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制振塗料組成物
説明

制振塗料組成物

【課題】塗膜の硬度及び塗膜の密着性を高めることの容易な制振塗料組成物を提供する。
【解決手段】制振塗料組成物は、塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、塗膜の制振性向上剤として無機粒子とを含有する。制振塗料組成物は、モリブデン酸系化合物と含硫黄有機化合物とを金属腐食抑制剤として含有し、さらに水溶性ジルコニウム化合物を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、塗膜の制振性向上剤として無機粒子とを含有する制振塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水系樹脂分散液と、制振性向上剤として無機粒子とを含有した制振塗料組成物が知られている(特許文献1参照)。こうした制振塗料組成物は、例えば金属物品に用いられることで、金属物品の振動を減衰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−235883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制振塗料組成物に、例えばモリブデン酸系化合物、及び含硫黄有機化合物を配合することで、金属の腐食を抑制することが可能であるものの、塗膜の物性の観点から未だ改善の余地がある。本発明は、モリブデン酸系化合物及び含硫黄有機化合物を含有させることで、金属の腐食を抑制し、かつ、塗膜の硬度及び塗膜の密着性を高めることのできる制振塗料組成物を見出すことでなされたものである。
【0005】
本発明の目的は、塗膜の硬度及び塗膜の密着性を高めることの容易な制振塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の制振塗料組成物は、塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、前記塗膜の制振性向上剤として無機粒子とを含有する制振塗料組成物であって、モリブデン酸系化合物と含硫黄有機化合物とを金属腐食抑制剤として含有し、さらに水溶性ジルコニウム化合物を含有することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の制振塗料組成物において、前記水溶性ジルコニウム化合物が炭酸ジルコニウム塩を含むことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の制振塗料組成物において、前記含硫黄有機化合物が3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸トリエタノールアミンを含むことを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制振塗料組成物において、前記樹脂粒子がアクリル系樹脂粒子を含むとともに、前記無機粒子が炭酸カルシウム粒子を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塗膜の硬度及び塗膜の密着性を高めることの容易な制振塗料組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態における制振塗料組成物には、塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、塗膜の制振性向上剤として無機粒子とが含有されている。制振塗料組成物には、モリブデン酸系化合物と、含硫黄有機化合物とが金属腐食抑制剤として含有され、さらに水溶性ジルコニウム化合物が含有されている。
【0011】
<水系樹脂分散液>
樹脂粒子を構成する高分子材料としては、例えばアクリル系樹脂、アクリル/スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル/アクリル系樹脂、エチレン/酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、及びイソプレンゴムから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。なお、これらの高分子材料は変性体であってもよい。
【0012】
樹脂粒子は、単独種の高分子材料から形成されていてもよいし、複数種の高分子材料から形成されていてもよい。さらに、水系樹脂分散液には、単独種の樹脂粒子を含有させてもよいし、複数種の樹脂粒子を含有させてもよい。
【0013】
高分子材料の中でも、制振性能が発揮される温度領域を常温付近に調整することが容易であるという観点からアクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルを単量体とする単独重合体、これらの単独重合体の混合物、並びにこれらの単量体が重合した共重合体が挙げられる。アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、2−エチルヘキシルエステル、エトキシエチルエステル等が挙げられる。
【0014】
樹脂粒子の全量に対するアクリル系樹脂粒子の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。最も好ましくは樹脂粒子の全量がアクリル系樹脂粒子である。
【0015】
樹脂粒子を分散する水系分散媒としては、水、及び水と一価アルコールとの混合液が挙げられる。一価アルコールとしては、メタノール、エタノール等が挙げられる。水系樹脂分散液は、例えば乳化剤を含有した水溶液中に単量体及び重合開始剤を滴下する乳化重合等の周知の方法に従って得ることができる。
【0016】
<制振性向上剤>
制振性向上剤としての無機粒子の材質としては、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、ガラス、シリカ、アルミナ、アルミニウム、水酸化アルミニウム、鉄、酸化チタン、酸化鉄、珪藻土、ゼオライト、フェライト等が挙げられる。無機粒子は、単独種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。無機粒子の粒径は、例えば5nm〜10μmである。
【0017】
無機粒子としては、入手が容易であるという観点から、炭酸カルシウム粒子を含有することが好ましい。炭酸カルシウム粒子としては、例えば軽質炭酸カルシウム粒子や重質炭酸カルシウム粒子等を用いることができる。炭酸カルシウム粒子の平均粒径は、好ましくは1.0〜7.0μmであり、より好ましくは1.2〜5.0μmであり、さらに好ましくは1.5〜3.5μmである。
【0018】
なお、無機粒子の平均粒径は、粒体比表面積測定装置によって測定された1g当たりの比表面積値から下記計算式に従って算出される平均粒子径である。
平均粒子径(μm)=6/(比重/比表面積)×10000
制振塗料組成物中における無機粒子の含有量は、樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは540〜735質量部であり、より好ましくは540〜650質量部である。無機粒子の含有量が、樹脂粒子100質量部に対して、540質量部以上の場合、優れた制振効果が得られ易くなる。一方、無機粒子の含有量が、樹脂粒子100質量部に対して、735質量部を超える場合、流動性が低下することで塗布し難くなるおそれがある。
【0019】
また、制振塗料組成物中に含まれる無機粒子の含有量は、制振塗料組成物中に含まれる水分100質量部に対して、330〜390質量部であることが好ましい。無機粒子の含有量が、制振塗料組成物中に含まれる水分100質量部に対して、330質量部以上の場合、塗膜の表面に凹凸が形成されたり、塗膜にピンホールが形成したりする現象の発生(ワキの発生)を抑制することが容易となる。一方、無機粒子の含有量が、制振塗料組成物中に含まれる水分100質量部に対して、390質量部以下の場合、良好な塗布性が得られ易くなる。
【0020】
<金属腐食抑制剤>
モリブデン酸系化合物は、塗膜の形成される金属物品の表面に不動態被膜を形成することで、前記金属物品の腐食を抑制する。モリブデン酸系化合物としては、モリブデン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種である。モリブデン酸としては、例えば、オルトモリブデン酸、メタモリブデン酸、及びパラモリブデン酸が挙げられる。モリブデン酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩から選ばれるアルカリ金属塩が挙げられる。また、モリブデン酸の塩としては、リンモリブデン酸塩等の複塩を用いることもできる。
【0021】
制振塗料組成物中におけるモリブデン酸系化合物の含有量は、樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜6質量部である。
【0022】
含硫黄有機化合物は、塗膜の形成される金属物品から溶出した金属イオン(鉄、亜鉛、アルミニウム、銅等の金属イオン)を硫黄の含まれる極性基が捕捉し、不溶性の錯塩を形成することで、金属イオンの溶出、すなわち腐食の進行を抑制する。
【0023】
含硫黄有機化合物としては、チアゾール類、トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、及びチラウム類から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
チアゾール類としては、例えば、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸塩、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、及び2−メルカプトベンゾチアゾールが挙げられる。2−ベンゾチアジルチオプロピオン酸塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。
【0024】
トリアゾール類としては、例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、及び5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールが挙げられる。
チオール類としては、例えば、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、及び2−メルカプトベンズイミダゾールが挙げられる。
【0025】
チアジアゾール類としては、例えば、5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、及び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールが挙げられる。
チラウム類としては、例えば、テトラエチルチラウムジスルフィドが挙げられる。
【0026】
これらの含硫黄有機化合物の中でも、制振塗料組成物の保存安定性を高める観点から、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸トリエタノールアミンが好ましい。
制振塗料組成物中における含硫黄有機化合物の含有量は、樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは1〜40質量部であり、より好ましくは3〜35質量部であり、さらに好ましくは5〜30質量部である。
【0027】
金属物品の腐食をさらに抑制するには、制振塗料組成物中における、モリブデン酸系化合物及び含硫黄有機化合物の合計の含有量(金属腐食抑制剤の含有量)が、樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは16〜26質量部であり、より好ましくは20〜26質量部であり、さらに好ましくは22〜24質量部である。金属腐食抑制剤を所定量以上含有させることで、その効果が顕著となる一方で、金属腐食抑制剤を過剰量配合した場合、金属物品の腐食を抑制する効果が低下するおそれがある。
【0028】
また、モリブデン酸系化合物の含有量は、含硫黄有機化合物100質量部に対して、好ましくは20〜60質量部である。
<水溶性ジルコニウム化合物>
水溶性ジルコニウム化合物は、上記金属腐食抑制剤の存在下で、塗膜の硬度を高めるとともに、塗膜と金属物品との密着性を高める働きを有する。
【0029】
水溶性ジルコニウム化合物としては、例えば、炭酸ジルコニウム塩(アンモニウム塩、カリウム塩等)、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、及びジルコニウムビスアセチルアセトネートが挙げられる。
【0030】
水溶性ジルコニウム化合物は、単独種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
制振塗料組成物中における水溶性ジルコニウム化合物の含有量は、樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部であり、より好ましくは1〜35質量部であり、さらに好ましくは2〜30質量部である。
【0031】
制振塗料組成物中における水溶性ジルコニウム化合物の含有量は、含硫黄有機化合物100質量部に対して、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは20〜90質量部であり、さらに好ましくは30〜80質量部である。
【0032】
<その他の成分>
制振塗料組成物には、水、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、安定剤、発泡剤、滑剤、分散剤、ゲル化剤、造膜助剤、凍結防止剤、粘度調整剤等を必要に応じて加えることができる。
【0033】
制振塗料組成物中における水分の含有量は、樹脂粒子100質量部に対して好ましくは30〜300質量部、より好ましくは50〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部である。水分の含有量が樹脂粒子100質量部に対して30質量部未満の場合、樹脂粒子の分散性が十分に確保されないおそれがある。一方、水分の含有量が樹脂粒子100質量部に対して300質量部を超える場合、制振塗料組成物の乾燥速度が遅延することで効率的に塗膜を形成することが困難となるおそれがある。
【0034】
次に、制振塗料組成物の使用方法及び作用について説明する。
制振塗料組成物は、常法に従って上記の原料を混合することで調製することができる。調製した制振塗料組成物を、周知の塗布方法及び乾燥方法により金属物品に塗布した後に乾燥することで、塗膜を形成することができる。制振塗料組成物の塗布量は、金属物品に求められる制振性や耐食性に応じて適宜変更することができる。例えば、乾燥した塗膜の厚みは10〜900μm、好ましくは10〜500μmとされる。
【0035】
このように形成された塗膜には、無機粒子が含有されていることで、制振性能を発揮するとともに金属腐食抑制剤が含有されていることで金属物品の腐食が抑制される。ここで、塗膜表面から水分が徐々に浸透することで、金属物品まで水分が到達するおそれがある。この点、塗膜には金属腐食抑制剤が含有されているため、前記水分の浸透を要因とした金属物品の腐食は抑制される。ところが、塗膜への水分の浸透が継続すると、前記金属腐食抑制剤のみでは腐食の抑制が不十分となるおそれがある。この点、制振塗料組成物には、水溶性ジルコニウム化合物が含有されている。これにより、塗膜の硬度及び塗膜の密着性が改善される。すなわち、硬度を高めた塗膜では、水分の浸透が抑制されるようになる。また、密着性を高めた塗膜では、水分が徐々に浸透したとしても、金属物品からの塗膜の浮き上がりが生じ難くなる。その結果、金属物品と塗膜との境界部分に水が滞留し難くなる。
【0036】
制振塗料組成物は、振動の抑制及び腐食の抑制について要求される各種分野において利用することができる。制振塗料組成物の適用分野としては、例えば自動車、壁材、屋根材、フェンス等の建材、家電機器、産業機械等が挙げられる。例えば、金属製の屋根材に適用されることで、雨音の低減効果及び腐食の抑制効果のいずれの効果も発揮させることができるようになる。
【0037】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)制振塗料組成物には、モリブデン酸系化合物と含硫黄有機化合物とが金属腐食抑制剤として含有されているため、塗膜の形成された金属物品の腐食が抑制される。制振塗料組成物には、さらに水溶性ジルコニウム化合物が含有されることで、塗膜の硬度及び塗膜の密着性を高めることが容易となる。これにより、金属物品と水分との接触が抑制された状態となるため、金属腐食抑制剤の効果が継続して発揮され易くなる結果、金属物品の腐食がさらに抑制され易くなる。すなわち、耐食性を高めることが容易となる。
【0038】
(2)炭酸ジルコニウム塩は容易に入手できるため、水溶性ジルコニウム化合物として炭酸ジルコニウム塩を含むことが好ましい。
(3)含硫黄有機化合物が、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸トリエタノールアミンを含むことで、制振塗料組成物の保存安定性が得られ易くなる。
【0039】
(4)樹脂粒子がアクリル酸系樹脂粒子を含むとともに、無機粒子が炭酸カルシウム粒子を含むことで、制振性能の調整が容易であり、汎用性を高めることができる。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0040】
(イ)前記モリブデン酸系化合物が、モリブデン酸のアルカリ金属塩である制振塗料組成物。
(ロ)金属物品としての屋根材に塗膜を形成する用途に用いられる制振塗料組成物。
【実施例】
【0041】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
表1に示すように、樹脂粒子としてメタクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体からなる樹脂粒子を水系分散媒に分散した水系樹脂分散液(DIC(株)、BC−280、固形分濃度50質量%)に無機粒子及び各化合物を混合することで、制振塗料組成物を調製した。
【0042】
上記樹脂粒子において、メタクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとの質量比は37:63である。また、表1に示す制振性向上剤である無機粒子は、平均粒径2.2μmの重質炭酸カルシウム粒子である。表1に示すモリブデン酸系化合物は、モリブデン酸ナトリウムであり、含硫黄有機化合物は、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸トリエタノールアミンである。表1に示す水溶性ジルコニウム化合物は、炭酸ジルコニウムアンモニウムである。なお、制振塗料組成物中には、常法にしたがって、分散剤、凍結防止剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、及びイオン交換水を適量配合している。
【0043】
(比較例1及び2)
表1に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様に制振塗料組成物を調製した。
<試験片の作製>
表1に示す制振塗料組成物を厚さ0.5mmのガルバリウム鋼板(アルミニウムと亜鉛との合金めっき鋼板)に塗布した後、220℃で40秒間加熱乾燥することにより塗膜を形成し、試験片とした。なお、制振塗料組成物の塗布量は、加熱乾燥後の塗膜の厚さが100μmとなるように調整した。
【0044】
<耐食性の評価>
この耐食性の評価では、JIS K5600−7−1(1999)に準拠して、中性塩水噴霧試験を行い、以下の評価基準によって判定した。前記噴霧試験を240時間以上継続させたときに、白錆が発生したものを「4」、200時間以上継続させたときに白錆が発生したものを「3」、160時間以上継続させたときに白錆が発生したものを「2」、120時間以上継続させたときに白錆が発生したものを「1」として表1に示す。
【0045】
<密着性の評価1>
この密着性の評価1では、JIS K 5600−5−2(1999)、及びJIS K 5600−5−6(1999)に準拠して、碁盤目に切り、エリクセン試験機にて5mm押し出した後、テープ剥離をして剥離していない部分をカウントした。その結果を表1に示す。
【0046】
<密着性の評価2>
この密着性の評価2では、JIS G3312(2008)における13.2.2に準拠して、180度曲げた後、テープ剥離を行い剥離が発生した割合を求めた。その結果を表1に示す。
【0047】
<硬度の評価>
この硬度の評価では、JIS K5600−5−4(1999)に準拠して、鉛筆硬度を測定した。その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

比較例1では、モリブデン酸系化合物及び含硫黄有機化合物が含有されているため、比較例2よりも耐食性に優れていることが分かる。なお、比較例2では、比較例1よりも耐食性に劣る結果であったため、密着性の評価及び硬度の評価は行っていない。ここで、実施例1では、水溶性ジルコニウム化合物が含有されているため、密着性の評価及び硬度の評価について、比較例1よりも優れていることが分かる。こうした実施例1の耐食性は、比較例1よりも高まっていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、前記塗膜の制振性向上剤として無機粒子とを含有する制振塗料組成物であって、
モリブデン酸系化合物と含硫黄有機化合物とを金属腐食抑制剤として含有し、
さらに水溶性ジルコニウム化合物を含有することを特徴とする制振塗料組成物。
【請求項2】
前記水溶性ジルコニウム化合物が炭酸ジルコニウム塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の制振塗料組成物。
【請求項3】
前記含硫黄有機化合物が3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸トリエタノールアミンを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制振塗料組成物。
【請求項4】
前記樹脂粒子がアクリル系樹脂粒子を含むとともに、前記無機粒子が炭酸カルシウム粒子を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制振塗料組成物。

【公開番号】特開2012−214583(P2012−214583A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79848(P2011−79848)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000106771)シーシーアイ株式会社 (245)
【Fターム(参考)】