説明

制御装置、制御方法および制御プログラム

【課題】データ管理の信頼性を高めること。
【解決手段】制御装置1は、判定部2と指示部3とを有している。判定部2は、記憶装置4a、4bに供給する複数種の電圧を生成する冗長化された電源装置5a、5bのうち、1つの電源装置が停止したときに他の電源装置の第1の電圧に異常が発生したか否かを判定する。指示部3は、他の電源装置の第1の電圧に異常が発生した場合に、第2の電圧から第1の電圧の生成を他の電源装置の出力側に設けられたコンバータに指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御装置、制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
RAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)システム等、データを複数のディスク装置に分散し、冗長性を持たせて管理するシステムが知られている。
これらのシステムでは、データ管理の信頼性向上のためにディスク装置に供給する電源装置も冗長化構成となっていることが多く、例えば、システム内に2つの電源装置が設けられている。このため、一方の電源装置が装置内部の異常を検出して電圧の出力を停止した場合でも、他方の電源装置が電圧を供給することで、システム内の電源容量をまかなう仕様となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−113499号公報
【特許文献2】特表2006−528479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ディスク装置に供給する電圧が+5V、+12Vの2つである場合、いずれかの電源装置の電圧生成機能に異常が発生し、電圧の出力が停止した場合、異常が発生した電源装置はシステムから切り離される。この状態で、他方の電源装置にて異常が発生した場合、同様に電圧異常としてシステムから切り離される。この結果、ディスク装置に電圧を供給することができなくなる。この場合は、保守員による対応が必要となる。
【0005】
なお、RAIDシステムについて説明したが、冗長管理を行う他のシステムにも同様の問題がある。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、データ管理の信頼性を高める制御装置、制御方法および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、開示の制御装置が提供される。この制御装置は、判定部と指示部とを有している。
判定部は、記憶装置に供給する複数種の電圧を生成する複数の冗長化された電源装置のうち、1つの電源装置が停止したときに他の電源装置が生成する第1の電圧に異常が発生したか否かを判定する。
【0007】
指示部は、他の電源装置の第1の電圧に異常が発生した場合に、他の電源装置が生成する第2の電圧からの第1の電圧の生成を他の電源装置の出力側に設けられたコンバータに指示する。
【発明の効果】
【0008】
開示の制御装置によれば、データ管理の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態の制御装置の概要を示す図である。
【図2】実施の形態のシステムを示す図である。
【図3】RAIDシステムの電源接続関係を示す図である。
【図4】DC−DCコンバータの機能を示すブロック図である。
【図5】制御モジュールの機能を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態の制御モジュールの対策処理を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施の形態のシステムを示すブロック図である。
【図8】第3の実施の形態のDC−DCコンバータの機能を示すブロック図である。
【図9】第3の実施の形態の制御モジュールの対策処理を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施の形態の制御モジュールの対策処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、実施の形態の制御装置について説明し、その後、実施の形態をより具体的に説明する。
【0011】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の制御装置の概要を示す図である。
実施の形態の制御装置1は、判定部2と指示部3とを有している。
【0012】
判定部2は、記憶装置4a、4bに供給する複数種の電圧を生成する冗長化された電源装置5a、5bのうち、1つの電源装置が停止したときに他の(残りの)電源装置の第1の電圧に異常が発生したか否かを判定する。
【0013】
図1に示す例では、電源装置5a、5bは、それぞれ、+5V電圧、+12V電圧を生成する機能を有している。判定部2は、電源装置5bが停止したとき、すなわち、電源装置5bが+5V電圧、+12V電圧を生成しなくなったときに電源装置5aが生成する+5V電圧に異常が発生したか否かを判定する。
【0014】
指示部3は、他の電源装置の第1の電圧に異常が発生した場合に、第2の電圧から第1の電圧の生成を他の電源装置の出力側に設けられたコンバータに指示する。
図1に示す例では、電源装置5aの+5V電圧に異常が発生している。すなわち、電源装置5aの+5V電圧および電源装置5bの+5V電圧、+12V電圧に異常が発生している。
【0015】
この場合、指示部3は、異常が発生していない電源装置5aの+12V電圧から+5V電圧の生成を、電源装置5aの出力側に設けられたコンバータ6aに指示する。
コンバータ6aは、指示を受けて、+12V電圧から+5V電圧を生成し、記憶装置4a、4bに供給する。
【0016】
また、電源装置5aの+12V電圧および電源装置5bの+5V電圧、+12V電圧に異常が発生した場合、指示部3は、異常が発生していない電源装置5aの+5V電圧から+12V電圧の生成を、電源装置5aの出力側に設けられたコンバータ6aに指示するようにしてもよい。
【0017】
他方、電源装置5aの+5V電圧、+12V電圧に異常が発生し、さらに、電源装置5bの+5V電圧に異常が発生した場合は、指示部3は、異常が発生していない電源装置5bの+12V電圧から+5V電圧の生成を、電源装置5bの出力側に設けられたコンバータ6bに指示する。
【0018】
コンバータ6bは、指示を受けて、+12V電圧から+5V電圧を生成し、記憶装置4a、4bに供給する。
また、電源装置5bの+12V電圧および電源装置5aの+5V電圧、+12V電圧に異常が発生した場合、指示部3は、異常が発生していない電源装置5bの+5V電圧から+12V電圧の生成を、電源装置5bの出力側に設けられたコンバータ6bに指示するようにしてもよい。
【0019】
この制御装置1によれば、記憶装置4a、4bに対し、電源の供給を継続して行うことができる。従って、データ管理の信頼性を高めることができる。
以下、実施の形態をより具体的に説明する。
【0020】
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態では、RAID機能を実現するディスクアレイシステムを例に図面を参照して開示の制御装置を詳細に説明する。
【0021】
図2は、実施の形態のシステムを示す図である。
実施の形態のRAIDシステム1000は、RAID機能を実現するディスクアレイ400が有する論理ディスク200、201、202と、ホストコンピュータ300とが、制御モジュール(CM:Control Module)100、110、120を介して接続されている。
【0022】
論理ディスク200、201、202は、それぞれ、1つ、または、複数の物理ディスクを有している。
ここで、論理ディスク200を識別するディスク名は「RLU#0」である。論理ディスク201を識別するディスク名は「RLU#1」である。論理ディスク202を識別するディスク名は「RLU#2」である。
【0023】
また、制御モジュール100を識別するモジュール名は「CM#0」である。制御モジュール110を識別するモジュール名は「CM#1」である。制御モジュール120を識別するモジュール名は「CM#2」である。
【0024】
制御モジュール100、制御モジュール110間は、ルータ(RT)130によって接続されている。また、制御モジュール110、制御モジュール120間は、ルータ140によって接続されている。
【0025】
制御モジュール100、制御モジュール110および制御モジュール120は、ホストコンピュータ300から取得したI/O要求を実行するとともに、管理下のディスクアレイの一部が故障したときには、そのデータを再構築する再構築処理等を行う装置である。
【0026】
また、これら制御モジュール100、制御モジュール110および制御モジュール120は、冗長な構成となっており、いずれかの制御モジュールが故障すると、他の制御モジュールが当該故障したモジュールの機能を引き継ぐ。
【0027】
ここで、制御モジュール100のハードウェア構成について説明する。
制御モジュール100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス106を介してメモリ102、チャネルアダプタ(Channel Adapter)104、ディスクインタフェース(Disk Interface)105等が接続されている。
【0028】
CPU101とメモリ102とは図示しないバッテリーでバックアップされ、メモリの一部がキャッシュ103として使用される。
チャネルアダプタ104は、ホストコンピュータ300と接続するホストインタフェースを制御する回路である。
【0029】
ディスクインタフェース105は、ディスク装置と接続するディスクインタフェースを制御する回路である。
なお、制御モジュール110、制御モジュール120の構成も同様であり、それぞれキャッシュ113、123、チャネルアダプタ114、124、および、ディスクインタフェース115、125を備えている。
【0030】
次に、RAIDシステム1000の電源接続関係を説明する。
図3は、RAIDシステムの電源接続関係を示す図である。
RAIDシステム1000は、前述した各機能に加え、さらに、PSU(Power Supply Unit)400、401と、DC−DCコンバータ500、501とを有している。
【0031】
PSU400、401は、RAIDシステム1000が有する各機器に適切な電圧、電流を供給する装置である。
このPSU400、401は、+5V電圧、+12V電圧を生成することが可能である。
【0032】
+5V電圧は、例えば、論理ディスク200〜212を実現する物理ディスク210〜212の制御系に用いられる制御電圧である。+12V電圧は、例えば、物理ディスク210〜212のモータ駆動に用いられる駆動電圧である。
【0033】
PSU400が生成した+5V電圧は、電力線601を介してDC−DCコンバータ500に出力される。PSU400が生成した+12V電圧は、電力線602を介してDC−DCコンバータ500に出力される。PSU401が生成した+5V電圧は、電力線603を介してDC−DCコンバータ501に出力される。PSU401が生成した+12V電圧は、電力線604を介してDC−DCコンバータ501に出力される。
【0034】
PSU400、401は、+5V電圧または+12V電圧の電圧生成機能に異常が発生すると、出力不可となった電圧を制御モジュール100に通知する。
DC−DCコンバータ500は、PSU400の出力側に配置されている。DC−DCコンバータ501は、PSU401の出力側に配置されている。
【0035】
DC−DCコンバータ500、501は、それぞれ入力された+5V電圧、+12V電圧を必要に応じて昇圧または降圧し、電力線605、606を介して物理ディスク210〜212に出力する。
【0036】
電源異常監視装置700は、RAIDシステム1000や、図示しない他のシステムの電源系統の異常を統括して管理する。
次に、DC−DCコンバータ500、501の構成を説明する。
【0037】
図4は、DC−DCコンバータの機能を示すブロック図である。
DC−DCコンバータ500は、スイッチSW1、SW2と、昇圧部500aと、降圧部500bとを有している。
【0038】
制御モジュール100は、DC−DCコンバータ500に対し、+5Vバイパス信号、+12Vバイパス信号、+5V駆動信号、+12V駆動信号を与えることができる。
スイッチSW1は、+5Vバイパス信号が与えられるとONする。スイッチSW1がONした状態では、DC−DCコンバータ500は、電力線601を介して供給される+5V電圧を、電力線605を介して物理ディスク210、211、212に供給する。
【0039】
スイッチSW2は、+12Vバイパス信号が与えられるとONする。スイッチSW2がONした状態では、DC−DCコンバータ500は、電力線602を介して供給される+12V電圧を、電力線606を介して物理ディスク210、211、212に供給する。
【0040】
昇圧部500aは、入力端子が電力線601に接続され、出力端子が電力線606に接続されている。
昇圧部500aは、+12V駆動信号が与えられると、+5V電圧を+12V電圧に昇圧する。昇圧して得られた+12V電圧は、電力線606に供給される。
【0041】
降圧部500bは、入力端子が電力線602に接続され、出力端子が電力線605に接続されている。
降圧部500bは、+5V駆動信号が与えられると、+12V電圧を+5V電圧に降圧する。降下して得られた+5V電圧は、電力線605に供給される。
【0042】
以上、DC−DCコンバータ500について説明したが、DC−DCコンバータ501も同様の機能を有している。
なお、制御モジュール100は、通常の稼働時(PSU400、401に異常が発生していないとき)には、DC−DCコンバータ500、501には+5Vバイパス信号、および、+12Vバイパス信号を与えてスイッチSW1、SW2をONさせる。このとき+5V駆動信号、+12V駆動信号は与えない(昇圧部500a、降圧部500bは動作させない)。
【0043】
次に、制御モジュール100が有する機能を説明する。
図5は、制御モジュールの機能を示すブロック図である。
制御モジュール100は、電源管理部100aと、キャッシュ103と、ディスク制御部100bとを有している。
【0044】
電源管理部100aは、PSU400またはPSU401から電圧が出力不可となった旨の通知を受け取ると、通知を受け取ったPSUに直接接続されているDC−DCコンバータに、出力不可となった電圧を生成する信号を出力する。例えば、PSU400の+5V電圧が出力不可となった場合、+5V駆動信号をDC−DCコンバータ500に出力する。また、PSU400の+12V電圧が出力不可となった場合、+12V駆動信号をDC−DCコンバータ500に出力する。
【0045】
キャッシュ103は、物理ディスク210〜212に対するデータの書き込み要求または読み出し要求を一時記憶する。
ディスク制御部100bは、PSU400またはPSU401から電圧が出力不可となった旨の通知を電源管理部100aを介して受け取ると、電源容量に応じて稼働する物理ディスクを制限する。例えば、電源容量に応じた稼働台数をメモリ102等に予め定めておき、定めた台数以外をスリープモードに設定する制御信号を出力する。この際、キャッシュ103に記憶されているデータの内容を考慮し、キャッシュ103に記憶されているデータの書き込み要求または読み出し要求が存在しない物理ディスクを優先的にスリープモードに設定する。
【0046】
次に、PSU400、401のうち、PSU401(いずれか一方のPSU)に異常が発生している状態での制御モジュール100の対策処理を説明する。
図6は、第2の実施の形態の制御モジュールの対策処理を示すフローチャートである。
【0047】
[ステップS1]
まず、制御モジュール100は、PSU400のレディー信号を確認することにより、PSU400の+5V電圧生成機能に異常が発生しているか否かを判断する。異常が発生している場合、物理ディスク210〜212の稼働を継続できないものとして対策処理を終了する。異常が発生していない場合、ステップS2に遷移する。
【0048】
[ステップS2]
制御モジュール100は、PSU401に異常が発生したことを電源異常監視装置700に通知する。その後、ステップS3に遷移する。
【0049】
[ステップS3]
制御モジュール100は、PSU400の+12V電圧生成機能に異常が発生しているか否かを検出する。異常が発生している場合(ステップS3のYes)、ステップS4に遷移する。異常が発生していない場合(ステップS3のNo)、PSU400で物理ディスク210〜212に電源を供給することが可能であるため、対策処理を終了する。さらに、PSU400に異常が発生したことを電源異常監視装置700に通知するようにしてもよい。
【0050】
[ステップS4]
制御モジュール100は、DC−DCコンバータ500に+5V入力から+5V出力と+12V出力を指示する。具体的には、まず、+5Vバイパス信号と+12V駆動信号を与えることで(与えたまま)+5V出力と+12V出力を行い、不要となる+12Vバイパス信号を停止する。+5Vバイパス信号は出力を継続させる。その後、ステップS5に遷移する。
【0051】
[ステップS5]
制御モジュール100は、キャッシュ103にデータが記憶されているか否かを判断する。記憶されていれば、ステップS6に遷移する。記憶されていなければ、ステップS8に遷移する。
【0052】
[ステップS6]
制御モジュール100は、例えば、記憶されているデータの宛先等を確認することによりデータを書き込む対象の物理ディスクを特定する。そして、制御モジュール100は、データを書き込む対象の物理ディスクにのみ電源を供給し、他の物理ディスクは、スリープモード(ディスク回転停止状態)にする。その後、ステップS7に遷移する。
【0053】
[ステップS7]
制御モジュール100は、電源を供給した物理ディスクにデータを書き込む。その後、ステップS8に遷移する。なお、ステップS6における書き込み対象ディスク数が、稼働台数を超えている場合は、例えば、稼働するディスクに対し書き込みが終了すれば、書き込みが終了した物理ディスクをスリープモードに設定する。そして、スリープモードに設定した物理ディスクを稼働させ、書き込みを行う。
【0054】
[ステップS8]
制御モジュール100は、電源容量に応じて稼働する物理ディスクを制限する。例えば、電源容量に応じた稼働台数を予め定めておき、定めた台数以外をスリープモードに設定する。その後、ステップS9に遷移する。
【0055】
[ステップS9]
制御モジュール100は、物理ディスク210〜212に対するアクセスが存在するか否かを判断する。物理ディスク210〜212に対するアクセスが存在すれば(ステップS9のYes)、ステップS10に遷移する。物理ディスク210〜212に対するアクセスが存在しなければ(ステップS9のNo)、引き続き物理ディスク210〜212に対するアクセスを待機する。
【0056】
[ステップS10]
制御モジュール100は、アクセスが、稼働している物理ディスクに対するアクセスであるか否かを判断する。稼働している物理ディスクに対するアクセスであれば(ステップS10のYes)、ステップS11に遷移する。稼働している物理ディスクに対するアクセスではなければ(ステップS10のNo)、ステップS12に遷移する。
【0057】
[ステップS11]
制御モジュール100は、アクセス内容に応じて当該物理ディスクにデータを書き込んだり、当該物理ディスクからデータを読み出したりする。その後、ステップS9に遷移する。
【0058】
[ステップS12]
制御モジュール100は、エラー応答をアクセス元に返す。その後、ステップS9に遷移する。
【0059】
以上で処理の説明を終了する。なお、上記処理の順序は、一例であり、これに限定されない。例えば、ステップS2の処理は、ステップS3以降に行うようにしてもよい。
以上述べたように、RAIDシステム1000によれば、PSU400、401の電圧出力のうち、1つの電圧の出力が発生した場合においても、DC−DCコンバータ500、501が出力を停止した電圧の供給を補うようにした。これにより、物理ディスク210〜212へのデータアクセスを継続して行う可能性を高め、RAIDシステム1000の信頼性を向上させることができる。
【0060】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態のシステムについて説明する。
以下、第3の実施の形態のシステムについて、前述した第2の実施の形態システムとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0061】
図7は、第3の実施の形態のシステムを示すブロック図である。
図7に示す第3の実施の形態のシステムは、PSUの構成が第2の実施の形態と異なっている。
【0062】
PSU400a、401aは、それぞれ、+5V電圧を出力する出力端子から+12V電圧を出力することが可能である。これにより、電力線601、603に+12V電圧が出力される。
【0063】
制御モジュール100は、PSU400a、401aのいずれか一方のPSUの電圧生成機能に異常が発生すると、他方のPSUの+5V電圧を+12V電圧に昇圧するよう他方のPSUに通知する。
【0064】
図8は、第3の実施の形態のDC−DCコンバータの機能を示すブロック図である。
DC−DCコンバータ502は、降圧部500cをさらに有している。降圧部500cは、入力端子が電力線601に接続され、出力端子が電力線605に接続されている。
【0065】
降圧部500cは、+5V駆動信号が与えられると、+12V電圧を+5V電圧に降圧する。降下して得られた+5V電圧は、電力線605に供給される。
ここで、降圧部500bと降圧部500cは、それぞれ、別個の+5V駆動信号が与えられ、独立して動作する。
【0066】
以上、DC−DCコンバータ502について説明したが、DC−DCコンバータ503も同様の機能を有している。
次に、PSU400a、401aのうち、PSU401a(いずれか一方のPSU)に異常が発生したときの制御モジュール100の処理を説明する。
【0067】
図9は、第3の実施の形態のシステムの制御モジュールの対策処理を示すフローチャートである。
[ステップS11]
まず、制御モジュール100は、PSU400aのレディー信号を確認することにより、PSU400aの電圧生成機能に異常が発生しているか否かを判断する。異常が発生している場合、処理を終了する。異常が発生していない場合、ステップS12に遷移する。
【0068】
[ステップS12]
制御モジュール100は、PSU401aの電圧生成機能に異常が発生したことを電源異常監視装置700に通知する。その後、ステップS13に遷移する。
【0069】
[ステップS13]
制御モジュール100は、PSU400aの+5V電圧生成機能に異常が発生しているか否かを検出する。異常が発生している場合、すなわち、PSU401aの電圧生成機能に異常が発生し、かつ、PSU400aの+5V電圧生成機能に異常が発生した場合、(ステップS13のYes)、ステップS14に遷移する。異常が発生していない場合(ステップS13のNo)、+5V電圧の異常の発生を引き続き監視する。
【0070】
[ステップS14]
制御モジュール100は、DC−DCコンバータ502に+5Vバイパス信号の解除指示を送る。これにより、スイッチSW1がOFFし、電力線601と、電力線605との接続が一時的に切断される。この際、図示しないコンデンサ等によって、物理ディスク210〜212への制御電圧の供給が停止しないようにするのが好ましい。
【0071】
また、制御モジュール100は、PSU400aに供給電圧の変更指示を送る。これにより、PSU400aは、+5V出力を、+12V出力に変更する。
さらに、制御モジュール100は、DC−DCコンバータ502に降圧部500cの+5V駆動信号を供給する。これにより、降圧部500cは、電力線601を通じて供給される+12V電圧を+5V電圧に降圧し、電力線605を通じて物理ディスク210〜212に出力する。
【0072】
なお、これらの動作は、コンデンサ等によって、物理ディスク210〜212への制御電圧の供給が保たれている間に行われるのが好ましい。
以上で対策処理を終了する。
【0073】
この第3の実施の形態のシステムによれば、第2の実施の形態のシステムと同様の効果が得られる。
そして、第3の実施の形態のシステムによれば、PSU401の+5V電圧生成機能および+12V電圧生成機能、並びに、PSU400の+5V電圧生成機能に異常が発生した場合でも、物理ディスク210〜212へのデータアクセスを継続することができる。
【0074】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態のシステムについて説明する。
以下、第4の実施の形態のシステムについて、前述した第2の実施の形態システムとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0075】
前述したように、+12V電圧は、物理ディスク210〜212のモータ駆動に用いられるため、+5V電圧に比べ、消費電流の変動が大きいことがある。
本実施の形態のシステムは、物理ディスク210〜212が、より消費電流が大きい他の物理ディスクに交換された等の理由に伴い、PSU400、401の出力電流が大きくなった場合でも、システムの停止を抑制できるシステムである。
【0076】
以下、PSU400、401のうち、PSU401(いずれか一方のPSU)に異常が発生したときの制御モジュール100の処理を説明する。
図10は、第4の実施の形態のシステムの制御モジュールの対策処理を示すフローチャートである。
【0077】
[ステップS21]
まず、制御モジュール100は、PSU400のレディー信号を確認することにより、PSU400の電圧生成機能に異常が発生しているか否かを判断する。異常が発生している場合、処理を終了する。異常が発生していない場合、ステップS22に遷移する。
【0078】
[ステップS22]
制御モジュール100は、PSU401の電圧生成機能に異常が発生したことを電源異常監視装置700に通知する。その後、ステップS23に遷移する。
【0079】
[ステップS23]
制御モジュール100は、PSU400の+5V電圧生成機能に異常が発生しているか否かを検出する。異常が発生している場合(ステップS23のYes)、ステップS24に遷移する。異常が発生していない場合(ステップS23のNo)、+5V電圧生成機能に異常が発生しているか否かを引き続き監視する。
【0080】
[ステップS24]
制御モジュール100は、+5V電圧および+12V電圧のいずれか一方の電圧変動が所定値(例えば4%)を超えたか否かを判断する。+5V電圧の電圧変動が所定値を超えた場合(ステップS24の+5V)、ステップS25に遷移する。+12V電圧の電圧変動が所定値を超えた場合(ステップS24の+12V)、ステップS26に遷移する。所定値を超えていない場合(ステップS24のNo)、対策処理を終了する。
【0081】
[ステップS25]
制御モジュール100は、DC−DCコンバータ500に、入力されている+12V電圧の電力の一部を+5V電圧に振り分ける(補完する)指示を出力する。具体的には、降圧部500bに+5V駆動信号を供給する。これにより、入力されている+12V電圧の電力の一部が+5V電圧に振り分けられる。その後、対策処理を終了する。
【0082】
[ステップS26]
制御モジュール100は、DC−DCコンバータ500に、入力されている+5Vの電力の一部を+12Vに振り分ける指示を出力する。具体的には、昇圧部500aに+12V駆動信号を供給する。これにより、入力されている+5V電圧の電力の一部が+12V電圧に振り分けられる。その後、対策処理を終了する。
【0083】
対策処理が終了した後も制御モジュール100は、+5V電圧、+12V電圧が正常値であることを確認し、電圧値の監視を継続して行う。
この第4の実施の形態のシステムによれば、第2の実施の形態のシステムと同様の効果が得られる。
【0084】
そして、第4の実施の形態のシステムによれば、例えば、物理ディスク210〜212が、より消費電流が大きい他の物理ディスクに交換された等の理由に伴い、PSU400、401の出力電流が大きくなった場合でも、余裕のある+5Vの電力の一部を+12Vに振り分けることにより、過電流検出を抑制することができる。従って、システムの信頼性を向上することができる。
【0085】
以上、本発明の制御装置、制御方法および制御プログラムを、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0086】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
なお、前述した各実施の形態では、PSUが2つである場合について説明したが、PSUが3つ以上である場合にも適用することができる。
【0087】
また、前述した各実施の形態では、電圧が+5V電圧と、+12V電圧の2つ以上である場合について説明したが、電圧種別が3つ以上である場合にも適用することができる。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、制御モジュール100が有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記録装置としては、例えば、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクとしては、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等が挙げられる。光磁気記録媒体としては、例えば、MO(Magneto-Optical disk)等が挙げられる。
【0088】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0089】
制御プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0090】
以上の第1〜第4の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 記憶装置に供給する複数種の電圧を生成する複数の冗長化された電源装置のうち、1つの前記電源装置が停止したときに他の前記電源装置が生成する第1の電圧に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
他の前記電源装置の前記第1の電圧に異常が発生した場合に、他の前記電源装置が生成する第2の電圧からの前記第1の電圧の生成を他の前記電源装置の出力側に設けられたコンバータに指示する指示部と、
を有することを特徴とする制御装置。
【0091】
(付記2) 前記記憶装置が複数台配置されている場合、他の前記電源装置の容量に基づいて、駆動する記憶装置の台数を制限し、
前記記憶装置へのアクセス要求に応じて駆動している前記記憶装置にのみアクセスを行う制御部をさらに有することを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0092】
(付記3) 前記記憶装置に書き込むデータを記憶するキャッシュをさらに有し、
前記制御部は、前記キャッシュに記憶されているデータを書き込む前記記憶装置を優先的に駆動することを特徴とする付記2記載の制御装置。
【0093】
(付記4) 前記第1の電圧と前記第2の電圧は、いずれか一方が制御電圧であり、他方が駆動電圧であり、前記制御部は、前記第1の電圧が駆動電圧である場合に、駆動する記憶装置の台数を制限することを特徴とする付記2記載の制御装置。
【0094】
(付記5) 前記指示部は、前記第1の電圧に予め定められた閾値以上の電圧変動異常が発生した場合に、前記第2の電圧から前記第1の電圧を補完する電圧を生成する指示を前記コンバータに指示することを特徴とする付記1記載の制御装置。
【0095】
(付記6) 前記第1の電圧と前記第2の電圧は、いずれか一方が制御電圧であり、他方が駆動電圧であることを特徴とする付記1記載の制御装置。
(付記7) コンピュータが、
記憶装置に供給する複数種の電圧を生成する複数の冗長化された電源装置のうち、1つの前記電源装置が停止したときに他の前記電源装置が生成する第1の電圧に異常が発生したか否かを判定し、
他の前記電源装置の前記第1の電圧に異常が発生した場合に、他の前記電源装置が生成する第2の電圧からの前記第1の電圧の生成を他の前記電源装置の出力側に設けられたコンバータに指示する、
ことを特徴とする制御方法。
【0096】
(付記8) コンピュータを、
記憶装置に供給する複数種の電圧を生成する複数の冗長化された電源装置のうち、1つの前記電源装置が停止したときに他の前記電源装置が生成する第1の電圧に異常が発生したか否かを判定する判定手段、
他の前記電源装置の前記第1の電圧に異常が発生した場合に、他の前記電源装置が生成する第2の電圧からの前記第1の電圧の生成を他の前記電源装置の出力側に設けられたコンバータに指示する指示手段、
として機能させることを特徴とする制御プログラム。
【符号の説明】
【0097】
1 制御装置
2 判定部
3 指示部
4a、4b 記憶装置
5a、5b 電源装置
6a コンバータ
100 制御モジュール
100a 電源管理部
100b ディスク制御部
102 メモリ
103 キャッシュ
200、201、202 論理ディスク
210、211、212 物理ディスク
400、401 PSU
500、501、502、503 DC−DCコンバータ
500a 昇圧部
500b、500c 降圧部
1000 RAIDシステム
SW1、SW2 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置に供給する複数種の電圧を生成する複数の冗長化された電源装置のうち、1つの前記電源装置が停止したときに他の前記電源装置が生成する第1の電圧に異常が発生したか否かを判定する判定部と、
他の前記電源装置の前記第1の電圧に異常が発生した場合に、他の前記電源装置が生成する第2の電圧からの前記第1の電圧の生成を他の前記電源装置の出力側に設けられたコンバータに指示する指示部と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記記憶装置が複数台配置されている場合、他の前記電源装置の容量に基づいて、駆動する記憶装置の台数を制限し、
前記記憶装置へのアクセス要求に応じて駆動している前記記憶装置にのみアクセスを行う制御部をさらに有することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記記憶装置に書き込むデータを記憶するキャッシュをさらに有し、
前記制御部は、前記キャッシュに記憶されているデータを書き込む前記記憶装置を優先的に駆動することを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
コンピュータが、
記憶装置に供給する複数種の電圧を生成する複数の冗長化された電源装置のうち、1つの前記電源装置が停止したときに他の前記電源装置が生成する第1の電圧に異常が発生したか否かを判定し、
他の前記電源装置の前記第1の電圧に異常が発生した場合に、他の前記電源装置が生成する第2の電圧からの前記第1の電圧の生成を他の前記電源装置の出力側に設けられたコンバータに指示する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
コンピュータを、
記憶装置に供給する複数種の電圧を生成する複数の冗長化された電源装置のうち、1つの前記電源装置が停止したときに他の前記電源装置が生成する第1の電圧に異常が発生したか否かを判定する判定手段、
他の前記電源装置の前記第1の電圧に異常が発生した場合に、他の前記電源装置が生成する第2の電圧からの前記第1の電圧の生成を他の前記電源装置の出力側に設けられたコンバータに指示する指示手段、
として機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−108029(P2011−108029A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263058(P2009−263058)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】