説明

制御装置

【課題】 出力解像度を適切に決定するための技術を提供すること。
【解決手段】 多機能機は、光学素子を移動させずに原稿を光学素子に対して移動させるADF(Auto Document Feeder)スキャンと、原稿を移動させずに光学素子を原稿に対して移動させるFB(Flat Bed)スキャンと、のうちのどちらかを実行する。多機能機は、ADFスキャン及びFBスキャンのうちのどちらが実行されるのかに基づいて、スキャンデータに対する解析を実行すべきか否かを判断する。多機能機は、写真解析を実行すべきと判断される場合に、写真解析を実行し、文字解析を実行すべきと判断される場合に、文字解析を実行する。多機能機は、写真解析及び/又は文字解析の結果を用いて、出力解像度を決定する。多機能機は、出力解像度を示す画像データを含むファイルを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、スキャン実行部を制御するための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、スキャン機能を備えるデジタル複合機が開示されている。デジタル複合機は、原稿のスキャンを実行して、スキャンデータを生成する。次いで、デジタル複合機は、スキャンデータの解析を実行して、原稿に含まれる最小の文字のサイズを算出する。デジタル複合機は、最小の文字のサイズが比較的に小さい場合には、比較的に高い出力解像度を決定し、最小の文字のサイズが比較的に大きい場合には、比較的に低い出力解像度を決定する。そして、デジタル複合機は、スキャンデータを、決定済みの出力解像度を示す画像データに変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−296533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、特許文献1の手法とは異なる手法を利用して、出力解像度を適切に決定するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、複数個の光学素子を備えるスキャン実行部を制御するための制御装置を開示する。制御装置は、スキャン制御部と、判断部と、第1種の解析実行部と、出力解像度決定部と、生成部と、を備える。スキャン制御部は、原稿のスキャンをスキャン実行部に実行させる。スキャン制御部は、光学素子を移動させずに、原稿を光学素子に対して移動させる第1種のスキャンと、原稿を移動させずに、光学素子を原稿に対して移動させる第2種のスキャンと、のうちのどちらかをスキャン実行部に実行させる。判断部は、第1種及び第2種のスキャンのうちの一方が実行される場合に、原稿のスキャンによって得られるスキャンデータに対する第1種の解析を実行すべきと判断し、第1種及び第2種のスキャンのうちの他方が実行される場合に、第1種の解析を実行すべきでないと判断する。第1種の解析部は、第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、スキャンデータに対する第1種の解析を実行し、第1種の解析を実行すべきでないと判断される場合に、スキャンデータに対する第1種の解析を実行しない。出力解像度決定部は、第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、スキャンデータを用いて得られる画像データのための解像度である出力解像度を、第1種の解析の結果を用いて決定する。生成部は、出力解像度を示す画像データを含むファイルを生成する。
【0006】
上記の構成によると、制御装置は、第1種及び第2種のスキャンのうちのどちらが実行されるのかに基づいて、スキャンデータに対する第1種の解析を実行すべきか否かを適切に判断し得る。制御装置は、第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、スキャンデータに対する第1種の解析を実行して、第1種の解析の結果を用いて出力解像度を適切に決定し得る。一方において、制御装置は、第1種の解析を実行すべきでないと判断される場合に、スキャンデータに対する第1種の解析を実行しないために、処理負荷を低減させることができる。
【0007】
判断部は、第1種及び第2種のスキャンのうちのどちらが実行されるのかと、ユーザによって選択されるファイルのファイルフォーマットと、の組合せに基づいて、第1種の解析を実行すべきか否かを判断してもよい。この構成によると、制御装置は、上記の組合せに基づいて、第1種の解析を実行すべきか否かを適切に判断し得る。
【0008】
判断部は、さらに、第1種及び第2種のスキャンのうちの一方が実行される場合に、スキャンデータに対する第2種の解析であって、第1種の解析とは異なる第2種の解析を実行すべきと判断し、第1種及び第2種のスキャンのうちの他方が実行される場合に、第2種の解析を実行すべきでないと判断してもよい。制御装置は、さらに、第2種の解析を実行すべきと判断される場合に、スキャンデータに対する第2種の解析を実行し、第2種の解析を実行すべきでないと判断される場合に、スキャンデータに対する第2種の解析を実行しない第2種の解析実行部を備えていてもよい。出力解像度決定部は、第2種の解析を実行すべきと判断される場合に、出力解像度を、第2種の解析の結果を用いて決定してもよい。この構成によると、制御装置は、第1種及び第2種のスキャンのうちのどちらが実行されるのかに基づいて、スキャンデータに対する第2種の解析を実行すべきか否かを適切に判断し得る。制御装置は、第2種の解析を実行すべきと判断される場合に、スキャンデータに対する第2種の解析を実行して、第2種の解析の結果を用いて出力解像度を適切に決定し得る。一方において、制御装置は、第2種の解析を実行すべきでないと判断される場合に、スキャンデータに対する第2種の解析を実行しないために、処理負荷を低減させることができる。
【0009】
判断部は、第1種及び第2種のスキャンのうちのどちらが実行されるのかと、ユーザによって選択されるファイルのファイルフォーマットと、の組合せに基づいて、第1種の解析及び第2種の解析のそれぞれについて、当該解析を実行すべきか否かを判断してもよい。この構成によると、制御装置は、上記の組合せに基づいて、第1種の解析及び第2種の解析のそれぞれについて、当該解析を実行すべきか否かを適切に判断し得る。
【0010】
第1種の解析は、自然画を含む原稿を分類するための第1種の指標値を算出するための解析を含んでいてもよい。第2種の解析は、原稿に含まれる文字の形態を示す第2種の指標値を算出するための解析を含んでいてもよい。
【0011】
判断部は、第2種のスキャンが実行され、かつ、ページ概念を有さない第1のファイルフォーマットが上記のファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、第1種の解析を実行すべきと判断すると共に、第2種の解析を実行すべきでないと判断してもよい。第2種のスキャンが実行され、かつ、ページ概念を有さない第1のファイルフォーマットが選択される場合には、原稿が、文字を含まずに、自然画を含む可能性が高い。従って、制御装置は、このような場合に、自然画を含む原稿を分類するための第1種の指標値を算出するための解析を含む第1種の解析を実行すべきと判断し、原稿に含まれる文字の形態を示す第2種の指標値を算出するための解析を含む第2種の解析を実行すべきでないと判断する。この構成によると、制御装置は、第1種の解析及び第2種の解析のそれぞれについて、当該解析を実行すべきか否かを適切に判断し得る。
【0012】
判断部は、第1種のスキャンが実行され、かつ、ページ概念を有する第2のファイルフォーマットが上記のファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、第1種の解析を実行すべきでないと判断すると共に、第2種の解析を実行すべきと判断してもよい。第1種のスキャンが実行され、かつ、ページ概念を有する第2のファイルフォーマットが選択される場合には、原稿が、自然画を含まずに、文字を含む可能性が高い。従って、制御装置は、このような場合に、自然画を含む原稿を分類するための第1種の指標値を算出するための解析を含む第1種の解析を実行すべきでないと判断し、原稿に含まれる文字の形態を示す第2種の指標値を算出するための解析を含む第2種の解析を実行すべきと判断する。この構成によると、制御装置は、第1種の解析及び第2種の解析のそれぞれについて、当該解析を実行すべきか否かを適切に判断し得る。
【0013】
判断部は、さらに、特定のファイルフォーマットがファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、第1種の解析を実行すべきでないと判断すると共に、第2種の解析を実行すべきでないと判断してもよい。この構成によると、制御装置は、特定のファイルフォーマットが選択される場合に、第1種の解析及び第2種の解析を実行しないために、処理負荷を低減させることができる。
【0014】
上記の特定のファイルフォーマットは、PDF/Aであってもよい。出力解像度決定部は、PDF/Aが上記のファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、スキャンデータが示す解像度と同じ値を、出力解像度として決定してもよい。ユーザは、PDF/Aを選択する場合には、画像データが長期的に保存されることを望む可能性が高い。即ち、PDF/Aが選択される場合には、ユーザにとって重要な原稿がスキャンされる可能性が高い。従って、制御装置は、PDF/Aが選択される場合に、高画質の画像データを生成するように、スキャンデータが示す解像度と同じ値である高い出力解像度を決定する。この構成によると、制御装置は、PDF/Aが選択される場合に、出力解像度を適切に決定し得る。
【0015】
上記の特定のファイルフォーマットは、電子署名が添付されるPDFであってもよい。出力解像度決定部は、電子署名が添付されるPDFが上記のファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、スキャンデータが示す解像度以下であって、300dpi以上である値を、出力解像度として決定してもよい。例えば、所定の規則では、電子署名が添付されるPDFについて、300dpi以上の出力解像度が設定されることが推奨されている。従って、制御装置は、電子署名が添付されるPDFが選択される場合に、上記の所定の規則に応じた出力解像度を適切に決定し得る。
【0016】
第1種の解析は、自然画を含む原稿を分類するための第1種の指標値を算出するための解析を含んでいてもよい。判断部は、第1種のスキャンが実行される場合に、第1種の解析を実行すべきでないと判断し、第2種のスキャンが実行される場合に、第1種の解析を実行すべきと判断してもよい。出力解像度決定部は、第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、第1種の指標値を用いて、出力解像度を決定してもよい。この構成によると、制御装置は、第1種及び第2種のスキャンのうちのどちらが実行されるのかに基づいて、第1種の指標値を算出するための解析を含む第1種の解析を実行すべきか否かを適切に判断し得る。
【0017】
第1種の解析は、原稿に含まれる文字の形態を示す第2種の指標値を算出するための解析を含んでいてもよい。判断部は、第1種のスキャンが実行される場合に、第1種の解析を実行すべきと判断し、第2種のスキャンが実行される場合に、第1種の解析を実行すべきでないと判断してもよい。出力解像度決定部は、第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、第2種の指標値を用いて、出力解像度を決定してもよい。この構成によると、制御装置は、第1種及び第2種のスキャンのうちのどちらが実行されるのかに基づいて、第2種の指標値を算出するための解析を含む第1種の解析を実行すべきか否かを適切に判断し得る。
【0018】
なお、上記の制御装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】通信システムの構成の一例を示す。
【図2】スキャン処理のフローチャートを示す。
【図3】光学解像度決定テーブルの一例を示す。
【図4】解析処理のフローチャートを示す。
【図5】解析実行決定テーブルの一例を示す。
【図6】文字解析の内容を説明するための図を示す。
【図7】写真解析の内容を説明するための図を示す。
【図8】文字解析及び写真解析の両方が実行される場合に利用される出力解像度決定テーブルの一例を示す。
【図9】文字解析及び写真解析の一方のみが実行される場合に利用される出力解像度決定テーブルの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(システムの構成)
図1に示されるように、通信システム2は、多機能機10(PC80の周辺機器)と、PC80と、を備える。多機能機10とPC80とは、LAN4に接続されている。多機能機10とPC80とは、LAN4を介して、相互に通信可能である。
【0021】
(多機能機10の構成)
多機能機10は、印刷機能、スキャン機能等を含む複数の機能を実行可能である。多機能機10は、操作部12と、表示部14と、ネットワークインターフェイス16と、印刷実行部18と、スキャン実行部20と、制御部30と、を備える。上記の各部12〜30は、バス線(符号省略)に接続されている。
【0022】
操作部12は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示を多機能機10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。ネットワークインターフェイス16は、LAN4に接続されている。印刷実行部18は、インクジェットヘッド方式、レーザ方式等の印刷機構を備え、制御部30からの指示に従って印刷を実行する。スキャン実行部20は、CCD、CIS等のスキャン機構を備え、制御部30からの指示に従って、原稿のスキャンを実行する。
【0023】
スキャン実行部20は、FB(Flat Bed)機構22を備える。FB機構22は、透明板(図示省略)と、第1の方向に沿って並んでいる複数個の光学素子24と、を備える。各光学素子24は、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)であってもよいし、CIS(Contact Image Sensor)であってもよい。複数個の光学素子24は、上記の第1の方向(複数個の光学素子24が並ぶ方向)に直交する第2の方向に移動可能である。従って、FB機構22を利用すれば、透明板に載置された原稿を移動させずに、複数個の光学素子24を上記の第2の方向に移動させることによって、原稿のカラースキャンを実行することができる。以下では、透明板に載置された原稿のスキャンのことを「FBスキャン」と呼ぶ。
【0024】
スキャン実行部20は、さらに、ADF(Auto Document Feeder;自動原稿搬送装置)機構26を備える。ADF機構26は、上記の第2の方向に原稿を移動させることができる。従って、ADF機構26を利用すれば、複数個の光学素子24を移動させずに、原稿を上記の第2の方向に移動させることによって、原稿のカラースキャンを実行することができる。以下では、ADF機構26によって搬送される原稿のスキャンのことを「ADFスキャン」と呼ぶ。なお、ADF機構26は、原稿センサ28を備える。原稿センサ28は、ADF機構26に原稿が載置されているのか否かを検出して、検出結果を制御部30に供給する。
【0025】
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34に格納されているプログラム(図示省略)に従って、様々な処理を実行する。CPU32が当該プログラムに従って処理を実行することによって、光学解像度決定部50、スキャン制御部52、第1種の解析実行部54、第2種の解析実行部56、出力解像度決定部60、変換部62、生成部64、及び、判断部66の各機能が実現される。
【0026】
メモリ34は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等によって構成される。メモリ34は、スキャン設定記憶領域36を備える。メモリ34は、さらに、テーブル群40(図3、図5、図8、図9参照)を格納している。スキャン設定記憶領域36に記憶される情報、及び、テーブル群40の内容については、後で詳しく説明する。なお、テーブル群40は、多機能機10の出荷段階において、多機能機10に予め格納されている。ただし、これに代えて、多機能機10は、多機能機10のベンダによって提供されるメディア(例えばUSBメモリ)からテーブル群40を取得(即ちインストール)してもよいし、多機能機10のベンダによって提供されるサーバからテーブル群40を取得してもよい。
【0027】
(PC80の構成)
PC80は、ネットワークインターフェイス82と、制御部90と、を備える。PC80は、さらに、図示省略の操作部及び表示部も備える。ネットワークインターフェイス82は、LAN4に接続されている。
【0028】
制御部90は、CPU92と、メモリ94と、を備える。CPU92は、メモリ94に格納されているプログラム(例えばスキャナドライバ96)に従って、様々な処理を実行する。メモリ94は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等によって構成される。メモリ94は、多機能機10のスキャン機能を利用するためのスキャナドライバ96を格納している。PC80は、多機能機10と共に出荷されるメディアから、スキャナドライバ96を取得(即ちインストール)する。ただし、これに代えて、PC80は、多機能機10のベンダによって提供されるサーバからスキャナドライバ96を取得してもよい。なお、図1では、多機能機10に格納されているテーブル群40と同じものがスキャナドライバ96に含まれているが、当該構成は、後述の変形例で利用される。
【0029】
(スキャン処理;図2)
続いて、多機能機10が実行する処理について説明する。ユーザは、多機能機10の所定の位置に原稿を載置した後に、多機能機10の操作部12を操作して、カラースキャンの実行の指示を多機能機10に入力する。なお、ユーザは、ADFスキャンが実行されることを望む場合には、ADF機構に原稿を載置する。一方において、ユーザは、FBスキャンが実行されることを望む場合には、FB機構の透明板に原稿を載置する。
【0030】
カラースキャンの実行の指示が入力されると、制御部30は、ユーザがスキャン設定を選択するための選択画面を、表示部14に表示させる。本実施例では、図1に示されるように、「ファイルサイズ」と「出力解像度」と「ファイルフォーマット」とを含む複数個のスキャン設定項目が存在する。
【0031】
(ファイルサイズ)
「ファイルサイズ」は、生成対象のファイル(以下では「対象ファイル」と呼ぶ)のファイルサイズを意味する。本実施例では、ユーザが指定可能な設定値として、3個のファイルサイズ(「大」、「中」、「小」)を採用している。なお、本実施例では、3個のファイルサイズを採用しているが、変形例では、2個のファイルサイズ(例えば「大」、「小」)を採用してもよいし、4個以上のファイルサイズを採用してもよい。
【0032】
(出力解像度)
「出力解像度」は、対象ファイルに含まれる画像データが示す解像度を意味する。なお、詳しくは後述するが、「出力解像度」は、スキャン実行部20が実際にスキャンする際に利用される光学解像度と区別されるものである。本実施例では、ユーザが指定可能な設定値として、5個の出力解像度(「Auto」、「600dpi」、「300dpi」、「200dpi」、「100dpi」)を採用している。「Auto」は、後述するように、多機能機10が光学解像度及び出力解像度を自動的に決定するための設定値である。なお、本実施例では、具体的な数値を有する出力解像度として、4個の出力解像度(「600dpi」、「300dpi」、「200dpi」、「100dpi」)を採用しているが、変形例では、3個以下又は5個以上の出力解像度を採用してもよい。
【0033】
(ファイルフォーマット)
「ファイルフォーマット」は、対象ファイルのファイルフォーマットを意味する。より具体的に言うと、「ファイルフォーマット」は、対象ファイルのファイル名に含まれる拡張子(例えば、「.jpg」、「.pdf」、「.xps」)によって特定される。本実施例では、ユーザが指定可能な設定値として、3種類のファイルフォーマット(「JPEG(Joint Photographic Experts Group)」、「XPS(XML Paper Specification)」、「PDF(Portable Document Format)」)を採用している。ただし、PDFは、6種類のファイルフォーマット(「PDF」、「PDF/A」、「暗号化PDF」、「署名付PDF」、「検索可能PDF」、「高圧縮PDF」)に分類される。
【0034】
「PDF」は、他の5種類のPDF(「PDF/A」、「暗号化PDF」等)ではない通常のPDFである。「PDF/A」は、ISOによって制定されている国際標準であり、長期的にデータを保存するためのPDFである。「暗号化PDF」は、パスワードを用いてデータが暗号化されるPDFである。従って、ユーザは、暗号化PDFを選択する場合には、さらに、パスワードを入力する。「署名付PDF」は、電子署名(例えばタイムスタンプ)が添付されるPDFである。ユーザは、署名付PDFを選択する場合に、電子署名を多機能機10に予めインストールしておく必要がある。「検索可能PDF」は、原稿に含まれる文字(例えばOCR(Optical Character Reader)で読取られた文字)が、検索のためのテキストデータとして添付されるPDFである。「高圧縮PDF」は、原稿の文字領域と背景領域とを分離して、文字領域を2値画像、背景領域を多値画像として別々に圧縮されたPDFである。なお、高圧縮PDFのファイルサイズは、通常のPDFファイルのファイルサイズよりも小さい。
【0035】
なお、「JPEG」のファイルフォーマットを有するJPEGファイルは、JPEGの圧縮方式に従って圧縮された画像データ(以下では「JPEGデータ」と呼ぶ)を含む。また、「XPS」のファイルフォーマットを有するXPSファイル、及び、「PDF」のファイルフォーマットを有するPDFファイルも、JPEGデータを含む。
【0036】
後で詳しく説明するが、上記の3個のファイルサイズ(「大」、「中」、「小」)に応じて、JPEGデータの圧縮率が変わる。なお、本実施例では、圧縮率を以下のように定義する。即ち、圧縮率が高い程、JPEGデータ(即ち圧縮後の画像データ)のデータサイズが小さくなる(即ち圧縮の程度が大きくなる)。換言すると、圧縮率が低い程、JPEGデータ(即ち圧縮後の画像データ)のデータサイズが大きくなる(即ち圧縮の程度が小さくなる)。比較的に大きなファイルサイズがユーザによって指定される場合には、比較的に低い圧縮率で圧縮されたJPEGデータ(即ち比較的に大きなデータサイズを有するJPEGデータ)が生成され、比較的に小さなファイルサイズがユーザによって指定される場合には、比較的に高い圧縮率で圧縮されたJPEGデータ(即ち比較的に小さなデータサイズを有するJPEGデータ)が生成される。
【0037】
ユーザは、上記の選択画面が表示されている状態で、操作部12を操作して、複数個のスキャン設定項目のそれぞれについて、1個の設定値を指定する。この場合、図2のS10において、制御部30は、ユーザの選択(換言すると、ユーザの指示)に従って、3個のファイルサイズの中から1個のファイルサイズを選択し、5個の出力解像度の中から1個の出力解像度を選択し、8種類のファイルフォーマットの中から1種類のファイルフォーマットを選択する。S10では、制御部30は、さらに、選択済みのファイルサイズと、選択済みの出力解像度と、選択済みのファイルフォーマットと、をスキャン設定記憶領域36(図1参照)に記憶させる。
【0038】
次いで、S12において、光学解像度決定部50(図1参照)は、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みの出力解像度が「Auto」であるのか否かを判断する。光学解像度決定部50は、選択済みの出力解像度が「Auto」である場合に、S12でYESと判断して、S20に進む。一方において、光学解像度決定部50は、選択済みの出力解像度が「Auto」でない場合、即ち、選択済みの出力解像度が、具体的な数値を有する4個の出力解像度のいずれかである場合に、S12でNOと判断して、S30に進む。
【0039】
(光学解像度の決定;S20)
S20では、光学解像度決定部50は、メモリ34内のテーブル群40に含まれる光学解像度決定テーブル42(図3参照)を参照して、光学解像度を決定する。図3に示されるように、光学解像度決定テーブル42は、ファイルサイズとファイルフォーマットと光学解像度との関係を表わすデータである。
【0040】
テーブル42内のデータは、ファイルサイズが比較的に大きい場合(即ち「大」又は「中」)に、光学解像度が比較的に高くなり(即ち「JPEG」に対応する「600dpi」)、ファイルサイズが比較的に小さい場合(即ち「小」)に、光学解像度が比較的に低くなるように(即ち「JPEG」に対応する「300dpi」)、設定されている。従って、多機能機10は、ユーザによって選択されるファイルサイズに応じて、光学解像度を適切に決定することができる。
【0041】
また、テーブル42内のデータは、ファイルサイズが「大」又は「中」である場合に、「JPEG」に対応する光学解像度(即ち「600dpi」)が、「XPS」及び「PDF」に対応する光学解像度(即ち「300dpi」)よりも高くなるように、設定されている。「JPEG」は、ページ概念を有さないファイルフォーマット(即ち複数ページ分の画像データを含むことが不可能なファイルフォーマット)である。これに対し、「PDF」及び「XPS」は、ページ概念を有するファイルフォーマット(即ち複数ページ分の画像データを含むことが可能なファイルフォーマット)である。従って、テーブル42内のデータは、ページ概念を有するファイルフォーマット(「PDF」、「XPS」)に対応する光学解像度が、ページ概念を有さないファイルフォーマット(「JPEG」)に対応する光学解像度よりも低くなるように、設定されている。
【0042】
ページ概念を有するファイルフォーマットが選択される場合には、多数のページを有する原稿のスキャンが実行される可能性がある。本実施例では、ページ概念を有するファイルフォーマットが選択されると、比較的に低い光学解像度が決定されるために、多数のページを有する原稿のスキャンが実行される場合に、ファイルサイズが過度に大きくなるのを抑制することができる。
【0043】
S20では、光学解像度決定部50は、光学解像度決定テーブル42から、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みのファイルサイズ及び選択済みのファイルフォーマットに対応する光学解像度を特定することによって、光学解像度を決定する。これにより、光学解像度決定部50は、ユーザから与えられるファイルサイズ及びファイルフォーマットを用いて、複数個の光学解像度(「600dpi」、「300dpi」)の中から、実際のスキャンで利用されるべき光学解像度(以下では「決定済みの光学解像度」と呼ぶ)を適切に決定することができる。
【0044】
S22では、スキャン制御部52(図1参照)は、スキャン実行部20に原稿のカラースキャンを実行させる。例えば、ADF機構26に原稿が載置されている場合には、原稿センサ28は、原稿が載置されていることを示す検出信号を制御部30に供給する。この場合、S22では、スキャン制御部52は、ADF機構26を動作させるための信号をスキャン実行部20に供給して、ADF機構26に原稿を上記の第2方向に搬送させる。さらに、スキャン制御部52は、S20で決定された光学解像度(即ち、600dpi又は300dpi)に従ったカラースキャンを複数個の光学素子24に実行させるための信号をスキャン実行部20に供給する。この際に、スキャン制御部52は、複数個の光学素子24を上記の第2方向に移動させるための信号をスキャン実行部20に供給しない。これにより、静止状態の複数個の光学素子24が、ADF機構26によって搬送される原稿を、S20で決定された光学解像度に従ってカラースキャンする。即ち、ADFスキャンが実行される。
【0045】
また、例えば、FB機構22の透明板に原稿が載置されている場合には、原稿センサ28は、上記の検出信号を制御部30に供給しない。この場合、S22では、スキャン制御部52は、S20で決定された光学解像度に従ったカラースキャンを複数個の光学素子24に実行させるための信号と、複数個の光学素子24を上記の第2方向に移動させるための信号と、をスキャン実行部20に供給する。これにより、移動状態の複数個の光学素子24が、透明板に載置されている原稿を、S20で決定された光学解像度に従ってカラースキャンする。即ち、FBスキャンが実行される。S22が実行されることにより、スキャン制御部52は、スキャン実行部20から、S20で決定された光学解像度を示すスキャンデータ(即ちカラーの画像データ)を取得することができる。
【0046】
次いで、S24において、判断部66(図1参照)は、スキャンデータの解析を実行すべきか否かを決定し、出力解像度決定部60(図1参照)は、解析結果を用いて出力解像度(以下では「決定済みの出力解像度」と呼ぶ)を決定する。S24の解析処理の内容については、後で詳しく説明する。
【0047】
次いで、S26では、変換部62及び生成部64(図1参照)は、決定済みの出力解像度を示す画像データを含む対象ファイルを生成する。S26では、まず、変換部62は、S20で決定された決定済みの光学解像度と、S24で決定された決定済みの出力解像度と、が一致するのか否かを判断する。
【0048】
決定済みの光学解像度と決定済みの出力解像度とが一致しない場合には、変換部62は、決定済みの光学解像度(例えば「600dpi」)を示すスキャンデータを、決定済みの出力解像度(例えば「300dpi」)を示す画像データにリサイズ(即ち変換)する。リサイズのための手法として、本実施例ではバイリニア(Bilinear)法を採用しているが、変形例では他の手法を採用してもよい。
【0049】
一方において、決定済みの光学解像度と決定済みの出力解像度とが一致する場合には、変換部62は、スキャンデータのリサイズ(変換)を実行しない。即ち、この場合、決定済みの光学解像度を示すスキャンデータが、決定済みの出力解像度を示す画像データに等しくなる。
【0050】
次いで、生成部64は、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みのファイルサイズに応じて、決定済みの出力解像度を示す画像データを圧縮する。なお、生成部64は、JPEGの圧縮方式を利用して、画像データを圧縮する。生成部64は、選択済みのファイルサイズが「大」である場合には、第1の圧縮率で画像データを圧縮し、選択済みのファイルサイズが「中」である場合には、第1の圧縮率よりも高い第2の圧縮率で画像データを圧縮し、選択済みのファイルサイズが「小」である場合には、第2の圧縮率よりも高い第3の圧縮率で画像データを圧縮する。これにより、JPEGデータが生成される。
【0051】
生成部64は、さらに、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みのファイルフォーマットに対応するデータを生成する。例えば、選択済みのファイルフォーマットがJPEGである場合には、生成部64は、JPEGの拡張子(「.jpg」)を含むファイル名を生成したり、JPEGのヘッダ及びフッタ等を生成したりする。これにより、JPEGのファイルフォーマットを有する対象ファイルが完成する。
【0052】
また、例えば、選択済みのファイルフォーマットがXPSである場合には、生成部64は、XPSの拡張子(「.xps」)を含むファイル名を生成したり、JPEGのヘッダ及びフッタ、XPSのヘッダ及びフッタ、ページ番号を示すデータ等を生成したりする。これにより、XPSのファイルフォーマットを有する対象ファイルが完成する。
【0053】
また、例えば、選択済みのファイルフォーマットが、図1に示される6種類のPDFのうちのいずれかである場合には、生成部64は、PDFの拡張子(「.pdf」)を含むファイル名を生成したり、JPEGのヘッダ及びフッタ、PDFのヘッダ及びフッタ、ページ番号を示すデータ等を生成したりする。また、生成部64は、公知の手法を利用して、PDFの種類(PDF/A、暗号化PDF、署名付PDF等)に応じたデータを生成する。例えば、署名付PDFの場合には、生成部64は、電子署名を対象ファイルに添付する。これにより、PDFのファイルフォーマットを有する対象ファイルが完成する。
【0054】
なお、上述したように、JPEGは、ページ概念を有さないファイルフォーマットである。従って、例えば、2ページ分以上の原稿のスキャンが実行される場合には、1ページ分の原稿毎に、当該1ページ分の原稿を表わす1個のJPEGの対象ファイルが生成される。即ち、選択済みのファイルフォーマットがJPEGであり、かつ、Yページ分(Yは2以上の整数)の原稿のスキャンが実行される場合には、生成部64は、異なるファイル名を有するY個のJPEGの対象ファイルを生成する。
【0055】
一方において、PDF及びXPSは、ページ概念を有するファイルフォーマットである。従って、選択済みのファイルフォーマットがPDF又はXPSであり、かつ、Yページ分(Yは2以上の整数)の原稿のスキャンが実行される場合には、生成部64は、Yページ分の原稿を表わすYページ分のJPEGデータを含む1個の対象ファイル(即ち、PDFのファイル又はXPSのファイル)を生成する。S26を終えると、S40に進む。
【0056】
一方において、S30では、光学解像度決定部50は、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みの出力解像度に対応する光学解像度を決定する。S30では、出力解像度と光学解像度との関係が予め決められている。具体的に言うと、光学解像度決定部50は、選択済みの出力解像度が「600dpi」である場合には、光学解像度として「600dpi」を決定する。また、光学解像度決定部50は、選択済みの出力解像度が「300dpi」、「200dpi」、又は、「100dpi」である場合には、光学解像度として「300dpi」を決定する。
【0057】
次いで、S32において、上記のS22と同様に、スキャン制御部52は、S30で決定された光学解像度に従ったスキャンを、スキャン実行部20に実行させる。次いで、S34において、変換部62及び生成部64は、上記のS26と同様に、スキャンデータの変換及び対象ファイルの生成を実行する。S34を終えると、S40に進む。
【0058】
S40では、制御部30は、ユーザによって予め選択されている送信先(例えば、USBメモリ、PC80、所定のサーバ等)に向けて、S26又はS34で生成された対象ファイルを送信する。これにより、ユーザは、対象ファイルに含まれるJPEGデータによって表わされる画像(即ちスキャン対象の原稿を表わす画像)を出力(表示、印刷等)させることができる。S40を終えると、スキャン処理が終了する。
【0059】
(解析処理;図4)
続いて、図2のS24で実行される解析処理の内容について、詳しく説明する。図4に示されるように、S200において、判断部66(図1参照)は、ADFスキャン及びFBスキャンのうちのどちらが実行されるのかと、スキャン設定記憶領域36に記憶されている選択済みのファイルフォーマットと、の組合せに基づいて、文字解析及び写真解析のそれぞれについて、当該解析を実行すべきか否かを判断する。
【0060】
より具体的に言うと、S200では、判断部66は、メモリ34内のテーブル群40に含まれる解析実行決定テーブル46(図5参照)を参照して、文字解析及び写真解析のそれぞれを実行すべきか否かを判断する。図5に示されるように、解析実行決定テーブル46は、原稿セット位置(即ちADFスキャン又はFBスキャン)と、選択済みファイルフォーマットと、文字解析の実行の有無(ON又はOFF)と、写真解析の実行の有無(ON又はOFF)と、の関係を表わすデータである。なお、技術を理解し易いように、図5には備考の欄を設けているが、実際のデータは備考の欄を含まない。
【0061】
(ADF/FB)
通常、ユーザは、文字を含む文書については、ADFスキャンの実行を望む可能性が高く、自然画を表わす写真等については、FBスキャンの実行を望む可能性が高い。従って、ユーザがADFスキャンの実行を望む場合には、原稿が文字を含む可能性が高い。従って、ADFスキャンが実行される場合には、原稿に含まれる文字の形態を示す指標値を算出するための文字解析が実行されることが好ましい。一方において、ユーザがFBスキャンの実行を望む場合には、原稿が自然画を含む可能性が高い。従って、FBスキャンが実行される場合には、自然画を含む原稿を分類するための指標値であるエッジ割合ERを算出するための写真解析が実行されることが好ましい。
【0062】
(JPEG)
特に、ユーザが、ページ概念を有さないファイルフォーマットであるJPEGを選択して、FBスキャンの実行を望む場合には、原稿が文字を含まない可能性が高い(即ち、原稿が自然画のみを含む写真等である可能性が高い)。このような観点に鑑みて、テーブル46内のデータは、(注1)及び(注2)に示されるように、選択済みのファイルフォーマットがJPEGである場合に、ADFスキャンが実行されると、文字解析が実行されるが(文字解析=ON)、FBスキャンが実行されると、文字解析が実行されないように(文字解析=OFF)、設定されている。この構成によると、多機能機10は、ADFスキャンが実行される場合に、文字解析の結果を用いて出力解像度を適切に決定し得る。一方において、多機能機10は、FBスキャンが実行される場合に、文字解析を実行しないために、処理負荷を低減させることができる。
【0063】
なお、原稿が自然画を含む場合には、ユーザが、XPS又はPDFを選択せずに、ページ概念を有さないファイルフォーマットであるJPEGを選択する可能性が高い。従って、テーブル46内のデータは、選択済みのファイルフォーマットがJPEGである場合に、ADFスキャン及びFBスキャンのうちのどちらが実行されても、写真解析が実行されるように、設定されている。
【0064】
(XPS、PDF)
また、ユーザが、ページ概念を有するファイルフォーマットであるXPS又はPDFを選択して、ADFスキャンの実行を望む場合には、原稿が自然画を含まない可能性が高い(即ち、原稿が文字のみを含む文書である可能性が高い)。このような観点に鑑みて、テーブル46内のデータは、(注3)及び(注4)に示されるように、選択済みのファイルフォーマットがXPS又はPDFである場合に、FBスキャンが実行されると、写真解析が実行されるが(写真解析=ON)、ADFスキャンが実行されると、写真解析が実行されないように(写真解析=OFF)、設定されている。この構成によると、多機能機10は、FBスキャンが実行される場合に、写真解析の結果を用いて出力解像度を適切に決定し得る。一方において、多機能機10は、ADFスキャンが実行される場合に、写真解析を実行しないために、処理負荷を低減させることができる。
【0065】
なお、原稿が文字を含む場合には、ユーザが、JPEGを選択せずに、ページ概念を有するファイルフォーマットであるXPS又はPDFを選択する可能性が高い。従って、テーブル46内のデータは、選択済みのファイルフォーマットがXPS又はPDFである場合に、ADFスキャン及びFBスキャンのうちのどちらが実行されても、文字解析が実行されるように、設定されている。
【0066】
(PDF/A)
ユーザは、PDF/Aを選択する場合には、画像データが長期的に保存されることを望む可能性が高い。即ち、PDF/Aが選択される場合には、ユーザにとって重要な原稿がスキャンされる可能性が高い。従って、選択済みのファイルフォーマットがPDF/Aである場合には、文字解析及び写真解析を実行するまでもなく、光学解像度と同じ値である高い出力解像度が決定されることが好ましい。上記の観点に鑑みて、テーブル46内のデータは、(注5)に示されるように、選択済みのファイルフォーマットがPDF/Aである場合に、文字解析及び写真解析のどちらも実行されないように、設定されている。この構成によると、多機能機10は、PDF/Aが選択される場合に、文字解析及び写真解析を実行しないために、処理負荷を低減させることができる。
【0067】
(署名付PDF)
例えば、日本国の特定の省庁が定める規則では、署名付PDFについて、300dpi以上の高い出力解像度が設定されることが推奨されている。従って、選択済みのファイルフォーマットが署名付PDFである場合には、文字解析及び写真解析を実行するまでもなく、300dpi以上の高い出力解像度に決定されることが好ましい。本実施例では、選択済みのファイルフォーマットが署名付PDFである場合に、光学解像度と同じ値である高い出力解像度に決定される。なお、変形例では、選択済みのファイルフォーマットが署名付PDFである場合に、光学解像度と同じ値よりも小さい値(ただし300dpi以上の値)が出力解像度として決定されてもよい。上記の観点に鑑みて、テーブル46内のデータは、(注6)に示されるように、選択済みのファイルフォーマットが署名付PDFである場合に、文字解析及び写真解析のどちらも実行されないように、設定されている。この構成によると、多機能機10は、署名付PDFが選択される場合に、文字解析及び写真解析を実行しないために、処理負荷を低減させることができる。
【0068】
(その他のファイルフォーマット)
なお、暗号化PDF又は検索可能PDFが選択される場合には、原稿が文字を含んでいる可能性が高く、原稿が自然画を含んでいる可能性が低い。従って、テーブル46内のデータは、選択済みのファイルフォーマットが暗号化PDF又は検索可能PDFである場合に、ADFスキャン及びFBスキャンのうちのどちらが実行されても、文字解析が実行されるが、写真解析が実行されないように、設定されている。
【0069】
また、ユーザは、原稿の種類に関わらず、対象ファイルのデータサイズを小さくすることを望む場合には、高圧縮PDFを選択し得る。従って、高圧縮PDFが選択される場合には、原稿が、文字を含んでいる可能性もあるし、自然画を含んでいる可能性もある。従って、テーブル46内のデータは、選択済みのファイルフォーマットが高圧縮PDFである場合に、ADFスキャン及びFBスキャンのうちのどちらが実行されても、文字解析及び写真解析の両方が実行されるように、設定されている。
【0070】
S200では、判断部66は、解析実行決定テーブル46から、スキャンの種類(ADFスキャン又はFBスキャン)、及び、選択済みのファイルフォーマットに対応する情報(文字解析=ON/OFF、写真解析=ON/OFF)を特定することによって、文字解析を実行すべきか否か、及び、写真解析を実行すべきか否かを判断する。S200では、判断部66は、文字解析を実行すべきか否かの判断の結果に応じて、メモリ34内の文字解析フラグ(図示省略)としてON又はOFFを設定する。同様に、判断部66は、写真解析を実行すべきか否かの判断の結果に応じて、メモリ34内の写真解析フラグ(図示省略)としてON又はOFFを設定する。
【0071】
次いで、S202において、判断部66は、文字解析フラグとしてONが設定されているのか否かを判断する。文字解析フラグとしてONが設定されている場合(S202でYESの場合)には、S204において、第2種の解析実行部56(図1参照)は、スキャンデータの文字解析を実行する。より具体的に言うと、S204では、第2種の解析実行部56は、スキャンデータの文字解析を実行して、原稿に含まれる文字の形態を示す指標値として、原稿に含まれる最小の文字のサイズ(以下では「最小文字ポイント」と呼ぶ)を算出する。なお、文字解析フラグとしてOFFが設定されている場合(S202でNOの場合)には、S204がスキップされるために、第2種の解析実行部56は、文字解析を実行しない。これにより、処理負荷を低減させることができる。
【0072】
(S204の文字解析;図6)
図4のS204の文字解析の内容を説明する。図6は、図2のS22の原稿のスキャンによって得られたスキャンデータによって表わされるスキャン画像100の一例を示す。本実施例では、原稿は、「A」〜「Y」までのアルファベットの文字と、青色の背景の中に花が存在する自然画と、を含む。なお、文字「A」〜「Y」は黒色であり、文字「A」〜「Y」の周囲(即ち原稿の背景)は白色である。また、「A」〜「C」は、比較的に大きい文字のサイズを有し、「D」〜「Y」は、比較的に小さい文字のサイズを有する。
【0073】
なお、スキャンデータを構成する複数個の画素のそれぞれは、RGBの画素値を有する。S204では、第2種の解析実行部56は、まず、スキャンデータを構成する複数個の画素のそれぞれについて、当該画素の輝度に関する値を算出する。本実施例では、輝度に関する値として、YCC色空間で利用されるY値を利用する。具体的に言うと、第2種の解析実行部56は、Y=0.299×R+0.587×G+0.114×Bという数式を利用して、各画素のY値を算出する。なお、変形例では、輝度に関する値として、例えば、HSV色空間で利用されるV値を利用してもよいし、他の色空間の輝度に関する値を利用してもよい。
【0074】
なお、以下では、上記の第1の方向(複数個の光学素子24が並ぶ方向)に沿った各画素の並びのことを「行」と呼び、上記の第2の方向(上記の第1の方向に直交する方向)に沿った各画素の並びのことを「列」と呼ぶ。第2種の解析実行部56は、1行目の画素群を構成する各画素のY値の合計であるYrsum1を算出する。同様に、第2種の解析実行部56は、2行目以降の画素群についても、Yrsum2等を算出する。これにより、スキャンデータを構成するM行分(Mは2以上の整数)の画素群に対応するM個のYrsum(Yrsum1〜YrsumM)が算出される。
【0075】
次いで、図6の下の図に示されるように、第2種の解析実行部56は、M個のYrsumのヒストグラムを生成する。例えば、1行目の画素群は、原稿の白色の背景のみを表わす画素群である。従って、1行目の画素群の輝度が大きくなるために、1行目の画素群のYrsum1は、比較的に大きい値を有する。一方において、2行目の画素群は、黒色の文字「A」〜「C」の一部を表わす画素群である。従って、白色の背景のみを表わす1行目の画素群の輝度と比べると、2行目の画素群の輝度が小さくなるために、2行目の画素群のYrsum2は、比較的に小さい値を有する。同様に、文字「D」〜「N」を表わす画素群のYrsumも、比較的に小さい値になると共に、文字「O」〜「Y」を表わす画素群のYrsumも、比較的に小さい値になる。また、青色の背景を含む自然画を表わす画素群のYrsumも、比較的に小さい値になる。
【0076】
図6のヒストグラムから明らかなように、背景のみを表わす画素群のYrsumと、文字「A」〜「Y」を表わす画素群のYrsumと、は大きく異なる。従って、比較的に小さなYrsumを有する連続する行数は、上記の第2の方向に沿った1個の文字のサイズに対応する。第2種の解析実行部56は、所定値以下のYrsumを有する連続する行数(以下では「連続行数」と呼ぶ)を特定する。具体的に言うと、第2種の解析実行部56は、文字「A」〜「C」を表わす矢印A1に対応する連続行数と、文字「D」〜「N」を表わす矢印A2に対応する連続行数と、文字「O」〜「Y」を表わす矢印A3に対応する連続行数と、を特定する。さらに、自然画を表わす画素群のYrsumも比較的に小さい値になってしまうために、第2種の解析実行部56は、自然画に文字が含まれていないにも関わらず、矢印A4に対応する連続行数を特定する。
【0077】
次いで、第2種の解析実行部56は、矢印A1〜A4に対応する4個の連続行数の中から、最も小さい連続行数を特定する。本実施例では、矢印A2に対応する連続行数(=矢印A3に対応する連続行数)が最も小さいために、第2種の解析実行部56は、矢印A2に対応する連続行数を特定する。第2種の解析実行部56は、1行を文字のサイズに変換するための単位情報(即ち1行が何ポイントに相当するのかを示す単位情報)を予め知っているために、矢印A2に対応する連続行数に上記の単位情報を乗算することによって、原稿に含まれる最小の文字(例えば「D」)のサイズ(即ち最小文字ポイント)を算出することができる。
【0078】
第2種の解析実行部56は、さらに、上記の行方向に沿った解析と同様に、列方向に沿った解析(即ち、各画素群のY値の合計であるYcsum1〜YcsumNの算出、所定値以下のYcsumを有する連続する列数(即ち連続列数)の特定等)も実行する。ただし、図5のスキャン画像100の例では、スキャンデータを構成するN列分(Nは2以上の整数)の画素群のうちの大部分が自然画を表わす。従って、連続列数が非常に大きな値になってしまう。このように、連続列数が非常に大きな値になる場合(即ち、連続列数が所定の閾値を超える場合)には、第2種の解析実行部56は、列方向に沿った解析において、原稿に文字が含まれないと判断する。ただし、上述したように、第2種の解析実行部56は、行方向に沿った解析において、最小文字ポイントを算出するために、S204の文字解析の結果として、当該最小文字ポイントを採用する。
【0079】
なお、変形例では、例えば、自然画のみを含む原稿を表わすスキャンデータの文字解析が実行される場合には、連続行数が非常に大きな値になると共に、連続列数が非常に大きな値になり得る。このような場合には、第2種の解析実行部56は、行方向に沿った解析でも、列方向に沿った解析でも、原稿に文字が含まれないと判断する。この場合、第2種の解析実行部56は、S204の文字解析の結果として、原稿に文字が含まれないと判断する。また、他の変形例では、行方向に沿った解析で最小文字ポイントが算出されると共に、列方向に沿った解析で最小文字ポイントが算出され得る。この場合、第2種の解析実行部56は、2つの最小文字ポイントのうちの小さい方を、S204の文字解析の結果として採用する。
【0080】
次いで、S206において、判断部66は、写真解析フラグとしてONが設定されているのか否かを判断する。写真解析フラグとしてONが設定されている場合(S206でYESの場合)には、S208において、第1種の解析実行部54は、スキャンデータの写真解析を実行する。より具体的に言うと、S208では、第1種の解析実行部54は、スキャンデータの写真解析を実行して、自然画を含む原稿を分類するための指標値として、原稿の精細さを示すエッジ割合ER(図7参照)を算出する。なお、写真解析フラグとしてOFFが設定されている場合(S206でNOの場合)には、S208がスキップされるために、第1種の解析実行部54は、写真解析を実行しない。これにより、処理負荷を低減させることができる。
【0081】
(S208の写真解析;図7)
図4のS208の写真解析の内容を説明する。第1種の解析実行部54は、スキャンデータを構成する複数個の画素のそれぞれについて、当該画素が、エッジ画素であるのか、非エッジ画素であるのか、を決定し、スキャンデータ内でのエッジ画素の割合であるエッジ割合ERを算出する。なお、エッジは、画像の中の明るさ(輝度)が大きく変化している部分を意味する。従って、エッジ画素は、周囲の画素と比べて、輝度値が大きく異なる画素である。エッジ画素及び非エッジ画素の判別手法は公知であるために、ここでは、写真解析の内容を簡単に説明する。
【0082】
図7に示されるように、S208では、第1種の解析実行部54は、まず、スキャンデータを構成する複数個の画素(RGB値によって表わされる画素)のそれぞれを、YCC色空間内の画素に変換することによって、YCCデータを生成する。なお、RGBからYCCへの変換には、公知の数式が利用される。
【0083】
次いで、第1種の解析実行部54は、YCCデータに対して、エッジ画素であるのか非エッジ画素であるのかを判別するための公知のフィルタ(例えば、Sobelフィルタ、ラプラシアンフィルタ)を適用する。これにより、第1種の解析実行部54は、複数個の画素のそれぞれについて、当該画素が、エッジ画素であるのか(エッジON)、非エッジ画素であるのか(エッジOFF)、を決定することができる。
【0084】
次いで、第1種の解析実行部54は、エッジONと決定された画素の数(即ちエッジ画素の数)を、YCCデータを構成する全ての画素の数(即ちスキャンデータを構成する全ての画素の数)で除算する。そして、第1種の解析実行部54は、除算によって得られた値に100を乗算して、エッジ割合ER(%)を算出する。
【0085】
例えば、通常の風景画(例えば山、海等)のように、比較的に明るさの変化が少ない自然画については、エッジ割合ERが低くなる。即ち、比較的に低精細な自然画については、エッジ割合ERが低くなる。一方において、例えば、ビル群を含む自然画や、複数の人間を含む自然画のように、比較的に明るさの変化が多い自然画については、エッジ割合ERが高くなる。即ち、比較的に高精細な自然画については、エッジ割合ERが高くなる。従って、エッジ割合ERは、原稿の精細さを示す指標値である。
【0086】
なお、本実施例では、後述の図8及び9に示されるように、原稿は、エッジ割合ERに応じて、3段階の精細さ(高精細、中精細、低精細)のいずれかに分類される。例えば、図6に示されるスキャン画像100を表わす原稿は、比較的に低精細な自然画を含む。ただし、スキャン画像100を表わす原稿は、複数個の文字も含む。文字と背景との境界は明るさの変化が大きいために、文字が含まれる場合には、エッジ画素が多くなる。従って、スキャン画像100を表わす原稿は、例えば、中精細に分類され得る。図4のS208の写真解析を終えると、S210に進む。
【0087】
(出力解像度の決定;S210)
出力解像度決定部60(図1参照)は、S204の文字解析が実行された場合には、文字解析の結果(即ち最小文字ポイント)を用いて、出力解像度を決定し、文字解析が実行されなかった場合には、文字解析の結果を用いずに、出力解像度を決定する。また、出力解像度決定部60は、S208の写真解析が実行された場合には、写真解析の結果(即ちエッジ割合ER)を用いて、出力解像度を決定し、写真解析が実行されなかった場合には、写真解析の結果を用いずに、出力解像度を決定する。
【0088】
出力解像度決定部60は、S204の文字解析及びS206の写真解析の両方が実行された場合には、図8のテーブル44aを参照して、文字解析の結果(即ち最小文字ポイント)及び写真解析の結果(即ちエッジ割合ER)の両方を用いて、出力解像度を決定する。図8に示されるように、出力解像度決定テーブル44aは、最小文字ポイントとエッジ割合ERと出力解像度との関係を表わすデータである。なお、決定済みの光学解像度(図2のS20で決定された光学解像度)が300dpiである場合には、図8の上のテーブルが利用され、決定済みの光学解像度が600dpiである場合には、図8の下のテーブルが利用される。なお、最小文字ポイント<5ptである場合には、写真解析の結果に関わらず、同じ値(300dpi)が出力解像度として設定されている。
【0089】
テーブル44a内のデータは、最小文字ポイントが比較的に小さい場合に、出力解像度が比較的に高くなり、最小文字ポイントが比較的に大きい場合に、出力解像度が比較的に低くなるように、設定されている。例えば、決定済みの光学解像度=300dpiに対応するテーブルでは、最小文字ポイント<5ptである場合に、決定済みの光学解像度と同じ値(例えば300dpi)が出力解像度として設定されている。また、例えば、10.5pt<最小文字ポイントである場合に、決定済みの光学解像度と同じ値よりも小さい値(例えば低精細の100dpi)が出力解像度として設定されている。
【0090】
最小文字ポイントが比較的に小さい場合には、出力解像度が低いと、ユーザが画質の悪さを認識し易い。従って、最小文字ポイントが比較的に小さい場合には、ユーザが低画質だと感じないように、比較的に高い出力解像度が設定されている。なお、本実施例では、画像データの補間処理を実行せずに済むように、出力解像度が、決定済みの光学解像度と同じ値よりも大きい値にならないように、テーブル44a内のデータが設定されている。従って、最小文字ポイント<5ptである場合には、決定済みの光学解像度と同じ値が出力解像度として設定されている。このために、最小文字ポイント<5ptである場合に、非常に高い出力解像度を採用することができ、ユーザが低画質だと感じるのを効果的に抑制することができる。一方において、最小文字ポイントが比較的に大きい場合には、出力解像度が低くても、ユーザが画質の悪さを認識し難い。従って、最小文字ポイントが比較的に大きい場合には、対象ファイルのデータサイズが過度に大きくならないように、比較的に低い出力解像度が設定されている。
【0091】
なお、テーブル44aでは、文字無しは、10.5pt<最小文字ポイントと同じカテゴリーに分類されている。従って、文字解析の結果が文字無しである場合に、写真解析の結果(即ち原稿の精細さ)に応じた適切な出力解像度が決定される。
【0092】
また、テーブル44a内のデータは、エッジ割合ERが比較的に高い場合に、出力解像度が比較的に高くなり、エッジ割合ERが比較的に低い場合に、出力解像度が比較的に低くなるように、設定されている。例えば、決定済みの光学解像度=300dpiに対応するテーブルでは、エッジ割合ER>2.8に対応する高精細である場合に、決定済みの光学解像度と同じ値(例えば300dpi)が出力解像度として設定されている。また、例えば、1.0≦エッジ割合ER≦2.8に対応する中精細である場合に、決定済みの光学解像度と同じ値よりも小さい値(例えば200dpi)が出力解像度として設定されている。
【0093】
原稿が比較的に高精細である場合には、出力解像度が低いと、ユーザが画質の悪さを認識し易い。従って、原稿が比較的に高精細である場合には、ユーザが低画質だと感じないように、比較的に高い出力解像度が設定されている。特に、エッジ割合ER>2.8である場合(即ち高精細である場合)には、決定済みの光学解像度と同じ値(例えば300dpi)が出力解像度として設定されている。このために、エッジ割合ER>2.8である場合に、非常に高い出力解像度を採用することができ、ユーザが低画質だと感じるのを抑制することができる。一方において、原稿が比較的に低精細である場合には、出力解像度が低くても、ユーザが画質の悪さを認識し難い。従って、原稿が比較的に低精細である場合には、対象ファイルのデータサイズが過度に大きくならないように、比較的に低い出力解像度が設定されている。
【0094】
なお、テーブル44a内のデータは、最小文字ポイントが同じであっても、精細さが異なる場合に、出力解像度が異なるように、設定されている。例えば、決定済みの光学解像度=300dpiに対応するテーブルでは、5pt≦最小文字ポイント≦10.5ptである場合に、高精細に対応する出力解像度(300dpi)と、中精細に対応する出力解像度(200dpi)と、が異なる。この構成によると、多機能機10は、最小文字ポイントが同じである場合に、原稿の精細さに応じて、出力解像度を適切に決定し得る。
【0095】
また、テーブル44a内のデータは、精細さが同じであっても、最小文字ポイントが異なる場合に、出力解像度が異なるように、設定されている。例えば、決定済みの光学解像度=300dpiに対応するテーブルでは、低精細である場合に、5pt≦最小文字ポイント≦10.5ptに対応する出力解像度(200dpi)と、10.5pt<最小文字ポイントに対応する出力解像度(100dpi)と、が異なる。この構成によると、多機能機10は、原稿の精細さが同じである場合に、最小文字ポイントに応じて、出力解像度を適切に決定し得る。
【0096】
S204の文字解析及びS206の写真解析の両方が実行された場合には、S210では、出力解像度決定部60は、出力解像度決定テーブル44aから、決定済みの光学解像度、最小文字ポイント、及び、エッジ割合ERに対応する出力解像度を特定することによって、出力解像度を決定する。これにより、出力解像度決定部60は、出力解像度を適切に決定することができる。
【0097】
一方において、出力解像度決定部60は、S204の文字解析のみが実行された場合には、図9のテーブル44bを参照して、文字解析の結果を用いて、写真解析の結果を用いずに、出力解像度を決定する。また、出力解像度決定部60は、S208の写真解析のみが実行された場合には、図9のテーブル44bを参照して、文字解析の結果を用いずに、写真解析の結果を用いて、出力解像度を決定する。
【0098】
図9のテーブル44b内のデータは、図8のテーブル44a内のデータと同様に、最小文字ポイントが比較的に小さい場合に、出力解像度が比較的に高くなり、最小文字ポイントが比較的に大きい場合に、出力解像度が比較的に低くなるように、設定されている。なお、テーブル44bでは、文字無しは、10.5pt<最小文字ポイントと同じカテゴリーに分類されている。また、テーブル44b内のデータは、エッジ割合ERが比較的に高い場合に、出力解像度が比較的に高くなり、エッジ割合ERが比較的に低い場合に、出力解像度が比較的に低くなるように、設定されている。
【0099】
なお、上述したように、選択済みのファイルフォーマットがPDF/A又は署名付PDFである場合には、文字解析も写真解析も実行されない(図5の(注5)及び(注6)参照)。この場合、出力解像度決定部60は、文字解析の結果も写真解析の結果も用いずに、出力解像度を決定する。即ち、出力解像度決定部60は、選択済みのファイルフォーマットがPDF/A又は署名付PDFである場合に、光学解像度と同じ値を出力解像度として決定する。この構成によると、多機能機10は、PDF/A又は署名付PDFが選択される場合に、出力解像度を適切に決定し得る。なお、文字解析のみが実行され、文字解析において原稿に文字が含まれないという解析結果が得られた場合には、出力解像度決定部60は、光学解像度と同じ値を出力解像度として決定する。
【0100】
S210を終えると、解析処理が終了する。上述したように、図2のS26では、S210で決定された出力解像度を示す画像データを含む対象ファイルが生成される。このために、ユーザは、適切な出力解像度を示す画像データを含む対象ファイルを利用すること(例えば画像を出力させること)ができる。
【0101】
(実施例の効果)
本実施例によると、多機能機10は、ADFスキャン及びFBスキャンのうちのどちらが実行されるのか、及び、いずれのファイルフォーマットが選択されるのか、に基づいて、文字解析及び写真解析のそれぞれを実行すべきか否かを適切に判断することができる。多機能機10は、文字解析を実行すべきと判断される場合に、文字解析を実行して、文字解析の結果を用いて出力解像度を適切に決定することができる。同様に、多機能機10は、写真解析を実行すべきと判断される場合に、写真解析を実行して、写真解析の結果を用いて出力解像度を適切に決定することができる。一方において、多機能機10は、文字解析及び/又は写真解析を実行すべきでないと判断される場合に、文字解析及び/又は写真解析を実行しないために、処理負荷を低減させることができる。
【0102】
(対応関係)
多機能機10の制御部30が、「制御装置」の一例である。ADFスキャン、FBスキャンが、それぞれ、「第1種のスキャン」、「第2種のスキャン」の一例である。写真解析、文字解析が、それぞれ、「第1種の解析」、「第2種の解析」の一例である。また、エッジ割合ER、最小文字ポイントが、それぞれ、「第1種の指標値」、「第2種の指標値」の一例である。さらに、JPEG、XPSが、それぞれ、「第1のファイルフォーマット」、「第2のファイルフォーマット」の一例である。また、PDF/A又は署名付PDFが、「特定のファイルフォーマット」の一例である。
【0103】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0104】
(変形例1)実施例では、ユーザは、多機能機10の操作部12を操作して、スキャンの実行の指示を多機能機10に入力する。即ち、実施例は、いわゆるプッシュスキャンの実施例である。これに代えて、ユーザは、多機能機10の所定の位置に原稿を載置した後に、PC80の操作部(図示省略)を操作して、スキャンの実行の指示をPC80に入力してもよい。この場合、PC80は、スキャナドライバ96に従って、スキャンの実行の指示を多機能機10に送信する。即ち、本変形例では、いわゆるプルスキャンが実行される。本変形例では、PC80のCPU(図示省略)がスキャナドライバ96に従って処理を実行することによって、各部50〜66が実現されてもよい。即ち、PC80が複数個のユニット50〜66を備えていてもよい。この場合、PC80の各決定部50,60及び判断部66は、スキャナドライバ96に含まれるテーブル群40を用いて、光学解像度の決定、出力解像度の決定、文字解析の実行の判断、及び、写真解析の実行の判断を実行してもよい。本変形例では、多機能機10、PC80が、それぞれ、「スキャン実行部」、「制御装置」の一例である。
【0105】
(変形例2)多機能機10がメモリ34内のプログラムに従って処理を実行することによって、複数個のユニット50〜66のうちの一部のユニットが実現され、PC80のCPUがスキャナドライバ96に従って処理を実行することによって、複数個のユニット50〜66のうちの他のユニットが実現されてもよい。本変形例では、多機能機10の制御部30とPC80との組合せが「制御装置」の一例である。即ち、一般的に言うと、「制御装置」は、上記の実施例、及び、上記の変形例1のように、1個のデバイスのみによって実現されてもよいし、本変形例のように、2個以上のデバイスの組合せによって実現されてもよい。
【0106】
(変形例3)実施例では、文字解析において、最小文字ポイントが算出される。これに代えて、文字解析では、原稿に含まれる文字の細さを示す指標値が算出されてもよいし、原稿に含まれる文字の色を示す指標値が算出されてもよいし、原稿に含まれる文字の濃度を示す指標値が算出されてもよい。即ち、第2種の解析実行部56は、原稿に含まれる文字の形態を示す指標値を算出すればよい。
【0107】
(変形例4)実施例では、写真解析において、原稿の精細さを示すエッジ割合ERが算出される。これに代えて、写真解析では、原稿の精細さを示す指標値ではなく、例えば、自然画に人物が含まれているのか否かを示す指標値が算出されてもよい。具体的には、第1種の解析実行部54は、スキャンデータを構成する複数個の画素の中に、所定数以上の特定の画素(即ち「色相x以上y以下」かつ「彩度a以上b以下」を示す画素)が存在する場合に、自然画に人物が含まれると判断し、所定数以上の特定の画素が存在しない場合に、自然画に人物が含まれないと判断してもよい。そして、出力解像度決定部60は、自然画に人物が含まれると判断される場合に、上記の各実施例の「高精細」と同様に出力解像度を決定し、自然画に人物が含まれないと判断される場合に、上記の各実施例の「低精細」と同様に出力解像度を決定してもよい。また、他の変形例では、第1種の解析実行部54は、自然画に含まれる色数(どれだけ多彩な色が利用されているのか)を示す指標値を算出してもよい。そして、出力解像度決定部60は、自然画に含まれる色数が所定数以上である場合に、上記の各実施例の「高精細」と同様に出力解像度を決定し、自然画に含まれる色数が所定数未満である場合に、上記の各実施例の「低精細」と同様に出力解像度を決定してもよい。なお、他の変形例では、第1種の解析実行部54は、原稿内で利用される色を特定するための解析、又は、スキャンデータのホワイトバランスの解析を実行してもよい。このように、第1種の解析実行部54は、自然画を含む原稿を分類するための解析を実行すればよい。
【0108】
(変形例5)実施例では、文字解析及び写真解析が実行される。これに代えて、写真解析が実行されずに文字解析のみが実行されてもよい。即ち、図4のS200では、判断部66は、図5のテーブル46を参照して、文字解析を実行すべきか否かのみを判断してもよい。この場合、テーブル46は、写真解析の実行の有無を表わす欄を有していなくてもよい。なお、本変形例では、文字解析が「第1種の解析」の一例である。また、文字解析が実行されずに写真解析のみが実行されてもよい。即ち、図4のS200では、判断部66は、テーブル46を参照して、写真解析を実行すべきか否かのみを判断してもよい。この場合、テーブル46は、文字解析の実行の有無を表わす欄を有していなくてもよい。
【0109】
(変形例6)図5のテーブル46に代えて、ファイルフォーマットの欄が存在しない以下のテーブルを採用してもよい。本変形例のテーブル内のデータは、ADFスキャンが実行される場合に、文字解析が実行されると共に、写真解析が実行されないように、設定されていてもよい。さらに、本変形例のテーブル内のデータは、FBスキャンが実行される場合に、文字解析が実行されないと共に、写真解析が実行されるように、設定されていてもよい。即ち、判断部66は、選択済みのファイルフォーマットに関わらず、ADFスキャン及びFBスキャンのどちらが実行されるのかに基づいて、文字解析及び写真解析のそれぞれについて、当該解析を実行すべきか否かを判断してもよい。一般的に言うと、判断部は、第1種及び第2種のスキャンのうちのどちらが実行されるのかに基づいて、第1種の解析を実行すべきか否かを判断すればよい。
【0110】
(変形例7)実施例では、図2のS20において、複数個の光学解像度の中から、実際のスキャンで利用される光学解像度が決定される。これに代えて、予め決められている1個の値を示す光学解像度のみに従って原稿のスキャンが実行される構成を採用してもよい。即ち、光学解像度が固定されてもよい。
【0111】
(変形例8)実施例では、「JPEG」が「第1のファイルフォーマット」の一例である。それに代えて、「第1のファイルフォーマット」は、ページ概念を有さない他のファイルフォーマット(例えば、PNG)であってもよい。また、実施例では、「PDF」又は「XPS」が「第2のファイルフォーマット」の一例である。それに代えて、「第2のファイルフォーマット」は、ページ概念を有する他のファイルフォーマット(例えば、TIFF、JPEGXR)であってもよい。
【0112】
(変形例9)実施例では、多機能機10のCPU32がプログラムに従った処理を実行することによって、複数個のユニット50〜66の各機能が実現される。ただし、複数個のユニット50〜66のうちの少なくとも1個のユニットは、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0113】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0114】
2:通信システム、10:多機能機、40:テーブル群、80:PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の光学素子を備えるスキャン実行部を制御するための制御装置であって、
原稿のスキャンを前記スキャン実行部に実行させるスキャン制御部であって、前記光学素子を移動させずに、前記原稿を前記光学素子に対して移動させる第1種のスキャンと、前記原稿を移動させずに、前記光学素子を前記原稿に対して移動させる第2種のスキャンと、のうちのどちらかを前記スキャン実行部に実行させる前記スキャン制御部と、
前記第1種及び第2種のスキャンのうちの一方が実行される場合に、前記原稿のスキャンによって得られるスキャンデータに対する第1種の解析を実行すべきと判断し、前記第1種及び第2種のスキャンのうちの他方が実行される場合に、前記第1種の解析を実行すべきでないと判断する判断部と、
前記第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、前記スキャンデータに対する前記第1種の解析を実行し、前記第1種の解析を実行すべきでないと判断される場合に、前記スキャンデータに対する前記第1種の解析を実行しない第1種の解析実行部と、
前記第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、前記スキャンデータを用いて得られる画像データのための解像度である出力解像度を、前記第1種の解析の結果を用いて決定する出力解像度決定部と、
前記出力解像度を示す前記画像データを含むファイルを生成する生成部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記第1種及び第2種のスキャンのうちのどちらが実行されるのかと、ユーザによって選択される前記ファイルのファイルフォーマットと、の組合せに基づいて、前記第1種の解析を実行すべきか否かを判断する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記判断部は、さらに、前記第1種及び第2種のスキャンのうちの一方が実行される場合に、前記スキャンデータに対する第2種の解析であって、前記第1種の解析とは異なる前記第2種の解析を実行すべきと判断し、前記第1種及び第2種のスキャンのうちの他方が実行される場合に、前記第2種の解析を実行すべきでないと判断し、
前記制御装置は、さらに、
前記第2種の解析を実行すべきと判断される場合に、前記スキャンデータに対する前記第2種の解析を実行し、前記第2種の解析を実行すべきでないと判断される場合に、前記スキャンデータに対する前記第2種の解析を実行しない第2種の解析実行部を備え、
前記出力解像度決定部は、前記第2種の解析を実行すべきと判断される場合に、前記出力解像度を、前記第2種の解析の結果を用いて決定する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記第1種及び第2種のスキャンのうちのどちらが実行されるのかと、ユーザによって選択される前記ファイルのファイルフォーマットと、の組合せに基づいて、前記第1種の解析及び前記第2種の解析のそれぞれについて、当該解析を実行すべきか否かを判断する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1種の解析は、自然画を含む前記原稿を分類するための第1種の指標値を算出するための解析を含み、
前記第2種の解析は、前記原稿に含まれる文字の形態を示す第2種の指標値を算出するための解析を含む、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記第2種のスキャンが実行され、かつ、ページ概念を有さない第1のファイルフォーマットが前記ファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、前記第1種の解析を実行すべきと判断すると共に、前記第2種の解析を実行すべきでないと判断する、請求項4又は5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記判断部は、前記第1種のスキャンが実行され、かつ、ページ概念を有する第2のファイルフォーマットが前記ファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、前記第1種の解析を実行すべきでないと判断すると共に、前記第2種の解析を実行すべきと判断する、請求項4から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記判断部は、特定のファイルフォーマットが前記ファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、前記第1種の解析を実行すべきでないと判断すると共に、前記第2種の解析を実行すべきでないと判断する、請求項4から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記特定のファイルフォーマットは、PDF/Aであり、
前記出力解像度決定部は、PDF/Aが前記ファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、前記スキャンデータが示す解像度と同じ値を、前記出力解像度として決定する、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記特定のファイルフォーマットは、電子署名が添付されるPDFであり、
前記出力解像度決定部は、電子署名が添付されるPDFが前記ファイルのファイルフォーマットとして選択される場合に、前記スキャンデータが示す解像度以下であって、300dpi以上である値を、前記出力解像度として決定する、請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第1種の解析は、自然画を含む前記原稿を分類するための第1種の指標値を算出するための解析を含み、
前記判断部は、前記第1種のスキャンが実行される場合に、前記第1種の解析を実行すべきでないと判断し、前記第2種のスキャンが実行される場合に、前記第1種の解析を実行すべきと判断し、
前記出力解像度決定部は、前記第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、前記第1種の指標値を用いて、前記出力解像度を決定する、請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第1種の解析は、前記原稿に含まれる文字の形態を示す第2種の指標値を算出するための解析を含み、
前記判断部は、前記第1種のスキャンが実行される場合に、前記第1種の解析を実行すべきと判断し、前記第2種のスキャンが実行される場合に、前記第1種の解析を実行すべきでないと判断し、
前記出力解像度決定部は、前記第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、前記第2種の指標値を用いて、前記出力解像度を決定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
複数個の光学素子を備えるスキャン実行部を制御するための制御装置に、以下の各処理、即ち、
原稿のスキャンを前記スキャン実行部に実行させるスキャン制御処理であって、前記光学素子を移動させずに、前記原稿を前記光学素子に対して移動させる第1種のスキャンと、前記原稿を移動させずに、前記光学素子を前記原稿に対して移動させる第2種のスキャンと、のうちのどちらかを前記スキャン実行部に実行させる前記スキャン制御処理と、
前記第1種及び第2種のスキャンのうちの一方が実行される場合に、前記原稿のスキャンによって得られるスキャンデータに対する第1種の解析を実行すべきと判断し、前記第1種及び第2種のスキャンのうちの他方が実行される場合に、前記第1種の解析を実行すべきでないと判断する判断処理と、
前記第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、前記スキャンデータに対する前記第1種の解析を実行し、前記第1種の解析を実行すべきでないと判断される場合に、前記スキャンデータに対する前記第1種の解析を実行しない第1種の解析実行処理と、
前記第1種の解析を実行すべきと判断される場合に、前記スキャンデータを用いて得られる画像データのための解像度である出力解像度を、前記第1種の解析の結果を用いて決定する出力解像度決定処理と、
前記出力解像度を示す前記画像データを含むファイルを生成する生成処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−212963(P2012−212963A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76310(P2011−76310)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】