説明

制限された活性成分の初期放出を有し、続いてその徐放性を直線的に変化させる皮下インプラント

活性成分の制限された初期放出を有し、続いてその徐放性を直線的に変化させる皮下インプラントであって、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)コポリマーのポリマーマトリックス中に分散された活性成分を含有するコア(i)と、主成分として乳酸−グリコール酸コポリマーを含有するフィルム状のコーティング(ii)と、からなる皮下インプラント、ならびに前記インプラントを製造するための関連するプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制限された活性成分の初期放出を有し、続いてその徐放性を直線的に変化させる皮下インプラントに関する。
【0002】
現況技術
放出制御薬物を含有するインプラントを使用する利点は、現況技術においてよく知られている。多くの治療薬は、ヒトまたは哺乳類生物によって迅速に代謝され、除去されるため、適切な治療濃度を維持することを目的に、薬物を頻繁に投与する必要がある。
【0003】
いくつかの放出制御インプラントは、「マトリックス」型である。すなわち、活性成分が、多孔性または非多孔性タイプのポリマーからなるマトリックスに分散されており、そのマトリックスは、固体または半固体であり、かつ有効性分に対して透過性または不透過性である。
【0004】
マトリックスデバイスは生分解性であることができ、つまり、ゆっくりと腐食することができる、あるいはマトリックスデバイスは非分解性であることができる:この場合には、活性成分はマトリックスの壁または孔を越えて拡散する。
【0005】
放出制御インプラントの一例は、皮下インプラントによって代表される。かかるインプラントの特定の用途は、ペプチドの投与のための用途である。例えば、米国特許第4,768,628号に、ペプチドと、乳酸または乳酸−グリコール酸コポリマーをベースとするポリマーと、を含有する組成物が記載されている。これらの組成物は、以下の方法によって製造される。そのペプチドおよび(コ)ポリマーは、前記物質の両方に対して同一または異なる溶媒に溶解され、次いで2つの溶液が混合される。続いて、その溶媒は低温で除去され、このようにして得られた粉末は押出し成形される。
【0006】
本発明において企図される組成物は、その後の米国特許第5,366,734号に述べられているように、皮下インプラントの製造に使用することもできる。これらの種類のインプラントにおける放出メカニズムは以下のように起こる。乳酸−グリコール酸コポリマーは、ペプチドと不適合性であり、したがって、ポリマーを通っての活性成分の拡散は不適合である。これらのインプラントが37℃の緩衝水溶液に導入された場合、水はインプラント中に浸透し、拡散し、ポリマーとペプチドとの間で分布するようになり、ペプチドが部分的に水和される。
【0007】
米国特許第5,366,734号に記載のかかる種類のインプラントにおけるペプチドの第1放出段階は、ポリマーの膨潤によって生じる拡散段階である。ポリマーの膨潤に伴って、ペプチドが外側に拡散する場合に、水和ペプチドの小管が形成される。ポリマーが膨潤しなくなると、活性成分はもはや放出されない。
【0008】
第2放出段階は、ポリマーの分解によって生じる。この段階の間、マトリックスに穴および割れ目が形成し、まだマトリックス内にある水和ペプチドを放出することが可能になる。これらの種類のインプラントで得られる放出の最長期間は約3ヶ月である。
【0009】
前記の特許に記載の皮下インプラント用の組成物の根本的な特性は、ポリマー物質におけるペプチドの粒子密度分布が均一であるという事実にある。WO98/09613には、ペプチドからなる活性成分を放出することができる皮下インプラントを製造するプロセスが記載されている。
【0010】
このプロセスは、以下の段階:
乳酸−グリコール酸をベースとするコポリマーを粉砕する段階と、
そのコポリマーをペプチド水性スラリーで処理し(実施例において、ペプチド塩の水溶液でのコポリマーの処理が、ポリペプチドスラリーでの処理の代わりに記述されている)、互いに混合して、均一な混合物を得る段階と、
得られた混合物を25℃以下の温度で乾燥させる段階と、
その混合物を70〜110℃で押出し成形し、皮下インプラントとして使用される小さな円柱を得る段階と、を含む。
【0011】
上述の先行特許に記載の皮下インプラントの組成物は、活性成分の溶液が使用されることから、ペプチドが均一な分布密度を示すことを特徴とする。市販されている皮下インプラントでさえ、この種類の活性成分を3ヶ月以下の期間に放出するという不利点を有する。WO00/33809に記載の皮下インプラントは、6ヶ月で前記の活性成分を放出することができるという点から、ポリ乳酸グリコール酸のマトリックス中に分散されたペプチドを活性成分として含有する以前の皮下インプラントを基準として最終的な改善点を有する。これらのインプラントは、ペプチドの粒子が1ミクロン〜64ミクロンと様々な、非常に不均一な寸法を表す点から、従来から使用されているインプラントとは異なる。
【0012】
これらのインプラントは、特に以下の段階:
前記の範囲内で変動する、均一な寸法を有する粒子状のペプチドを粉末ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)と乾式混合する段階と、
適切な溶媒を使用して、先の段階から得られた混合物を湿式造粒する段階と、
顆粒化生成物を乾燥させて、液体の最低含有率0.1〜3%を有する残留物を得る段階と、
先の段階から得られた混合物を押出し成形する段階と、
皮下インプラントに適した寸法にその押出物を切断する段階と、
を企図するプロセスで製造される。
【0013】
先の前記特許に記載の皮下インプラントは、以下のように:純粋な拡散による放出、膨潤による拡散およびポリマー分解による放出と分類されるように、それらが本質的に三相性放出プロファイルを表し、二相性放出プロファイルを表さないという点でも異なる。
【0014】
したがって、この経過によって、放出時間を延長することが可能となる。実際に、これらのインプラントが水性媒体に導入される場合には、水はポリマーマトリックスを通って拡散し、表面に最も近いペプチド粒子、続いてさらに内部の領域に達する。インプラントは実質的に約6週間、変化がないままであり、この期間にペプチドの約30%を放出する。
【0015】
純粋な拡散のこの段階の期間は本質的に、ペプチドの寸法の不均一性のレベルによって決定され、その速度は本質的に、PLGAマトリックスにおける粒子含有率によって決定される。
【0016】
活性成分が寸法の多様性を有することから、十分な量のペプチドが溶解の第1段階後に残っており、記載の連続的段階において放出される。すなわち、拡散および膨潤による放出、またはポリマーの分解による放出である。
【0017】
皮下インプラントはヒトの体内において投与されると、高い総量の活性成分(場合によっては、最大許容1日投薬量よりも明らかに高い)が達成されるという事実によって、本質的に引き起こされる欠点を、これらのすべての種類の前述の皮下インプラントが有する。したがって、活性成分の即時の溶解が起こり;以後に枯渇しないが、時折、スカラー数列(scalar progression)が大きくなるこの現象は、初期「バースト(burst)」として知られている。したがって、このような場合において、投与される皮下インプラントに含有される全活性成分の量と比較した場合でさえ、かかる系から放出される薬物の量は低く、かかる初期バーストに関しては、かかる種類の薬物の最大許容1日投薬量に近付くか、またはそれを超えれば、場合によっては危険であると見なすことができることを立証することができる。
【0018】
さらに、一部の活性成分および一部の病状に関して、前記の欠点が存在しない場合でさえ、活性成分を即時に放出せず、より段階的な様式でその放出を行うことは有用である。前述の必要条件;
時点t=0で活性成分を即時に溶解させない;
コア(i)およびコーティング(ii)を通る拡散によって活性成分を放出し、インプラントを挿入して最初の数日で起こる初期バーストが低減されるように、活性成分の拡散によって得られる放出速度は、コーティングしていないインプラントの放出速度よりも低い;
純粋な拡散による放出後、活性成分の残りの量が高く、その結果として放出速度が、活性成分放出の第2段階よりも高い;
コア(i)の分解によって生じる第2のバーストを制限することができる;に従う皮下インプラントを提供する必要が感じられた。
【0019】
米国特許第6,022,554号において、不溶性ポリマーからなる徐放性インプラントのコーティングが記述されており、その中で、PLGAが挙げられ、それにおけるポリエチレングリコールの存在は、不溶性ポリマーにおいて孔を形成することができ、したがって活性成分放出を制御することができる薬剤として不可欠である。米国特許第6,319,512号には、コーティングされた皮下インプラントであって、そのコーティングは、コアが形成される前に製造されるポリマーフィルムを含み、かかるフィルムは、分子量2000〜6000Daを有するポリ乳酸と、分子量20,000〜100,000Daを有し、乳酸/グリコール酸のモル比が60:40〜40:60であるポリ乳酸グリコール酸をベースとするコポリマーと、の混合物を含む、皮下インプラントが記述されている。
【0020】
発明の概要
現在、本出願人は思いがけず、現況技術の皮下インプラントの欠点を克服する皮下インプラントであって、活性成分がPLGAに分散されたインプラントを発見した。
【0021】
したがって、本発明は、
ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)から本質的になるポリマーマトリックス中に分散された少なくとも1種類の活性成分を含有するコア(i)と、
主成分としてポリ乳酸グリコール酸(PLGA)を含有するフィルム状のコーティング(ii)と、を含む皮下インプラントを提供する。
【0022】
本発明の皮下インプラントでは、活性成分が放出されるようになっていないために、実際に即時の薬物溶解を低減することができる。放出の第1段階での拡散速度が低くなり、したがって、最初のバースト放出が低減される。
【0023】
本発明の詳細な説明
本発明のコート皮下インプラントは好ましくは、ペプチド、骨密度を上げることができる活性成分、鎮痛麻薬活性成分、閉経期のホルモン治療および避妊に用いられるステロイドホルモンからなる活性成分から選択される活性成分を含有するコアを有する。
【0024】
好ましくは、ペプチドを含有するコートインプラントのコア(i)は、WO00/33809に開示される皮下インプラントに対応し、さらに好ましくは、前記ペプチドは、アボレリン(アボレリン)、トリプトレリン、ゴセレリン、リュープリンから選択される。
【0025】
そのコアが、PLGAマトリックス中に分散された他の活性成分を含有する、コート皮下インプラントは、例えば以下のものである:
A)PLGAと会合して、骨密度を増加させることができる少なくとも1種類の活性成分を含有するコア。コート皮下インプラントのコア(A)に存在する活性成分は、不均一な寸法を表すか、またはより均一な粒径を有することができる。
B)ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)と会合して、鎮痛麻薬活性成分を含有するコア
C)ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)から本質的になるマトリックス中に分散され、閉経期のホルモン治療および避妊に用いられるステロイドホルモンを含有するコア。
【0026】
前述のコア(A)、(B)および(C)は、以下の段階:
I)活性成分を乾式混合する段階と、
II)段階(I)から得た混合物をできる限り顆粒化し、このようにして得られた顆粒を乾燥させる段階と、
III)(I)から、または(II)から得た混合物を押出し成形し、押出物を切断して、皮下インプラントを得るのに適した寸法の小さな円柱を得る段階と、を含むプロセスによって製造することができる。
【0027】
骨密度を増加させることができる、コア(A)に含有される活性成分は、薬学的に許容されるビスホスホン酸およびその塩、ビタミンDまたはその類似体および性ホルモンから選択されることが好ましい。
【0028】
これらのビスホスホン酸および一般式(I):
【化1】

(式中、M1、M2、M3およびM4は一価カチオンおよび/またはHであり、前記一価カチオンは、アルカリ金属、または脂肪族もしくは脂環式アミンのカチオンから選択され、さらに好ましくは前記カチオンはNa+である)のその薬学的に許容される関連する塩の中で、例えば、式中、R1およびR2が以下の表1に示される意味を有するものが挙げられる。
【0029】
【表1】

【0030】
特に好ましいのは、エチドロン酸二ナトリウム、アレンドロン酸二ナトリウムおよびパミドロン酸二ナトリウムを含有するコア(A)である。コア(A)は、ビタミンDの類似体として好ましくはカルシトリオールを含有することが好ましい。コア(A)においてどちらも使用される「性ホルモン」は、エストロゲンおよびプロゲスチンからなる種類から選択され、後者の中では、アンドロゲン性プロゲスチンを使用することが好ましい。
【0031】
本発明のコア(A)は、エストラジオール、吉草酸エストラジオール、エストラジオールシピオネート、エストロン、硫酸エストロンからなる種類から選択されるステロイド性エストロゲン、または非ステロイド性エストロゲン、例えばジエチルスチルベストロール、p−p’−DDT、ビス−フェニル−Aを含有することが好ましい。同じコア(A)または(C)は、ノルエチンドロン、ノレチノドレル(norethinodrel)、ノルゲストレル、ノルゲスティメートからなる種類から選択される男性プロゲスチンを含有することが好ましい。
【0032】
コア(B)に含有される「麻薬性鎮痛活性を有する薬物」は、モルヒネおよびモルフィナン、つまりモルヒネと同様な化学構造および活性を有する化合物、つまりμ受容体アゴニストであるが、モルヒネ型活性を有する化合物、言い換えると、フェニルピペリジンの分類に属するものなど、異なる化学構造を有するμ受容体アゴニストもまた好ましい(Goodman & Gilman's, The pharmacological basis of therapeutics, Ninth Edition Chapter 23 p.521-555)。
【0033】
フェニルピペリジンμ受容体アゴニストの分類内で、本発明によるコート皮下インプラントのコア(B)は好ましくは、メペリジン、フェンタニルおよび相対的に薬学的に許容される塩のフェンタニル同属種、例えばスフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニルおよびその薬学的に許容される塩から選択される少なくとも1種類の活性成分を含有する。
【0034】
特に好ましい実施形態に従って、本発明のコアは特に、クエン酸フェンタニルを活性成分として含有する。本発明による皮下インプラントのコア(C)に含有されるステロイドホルモンは、閉経期のホルモン治療および避妊に使用される、前述のステロイド性エストロゲンおよびプロゲスチンであることが好ましい。
【0035】
コート皮下インプラントのコア(C)は、活性成分として酢酸メドロキシプロゲステロンを含有することが好ましい。
【0036】
本発明の皮下インプラントは、米国特許第4,768,628号、同第5,633,734号、WO98/09613、WO00/33809に記載のように、またはコア(A)、(B)もしくは(C)の製造に用いられる前述のプロセスを用いて、製造されるコア(i)を有することが好ましい。
【0037】
コア(i)に使用されるPGLAは、分子量50,000〜150,000、乳酸とグリコール酸モノマーとのモル比50:50〜95:5を有することが好ましい。
【0038】
コア(i)に関連する表現で、「から本質的になる」とは、ポリマーマトリックス中にPLGAが99.9%以上の量で存在することを意味する。
【0039】
コーティングに関する表現で、「ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)を主成分として含有する」とは、ポリ乳酸グリコール酸が、範囲60〜100%、さらに好ましくは範囲75〜99.999%の量でコーティング中に含有され、100%までの残量は、賦形剤および/またはコア(i)において使用される同じ活性成分から本質的になることを意味する。
【0040】
好ましい実施形態に従って、コーティング(ii)は、ポリ乳酸グリコール酸から本質的になり、すなわちPLGAは、99.9%以上の量で存在する。
【0041】
他の好ましい実施形態に従って、コーティングは、80%の量のPLGAと、20%の量の少なくとも1種類の親水性賦形剤、好ましくはポリビニルピロリドン、D−マンニトールまたはその混合物と、の混合物からなる。
【0042】
単一成分としてポリ乳酸グリコール酸を含有するコーティングと比較すると、後者の種類のコーティングは、より長時間にわたり、かなり一定の放出速度を得ることを可能にする(図11参照)。
【0043】
他の好ましい実施形態に従って、コーティング(ii)は、75%の量のPLGAと、25%の量のコア(i)で使用される活性成分と、の混合物からなる。
【0044】
単一のPLGAを含有するコーティングと比較すると、後者は、高い量の活性成分を可能にし(図7C参照)、その他に、後者のコーティングでは、はるかに直線的な放出パターンを有することが可能である(図7D参照)。
【0045】
コーティング(ii)中に存在するポリ乳酸グリコール酸(PLGA)は、好ましくは50,000〜150,000の平均分子量および好ましくは50:50〜95:5の乳酸とグリコール酸モノマーとのモル比を有する。
【0046】
さらに好ましくは、その分子量は100,000〜150,000であり、乳酸−グリコール酸モノマーのモル比は50/50〜75/25である。
【0047】
本発明による皮下インプラントは、以下の段階:
a)活性成分を含有するコア(i)を製造する段階と、
b)極性溶媒、好ましくは塩素化溶媒、またさらに好ましくは塩化メチレン、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフランから選択される非プロトン極性溶媒から選択されることが好ましい適切な溶媒中のPLGA溶液中にコア(i)を通し、その結果前記コアが、接触時間1〜5秒、好ましくは1秒の間、前記溶液と接触した状態となる段階と、
c)段階(b)から得た前記コアを乾燥させる段階と、を含むプロセスを用いて製造することができる。
【0048】
段階(a)で使用される溶媒中のPLGA溶液の濃度は、好ましくは70〜300g/l、さらに好ましくは100〜200g/lである。本発明の皮下インプラントは、活性成分とコア(i)を形成するPLGAとの混合物をフィルム状のコーティングと共に同時押出し成形することからなるプロセスを用いて製造することができる。
【0049】
一般に、同時押出し成形という用語は、同一または異なる種類の2種類以上のポリマーを、単一の押出ノズルを通して同時に押出し成形し、その結果、断面で見ると、2つ以上の異なる同心円状層の形をとる押出物が得られることを意味する。図14は、本発明の皮下インプラントを製造するための同時押出機の断面概略図を示し、「スキンフロー(skin flow)」は、本発明の皮下インプラントのフィルムコーティング(ii)を作製するために使用されるPLGAの流れを示し、「コアフロー(core flow)」は、コア(i)を構成するPLGA中に分散された活性成分からなる混合物の流れを示す。
【0050】
特に、前記同時押出し成形プロセスは、以下の段階:
a’)活性成分をPLGAと混合する段階と、
b’)(a’)から得られた混合物を最低限の溶媒量でできる限り顆粒化し、得られた顆粒を乾燥させる段階と、
c’)フィルム状のコーティング(ii)を製造するための、賦形剤および/またはコア(i)の活性成分と任意に混合されたPLGAと共に、(a’)または(b’)から得られた混合物を同時押出し成形して、コア(i)を形成する段階と、を含む。
【0051】
フィルム状のコーティング(ii)は、好ましくは5〜250μm、さらに好ましくは10〜100μmの厚さを有する。本発明の皮下インプラントの製造のいくつかの例が、それを裏付けるin vitro放出プロファイルに加えて、非制限的な実例として報告されている。
【0052】
実施例1−アボレリン(Avorelin)を含有する皮下インプラントの製造
アボレリン23.5%(質量/質量)およびPLGA76.5%(質量/質量)(モル比72/28−平均分子量115,000Da)を含有する皮下インプラントをWO00/33809に記載のように製造し、塩化メチレン中のPLGA(173.5g/l)(乳酸/グリコール酸のモル比:74/26−平均分子量115,000Da)の溶液に1秒間通した。これに続いて、前記溶液で処理したインプラントを空気流中で乾燥させる。最後に、25KGyでのγ線照射によって、インプラントを滅菌する。
【0053】
図1Aは、前述のコートインプラントのうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(150×)断面像を示す。コーティング厚は、撮影部分において約12μmである。
【0054】
図1Bは、非コートの同じ皮下インプラントと比較した、同じ種類のインプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示し、コート皮下インプラントで得られた溶解と異なり、非コートインプラントで起こった大量の活性成分の即時溶解が示されている。コート皮下インプラントの場合には、直線的放出(R2、つまり最小二乗法によって計算された直線度(linearity index)=0.9957)が最初の4ヶ月にわたって生じた。
【0055】
実施例2−エチドロン酸ナトリウムを含有する皮下インプラントの製造
エチドロン酸ナトリウム(含水率3.3%(質量/質量)未満、残留メタノール含有率:0.07%、乾燥量基準で純度99.9%、粒径<66μm)25%(質量/質量)およびポリ乳酸グリコール酸(PLGA)(モル比54/46−クロロホルム中c=0.1g/dlで25℃にて測定されたインヘレント粘度0.56dl/g)75%(質量/質量)を含有する皮下インプラントを激しく混合する。
【0056】
このようにして得られた粉末状の混合物を100℃で押出し成形した。このようにして得られた直径1.5mmの押出物を長さ18mmに切断し(本出願と同時に、本出願人の名において出願された特許出願に記載の方法に従って)、それぞれ重量40mgの小さな円柱が得られ、続いて、それを塩化メチレン中のPLGAの溶液(乳酸/グリコール酸のモル比:74/26−平均分子量115,000Da)に濃度173.5g/lにて1秒間通した。続いて、この溶液で処理されたインプラントを空気流中で乾燥させる。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。図2Aは、前述の被覆物(deposit)のうちの1つを上記の顕微鏡で撮影した拡大(300×)断面像を示す。コーティング厚は、撮影部分において約12μmである。
【0057】
図2Bは、非コートの同じ皮下インプラントと比較した、この種類のインプラントの活性成分のin vitro放出プロファイルを示し、コート皮下インプラントで得られた溶解とは異なり、非コートデポーでは大量の活性成分の即時溶解(2日後に約2mg)が生じる事実が強調されている。コート皮下インプラントの場合には、直線的放出(R2、つまり最小二乗法によって計算された直線度=0.9957)が最初の3週間にわたって生じた。
【0058】
実施例3−トリプトレリンを含有する皮下インプラントの製造
トリプトレリン46%(質量/質量)、PLGA(モル比72/28−平均分子量115,000Da)54%(質量/質量)を含有する皮下インプラントをWO00/33809に記載のように製造し、塩化メチレン中のPLGAの溶液(乳酸/グリコール酸のモル比:74/26−平均分子量115,000Da)に濃度173.5g/lにて1秒間通した。続いて、この溶液で処理されたインプラントを空気流中で乾燥させる。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0059】
図3Aは、コート皮下インプラントのうちの1つを上記の顕微鏡で撮影した拡大(150×)断面像を示し、そのコーティング厚は約100μmであることに留意されたい。
【0060】
図3Bは、非コートの同じ皮下インプラントと比較した、この種類のインプラントの活性成分のin vitro放出プロファイルを示し、非コート皮下インプラントで得られた結果とは異なり、活性成分の即時の溶解が著しく低減されるという事実が強調されている。コート皮下インプラントの場合には、11ヶ月の放出期間で、かなり直線的な放出(R2、つまり、最初の6ヶ月間にわたって、最小二乗法によって計算された直線度=0.9918)が得られる。
【0061】
特にこのグラフによって、この種類のコートインプラントでは、放出期間をかなり延ばすことができることが実証されている。
【0062】
実施例4−同時押出し成形による、アボレリンを含有する皮下インプラントの製造
酢酸アボレリン(コアの全重量に対して50%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.19dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:51/49;
1mgKOH/gに等しい鎖の親水性末端;
を有するPLGA(コアの全重量に対して50%(質量/質量))と完全に混合した。
【0063】
次いで、粉末混合物を80℃で押出し成形してコアを形成し、同じ種類のPLGAを用いて同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。プロセスの間、同時押出し成形条件(つまり、同時に、同時押出し成形ダイを通過するコア形成材料の量に対するコーティング形成材料の量)を調整して、3通りの異なるコーティング厚(50μm、120μmおよび140μm)を得た。次いで、得られた押出物を長さ18mmに切断し、コーティング厚に応じて活性成分を15、13または11mg含有する円筒形コートインプラント45mgが得られた。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0064】
図4Aは、前述のコートインプラント(コーティング厚140μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【0065】
図4Bは、前述の円筒形コートインプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【0066】
実施例5−同時押出し成形による、アボレリンを含有する皮下インプラントの製造
酢酸アボレリン(コアの全重量に対して50%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.19dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:51/49;
1mgKOH/gに等しい鎖の親水性末端;
を有するPLGA(コアの全重量に対して50%(質量/質量))と完全に混合した。
【0067】
次いで、粉末混合物を90℃で押出し成形してコアを形成し、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:56/44;
Tg:39.6℃;
を有するPLGAを使用して、同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。
【0068】
プロセスの間、同時押出し成形条件を調整して、3通りの異なるコーティング厚(50μm、120μmおよび180μm)を得た。次いで、得られた押出物(直径1.7mm)を長さ18mmに切断し、コーティング厚に応じて活性成分を22、20または17mg含有する円筒形インプラント50mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0069】
図5Aは、前述の皮下インプラント(コーティング厚120μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【0070】
図5Bは、前述の円筒形コート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【0071】
図5Cは、実施例4のインプラントで得られた相当する放出プロファイルと比較した、前述の円筒形皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。実施例5のインプラントは、コーティング中に存在するPLGAの分子量(および結果として、インヘレント粘度)に関して、実施例4で開示される皮下インプラントと異なる。他のすべてが同じであれば、コアよりもコーティングにおいて高い分子量のPLGAを使用することによって、全体的な放出パターンに影響を及ぼすことなく、より長い放出期間が得られることを確認することができる。配合においてPLGAの特徴を変えることによって放出プロファイルを調節することが可能であることが示されていることから、これは、興味深い発見である。
【0072】
実施例6−同時押出し成形による、アボレリンを含有する皮下インプラントの製造
酢酸アボレリン(コアの全重量に対して50%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:56/44;
Tg:39.6℃;
を有するPLGA(コアの全重量に対して50%(質量/質量))と完全に混合した。
【0073】
次いで、粉末混合物を90℃で押出し成形してコアを形成し、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.19dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:51/49;
1mgKOH/gに等しい鎖の親水性末端;
を有するPLGAを使用して、同時押出し成形することによって、スキンを同時に形成した。
【0074】
プロセスの間、同時押出し成形条件を調整して、3通りの異なるコーティング厚(50μm、80μmおよび100μm)を得た。次いで、得られた押出物(直径1.5mm)を長さ18mmに切断し、コーティング厚に応じて活性成分を19、17または15mg含有する円筒形インプラント40mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0075】
図6Aは、前述の被覆物(deposit)(コーティング厚80μm)のうちの1つを上記の顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【0076】
図6Bは、前述の円筒形インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【0077】
図6Cは、実施例4の被覆物で得られたプロファイルと比較した、前述の円筒形被覆物からの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。実施例6のデポーは、コア中に存在するPLGAの分子量(および結果として、インヘレント粘度)に関して、実施例4のものと異なる。他のすべてが同じであれば、コアに高い分子量のPLGAを使用することによって実際に、放出期間が長くなることを確認することができる。配合においてPLGAの特徴を変えることによって放出プロファイルを調節することが可能であることが示されていることから、これは、興味深い発見である。
【0078】
実施例7−同時押出し成形による、アボレリンを含有する皮下インプラントの製造
酢酸アボレリン(コアの全重量に対して50%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.09dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:51/49;
1mgKOH/gに等しい鎖の親水性末端;
を有するPLGA(コアの全重量に対して50%(質量/質量))と完全に混合した。
【0079】
次いで、粉末混合物を80℃で押出し成形してコアを形成し、アボレリン25%(質量/質量)を含有する同じPLGAを使用して同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。
【0080】
プロセスの間、同時押出し成形条件を調整して、3通りの異なるコーティング厚(120μm、170μmおよび200μm)を得た。次いで、得られた押出物(直径1.6mm)を長さ18mmに切断し、コーティング厚に応じて活性成分を17、16または14mg含有する円筒形インプラント45mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0081】
図7Aは、前述の皮下インプラント(コーティング厚200μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【0082】
図7Bは、前述の円筒形インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【0083】
図7Cは、実施例4のインプラントで得られたプロファイルと比較した、前述の円筒形インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。実施例7のインプラントは、PLGA内に活性成分25%(質量/質量)を含有するという点で、実施例4のインプラントと異なる。コーティングに活性成分を添加することによって実際に、放出される量が高くなることを確認することができる(他のすべてが同じであれば)。
【0084】
図7Dを参照すると、実施例4で開示されるインプラントの放出パターンよりも、実施例7で開示されるインプラントの場合において、最初の2週間の放出パターンがはるかに直線的であることも確認することができる。かなり直線的な放出プロファイルが得られる新たな可能性が与えられることから、これは興味深い発見である。
【0085】
実施例8−クエン酸フェンタニルを含有する皮下インプラントの製造
以下の特徴:
残留含水率:0.1%;
アセトン1300ppm;
シクロヘキサン<100ppm;
トルエン<100ppm;
純度99.6%;
粒度分布1〜60μm;
を有するクエン酸フェンタニル(組成物の全重量に対して50%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
クロロホルム中(c=0.5g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.50dl/g;
Tg:39.6℃;
を有するPLGA(組成物の全重量に対して50%(質量/質量))と完全に混合した。
【0086】
次いで、粉末混合物を105℃で押出し成形した。次いで、得られた押出物を長さ18mmに切断し、51.7%(質量/質量)に等しい活性成分20.7mgを含有する円筒形インプラント40mgを得た(本出願と同時に、本出願人の名において出願された特許出願に記載の方法に従って)。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0087】
実施例9−同時押出し成形による、クエン酸フェンタニルを含有する皮下インプラントの製造
実施例8に記載の特徴と同じ特徴を有するクエン酸フェンタニル(組成物の全重量に対して55%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:56/44;
Tg:39.6℃;
を有するPLGA(コアの全重量に対して45%(質量/質量))と完全に混合した。
【0088】
次いで、粉末混合物を95℃で押出し成形してコアを形成し、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.19dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:51/49;
1mgKOH/gに等しい鎖の親水性末端;
を有するPLGAを使用して、同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。
【0089】
プロセスの間、同時押出し成形条件を調整して、2通りの異なるコーティング厚(50μmおよび100μm)を得た。次いで、得られた押出物(直径1.6mm)を長さ18mmに切断し、スキン厚に応じて活性成分を21または17mg含有する円筒形被覆物45mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0090】
図8Aは、前述のインプラント(コーティング厚50μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【0091】
図8Bは、実施例8で開示されたインプラントで得られたプロファイルと比較した、前述の円筒形コートインプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【0092】
実施例10−同時押出し成形による、クエン酸フェンタニルを含有する皮下インプラントの製造
実施例8に記載のものと同じ特性を有するクエン酸フェンタニル(コアの全重量に対して55%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度1.05dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:74/26;
Tg:49.1℃;
を有するPLGA(コアの全重量に対して45%(質量/質量))と完全に混合した。
【0093】
次いで、粉末混合物を105℃で押出し成形してコアを形成し、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:56/44;
Tg:39.6℃;
を有するPLGAを使用して、同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。
【0094】
プロセスの間、同時押出し成形条件を調整して、3通りの異なるコーティング厚(50μm、100μmおよび150μm)を得た。次いで、得られた押出物(直径1.6mm)を長さ18mmに切断し、コーティング厚に応じて活性成分を22、19または15mg含有する円筒形被覆物45mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0095】
図9Aは、前述のインプラント(コーティング厚100μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【0096】
図9Bは、前述の円筒形インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【0097】
実施例11−同時押出し成形による、クエン酸フェンタニルを含有する皮下インプラントの製造
実施例8に記載のものと同じ特性を有するクエン酸フェンタニル(コアの全重量に対して55%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:56/44;
Tg:39.6℃;
を有するPLGA(コアの全重量に対して45%(質量/質量))と完全に混合した。
【0098】
次いで、粉末混合物を95℃で押出し成形してコアを形成し、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:56/44;
Tg:39.6℃;
を有するPLGAを使用して、同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。
【0099】
プロセスの間、同時押出し成形条件を調整して、3通りの異なるコーティング厚(100μm、150μmおよび200μm)を得た。次いで、得られた押出物(直径1.6mm)を長さ18mmに切断し、コーティング厚に応じて活性成分を18、16または14mg含有する円筒形インプラント45mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0100】
図10Aは、前述のインプラント(コーティング厚150μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【0101】
図10Bは、前述の円筒形皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【0102】
実施例12−同時押出し成形による、クエン酸フェンタニルを含有する皮下インプラントの製造
実施例8に記載のものと同じ特性を有するクエン酸フェンタニル(コアの全重量に対して55%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度1.05dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:74/26;
Tg:49.1℃;
を有するPLGA(コアの全重量に対して45%(質量/質量))と完全に混合した。
【0103】
次いで、粉末混合物を105℃で押出し成形してコアを形成し、ポリビニルピロリドン20%(質量/質量)と、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:56/44;
Tg:39.6℃;
を有するPLGA80%(質量/質量)と、の混合物を使用して、同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。
【0104】
プロセスの間、同時押出し成形条件を調整して、コーティング厚150μmを得た。次いで、得られた押出物(直径1.6mm)を長さ18mmに切断し、活性成分を17mg含有する円筒形被覆物45mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0105】
実施例13−同時押出し成形による、クエン酸フェンタニルを含有する皮下インプラントの製造
実施例8に記載のものと同じ特性を有するクエン酸フェンタニル(コアの全重量に対して55%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度1.05dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:74/26;
Tg:49.1℃;
を有するPLGA(組成物の全重量に対して45%(質量/質量))と完全に混合した。
【0106】
次いで、粉末混合物を105℃で押出し成形してコアを形成し、D−マンニトール20%(質量/質量)と、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:56/44;
Tg:39.6℃;
を有するPLGA80%(質量/質量)と、の混合物を使用して、同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。
【0107】
プロセスの間、同時押出し成形条件を調整して、コーティング厚150μmを得た。次いで、得られた押出物(直径1.6mm)を長さ18mmに切断し、活性成分を17mg含有する円筒形被覆物45mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0108】
図11は、実施例12および10によって得られたインプラント(コーティング厚150μm)と比較した、前述の円筒形インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【0109】
実施例14−酢酸メドロキシプロゲステロンを含有する皮下インプラントの製造
薬局方基準の酢酸メドロキシプロゲステロン(全重量に対して55%(質量/質量))と、以下の特徴:
DLラクチド/グリコリドのモル比74/26;
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度1.05dl/g;
Tg:49.1℃;
を有するポリ乳酸グリコール酸(全重量に対して45%(質量/質量))と、を完全に乾式混合した。このようにして得られた混合物を120℃で押出し成形した。次いで、直径1.8mmの得られた押出物を長さ18mmに切断し、それぞれが重量60mgであり、活性成分30mgを含有する皮下インプラントを得た。
【0110】
実施例15−同時押出し成形による、酢酸メドロキシプロゲステロンを含有する皮下インプラントの製造
薬局方基準の酢酸メドロキシプロゲステロン(コアの全重量に対して55%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度1.05dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:74/26;
Tg:49.1℃;
を有するPLGA(コアの全重量に対して45%(質量/質量))と完全に混合した。
【0111】
次いで、粉末混合物を105℃で押出し成形してコアを形成し、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度1.05dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:74/26;
Tg:49.1℃;
を有するPLGAを使用して、同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。
【0112】
プロセスの間、コーティング厚150μmを得るために、同時押出し成形条件を調整した。次いで、得られた押出物(直径1.9mm)を長さ18mmに切断し、活性成分を20mg含有する円筒形被覆物60mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0113】
図12Aは、前述のインプラントのうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【0114】
図12Bは、実施例14で開示される非コートの皮下インプラントで得られた相当する放出プロファイルと比較した、前述の円筒形インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【0115】
実施例16−同時押出し成形による、酢酸メドロキシプロゲステロンを含有する皮下インプラントの製造
薬局方基準の酢酸メドロキシプロゲステロン(コアの全重量に対して55%(質量/質量))を、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.56dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:56/44;
Tg:39.6℃;
を有するPLGA(コアの全重量に対して45%(質量/質量))と完全に混合した。
【0116】
次いで、粉末混合物を105℃で押出し成形してコアを形成し、以下の特徴:
クロロホルム中(c=0.1g/dl)で25℃で測定されたインヘレント粘度0.19dl/g;
ラクチド/グリコリドのモル比:51/49;
1mgKOH/gに等しい鎖の親水性末端;
を有するPLGAを使用して、同時押出し成形することによって、コーティングを同時に形成した。
【0117】
プロセスの間、コーティング厚150μmを得るために、同時押出し成形条件を調整した。次いで、得られた押出物(直径1.9mm)を長さ18mmに切断し、活性成分を20mg含有する円筒形インプラント60mgを得た。最後に、インプラントを25KGyでのγ線照射によって滅菌する。
【0118】
図13は、実施例15で開示されるインプラントで得られたプロファイルと比較した、前述の円筒形インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1A】実施例1のコート皮下インプラントのうちの1つを光学顕微鏡Zeiss(Stemi 2000−Cモデル)で撮影した拡大(150×)断面像を示す。
【図1B】実施例1に記載のように製造された(かつ、非コートの同じ皮下インプラントの放出と比較した)本発明のコート皮下インプラントのin vitro放出の図を示す(y軸は、放出された活性成分の総量(mg)を示し、x軸は時間(日数)を示す)。
【図2A】実施例2のコート皮下インプラントのうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(300×)断面写真を示す。
【図2B】実施例2に記載のように製造され、かつ非コートの同じ皮下インプラントの放出と比較した、本発明のコート皮下インプラントのin vitro放出プロファイルの図を示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図3A】実施例3の本発明のコート皮下インプラントのうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(150×)断面像を示す。
【図3B】実施例3に記載のように製造され、かつ非コートの同じ皮下インプラントの放出と比較した、本発明のコート皮下インプラントのin vitro放出の図を示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図4A】実施例4で製造されたコート皮下インプラント(コーティング厚140μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【図4B】実施例4のコート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図5A】実施例5のコート皮下インプラント(コーティング厚120μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【図5B】実施例5のコート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図5C】実施例4のインプラントで得られた放出プロファイルと比較した、実施例5のコート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図6A】実施例6の皮下コートインプラント(コーティング厚80μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面写真を示す。
【図6B】実施例6の円筒形コート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図6C】実施例4の皮下インプラントで得られた相当する放出プロファイルと比較した、実施例6の円筒形皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図7A】実施例7のコート皮下インプラント(コーティング厚200μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【図7B】実施例7の円筒形コート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図7C】実施例4の皮下インプラントで得られた相当する放出プロファイルと比較した、実施例7のコート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図7D】実施例4および実施例7で開示されるコート皮下インプラント(コーティング厚120μm)の最初の14日間のin vitro放出プロファイルを示す。
【図8A】実施例8のコート皮下インプラント(コーティング厚50μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【図8B】実施例8の非コート皮下インプラントと比較した、コート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図9A】実施例10のコート皮下インプラント(コーティング厚100μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面写真を示す。
【図9B】実施例10のコート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図10A】実施例11のコート皮下インプラント(コーティング厚150μm)のうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面像を示す。
【図10B】実施例11のコート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図11】実施例12および10の皮下インプラント(コーティング厚150μm)で得られた放出プロファイルそれぞれと比較した、実施例13のコート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図12A】実施例15のコート皮下インプラントのうちの1つを上記の光学顕微鏡で撮影した拡大(75×)断面写真を示す。
【図12B】実施例14の皮下インプラントで得られたプロファイルと比較した、皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す(y軸およびx軸は前述の意味を有する)。
【図13】実施例15の皮下インプラントで得られたプロファイルと比較した、実施例16のコート皮下インプラントからの活性成分のin vitro放出プロファイルを示す。
【図14】本発明の皮下インプラントを製造するために使用される円筒形同時押出機の断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PLGAから本質的になるポリマーマトリックス中に分散された少なくとも1種類の活性成分を含有するコア(i)と、
主成分としてPLGAを含有する、フィルム状のコーティング(ii)と、
を含む皮下インプラント。
【請求項2】
コア(i)に含有される前記活性成分が、ペプチド、骨密度を増加することができる活性成分、鎮痛麻薬、閉経期のホルモン治療および避妊に用いられるステロイドホルモンからなる種類から選択される、請求項1に記載の皮下インプラント。
【請求項3】
前記コアがペプチドを含有する場合に、前記活性成分の粒子が1ミクロンから63ミクロンと様々な、非常に不均一な寸法を有することを特徴とする、請求項2に記載の皮下インプラント。
【請求項4】
コア(i)において使用される前記PLGAが、分子量50,000〜150,000、乳酸とグリコール酸モノマーとのモル比50:50〜95:5を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の皮下インプラント。
【請求項5】
コーティング(ii)が、範囲75〜99.999%の量でPLGAを含有し、かつ100%までの残量は、賦形剤および/またはコア(i)において使用される同じ活性成分から本質的になる、請求項1から4のいずれか一項に記載の皮下インプラント。
【請求項6】
コーティング(ii)がPLGAから本質的になる、請求項5に記載の皮下インプラント。
【請求項7】
コーティング(ii)が、80%のPLGAと、100%までの残量の少なくとも1種類の親水性賦形剤と、の混合物からなる、請求項5に記載の皮下インプラント。
【請求項8】
前記親水性賦形剤が、ポリビニルピロリドン、D−マンニトールおよびその混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の皮下インプラント。
【請求項9】
コーティング(ii)が、75%のPLGAと、100%までの残量のコア(i)に含有される同じ活性成分と、の混合物からなる、請求項5に記載の皮下インプラント。
【請求項10】
フィルム状の前記コーティング(ii)が、分子量50,000〜150,000、乳酸とグリコール酸モノマーとのモル比50:50〜95:5を有するPLGAからなることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の皮下インプラント。
【請求項11】
前記PLGAが平均分子量100,000〜150,000を有し、かつ前記モル比が50/50〜75/25で構成される、請求項10に記載の皮下インプラント。
【請求項12】
コーティング(ii)が厚さ5〜250μmを有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の皮下インプラント。
【請求項13】
前記厚さが10〜100μmで構成される、請求項12に記載の皮下インプラント。
【請求項14】
以下の段階:
a)前記活性成分を含有するコア(i)を製造する段階と、
b)無極性および非プロトン極性溶媒から選択される適切な溶媒中のPLGAの溶液中にコア(i)を通し、その結果、前記コアが前記溶液と1〜5秒間接触する段階と、
c)段階(b)から得られる前記コアを乾燥させる段階と、
を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の皮下インプラントを製造するプロセス。
【請求項15】
前記無極性溶媒が塩素化溶媒である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記溶媒が塩化メチレンであることを特徴とする、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記非プロトン極性溶媒が、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフランから選択される、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
段階(a)で使用される溶液中のPLGAの濃度が、70〜300g/lで構成される、請求項14から17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記濃度が100〜200g/lで構成される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記接触時間が1秒であることを特徴とする、請求項14から19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
以下の段階:
a’)活性成分をPLGAと混合する段階と、
b’)(a’)から得た混合物を最低限の溶媒量でできる限り顆粒化し、得られた顆粒を乾燥させる段階と、
c’)フィルム状のコーティング(ii)を製造するために使用されるPLGAと共に、(a’)または(b’)から得られた混合物を同時押出し成形する段階と、
を含む、請求項1から13のいずれか一項に従って、皮下インプラントを製造するプロセス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−513493(P2009−513493A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516184(P2006−516184)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051230
【国際公開番号】WO2005/000278
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505472780)メディオラニューム ファーマシューティカルス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】