説明

制振材用エマルション

【課題】 制振材として形成された塗膜の乾燥性を向上させて、塗膜表面におけるクラックや膨張を抑制する手段を提供する。
【解決手段】 アクリル共重合体(A)からなるコア部と、前記コア部を被覆するアクリル共重合体(B)からなるシェル部とを有する粒子を含有する制振材用エマルションであって、前記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度が−9℃以上であり、かつ、前記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度と、前記アクリル共重合体(A)のガラス転移温度との差が、20℃以上である、制振材用エマルションである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振材を形成するために用いられるエマルションに関する。本発明のエマルションは、車両のシャシーなど、制振性が求められる部材に適用されうる。
【背景技術】
【0002】
振動が伝わる場所を静謐に保つために、音エネルギーを吸収する制振材が利用されている。例えば、自動車のシャシーなどに配置される制振材によって、路面やエンジンから伝達される振動が低減され、車室内の環境が向上する。
【0003】
制振材に用いられる材料としては、ゴム系ラテックスやアクリル共重合体などが提案されている。車両などのように、氷点下から数十度まで幅広い温度下で使用される機器においては、制振材としての機能が、幅広い温度領域で発現する必要がある。かような要望に応える技術として、アクリル共重合体からなるコア部と、前記コア部を被覆するアクリル共重合体からなるシェル部とを有する、コア−シェル型の粒子を含有する制振材用エマルションが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。コア−シェル型の粒子は、アクリル共重合体を単独で用いる場合や、2種以上のアクリル共重合体をブレンドする場合と比べて、幅広い温度領域で優れた制振性を有する。
【0004】
しかしながら、重合体からなる粒子を含むエマルションを用いて制振材を形成する場合、塗膜の加熱乾燥性が問題となっていた。
【0005】
制振材として作用するためには、塗膜は一定の膜厚を有している必要がある。ところが、厚い塗膜を乾燥させる場合、表面から乾燥していく傾向があるため、内部の塗膜がまだ水分を保持している一方で、表面近傍の塗膜が硬化してしまう。エマルションから形成された塗膜は、粒子周辺の水分量が少なくなると、すぐに融着して膜を形成するため、この傾向はエマルションを用いて塗膜を形成する場合に特に顕著である。
【0006】
表面近傍の塗膜が硬化した後に塗膜内部の水分が蒸発すると、既に硬化している表面近傍の塗膜が塗膜外側に膨張する問題や、塗膜にクラックが発生する問題が生じる。塗膜が膨張したり、クラックが発生したりすると、制振材としての特性が大きく低下してしまう。これでは、コア−シェル型の粒子のように、エマルションに含まれる粒子を改良しても、十分にその特徴を活かしきれない。
【特許文献1】特開昭53−78234号公報
【特許文献2】特開平5−148446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、制振材として形成された塗膜の乾燥性を向上させて、塗膜表面におけるクラックや膨張を抑制する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
アクリル共重合体(A)からなるコア部と、前記コア部を被覆するアクリル共重合体(B)からなるシェル部とを有する粒子を含有する制振材用エマルションであって、前記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度が−9℃以上であり、かつ、前記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度と、前記アクリル共重合体(A)のガラス転移温度との差が、20℃以上である、制振材用エマルションである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の制振材用エマルションを用いて形成された塗膜は乾燥性に優れ、乾燥時におけるクラックの発生や塗膜の膨張が抑制される。このため、コア−シェル型の粒子の有する効果が十分に活用された、幅広い温度領域で利用可能な制振材が形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明者らは、制振材用エマルションに配合されるコア−シェル型の粒子におけるガラス転移温度(以下、「Tg」と記載される)を制御することによって、塗膜の乾燥性が向上することを見出した。
【0011】
本発明の制振材用エマルション中には、Tgの異なるコア−シェル型の粒子が含まれる。この粒子は、シェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgと、コア部を構成するアクリル共重合体(A)のTgとの差が20℃以上である。また、シェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgの範囲について、所定の条件を満たす。コア部を構成するアクリル共重合体(A)のTgとシェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgとが本発明で規定される条件を満たしていると、詳細なメカニズムは定かではないが、乾燥時における塗膜表面の硬化が抑制される。このため、塗膜内部の水分が塗膜表面から蒸発する際に発生しがちな、塗膜表面の膨張やクラックが抑制される。
【0012】
また、加熱乾燥時に、低Tgのコア部と高Tgのシェル部とが相溶した場合には、内部から外部に向かったTg勾配を有する、高強度と柔軟性とを併せ持つ粒子が形成され、塗膜表面におけるクラックの発生や、密着性の低下も抑制されうる。
【0013】
まず、本発明の制振材用エマルションの構成要素について説明する。
【0014】
本発明のエマルションは、少なくとも、媒体と、媒体中に分散されたコア−シェル型の粒子を含む。
【0015】
媒体は、通常は水性媒体が用いられる。水性媒体としては、水、水と混じりあう溶媒と水との混合溶液が挙げられる。エマルションを含む塗料を塗布する際の安全性や環境への影響を考慮すると、水性媒体は水が好ましい。
【0016】
コア−シェル型の粒子は、アクリル共重合体(A)からなるコア部と、前記コア部を被覆するアクリル共重合体(B)からなるシェル部とを有する粒子である。
【0017】
「アクリル共重合体」とは、2以上のモノマーユニットからなる共重合体であって、モノマーユニットの少なくとも1つが、アクリル酸、メタクリル酸、それらの塩、またはそれらのエステル化物に由来する共重合体をいう。即ち、モノマーユニットの少なくとも1つが、CH=CH−COOR’、またはCH=C(CH)−COOR”で表されるモノマーに由来する共重合体をいう。ここで、R’およびR”は、水素原子、アルカリ金属原子、または直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基である。他のモノマーユニットは、これらの化合物と共重合可能な化合物から選択される。
【0018】
コア部を構成するアクリル共重合体(A)のTgは、シェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgより、20℃以上低いまたは20℃以上高い。このように、アクリル共重合体(A)とアクリル共重合体(B)とのTgに差を設けることによって、幅広い温度領域において高い制振性が発現する。
【0019】
アクリル共重合体(A)を構成するモノマーユニットは、アクリル共重合体(A)のTgが本発明で規定する範囲内となり、制振材として用いられうるのであれば、特に限定されない。
【0020】
アクリル共重合体(A)の合成に用いられるモノマーとしては、以下の化合物が用いられうる。ただし、アクリル共重合体(A)の原料としてのモノマーが、以下に例示する化合物に限定されるわけではない。
【0021】
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート。
【0022】
アクリル共重合体(A)を構成する各モノマーの割合は、特に限定されない。通常は、アクリル酸、メタクリル酸、それらの塩、またはそれらのエステル化物に由来するモノマーユニットが、各モノマーユニットの合計を基準として、30〜60質量%含まれる。なお、ここでの質量%は、エマルション中に含まれる粒子の平均値を意味する。
【0023】
合成されるアクリル共重合体のTgは、既に得られている知見に基づいて決定されてもよいし、モノマーユニットの種類および使用割合によって制御されてもよい。合成されるアクリル共重合体のTgは、理論上は、以下の計算式より算出されうる。
【0024】
【数1】

【0025】
式中、Tg’は合成されるアクリル共重合体のTg(絶対温度)であり、W’、W’、・・・W’は、全モノマーに対する各モノマーの質量分率であり、T、T、・・・Tは、各モノマーからなるホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)である。
【0026】
シェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgは−9℃以上である。シェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgがこのような条件を満たすと、本発明の制振材用エマルションを含む塗料を用いて形成された塗膜の乾燥性が良好となり、塗膜表面の膨張やクラックが抑制されうる。つまり、優れた制振性を有する制振材が形成される。具体的には、シェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgは、好ましくは−9〜70℃であり、より好ましくは−9〜50℃である。コア部を構成するアクリル共重合体(A)のTgは、シェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgから、20℃以上異なるように設計される。
【0027】
また、シェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgと、コア部を構成するアクリル共重合体(A)のTgとの差が、20℃以上である。コア部を構成するアクリル共重合体(A)のTgとシェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgとに差を設けることによって、幅広い温度領域に対応しうる制振材となる。ただし、温度差が大きすぎると、実際に使用する温度で制振性が劣る虞がある。これらを考慮すると、シェル部を構成するアクリル共重合体(B)のTgと、コア部を構成するアクリル共重合体(A)のTgとの差は、好ましくは20〜100℃であり、より好ましくは20〜90℃であり、さらに好ましくは20〜80℃である。
【0028】
アクリル共重合体(B)を構成するモノマーユニットは、アクリル共重合体(B)のTgが本発明で規定する範囲内となり、制振材として用いられうるのであれば、特に限定されない。アクリル共重合体(B)の合成に用いられるモノマーとしては、アクリル共重合体(A)について例示した化合物が用いられうる。ただし、アクリル共重合体(B)の原料としてのモノマーが、前記化合物に限定されるわけではない。
【0029】
アクリル共重合体(B)を構成する各モノマーの割合は、特に限定されない。通常は、アクリル酸、メタクリル酸、それらの塩、またはそれらのエステル化物に由来するモノマーユニットが、各モノマーユニットの合計を基準として、40〜70質量%含まれる。
【0030】
コア−シェル型の粒子は、コア部のアクリル共重合体が、シェル部のアクリル共重合体によって被覆された構造を有する。コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好ましいが、場合によっては、完全に被覆されていなくてもよい。例えば、網目状に被覆されている形態や、ところどころにおいてコア部が露出している形態であってもよい。
【0031】
コア−シェル型の粒子において、コア部とシェル部とは、明確に分離していてもよいが、コア部とシェル部との境界においては、両者が混在していてもよい。少なくとも粒子の中心に存在するコア部と、コア部を構成するアクリル共重合体とTgの異なるアクリル共重合体からなるシェル部とが存在していれば、コア−シェル型の粒子に該当する。場合によっては、シェル部の外部にさらにTgの異なるアクリル共重合体が形成されてもよい。また、シェル部の外表面が、表面処理されていてもよい。
【0032】
コア−シェル型の粒子において、アクリル共重合体からなるコア部と、コア部を構成するアクリル共重合体とTgの異なるアクリル共重合体からなるシェル部とが存在しているが、低Tgのアクリル共重合体と、高Tgのアクリル共重合体との質量比は、好ましくは1:9〜5:5、より好ましくは3:7〜5:5である。低Tgのアクリル共重合体の割合が少なすぎると、加熱乾燥後にクラックが生じる虞がある。一方、低Tgのアクリル共重合体が多すぎると、加熱乾燥後にフクレ(塗膜の膨張)が生じる虞がある。
【0033】
コア−シェル型の粒子の平均粒径は、特に限定されないが、通常は10nm〜1μm程度、好ましくは20〜500nm程度である。エマルションの平均粒径が10nm未満であると、エマルションの粘度が高くなりすぎ、また、分散安定性が保てずに凝集する虞がある。他方、1μmを超えると、エマルションではなくなってしまう。
【0034】
次に、本発明の制振材用エマルションの製造方法について説明する。
【0035】
本発明のエマルションは、シード法などの公知の乳化重合法により調製されうる。例えば、本発明のエマルションは、(1)界面活性剤及び/又は保護コロイドの存在下において、水性媒体中で、モノマーを乳化重合させて、アクリル共重合体(A)からなるコア部を形成する工程、(2)コア部を含むエマルションに対して、モノマーを添加して、さらに乳化重合させて、アクリル共重合体(B)からなるシェル部を形成する工程からなる方法によって、製造されうる。
【0036】
モノマーや重合開始剤等の添加方法としては、シード法の他、モノマー成分滴下法、プレエマルション法、パワーフィード法、多段添加法等が用いられうる。
【0037】
乳化剤は、特に限定はなく、各種乳化剤を用いることが可能である。たとえば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、これらの反応性界面活性剤等を、乳化剤として用いることができる。これらを組み合わせて使用してもよい。
【0038】
アニオン系界面活性剤には、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩などが含まれる。ただし、アニオン系界面活性剤は、これらに限定されない。また、2種以上のアニオン系界面活性剤を用いてもよい。
【0039】
ノニオン系界面活性剤には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミドまたは酸との縮合生成物などが含まれる。ただし、ノニオン系界面活性剤は、これらに限定されない。また、2種以上のノニオン系界面活性剤を用いてもよい。
【0040】
カチオン系界面活性剤には、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩などが含まれる。ただし、カチオン系界面活性剤は、これらに限定されない。また、2種以上のカチオン系界面活性剤を用いてもよい。
【0041】
両性界面活性剤には、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタインなどが含まれる。ただし、両性界面活性剤は、これらに限定されない。また、2種以上の両性界面活性剤を用いてもよい。
【0042】
高分子界面活性剤には、ポリビニルアルコールおよびその変性物;(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等が含まれる。ただし、高分子界面活性剤は、これらに限定されない。また、2種以上の高分子界面活性剤を用いてもよい。
【0043】
乳化剤の中では、反応性乳化剤を用いるのが好ましい。また、環境面からは、非ノニルフェニル型の乳化剤を用いることが好ましい。場合によっては、2種以上の乳化剤が用いられてもよい。
【0044】
乳化剤の使用量は、用いる乳化剤の種類やモノマーの種類等に応じて調整される。一般には、乳化剤の使用量は、アクリル共重合体を形成するのに用いるモノマーの合計100質量部に対して、約0.3〜約10質量部、好ましくは約0.5〜約5質量部である。
【0045】
保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;グアーガムなどの天然多糖類;などが挙げられる。
【0046】
保護コロイドは単独で使用されてもよく、乳化剤と併用されてもよい。保護コロイドの使用量は、使用条件にもよるが、通常、アクリル共重合体を形成するのに使用されるモノマーの合計100質量部に対して、0〜約3質量部である。
【0047】
乳化重合を開始させるために、重合開始剤が用いられうる。重合開始剤は、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であれば特に限定されない。乳化重合では、水溶性の開始剤が好適に使用される。重合開始剤には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤などが含まれる。ただし、重合開始剤は、これらに限定されない。また、2種以上の重合開始剤を用いてもよい。
【0048】
重合開始剤の使用量は、特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。例えば、全モノマーの総量を100質量部としたときに、好ましくは0.1〜2質量部、より好ましくは0.2〜1質量部使用する。
【0049】
また、乳化重合に際しては、必要に応じて、還元剤が併用されうる。使用されうる還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物が挙げられる。
【0050】
還元剤の使用量も、特に限定されないが、通常、アクリル共重合体を形成するために使用するモノマーの合計100質量部に対して、約0.05〜約1質量部である。
【0051】
乳化重合時に、分子量低減のために、連鎖移動剤をモノマー100質量部当たり0.001〜2質量部用いてもよい。連鎖移動剤には、四塩化炭素、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン置換アルカン;n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸ドデシル等のモノチオグリコール酸アルキル等のチオエステル;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;α−メチルスチレンダイマー、ターピノール、テルピネン、ジペンテン等が挙げられる。ただし、連鎖移動剤は、これらに限定されない。また、2種以上の連鎖移動剤を用いてもよい。
【0052】
乳化重合における重合温度は、特に限定されない。重合温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは40〜95℃である。重合時間も、特に限定されない。重合時間は、通常は、1〜15時間である。
【0053】
コア部とシェル部とは、基本的に同様の作業によって形成されうるが、必要に応じて、用いる添加剤や条件を使いわけられる。例えば、シェル部を形成するための乳化重合においては、界面活性剤及び/又は保護コロイドを追加しなくてもよい。
【0054】
乳化重合反応後に得られるエマルション中の不揮発分、すなわち、コア−シェル型の粒子は、60質量%以下であるのが好ましい。不揮発分が60質量%を超えると、エマルションの粘度が高すぎるため、分散安定性が保てず、凝集が起きる虞がある。
【0055】
エマルションのpHは、特に限定されないが、通常、2〜10、好ましくは2〜8の範囲内である。エマルションのpHは、エマルションに、アンモニア水、水溶性アミン類、水酸化アルカリ水溶液等を添加することによって、調整されうる。
【0056】
エマルションの粘度は、通常、10〜10000mPa・s程度、好ましくは50〜5000mPa・sの程度の範囲内である。粘度は、B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmといった所定の条件下で測定されうる。
【0057】
本発明の制振材用エマルションは、実施例に示すように、他成分と配合されて、制振材用組成物、例えば、制振材用水性塗料組成物とされる。制振材用組成物中に配合される他成分としては、溶媒;可塑剤;安定剤;増粘剤;湿潤剤;防腐剤;発泡防止剤;無機質充填剤;着色剤;分散剤;防錆顔料;消泡剤;老化防止剤;防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤等が挙げられる。好ましくは、制振材用組成物は、少なくとも本発明の制振材用エマルションおよび無機質充填剤を含む。すなわち、本発明の制振材用組成物は、本発明の制振材用エマルションと無機質充填剤とを混合して得られる、水系制振材用組成物である。制振材用エマルション、無機質充填剤、および必要に応じて配合される他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等などを用いて混合されうる。
【0058】
これらの配合物は、公知の材料から適宜選択されうる。例えば、溶媒としては、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。増粘剤としては、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂などが挙げられる。無機質充填剤としては、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、ガラストーク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、珪藻土、クレー等の無機質の充填剤;ガラスフレーク、マイカ等の鱗片状無機質充填剤;金属酸化物ウィスカー、ガラス繊維等の繊維状無機質充填剤等が挙げられる。着色剤としては、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、ハンザイエロー、ベンジンイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等の有機または無機の着色剤が挙げられる。分散剤としては、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤およびポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。防錆顔料としては、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等が挙げられる。消泡剤としては、シリコン系消泡剤等が挙げられる。
【0059】
制振材用組成物は、好ましくは約40〜90質量%、より好ましくは約50〜85質量%、さらに好ましくは約60〜80質量%の範囲内の固形分を含有する。また、制振材用組成物のpHは、好ましくは7〜11、より好ましくは8〜10の範囲内である。
【0060】
制振材用組成物における各成分の配合量は、特に限定されない。通常用いられる量が、得られる特性を考慮しながら配合される。例えば、制振材用エマルションの配合量は、制振材用組成物の固形分100質量部に対して、固形分で、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは15〜55質量部、さらに好ましくは20〜50質量部である。増粘剤の配合量は、制振材用組成物の固形分100質量部に対して、固形分で、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.05〜1.5質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。無機質充填剤の配合量は、制振材用組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは40〜90質量部、より好ましくは45〜85質量部、さらに好ましくは50〜80質量部である。ただし、配合量がこの範囲に限定されるわけではない。
【0061】
制振材用組成物は、多価金属化合物を含んでいてもよい。多価金属化合物により、制振材用組成物の安定性、分散性、加熱乾燥性や、制振材用組成物から形成される制振材の制振性が向上する。多価金属化合物としては特に限定されず、例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
【0062】
多価金属化合物の形態は特に限定されず、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。これらの中では、制振材用組成物中への分散性が向上することから、好ましくは水分散体または乳化分散体、より好ましくは乳化分散体の形態で使用する。また、多価金属化合物の使用量は、制振材用組成物中の固形分100質量部に対して、好ましくは0.05〜5.0質量部であり、より好ましくは0.05〜3.5質量部である。
【0063】
制振材用組成物が基材に塗布および乾燥されることによって、制振材として作用する塗膜が形成される。基材は特に限定されるものではない。また、制振材用組成物を基材に塗布するためには、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いることができる。
【0064】
本発明の制振材用エマルションを用いて調製された制振材用組成物は、自動車の室内床下、鉄道車両、船舶、航空機、電気機器、建築構造物、建設機器等に適用される。ただし、これらに限定されない。
【0065】
制振材用組成物の塗布量は、用途や所望する性能等により設定される。具体的には、乾燥時の被膜の膜厚が、好ましくは0.5〜5.0mmであり、より好ましくは1.5〜4.5mmである。本発明のエマルションを使用して調製された制振材用組成物の塗布によって形成された塗膜は、乾燥時に膨張やクラックが生じにくい。このため、厚塗りをしても、問題が生じにくい。
【0066】
上記制振材用塗料を塗布した後、乾燥して被膜を形成させるには、加熱乾燥してもよく、常温乾燥してもよい。効率性の点で加熱乾燥することが好ましい。本発明の制振材用組成物を用いて形成された制振材用塗料は、強制的に加熱して乾燥する場合であっても、乾燥性に優れるため、膨張やクラックが発生しにくい。このため、加熱乾燥を用いる場合に、特に有益である。加熱乾燥の温度は、好ましくは80〜210℃、より好ましくは110〜160℃である。
【実施例】
【0067】
本発明の効果について、実施例および比較例を用いて説明する。なお、特別の記載がない限り、以下の実施例において「%」および「部」は、それぞれ「質量%」および「質量部」を意味する。
【0068】
<実施例1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水(170.5部)を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら、内温を70℃まで昇温させた。一方、前記滴下ロートに、メチルメタクリレート(25部)、スチレン(111.5部)、2−エチルヘキシルアクリレート(108.5部)、アクリル酸(2.5部)、グリシジルメタクリレート(2.5部)、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩(第一工業製薬株式会社製ハイテノールN−08;37.5部)、および脱イオン水(57.5部)からなる単量体エマルション1を仕込んだ。
【0069】
70℃に調整した重合器に、単量体エマルション1を滴下することで反応を開始させ、75℃まで温度を上げた後、内温を75℃に維持しながら単量体エマルション1を2時間かけて均一に滴下した。同時に、5%過硫酸カリウム水溶液(27部)、および2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(20部)を2時間かけて均一に滴下した。これらの滴下により、コア部のエマルションを形成した。滴下終了後、75℃で1時間反応を続け、各モノマーを完全に消費させた。
【0070】
次いで、別の滴下ロートにメチルメタクリレート(50部)、スチレン(126部)、2−エチルヘキシルアクリレート(69部)、アクリル酸(2.5部)、グリシジルメタクリレート(2.5部)、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩(第一工業製薬株式会社製ハイテノールN−08;37.5部)、および脱イオン水(57.5部)からなる単量体エマルション2を準備した。
【0071】
コア部のエマルションに、調製した単量体エマルション2を滴下することで反応を開始させ、内温を75℃に維持しながら単量体エマルション2を2時間かけて滴下した。同時に、5%過硫酸カリウム水溶液(27部)、および2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(20部)を2時間かけて均一に滴下した。これらの滴下により、シェル部を形成し、コア−シェル型の粒子とした。滴下終了後、75℃で1時間反応を続け、各モノマーを完全に消費させた。その後、反応溶液を25℃まで冷却して25%のアンモニア水を適量添加し、水性の制振材用エマルションを得た。得られた制振材用エマルションの不揮発分は55.1%、pHは8.8、粘度は500mPa・sであった。
【0072】
参考までに、使用されたモノマー組成物の組成を表1に示す。また、形成された制振材用エマルションのスペックを表3に示す。なお、表1および表2において、MMAはメチルメタクリレートを、Stはスチレンを、2−EHAは2−エチルヘキシルアクリレートを、AAはアクリル酸を、GAAはグリシジルメタクリレートをそれぞれ示す。トータルTgとはコア−シェル型粒子全体としてのガラス転移温度を示す。M(C):M(S)は、コア部の質量M(C)と、シェル部の質量M(S)との質量比である。
【0073】
<実施例2〜9>
実施例1において、コア部およびシェル部の形成に用いられるモノマー組成物の組成を、表1に示す組成にした以外は実施例1と同様にして、コア−シェル型の粒子を含有する制振材用エマルションを得た。形成された制振材用エマルションのスペックを表3に示す。
【0074】
<比較例1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水(170.5部)を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら、内温を70℃まで昇温させた。一方、前記滴下ロートに、メチルメタクリレート(75部)、スチレン(239部)、2−エチルヘキシルアクリレート(176部)、アクリル酸(5部)、グリシジルメタクリレート(5部)、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩(第一工業製薬株式会社製ハイテノールN−08;75部)、および脱イオン水(115部)からなる単量体エマルション3を仕込んだ。
【0075】
70℃に調整した重合器に、単量体エマルション3を滴下することで反応を開始させ、75℃まで温度を上げた後、内温を75℃に維持しながら単量体乳化物3を3時間かけて均一に滴下した。同時に、5%過硫酸カリウム水溶液(54部)、および2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(40部)を3時間かけて均一に滴下した。これらの滴下により、ガラス転移温度15℃のアクリル共重合体粒子を形成した。滴下終了後、75℃で1時間反応を続け、各モノマーを完全に消費させた。その後、25℃まで冷却して25%アンモニア水を適量添加し、水性の制振材用エマルションを得た。得られた制振材用エマルションの不揮発分は54.9%、pHは8.9、粘度は450mPa・sであった。参考までに、使用されたモノマー組成物の組成を表2に示す。また、形成された制振材用エマルションのスペックを表3に示す。
【0076】
<比較例2および3>
比較例1において、モノマー組成物の組成を、表2に示す組成にした以外は比較例1と同様にして、粒子を含有する制振材用エマルションを得た。形成された制振材用エマルションのスペックを表3に示す。
【0077】
<比較例4〜6>
実施例1において、コア部およびシェル部の形成に用いられるモノマー組成物の組成を、表2に示す組成にした以外は実施例1と同様にして、コア−シェル型の粒子を含有する制振材用エマルションを得た。形成された制振材用エマルションのスペックを表3に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
実施例1〜5及び比較例1〜3の制振材用エマルションを下記に示す通り配合して、制振材用水性塗料組成物を得た。
・制振材用エマルション 100部
・無機質充填剤(炭酸カルシウム;日東粉化工業株式会社製NN#200) 250部
・分散剤(花王株式会社製デモールEP) 1部
・増粘剤(株式会社日本触媒製アクリセットAT−2) 2部
・消泡剤(サンノプコ株式会社製ノプコ8034L) 0.3部
この制振材用水性塗料組成物について、加熱乾燥性および損失係数を評価した。
【0082】
<加熱乾燥性>
カチオン電着塗装板の上に、作製した水性塗料組成物を、乾燥膜厚が1.5mm、3.0mm、および4.5mmとなるように塗布した。その後、熱風乾燥器を用いて、150℃で30分間乾燥し、得られた乾燥塗膜のフクレ・割れ発生状態を以下の基準で評価した。
・評価基準(目視評価)
○:フクレ・割れの発生が未確認
△:フクレ・割れが少し発生確認
×:フクレ・割れが多数発生
<損失係数の測定方法>
作製した水性塗料組成物を冷間圧延鋼板(日本テストパネル製SPCC−SD;幅15mm×長さ250mm×厚み0.8mm)上、4mm厚の型枠中に流し込み、150℃×30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に制振材被膜を形成した。得られた制振材被膜の制振性を、損失係数を用いて評価した。損失係数は、片持ち梁法(株式会社小野測機・損失係数測定システム)を用いて、25℃および40℃におけるtanδを共振法(3dB法)により測定した。損失係数の値が大きいほど、制振性が良好であることを示す。
【0083】
【表4】

【0084】
表4に示すように、本発明の制振材用エマルションを用いて形成された塗膜は乾燥性に優れ、乾燥時におけるクラックの発生や塗膜の膨張が抑制される。また、幅広い温度領域で、制振材として作用することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル共重合体(A)からなるコア部と、前記コア部を被覆するアクリル共重合体(B)からなるシェル部とを有する粒子を含有する制振材用エマルションであって、
前記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度が−9℃以上であり、かつ、前記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度と、前記アクリル共重合体(A)のガラス転移温度との差が、20℃以上である、制振材用エマルション。

【公開番号】特開2008−163349(P2008−163349A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66604(P2008−66604)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【分割の表示】特願2003−340359(P2003−340359)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】