説明

制御装置

【課題】ベースと本体が着脱可能な制御装置を複数隣接して配置した制御ユニットについて配線したケーブルによるストレスから制御装置間において互いが反発する向きに力が発生しても制御装置間に隙間が生じない制御装置を提供する。
【解決手段】ベースと本体とからなり、DINレールにベースが取り付けられている状態で本体を回動することにより本体のみを着脱可能な制御装置であって、制御装置本体の少なくとも上面または下面のいずれか一方に嵌合穴と、当該嵌合穴を有する面に取り付けられており、本体をベースと着脱する際の回動と同じ方向に回動可能であり、その先端の突起部が隣接する制御装置の嵌合穴に嵌合して制御装置を隣接する制御装置と連結固定する連結部材とを備えるようにしたので、配線したケーブルによるストレスから制御装置間において互いが反発する向きに力が発生しても制御装置間に隙間が生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベースと本体とを着脱可能な制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、温度調節計などの制御装置は、用途に応じて入出力の種別や機能により最適な制御装置が選択され、複数の制御装置を隣接して配置した制御ユニットとして使用される。最適な制御ユニットに任意に対応するため、また、故障時にはその制御装置のみを交換可能とするために、近年では制御装置のベースがDINレールに取り付けられたまま、本体のみを取り外し可能とする構成の制御装置が増えている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ベースがDINレールに取り付けられたまま、本体とベースとを着脱可能な制御機器であって、ベースの上面に係止爪を、本体上面に弾性変形可能に形成されたばね部を、それぞれ有し、ばね部の一端が係止爪と係合し、他端に係止爪との係合を操作するボタンを有する構成とすることにより、ベースと本体の着脱を容易に行うことができる機器ユニット着脱機構および制御機器について開示されている。
ここで、本体とベースとを着脱可能な制御装置を複数隣接して配置した制御ユニットについて配線作業を行うと、配線したケーブルによるストレスから制御装置間において互いが反発する向きに力が発生し、制御装置の本体間に隙間が生じ、設計通りに制御装置を設置することができない場合がある。このように制御装置間に隙間が生じ、制御装置が正常に設置されていないと、ベースと本体の接続に支障が生じ、制御装置の誤動作や安全性または耐久性などにおいて問題が生じる恐れがあり、また、制御装置を設計通りに設置することができないため、連結後の外形寸法が大きくなり、予定通りの盤に設置することができないなど、制御装置周辺を整理することが困難になり、機能および外観において問題となる。
【0004】
制御装置を複数隣接して配置した制御ユニットにおける、配線後に制御装置間に隙間が生じることに関する対策として、例えば、特許文献2には、制御装置の上面および下面にスライドロック部材を備え、スライドロック部材が隣り合う制御装置の鉤形の連絡片を係止することにより制御装置間をロックする連結構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−129891号広報
【特許文献2】特開2001−60773号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2のような、スライドロック部材と隣り合う制御装置の鉤形の連絡片を係止することでロックする連結構造は、本体とベースとが一体である制御装置を複数隣接して配置した制御ユニットにおいては適用できても、本体とベースとを着脱可能な制御装置を複数隣接して配置した制御ユニットには適用することはできないため、本体とベースとを着脱可能な制御装置を複数隣接して配置した制御ユニットについては、依然として、配線作業を行うと制御装置の本体間に隙間が生じてしまうという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ベースと本体が着脱可能な制御装置を複数隣接して配置した制御ユニットについて、配線したケーブルによるストレスから制御装置間において互いが反発する向きに力が発生しても制御装置間に隙間が生じない制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明に係る制御装置は、ベースと本体とからなり、DINレールに前記ベースが取り付けられている状態で前記本体を回動することにより前記本体のみを着脱可能な制御装置であって、前記制御装置本体の少なくとも上面または下面のいずれか一方に嵌合穴と、当該嵌合穴を有する面に取り付けられており、前記本体を前記ベースと着脱する際の前記回動と同じ方向に回動可能であり、その先端の突起部が隣接する制御装置の前記嵌合穴に嵌合して前記制御装置を前記隣接する制御装置と連結固定する連結部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明に係る制御装置は、前記制御装置の側面において他の制御装置と隣接するものであり、前記連結部材は、前記先端の突起部を含む先端部が、前記制御装置の正面視コの字状になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明の制御装置によれば、ベースと本体が着脱可能な制御装置を複数隣接して設置した制御ユニットについて、隣接する制御装置間を連結固定することにより、配線したケーブルによるストレスから制御装置間において互いが反発する向きに力が発生しても制御装置間に隙間が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る制御装置を複数隣接して配置および連結した制御ユニットがDINレールに取り付けられている状態を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る制御装置の全体の構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る制御装置の図2(d)の拡大図である。
【図4】図2の制御装置を複数隣接して配置および連結した制御ユニットについての全体の説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る制御装置の第1の嵌合穴についての説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る制御装置の第1のレバーの斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る制御装置の第1のレバーの構成図である。
【図8】図4の制御ユニットから制御装置を取り外す状態を示す斜視図である。
【図9】図4の制御ユニットにおいて、制御装置のベースから本体を取り外す場合ついての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る制御装置を複数隣接して配置および連結した制御ユニットがDINレールに取り付けられている状態を示す斜視図である。この状態の制御装置の構成について、図2から図7を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図2は、この発明の実施の形態1に係る制御装置の構成図である。図2(a)は制御装置1の正面図であり、図2(b),(c)は制御装置1をそれぞれ図2(a)のB1,C1の方向から見た図であり、また、図2(d),(e)は制御装置1をそれぞれ図2(b)のD1,E1の方向から見た図である。
【0014】
図2に示すように、制御装置1は着脱可能なベース10と本体20とにより構成されている。ベース10は、DINレールに取り付けるためのDINレール接続部11、一方の隣接する制御装置2(図示せず)のベース10と接続固定するためのサイドコネクタ(オス)12と、他方の隣接する制御装置3(図示せず)のベース10と接続固定するためのサイドコネクタ(メス)13を備えている。
ベース10は、DINレール接続部11によってDINレールに取り付けられ、サイドコネクタ(オス)12によって一方の隣接する制御装置2のベース10と、サイドコネクタ(メス)13によって他方の隣接する制御装置3のベース10と、それぞれ接続されて固定される。
【0015】
本体20は、連結部として、上面に第1のピン21によってX方向(本体20をベース10と着脱する際の回動方向と同じ方向)に回動可能に固定された第1のレバー(第1の連結部材)22と、隣接する制御装置2の第1のレバー22と嵌合する第1の嵌合穴25を備え、下面に第2のピン23によってX方向に回動可能に固定された第2のレバー(第2の連結部材)24と、隣接する制御装置2の第2のレバー24と嵌合する第2の嵌合穴26を備えている。
【0016】
図3は、この発明の実施の形態1に係る制御装置の図2(d)の拡大図である。図3に示すように、第1のレバー22は第1の半球状突起部27を有しており、また、この第1の半球状突起部27と接する本体20には第1の半球状突起部27と嵌合する円柱状の貫通穴である第3の嵌合穴28が設けられている。すなわち、第1のレバー22を倒すと第1の半球状突起部27が第3の嵌合穴28に嵌合し、第1のレバー22は固定される。
なお、第2のレバー24も第1のレバー22と同様の構成を有しており、第2の半球状突起部29(図示せず)を有し、また、この半球状突起部29と接する本体20には第2の半球状突起部29と嵌合する第4の嵌合穴30(図示せず)が設けられている。すなわち、第2のレバー24を倒すと第2の半球状突起部29が第4の嵌合穴30に嵌合し、第2のレバー24は固定される。
【0017】
図4は、図2の制御装置1を複数隣接して配置および連結した制御ユニットについての全体の説明図である。図4(a)は連結状態の制御装置1,2,3の正面図であり、制御装置1と隣接する制御装置2,3が第1のレバー22および第2のレバー24によって連結されている。図4の(b)は連結状態の制御装置1,2,3を図4(a)のB2の方向から見た図であり、図4(c),(d)は連結状態の制御装置1,2,3を図4(b)のC2,D2の方向から見た図である。
【0018】
図4に示すように、制御装置3の第1のレバー22および第2のレバー24が制御装置1の第1の嵌合穴25および第2の嵌合穴26に嵌合し、また、制御装置1の第1のレバー22および第2のレバー24が制御装置2の第1の嵌合穴25および第2の嵌合穴26に嵌合することにより、制御装置1は隣接する制御装置2および3と連結固定されている。
【0019】
図5は、この発明の実施の形態1に係る制御装置の第1の嵌合穴25についての説明図であり、第1の嵌合穴25は緩やかな傾斜25a,25bを有する。また、第2の嵌合穴26についても第1の嵌合穴25と同様の形状であり、緩やかな傾斜26a,26b(図示せず)を有する。
【0020】
図6は、この発明の実施の形態1に係る制御装置の第1のレバー22の斜視図であり、また、図7は、この発明の実施の形態1に係る制御装置の第1のレバー22の構成図である。図7(a)は、第1のレバー22の正面図であり、図7(b),(c)は第1のレバー22をそれぞれ図7(a)のB3,C3の方向から見た図であり、また、図7(d),(e),(f)は第1のレバー22をそれぞれ図7(b)のD3,E3,F3の方向から見た図である。
図6に示すように、第1のレバー22は、第1のレバー22を倒した際に、隣接する制御装置の第1の嵌合穴25に嵌合する第1の突起部31をその先端に有しており、第1のレバー22の先端部(先端の第1の突起部31を含む先端部)を制御装置の正面から(Gの方向から)見た場合、コの字状になっている(図7(a)参照)。
なお、第2のレバー24についても、第1のレバー22と同様の構造を有し、第2の突起部32(図示せず)をその先端に有しており、この先端の第2の突起部32を含む先端部は制御装置の正面視(Gの方向から見た場合)コの字状になっている。
【0021】
ここで、例えば制御装置1が故障し、制御装置1の本体20のみを交換する必要が生じたとする。図8は、図4の制御ユニットから制御装置1を取り外す状態を示す斜視図であり、図8に示すように、制御装置1の本体20をX1方向に回動することにより、この本体20のみをベース10から取り外す。このように、連結された隣接する制御装置の中から1つの制御装置の本体のみを取り外す場合について、図9を参照しながら、詳細に説明する。
【0022】
図9は、図4の制御ユニットにおいて、制御装置1のベース10から本体20を取り外す場合ついての説明図であり、図9(a)は連結状態の制御装置1,2,3の正面図であり、図9(b)は連結状態の制御装置1,2,3を図9(a)のB4の方向から見た図であり、図9(c),(d)は連結状態の制御装置1,2,3を図9(b)のC4、D4の方向から見た図であり、図9(e),(f)は、図9(c)のE4−E4線断面図およびF4−F4線断面図である。
【0023】
図9(b)に示すように、X1の方向へ制御装置1の本体20を回動させることによりベース10から本体20を取り外すと、図9(e)に示すように、制御装置3の第1のレバー22の先端が制御装置1の第1の嵌合穴25の傾斜25a(図5参照)に沿って嵌合穴25から外れ、また、制御装置3の第2のレバー24は制御装置1の本体20の底面に押されて制御装置1の第2の嵌合穴26から外れる。これは第1のレバー22および第2のレバー26がそれぞれ第1のピン21および第2のピン23によって、本体20をベース10と着脱する際の回動方向(X方向)と同じ方向に回動可能であるからである。また、図9(f)に示すように、制御装置1の第1のレバー22は制御装置2の第1の嵌合穴25の斜面25b(図5参照)に沿って外れ、制御装置1の第2のレバー24は遮るものがないため制御装置1に付いたまま、制御装置2の第2の嵌合穴26から外れる。
【0024】
このようにして、制御装置1,2,3は隣接して配置されているだけでなく、それぞれが連結部材と嵌合穴によって連結固定されている状態であっても、制御装置1の本体20のみを単独で取り外すことができ、かつ、その本体20を取り外すという動作のみで隣接する制御装置2,3との連結状態を解除することができる。また、連結部材が制御装置の本体に設けられているので紛失することがない。
【0025】
なお、実施の形態1においては、連結部として、本体20の上面に第1のレバー22と第1の嵌合穴25を、本体20の下面に第2のレバー24と第2の嵌合穴26を、それぞれ備えているが、本体20の上面または下面のどちらか一方のみに連結部を備え、他方は連結部を備えない構成としてもよい。
【0026】
以上のように、この発明の制御装置によれば、DINレールにベース10が取り付けられている状態で本体20を回動することにより本体20のみを着脱可能な制御装置であって、少なくとも上面または下面のいずれか一方に嵌合穴と、先端の突起部が隣接する制御装置の嵌合穴に嵌合して制御装置を隣接する制御装置と連結固定する連結部材とを有するように構成したので、配線を行ってもケーブルによるストレスから制御装置間において互いが反発する向きに力が発生しても制御装置間に隙間が生じることがない。また、ベース10から本体20を取り外す際に回転させる回動方向と同じ回動方向に連結部材が回動するため、ベース10から本体20を取り外す際に連結部材を外す動作が不要となる。
【0027】
また、連結部材の先端部がコの字状になっているように構成したので、連結した際の固定が強く、より隙間が生じない。
【0028】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1,2,3 制御装置
10 ベース
11 DINレール接続部
12 サイドコネクタ(オス)
13 サイドコネクタ(メス)
20 本体
21 第1のピン
22 第1のレバー
23 第2のピン
24 第2のレバー
25 第1の嵌合穴
26 第2の嵌合穴
27 第1の半球状突起部
28 第3の嵌合穴
29 第2の半球状突起部
30 第4の嵌合穴
31 第1の突起部
32 第2の突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと本体とからなり、DINレールに前記ベースが取り付けられている状態で前記本体を回動することにより前記本体のみを着脱可能な制御装置であって、
前記制御装置本体の少なくとも上面または下面のいずれか一方に嵌合穴と、
当該嵌合穴を有する面に取り付けられており、前記本体を前記ベースと着脱する際の前記回動と同じ方向に回動可能であり、その先端の突起部が隣接する制御装置の前記嵌合穴に嵌合して前記制御装置を前記隣接する制御装置と連結固定する連結部材と
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、当該制御装置の側面において他の制御装置と隣接するものであり、
前記連結部材は、前記先端の突起部を含む先端部が、前記制御装置の正面視コの字状になっている
ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−74020(P2013−74020A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210607(P2011−210607)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】