制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法
【課題】運用効率を向上させること。
【解決手段】制御装置100は、比較部151と、制御部152と、を備えている。比較部151は、制御対象の無線基地局101によって通信サービスが提供されるエリア102におけるカバレッジ110の、第1目標値112に対する差の大きさを示す第1指標値113と、エリア102における通信サービスのキャパシティ120の、第2目標値122に対する差の大きさを示す第2指標値123と、を比較する。制御部152は、比較部151による比較結果に基づいて、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、カバレッジ110およびキャパシティ120の少なくとも一方を変化させる無線基地局101の動作状態を、第1指標値113と第2指標値123との差が縮小するように制御する。
【解決手段】制御装置100は、比較部151と、制御部152と、を備えている。比較部151は、制御対象の無線基地局101によって通信サービスが提供されるエリア102におけるカバレッジ110の、第1目標値112に対する差の大きさを示す第1指標値113と、エリア102における通信サービスのキャパシティ120の、第2目標値122に対する差の大きさを示す第2指標値123と、を比較する。制御部152は、比較部151による比較結果に基づいて、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、カバレッジ110およびキャパシティ120の少なくとも一方を変化させる無線基地局101の動作状態を、第1指標値113と第2指標値123との差が縮小するように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて基地局の設置や運用を自動化するSON(Self Organizing Networks)が知られている(たとえば、下記特許文献1,2および下記非特許文献1参照。)。SONには、自動設定(Self−Configuration)や自動最適化(Self−Optimization)などのカテゴリが含まれる。たとえば、無線エリアの構築からネットワークの運用最適化に至る自律調整制御に関係し、無線カバレッジ最適化(CCO:Coverage and Capacity Optimization)を行うネットワーク運用監視制御が知られている。
【0003】
無線カバレッジ最適化においては、たとえば、無線エリアの無線伝搬環境(エリアカバレッジや無線信号品質)などの収集と統計処理が行われ、無線基地局における無線運用パラメータが更新される。これにより、たとえば不感地帯や干渉増大ポイント(エリア品質)の改善が図られる。
【0004】
また、エリア品質の改善と独立に、与えられた無線伝搬環境のうえで、ユーザへのサービス要件(ユーザ体感要件など含む)を満たすように、ユーザ割当の優先度やQoS(Quality of Service)の制御を行うことが知られている。ユーザ割当の優先度やQoSは、たとえば無線基地局の無線パケットスケジューラによって行われる。これにより、ユーザごとのスループット性能やエリア全体のスループット(キャパシティ)の改善が図られる。なお、夜間など、利用ユーザが存在しなくなるスポットやエリアでは、無線装置の稼働を停止し運用中の省電力化を図る工夫などもなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−130728号公報
【特許文献2】国際公開第2008/065933号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「3GPP TS−32.521」、2010年12月、2011年10月26日検索、インターネット<URL:http://www.3gpp.org/FTP/Specs/archive/32_series/32.521/32521−a10.zip>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、カバレッジおよびキャパシティの改善が個々に行われるため、カバレッジおよびキャパシティの目標値に対する達成度に偏りが生じる。このため、無線エリアにおける過剰品質や基地局における過剰処理が生じ、稼働設備や電力などの運用効率が低くなる場合がある。
【0008】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、運用効率を向上させることができる制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一側面によれば、制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法が提案される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によれば、運用効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1−1】図1−1は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例1を示す図である。
【図1−2】図1−2は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例2を示す図である。
【図1−3】図1−3は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例3を示す図である。
【図1−4】図1−4は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例4を示す図である。
【図1−5】図1−5は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例5を示す図である。
【図1−6】図1−6は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例6を示す図である。
【図2】図2は、通信システムの実施例1を示す図である。
【図3】図3は、通信システムの実施例2を示す図である。
【図4】図4は、制御装置による制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、制御装置による評価指標値Aの導出の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、制御装置による評価指標値Bの導出の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、無線ネットワーク監視制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図8】図8は、無線基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図9】図9は、無線基地局の機能ブロックの一例を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態2にかかる制御装置による評価指標値Bの導出の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、サービス要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPIの一例を示す図である。
【図12】図12は、体感性能要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPIの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
(制御装置による無線基地局の制御例)
図1−1は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例1を示す図である。実施の形態1にかかる制御装置100は、無線基地局101の動作状態を制御する。制御装置100の制御対象の無線基地局101は、1つの無線基地局であってもよいし、複数の無線基地局であってもよい。
【0014】
制御装置100が制御する無線基地局101の動作状態は、たとえば、無線基地局101のアンテナの向きや使用電力、周波数バンドのオン/オフ、無線基地局101の稼働数、ベースバンド信号の処理能力(リソース)などの動作パラメータである。エリア102は、無線基地局101によって通信サービスが提供されるエリアである。
【0015】
<カバレッジについて>
カバレッジ110は、エリア102における無線品質(無線通信の繋がりやすさ)を示す指標値である。また、カバレッジ110には、制御装置100の制御対象の無線基地局101だけでなく、他の無線基地局によるカバレッジも含まれていてもよい。現状値111は、カバレッジ110の現状値である。たとえば、制御装置100は、無線基地局101や、無線基地局101との間で無線通信を行う端末装置において測定された無線品質の情報を取得し、取得した情報に基づいて現状値111を導出することができる。
【0016】
無線品質の情報は、たとえば、RSRP(Reference Signal Received Power:基準信号受信電力)などの無線伝搬強度や、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio:信号対干渉雑音比)などの無線信号品質などである。
【0017】
第1目標値112は、カバレッジ110の所定の目標値である。第1指標値113は、第1目標値112に対するカバレッジ110の現状値111の差の大きさを示す指標値である。第1指標値113は、たとえば、第1目標値112に対する現状値111の差が大きいほど大きくなる値であってもよいし、第1目標値112に対する現状値111の差が大きいほど小さくなる値であってもよい。
【0018】
制御装置100は、たとえば、現状値111と第1目標値112との差の絶対値を算出することによって第1指標値113を得ることができる。ただし、第1指標値113は、現状値111と第1目標値112との差の絶対値に限らない。たとえば、制御装置100は、第1目標値112に対する現状値111の比などを算出することによって第1指標値113を得てもよい。
【0019】
<キャパシティについて>
キャパシティ120は、エリア102における通信サービスのスループットを示す指標値である。現状値121は、キャパシティ120の現状値である。たとえば、制御装置100は、エリア102におけるユーザ(端末)の数やトラフィック量などの情報を取得し、取得した情報に基づいて現状値121を算出することができる。
【0020】
第2目標値122は、キャパシティ120の所定の目標値である。第2目標値122は、カバレッジ110の第1目標値112と同じであってもよいし、第1目標値112と異なっていてもよい。第2指標値123は、第2目標値122に対するキャパシティ120の現状値121の差の大きさを示す指標値である。第2指標値123は、たとえば、第2目標値122に対する現状値121の差が大きいほど大きくなる値であってもよいし、第2目標値122に対する現状値121の差が大きいほど小さくなる値であってもよい。
【0021】
制御装置100は、たとえば、現状値121と第2目標値122との差の絶対値を算出することによって第2指標値123を得ることができる。ただし、第2指標値123は、現状値121と第2目標値122との差の絶対値に限らない。たとえば、制御装置100は、第2目標値122に対する現状値121の比などを算出することによって第2指標値123を得てもよい。
【0022】
<制御装置について>
制御装置100は、比較部151と、制御部152と、を備えている。比較部151は、第1指標値113と第2指標値123とを比較する。たとえば、比較部151は、第1指標値113と第2指標値123との減算を行う。比較部151は、第1指標値113と第2指標値123との比較結果を制御部152へ出力する。
【0023】
制御部152は、比較部151から出力された比較結果に基づいて、カバレッジ110およびキャパシティ120の少なくとも一方を変化させる無線基地局101の動作状態を制御する。具体的には、制御部152は、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、第1指標値113と第2指標値123との差が縮小するように無線基地局101の動作状態を制御する。
【0024】
図1−1に示す例では、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが許容値を超えているとする。また、図1−1に示す例では、第1指標値113が示す差の大きさが、第2指標値123が示す差の大きさよりも大きい。この場合は、制御部152は、カバレッジ110と第1目標値112との差が縮小するように、カバレッジおよびキャパシティの少なくとも一方を変化させる無線基地局101の動作状態を制御する。図1−1に示す例においては、カバレッジ110の現状値111が第1目標値112より低い状態(カバレッジ不足)である。
【0025】
この場合は、制御部152は、カバレッジ110を向上させるように無線基地局101を制御することで、カバレッジ110と第1目標値112との差を縮小することができる。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0026】
図1−2は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例2を示す図である。図1−2において、図1−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−2に示す例においても、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが許容値を超えており、第1指標値113が示す差の大きさが、第2指標値123が示す差の大きさよりも大きい。また、図1−2に示す例においては、カバレッジ110の現状値111が第1目標値112より高い状態(カバレッジ過多)である。
【0027】
この場合は、制御部152は、カバレッジ110を低下させるように無線基地局101を制御することで、カバレッジ110と第1目標値112との差を縮小することができる。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0028】
図1−3は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例3を示す図である。図1−3において、図1−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−3に示す例においても、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが許容値を超えているとする。また、図1−3においては、第2指標値123が示す差の大きさが、第1指標値113が示す差の大きさよりも大きい。また、図1−3に示す例においては、キャパシティ120の現状値121が第2目標値122より低い状態(キャパシティ不足)である。
【0029】
この場合は、制御部152は、キャパシティ120を向上させるように無線基地局101を制御することで、キャパシティ120と第2目標値122との差を縮小することができる。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0030】
図1−4は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例4を示す図である。図1−4において、図1−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−4に示す例においても、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが許容値を超えているとする。また、図1−4においては、第2指標値123が示す差の大きさが、第1指標値113が示す差の大きさよりも大きい。また、図1−4に示す例においては、キャパシティ120の現状値121が第2目標値122より高い状態(キャパシティ過多)である。
【0031】
この場合は、制御部152は、キャパシティ120を低下させるように無線基地局101の動作状態を制御することで、キャパシティ120と第2目標値122との差を縮小することができる。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0032】
図1−1〜図1−4に示したように、カバレッジおよびキャパシティのうちの目標値との差が大きい方の差を縮小するように無線基地局101を制御することで、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小することができる。これにより、カバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0033】
図1−5は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例5を示す図である。図1−5において、図1−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−5に示す例では、制御装置100による制御前のカバレッジ110およびキャパシティ120は、図1−1に示した例と同様である。
【0034】
この場合に、制御部152は、キャパシティ120を低下させるように無線基地局101の動作状態を制御することで、キャパシティ120と第2目標値122との差を縮小してもよい。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0035】
図1−6は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例6を示す図である。図1−6において、図1−3に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−6に示す例では、制御装置100による制御前のカバレッジ110およびキャパシティ120は、図1−3に示した例と同様である。
【0036】
この場合に、制御部152は、カバレッジ110を低下させるように無線基地局101の動作状態を制御することで、キャパシティ120と第2目標値122との差を縮小してもよい。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0037】
図1−5,図1−6に示したように、制御装置100は、カバレッジおよびキャパシティのうちの目標値との差が小さい方の差を拡大するように無線基地局101を制御することで、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小してもよい。これにより、カバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0038】
図1−1〜図1−6に示したように、実施の形態1にかかる制御装置100によれば、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。このため、過剰品質や過剰処理を抑制して運用効率を向上させることができる。
【0039】
(通信システムの実施例)
図2は、通信システムの実施例1を示す図である。図2に示す通信システム200は、制御装置100を適用した通信システムの一例である。通信システム200は、たとえば屋外の無線ネットワークを含むLTE(Long Term Evolution)やLTE−Advancedなどの通信システムである。具体的には、通信システム200は、eNB211〜213と、ユーザ端末221〜235と、s_GW251と、EMS252と、を含んでいる。
【0040】
eNB211〜213(evolutional Node B)は、制御装置100による制御対象の無線基地局である。セル211a,212a,213aは、それぞれeNB211〜213のセルである。eNB211〜213は、s_GW251およびEMS252に接続されている。
【0041】
s_GW251(serving_Gateway)は、IP回線網と無線アクセスの交換処理を行う無線アクセスサービスゲートウェイである。EMS252(Element Management System)は、ネットワーク機器などの状態監視および制御管理を行う監視制御局である。
【0042】
ユーザ端末221〜235(UE:User Equipment:ユーザ端末)は、eNB211〜213によって通信サービスが提供されるエリアに位置し、eNB211〜213との間で無線通信を行う移動端末である。ユーザ端末221〜226は、セル211aに位置している。ユーザ端末226〜230は、セル212aに位置している。ユーザ端末230〜235は、セル213aに位置している。すなわち、ユーザ端末226は、セル211aおよびセル212aの重複部分に位置している。また、ユーザ端末230は、セル212aおよびセル213aの重複部分に位置している。
【0043】
制御装置100は、たとえばEMS252に適用することができる。これにより、セル211a,212a,213aを含むエリアにおけるカバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。このため、通信システム200における過剰品質や過剰処理を抑制して運用効率を向上させることができる。
【0044】
図3は、通信システムの実施例2を示す図である。図3に示す通信システム300は、制御装置100を適用した通信システムの一例である。通信システム300は、屋内の無線ネットワークを含む屋内フェムトセルネットワークである。
【0045】
具体的には、通信システム300は、制御装置100と、エリア301と、IP網302と、アクセスポイント311〜313と、ユーザ端末321〜331と、ルータスイッチ341,342と、ゲートウェイ343と、無線ネットワーク集中制御装置351と、ネットワーク運用情報管理装置352と、認証サーバ361と、ネットワーク監視運用保守装置362と、を含んでいる。
【0046】
アクセスポイント311〜313(AP:Access Point)は、制御装置100による制御対象の無線基地局である。アクセスポイント311〜313は、たとえばフェムト基地局である。エリア301は、アクセスポイント311〜313によって通信サービスが提供されるエリアである。
【0047】
セル311a,312a,313aは、それぞれアクセスポイント311〜313のセルである。アクセスポイント311〜313は、ルータスイッチ341,342およびゲートウェイ343を介してIP網302に接続されている。
【0048】
ユーザ端末321〜331は、アクセスポイント311〜313によって通信サービスが提供されるエリア301に位置し、アクセスポイント311〜313との間で無線通信を行う移動端末である。ユーザ端末321〜323は、セル311aに位置しており、アクセスポイント311との間で無線通信を行うことによってIP網302などにアクセスする。ユーザ端末324〜327は、セル312aに位置しており、アクセスポイント312との間で無線通信を行うことによってIP網302などにアクセスする。ユーザ端末328〜331は、セル313aに位置しており、アクセスポイント313との間で無線通信を行うことによってIP網302などにアクセスする。
【0049】
無線ネットワーク集中制御装置351(無線NW集中制御装置)は、ルータスイッチ342に接続されている。ネットワーク運用情報管理装置352(NW運用情報管理装置)は、ゲートウェイ343に接続されている。ネットワーク監視運用保守装置362(NW監視運用保守装置)は、ゲートウェイ343に接続されている。認証サーバ361は、ルータスイッチ342に接続されている。
【0050】
制御装置100は、たとえば無線ネットワーク集中制御装置351に適用することができる。これにより、エリア301におけるカバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。このため、通信システム300における過剰品質や過剰処理を抑制して運用効率を向上させることができる。
【0051】
通信システム300は、たとえば、企業オフィス、店舗ビルや大型ショッピングセンタなどに適用することができる。制御装置100によれば、エリア(またはスポット)ごとの優先順位付けやユーザごとの優先順位付けを設定してカバレッジおよびキャパシティを制御することができる(後述)。このため、たとえば通信システム300のような屋内フェムトセルネットワークに制御装置100を適用することで、対象エリアのカバレッジおよびキャパシティを柔軟に制御することができる。
【0052】
(制御装置による制御)
図4は、制御装置による制御の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、たとえば図4に示す各ステップを実行する。まず、制御装置100は、カバレッジ情報を取得する(ステップS401)。カバレッジ情報は、たとえば、対象エリアのスポットごとのカバレッジ(たとえばRSRPやSINRなど)を示す情報である。
【0053】
つぎに、制御装置100は、ステップS401によって取得されたカバレッジ情報が示すカバレッジが所定の閾値Ref_A_Thr以上であるか否かを判断する(ステップS402)。ステップS402において、カバレッジ情報がスポットごとのカバレッジを示す情報である場合は、制御装置100は、たとえば、スポットごとのカバレッジのすべてが閾値Ref_A_Thr以上であるか否かを判断する。または、制御装置100は、各スポットのカバレッジの平均値等が閾値Ref_A_Thr以上であるか否かを判断してもよい。
【0054】
ステップS402においてカバレッジが閾値Ref_A_Thr未満である場合(ステップS402:No)は、制御装置100は、カバレッジを高める処理を行い(ステップS403)、ステップS401へ戻る。ステップS403において、制御装置100は、たとえば、制御対象の無線基地局の送信電力を上げたり、アンテナの向きを調整したり、無線基地局の稼働数を増やしたりする制御を行うことでカバレッジを高める。
【0055】
または、ステップS403において、制御装置100は、制御対象の無線基地局の送信電力を上げたり、アンテナの向きを調整したり、無線基地局の稼働数を増やしたりする決定を行ってもよい。そして、制御装置100は、決定結果にしたがって制御を行った場合の結果を仮検証シミュレーションする。この場合は、制御装置100は、以降のステップS401において、仮検証シミュレーションの結果に基づくカバレッジ情報を取得する。また、この場合は、制御装置100は、たとえばステップS411またはステップS412において決定結果を無線基地局の制御に反映させる。
【0056】
ステップS402においてカバレッジが閾値Ref_A_Thr以上である場合(ステップS402:Yes)は、制御装置100は、キャパシティ情報を取得する(ステップS404)。キャパシティ情報は、たとえば、制御装置100の対象のエリアにおけるユーザ(移動端末)ごとのキャパシティ(トラフィック量など)を示す情報である。
【0057】
つぎに、制御装置100は、ステップS404によって取得されたキャパシティ情報が示すキャパシティが所定の閾値Ref_B_Thr以上であるか否かを判断する(ステップS405)。ステップS405において、キャパシティ情報がユーザごとのキャパシティを示す情報である場合は、制御装置100は、たとえば、ユーザごとのキャパシティのすべてが閾値Ref_B_Thr以上であるか否かを判断する。または、制御装置100は、各ユーザのキャパシティの平均値等が閾値Ref_B_Thr以上であるか否かを判断してもよい。
【0058】
ステップS405においてキャパシティが閾値Ref_B_Thr未満である場合(ステップS405:No)は、制御装置100は、キャパシティを高める処理を行い(ステップS406)、ステップS401へ戻る。ステップS406において、制御装置100は、たとえば、制御対象の無線基地局の稼働数を増やしたり、無線基地局の処理能力(リソース)を増やしたりすることでキャパシティを高める。
【0059】
または、ステップS406において、制御装置100は、制御対象の無線基地局の稼働数を増やしたり、無線基地局の処理能力(リソース)を増やしたりすることの決定を行ってもよい。そして、制御装置100は、決定結果にしたがって制御を行った場合の結果を仮検証シミュレーションする。この場合は、制御装置100は、以降のステップS404において、仮検証シミュレーションの結果に基づくキャパシティ情報を取得する。また、この場合は、制御装置100は、たとえばステップS411またはステップS412において決定結果を無線基地局の制御に反映させる。
【0060】
ステップS405においてキャパシティが閾値Ref_B_Thr以上である場合(ステップS405:Yes)は、制御装置100は、ステップS407へ移行する。ステップS401〜S406により、カバレッジとキャパシティとのバランスを調整する前に、最低限のカバレッジ(閾値Ref_A_Thr以上)およびキャパシティ(閾値Ref_B_Thr以上)を確保することができる。
【0061】
つぎに、制御装置100は、カバレッジと所定の目標値との差の大きさを示す評価指標値A(第1指標値)を導出する(ステップS407)。評価指標値Aの導出については後述する(たとえば図5参照)。また、制御装置100は、キャパシティと所定の目標値との差の大きさを示す評価指標値B(第2指標値)を導出する(ステップS408)。評価指標値Bの導出については後述する(たとえば図6参照)。ステップS407およびステップS408の順序は逆にしてもよい。
【0062】
つぎに、制御装置100は、ステップS407,S408によって導出された評価指標値Aおよび評価指標値Bの差の大きさ(|評価指標値A−評価指標値B|)が所定の許容値以下であるか否かを判断する(ステップS409)。評価指標値Aおよび評価指標値Bの差の大きさが許容値以下である場合(ステップS409:Yes)は、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスがとれていると判断することができる。この場合は、制御装置100は、ステップS401へ戻る。
【0063】
ステップS409において、評価指標値Aおよび評価指標値Bの差の大きさが許容値を超える場合(ステップS409:No)は、カバレッジとキャパシティのバランスがとれていないと判断することができる。この場合は、制御装置100は、評価指標値Aが評価指標値Bより小さい(良好)か否かを判断する(ステップS410)。
【0064】
ステップS410において、評価指標値Aが評価指標値Bより小さい場合(ステップS410:Yes)は、制御装置100は、評価指標値Bを小さく(改善)する処理を行い(ステップS411)、ステップS401へ戻る。評価指標値Bを小さく(改善)する処理は、たとえば図1−3,図1−4に示した処理である。
【0065】
ステップS410において、評価指標値Aが評価指標値Bより大きい場合(ステップS410:No)は、制御装置100は、評価指標値Aを小さく(改善)する処理を行い(ステップS412)、ステップS401へ戻る。評価指標値Aを小さく(改善)する処理は、たとえば図1−1,図1−2に示した処理である。
【0066】
以上の各ステップにより、最低限のカバレッジおよびキャパシティを確保しつつ、カバレッジとキャパシティとの各達成度のバランスをとることができる。また、ステップS401〜S406により最低限のカバレッジおよびキャパシティを確保することができる。たとえば、制御装置100の運用開始初期あるいは無線サービスエリアの大幅な環境変化などにより、カバレッジやキャパシティが低い状況が考えられる。これに対して、ステップS407〜S412によりカバレッジとキャパシティとのバランスを調整する前に、ステップS401〜S406により最低限のカバレッジおよびキャパシティを確保することができる。
【0067】
なお、ステップS401〜S406においては、カバレッジを閾値Ref_A_Thr以上にしてからキャパシティを閾値Ref_B_Thr以上にする制御について説明したが、キャパシティをカバレッジより先に制御してもよい。または、カバレッジおよびキャパシティを同時に(並列に)制御してもよい。
【0068】
なお、上記のカバレッジおよびキャパシティのそれぞれは、たとえば数値範囲[0〜100]における値によって表すことができる。この場合は、たとえば、上記の閾値Ref_A_Thr,Ref_B_Thrも、たとえば数値範囲[0〜100]における値(たとえば50)によって表すことができる。また、評価指標値A,Bのそれぞれについても、たとえば数値範囲[0〜100]における値によって表すことができる。
【0069】
ただし、これらの数値範囲や設定値は、あくまで1つの実施例である。たとえば、標準的な達成水準を[±0]とし、未達成方向を[マイナス:負の数値]で表記し過大達成方向を[プラス:正の数値]で実現してもよい。
【0070】
上記の閾値Ref_A_Thr,Ref_B_Thrや許容値は、制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)が、無線エリア設計やサービス提供のポリシにしたがってあらかじめ任意に設定しておくことができる。これにより、無線ネットワークのエリア設計要件と、ユーザのサービス要求と、の多様化に柔軟に適用することができる。
【0071】
たとえば、閾値Ref_A_Thrおよび閾値Ref_B_Thrを変更することで、カバレッジおよびキャパシティの達成目標とバランス(カバレッジおよびキャパシティの優先度や重み付け)を任意に調整することができる。これにより、運用ポリシの多様化に柔軟に対応することが可能になる。
【0072】
閾値Ref_A_Thrと閾値Ref_B_Thrとを異なる値に設定する場合は、たとえば、制御装置100は、閾値Ref_A_Thrと閾値Ref_B_Thrとの差に応じて評価指標値Aと評価指標値Bとの比較結果を補正してもよい。たとえば、ステップS409において、|(評価指標値A−評価指標値B)−(Ref_B_Thr−Ref_A_Thr)|を算出し、算出結果を許容値と比較する。これにより、カバレッジの達成度とキャパシティの達成度とを偏りなく比較し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0073】
また、制御装置100は、ステップS401に戻る際に、ネットワーク管理者によるエリア要件の変更やユーザ要件の変化が検出されるまで待機してからステップS401を実行してもよい。これにより、エリア要件の変更やユーザ要件の変化がない場合は、無線基地局の動作状態を維持し、無線基地局の制御に伴う処理量を低減することができる。
【0074】
(制御装置による評価指標値Aの導出)
図5は、制御装置による評価指標値Aの導出の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、図4に示したステップS407において、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、制御装置100は、カバレッジの目標値TargetAを取得する(ステップS501)。目標値TargetAは、たとえば、ユーザインタフェースを介して制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)によって入力される。また、目標値TargetAは、たとえばエリアごとに設定される。
【0075】
つぎに、制御装置100は、図4に示したステップS401によって取得されたカバレッジ情報が示すカバレッジと、ステップS501によって取得された目標値TargetAと、の差の大きさをスポットごとに算出する(ステップS502)。つぎに、制御装置100は、ステップS502によって算出されたスポットごとの差の大きさを重み付け平均して評価指標値Aを導出し(ステップS503)、一連の処理を終了する。
【0076】
これにより、カバレッジと目標値TargetAとの差の大きさを示す評価指標値Aを導出することができる。また、ステップS503における重み付けを調整することで、スポットごとの優先度等を反映した評価指標値Aを導出することができる。ステップS503における各スポットの重み係数を示す係数情報は、たとえば、ユーザインタフェースを介して制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)によって入力される。
【0077】
このように、カバレッジの目標値TargetAとの差の大きさを、エリアに含まれる地点(スポット)ごとに重み付け平均することによって評価指標値Aを導出することで、スポットごとの優先度等を反映してカバレッジの達成度を評価することができる。
【0078】
(制御装置による評価指標値Bの導出)
図6は、制御装置による評価指標値Bの導出の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、図4に示したステップS408において、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、制御装置100は、キャパシティの目標値TargetBを取得する(ステップS601)。目標値TargetBは、たとえば、ユーザインタフェースを介して制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)によって入力される。また、目標値TargetBは、たとえばエリアごとに設定される。
【0079】
つぎに、制御装置100は、図4に示したステップS404によって取得されたキャパシティ情報が示すキャパシティと、ステップS601によって取得された目標値TargetBと、の差の大きさをユーザごとに算出する(ステップS602)。つぎに、制御装置100は、ステップS602によって算出されたユーザごとの差の大きさを重み付け平均して評価指標値Bを導出し(ステップS603)、一連の処理を終了する。
【0080】
これにより、キャパシティと目標値TargetBとの差の大きさを示す評価指標値Bを導出することができる。また、ステップS603における重み付けを調整することで、ユーザごとの優先度等を反映した評価指標値Bを導出することができる。ステップS603における各ユーザの重み係数を示す係数情報は、たとえば、ユーザインタフェースを介して制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)によって入力される。
【0081】
このように、キャパシティの目標値TargetBとの差の大きさを、通信サービスを利用するユーザごとに重み付け平均することによって評価指標値Bを導出することで、ユーザごとの優先度等を反映してキャパシティの達成度を評価することができる。
【0082】
(無線ネットワーク監視制御装置のハードウェア構成)
図7は、無線ネットワーク監視制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図7に示す無線ネットワーク監視制御装置700は、制御装置100を適用した装置の一例である。無線ネットワーク監視制御装置700は、たとえばEMS252(図2)やネットワーク運用情報管理装置352(図3)に適用することができる。
【0083】
無線ネットワーク監視制御装置700は、電源ユニット701と、内部発振器702と、IPネットワーク外部接続インタフェース703と、ネットワークプロセッサユニット704と、メモリユニット705と、メインプロセッサユニット706と、メモリユニット707と、外部/ユーザインタフェース708と、を備えている。
【0084】
電源ユニット701は、外部からの給電により、無線ネットワーク監視制御装置700の各部へ電源を供給する。内部発振器702は、無線ネットワーク監視制御装置700の各部の動作クロックを決めるクロック信号を発振し、発振したクロック信号を無線ネットワーク監視制御装置700の各部へ供給する。
【0085】
IPネットワーク外部接続インタフェース703は、たとえば有線LANを介してIPネットワーク(たとえば図3のIP網302)に接続したり、USB(Universal Serial Bus)を介して外部の機器に接続したりするインタフェースである。また、IPネットワーク外部接続インタフェース703は、たとえば有線LANを介して、制御対象の無線基地局(たとえば図2のeNB211〜213または図3のアクセスポイント311〜313)と接続するインタフェースである。
【0086】
ネットワークプロセッサユニット704は、IPネットワーク外部接続インタフェース703を介した通信を行う回路である。メモリユニット705は、たとえばネットワークプロセッサユニット704のワークスペースとして用いられる。
【0087】
メインプロセッサユニット706(CPU/DCP)は、無線ネットワーク監視制御装置700の全体の制御を司る装置である。メインプロセッサユニット706は、たとえばCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)やDSP(Digital Signal Processor)などである。メインプロセッサユニット706にはマルチコアのプロセッサを用いてもよい。メモリユニット707は、たとえばメインプロセッサユニット706のワークスペースとして用いられる。
【0088】
外部/ユーザインタフェース708は、外部の周辺機器やユーザとの間のインタフェースである。たとえば、外部/ユーザインタフェース708は、ディスプレイ、キーボード、マウスなどのユーザインタフェースを含む。
【0089】
制御装置100は、たとえば無線ネットワーク監視制御装置700に適用することができる。この場合は、制御装置100は、たとえばIPネットワーク外部接続インタフェース703およびネットワークプロセッサユニット704を介してカバレッジやキャパシティの情報を取得することができる。また、制御装置100は、メインプロセッサユニット706によって第1指標値および第2指標値を算出することができる。
【0090】
また、比較部151は、たとえば、メインプロセッサユニット706によって実現することができる。また、制御部152は、たとえば、メインプロセッサユニット706、ネットワークプロセッサユニット704およびIPネットワーク外部接続インタフェース703によって実現することができる。
【0091】
(無線基地局のハードウェア構成)
図8は、無線基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。図8に示す無線基地局800は、制御装置100の制御対象の無線基地局の一例である。無線基地局800は、たとえばeNB211〜213(図2)またはアクセスポイント311〜313(図3)に適用することができる。
【0092】
無線基地局800は、電源ユニット801と、内部発振器802と、IPネットワーク外部接続インタフェース803と、ネットワークプロセッサユニット804と、メモリユニット805と、メインプロセッサユニット806と、メモリユニット807と、ディジタルシグナルプロセッサ808と、メモリユニット809と、無線送受信ベースバンドディジタル部810と、送信機821,822と、分離器831,832と、アンテナ841,842と、受信機851,852と、を備えている。
【0093】
電源ユニット801は、外部からの給電により、無線基地局800の各部へ電源を供給する。内部発振器802は、無線基地局800の各部の動作クロックを決めるクロック信号を発振し、発振したクロック信号を無線基地局800の各部へ供給する。
【0094】
IPネットワーク外部接続インタフェース803は、たとえば有線LANを介して、IPネットワーク(たとえば図3のIP網302)や隣接基地局などに接続するインタフェースである。また、IPネットワーク外部接続インタフェース803は、たとえば有線LANを介して、無線基地局800を制御する無線ネットワーク監視制御装置700(たとえば図2のeNB211〜213または図3のアクセスポイント311〜313)と接続するインタフェースである。
【0095】
ネットワークプロセッサユニット804は、IPネットワーク外部接続インタフェース803を介した通信を行う回路である。メモリユニット805は、たとえばネットワークプロセッサユニット804のワークスペースとして用いられる。
【0096】
メインプロセッサユニット806は、無線基地局800の全体の制御を司る装置である。メモリユニット807は、たとえばメインプロセッサユニット806のワークスペースとして用いられる。ディジタルシグナルプロセッサ808は、無線送受信ベースバンドディジタル部810による無線通信のデータ処理を制御する。メモリユニット809は、たとえばディジタルシグナルプロセッサ808のワークスペースとして用いられる。
【0097】
無線送受信ベースバンドディジタル部810は、ベースバンド帯の送信信号を送信機821,822へ出力する。また、無線送受信ベースバンドディジタル部810は、受信機851,852から出力された受信信号のベースバンド処理を行う。送信機821,822(RF−TX)は、無線送受信ベースバンドディジタル部810から出力された送信信号をRF(Radio Frequency:高周波)帯の信号に変換する。そして、送信機821,822は、変換した送信信号をそれぞれ分離器831,832へ出力する。
【0098】
分離器831,832は、それぞれ送信機821,822から出力された送信信号をそれぞれアンテナ841,842へ出力する。また、分離器831,832は、それぞれアンテナ841,842から出力された送信信号をそれぞれ受信機851,852へ出力する。アンテナ841,842は、それぞれ分離器831,832から出力された送信信号を無線送信する。
【0099】
また、アンテナ841,842は、無線受信した信号をそれぞれ分離器831,832へ出力する。受信機851,852(RF−RX)は、それぞれ分離器831,832から出力されたRF帯の信号をベースバンド帯の信号に変換して無線送受信ベースバンドディジタル部810へ出力する。
【0100】
図9は、無線基地局の機能ブロックの一例を示す図である。図9に示すように、無線基地局800においては、図8のハードウェア構成によって、物理層インタフェース903と、TCP/IP終端部904と、メモリユニット905と、装置内部運用動作パラメータ集中制御部906と、メモリユニット907と、IP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aと、無線アクセス・アプリケーション処理演算部908bと、メモリユニット909aと、メモリユニット909bと、無線アクセス物理チャネル信号処理部910と、送信機921と、送信機922と、分離器931と、分離器932と、アンテナ941と、アンテナ942と、受信機951と、受信機952と、が実現される。
【0101】
物理層インタフェース903(Gbit_Ether/100 base T PHY)は、たとえばギガビットオーダのイーサネット(登録商標)のインタフェースである。物理層インタフェース903は、たとえば図8に示したIPネットワーク外部接続インタフェース803によって実現される。
【0102】
TCP/IP終端部904(TCP/IP L3,L2(終端/SW))は、物理層インタフェース903を介した通信におけるTCP/IPの処理の終端およびスイッチングを行う。TCP/IP終端部904は、たとえば図8に示したネットワークプロセッサユニット804によって実現される。メモリユニット905は、たとえばTCP/IP終端部904のワークスペースとして用いられる。
【0103】
装置内部運用動作パラメータ集中制御部906は、無線基地局800の動作状態(動作パラメータ)を制御する。たとえば、装置内部運用動作パラメータ集中制御部906は、TCP/IP終端部904および物理層インタフェース903を介して受信された無線ネットワーク監視制御装置700からの制御指示信号に基づいて無線基地局800の動作状態を制御する。
【0104】
具体的には、装置内部運用動作パラメータ集中制御部906は、無線アクセス物理チャネル信号処理部910の処理能力(リソース)を変化させたり、送信機921,922を制御して送信電力やアンテナの向きなどを変化させたりする。装置内部運用動作パラメータ集中制御部906は、たとえば図8に示したメインプロセッサユニット806によって実現される。メモリユニット907は、たとえば装置内部運用動作パラメータ集中制御部906のワークスペースとして用いられる。
【0105】
IP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aは、物理層インタフェース903などによるIP通信と、アンテナ941,942などによる無線通信と、のプロトコル変換を行うことで、IP通信と無線通信との中継を行う。また、IP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aはMAC(Media Access Control)層の処理を行う。IP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aは、たとえば図8に示したディジタルシグナルプロセッサ808によって実現される。メモリユニット909aは、たとえばIP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aのワークスペースとして用いられる。
【0106】
無線アクセス・アプリケーション処理演算部908bは、無線基地局800との間で無線通信を行う移動端末の無線アクセスに関するアプリケーションの処理演算を行う。無線アクセス・アプリケーション処理演算部908bは、たとえば図8に示したディジタルシグナルプロセッサ808によって実現される。メモリユニット909bは、たとえば無線アクセス・アプリケーション処理演算部908bのワークスペースとして用いられる。
【0107】
無線アクセス物理チャネル信号処理部910は、無線基地局800との間で無線通信を行う移動端末の無線アクセスを制御する。また、無線アクセス物理チャネル信号処理部910は、無線基地局800と移動端末との間の物理チャネルの信号処理を行う。無線アクセス物理チャネル信号処理部910は、たとえば図8に示した無線送受信ベースバンドディジタル部810によって実現される。
【0108】
送信機921,922、分離器931,932、アンテナ941,942および受信機951,952は、それぞれ送信機821,822、分離器831,832、アンテナ841,842および受信機851,852と同等の構成である。
【0109】
このように、実施の形態1にかかる制御装置100によれば、カバレッジおよびキャパシティの各達成度の差が大きくならないように無線基地局の運用状態を制御することで、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。これにより、過剰品質や過剰処理を抑制し、稼働設備や電力などの運用効率を向上させることができる。
【0110】
(実施の形態2)
実施の形態2について、実施の形態1と異なる部分について説明する。実施の形態2にかかる制御装置100は、評価指標値B(第2指標値)を、通信サービスを利用するユーザの体感品質に基づいて導出する。
【0111】
たとえば、実施の形態2にかかる制御装置100は、アプリケーションの操作(画面スクロール、拡大、選択クリックなど)時間や操作間隔、タッチ操作の力(指圧センサー)などのデバイス操作情報を移動端末から取得する。そして、制御装置100は、取得したデバイス操作情報に基づいてユーザの体感品質を導出し、導出した体感品質に基づいて評価指標値Bを導出する。
【0112】
(制御装置による評価指標値Bの導出)
図10は、実施の形態2にかかる制御装置による評価指標値Bの導出の一例を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる制御装置100は、図4に示したステップS408において、たとえば以下の各ステップを実行する。
【0113】
まず、制御装置100は、利用サービス情報をユーザごとに取得する(ステップS1001)。利用サービス情報は、たとえば、制御対象の無線基地局との間で無線通信を行う移動端末においてユーザが利用中の通信サービスの種別を示す情報である。たとえば、制御装置100は、制御対象の無線基地局を介して、移動端末から利用サービス情報を取得することができる。
【0114】
つぎに、制御装置100は、ステップS1001によって取得された利用サービス情報に基づいて、ユーザ(x)が利用中の通信サービスに対応する目標値TargetB(x)を導出する(ステップS1002)。たとえば、制御装置100のメモリには、通信サービスの種別と目標値TargetBとを対応付ける対応情報が記憶されている。たとえば、対応情報は、通信サービスの種別と目標値TargetBとの対応テーブルや、通信サービスの種別に基づいて目標値TargetBを算出可能な関数などである。
【0115】
制御装置100は、ステップS1001によって取得された利用サービス情報が示す通信サービスの種別に対応する目標値TargetBを対応情報から目標値TargetB(x)として取得する。これにより、ユーザ(x)が利用中の通信サービスに応じた目標値TargetB(x)を取得することができる。
【0116】
つぎに、制御装置100は、操作履歴情報をユーザごとに取得する(ステップS1003)。操作履歴情報は、たとえば、ユーザが利用中の通信サービスにおいて、ユーザが移動端末を操作した履歴を示す情報である。たとえば、操作履歴情報は、ユーザによる移動端末の操作の種別や操作の時間間隔などを含む情報である。たとえば、制御装置100は、制御対象の無線基地局を介して、移動端末から操作履歴情報を取得することができる。
【0117】
つぎに、制御装置100は、ステップS1003によって取得された操作履歴情報に基づいて、ユーザ(x)の操作履歴に基づく体感品質QoE(x)を算出する(ステップS1004)。体感品質QoE(x)は、ユーザ(x)が移動端末を操作する際の体感品質を示す指標値である。体感品質QoE(x)の算出については後述する。
【0118】
つぎに、制御装置100は、ステップS1003によって算出された体感品質QoE(x)と、ステップS1002によって導出された目標値TargetB(x)と、の差の大きさをユーザごとに算出する(ステップS1005)。つぎに、制御装置100は、ステップS1005によって算出されたユーザごとの差の大きさを重み付け平均して評価指標値Bを導出し(ステップS1006)、一連の処理を終了する。
【0119】
これにより、ユーザ(x)の体感品質と、ユーザ(x)が利用中の通信サービスに応じた目標値TargetB(x)との差の大きさを示す評価指標値Bを導出することができる。また、ステップS1006における重み付けを調整することで、ユーザごとの優先度等を反映した評価指標値Bを導出することができる。
【0120】
ここでは体感品質(x)に基づいて評価指標値Bを導出する場合について説明したが、実施の形態1において説明したスループットなどの指標値と体感品質(x)とに基づいて評価指標値Bを導出するようにしてもよい。
【0121】
(各評価指標値の導出の具体例)
つぎに、制御装置100による各評価指標値の導出の具体例について説明する。制御装置100は、端末デバイスの操作、利用中のアプリケーション画面に対する操作履歴や時間間隔の情報などに基づいてユーザの体感性能を評価し、評価結果に基づいて無線通信回線の性能を算出し、算出結果に基づいて評価指標値Bを導出する。なお、時間間隔の情報としては、たとえば、ユーザのライフログ情報などがある。また、時間、場所および操作のログはアプリケーションのバックグラウンドで記憶されている場合もある。
【0122】
制御装置100は、たとえば、キャパシティ(サービス要件)の目標値の設定と、実際の通信サービス利用状況の評価と、を行い、目標値と現状値の差の大きさを導出する。ここでは、ユーザが利用する通信サービスの種別の一例として、インターネットWeb(表示・検索・リンク)、シンク・クライアント(リモート接続・データ編集)、動画・ストリーミング(ダウンロード・表示)、メール送受信(テキスト・イラスト・画像)、オンラインゲーム(ネット接続・対戦)およびアプリ・ソフト更新(ダウンロード・インストール)の6種類を想定する。ただし、通信サービスの種別は無線サービスと用途に応じて多種多様化されており、上記の種別だけに限らない。
【0123】
制御装置100においては、無線アクセスネットワークを用いて無線通信サービスを提供するうえで、目標とする性能品質を想定したサービス要件(キャパシティ)における主な設定がKPI(Key Performance Indicators)として定義される。そして、運用ポリシや通信サービスの用途に基づいてターゲット(目標値)が設定される。
【0124】
KPIとしては、たとえば、サービスカテゴライズ(サービス・アプリケーション種別と一意に決定)、リアルタイム性・情報更新の要求頻度(相対的な尺度)、パケット到達率(相対的な尺度)などが挙げられる。サービスカテゴライズは、たとえば上記の6つの種別と一致して一意に定められる。また、サービスカテゴライズは、KPIの1つとして定義されると同時に、他のKPIを比較する際のタグとしての役割を持つ。つまり、複数のサービス分類を行ったとしても、他のKPIのターゲットが全て同一なものを、同じカテゴリとして扱うことができる。
【0125】
ターゲット(目標値)の設定に関して、ここでは、相対的な差を抽象的な表現で記載する。詳細な回路実装においては、たとえば、「低−中−高」、「小−中−大」が「1−2−3」のように数値化される。あるいは、最下位や最上位とさらに中間レベルに細分化して「1〜5」などの数値化を行ってもよい。これにより、設定を数値として扱い、算術演算を行うことができる。
【0126】
制御装置100においては、実際に提供して得られる現状の無線アクセスサービスの評価判定を行うために用いる主なKPIが定められる。そして、無線接続している端末デバイス(ユーザ)ごとにKPI情報を無線アクセスタイムに同期して利用状態が時系列で保持・更新される。
【0127】
主なKPIとしては、たとえば、受信電力(無線信号の受信強度)、SINR、再送発生頻度(再送発生率)、無線パケットの転送レート、および無線リソースの利用状態(周波数帯域、送信電力)などが挙げられる。再送発生頻度は、受信側のパケット誤り時に、同じ情報を再び送信する状態の発生率である。
【0128】
(サービス要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPI)
図11は、サービス要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPIの一例を示す図である。図11のテーブル1100は、たとえば制御装置100のメモリに記憶されている。テーブル1100においては、通信サービスの種別(6種類)ごとに、サービス要件(目標値)を設定するためのKPIと、ユーザ品質およびサービス提供評価を算出するためのKPIと、が対応付けられている。
【0129】
また、制御装置100においては、無線アクセスサービスを利用するユーザに対して、通信サービスを享受するうえでの体感性能要件が、サービス提供のターゲットとして設定される。体感性能要件としては、たとえば、パケットデータサイズ(想定する要求データの情報量や新規情報への更新)、操作性(多くの操作が端末デバイスのユーザに要求される)および1度のアクセスにおいて継続させる時間などが挙げられる。
【0130】
ターゲット(目標値)の設定に関して、ここでは、相対的な差分を抽象的な表現で記載する。詳細な回路実装にあっては、たとえば、「低−中−高」、「小−中−大」が「1−2−3」のように数値化される。あるいは、最下位や最上位とさらに中間レベルに細分化して「1〜5」などの数値化を行ってもよい。これにより、設定を数値として扱い、算術演算を行うことができる。
【0131】
ユーザの体感品質を評価するために用いる主なKPIとしては、たとえば、送信パケットサイズ(基地局(AP)による無線パケット割当情報、端末情報)、端末操作ログ(画面タッチ、キー操作・アプリ履歴)、接続時間および処理負荷(基地局(AP)側のベースバンド無線信号処理:CPU負荷)などが挙げられる。制御装置100においては、無線接続している端末デバイス(ユーザ)ごとにKPI情報を無線アクセスタイムに同期して、利用状態が時系列で保持・更新される。
【0132】
(体感性能要件に関するターゲット設定および現状値算出におけるKPI)
図12は、体感性能要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPIの一例を示す図である。図12のテーブル1200は、たとえば制御装置100のメモリに記憶されている。テーブル1200においては、通信サービスの種別(6種類)ごとに、体感性能要件(目標値)を設定するためのKPIと、体感品質QoEの評価を算出するためのKPIと、が対応付けられている。
【0133】
制御装置100における評価指標値は、エリア(またはポイント)やユーザ単位に比較され、その要素を集合し、ユーザ数などの集合母数で除算される。さらに、評価指標値は、時間方向においても、無線アクセスフレームに基づいて、単位時間(例:10〜100フレーム)における時間平均が現状の性能評価値として得られる。
【0134】
具体的には、制御装置100における評価指標値[x]は、評価指標値[x]=「要件[x]のターゲット設定値」−[「提供する[x]の現状性能評価値」÷{「(無線アクセス)単位時間」および「ユーザ数」あるいは「ポイント数」(母数)}]によって算出することができる。
【0135】
評価指標値Aについて、エリア設計要件(エリア内の重点ポイントの指定など)については、エリアやポイントの場所情報(屋内フロアのレイアウト情報)を領域で指定するとともに、要求ターゲットを無線伝搬の受信電力強度やSINRで設定することができる。
【0136】
実際の提供エリアの無線伝搬状態(電力やSINR)については、たとえば、ユーザ端末の受信測定結果として無線基地局へ通知されるものを利用することができる。また、対象のポイントに存在するユーザ数とユーザごとの通知情報をポイントごとに取得し、取得した各情報を時間平均することにより、現状のエリアやポイントの性能評価値とすることができる。そして、上記のターゲット設定値と性能評価値を差分比較することで評価指標値Bを算出することができる。
【0137】
評価指標値Aを導出するためのターゲット設定値(目標値TargetA)は、受信電力強度やSINRについての設計要件として設定される。また、評価指標値Aを導出するための現状値は、対象のポイント内のユーザごとの受信電力やSINRを時間平均することによって算出される。
【0138】
評価指標値Bについて、ユーザが利用しているアプリケーションや無線アクセスサービスに照らし、ユーザごとにそれぞれサービスカテゴライズ(A,B,〜,F)(図11,図12参照)から該当する通信サービスの想定する体感性能ターゲットが適用される。
【0139】
評価指標値Bを導出するためのターゲット設定値(目標値TargetB)は、ユーザごとのサービスカテゴライズ(x)において指定される各KPIをそれぞれ個別に比較した後に集合したものとなる。また、評価指標値Bを導出するための現状値は、ユーザごとのサービスカテゴライズ(x)において指定される各KPIをそれぞれ個別に比較した後に集合したものとなる。
【0140】
このとき、評価指標値は相対的な数値(5段階評価:1〜5)同士で比較するものであり、操作回数やパケットサイズ、継続時間はそれらの想定される時間を踏まえて、5段階の相対数値に置き換えられる。この置き換えにおいては、一般に、操作回数やサイズ、時間の数値が大きいほど5段階の相対数値が高くなる。
【0141】
実際のサービス運用においては、個々の環境や用途によって最適な設定と評価結果が異なってくる。このため、無線ネットワーク構成や装置実現に対し、個々のKPIにおける設定数値範囲と、その相対的なレベル格付け(5段階)は、運用中の最適解を達成するために、運用の早期提供段階においては、微調整などを実施してもよい。
【0142】
このように、実施の形態2にかかる制御装置100は、通信サービスにおけるユーザの体感性能を示す性能情報と、通信サービスの種別ごとに体感性能の目標値が対応付けられた対応情報と、を取得する。そして、制御装置100は、取得した対応情報に基づいて、ユーザが利用中の通信サービスの種別に対応する目標値を導出し、性能情報が示す体感性能と、導出した目標値と、の差の大きさに基づいて第2指標値を算出する。
【0143】
これにより、通信サービスの内容(たとえば動画・ストリーミング、ゲーム、Web)によって異なる無線性能への要求に応じてキャパシティの達成度の評価を行うことができる。このため、ユーザが利用している通信サービスの内容に応じて柔軟に無線基地局を制御することができる。
【0144】
なお、ユーザの体感性能を示す性能情報を取得する取得部は、たとえば図7に示したIPネットワーク外部接続インタフェース703、ネットワークプロセッサユニット704およびメインプロセッサユニット706によって実現することができる。すなわち、制御装置100が適用された無線ネットワーク監視制御装置700は、IPネットワーク外部接続インタフェース703およびネットワークプロセッサユニット704によって操作履歴情報を取得することができる。そして、無線ネットワーク監視制御装置700は、取得した操作履歴情報に基づく演算をメインプロセッサユニット706によって行うことで性能情報を取得することができる。
【0145】
また、通信サービスの種別ごとに体感性能の目標値が対応付けられた対応情報を取得する取得部は、たとえば図7に示したメインプロセッサユニット706およびメモリユニット707によって実現することができる。すなわち、メモリユニット707に対応情報をあらかじめ記憶しておき、記憶された対応情報をメインプロセッサユニット706によって読み出すことで対応情報を取得することができる。
【0146】
また、対応情報に基づいてユーザが利用中の通信サービスの種別に対応する目標値を導出する導出部は、たとえば図7に示したメインプロセッサユニット706によって実現することができる。また、性能情報が示す体感性能と、導出された目標値と、の差の大きさに基づいて第2指標値を算出する算出部は、たとえば図7に示したメインプロセッサユニット706およびメモリユニット707によって実現することができる。
【0147】
たとえば、制御装置100は、端末デバイスの操作ならびにアプリケーションの画面操作に関する履歴や時間間隔の情報を利用し、無線通信サービスを利用するユーザの体感性能を評価する。具体的には、制御装置100は、スマートフォンやタブレットPCなどのタッチパネル操作の情報を、ユーザアプリケーション(メール、動画・ストリーミング、ゲーム、インターネット検索、ネットカタログ・購入)の利用状態の情報収集を行う。
【0148】
これにより、制御装置100は、操作ログとアプリケーション種別によるユーザの操作ボタンの操作回数や頻度や時間間隔などを得ることができる。そして、制御装置100は、ユーザの実際の体感性能を評価し、評価した体感性能に基づいて評価指標値Bを導出する。これにより、ユーザが利用している通信サービスに応じて、ユーザの実際の体感性能に基づいてキャパシティの達成度を評価することができる。
【0149】
以上説明したように、制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法によれば、運用効率を向上させることができる。たとえば、無線エリア提供(無線品質)と利用ユーザにおけるサービス実現達成度を評価し、エリア設計指向とユーザ・サービス指向のバランスを図るように、無線基地局の運用パラメータを制御することができる。
【0150】
なお、各実施の形態で説明した制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【0151】
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0152】
(付記1)制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【0153】
(付記2)前記通信サービスにおけるユーザの体感性能を示す性能情報と、前記通信サービスの種別ごとに前記体感性能の目標値が対応付けられた対応情報と、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された対応情報に基づいて前記ユーザが利用中の通信サービスの種別に対応する目標値を導出する導出部と、
前記取得部によって取得された性能情報が示す体感性能と、前記導出部によって導出された目標値と、の差の大きさに基づいて前記第2指標値を算出する算出部と、
を備え、
前記比較部は、前記第1指標値と、前記算出部によって算出された第2指標値と、を比較することを特徴とする付記1に記載の制御装置。
【0154】
(付記3)前記第1指標値は、前記エリアに含まれる地点ごとの重み係数を示す係数情報に基づいて、前記地点ごとの前記カバレッジと前記第1目標値との差の大きさを前記地点ごとに重み付け平均した値であることを特徴とする付記1または2に記載の制御装置。
【0155】
(付記4)前記第2指標値は、前記通信サービスを利用するユーザごとの重み係数を示す係数情報に基づいて、前記ユーザごとの前記キャパシティと前記第2目標値との差の大きさを前記ユーザごとに重み付け平均した値であることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の制御装置。
【0156】
(付記5)前記制御部は、
前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくともいずれかが閾値未満である場合は、前記カバレッジおよび前記キャパシティのうちの前記閾値未満である値を向上させるように前記動作状態を決定し、
前記カバレッジおよび前記キャパシティが前記閾値以上となった後に、前記比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超えた場合に、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように前記動作状態を決定し、
前記動作状態の決定結果に基づいて前記動作状態を制御することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の制御装置。
【0157】
(付記6)前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第1指標値が示す差の大きさが、前記第2指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記カバレッジと前記第1目標値との差の大きさが縮小するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の制御装置。
【0158】
(付記7)前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第2指標値が示す差の大きさが、前記第1指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記キャパシティと前記第2目標値との差が縮小するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の制御装置。
【0159】
(付記8)前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第1指標値が示す差の大きさが、前記第2指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記キャパシティと前記第2目標値との差が拡大するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の制御装置。
【0160】
(付記9)前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第2指標値が示す差の大きさが、前記第1指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記カバレッジと前記第1目標値との差が拡大するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の制御装置。
【0161】
(付記10)無線基地局と、
前記無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアに位置し、前記無線基地局との間で無線通信を行う移動端末と、
前記エリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御装置と、
を含むことを特徴とする通信システム。
【0162】
(付記11)制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、
前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【0163】
(付記12)制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、
前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御することを特徴とする制御方法。
【符号の説明】
【0164】
102,301 エリア
200,300 通信システム
211a,212a,213a,311a,312a,313a セル
221〜235,321〜331 ユーザ端末
311〜313 アクセスポイント
341,342 ルータスイッチ
343 ゲートウェイ
821,822,921,922 送信機
831,832,931,932 分離器
841,842,941,942 アンテナ
851,852,951,952 受信機
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて基地局の設置や運用を自動化するSON(Self Organizing Networks)が知られている(たとえば、下記特許文献1,2および下記非特許文献1参照。)。SONには、自動設定(Self−Configuration)や自動最適化(Self−Optimization)などのカテゴリが含まれる。たとえば、無線エリアの構築からネットワークの運用最適化に至る自律調整制御に関係し、無線カバレッジ最適化(CCO:Coverage and Capacity Optimization)を行うネットワーク運用監視制御が知られている。
【0003】
無線カバレッジ最適化においては、たとえば、無線エリアの無線伝搬環境(エリアカバレッジや無線信号品質)などの収集と統計処理が行われ、無線基地局における無線運用パラメータが更新される。これにより、たとえば不感地帯や干渉増大ポイント(エリア品質)の改善が図られる。
【0004】
また、エリア品質の改善と独立に、与えられた無線伝搬環境のうえで、ユーザへのサービス要件(ユーザ体感要件など含む)を満たすように、ユーザ割当の優先度やQoS(Quality of Service)の制御を行うことが知られている。ユーザ割当の優先度やQoSは、たとえば無線基地局の無線パケットスケジューラによって行われる。これにより、ユーザごとのスループット性能やエリア全体のスループット(キャパシティ)の改善が図られる。なお、夜間など、利用ユーザが存在しなくなるスポットやエリアでは、無線装置の稼働を停止し運用中の省電力化を図る工夫などもなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−130728号公報
【特許文献2】国際公開第2008/065933号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「3GPP TS−32.521」、2010年12月、2011年10月26日検索、インターネット<URL:http://www.3gpp.org/FTP/Specs/archive/32_series/32.521/32521−a10.zip>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、カバレッジおよびキャパシティの改善が個々に行われるため、カバレッジおよびキャパシティの目標値に対する達成度に偏りが生じる。このため、無線エリアにおける過剰品質や基地局における過剰処理が生じ、稼働設備や電力などの運用効率が低くなる場合がある。
【0008】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、運用効率を向上させることができる制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一側面によれば、制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法が提案される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によれば、運用効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1−1】図1−1は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例1を示す図である。
【図1−2】図1−2は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例2を示す図である。
【図1−3】図1−3は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例3を示す図である。
【図1−4】図1−4は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例4を示す図である。
【図1−5】図1−5は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例5を示す図である。
【図1−6】図1−6は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例6を示す図である。
【図2】図2は、通信システムの実施例1を示す図である。
【図3】図3は、通信システムの実施例2を示す図である。
【図4】図4は、制御装置による制御の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、制御装置による評価指標値Aの導出の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、制御装置による評価指標値Bの導出の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、無線ネットワーク監視制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図8】図8は、無線基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図9】図9は、無線基地局の機能ブロックの一例を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態2にかかる制御装置による評価指標値Bの導出の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、サービス要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPIの一例を示す図である。
【図12】図12は、体感性能要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPIの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
(制御装置による無線基地局の制御例)
図1−1は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例1を示す図である。実施の形態1にかかる制御装置100は、無線基地局101の動作状態を制御する。制御装置100の制御対象の無線基地局101は、1つの無線基地局であってもよいし、複数の無線基地局であってもよい。
【0014】
制御装置100が制御する無線基地局101の動作状態は、たとえば、無線基地局101のアンテナの向きや使用電力、周波数バンドのオン/オフ、無線基地局101の稼働数、ベースバンド信号の処理能力(リソース)などの動作パラメータである。エリア102は、無線基地局101によって通信サービスが提供されるエリアである。
【0015】
<カバレッジについて>
カバレッジ110は、エリア102における無線品質(無線通信の繋がりやすさ)を示す指標値である。また、カバレッジ110には、制御装置100の制御対象の無線基地局101だけでなく、他の無線基地局によるカバレッジも含まれていてもよい。現状値111は、カバレッジ110の現状値である。たとえば、制御装置100は、無線基地局101や、無線基地局101との間で無線通信を行う端末装置において測定された無線品質の情報を取得し、取得した情報に基づいて現状値111を導出することができる。
【0016】
無線品質の情報は、たとえば、RSRP(Reference Signal Received Power:基準信号受信電力)などの無線伝搬強度や、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio:信号対干渉雑音比)などの無線信号品質などである。
【0017】
第1目標値112は、カバレッジ110の所定の目標値である。第1指標値113は、第1目標値112に対するカバレッジ110の現状値111の差の大きさを示す指標値である。第1指標値113は、たとえば、第1目標値112に対する現状値111の差が大きいほど大きくなる値であってもよいし、第1目標値112に対する現状値111の差が大きいほど小さくなる値であってもよい。
【0018】
制御装置100は、たとえば、現状値111と第1目標値112との差の絶対値を算出することによって第1指標値113を得ることができる。ただし、第1指標値113は、現状値111と第1目標値112との差の絶対値に限らない。たとえば、制御装置100は、第1目標値112に対する現状値111の比などを算出することによって第1指標値113を得てもよい。
【0019】
<キャパシティについて>
キャパシティ120は、エリア102における通信サービスのスループットを示す指標値である。現状値121は、キャパシティ120の現状値である。たとえば、制御装置100は、エリア102におけるユーザ(端末)の数やトラフィック量などの情報を取得し、取得した情報に基づいて現状値121を算出することができる。
【0020】
第2目標値122は、キャパシティ120の所定の目標値である。第2目標値122は、カバレッジ110の第1目標値112と同じであってもよいし、第1目標値112と異なっていてもよい。第2指標値123は、第2目標値122に対するキャパシティ120の現状値121の差の大きさを示す指標値である。第2指標値123は、たとえば、第2目標値122に対する現状値121の差が大きいほど大きくなる値であってもよいし、第2目標値122に対する現状値121の差が大きいほど小さくなる値であってもよい。
【0021】
制御装置100は、たとえば、現状値121と第2目標値122との差の絶対値を算出することによって第2指標値123を得ることができる。ただし、第2指標値123は、現状値121と第2目標値122との差の絶対値に限らない。たとえば、制御装置100は、第2目標値122に対する現状値121の比などを算出することによって第2指標値123を得てもよい。
【0022】
<制御装置について>
制御装置100は、比較部151と、制御部152と、を備えている。比較部151は、第1指標値113と第2指標値123とを比較する。たとえば、比較部151は、第1指標値113と第2指標値123との減算を行う。比較部151は、第1指標値113と第2指標値123との比較結果を制御部152へ出力する。
【0023】
制御部152は、比較部151から出力された比較結果に基づいて、カバレッジ110およびキャパシティ120の少なくとも一方を変化させる無線基地局101の動作状態を制御する。具体的には、制御部152は、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、第1指標値113と第2指標値123との差が縮小するように無線基地局101の動作状態を制御する。
【0024】
図1−1に示す例では、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが許容値を超えているとする。また、図1−1に示す例では、第1指標値113が示す差の大きさが、第2指標値123が示す差の大きさよりも大きい。この場合は、制御部152は、カバレッジ110と第1目標値112との差が縮小するように、カバレッジおよびキャパシティの少なくとも一方を変化させる無線基地局101の動作状態を制御する。図1−1に示す例においては、カバレッジ110の現状値111が第1目標値112より低い状態(カバレッジ不足)である。
【0025】
この場合は、制御部152は、カバレッジ110を向上させるように無線基地局101を制御することで、カバレッジ110と第1目標値112との差を縮小することができる。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0026】
図1−2は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例2を示す図である。図1−2において、図1−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−2に示す例においても、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが許容値を超えており、第1指標値113が示す差の大きさが、第2指標値123が示す差の大きさよりも大きい。また、図1−2に示す例においては、カバレッジ110の現状値111が第1目標値112より高い状態(カバレッジ過多)である。
【0027】
この場合は、制御部152は、カバレッジ110を低下させるように無線基地局101を制御することで、カバレッジ110と第1目標値112との差を縮小することができる。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0028】
図1−3は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例3を示す図である。図1−3において、図1−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−3に示す例においても、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが許容値を超えているとする。また、図1−3においては、第2指標値123が示す差の大きさが、第1指標値113が示す差の大きさよりも大きい。また、図1−3に示す例においては、キャパシティ120の現状値121が第2目標値122より低い状態(キャパシティ不足)である。
【0029】
この場合は、制御部152は、キャパシティ120を向上させるように無線基地局101を制御することで、キャパシティ120と第2目標値122との差を縮小することができる。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0030】
図1−4は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例4を示す図である。図1−4において、図1−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−4に示す例においても、第1指標値113と第2指標値123との差の大きさが許容値を超えているとする。また、図1−4においては、第2指標値123が示す差の大きさが、第1指標値113が示す差の大きさよりも大きい。また、図1−4に示す例においては、キャパシティ120の現状値121が第2目標値122より高い状態(キャパシティ過多)である。
【0031】
この場合は、制御部152は、キャパシティ120を低下させるように無線基地局101の動作状態を制御することで、キャパシティ120と第2目標値122との差を縮小することができる。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0032】
図1−1〜図1−4に示したように、カバレッジおよびキャパシティのうちの目標値との差が大きい方の差を縮小するように無線基地局101を制御することで、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小することができる。これにより、カバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0033】
図1−5は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例5を示す図である。図1−5において、図1−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−5に示す例では、制御装置100による制御前のカバレッジ110およびキャパシティ120は、図1−1に示した例と同様である。
【0034】
この場合に、制御部152は、キャパシティ120を低下させるように無線基地局101の動作状態を制御することで、キャパシティ120と第2目標値122との差を縮小してもよい。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0035】
図1−6は、実施の形態1にかかる制御装置による無線基地局の制御例6を示す図である。図1−6において、図1−3に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図1−6に示す例では、制御装置100による制御前のカバレッジ110およびキャパシティ120は、図1−3に示した例と同様である。
【0036】
この場合に、制御部152は、カバレッジ110を低下させるように無線基地局101の動作状態を制御することで、キャパシティ120と第2目標値122との差を縮小してもよい。これにより、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0037】
図1−5,図1−6に示したように、制御装置100は、カバレッジおよびキャパシティのうちの目標値との差が小さい方の差を拡大するように無線基地局101を制御することで、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小してもよい。これにより、カバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0038】
図1−1〜図1−6に示したように、実施の形態1にかかる制御装置100によれば、第1指標値113と第2指標値123との差を縮小し、カバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。このため、過剰品質や過剰処理を抑制して運用効率を向上させることができる。
【0039】
(通信システムの実施例)
図2は、通信システムの実施例1を示す図である。図2に示す通信システム200は、制御装置100を適用した通信システムの一例である。通信システム200は、たとえば屋外の無線ネットワークを含むLTE(Long Term Evolution)やLTE−Advancedなどの通信システムである。具体的には、通信システム200は、eNB211〜213と、ユーザ端末221〜235と、s_GW251と、EMS252と、を含んでいる。
【0040】
eNB211〜213(evolutional Node B)は、制御装置100による制御対象の無線基地局である。セル211a,212a,213aは、それぞれeNB211〜213のセルである。eNB211〜213は、s_GW251およびEMS252に接続されている。
【0041】
s_GW251(serving_Gateway)は、IP回線網と無線アクセスの交換処理を行う無線アクセスサービスゲートウェイである。EMS252(Element Management System)は、ネットワーク機器などの状態監視および制御管理を行う監視制御局である。
【0042】
ユーザ端末221〜235(UE:User Equipment:ユーザ端末)は、eNB211〜213によって通信サービスが提供されるエリアに位置し、eNB211〜213との間で無線通信を行う移動端末である。ユーザ端末221〜226は、セル211aに位置している。ユーザ端末226〜230は、セル212aに位置している。ユーザ端末230〜235は、セル213aに位置している。すなわち、ユーザ端末226は、セル211aおよびセル212aの重複部分に位置している。また、ユーザ端末230は、セル212aおよびセル213aの重複部分に位置している。
【0043】
制御装置100は、たとえばEMS252に適用することができる。これにより、セル211a,212a,213aを含むエリアにおけるカバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。このため、通信システム200における過剰品質や過剰処理を抑制して運用効率を向上させることができる。
【0044】
図3は、通信システムの実施例2を示す図である。図3に示す通信システム300は、制御装置100を適用した通信システムの一例である。通信システム300は、屋内の無線ネットワークを含む屋内フェムトセルネットワークである。
【0045】
具体的には、通信システム300は、制御装置100と、エリア301と、IP網302と、アクセスポイント311〜313と、ユーザ端末321〜331と、ルータスイッチ341,342と、ゲートウェイ343と、無線ネットワーク集中制御装置351と、ネットワーク運用情報管理装置352と、認証サーバ361と、ネットワーク監視運用保守装置362と、を含んでいる。
【0046】
アクセスポイント311〜313(AP:Access Point)は、制御装置100による制御対象の無線基地局である。アクセスポイント311〜313は、たとえばフェムト基地局である。エリア301は、アクセスポイント311〜313によって通信サービスが提供されるエリアである。
【0047】
セル311a,312a,313aは、それぞれアクセスポイント311〜313のセルである。アクセスポイント311〜313は、ルータスイッチ341,342およびゲートウェイ343を介してIP網302に接続されている。
【0048】
ユーザ端末321〜331は、アクセスポイント311〜313によって通信サービスが提供されるエリア301に位置し、アクセスポイント311〜313との間で無線通信を行う移動端末である。ユーザ端末321〜323は、セル311aに位置しており、アクセスポイント311との間で無線通信を行うことによってIP網302などにアクセスする。ユーザ端末324〜327は、セル312aに位置しており、アクセスポイント312との間で無線通信を行うことによってIP網302などにアクセスする。ユーザ端末328〜331は、セル313aに位置しており、アクセスポイント313との間で無線通信を行うことによってIP網302などにアクセスする。
【0049】
無線ネットワーク集中制御装置351(無線NW集中制御装置)は、ルータスイッチ342に接続されている。ネットワーク運用情報管理装置352(NW運用情報管理装置)は、ゲートウェイ343に接続されている。ネットワーク監視運用保守装置362(NW監視運用保守装置)は、ゲートウェイ343に接続されている。認証サーバ361は、ルータスイッチ342に接続されている。
【0050】
制御装置100は、たとえば無線ネットワーク集中制御装置351に適用することができる。これにより、エリア301におけるカバレッジおよびキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。このため、通信システム300における過剰品質や過剰処理を抑制して運用効率を向上させることができる。
【0051】
通信システム300は、たとえば、企業オフィス、店舗ビルや大型ショッピングセンタなどに適用することができる。制御装置100によれば、エリア(またはスポット)ごとの優先順位付けやユーザごとの優先順位付けを設定してカバレッジおよびキャパシティを制御することができる(後述)。このため、たとえば通信システム300のような屋内フェムトセルネットワークに制御装置100を適用することで、対象エリアのカバレッジおよびキャパシティを柔軟に制御することができる。
【0052】
(制御装置による制御)
図4は、制御装置による制御の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、たとえば図4に示す各ステップを実行する。まず、制御装置100は、カバレッジ情報を取得する(ステップS401)。カバレッジ情報は、たとえば、対象エリアのスポットごとのカバレッジ(たとえばRSRPやSINRなど)を示す情報である。
【0053】
つぎに、制御装置100は、ステップS401によって取得されたカバレッジ情報が示すカバレッジが所定の閾値Ref_A_Thr以上であるか否かを判断する(ステップS402)。ステップS402において、カバレッジ情報がスポットごとのカバレッジを示す情報である場合は、制御装置100は、たとえば、スポットごとのカバレッジのすべてが閾値Ref_A_Thr以上であるか否かを判断する。または、制御装置100は、各スポットのカバレッジの平均値等が閾値Ref_A_Thr以上であるか否かを判断してもよい。
【0054】
ステップS402においてカバレッジが閾値Ref_A_Thr未満である場合(ステップS402:No)は、制御装置100は、カバレッジを高める処理を行い(ステップS403)、ステップS401へ戻る。ステップS403において、制御装置100は、たとえば、制御対象の無線基地局の送信電力を上げたり、アンテナの向きを調整したり、無線基地局の稼働数を増やしたりする制御を行うことでカバレッジを高める。
【0055】
または、ステップS403において、制御装置100は、制御対象の無線基地局の送信電力を上げたり、アンテナの向きを調整したり、無線基地局の稼働数を増やしたりする決定を行ってもよい。そして、制御装置100は、決定結果にしたがって制御を行った場合の結果を仮検証シミュレーションする。この場合は、制御装置100は、以降のステップS401において、仮検証シミュレーションの結果に基づくカバレッジ情報を取得する。また、この場合は、制御装置100は、たとえばステップS411またはステップS412において決定結果を無線基地局の制御に反映させる。
【0056】
ステップS402においてカバレッジが閾値Ref_A_Thr以上である場合(ステップS402:Yes)は、制御装置100は、キャパシティ情報を取得する(ステップS404)。キャパシティ情報は、たとえば、制御装置100の対象のエリアにおけるユーザ(移動端末)ごとのキャパシティ(トラフィック量など)を示す情報である。
【0057】
つぎに、制御装置100は、ステップS404によって取得されたキャパシティ情報が示すキャパシティが所定の閾値Ref_B_Thr以上であるか否かを判断する(ステップS405)。ステップS405において、キャパシティ情報がユーザごとのキャパシティを示す情報である場合は、制御装置100は、たとえば、ユーザごとのキャパシティのすべてが閾値Ref_B_Thr以上であるか否かを判断する。または、制御装置100は、各ユーザのキャパシティの平均値等が閾値Ref_B_Thr以上であるか否かを判断してもよい。
【0058】
ステップS405においてキャパシティが閾値Ref_B_Thr未満である場合(ステップS405:No)は、制御装置100は、キャパシティを高める処理を行い(ステップS406)、ステップS401へ戻る。ステップS406において、制御装置100は、たとえば、制御対象の無線基地局の稼働数を増やしたり、無線基地局の処理能力(リソース)を増やしたりすることでキャパシティを高める。
【0059】
または、ステップS406において、制御装置100は、制御対象の無線基地局の稼働数を増やしたり、無線基地局の処理能力(リソース)を増やしたりすることの決定を行ってもよい。そして、制御装置100は、決定結果にしたがって制御を行った場合の結果を仮検証シミュレーションする。この場合は、制御装置100は、以降のステップS404において、仮検証シミュレーションの結果に基づくキャパシティ情報を取得する。また、この場合は、制御装置100は、たとえばステップS411またはステップS412において決定結果を無線基地局の制御に反映させる。
【0060】
ステップS405においてキャパシティが閾値Ref_B_Thr以上である場合(ステップS405:Yes)は、制御装置100は、ステップS407へ移行する。ステップS401〜S406により、カバレッジとキャパシティとのバランスを調整する前に、最低限のカバレッジ(閾値Ref_A_Thr以上)およびキャパシティ(閾値Ref_B_Thr以上)を確保することができる。
【0061】
つぎに、制御装置100は、カバレッジと所定の目標値との差の大きさを示す評価指標値A(第1指標値)を導出する(ステップS407)。評価指標値Aの導出については後述する(たとえば図5参照)。また、制御装置100は、キャパシティと所定の目標値との差の大きさを示す評価指標値B(第2指標値)を導出する(ステップS408)。評価指標値Bの導出については後述する(たとえば図6参照)。ステップS407およびステップS408の順序は逆にしてもよい。
【0062】
つぎに、制御装置100は、ステップS407,S408によって導出された評価指標値Aおよび評価指標値Bの差の大きさ(|評価指標値A−評価指標値B|)が所定の許容値以下であるか否かを判断する(ステップS409)。評価指標値Aおよび評価指標値Bの差の大きさが許容値以下である場合(ステップS409:Yes)は、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスがとれていると判断することができる。この場合は、制御装置100は、ステップS401へ戻る。
【0063】
ステップS409において、評価指標値Aおよび評価指標値Bの差の大きさが許容値を超える場合(ステップS409:No)は、カバレッジとキャパシティのバランスがとれていないと判断することができる。この場合は、制御装置100は、評価指標値Aが評価指標値Bより小さい(良好)か否かを判断する(ステップS410)。
【0064】
ステップS410において、評価指標値Aが評価指標値Bより小さい場合(ステップS410:Yes)は、制御装置100は、評価指標値Bを小さく(改善)する処理を行い(ステップS411)、ステップS401へ戻る。評価指標値Bを小さく(改善)する処理は、たとえば図1−3,図1−4に示した処理である。
【0065】
ステップS410において、評価指標値Aが評価指標値Bより大きい場合(ステップS410:No)は、制御装置100は、評価指標値Aを小さく(改善)する処理を行い(ステップS412)、ステップS401へ戻る。評価指標値Aを小さく(改善)する処理は、たとえば図1−1,図1−2に示した処理である。
【0066】
以上の各ステップにより、最低限のカバレッジおよびキャパシティを確保しつつ、カバレッジとキャパシティとの各達成度のバランスをとることができる。また、ステップS401〜S406により最低限のカバレッジおよびキャパシティを確保することができる。たとえば、制御装置100の運用開始初期あるいは無線サービスエリアの大幅な環境変化などにより、カバレッジやキャパシティが低い状況が考えられる。これに対して、ステップS407〜S412によりカバレッジとキャパシティとのバランスを調整する前に、ステップS401〜S406により最低限のカバレッジおよびキャパシティを確保することができる。
【0067】
なお、ステップS401〜S406においては、カバレッジを閾値Ref_A_Thr以上にしてからキャパシティを閾値Ref_B_Thr以上にする制御について説明したが、キャパシティをカバレッジより先に制御してもよい。または、カバレッジおよびキャパシティを同時に(並列に)制御してもよい。
【0068】
なお、上記のカバレッジおよびキャパシティのそれぞれは、たとえば数値範囲[0〜100]における値によって表すことができる。この場合は、たとえば、上記の閾値Ref_A_Thr,Ref_B_Thrも、たとえば数値範囲[0〜100]における値(たとえば50)によって表すことができる。また、評価指標値A,Bのそれぞれについても、たとえば数値範囲[0〜100]における値によって表すことができる。
【0069】
ただし、これらの数値範囲や設定値は、あくまで1つの実施例である。たとえば、標準的な達成水準を[±0]とし、未達成方向を[マイナス:負の数値]で表記し過大達成方向を[プラス:正の数値]で実現してもよい。
【0070】
上記の閾値Ref_A_Thr,Ref_B_Thrや許容値は、制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)が、無線エリア設計やサービス提供のポリシにしたがってあらかじめ任意に設定しておくことができる。これにより、無線ネットワークのエリア設計要件と、ユーザのサービス要求と、の多様化に柔軟に適用することができる。
【0071】
たとえば、閾値Ref_A_Thrおよび閾値Ref_B_Thrを変更することで、カバレッジおよびキャパシティの達成目標とバランス(カバレッジおよびキャパシティの優先度や重み付け)を任意に調整することができる。これにより、運用ポリシの多様化に柔軟に対応することが可能になる。
【0072】
閾値Ref_A_Thrと閾値Ref_B_Thrとを異なる値に設定する場合は、たとえば、制御装置100は、閾値Ref_A_Thrと閾値Ref_B_Thrとの差に応じて評価指標値Aと評価指標値Bとの比較結果を補正してもよい。たとえば、ステップS409において、|(評価指標値A−評価指標値B)−(Ref_B_Thr−Ref_A_Thr)|を算出し、算出結果を許容値と比較する。これにより、カバレッジの達成度とキャパシティの達成度とを偏りなく比較し、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。
【0073】
また、制御装置100は、ステップS401に戻る際に、ネットワーク管理者によるエリア要件の変更やユーザ要件の変化が検出されるまで待機してからステップS401を実行してもよい。これにより、エリア要件の変更やユーザ要件の変化がない場合は、無線基地局の動作状態を維持し、無線基地局の制御に伴う処理量を低減することができる。
【0074】
(制御装置による評価指標値Aの導出)
図5は、制御装置による評価指標値Aの導出の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、図4に示したステップS407において、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、制御装置100は、カバレッジの目標値TargetAを取得する(ステップS501)。目標値TargetAは、たとえば、ユーザインタフェースを介して制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)によって入力される。また、目標値TargetAは、たとえばエリアごとに設定される。
【0075】
つぎに、制御装置100は、図4に示したステップS401によって取得されたカバレッジ情報が示すカバレッジと、ステップS501によって取得された目標値TargetAと、の差の大きさをスポットごとに算出する(ステップS502)。つぎに、制御装置100は、ステップS502によって算出されたスポットごとの差の大きさを重み付け平均して評価指標値Aを導出し(ステップS503)、一連の処理を終了する。
【0076】
これにより、カバレッジと目標値TargetAとの差の大きさを示す評価指標値Aを導出することができる。また、ステップS503における重み付けを調整することで、スポットごとの優先度等を反映した評価指標値Aを導出することができる。ステップS503における各スポットの重み係数を示す係数情報は、たとえば、ユーザインタフェースを介して制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)によって入力される。
【0077】
このように、カバレッジの目標値TargetAとの差の大きさを、エリアに含まれる地点(スポット)ごとに重み付け平均することによって評価指標値Aを導出することで、スポットごとの優先度等を反映してカバレッジの達成度を評価することができる。
【0078】
(制御装置による評価指標値Bの導出)
図6は、制御装置による評価指標値Bの導出の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、図4に示したステップS408において、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、制御装置100は、キャパシティの目標値TargetBを取得する(ステップS601)。目標値TargetBは、たとえば、ユーザインタフェースを介して制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)によって入力される。また、目標値TargetBは、たとえばエリアごとに設定される。
【0079】
つぎに、制御装置100は、図4に示したステップS404によって取得されたキャパシティ情報が示すキャパシティと、ステップS601によって取得された目標値TargetBと、の差の大きさをユーザごとに算出する(ステップS602)。つぎに、制御装置100は、ステップS602によって算出されたユーザごとの差の大きさを重み付け平均して評価指標値Bを導出し(ステップS603)、一連の処理を終了する。
【0080】
これにより、キャパシティと目標値TargetBとの差の大きさを示す評価指標値Bを導出することができる。また、ステップS603における重み付けを調整することで、ユーザごとの優先度等を反映した評価指標値Bを導出することができる。ステップS603における各ユーザの重み係数を示す係数情報は、たとえば、ユーザインタフェースを介して制御装置100の利用者(ネットワーク管理者)によって入力される。
【0081】
このように、キャパシティの目標値TargetBとの差の大きさを、通信サービスを利用するユーザごとに重み付け平均することによって評価指標値Bを導出することで、ユーザごとの優先度等を反映してキャパシティの達成度を評価することができる。
【0082】
(無線ネットワーク監視制御装置のハードウェア構成)
図7は、無線ネットワーク監視制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図7に示す無線ネットワーク監視制御装置700は、制御装置100を適用した装置の一例である。無線ネットワーク監視制御装置700は、たとえばEMS252(図2)やネットワーク運用情報管理装置352(図3)に適用することができる。
【0083】
無線ネットワーク監視制御装置700は、電源ユニット701と、内部発振器702と、IPネットワーク外部接続インタフェース703と、ネットワークプロセッサユニット704と、メモリユニット705と、メインプロセッサユニット706と、メモリユニット707と、外部/ユーザインタフェース708と、を備えている。
【0084】
電源ユニット701は、外部からの給電により、無線ネットワーク監視制御装置700の各部へ電源を供給する。内部発振器702は、無線ネットワーク監視制御装置700の各部の動作クロックを決めるクロック信号を発振し、発振したクロック信号を無線ネットワーク監視制御装置700の各部へ供給する。
【0085】
IPネットワーク外部接続インタフェース703は、たとえば有線LANを介してIPネットワーク(たとえば図3のIP網302)に接続したり、USB(Universal Serial Bus)を介して外部の機器に接続したりするインタフェースである。また、IPネットワーク外部接続インタフェース703は、たとえば有線LANを介して、制御対象の無線基地局(たとえば図2のeNB211〜213または図3のアクセスポイント311〜313)と接続するインタフェースである。
【0086】
ネットワークプロセッサユニット704は、IPネットワーク外部接続インタフェース703を介した通信を行う回路である。メモリユニット705は、たとえばネットワークプロセッサユニット704のワークスペースとして用いられる。
【0087】
メインプロセッサユニット706(CPU/DCP)は、無線ネットワーク監視制御装置700の全体の制御を司る装置である。メインプロセッサユニット706は、たとえばCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)やDSP(Digital Signal Processor)などである。メインプロセッサユニット706にはマルチコアのプロセッサを用いてもよい。メモリユニット707は、たとえばメインプロセッサユニット706のワークスペースとして用いられる。
【0088】
外部/ユーザインタフェース708は、外部の周辺機器やユーザとの間のインタフェースである。たとえば、外部/ユーザインタフェース708は、ディスプレイ、キーボード、マウスなどのユーザインタフェースを含む。
【0089】
制御装置100は、たとえば無線ネットワーク監視制御装置700に適用することができる。この場合は、制御装置100は、たとえばIPネットワーク外部接続インタフェース703およびネットワークプロセッサユニット704を介してカバレッジやキャパシティの情報を取得することができる。また、制御装置100は、メインプロセッサユニット706によって第1指標値および第2指標値を算出することができる。
【0090】
また、比較部151は、たとえば、メインプロセッサユニット706によって実現することができる。また、制御部152は、たとえば、メインプロセッサユニット706、ネットワークプロセッサユニット704およびIPネットワーク外部接続インタフェース703によって実現することができる。
【0091】
(無線基地局のハードウェア構成)
図8は、無線基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。図8に示す無線基地局800は、制御装置100の制御対象の無線基地局の一例である。無線基地局800は、たとえばeNB211〜213(図2)またはアクセスポイント311〜313(図3)に適用することができる。
【0092】
無線基地局800は、電源ユニット801と、内部発振器802と、IPネットワーク外部接続インタフェース803と、ネットワークプロセッサユニット804と、メモリユニット805と、メインプロセッサユニット806と、メモリユニット807と、ディジタルシグナルプロセッサ808と、メモリユニット809と、無線送受信ベースバンドディジタル部810と、送信機821,822と、分離器831,832と、アンテナ841,842と、受信機851,852と、を備えている。
【0093】
電源ユニット801は、外部からの給電により、無線基地局800の各部へ電源を供給する。内部発振器802は、無線基地局800の各部の動作クロックを決めるクロック信号を発振し、発振したクロック信号を無線基地局800の各部へ供給する。
【0094】
IPネットワーク外部接続インタフェース803は、たとえば有線LANを介して、IPネットワーク(たとえば図3のIP網302)や隣接基地局などに接続するインタフェースである。また、IPネットワーク外部接続インタフェース803は、たとえば有線LANを介して、無線基地局800を制御する無線ネットワーク監視制御装置700(たとえば図2のeNB211〜213または図3のアクセスポイント311〜313)と接続するインタフェースである。
【0095】
ネットワークプロセッサユニット804は、IPネットワーク外部接続インタフェース803を介した通信を行う回路である。メモリユニット805は、たとえばネットワークプロセッサユニット804のワークスペースとして用いられる。
【0096】
メインプロセッサユニット806は、無線基地局800の全体の制御を司る装置である。メモリユニット807は、たとえばメインプロセッサユニット806のワークスペースとして用いられる。ディジタルシグナルプロセッサ808は、無線送受信ベースバンドディジタル部810による無線通信のデータ処理を制御する。メモリユニット809は、たとえばディジタルシグナルプロセッサ808のワークスペースとして用いられる。
【0097】
無線送受信ベースバンドディジタル部810は、ベースバンド帯の送信信号を送信機821,822へ出力する。また、無線送受信ベースバンドディジタル部810は、受信機851,852から出力された受信信号のベースバンド処理を行う。送信機821,822(RF−TX)は、無線送受信ベースバンドディジタル部810から出力された送信信号をRF(Radio Frequency:高周波)帯の信号に変換する。そして、送信機821,822は、変換した送信信号をそれぞれ分離器831,832へ出力する。
【0098】
分離器831,832は、それぞれ送信機821,822から出力された送信信号をそれぞれアンテナ841,842へ出力する。また、分離器831,832は、それぞれアンテナ841,842から出力された送信信号をそれぞれ受信機851,852へ出力する。アンテナ841,842は、それぞれ分離器831,832から出力された送信信号を無線送信する。
【0099】
また、アンテナ841,842は、無線受信した信号をそれぞれ分離器831,832へ出力する。受信機851,852(RF−RX)は、それぞれ分離器831,832から出力されたRF帯の信号をベースバンド帯の信号に変換して無線送受信ベースバンドディジタル部810へ出力する。
【0100】
図9は、無線基地局の機能ブロックの一例を示す図である。図9に示すように、無線基地局800においては、図8のハードウェア構成によって、物理層インタフェース903と、TCP/IP終端部904と、メモリユニット905と、装置内部運用動作パラメータ集中制御部906と、メモリユニット907と、IP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aと、無線アクセス・アプリケーション処理演算部908bと、メモリユニット909aと、メモリユニット909bと、無線アクセス物理チャネル信号処理部910と、送信機921と、送信機922と、分離器931と、分離器932と、アンテナ941と、アンテナ942と、受信機951と、受信機952と、が実現される。
【0101】
物理層インタフェース903(Gbit_Ether/100 base T PHY)は、たとえばギガビットオーダのイーサネット(登録商標)のインタフェースである。物理層インタフェース903は、たとえば図8に示したIPネットワーク外部接続インタフェース803によって実現される。
【0102】
TCP/IP終端部904(TCP/IP L3,L2(終端/SW))は、物理層インタフェース903を介した通信におけるTCP/IPの処理の終端およびスイッチングを行う。TCP/IP終端部904は、たとえば図8に示したネットワークプロセッサユニット804によって実現される。メモリユニット905は、たとえばTCP/IP終端部904のワークスペースとして用いられる。
【0103】
装置内部運用動作パラメータ集中制御部906は、無線基地局800の動作状態(動作パラメータ)を制御する。たとえば、装置内部運用動作パラメータ集中制御部906は、TCP/IP終端部904および物理層インタフェース903を介して受信された無線ネットワーク監視制御装置700からの制御指示信号に基づいて無線基地局800の動作状態を制御する。
【0104】
具体的には、装置内部運用動作パラメータ集中制御部906は、無線アクセス物理チャネル信号処理部910の処理能力(リソース)を変化させたり、送信機921,922を制御して送信電力やアンテナの向きなどを変化させたりする。装置内部運用動作パラメータ集中制御部906は、たとえば図8に示したメインプロセッサユニット806によって実現される。メモリユニット907は、たとえば装置内部運用動作パラメータ集中制御部906のワークスペースとして用いられる。
【0105】
IP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aは、物理層インタフェース903などによるIP通信と、アンテナ941,942などによる無線通信と、のプロトコル変換を行うことで、IP通信と無線通信との中継を行う。また、IP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aはMAC(Media Access Control)層の処理を行う。IP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aは、たとえば図8に示したディジタルシグナルプロセッサ808によって実現される。メモリユニット909aは、たとえばIP/無線回路プロトコル変換・MAC処理部908aのワークスペースとして用いられる。
【0106】
無線アクセス・アプリケーション処理演算部908bは、無線基地局800との間で無線通信を行う移動端末の無線アクセスに関するアプリケーションの処理演算を行う。無線アクセス・アプリケーション処理演算部908bは、たとえば図8に示したディジタルシグナルプロセッサ808によって実現される。メモリユニット909bは、たとえば無線アクセス・アプリケーション処理演算部908bのワークスペースとして用いられる。
【0107】
無線アクセス物理チャネル信号処理部910は、無線基地局800との間で無線通信を行う移動端末の無線アクセスを制御する。また、無線アクセス物理チャネル信号処理部910は、無線基地局800と移動端末との間の物理チャネルの信号処理を行う。無線アクセス物理チャネル信号処理部910は、たとえば図8に示した無線送受信ベースバンドディジタル部810によって実現される。
【0108】
送信機921,922、分離器931,932、アンテナ941,942および受信機951,952は、それぞれ送信機821,822、分離器831,832、アンテナ841,842および受信機851,852と同等の構成である。
【0109】
このように、実施の形態1にかかる制御装置100によれば、カバレッジおよびキャパシティの各達成度の差が大きくならないように無線基地局の運用状態を制御することで、カバレッジとキャパシティの各達成度のバランスをとることができる。これにより、過剰品質や過剰処理を抑制し、稼働設備や電力などの運用効率を向上させることができる。
【0110】
(実施の形態2)
実施の形態2について、実施の形態1と異なる部分について説明する。実施の形態2にかかる制御装置100は、評価指標値B(第2指標値)を、通信サービスを利用するユーザの体感品質に基づいて導出する。
【0111】
たとえば、実施の形態2にかかる制御装置100は、アプリケーションの操作(画面スクロール、拡大、選択クリックなど)時間や操作間隔、タッチ操作の力(指圧センサー)などのデバイス操作情報を移動端末から取得する。そして、制御装置100は、取得したデバイス操作情報に基づいてユーザの体感品質を導出し、導出した体感品質に基づいて評価指標値Bを導出する。
【0112】
(制御装置による評価指標値Bの導出)
図10は、実施の形態2にかかる制御装置による評価指標値Bの導出の一例を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる制御装置100は、図4に示したステップS408において、たとえば以下の各ステップを実行する。
【0113】
まず、制御装置100は、利用サービス情報をユーザごとに取得する(ステップS1001)。利用サービス情報は、たとえば、制御対象の無線基地局との間で無線通信を行う移動端末においてユーザが利用中の通信サービスの種別を示す情報である。たとえば、制御装置100は、制御対象の無線基地局を介して、移動端末から利用サービス情報を取得することができる。
【0114】
つぎに、制御装置100は、ステップS1001によって取得された利用サービス情報に基づいて、ユーザ(x)が利用中の通信サービスに対応する目標値TargetB(x)を導出する(ステップS1002)。たとえば、制御装置100のメモリには、通信サービスの種別と目標値TargetBとを対応付ける対応情報が記憶されている。たとえば、対応情報は、通信サービスの種別と目標値TargetBとの対応テーブルや、通信サービスの種別に基づいて目標値TargetBを算出可能な関数などである。
【0115】
制御装置100は、ステップS1001によって取得された利用サービス情報が示す通信サービスの種別に対応する目標値TargetBを対応情報から目標値TargetB(x)として取得する。これにより、ユーザ(x)が利用中の通信サービスに応じた目標値TargetB(x)を取得することができる。
【0116】
つぎに、制御装置100は、操作履歴情報をユーザごとに取得する(ステップS1003)。操作履歴情報は、たとえば、ユーザが利用中の通信サービスにおいて、ユーザが移動端末を操作した履歴を示す情報である。たとえば、操作履歴情報は、ユーザによる移動端末の操作の種別や操作の時間間隔などを含む情報である。たとえば、制御装置100は、制御対象の無線基地局を介して、移動端末から操作履歴情報を取得することができる。
【0117】
つぎに、制御装置100は、ステップS1003によって取得された操作履歴情報に基づいて、ユーザ(x)の操作履歴に基づく体感品質QoE(x)を算出する(ステップS1004)。体感品質QoE(x)は、ユーザ(x)が移動端末を操作する際の体感品質を示す指標値である。体感品質QoE(x)の算出については後述する。
【0118】
つぎに、制御装置100は、ステップS1003によって算出された体感品質QoE(x)と、ステップS1002によって導出された目標値TargetB(x)と、の差の大きさをユーザごとに算出する(ステップS1005)。つぎに、制御装置100は、ステップS1005によって算出されたユーザごとの差の大きさを重み付け平均して評価指標値Bを導出し(ステップS1006)、一連の処理を終了する。
【0119】
これにより、ユーザ(x)の体感品質と、ユーザ(x)が利用中の通信サービスに応じた目標値TargetB(x)との差の大きさを示す評価指標値Bを導出することができる。また、ステップS1006における重み付けを調整することで、ユーザごとの優先度等を反映した評価指標値Bを導出することができる。
【0120】
ここでは体感品質(x)に基づいて評価指標値Bを導出する場合について説明したが、実施の形態1において説明したスループットなどの指標値と体感品質(x)とに基づいて評価指標値Bを導出するようにしてもよい。
【0121】
(各評価指標値の導出の具体例)
つぎに、制御装置100による各評価指標値の導出の具体例について説明する。制御装置100は、端末デバイスの操作、利用中のアプリケーション画面に対する操作履歴や時間間隔の情報などに基づいてユーザの体感性能を評価し、評価結果に基づいて無線通信回線の性能を算出し、算出結果に基づいて評価指標値Bを導出する。なお、時間間隔の情報としては、たとえば、ユーザのライフログ情報などがある。また、時間、場所および操作のログはアプリケーションのバックグラウンドで記憶されている場合もある。
【0122】
制御装置100は、たとえば、キャパシティ(サービス要件)の目標値の設定と、実際の通信サービス利用状況の評価と、を行い、目標値と現状値の差の大きさを導出する。ここでは、ユーザが利用する通信サービスの種別の一例として、インターネットWeb(表示・検索・リンク)、シンク・クライアント(リモート接続・データ編集)、動画・ストリーミング(ダウンロード・表示)、メール送受信(テキスト・イラスト・画像)、オンラインゲーム(ネット接続・対戦)およびアプリ・ソフト更新(ダウンロード・インストール)の6種類を想定する。ただし、通信サービスの種別は無線サービスと用途に応じて多種多様化されており、上記の種別だけに限らない。
【0123】
制御装置100においては、無線アクセスネットワークを用いて無線通信サービスを提供するうえで、目標とする性能品質を想定したサービス要件(キャパシティ)における主な設定がKPI(Key Performance Indicators)として定義される。そして、運用ポリシや通信サービスの用途に基づいてターゲット(目標値)が設定される。
【0124】
KPIとしては、たとえば、サービスカテゴライズ(サービス・アプリケーション種別と一意に決定)、リアルタイム性・情報更新の要求頻度(相対的な尺度)、パケット到達率(相対的な尺度)などが挙げられる。サービスカテゴライズは、たとえば上記の6つの種別と一致して一意に定められる。また、サービスカテゴライズは、KPIの1つとして定義されると同時に、他のKPIを比較する際のタグとしての役割を持つ。つまり、複数のサービス分類を行ったとしても、他のKPIのターゲットが全て同一なものを、同じカテゴリとして扱うことができる。
【0125】
ターゲット(目標値)の設定に関して、ここでは、相対的な差を抽象的な表現で記載する。詳細な回路実装においては、たとえば、「低−中−高」、「小−中−大」が「1−2−3」のように数値化される。あるいは、最下位や最上位とさらに中間レベルに細分化して「1〜5」などの数値化を行ってもよい。これにより、設定を数値として扱い、算術演算を行うことができる。
【0126】
制御装置100においては、実際に提供して得られる現状の無線アクセスサービスの評価判定を行うために用いる主なKPIが定められる。そして、無線接続している端末デバイス(ユーザ)ごとにKPI情報を無線アクセスタイムに同期して利用状態が時系列で保持・更新される。
【0127】
主なKPIとしては、たとえば、受信電力(無線信号の受信強度)、SINR、再送発生頻度(再送発生率)、無線パケットの転送レート、および無線リソースの利用状態(周波数帯域、送信電力)などが挙げられる。再送発生頻度は、受信側のパケット誤り時に、同じ情報を再び送信する状態の発生率である。
【0128】
(サービス要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPI)
図11は、サービス要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPIの一例を示す図である。図11のテーブル1100は、たとえば制御装置100のメモリに記憶されている。テーブル1100においては、通信サービスの種別(6種類)ごとに、サービス要件(目標値)を設定するためのKPIと、ユーザ品質およびサービス提供評価を算出するためのKPIと、が対応付けられている。
【0129】
また、制御装置100においては、無線アクセスサービスを利用するユーザに対して、通信サービスを享受するうえでの体感性能要件が、サービス提供のターゲットとして設定される。体感性能要件としては、たとえば、パケットデータサイズ(想定する要求データの情報量や新規情報への更新)、操作性(多くの操作が端末デバイスのユーザに要求される)および1度のアクセスにおいて継続させる時間などが挙げられる。
【0130】
ターゲット(目標値)の設定に関して、ここでは、相対的な差分を抽象的な表現で記載する。詳細な回路実装にあっては、たとえば、「低−中−高」、「小−中−大」が「1−2−3」のように数値化される。あるいは、最下位や最上位とさらに中間レベルに細分化して「1〜5」などの数値化を行ってもよい。これにより、設定を数値として扱い、算術演算を行うことができる。
【0131】
ユーザの体感品質を評価するために用いる主なKPIとしては、たとえば、送信パケットサイズ(基地局(AP)による無線パケット割当情報、端末情報)、端末操作ログ(画面タッチ、キー操作・アプリ履歴)、接続時間および処理負荷(基地局(AP)側のベースバンド無線信号処理:CPU負荷)などが挙げられる。制御装置100においては、無線接続している端末デバイス(ユーザ)ごとにKPI情報を無線アクセスタイムに同期して、利用状態が時系列で保持・更新される。
【0132】
(体感性能要件に関するターゲット設定および現状値算出におけるKPI)
図12は、体感性能要件に関するターゲットの設定および現状値算出におけるKPIの一例を示す図である。図12のテーブル1200は、たとえば制御装置100のメモリに記憶されている。テーブル1200においては、通信サービスの種別(6種類)ごとに、体感性能要件(目標値)を設定するためのKPIと、体感品質QoEの評価を算出するためのKPIと、が対応付けられている。
【0133】
制御装置100における評価指標値は、エリア(またはポイント)やユーザ単位に比較され、その要素を集合し、ユーザ数などの集合母数で除算される。さらに、評価指標値は、時間方向においても、無線アクセスフレームに基づいて、単位時間(例:10〜100フレーム)における時間平均が現状の性能評価値として得られる。
【0134】
具体的には、制御装置100における評価指標値[x]は、評価指標値[x]=「要件[x]のターゲット設定値」−[「提供する[x]の現状性能評価値」÷{「(無線アクセス)単位時間」および「ユーザ数」あるいは「ポイント数」(母数)}]によって算出することができる。
【0135】
評価指標値Aについて、エリア設計要件(エリア内の重点ポイントの指定など)については、エリアやポイントの場所情報(屋内フロアのレイアウト情報)を領域で指定するとともに、要求ターゲットを無線伝搬の受信電力強度やSINRで設定することができる。
【0136】
実際の提供エリアの無線伝搬状態(電力やSINR)については、たとえば、ユーザ端末の受信測定結果として無線基地局へ通知されるものを利用することができる。また、対象のポイントに存在するユーザ数とユーザごとの通知情報をポイントごとに取得し、取得した各情報を時間平均することにより、現状のエリアやポイントの性能評価値とすることができる。そして、上記のターゲット設定値と性能評価値を差分比較することで評価指標値Bを算出することができる。
【0137】
評価指標値Aを導出するためのターゲット設定値(目標値TargetA)は、受信電力強度やSINRについての設計要件として設定される。また、評価指標値Aを導出するための現状値は、対象のポイント内のユーザごとの受信電力やSINRを時間平均することによって算出される。
【0138】
評価指標値Bについて、ユーザが利用しているアプリケーションや無線アクセスサービスに照らし、ユーザごとにそれぞれサービスカテゴライズ(A,B,〜,F)(図11,図12参照)から該当する通信サービスの想定する体感性能ターゲットが適用される。
【0139】
評価指標値Bを導出するためのターゲット設定値(目標値TargetB)は、ユーザごとのサービスカテゴライズ(x)において指定される各KPIをそれぞれ個別に比較した後に集合したものとなる。また、評価指標値Bを導出するための現状値は、ユーザごとのサービスカテゴライズ(x)において指定される各KPIをそれぞれ個別に比較した後に集合したものとなる。
【0140】
このとき、評価指標値は相対的な数値(5段階評価:1〜5)同士で比較するものであり、操作回数やパケットサイズ、継続時間はそれらの想定される時間を踏まえて、5段階の相対数値に置き換えられる。この置き換えにおいては、一般に、操作回数やサイズ、時間の数値が大きいほど5段階の相対数値が高くなる。
【0141】
実際のサービス運用においては、個々の環境や用途によって最適な設定と評価結果が異なってくる。このため、無線ネットワーク構成や装置実現に対し、個々のKPIにおける設定数値範囲と、その相対的なレベル格付け(5段階)は、運用中の最適解を達成するために、運用の早期提供段階においては、微調整などを実施してもよい。
【0142】
このように、実施の形態2にかかる制御装置100は、通信サービスにおけるユーザの体感性能を示す性能情報と、通信サービスの種別ごとに体感性能の目標値が対応付けられた対応情報と、を取得する。そして、制御装置100は、取得した対応情報に基づいて、ユーザが利用中の通信サービスの種別に対応する目標値を導出し、性能情報が示す体感性能と、導出した目標値と、の差の大きさに基づいて第2指標値を算出する。
【0143】
これにより、通信サービスの内容(たとえば動画・ストリーミング、ゲーム、Web)によって異なる無線性能への要求に応じてキャパシティの達成度の評価を行うことができる。このため、ユーザが利用している通信サービスの内容に応じて柔軟に無線基地局を制御することができる。
【0144】
なお、ユーザの体感性能を示す性能情報を取得する取得部は、たとえば図7に示したIPネットワーク外部接続インタフェース703、ネットワークプロセッサユニット704およびメインプロセッサユニット706によって実現することができる。すなわち、制御装置100が適用された無線ネットワーク監視制御装置700は、IPネットワーク外部接続インタフェース703およびネットワークプロセッサユニット704によって操作履歴情報を取得することができる。そして、無線ネットワーク監視制御装置700は、取得した操作履歴情報に基づく演算をメインプロセッサユニット706によって行うことで性能情報を取得することができる。
【0145】
また、通信サービスの種別ごとに体感性能の目標値が対応付けられた対応情報を取得する取得部は、たとえば図7に示したメインプロセッサユニット706およびメモリユニット707によって実現することができる。すなわち、メモリユニット707に対応情報をあらかじめ記憶しておき、記憶された対応情報をメインプロセッサユニット706によって読み出すことで対応情報を取得することができる。
【0146】
また、対応情報に基づいてユーザが利用中の通信サービスの種別に対応する目標値を導出する導出部は、たとえば図7に示したメインプロセッサユニット706によって実現することができる。また、性能情報が示す体感性能と、導出された目標値と、の差の大きさに基づいて第2指標値を算出する算出部は、たとえば図7に示したメインプロセッサユニット706およびメモリユニット707によって実現することができる。
【0147】
たとえば、制御装置100は、端末デバイスの操作ならびにアプリケーションの画面操作に関する履歴や時間間隔の情報を利用し、無線通信サービスを利用するユーザの体感性能を評価する。具体的には、制御装置100は、スマートフォンやタブレットPCなどのタッチパネル操作の情報を、ユーザアプリケーション(メール、動画・ストリーミング、ゲーム、インターネット検索、ネットカタログ・購入)の利用状態の情報収集を行う。
【0148】
これにより、制御装置100は、操作ログとアプリケーション種別によるユーザの操作ボタンの操作回数や頻度や時間間隔などを得ることができる。そして、制御装置100は、ユーザの実際の体感性能を評価し、評価した体感性能に基づいて評価指標値Bを導出する。これにより、ユーザが利用している通信サービスに応じて、ユーザの実際の体感性能に基づいてキャパシティの達成度を評価することができる。
【0149】
以上説明したように、制御装置、通信システム、制御プログラムおよび制御方法によれば、運用効率を向上させることができる。たとえば、無線エリア提供(無線品質)と利用ユーザにおけるサービス実現達成度を評価し、エリア設計指向とユーザ・サービス指向のバランスを図るように、無線基地局の運用パラメータを制御することができる。
【0150】
なお、各実施の形態で説明した制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【0151】
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0152】
(付記1)制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【0153】
(付記2)前記通信サービスにおけるユーザの体感性能を示す性能情報と、前記通信サービスの種別ごとに前記体感性能の目標値が対応付けられた対応情報と、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された対応情報に基づいて前記ユーザが利用中の通信サービスの種別に対応する目標値を導出する導出部と、
前記取得部によって取得された性能情報が示す体感性能と、前記導出部によって導出された目標値と、の差の大きさに基づいて前記第2指標値を算出する算出部と、
を備え、
前記比較部は、前記第1指標値と、前記算出部によって算出された第2指標値と、を比較することを特徴とする付記1に記載の制御装置。
【0154】
(付記3)前記第1指標値は、前記エリアに含まれる地点ごとの重み係数を示す係数情報に基づいて、前記地点ごとの前記カバレッジと前記第1目標値との差の大きさを前記地点ごとに重み付け平均した値であることを特徴とする付記1または2に記載の制御装置。
【0155】
(付記4)前記第2指標値は、前記通信サービスを利用するユーザごとの重み係数を示す係数情報に基づいて、前記ユーザごとの前記キャパシティと前記第2目標値との差の大きさを前記ユーザごとに重み付け平均した値であることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の制御装置。
【0156】
(付記5)前記制御部は、
前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくともいずれかが閾値未満である場合は、前記カバレッジおよび前記キャパシティのうちの前記閾値未満である値を向上させるように前記動作状態を決定し、
前記カバレッジおよび前記キャパシティが前記閾値以上となった後に、前記比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超えた場合に、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように前記動作状態を決定し、
前記動作状態の決定結果に基づいて前記動作状態を制御することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の制御装置。
【0157】
(付記6)前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第1指標値が示す差の大きさが、前記第2指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記カバレッジと前記第1目標値との差の大きさが縮小するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の制御装置。
【0158】
(付記7)前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第2指標値が示す差の大きさが、前記第1指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記キャパシティと前記第2目標値との差が縮小するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の制御装置。
【0159】
(付記8)前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第1指標値が示す差の大きさが、前記第2指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記キャパシティと前記第2目標値との差が拡大するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の制御装置。
【0160】
(付記9)前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第2指標値が示す差の大きさが、前記第1指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記カバレッジと前記第1目標値との差が拡大するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の制御装置。
【0161】
(付記10)無線基地局と、
前記無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアに位置し、前記無線基地局との間で無線通信を行う移動端末と、
前記エリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御装置と、
を含むことを特徴とする通信システム。
【0162】
(付記11)制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、
前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【0163】
(付記12)制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、
前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御することを特徴とする制御方法。
【符号の説明】
【0164】
102,301 エリア
200,300 通信システム
211a,212a,213a,311a,312a,313a セル
221〜235,321〜331 ユーザ端末
311〜313 アクセスポイント
341,342 ルータスイッチ
343 ゲートウェイ
821,822,921,922 送信機
831,832,931,932 分離器
841,842,941,942 アンテナ
851,852,951,952 受信機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記通信サービスにおけるユーザの体感性能を示す性能情報と、前記通信サービスの種別ごとに前記体感性能の目標値が対応付けられた対応情報と、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された対応情報に基づいて前記ユーザが利用中の通信サービスの種別に対応する目標値を導出する導出部と、
前記取得部によって取得された性能情報が示す体感性能と、前記導出部によって導出された目標値と、の差の大きさに基づいて前記第2指標値を算出する算出部と、
を備え、
前記比較部は、前記第1指標値と、前記算出部によって算出された第2指標値と、を比較することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1指標値は、前記エリアに含まれる地点ごとの重み係数を示す係数情報に基づいて、前記地点ごとの前記カバレッジと前記第1目標値との差の大きさを前記地点ごとに重み付け平均した値であることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2指標値は、前記通信サービスを利用するユーザごとの重み係数を示す係数情報に基づいて、前記ユーザごとの前記キャパシティと前記第2目標値との差の大きさを前記ユーザごとに重み付け平均した値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくともいずれかが閾値未満である場合は、前記カバレッジおよび前記キャパシティのうちの前記閾値未満である値を向上させるように前記動作状態を決定し、
前記カバレッジおよび前記キャパシティが前記閾値以上となった後に、前記比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超えた場合に、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように前記動作状態を決定し、
前記動作状態の決定結果に基づいて前記動作状態を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第1指標値が示す差の大きさが、前記第2指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記カバレッジと前記第1目標値との差の大きさが縮小するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第2指標値が示す差の大きさが、前記第1指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記キャパシティと前記第2目標値との差が縮小するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項8】
無線基地局と、
前記無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアに位置し、前記無線基地局との間で無線通信を行う移動端末と、
前記エリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御装置と、
を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、
前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、
前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御することを特徴とする制御方法。
【請求項1】
制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記通信サービスにおけるユーザの体感性能を示す性能情報と、前記通信サービスの種別ごとに前記体感性能の目標値が対応付けられた対応情報と、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された対応情報に基づいて前記ユーザが利用中の通信サービスの種別に対応する目標値を導出する導出部と、
前記取得部によって取得された性能情報が示す体感性能と、前記導出部によって導出された目標値と、の差の大きさに基づいて前記第2指標値を算出する算出部と、
を備え、
前記比較部は、前記第1指標値と、前記算出部によって算出された第2指標値と、を比較することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1指標値は、前記エリアに含まれる地点ごとの重み係数を示す係数情報に基づいて、前記地点ごとの前記カバレッジと前記第1目標値との差の大きさを前記地点ごとに重み付け平均した値であることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2指標値は、前記通信サービスを利用するユーザごとの重み係数を示す係数情報に基づいて、前記ユーザごとの前記キャパシティと前記第2目標値との差の大きさを前記ユーザごとに重み付け平均した値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくともいずれかが閾値未満である場合は、前記カバレッジおよび前記キャパシティのうちの前記閾値未満である値を向上させるように前記動作状態を決定し、
前記カバレッジおよび前記キャパシティが前記閾値以上となった後に、前記比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超えた場合に、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように前記動作状態を決定し、
前記動作状態の決定結果に基づいて前記動作状態を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第1指標値が示す差の大きさが、前記第2指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記カバレッジと前記第1目標値との差の大きさが縮小するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが前記許容値を超え、前記第2指標値が示す差の大きさが、前記第1指標値が示す差の大きさよりも大きい場合に、前記キャパシティと前記第2目標値との差が縮小するように前記無線基地局の動作状態を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項8】
無線基地局と、
前記無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアに位置し、前記無線基地局との間で無線通信を行う移動端末と、
前記エリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する制御装置と、
を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、
前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
制御対象の無線基地局によって通信サービスが提供されるエリアにおけるカバレッジの、第1目標値に対する差の大きさを示す第1指標値と、前記エリアにおける前記通信サービスのキャパシティの、第2目標値に対する差の大きさを示す第2指標値と、を比較し、
前記第1指標値と前記第2目標値との比較結果に基づいて、前記第1指標値と前記第2指標値との差の大きさが所定の許容値を超えた場合に、前記カバレッジおよび前記キャパシティの少なくとも一方を変化させる前記無線基地局の動作状態を、前記第1指標値と前記第2指標値との差が縮小するように制御することを特徴とする制御方法。
【図1−1】
【図1−2】
【図1−3】
【図1−4】
【図1−5】
【図1−6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1−2】
【図1−3】
【図1−4】
【図1−5】
【図1−6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−106326(P2013−106326A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251102(P2011−251102)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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