を取得する流量取得手段と、上記温度取得手段が取得した上記流入温度および上記流出温度、並びに、上記流量取得手段が取得した上記流量に基づいて、上記空調機の負荷熱量を算出する熱量算出手段と、上記熱源機の温度調整の出力の程度を示す出力レベルと、上記空調機の負荷熱量とが対応付けられた出力レベル特定情報を参照して、上記熱量算出手段が算出した負荷熱量に対応する出力レベルを特定する出力レベル特定手段と、上記出力レベル特定手段が特定した出力レベルで動作するように上記熱源機を制御する熱源機制御手段とを備えている構成である。
【0025】
また、本発明に係る制御方法は、上記空調機を通過する前の上記流体の流入温度と、上記空調機を通過した後の上記流体の流出温度を取得する温度取得ステップと、上記空調機を通過する上記流体の流量を取得する流量取得ステップと、上記温度取得ステップにおいて取得された上記流入温度および上記流出温度、並びに、上記流量取得ステップにおいて取得された上記流量に基づいて、上記空調機の負荷熱量を算出する熱量算出ステップと、上記熱源機の温度調整の出力の程度を示す出力レベルと、上記空調機の負荷熱量とが対応付けられた出力レベル特定情報を参照して、上記熱量算出ステップにおいて算出された負荷熱量に対応する出力レベルを特定する出力レベル特定ステップと、上記出力レベル特定ステップにおいて特定された出力レベルで動作するように上記熱源機を制御する熱源機制御ステップとを含む。
【0026】
したがって、空調システムに既に設置されてある計器を使用して、空調システムの効率を向上させることにより、従来に比べて費用対効果の高い省エネルギー化を図ることができ、かつ、既設の空調システムに対して簡単に本発明の技術を導入することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、熱源機制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記熱源機制御装置を含む空調システムの構成の一例を示す図である。
【図3】上記熱源機制御装置の記憶部に格納されている冷水設定温度特定テーブルの一例を示す図である。
【図4】上記熱源機制御装置の記憶部に格納されている温水設定温度特定テーブルの一例を示す図である。
【図5】上記空調システムに含まれる各機器の一連の動作例を示すシーケンス図である。
【図6】上記熱源機制御装置が実行する熱源機制御処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔本発明の概要〕
一般的に、空調システムにおいて、冷水(温水)温度が上がる(下がる)ほど、熱源機の消費電力は減少するが、負荷熱量が同じであるという条件下では空調機に搬送する冷温水の流量が増加するため、ポンプ等の搬送系の消費電力が増加する。そのため、従来技術では、熱源機および搬送系の両方の消費電力を計測し、過去データからの学習により最適な冷温水の温度を設定していた。
【0029】
本発明の発明者のチームは、冷温水ポンプが負荷熱量に追従して流量調整するシステムにおいては、冷房時の場合、冷水温度が15℃程度以下では、熱源機が供給する冷水の温度を上げた場合であっても、実際には、冷温水ポンプが注水する冷水の流量がそれほど増加しない。また、暖房時の場合、温水温度が35℃程度以上では、熱源機が供給する温水の温度を下げた場合であっても、実際には、冷温水ポンプが注水する温水の流量がそれほど増加しない。
【0030】
このことから、本発明者は、冷房時の冷水温度が15℃程度以下または暖房時の温水温度が35℃程度以上の場合、空調システム全体の効率が冷温水の温度に対して比例の関数になることを見出した。この知見に基づき、本発明者は、熱源機が供給する冷水の温度に上限値および温水の温度に下限値を設けることにより、空調システムの消費電力を計測することなく、省エネルギー化を実現する方法を発明した。
【0031】
なお、一般的な空調システムでは、冷房時の冷水温度の上限値が15℃に、また、暖房時の温水温度の下限値が35℃に設定されていることが多い。そのため、冷水温度の上限値および温水温度の下限値を、それぞれ、15℃、35℃に制限したとしてもなんら問題がない。
【0032】
本発明の方法でも、空調機の負荷熱量を算出するため、温度計や流量計等が必要になる。しかしながら、一般的な空調システムでは、空調機の負荷熱量を算出するための計器等が設置されていることが多い。そのため、本発明の技術を既設の空調システムに導入した場合であっても、新たに計器等を設置する必要がない。
【0033】
このように、既設の空調システムに設置されてある計器を使用することにより、本発明は、従来に比べて費用対効果の高い省エネルギー化を図ることができ、かつ、既設の空調システムに対して簡単に本発明の技術を導入することができる。
【0034】
以下に、本発明の具体的な一実施形態について図1から図6に基づいて説明する。まず、本実施形態に係る空調システムについて、図2に基づいて説明する。なお、本発明において、流量とは単位時間当たりの流量を示すものとする。また、以下に説明する実施形態では、冷水温度の上限値を15℃に、温水温度の下限値を35℃に定めているが、これらの値を厳密な値として限定するものではない。空調システム全体の効率が冷温水の温度に対して比例の関数になる場合の温度の臨界値は、空調システムの機器の状態や種別、空調システムが設置されている環境等によって多少変動する。本発明では、冷水温度の上限値を15℃に、温水温度の下限値を35℃に定めているが、実質的には、これらの温度は上記の変動幅を含む値である。具体的には、冷水温度の上限値が15℃±2℃であり、温水温度の下限値が35℃±2℃である。
【0035】
〔空調システムの構成〕
図2は、空調システムの構成の一例を示す図である。図2に示すように、空調システム10は、熱源機制御装置(制御装置)1、熱源機2aおよび2b、冷温水一次ポンプ3aおよび3b、冷温水二次ポンプ4aおよび4b、並びに、空調機(AHU:Air Handling Unit)7を含むものである。
【0036】
熱源機2aおよび2b、冷温水一次ポンプ3aおよび3b、冷温水二次ポンプ4aおよび4b、並びに、空調機7は、それぞれ、配水管およびヘッダを介して接続されており、これらの機器の間を冷温水が循環する。なお、本実施形態では、空調システム内の各機器間を冷温水が循環しているがこれに限るものではなく、流体であれば何でもよい。例えば、水以外の液体や空気等の気体であってもよい。
【0037】
具体的には、図示のように、冷温水一次ポンプ3aおよび3bの流出側は、熱源機2aおよび2bの流入側とそれぞれ配水管によって接続している。また、冷温水一次ポンプ3aおよび3bの流入側は、還水ヘッダ11aと配水管によって接続している。また、熱源機2aおよび2bの流出側は、注水一次ヘッダ11bと配水管によって接続している。
【0038】
また、注水一次ヘッダ11bは、注水二次ヘッダ11cと配水管によって接続している。また、冷温水二次ポンプ4aおよび4bの流入側は、注水二次ヘッダ11cと配水管によって接続しており、流出側は、注水三次ヘッダ11dと配水管によって接続している。
【0039】
また、空調機7の流入側は、注水三次ヘッダ11dと配水管によって接続しており、流出側は、還水ヘッダ11aと配水管によって接続している。
【0040】
さらに、空調機7と注水三次ヘッダ11dとの間の配水管上に流量計6および出口温度計5bが設けられている。また、空調機7と還水ヘッダ11aとの間の配水管上に入口温度計5aが設けられている。
【0041】
なお、以下では、熱源機2aおよび2bを区別しない場合、熱源機2aおよび2bを総称して熱源機2と称する。また、冷温水一次ポンプ3aおよび3bを区別しない場合、冷温水一次ポンプ3aおよび3bを総称して冷温水一次ポンプ3と称する。また、冷温水二次ポンプ4aおよび4bを区別しない場合、冷温水二次ポンプ4aおよび4bを総称して冷温水二次ポンプ4と称する。
【0042】
熱源機制御装置1は、入口温度計5a、出口温度計5bおよび流量計6から、それぞれ入口温度データ、出口温度データおよび流量データを取得して、取得したデータに基づいて、熱源機2の供給する冷温水が所定の温度になるように、熱源機2の動作を制御するものである。熱源機制御装置1の機能および処理について、詳細は後述する。
【0043】
熱源機2は、熱源機制御装置1の指示に基づいて、冷温水一次ポンプ3により搬送された冷温水を加熱または冷却して、所定の温度の冷温水を供給するものである。熱源機2は、冷温水を加熱または冷却できるものであればなんでもよく、その方式は、吸収式、ターボ式、ヒートポンプ式等どのような方式であってもよい。また、熱源機2は、冷水を生成する冷凍機および温水を生成するボイラからなるものであってもよい。
【0044】
冷温水一次ポンプ3は、空調機7から流出する冷温水を、熱源機2を通して、空調機7に搬送するものである。具体的には、例えば、注水一次ヘッダ11bを通る冷温水の圧力を測定する圧力計(不図示)が設置されており、当該圧力計の測定結果に基づいて冷温水一次ポンプ3の動作を制御する一次ポンプ制御装置(不図示)が設置されているとする。この場合、冷温水一次ポンプ3は、一次ポンプ制御装置の指示に従って、注水一次ヘッダ11bを通る冷温水の圧力が所定の値となるように、搬送する冷温水の流量を調整する。
【0045】
冷温水二次ポンプ4は、注水三次ヘッダ11dから空調機7に流入する冷温水の流量を調整するものである。具体的には、例えば、注水三次ヘッダ11dを通る冷温水の圧力を測定する圧力計(不図示)が設置されており、当該圧力計の測定結果に基づいて冷温水二次ポンプ4の動作を制御する二次ポンプ制御装置(不図示)が設置されているとする。この場合、冷温水二次ポンプ4は、二次ポンプ制御装置の指示に従って、注水三次ヘッダ11dを通る冷温水の圧力が所定の値となるように、搬送する冷温水の流量を調整する。
【0046】
空調機7は、制御弁9の開閉度を調整して、空調機7内を通過する冷温水の流量を変化させて、冷温水により空調した空気を居室に給気する(SA:Send Air)ものである。具体的には、例えば冷房時、ユーザがリモコンを操作して空調機7の設定温度を上げた場合、空調機7は、制御弁を閉めて空調機7内を通過する冷温水の流量を減少させる。一方、冷房時に、ユーザがリモコンを操作して空調機7の設定温度を下げた場合、空調機7は、制御弁を開けて空調機7内を通過する冷温水の流量を増加させる。
【0047】
入口温度計5aは、空調機7から流出して還水ヘッダ11aに流入する冷温水の温度(流出温度)を測定するものである。入口温度計5aは、測定した冷温水の温度を示す入口温度データを熱源機制御装置1に出力する。ここで、入口温度計5aが測定した、空調機7から流出して還水ヘッダ11aに流入する冷温水の温度をT1とする。
【0048】
出口温度計5bは、注水三次ヘッダ11dから流出して空調機7に流入する冷温水の温度(流入温度)を測定するものである。出口温度計5bは、測定した冷温水の温度を示す出口温度データを熱源機制御装置1に出力する。ここで、出口温度計5bが測定した、注水三次ヘッダ11dから流出して空調機7に流入する冷温水の温度をT2とする。
【0049】
流量計6は、注水三次ヘッダ11dから流出して空調機7に流入する冷温水の流量を測定するものである。流量計6は、測定した冷温水の流量を示す流量データを熱源機制御装置1に出力する。ここで、流量計6が測定した、注水三次ヘッダ11dから流出して空調機7に流入する冷温水の流量をFLとする。
【0050】
なお、図2に示す例では、空調システム10は冷温水一次ポンプ3および熱源機2を2組含んでいるが、これに限るものではない。例えば、空調システム10は冷温水一次ポンプ3および熱源機2を1組だけ含んでいてもよいし、3組以上含んでいてもよい。
【0051】
また、図2に示す例では、空調システム10は冷温水二次ポンプ4を2つ含んでいるが、これに限るものではない。例えば、空調システム10は冷温水二次ポンプ4を1つ含んでいてもよいし、3つ以上含んでいてもよい。また、空調システム10は冷温水二次ポンプ4を含んでいなくてもよい。この場合、冷温水一次ポンプ3だけで冷温水を空調システム内に循環させる。
【0052】
また、図2に示す例では、空調システム10は空調機7を1つ含んでいるが、これに限るものではない。例えば、空調システム10は、空調機7を複数含んでいてもよい。この場合、空調機7の個数に合わせて、冷温水二次ポンプ4を設置してもよい。
【0053】
また、図2に示す例では、出口温度計5bは、注水三次ヘッダ11dと空調機7との間の配水管に設置されているが、これに限るものではない。例えば、出口温度計5bは、注水一次ヘッダ11bと注水二次ヘッダ11cとの間の配水管に設置されていてもよい。
【0054】
〔熱源機制御装置の構成〕
次に、熱源機制御装置1について、図1に基づいて説明する。図1は、熱源機制御装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、熱源機制御装置1は、制御部21、記憶部22、データ入力部23および信号出力部24を備えている。熱源機制御装置1は、例えば、PC等で実現される。
【0055】
データ入力部23は、入口温度計5a、出口温度計5bおよび流量計6とそれぞれ接続されており、入口温度計5a、出口温度計5bおよび流量計6からデータを受信するための入力インターフェースである。データ入力部23は、入口温度計5a、出口温度計5bおよび流量計6とそれぞれ有線通信手段または無線通信手段によって接続されている。
【0056】
信号出力部24は、熱源機2と接続されており、熱源機2に制御信号を送信するための出力インターフェースである。信号出力部24は、熱源機2と有線通信手段または無線通信手段によって接続されている。
【0057】
制御部21は、記憶部22から一時記憶部(不図示)に読み出されたプログラムを実行することにより、各種の演算を行うと共に、熱源機制御装置1が備える各部を統括的に制御するものである。
【0058】
本実施形態では、制御部21は、機能ブロックとして、データ取得部(温度取得手段、流量取得手段)31、熱量算出部(熱量算出手段)32、冷温水設定温度特定部(出力レベル特定手段)33および熱源機制御部(熱源機制御手段)34を備える構成である。これらの制御部21の各機能ブロック(31〜34)は、CPU(central processing unit)が、ROM(read only memory)等で実現された記憶装置に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等で実現された一時記憶部に読み出して実行することで実現できる。
【0059】
データ取得部31は、データ入力部23を介して、入口温度計5a、出口温度計5bおよび流量計6からそれぞれ入口温度データ、出口温度データおよび流量データを取得するものである。データ取得部31は、例えば、1時間毎に各データを取得する。データ取得部31は、取得した入口温度データ、出口温度データおよび流量データを熱量算出部32に出力する。
【0060】
熱量算出部32は、データ取得部31が取得した入口温度データ、出口温度データおよび流量データに基づいて、空調機7の負荷熱量を算出するものである。具体的には、熱量算出部32は、空調機7の負荷熱量QをQ=|T2−T1|×FLとして算出する。熱量算出部32は、算出した空調機7の負荷熱量Qを冷温水設定温度特定部33に出力する。
【0061】
冷温水設定温度特定部33は、熱量算出部32から負荷熱量を取得し、記憶部22から冷温水設定温度特定テーブル(詳細は後述する)を読み出す。冷温水設定温度特定部33は、読み出した冷温水設定温度特定テーブルを参照して、取得した負荷熱量Qに対応する冷温水設定温度を特定するものである。冷温水設定温度特定部33は、特定した冷温水設定温度を熱源機制御部34に出力する。
【0062】
例えば、空調機7が冷房として作動している場合、冷温水設定温度特定部33は、記憶部22から冷水設定温度特定テーブルを読み出し、さらに、空調機7の冷房時の最大負荷熱量CQmaxに対する負荷熱量Qの割合である負荷熱量比CQRを算出する。冷温水設定温度特定部33は、冷水設定温度特定テーブルを参照して、算出した負荷熱量比CQRに対応する冷水設定温度を特定する。
【0063】
また、空調機7が暖房として作動している場合、冷温水設定温度特定部33は、記憶部22から温水設定温度特定テーブルを読み出し、さらに、空調機7の暖房時の最大負荷熱量HQmaxに対する負荷熱量Qの割合である負荷熱量比HQRを算出する。冷温水設定温度特定部33は、温水設定温度特定テーブルを参照して、算出した負荷熱量比HQRに対応する温水設定温度を特定する。
【0064】
熱源機制御部34は、冷温水設定温度特定部33の特定した冷温水設定温度の冷温水を供給するように指示する熱源機制御信号を生成し、生成した熱源機制御信号を熱源機2に信号出力部24を介して送信するものである。
【0065】
記憶部22は、制御部21が参照するプログラムやデータ等を格納するものであり、例えば、上記の冷温水設定温度特定テーブル41等を格納している。冷温水設定温度特定テーブル41は、冷水設定温度特定テーブルおよび温水設定温度特定テーブルを含むものであってよい。
【0066】
記憶部22に格納されている冷温水設定温度特定テーブル41の一例について図3および図4に基づいて説明する。図3は、記憶部12に格納されている冷水設定温度特定テーブルの一例を示す図である。また、図4は、記憶部12に格納されている温水設定温度特定テーブルの一例を示す図である。
【0067】
まず、図3に示す冷水設定温度特定テーブルについて説明する。図3に示すように、冷水設定温度特定テーブルは、空調機7の冷房時の最大負荷熱量CQmaxに対する負荷熱量Qの割合である負荷熱量比CQRと、冷水設定温度とが対応付けられているものである。図3に示す例では、冷水設定温度特定テーブルは、負荷熱量比CQRと冷水設定温度との対応関係を示す関数で表されている。図3に示す冷水設定温度特定テーブルでは、負荷熱量比が減少するに従って、冷水設定温度が上昇している。つまり、図3に示すように、X軸を負荷熱量比とし、Y軸を冷水設定温度とした場合、冷水設定温度特定テーブルは、右下がりのグラフとなる。
【0068】
図3に示す冷水設定温度特定テーブルの例では、空調システムの設計値として、冷房時の冷水設定温度が7℃として定められているものとする。また、空調機7の冷房時の最大負荷熱量CQmaxも空調システムの設計値として予め定められた値であるとする。
【0069】
また、図3に示す例では、負荷熱量比CQRが25%〜120%では、冷水設定温度が線形に変化している。また、負荷熱量比CQRが25%以下では、冷房負荷は極めて低いと判断して、負荷熱量比CQRが25%以下は冷水設定温度を15℃としている。つまり、冷水設定温度の上限値を15℃に設定している。また、冷水設定温度の下限値を5℃とし、負荷熱量比CQRが120%以上は、冷水設定温度を5℃としている。なお、15℃は、冷房時の一般的な熱源機の冷水設定温度の上限値である。
【0070】
ただし、冷水設定温度特定テーブルは、図3に示す関数に限るものではない。冷水設定温度特定テーブルは、冷水設定温度の上限値が15℃以下であり、負荷熱量が減少(増加)するに従って、冷水設定温度が上昇(下降)するものであれば、どのような対応関係であってもよい。例えば、負荷熱量と冷水設定温度との関係が非線形であってもよい。また、冷水設定温度と対応する値が負荷熱量比ではなく、負荷熱量の絶対値であってもよい。また、出力レベルは、エネルギー使用設備の原単位や建物の総エネルギー原単位等からエネルギーの使用が合理的となるように算出された他の管理条件を基に提供されることも可能である。
【0071】
次に、図4に示す温水設定温度特定テーブルについて説明する。図4に示すように、温水設定温度特定テーブルは、空調機7の暖房時の最大負荷熱量HQmaxに対する負荷熱量Qの割合である負荷熱量比HQRと、温水設定温度とが対応付けられているものである。図4に示す例では、温水設定温度特定テーブルは、負荷熱量比HQRと温水設定温度との対応関係を示す関数で表されている。図4に示す温水設定温度特定テーブルでは、負荷熱量比が減少するに従って、温水設定温度が下降している。つまり、図4に示すように、X軸を負荷熱量比とし、Y軸を温水設定温度とした場合、温水設定温度特定テーブルは、右上がりのグラフとなる。
【0072】
図4に示す温水設定温度特定テーブルの例では、空調システムの設計値として、暖房時の温水設定温度が45℃として定められているものとする。また、空調機7の暖房時の最大負荷熱量HQmaxも空調システムの設計値として予め定められた値であるとする。
【0073】
また、図4に示す例では、負荷熱量比HQRが25%〜120%では、温水設定温度が線形に変化している。また、負荷熱量比HQRが25%以下では、暖房負荷は極めて低いと判断して、負荷熱量比HQRが25%以下は温水設定温度を35℃としている。つまり、温水設定温度の下限値を35℃に設定している。また、温水設定温度の上限値を55℃とし、負荷熱量比HQRが120%以上は、温水設定温度を55℃としている。なお、35℃は、暖房時の一般的な熱源機の温水設定温度の下限値である。
【0074】
ただし、温水設定温度特定テーブルは、図4に示す関数に限るものではない。温水設定温度特定テーブルは、温水設定温度の下限値が35℃以下であり、負荷熱量が減少(増加)するに従って、温水設定温度が下降(上昇)するものであれば、どのような対応関係であってもよい。例えば、負荷熱量と温水設定温度との関係が非線形であってもよい。また、温水設定温度と対応する値が負荷熱量比ではなく、負荷熱量の絶対値であってもよい。
【0075】
まとめると、冷温水設定温度特定テーブル41は、熱源機2の温度調整の出力の程度を示す出力レベルと、空調機7の負荷熱量とが単調増加の関係で対応付けられた情報であって、上記出力レベルに所定の下限値が定められている出力レベル特定情報である。このとき、冷温水設定温度特定部33は、出力レベル特定情報を参照して、熱量算出部32が算出した負荷熱量に対応する出力レベルを特定し、熱源機制御部34は、冷温水設定温度特定部33が特定した出力レベルで動作するように熱源機2を制御する。
【0076】
例えば、冷温水設定温度特定部33が特定した出力レベルが低い場合、熱源機制御部34は、低い出力レベルで動作するように熱源機2を制御する、つまり、冷房時であれば、高い温度の冷水を供給するように熱源機2を制御し、暖房時であれば、低い温度の温水を供給するように熱源機2を制御する。一方、冷温水設定温度特定部33が特定した出力レベルが高い場合、熱源機制御部34は、高い出力レベルで動作するように熱源機2を制御する、つまり、冷房時であれば、低い温度の冷水を供給するように熱源機2を制御し、暖房時であれば、高い温度の温水を供給するように熱源機2を制御する。
【0077】
すなわち、出力レベルの下限値とは、冷房時には、冷水設定温度の上限値である15℃に相当し、暖房時には、温水設定温度の下限値である35℃に相当するものである。
【0078】
〔空調システムの各機器の動作例〕
次に、空調システム10の各機器の動作を図5に基づいて説明する。図5は、空調システム10の各機器の一連の動作例を示すシーケンス図である。ここでは、空調機7が冷房で動作しているものとする。
【0079】
図5に示すように、まず、居室8にいるユーザが、リモコン等を操作して、空調機7の設定温度を上げる(S1)。空調機7は、設定温度の緩和指示を受信し、指示に基づいて制御弁9を閉める(S2)。
【0080】
空調機7が制御弁9を閉めることにより、注水三次ヘッダ11dにおける圧力が上昇する(S3)。冷温水二次ポンプ4は、注水三次ヘッダ11dにおける圧力を一定に保つために、空調機7へ搬送する冷温水の流量を減少させる(S4)。これにより、流量計6が計測する流量が減少する(S5)。
【0081】
ここで、熱源機制御装置1が熱源機制御処理(詳細は後述)を実行し(S6)、熱源機2に制御信号を送信する(S7)。ここでは、熱源機2に対して冷水設定温度を上げるように指示する。熱源機2は、熱源機制御装置1から制御信号を受信して、制御信号に従って、供給する冷水の温度を上げる(S8)。
【0082】
〔熱源機制御処理〕
次に、図5のS6における熱源機制御装置1が実行する熱源機制御処理について図6に基づいて説明する。図6は、熱源機制御装置1が実行する熱源機制御処理の一例を示す図である。ここでは、記憶部22に冷温水設定温度特定テーブル41として図3および図4に示す冷水設定温度特定テーブルおよび温水設定温度特定テーブルが格納されているとする。
【0083】
図6に示すように、まず、データ取得部31が、データ入力部23を介して、入口温度計5a、出口温度計5bおよび流量計6からそれぞれ入口温度データ、出口温度データおよび流量データを取得する(S11)。次に、熱量算出部32が、取得した各データを用いて、空調機7の負荷熱量Qを算出する(S12)。上述のように、流量計6が計測する流量が減少しているため、負荷熱量Qも減少している。
【0084】
冷温水設定温度特定部33は、熱量算出部32から負荷熱量Qを取得し、さらに、記憶部22から冷水設定温度特定テーブルを読み出す。冷温水設定温度特定部33は、負荷熱量Qから負荷熱量比CQRを算出し、冷水設定温度特定テーブルにおいて、算出した負荷熱量比CQRに対応する冷水設定温度を特定する(S13)。ここで、負荷熱量Qが減少したため、冷温水設定温度特定部33が特定した冷水設定温度は、現在の冷水設定温度より上がっている。
【0085】
そして、熱源機制御部34は、特定した冷水設定温度の冷水を生成するように指示する熱源機制御信号を熱源機2に対して送信する(S14)。つまり、熱源機制御部34は、熱源機2に対して供給する冷水の温度を上げるように指示する。
【0086】
このように、負荷熱量Qの減少に応じて、熱源機2が供給する冷水の温度を上昇させることにより、熱源機2の熱源効率が向上する。居室8に供給される熱量、つまり、負荷熱量Qは、温度差×流量により算出されるため、温度差が一定であれば流量に変化はない。冷水設定温度を上げることにより、空調機7から流出する冷水の温度も上昇する。そのため、居室8内の湿度が上昇すること(空調機7の除湿能力の低下)が想定されるが、冷水設定温度の上限値を15℃以下としておけば、実用上問題のない程度である。
【0087】
なお、熱源機制御装置1は、熱源機制御処理を、例えば、1時間毎等、所定の時間ごとに実行する。また、これに限らず、データ取得部31が取得したデータを履歴として記憶部22に記録しておき、流量FLまたは負荷熱量Qが所定値(または所定の割合)以上変化した場合に、冷温水設定温度特定部33および熱源機制御部34が処理を実行してもよい。
【0088】
〔補足〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0089】
最後に、熱源機制御装置1の各ブロック、特に制御部21は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0090】
すなわち、熱源機制御装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである熱源機制御装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記熱源機制御装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0091】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0092】
また、熱源機制御装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、流体の熱量を利用して所定の空間の空調を調整する空調システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 熱源機制御装置(制御装置)
2 熱源機
7 空調機
10 空調システム
31 データ取得部(温度取得手段、流量取得手段)
32 熱量算出部(熱量算出手段)
33 冷温水設定温度特定部(出力レベル特定手段)
34 熱源機制御部(熱源機制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調システムにおいて、空調機を通過させる流体の温度を調整する熱源機を制御する制御装置であって、
上記空調機を通過する前の上記流体の流入温度と、上記空調機を通過した後の上記流体の流出温度を取得する温度取得手段と、
上記空調機を通過する上記流体の流量を取得する流量取得手段と、
上記温度取得手段が取得した上記流入温度および上記流出温度、並びに、上記流量取得手段が取得した上記流量に基づいて、上記空調機の負荷熱量を算出する熱量算出手段と、
上記熱源機の温度調整の出力の程度を示す出力レベルと、上記空調機の負荷熱量とが対応付けられた出力レベル特定情報を参照して、上記熱量算出手段が算出した負荷熱量に対応する出力レベルを特定する出力レベル特定手段と、
上記出力レベル特定手段が特定した出力レベルで動作するように上記熱源機を制御する熱源機制御手段とを備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
上記出力レベル特定情報は、上記出力レベルと、上記負荷熱量とが増加の関係で対応付けられており、上記出力レベルに所定の下限値が定められているものであることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
上記熱量算出手段は、上記負荷熱量をQとし、上記流入温度をT1とし、上記流出温度をT2とし、上記流量をFLとすると、Q=|T2−T1|×FLにより、負荷熱量を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
上記出力レベル特定情報に含まれる出力レベルは、上記熱源機が供給する流体の設定温度であり、
上記出力レベル特定手段は、上記出力レベル特定情報を参照して、上記熱量算出手段が算出した負荷熱量に対応する設定温度を特定し、
上記熱源機制御手段は、上記出力レベル特定手段が特定した設定温度に、上記流体の温度を調整するように上記熱源機を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
空調システムにおいて、空調機を通過させる流体の温度を調整する熱源機を制御する制御方法であって、
上記空調機を通過する前の上記流体の流入温度と、上記空調機を通過した後の上記流体の流出温度を取得する温度取得ステップと、
上記空調機を通過する上記流体の流量を取得する流量取得ステップと、
上記温度取得ステップにおいて取得された上記流入温度および上記流出温度、並びに、上記流量取得ステップにおいて取得された上記流量に基づいて、上記空調機の負荷熱量を算出する熱量算出ステップと、
上記熱源機の温度調整の出力の程度を示す出力レベルと、上記空調機の負荷熱量とが対応付けられた出力レベル特定情報を参照して、上記熱量算出ステップにおいて算出された負荷熱量に対応する出力レベルを特定する出力レベル特定ステップと、
上記出力レベル特定ステップにおいて特定された出力レベルで動作するように上記熱源機を制御する熱源機制御ステップとを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項に記載の制御装置を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−40705(P2013−40705A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177008(P2011−177008)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】