制御装置
【課題】回生制動時のトルク変動を抑制する。
【解決手段】エンジンの吸気弁及び排気弁のバルブ作動角の中心位相角を変更可能な可変動弁機構を制御する制御装置は、電動モータによる回生制動時に、吸気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第1角度(例えば、上死点TDC)に変更すると共に、排気弁の中心位相角を、下死点を含む角度範囲内で予め決められた第2角度(例えば、下死点BDC)に変更する。また、制御装置は、排気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた所定角度(例えば、上死点)に変更してもよい。そして、排気行程の後半に吸気弁を開弁させて筒内へと導入される空気量を抑制し、筒内圧力の最大値及び最小値を小さくすることで、トルク変動を抑制する。
【解決手段】エンジンの吸気弁及び排気弁のバルブ作動角の中心位相角を変更可能な可変動弁機構を制御する制御装置は、電動モータによる回生制動時に、吸気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第1角度(例えば、上死点TDC)に変更すると共に、排気弁の中心位相角を、下死点を含む角度範囲内で予め決められた第2角度(例えば、下死点BDC)に変更する。また、制御装置は、排気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた所定角度(例えば、上死点)に変更してもよい。そして、排気行程の後半に吸気弁を開弁させて筒内へと導入される空気量を抑制し、筒内圧力の最大値及び最小値を小さくすることで、トルク変動を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの可変動弁機構を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両には、駆動力を発生させる電動モータを発電機として作動させることで、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して制動を行う回生ブレーキ装置が搭載されている。回生ブレーキ装置においては、運動エネルギーの回生効率を向上させるために、回生制動時にエンジンのポンピングロスを低減することが有効である。このため、特開2002−201972号公報(特許文献1)に記載されるように、回生制動時に吸気弁及び排気弁を閉弁させた気筒吸気状態とし、ポンピングロスの低下を通して回生効率を向上させた技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−201972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回生制動時に吸気弁及び排気弁を閉弁させた気筒休止状態とすると、上死点における筒内圧力が高くなる一方、下死点における筒内圧力が低くなり、トルク変動が大きくなってしまう。
そこで、本発明は従来技術の問題点に鑑み、回生制動時のトルク変動を抑制した制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、電動モータを発電機として作動させることで、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回生制動を行う車両に適用され、エンジンの吸気弁及び排気弁のバルブ作動角の中心位相角を変更可能な可変動弁機構を制御するための制御装置は、次のような制御を行う。即ち、制御装置は、電動モータによる回生制動時に、吸気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第1角度に変更すると共に、排気弁の中心位相角を、下死点を含む角度範囲内で予め決められた第2角度に変更する。
【発明の効果】
【0006】
筒内圧力の最大値及び最小値が小さくなることから、トルク変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】車両用エンジンのシステム構成図である。
【図2】可変動弁機構の詳細を示す斜視図である。
【図3】可変バルブリフト機構の要部断面図である。
【図4】可変動弁機構の作用の説明図である。
【図5】燃料噴射制御の一例を示すフローチャートである。
【図6】バルブタイミング制御の第1実施例を示すフローチャートである。
【図7】第1実施例における吸気弁及び排気弁のバルブタイミングの変更状態の一例の説明図である。
【図8】第1実施例における吸気弁及び排気弁の時系列に沿った制御状態の説明図である。
【図9】第1実施例における吸気弁及び排気弁のバルブタイミングの変更状態の他の一例の説明図である。
【図10】バルブタイミング制御の第2実施例を示すフローチャートである。
【図11】第2実施例における吸気弁及び排気弁のバルブタイミングの変更状態の一例の説明図である。
【図12】第2実施例における吸気弁及び排気弁の時系列に沿った制御状態の説明図である。
【図13】第2実施例における吸気弁及び排気弁のバルブタイミングの変更状態の他の一例の説明図である。
【図14】従来方式,第1実施例及び第2実施例の効果を比較するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、本実施形態に係る制御装置が適用される、車両用エンジンのシステム構成を示す。
エンジン10は、例えば、直列4気筒ガソリンエンジンであり、各気筒に吸気(空気)を導入するための吸気管12には、エンジン10の吸気流量Qを検出する吸気流量センサ14が取り付けられている。吸気流量センサ14としては、例えば、エアフローメータなどの熱線式流量計を使用することができる。
【0009】
各気筒の燃焼室16の吸気口18を開閉する吸気弁20が設けられ、吸気弁20の吸気上流側に位置する吸気管12には、燃料噴射弁22が取り付けられている。燃料噴射弁22には、その開弁時間に比例する燃料が噴射されるように、所定圧力に調圧された燃料が供給される。
燃料噴射弁22から噴射された燃料は、吸気弁20を介して燃焼室16内に吸気と共に吸引され、点火プラグ24の火花点火によって着火燃焼し、その燃焼による圧力がピストン26をクランク軸(図示省略)に向けて押し下げることで、クランク軸を回転駆動させる。
【0010】
また、燃焼室16の排気口28を開閉する排気弁30が設けられ、排気弁30が開弁することで、排気が排気管32に排出される。排気管32には、触媒コンバータ34が配設されており、排気中の有害成分は、触媒コンバータ34によって無害成分に浄化された後、排気管34の終端開口から大気中に放出される。ここで、触媒コンバータ34としては、例えば、排気中のCO,HC及びNOxを同時に浄化する三元触媒を使用することができる。
【0011】
吸気弁20及び排気弁30は、夫々、可変バルブリフト機構(VEL)36及び可変バルブタイミング機構(VTC)38により、バルブリフト量,バルブ作動角及びバルブタイミングが変更可能になっている。可変バルブリフト機構36は、吸気弁20及び排気弁30のバルブリフト量(最大バルブリフト量)及びバルブ作動角を連続的に変更する。可変バルブタイミング機構38は、クランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させることで、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を進角又は遅角させる。ここで、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38は、可変動弁機構の一例として挙げられる。
【0012】
燃料噴射弁22,点火プラグ24,可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38は、マイクロコンピュータを内蔵した制御装置40によって制御される。制御装置40は、各種センサからの信号を入力し、予め記憶された制御プログラムに従って、燃料噴射弁22,点火プラグ24,可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の各操作量を決定し出力する。燃料噴射弁22による燃料噴射制御においては、各気筒の吸気行程に合わせて個別の燃料噴射を行う、いわゆる「シーケンシャル噴射制御」が行われる。なお、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の制御は、制御装置40とは異なる別体の制御装置で行うようにしてもよい。
【0013】
図2は、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の具体的構造を示す。ここでは、吸気弁20の可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38について説明するが、排気弁30の可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38については、構造が同一であるので、その説明を省略する。
吸気弁20の上方に、クランク軸によって回転駆動されるカム軸42が気筒列方向に沿って回転可能に支持されている。カム軸42には、吸気弁20のバルブリフタ20Aに当接して吸気弁20を開閉駆動する揺動カム44が相対回転可能に外嵌されている。
【0014】
カム軸42と揺動カム44との間には、吸気弁20のバルブリフト量及びバルブ作動角を連続的に変更するための可変バルブリフト機構36が配設されている。また、カム軸42の一端には、クランク軸に対するカム軸42の回転位相を変化させることで、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角を連続的に変更する可変バルブタイミング機構38が取り付けられている。
【0015】
可変バルブリフト機構36は、図2及び図3に示すように、カム軸42に偏心して固定的に設けられる円形の駆動カム46と、駆動カム46に相対回転可能に外嵌するリング状リンク48と、カム軸42と略平行に気筒列方向へと延びる制御軸50と、制御軸50に偏心して固定的に設けられた円形の制御カム52と、制御カム52に相対回転可能に外嵌すると共に、一端がリング状リンク48の先端に連結されたロッカアーム54と、ロッカアーム54の他端と揺動カム44とに連結されたロッド状リンク56と、を有している。
【0016】
制御軸50は、モータ58によりギヤ列60を介して、所定の制御範囲内で回転駆動される。なお、モータ58としては、例えば、ブラシレスモータなどを使用することができる。
かかる可変バルブリフト機構36において、クランク軸に連動してカム軸42が回転すると、駆動カム46を介してリング状リンク48が略並進移動すると共に、ロッカアーム54が制御カム52の軸心周りに揺動し、ロッド状リンク56を介して揺動カム44が揺動して吸気弁20が開閉駆動される。また、モータ58を駆動制御して制御軸50の角度を変化させることで、ロッカアーム54の揺動中心となる制御カム52の軸心位置が変化して、揺動カム44の姿勢が変化する。そして、可変バルブリフト機構36は、図4の矢印Aに示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角SPが略一定のまま、吸気弁20のバルブリフト量VL及びバルブ作動角OAが連続的に変更する。
【0017】
一方、可変バルブタイミング機構38は、図2に示すように、カムスプロケット62と一体化され、カムスプロケット62に対してカム軸42を相対回転させることで、バルブタイミングを進角又は遅角させる。可変バルブタイミング機構38は、例えば、電動式,油圧式などのアクチュエータを含む。そして、可変バルブタイミング機構38は、図4の矢印Bに示すように、吸気弁20のバルブリフト量VL及びバルブ作動角OAを変化させずに、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角SPを、最遅角位置から最進角位置までの間の任意位置に変更する。
【0018】
制御装置40には、吸気流量センサ14に加え、エンジン10の回転速度Neを検出する回転速度センサ64,エンジン10の冷却水温度(水温)Twを検出する水温センサ66,車速VSPを検出する車速センサ68,アクセル開度θを検出する開度センサ70及び排気中の空燃比AFを検出する空燃比センサ72の各信号が入力される。ここで、空燃比センサ72は、触媒コンバータ34の排気上流に位置する排気管32に取り付けられ、エンジン10の空燃比と密接な関係にある排気中の酸素濃度に感応して出力が変化するセンサ(酸素濃度センサ)である。
【0019】
制御装置40は、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38に加え、燃料噴射弁22及び点火プラグ24を制御する。即ち、制御装置40は、吸気流量センサ14及び回転速度センサ64から吸気流量Q及び回転速度Neを読み込み、これらに基づいてエンジン運転状態に応じた基本燃料噴射量を演算する。また、制御装置40は、水温センサ66から水温Twを読み込み、基本燃料噴射量を水温Twで補正した燃料噴射量を演算する。そして、制御装置40は、エンジン運転状態に応じたタイミングで、燃料噴射弁22から燃料噴射量に応じた燃料を噴射し、点火プラグ24を適宜作動させて燃料と吸気との混合気を着火燃焼させる。このとき、制御装置40は、空燃比センサ72から空燃比AFを読み込み、排気中の空燃比が理論空燃比に近づくように、燃料噴射弁22をフィードバック制御する。
【0020】
図5は、アクセルペダルの踏み込みが解放されたこと、即ち、回生制動が開始されたことを契機として、制御装置40が実行する燃料噴射制御の一例を示す。なお、図5に示す燃料噴射制御により、燃料カット手段及び燃料噴射再開手段が夫々具現化される。
ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様。)では、燃料カット条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、回転速度センサ64及び車速センサ68から回転速度Ne及び車速VSPを夫々読み込み、回転速度Neが所定速度(例えば、1500rpm)以上、かつ、車速VSPが所定速度(例えば10km/h)以上である燃料カット条件が成立したか否かを判定する。そして、燃料カット条件が成立していれば処理をステップ2へと進める一方(Yes)、燃料カット条件が成立していなければ処理をステップ4へと進める(No)。
【0021】
ステップ2では、燃料噴射が停止するように、燃料噴射弁22を制御する。
ステップ3では、燃料噴射を再開する条件が成立したか否かを判定する。具体的には、回転速度センサ64,車速センサ68及び開度センサ70から回転速度Ne,車速VSP及びアクセル開度θを夫々読み込み、回転速度Neが所定速度未満、車速VPSが所定速度未満、又は、アクセル開度θが増加したか否かを判定する。そして、燃料噴射を再開する条件が成立していれば処理をステップ4へと進める一方(Yes)、燃料噴射を再開する条件が成立していなければ待機する(No)。
【0022】
ステップ4では、エンジン運転状態に応じて燃料噴射を行う。このとき、燃焼性や排気エミッションの低下を抑制するため、後述するバルブタイミング制御により、吸気弁20及び排気弁30の遅角又は進角が完了するまで、燃料噴射を遅延することが望ましい。
かかる燃料噴射制御によれば、回生制動中に燃料カット条件が成立すると、燃料噴射弁22からの燃料噴射が停止する。このため、回生制動を実行中には、エンジン10に燃料が供給されず、燃費向上を図ることができる。
【0023】
図6は、燃料噴射制御において燃料噴射が停止されたことを契機として、制御装置40が実行するバルブタイミング制御の第1実施例を示す。
ステップ11では、可変バルブタイミング機構38を制御し、図7に示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角が上死点(TDC)になるように進角させる。なお、上死点において、吸気弁20とピストン26との干渉が発生する場合には、可変バルブリフト機構36を制御し、吸気弁20のバルブリフト量を小さくするようにすればよい(以下同様)。
【0024】
ステップ12では、可変バルブタイミング機構38を制御し、図7に示すように、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が下死点(BDC)になるように進角させる。
ステップ13では、車速センサ68から車速VSPを読み込み、車速VSPが停止準備車速(例えば5km/h)以下であるか否かを判定する。そして、車速VSPが停止準備車速以下であれば処理をステップ15へと進める一方(Yes)、車速VSPが停止準備車速より大きければ処理をステップ14へと進める(No)。
【0025】
ステップ14では、開度センサ70からアクセル開度θを読み込み、アクセル開度θが所定開度以上、即ち、再加速要求があるか否かを判定する。そして、再加速要求があれば処理をステップ15へと進める一方(Yes)、再加速要求がなければ処理をステップ13へと戻す(No)。
ステップ15では、可変バルブタイミング機構38を制御し、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角を、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角させる。このとき、可変バルブリフト機構36により吸気弁20のバルブリフト量が小さくなっている場合には、吸気弁20のバルブリフト量を、エンジン運転状態に応じたバルブリフト量まで変更する(以下同様)。
【0026】
ステップ16では、可変バルブタイミング機構38を制御し、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角させる。
かかるバルブタイミング制御によれば、回生制動中に燃料噴射が停止すると、図8に示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角が上死点まで進角されると共に、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が下死点まで進角される。このため、排気行程の後半に吸気弁20が開弁していることから、吸気管12に噴き戻された逆流れの空気を吸気行程で吸入することとなり、筒内へと導入される空気量が抑制される。そして、吸気弁20の閉弁後の圧縮行程で圧縮される空気量が少なくなり、筒内圧力の最大値及び最小値が小さくなることから、トルク変動に伴うエンジン10の回転変動が抑制され、例えば、乗員に対してエンジン振動に起因する不快感を与えることを抑制できる。また、エンジン振動が低減して、運転性も向上させることができる。
【0027】
車速VSPが停止準備車速以下になると、図8に示すように、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角される。このため、エンジン運転状態としてアイドルストップを行う場合には、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が発進時の角度位置まで進角され、迅速な発進に備えることができる。一方、アクセル開度θが所定開度以上になると再加速要求があったと判断し、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角される。
【0028】
なお、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の代わりに、例えば、吸気弁20及び排気弁30のカムプロフィールを切り換える可変動弁機構を有する場合には、図9に示すように、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角を大きくするようしてもよい。また、排気弁30の開口面積が小さいことを踏まえ、図7及び図9に示すように、吸気弁20に比べて排気弁30のバルブ作動角を大きくすることで、排気抵抗の減少を通してポンピングロスをさらに低減することができる。
【0029】
さらに、可変バルブリフト機構36は、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角及びバルブリフト量を連続的に変更すると同時に、これらのバルブ作動角の中心位相角を変更するように構成されていてもよい(以下同様)。この場合には、可変バルブタイミング機構38を省略することができる。
図10は、燃料噴射制御において燃料噴射が停止されたことを契機として、制御装置40が実行するバルブタイミング制御の第2実施例を示す。なお、図6に示す第1実施例と共通する制御については、重複説明を排除することを目的として、その説明を簡略にする。
【0030】
ステップ21では、可変バルブタイミング機構38を制御し、図11に示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角が上死点になるように進角させる。
ステップ22では、可変バルブタイミング機構38を制御し、図11に示すように、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が上死点になるように遅角させる。
ステップ23では、車速センサ68から車速VSPを読み込み、車速VSPが停止準備車速以下であるか否かを判定する。そして、車速VSPが停止準備車速以下であれば処理をステップ25へと進める一方(Yes)、車速VSPが停止準備車速より大きければ処理をステップ24へと進める(No)。
【0031】
ステップ24では、開度センサ70からアクセル開度θを読み込み、アクセル開度θが所定開度以上、即ち、再加速要求があるか否かを判定する。そして、再加速要求があれば処理をステップ25へと進める一方(Yes)、再加速要求がなければ処理をステップ23へと戻す(No)。
ステップ25では、可変バルブタイミング機構38を制御し、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角を、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角させる。
【0032】
ステップ26では、可変バルブタイミング機構38を制御し、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を、エンジン運転状態に応じた角度位置まで進角させる。
かかるバルブタイミング制御によれば、回生制動中に燃料噴射が停止すると、図12に示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角が上死点まで進角されると共に、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が上死点まで遅角される。このため、排気行程の後半に吸気弁20及び排気弁30が開弁していることから、吸気管12及び排気管32に噴き戻された逆流れの空気を吸気行程で吸入することとなり、筒内へと導入される空気量が抑制される。そして、吸気弁20の閉弁後の圧縮行程で圧縮される空気量が少なくなり、筒内圧力の最大値及び最小値が小さくなることから、トルク変動が抑制され、例えば、乗員に不快感を与えることを抑制できる。また、エンジン振動が低減して、運転性も向上させることができる。
【0033】
車速VSPが停止準備車速以下になると、図12に示すように、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、夫々、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角及び進角される。このため、エンジン運転状態としてアイドルストップを行う場合には、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、夫々、発進時の角度位置まで遅角及び進角され、迅速な発進に備えることができる。一方、アクセル開度θが所定開度以上になると再加速要求があったと判断し、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、夫々、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角及び進角される。
【0034】
なお、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の代わりに、例えば、吸気弁20及び排気弁30のカムプロフィールを切り換える可変動弁機構を有する場合には、図13に示すように、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角を大きくするようしてもよい。また、排気弁30の開口面積が小さいことを踏まえ、図11及び図13に示すように、吸気弁20に比べて排気弁30のバルブ作動角を大きくすることで、排気抵抗の減少を通してポンピングロスをさらに低減することができる。
【0035】
次に、図9及び図13に示す吸気弁20及び排気弁30の開弁特性を前提とし、シミュレーションによって得られたポンピングロス低減効果及びトルク変動の低減効果を説明する。
従来方式並びに実施例1及び実施例2では、図14に示すPV線図のように、吸入・圧縮・膨張・排気の4行程がループを形成していないため、筒内圧力と容積変化との積分値は0となる。このため、PV線図の図示仕事が0となり、ポンピングロスを略0とすることができる。また、実施例1及び実施例2では、前述したように、筒内圧力の最大値及び最小値が小さくなることから、同図に示すように、従来方式に比べて、トルク変動幅を約1/4に抑制することができた。
【0036】
このような効果は、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角を上死点に変更すると共に、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を上死点又は下死点に変更することが可能な可変動弁機構を備えていれば、制御プログラムの変更のみで実現できる。この場合、既存のエンジンシステムに新たな機構を追加せずに、トルク変動の抑制といった効果を享受できる。
【0037】
なお、前記実施形態では、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を上死点又は下死点まで変更したが、次のようにしてもよい。
即ち、吸気弁20の中心位相角を上死点に、排気弁30の中心位相角を下死点まで変更する代わりに、吸気弁20の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第1角度に変更すると共に、排気弁30の中心位相角を、下死点を含む範囲内で予め決められた第2角度まで変更するようにしてもよい。また、吸気弁20及び排気弁30の中心位相角を夫々上死点まで変更する代わりに、吸気弁20及び排気弁30の中心位相角を、夫々、上死点を含む範囲内で予め決められた第3角度及び第4角度まで変更するようにしてもよい。
【0038】
ここで、第1角度,第2角度,第3角度及び第4角度は、筒内に吸入される空気量と筒内から排出される空気量とが略等しくなるときの角度である。具体的には、第1角度,第3角度及び第4角度は、吸気弁20の開弁開始によりピストン26の上昇に伴って筒内から吸気側に排出される筒内排出空気量と、ピストン26の下降によって、吸気弁20の閉弁までに吸気側から筒内に導入される筒内導入空気量と、が略等しくなるときの角度である。第2角度は、排気弁30の開弁開始によりピストン26の上昇に伴って筒内から排気側に排出される筒内排出空気量と、ピストン26の下降によって、排気弁30の閉弁までに排気側から筒内に導入される筒内導入空気量と、が略等しくなるときの角度である。なお、第1角度,第2角度、第3角度又は第4角度としては、筒内排出空気量と筒内導入空気量とに差が生じてもトルク変動が許容できる角度としてもよい。
また、前記実施形態では、吸気弁20及び排気弁30に可変バルブリフト機構36が取り付けられていたが、バルブ作動角の中心位相角を上死点に変更するもののみ、可変バルブリフト機構36を取り付けるようにしてもよい。
【0039】
ここで、前記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
【0040】
(イ)前記電動モータによる回生制動時に、前記エンジンへの燃料噴射を停止する燃料カット手段と、前記回生制動を終了して、前記エンジンへの燃料噴射を再開する燃料噴射再開手段と、を含み、前記燃料噴射再開手段は、前記吸気弁及び前記排気弁の中心位相角が燃料噴射再開時の角度に変更されるまで、前記燃料噴射の停止を継続することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の制御装置。
回生制動中には、吸気弁及び排気弁の中心位相角は、上死点又は下死点を含む角度範囲内で予め決められた角度に変更されている。この状態で、燃料噴射を再開しても、吸気弁及び排気弁の中心位相角が燃焼に適した角度になっていないため、燃料と空気との混合気の燃焼性が低下したり、未燃焼ガスが排気されてしまうおそれがある。そこで、吸気弁及び排気弁の中心位相角が変更されるまで燃料噴射の停止を継続することで、燃焼性や排気エミッションの低下を抑制することができる。
【0041】
(ロ)前記可変動弁機構は、前記吸気弁及び前記排気弁のうち、少なくとも前記吸気弁のバルブリフト量を更に変更し、前記電動モータによる回生制動時に、前記吸気弁及び前記排気弁のうち少なくとも吸気弁とピストンとの干渉を回避するように、前記吸気弁及び前記排気弁のうち少なくとも吸気弁のバルブリフト量を小さくすることを特徴とする請求項1〜請求項3及び(イ)のいずれか1つに記載の制御装置。
電動モータによる回生制動中には、吸気弁及び排気弁のうち少なくとも吸気弁の中心位相角が上死点近傍となる。そこで、可変動弁機構により、吸気弁及び排気弁のうち少なくとも吸気弁のバルブリフト量を小さくすることで、ピストンとの干渉を回避することができる。
【0042】
(ハ)前記排気弁のバルブ作動角は、前記吸気弁のバルブ作動角より大きいことを特徴とする請求項1〜請求項3、(イ)及び(ロ)のいずれか1つに記載のバルブタイミング制御装置。
排気弁の開口面積は小さいので、吸気弁に比べて排気弁のバルブ作動角を大きくすることで、排気抵抗の減少を通してポンピングロスをさらに低減することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 エンジン
20 吸気弁
26 ピストン
30 排気弁
36 可変バルブリフト機構
38 可変バルブタイミング機構
40 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの可変動弁機構を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両には、駆動力を発生させる電動モータを発電機として作動させることで、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して制動を行う回生ブレーキ装置が搭載されている。回生ブレーキ装置においては、運動エネルギーの回生効率を向上させるために、回生制動時にエンジンのポンピングロスを低減することが有効である。このため、特開2002−201972号公報(特許文献1)に記載されるように、回生制動時に吸気弁及び排気弁を閉弁させた気筒吸気状態とし、ポンピングロスの低下を通して回生効率を向上させた技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−201972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回生制動時に吸気弁及び排気弁を閉弁させた気筒休止状態とすると、上死点における筒内圧力が高くなる一方、下死点における筒内圧力が低くなり、トルク変動が大きくなってしまう。
そこで、本発明は従来技術の問題点に鑑み、回生制動時のトルク変動を抑制した制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、電動モータを発電機として作動させることで、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回生制動を行う車両に適用され、エンジンの吸気弁及び排気弁のバルブ作動角の中心位相角を変更可能な可変動弁機構を制御するための制御装置は、次のような制御を行う。即ち、制御装置は、電動モータによる回生制動時に、吸気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第1角度に変更すると共に、排気弁の中心位相角を、下死点を含む角度範囲内で予め決められた第2角度に変更する。
【発明の効果】
【0006】
筒内圧力の最大値及び最小値が小さくなることから、トルク変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】車両用エンジンのシステム構成図である。
【図2】可変動弁機構の詳細を示す斜視図である。
【図3】可変バルブリフト機構の要部断面図である。
【図4】可変動弁機構の作用の説明図である。
【図5】燃料噴射制御の一例を示すフローチャートである。
【図6】バルブタイミング制御の第1実施例を示すフローチャートである。
【図7】第1実施例における吸気弁及び排気弁のバルブタイミングの変更状態の一例の説明図である。
【図8】第1実施例における吸気弁及び排気弁の時系列に沿った制御状態の説明図である。
【図9】第1実施例における吸気弁及び排気弁のバルブタイミングの変更状態の他の一例の説明図である。
【図10】バルブタイミング制御の第2実施例を示すフローチャートである。
【図11】第2実施例における吸気弁及び排気弁のバルブタイミングの変更状態の一例の説明図である。
【図12】第2実施例における吸気弁及び排気弁の時系列に沿った制御状態の説明図である。
【図13】第2実施例における吸気弁及び排気弁のバルブタイミングの変更状態の他の一例の説明図である。
【図14】従来方式,第1実施例及び第2実施例の効果を比較するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、本実施形態に係る制御装置が適用される、車両用エンジンのシステム構成を示す。
エンジン10は、例えば、直列4気筒ガソリンエンジンであり、各気筒に吸気(空気)を導入するための吸気管12には、エンジン10の吸気流量Qを検出する吸気流量センサ14が取り付けられている。吸気流量センサ14としては、例えば、エアフローメータなどの熱線式流量計を使用することができる。
【0009】
各気筒の燃焼室16の吸気口18を開閉する吸気弁20が設けられ、吸気弁20の吸気上流側に位置する吸気管12には、燃料噴射弁22が取り付けられている。燃料噴射弁22には、その開弁時間に比例する燃料が噴射されるように、所定圧力に調圧された燃料が供給される。
燃料噴射弁22から噴射された燃料は、吸気弁20を介して燃焼室16内に吸気と共に吸引され、点火プラグ24の火花点火によって着火燃焼し、その燃焼による圧力がピストン26をクランク軸(図示省略)に向けて押し下げることで、クランク軸を回転駆動させる。
【0010】
また、燃焼室16の排気口28を開閉する排気弁30が設けられ、排気弁30が開弁することで、排気が排気管32に排出される。排気管32には、触媒コンバータ34が配設されており、排気中の有害成分は、触媒コンバータ34によって無害成分に浄化された後、排気管34の終端開口から大気中に放出される。ここで、触媒コンバータ34としては、例えば、排気中のCO,HC及びNOxを同時に浄化する三元触媒を使用することができる。
【0011】
吸気弁20及び排気弁30は、夫々、可変バルブリフト機構(VEL)36及び可変バルブタイミング機構(VTC)38により、バルブリフト量,バルブ作動角及びバルブタイミングが変更可能になっている。可変バルブリフト機構36は、吸気弁20及び排気弁30のバルブリフト量(最大バルブリフト量)及びバルブ作動角を連続的に変更する。可変バルブタイミング機構38は、クランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させることで、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を進角又は遅角させる。ここで、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38は、可変動弁機構の一例として挙げられる。
【0012】
燃料噴射弁22,点火プラグ24,可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38は、マイクロコンピュータを内蔵した制御装置40によって制御される。制御装置40は、各種センサからの信号を入力し、予め記憶された制御プログラムに従って、燃料噴射弁22,点火プラグ24,可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の各操作量を決定し出力する。燃料噴射弁22による燃料噴射制御においては、各気筒の吸気行程に合わせて個別の燃料噴射を行う、いわゆる「シーケンシャル噴射制御」が行われる。なお、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の制御は、制御装置40とは異なる別体の制御装置で行うようにしてもよい。
【0013】
図2は、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の具体的構造を示す。ここでは、吸気弁20の可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38について説明するが、排気弁30の可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38については、構造が同一であるので、その説明を省略する。
吸気弁20の上方に、クランク軸によって回転駆動されるカム軸42が気筒列方向に沿って回転可能に支持されている。カム軸42には、吸気弁20のバルブリフタ20Aに当接して吸気弁20を開閉駆動する揺動カム44が相対回転可能に外嵌されている。
【0014】
カム軸42と揺動カム44との間には、吸気弁20のバルブリフト量及びバルブ作動角を連続的に変更するための可変バルブリフト機構36が配設されている。また、カム軸42の一端には、クランク軸に対するカム軸42の回転位相を変化させることで、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角を連続的に変更する可変バルブタイミング機構38が取り付けられている。
【0015】
可変バルブリフト機構36は、図2及び図3に示すように、カム軸42に偏心して固定的に設けられる円形の駆動カム46と、駆動カム46に相対回転可能に外嵌するリング状リンク48と、カム軸42と略平行に気筒列方向へと延びる制御軸50と、制御軸50に偏心して固定的に設けられた円形の制御カム52と、制御カム52に相対回転可能に外嵌すると共に、一端がリング状リンク48の先端に連結されたロッカアーム54と、ロッカアーム54の他端と揺動カム44とに連結されたロッド状リンク56と、を有している。
【0016】
制御軸50は、モータ58によりギヤ列60を介して、所定の制御範囲内で回転駆動される。なお、モータ58としては、例えば、ブラシレスモータなどを使用することができる。
かかる可変バルブリフト機構36において、クランク軸に連動してカム軸42が回転すると、駆動カム46を介してリング状リンク48が略並進移動すると共に、ロッカアーム54が制御カム52の軸心周りに揺動し、ロッド状リンク56を介して揺動カム44が揺動して吸気弁20が開閉駆動される。また、モータ58を駆動制御して制御軸50の角度を変化させることで、ロッカアーム54の揺動中心となる制御カム52の軸心位置が変化して、揺動カム44の姿勢が変化する。そして、可変バルブリフト機構36は、図4の矢印Aに示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角SPが略一定のまま、吸気弁20のバルブリフト量VL及びバルブ作動角OAが連続的に変更する。
【0017】
一方、可変バルブタイミング機構38は、図2に示すように、カムスプロケット62と一体化され、カムスプロケット62に対してカム軸42を相対回転させることで、バルブタイミングを進角又は遅角させる。可変バルブタイミング機構38は、例えば、電動式,油圧式などのアクチュエータを含む。そして、可変バルブタイミング機構38は、図4の矢印Bに示すように、吸気弁20のバルブリフト量VL及びバルブ作動角OAを変化させずに、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角SPを、最遅角位置から最進角位置までの間の任意位置に変更する。
【0018】
制御装置40には、吸気流量センサ14に加え、エンジン10の回転速度Neを検出する回転速度センサ64,エンジン10の冷却水温度(水温)Twを検出する水温センサ66,車速VSPを検出する車速センサ68,アクセル開度θを検出する開度センサ70及び排気中の空燃比AFを検出する空燃比センサ72の各信号が入力される。ここで、空燃比センサ72は、触媒コンバータ34の排気上流に位置する排気管32に取り付けられ、エンジン10の空燃比と密接な関係にある排気中の酸素濃度に感応して出力が変化するセンサ(酸素濃度センサ)である。
【0019】
制御装置40は、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38に加え、燃料噴射弁22及び点火プラグ24を制御する。即ち、制御装置40は、吸気流量センサ14及び回転速度センサ64から吸気流量Q及び回転速度Neを読み込み、これらに基づいてエンジン運転状態に応じた基本燃料噴射量を演算する。また、制御装置40は、水温センサ66から水温Twを読み込み、基本燃料噴射量を水温Twで補正した燃料噴射量を演算する。そして、制御装置40は、エンジン運転状態に応じたタイミングで、燃料噴射弁22から燃料噴射量に応じた燃料を噴射し、点火プラグ24を適宜作動させて燃料と吸気との混合気を着火燃焼させる。このとき、制御装置40は、空燃比センサ72から空燃比AFを読み込み、排気中の空燃比が理論空燃比に近づくように、燃料噴射弁22をフィードバック制御する。
【0020】
図5は、アクセルペダルの踏み込みが解放されたこと、即ち、回生制動が開始されたことを契機として、制御装置40が実行する燃料噴射制御の一例を示す。なお、図5に示す燃料噴射制御により、燃料カット手段及び燃料噴射再開手段が夫々具現化される。
ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様。)では、燃料カット条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、回転速度センサ64及び車速センサ68から回転速度Ne及び車速VSPを夫々読み込み、回転速度Neが所定速度(例えば、1500rpm)以上、かつ、車速VSPが所定速度(例えば10km/h)以上である燃料カット条件が成立したか否かを判定する。そして、燃料カット条件が成立していれば処理をステップ2へと進める一方(Yes)、燃料カット条件が成立していなければ処理をステップ4へと進める(No)。
【0021】
ステップ2では、燃料噴射が停止するように、燃料噴射弁22を制御する。
ステップ3では、燃料噴射を再開する条件が成立したか否かを判定する。具体的には、回転速度センサ64,車速センサ68及び開度センサ70から回転速度Ne,車速VSP及びアクセル開度θを夫々読み込み、回転速度Neが所定速度未満、車速VPSが所定速度未満、又は、アクセル開度θが増加したか否かを判定する。そして、燃料噴射を再開する条件が成立していれば処理をステップ4へと進める一方(Yes)、燃料噴射を再開する条件が成立していなければ待機する(No)。
【0022】
ステップ4では、エンジン運転状態に応じて燃料噴射を行う。このとき、燃焼性や排気エミッションの低下を抑制するため、後述するバルブタイミング制御により、吸気弁20及び排気弁30の遅角又は進角が完了するまで、燃料噴射を遅延することが望ましい。
かかる燃料噴射制御によれば、回生制動中に燃料カット条件が成立すると、燃料噴射弁22からの燃料噴射が停止する。このため、回生制動を実行中には、エンジン10に燃料が供給されず、燃費向上を図ることができる。
【0023】
図6は、燃料噴射制御において燃料噴射が停止されたことを契機として、制御装置40が実行するバルブタイミング制御の第1実施例を示す。
ステップ11では、可変バルブタイミング機構38を制御し、図7に示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角が上死点(TDC)になるように進角させる。なお、上死点において、吸気弁20とピストン26との干渉が発生する場合には、可変バルブリフト機構36を制御し、吸気弁20のバルブリフト量を小さくするようにすればよい(以下同様)。
【0024】
ステップ12では、可変バルブタイミング機構38を制御し、図7に示すように、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が下死点(BDC)になるように進角させる。
ステップ13では、車速センサ68から車速VSPを読み込み、車速VSPが停止準備車速(例えば5km/h)以下であるか否かを判定する。そして、車速VSPが停止準備車速以下であれば処理をステップ15へと進める一方(Yes)、車速VSPが停止準備車速より大きければ処理をステップ14へと進める(No)。
【0025】
ステップ14では、開度センサ70からアクセル開度θを読み込み、アクセル開度θが所定開度以上、即ち、再加速要求があるか否かを判定する。そして、再加速要求があれば処理をステップ15へと進める一方(Yes)、再加速要求がなければ処理をステップ13へと戻す(No)。
ステップ15では、可変バルブタイミング機構38を制御し、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角を、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角させる。このとき、可変バルブリフト機構36により吸気弁20のバルブリフト量が小さくなっている場合には、吸気弁20のバルブリフト量を、エンジン運転状態に応じたバルブリフト量まで変更する(以下同様)。
【0026】
ステップ16では、可変バルブタイミング機構38を制御し、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角させる。
かかるバルブタイミング制御によれば、回生制動中に燃料噴射が停止すると、図8に示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角が上死点まで進角されると共に、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が下死点まで進角される。このため、排気行程の後半に吸気弁20が開弁していることから、吸気管12に噴き戻された逆流れの空気を吸気行程で吸入することとなり、筒内へと導入される空気量が抑制される。そして、吸気弁20の閉弁後の圧縮行程で圧縮される空気量が少なくなり、筒内圧力の最大値及び最小値が小さくなることから、トルク変動に伴うエンジン10の回転変動が抑制され、例えば、乗員に対してエンジン振動に起因する不快感を与えることを抑制できる。また、エンジン振動が低減して、運転性も向上させることができる。
【0027】
車速VSPが停止準備車速以下になると、図8に示すように、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角される。このため、エンジン運転状態としてアイドルストップを行う場合には、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が発進時の角度位置まで進角され、迅速な発進に備えることができる。一方、アクセル開度θが所定開度以上になると再加速要求があったと判断し、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角される。
【0028】
なお、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の代わりに、例えば、吸気弁20及び排気弁30のカムプロフィールを切り換える可変動弁機構を有する場合には、図9に示すように、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角を大きくするようしてもよい。また、排気弁30の開口面積が小さいことを踏まえ、図7及び図9に示すように、吸気弁20に比べて排気弁30のバルブ作動角を大きくすることで、排気抵抗の減少を通してポンピングロスをさらに低減することができる。
【0029】
さらに、可変バルブリフト機構36は、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角及びバルブリフト量を連続的に変更すると同時に、これらのバルブ作動角の中心位相角を変更するように構成されていてもよい(以下同様)。この場合には、可変バルブタイミング機構38を省略することができる。
図10は、燃料噴射制御において燃料噴射が停止されたことを契機として、制御装置40が実行するバルブタイミング制御の第2実施例を示す。なお、図6に示す第1実施例と共通する制御については、重複説明を排除することを目的として、その説明を簡略にする。
【0030】
ステップ21では、可変バルブタイミング機構38を制御し、図11に示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角が上死点になるように進角させる。
ステップ22では、可変バルブタイミング機構38を制御し、図11に示すように、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が上死点になるように遅角させる。
ステップ23では、車速センサ68から車速VSPを読み込み、車速VSPが停止準備車速以下であるか否かを判定する。そして、車速VSPが停止準備車速以下であれば処理をステップ25へと進める一方(Yes)、車速VSPが停止準備車速より大きければ処理をステップ24へと進める(No)。
【0031】
ステップ24では、開度センサ70からアクセル開度θを読み込み、アクセル開度θが所定開度以上、即ち、再加速要求があるか否かを判定する。そして、再加速要求があれば処理をステップ25へと進める一方(Yes)、再加速要求がなければ処理をステップ23へと戻す(No)。
ステップ25では、可変バルブタイミング機構38を制御し、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角を、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角させる。
【0032】
ステップ26では、可変バルブタイミング機構38を制御し、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を、エンジン運転状態に応じた角度位置まで進角させる。
かかるバルブタイミング制御によれば、回生制動中に燃料噴射が停止すると、図12に示すように、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角が上死点まで進角されると共に、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が上死点まで遅角される。このため、排気行程の後半に吸気弁20及び排気弁30が開弁していることから、吸気管12及び排気管32に噴き戻された逆流れの空気を吸気行程で吸入することとなり、筒内へと導入される空気量が抑制される。そして、吸気弁20の閉弁後の圧縮行程で圧縮される空気量が少なくなり、筒内圧力の最大値及び最小値が小さくなることから、トルク変動が抑制され、例えば、乗員に不快感を与えることを抑制できる。また、エンジン振動が低減して、運転性も向上させることができる。
【0033】
車速VSPが停止準備車速以下になると、図12に示すように、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、夫々、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角及び進角される。このため、エンジン運転状態としてアイドルストップを行う場合には、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、夫々、発進時の角度位置まで遅角及び進角され、迅速な発進に備えることができる。一方、アクセル開度θが所定開度以上になると再加速要求があったと判断し、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角が、夫々、エンジン運転状態に応じた角度位置まで遅角及び進角される。
【0034】
なお、可変バルブリフト機構36及び可変バルブタイミング機構38の代わりに、例えば、吸気弁20及び排気弁30のカムプロフィールを切り換える可変動弁機構を有する場合には、図13に示すように、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角を大きくするようしてもよい。また、排気弁30の開口面積が小さいことを踏まえ、図11及び図13に示すように、吸気弁20に比べて排気弁30のバルブ作動角を大きくすることで、排気抵抗の減少を通してポンピングロスをさらに低減することができる。
【0035】
次に、図9及び図13に示す吸気弁20及び排気弁30の開弁特性を前提とし、シミュレーションによって得られたポンピングロス低減効果及びトルク変動の低減効果を説明する。
従来方式並びに実施例1及び実施例2では、図14に示すPV線図のように、吸入・圧縮・膨張・排気の4行程がループを形成していないため、筒内圧力と容積変化との積分値は0となる。このため、PV線図の図示仕事が0となり、ポンピングロスを略0とすることができる。また、実施例1及び実施例2では、前述したように、筒内圧力の最大値及び最小値が小さくなることから、同図に示すように、従来方式に比べて、トルク変動幅を約1/4に抑制することができた。
【0036】
このような効果は、吸気弁20のバルブ作動角の中心位相角を上死点に変更すると共に、排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を上死点又は下死点に変更することが可能な可変動弁機構を備えていれば、制御プログラムの変更のみで実現できる。この場合、既存のエンジンシステムに新たな機構を追加せずに、トルク変動の抑制といった効果を享受できる。
【0037】
なお、前記実施形態では、吸気弁20及び排気弁30のバルブ作動角の中心位相角を上死点又は下死点まで変更したが、次のようにしてもよい。
即ち、吸気弁20の中心位相角を上死点に、排気弁30の中心位相角を下死点まで変更する代わりに、吸気弁20の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第1角度に変更すると共に、排気弁30の中心位相角を、下死点を含む範囲内で予め決められた第2角度まで変更するようにしてもよい。また、吸気弁20及び排気弁30の中心位相角を夫々上死点まで変更する代わりに、吸気弁20及び排気弁30の中心位相角を、夫々、上死点を含む範囲内で予め決められた第3角度及び第4角度まで変更するようにしてもよい。
【0038】
ここで、第1角度,第2角度,第3角度及び第4角度は、筒内に吸入される空気量と筒内から排出される空気量とが略等しくなるときの角度である。具体的には、第1角度,第3角度及び第4角度は、吸気弁20の開弁開始によりピストン26の上昇に伴って筒内から吸気側に排出される筒内排出空気量と、ピストン26の下降によって、吸気弁20の閉弁までに吸気側から筒内に導入される筒内導入空気量と、が略等しくなるときの角度である。第2角度は、排気弁30の開弁開始によりピストン26の上昇に伴って筒内から排気側に排出される筒内排出空気量と、ピストン26の下降によって、排気弁30の閉弁までに排気側から筒内に導入される筒内導入空気量と、が略等しくなるときの角度である。なお、第1角度,第2角度、第3角度又は第4角度としては、筒内排出空気量と筒内導入空気量とに差が生じてもトルク変動が許容できる角度としてもよい。
また、前記実施形態では、吸気弁20及び排気弁30に可変バルブリフト機構36が取り付けられていたが、バルブ作動角の中心位相角を上死点に変更するもののみ、可変バルブリフト機構36を取り付けるようにしてもよい。
【0039】
ここで、前記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
【0040】
(イ)前記電動モータによる回生制動時に、前記エンジンへの燃料噴射を停止する燃料カット手段と、前記回生制動を終了して、前記エンジンへの燃料噴射を再開する燃料噴射再開手段と、を含み、前記燃料噴射再開手段は、前記吸気弁及び前記排気弁の中心位相角が燃料噴射再開時の角度に変更されるまで、前記燃料噴射の停止を継続することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の制御装置。
回生制動中には、吸気弁及び排気弁の中心位相角は、上死点又は下死点を含む角度範囲内で予め決められた角度に変更されている。この状態で、燃料噴射を再開しても、吸気弁及び排気弁の中心位相角が燃焼に適した角度になっていないため、燃料と空気との混合気の燃焼性が低下したり、未燃焼ガスが排気されてしまうおそれがある。そこで、吸気弁及び排気弁の中心位相角が変更されるまで燃料噴射の停止を継続することで、燃焼性や排気エミッションの低下を抑制することができる。
【0041】
(ロ)前記可変動弁機構は、前記吸気弁及び前記排気弁のうち、少なくとも前記吸気弁のバルブリフト量を更に変更し、前記電動モータによる回生制動時に、前記吸気弁及び前記排気弁のうち少なくとも吸気弁とピストンとの干渉を回避するように、前記吸気弁及び前記排気弁のうち少なくとも吸気弁のバルブリフト量を小さくすることを特徴とする請求項1〜請求項3及び(イ)のいずれか1つに記載の制御装置。
電動モータによる回生制動中には、吸気弁及び排気弁のうち少なくとも吸気弁の中心位相角が上死点近傍となる。そこで、可変動弁機構により、吸気弁及び排気弁のうち少なくとも吸気弁のバルブリフト量を小さくすることで、ピストンとの干渉を回避することができる。
【0042】
(ハ)前記排気弁のバルブ作動角は、前記吸気弁のバルブ作動角より大きいことを特徴とする請求項1〜請求項3、(イ)及び(ロ)のいずれか1つに記載のバルブタイミング制御装置。
排気弁の開口面積は小さいので、吸気弁に比べて排気弁のバルブ作動角を大きくすることで、排気抵抗の減少を通してポンピングロスをさらに低減することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 エンジン
20 吸気弁
26 ピストン
30 排気弁
36 可変バルブリフト機構
38 可変バルブタイミング機構
40 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータを発電機として作動させることで、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回生制動を行う車両に適用され、エンジンの吸気弁及び排気弁のバルブ作動角の中心位相角を変更可能な可変動弁機構を制御するための制御装置において、
前記電動モータによる回生制動時に、前記吸気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第1角度に変更すると共に、前記排気弁の中心位相角を、下死点を含む角度範囲内で予め決められた第2角度に変更することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第1角度及び前記第2角度は、夫々、上死点及び下死点であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
電動モータを発電機として作動させることで、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回生制動を行う車両に適用され、エンジンの吸気弁及び排気弁のバルブ作動角の中心位相角を変更可能な可変動弁機構を制御するための制御装置において、
前記電動モータによる回生制動時に、前記吸気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第3角度に変更すると共に、前記排気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第4角度に変更することを特徴とする制御装置。
【請求項1】
電動モータを発電機として作動させることで、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回生制動を行う車両に適用され、エンジンの吸気弁及び排気弁のバルブ作動角の中心位相角を変更可能な可変動弁機構を制御するための制御装置において、
前記電動モータによる回生制動時に、前記吸気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第1角度に変更すると共に、前記排気弁の中心位相角を、下死点を含む角度範囲内で予め決められた第2角度に変更することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第1角度及び前記第2角度は、夫々、上死点及び下死点であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
電動モータを発電機として作動させることで、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回生制動を行う車両に適用され、エンジンの吸気弁及び排気弁のバルブ作動角の中心位相角を変更可能な可変動弁機構を制御するための制御装置において、
前記電動モータによる回生制動時に、前記吸気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第3角度に変更すると共に、前記排気弁の中心位相角を、上死点を含む角度範囲内で予め決められた第4角度に変更することを特徴とする制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−67631(P2012−67631A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211233(P2010−211233)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]