説明

制御装置および提示方法

【課題】適切に空気の状態を提示することができる制御装置を提供する。
【解決手段】処理装置は、検出対象空間内の空気の状態を検出するための検出装置から検出結果の入力を受け付けるための測定値入力部311と、検出対象空間内の人の有無、装置の位置などの情報を含んだ属性情報の入力を受け付けるための属性入力部312と、表示画面での表示単位となるエリアを特定する情報を記憶する領域を有するメモリ320と、各検出装置の設置されたエリアを特定するための特定部313と、エリアごとに、当該エリアの空気の状態の検出結果と人の有無とを表示する表示画面用を表示部350に表示させる処理を実行するための表示処理部315とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は制御装置および提示方法に関し、特に、検出装置での検出結果の提示を制御する制御装置およびその提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気の状態を検出して表示する技術として、たとえば、特開平5−142173号公報(以下、特許文献1)は、塵埃、炭酸ガス濃度などを検知するための汚染センサで検出動作を行ない、その結果に対して基準値を用いて判定することで、つまり、温度、湿度を用いて補正処理を行なって、室内の汚染状況を自動的に分析する装置を開示している。
【0003】
また、特表2009−529684号公報(以下、特許文献2)は、複数の環境パラメータの相互関係を考慮し、テーブルに基づいて空気の質のレベルを判定し、レベルに対応したメッセージを表示する技術を開示している。特許文献2では、たとえば、粉塵レベルが高く、かつ、温暖で湿潤な環境であれば、空気中の菌が多いことが予測されるなどの相互関係と、たとえば、温度が25〜35℃で揮発性有機化合物レベルが600μg/m3より高い、などの複数の環境パラメータの条件の組み合わせとを予め記憶しておき、これらに基づいて、「潜在的な問題:高レベルなホルムアルデヒド、問題に対応する推奨事項:窓をあけてください」などの環境の状態に対して適切なメッセージをユーザに提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−142173号公報
【特許文献2】特表2009−529684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は空気中の菌の量を検出する技術ではないため、空気の汚染度の状態が正しく判定されない場合もある、という問題がある。
【0006】
一方、特許文献2の技術では複数の環境パラメータを組み合わせて用いるために空気中の菌が多いことは予測され得る。しかしながら、特許文献2では実際に菌の量を検出するものではなく、複数の環境パラメータの相互関係に基づいた予測であるため、やはり、空気の汚染度の状態が正しく判定されない場合もある、という問題がある。
【0007】
さらに、特許文献2の技術では、検出対象のエリアの状態を考慮して総合的に空気の汚染度の状態を判定することができない、という問題もある。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、適切に空気の状態を提示することができる制御装置および提示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、制御装置は、検出対象空間内の空気の状態を検出するためのセンサを含んだ第1の検出装置と、検出対象空間内の人の有無を検知するためのセンサを含んだ第2の検出装置と接続された制御装置であって、第1の検出装置および第2の検出装置から検出結果を含む情報を取得するための第1の取得手段と、第1の検出装置および第2の検出装置の位置を特定する情報を取得するための第2の取得手段と、第1の取得手段で得られた第1の検出装置での検出結果および第2の検出装置での検出結果を、第2の取得手段で得られたそれぞれの検出装置の位置に応じて提示するための制御手段とを備え、制御手段は、第1の検出装置および第2の検出装置の位置するエリアを特定し、エリアごとに第1の検出装置および第2の検出装置の検出結果を提示する。
【0010】
好ましくは、制御装置は第1の検出装置での検出結果と提示態様との対応関係を記憶するための第2の記憶手段をさらに備え、制御手段は、第1の検出装置での検出結果の提示態様を決定する処理をさらに実行する。
【0011】
好ましくは、制御手段は、エリアごとの当該エリアの空気の状態の検出結果の提示用のデータを生成し、人がいることが検出されたエリアについての提示するためのデータを提示装置に対して送信して提示させる。
【0012】
好ましくは、制御装置は提示装置の位置を特定する情報を取得するための第3の取得手段をさらに備え、制御手段は、提示装置の位置から所定範囲内に人がいると判断された場合に、提示装置に対して提示用のデータを送信して提示させる。
【0013】
好ましくは、第2の検出装置からの検出結果には検出対象空間内の人数も含まれ、制御手段は、第2の検出装置からの検出結果として、エリアごとの人の有無と、当該エリアで検出された人数とを提示させる。
【0014】
好ましくは、制御手段は、提示装置の位置から所定範囲内に人がいると判断され、かつ、提示装置から人までの距離が所定距離以上と判断された場合に、提示装置に対して提示用のデータに併せて報知動作を行なわせるための制御信号を出力する。
【0015】
好ましくは、制御手段は、提示装置の位置から所定範囲内に人がいると判断され、かつ、提示装置が直ちに操作入力を受け付けるモードでないと判断された場合に、提示装置に対して提示用のデータに併せて報知動作を行なわせるための制御信号を出力する。
【0016】
好ましくは、制御手段は、1つの画面に異なる複数のエリアのそれぞれの空気の状態を表示することで検出結果を提示する。
【0017】
本発明の他の局面に従うと、提示方法は、検出対象空間内の空気の状態を検出するためのセンサを含んだ第1の検出装置と、検出対象空間内の人の有無を検知するためのセンサを含んだ第2の検出装置とでの検出結果を提示する方法であって、第1の検出装置および第2の検出装置から検出結果を含む情報を取得するステップと、第1の検出装置および第2の検出装置の位置を特定する情報を取得するステップと、第1の検出装置での検出結果および第2の検出装置での検出結果をそれぞれの検出装置の位置に応じて提示するステップとを備え、提示するステップは、第1の検出装置および第2の検出装置の位置するエリアを特定するステップと、エリアごとに第1の検出装置および第2の検出装置の検出結果を提示するステップとを含む。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、適切に空気の状態を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態にかかる環境検出システム(以下、システムと略する)の構成の具体例を示す図である。
【図2】システムに含まれる環境検出装置の構成の具体例を示すブロック図である。
【図3】システムに含まれる属性検出装置の構成の具体例を示すブロック図である。
【図4】システムに含まれる処理装置の構成の具体例を示すブロック図(A)、およびシステムに含まれる調整装置の構成の具体例を示すブロック図(B)である。
【図5】微生物センサの第1の例の構成の具体例を示す図である。
【図6】微生物センサの第1の例の構成の具体例を示す図である。
【図7】第1の例にかかる微生物センサの機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図8】環境検出装置の測定制御部での、制御の流れを示すタイムチャートである。
【図9】蛍光強度の変化量と微生物濃度との関係の具体例を表わす図である。
【図10】第1の例にかかる微生物センサの構成の他の具体例を示す図である。
【図11】第1の例の変形例にかかる環境検出装置の測定制御部での、具体的な測定動作を表わすフローチャートである。
【図12】第2の例にかかる微生物センサの構成の具体例を示す図である。
【図13】第2の例かかる微生物センサの機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図14】イオン発生部である調整部の外観の具体例を示す図である。
【図15】イオン発生部である調整部の、一対の孔に対応した回路構成の具体例を示す図である。
【図16】図15中の正極側の回路構成の具体例を示す図である。
【図17】第1の実施の形態にかかる処理装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図18】処理装置での第1の表示処理の流れを表わしたフローチャートである。
【図19】第1の表示処理における表示画面の第1の具体例を示す図である。
【図20】第1の表示処理における表示画面の第2の具体例を示す図である。
【図21】第1の表示処理における表示画面の第3の具体例を示す図である。
【図22】第2の表示処理における表示ウィンドウの具体例を示す図である。
【図23】パラメータの量とマークの状態との対応関係の具体例を示す図である。
【図24】処理装置での第2の表示処理の流れを表わしたフローチャートである。
【図25】表示端末に表示ウィンドウが表示される様子を表わした図である。
【図26】第2の表示処理における表示ウィンドウの他の具体例を示す図である。
【図27】第2の実施の形態にかかる処理装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図28】第1の表示処理における表示画面の第1の具体例を示す図である。
【図29】第1の表示処理における表示画面の第2の具体例を示す図である。
【図30】第1の表示処理における表示画面の第3の具体例を示す図である。
【図31】処理装置300での第2の表示処理の流れを表わしたフローチャートである。
【図32】第2の実施の形態にかかる処理装置での表示の他の例およびその表示に必要な対応関係の具体例を示す図である。
【図33】第2の実施の形態にかかる処理装置での表示の他の例およびその表示に必要な対応関係の具体例を示す図である。
【図34】第2の実施の形態にかかる処理装置での表示の他の例およびその表示に必要な対応関係の具体例を示す図である。
【図35】第2の実施の形態にかかる処理装置での表示の他の例を示す図である。
【図36】第3の実施の形態にかかる処理装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図37】第3の実施の形態での、検出結果と制御対象とする装置およびその制御内容との対応関係の具体例を示す図である。
【図38】第3の実施の形態にかかる処理装置での制御動作の流れを表わしたフローチャートである。
【図39】第4の実施の形態にかかる処理装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図40】第4の実施の形態での、環境情報および環境属性の組み合わせとメッセージ内容との対応関係の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0021】
<システム構成>
図1は、本実施の形態にかかる環境検出システム(以下、システムと略する)1の構成の具体例を示す図である。
【0022】
図1を参照して、システム1は、有線または無線のネットワーク600で接続された、環境情報を取得するための複数の環境検出装置100A,100B,…と、環境属性を検出するための属性検出装置200と、表示部を備えた処理装置300と、環境を調整するための調整装置400と、表示部550を有する表示端末500とを含む。なお、上記複数の環境検出装置100A,100B,…を代表させて環境検出装置100と称する。
【0023】
表示端末500として、複数の表示端末500A,500B,…が含まれてもよい。この場合、これら複数の表示端末500A,500B,…を代表させて表示端末500と称する。
【0024】
環境検出装置100は、各々、環境情報を取得するための、複数のセンサを含む。環境情報とは測定対象の空間の空気の状態を決定付けるパラメータの量を表わす情報を指し、たとえば、測定対象の空間の空気中の微生物量、埃量、湿度、温度、においの原因となるガス量、などが相当する。そのため、後述するように、環境検出装置100は、各々、微生物センサ、埃センサ、湿度センサ、温度センサ、においの原因となるガスセンサ、などを含む。
【0025】
複数の環境検出装置100A,100B,…は、各々、様々な異なる位置に設置されることが想定される。たとえば、複数の部屋を有する空間である場合に、部屋ごとに設置されてもよいし、複数フロアを有する空間である場合に、フロアごとに設置されてもよい。
【0026】
環境属性は、測定対象の空間の空気の状態に影響を与えるパラメータを指し、たとえば、測定対象の空間の人・物の有無やその位置、風向や風力などが該当する。そのため、後述するように、属性検出装置200は、赤外線センサ、超音波センサ、可視光センサ、圧力センサ、温度センサなどである、人感センサ、風向センサ、風力センサなどを含む。
【0027】
さらに、環境属性には、対象の空間内での環境検出装置100の位置が含まれる。属性検出装置200において環境検出装置100の位置を取得するための機能として、環境検出装置100と属性検出装置200とは、それぞれ、これらの間で無線通信を行なうための通信機能を備える。この無線通信はBluetooth(登録商標)やWifi(登録商標)などの電波を利用した通信や赤外線通信などが該当する。属性検出装置200は所定の通信範囲内に対して応答要求をマルチキャスト出力し、当該通信範囲内にある環境検出装置100が当該応答要求を受信してそれに対して自身を特定する識別情報と共に応答する。属性検出装置200において通信を用いて環境検出装置100の位置を特定する方法はこの方法には限定されない。これら装置間の通信が確立することによって属性検出装置200側で所定範囲内にある環境検出装置100が特定される方法であれば、他の方法が採用されてもよい。
【0028】
以降の説明においては、属性検出装置200は、環境属性として、検出対象範囲内の人の有無・その位置、風向・風量、および環境検出装置100の位置を検出し、環境属性として処理装置300に送信するものとする。
【0029】
処理装置300は、属性検出装置200とネットワーク600を介して相互に通信することで、属性検出装置200が設置されている位置を特定し、記憶しておく。他の方法として、GPS(Global Positioning System)や、PlaceEngine(登録商標)などと呼ばれる、通信電波を用いた位置情報を提供するサービスを利用して属性検出装置200の位置を特定したり、画像処理で当該属性検出装置200の識別画像を特定することで位置を特定したりしてもよい。属性検出装置200の設置される位置が固定されている場合、設置位置が予め処理装置300に登録されていてもよい。なお、処理装置300における上述の位置の特定方法は、他の装置の位置を特定する場合も同様とする。
【0030】
処理装置300は、少なくとも、通信機能と表示部と演算装置とを備えていれば、どのような装置で構成されてもよい。一例として、一般的なパーソナルコンピュータで構成されていてよい。処理装置300は環境検出装置100からのセンサ信号をネットワーク600を介して受信し、それを、後述する表示部で表示するための処理を行なう。
【0031】
調整装置400は、対象の空間の空気の状態を決定付けるパラメータの量を調整するための装置であって、たとえば、加湿・除湿機やイオン発生装置などが該当する。
【0032】
表示端末500は少なくとも表示機能と通信機能とを有する装置であればどのような装置であってもよく、携帯電話機や電子書籍閲覧端末やパソコン(PC)やテレビジョン受像機、などが該当する。処理装置300は、表示端末500とネットワーク600を介して相互に通信することで、それらが設置されている位置を特定し、記憶しておく。テレビジョン受像機のように設置される位置が原則固定される装置である場合、設置位置が予め処理装置300に登録されていてもよい。さらに、処理装置300は、表示端末500とユーザとの対応関係を記憶していてもよい。
【0033】
ネットワーク600は、LAN(Local Area Network)、無線LANなどの専用回線を用いた通信を利用するネットワークや、インターネットなどの公衆回線を用いた通信を利用するネットワークなどであってもよいし、無線通信などを用いて直接通信するものであってもよい。
【0034】
<装置構成>
図2は、環境検出装置100の構成の具体例を示すブロック図である。
【0035】
図2を参照して、環境検出装置100は、環境情報を取得するセンサとしての、微生物センサ1001、埃センサ1002、湿度センサ1003、温度センサ1004、およびガスセンサ1005と、図示しないCPU(Central Processing Unit)を含んで、装置全体を制御するための制御部110と、CPUで実行されるプログラムやセンサからのセンサ信号や自身の識別情報などを記憶するためのメモリ120と、ネットワーク600を介して他の装置と通信するための第1通信部130と、属性検出装置200と無線通信するための第2通信部140とを含む。各センサの詳細な構成については後述する。
【0036】
さらに図2を参照して、環境検出装置100の制御部110は、各センサからの信号を処理するための機能である信号処理部30と、当該信号に基づいて検出対象のパラメータ量を算出する処理を実行するための機能である測定検出部40と、検出結果である算出されたパラメータ量を環境情報として、予め記憶している自身の識別情報や名称やネットワークのアドレスなどの属性情報と共に処理装置300に対して送信するための機能である送信処理部111と、属性検出装置200からの要求に応じて予め記憶している自身の識別情報を属性検出装置200に対して送信するための応答部112とを含む。これらは、制御部110に含まれるCPUがメモリ120に記憶されるプログラムを読み込んで実行することで、主にCPUで形成される機能であるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェアで構成されてもよい。
【0037】
図3は、属性検出装置200の構成の具体例を示すブロック図である。
図3を参照して、属性検出装置200は、赤外線センサや超音波センサや圧力センサなどであって、検出対象領域内に人の有無を検出するための人感センサ2001および風向や風力を検出するための風向・風力センサ2002と、図示しないCPUを含んで装置全体を制御するための制御部210と、CPUで実行されるプログラムやセンサからのセンサ信号などを記憶するためのメモリ220と、ネットワーク600を介して他の装置と通信するための第1通信部230と、環境検出装置100と無線通信するための第2通信部240とを含む。
【0038】
さらに、図3を参照して、属性検出装置200の制御部210は、人感センサ2001からのセンサ信号に基づいて人の有無およびその位置を検出するための機能である人検出部211と、風向・風力センサ2002からのセンサ信号に基づいて風向・風力を検出するための機能である風向・風力検出部212と、第2通信部240での通信結果に基づいて環境検出装置100の位置を検出するための機能である装置検出部213とを含む。これらは、制御部210に含まれるCPUがメモリ220に記憶されるプログラムを読み込んで実行することで、主にCPUで形成される機能であるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェアで構成されてもよい。
【0039】
人検出部211は、人感センサ2001からのセンサ信号に基づいて当該属性検出装置200の位置からの人の相対的な位置を特定し、それを環境属性として処理装置300に送信する。
【0040】
または、属性検出装置200がGPSを利用して自身の位置情報を取得したり、PlaceEngine(登録商標)などと呼ばれる、通信電波を用いた位置情報を提供するサービスを利用して位置情報を取得したり、予め自身の位置が入力されたりして、自身の位置情報がメモリ220に記憶されている場合、人検出部211は、自身の位置情報に基づいて相対的な位置が検出された当該人の位置を算出し、その位置情報を環境属性としてもよい。
【0041】
装置検出部213は、第2通信部240での通信結果に基づいて、つまり、第2通信部240で環境検出装置100との通信が確立した場合に、第2通信部240での通信強度などに基づいて当該環境検出装置100の位置を特定して、受信した当該環境検出装置100の識別情報と共に、その位置を環境属性として処理装置300に送信する。このとき、同様に、属性検出装置200が自身の位置を予め記憶している場合には、自身の位置から当該環境検出装置100の位置を算出し、その位置情報を環境属性としてもよい。
【0042】
図4(A)は、処理装置300の構成の具体例を示すブロック図である。処理装置300は、上述のように、一般的なパーソナルコンピュータで構成されるものとする。そのため、図4(A)に示されるような、一般的なパーソナルコンピュータの構成を有する。
【0043】
すなわち、図4(A)を参照して、処理装置300は、図示しないCPUを含んで装置全体を制御するための制御部310と、CPUで実行されるプログラムやセンサからのセンサ信号や表示処理に必要な情報などを記憶するためのメモリ320と、ネットワーク600を介して他の装置と通信するための通信部330と、表示部350とを含む。
【0044】
図4(B)は、調整装置400の構成の具体例を示すブロック図である。調整装置400は、上述のように、対象の空間の空気の状態を決定付けるパラメータの量を調整するための機能として、たとえば、温度や湿度を調整する機能やイオンを発生させる機能を有する。
【0045】
すなわち、図4(B)を参照して、調整装置400は、図示しないCPUを含んで装置全体を制御するための制御部410と、CPUで実行されるプログラムやセンサからのセンサ信号や表示処理に必要な情報などを記憶するためのメモリ420と、ネットワーク600を介して他の装置と通信するための通信部430と、調整部460とを含む。本例では、調整装置400はイオンを発生させる機能を有するものとし、調整部460がイオン発生部とする。イオン発生部である調整部460の詳細な構成については後述する。
【0046】
<微生物センサの構成>
(微生物センサ1001の第1の例)
図5は、微生物センサ1001の第1の例の構成の具体例を示す図である。第1の例による微生物センサ1001は、空気中を浮遊する粒子を帯電させて静電力を利用して電極に吸着させ、当該電極の加熱前後の蛍光量の差に基づいて、当該粒子中の微生物を検出する。
【0047】
図5を参照して、第1の例による微生物センサ1001は、外部空気を導入するための導入孔10および排出孔11が設けられたケース5を有し、ケース5内に導入孔10から外部空気を導入するための空気導入機構50を含む。空気導入機構50で導入する空気の流速は、好ましくは、1L(リットル)/minから50m3/minである。
【0048】
また、環境検出装置100の制御部110には、図2に示されたように、微生物センサ1001からの信号を処理するための機能である信号処理部30と、当該信号に基づいて微生物量を算出する処理を実行するための機能である測定検出部40とが含まれる。これら機能については、後に機能ブロック図を用いて説明する。
【0049】
微生物センサ1001は、検出機構と捕集機構と加熱機構とを含む。図5は、捕集機構の一例として、放電電極17、捕集治具12、および高圧電源2を含むものを示している。放電電極17は高圧電源2の負極に電気的に接続される。高圧電源2の正極は接地される。これにより、導入された空気中の浮遊粒子は放電電極17付近にて負に帯電される。捕集治具12は、導電性の透明の皮膜3を有する、ガラス板などからなる支持基板4である。皮膜3は、接地される。これにより、負に帯電された空気中の浮遊粒子は静電気力で捕集治具12の方向に移動して導電性の皮膜3に吸着されることで、捕集治具12上に捕集される。
【0050】
検出機構は、光源である発光素子6と、発光素子6の照射方向に備えられ、発光素子6からの光を平行光にする、または所定幅とするためのレンズ(またはレンズ群)7と、アパーチャ13と、受光素子9と、受光素子9の受光方向に備えられ、捕集機構により捕集治具12上に捕集された浮遊微粒子に発光素子6から照射することにより生じる蛍光を受光素子9に集光するための集光レンズ(またはレンズ群)8と、照射光が受光素子9に入り込むのを防ぐためのフィルタ(またはフィルタ群)14とを含む。これらの構成は、従来技術を応用できる。
【0051】
発光素子6は、半導体レーザまたはLED素子を含む。波長は、微生物を励起して蛍光を発させるものであれば、紫外または可視いずれの領域の波長でもよい。好ましくは、特表2008−508527号公報に開示されているように、微生物中に含まれ、蛍光を発するトリプトファン、NaDH、リボフラビン等が効率よく励起される300nmから450nmである。受光素子9は、従来用いられている、フォトダイオード、イメージセンサなどが用いられる。レンズ7とアパーチャ13との組み合わせにより、発光素子6の発光は捕集治具12の表面に照射され、捕集治具12上に照射領域15を形成する。
【0052】
加熱機構は、測定検出部40に電気的に接続され、測定検出部40によって加熱量(加熱時間、加熱温度等)が制御されるヒータ91を含む。ヒータ91としては、好適にはセラミックヒータが用いられる。
【0053】
図5、図6(A)、および図6(B)を用いて、発光素子6および受光素子9の配置の一例について説明する。図6(A)は、微生物センサ1001を図5のA−A位置から矢印の方向に見た断面図であり、図6(B)は、図6(A)のB−B位置から矢印の方向に見た断面図である。なお、説明の便宜上、これらの図には捕集治具12以外の収集機構は示されていない。
【0054】
図6(A)を参照して、発光素子6およびレンズ7と、受光素子9および集光レンズ8とは、図5の矢印A方向(上面)から見て直角または略直角に設けられる。発光素子6からレンズ7およびアパーチャ13を通って捕集治具12表面に形成される照射領域15からの反射光は、入射光に沿った方向に向かう。そのため、この構成とすることで、反射光が直接受光素子9に入らない。なお、捕集治具12表面からの蛍光は等方的に発光するので、反射光および迷光の受光素子9への入射を抑えられる配置であれば、図示された配置には限定されない。
【0055】
より好ましくは、捕集治具12は、照射領域15に対応する表面に捕集した粒子からの蛍光を受光素子9に集めるための構成を備える。該構成は、図6(B)を参照して、たとえば球面状の窪み51が該当する。さらに、捕集治具12は、好ましくは、受光素子9に捕集治具12表面が相対するよう、受光素子9に向かう方向に角度θだけ傾けて設けられる。この構成により、球面状の窪み51内の粒子から等方的に発光した蛍光が球面表面で反射して受光素子9方向に集められる効果があり、受光信号を大きくできるメリットがある。窪み51の大きさは限定されないが、好ましくは、照射領域15よりも大きい。
【0056】
再び図5を参照して、受光素子9は信号処理部30に接続されて、受光量に比例した電流信号を信号処理部30に対して出力する。従って、導入された空気中に浮遊し、捕集治具12表面に捕集された粒子に発光素子6から光が照射されることによって該粒子から発光された蛍光は、受光素子9において受光され、信号処理部30においてその受光量が検出される。
【0057】
さらに、ケース5の導入孔10および排出孔11には、それぞれ、シャッタ16A,16Bが設置される。シャッタ16A,16Bは、それぞれ測定検出部40に接続され、その開閉が制御される。シャッタ16A,16Bが閉塞されることでケース5内への空気の流入および外部光の入射が遮断される。測定検出部40は、後述する蛍光測定時にシャッタ16A,16Bを閉塞し、ケース5内への空気の流入および外部光の入射を遮断する。これにより、蛍光測定時には捕集機構での浮遊粒子の捕集が中断される。また、蛍光測定時に外部光のケース5内への入射が遮断されることで、ケース5内の迷光が抑えられる。なお、シャッタ16A,16Bのうちのいずれか一方、たとえば、少なくとも排出孔11のシャッタ16Bのみが備えられてもよい。
【0058】
第1の例による微生物センサ1001における検出原理について説明する。
特表2008−508527号公報にも開示されているように、空気中に浮遊する微生物に紫外光または青色光を照射すると蛍光を発することは、従来から知られている。しかし、空気中には化学繊維の埃など同様に蛍光を発するものが浮遊しており、蛍光を検出するのみでは、微生物からのものであるか化学繊維の埃などからのものであるかが区別されない。
【0059】
これに対して、発明者らは、微生物と化学繊維の埃などとのそれぞれに対して加熱処理を施し、加熱の前後における蛍光の変化を測定したところ、埃は加熱処理によって蛍光強度が変化しないのに対して、微生物は加熱処理によって蛍光強度が増加することを見出した。そこで、第1の例による微生物センサ1001では、検出原理として、発明者らの見致したこの現象が応用される。
【0060】
すなわち、空気中では、埃と、微生物が付着した埃と、微生物とが混合されている。上述の現象を基にすると、捕集した粒子に蛍光を発する埃が混ざっている場合、加熱処理前に測定される蛍光スペクトルには、微生物からの蛍光と蛍光を発する埃からの蛍光とが含まれ、微生物を化学繊維の埃などから区別して検出することができない。しかしながら、加熱処理を施すことで微生物だけが蛍光強度が増加し、蛍光を発する埃の蛍光強度は変化しない。そのため、加熱処理前の蛍光強度と所定の加熱処理後の蛍光強度との差を測定することで、微生物の量を求めることができる。
【0061】
図7は、上の原理を利用して空気中の微生物を検出する、第1の例としての微生物センサ1001の機能構成の具体例を示すブロック図である。上述のように、環境検出装置100の制御部110は、微生物センサ1001からの信号を処理するための機能として信号処理部30および測定検出部40を含む。図7では、信号処理部30の機能が主に電気回路であるハードウェア構成で実現される例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、制御部110に含まれるCPUがメモリ120に記憶されるプログラムを実行することによって実現される、ソフトウェア構成であってもよい。また、測定検出部40の構成がソフトウェア構成である例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
【0062】
図7を参照して、信号処理部30は、受光素子9に接続される電流−電圧変換回路34と、電流−電圧変換回路34に接続される増幅回路35とを含む。
【0063】
測定検出部40は、測定制御部41、記憶部42、およびクロック発生部47を含む。さらに、測定検出部40は、第1通信部130で他の装置とのデータ等のやり取りに必要な処理を行なうための外部接続部46と、シャッタ16A,16B、空気導入機構50、およびヒータ91を駆動させるための駆動部48とを含む。
【0064】
ケース5に導入され捕集治具12上に捕集された粒子に対して発光素子6から照射されることで、照射領域15にある当該粒子からの蛍光が、受光素子9に集光される。受光素子9から、受光量に応じた電流信号が信号処理部30に対して出力される。電流信号は、電流−電圧変換回路34に入力される。
【0065】
電流−電圧変換回路34は、受光素子9から入力された電流信号より蛍光強度を表わすピーク電流値Hを検出し、電圧値Ehに変換する。電圧値Ehは増幅回路35で予め設定した増幅率に増幅され、測定検出部40に対して出力される。測定検出部40の測定制御部41は信号処理部30から電圧値Ehの入力を受け付けて、順次、記憶部42に記憶させる。
【0066】
クロック発生部47はクロック信号を発生させ、測定制御部41に対して出力する。測定制御部41は、クロック信号に基づいたタイミングで、シャッタ16A,16Bを開閉させるための制御信号を駆動部48に対して出力して、シャッタ16A,16Bの開閉を制御する。また、測定制御部41は発光素子6および受光素子9と電気的に接続され、それらのON/OFFを制御する。
【0067】
測定制御部41は計算部411を含み、計算部411において、記憶部42に記憶された電圧値Ehを用いて、導入された空気中の微生物量を算出するための動作が行なわれる。具体的な動作について、図8の測定制御部41での制御の流れを示すタイムチャートを用いて説明する。ここでは、微生物量として、ケース5内に導入された空気中の微生物濃度を算出するものとする。
【0068】
図8を参照して、測定検出部40の測定制御部41は、微生物センサ1001での測定動作が開始すると駆動部48に対して制御信号を出力し、空気導入機構50を駆動させる。また、測定制御部41は、クロック発生部47からのクロック信号に基づいた時刻T1に、駆動部48に対して、シャッタ16A,16Bを開放(ON)させるための制御信号を出力する。その後、時刻T1から時間△T1経過後の時刻T2に、測定制御部41は、駆動部48に対して、シャッタ16A,16Bを閉塞(OFF)させるための制御信号を出力する。
【0069】
これにより、時刻T1から時間△T1の間シャッタ16A,16Bが開放され、空気導入機構50の駆動により外部空気がケース5内に導入孔10を通じて導入される。ケース5内に導入された空気中の粒子は、放電電極17により負電荷に帯電され、空気の流れと放電電極17および捕集治具12表面の皮膜3の間で形成される電界とにより、捕集治具12表面に時間△T1の間、捕集される。
【0070】
また、時刻T2にシャッタ16A,16Bが閉塞され、ケース5内の空気の流れが止まる。これにより、捕集治具12での浮遊粒子の捕集が終了する。また、これにより、外部からの迷光が遮光される。
【0071】
測定制御部41は、シャッタ16A,16Bが閉塞した時刻T2に、受光素子9に受光を開始(ON)させるための制御信号を出力する。さらに、それと同時(時刻T2)または時刻T2から少し遅れた時刻T3に、発光素子6に発光を開始(ON)させるための制御信号を出力する。その後、時刻T3から蛍光強度を測定するための予め規定した測定時間である時間△T2経過後の時刻T4に、測定制御部41は、受光素子9に受光を終了(OFF)させるための制御信号、および発光素子6に発光を終了(OFF)させるための制御信号を出力する。なお、上記測定時間は測定制御部41に予め設定されているものであってもよいし、ネットワーク600を介して第1通信部130によって他の装置から受信した信号などによって入力、変更されるものであってもよい。
【0072】
これにより、時刻T3(または時刻T2)より発光素子6からの照射が開始される。発光素子6からの光は、捕集治具12の表面の照射領域15に照射され、捕集された粒子から蛍光が発光される。時刻T3から規定の測定時間△T2分の蛍光が受光素子9により受光され、その蛍光強度F1に応じた電圧値が測定検出部40に入力されて記憶部42に記憶される。
【0073】
このとき、別途設けたLED等の発光素子(図示せず)からの発光の、捕集治具12表面の粒子が捕集されない反射領域(図示せず)からの反射光を、別途設けた受光素子(図示せず)で受光し、その受光量を参照値I0として用いてF1/I0を記憶部42に記憶してもよい。参照値I0に対する比率を算出することで、発光素子や受光素子の温度、湿度等の環境条件や劣化等による特性変動に起因する蛍光強度の変動を補償することができるという利点が生じる。
【0074】
測定制御部41は、発光素子6の発光および受光素子9の受光を終了させた時刻T4(または時刻T4から少し遅れた時刻)に、ヒータ91に加熱を開始(ON)させるための制御信号を出力する。そして、ヒータ91の加熱開始(時刻T4または時刻T4から少し遅れた時刻)から加熱処理のための予め規定した加熱処理時間である時間△T3経過後の時刻T5に、測定制御部41はヒータ91に加熱を終了(OFF)させるための制御信号を出力する。
【0075】
これにより、時刻T4または時刻T4から少し遅れた時刻)から加熱処理時間△T3の間、ヒータ91によって捕集治具12表面の照射領域15に捕集した粒子に対して加熱処理が施される。このときの加熱温度は予め規定されている。時間△T3の間加熱処理されることで、捕集治具12表面に捕集された粒子に対して所定の加熱量が加えられることになる。なお、加熱処理時間△T3(すなわち加熱量)もまた、上記測定時間と同様に、測定制御部41に予め設定されているものであってもよいし、他の装置から受信した信号などによって入力、変更されるものであってもよい。
【0076】
その後、△T4の間、加熱した粒子が冷却処理される。冷却処理には空気導入機構50が用いられてもよく、この場合、別途HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタを設けた導入口(図5には図示せず)から外部空気が取り込まれてもよい。または、別途ペルチェ素子等の冷却機構が用いられてもよい。
【0077】
その後、測定制御部41は空気導入機構50の動作を終了させるための制御信号を出力し、時刻T6に受光素子9に受光を開始(ON)させるための制御信号を出力する。さらに、それと同時(時刻T6)または時刻T6から少し遅れた時刻T7に、発光素子6に発光を開始(ON)させるための制御信号を出力する。その後、時刻T7から測定時間△T2経過後の時刻T8に、測定制御部41は、受光素子9に受光を終了(OFF)させるための制御信号、および発光素子6に発光を終了(OFF)させるための制御信号を出力する。
【0078】
これにより、発光素子6から捕集治具12表面の照射領域15に捕集した粒子に対して時間△T3の間加熱処理された後の、測定時間△T2分の蛍光が受光素子9により受光される。その蛍光強度F2に応じた電圧値は測定検出部40に入力されて記憶部42に記憶される。
【0079】
計算部411は、記憶された蛍光強度F1と蛍光強度F2との差分を増大量△Fとして算出する。上述のように、増大量△Fは微生物量(微生物数または濃度等)に関連している。計算部411は、予め、図9に表わされたような、増大量△Fと微生物量(濃度)との対応関係を記憶しておく。そして、計算部411は、算出された増大量△Fと該対応関係とを用いて得られる微生物濃度を、ケース5内に時間△T1の間に導入された空気中の微生物濃度として算出する。
【0080】
増大量△Fと微生物濃度との対応関係は、予め実験的に決められる。たとえば、1m3の大きさの容器内に、大腸菌やバチルス菌やカビ菌などの微生物の一種を、ネブライザを利用して噴霧し、微生物濃度をN個/m3に維持して、微生物センサ1001を用いて、上述の検出方法により時間△T1の間微生物を捕集する。そして、所定加熱量(加熱時間△T3、所定の加熱温度)で捕集した微生物に対してヒータ91によって加熱処理を施し、所定時間△T4の冷却の後、加熱前後の蛍光強度の増大量△Fを測定する。種々の微生物濃度について同様の測定がなされることで、図9に示された増大量△Fと微生物濃度(個/m3)との関係が得られる。なお、増大量△Fと微生物濃度との対応関係は他の装置から入力され、計算部411に記憶されてもよい。
【0081】
計算部411は、増大量△Fが差分△F1と算出された場合、図9の対応関係から増大量△F1に対応する値を特定することで微生物濃度N1(個/m3)を算出する。
【0082】
ただし、増大量△Fと微生物濃度との対応関係は、微生物の種類(たとえば菌種)によって異なる可能性がある。そこで、計算部411は、いずれかの微生物を標準の微生物と規定して、増大量△Fと該微生物の濃度との対応関係を記憶する。これにより、様々な環境における微生物濃度が、標準の微生物を基準として換算された微生物濃度として算出される。その結果、様々な環境を比較することが可能となり、環境管理が容易となる。
【0083】
なお、上述の例では増大量△Fには、所定の加熱量(所定の加熱温度、加熱時間△T3)の加熱処理の前後の蛍光強度の差分が用いられているが、これらの比率が用いられてもよい。
【0084】
計算部411で算出された捕集された微生物の濃度は、測定制御部41での出力処理によって、所定のタイミングで処理装置300に対して送信される。
【0085】
このように、第1の例による微生物センサ1001は、微生物からの蛍光と蛍光を発する埃からの蛍光との加熱処理による性質の差を利用し、所定の加熱処理後の増大量に基づいて微生物を検出するものである。すなわち、第1の例による微生物センサ1001は、捕集された微生物と埃とに加熱処理を施すと微生物は蛍光強度が増加し埃は変化しない、という現象を利用して微生物を検出するものである。そのため、導入された空気中に蛍光を発する埃が含まれている場合であっても、リアルタイムに、かつ精度よく、微生物を蛍光を発する埃から分離して検出することができる。
【0086】
なお、第1の例による微生物センサ1001の変形例として、他の構成が挙げられる。図10は、第1の例による微生物センサ1001の構成の他の具体例を示す図である。第1の例による微生物センサ1001の変形例として、検出機構と捕集機構とが別の空間で設けられてもよい。
【0087】
詳しくは、図10を参照して、第1の例の変形例による微生物センサ1001は、孔5C’を有する区切り壁である壁5Cで隔てられた、捕集機構の少なくとも一部を含んだ捕集室5Aと、検出機構を含んだ検出室5Bとを備える。捕集室5Aには、捕集機構として針状の放電電極17および捕集治具12が配備され、検出室5Bには、検出機構として発光素子6、受光素子9、および集光レンズ8が配備される。
【0088】
捕集室5Aの放電電極17側および捕集治具12には、それぞれ、捕集室5A内に空気を導入するための導入孔10および排出孔11が設けられる。
【0089】
排出孔11近傍には空気導入機構としてのファン50Aが設けられる。ファン50Aによって、吸引口からの空気が捕集室5Aに導入される。好ましくは、ファン50Aの駆動機構は、測定検出部40によって制御され、導入する空気の流速が制御される。好ましくは、ファン50Aで導入する空気の流速は1L(リットル)/minから50m3/minである。ファン50Aは測定検出部40によって制御される図示しない駆動機構により駆動することで、図中の点線矢印で表わされたように、導入孔10から捕集室5A外の空気を捕集室5A内に導入し、捕集室5A内の空気を排出孔11から捕集室5A外に排気する。
【0090】
変形例にかかる微生物センサ1001では、ファン50Aの駆動によって導入孔10から導入された空気中の浮遊粒子は、放電電極17付近にて負に帯電される。負に帯電した粒子は静電気力で捕集治具12の方向に移動して導電性の皮膜に吸着されることで、捕集治具12上に捕集される。
【0091】
検出室5B内には発光素子6および受光素子9が配される。受光素子9は信号処理部30に接続されて、受光量に比例した電流信号を信号処理部30に対して出力する。従って、導入された空気中に浮遊し、捕集治具12表面に捕集された粒子に発光素子6から光が照射されることによって該粒子から発光された蛍光は、受光素子9において受光され、信号処理部30においてその受光量が検出される。
【0092】
検出室5B内の、捕集治具12表面に触れる位置には、捕集治具12表面をリフレッシュするためのブラシ60が設けられる。ブラシ60は、測定検出部40によって制御される図示しない移動機構に接続され、図中の両側矢印Bに示されるように、すなわち、捕集治具12上を往復するように移動する。これにより、捕集治具12表面に付着した埃や微生物が取り除かれる。
【0093】
捕集治具12とヒータ91とを含んだユニットをここでは捕集ユニット12Aと称する。捕集ユニット12Aは測定検出部40によって制御される図示しない移動機構に接続され、図中の両側矢印Aに示されるように、すなわち、捕集室5Aから検出室5Bへ、検出室5Bから捕集室5Aへ、壁5Cに設けられた孔5C’を通って移動する。なお、上述のように、ヒータ91は、捕集治具12上に捕集された空気中の浮遊粒子を加熱し得る位置であって、少なくとも加熱時には発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から何かによって隔てられる位置に配備されればよいため、捕集ユニット12Aに含まれず、他の位置に備えられてもよい。後述するように加熱動作が捕集室5Aで行なわれる場合、ヒータ91は捕集ユニット12Aに含まれず、捕集室5Aの、捕集ユニット12Aがセットされる位置であって、捕集治具12の、発光素子6、受光素子9等のセンサ機器と反対側に固定されていてもよい。このようにすることよっても加熱時にはヒータ91は捕集治具12によって発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から隔てられ、それにより発光素子6、受光素子9等への熱の影響を抑えることができる。この場合、捕集ユニット12Aには少なくとも捕集治具12が含まれていればよい。
【0094】
この微生物センサ1001の機能構成は、図7のブロック図で示されたものと同様である。測定制御部41での具体的な測定動作について、図11のフローチャートを用いて説明する。ここでは、微生物量として、捕集室5A内に所定時間の間に導入された空気中の微生物濃度を算出するものとする。
【0095】
図11を参照して、微生物センサ1001がONされると、ステップS1で、予め規定されている捕集時間である時間△T1の間、捕集室5Aでの捕集動作が行なわれる。ステップS1での具体的な動作としては、測定制御部41は駆動部48に対して制御信号を出力してファン50Aを駆動させて捕集室5A内に空気を取り込む。捕集室5A内に導入された空気中の粒子は、放電電極17により負電荷に帯電され、ファン50Aによる空気の流れと放電電極17および捕集治具12表面の皮膜3の間で形成される電界とにより、捕集治具12表面の照射領域15に対応した狭い範囲に捕集される。捕集時間△T1が経過すると測定制御部41は捕集動作を終了、すなわち、ファン50Aの駆動を終了させる。
【0096】
これにより、時間△T1の間、外部空気が捕集室5A内に導入孔10を通じて導入され、その空気中の粒子は、捕集治具12表面に時間△T1の間、捕集される。
【0097】
次に、ステップS3で測定制御部41は、駆動部48に対して制御信号を出力して捕集ユニット12Aを移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12Aを捕集室5Aから検出室5Bに移動させる。移動が完了すると、ステップS5で検出動作が行なわれる。ステップS5では第2の例による微生物センサ1001と同様に、測定制御部41は発光素子6に発光させ、規定の測定時間△T2の間、受光素子9により蛍光を受光させる。発光素子6からの光は、捕集治具12の表面の照射領域15に照射され、捕集された粒子から蛍光が発光される。その蛍光強度F1に応じた電圧値が測定検出部40に入力されて記憶部42に記憶される。これにより、加熱前の蛍光量S1が測定される。
【0098】
なお、上記測定時間△T2は測定制御部41に予め設定されているものであってもよいし、他の装置から入力、変更されるものであってもよい。
【0099】
このとき、別途設けたLED等の発光素子(図示せず)からの発光の、捕集治具12表面の粒子が捕集されない反射領域(図示せず)からの反射光を、別途設けた受光素子(図示せず)で受光し、その受光量を参照値I0として用いてF1/I0を記憶部42に記憶してもよい。参照値I0に対する比率を算出することで、発光素子や受光素子の温度、湿度等の環境条件や劣化等による特性変動に起因する蛍光強度の変動を補償することができるという利点が生じる。
【0100】
ステップS5の測定動作が終了すると、ステップS7で測定制御部41は、駆動部48に対して制御信号を出力して捕集ユニット12Aを移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12Aを検出室5Bから捕集室5Aに移動させる。移動が完了すると、ステップS9で加熱動作が行なわれる。ステップS9では第2の例による微生物センサ1001と同様に、測定制御部41は予め規定した加熱処理時間である時間△T3の間、ヒータ91に加熱を行なわせる。このときの加熱温度は予め規定されている。
【0101】
加熱動作後、ステップS11で冷却動作が行なわれる。ステップS11では、測定制御部41は、駆動部48に制御信号を出力して、所定の冷却時間、ファン50Aを逆回転させる。捕集ユニット12Aに外部の空気を触れさせることで冷却する。加熱処理時間△T3、加熱温度、および冷却時間も、測定制御部41に予め設定されているものであってもよいし、他の装置から入力、変更されるものであってもよい。
【0102】
ステップS7で捕集ユニット12Aを捕集室5Aに移動させた後に捕集室5A内で加熱動作および冷却動作が行なわれ、冷却後に捕集ユニット12Aが検出室5Bに移動することで、加熱時にヒータ91は発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から隔てられた距離に位置し、また、壁5C等によっても隔てられ、それにより発光素子6、受光素子9等への熱の影響を抑えることができる。なお、このように加熱時にヒータ91は発光素子6、受光素子9等のセンサ機器とは壁5C等によっても隔てられた捕集室5A内にあることから、ヒータ91は捕集ユニット12A内の必ずしも放電電極17から遠い側の面、すなわち検出室5Bに捕集ユニット12Aが移動したときに発光素子6、受光素子9等から遠い側の面になくてもよく、たとえば放電電極17から近い側の面にあってもよい。
【0103】
ステップS9の加熱動作およびステップS11の冷却動作が終了すると、ステップS13で測定制御部41は、駆動部48に対して制御信号を出力して捕集ユニット12Aを移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12Aを捕集室5Aから検出室5Bに移動させる。移動が完了すると、ステップS15で再度検出動作が行なわれる。ステップS15の検出動作はステップS5での検出動作と同じである。ここでの蛍光強度F2に応じた電圧値が測定検出部40に入力されて記憶部42に記憶される。これにより、加熱後の蛍光量S2が測定される。
【0104】
ステップS15で加熱後の蛍光量S2が測定されると、ステップS17で捕集ユニット12Aのリフレッシュ動作が行なわれる。ステップS17で測定制御部41は、駆動部48に対して制御信号を出力してブラシ60を移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12A表面でブラシ60を所定回数往復移動させる。このリフレッシュ動作が完了すると、ステップS19で測定制御部41は、駆動部48に対して制御信号を出力して捕集ユニット12Aを移動させるための機構を稼動させて、捕集ユニット12Aを検出室5Bから捕集室5Aに移動させる。これにより、開始の指示を受けると直ちに次の捕集動作(S1)を開始することができる。
【0105】
計算部411は、記憶された蛍光強度F1と蛍光強度F2との差分を増大量△Fとして算出する。そして、第2の例による微生物センサ1001と同様にして、算出された増大量△Fと、予め記憶している増大量△Fと微生物量(濃度)との対応関係(図9)とを用いて得られる微生物濃度を、捕集室5A内に時間△T1の間に導入された空気中の微生物濃度として算出する。算出された捕集された粒子中の微生物の濃度は、測定制御部41での出力処理によって、所定のタイミングで処理装置300に対して送信される。
【0106】
このように、第1の例の変形例による微生物センサ1001では捕集室5Aと検出室5Bとが区切られ、その間を捕集ユニット12Aが行き来して捕集と検出とが行なわれるため、捕集と検出とを連続して行なうことができる。また、上述のように捕集室5Aで捕集治具12が加熱され、冷却された後に検出室5Bに移動させるため、検出室5B内にあるセンサ等への熱の影響を抑えることができる。
【0107】
(微生物センサ1001の第2の例)
なお、第1の例による微生物センサ1001では、空気中の浮遊粒子を吸着させて捕集し、加熱前後の蛍光量の差によって浮遊粒子から微生物を検出するとしている。しかしながら、浮遊粒子から微生物を検出する方法はこの方法に限定されず、他の方法であってもよい。
【0108】
他の例として、空気中の浮遊粒子からの散乱光の強度の差を利用して浮遊粒子から微生物を検出する方法を採用したセンサが挙げられる。すなわち、空気中の浮遊粒子からの散乱光の強度は、浮遊粒子のサイズと屈折率とに依存する。微生物は細胞内が水に近い液体で満たされていることから、屈折率が水に近い、透明な粒子と近似できる。
【0109】
そこで、この原理を採用すると、第2の例による微生物センサ1001は、空気中の浮遊する微生物の屈折率を水に近い屈折率であると仮定したときの、同サイズの埃粒子との、光を照射したときの特定の散乱角での散乱強度の差を利用して、微生物をそうでない浮遊粒子から分別し、検出する。
【0110】
そのため、第2の例による微生物センサ1001には、予め、粒子サイズごとの、微生物とそれ以外の浮遊粒子とを判別するための境界値として、所定の散乱角(たとえば60度)での微生物(屈折率1.3の粒子と仮定)からの散乱強度と埃(屈折率1.6の粒子と仮定)からの散乱強度と間の値が記憶されている。そして、微生物センサ1001は、導入された空気中の浮遊粒子のサイズと散乱強度とを測定し、測定された上記所定の散乱角での散乱強度が測定されたサイズに対して予め記憶されている境界値よりも小なる場合に微生物の粒子、大なる場合に埃粒子、と判別することで、浮遊粒子から微生物を検出する。
【0111】
さらに、導入された空気中の浮遊粒子のサイズは、ある流速で運ばれる空気中の浮遊粒子の速度が、空気の流速が大きくない場合には浮遊粒子のサイズが大きくなれば遅くなることを利用して検出することができる。すなわち、浮遊粒子のサイズが大きくなると速度が遅くなるために、浮遊粒子が照射光を横切る時間が長くなることを利用することができる。
【0112】
ある流速で運ばれる浮遊粒子が発光素子6からの照射光を横切ることによって当該浮遊粒子が発生させた散乱光は、受光素子9で受光されると、受光素子9からパルス状の電流信号が出力される。そのパルス幅は、当該浮遊粒子が照射光を横切る時間に関係する。したがって、出力される電流信号のパルス幅から浮遊粒子のサイズが換算される。この換算を可能とするため、空気導入機構50では、受光素子9からの電流信号のパルス幅は浮遊粒子のサイズを反映したものとなるような、大きすぎない流速で外部空気を微生物センサ1001内に導入する。
【0113】
図12は、第2の例による微生物センサ1001の構成の具体例を示す図である。図12を参照して、第2の例による微生物センサ1001は、吸引口からの空気を導入するための導入孔10および図示されない排気孔が設けられたケース5を有し、ケース5内に導入孔10から外部空気を導入するための空気導入機構50を含む。空気導入機構50で導入する空気の流速は、上述の浮遊粒子のサイズを検出するのに適した流速として、好ましくは、0.01L(リットル)/minから10L/minである。
【0114】
ケース5内には、光源である発光素子6と、発光素子6の照射方向に備えられ、発光素子6からの光を平行光にする、または所定幅とするためのレンズ7と、受光素子9と、受光素子9の受光方向に備えられ、平行光により空気中に存在する浮遊微粒子からの生じる散乱光を受光素子9に集光するための集光レンズ8とが配される。
【0115】
発光素子6からの照射光が紫外領域の波長の光である場合は、微生物からの蛍光が受光素子9に入らないように、集光レンズ8または受光素子9の前に、蛍光をカットするような光学フィルタが設置される。
【0116】
発光素子6およびレンズ7と、受光素子9および集光レンズ8とは、それぞれ、レンズ7によって平行光とされた発光素子6の照射方向と、集光レンズ8で集光されることで受光素子9において受光可能な方向とが、所定の散乱角α(たとえば60度)となる角度を保って設置される。さらに、これらは、それぞれ、導入孔10から排出孔へと移動する空気が、レンズ7によって平行光とされた発光素子6からの照射領域と、集光レンズ8で集光されることで受光素子9において受光可能な領域との重なる領域である、図12の領域Aを通過するような角度を保って、設置される。図12では、角度αが約60度となる位置関係であり、かつ、領域Aが導入孔10の正面となるように、これらが設置されている例が示されている。角度αは60度に限定されず、他の角度であってもよい。
【0117】
受光素子9は信号処理部30に接続されて、受光量に比例した電流信号を信号処理部30に対して出力する。図12の構成により、発光素子6から照射され、空気導入機構50によって領域Aで導入孔10から排出孔へと所定速度で移動する空気中に浮遊する粒子で散乱された光のうちの、発光素子6の照射方向に対して角度α(=60度)方向の散乱光が、受光素子9において受光され、その受光量が検出される。
【0118】
信号処理部30は測定検出部40に接続されて、パルス状の電流信号を処理した結果を測定検出部40に対して出力する。測定検出部40は、信号処理部30からの処理結果に基づいて、空気中の浮遊粒子から微生物を検出し、検出結果として出力するための処理を行なう。
【0119】
図13は、上の原理を利用して空気中の微生物を検出する、第2の例としての微生物センサ1001の機能構成の具体例を示すブロック図である。第1の例としての微生物センサ1001と同様に、環境検出装置100の制御部110は、微生物センサ1001からの信号を処理するための機能として信号処理部30および測定検出部40を含む。図13では、信号処理部30の機能が主に電気回路であるハードウェア構成で実現される例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、制御部110に含まれるCPUがメモリ120に記憶されるプログラムを実行することによって実現される、ソフトウェア構成であってもよい。また、測定検出部40の構成がソフトウェア構成である例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
【0120】
図13を参照して、信号処理部30は、受光素子9に接続されるパルス幅測定回路32と、パルス幅測定回路32に接続されるパルス幅−電圧変換回路33と、受光素子9に接続される電流−電圧変換回路34と、電流−電圧変換回路34に接続される増幅回路35と、パルス幅−電圧変換回路33および増幅回路35に接続される電圧比較回路36とを含む。好ましくは、図13に示されるように、受光素子9とパルス幅測定回路32および電流−電圧変換回路34との間に、予め設定した電流値以下の信号を除去するためのフィルタ回路31が設けられる。フィルタ回路31が設けられることにより、受光素子9の検出信号中の、迷光によるノイズ成分を低減できる。
【0121】
測定検出部40は、算出部45と、記憶部42と、検出結果を出力するための出力部43とを含む。
【0122】
ケース5に導入された浮遊粒子に発光素子6から照射されることで、図12の領域Aにある当該浮遊粒子からの散乱光が、受光素子9に集光される。受光素子9から、受光量に応じたパルス状の電流信号が信号処理部30に対して出力される。電流信号は、信号処理部30のパルス幅測定回路32および電流−電圧変換回路34に入力される。受光素子9からの電流信号のうちの、予め設定された電流値以下の信号は、フィルタ回路31を介することでカットされる。
【0123】
電流−電圧変換回路34は、受光素子9から入力された電流信号より散乱強度を表わすピーク電流値Hを検出し、電圧値Ehに変換する。電圧値Ehは増幅回路35で予め設定した増幅率に増幅され、電圧比較回路36に対して出力される。
【0124】
パルス幅測定回路32は、受光素子9から入力された電流信号のパルス幅Wを測定する。パルス幅測定回路32でのパルス幅またはそれに関連した値の測定方法は特定の方法に限定されず、従来よく知られた信号処理方法でよい。一例として、パルス幅測定回路32に図示しない微分回路が組み込まれている場合の測定方法について説明する。すなわち、パルス状の電流信号が入力されることで、微分回路では、最初のパルス信号に応じて決められた一定電圧が生じ、次のパルス信号に応じて、電圧が0に戻る。パルス幅測定回路32は、微分回路に生じた電圧信号の立ち上がりから立ち下がりまでの時間を測定して、それをパルス幅とすることができる。すなわち、パルス幅Wは微分回路を通して得られる微分曲線のピーク間の幅でもよい。他の例としては、パルス波形のピーク電圧値の半分の値の間隔、すなわち半値幅でもよいし、パルス波形の立ち上がりから立下りの間隔でもよい。このような方法により、または他の方法により測定されたパルス幅Wを示す信号は、パルス幅−電圧変換回路33に対して出力される。
【0125】
パルス幅−電圧変換回路33には、予め、各パルス幅Wに対して、微生物であるか否かの判別を行なうための散乱強度の境界値として用いる電圧値Ewが設定されている。パルス幅−電圧変換回路33は、該設定に従って、入力されるパルス幅Wを電圧値Ewに変換する。パルス幅Wと電圧値Ewとの対応は、関数や係数として設定されてもよいし、テーブルで設定されてもよい。電圧値Ewは電圧比較回路36に対して出力される。
【0126】
パルス幅Wに対応する境界値である電圧値Ewは、予め実験的に決められる。たとえば、1m3の大きさの容器内に、大腸菌やバチルス菌やカビ菌などの微生物の一種を、ネブライザを利用して噴霧し、微生物センサ1001を用いて、受光素子9からの電流信号よりパルス幅および散乱強度(ピーク電圧値)を測定する。同様に、サイズが揃ったポリスチレン粒子などを埃の代替とし、微生物センサ1001を用いて、パルス幅および散乱強度(ピーク電圧値)を測定する。そして、微生物およびポリスチレン粒子のそれぞれから得られた、パルス幅に対する散乱強度(ピーク電圧値)をプロットして得られるそれぞれの領域から、これら領域の境界値が決定される。パルス幅−電圧変換回路33には一例としてこのようにして決定された境界値として用いる電圧値Ewが設定される。境界値として用いられるパルス幅Wと電圧値Ewとの対応関係は、他の装置から入力されることで設定されてもよい。また、いったん電圧比較回路36に設定されたパルス幅Wと電圧値Ewとの対応関係が更新されてもよい。
【0127】
電圧比較回路36は、電流−電圧変換回路34から増幅回路35を介して入力された散乱強度を表わす電圧値Ehと、パルス幅−電圧変換回路33から入力されたパルス幅Wに対応した境界値としての電圧値Ewとを比較する。電圧比較回路36は、この比較に基づいて、受光素子9が受光した散乱光を生じた浮遊粒子が微生物であるか否かを判定する。
【0128】
電圧比較回路36での判定は、発光素子6からの照射光を浮遊粒子が横切るたびにその粒子からの散乱光に基づいて行なわれ、判定結果を示す信号が、測定検出部40に対して出力される。測定検出部40の算出部45は電圧比較回路36からの判定結果の入力を受け付けて、順次、記憶部42に記憶させる。
【0129】
算出部45は、記憶部42に記憶された所定の検出時間分の判定結果について、検出対象の浮遊粒子が微生物であるとの判定結果を示す信号の入力回数、および/またはそれ以外の判定結果を示す信号の入力回数を集計する。
【0130】
算出部45は、空気導入機構50から、導入される空気の流速を読出し、上記検出時間に乗じることで、上記検出時間にケース5に導入された空気量Vsを得る。算出部45は、検出結果として、上述の集計結果である微生物の個数Nsまたは埃粒子の個数Ndを空気量Vsで除して、微生物の濃度Ns/Vsまたは埃粒子の濃度Nd/Vsを得る。
【0131】
検出結果である、当該検出時間内にカウントされた微生物の個数Ns、埃粒子の個数Ndや、算出された微生物の濃度Ns/Vs、埃粒子の濃度Nd/Vsは、記憶部42に記憶される。そして、所定のタイミングで処理装置300に対して送信される。
【0132】
<ガスセンサの構成>
ガスセンサ1005としては、一般的なガスセンサを採用することができる。たとえば、エフアイエス社製SB−AQ1などの半導体ガスセンサを用いることができる。具体的には、金属酸化物二次粒子としてたとえば酸化第ニスズ(SnO2)などに増感剤を添加して高温で焼結させた感ガス材料に、ヒータコイルと電極リード線とを埋設して感ガス素子として用いる。この感ガス素子は3本の電極端子付のベースにマウントされ、ヒータに一定の電圧を印加して感ガス素子の温度を制御した状態で、センサ抵抗と直列に接続されている、固定あるいは可変負荷抵抗両端の出力電圧変化を検出することでガスが検出される。
【0133】
エフアイエス社製SB−AQ1でのガス検出原理を説明する。
酸化第ニスズなどの金属酸化物結晶は、清浄空気中ではその表面に空気中の酸素が吸着し、安定状態を保つ。空気中に還元性ガスが存在すると、結晶表面の酸素とガスと反応することで吸着酸素が減少し、その結果、結晶内の電子が増加する。これにより、当該金属酸化物の抵抗値が下がる。
【0134】
ガスセンサ1005は上述の原理を利用して空気中のガス濃度を検出することができる。つまり、エフアイエス社製SB−AQ1を利用する場合にはセンサ抵抗値はガス濃度の増加に伴って減少することになり、センサ抵抗と直列に接続されている負荷抵抗両端の出力電圧変化に基づいてセンサ抵抗値を算出することによって、ガス濃度を得ることができる。この検出値もまた、所定のタイミングで処理装置300に対して送信される。
【0135】
<イオン発生部の説明>
調整装置400に含まれる、イオン部である調整部460について説明する。以降の説明では、イオン発生装置として独立して用いるタイプの構成を例に挙げて説明するが、調整装置400の全体の中に組み込まれるパーツとしての構成であってもよい。
【0136】
図14は、イオン発生部である調整部460の外観の具体例を示す図である。図14を参照して、イオン発生部である調整部460は、削孔された直方体のケースを有し、該ケースから図示しない12V程度の直流電源に接続するためのラインが伸びる。孔は複数対削孔されており、一対の孔のそれぞれのほぼ中央には、正極の針状電極301Aと、負極の針状電極301Bとが位置する。
【0137】
図15は、イオン発生部である調整部460の、一対の孔に対応した回路構成の具体例を示す図である。イオン発生部である調整部460内には、図16に表わされた回路構成が複数含まれる。
【0138】
図15を参照して、ケース内の回路構成の具体例としては、大きくは、正極側の回路と負極側の回路とからなり、それぞれ、スイッチ302A,302Bによって、直流電源に接続/非接続となる。各回路は、トランジスタと圧電素子とを有する直流を交流に変換するための変換回路と、高圧発生回路303A,303Bとを含む。
【0139】
図16は、図15中の正極側の回路構成の具体例を示す図である。図16を参照して、スイッチ302Aが閉じると、1.5V〜12V程度である直流電源からの電流は変換回路によって直流に変換され、ダイオードによって正極側に整流された後に保護回路を経て高圧発生回路303Aに入力される。高圧発生回路303Aは圧電素子を含み、正極側に整流された入力電圧を昇圧させて高電圧を発生させる。高電圧は正極の針状電極301Aに供給され、電極301Aの先端でコロナ放電が生じる。これにより、正イオンが発生し、電極301Aが設けられたイオン発生部である調整部460のケースの孔からケース外に放出される。
【0140】
負極側の回路についても、図16の回路のダイオードの向きを逆とするのみで、後は同様である。すなわち、スイッチ302Bが閉じると、負極の針状電極301Bの先端でもコロナ放電が生じ、これにより負イオンが発生してケース外に放出される。
【0141】
ここで、正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(mは任意の自然数)として表わされる。また負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2-(H2O)n(nは任意の自然数)として表わされる。
【0142】
スイッチ302A,302Bは調整装置400の制御部410に接続され、その制御によってON/OFFされる。両スイッチともONの場合には当該回路から正イオンおよび負イオンの両極性のイオンが放出され、いずれか一方のスイッチのみONの場合には当該回路から正イオンまたは負イオンの単極性のイオンが放出される。両スイッチともOFFの場合には当該回路からいずれのイオンも放出されない。
【0143】
従来のイオン発生装置として機能する場合、制御部410がいずれか一方のスイッチのみONさせることで、当該回路から単極イオン、たとえば負イオンを発生させる。
【0144】
当該回路から正イオンおよび負イオンの両極性のイオンが放出される場合には、空気中の正イオンであるH+(H2O)m(mは任意の自然数)と、負イオンであるO2-(H2O)n(nは任意の自然数)とが略同等量発生することにより、両イオンが空気中の浮遊カビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸化ラジカル(・OH)の作用により、浮遊カビ菌などを除去することが可能となる。
【0145】
イオン発生部である調整部460は、フィルタよりも下流側の流路内に設置される。これにより、発生したイオンは、フィルタによって清浄された空気に乗って排気口から機外に放出される。
【0146】
制御部410は後述する処理装置300からの制御信号に従ってスイッチ302A,302BのON/OFFを制御する。たとえば、処理装置300からの制御信号がイオン発生に高濃度のイオンを発生させるものである場合にはイオン発生部である調整部460に含まれるすべての回路のスイッチをONとし、そのよりも低い濃度のイオンを発生させるものである場合、予め記憶されている所定数の回路のスイッチをONとしその他の回路のスイッチをOFFとする。このようにすることで、発生させるイオン濃度が制御される。
【0147】
なお、発生させるイオン濃度を制御する方法の他の例としては、スイッチ302A,302BのON/OFFの間隔を制御する方法も挙げられる。この方法では簡易にイオン濃度を制御することができる。
【0148】
[第1の実施の形態]
<動作概要>
第1の実施の形態にかかるシステム1では、環境検出装置100がそれぞれ様々な位置に設置され、予め規定されたエリアごとに当該エリアの空気の状態が表示される。
【0149】
各環境検出装置100が設置される位置は属性検出装置200によって検出され、環境検出装置100の位置を表わした情報が環境属性として属性検出装置200から処理装置300に対して送られる。処理装置300では、属性検出装置200からの環境属性に基づいて各環境検出装置100が設置されているエリアを特定する。そして、エリアごとの空気の状態を当該エリアに設置されている環境検出装置100からの検出結果に基づいて表示する。この表示のための処理を、以降、第1の表示処理と称する。
【0150】
また、属性検出装置200によってユーザのいる位置が検出され、ユーザのいる位置を表わした情報が環境属性として属性検出装置200から処理装置300に対して送られる。処理装置300では、環境検出装置100での検出結果を表示する際に、ユーザのいる位置を含んだエリアの空気の状態を、対応する表示端末500で表示する。この表示のための処理を、以降、第2の表示処理と称する。
【0151】
なお、処理装置300は予め調整装置400の設けられた位置を記憶しておき、環境検出装置100での検出結果に応じて、必要な位置に配された調整装置400を、適した制御量で制御する。調整装置400の位置は、環境検出装置100の位置を検出する方法と同じ方法で属性検出装置200によって検出されて処理装置300に送られてもよい。これは、上述の第1の表示処理または第2の表示処理と並行して行なわれてもよい。
【0152】
<機能構成>
図17は、第1の実施の形態にかかる表示制御を行なうための処理装置300の機能構成の具体例を示すブロック図である。図17に示される各機能は、処理装置300の制御部310に含まれるCPUがメモリ320に記憶されるプログラムを読み込んで実行することで、主にCPUに形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
【0153】
図17を参照して、第1の実施の形態にかかる表示制御を行なうための処理装置300は、環境検出装置100からの環境情報として測定値と当該環境検出装置100の識別情報との入力を受け付けるための測定値入力部311と、属性検出装置200からの環境属性として検出対象範囲内の人の有無・その位置、風向・風量、および環境検出装置100の位置などの情報の入力を受け付けるための属性入力部312と、これら入力された情報に基づいて、環境検出装置100が設置されたエリアや、ユーザのいるエリアなどを特定するための特定部313と、表示内容を決定して表示部350などに表示させる処理を実行するための表示処理部315と、操作部370からの表示に関する指示の入力を受け付けるための指示入力部314とを含む。
【0154】
当該システム1においては、検出対象の空間に対して予め表示の単位であるエリアが設定されており、当該空間内の様々な位置に環境検出装置100が配置されている。
【0155】
第1の表示処理を実行する場合、メモリ320の所定領域には、予め、エリアごとの位置情報が記憶されている。たとえば位置情報が緯度・経度で表わされ、表示の単位であるエリアが部屋である場合、部屋ごとの緯度・経度が予め記憶されている。
【0156】
特定部313はメモリ320の所定領域に記憶されているエリアごとの位置情報を参照して、環境情報を入力した環境検出装置100がどのエリアに配置されているか、つまり、入力された検出結果がどのエリアの検出結果であるかを特定する。そして、表示処理部315は、入力された検出結果に基づいて表示対象のエリアについて空気の状態を表示するための処理を実行する。
【0157】
また、特定部313はメモリ320の所定領域に記憶されているエリアごとの位置情報を参照して、予め記憶している属性検出装置200の設置されている位置、またはネットワーク600を介して相互に通信することで得られた属性検出装置200の設置されている位置に基づき、環境属性を入力した属性検出装置200がどのエリアに配置されているか、つまり、入力された環境属性がどのエリアの環境属性であるかを特定する。そして、表示処理部315は、さらに環境属性も用いて、表示対象のエリアについて空気の状態を表示するための処理を実行する。
【0158】
<第1の表示処理の動作フロー>
図18は、処理装置300での第1の表示処理の流れを表わしたフローチャートである。図18のフローチャートに表わされた動作は、処理装置300の制御部310に含まれるCPUが、メモリ320に記憶されるプログラムを読み出して実行し、図17に示される各部を機能させることで実現される。
【0159】
図18を参照して、環境検出装置100から識別情報などの属性情報と共に検出結果の入力を受け付けると(ステップS101でYES)、ステップS103でCPUは、当該環境検出装置100の検出エリアを特定する。ここでは、予め属性検出装置200から、環境検出装置100の識別情報と共に当該環境検出装置100の位置情報を取得しておき、記憶している。位置情報が属性検出装置200からの相対位置である場合には、CPUは、予め記憶している属性検出装置200の位置情報に基づいて環境検出装置100の位置を算出することで、その位置情報を取得する。ステップS103でCPUは、ステップS101で検出結果と共に入力された識別情報で表わされた環境検出装置100の位置情報を特定し、その位置情報とメモリ320の所定領域に記憶されているエリアごとの位置情報とを比較することで、当該環境検出装置100の設置されているエリアを特定する。
【0160】
ステップS105でCPUは、表示対象とするエリアについて、当該エリアの検出結果に基づいて表示態様を決定する。つまり、上記ステップS101で検出結果を入力した環境検出装置100の設置されているエリアが表示対象のエリアである場合、上記ステップS101で入力された検出結果に基づいて当該表示対象のエリアの表示態様を決定する。なお、当該表示対象のエリアに設置される環境検出装置100が複数ある場合、これら複数の環境検出装置100での検出結果に基づいて当該表示対象のエリアの表示態様を決定する。たとえば、複数の環境検出装置100での検出結果を合算して得られた値に基づいて当該表示対象のエリアの表示態様を決定してもよいし、これらの平均値などの統計値を用いて当該表示対象のエリアの表示態様を決定してもよい。ここでの決定方法については、後に具体例を挙げて説明する。
【0161】
CPUは、操作部370から、検出結果を表示させるエリアの指定を受け付けると(ステップS107でYES)、そのエリアの検出結果を表示部350に表示するための処理を実行する。これにより、指示されたエリアについての検出結果が表示部350に表示されることになる。
【0162】
図19は、第1の表示処理における表示画面の第1の具体例を示す図である。
具体例として、表示対象のエリアにある環境検出装置100の微生物センサ1001での検出結果に基づいて、当該エリア内の空気の状態を表示するための処理を行なうものとする。このとき、表示処理部315は、予め菌を「多い」「少ない」「なし」とランクわけするための基準値を記憶しておき、基準値と当該環境検出装置100からの検出値とを比較することで、菌の量をランクわけする。
【0163】
さらに、CPUは、予め菌の量のランクと表示態様との対応を記憶している。一例として、図19では、菌の量が「多い」ランクの場合には斜線でハッチング、「少ない」ランクの場合には点線横線でハッチング、「なし」ランクの場合にはハッチングなし、の表示態様が記憶されている例が示されている。表示態様はハッチングに限定されず、色や濃度や表示サイズやそれらの組み合わせなどが含まれる。また、表示は2次元表示に限定されず3次元表示でもよく、その場合、表示態様には3次元の奥行きも含まれる。
【0164】
図19の例では、メモリ320には、予め表示の単位であるエリアとしての、1F〜5Fまでの各フロアについてのエリアA〜F(またはエリアA〜E)について、それぞれの位置情報が記憶されている。そして、各環境検出装置100の位置情報と比較することで表示対象のエリアに設置されている環境検出装置100を特定して、当該環境検出装置100からの検出結果である菌の量を得る。このとき、上述のように、表示対象のエリアに環境検出装置100が複数設置されている場合には、これら複数の環境検出装置100での検出結果に基づいて当該エリアについての菌の量を得る。そして、その菌の量に基づいて当該エリアの空気の状態を表わす表示態様を決定する。
【0165】
図19の表示例では、そのようにして各フロアのエリアごとの空気の状態が、検出された菌の量に応じた表示態様で表示されている例が示されている。このように表示されることで、各エリア(各フロアの各エリア)の空気の状態を一目で把握することができる。
【0166】
さらに、複数のエリアを併せた広い範囲についての検出結果を表示するようにしてもよい。すなわち、図19に示されているように、各フロアについて、当該フロアのエリアごとの検出結果に基づいた当該フロアの菌の量を表示するようにしてもよい。
【0167】
さらに、第1の表示処理として、表示画面において位置を指定する指示を受け付けることで、さらにその位置について実際の配置に応じた表示を行なってもよい。図20は、第1の表示処理における表示画面の第2の具体例を示す図であって、図19において矢印で表わされているように、5Fを表わすボタンがクリックされたときに表示部350に表示される画面を表わしている。
【0168】
図20の例では、メモリ320には、予めフロアごとのエリアの配置、大きさがマップ情報として記憶されている。そして、当該マップ情報に基づいて5FのエリアA〜Fの表示範囲を決定した上で、それぞれのエリアの菌の量に応じた表示態様を決定する。
【0169】
図20の表示例では、そのようにして、指定されたフロアの各エリアの空気の状態が、実際の配置、大きさに従った表示範囲で、検出された菌の量に応じた表示態様で表示されている例が示されている。このように表示されることで、各エリアの位置関係、大きさと共に、指定されたフロアの各エリアの空気の状態を一目で把握することができる。
【0170】
1つのエリアに複数の環境検出装置100が配置されている場合、当該エリアのより詳細な空気の状態として、各環境検出装置100での検出結果に基づいてそれぞれの設置位置付近の空気の状態を表示するようにしてもよい。
【0171】
図21は、第1の表示処理における表示画面の第3の具体例を示す図であって、図19において矢印で表わされているように、または図20において矢印で表わされているように、5FのエリアAを表わすボタンがクリックされたときに表示部350に表示される画面を表わしている。5FのエリアAには、2つの環境検出装置100が設置されているものとする。
【0172】
図21の表示例では、5FのエリアAに設置されたそれぞれの環境検出装置100での検出結果に基づいた空気の状態が、それぞれの設置位置に応じた位置に当該検出結果に応じた表示態様で表示されている。この場合、処理装置300のCPUは、環境検出装置100の位置情報とエリアの位置情報とに基づいて、当該エリア内の環境検出装置100のそれぞれの位置を特定する。そして、当該エリアの表示範囲のうちの環境検出装置100の設置位置に応じた位置に、それぞれの検出結果に応じた表示態様で表示する。このように表示されることで、1つのエリア内の空気の状態の分布を一目で把握することができる。
【0173】
さらに、図21の表示例では、空気の状態と共に、調整装置400が表示されている。この場合、処理装置300のCPUは、予め記憶している調整装置400の位置情報に基づいて表示対象のエリア内の当該調整装置400の位置を特定する。そして、当該エリアの表示範囲のうちの調整装置400の設置位置に応じた位置に、調整装置400を表わすマークを表示する。当該マークは選択可能なマークであって、図21に示されるように、そのマークの選択(クリック)を受け付けることで、処理装置300のCPUは、当該調整装置400への制御指示を受け付けるモードとなる。
【0174】
さらに好ましくは、図21に示されるように、表示画面には調整装置400の調整部460の駆動量を指示するための選択肢が表示される。図21の例では、「強」「中」「弱」「止」の駆動量が表示されている。図21の画面において調整装置400を表わすマークの選択を受け付け、さらに、駆動量の選択を受け付けることで、処理装置300のCPUは、選択された駆動量となるように制御信号を調整装置400に対して送信する。
【0175】
このようにすることで、空気の状態の表示を見たユーザは、当該エリアに設置されている調整装置400の駆動を指示することができる。調整装置400がイオン発生装置であり、当該エリアの空気の状態が菌の量が「多い」状態であった場合には、ユーザは、そのエリアに設置されている調整装置400、または、菌の量が「多い」状態とされた位置付近に設置されている調整装置400を駆動量が「強」となるようにして、空気の清浄能力が高くなるように指示することができる。逆に、当該エリアの空気の状態が菌の量が「少ない」状態または「なし」状態であった場合には、ユーザは、そのエリアに設置されている調整装置400を駆動量が「弱」となるように、または駆動を中止するように指示することができる。このように、表示された空気の状態に応じた最適な駆動量とすることができる。
【0176】
なお、図21の例では、ユーザからの選択操作を受け付けることで処理装置300のCPUが調整装置400の駆動量を制御するものとしているが、処理装置300のメモリ220が予め空気の状態と調整装置400の駆動量との対応関係を記憶しておくことで、CPUが当該対応関係に基づいて、対象とするエリアの検出結果から得られた空気の状態に基づいて当該エリアに設置された調整装置400の駆動量を決定し、その駆動量となるような制御信号を調整装置400に対して送信するようにしてもよい。
【0177】
このようにすることで、各エリアの空気の状態が表示されつつ、さらに、よりよい空気の状態となるように調整装置400が自動的に制御される。そして、その制御の結果、空気の状態が変化した場合には、その変化後の空気の状態も表示されることになり、ユーザは制御の効果を確認することができる。
【0178】
なお、上の例では、菌の量に基づく空気の状態が表示されるものとしているが、他のパラメータに基づく空気の状態が表示されてもよいし、複数のパラメータの組み合わせに基づく空気の状態が表示されてもよい。
【0179】
<第2の表示処理の説明>
図22は、第2の表示処理における表示ウィンドウ70の具体例を示す図である。ここでは、第1の表示処理の説明と概ね同様の具体例を用いて、微生物センサ1001での検出結果と、埃センサ1002からの検出結果とに基づいて空気の状態を表示するものとする。
【0180】
図22を参照して、第2の表示処理で表示される表示ウィンドウ70には、菌の量に基づいた空気の状態を表わすマーク71と、表示対象のエリアに設置された環境検出装置100の位置からユーザの位置までの距離を表わすメータであるマーク72と、埃の量を表わすマーク73と、当該表示ウィンドウ70の表示終了を指示するためのマーク74とが表示される。
【0181】
詳しくは、マーク71は人の顔を模したマークであって、その表情(笑顔、泣き顔、無表情、等)で空気の状態が表現される。
【0182】
メータであるマーク72は、当該メータの長さで環境検出装置100の位置からユーザの位置までの距離を表わす。
【0183】
マーク73は個々の埃を擬似的に表わしたマークであって、その数で埃の量が表現される。
【0184】
第2の表示処理を実行するため、メモリ320の所定領域には、予め、それぞれのマークで表わすパラメータの量とマークの状態との対応関係が記憶されている。図23は、それぞれのマークで表わすパラメータの量とマークの状態との対応関係の具体例を示す図であって、図23(A)はマーク72を表示するための対応関係、図23(B)はマーク73を表示するための対応関係、および図23(C)はマーク71を表示するための対応関係の具体例である。
【0185】
詳しくは、図23(A)を参照して、メモリ320にはマーク72を表示するための対応関係として、環境検出装置100の位置からユーザの位置までの距離のランクに対応したメータ長さが記憶されている。図23(B)を参照して、メモリ320には、マーク73を表示するための対応関係として、埃の量のランクに対応した埃1つを擬似的に表わした画像の提示個数が記憶されている。図23(C)を参照して、メモリ320には、マーク71を表示するための対応関係として、菌の量のランクと環境検出装置100の位置からユーザの位置までの距離のランクとに対応した人の顔を模したマークの表情が記憶されている。
【0186】
第2の表示処理を実行するための処理装置300の特定部313は、環境検出装置100の微生物センサ1001での検出結果および埃センサ1002での検出結果の入力を受け付け、菌の量のランクわけ、および埃の量のランクわけを行なう。さらに、処理装置300は、属性検出装置200で検出された人の位置および環境検出装置100の位置を表わす環境属性の入力を受け付け、それらの間の距離を算出してランクわけする。ランクわけは、第1の表示処理におけるランクわけと同様である。そして、メモリ320に記憶されている、図23(A)〜図23(C)に表わされた対応関係を参照して、表示対象のエリアについてのマーク71,72,73を特定する。
【0187】
さらに、第2の表示処理を実行するための処理装置300の特定部313は、空気の状態を表示させる表示端末500を特定する。処理装置300ではネットワーク600を介して相互に通信することで各表示端末500の位置を特定し、予めメモリ320の所定領域に記憶されている。そこで、特定部313は、表示対象のエリアに設置されている、または位置している表示端末500を特定し、その表示端末500を空気の状態を表示させる表示端末500と特定する。
【0188】
なお、特定部313は、ユーザから表示端末500を用いた表示要求を受け付けることで、当該表示端末500を空気の状態を表示させる表示端末500と特定してもよい。
【0189】
<第2の表示処理の動作フロー>
図24は、処理装置300での第2の表示処理の流れを表わしたフローチャートである。図24のフローチャートに表わされた動作は、処理装置300の制御部310に含まれるCPUが、メモリ320に記憶されるプログラムを読み出して実行し、図17に示される各部を機能させることで実現される。
【0190】
図24を参照して、ステップS201でCPUは、属性検出装置200からの環境属性に基づいて各環境検出装置100の位置を特定し、ステップS203でユーザの位置を特定する。そして、ステップS205でCPUは、ユーザのいる位置に最も近い位置にある表示端末500を、表示ウィンドウを表示させる表示端末500と特定する。
【0191】
ステップS207でCPUは、ユーザのいる位置が含まれるエリアを表示対象のエリアとして特定し、ステップS209でそのエリアに設置されている環境検出装置100を特定する。そして、ステップS211でCPUは、特定された当該環境検出装置100からの検出結果に基づいて、そのエリアの菌の量および埃の量を特定する。
【0192】
ステップS213でCPUは、特定された埃量に基づいて、図23(B)に示された対応関係を参照して、マーク73の内容、つまり、埃1つを擬似的に表わした画像の提示個数を決定する。
【0193】
ステップS215でCPUは、特定された環境検出装置100の位置とユーザの位置とに基づいてこれらの間の距離を特定し、ステップS217でこの距離に基づいて、図23(A)に示された対応関係を参照して、マーク72の内容、つまり、メータであるマーク72の長さを決定する。
【0194】
さらに、ステップS219でCPUは、環境検出装置100からユーザまでの距離と特定された菌の量とに基づいて、図23(C)に示された対応関係を参照して、マーク71の内容、つまり、人の顔を模したマークの表情を提示内容として決定する。
【0195】
ステップS221でCPUは、決定されたマーク71,72,73の内容に基づいて表示ウィンドウ70を表示させるための表示データを生成する。そして、ステップS223で、表示データに基づいた表示ウィンドウ70を上記ステップS205で特定された表示端末500に表示させるための処理を実行する。
【0196】
図25は、特定された表示端末500に表示ウィンドウ70が表示される様子を表わした図である。
【0197】
上記ステップS205において、上記ステップS203で特定されたユーザの位置に最も近い表示端末としてテレビジョン受像機である表示端末500Aが特定された場合、図25(A)に表わされたように、テレビジョン受像機である表示端末500Aの表示画面の一部に表示ウィンドウ70が表示される。このとき、好ましくは、図25(A)に表わされたように、テレビジョン受像機である表示端末500Aで表示されている番組内容の視認を妨げない位置およびサイズで表示ウィンドウ70が表示される。また、表示ウィンドウ70の表示に先立って、表示する表示ウィンドウ70のための表示データを受信していることを表わすマークを表示し、予め規定された所定の操作を受け付けることで表示ウィンドウ70を表示するようにしてもよい。
【0198】
上記ステップS205において、上記ステップS203で特定されたユーザの位置に最も近い表示端末として当該ユーザの携帯している携帯電話機または電子書籍閲覧端末である表示端末500Bが特定された場合、図25(B)に表わされたように、携帯電話機または電子書籍閲覧端末である表示端末500Bの表示画面の一部に表示ウィンドウ70が表示される。このとき、好ましくは、図25(B)に表わされたように、携帯電話機または電子書籍閲覧端末である表示端末500Bで表示されているコンテンツの視認を妨げない位置およびサイズで表示ウィンドウ70が表示される。また、上述の例と同様に、表示ウィンドウ70の表示に先立って、表示する表示ウィンドウ70のための表示データを受信していることを表わすマークを表示し、予め規定された所定の操作を受け付けることで表示ウィンドウ70を表示するようにしてもよい。特に、携帯電話機や電子書籍閲覧端末は表示部が小さいため、表示データを受信していることを表わすマークを表示ウィンドウ70の表示に先立って表示させることで、他の表示をいったん終了させてから表示ウィンドウ70を表示させることができる。
【0199】
このように表示されることで、ユーザは、自身のいるエリアの空気の状態を最も近い表示端末でリアルタイムで確認することができる。
【0200】
なお、上の例では、菌の量と埃の量とのそれぞれに基づく空気の状態が表示されるものとしているが、いずれか一方のみであってもよいし、他のパラメータに基づく空気の状態が表示されてもよいし、複数のパラメータの組み合わせに基づく空気の状態が表示されてもよい。
【0201】
さらに、環境属性に含まれる風向・風量が併せて表示されてもよい。
図26は、第2の表示処理における表示ウィンドウ70の他の具体例を示す図である。
【0202】
一例として、図26(A)に示されるように、図22においてマーク71,72,73で表わされた空気の状態に加えて、風向・風量を表わすマーク75が表示されてもよい。詳しくは、マーク75は矢印の画像であって、その向きで風向を表わし、大きさで風量を表わす。
【0203】
この場合、メモリ320の所定領域には、風向・風量とマークの向きおよび大きさの対応関係を予め記憶しておき、処理装置300のCPUは、属性検出装置200からの風向・風量を表わす環境属性に基づいて、上記対応関係を参照して、マーク75の内容、つまり、矢印であるマーク75の向きおよび大きさを決定する。
【0204】
その際、ユーザ位置と環境検出装置100の位置とを考慮して風向・風量を表示する。一例として、ユーザ位置と環境検出装置100の位置とを結ぶ直線を基準軸とし、風向が当該基準軸に対して水平である場合は、検出された風向・風力をそのまま用いてマーク75の内容、つまり、矢印であるマーク75の向きおよび大きさを決定する。
【0205】
風向が当該基準軸に対して水平でない場合は、風力(ベクトル)を当該基準軸に対して水平成分と垂直成分とに分解して、水平成分の風力についてマーク75の内容、つまり、矢印であるマーク75の大きさを決定する。
【0206】
このように表示されることで、ユーザは、環境検出装置100から自身の位置までの間の風の状態も併せて確認することができ、自身に向かう方向での空気の状態を確認することができる。
【0207】
なお、表示の他の例として、図26(B)に示されるように、表示ウィンドウ70が3次元表示されてもよい。このように表示されることで、ユーザは、自身の位置との関係で感覚的に空気の状態を把握することができる。
【0208】
<第1の実施の形態の効果>
第1の実施の形態にかかるシステム1においてこのような表示がなされることで、表示対象のエリアに配置されている環境検出装置100の位置(検出ポイント)と当該環境検出装置100での検出情報が関連付けて表示されるため、ユーザは、表示対象のエリアの空気の状態を直感的に把握することができる。
【0209】
また、第1の実施の形態にかかるシステム1では環境検出装置100の位置が環境属性として動的に取得される。そのため、環境検出装置100の設置位置が変更(移動)されても当該環境検出装置100の位置情報(検出ポイント)を適切に取得でき、精度よい表示を実現できる。
【0210】
また、第1の実施の形態にかかるシステム1ではユーザと環境検出装置100の位置(検出ポイント)との位置関係を特定できるので、当該ユーザ周辺の空気の状態を、当該ユーザにとって視認しやすい表示端末にて提示することができる。
【0211】
[第2の実施の形態]
<動作概要>
第2の実施の形態にかかるシステム1では、環境検出装置100がそれぞれ様々な位置に設置され、予め規定されたエリアごとに当該エリアにおける人の有無、分布も利用して当該エリアの空気の状態が表示される。以降の説明では、第1の実施の形態と異なる点を特に説明する。
【0212】
第2の実施の形態にかかる属性検出装置200は、赤外線センサ、超音波センサ、可視光センサ、圧力センサなどである人感センサを用いて、検出対象の空間内の人の有無に加えて、当該空間内にいる人数も検出する。そして、それらを表わす環境属性を処理装置300に送る。たとえば、人感センサとして圧力センサを用いる場合、検出対象の空間の床部に圧力センサを設置し、人検出部211は人の重みに相当する圧力が検出された位置を人の位置としてその位置を特定すると共に、人の重みに相当する圧力が検出された箇所数を人数として検出することができる。
【0213】
なお、第2の実施の形態にかかるシステム1でも、第1の実施の形態にかかるシステム1と同様に、エリアごとの空気の状態を当該エリアに設置されている環境検出装置100からの検出結果に基づいて表示するための第1の表示処理と、ユーザのいる位置を含んだエリアの空気の状態を対応する表示端末500で表示するための第2の表示処理とが行なわれる。
【0214】
<機能構成>
図27は、第2の実施の形態にかかる表示制御を行なうための処理装置300の機能構成の具体例を示すブロック図である。図27に示される各機能もまた、処理装置300の制御部310に含まれるCPUがメモリ320に記憶されるプログラムを読み込んで実行することで、主にCPUに形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
【0215】
図27を参照して、第2の実施の形態にかかる表示制御を行なうための処理装置300は、図17に示された第1の実施の形態での機能構成に加えて、さらに、人の有無を表わした環境属性に基づいて表示のタイミングを判定するための判定部316を含む。
【0216】
<第1の表示処理の動作フロー>
処理装置300での第1の表示処理の流れは、図18のフローチャートで表わされた第1の実施の形態での第1の表示処理の流れと概ね同じである。第2の実施の形態にかかる処理装置300では、上記ステップS105でCPUが、環境属性で表わされる各エリアにいる人数も表示するよう表示態様を決定する。
【0217】
図28は、第1の表示処理における表示画面の第1の具体例を示す図である。
図28の表示例では、第2の実施の形態での第1の表示処理では、図19に表わされた各フロアのエリアごとの空気の状態に併せて、各フロアのエリアごとに、当該エリアの人の有無が表示されている例が示されている。
【0218】
具体例として、人がいることを表わすマーク76を用いて、人がいると検出されたエリアを表わす表示範囲に当該マーク76を併せて表示することで、そのエリアに人がいることを表わしている。もちろん、他の方法で表示してもよい。このように表示されることで、各エリア(各フロアの各エリア)の空気の状態と共に、各エリアの人の有無を一目で把握することができる。
【0219】
図29は、第1の表示処理における表示画面の第2の具体例を示す図である。
図29の表示例では、上述のようにして指定されたフロアの各エリアの空気の状態が、実際の配置、大きさに従った表示範囲で、検出された菌の量に応じた表示態様で表示されると共に、各エリアの人の有無および人の人数が表示されている例が示されている。
【0220】
人がいることは図27と同様にマーク76を用いて表示し、さらに、人がいると検出されたエリアを表わす表示範囲に当該エリアの人数を併せて表示している。このように表示されることで、各エリアの位置関係、大きさと共に、指定されたフロアの各エリアの空気の状態と共に、各エリアの人の有無および人数を一目で把握することができる。
【0221】
図30は、第1の表示処理における表示画面の第3の具体例を示す図である。
図30の表示例では、5FのエリアAに設置されたそれぞれの環境検出装置100での検出結果に基づいた空気の状態が、それぞれの設置位置に応じた位置に当該検出結果に応じた表示態様で表示されると共に、5FのエリアA内での人の分布が表示されている例が示されている。図30において、人がいる位置は黒丸で表わされている。このように表示されることで、1つのエリア内の空気の状態の分布と共に、当該エリア内の人の分布を一目で把握することができる。
【0222】
さらに、第1の実施の形態の第1の表示処理と同様に、図30の表示例でも、空気の状態および人の分布と共に、調整装置400が表示され、その制御についての指示を受け付けるようにしてもよい。このようにすることで、空気の状態および人の分布の表示を見たユーザは、これらを考慮して当該エリアに設置されている調整装置400の駆動を指示することができる。調整装置400がイオン発生装置であり、当該エリアの空気の状態が菌の量が「多い」状態であり、かつその付近に人がいる場合には、ユーザは、そのエリアに設置されている調整装置400、または、菌の量が「多い」状態とされた位置付近に設置されている調整装置400を駆動量が「強」となるようにして、空気の清浄能力が高くなるように指示することができる。その付近に人がいない場合には、駆動量を変化させないようにすることができる。このように、表示された空気の状態および人の分布に応じた最適な駆動量とすることができる。
【0223】
なお、図30の例でも、ユーザからの選択操作を受け付けることで処理装置300のCPUが調整装置400の駆動量を制御するものとしているが、処理装置300のメモリ220が予め空気の状態および人の分布と調整装置400の駆動量との対応関係を記憶しておくことで、CPUが当該対応関係に基づいて、対象とするエリアの検出結果から得られた空気の状態および人の分布に基づいて当該エリアに設置された調整装置400の駆動量を決定し、その駆動量となるような制御信号を調整装置400に対して送信するようにしてもよい。
【0224】
すなわち、あるエリアの空気の状態が所定以上であった場合でも、当該エリアに人がいない場合、またはいる人が所定人数よりも少ない場合には、イオン発生装置などである調整装置400の駆動量をあまり高い駆動量とせず、当該エリアに人がいる場合、またはいる人が所定人数よりも多い場合に高い駆動量とする、などと自動的に制御することができる。
【0225】
このようにすることで、各エリアの空気の状態および人の分布が表示されつつ、さらに、これらを考慮してよりよい空気の状態となるように調整装置400が自動的に制御される。そして、その制御の結果、空気の状態が変化した場合には、その変化後の空気の状態も表示されることになり、ユーザは制御の効果を確認することができる。
【0226】
なお、上の例では、菌の量に基づく空気の状態が表示されるものとしているが、他のパラメータに基づく空気の状態が表示されてもよいし、複数のパラメータの組み合わせに基づく空気の状態が表示されてもよい。
【0227】
<第2の表示処理の動作フロー>
図31は、処理装置300での第2の表示処理の流れを表わしたフローチャートである。図31のフローチャートに表わされた動作もまた、処理装置300の制御部310に含まれるCPUが、メモリ320に記憶されるプログラムを読み出して実行し、図27に示される各部を機能させることで実現される。
【0228】
図27を参照して、第2の実施の形態にかかる処理装置300での第1の表示処理の流れは、図18のフローチャートに表わされた第1の実施の形態での第1の表示処理の流れと概ね同じである。そのため、図18のフローチャートとの動作の差異について説明する。
【0229】
第2の表示処理のステップS105でCPUは、第1の表示処理と同様に、表示対象とするエリアについて、当該エリアの検出結果と、当該エリアの環境属性として表わされた人の有無および人の人数に基づいて表示態様を決定する。
【0230】
第2の表示処理において、CPUは、操作部370から、検出結果を表示させるエリアの指定を受け付けると(ステップS107でYES)、さらに、そのエリアについての検出結果を表示するタイミングであるか否かを判定する。ここでは、当該エリアの環境属性として、当該エリアに人がいることが検出されている場合、CPUは当該エリアの検出結果を表示するタイミングと判断する。一方、表示させるエリアとして指定されたエリアの環境属性として、当該エリアに人がいないことが検出されている場合、当該エリアの検出結果を表示するタイミングではないと判断する。
【0231】
表示するタイミングと判断した場合(ステップS1061でYES)、さらに、ステップS1602でCPUは、当該エリアの検出結果を表示させる表示装置を決定し、ステップS107でそのエリアの検出結果を決定された表示装置に表示するための処理を実行する。
【0232】
上記ステップ1062でCPUは、当該処理装置300の表示部350および当該システム1に含まれる表示端末500のうちのその近傍にユーザのいる表示装置を表示する表示装置と決定する。表示端末の位置は、ネットワーク600を介して相互に通信を行なうことで、処理装置300において検出され、記憶されている。エリアごとの人の有無は、属性検出装置200からの各エリアの環境属性として表わされ、処理装置300に送信されている。そこで、処理装置300のCPUは、これらを比較することで、当該処理装置300の表示部350の近傍、および当該システム1に含まれる各表示端末500の近傍にユーザの有無を判断し、ユーザが近傍にいると判断される表示端末500および/または表示部350を、当該エリアの検出結果を表示する表示装置として決定する。
【0233】
なお、ステップS1062での決定方法として、上述の方法は一例であって、他の方法であってもよい。たとえば、各表示端末500自体が赤外線センサ等の人感センサを備えており、それによる検出結果を処理装置300に対して送信することで、処理装置300においてユーザが近傍にいる表示端末500を特定できるようにしてもよい。
【0234】
このように判断して表示することで、人がいると判断されたエリアの検出結果が表示され、人がいないと判断されたエリアの検出結果は表示されない。さらに、ユーザが表示端末の近傍にいるときに表示され、近傍にいないときには表示されない。このため、必要な情報が必要なタイミングで表示されることになり、効率的な表示が実現される。
【0235】
さらに、処理装置300のCPUは、表示端末と人との位置関係や、表示端末の状態を考慮して表示の方法について決定してもよい。
【0236】
一例として、処理装置300のCPUは表示させると決定された表示端末500の位置と検出された人の位置との距離を算出し、その距離が所定以上であった場合、検出結果の表示に加えて、音や光などで表示が行なわれていることを報知させるための制御信号を表示端末500に対して送信してもよい。このようにすることで、表示端末500からやや離れているユーザに表示の確認を促すことができて、より効率的な表示が実現される。
【0237】
また、処理装置300のCPUは、表示させると決定された表示端末500から、表示のタイミングにおいて操作を受け付けていない状態であることを示す信号を取得した場合、表示データに先立って、または表示データと共に、音や振動やランプの点灯などで表示対象である検出結果があることを報知させるための制御信号を表示端末500に対して送信してもよい。このようにすることで、表示端末500の操作の開始をユーザに促すことができて、より効率的な表示が実現される。なお、先立って報知用の制御信号を送信する場合には、表示端末500からの要求に応じて表示データを送信するようにしてもよい。
【0238】
さらに、処理装置300のCPUは、上述の音や振動やランプの点灯の態様を検出結果に応じて決定してもよい。具体的には、菌の量が「多い」ランクであったり、環境検出装置100とユーザとの間の距離が所定距離よりも短い距離であったりする場合には、そうでない場合よりも音を大きくしたり、振動を大きくしたり、ランプの点灯の間隔を短くしたり、光量を大きくしたり、などとすることができる。このようにすることで、報知を確認した段階で検出結果を概ね把握することができ、より効率的な表示が実現される。
【0239】
<表示の他の例>
なお、以上の説明では、環境検出装置100に備えられる微生物センサ、埃センサ、湿度センサ、温度センサ、ガスセンサのうちの微生物センサ1001での検出結果を表示するものとしている。つまり、1種類のセンサでの検出結果の表示について説明されている。
【0240】
複数のセンサが備えられる環境検出装置100での検出結果の表示の例として、以上の説明のように、いずれか3つのセンサでの検出結果である3つのパラメータのみ表示する表示方法のほか、複数のセンサでの検出結果である複数のパラメータを組み合わせて表示する表示方法が採用されてもよい。
【0241】
図32(A)は、3つのパラメータとして微生物センサ1001で検出された菌の量を表示する表示例を表わしており、一例として、複数の色(赤、黄、青)のそれぞれの色が単一色で点灯するランプで表示する例が示されている。
【0242】
この表示を行なうため、処理装置300のメモリ320の所定領域には、図32(B)に示されるような、菌の量とランプの色との対応関係が予め記憶されており、CPUは、環境検出装置100からの検出結果である菌の量をしきい値と比較して、当該対応関係を参照してランプの色を決定する。
【0243】
図33(A)は、2つのパラメータとして微生物センサ1001で検出された菌の量と、他のパラメータとを表示する例を表わしており、具体例として菌の量と湿度との組み合わせの表示例を表わしている。この表示によって、カビの発生確率が示され、メータが高い(長い)ほどカビの発生確率が高く、メータが低い(短い)ほどカビの発生確率が低いことを表わしている。
【0244】
この表示を行なうため、処理装置300のメモリ320の所定領域には、図33(B)に示されるような、菌の量および湿度の組み合わせとメータの高さ(長さ)との対応関係が予め記憶されており、CPUは、当該対応関係を参照して、環境検出装置100からの検出結果である菌の量および湿度の組み合わせに基づいてメータの高さ(長さ)を決定する。
【0245】
図34(A)は、2つのパラメータとして微生物センサ1001で検出された菌の量と、他のパラメータとを表示する例を表わしており、具体例として菌の量と埃の量との組み合わせの表示例を表わしている。この表示によって、検出対象の空間内の空気の質(清浄度)が示され、メータが高い(長い)ほど清浄度が高く、メータが低い(短い)ほど清浄度が低いことを表わしている。
【0246】
この表示を行なうため、処理装置300のメモリ320の所定領域には、図34(B)に示されるような、菌の量および埃の量の組み合わせとメータの高さ(長さ)との対応関係が予め記憶されており、CPUは、当該対応関係を参照して、環境検出装置100からの検出結果である菌の量および埃の量の組み合わせに基づいてメータの高さ(長さ)を決定する。
【0247】
なお、2つ以上のパラメータの組み合わせを表示する場合も同様である。つまり、これらパラメータの量の組み合わせと表示内容との対応が予め処理装置300のメモリ320の所定領域に記憶されており、CPUが当該対応関係を参照して、環境検出装置100からの検出結果に基づいて表示内容を決定することで実現される。
【0248】
さらに、表示は図32〜図34に表わされたような棒状のメータに限定されず他の形状であってもよい。他の例として、たとえば、図35に示されたようなインジケータを利用してもよいし、円グラフや折れ線グラフで表示するものであってもよい。また、先述の報知の例と同様に、表示に限定されず、音や光やバイブレーションなどの出力形態であってもよく、その場合、音の間隔や音量、発光間隔や発光量、バイブレーションの間隔や量などを利用して検出結果を出力してもよい。
【0249】
<第2の実施の形態の効果>
第2の実施の形態にかかるシステム1においてこのような表示がなされることで、表示対象のエリアの状態(人の有無・分布、風向き等)と環境センサの検出情報とが関連付けて表示されるため、ユーザは、表示対象のエリアの状態を直感的に把握することができる。
【0250】
また、検出結果を、当該エリアの検出結果や環境属性や検出結果を表示する表示装置に応じた適切なタイミング、すなわち、視認可能なユーザがいるタイミングで表示することができる。
【0251】
また、システム1ではユーザの位置が検出されるため、当該ユーザに対して、自身の周辺の空気の状態を視認可能な適切なタイミング、視認可能な適切な表示装置を用いて報知することができる。
【0252】
[第3の実施の形態]
<動作概要>
第3の実施の形態にかかるシステム1では、処理装置300は、環境検出装置100における検出結果および当該環境検出装置100の設置されている位置に応じた、システム1に含まれる装置の制御を行なう。処理装置300の制御対象となる装置としては、イオン発生装置である調整装置400や、環境検出装置100が該当する。
【0253】
<機能構成>
図36は、第3の実施の形態にかかる制御を行なうための処理装置300の機能構成の具体例を示すブロック図である。図36に示される各機能は、処理装置300の制御部310に含まれるCPUがメモリ320に記憶されるプログラムを読み込んで実行することで、主にCPUに形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
【0254】
図36を参照して、第2の実施の形態にかかる制御を行なうための処理装置300は、環境検出装置100からの環境情報として測定値と当該環境検出装置100の識別情報との入力を受け付けるための測定値入力部311と、属性検出装置200からの環境属性として検出対象範囲内の人の有無・その位置、風向・風量、および環境検出装置100の位置などの情報の入力を受け付けるための属性入力部312と、これら入力された情報に基づいて、調整装置400や環境検出装置100の制御内容を決定するための制御決定部317と、制御内容に応じた制御信号を予め記憶しておき、または生成し、対象の装置に対して通信部330から当該制御信号を出力する処理を実行するための出力部318とを含む。
【0255】
第3の実施の形態にかかる制御のために、メモリ320の所定領域には、予め検出結果と制御対象とする装置およびその制御内容との対応関係が記憶されている。検出結果として用いるパラメータは菌の量、などの単一のパラメータであってもよいし、菌の量および湿度、などの2つまたは3つ以上のパラメータの組み合わせであってもよい。
【0256】
また、検出結果は環境検出装置100からの検出結果である環境情報と、属性検出装置200からの検出結果である環境属性との組み合わせであってもよい。
【0257】
図37は、メモリ320の所定領域に記憶されている検出結果と制御対象とする装置およびその制御内容との対応関係の具体例を示す図である。図37の例では、イオン発生装置である調整装置400を制御対象としたときの、検出結果と調整装置400の制御内容との対応関係が規定されている。
【0258】
詳しくは、図37(A)を参照して、一例として、イオン発生装置である調整装置400の図示しないスイッチのON/OFFを制御するものとして、当該調整装置400の設置されているエリアに人がいて、かつ菌の量が「多い」ランクである場合には当該調整装置400のスイッチをON、つまり起動させ、それ以外の条件の場合にはOFFする、ことが規定されている。
【0259】
また、図37(B)を参照して、他の例として、イオン発生装置である調整装置400の駆動量(風量)を制御するものとして、当該調整装置400の設置されているエリアに人がいて、かつ菌の量が「多い」ランクである場合には風量を「強」、菌の量が「少ない」レベルである場合には風量を「弱」とする、ことが規定されている。
【0260】
なお、ここでのランクわけについては、第1の実施の形態で説明したランクわけと同様とする。
【0261】
<動作フロー>
図38は、第3の実施の形態にかかる処理装置300での制御動作の流れを表わしたフローチャートである。図38のフローチャートに表わされた動作は、処理装置300の制御部310に含まれるCPUが、メモリ320に記憶されるプログラムを読み出して実行し、図36に示される各部を機能させることで実現される。
【0262】
図38を参照して、処理装置300のCPUは、環境検出装置100からの検出結果である環境情報、および属性検出装置200からの検出結果である環境属性の入力を受け付け(ステップS301)、それらに基づいて、メモリ320の所定領域に記憶されている対応関係を参照して、制御対象とする装置および制御内容を特定し(ステップS303)、当該制御対象とする装置に決定された制御内容の制御を行なうための制御信号を出力する(ステップS305)。
【0263】
図37(A)の例で説明すると、あるエリアについて、環境情報として菌の量が「多い」ランクである検出結果が得られ、当該エリアに人がいることが表わされた環境属性が得られた場合、CPUは、当該エリアに設置されているイオン発生装置である調整装置400をONし、イオンの発生を開始させるための制御信号を当該イオン発生装置に対して出力する。また、図37(B)の例では、イオン発生装置である調整装置400からの風量を「強」とするための制御信号を当該イオン発生装置に対して出力する。
【0264】
ここで、調整装置400が当該システム1に複数含まれる場合や、設置される位置が可動である場合には、上記ステップS303で処理装置300のCPUは、調整装置400とネットワーク600を介した通信を行なうことによって得られた調整装置400の設置された位置を記憶しておき、当該記憶されている調整装置400の位置に基づいて、制御対象となる調整装置400を特定する。
【0265】
なお、以上の例では制御対象とする装置が調整装置400の場合が説明されているが、上述のように、制御対象とする装置は環境検出装置100であってもよい。この場合、環境検出装置100は図示しない移動機構を有する。移動機構としては、たとえば室内に設けられたレール上を移動する車輪や、リフトなどが該当する。この移動は、処理装置300からの制御信号に従って行なわれるものとする。
【0266】
環境検出装置100の制御の一例として、たとえば、環境属性として人がいることが検出されたエリアについて、環境検出装置100が設置されておらず環境情報が得られていない場合、当該エリアに最も近い位置に設置されている環境検出装置100を特定して、当該環境検出装置100を当該エリアに移動させる、などの制御が挙げられる。このようにすることで、環境情報を得たいエリアに環境検出装置100を自動的に移動させ、当該エリアの環境情報を得ることが可能となる。
【0267】
<第3の実施の形態の効果>
第3の実施の形態にかかるシステム1においてこのような制御が行なわれることで、環境検出装置100での検出結果である環境情報と、属性検出装置200での検出結果である環境属性とに基づいて、対応したエリアにある他の装置を当該エリアの空気の状態が最適となるように動作させることができるため、不必要なタイミングで動作させることなく、人がいることが検出されたエリアの環境を清浄な環境とするよう動作させることができる。
【0268】
[第4の実施の形態]
<動作概要>
第4の実施の形態にかかるシステム1では、検出結果の表示として、環境情報と環境属性とに基づくメッセージを表示する。
【0269】
メッセージの出力先として、以降の説明では処理装置300の表示部350であるものとするが、第1の実施の形態、第2の実施の形態などと同様に、ユーザのいる位置に最も近い表示端末500であってもよい。また、上の例と同様に、表示に先立って、表示用のデータがあることを光や音などで報知して、所定の操作を受け付けることで表示するようにしてもよい。
【0270】
<機能構成>
図39は、第4の実施の形態にかかる表示処理を行なうための処理装置300の機能構成の具体例を示すブロック図である。図39に示される各機能は、処理装置300の制御部310に含まれるCPUがメモリ320に記憶されるプログラムを読み込んで実行することで、主にCPUに形成されるものであるが、少なくとも一部が電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
【0271】
図39を参照して、第4の実施の形態にかかる表示処理を行なうための処理装置300は、環境検出装置100からの環境情報として測定値と当該環境検出装置100の識別情報との入力を受け付けるための測定値入力部311と、属性検出装置200からの環境属性として検出対象範囲内の人の有無・その位置、風向・風量、および環境検出装置100の位置などの情報の入力を受け付けるための属性入力部312と、これら入力された情報に基づいて、メッセージ内容を決定するための表示決定部319と、決定されたメッセージを表示部350などに表示させる処理を実行するための表示処理部315とを含む。
【0272】
第4の実施の形態にかかる表示処理を実行するために、メモリ320の所定領域には、予め検出結果である環境情報および環境属性の組み合わせとメッセージ内容との対応関係が記憶されている。検出結果として用いるパラメータは菌の量、などの単一のパラメータであってもよいし、菌の量および湿度、などの2つまたは3つ以上のパラメータの組み合わせであってもよい。また、環境属性のパラメータも人の有無、などの単一のパラメータであってもよいし、人の有無および風量、などの2つまたは3つ以上のパラメータの組み合わせであってもよい。
【0273】
図40は、メモリ320の所定領域に記憶されている環境情報および環境属性の組み合わせとメッセージ内容との対応関係の具体例を示す図である。図40の例では、環境情報として、菌の量のパラメータと、その他のパラメータ(埃、花粉、におい、温度、湿度等)との組み合わせと、環境属性として、人の分布(有無)と人から環境検出装置100までの距離との組み合わせと、に応じたメッセージが規定されている。
【0274】
詳しくは、図40を参照して、表示対象のエリアについて、環境検出装置100の微生物センサ1001からの検出結果が菌の量が「多い」ランクである場合であって、かつ、他のセンサからの検出結果で表わされる量(埃、花粉、ガスの量)が「多い」ランクである場合、当該エリアに人がおり、当該人の位置から環境検出装置100の位置までの距離が規定距離よりも短い(近い)場合には、「周辺空気が汚染、注意せよ。」「雑菌/カビに注意せよ。」とのメッセージ内容が規定されている。また、当該人の位置から環境検出装置100の位置までの距離が規定距離よりも長い(遠い)場合には、「室内に汚染領域があります。」とのメッセージ内容が規定されている。
【0275】
他のセンサからの検出結果で表わされる量(埃、花粉、ガスの量)が「少ない」ランクである場合、当該エリアに人がおり、当該人の位置から環境検出装置100の位置までの距離が規定距離よりも短い(近い)場合には、「雑菌/カビに注意せよ。」とのメッセージ内容が規定されている。また、当該人の位置から環境検出装置100の位置までの距離が規定距離よりも長い(遠い)場合には、「室内に雑菌/カビ発生の可能性有」とのメッセージ内容が規定されている。
【0276】
菌の量が「少ない」ランクである場合であって、かつ、他のセンサからの検出結果で表わされる量(埃、花粉、ガスの量)が「多い」ランクである場合、当該エリアに人がおり、当該人の位置から環境検出装置100の位置までの距離が規定距離よりも短い(近い)場合には、「周辺空気が汚染、注意せよ。」とのメッセージ内容が規定されている。また、当該人の位置から環境検出装置100の位置までの距離が規定距離よりも長い(遠い)場合には、「室内に汚れている可能性有」とのメッセージ内容が規定されている。
【0277】
他のセンサからの検出結果で表わされる量(埃、花粉、ガスの量)が「少ない」ランクである場合、当該エリアに人がおり、当該人の位置から環境検出装置100の位置までの距離が規定距離よりも短い(近い)場合には、「快適な環境状態です。」とのメッセージ内容が規定されている。また、当該人の位置から環境検出装置100の位置までの距離が規定距離よりも長い(遠い)場合には、「室内環境は快適な環境状態です。」とのメッセージ内容が規定されている。
【0278】
環境情報のパラメータとして、さらに、温度、湿度を用いてもよいし、他の情報として季節などを用いて、その組み合わせでメッセージが規定されていてもよい。
【0279】
なお、ここでのランクわけについては、第1の実施の形態で説明したランクわけと同様とする。
【0280】
メッセージ内容は、予めメモリ320の所定領域に記憶されているものとするが、所定の操作によって入力や変更が可能であってもよい。
【0281】
<動作フロー>
第4の実施の形態にかかる処理装置300での表示動作の流れは、図38のフローチャートに示された第3の実施の形態にかかる処理装置300での制御動作の流れと概ね同様である。
【0282】
すなわち、処理装置300のCPUは、環境検出装置100からの検出結果である環境情報、および属性検出装置200からの検出結果である環境属性の入力を受け付け、それらに基づいて、メモリ320の所定領域に記憶されている対応関係を参照して、メッセージ内容を特定し、表示部350に決定されたメッセージの表示を行なうための処理を実行する。
【0283】
メッセージの内容を特定する際、処理装置300のCPUは、属性検出装置200によって検出された人の位置と環境検出装置100との位置に基づいて、それらの間の距離を算出する。そして、その距離と、予め記憶しているしきい値とを比較することで、この距離が「近い」か「遠い」かを判別する。
【0284】
なお、好ましくは、処理装置300は、第2の実施の形態において説明された処理と同様の処理を行なって、環境検出装置100によって検出されたユーザの位置の近傍に設置されている(または当該ユーザが携帯している)表示端末500を特定し、その表示端末500にメッセージを表示するようにしてもよい。その場合、図40の例に示されたように、表示対象のエリアに人がいないと検出されている場合、メッセージの表示を行なわないようにしてもよい。
【0285】
<第4の実施の形態の効果>
第4の実施の形態にかかるシステム1においてこのような制御が行なわれることで、検出された空気の状態が分かりやすいメッセージで表示されるため、ユーザは容易に空気の状態を把握することができる。
【0286】
[変形例]
なお、以上の説明では、環境検出装置100の位置は属性検出装置200が検出して環境属性として処理装置300に送り、属性検出装置200および表示端末500の位置は処理装置300が検出するものとしている。
【0287】
しかしながら、属性検出装置200が環境検出装置100、属性検出装置200、および表示端末500の位置を検出し、処理装置300に送るようにしてもよい。または、環境検出装置100、属性検出装置200、および表示端末500の少なくともいずれかは自身の設置された位置を記憶しておき、自身の識別情報と共にその位置を特定するための識別情報を処理装置300に送信するようにしてもよい。これらの識別情報は、たとえば検出結果と共に送信されてもよいし、処理装置300からの要求に応じて送信されてもよい。位置を特定するための識別情報は、たとえば、具体的に設置された位置を表わす情報(緯度・経度、1階のリビング、等)や、ネットワーク600で通信するためのネットワークアドレス、などであってもよい。
【0288】
さらに、以上の説明において、第1の実施の形態〜第4の実施の形態のそれぞれの例を挙げて説明を行なっているが、1以上の実施の形態が組み合わされてもよい。
【0289】
処理装置300での処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0290】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0291】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0292】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0293】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0294】
1 システム、2 高圧電源、3 皮膜、4 支持基板、5 ケース、5A 捕集室、5B 検出室、5C’ 孔、5C 壁、6 発光素子、7 レンズ、8 集光レンズ、9 受光素子、10 導入孔、11 排出孔、12 捕集治具、12A 捕集ユニット、13 アパーチャ、15 照射領域、16A,16B シャッタ、17 放電電極、30 信号処理部、31 フィルタ回路、32 パルス幅測定回路、33 パルス幅−電圧変換回路、34 パルス幅−電圧変換回路、35 増幅回路、36 電圧比較回路、40 測定検出部、41 測定制御部、42 記憶部、43,318 出力部、45 算出部、46 外部接続部、47 クロック発生部、48 駆動部、50 空気導入機構、50A ファン、60 ブラシ、70 表示ウィンドウ、71,72,73,74,75,76 マーク、91 ヒータ、100,100A,100B,… 環境検出装置、110,210,310,410 制御部、111 送信処理部、112 応答部、120,220,320,420 メモリ、130,230 第1通信部、140,240 第2通信部、200 属性検出装置、211 人検出部、212 風向・風力検出部、213 装置検出部、300 処理装置、301A,301B 針状電極、302A,302B スイッチ、303A,303B 高圧発生回路、311 測定値入力部、312 属性入力部、313 特定部、314 指示入力部、315 表示処理部、316 判定部、317 制御決定部、319 表示決定部、330,430 通信部、350,550 表示部、370 操作部、400 調整装置、411 計算部、460 調整部、500,500A,500B,… 表示端末、600 ネットワーク、1001 微生物センサ、1002 埃センサ、1003 湿度センサ、1004 温度センサ、1005 ガスセンサ、2001 人感センサ、2002 風向・風力センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象空間内の空気の状態を検出するためのセンサを含んだ第1の検出装置と、検出対象空間内の人の有無を検知するためのセンサを含んだ第2の検出装置と接続された制御装置であって、
前記第1の検出装置および前記第2の検出装置から前記検出結果を含む情報を取得するための第1の取得手段と、
前記第1の検出装置および前記第2の検出装置の位置を特定する情報を取得するための第2の取得手段と、
前記第1の取得手段で得られた前記第1の検出装置での前記検出結果および前記第2の検出装置での前記検出結果を、前記第2の取得手段で得られたそれぞれの検出装置の位置に応じて提示するための制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の検出装置および前記第2の検出装置の位置するエリアを特定し、
前記エリアごとに前記第1の検出装置および前記第2の検出装置の検出結果を提示する、制御装置。
【請求項2】
前記第1の検出装置での検出結果と提示態様との対応関係を記憶するための第2の記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の検出装置での前記検出結果の提示態様を決定する処理をさらに実行する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記エリアごとの当該エリアの空気の状態の検出結果の提示用のデータを生成し、人がいることが検出されたエリアについての前記提示するためのデータを提示装置に対して送信して提示させる、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記提示装置の位置を特定する情報を取得するための第3の取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記提示装置の位置から所定範囲内に人がいると判断された場合に、前記提示装置に対して前記提示用のデータを送信して提示させる、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2の検出装置からの前記検出結果には前記検出対象空間内の人数も含まれ、
前記制御手段は、前記第2の検出装置からの前記検出結果として、前記エリアごとの人の有無と、当該エリアで検出された人数とを提示させる、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記提示装置の位置から前記所定範囲内に人がいると判断され、かつ、前記提示装置から前記人までの距離が所定距離以上と判断された場合に、前記提示装置に対して提示用のデータに併せて報知動作を行なわせるための制御信号を出力する、請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記提示装置の位置から前記所定範囲内に人がいると判断され、かつ、前記提示装置が直ちに操作入力を受け付けるモードでないと判断された場合に、前記提示装置に対して提示用のデータに併せて報知動作を行なわせるための制御信号を出力する、請求項4に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、1つの画面に異なる複数の前記エリアのそれぞれの空気の状態を表示することで前記検出結果を提示する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
検出対象空間内の空気の状態を検出するためのセンサを含んだ第1の検出装置と、検出対象空間内の人の有無を検知するためのセンサを含んだ第2の検出装置とでの検出結果を提示する方法であって、
前記第1の検出装置および前記第2の検出装置から前記検出結果を含む情報を取得するステップと、
前記第1の検出装置および前記第2の検出装置の位置を特定する情報を取得するステップと、
前記第1の検出装置での前記検出結果および前記第2の検出装置での前記検出結果をそれぞれの検出装置の位置に応じて提示するステップとを備え、
前記提示するステップは、
前記第1の検出装置および前記第2の検出装置の位置するエリアを特定するステップと、
前記エリアごとに前記第1の検出装置および前記第2の検出装置の検出結果を提示するステップとを含む、提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2012−251890(P2012−251890A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125083(P2011−125083)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】