説明

制振のために地中に配設される制振地盤及びそれを用いた制振工法

【課題】 低振動数帯域の振動に対しても十分な制振効果を得る。
【解決手段】制振のために地中に配設される周辺地盤より高強度の制振地盤であって、側方壁により取り囲まれた柱状の構成単位が少なくとも2以上連続してなる構造体を含んでなり、次の(1)を満たすものである、制振地盤。(1)dがλ/10以上でありλ/4以下であること(ただし、該柱状の長手方向に対して垂直な平面による断面における該構成単位の面積と、該断面における該構成単位の内部が占める面積と、の両面積の算術平均である平均面積と等しい面積を有する円の直径をdとする。そして、λは該周辺地盤の伝播波の波長である。以下同様。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振のために地中に配設される制振地盤及びそれを用いた制振工法に関し、より詳細には、例えば、鉄道や道路、プレス機等を設置した工場基礎構造物などからの周辺地盤への振動伝播の抑制や、振動の伝播による近傍建物等の振動を抑制するため、地中に配設される制振地盤及びそれを用いた制振工法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機械振動や交通振動によって構造物周辺への振動障害が多発しており、振動障害を防ぐ対策が強く望まれている。とくに軟弱地盤上の杭基礎の場合、振動が軟弱層内へ伝播されてその周辺地盤への影響が大きく、又表層地盤内の固有振動が誘発されることもある。
振動障害を防止する一方法として、振動を発する基礎構造物の周囲にトレンチを設ける場合がある。しかしこの方法では、完全なトレンチを保持することは実際には不可能なため、土留や支保部材を設置する必要があるが、土留などによって制振効果が減少するうえ、トレンチ部分の土地利用ができなくなる欠点がある。
又、剛性の高い地中鉛直壁を、振動を発する基礎構造物の周囲に設置する方法もある。しかしこの方法も水道管などの地下埋設物への対策の必要や、コストが嵩むなどの欠点がある。
【0003】
本出願人は、上記従来方法の欠点を解消するため、発明の名称を「埋設平板ブロックによる制振方法」として先に特許出願をし(特許文献1参照)、特許された(特許文献2参照)。この特許発明の特徴は、「振動を発する又は振動を受ける基礎構造物の下方の地中、或いは基礎構造物の周囲の地中に、周辺地盤より剛性の高い平板ブロックを水平方向に設ける制振方法に於いて、平板ブロックは、基礎構造物の基礎幅と同程度以上の幅と、平板ブロックの幅の1/5程度以上の厚みと、せん断波速度で周辺地盤の3〜5倍以上の剛性とを有し、α・Vs/4f(但しα=0.5〜0.8、Vsは地盤のせん断波速度、fは振動数)の深さに設置される」ことにある。前記方法は、解析結果や試験結果から、平板ブロックが鉛直壁に比べて制振効果が高いことが判明した。
【0004】
しかしながら前記方法では、高圧噴射攪拌工法を使用する場合は、土被りが少ないため注入圧により上部が乱れ、機械攪拌工法を使用する場合は、地表面より攪拌を行うためやはり上部が乱れて、いずれの場合も土被り部の乱れを生じる。その結果、地表沈下の発生や、トラフィカビリティの確保が困難で作業性が悪い問題が生じた。
又、平板ブロックを一段のみ設置すると、とくに軟弱層が深い場合、下層部に対する振動抑制効果が少ない。
【0005】
前記欠点を解消するため本出願人は、発明の名称を「制振及び液状化防止の地盤固結工法」として特許出願をし(特許文献3参照)、既に特許されている(特許文献4参照)。この発明は、「振動を発する又は振動を受ける基礎構造物の下方或いは周囲の地中若しくは内部に、地盤固結工法により周辺地盤より高強度の固結地盤を造成し、固結地盤の上層の土被り部を、固結地盤より低強度で改良する」ことに特徴がある。
【0006】
この固結工法によると、土被り部を低強度改良により制振効果を損なうことなく、地表面沈下の防止とともにトラフィカビリティを確保でき、コスト減、工期短縮を図ることができた。
しかし前記固結工法は、改良容積比率をできるだけ小さくし、固結地盤を構成する各固結体、例えば柱状固結体は、互いに接することなく間隔をおいて造成されていたので、地盤に振動が与えられると、各柱状固結体がそれぞれ単独に振動する。そのため、コスト高にはなるが改良率100%の完全に連続した平板ブロックに比べて、制振効果が劣るうえ、地盤支持力が弱く不等沈下発生などの危険性があった。
【0007】
そこで、改良容積比率を小さくしたまま、地盤に振動が与えられたとき,各柱状固結体が単独で振動することを防止するとともに、地盤支持力を増大させて構造物や地盤の不等沈下を防止するため、次のような発明をし「制振及び液状化防止のための地盤固結工法」の名称で特許出願をした(特許文献5参照)。
その特徴は、「振動を発する又は振動を受ける基礎構造物の下方の地中、或いは基礎構造物の周囲の地中、若しくは基礎構造物の内部に、周辺地盤より高強度の固結地盤を造成する地盤固結工法に於いて、固結地盤を構成する個々の柱状の固結体は、隣合う固結体と連結されて互いに連続している」ことにある。
【0008】
また、同様に、改良容積比率を小さくしたまま、地盤に振動が与えられたとき,各柱状固結体が単独で振動することを防止するとともに、地盤支持力を増大させて構造物や地盤の不等沈下を防止するため、次のような発明をし「制振及び液状化防止のための地盤固結工法」の名称で特許出願をした(特許文献6参照)。
その特徴は、「振動を発する又は振動を受ける基礎構造物の下方の地中、或いは基礎構造物の周囲の地中、若しくは基礎構造物の内部に、周辺地盤より高強度の固結地盤を造成する地盤固結工法に於いて、固結地盤を構成する個々の柱状の固結体は、隣合う固結体とX状に交差して連結されて互いに連続している」ことにある。
【0009】
【特許文献1】特開平7−3829号公報
【特許文献2】特許第2850187号公報
【特許文献3】特開平8−74281号公報
【特許文献4】特許第2764696号公報
【特許文献5】特開平11−280087号公報
【特許文献6】特開2000−282501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述の「埋設平板ブロックによる制振方法」(特許文献1参照、特許文献2参照)に係る発明及び「制振及び液状化防止の地盤固結工法」(特許文献3参照、特許文献4参照)に係る発明では、低振動数帯域の振動に対する制振効果が低いという問題があった。従って、地震、或いは交通振動などの人工振動源に対しても、低振動数帯で卓越する地盤などに於いては、制振効果に問題が残っていた。
【0011】
そこで、本発明においては、低振動数帯域の振動に対しても制振効果を得ることができる「制振のために地中に配設される制振地盤及びそれを用いた制振工法」を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の制振地盤(以下、「本地盤」という。)は、制振のために地中に配設される周辺地盤より高強度の制振地盤であって、側方壁により取り囲まれた柱状の構成単位が少なくとも2以上連続してなる構造体を含んでなり、次の(1)を満たすものである、制振地盤である。ここに(1)dがλ/10以上でありλ/4以下であること(ただし、該柱状の長手方向に対して垂直な平面による断面における該構成単位の面積と、該断面における該構成単位の内部が占める面積と、の両面積の算術平均である平均面積と等しい面積を有する円の直径をdとする。そして、λは該周辺地盤の伝播波の波長である。以下同様。)である。
【0013】
本地盤は、構造体が地中に配設されることで形成される。ここに構造体は、側方壁(必ずしも全面にわたって連続するものである必要はなく、例えば、開口やスリット等を有してもよい。)により取り囲まれた柱状の構成単位が少なくとも2以上連続してなるものである。ここにいう「柱状」とは、柱面の全ての母線と交わる異なる2つの平面と該柱面とで囲まれた立体をいい、一例を挙げれば、円柱、楕円柱、角柱(例えば、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、・・・・n角柱(但し、nは正の整数))等を例示できる。また、柱状の構成単位は、該柱面が壁(側方壁)により取り囲まれていれば足り、両底のいずれか一方又は両方が閉じられているか開放されているかは問わない。
そして、柱状の構成単位が「連続」するとは、互いに隣接する構成単位A及び構成単位Bを考えたとき、構成単位Aの側方壁(以下、「壁a」という。)と構成単位Bの側方壁(以下、「壁b」という。)とが互いに接する場合(壁aの一部と壁bの一部とは連結される。)、壁aと壁bとが面する場合(壁aの一部と壁bの一部とは連結される。)、壁aと壁bとが共通する場合(即ち、一つの壁が壁aと壁bとの両方の役割を果たす場合)の3つの場合を含む。
【0014】
さらに、本地盤は、次の(1)を満たす。即ち、(1)dがλ/10以上でありλ/4以下であること(ただし、該柱状の長手方向に対して垂直な平面による断面における該構成単位の面積と、該断面における該構成単位の内部が占める面積と、の両面積の算術平均である平均面積と等しい面積を有する円の直径をdとする。そして、λは前記周辺地盤の伝播波の波長である。以下同様。)
まず、前記構成単位が形成する前記柱状の長手方向(即ち、前記母線に平行な方向)に対して垂直な平面による断面における該構成単位の面積(該断面における該構成単位の側方壁の外縁により取り囲まれる面積)s1と、該断面における該構成単位の内部が占める面積(該断面における該構成単位の側方壁の内縁により取り囲まれる面積)s2と、の両面積(s1、s2)の算術平均である平均面積S(即ち、S=(s1+s2)/2)を考える。この平均面積Sと等しい面積を有する円の直径をdとする。また、少なくとも2以上連続する構成単位それぞれのdが異なる場合は、最小のdを用いる。
そして、λは前記周辺地盤の伝播波の波長であり、通常、前記周辺地盤の振動数、波長、最小群速度の関係を与える分散特性図から決定される。
このようなdは、好ましくはλ/10以上、より好ましくはλ/8以上、そして好ましくはλ/4以下とされる(通常、好ましくはλ/10以上λ/4以下、より好ましくはλ/8以上λ/4以下である。)。
【0015】
以上説明した本地盤は、制振のために地中に配設される周辺地盤より高強度の制振地盤であり、低振動数帯域の振動に対しても極めて優れた制振効果を得ることができる。なお、本地盤が「高強度」であるとは、本地盤の強度(一軸圧縮強度をいう。)が10kgf/cm2 以上であることと、剪断波速度で前記周辺地盤の3倍以上であることと、の少なくともいずれかが満たされることをいう。
【0016】
また、本地盤は、次の(2)をさらに満たすものであってもよい。即ち、(2)Wがλ/4以上であること(ただし、Wは、前記周辺地盤の伝播波が伝播する方向に沿った前記構造体の寸法である。以下同様。)
ここにWは、前記周辺地盤の伝播波が伝播する方向に沿った前記構造体の寸法であるが、伝播波が伝播する方向とは、振動の発生地点(地盤に振動を与える位置)と制振効果を要する地点(地盤から目的物へ振動を与える位置)とを通る直線に沿った方向をいう。また、該方向に沿った前記構造体の寸法が場所により異なる場合は、該異なる値のうち最小値をWとする。
このようなWは、好ましくはλ/4以上、より好ましくはλ/3以上、最も好ましくはλ以上とされる。そして、Wの上限は特にないが、Wが大きくなると本地盤を形成する費用やスペースが大きくなる(これら費用やスペースの増加に対して制振効果の増加割合が低くなる)のでWがあまり大きいと不経済であるから、通常、Wは好ましくは3λ以下、より好ましくは2λ以下とされる(通常、好ましくはλ/4以上3λ以下、より好ましくはλ/3以上2λ以下、最も好ましくはλ以上2λ以下である。)。
上記(2)を満たす本地盤は、低振動数帯域の振動に対して一段と優れた制振効果を得ることができる。
そして、前記周辺地盤の伝播波が伝播する方向に対して垂直かつ地表面に平行な方向(以下、「伝播垂直方向」とも言う。)に沿った前記構造体の寸法Jがλ/4以上であってもよい。また、伝播垂直方向に沿った前記構造体の寸法が場所により異なる場合は、該異なる値のうち最小値をJとする。
このようなJは、好ましくはλ/4以上、より好ましくはλ/3以上、最も好ましくはλ以上とされ、そしてJの上限は特にないが、Jが大きくなると本地盤を形成する費用やスペースが大きくなる(これら費用やスペースの増加に対して制振効果の増加割合が低くなる)のでJがあまり大きいと不経済であるから、通常、Jは好ましくは3λ以下、より好ましくは2λ以下とされる(通常、好ましくはλ/4以上3λ以下、より好ましくはλ/3以上2λ以下、最も好ましくはλ以上2λ以下である。)。
【0017】
また、本地盤は、次の(3)をさらに満たすものであってもよい。即ち、(3)Hがd/4以上であること(ただし、Hは、前記構造体の深さである。)と、前記構造体が前記周辺地盤の支持層に達すること、との両者のうち少なくともいずれかが満たされること
従って、Hがd/4以上であることを第1条件とし、前記構造体が前記周辺地盤の支持層に達することを第2条件とすると、第1条件と第2条件とのうちいずれか一方又は両方が満たされればよい。
ここにHは前記構造体の深さ(前記構造体の下端と地表との間の距離)であるが、前記構造体の部分によって深さが異なる場合には、該異なる値のうち最小値をとる。
このようなHは、第1条件において、好ましくはd/4以上、より好ましくはd/2以上、最も好ましくはd以上とされ、そして好ましくは3λ/2以下、より好ましくはλ以下、最も好ましくはλ/2以下とされる(通常、好ましくはd/4以上3λ/2以下、より好ましくはd/2以上λ以下、最も好ましくはd以上λ/2以下である。)。
そして、第2条件において、構造体が前記周辺地盤の「支持層に達する」とは、構造体の少なくとも一部が支持層に達していることをいう。
上記(3)を満たす本地盤は、低振動数帯域の振動に対して一段と優れた制振効果を得ることができる。
【0018】
本地盤は、くい基礎の下方又は周辺に配設されることができ、その場合には次の(4)をさらに満たすものであってもよい。即ち、(4)Hが1/β以上であること(ただし、Hは、前記構造体の深さである。また、β=(kφ/(4EI))0.25 、ここにkは前記周辺地盤のバネ係数であり、φは該くい基礎に使用されるくいの径であり、EIは該くい基礎に使用されるくいの曲げ剛性係数である。)
なお、ここにくい基礎の「下方」とは、くい基礎の内部(くい基礎を構成する複数のくい同士の間)をも含む概念である。そして、くい基礎の「周辺」とは、くい基礎から3λ(但し、λは周辺地盤の伝播波の波長)以内の距離をいう。
そして、kは前記周辺地盤のバネ係数(通常、道路橋示方書により定義される。)であり、φは該くい基礎に使用されるくいの径であり、EIは該くい基礎に使用されるくいの曲げ剛性係数(単位は例えば、kN・m)である。
このようなHは、好ましくは1/β以上、より好ましくはπ/(2β)以上(但し、πは円周率を示す。)とされ、そしてHの上限は、該くい基礎に使用されるくいの長さと前記周辺地盤の支持層までの深さとのいずれか小さいもの以下と好ましくはされる。
くい基礎の下方又は周辺に配設されて上記(4)を満たす本地盤は、低振動数帯域の振動に対して一段と優れた制振効果を得ることができる。
【0019】
本地盤は、前記構造体は前記周辺地盤に対してせん断波速度で3倍以上剛性が高く、前記構造体に対してせん断波速度で1倍以下の剛性を有する中詰め材が、前記構成単位の内部に充填されるものであってもよい。
なお、ここにいう「剛性」とは、せん断波速度によって決定されるものをいう。
前記構造体の剛性は、前記周辺地盤の剛性に対してせん断波速度で、通常2倍以上、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上、最も好ましくは5倍以上とされ、そして好ましくは30倍以下、より好ましくは20倍以下、最も好ましくは10倍以下とされる(通常、好ましくは3倍以上30倍以下、より好ましくは4倍以上20倍以下、最も好ましくは5倍以上10倍以下である。)。
前記構成単位の内部に充填される中詰め材の剛性は、前記構造体の剛性に対してせん断波速度で、好ましくは1/5倍以上、より好ましくは1/4倍以上、最も好ましくは1/3倍以上とされ、そして好ましくは1倍以下とされる(通常、好ましくは1/5倍以上1倍以下、より好ましくは1/4倍以上1倍以下、最も好ましくは1/3倍以上1倍以下である。)。このような中詰め材としては種々のものが用いられてよく何ら制限されるものではないが、例えば、特開2002ー321639にて開示したタイヤシュレッドとセメントその他のバインダーなどを用いてもよい。
このような本地盤は、低振動数帯域の振動に対して一段と優れた制振効果を得ることができる。
【0020】
前記構成単位が六角柱を略形成するものであってもよい。
前述のように構成単位は柱状(柱面の全ての母線と交わる異なる2つの平面と該柱面とで囲まれた立体)をなし、柱状の例を挙げれば、円柱、楕円柱、角柱(例えば、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、・・・・n角柱(但し、nは正の整数))等を例示できる。
これらのうち構成単位を六角柱とすると、低振動数帯域の振動に対して一段と優れた制振効果を得ることができる。
【0021】
前記側方壁が、長手方向が互いに略平行になるように地中に配設され、互いに隣接するもの同士を少なくとも1カ所以上で連結した複数の棒状部材によって形成されたものであってもよい。
ここに「棒状部材」とは、直線に沿った長手方向を有する部材をいい、例えば、円柱、楕円柱、角柱(例えば、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、・・・・n角柱(但し、nは正の整数))、帯状(細長い長方形の両主表面を有する形状)等の形状を有する部材を一例として挙げることができる。
かかる複数の棒状部材を用い、長手方向が互いに略平行になるよう、互いに隣接する棒状部材同士を少なくとも1カ所以上で連結することで、側方壁を形成すれば、側方壁を容易に形成することができるので、本地盤を迅速かつ安価に形成することができる。
なお、棒状部材としては、例えば、コンクリート(プレキャストコンクリートぐい)や鋼管の既製くい等のような既製物を用いることもできるし、機械撹拝工法による地盤改良、高圧噴射撹拝工法、薬液注入工法等により形成されるくい、現場打ちぐい、木くいで形成することもできる。また、棒状部材同士の連結は、既製物の棒状部材の場合は、両部材を連結するバンド等のような連結部材を用いる方法や、両部材の一方に凹部を形成すると共に他方に凸部を形成しておき該凹部と該凸部とを嵌合させる方法等を用いることができる。そして、棒状部材を現場で形成する場合には、両部材が硬化する前に両部材が接触するようにして両部材の一部が接合するようにしてもよい(無論、既製物の棒状部材の場合と同様、連結部材を用いる方法や、凹部と凸部とを嵌合させる方法等を用いてもよい。)。
【0022】
前述のように、本地盤は、制振のために地中に配設されることで、低振動数帯域の振動に対しても優れた制振効果を奏することができるので、本地盤を地中に形成することにより、制振工法(以下、「本工法」という。)を構成することができる。
かかる本工法においては、本地盤は、振動を発する又は振動を受ける基礎構造物の下方の地中である第1場所及び該基礎構造物の周囲の地中である第2場所の少なくともいずれかに配設される。即ち、本地盤は、第1場所及び第2場所のいずれか一方又は両方に配設される。
なお、基礎構造物の「周囲」とは、基礎構造物から3λ(但し、λは周辺地盤の伝播波の波長)以内の距離をいう。そして、基礎構造物の「下方」とは、基礎構造物の内部(例えば、基礎構造物がくい基礎であれば、該くい基礎を構成する複数のくい同士の間)をも含む概念である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の制振地盤(本地盤)を形成する構造体の一例を示す図である。具体的には、図1(a)は、本地盤を形成する一例の構造体11を示す斜視図であり、図1(b)は、構造体11を示す一部平面図(図1(a)中、矢印A方向から見たところの一部を示している。)である。図1を参照して、構造体11について説明する。実際は後述するように、構造体11は土中に配設されている。
構造体11は、六角柱を略形成する構成単位21(特に、図1(b)を参照されたい。)が複数連続して形成されている。各構成単位21は、いずれも側方壁により取り囲まれて六角柱状(柱状。無底無蓋)に形成されている。構成単位21のいずれの該側方壁も、長手方向が互いに略平行になるように配設された複数のくい23(長手方向が直線に沿った真っ直ぐなくいであり、本発明にいう「棒状部材」に該当する。)によって形成されている。なお、ここではいずれのくい23の長手方向も鉛直方向に略向いている。ここではくい23は、長さが短い短くい23aと、長さが長い長くい23bと、の長さの異なるくいを含んでなるが、これに限定されるものではなく、同一長さのくいのみで構成してよいことは言うまでもない。
くい23の長手方向(ここでは鉛直方向であり、図1(a)中、矢印A方向)に沿って構造体11を見ると(即ち、図1(b))、くい23は正六角形の辺に沿ってほぼ密(隣接するくい23同士の外面がほぼ接するよう)に配設されており、図示していないが隣接するくい23同士は互いにバンド等のような連結部材によって所定長さ間隔(例えば、3m)ごとに固定されている。
なお、互いに隣接する構成単位21同士は、一方の構成単位21のくい23により形成された側方壁と、他方の構成単位21のくい23により形成された側方壁と、が共通しており(即ち、一つの壁が、一方の構成単位21の側方壁と、他方の構成単位21の側方壁と、の両方の役割を果たしている。)、柱状(六角柱)の構成単位21が連続している。
【0025】
このようなくい23は、種々のものが用いられてよく、例えば、プレキャストコンクリートぐい(コンクリート既製ぐい)、鋼管ぐい、木くい、機械撹拝工法等による地盤改良により形成されたくい、現場打ちぐい等を用いてもよい。なお、機械撹拝工法等による地盤改良により形成されたくいや現場打ちぐい等を用いる場合には、硬化する前に隣接するくいの一部が接触するようにして隣接するくいの一部が接合するようにして、隣接するくい23同士を連結するようにしてもよい。
さらに、ここでは構成単位21のいずれの側方壁も複数のくい23により形成されているが、これに限定されるものではなく、側方壁全体を一体的に形成しても(例えば、現場打ちやプレキャストによって形成してもよい。)、そして側方壁の一部を一体的に形成し該形成された一部を互いに組み付けて側方壁を形成するようにしてもよい。
【0026】
図2は、本発明のいうdの決定方法を示す図である。図2を参照して、本発明のdの決定方法について説明する。
図2(a)は、図1に示した1つの構成単位21の断面図であり、具体的には、構成単位21が形成する柱状の長手方向に対して垂直な平面による断面(見る方向は図1(b)と同様)を示した断面図である(なお、図2(a)中のくい23は断面を示しているが、理解及び図示を容易にするため、ハッチングは省略している。)。この図2(a)における構成単位21の面積(該断面(図2(a)に示した断面)における構成単位21の側方壁(複数のくい23により形成されている。)の外縁21pにより取り囲まれる面積)s1は、図2(b)中、斜線を付した部分の面積である。そして、該断面(図2(a)に示した断面)における構成単位21の内部21iが占める面積(該断面(図2(a)に示した断面)における構成単位21の側方壁(複数のくい23により形成されている。)の内縁21qにより取り囲まれる面積)s2は、図2(c)中、斜線を付した部分の面積である。
そして、ここでは平均面積Sとして、両面積s1、s2の算術平均(即ち、S=(s1+s2)/2)をとり、この平均面積Sと等しい面積を有する円の直径がdとして決定される(d=2(S/π)0.5)。
なお、構造体11は、図1に示したような構成単位21の配置配置や個数に限定されるものではなく、適宜、構成単位21の配置配置や個数を変更してもよい。
【0027】
図3は、構造体11を地中に配設することで制振地盤を形成したところを示す図である。具体的には、図3(a)は鉛直面による断面図であり、図3(b)は平面図(図3(a)中、矢印B方向から見たところを示している。)である。
ここでは図示しない高架橋の基礎51の上部が地表面41から突出するように設けられており、基礎51の下面は、下端が支持層43に達するコンクリートくい53の上端によって支持されている。基礎51は、直方体形状を略形成しており、下面51a(下面51aはほぼ水平面である。)は一辺が10.50mの正方形形状をほぼしている。そして、基礎51の下面51aと地表面41との間の距離(即ち、下面51aの深さ)は、2.50mである。
コンクリートくい53は全部で4本(基礎51の下面51aが形成する正方形の対角線の交点から各角までの各線分(該線分は合計4本存在する)上に各くい53の上端が存在し(該線分1本にくい53の上端1個が存在する。)、かつ該交点から各くい53までの距離はほぼ等しい。)用いられており、コンクリートくい53のいずれも同じものを用いており、長手方向が直線に沿った真っ直ぐなものであり、かつ長さ57.0m、太さ(直径)2.0mである。
このようにここでは4本のコンクリートくい53と基礎51とによって、図示しない高架橋のくい基礎構造が形成されている。
【0028】
一方、高架橋のくい基礎構造の周辺には、構造体11が地中に形成されている。構造体11は、図1にて示したものと同様、六角柱を略形成する構成単位21が複数(具体的には、5個+4個+5個)連続して形成されている。なお、構成単位21が形成する六角柱の底面である六角形は、ここでは一辺が3600mmの正六角形である。そして、構成単位21のいずれの側方壁も、図1にて示したものと同様、長手方向が互いに略平行になるように配設された複数のくいによって形成されているが、ここでは全て同一長さのくいのみで構成されている。
構成単位21の側方壁を構成するくい(いずれのくいも直径1000mm、長さ15000mm)は、ここでは機械撹拝工法によって形成されたくいを用いており、隣接するくい同士は、硬化する前に隣接するくいの一部が接触するようにして隣接するくいの一部の接合により隣接するくい23同士を連結している。なお、前述のように、構成単位21の側方壁を構成するくいとしては、プレキャストコンクリートぐい(コンクリート既製ぐい)、鋼管ぐい、木くい等を用いてよいことは言うまでもない。
【0029】
ここでは高架橋により生じる振動は、基礎51とコンクリートくい53とにより周囲に伝達され、伝播波になって周辺地盤に伝播してゆく。そして、構造体11が存する位置においては、伝播波が伝播する方向(以下、「伝播方向」という。)は図3中の矢印C方向である。
ここに基礎51から伝播方向(矢印C)に向かうと、伝播方向(矢印C)に対して略垂直かつ地表面41に平行な方向(図3(b)中、矢印Dにより示した。)に向かって連続する構成単位21の列が3列形成されている。具体的には、基礎51に最も近い列である第1列は5個の構成単位21により構成されており、第1列の次に基礎51に近い列である第2列は4個の構成単位21により構成されており、基礎51から最も遠い列である第3列は5個の構成単位21により構成されている。これらのうち第1列を構成する5個の構成単位21の内部には、構造体11に対してせん断波速度で1/2以下の剛性を有する中詰め材25が内部に充填されている。具体的には、ここでは中詰め材25として、タイヤシュレッド(廃タイやを細かく切ったもの)と現地土砂とコンクリートとの混合物を用いている。なお、第2列及び第3列を構成する構成単位21の内部は、現地土砂が充填されている。
【0030】
そして、伝播方向(矢印C)に沿った構造体11の寸法Wは19.0mであり、さらに伝播方向(矢印C)に対して垂直かつ地表面41に平行な方向(図3(b)中、矢印Dにより示した。)に沿った構造体11の寸法Jは31.77mである。また、構造体11の深さHは15.0mである。
また、対象波長(周辺地盤の伝播波の波長)は定振動数帯域で、1/3オクターブ振動数では、2.8Hz〜12.5Hzまでが重要で、ここではその帯域を対象とした。特に重要な3.15Hzと5.0Hzの加振振動数を選ぶと、周辺地盤の伝播波の波長はそれぞれ約52m、35mとなる。
【0031】
従って、図3に示した構造体11を地中に配設して形成した制振地盤は、dが6.54mであることから、λが52m、35mのいずれの場合においても、dがλ/8以上λ/4以下である。
そして、Wは19.0mであるので、λが52m、35mいずれの場合においても、Wがλ/3以上2λ以下である。
また、Jは31.77mであるので、λが52m、35mいずれの場合においても、Jがλ/3以上2λ以下である。
また、Hは15.0mであることから、λが52m、35mのいずれの場合においても、Hがd以上λ/2以下である。
加えて、該制振地盤はくい基礎の周辺に配設されるものであり、周辺地盤のバネ係数k=4.62×10KN/mであり、コンクリートくい53の径φ=2.0mであり、コンクリートくい53のくいの曲げ剛性係数EIは1.96×10KN・mであるからβ=(kφ/(4EI))0.25 =0.104mー1(従って、1/β=9.6m)である。よって、H(15.0m)はπ/(2β)以上(但し、πは円周率)とされている(そしてHは、くい基礎に使用されるコンクリートくい53の長さと前記周辺地盤の支持層43までの深さとのいずれのものよりも小さくされている。)。
なお、構造体11は周辺地盤に対してせん断波速度で3倍以上剛性が高く(構造体11のせん断波速度は1000m/sであり、周辺地盤のせん断波速度は175m/sであるので、1000/175=5.7となり3倍以上である。これは5倍以上10倍以下の範囲に入っている。)、構造体11に対してせん断波速度で1倍以下(1/3倍以上1倍以下)の剛性を有する中詰め材たる前記混合物(タイヤシュレッド(廃タイやを細かく切ったもの)と現地土砂とコンクリートとの混合物)が、第1列を構成する5個の構成単位21の内部に充填されている)。
【0032】
図4は、図3に示した構造体11を配設して形成された制振地盤の制振効果を示すグラフ(3.15Hz加振)である。図4を参照して、図3に示した制振地盤の制振効果について説明する。
図4のグラフは、基礎51から伝播方向(矢印C)に向かった地点Pにおける振動レベルLv(dB)を測定した結果を示したものであり、基礎51の中心から地点Pまでの距離(m)を横軸にとり、その地点Pの振動レベルLv(dB)を縦軸にとったものである。
図4中、構造体11による制振地盤を形成する前(対策前)の実験値を黒く塗りつぶした菱形により示し、構造体11による制振地盤を形成する前(対策前)のシミュレーション値を点線にて示した。また、図3に示した構造体11による制振地盤を形成した後の測定結果(実施例)を、図4中、実線によって示した。 そして、比較例を図4中、白丸によって示した。比較例は、実施例と同様、六角柱を略形成する構成単位が複数連続してなる構造体を含んでなる制振地盤(以下、「比較地盤」という。)に関し実験したが(即ち、図3に示す本地盤に替えて比較地盤を形成して実験を行った。)、本地盤に比して比較地盤が異なる点はd=3m、W=15m、H=1.5mであり、その余りは本地盤と同様である。これら本地盤に比して比較地盤が異なる点を簡単にまとめると、d=3mでありd=0.058λ(λ=52m)、W=15mでありW=0.29λ(λ=52m)、H=1.5mでありH=0.5d、H=0.029λ(λ=52m)、そして1/β=9.6mであるから、Hが0.16/βである。
図4から、白丸により示した比較例に対し、実線により示した実施例は、いずれの距離においても少なくとも約10dB程度振動レベルLvが小さく、極めて良好な制振効果を発揮することが明らかになった。
【0033】
図5は、図3に示した構造体11を配設して形成された制振地盤の制振効果を示すグラフ(5.0Hz加振)である。図5を参照して、図3に示した制振地盤の制振効果について説明する。
図5のグラフは、図4のグラフと同様、基礎51から伝播方向(矢印C)に向かった地点Pにおける振動レベルLv(dB)を測定した結果を示したものであり、基礎51の中心から地点Pまでの距離(m)を横軸にとり、その地点Pの振動レベルLv(dB)を縦軸にとったものである。
図5中、構造体11による制振地盤を形成する前(対策前)の実験値を黒く塗りつぶした菱形により示し、構造体11による制振地盤を形成する前(対策前)のシミュレーション値を点線にて示した。また、図3に示した構造体11による制振地盤を形成した後の測定結果(実施例)を、図5中、実線によって示した。
そして、比較例を図5中、白丸によって示した。比較例は、図4で用いた比較例と同じものである。即ち、これら本地盤に比して比較地盤が異なる点を簡単にまとめると、d=3mでありd=0.086λ(λ=35m)、W=15mでありW=0.43λ(λ=35m)、H=1.5mでありH=0.5d、H=0.043λ(λ=35m)、そして1/β=9.6mであるから、Hが0.16/βである。
図5から、白丸により示した比較例に対し、実線により示した実施例は、いずれの距離においても少なくとも約10dB程度以上、振動レベルLvが小さく、極めて良好な制振効果を発揮することが明らかになった。
図4及び図5の結果から、3.15Hzと5.0Hzといった低振動数帯域(通常、20Hz以下をいい、とりわけ10Hz以下を問題とすることが多い)の振動に対しても、図3に示した構造体11による制振地盤は、十分な制振効果を奏することが明らかになった。
【0034】
以上説明したように、図3に示した構造体11による制振地盤は、制振のために地中に配設される周辺地盤より高強度の制振地盤であって、側方壁により取り囲まれた柱状の構成単位21が少なくとも2以上連続してなる構造体11を含んでなる。なお、該制振地盤の強度は、せん断波速度で1000m/sであり、せん断波速度で175m/sである周辺地盤の強度に対して、3倍以上(1000/175)であるので、高強度である。そして、該制振地盤は次の(1)〜(4)の全てを満たす。
(1)d=6.54、λ=52m、35mいずれの場合も、dがλ/8以上λ/4以下である。
(2)Wは19.0mであるので、λが52m、35mいずれの場合においても、Wがλ/3以上2λ以下である。
(3)H=15.0mであるので、λが52m、35mのいずれの場合においても、Hがd以上λ/2以下である。
(4)該制振地盤はくい基礎の周辺に配設されるものであり、β=(kφ/(4EI))0.25 =0.104であるから、Hがπ/(2β)以上である。
【0035】
また、構造体11は周辺地盤に対してせん断波速度で1000/175=5.7倍(3倍以上)剛性が高く、構造体11に対してせん断波速度で1倍以下の剛性を有する中詰め材たる前記混合物(タイヤシュレッド(廃タイやを細かく切ったもの)と現地土砂とコンクリートとの混合物)が、第1列を構成する5個の構成単位21の内部に充填されている。
そして、構成単位21が正六角柱を略形成している。さらに、構成単位21の前記側方壁が、長手方向が互いに略平行になるように地中に配設され、互いに隣接するもの同士を少なくとも1カ所以上で連結した複数の棒状部材たるくい23によって形成されている。
加えて、ここでは図3に示した構造体11による制振地盤を地中に形成することを含む制振工法が実施されており、図4及び図5に示したように、3.15Hzと5.0Hzといった低振動数帯域の振動に対しても、十分な制振効果を得ている。
【0036】
ここでは図3に示した構造体11による制振地盤は、振動を発する基礎構造物(ここではコンクリートくい53と基礎51とを含んでなる。)の周囲の地中である第2場所に配設されているが、該制振地盤が配設される場所はこれに限定されるものではない。
まず、図3と同様に、コンクリートくい53と基礎51を含んでなる基礎構造物(振動を発する基礎構造物)の周囲の地中である第2場所に、構造体11による制振地盤が配設される場合(図6(a)を参照されたい)は無論、基礎51とそれを支持するケーソン基礎61(下面は支持層43に支持されている。)を含んでなる基礎構造物(振動を発する基礎構造物)の周囲の地中である第2場所に、構造体11による制振地盤が配設される場合(図6(b)を参照されたい)であってもよい。
そして、コンクリートくい53と基礎51を含んでなる基礎構造物(振動を発する基礎構造物)の下方の地中である第1場所71(第1場所71は、該基礎構造物の内部である第3場所75を含む。)、該基礎構造物の周囲の地中である第2場所73、に、構造体11による制振地盤が配設される場合(図7(a)を参照されたい)であってもよい。さらに、基礎51とそれを支持するケーソン基礎61(下面は支持層43に支持されている。)を含んでなる基礎構造物(振動を発する基礎構造物)の周囲の地中である第2場所に、構造体11による制振地盤が配設される場合(図7(b)を参照されたい)であってもよい。
加えて、図8に示すように、振動を受ける基礎構造物(ここでは民家83の基礎構造物)81の下方の地中である第1場所71と、基礎構造物81の周囲の地中である第2場所73と、に構造体11による制振地盤が配設される場合であってもよい。
なお、図6乃至図8において、Wは、周辺地盤の伝播波が伝播する方向に沿った構造体11の寸法であり、Hは、構造体11の深さであり、Dは、地表面41から支持層43までの深さであり、Pは振動観測地点である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の制振地盤(本地盤)を形成する構造体の一例を示す図である。
【図2】dの決定方法を示す図である。
【図3】構造体を地中に配設することで制振地盤を形成したところを示す図である。
【図4】図3に示した構造体を配設して形成された制振地盤の制振効果を示すグラフ(3.15Hz加振)である。
【図5】図3に示した構造体を配設して形成された制振地盤の制振効果を示すグラフ(5.0Hz加振)である。
【図6】本地盤が配設される場所を説明する図である。
【図7】本地盤が配設される場所を説明する図である。
【図8】本地盤が配設される場所を説明する図である。
【符号の説明】
【0038】
11 構造体
21 構成単位
21i 内部
21p 外縁
21q 内縁
23 くい
23a 短くい
23b 長くい
25 中詰め材
41 地表面
43 支持層
51 基礎
51a (基礎の)下面
53 コンクリートくい
61 ケーソン基礎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制振のために地中に配設される周辺地盤より高強度の制振地盤であって、
側方壁により取り囲まれた柱状の構成単位が少なくとも2以上連続してなる構造体を含んでなり、次の(1)を満たすものである、制振地盤。
(1)dがλ/10以上でありλ/4以下であること(ただし、該柱状の長手方向に対して垂直な平面による断面における該構成単位の面積と、該断面における該構成単位の内部が占める面積と、の両面積の算術平均である平均面積と等しい面積を有する円の直径をdとする。そして、λは該周辺地盤の伝播波の波長である。以下同様。)
【請求項2】
次の(2)をさらに満たすものである、請求項1に記載の制振地盤。
(2)Wがλ/4以上であること(ただし、Wは、前記周辺地盤の伝播波が伝播する方向に沿った前記構造体の寸法である。以下同様。)
【請求項3】
次の(3)をさらに満たすものである、請求項1又は2に記載の制振地盤。
(3)Hがd/4以上であること(ただし、Hは、前記構造体の深さである。)と、前記構造体が前記周辺地盤の支持層に達すること、との両者のうち少なくともいずれかが満たされること
【請求項4】
くい基礎の下方又は周辺に配設されるものであり、かつ次の(4)をさらに満たすものである、請求項1乃至3のいずれか1に記載の制振地盤。
(4)Hが1/β以上であること(ただし、Hは、前記構造体の深さである。また、β=(kφ/(4EI))0.25 、ここにkは前記周辺地盤のバネ係数であり、φは該くい基礎に使用されるくいの径であり、EIは該くい基礎に使用されるくいの曲げ剛性係数である。)
【請求項5】
前記構造体は前記周辺地盤に対してせん断波速度で3倍以上剛性が高く、前記構造体に対してせん断波速度で1倍以下の剛性を有する中詰め材が、前記構成単位の内部に充填されるものである、請求項1乃至4のいずれか1に記載の制振地盤。
【請求項6】
前記構成単位が六角柱を略形成するものである、請求項1乃至5のいずれか1に記載の制振地盤。
【請求項7】
前記側方壁が、長手方向が互いに略平行になるように地中に配設され、互いに隣接するもの同士を少なくとも1カ所以上で連結した複数の棒状部材によって形成されたものである、請求項1乃至6のいずれか1に記載の制振地盤。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1に記載の制振地盤を地中に形成することを含んでなる、制振工法。
【請求項9】
前記制振地盤が、振動を発する又は振動を受ける基礎構造物の下方の地中である第1場所及び該基礎構造物の周囲の地中である第2場所の少なくともいずれかに配設されるものである、請求項8に記載の制振工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−28740(P2006−28740A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204416(P2004−204416)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年1月12日 Elsevier発行の「Soil Dynamics and Earthquake Engineering」に発表
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【出願人】(394006059)岩水開発株式会社 (4)
【Fターム(参考)】