説明

制振装置

【課題】 本発明は耐力壁の内部に油圧ダンパを取り付けることを課題とする。
【解決手段】 制振装置10は、耐力壁11に油圧ダンパ12を組み込む構成となっている。耐力壁11の壁面状空間20内には、上記油圧ダンパ12の他に下梁16に固定される下部伝達部材22と、上梁18に固定される上部伝達部材24とが設けられており、油圧ダンパ12は下部伝達部材22と上部伝達部材24との間に介在するように取り付けられる。また、上記壁面状空間20には、一対のブレース26,28が対角方向に装架されている。そして、油圧ダンパ12は、ブラケット38,40によりシリンダ12bがブレース26,28に干渉しない中間位置に支持され、且つピストンロッド12aがブレース26と交差する位置に支持されている。よって、油圧ダンパ12は、下部伝達部材22と上部伝達部材24との相対変位に伴う水平方向の振動を減衰することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は制振装置に係り、特に構造物の振動エネルギを吸収するダンパ装置がブレースを有する壁内に取り付けられるよう構成された制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ビルや住宅等の構造物の耐震性を高める手段として、骨組みの対角位置に装架されて壁の内部に配置されるブレースに油圧ダンパを取り付けてなる制振構造の開発が進められている。この制振構造では、油圧ダンパにより柱や梁等の骨組み間に骨組を塑性変形させようとする地震の振動エネルギを吸収し、構造物の骨組みを制振させる構成となっている。
【0003】このような制振装置としては、例えば実開平7−23108号公報に開示された構成のものがある。この公報に記載されたものは、油圧ダンパがブレースとして取り付けられており、油圧ダンパのシリンダ端部が骨組みの角部に連結され、シリンダ内を往復動するピストンに結合されたピストンロッドの端部が骨組みの対角位置に形成された他の角部に連結されている。
【0004】そして、地震による振動エネルギが構造物の骨組みに伝わると、長方形状に組まれた骨組みが平行四辺形となるように変形させる応力が構造物に作用する。その際の振動エネルギは、油圧ダンパにより吸収される。その結果、構造物は地震による変形が防止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように構成された制振装置では、油圧ダンパ及び柱や梁等の骨組みを有するため、複数の作業員が特別な施工方法で組み立てながらコンクリートの壁面に固定する必要があり、取付作業が難しかった。そのため、油圧ダンパを上部伝達部材と下部伝達部材との間に介在させてなる制振壁パネルを形成し、この制振壁パネルを工場等で組み立てて現場でパネルを基礎や梁に固定するようにして取付作業が容易に行なえるよう構成された制振装置が開発されつつある。
【0006】この制振装置では、梁に固定される上部伝達部材と床等の基礎に固定される下部伝達部材との間に油圧ダンパが取り付けられており、油圧ダンパのシリンダ端部及びピストンロッド端部が水平方向の振動を伝える上部伝達部材又は下部伝達部材に連結されている。上記のような制振装置では、一般の木造住宅に取り付ける場合、油圧ダンパを複数の個所に設置する必要があるが、ドアや窓を除いた壁部に取り付けることになる。ところが、一般の木造住宅では、地震に耐えるだけの強度を持たせるため、筋交い(ブレース)が設けられた耐力壁を所定の割合で設けることが義務付けられているので、油圧ダンパが取付可能な壁面が限られていた。
【0007】そのため、住宅のドアや窓、さらに耐力壁を除く壁面に油圧ダンパを取り付けなければならないので、油圧ダンパの設置可能な壁面が足りず十分な制震効果が得られないおそれがあった。そこで、本発明は上記課題を解決した制振装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有する。上記請求項1記載の発明は、構造物の柱、梁から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える上部伝達部材と、前記構造物の基礎、柱から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、前記基礎からの該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える下部伝達部材と、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材との間に設けられたダンパ装置と、前記構造物の柱または梁に結合されるブレースと、を有する制振装置において、前記ダンパ装置を前記ブレースと前記構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、前記ダンパ装置のピストンロッドを前記ブレースと交差するように設けたことを特徴とするものである。
【0009】従って、請求項1記載の発明によれば、ダンパ装置をブレースと構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、ダンパ装置のピストンロッドをブレースと交差するように設けたため、耐力壁の内部にもダンパ装置を設けることが可能になり、住宅の構造あるいは壁面の配置によらず制震効果を確保することができる。
【0010】上記請求項2記載の発明は、構造物の柱、梁から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える上部伝達部材と、前記構造物の基礎、柱から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、前記基礎からの該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える下部伝達部材と、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材との間に設けられたダンパ装置と、前記ダンパ装置を前記上部伝達部材または前記下部伝達部材に固定するブラケットと、前記構造物の柱または梁に結合されるブレースと、を有する制振装置において、前記ダンパ装置を前記ブレースと前記構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、前記ブラケットを前記ブレースと交差するように設けたことを特徴とするものである。
【0011】従って、請求項2記載の発明によれば、ダンパ装置をブレースと構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、ブラケットをブレースと交差するように設けたため、耐力壁の内部にもダンパ装置を設けることが可能になり、住宅の構造あるいは壁面の配置によらず制震効果を確保することができる。上記請求項3記載の発明は、構造物の柱、梁から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える上部伝達部材と、前記構造物の基礎、柱から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、前記基礎からの該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える下部伝達部材と、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材との間に設けられたダンパ装置と、前記構造物の柱または梁に結合されるブレースと、を有する制振装置において、前記ダンパ装置を前記ブレースと前記構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、前記上部伝達部材及び前記下部伝達部材を前記壁面状空間に配置させ、且つ前記ブレースを前記上部伝達部材及び前記下部伝達部材の内部に挿通させたことを特徴とするものである。
【0012】従って、請求項3記載の発明によれば、ダンパ装置をブレースと構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、上部伝達部材及び下部伝達部材を壁面状空間に配置させ、且つブレースを上部伝達部材及び下部伝達部材の内部に挿通させたため、耐力壁の内部にもダンパ装置を設けることが可能になり、住宅の構造あるいは壁面の配置によらず制震効果を確保することができる。
【0013】上記請求項4記載の発明は、構造物の柱、梁から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える上部伝達部材と、前記構造物の基礎、柱から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、前記基礎からの該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える下部伝達部材と、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材との間に設けられたダンパ装置と、前記構造物の柱または梁に結合されるブレースと、を有する制振装置において、前記ダンパ装置を前記ブレースと前記構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材とを前記壁面状空間の壁面に対し前後にずらして配置させ、且つ前記ブレースを前記上部伝達部材及び前記下部伝達部材の前面または後面の広い空間側に沿うように装架させたことを特徴とするものである。
【0014】従って、請求項4記載の発明によれば、ダンパ装置をブレースと構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、上部伝達部材と下部伝達部材とを壁面状空間の壁面に対し前後にずらして配置させ、且つブレースを上部伝達部材及び下部伝達部材の前面または後面の広い空間側に沿うように装架させたため、耐力壁の内部にもダンパ装置を設けることが可能になり、住宅の構造あるいは壁面の配置によらず制震効果を確保することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明になる制振装置の一実施例を示す正面図である。また、図2(A)は図1中X−X線に沿う縦断面図である。また、図2(B)は図1中Y−Y線に沿う縦断面図である。また、図2(C)は図1中Z−Z線に沿う横断面図である。
【0016】図1及び図2(A)〜(C)に示されるように、制振装置10は、例えば木造の一般住宅用建物等の耐力壁11にダンパ装置としての油圧ダンパ12を組み込む構成となっている。この油圧ダンパ12は、1階床と2階床との間に起立された柱14と、1階床に支持されるように横架された下梁16(基礎)と、2階床を支持するように横架された上梁18とにより形成された長方形の壁面状空間20の空いたスペースに取り付けられている。
【0017】耐力壁11の壁面状空間20内には、上記油圧ダンパ12の他に下梁16に固定される下部伝達部材22と、上梁18に固定される上部伝達部材24とが設けられており、油圧ダンパ12は下部伝達部材22と上部伝達部材24との間に介在するように取り付けられる。また、上記壁面状空間20には、鉄棒からなる一対のブレース26,28が対角方向に装架されている。一方のブレース26は、下部伝達部材22及び上部伝達部材24の前面側に沿うように配設されている。また、他方のブレース28は、下部伝達部材22及び上部伝達部材24の傾斜部22a,24aに沿うように配設されている。そのため、下部伝達部材22及び上部伝達部材24は、他方のブレース28と全く干渉せず、一方のブレース26に摺接するように設けられている。
【0018】また、ブレース26,28は、一端が柱14の上部に固定された固定金具30に結合され、他端が柱14の下部に固定された固定金具31に結合される。また、ブレース26,28は、夫々途中にターンバックル32,34が設けられており、取付後のテンションが調整されるようになっている。さらに、柱14間には、壁面状空間20の中間位置に横架された横架部材36が設けられている。尚、横架部材36は、X字状に配設されたブレース26,28と交差する位置にブレース26,28が挿通される長孔36aが設けられている。
【0019】上部伝達部材24は、一方のブレース26の後側に対向するように上梁18に固定され、且つ他方のブレース28に干渉しないように台形状に形成されている。上部伝達部材24の下端には、油圧ダンパ12のピストンロッド12aを支持するブラケット38が固定されている。尚、上部伝達部材24の高さ方向の寸法Laは、横架部材36が横架された中間位置よりも短い。
【0020】また、下部伝達部材22は、他方のブレース28の後側に対向するように下梁16に固定され、且つ他方のブレース26に干渉しないように台形状に形成されている。下部伝達部材22の上端には、油圧ダンパ12のシリンダ12bを支持するブラケット40が固定されている。ブラケット40は、ブラケット38と同一高さ位置となるように上方に延在されている。
【0021】すなわち、ブラケット40は、固定部40aが下部伝達部材22の上端に固定され、一対の腕部40bが横架部材36及びブレース28を跨いでシリンダ12bの端部を支持している。そのため、油圧ダンパ12は、水平状態に保持されている。尚、下部伝達部材22の高さ方向の寸法Lbは、横架部材36が横架された中間位置近傍まで延長されており、上部伝達部材24よりも高さ寸法が大となっている(Lb>La)。
【0022】さらに、油圧ダンパ12は、壁面状空間20内の空いている部分に装架されるいる。すなわち、ブラケット38,40によりシリンダ12bがブレース26,28に干渉しない中間位置に支持され、且つピストンロッド12aがブレース26と交差する位置に支持されている。このように油圧ダンパ12は、ブレース26,28に干渉しないように上部伝達部材24の下端に固定されたブラケット38と、下部伝達部材22の上端に固定されたブラケット40との間に横架されるように取り付けられており、下部伝達部材22と上部伝達部材24との相対変位に伴う水平方向の振動を減衰することができる。
【0023】図3は本発明になる制振装置の変形例1を示す正面図である。また、図4(A)は図3中X−X線に沿う縦断面図である。また、図4(B)は図3中Y−Y線に沿う縦断面図である。また、図4(C)は図3中Z−Z線に沿う縦断面図である。また、図4(D)は図3R>3中M−M線に沿う横断面図である。尚、図3及び図4(A)〜(D)において、上記実施例と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0024】図3及び図4(A)〜(D)に示されるように、制振装置41は、ブレース26が下部伝達部材22及び上部伝達部材24の内部空間42,44に挿通されている。そのため、制振装置41では、ブレース26が下部伝達部材22及び上部伝達部材24の前面側に配設された上記実施例のものよりも薄型化することができる。
【0025】図5(A)は本発明になる制振装置の変形例3を示す正面図である。また、図5(B)は図5(A)中Y−Y線に沿う縦断面図である。尚、図5(A)(B)において、上記実施例と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。図5(A)(B)に示されるように、制振装置51は、上記変形例2と同様に下部伝達部材22及び上部伝達部材24が壁面状空間20の左側に寄せた位置に取り付けられている。一方のブレース26は、上部伝達部材24の前面側の広い空間内に装架され、他方のブレース28は、下部伝達部材22の後面側の広い空間内に装架されている。
【0026】また、下部伝達部材22は、壁面状空間20の後側に配置され、上部伝達部材24は、壁面状空間20の前側に配置されている。そして、ブレース26,28は、一端が下部伝達部材22の前面及び上部伝達部材24の後面に対向し、他端が下部伝達部材22及び上部伝達部材24の傾斜部22a,24aに沿うように配設されている。
【0027】そして、ブレース26,28の途中に配設されたターンバックル32,34が下部伝達部材22及び上部伝達部材24とは反対側となる壁面状空間20の右側に配置されている。そのため、制振装置51が設置された後でもターンバックル32,34を回してブレース26,28のテンションを調整することができる。図6R>6(A)は本発明になる制振装置の変形例4を示す正面図である。また、図6(B)は図6(A)中X−X線に沿う縦断面図である。尚、図6(A)(B)において、上記実施例と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0028】図6(A)(B)に示されるように、制振装置61は、下部伝達部材22及び上部伝達部材24が壁面状空間20の左側に寄せた位置に取り付けられている。そのため、油圧ダンパ12は、ブレース26と横架部材36との間に形成された左側空間に配置され、ブレース26と干渉しないように取り付けられる。ブラケット52は、固定部52aが下部伝達部材22の上端に固定され、一対の腕部52bが横架部材36を跨いでシリンダ12bの端部を支持している。そのため、油圧ダンパ12は、水平状態に保持されている。
【0029】ブレース26,28は、一端が下部伝達部材22及び上部伝達部材24の内部空間42,44に挿通され、他端が下部伝達部材22及び上部伝達部材24の傾斜部22a,24aに沿うように配設されている。そして、ブレース26,28の途中に配設されたターンバックル32,34が下部伝達部材22及び上部伝達部材24とは反対側となる壁面状空間20の右側に配置されている。そのため、制振装置51が設置された後でもターンバックル32,34を回してブレース26,28のテンションを調整することができる。
【0030】図7(A)は本発明になる制振装置の変形例5を示す正面図である。また、図7(B)は図7(A)中X−X線に沿う縦断面図である。尚、図7(A)(B)において、上記実施例と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。図7(A)(B)に示されるように、制振装置71は、下部伝達部材22及び上部伝達部材24が壁面状空間20の後面側に寄せた位置に設けられ、ブレース26,28が下部伝達部材22及び上部伝達部材24の前面側に形成される広い空間内に装架されている。
【0031】ブラケット72は、固定部72aが上部伝達部材24の下端側部24bに固定され、一対の腕部72bが水平方向に延在して油圧ダンパ12のピストンロッド12aに連結されている。すなわち、ブラケット72は、ピストンロッド12aの動作方向に延在するように取り付けられている。そして、ブレース26,28は、ブラケット72の腕部72b間に形成された内部空間72cを貫通するように取り付けられている。
【0032】ブラケット73は、固定部73aが下部伝達部材22の上端に固定され、一対の腕部73bが横架部材36を跨いでシリンダ12bの端部を支持している。そのため、油圧ダンパ12は、水平状態に保持されている。これにより、油圧ダンパ12は、ブレース26,28と干渉しない位置に配置される。
【0033】図8(A)は本発明になる制振装置の変形例6を示す正面図である。また、図8(B)は図8(A)中X−X線に沿う縦断面図である。尚、図8(A)(B)において、上記実施例と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。図8(A)(B)に示されるように、制振装置81は、ブレース26,28が下部伝達部材22及び上部伝達部材24の前面側に装架されている。また、下部伝達部材22は、上端が横架部材36よりも上方に位置するように延在形成されている。また、上部伝達部材24は、油圧ダンパ12がブレース26,28間の空いている上部空間に配置されるように短く形成されている。
【0034】ブラケット82は、固定部82aが下部伝達部材22の上端に固定され、一対の腕部82bがブレース28をまたいで上方に延在して油圧ダンパ12のシリンダ12bに連結されている。そして、ブレース28は、ブラケット82の腕部82b間に形成された内部空間82cを貫通するように取り付けられている。これにより、油圧ダンパ12は、ブレース26,28と干渉しない位置に配置される。
【0035】尚、上記実施の形態では、一つの油圧ダンパ12をブレース26,28と干渉しない位置に配置させた構成を一例として挙げたが、これに限らず、油圧ダンパ数は複数の配置しても良いのは勿論である。また、本発明の制振装置を2階以上の階に設ける場合は、下の階の梁が本発明の基礎に該当する。
【0036】また、上記実施の形態では、ブレースがX字状に構成された場合を一例として挙げたが、これに限らず、その他の形状とされたブレースが用いられた構成のものにも適用できるのは勿論である。
【0037】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれば、ダンパ装置をブレースと構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、ダンパ装置のピストンロッドをブレースと交差するように設けたため、耐力壁の内部にもダンパ装置を設けることが可能になり、ダンパ装置がブレースに干渉されずに減衰動作できるので、住宅の構造あるいは壁面の配置によらず制震効果を確保することができる。
【0038】また、請求項2記載の発明によれば、ダンパ装置をブレースと構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、ブラケットをブレースと交差するように設けたため、耐力壁の内部にもダンパ装置を設けることが可能になり、ダンパ装置がブレースに干渉されずに減衰動作できるので、住宅の構造あるいは壁面の配置によらず制震効果を確保することができる。
【0039】また、請求項3記載の発明によれば、ダンパ装置をブレースと構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、上部伝達部材及び下部伝達部材を壁面状空間に配置させ、且つブレースを上部伝達部材及び下部伝達部材の内部に挿通させたため、耐力壁の内部にもダンパ装置を設けることが可能になり、ダンパ装置がブレースに干渉されずに減衰動作できるので、住宅の構造あるいは壁面の配置によらず制震効果を確保することができる。
【0040】また、請求項4記載の発明によれば、ダンパ装置をブレースと構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、上部伝達部材と下部伝達部材とを壁面状空間の壁面に対し前後にずらして配置させ、且つブレースを上部伝達部材及び下部伝達部材の前面または後面の広い空間側に沿うように装架させたため、耐力壁の内部にもダンパ装置を設けることが可能になり、ダンパ装置がブレースに干渉されずに減衰動作できるので、住宅の構造あるいは壁面の配置によらず制震効果を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる制振装置の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1に示す制振装置の各部の断面図である。
【図3】本発明になる制振装置の変形例1を示す正面図である。
【図4】図3に示す制振装置の各部の断面図である。
【図5】本発明になる制振装置の変形例3を示す図である。
【図6】本発明になる制振装置の変形例4を示す図である。
【図7】本発明になる制振装置の変形例5を示す図である。
【図8】本発明になる制振装置の変形例6を示す図である。
【符号の説明】
10,41,51,61,71,81 制振装置
11 耐力壁
12 油圧ダンパ
14 柱
16 下梁
18 上梁
20 壁面状空間
22 下部伝達部材
24 上部伝達部材
26,28 ブレース
32,34 ターンバックル
36 横架部材
38,40,52,72,73,82 ブラケット
42,44 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】 構造物の柱、梁から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える上部伝達部材と、前記構造物の基礎、柱から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、前記基礎からの該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える下部伝達部材と、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材との間に設けられたダンパ装置と、前記構造物の柱または梁に結合されるブレースと、を有する制振装置において、前記ダンパ装置を前記ブレースと前記構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、前記ダンパ装置のピストンロッドを前記ブレースと交差するように設けたことを特徴とする制振装置。
【請求項2】 構造物の柱、梁から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える上部伝達部材と、前記構造物の基礎、柱から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、前記基礎からの該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える下部伝達部材と、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材との間に設けられたダンパ装置と、前記ダンパ装置を前記上部伝達部材または前記下部伝達部材に固定するブラケットと、前記構造物の柱または梁に結合されるブレースと、を有する制振装置において、前記ダンパ装置を前記ブレースと前記構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、前記ブラケットを前記ブレースと交差するように設けたことを特徴とする制振装置。
【請求項3】 構造物の柱、梁から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える上部伝達部材と、前記構造物の基礎、柱から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、前記基礎からの該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える下部伝達部材と、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材との間に設けられたダンパ装置と、前記構造物の柱または梁に結合されるブレースと、を有する制振装置において、前記ダンパ装置を前記ブレースと前記構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、前記上部伝達部材及び前記下部伝達部材を前記壁面状空間に配置させ、且つ前記ブレースを前記上部伝達部材及び前記下部伝達部材の内部に挿通させたことを特徴とする制振装置。
【請求項4】 構造物の柱、梁から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える上部伝達部材と、前記構造物の基礎、柱から形成される垂直な壁面状空間に設けられ、前記基礎からの該壁面状空間と平行な水平方向の振動を伝える下部伝達部材と、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材との間に設けられたダンパ装置と、前記構造物の柱または梁に結合されるブレースと、を有する制振装置において、前記ダンパ装置を前記ブレースと前記構造物の柱または梁との間に形成される空間内に配置し、前記上部伝達部材と前記下部伝達部材とを前記壁面状空間の壁面に対し前後にずらして配置させ、且つ前記ブレースを前記上部伝達部材及び前記下部伝達部材の前面または後面の広い空間側に沿うように装架させたことを特徴とする制振装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2001−3597(P2001−3597A)
【公開日】平成13年1月9日(2001.1.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−177196
【出願日】平成11年6月23日(1999.6.23)
【出願人】(000003056)トキコ株式会社 (17)
【Fターム(参考)】