説明

制振性に優れたOA機器部品用成形体

【課題】 機械的強度、耐熱性、寸法精度に優れたポリカーボネート系樹脂を用い、その特性を損なうことなく、かつ制振性に優れたOA機器部品用成形体を提供すること。
【解決手段】 下記配合の樹脂成分を含むポリカーボネート系樹脂組成物からなり、該樹脂組成物におけるASTM D790による23℃の曲げ弾性率が1,500MPa以上、23℃の減衰比が1.0%以上、ASTM D648による熱変形温度が80℃以上、かつ曲げ弾性率と減衰率の積が10,000MPa・%以上であることを特徴とする制振性に優れたOA機器部品用成形体。
樹脂成分100重量部の配合:(1)ポリカーボネート系樹脂 50〜100重量部 内訳:ポリカーボネート樹脂 50〜100重量% スチレン系樹脂 0〜 50重量%(2)熱可塑性エラストマー 0〜 50重量部

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的強度、耐熱性、寸法精度に優れたポリカーボネート系樹脂からなり、かつ制振性に優れたOA機器部品用成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート系樹脂は、その優れた機械的強度、耐熱性、寸法安定性、難燃性から電子部品、電気製品、自動車部品をはじめとして多くの産業分野にて幅広く使われている。中でも最近では、OA機器部品、特に複写機、ファックス等の事務機器のシャーシ部品や、パソコン等に用いられるCD−ROM、DVD、FDD、HDD等のドライブ類のシャーシ部材やトレー類に、従来の金属や熱硬化性樹脂からの代替で採用が進んでいる。
【0003】特に、最近では、ポリカーボネート樹脂に、ポリスチレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂をブレンドしたポリマーブレンドが、強度や耐熱性と成形性を兼ね備えた材料として幅広く使われているのは公知の通りである。これらは、ポリカーボネート系樹脂の持つ、優れた機械的強度、耐熱性、寸法精度、難燃性といった特徴を活かしたものであり、特に剛性が必要とされる場合には無機充填材を配合した強化ポリカーボネート系樹脂が用いられており、最近の製品の小型化、薄肉化に対応してきている。
【0004】しかしながら、最近では新たに、OA機器の高速化に伴う振動が問題となってきている。これはモーター等の振動源から発生する振動により、樹脂製の部品、特にシャーシ部材が振動してしまい、製品での画像ぶれやデータ読みとりに支障をきたすものである。例えば、複写機では高速処理化に伴い、また、CD−ROM等のドライブでは回転速度の高速化に伴い、発生周波数が高周波まで及ぶようになってきており、具体的には従来は、200Hz程度までであった周波数が、1,000Hzにも及ぶような場合も出てきている。
【0005】このような発生周波数の高周波数化により、従来は、製品の肉厚化、リブ構造等の設計でカバーできていたシャーシ部材の振動が抑えられなくなってきている。また、樹脂材料面からは、従来、無機充填材を多量に配合して剛性を高くし、共振周波数を高くして、発生周波数から共振周波数をはずすといった対策が取られていたが、発生周波数の高周波数化により、それも限界であった。また、樹脂材料面からのもう一つの対策として、発生した振動を吸収してしまい、部品の振動を抑えるといった方法が考えられるが、このような材料は剛性、耐熱性に乏しく、OA機器部品用には使えないのが現状である。かかる状況から、OA機器部品に求められる機械的強度、耐熱性は損なうことなく、耐振動性に優れた樹脂成形体が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような事情のもと、機械的強度、耐熱性、寸法精度に優れたポリカーボネート系樹脂を用い、その特性を損なうことなく、かつ制振性に優れたOA機器部品用成形体を提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の弾性率、減衰比を持つポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形体がOA機器部品に適することを見い出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、下記配合の樹脂成分を含むポリカーボネート系樹脂組成物からなり、該樹脂組成物におけるASTM D790による23℃の曲げ弾性率が1,500MPa以上、23℃の減衰比が1.0%以上、ASTM D648による熱変形温度が80℃以上、かつ曲げ弾性率と減衰率の積が10,000MPa・%以上であることを特徴とする制振性に優れたOA機器部品用成形体を提供するものである。
樹脂成分100重量部の配合:(1)ポリカーボネート系樹脂 50〜100重量部 内訳:ポリカーボネート樹脂 50〜100重量% スチレン系樹脂 0〜 50重量%(2)熱可塑性エラストマー 0〜 50重量部
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で言うOA機器とは、複写機、ファックス、プリンター等の事務機器や、CD−ROM、DVD、FDD、HDDといったドライブやその他のコンピューター関連機器を挙げることができる。また、これらの中で用いられる部品としては、機構部品であるシャーシを代表的なものとして挙げられる。
【0010】本発明で用いるポリカーボネート系樹脂とは、スチレン系樹脂を含んでいてもよいポリカーボネート樹脂の称であり、ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネート等が挙げられる。そのうちでも、2,2−ビス(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エーテル系、ビス(4−オキシフェニル)スルホン、スルフィドまたはスルホキサイド系等のビスフェノール類からなる芳香族ポリカーボネートが好ましい。また必要に応じてハロゲンで置換されたビスフェノール類からなるポリカーボネート樹脂をも用いることができる。なお、ポリカーボネートの分子量には何ら制限はないが一般的には1万以上、好ましくは2万〜4万のものである。
【0011】また、本発明で用いるスチレン系樹脂とは、下記一般式
【0012】
【化1】


【0013】(式中、Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲンであり、Zは、水素、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲンまたはビニル基を表し、pは、1〜5の整数である。)で示される芳香族ビニル化合物繰り返し単位からなる重合体及び該繰り返し単位を50重量%以上含む他の共重合可能なモノマーとの共重合体である。
【0014】一例を挙げれば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ゴム強化ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−α−アルキルスチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体等である。ゴム強化ポリスチレンはジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、アクリルゴムまたはエチレン−プロピレンゴム、エチレン−オクテンゴム、EPDMゴム等で形成することができる。本発明において特に好ましいものとしては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体またはこれらの混合物である。
【0015】これらスチレン系樹脂の配合量は、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂の合計を100重量%としたときに、0〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜45重量%、とりわけ好ましくは5〜50重量%である。50重量%を超えると耐熱性が低下しすぎ好ましくない。
【0016】本発明で用いられる無機充填材とは、一般に熱可塑性樹脂に用いられるものが使用でき、特に限定されるものではない。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウムウイスカー、硫酸マグネシウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、炭酸カルシウムウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、ワラストナイト等のウイスカー類、マイカ、タルク、ガラスフレーク等の板状充填材、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、金属粉、ガラスビーズ、ガラスパウダー等の粒状充填材が挙げられ、これらを目的に応じて、単独で、または2種類以上を併わせて用いることができる。また、これら充填材は、樹脂との接着性を改善するために、各種カップリング剤で表面処理を施してもよい。
【0017】これら無機充填材の量は、組成物中0〜60重量%であり、好ましくは5〜55重量%、とりわけ好ましくは10〜50重量%である。無機充填材が少ないと、弾性率が低く高弾性率を必要とする用途には不適であり、また、60重量%を超えると衝撃強度の低下が著しく、成形性も悪化し好ましくない。
【0018】また、本発明では制振性の向上を目的として熱可塑性エラストマーを添加することが好ましい。ここで用いる熱可塑性エラストマーとしては、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等の共役ジエンゴム、スチレン−共役ジエンブロック共重合体及びそれらの水素添加物、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、ナイロンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー、シリコンエラストマー、フッ素エラストマー、コアシェルタイプのエラストマー等が挙げられる。中でも共役ジエンゴム、スチレン−共役ジエンブロック共重合体及びそれらの水素添加物が好ましく、特に好ましくは1,2−ビニルおよび/または3,4−ビニル構造を有する構造単位を50重量%以上含む共役ジエンゴム、1,2−ビニルおよび/または3,4−ビニル構造を有する構造単位を50重量%以上含むスチレン−共役ジエンブロック共重合体及びそれらの水素添加物である。これらエラストマーは、ポリカーボネート系樹脂との親和性の向上を目的として、ポリカーボネート系樹脂と親和性、あるいは反応性を有する官能基を導入することも好ましい。また、これらエラストマーは、DSCにて測定したガラス転移温度が−30〜50℃の間にあるものが好ましく、−20〜30℃の間にあるものが特に好ましい。
【0019】これらの配合量は、樹脂成分100重量部中、0〜50重量部であり、好ましくは2〜40重量部、とりわけ好ましくは5〜30重量部である。配合量が少ないと、制振性の向上が期待できず、また、50重量部を超えると、弾性率の低下が著しく、いずれも好ましくない。
【0020】さらに、本発明組成物に必要に応じ添加しうる他の成分として、例えば、熱可塑性樹脂に周知の酸化防止剤、耐候性改良剤、増核剤、耐衝撃改良剤、可塑剤、流動性改良剤等が使用できる。また、実用のために、各種着色剤、およびそれらの分散剤等も周知のものが使用できる。
【0021】また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリフェニレンエーテル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリレンスルフィド等の他の熱可塑性樹脂を添加することができる。これらの配合量はポリカーボネート系樹脂100重量部に対して0〜30重量部の範囲が好ましい。
【0022】また、本発明では難燃性が必要とされる場合には、難燃性を付与するために難燃剤を添加することが好ましい。本発明で用いる難燃剤としては、各種公知のものを用いることができ、特に限定されるものでは無く、その配合量は目的とする難燃レベルを得るために必要とされる量である。好ましくは、リン系、ハロゲン系、無機系の難燃剤、難燃助剤、及びこれらを併用して用い、ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して、1〜50重量部が好ましい。
【0023】本発明の制振性に優れたOA機器部品用成形体としては、熱可塑性樹脂組成物における諸性質が所定の範囲内になければならない。
(1)ASTM D790による23℃の曲げ弾性率は1,500MPa以上であり好ましくは2,000MPa以上、とりわけ好ましくは2,800MPa以上である。曲げ弾性率が1,500MPa未満だと剛性が不足し、OA機器部品用には不適である。
(2)23℃の減衰比は1.0%以上であり、好ましくは1.5%以上である。減衰比が1.0%未満だと制振性能が不足する。ここで減衰比は、加速度ピックアップセンサーを取り付けた試験片にインパルスハンマーで振動を与え、ピックアップ及び、インパルスハンマーに取り付けた力センサーからの信号から計算することができ、一次固有振動数での減衰比が用いられる。
(3)ASTM D648による18.6kg/cm2 での熱変形温度が80℃以上であり、好ましくは90℃以上、とりわけ好ましくは100℃以上である。熱変形温度が80℃未満だと使用時の熱により変形が生じ、OA機器部品用には不適である。
(4)曲げ弾性率と減衰比の積が10,000MPa以上である。曲げ弾性率と減衰比は相反する関係にあり、10,000MPa未満ではそのバランスが悪く、OA機器部品用には不適である。
【0024】[組成物の製造および成形法]本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るための方法としては、各種混練機、例えば、一軸および多軸混練機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等で、上記成分を混練した後、冷却固化する方法や適当な溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素およびその誘導体に上記成分を添加し、溶解する成分同志あるいは、溶解する成分と不溶解成分を懸濁状態でまぜる溶液混合法等が用いられる。工業的コストからは、溶融混練法が好ましいが限定されるものではない。本発明の制振性に優れたOA機器部品用成形体を成形方法する方法は、特に限定されるものでなく、熱可塑性樹脂組成物について一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、中空成形、押し出し成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形等の成形方法が適用できる。
【0025】
【実施例】以下に本発明を実施例によって、詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは無い。
【0026】各成分として、次に示すものを用いた。
1.ポリカーボネート樹脂PC :ビスフェノールA−ポリカーボネート(粘度平均分子量21,000、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名ユーピロンS3000)
【0027】2.スチレン系樹脂PS :ゴム強化ポリスチレン(三菱化学社製、商品名ダイヤレックスHT478)
ABS :アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(三井化学社製、商品名サンタックUT60B)
【0028】3.熱可塑性エラストマーハイブラー :スチレンーイソプレンブロック共重合体(クラレ社製、商品名ハイブラーVS−1、1,2−ビニルおよび/または3,4−ビニル構造を有する構造単位の割合70重量%、ガラス転移点8℃)
クレイトン :水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(シェル化学社製、商品名クレイトンG1651、1,2−ビニルおよび/または3,4−ビニル構造を有する構造単位の割合0重量%、ガラス転移点−60℃)
【0029】4.難燃剤Br−PC :テトラブロモビスフェノールA−ポリカーボネートオリゴマー(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名ユーピロンFR53)
PTFE :ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業社製 商品名ポリフロンF201)
【0030】5.無機充填材ガラス繊維 :平均直径10μm、長さ3mmのE−ガラス繊維ガラスフレーク:日本板ガラス社製、商品名REFG−101
【0031】実施例1〜3、比較例1〜3表1に示す配合で、二軸押出機(日本製鋼所製)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmで溶融混練し、樹脂組成物を得た。次にこの樹脂組成物を、シリンダー温度300℃、金型温度80℃の条件でインライン式射出成形機(型締め力50T)を用いて、テストピースを射出成形にて作成し、後記の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
【0032】実施例4〜5、比較例5表1に示す配合で、二軸押出機(日本製鋼所製)を用いて、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数250rpmで溶融混練し、樹脂組成物を得た。次にこの樹脂組成物を、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件でインライン式射出成形機(型締め力50T)を用いて、テストピースを射出成形にて作成し、後記の方法で評価を行った。この結果も表1に示す。
【0033】比較例4表1に示す配合で、二軸押出機(日本製鋼所製)を用いて、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数250rpmで溶融混練し、樹脂組成物を得た。次にこの樹脂組成物を、シリンダー温度220℃、金型温度40℃の条件でインライン式射出成形機(型締め力50T)を用いて、テストピースを射出成形にて作成し、後記の方法で評価を行った。この結果も表1に示す。
【0034】比較例6ガラス繊維30%強化PBT(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名ノバデュール5010GN1−30)を、シリンダー温度255℃、金型温度80℃の条件でインライン式射出成形機(型締め力50T)を用いて、テストピースを射出成形にて作成し、同様の方法で評価を行った。この結果も表1に示す。
【0035】
【表1】


【0036】[一般物性評価方法]
(1)アイゾット衝撃試験ASTM D256に従い、切り欠き付きアイゾット衝撃試験を行った。
(2)曲げ弾性率ASTM D790による曲げ試験法に従い三点曲げ試験を行った。
(3)熱変形温度ASTM D648に従い、18.6kg/cm2 の条件で、荷重たわみ試験を行った。
【0037】(4)減衰比上記条件で作成したASTM試験片(1/2”幅×1/4”厚)を、図1に示す様にバイスで固定し、末端に加速度ピックアップセンサーを張り付けた。次いでインパルスハンマー(小野測器社製GK3100)で試験片を叩き振動を与え、ピックアップ及び、インパルスハンマーに取り付けた力センサーからの信号をFFTアナライザー(小野測器社製CF−350Z)に入力し、材料の伝達関数G(t)を求めた。
G(t)=X(t)/F(t)
X(t):出力信号、F(t):入力信号
求められた伝達関数G(t)から半値幅法によって一次固有振動数での減衰比を計算した。
【0038】(5)寸法精度シリンダー温度300℃(実施例1〜3、比較例1〜3)、270℃(実施例4,5、比較例5)、220℃(比較例4)、260℃(比較例6)、金型温度80℃(実施例1〜5、比較例1〜3,5)、40℃(比較例4)、80℃(比較例6)の条件でインライン式射出成形機(型締め力100T)を用いて、100mm×100mm×2mm厚の平板をフィルムゲートで射出成形にて作成し、定盤上ですきまを測定し、反りとした。
【0039】
【発明の効果】上記実施例からも明らかなように、本発明の成型品は、優れた機械的強度、耐熱性、寸法精度に加えて、制振性にも優れており、今後制振性の要求が厳しくなるOA機器部品に最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 減衰比測定装置の概念図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】下記配合の樹脂成分を含むポリカーボネート系樹脂組成物からなり、該樹脂組成物におけるASTM D790による23℃の曲げ弾性率が1,500MPa以上、23℃の減衰比が1.0%以上、ASTM D648による熱変形温度が80℃以上、かつ曲げ弾性率と減衰率の積が10,000MPa・%以上であることを特徴とする制振性に優れたOA機器部品用成形体。
樹脂成分100重量部の配合:(1)ポリカーボネート系樹脂 50〜100重量部 内訳:ポリカーボネート樹脂 50〜100重量% スチレン系樹脂 0〜 50重量%(2)熱可塑性エラストマー 0〜 50重量部
【請求項2】上記ポリカーボネート系樹脂組成物には、熱可塑性エラストマーが、該組成物中の樹脂成分100重量部中、2〜40重量部配合されていることを特徴とする請求項1に記載の制振性に優れたOA機器部品用成形体。
【請求項3】上記熱可塑性エラストマーが、1,2−ビニルおよび/または3,4−ビニル構造を有する構造単位を50重量%以上含む共役ジエンゴム、1,2−ビニルおよび/または3,4−ビニル構造を有する構造単位を50重量%以上含むスチレン−共役ジエンブロック共重合体又はこれらの水素添加物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振性に優れたOA機器部品用成形体。
【請求項4】上記熱可塑性エラストマーのDSCにて測定したガラス転移温度が−30〜50℃の間にあることを特徴とする請求項2又は3に記載の制振性に優れたOA機器部品用成形体。
【請求項5】上記ポリカーボネート系樹脂組成物には、無機充填材が該組成物中0〜60重量%配合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の制振性に優れたOA機器部品用成形体。

【図1】
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【公開番号】特開2000−7904(P2000−7904A)
【公開日】平成12年1月11日(2000.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−178488
【出願日】平成10年6月25日(1998.6.25)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】