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制振塗料組成物
説明

制振塗料組成物

【課題】塗膜の発揮する制振性能を高めるとともに、塗膜の剛性を高めることの容易な制振塗料組成物を提供する。
【解決手段】塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、前記塗膜の制振性を高めるためのマイカとを含有する制振塗料組成物であって、前記マイカは、平均粒径40μm以上の第1のマイカと平均粒径35μm以下の第2のマイカとを前記第1のマイカ及び前記第2のマイカの合計量100質量部に対する前記第2のマイカの配合量を5〜15質量部の範囲として配合されてなることを特徴とする制振塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系樹脂分散液と、塗膜の制振性を高めるためのマイカとを含有する制振塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水系分散媒中に樹脂粒子が分散している水系樹脂分散液を利用した制振塗料組成物が提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。特許文献1には、制振塗料組成物において、無機充填剤等が配合可能な成分として記載されている。特許文献2には、制振塗料組成物において、無機充填剤としてマイカを含有する構成について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−262137号公報
【特許文献2】特開2008−248188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の制振塗料組成物では、制振性能を維持し、且つ、塗膜の剛性を高めることが困難であるという問題があった。本発明は、平均粒径の異なるマイカを併用することで、制振性能が高められるとともに塗膜の剛性が高められることを見出すことでなされたものである。
【0005】
本発明の目的は、塗膜の発揮する制振性能を高めるとともに、塗膜の剛性を高めることの容易な制振塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の制振塗料組成物は、塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、前記塗膜の制振性を高めるためのマイカとを含有する制振塗料組成物であって、前記マイカは、平均粒径40μm以上の第1のマイカと平均粒径35μm以下の第2のマイカとを前記第1のマイカ及び前記第2のマイカの合計量100質量部に対する前記第2のマイカの配合量を5〜15質量部の範囲として配合されてなることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の制振塗料組成物において、前記マイカの配合量は、前記樹脂粒子100質量部に対して50〜300質量部であることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の制振塗料組成物において、前記樹脂粒子として、アクリル系樹脂粒子を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塗膜の発揮する制振性能を高めるとともに、塗膜の剛性を高めることの容易な制振塗料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態における制振塗料組成物には、塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、塗膜の制振性を高めるためのマイカとが含有されている。制振塗料組成物には、マイカとして、平均粒径40μm以上の第1のマイカと、平均粒径35μm以下の第2のマイカとが配合されている。第1のマイカ及び第2のマイカの合計量100質量部に対する第2のマイカの配合量は、5〜15質量部の範囲である。
【0011】
樹脂粒子を構成する高分子材料としては、例えばアクリル系樹脂、アクリル/スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル/アクリル系樹脂、エチレン/酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、及びイソプレンゴムから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。なお、これらの高分子材料は変性体であってもよい。
【0012】
樹脂粒子は、単独種の高分子材料から形成されていてもよいし、複数種の高分子材料から形成されていてもよい。さらに、水系樹脂分散液には、これらの高分子材料から構成される樹脂粒子を単独で含有させてもよいし、複数種の樹脂粒子を含有させてもよい。
【0013】
高分子材料の中でも、制振性能が発揮される温度領域を常温付近に調整することが容易であるという観点からアクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルを単量体とする単独重合体、これらの単独重合体の混合物、並びにこれらの単量体が重合した共重合体が挙げられる。アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、2−エチルヘキシルエステル、エトキシエチルエステル等が挙げられる。
【0014】
樹脂粒子の全量に対するアクリル系樹脂粒子の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。最も好ましくは樹脂粒子の全量がアクリル系樹脂粒子である。
【0015】
樹脂粒子を分散する水系分散媒としては、水、及び水と一価アルコールとの混合液が挙げられる。一価アルコールとしては、メタノール、エタノール等が挙げられる。水系樹脂分散液は、例えば乳化剤を含有した水溶液中に単量体及び重合開始剤を滴下する乳化重合等の周知の方法に従って得ることができる。
【0016】
第1のマイカの平均粒径は40μm以上であり、好ましくは100μm以下である。第1のマイカの平均粒径が40μm未満の場合、第2のマイカとの併用による効果が得られ難くなるおそれがある。一方、第1のマイカの平均粒径が100μmを超える場合、水系分散媒中における分散性が低下するおそれがある。
【0017】
第2のマイカの平均粒径は35μm以下であり、好ましくは1μm以上である。第2のマイカの平均粒径が35μmを超える場合、第1のマイカとの併用による効果が得られ難くなるおそれがある。第2のマイカの平均粒径が1μm未満の場合、入手が困難となるおそれがある。なお、マイカの平均粒径は、レーザー光散乱法で求められる粒度の積算分布において、50%体積平均粒径(D50値)である。
【0018】
第1及び第2のマイカは、天然マイカであってもよいし、合成マイカであってもよい。また、マイカは膨潤性マイカであってもよいし、非膨潤性マイカであってもよい。膨潤性マイカは、水等の極性溶媒で膨潤する特性を有する親水性のマイカである。膨潤性マイカの層間に存在するイオンは、リチウム、ナトリウム又はストロンチウムであり、それらのイオンが極性溶媒中のイオンとイオン交換することで膨潤性マイカは膨潤する。膨潤性マイカとしては、例えばNa型テトラシリシックフッ素マイカ、Li型テトラシリシックフッ素マイカ、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等が挙げられる。非膨潤性マイカとしては、例えばフッ素金雲母、カリウム四珪素雲母等の合成非膨潤性マイカ、白雲母、金雲母、黒雲母、絹雲母等の天然非膨潤性マイカ等が挙げられる。これらのマイカは、第1のマイカ及び第2のマイカとして、単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。
【0019】
第1のマイカ及び第2のマイカの合計量100質量部に対する第2のマイカの配合量は、5〜15質量部の範囲である。このように第1及び第2のマイカを併用して配合することで、塗膜の発揮する制振性能を高めるとともに、塗膜の剛性を高めることができるようになる。第2のマイカの配合量が、前記合計量100質量部に対して、5質量部未満の場合、又は、15質量部を超える場合、第1のマイカ及び第2のマイカの併用による効果が得られないおそれがある。
【0020】
上記マイカの配合量、すなわち制振塗料組成物中における第1のマイカ及び第2のマイカの合計の含有量は、制振塗料組成物中に含まれる樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは50〜300質量部、より好ましくは70〜250質量部、さらに好ましくは100〜250質量部である。マイカの配合量が樹脂粒子100質量部に対して50質量部以上の場合、塗膜中において制振性能を高める成分自体の含有量が増大することで塗膜の制振性能を高めることが容易となる。一方、マイカの配合量が樹脂粒子100質量部に対して300質量部を超える場合、水系分散媒中においてマイカの分散が困難となるおそれがある。
【0021】
第1及び第2のマイカのアスペクト比は、例えば30〜200の範囲が好適である。第1のマイカのアスペクト比は、好ましくは50以上であり、より好ましくは60以上であり、さらに好ましくは70以上である。このように第1のマイカのアスペクト比を高めた場合、制振性能が発揮されやすくなる。なお、アスペクト比は、配合前のマイカの走査型電子顕微鏡の観察において、無作為に50個のマイカを選び、それらマイカの長径と厚みを測定した測定値の平均により求められる。
【0022】
制振塗料組成物には、必要に応じて、制振性付与成分、無機充填剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、安定剤、発泡剤、滑剤、分散剤、ゲル化剤、造膜助剤、凍結防止剤、粘度調整剤等を必要に応じて加えることができる。
【0023】
制振性付与成分としては、ベンゾチアジル系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ジフェニルアクリレート系化合物、正リン酸エステル系化合物及び芳香族第二級アミン系化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。
【0024】
無機充填剤としては、例えばタルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラス、シリカ、アルミナ、アルミニウム、水酸化アルミニウム、鉄、アスベスト、酸化チタン、酸化鉄、珪藻土、ゼオライト、フェライト等が挙げられる。これらの無機充填剤は、単独で含有させてもよいし、複数種を組み合わせて含有させてもよい。
【0025】
制振塗料組成物は、適用物に塗布された後に乾燥されることで適用物に塗膜が形成される。こうして形成された塗膜は、マイカの含有により制振性能を発揮する。ここで、塗膜には、上述した第1及び第2のマイカが所定量含有されることで、塗膜の制振性能を高めることができるとともに塗膜の剛性を高めることができるようになる。
【0026】
制振塗料組成物の制振性能は、塗膜の損失係数又は損失弾性率によって示される。つまり、塗膜の損失係数の値又は損失弾性率の値が高ければ高いほど、制振性能に優れることが示される。さらに、塗膜の温度範囲において、損失係数又は損失弾性率の変動が小さければ小さいほど、制振性能について温度依存性が低減されることになる。塗膜の損失係数は周知の損失係数測定装置によって測定することができるとともに損失弾性率は周知の動的粘弾性測定装置により測定することができる。
【0027】
塗膜の剛性は、曲げ剛性比によって評価することができる。曲げ剛性比は、損失係数測定装置(CF5200タイプ、小野測器(株)製)を用いた周知の方法で求めることができる。曲げ剛性比の値が高いほど、塗膜の剛性が高いと言える。
【0028】
制振塗料組成物は、振動エネルギーの抑制について要求される各種分野において利用することができる。制振塗料組成物の適用分野としては、例えば自動車、壁材、床材、屋根材、フェンス等の建材、家電機器、産業機械等が挙げられる。
【0029】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)制振塗料組成物には、マイカが含有されているため、得られる塗膜は制振性能を発揮する。制振塗料組成物に配合されるマイカは、平均粒径40μm以上の第1のマイカと平均粒径35μm以下の第2のマイカである。第1のマイカ及び第2のマイカの合計量100質量部に対する第2のマイカの配合量は、5〜15質量部の範囲として配合されている。こうした制振塗料組成物から形成される塗膜では、塗膜の発揮する制振性能を高めるとともに、塗膜の剛性を高めることができるようになる。従って、塗膜の発揮する制振性能を高めるとともに、塗膜の剛性を高めることの容易な制振塗料組成物を提供することができる。
【0030】
(2)マイカの配合量は、樹脂粒子100質量部に対して50〜300質量部であることで、塗膜の制振性能を高めることがさらに容易となる。
(3)樹脂粒子としてアクリル系樹脂粒子を含むことで、制振性能が発揮される温度領域を常温付近に調整することが容易であるため、常温付近において優れた制振効果を発揮させることができる。
【0031】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・前記第1のマイカ及び前記第2のマイカは、非膨潤性マイカである制振塗料組成物。
・前記第1のマイカ及び前記第2のマイカのアスペクト比は、30〜200である制振塗料組成物。
【実施例】
【0032】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1及び2)
表1に示されるように、樹脂粒子の水系樹脂分散液に第1及び第2のマイカ並びにその他の成分を配合するとともに、それら各成分を混合することで制振塗料組成物を調製した。なお、樹脂粒子はアクリル系樹脂粒子であり、第1及び第2のマイカはいずれも非膨潤性マイカである。制振塗料組成物には、その他の成分としてゲル化剤、造膜助剤、凍結防止剤、発泡剤、着色剤及び粘度調整剤が樹脂粒子に対して所定量含有されている。
【0033】
(比較例1)
比較例1では、第2のマイカを第1のマイカに変更して配合した以外は、実施例1と同様にして制振塗料組成物を調製した。比較例1の第1のマイカの配合量は、実施例1における各マイカの合計の配合量と同一としている。
【0034】
(比較例2)
比較例2では、第1のマイカの配合量を減量するとともに第2のマイカの配合量を増量した以外は、実施例1と同様にして制振塗料組成物を調製した。
【0035】
<塗膜試験片の形成>
各例の制振塗料組成物を幅30mm×長さ300mm×厚さ0.8mmの鋼板の上に厚みが一定になるように塗布した。その鋼板を140℃の恒温槽にて43分間乾燥させた後、恒温槽から取り出して室温まで冷却することで、試験片を作製した。
【0036】
<損失係数の測定>
各例の試験片について、損失係数測定装置(CF5200タイプ、小野測器(株)製)を用いて、中央加振法にて、20℃、40℃及び60℃における損失係数及び損失係数のピーク値を測定した。なお、損失係数の値は周波数200Hzの値である。損失係数の測定結果を表1に示す。
【0037】
<曲げ剛性比の算出>
損失係数測定装置(CF5200タイプ、小野測器(株)製)を用いて、中央加振法にて、20℃、40℃及び60℃における1次、3次、5次及び7次の共振周波数を測定し、下記式(1)により曲げ剛性比を算出した。
【0038】
曲げ剛性比=M/M×(F/F ・・・(1)
但し、Mは鋼板の質量、Mは試験片の質量、Fは鋼板における1次、3次、5次及び7次の共振周波数、及びFは試験片における1次、3次、5次及び7次の共振周波数である。1次、3次、5次及び7次の共振周波数の曲げ剛性比から周波数200Hzの曲げ剛性比を算出した。その測定結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

表1に示されるように、各実施例では、各温度の損失係数の合計値について各比較例よりも高まっていることが分かる。また、各実施例では、20℃及び40℃の曲げ剛性比について各比較例よりも高まっていることが分かる。詳述すると、比較例1では、第2のマイカが配合されていないため、第1及び第2のマイカの併用による効果が得られていないことが分かる。比較例2では、第1及び第2のマイカが配合されているものの、第1及び第2のマイカの合計量100質量部に対する第2のマイカの質量部が20質量部であるため、第1及び第2のマイカの併用による効果が得られていないことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、前記塗膜の制振性を高めるためのマイカとを含有する制振塗料組成物であって、
前記マイカは、平均粒径40μm以上の第1のマイカと平均粒径35μm以下の第2のマイカとを前記第1のマイカ及び前記第2のマイカの合計量100質量部に対する前記第2のマイカの配合量を5〜15質量部の範囲として配合されてなることを特徴とする制振塗料組成物。
【請求項2】
前記マイカの配合量は、前記樹脂粒子100質量部に対して50〜300質量部であることを特徴とする請求項1に記載の制振塗料組成物。
【請求項3】
前記樹脂粒子として、アクリル系樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制振塗料組成物。

【公開番号】特開2010−248294(P2010−248294A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96435(P2009−96435)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000106771)シーシーアイ株式会社 (245)
【Fターム(参考)】